JPS5822591B2 - スエ−ドヨウギカクノ セイゾウホウホウ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は通気性に優れ、外観、風合において天然スェー
ドに酷似したスェード様擬革を製造する方法に係るもの
である。

従来のスェード様擬革としては、生布又は合成樹脂シー
ト上に短繊維を植毛加工したもの、あるいは塩化ビニー
ル等のスポンジレザーの表面を研削したもの等が知られ
ているが、前者は植毛した短繊維が抜けやすく、後者は
強度が弱く、外観、風合においても両者とも天然スェー
ドとは程遠いものであった。

特にスポンジレザーの表面を均一厚味に研削することは
困難でムラのないスェード様外観を得ることは極めて難
しかった。

又ポリウレタンエラストマー塗布基材を湿式凝固し脱溶
媒して縦に揃った無数の気孔から成る蜂窩状構造を有ス
るポリウレタンフィルムを形成し、該蜂窩状構造の中間
をスリッターにより才断して内部の気孔を露出しスェー
ド様擬革を得る方法がある。

しかしこの方法では均一な径をもつ気孔が均一に分布し
た蜂窩状構造を形成するように製造条件を調整するのが
難しく、又気孔の径が同径に揃うフィルム層の深さで才
断するのは擬革が軟かく又薄いため難しく、従って色艶
にムラが生じてしまい商品価値を損ねた。

更に発泡した塩ビレザーをその中間から２枚に剥ぐ方法
では、均等厚味に剥ぐのが難しく従って均一なムラのな
いスェード外観を得るのは難しかった。

一方本発明者等はポリウレタンニジストマー中に過剰の
水中発泡剤を混入して発泡密度の大きい湿式擬革を形成
し表皮を研削する方法も試みたが均一な気孔密度を得る
のがなかなか難しかった。

又塩ビシート表面に発泡剤を塗布して発泡させシート表
面を凹凸状に荒してスェード状とすることも試みられた
が均一な緻密な気孔を得るのは困難であった。

本発明はこれら従来のスェード様擬革の欠点を改良した
新規な製造方法に係るもので、通気性、柔軟性に優れ外
観、風合において極めて天然スェードに酷似したスェー
ド様擬革の製造方法に係るものである。

すなわち、本発明の要旨は発泡剤を配合した発泡性重合
体シート状物と他の発泡性重合体シート状物又はペース
ト状又は溶液状の合成樹脂又はゴムの配合物に機械的に
気体を混入した他の気泡性重合体シート状物との接触面
たる中間に前記発泡剤と同等又はそれ以下の分解温度を
有する発泡剤から成るか又は該発泡剤を主成分とし可塑
剤とから成る発泡剤層を形成して積層シートとし、該積
層シートを加熱して該発泡性重合体シート状物中及び発
泡剤層中の発泡剤を発泡せしめ、爾後発泡した該発泡剤
層部分から発泡重合体シート状物又は気泡性重合体シー
ト状物を剥離してスェード様擬革を得る方法に在る。

本発明を更に詳細に説明すれば、塩化ビニル、ポリウレ
タン、アクリル等の合成樹脂やゴム等の重合体シート成
形用配合物中に発泡剤、発泡助剤を配合するか又は機械
的に気体を混入してカレンダー法やコーティング法等の
通常の方法により、未発泡の発泡性重合体シート状物又
は気泡性重合体シート状物を形成する。

該発泡性重合体シート状物又は気泡性重合体シート状物
としてはトッピングやラミネート等により基布を積層し
たものでもよい。

次に該発泡性重合体シート状物又は気泡性重合体シート
状物の樹脂又はゴム層表面に粉末状の発泡剤や発泡促進
剤を粉体塗装するか又はペースト状の発泡剤、発泡促進
剤をコーティングして発泡剤層を形成する。

更に該発泡剤層の上面に上記の如く成形した他の発泡性
重合体シート状物を加熱圧着により積層一体化するか又
は該発泡剤層の上面に発泡剤を配合するか又は機械的に
気体を混入したペースト状又は溶液状の合成樹脂又はゴ
ムの配合物を塗布し、加熱、半ゲル化又は加熱乾燥して
発泡性重合体シート状物又は気泡を内部に形成した気泡
性重合体シート状物を形成する。

上記の如くにして形成した中間に発泡剤層を有する２枚
の発泡性重合体シート状物の積層シート又は発泡性重合
体シート状物とペースト状又は溶液状の合成樹脂又はゴ
ムの配合物に機械的に気体を混入した他の気泡性重合体
シート状物との積層シートを加熱炉中を通して加熱し、
該発泡性重合体シート状物中に分散している発泡剤と発
泡剤層中の発泡剤を発泡せしめる。

該発泡剤の発泡後、該積層シートを冷却してから無数の
気泡が形成され発泡気泡密度の高い発泡剤層部分、即ち
上下の発泡重合体シート状物又は気泡性重合体シート状
物の接触面から剥離し２枚のスェード様擬革な得る。

上記発泡性重合体シート状物又は気泡性重合体シート状
物は、塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル等の合成樹
脂、天然ゴム、合成ゴム等の重合体と可塑剤、発泡剤、
発泡促進剤、安定剤、顔料等から成る配合物からカレン
ダー法によりフィルム状に成形し更に編織布、不織布等
の基材をトッピングしてシート状物としたものや、又は
塩化ビニル、アクリル、ポリウレタン、酢酸ビニル等の
合成樹脂のペースト又は溶液に発泡剤、発泡促進剤その
他一般の添加剤を配合したものを編織布、不織布等の基
材に塗布し加熱乾燥してシート状物としたものか、又は
離型紙、合成樹脂フィルム等の離型性担体上に該配合物
を塗布し、加熱乾燥後必要に応じて基材に接着剤を介し
てラミネートし、離型性担体を剥離してシート状物とし
たもの等の重合体シート状物の通常の方法により成形し
たものを使用する。

なおペースト状合成樹脂に該機械的に気体を混入する際
に気泡形成用の核としてパルプ、繊維、無機物の粉末、
短繊維を配合することも可能である。

上記の如く発泡性重合体シート状物は未発泡の発泡剤を
分散含有しており、該発泡性重合体シート状物の成形過
程においての加熱温度では発泡しない発泡剤を該重合体
シート状物には配合使用しなげればならない。

該発泡性重合体シート状物又は気泡性重合体シート状物
の上面への発泡剤層の形成方法は粉末状の発泡剤、発泡
促進剤を粉体塗装するか又は発泡剤、発泡促進剤と可塑
剤等から成るペースト状の混合物を塗布する。

該発泡剤の混合物を模様状に発泡性重合体シート状物の
上面に部分的に塗布して、後の発泡工程により部分的に
発泡させ部分的にスェード外観を有する装飾的なシート
状物を得ることも可能である。

該塗布方法としては粉体塗装、スプレー、ドクターナイ
フコーター、グラビア印刷及びフレキソ印刷等のロール
コータ−、スクリーン、印刷等の方法により行う。

発泡剤、発泡促進剤は可塑剤等と共にインクミル等で混
練し、上記ペースト状の発泡剤主成分とする混合物を調
製する。

発泡性重合体シート状物に使用する発泡剤は通常の有機
発泡剤が使用出来、発泡剤層の形成に使用する発泡剤は
発泡性重合体シート状物中の発泡剤の分解温度と同等か
、それ以下の分解温度を有するものを使用するか又は発
泡助剤との組合せにより、発泡性重合体シート状物中の
発泡剤の分解温度と同等かそれ以下に分解温度を調整す
ることが好ましい。

該発泡剤層形成に使用する発泡剤としては、無機系のも
のとして炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、亜硝酸
ナトリウム、有機系のものではパラトルエンスルフォニ
ルヒドラジド及びそノ誘導体、４・４′−オキシビスベ
ンゼンスルフォニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニ
トリルあるいはジニトロペンタメチレンテトラミン、ア
ゾジカルボン酸アミド等を使用する。

発泡促進剤は上記の発泡剤の中、発泡温度が高いものと
組み合せて使用し、ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ンにはサリチル酸、安息香酸、マレイン酸等の有機酸又
は尿素系発泡促進剤を使用し、アゾジカルボン酸アミド
に対しては酸化亜鉛等の金属酸化物やステアリン酸カド
ミウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛等の金属塩
、尿素系発泡促進剤等を使用する。

該発泡剤をペースト状にする可塑剤又は加工油としては
、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチル
ベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤やス
ピンドル油等の一般のものを使用する。

発泡性重合体シート形成用の発泡剤は主に通常の有機系
のものを使用し、例えばパラトルエンスルフォニルヒド
ラジド及びその誘導体、４・４′−オキシビスベンゼン
スルフォニルヒドラシト、ジニトロソペンタメチレンテ
トラミン、アゾジカルボン酸アミド等を使用する。

該２枚の発泡性重合体シート状物の圧着一体化は通常の
ラミネートに使用される加熱装置を使用し、シート状物
を加熱後圧着ロールを通す等の方法により行う。

該発泡剤の発泡は上記積層シートを赤外線ヒーター、ガ
スヒーター、蒸気ヒーター等の装置から成る加熱オーブ
ン中を通して加熱発泡せしめる。

該加熱オーブン中の温度は１４０℃〜２８０℃とし、好
ましくは１８０℃〜２５０℃とする。

上記加熱により、発泡剤が発泡するが、発泡剤層中の発
泡剤は発泡性重合体シート状物中の発泡剤よりも低温度
で発泡するためまず発泡性重合体シート状物又は気泡性
重合体シート状物の接触面の発泡剤層から発泡し、その
発泡ガスに依って生じた発泡核を中心に該発泡性重合体
シート秋物の層に渉って発泡が起き連続的気泡が形成さ
れる。

又、該発泡剤層部分の方が重合体シート状物中よりも発
泡剤の含有密度が高いため発泡が盛んで形成された気泡
密度は重合体シート状物中のそれよりも高く、又気泡の
大きさも大きい。

従って、発泡終了後−Ｌ下の発泡重合体シート状物又は
気泡性重合体シート状物を剥ぐ工程において接触面から
極めて容易に剥離でき均一厚味のシートが得られるもの
である。

又その剥離面は気泡密度が高く、気泡が２つに分断され
極めてスェード様外観に似た形状に形成される。

上記の発泡重合体シート状物又は気泡性重合体シート状
物の剥離は積層シートの一端において爪又はナイフ等に
より２つに剥ぎ両方向に分離して引張り、更に２つのロ
ールに各々の端部を巻き付けて全積層シートを剥離する
ものである。

本発明は上記の如（、発泡性重合体シート状物の内部に
おいて発泡剤を発泡し、更に２枚の重合体シート状物の
接触面で発泡させ２枚の発泡重合体シート状物に剥離す
るため外観、風合において天然スェードに酷似し、特に
表面の気泡切断面のムラがなく同一色艶のスェード様擬
革が得られる。

又発泡剤層を発泡性重合体シート状物又は気泡性重合体
シート状物の表面に部分的に模様状に形成することによ
り、部分的にスェード外観を有する極めて装飾性に優れ
た従来にないシート状物が得られる。

製造方法も極めて容易で新規な装置等を必要とせず製造
能率も良く、コストの安い製品の大量生産が可能であり
、そのため衣料、鞄、靴等の皮革代替材料として極めて
利用範囲も広い。

次に実施例を挙げて本発明を説明する。

なお説明中、部とあるのは重量部を表すものとする。

実施例 １ 塩化ビニル樹脂１００部、ジオクチルフタレート（可塑
剤）６０部、Ｃｄ−Ｂａ系安定剤２部、アゾジカルボン
酸アミド（発泡剤）３部、ステアリン酸０．３部、顔料
（茶）３部の割合から成る配合物からカレンダーにより
厚味０．３ｍｍの塩ビシートをメリヤス生布にトッピン
グして未発泡塩ビレザーを得る。

次に該未発泡レザーの塩ビ層表面に重炭酸ソーダ１００
部、ブチルベンジルフタレート５００部から成る発泡剤
分散液をグラビアロールで塗布し、８０℃１分間加熱乾
燥する。

次に上記の如くに形成した発泡剤を塗布した未発泡塩ビ
レザーを２枚用意し、発泡剤塗布面同志を加熱圧着し一
体化する。

次に２００℃の加熱オーブン中を３分間通して加熱し、
発泡せしめ、空冷の後２枚の発泡シートに接触面から剥
離し２枚のスェード様擬革を得た。

実施例 ２ 塩化ヒニル樹脂１００部、ジオクチルフタレート（可塑
剤）５５部、エポキシ可塑剤５部、亜鉛系安定剤３部、
アゾジカルボン酸アミド３部、顔料（黒）３部の割合か
ら成る塩ビペーストを離型紙上に０．３朋の厚味に塗布
し、１３０℃３分間加熱し、塩ビペーストを半ゲル化す
る。

次に接着剤を塗布しメリヤス生布を貼着して１３０’０
３分間加熱乾燥し、離型紙を剥離して未発泡塩ビレザー
を得る。

次に該未発泡塩ビレザーの塩ビ層表面に重炭酸ソーダ−
１００部、ブチルベンジルフタレート２５０部から成る
発泡剤分散液をグラビアロールで塗布し、８０℃１分間
加熱乾燥する。

次に乾燥した該発泡剤塗布面に上記の配合の塩ビペース
トを０．３ｍｍの厚味に塗布し、１３０℃３分間加熱し
塩ビペーストを半ゲル化し、更に接着剤を塗布しメリヤ
ス生布をラミネートして１３０’Ｃ３分間加熱乾燥する
。

次にこの積層レザーを加熱オーブンで１８０℃５分間加
熱発泡せしめ冷却後２枚の発泡塩ビレザーの接触面から
剥離し２枚のスェード様擬革を得た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 発泡剤を配合した２枚の発泡性重合体シート状物の
   接触面たる中間層に前記発泡剤と同等又はそれ以下の分
   解温度を有する発泡剤から成るか又は該発泡剤を主成分
   とし可塑剤とから成る発泡剤層を形成して積層シートと
   し、該積層シートを加熱して該発泡性重合体シート状物
   中の発泡剤層中の発泡剤を発泡せしめ、爾後発泡した該
   発泡剤層部分から２枚の発泡重合体シート状物を剥離す
   ることを特徴とするスェード様擬革の製造方法。 ２ 発泡剤を配合した発泡性重合体シート状物とペース
   ト状又は溶液状の合成樹脂又はゴムの配合物に機械的に
   気体を混入した他の気泡性重合体シート状物の接触面た
   る中間層に前記発泡剤と同等又はそれ以下の分解温度を
   有する発泡剤から成るか又は該発泡剤を主成分とし可塑
   剤とから成る発泡剤層を形成して積層シートとし、該積
   層シートを加熱して該発泡性重合体シート状物中の発泡
   剤及び発泡剤層中の発泡剤を発泡せしめ、爾後発泡した
   該発泡剤層部分から発泡重合体シート状物及び他の気泡
   性重合体シート状物を剥離することを特徴とするスェー
   ド様擬革の製造方法。