JPH1199941A - 鉄道車両用台車の高さ調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 台車枠と車体床面との間に十分な距離がない
場合や、車軸と車体間に軸バネを配置するため、上部か
らのアクセスができない場合、あるいは、軸ばねの真下
に車軸があっても、軸ばねの高さ調整をすることができ
る。 【解決手段】 軸箱１１上面にシリンダ孔１２を形成
し、シリンダ孔１２に、ばね座１４下面に当接するピス
トン１５を液密かつ上下方向に移動可能に嵌挿し、ピス
トン１５とシリンダ孔１２底部との間に画成される流体
圧室１６に作動流体を供給する管路１７と供給口１８を
軸箱１１に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両用台車の
高さ調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄道車両では、一般的に、輪重アンバラ
ンスの解消と軸ばね撓み代の規準範囲確保の目的から、
台車に車体が載った状態で軸ばねの高さ調整をすれば効
率が良い。このため、例えば図３に示されるように、軸
箱１と、該軸箱１上に設置される軸ばね２のばね座３と
の間隔を調整するために、軸ばね２上部の台車枠４にあ
る孔から長尺ボルト５を挿入してばね座３に螺合させ、
長尺ボルト５を回転することにより軸ばね２を縮めて軸
箱１とばね座３との間隔を広げ、この間隔に高さ調整板
６を介在させる装置がある。

【０００３】また、特開昭５７−２０１７５７号公報に
示されるように、軸箱等に垂直方向の貫通孔を形成し、
該貫通孔に挿通した押上棒を押上装置で上昇させて、ば
ね座と軸箱との間隔を広げ、高さの異なる段部を複数形
成した高さ調整板を回転することにより、軸ばねの高さ
を調整する装置もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、長尺ボルト
を使用する装置では、台車枠と車体床面との間に十分な
距離がない場合には、長尺ボルトが挿入できず、一端台
車を車体から切り離して高さを調整する必要がある。ま
た、押上棒を使用する装置では、軸ばねの真下に車軸が
ないことが条件で、しかも特殊な押上装置を必要とす
る。

【０００５】そこで本発明は、台車枠と車体床面との間
に十分な距離がない場合や、車軸と車体間に軸バネを配
置するため、上部からのアクセスができない場合、ある
いは、軸ばねの真下に車軸があっても、軸ばねの高さ調
整をすることができる鉄道車両用台車の高さ調整装置を
提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明は、軸箱と、該軸箱上に設置される軸ばね
のばね座との間隔を調整可能とし、該間隔に高さ調整板
を介在させる鉄道車両用台車の高さ調整装置において、
前記軸箱上面にシリンダ孔を形成し、該シリンダ孔に、
前記ばね座下面に当接するピストンを液密かつ上下方向
に移動可能に嵌挿し、該ピストンと前記シリンダ孔底部
との間に画成される流体圧室に作動流体を供給する管路
と供給口を前記軸箱に形成したことを特徴としている。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図１及び図２に示
す実施形態例に基づいて、詳細に説明する。高さ調整装
置１０は、軸箱１１上面に形成されるシリンダ孔１２
と、軸ばね１３のばね座１４下面に上面を当接するピス
トン１５と、軸箱１１に形成されて、ピストン１５とシ
リンダ孔１２底部との間に画成される流体圧室１６に作
動流体を供給する管路１７と供給口１８とで構成されて
いる。

【０００８】シリンダ孔１２は、本実施形態例では２個
形成されているが、個数は１個以上であれば良い。ま
た、ピストン１５は、Ｏリング等のピストンシール１９
により液密かつ上下方向に移動可能にシリンダ孔１２に
嵌挿されている。

【０００９】このように構成された高さ調整装置１０
は、供給口１８に油圧ジャッキ２０を接続し、ポンピン
グにより流体圧室１６に圧油を供給してピストン１５を
上昇させて、ばね座１４と軸箱１１との間隔を広げ、こ
の間隔に高さ調整板２１を挿入して、軸ばね１３の高さ
調整をする。

【００１０】したがって、台車枠と車体２２床面との間
に十分な距離がない場合や、車軸２３と車体２２間に軸
バネ１３を配置するため、上部からのアクセスができな
い場合、あるいは、軸ばね１３の真下に車軸２３があっ
ても、軸ばね１３の高さ調整をすることができ、しか
も、完成車両の状態で車体と台車を切り離すことなく軸
ばね１３の高さ調整が可能で、作業も１名で容易にかつ
安全に行えるから、効率が大幅に改善する。

【００１１】また、高さ調整作業は、輪重測定時にも実
施可能であり、輪重値を読みながら車両から離れた場所
で油圧ジャッキ２０を操作し、輪重バランスが最適とな
ったときのばね座１４と軸箱１１との間隔を読み取れ
ば、必要な厚さの高さ調整板２１を知ることができる。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄道車両
用台車の高さ調整装置は、軸箱上面にシリンダ孔を形成
し、シリンダ孔に、ばね座下面に当接するピストンを液
密かつ上下方向に移動可能に嵌挿し、ピストンとシリン
ダ孔底部との間に画成される流体圧室に作動流体を供給
する管路と供給口を軸箱に形成したので、供給口に作動
流体供給装置を接続し、流体圧室に圧油を供給してピス
トンを上昇させて、ばね座と軸箱との間隔を広げ、この
間隔に高さ調整板を挿入して、軸ばねの高さ調整をする
ことができる。

【００１３】したがって、台車枠と車体床面との間に十
分な距離がない場合や、車軸と車体間に軸バネを配置す
るため、上部からのアクセスができない場合、あるい
は、軸ばねの真下に車軸があっても、軸ばねの高さ調整
をすることができ、しかも、完成車両の状態で車体と台
車を切り離すことなく軸ばねの高さ調整が可能で、作業
も１名で容易にかつ安全に行えるから、効率が大幅に改
善する。また、高さ調整作業は、輪重測定時にも実施可
能であり、輪重値を読みながら車両から離れた場所で作
動流体供給装置を操作し、輪重バランスが最適となった
ときのばね座と軸箱との間隔を読み取れば、必要な厚さ
の高さ調整板を知ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の高さ調整装置の一実施形態例を示す
一部断面図である。

【図２】 同じく高さ調整板の挿入状態を示す平面図で
ある。

【図３】 従来の高さ調整装置を示す一部断面図であ
る。

【符号の説明】

１０…高さ調整装置、１１…軸箱、１２…シリンダ孔、
１３…軸ばね、１４…ばね座、１５…ピストン、１６…
流体圧室、１７…管路、１８…供給口、２１…高さ調整
板、２２…車体、２３…車軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸箱と、該軸箱上に設置される軸ばねの
   ばね座との間隔を調整可能とし、該間隔に高さ調整板を
   介在させる鉄道車両用台車の高さ調整装置において、前
   記軸箱上面にシリンダ孔を形成し、該シリンダ孔に、前
   記ばね座下面に当接するピストンを液密かつ上下方向に
   移動可能に嵌挿し、該ピストンと前記シリンダ孔底部と
   の間に画成される流体圧室に作動流体を供給する管路と
   供給口を前記軸箱に形成したことを特徴とする鉄道車両
   用台車の高さ調整装置。