JPS5836071B2 - 銀メッキ鉄及び鉄合金の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は鉄、鉄合金に銀又は銀合金のメッキを施す方法
の改良に関するものであり、特に銀メッキを施されたス
テンレス鋼などの耐食性を向上せしめんとするものであ
る。

一般１こ純鉄や鉄合金例えばステンレス鋼やＦｅ−Ｎｉ
は耐食性、機械的強度に優れて電磁気的特性を有する比
較的安価な金属であるが、これらの多くの金属は表面に
強固な不働態化被膜を有するため電気接続性や半田特性
に乏しいため電子、電気部品用材として、その用途に制
約をうけているものである。

例えばバネ性を要求される電子接点、コネクター、スイ
ッチ、端子などがあげられる。

このため銀や金などの貴金属をステンレス鋼の表面の少
くとも一部にメッキして使用し、素地の強度と貴金属の
有する電気接続性、半田特性とを併せて経済的に利用せ
しめんとしているものである。

従来ステンレス鋼などの不働態性金属に直接銀メッキを
行うｆこは、浸漬法又は陰極還元法によりステンレス鋼
を活性化せしめた後、銀メッキを行うものであるが、こ
の場合銀メッキ部分ピンホールを生ずるため、このピン
ホールのために活性化されたステンレス鋼は酸化され易
くなり高い耐食性を望むことが出来ないのであった。

又電気接続性や半田性などの表面特性についても著しく
低下するものであった。

この理由は銀メッキにおける上記のピンホールを介して
電食系が形成され活性化されたステンレス鋼がアノード
となり激しく腐食されるためである。

即ちこの電食反応はカソードとなる銀とそのピンホール
を通して露出するステンレス鋼との面積を比較すると前
者が極めて広い表面積を有し、カソード反応（ ｙｏ２
＋Ｈ２ ０＋２ ｅ−”２０Ｈ）の分極がおこり難いた
め激しく促進されるものである。

かくしてステンレス鋼に生成される赤錆などの腐食物が
ピンホールを介して銀等の貴金属表面を汚染し前記の如
き電気接続性及び半田特性を阻害し且つ孔食に発達する
場合もある。

以上はメッキ時｛こ活性化されたステンレス鋼は純鉄や
鋼と同じ程度の腐食電位を有する故であり、同様の事は
純鉄や鋼にＡｇメッキした場合にも起こることはいうま
でもない。

本発明は銀又は銀合金メッキ鉄及び鉄合金における活性
化した素地金属を不活性化せしめることｔこより耐食性
に優れた銀又は銀合金メッキステンレス鋼などを製造す
る方法を見出したものである。

即ち本発明方法は鉄及び鉄合金の表面を活性化処理して
銀又は銀合金のメッキを施した後、６価クロムイオンを
含有する水溶液中にてカソード処理を行い、次いで圧延
加工を行うことを特徴とするものである。

本発明方法における銀又は銀合金のメッキ方法としては
、電気メッキ、無電解メッキ等如何なる方法で行っても
よく、常法により浸漬やカソード還元によりステンレス
鋼などの表面を活性化せしめるか又は常法によりニッケ
ル或は銅のストライクメッキにより上記活性化を更に保
護するなどの工程を行った後メッキを施すものである。

又銀メッキ浴としてはシアン化浴、硝酸浴などが広く実
用化されている。

又銀合金メッキとしてはＡｇ−Ｃｕ，Ａｇ−Ｉｎ，Ａｇ
−Ｓｂ，Ａｇ−Ｐｂ，Ａｇ−Ｚｎ等がある。

本発明は上記の如く銀又は銀合金メッキを行った後、６
価クロムイオンを含有する溶液にてカソード処理を施す
ものである。

その理由は銀又は銀合金メッキを行うことによりこれら
のメッキ層に形成されるピンホールを閉塞することによ
り耐食性を向上せしめんとするためである。

この６価クロムイオンを含有する溶液としては三酸化ク
ロム、クロム酸ナトリウム、重クロム酸ナトリウム、ク
ロム酸カリウム、重クロム酸カリウム等が使用される。

又６価クロムの濃度はｉｏｏｗＡ以上特にｉｏｏｏ〜５
０ ０ ０１’ｌｍの範囲のものが望ましい。

その理由は１００１’ｌ”未満でばクロムの皮膜が附着
せず上記の如くピンホールを埋める効果を発揮せ［，（
Ｌ★ガ◎ゐ。

又その濃度があまり高い場合例えば５ ０ ０ ０ ０
ｐｌｍ以上たまると排液処理が困難となり環境衛生上の
問題を生ずるものである。

このクロムイオンの処理方法は上記のクロム化合物の水
溶液中に銀又は銀合金メッキステンレス鋼を浸漬し、こ
れを陰極として電解処理を行えばよく、その条件は例え
ば常温の液温にて０．０５Ａ／ｄｍ２以上特に０．１〜
０．５Ａ／ｄｍ２の電流密度と２秒以上特に５〜３０秒
の処理時間の組合せが実用的である。

更に、本発明は圧延加工を行うものであり、その圧下率
について特に限定するものではないが、通常の圧下車は
２．５係以上１こて圧延加工を行うものであり、その理
由は２．５係未満では圧延加工の効果が発揮されず銀又
は銀合金のメッキ層条こより生じたピンホールをクロム
被膜にてうめることが出来ないものである。

又圧延加工によって該メッキ層の表面に附着したクロメ
ート被膜を除去し耐食性を損うことなく電気接続性、半
田特性を改善することが出来るものである。

又圧延加工により機械的強度が増大し、銀又は銀合金の
メッキ層の密着性；耐摩耗性が向上し、結晶が均一とな
って表面光沢を良好にすることが出来る。

圧延加工を施さずに単に公知のクロメート処理を行うの
みでは例え耐食性は向上できてもＡｇメツキの上記の特
性が大きく損なわれてしまう。

次に本発明の実施例について説明する。

実施例 Ｉ ＳＵＳ３０４板をアルカリ性水溶液中に１分間カソード
脱脂（ ２． ５ Ａ ／ ｄｍ２）を行い、次いで１
０ＨＣＡ中にて１分間カソード処理を行って活性化せし
めた後、直ちに水洗し、まず第１次工程の如き条件にて
銀のストライクメッキを行い、更に第２次工程の如き条
件にて厚付けを行って１μ厚の銀斯くして得た銀メッキ
ＳＵＳ板（試料■）をそのまま圧延加工をしたもの（試
料■）及び該板を５係の重クロム酸ナトリウム液にて０
．５Ａ／ｄｍ２１０秒間カソード処理したもの（試料■
）に圧下車２５％の圧延加工を行ったもの（試料■）の
製品について夫々６０℃の相対湿度９５係の恒温恒湿槽
内に５００時間装着して鉄錆発生の有無を観察した。

その結果は第１表に示す如くである。第ｌ表 （１） 鉄錆が斑点状に見られた （ＩＩ） 同 上 （Ｉｆ） 鉄錆発生せず （５）鉄錆発生せず表面光沢性を有した。

以上の如くクロム被膜を附着せしめることにより耐食性
が著しく改善することが認められた。

次に上記の試料について接触抵抗及び半田性を測定した
。

即ち接触抵抗は先端５■の銀棒を２５０ｇにて押当てた
。

又半田性はＭＩＬ−ＳＴＰ法に準じ２５係のロジンフラ
ツクスを用い共晶半田浴２３５℃に３秒間浸漬した後、
引上げて表面の濡れ面積を測定した。

その結果は第２表に示す通りである。

第２表 接触抵抗０ 半田濡れ性（％） （Ｉ）約１００ＸＩＯ−３ ５０ （ＩＩ） ４５ ６０（ｎＤ約
２００Ｘ１０−３ ３５ （ＩＶ） １．ＩＸＩＦ３ ９８以上の如
くクロム被膜を施したものにおいても圧延加工を施こさ
ない場合には電気接続性及び半田性が著しく低下するも
のであるが、圧延加工を施すことにより著しく改良せし
めることが出来る。

実施例 ２ ５２％Ｆｅ−４８％Ｎｉ合金板を実施例１同様の活性化
処理を行った後、下記の如き条件にて１μ厚の銀−アン
チモン合金メッキを施した。

ＡｇＣＮ １５０．！ｉ’／７
ＫＣＮ ５０ｇ／ＩＪ酒石酸
アンチモニルカリ ５ ０ ｇ／１酒石酸カリナ
トリウム ５ ０ ｇ／ＩＫ Ｏ Ｈ
７ ｇ／１液温 ２０
℃ 陰極電流密度 ＩＡ，／ｄｍ２この銀
合金メッキ板を実施例１と同様に、該板のまま（試料Ｉ
）又これに圧延加工を施したもの（試料■）及び該板に
クロム処理を施したもの（試料■）又これに圧延加工を
施したもの（試料■）について夫々実施例１に示す条件
にて耐食性及び電気接続性、半田性を測定した。

その結果は第３表に示す通りである。

上表より明らかの如く銀合金メッキ鉄ニッケル｛こおい
ても実施例１と同様にクロム被膜層を設けたのみでは電
気接続性及び半田性が劣るため、これに圧延加工を行う
ことにより著しく改善した。

冫 以上詳述した如く本発明法によれば耐食性並びに電
気接続性、半田特性に優れた鉄、鉄合金に銀又は銀合金
メッキした複合材が製造できる。

特にステンレス鋼などの不働態性金属はメッキを施すこ
とにより最犬の利用価値の一つである耐食性をｉ失う危
険が大きいが本発明法は銀メッキの特性を失することな
く耐食性を回復できるのでその工業的価値は大きい。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鉄、鉄合金の表面を活性化処理して銀又は銀合金の
   メッキを施した後、６価クロムイオンを含有する水溶液
   中にてカソード処理を行い、次いで圧延加工を行うこと
   を特徴とする銀メッキ鉄及び鉄合金の製造方法。