JPS5819324Y2 - エンジンのピストン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はヘッド部をセラミックで形成したエンジンの
ピストンに関する。

ピストンのヘッド部をセラミックで形成して、エンジン
性能の向上を図ることが試みられている。

が、この場合、セラミックの引張許容応力の小さい点、
及び機械加工性が悪く加工費が極端に高くつく点等が問
題となる。

例えばアルミ合金製のピストン本、体と、これ、に固着
したセラミック製のへッドピ７スとは、熱膨張率に大き
な差違があり、ピストン本体が全金属製ピストンと同様
に温度上昇した場合、ヘッドピースを破壊させ若しくは
解離させてしまうことがある。

このような問題は、ピストンの周表面をセラミック等の
断熱性素材で覆い、ピストン本体の温度上昇を防止する
事により一応解消されるが、この場合ピストンリング用
の溝用形成等機械加工の点で経済性を失する。

この考案は、上記に鑑み提案されたもので、エンジンの
ピストンにおいて、その周表面のうち燃焼ガスに直接さ
らされる個所をセラミックで形成する事により、その断
熱作用でエンジン性能の向上を図ると同時に、ピストン
本体への伝熱を阻止し熱膨張量差を縮少して自体の破壊
・解離等を防止し、更にはセラミックで形成した個所の
機械的加工を不要としたピストンを得る事を目的とする
ものである。

以下図面に基き゛この考案の実施例を説明する。

第１図はピストンの縦断正面図で、このピストン１は、
セラミック製のへラドピース２をアルミ合金製のピスト
ン本体３に鋳込みにより固着させてなる。

ピストン１はその周面のヘッド部１ａ側から順に第１ラ
ンドＲ１、第１リング溝Ｇ１、第２ランドＲ２、第２リ
ング溝Ｇ２、第３ランドＲ３、第３リング溝Ｇ３をそれ
ぞれ形成している。

上記へラドピース２とピストン１の境界面を、ピストン
１の第１リング溝Ｇ１の側面壁下端に設定して、第２図
に示すようにその周面下方の段落部４で第１リング溝Ｇ
１の上面壁と側面壁を形成させるとともに、その底面中
央を断面ｇ字状に凹設して固着部５を形成している。

この固着部５の内面は底面視多角形状に形成され、周方
向の回り止めを兼ねている。

□ヘッドピース２は予め上記のように形成した後
、ピストン本体３の素材鋳造時開時に鋳込まれ、同本体
３の上壁６の一部かへラドピース２の固着部５内に入り
込む事により、両者２，３は確実に固着される。

図中７は第１ピストンリング、８は第２ピストンリング
、９はオイルリングを示す。

尚上記実施例の変形例として、ヘッドピース２とピスト
ン本体３の境界を、第１リング溝Ｇ１の側面壁下端と第
１ランドＲ１周面下端との間の任意個所に設定する事が
考えられる。

以下その作用を説明する。

ピストン１のうち高温の燃焼ガスに直接晒される部分は
ピストンヘッド部１ａと、第１ランド周表面Ｒ１と、第
１ピストンリング７の上面一部のみである。

このうち前二者はセラミックで形成したヘッドピース２
の一部をなすものであり、燃焼ガスの熱はへラドピース
２の断熱作用で伝熱を阻止され、ピストン本体３が高温
に加熱される事はない。

又ピストンリング７の上面一部からの伝熱は無視できる
程度でしかない。

以上説明したように、この考案では、セラミックで形成
したヘッドピース２をピストン本体３に固着してピスト
ン１を形成するようにしたので、ヘッドピース２の断熱
作用で燃焼ガスの熱の伝道を阻止でき、これにより伝熱
によるピストン１からの熱損が激減され、又燃焼室が高
温に保持される為クエンチングを解消できる等、エンジ
性能が向上される。

又、ヘッドピース２とピストン１の境界面を、ピストン
１の第１リング溝Ｇ１の側面壁下端と第１ランドＲ１周
面下端との間に設定して、第１ランドＲ１全体をセラミ
ックで構成しているので、ピストン本体３は直接高温の
燃焼ガスに晒されることがない第２ランド以下に位置し
、上方のセラミック層の断熱作用と相俟って、比較的低
温（１２０℃位）に保持される。

従って、ピストン本体３の熱膨張量が僅少となり、セラ
ミック層との間の熱膨張量の差を最小限に留めて、ピス
トン本体かへラドピース２を破壊させ、解離させる事を
解消できるうえ、ピストンクリアランスを小さく設定で
き、ピストンスラップを防止できる。

加えてピストン本体３に付着した潤滑油の劣化を減少さ
せる。

更に、本考案においては、ヘッドピース２をピストン本
体３に鋳込みにより固着させ、しかもへラドピース２を
上記ピストン頭部の所定位置に特定化しているので、両
者の解離等の虞れがなく、ピストン１の加工時にヘッド
ピース２に溝をその周面に沿って形成する必要がなく、
特に加工性の悪いセラミックでヘッドピース２を形成し
ても経済的に不利を生ずることがなく、ヘッドピース２
を有するピストン１を低コストで得ることができる。

そして、ピストン本体１はその位置の特定化によって膨
張量を減少できるので、各ピストンリングの内径側壁と
ピストンの各リング溝の側壁との間隙を一率に狭くでき
、この防燃焼室からクランク室へガス漏れを起こすこと
を最小限に制限してエンジン出力を高めることかで゛き
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示すピストンの要部縦断正
面図、第２図は第１図Ａ部拡大図である。 １・・・・・・ピストン、１ａ・・・・・・１のヘッド
部、２・・・・・・ヘッドピース、３・・・・・・ピス
トン本体、Ｒ，、Ｒ２゜Ｒ３・・・・・・１の第１、第
２、第３、ランド、Ｇ１． Ｇ２゜Ｇ３・・・・・・１
の第１、第２、第３、リング溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セラミックで形成したヘッドピース２をピストン本体３
   に固着してピストン１を形成し、ヘッドピース２とピス
   トン本体３の境界面を、ピストン１の第１リング溝Ｇ１
   の側面壁下端と第１ランドＲ１周面下端との間に設定し
   て、第１ランドＲ１全体をセラミックで構成した事を特
   徴とするエンジンのピストン。