JPS5823500B2 - 自動二段変速機を備えたエンジンの始動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、小型オートバイ等に用いられる自動二段変
速機を備えたエンジンの始動装置に関する。

一般に、この種自動二段変速機においては、低速伝動歯
車部と高速伝動歯車部とを有し、被動軸の回転数が成る
値以上になると、低速側（１速）から高速側（２速）に
自動的に切り換わるように構成されている。

しかして、この１速から２速に自動的に変速された場合
には、１速側の連動歯車部はフリーとなるようにしなけ
ればならず、そのため１速側の歯車装置には一方向継手
が設けられている。

一方、エンジンの始動に際して始動ギヤの回転が被動軸
に伝わらないようにするため、上記１速側の連動歯車部
をフリーとするための一方向継手とは別に、始動用のた
めのクラッチ等を設ける必要がある。

したがって、このような変速機はその機構が複雑となり
、また大型となる等の問題点がある。

本発明はこのような点に鑑み、上記１速側の一方向継手
と始動機構側のクラッチ機構とを一つにまとめ、当該部
の構成を簡単なものとし、装置全体を小形化し得るよう
にした、自動二段変速機を備えたエンジンの始動装置を
提供することを目的とする。

以下、添付図面を参照して本発明をその実施例について
説明する。

第１図において、符号、１はエンジンのクランク軸であ
って、そのクランク軸１の一端には低速遠心クラッチ２
が装着されており、その低速遠心クラッチ２の被動体３
にローピニオン４およびハイピニオン５が固着されてい
る。

上記クランク軸１と一動体３との間には、被動体３から
クランク軸１にのみ回転が伝わる一方向接子６が介装さ
れている。

一方、被動軸９にはローギヤ７およびハイギヤ８が軸架
されており、上記ローピニオン４がローギヤ７に対し、
またハイピニオン５がハイギヤ８にそれぞれ噛合せしめ
られている。

上記被動軸９には、第２図に示すように、始動ギヤ１０
が回転自在に軸支されており、この始動ギヤ１０から一
側に同心状に突設されたボス部に形成されたスプライン
１２に、回転方向の遊び１１を有するようにローギヤ７
が嵌合せしめられている。

ローギヤＴの一側にはネジスプライン１４が固設されて
おり、そのネジスプライン１４には、前記始動ギヤ１０
のスプライン１２に嵌合された摺動ドッグ１３が嵌合さ
れている。

上記摺動ドッグ１３は、被動軸９に固定した固定ドッグ
１５に対向せしめられており、固定ドッグ１５に設けた
ブレーキ片１６が摺動ドッグ１３の内周に弾接されてい
る。

一方、前記バイギヤ８は、被動軸９に回転自在に軸支さ
れ、高速遠心クラッチ１７を介して被動軸９に連結され
ている。

また、被動軸９は、減速用ピニオン１８およびギヤ１９
を介して出力スプロケット２０に連結され、一方始動ギ
ャ１０は、アイドラ２１を介してキックギヤ２２に連結
され、そのキックギヤ２２は一方向継手２３を介してキ
ック軸２４に連結されている。

しかして、クランク軸１の回転を上昇させていくと、低
速遠心クラッチ２が接続してローピニオン４からローギ
ヤ７に回転が伝達される。

したがって、ネジスプライン１４によって摺動ドッグ１
３が押し出されて固定ドッグ１５に掛合し、ローギヤ７
の回転が被動軸９に伝えられる。

そこでさらに回転が上昇し一定回転数以上になると、高
速遠心クラッチ１７が接続し、動力はバイピニオン５か
らバイギヤ８に伝わり、さらに高速遠心クラッチ１７を
介して被動軸９に伝わって高速運転状態となる。

このとき、ローギヤ７は、被動軸９より回転が低くなる
ので、ネジスプライン１４によって摺動ドッグ１３が引
込められて固定ドック１５との噛合が外れ、ローギヤ７
はフリー状態となる。

一方、クランク軸１を始動させるときは、キック軸２を
回すと、一方向接手２３、キックギヤ２２、アイドラ２
１と回転伝達して、始動ギヤ１０が回転する。

始動ギヤ１０が回転するとローギヤ７に回転が伝わるが
、スプライン１２とローギヤ７との間の遊び１１の間を
スプライン１２が回動する間に、そのスプライン１２に
嵌合している摺動ドッグ１３が引き込められて、固定ド
ッグ１５との噛合が離れているので、被動軸９に回転が
伝わることはなく、ローギヤ７だけが回転駆動される。

したがって、ローギヤ７からローピニオン４、一方向継
手６へと回転が伝達され、クランク軸１が駆動され始動
が行なわれる。

なお、クランク軸１側からローギヤ７が回わされている
ときは、始動ギヤ１０、アイドラ２１、キックギヤ２２
も回転するが、一方向接手２３で回転伝達が断たれてキ
ック軸２４は静止している。

以上説明したように、この発明は、クランク軸に低速遠
心クラッチを設け、その低速遠心クラッチの被動体に固
着されたローピニオンおよびバイピニオンを一方向継手
を介して上記クランク軸に軸架するとともに、そのロー
ピニオンに噛合するローギヤを被動軸に装着し、さらに
上記バイピニオンに噛合し被動軸に軸架したバイギヤを
高速遠心クラッチを介して被動軸に連結するようにした
ものにおいて、上記被動軸に始動ギヤを回転自在に軸支
し、その始動ギヤに前記ローギヤを回転方向に遊びを持
たせてスプライン嵌合するとともに、さらにローギヤに
ネジスプライン嵌合され、被動軸に固定した固定ドッグ
に対向せしめられた摺動ドッグをスプライン嵌合したの
で、上記ネジスプライン、摺動ドッグおよび固定ドッグ
によって構成される継手によって、高速運転時における
ローギヤのフリー化を行なわせるとともに、エンジン始
動時における始動ギヤの被動軸への伝動切断作用をも行
なわせることができ、始動系に別個のクラッチ機構を設
ける必要がなく、しかもローギヤを介してエンジンの始
動ができてギヤの数も少くてよく、始動機構を簡単化せ
しめることができ、装置全体の小型化も画ることかでき
る。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示し、第１図は全体の縦断略図
、第２図は要部縦断面図、第３図は第２図Ａ−Ａ矢視横
断面図である。 ７・・・・・・ローギヤ、９・・・・・・被動軸、１０
・・・・・・始動ギヤ、１１・・・・・・遊び、１２・
・・・・・スプライン、１３・・・・・・摺動ドッグ、
１４・・・・・・ネジスプライン、１５・・・・・・固
定ドッグ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クランク軸に低速遠心クラッチを設け、その低速遠
   心クラッチの被動体に固着されたローピニオンおよびハ
   イピニオンを一方向継手を介して上記クランク軸に軸架
   するとともに、そのローピニオンに噛合するローギヤを
   被動軸に装着し、さらに上記ハイピニオンに噛合し被動
   軸に軸架したハイギヤを高速遠心クラッチを介して被動
   軸に連結するようにした自動二段変速機を備えたエンジ
   ンの始動装置において、上記被動軸に始動ギヤを回転自
   在に軸支し、その始動ギヤに、前記ローギヤを回転方向
   に遊びを持たせてスプライン嵌合するとともに、さらに
   ローギヤにネジスプライン嵌合され、被動軸に固定した
   固定ドッグに対向せしめられた摺動ドッグをスプライン
   嵌合したことを特徴とする、自動二段変速機を備えたエ
   ンジンの始動装置。