JPH119564A - 心機能診断装置 - Google Patents

心機能診断装置

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JPH119564A
JPH119564A JP9172630A JP17263097A JPH119564A JP H119564 A JPH119564 A JP H119564A JP 9172630 A JP9172630 A JP 9172630A JP 17263097 A JP17263097 A JP 17263097A JP H119564 A JPH119564 A JP H119564A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心機能を簡易な構成で正確に判定する心機能
診断装置を提供する。 【解決手段】 脈波検出用センサユニット130によっ
て脈波波形MHが検出され、加速度センサ130’およ
び波形処理部10によって体動成分MHt検出される
と、体動除去部11は、脈波波形MHから体動成分MH
tを減算して、体動除去脈波波形MH’を生成する。こ
の後、拍数検出部12と駆出時間検出部13が体動除去
脈波波形MH’に基づいて拍数HRと駆出時間EDを検
出すると、診断テーブル14は、拍数HRと駆出時間E
Dに基づいて評価指標Xを生成する。表示部15は評価
指標Xを表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシンドロームXの検
出に好適な心機能診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、健康への関心が高まり、適度な運
動が健康を維持するために必要とされることから、年齢
を問わずジョギングをする人が増えている。しかし、走
行中に胸が苦しくなって、倒れてしまうといったことが
ある。この症状は、シンドロームXと呼ばれ、その原因
ついて各種の研究がなされている。最近、シンドローム
Xの原因は、運動中に心筋の内側で虚血状態に陥り酸素
供給が不足することにあることが解明されつつある。
【0003】筋肉は血液中のヘモグロビンを介して酸素
の供給を受け、これを用いて収縮エネルギーを発生させ
る。心臓は、ある厚みを持った心筋によって収縮拡張を
繰り返す。心筋はその外側から内側へ発達した冠状動脈
から血液の供給を受けて、内側から外側へ絞り込むよう
に心臓を収縮させる。この場合、筋収縮は一様に起こる
のではなく、外側から内側に収縮が進行するにつれ、ゆ
っくりとなる。心臓が収縮した状態においては、心筋か
ら血液が流れ出て虚血状態になり易く、しかもこの状態
が比較的長く続く。このため、心臓が収縮した状態で心
筋への酸素供給が不足しがちになる。特に、運動中は、
酸素の腕や足の筋肉で酸素が大量に消費されるため、血
液中の酸素量が低下する。したがって、運動中に心臓が
収縮した状態で心筋への酸素供給が不足して、その後、
心筋の動きが停止してしまうことがある。シンドローム
Xはこのような原因で発生すると考えられる。
【0004】一方、心臓の動きを診断する装置として、
心電計が知られている。心電計は、サイナスから検出さ
れる電気信号を増幅し、視覚的に捉えられるようにディ
スプレイやプロッタに心電図として表示する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シンドロー
ムXは、上述したように心筋の内側で起こる虚血状態に
起因して起こるが、この際、サイナスから心筋へ伝達さ
れる電気的な刺激は、正常に伝搬している。一方、心電
計はサイナスから検出される電気信号を表示するに過ぎ
ない。したがって、心電図からは心筋の内側で起こる異
常を検知できないので、心電計を用いてシンドロームX
を検知することはできなかった。
【0006】また、シンドロームXは駆出時間が平常よ
りも短くなって、運動中の酸素供給量の不足により発病
するのもであるが、これとは逆に、駆出時間が平常より
も長くなって、心臓発作や突然死にいたるQT延長症候
群が知られている。ここで、QTとは、心電図上で、心
房収縮期と心室収縮期の境界で見られるQRSの開始か
ら、心室収縮期の終わり(T波の終わり)までの期間を
意味する。QT延長症候群は、QT間隔が通常よりも長
い場合に発生し易いことが知られている。したがって、
QT間隔を心電計で計測することによってQT症候群の
可能性を検知することができる。しかし、心電計による
計測では、心臓上部の皮膚に電極を張り付ける必要があ
り、被験者に負担となり、さらに心電計は大型の測定機
器であるため持ち運びが不便であるといった問題があっ
た。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであ
り、シンドロームXやQT症候群といった心機能の状態
を診断する心機能診断装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明にあっては、生体の検出部位から脈
波波形を検出する脈波検出手段と、前記脈波波形に基づ
いて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記脈波波形に
基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段
と、前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態
を評価する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】また、請求項2に記載の発明にあっては、
生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段
と、前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出
手段と、前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動
成分を生成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去し
て体動除去脈波波形を生成する体動除去手段と、前記体
動除去脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手
段と、前記体動除去脈波波形に基づいて、心臓の駆出時
間を検出する駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出
時間に基づいて、心機能の状態を評価する評価手段とを
備えたことを特徴とする。
【0009】また、請求項3に記載の発明にあっては、
前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形のピークを
検出し、検出された当該ピークの周期性に基づいて前記
拍数を求めることを特徴とする。
【0010】また、請求項4に記載の発明にあっては、
前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波波形に周波数解
析を施し、当該解析結果に基づいて前記拍数を求めるこ
とを特徴とする。
【0011】また、請求項5に記載の発明にあっては、
前記駆出時間検出手段は、前記体動除去脈波波形の各ピ
ークを検出し、最大ピークの次に現れるピークと最小ピ
ーク間の時間を検出することによって前記駆出時間を検
出することを特徴とする。
【0012】また、請求項6に記載の発明にあっては、
生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段
と、前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出
手段と、前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動
成分を生成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去し
て体動除去脈波波形を生成する体動除去手段と、前記体
動除去脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波
数領域毎に体動を除去した体動除去脈波解析データを生
成する体動除去手段と、前記体動除去脈波解析データに
基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記体動除
去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時間を検出す
る駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づ
いて、心機能の状態を評価する評価手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0013】また、請求項7に記載の発明にあっては、
生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段
と、前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出
手段と、前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動
成分を生成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去し
て体動除去脈波波形を生成する体動除去手段と、前記体
動除去脈波波形にウエーブレット変換を施して、各周波
数領域毎に体動を除去した体動除去脈波解析データを生
成する体動除去手段と、対応する各周波数に基づいて、
体動除去脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規
化するように補正を施して補正脈波データを生成する周
波数補正手段と、前記補正脈波データに基づいて、拍数
を検出する拍数検出手段と、前記補正脈波データに基づ
いて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、
前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
価する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】また、請求項8に記載の発明にあっては、
生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段
と、前記脈波波形にウエーブレット変換を施して各周波
数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレ
ット変換手段と、前記生体の体動を示す体動波形を検出
する体動検出手段と、前記体動波形にウエーブレット変
換を施して各周波数領域毎に体動解析データを生成する
第2のウエーブレット変換手段と、前記脈波解析データ
から前記体動解析データを減算して、体動を除去した体
動除去脈波解析データを生成する体動除去手段と、前記
体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出する拍
数検出手段と、前記体動除去脈波解析データに基づい
て、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、前
記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価
する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】また、請求項9に記載の発明にあっては、
生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手段
と、前記脈波波形にウエーブレット変換を施して各周波
数領域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレ
ット変換手段と、対応する各周波数に基づいて、脈波解
析データに周波数当たりのパワーを正規化するように補
正を施して補正脈波解析データを生成する第1の周波数
補正手段と、前記生体の体動を示す体動波形を検出する
体動検出手段と、前記体動波形にウエーブレット変換を
施して各周波数領域毎に体動解析データを生成する第2
のウエーブレット変換手段と、対応する各周波数に基づ
いて、体動解析データに周波数当たりのパワーを正規化
するように補正を施して補正体動解析データを生成する
第2の周波数補正手段と、前記補正脈波解析データから
前記補正体動解析データを減算して、体動を除去した体
動除去脈波解析データを生成する体動除去手段と、前記
体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出する拍
数検出手段と、前記体動除去脈波解析データに基づい
て、心臓の駆出時間を検出する駆出時間検出手段と、前
記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評価
する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】また、請求項10に記載の発明にあって
は、前記第1のウエーブレット変換手段と前記第2のウ
エーブレット変換手段は、同期してウエーブレット変換
を行うことを特徴とする。
【0017】また、請求項11に記載の発明にあって
は、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手
段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波
形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈
波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、前
記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応す
る周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを生
成する体動除去手段と、前記体動除去脈波解析データに
基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前記体動除
去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時間を検出す
る駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づ
いて、心機能の状態を評価する評価手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0018】また、請求項12に記載の発明にあって
は、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手
段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波
形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈
波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、前
記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応す
る周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを生
成する体動除去手段と、対応する各周波数に基づいて、
体動除去脈波解析データに周波数当たりのパワーを正規
化するように補正を施して補正脈波解析データを生成す
る周波数補正手段と、前記補正脈波解析データに基づい
て、拍数を検出する拍数検出手段と、前記補正脈波解析
データに基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆出時間
検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機
能の状態を評価する評価手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0019】また、請求項13に記載の発明にあって
は、生体の検出部位から脈波波形を検出する脈波検出手
段と、前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波
形にウエーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈
波解析データを生成するウエーブレット変換手段と、前
記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応す
る周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを生
成する体動除去手段と、前記体動除去解析脈波データに
逆ウエーブレット変換を施して体動除去脈波データを生
成する逆ウエーブレット変換手段と、前記体動除去脈波
データに基づいて、拍数を検出する拍数検出手段と、前
記体動除去脈波データに基づいて、心臓の駆出時間を検
出する駆出時間検出手段と、前記拍数と前記駆出時間に
基づいて、心機能の状態を評価する評価手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0020】また、請求項14に記載の発明にあって
は、前記評価手段は、拍数および駆出時間と評価指標を
対応付けて記憶した記憶手段と、前記拍数検出手段によ
って検出された前記拍数および前記駆出時間検出手段に
よって検出された前記駆出時間に基づいて、前記記憶手
段から対応する評価指標を読み出す読出手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0021】また、請求項15に記載の発明にあって
は、前記評価手段は、前記拍数検出手段によって検出さ
れた前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出
された前記駆出時間に基づいて、心機能の状態の連続性
を判定する連続性判定手段と、前記判定手段の判定結果
に基づいて評価指標を生成する評価指標生成手段とを備
えたことを特徴とする。
【0022】また、請求項16に記載の発明にあって
は、前記判定手段は、前記拍数検出手段によって検出さ
れた前記拍数の変化が、一定範囲内にあることを検知し
た際に、前記駆出時間検出手段によって検出された前記
駆出時間の変化率を検出する駆出時間変化率検出部と、
前記駆出時間の変化率と予め定められた閾値と比較し、
比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判
定部とを備えたことを特徴とする。
【0023】また、請求項17に記載の発明にあって
は、前記判定手段は、前記拍数検出手段によって検出さ
れた前記拍数と前記駆出時間検出手段によって検出され
た前記駆出時間を乗算して、乗算結果の変化率を算出す
る変化率算出部と、前記乗算結果の変化率と予め定めら
れた閾値と比較し、比較結果に基づいて心機能の状態の
連続性を判定する判定部とを備えたことを特徴とする。
【0024】また、請求項18に記載の発明にあって
は、前記評価手段は、拍数および駆出時間と評価指標と
を対応付けて予め記憶した第1の記憶手段と、平常時に
前記拍数検出手段によって検出された平常拍数および前
記駆出時間検出手段によって検出された平常駆出時間に
基づいて、前記第1記憶手段の内容を補正する補正手段
と、前記補正手段によって補正された前記拍数および前
記駆出時間と前記評価指標との関係を記憶する第2の記
憶手段と、運動中に前記拍数検出手段によって検出され
た前記拍数および前記駆出時間検出手段によって検出さ
れた前記駆出時間に基づいて、前記第2の記憶手段から
対応する評価指標を読み出す読出手段とを備えたことを
特徴とする。
【0025】また、請求項19に記載の発明にあって
は、前記評価手段によって得られた評価結果を告知する
告知手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
A.原理 心臓は、収縮拡張を繰り返すことによって血液を駆出し
ているが、1回の心拍中に心臓から血液が流れ出る時間
は、駆出時間ED(Ejection Duration)と呼ばれる。
この駆出時間EDが長い程、心臓から流出する一回拍出
量SVが大きくなり、心筋や骨格筋に供給される酸素が
多くなる。
【0027】人が運動すると、拍数HRが大きくなり、
単位時間当たりの心臓の収縮回数が増加し、心臓から送
り出される血液流量が増加する。この場合、拍数HRが
大きくなると駆出時間EDは短くなるが、駆出時間ED
が極端に短くなると、カーディアッカアウトプットCO
=HR×SVが減少し、心筋に十分酸素が供給されなく
なる。シンドロームXの原因は、このような場合に心筋
が虚血状態に陥ることにあると考えられる。ここで、1
回拍出量SVは、動脈の血圧値と駆出時間EDの積で算
出される。動脈の血圧波形形状は、厳密いえば個人差が
ありまた個々人の体調等によって変わるが、概略同一の
形状をしている。したがって、1回拍出量SVは、駆出
時間EDに依存する部分が大きい。このため、駆出時間
EDと拍数HRの関係から、シンドロームXの可能性を
判断することができる。
【0028】また、運動中でなくとも精神的なストレス
から拍数HRが増加し、駆出時間EDが短くなるなるこ
とが知られている。この場合にも心筋が虚血状態に陥
り、シンドロームXが発生すると考えられる。一方、Q
T延長症候群において、QT間隔が長くなると駆出時間
EDも長くなる。したがって、駆出時間EDを計測する
ことによって、QT延長症候群の可能性を診断すること
ができる。
【0029】図1は心臓の周期を示したものである。図
において、SWは心電波形であり、MH1は心臓から流
出する直後の大動脈血圧波形、MH2は末梢部(橈骨動
脈)の一般的な脈波波形である。この図において、血液
の流動に伴う時間遅れは無視してある。駆出時間ED
は、厳密な意味においては、大動脈血圧波形MH1にお
ける大動脈弁開放時刻t1と大動脈弁閉鎖時刻t2の時
間間隔となり、安静時において、280ms程度であ
る。大動脈弁の閉鎖は心室の収縮によって起こるので、
この時間間隔は、心室収縮期の時間(Sysolic Time)と
ほぼ一致する。ところで、末梢部の脈波波形MH2にお
けるノッチN1は、大動脈弁閉鎖によって生じるもので
ある。このため、脈波波形MH2における最小ピークP
0から最大ピークP1の直後に生じるピークP2までの
時間間隔は、見積の収縮時間(Estimated Sysolic Tim
e)と呼ばれ、駆出時間EDに相当する。
【0030】ところで、脈波波形には個人差があり、ま
た同一個人においても波形形状が体調等によって変化す
ることが知られている。このため、末梢部の脈波波形M
H2は、MH3に示すようにピークP1とピークP3が
重なり、ノッチN1が生じない場合がある。この場合に
は、厳密な意味において駆出時間EDを計測するのは難
しいが、ディクローティブノッチN2のタイミングが一
般的な脈波波形MH2より早く現れる傾向がある。した
がって、ディクローティブノッチN2におけるピークP
3からピークP0までの時間間隔を駆出時間EDとして
取り扱っても実用上問題はない。
【0031】すなわち、いずれの場合においても、脈波
波形MH2における最小ピークP0から最大ピークP1
の直後に生じるピークP2までの時間間隔を計測するこ
とによって、駆出時間EDを求めることができる。これ
らのことから、駆出時間EDは、厳密な意味での駆出時
間(Ejection Duration)のみならず、心室収縮期の時
間(Sysolic Time)および見積の収縮時間(Estimated
Sysolic Time)を含むものとして、以下の説明を進め
る。
【0032】また、駆出時間EDとQT間隔(時刻t0
から時刻t2までの間隔)は、厳密には一致しない。し
かし、心電波形SWにおいてT波が長くなると、駆出時
間EDが長くなり、一致の程度が高くなる。ここで、Q
T延長症候群は、上述したようにQT間隔が長くなる場
合に発病するものであるから、駆出時間EDを計測する
ことによって、QT延長症候群の発病の可能性を検知す
ることが可能となる。
【0033】B.実施形態の機能構成 まず、本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置の機
能を図面を参照しつつ説明する。図2は本実施形態に係
わる心機能診断装置の機能ブロック図である。図におい
て、f1は脈波検出手段であって、脈波波形を検出す
る。脈波波形は、例えば、橈骨動脈を皮膚の上から押圧
することによって検出される。また、f2は体動検出手
段であって、体動を検出して体動波形を出力する。これ
により、人が動いたことを検知できる。
【0034】次に、f3は体動除去手段であって、体動
波形に基づいて脈波波形中の体動成分を生成し、脈波波
形から前記体動成分を除去して体動除去脈波波形を生成
する。これにより、運動中であっても、体動の影響を受
けない脈波波形を生成することが可能となる。
【0035】次に、f4は拍数検出手段であって、体動
除去脈波波形に基づいて拍数を検出する。また、f5は
駆出時間検出手段であって、体動除去脈波波形に基づい
て、心臓の駆出時間を検出する。また、f6は評価手段
であって、拍数と駆出時間に基づいて、心機能の状態を
評価する。すなわち、心機能の評価は、拍数と駆出時間
から、心筋への酸素供給量の増減を推定することによっ
て行われる。これにより、心機能の状態の一例である心
筋の虚血状態を予測し、シンドロームXの可能性を検知
することができる。また、QT間隔を脈波波形から計測
してQT延長症候群の可能性を検知することができる。
また、f7は告知手段であって、評価結果を使用者ある
いは医師等の第三者に告知する。なお、以下の説明にお
いては、シンドロームXを診断するための心機能診断装
置を中心に説明するが、これをQT延長症候群に適用で
きることは勿論である。
【0036】C.第1実施形態 1.第1実施形態の構成 本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置の構成を図
面を参照しつつ説明する。 1−1:第1実施形態の外観構成 図3は第1実施形態に係わる心機能診断装置の外観構成
を示す斜視図である。図3において、本例の心機能診断
装置1は、腕時計構造を有する装置本体110と、この
装置本体110に接続されるケーブル120と、このケ
ーブル120の先端側に設けられた脈波検出用センサユ
ニット130とから大略構成されている。ケーブル12
0の先端側にはコネクタピース80が構成されており、
このコネクタピース80は、装置本体10の6時の側に
構成されているコネクタ部70に対して着脱自在であ
る。装置本体10には、腕時計における12時方向から
腕に巻きついてその6時方向で固定されるリストバンド
60が設けられ、このリストバンド60によって、装置
本体110は、腕に着脱自在である。脈波検出用センサ
ユニット130は、センサ固定用バンド140によって
遮光されながら人差し指の根本に装着される。このよう
に、脈波検出用センサユニット130を指の根本に装着
すると、ケーブル120が短くて済むので、ケーブル1
20は、ランニング中に邪魔にならない。また、掌から
指先までの体温の分布を計測すると、寒いときには、指
先の温度が著しく低下するのに対し、指の根本の温度は
比較的低下しない。従って、指の根本に脈波検出用セン
サユニット130を装着すれば、寒い日に屋外でランニ
ングしたときでも、脈拍数などを正確に計測できる。
【0037】また、装置本体110は、樹脂製の時計ケ
ース200(本体ケース)を備えており、この時計ケー
ス200の表面側には、現在時刻や日付に加えて、走行
時や歩行時のピッチ、および脈拍数などの脈波情報など
を表示するELバックライト付きの液晶表示装置210
が構成されている。また、液晶表示装置210にはシン
ドロームXあるいはQT症候群の兆候や危険性に代表さ
れる心機能の状態が表示されるようになっている。液晶
表示装置210には、セグメント表示領域の他、ドット
表示領域が構成されており、ドット表示領域では、各種
の情報をグラフィック表示可能である。
【0038】また、時計ケース200の内部には、加速
度センサが130’が組み込まれており、これによっ
て、ランニング中の腕の振りや、体の上下動によって生
じる体動が検出される。また、その内部には、脈波検出
用センサユニット130が計測した脈波波形MHに基づ
いて脈象や脈拍数の変化などを求めるとともに、それを
液晶表示装置210に表示するために、各種の制御やデ
ータ処理を行うマイクロコンピュータなどからなる制御
部が構成されている。制御部には計時回路も構成されて
おり、通常時刻、ラップタイム、スプリットタイムなど
も液晶表示装置210に表示できるようになっている。
また、時計ケース200の外周部には、時刻合わせや表
示モードの切換などの外部操作を行うためのボタンスイ
ッチ111〜115が構成されている。
【0039】次に、脈波検出用センサユニット130
は、図4に示すようにLED32、フォトトランジスタ
33などから構成される。スイッチSWがon状態とな
り、電源電圧が印加されると、LED32から光が照射
され、血管や組織によって反射された後に、フォトトラ
ンジスタ33によって受光され、脈波信号Mが検出され
る。ここで、LEDの発光波長は、血液中のヘモグロビ
ンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。このため、受光レ
ベルは血流量に応じて変化する。したがって、受光レベ
ルを検出することによって、脈波波形を検出できる。ま
た、LED32としては、InGaN系(インジウム−
ガリウム−窒素系)の青色LEDが好適である。青色L
EDの発光スペクトルは、例えば450nmに発光ピー
クを有し、その発光波長域は、350nmから600n
mまでの範囲にある。この場合には、かかる発光特性を
有するLEDに対応させてフォトトランジスタ33とし
て、GaAsP系(ガリウム−砒素−リン系)のフォト
トランジスタを用いればよい。このフォトトランジスタ
33の受光波長領域は、例えば、主要感度領域が300
nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以
下にも感度領域がある。このような青色LEDとフォト
トランジスタ33とを組み合わせると、その重なり領域
である300nmから600nmまでの波長領域におい
て、脈波が検出される。この場合には、以下の利点があ
る。
【0040】まず、外光に含まれる光のうち、波長領域
が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向
があるため、外光がセンサ固定用バンドで覆われていな
い指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトト
ランジスタ33まで到達せず、検出に影響を与えない波
長領域の光のみがフォトトランジスタ33に達する。一
方、300nmより低波長領域の光は、皮膚表面でほと
んど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下と
しても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700
nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくと
も、外光の影響を抑圧することができる。また、血液中
のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmま
での光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの
光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大き
い。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光
特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300n
mから700nm)の光を検出光として用いると、その
検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血
量変化に基づく脈波波形MHのS/N比を高めることが
できる。
【0041】1−2:第1実施形態の電気的構成 次に、心機能診断装置の電気的構成を図5を参照して説
明する。図5は心機能診断装置の電気的構成を示すブロ
ック図である。心機能診断装置1は、以下の部分から構
成される。脈波検出用センサユニット130は脈波波形
MHを検出し、体動除去部11に出力する。加速度セン
サ130’は、体動を加速度として検出して体動波形T
Hを生成する。波形処理部10は、体動除去部11にお
いて体動成分を正確に除去するため、体動波形THに対
して波形処理を施す。
【0042】ここで、脈波波形MH中の体動成分をMH
t、真の脈波成分(体動除去脈波波形)をMH’で表す
こととすれば、MH=MHt+MH’となる。体動波形
THは、腕の振りの加速度そのものとして検出される
が、血流は血管や組織の影響を受けるので、体動成分M
Htは体動波形THを鈍らせたものになる。このため、
波形処理部10は、ローパスフィルタで構成されてい
る。なお、ローパスフィルタの形式や定数は、実際に測
定したデータから定められる。
【0043】体動除去部11は、脈波波形MHから波形
処理部10の出力波形MHtを減算して、体動除去脈波
波形MH’を生成する。体動除去脈波波形MH’は、図
示せぬA/D変換器を介してデジタル信号に変換され、
拍数検出部12と駆出時間検出部13に供給される。
【0044】拍数検出部12と駆出時間検出部13は、
体動除去脈波波形MH’に基づいて、拍数HRと駆出時
間EDを検出する。本実施形態にあっては、体動除去脈
波波形MH’の振幅レベルを解析することによって、拍
数HRと駆出時間EDを求めている。拍数検出部12と
駆出時間検出部13は、体動除去脈波波形MH’の形状
を特定する波形パラメータを抽出する。ここで、1拍分
の体動除去脈波波形MH’が図6に示すごとき形状をし
ているとすれば、波形パラメータを以下のように定義す
る。なお、図21において縦軸は血圧であり、横軸は時
間である。 1拍に対応した脈波が立ち上がってから(以下、この
立ち上がり時刻を脈波開始時刻という)次の拍に対応し
た脈波が立ち上がりを開始するまでの時間t6 脈波内に順次現れる極大点P1,極小点P2,極大点
P3,極小点P4および極大点P5の血圧値y1〜y5 脈波開始時刻以後、上記各点P1〜P5が現れるまで
の経過時間t1〜t5
【0045】拍数検出部12と駆出時間検出部13は、
波形パラメータを算出するために、上記極大点或いは極
小点について、これら各点に関連した「ピーク情報」と
呼ばれる情報を抽出する。なお、ピーク情報の詳細につ
いてはその内容が脈象判定部の構成,動作に関連するた
め、回路の構成を説明した時点でピーク情報の詳細に言
及する。
【0046】図7は拍数検出部12と駆出時間検出部1
3の構成を示すブロック図である。図において181は
マイクロコンピュータであって、各構成部分を制御す
る。184はRAMによって構成される波形メモリであ
り、体動除去脈波波形MH’の波形値Wを順次記憶す
る。191は波形値アドレスカウンタであり、マイクロ
コンピュータ181から波形採取指示STARTが出力
されている期間、サンプリングクロックφをカウント
し、そのカウント結果を波形値Wを書き込むべき波形値
アドレスADR1として出力する。この波形値アドレス
ADR1はマイクロコンピュータ181により監視され
る。
【0047】192はセレクタであり、マイクロコンピ
ュータ181からセレクト信号S1が出力されていない
場合、波形値アドレスカウンタ191が出力する波形値
アドレスADR1を選択して波形メモリ184のアドレ
ス入力端へ供給する。一方、マイクロコンピュータ18
1からセレクト信号S1が出力されている場合、マイク
ロコンピュータ181が出力する読み出しアドレスAD
R4を選択して波形メモリ184のアドレス入力端へ供
給する。また、体動除去脈波波形MH’は、A/D変換
器182とローパスフィルタ183を介して波形メモリ
183に取り込まれる。
【0048】201は微分回路であり、ローパスフィル
タ183から順次出力される波形値Wの時間微分を演算
して出力する。202は零クロス検出回路であり、波形
値Wが極大値または極小値となることにより波形値Wの
時間微分が0となった場合に零クロス検出パルスZを出
力する。さらに詳述すると、零クロス検出回路202
は、図6に例示する脈波の波形においてピーク点P1,
P2,…,を検出するために設けられた回路であり、こ
れらのピーク点に対応した波形値Wが入力された場合に
零クロス検出パルスZを出力する。
【0049】203はピークアドレスカウンタであり、
マイクロコンピュータ181から波形採取指示STAR
Tが出力されている期間、零クロス検出パルスZをカウ
ントし、そのカウント結果をピークアドレスADR2と
して出力する。204は移動平均算出回路であり、現時
点までに微分回路201から出力された過去所定個数分
の波形値Wの時間微分値の平均値を算出し、その結果を
現時点に至るまでの脈波の傾斜を表す傾斜情報SLPと
して出力する。
【0050】205は次に述べるピーク情報を記憶する
ために設けられたピーク情報メモリである。ここで、以
下にピーク情報の詳細について説明する。すなわち、図
9に示すピーク情報の内容の詳細は以下に列挙する通り
である。 波形値アドレスADR1 ローパスフィルタ183から出力される波形値Wが極大
値または極小値となった時点で波形値アドレスカウンタ
191から出力されている書き込みアドレスである。換
言すれば、極大値または極小値に相当する波形値Wの波
形メモリ184における書き込みアドレスである。 ピーク種別B/T 上記波形値アドレスADR1に書き込まれた波形値Wが
極大値T(Top)であるか極小値B(Bottom)
であるかを示す情報である。 波形値W 上記極大値または極小値に相当する波形値である。 ストローク情報STRK 直前のピーク値から当該ピーク値に至るまでの波形値の
変化分である。 傾斜情報SLP 当該ピーク値に至るまでの過去所定個数分の波形値の時
間微分の平均値である。
【0051】次に、マイクロコンピュータ181の制御
下における拍数検出部12と駆出時間検出部13の動作
を説明する。
【0052】(a)波形およびそのピーク情報の採取 マイクロコンピュータ181により波形採取指示STA
RTが出力されると、波形値アドレスカウンタ191お
よびピークアドレスカウンタ203のリセットが解除さ
れる。この結果、波形値アドレスカウンタ191により
サンプリングクロックφのカウントが開始され、そのカ
ウント値が波形値アドレスADR1としてセレクタ19
2を介して波形メモリ184に供給される。そして、人
体から検出された脈波信号がA/D変換器182に入力
され、サンプリングクロックφに従ってデジタル信号に
順次変換され、ローパスフィルタ183を介し波形値W
として順次出力される。このようにして出力された波形
値Wは、波形メモリ184に順次供給され、その時点に
おいて波形値アドレスADR1によって指定される記憶
領域に書込まれる。以上の動作により、図8に例示する
脈波波形に対応した一連の波形値Wが波形メモリ184
に蓄積される。
【0053】一方、上記動作と並行して、ピーク情報の
検出およびピーク情報メモリ205への書込みが、以下
に説明するようにして行われる。まず、体動除去脈波波
形MH’の波形値Wの時間微分が微分回路201によっ
て演算され、この時間微分が零クロス検出回路202お
よび移動平均算出回路204に入力される。移動平均算
出回路204は、このようにして波形値Wの時間微分値
が供給される毎に過去所定個数の時間微分値の平均値
(すなわち、移動平均値)を演算し、演算結果を傾斜情
報SLPとして出力する。ここで、波形値Wが上昇中も
しくは上昇を終えて極大状態となっている場合は傾斜情
報SLPとして正の値が出力され、下降中もしくは下降
を終えて極小状態となっている場合は傾斜情報SLPと
して負の値が出力される。
【0054】そして、例えば図8に示す極大点P1に対
応した波形値Wがローパスフィルタ183から出力され
ると、時間微分として0が微分回路201から出力さ
れ、零クロス検出回路202から零クロス検出パルスZ
が出力される。この結果、マイクロコンピュータ181
により、その時点における波形値アドレスカウンタ19
1のカウント値である波形アドレスADR1,波形値
W,ピークアドレスカウンタのカウント値であるピーク
アドレスADR2(この場合、ADR2=0)および傾
斜情報SLPが取り込まれる。また、零クロス検出パル
スZが出力されることによってピークアドレスカウンタ
203のカウント値ADR2が1になる。
【0055】一方、マイクロコンピュータ181は、取
り込んだ傾斜情報SLPの符号に基づいてピーク種別B
/Tを作成する。この場合のように極大値P1の波形値
Wが出力されている時にはその時点において正の傾斜情
報が出力されているので、マイクロコンピュータ181
はピーク情報B/Tの値を極大値に対応したものとす
る。そしてマイクロコンピュータ181は、ピークアド
レスカウンタ203から取り込んだピークアドレスAD
R2(この場合、ADR2=0)をそのまま書込アドレ
スADR3として指定し、波形値W,この波形値Wに対
応した波形アドレスADR1,ピーク種別B/T,傾斜
情報SLPを第1回目のピーク情報としてピーク情報メ
モリ205に書き込む。なお、第1回目のピーク情報の
書き込みの場合は、直前のピーク情報がないためストロ
ーク情報STRKの作成および書き込みは行わない。
【0056】その後、図8に示す極小点P2に対応した
波形値Wがローパスフィルタ183から出力されると、
上述と同様に零クロス検出パルスZが出力され、書込ア
ドレスADR1,波形値W,ピークアドレスADR2
(=1),傾斜情報SLP(<0)がマイクロコンピュ
ータ181により取り込まれる。そして、上記と同様、
マイクロコンピュータ181により、傾斜情報SLPに
基づいてピーク種別B/T(この場合、”B”)が決定
される。また、マイクロコンピュータ181によりピー
クアドレスADR2よりも1だけ小さいアドレスが読み
出しアドレスADR3としてピーク情報メモリ205に
供給され、第1回目に書き込まれた波形値Wが読み出さ
れる。そして、マイクロコンピュータ181により、ロ
ーパスフィルタ183から今回取り込んだ波形値Wとピ
ーク情報メモリ205から読み出した第1回目の波形値
Wとの差分が演算され、ストローク情報STRKが求め
られる。このようにして求められたピーク種別B/T,
ストローク情報STRKが他の情報,すなわち波形値ア
ドレスADR1,波形値W,傾斜情報SLP,と共に第
2回目のピーク情報としてピーク情報メモリ205のピ
ークアドレスADR3=1に対応した記憶領域に書き込
まれる。以後、ピーク点P3,P4,…,が検出された
場合も同様の動作が行われる。そして所定のタイミング
で、マイクロコンピュータ181により波形採取指示S
TARTの出力が停止され、波形値Wおよびピーク情報
の採取が終了する。
【0057】(b)脈波波形の分割処理 ピーク情報メモリ205に記憶された各種情報のうち、
波形パラメータの採取を行う1拍分の波形に対応した情
報を特定するための処理がマイクロコンピュータ181
により行われる。まず、ピーク情報メモリ205から各
ピーク点P1,P2,…,に対応した傾斜情報SLPお
よびストローク情報STRKが順次読み出される。次い
で、各ストローク情報STRKの中から正の傾斜に対応
したストローク情報(すなわち、対応する傾斜情報SL
Pが正の値となっているもの)が選択され、これらのス
トローク情報の中からさらに値の大きなもの上位所定個
数が選択される。そして、選択されたストローク情報S
TRKの中から中央値に相当するものが選択され、波形
パラメータの抽出を行うべき1拍分の脈波の立ち上がり
部(例えば図27において符号STRKMによって示し
た立ち上がり部)のストローク情報が求められる。そし
て、当該ストローク情報のピークアドレスよりも1だけ
前のピークアドレス(すなわち、波形パラメータの抽出
を行うべき1拍分の脈波の開始点P6のピークアドレ
ス)が求められる。このようにして一拍分の波形が特定
されると、図6に示す時間t6が算出される。
【0058】(c)波形パラメータの抽出 マイクロコンピュータ181は、ピーク情報メモリ20
5に記憶された上記1拍分の脈波に対応した各ピーク情
報を参照して各波形パラメータを算出する。この処理は
例えば次のようにして求められる。 血圧値y1〜y5 ピーク点P6〜P11に対応する波形値をそれぞれy0
〜y5とする。 時間t1 ピーク点P7に対応する波形アドレスからピーク点P6
に対応する波形アドレスを差し引き、その結果に対して
サンプリングクロックφの周期を乗じてt1 を算出す
る。 時間t2〜t6 上記t1と同様、対応する各ピーク点間の波形アドレス
差に基づいて演算する。そして、以上のようにして得ら
れた各波形パラメータはマイクロコンピュータ181内
部のバッファメモリに蓄積される。
【0059】(d)波形パラメータに基づく拍数の算出 時間t6は一拍分の時間である。マイクロコンピュータ
181は、時間t6に基づいて60/t6を算出し、拍数
HRを求める。
【0060】(e)波形パラメータに基づく駆出時間の
算出 マイクロコンピュータ181は、その内部のバッファメ
モリにアクセスし、波形パラメータに基づいて1心拍中
の最小ピークPminと最大ピークPmaxを特定する。例え
ば、図6に示す波形にあっては、P0が最小ピークPmi
nにP1が最大ピークPmaxとして特定される。次に、最
大ピークPmaxの直後に表れる負のピーク(ノッチ)を
特定する。例えば、図6に示す波形にあっては、P2が
負のピークとして特定される。そして、そして、最小ピ
ークPminと負のピークの時間間隔を駆出時間EDとし
て算出する。例えば、図6に示す波形にあっては、時間
t2が駆出時間EDとして出力される。このようにし
て、拍数HRと駆出時間EDが算出される。
【0061】次に、図5に示す診断テーブル14はメモ
リによって構成されており、そこには、拍数HRおよび
駆出時間EDに対応付けられた評価指標Xが予め記憶さ
れている。評価指標Xは、例えば、3段階に分かれてお
り、X1は「正常」を意味し、X2は「シンドロームX
の兆候が認められる」ことを意味し、X3は「シンドロ
ームXが発生する可能性が極めて高く危険な状態にあ
る」ことを意味する。また、QT延長症候群を診断する
場合にあっては、さらにX4,X5を加え、X4は「Q
T延長症候群の兆候が認められる」ことを指示し、X5
は「QT延長症候群が発生する可能性が極めて高く危険
な状態にある」ことを指示するものとすればよい。
【0062】図10は診断テーブル14に記憶されてい
る評価指標Xと駆出時間EDおよび拍数HRの関係を示
したものである。図において、曲線Kは、正常な人の拍
数HRと駆出時間EDの関係を示したものであり、拍数
HRが増加するにつれ、駆出時間EDが短くなってい
る。シンドロームXは、上述したように心筋への酸素供
給量が減少し、心筋が虚血状態に陥ることによって生じ
る。このため、曲線Kと原点で囲まれた部分は、シンド
ロームXが発生する可能性がある。しかし、平常値から
多少ずれたとしても、シンドロームXが発生するとは限
らない。そこで、曲線Lと曲線Mで囲まれた部分x2で
は評価指標X2を、曲線Mと原点で囲まれた部分では評
価指標X3を生成できるように、診断テーブル14は構
成されている。また、これら以外の部分(曲線Lより上
方)にあっては、評価指標X1が生成される。すなわ
ち、曲線Lは、「正常である」か「シンドロームXの兆
候が認められる」かを判別できるように定められた境界
であり、曲線Mは「シンドロームXの兆候が認められ
る」か「シンドロームXが発生する可能性が極めて高く
危険な状態にある」かを判別できるように定められた境
界である。これらの境界については、多数の実測したデ
ータから求められる。なお、QT延長症候群を診断する
場合にあっては、曲線Kよりも駆出時間EDが長くなる
方向に曲線Oと曲線Pを加えればよい。この場合、曲線
Oは「正常である」か「QT延長症候群の兆候が認めら
れる」かを判別できるように定められる境界であり、曲
線Mは「QT延長症候群の兆候が認められる」か「QT
延長症候群が発生する可能性が極めて高く危険な状態に
ある」かを判別できるように定められる境界である。
【0063】次に、図5に示す表示部15は、上述した
液晶表示装置210等で構成され、評価指標Xに対応す
る文字、記号、アイコン等を表示する。例えば、評価指
標X1では「正常」と表示し、評価指標X2(X4)で
は「注意」と表示し、評価指標X3(X5)では「危
険」と表示する。これにより、利用者は、ランニング等
の運動中にシンドロームXやQT延長症候群が発生する
可能性を知ることができる。
【0064】D.第2実施形態 次に第2実施形態に係わる心機能診断装置を説明する。 1.第2実施形態の構成 図11は、第2実施形態に係わる心機能診断装置1のブ
ロック図である。第2実施形態は、第1実施形態と同様
に加速度センサ130’と波形処理部10を用いて体動
成分MHtを検出するが、第1実施形態で説明した体動
除去、拍数および駆出時間の検出をウエーブレット変換
を用いて行う点で相違する。なお、第2実施形態の外観
構成は、図2に示す第1実施形態の外観構成と同一であ
る。
【0065】1−1.第1,第2のウエーブレット変換
部および第1,第2の周波数補正部 図11において、16は第1のウエーブレット変換部で
あって、脈波検出用センサユニット130から出力され
る脈波波形MHに対して周知のウエーブレット変換を施
して、脈波解析データMKDを生成する。また、18は
第2のウエーブレット変換部であって、加速度センサ1
30’から出力される体動波形MHtに対して周知のウ
エーブレット変換を施して、体動解析データTKDを生
成する。
【0066】一般に、信号を時間と周波数の両面から同
時に捉える時間周波数解析において、ウエーブレットは
信号の部分を切り出す単位となる。ウエーブレット変換
は、この単位で切り出した信号各部の大きさを表してい
る。ウエーブレット変換を定義するために基底関数とし
て、時間的にも周波数的にも局在化した関数ψ(x)を
マザー・ウエーブレットとして導入する。ここで、関数
f(x)のマザー・ウエーブレットψ(x)によるウエ
ーブレット変換は次のように定義される。
【数1】
【0067】数1においてbは、マザー・ウエーブレッ
トψ(x)をトランスレート(平行移動)する際に用い
るパラメータであり、一方、aはスケール(伸縮)する
際のパラメータである。したがって、数1においてウエ
ーブレットψ((x−b)/a)は、マザー・ウエーブ
レットψ(x)をbだけ平行移動し、aだけ伸縮したも
のである。この場合、スケールパラメータaに対応して
マザー・ウエーブレットψ(x)の幅は伸長されるの
で、1/aは周波数に対応するものとなる。なお、詳細
な構成については後述する。
【0068】次に、17は第1の周波数補正部であって
脈波解析データMKDに対して周波数補正を行う。上記
した数1には周波数に対応する「1/a1/2」の項があ
るが、異なる周波数領域間でデータを比較する場合に
は、この項の影響を補正する必要がある。第1の周波数
補正部17はこのために設けられたものであり、ウエー
ブレットデータWDに係数a1/2を乗算して、脈波補正
データMKD’を生成する。これにより、対応する各周
波数に基づいて、周波数当たりのパワー密度が一定にな
るように補正を施すことができる。また、19は第2の
周波数補正部であって、第1の周波数補正部17と同様
に、周波数補正を施し、体動解析データTKDから体動
補正データTKD’を生成する。
【0069】ここで、第1のウエーブレット変換部16
の構成を図12を用いて詳細に説明する。なお、第2の
ウエーブレット変換部18は第1のウエーブレット変換
部16と同様に構成されているので、説明を省略する。
脈波波形MHはA/D変換器によって、脈波データMD
に変換されて、第1のウエーブレット変換部16に供給
されるようになっている。この第1のウエーブレット変
換部16は、上記した数1の演算処理を行う構成であっ
て、クロックCKが供給され、クロック周期で演算処理
が行われるようになっており、マザー・ウエーブレット
ψ(x)を記憶する基底関数記憶部W1、スケールパラ
メータaを変換するスケール変換部W2、バッファメモ
リW3、トランスレートを行う平行移動部W4および乗
算部W5から構成される。なお、基底関数記憶部W1に
記憶するマザー・ウエーブレットψ(x)としては、ガ
ボールウエーブレットの他、メキシカンハット、Haa
rウエーブレット、Meyerウエーブレット、Sha
nnonウエーブレット等が適用できる。
【0070】まず、基底関数記憶部W1からマザー・ウ
エーブレットψ(x)が読み出されると、スケール変換
部W2はスケールパラメータaの変換を行う。ここで、
スケールパラメータaは周期に対応するものであるか
ら、aが大きくなると、マザー・ウエーブレットψ
(x)は時間軸上で伸長される。この場合、基底関数記
憶部W1に記憶されるマザー・ウエーブレットψ(x)
のデータ量は一定であるので、aが大きくなると単位時
間当たりのデータ量が減少してしまう。スケール変換部
W2は、これを補うように補間処理を行うとともに、a
が小さくなると間引き処理を行って、関数ψ(x/a)
を生成する。このデータはバッファメモリW3に一旦格
納される。
【0071】次に、平行移動部W4はバッファメモリW
3からトランスレートパラメータbに応じたタイミング
で関数ψ(x/a)を読み出すことにより、関数ψ(x
/a)の平行移動を行い関数ψ(x−b/a)を生成す
る。
【0072】次に、乗算部W4は、変数1/a1/2、関
数ψ(x−b/a)および脈波データMDを乗算して心
拍単位でウエーブレット変換を行い、脈波解析データM
KDを生成する。この例において、脈波解析データMK
Dは、0Hz〜0.5Hz、0.5Hz〜1.0Hz、
1.0Hz〜1.5Hz、1.5Hz〜2.0Hz、
2.0Hz〜2.5Hz、2.5Hz〜3.0Hz、
3.0Hz〜3.5Hz、3.5Hz〜4.0Hzとい
った周波数領域に分割されて出力される。図13は、脈
波波形MHの一部の期間について、脈波解析データMK
Dを示したものである。この図において、期間Tはピー
クP2の近傍にあり、脈波解析データMKDは、期間T
を8分割した時間間隔で得られる。ところで、ウエーブ
レット変換においては、周波数分解能と時間分解能はト
レードオフの関係にあるので、周波数分解能を犠牲にす
れば、より短い時間間隔で脈波解析データを得ることも
できる。このようにして、生成された脈波解析データM
KDと体動解析データTKDは、第1,第2の周波数補
正部17,19によって周波数補正が施され、脈波補正
データMKD’、体動補正データTKD’として出力さ
れる。
【0073】1−2.体動除去部 次に、体動除去部11は、脈波補正データMKD’から
体動補正データTKD’を減算して体動除去脈波データ
MKD’’を生成する。この点について、具体的に説明
する。なお、以下の説明では、使用者が手でコップを持
ち上げた後、これを元の位置に戻した場合を想定する。
この場合、図14(a)に示す脈波波形MHが脈波検出
用センサユニット130によって検出され、また、同時
に図16(b)に示す体動波形MHtが波形処理部10
によって検出されたものとする。
【0074】ここで、体動波形MHtは、時刻T1から
増加しはじめ、時刻T2で正のピークとなり、その後、
次第に減少して時刻T2でレベル0を通過し、時刻T3
で負のピークに達し、時刻T4でレベル0に戻ってい
る。ところで、体動波形THは加速度センサ21によっ
て検出されるため、時刻T3は使用者がコップを最大に
持ち上げた時刻に対応し、時刻T1は持上開始時刻に対
応し、また、時刻T4は持上終了時刻に対応する。した
がって、時刻T1から時刻T4までの期間が体動が存在
する期間となる。なお、図14(c)は仮に体動がなか
ったとした場合の脈波波形MH’である。また、この例
において、脈波波形MHの基本波周波数は、1.3Hz
となっている。
【0075】ここで、図15に期間Tc(図14参照)
における脈波補正データMKD’を示し、図16に期間
Tcにおける体動補正データTKD’を示す。この図か
ら、体動波形THには、0.0Hz〜1.0Hzの周波
数領域において比較的大きなレベルの周波数成分が存在
していることが判る。脈波補正データMKD’と体動補
正データTKD’が、体動除去部11に供給されると、
体動除去部11は、脈波補正データMKD’から体動補
正データTKD’を減算して、図17に示す体動成分が
除去された体動除去脈波データMKD''を生成する。こ
れにより、体動がある場合でもその影響をキャンセルす
ることが可能となる。
【0076】1−3.拍数検出部 拍数検出部12は、体動除去脈波データMKD''に基づ
いて拍数を算出する。この場合、拍数検出部12は、体
動除去脈波データMKD''に基づいて1拍中の最大ピー
クPmaxを特定する。脈波波形MH’の最大ピークPmax
では、高域周波数成分が大きくなるので、予め高域周波
数成分に対応する閾値を定めておき、体動除去脈波デー
タMKD''と閾値を比較して最大ピークPmaxを特定す
る。そして、ある最大ピークPmaxと次の最大ピークPm
ax間の時間間隔Tを求め、60/Tから拍数HRを算出
する。
【0077】1−4.駆出時間検出部 駆出時間検出部13は、体動除去脈波データMKD''に
基づいて最小ピークPminと最大ピークPmaxの直後に表
れるピークP2(ノッチ)を特定する。この場合には、
最小ピークPminに対応する周波数成分とピークP1に
対応する周波数成分を閾値として予め記憶しておき、こ
れらの閾値と体動除去脈波データMKD''を比較するこ
とによって、最小ピークPminとピークP2を特定し、
それらの間の時間間隔を駆出時間EDとして算出する。
【0078】1−5.診断テーブルおよび表示部 診断テーブル14および表示部15は、第1実施形態と
同様に構成されている。したがって、拍数HRと駆出時
間EDに基づいて評価指標Xが生成され、評価結果が表
示部15に表示される。
【0079】E.第3実施形態 上述した第2実施形態は、ウエーブレット変換によって
周波数解析を行うために、第1のウエーブレット変換部
16、第1の周波数補正部17、第2のウエーブレット
変換部18、第2の周波数補正部19を用いた。これに
対して、第3実施形態は、第2のウエーブレット変換部
18、第2の周波数補正部19を省略する点で、第2実
施形態と相違する。
【0080】第3実施形態に係わる脈波診断装置の外観
構成は、図3に示す第1実施形態の外観構成と同様であ
るのでここでは説明を省略し、その電気的構成について
説明する。図18は、第3実施形態に係わる心機能診断
装置のブロック図である。図において、体動除去部11
が体動成分が除去された体動除去脈波波形MH’を生成
すると、第1のウエーブレット変換部16は、体動除去
脈波波形MH’にウエーブレット変換を施す。第1の周
波数補正部17は第1のウエーブレット変換部16の出
力に周波数補正を施して、体動除去脈波データMKD''
を生成する。この場合、第1の周波数補正部17の出力
は、図11に示す体動除去部11の出力と等価である。
【0081】すなわち、ウエーブレット変換は線形であ
るから、処理の順番を入れ替えても良いため、体動除去
をアナログ信号で行った後にウエーブレット変換するこ
とと(第3実施形態)、ウエーブレット変換された脈波
補正データMKD’と体動補正データTKD’に基づい
て体動除去を行うことは(第2実施形態)、等価だから
である。なお、拍数検出部12、駆出時間検出部13、
診断テーブル14および表示部15は、第2実施形態と
同様であるから、説明を省略する。
【0082】このように、第3実施形態にあっては、第
2のウエーブレット変換部18、第2の周波数補正部1
9を省略しても、拍数HRと駆出時間EDを算出するこ
とができるので、より簡易な構成でシンドロームXに代
表される心機能の状態を診断することができる。
【0083】F.第4実施形態 第1〜第3実施形態においては、加速度センサ130に
よって体動波形THを検出し、脈波波形MHと体動波形
THとを比較して、脈波波形MHの周波数成分に含まれ
ている体動成分をキャンセルして、拍数HRと駆出時間
EDを算出し、これらに基づいて心機能の状態を診断し
た。しかし、加速度センサ130および波形処理部10
等が必要になるので、構成が複雑なる。第4実施形態
は、この点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成
で、体動があっても正確に心機能の状態を診断すること
ができる脈波診断装置を提供するものである。
【0084】第4実施形態に係わる脈波診断装置の外観
構成は、図3に示す第1実施形態の外観構成と同様であ
るのでここでは説明を省略し、その電気的構成について
説明する。図19は第4実施形態に係わる心機能診断装
置のブロック図であり、加速度センサ130、波形処理
部10、第2のウエーブレット変換部18、および第2
の周波数補正部19が省略されている点および体動除去
部11の内部構成を除いて、図11に示す第2実施形態
に係わる心機能診断装置と同じである。以下、相違点に
ついて説明する。体動除去部11は、脈波補正データM
KD’から体動成分を分離除去して体動分離脈波データ
TBDを生成する。ここで、体動除去部11は、以下に
述べる体動の性質を利用している。
【0085】体動は、腕の上下動や走行時の腕の振り等
によって生じるが、日常生活においては、人体を瞬間的
に動かすことはほとんどない。このため、日常生活で
は、体動波形THの周波数成分はそれほど高くなく、0
Hz〜1Hzの範囲にあるのが通常である。この場合、
脈波波形MHの基本波周波数は、1Hz〜2Hzの範囲
にあることが多い。したがって、日常生活において、体
動波形THの周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数
よりも低い周波数領域にある。
【0086】一方、ジョギング等のスポーツ中にあって
は、腕の振り等の影響があるため、体動波形THの周波
数成分が幾分高くなるが、運動量に応じて心拍数が増加
するため、脈波波形MHの基本波周波数も同時に高くな
る。このため、スポーツ中においても、体動波形THの
周波数成分は脈波波形MHの基本波周波数よりも低い周
波数領域にあるのが通常である。
【0087】体動除去部11は、この点に着目して体動
成分を分離するものであり、脈波波形MHの基本波成分
よりも低い周波数領域を無視するように構成されてい
る。この場合には、脈波波形MHの基本波成分より高い
周波数領域に体動成分が存在すると心機能の検出精度が
低下する。しかしながら、上述したように体動成分は脈
波波形MHの基本波成分よりも低い周波数領域にある確
率が高いので、高い精度で心機能の状態を診断すること
ができる。
【0088】図20は、体動除去部11の詳細なブロッ
ク図である。波形整形部301は脈波波形MHに波形整
形を施して、脈波波形MHと同期したリセットパルスを
生成する。カウンタ302は図示せぬクロックパルスを
計数し、前記リセットパルスによってカウント値がリセ
ットされるようになっている。また、平均値算出回路3
03は、カウンタ302のカウント値の平均値を算出す
る。この場合、平均値算出回路303によって算出され
る平均値は、脈波波形MHの平均周期に対応する。した
がって、平均値を参照すれば、脈波波形MHの基本波周
波数を検知できる。
【0089】次に、置換回路304は、前記平均値に基
づいて、脈波波形MHの基本波周波数を含む周波数領域
を特定する。例えば、前記平均値が0.71秒を示す場
合には、基本波周波数は1.4Hzとなるので、特定さ
れる周波数領域は1Hz〜1.5Hzとなる。この後、
置換回路304は、特定周波数領域未満の周波数領域に
ついて、脈波補正データMKD’を「0」に置換して体
動分離脈波データTBDを生成する。これにより、脈波
波形MHの基本波周波数より低い周波数領域の成分は、
無視される。この場合、体動成分とともに脈波成分も
「0」に置換されてしまうが、脈波波形MHの特徴的な
部分は基本波周波数よりも高域の周波数領域に存在する
ため、「0」に置換しても脈象の判定には影響をほとん
ど与えない。
【0090】例えば、脈波検出用センサユニット130
によって、図14(a)に示す脈波波形MH(基本波周
波数1.3Hz)が検出されたものとすれば、期間Tc
の脈波補正データMKD’は、図15に示すものとな
る。この場合、置換回路194によって特定される周波
数領域は1.0Hz〜1.5Hzとなるので、置換の対
象となる周波数領域は、0.5Hz〜1.0Hzに対応
するMa12〜Ma82と0Hz〜0.5Hzに対応す
るMa11〜Ma81となる。したがって、脈波補正デ
ータMKD’のデータMa12〜Ma82,Ma11〜
Ma81は「0」に置換され、図21に示す体動除去脈
波データMKD’’が生成される。こうして生成された
体動除去脈波データMKD’’に基づいて、図19に示
す拍数検出部12と駆出時間検出部13は拍数HRと駆
出時間EDを検出する。この後、診断テーブル14が拍
数HRと駆出時間EDに基づいて評価指標Xを生成する
と、表示部15は評価指標Xを表示する。
【0091】このように第4実施形態によれば、体動成
分は脈波波形MHの基本波周波数成分よりも低い周波数
領域に存在することが確率的に高いという体動の性質を
巧みに利用して体動成分を除去した。このため、第1〜
第3実施形態で必要とされた加速度センサ130や波形
処理部10といった構成を省略することができ、しかも
体動がある場合でも正確に心機能の状態を診断すること
が可能となる。
【0092】G.第5実施形態 第1〜第4実施形態は、拍数HRと駆出時間EDに基づ
いて、評価指標Xを算出したが、第5実施形態は拍数H
Rと駆出時間EDの連続性に基づいて、評価指標Xを算
出するものである。
【0093】第5実施形態に係わる心機能診断装置にお
いて、拍数検出部12および駆出時間検出部13までの
構成は、第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。
図22は、第5実施形態に係わる心機能診断装置の主要
部の構成を示すブロック図である。図に示すように、心
機能診断装置は、連続性判定部20と表示部15を備え
ている。連続性判定部20は、拍数HRおよび駆出時間
EDに基づいて心機能の連続性を判定し、判定結果に基
づいて評価指標Xを生成する。連続性判定部20の具体
的な構成については、以下に述べる2つの態様がある。
【0094】(1)第1の態様 図23は、連続性判定部20の構成の一例を示すブロッ
ク図である。この例における連続性判定部20は、拍数
判定部210、駆出時間変化率検出部211、および評
価指標生成部212から構成される。まず、拍数判定部
210は、現在の拍数HRと直前の拍数HRが一定範囲
内(例えば、5拍)にあるか、否かを判定する。そし
て、この範囲内にある場合にのみ、連続性の判定を行う
指令を駆出時間変化率検出部211に供給する。一方、
拍数HRが一定の範囲内ない場合には、上記指令が駆出
時間変化率検出部211に供給されない。ここで、駆出
時間変化率検出部211は、上記指令を受け取った場合
にのみ動作するようになっている。
【0095】次に、駆出時間変化率検出部211は、現
在の駆出時間EDと直前の駆出時間EDの変化率ED’
を算出する。評価指標生成部212は変化率ED’に基
づいて、評価指標Xを生成する。例えば、変化率ED
が、−5%以上であれば評価指標X1を、−5%〜−1
0%であれば評価指標X2を、−10%以下であれば評
価指標X3を生成する。ここで、評価指標は、第1実施
形態と同様にX1は「正常」を、X2は「シンドローム
Xの兆候が認められる」を、X3は「シンドロームXが
発生する可能性が極めて高く危険な状態にある」ことを
意味する。
【0096】第1の態様にあっては、拍数HRの変化が
一定範囲内にある場合に駆出時間の変化率EDに基づい
て心機能の連続性を判定するようにした。これは、拍数
HRの変化が一定範囲内にある場合には、駆出時間ED
はそれほど変化しないのが通常であり、変化率が大きい
場合には、心筋が虚血状態に陥ったと考えられるからで
ある。
【0097】(2)第2の態様 図24は、連続性判定部20の構成の他の例を示すブロ
ック図である。この例における連続性判定部20は、乗
算部220、拍数駆出時間変化率検出部221、および
評価指標生成部222から構成される。まず、乗算部2
20は、拍数HRと駆出時間EDの乗算を行って乗算結
果HEを出力する。次に、拍数駆出時間変化率検出部2
21は、現在の乗算結果HEと直前の乗算結果HEに基
づいて、拍数HRと駆出時間EDの積の変化率HE’を
算出する。評価指標生成部222は変化率ED’に基づ
いて、評価指標Xを生成する。例えば、変化率HE’
が、−5%以上であれば評価指標X1を、−5%〜−1
0%であれば評価指標X2を、−10%以下であれば評
価指標X3を生成する。ここで、評価指標は、第1実施
形態と同様に定められている。
【0098】第2の態様にあっては、拍数HRと駆出時
間EDとの積の変化率HE’に基づいて、評価指標Xを
生成した。この場合の乗算結果HEは、近似的にカーデ
ィアッカアウトプットCOを表しているから、第2の態
様は、カーディアッカアウトプットCOの変化率に基づ
いて評価指標Xを生成しているといえる。
【0099】このように第5実施形態にあっては、拍数
HRと駆出時間EDの連続性に基づいて、評価指標Xを
算出するから、心機能の状態を診断することができる。
【0100】H.第6実施形態 第1〜第4実施形態は、拍数HRと駆出時間EDに基づ
いて、予め定められた診断テーブル14を参照して評価
指標Xを算出したが、第6実施形態は平常時の拍数HR
と駆出時間EDを計測することにより、診断テーブル1
5の補正を行うものである。
【0101】第6実施形態に係わる心機能診断装置にお
いて、拍数検出部12および駆出時間検出部13までの
構成は、第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。
図25は、第6実施形態に係わる心機能診断装置の主
要部の構成を示すブロック図である。図に示すように、
心機能診断装置の主要部は、診断テーブル14、補正部
21、補正済診断テーブル22、および表示部15から
構成される。なお、診断テーブル14と表示部15は、
第1〜第4実施形態の構成と各々同一である。
【0102】まず、補正部21は、診断テーブル14の
内容を補正する。ところで、診断テーブル14には、評
価指標Xが拍数HRおよび駆出時間EDと関連付けられ
て記憶されているが、これらのデータは複数の人から実
測されたデータを平均して得られたものである。一方、
拍数HRおよび駆出時間EDのありようには、個人差や
同一人であっても日内差・年内差が存在する。したがっ
て、より正確に心機能の状態を診断しようとする場合に
は、診断テーブル14の内容を補正する必要がある。補
正部21は、このために設けられたものである。
【0103】補正部21の内部には、診断テーブル14
を作成した際の平常時における基準拍数HRrと基準駆
出時間EDrが格納されている。ユーザが平常時におい
て、心機能診断装置1を校正モードに設定すると、平常
時における平常拍数HRhと平常駆出時間EDhが拍数
検出部12と駆出時間検出部13によって各々検出され
る。補正部21は、HRh−HRr,EDh−EDrを
算出し、これを補正情報として用い、補正済診断テーブ
ル22を生成する。
【0104】この点を図26を参照して説明する。図2
6において、曲線K,L,Mは、上述した図10に示す
ものと同様であって、曲線Kは診断テーブル14を作成
する際に用いられた正常な人の拍数HRと駆出時間ED
の関係を示したものであり、曲線Lは、「正常である」
か「シンドロームXの兆候が認められる」かを判別でき
るように定められた境界であり、曲線Mは「シンドロー
ムXの兆候が認められる」か「シンドロームXが発生す
る可能性が極めて高く危険な状態にある」かを判別でき
るように定められた境界である。
【0105】ここで、曲線K上には、平常時における基
準拍数HRrと基準駆出時間EDrが存在する。ここ
で、校正モードにおいて実測された平常拍数HRhと平
常駆出時間EDhが図26に示すものであるとすれば、
補正部21は、上記補正情報を算出し、この補正情報に
基づいて、曲線K,L,Mを移動して、曲線K’,
L’,M’を算出する。そして、新たに得られた曲線
L’,M’を評価指標Xの生成基準として、補正済診断
テーブル22を生成する。
【0106】通常の測定モードにおいては、補正済診断
テーブル22を参照して評価指標Xが生成される。これ
により、個人差や同一人の日内差・年内差を補正して、
より正確に心機能の状態を診断することが可能となる。
【0107】I.変形例 本発明は、上述した実施形態に限定されないことは勿論
であり、例えば、以下に述べる各種の変形が可能であ
る。 (1)上述した第2〜第4実施形態では、第1の周波数
補正部17あるいは第2の周波数補正部19を、異なる
周波数領域でエネルギーを比較するために用い、補正結
果を閾値と比較して最大ピークPmax等を求めた。この
場合、閾値自体を周波数補正を考慮したものにして、各
周波数補正部を省略するようにしてもよい。
【0108】(2)上述した第2〜第4実施形態で行っ
たウエーブレット変換はフィルタバンクを用いて行って
もよい。フィルタバンクの構成例を図27に示す。図に
おいて、フィルタバンクは3段で構成されており、その
基本単位は、高域フィルタ1Aおよびデシメーションフ
ィルタ1Cと、低域フィルタ1Bおよびデシメーション
フィルタ1Cである。高域フィルタ1Aと低域フィルタ
1Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数成分
と低域周波数成分を各々出力するようになっている。こ
の例にあっては脈波データMDの周波数帯域として0H
z〜4Hzを想定しているので、一段目の高域フィルタ
1Aの通過帯域は2Hz〜4Hzに設定され、一方、一
段目の低域フィルタ1Bの通過帯域は0Hz〜2Hzに
設定される。また、デシメーションフィルタ1Cは、1
サンプルおきにデータを間引く。こうして生成されたデ
ータが次段に供給されると、周波数帯域の分割とデータ
の間引きが繰り返され、最終的には、0Hz〜4Hzの
周波数帯域を8分割したデータM1〜M8が得られる。
【0109】また、高域フィルタ1Aと低域フィルタ1
Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含
むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。ところ
で、人の脈拍数は40〜200の範囲にあり、脈波波形
MHの基本波周波数は、生体の状態に応じて刻々と変動
する。この場合、基本波周波数に同期して、分割する帯
域を可変することができれば、動的な生体の状態に追従
した情報を得ることができる。そこで、トランスバーサ
ルフィルタに供給するクロックを脈波波形MHとさせる
ことによって、分割する帯域を適応的に可変してもよ
い。
【0110】また、脈波解析データMKDのうち、脈波
波形MHの特徴を表す代表的な周波数成分は、基本波、
第2高調波および第3高調波の各周波数成分である。し
たがって、フィルタバンクの出力データM*1〜M*8
のうち一部を用いて脈象を判定するようにしてもよい。
この場合、上述したようにフィルタバンクを脈波波形M
Hに同期するように構成すれば、高域フィルタ1A、低
域フィルタ1Bおよびデシメーションフィルタ1Cの一
部を省略して、構成を簡易なものにすることができる。
【0111】(3)上述した第1実施形態における体動
除去部を第4実施形態で説明したウエーブレット変換で
行ってもよい。この場合は、体動が除去されたウエーブ
レットに数2に示す逆ウエーブレットを施して波形の再
合成を行い、再合成された脈波波形に基づいて、拍数H
Rと駆出時間EDを算出すればよい。
【数2】
【0112】また、逆ウエーブレットは逆フィルタバン
クを用いて構成すればよい。この場合、逆ウエーブレッ
ト変換部は、図28に示すフィルタバンクで構成しても
よい。図において、フィルタバンクは3段で構成されて
おり、その基本単位は、高域フィルタ2Aおよび補間フ
ィルタ2Cと、低域フィルタ1Bおよび補間フィルタ2
Cと、加算器2Dである。高域フィルタ2Aと低域フィ
ルタ2Bは、所定の周波数帯域を分割して、高域周波数
成分と低域周波数成分を各々出力するようになってい
る。また、補間フィルタ2Cは、2サンプル毎に1サン
プルを内挿補間する。
【0113】ここで、波形を再現するためには、図27
に示すフィルタバンクと図28に示すフィルタバンクに
完全再構成フィルタバンクを用いる必要がある。この場
合、高域フィルタ1A,2Aおよび低域フィルタ1B,
2Bの特性は、以下の関係があることが必要である。 H0(-Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=0 H0(Z)F0(Z)+H1(-Z)F1(Z)=2Z-L
【0114】また、高域フィルタ2Aと低域フィルタ2
Bとは、その内部に遅延素子(Dフリップフロップ)を含
むトランスバーサルフィルタで構成すればよい。なお、
ウエーブレット変換部10で使用するフィルタバンク
を、脈波波形MHの基本波周波数に同期して、分割する
帯域を可変するため、供給するクロックを脈波波形MH
と同期させた場合には、このクロックを高域フィルタ2
Aと低域フィルタ2Bに供給してもよい。
【0115】(4)また、上述した各実施形態において
は、表示部15を告知手段の一例として説明したが、装
置から人間に対して告知をするための手段としては以下
説明するようなものが挙げられる。これら手段は五感を
基準に分類するのが適当かと考えられる。なお、これら
の手段は、単独で使用するのみならず複数の手段を組み
合わせても良いことは勿論である。そして、以下説明す
るように、例えば視覚以外に訴える手段を用いれば、視
覚障害者であっても告知内容を理解することができ、同
様に、聴覚以外に訴える手段を用いれば聴覚障害者に対
して告知を行うことができ、障害を持つ使用者にも優し
い装置を構成できる。
【0116】まず、聴覚に訴える告知手段としては、シ
ンドロームXの分析・診断結果などを知らせるための目
的、あるいは警告の目的でなされるものなどがある。例
えば、ブザーの他、圧電素子、スピーカが該当する。ま
た、特殊な例として、告知の対象となる人間に携帯用無
線呼出受信機を持たせ、告知を行う場合にはこの携帯用
無線呼出受信機を装置側から呼び出すようにすることが
考えられる。また、これらの機器を用いて告知を行うに
あたっては、単に告知するだけではなく、何らかの情報
を一緒に伝達したい場合も多々ある。そうした場合、伝
えたい情報の内容に応じて、以下に示す音量等の情報の
レベルを変えれば良い。例えば、音高、音量、音色、音
声、音楽の種類(曲目など)である。
【0117】次に、視覚に訴える告知手段が用いられる
のは、装置から各種メッセージ,測定結果を知らせる目
的であったり、警告をするためであったりする。そのた
めの手段として以下のような機器が考えられる。例え
ば、ディスプレイ装置、CRT(陰極線管表示装置),
LCD(液晶表示ディスプレ)、プリンタ、X−Yプロ
ッタ、ランプなどがある。なお、特殊な表示装置として
眼鏡型のプロジェクターがある。また、告知にあたって
は以下に示すようなバリエーションが考えられる。例え
ば、数値の告知におけるデジタル表示,アナログ表示の
別、グラフによる表示、表示色の濃淡、数値そのまま或
いは数値をグレード付けして告知する場合の棒グラフ表
示、円グラフ、フェイスチャート等である。フェイスチ
ャートとしては、例えば、図29に示すものがある。
【0118】次に、触覚に訴える告知手段は、警告の目
的で使用されることがあると考えられる。そのための手
段として以下のようなものがある。まず、腕時計等の携
帯機器の裏面から突出する形状記憶合金を設け、この形
状記憶合金に通電するようにする電気的刺激がある。ま
た、腕時計等の携帯機器の裏から突起物(例えばあまり
尖っていない針など)を出し入れ可能な構造としてこの
突起物によって刺激を与える機械的刺激がある。
【0119】次に、嗅覚に訴える告知手段は、装置に香
料等の吐出機構を設けるようにして、告知する内容と香
りとを対応させておき、告知内容に応じた香料を吐出す
るように構成しても良い。ちなみに、香料等の吐出機構
には、マイクロポンプなどが最適である。
【0120】(5)上述した各実施形態においては、脈
波検出手段f1の一例として脈波検出用センサユニット
130を取りあげ説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、脈動を検出できるものであれば、どの
ようなものであってもよい。
【0121】例えば、脈波検出用センサユニット130
は反射光を利用したものであったが、透過光を利用した
ものであってもよい。ところで、波長領域が700nm
以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向がある。この
ため、透過光を利用する場合は、発光部から波長が60
0nm〜1000nmの光を照射し、照射光を組織→血
管→組織の順に透過させ、この透過光の光量変化を検出
する。透過光は血液中のヘモグロビンの吸収を受けるの
で、透過光の光量変化を検出することによって、脈波波
形を検出することができる。
【0122】この場合、発光部には、InGaAs系
(インジウム−ガリウム−砒素)やGaAs系(ガリウ
ム−砒素)のレーザー発光ダイオードが好適である。と
ころで、波長が600nm〜1000nmの外光は組織
を透過し易いので、受光部に外光が入射すると脈波信号
のS/Nが劣化してしまう。そこで、発光部から偏光し
たレーザー光を照射し、透過光を偏光フィルタを介して
受光部で受光するようにしてもよい。これにより、外光
の影響を受けることなく、脈波信号を良好なS/N比で
検出することができる。
【0123】この場合には、図30(a)に示すよう
に、発光部400を締着具145の締め付け側に設け、
時計本体側には受光部401を設けている。この場合、
発光部200から照射された光は、血管143を透過し
た後、橈骨402と尺骨403の間を通って、受光部2
01に達する。なお、透過光を用いる場合には、照射光
は組織を透過する必要があるため、組織の吸収を考慮す
ると、その波長は600nm〜1000nmであること
が望ましい。
【0124】また、同図(b)は検出部位を耳朶とする
例である。把持部材404と把持部材405は、バネ4
07で付勢され、軸406を中心に回動できるようにな
っている。また、把持部材404と把持部材405に
は、発光部400と受光部401が設けられている。こ
の脈波検出部を用いる場合には、耳朶を把持部材404
と把持部材405で把持して脈波を検出する。なお、反
射光を用いる場合には、同図(c)に示すように指尖部
から脈波波形MHを検出するようにしてもよい。
【0125】次に、光電式脈波センサを眼鏡と組み合わ
せた使用態様を説明する。なお、この眼鏡の形態では、
使用者に対する告知手段としての表示装置も一緒に組み
込まれた構造になっている。したがって、脈波検出部と
して以外に表示装置としての機能についても併せて説明
する。図31は、脈波検出部が接続された装置を眼鏡に
取り付けた様子を表わす斜視図である。図のように、装
置本体は本体75aと本体75bに分かれ、それぞれ別
々に眼鏡の蔓76に取り付けられており、これら本体が
蔓76内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気
的に接続されている。
【0126】本体75aは表示制御回路を内蔵してお
り、この本体75aのレンズ77側の側面には全面に液
晶パネル78が取り付けられ、また、該側面の一端には
鏡79が所定の角度で固定されている。さらに本体75
aには、光源(図示略)を含む液晶パネル78の駆動回
路と、表示データを作成するための回路が組み込まれて
いる。この光源から発射された光は、液晶パネル78を
介して鏡79で反射されて、眼鏡のレンズ77に投射さ
れる。また、本体75bには、装置の主要部が組み込ま
れており、その上面には各種のボタンが設けられてい
る。なお、これらボタン80,81の機能は装置毎に異
なる。また。光電式脈波センサを構成するLED32お
よびフォトトランジスタ33(図4を参照)はパッド8
2,83に内蔵されると共に、パッド82,83を耳朶
へ固定するようになっている。これらのパッド82,8
3は、本体75bから引き出されたリード線84,84
によって電気的に接続されている。
【0127】次に、圧力センサによって脈波波形MHを
検出する例を説明する。図32(a)は圧力センサを用
いた脈波診断装置の外観構成を示す斜視図である。この
図に示すように、脈波診断装置1には、一対のバンド1
44,144が設けられており、その一方の締着具14
5の締め付け側には、圧力センサ130’の弾性ゴム1
31が突出して設けられている。締着具145を備える
バンド144は、圧力センサ130による検出信号を供
給するべくFPC(Flexible Printed Circuit)基板を
軟性プラスチックで被覆した構造(詳細は図示省略)と
なっている。
【0128】また、使用時においては、図32(b)に
示すように、締着具145に設けられた弾性ゴム131
が橈骨動脈143の近傍に位置するべく、腕時計146
が被験者の左腕147に巻回される。このため、脈波を
恒常的に検出することが可能となる。なお、この巻回に
ついては通常の腕時計の使用状態と何等変わることがな
い。こうして弾性ゴム131が、被験者の橈骨動脈14
3近傍に押圧されると、該動脈の血流変動(すなわち脈
波)が弾性ゴム131を介して圧力センサ130’に伝
達され、圧力センサ130’はこれを血圧として検知す
る。
【0129】(6)上述した第1実施形態においてFF
Tを用いて拍数HRを求めるようにしてもよい。この場
合、拍数HRは、基本周波数fを測定し、f・60を算
出すればよい。
【0130】(7)上述した各実施形態においては、心
機能診断装置1によって体動を除去した体動除去脈波波
形に基づいて、シンドロームXの他、QT延長症候群の
可能性を検知した。ところで、QT延長症候群を診断す
るは睡眠中等の安静時に発病することが多い。この場
合、寝返り等の体動があり得るため、体動を除去した
が、簡便な方法としては、体動を除去しない脈波波形に
基づいて、拍数と駆出時間を検出し、これらに基づいて
QT延長症候群の可能性を診断するようにしてもよい。
【0131】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の発明特定
事項によれば、拍数と駆出時間に基づいて、心機能の状
態を診断できるので、シンドロームXやQT延長症候群
等の可能性を事前に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 心臓から流出する直後の脈波波形と末梢部の
脈波波形との関係を示した図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係わる心機能診断装置
の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】 第1実施形態に係わる心機能診断装置の外観
構成を示す斜視図である。
【図4】 同実施形態に係わる脈波検出用センサユニッ
ト130の回路図である。
【図5】 同実施形態に係わる心機能診断装置の電気的
構成を示すブロック図である。
【図6】 同実施形態に係わる1拍分の体動除去脈波波
形MH’の一例を示す図である。
【図7】 同実施形態に係わる拍数検出部と駆出時間検
出部の具体的な構成を示す回路図である。
【図8】 同実施形態に係わる脈波波形の一例を示す図
である。
【図9】 同実施形態に係わるピーク情報の内容を示す
図である。
【図10】 同実施形態に係わる診断テーブル14に記
憶されている評価指標Xと駆出時間EDおよび拍数HR
の関係を示す図である。
【図11】 第2実施形態に係わる心機能診断装置の電
気的構成を示すブロック図である。
【図12】 同実施形態に係わる第1のウエーブレット
変換部の構成を示すブロック図である。
【図13】 同実施形態に係わる脈波波形の一部の期間
について、脈波解析データを示したものである。
【図14】 同実施形態に係わる体動除去部の動作を説
明するためのタイミングチャートである。
【図15】 同実施形態において、期間Tcにおける脈
波補正データMKD’を示す図である。
【図16】 同実施形態において、期間Tcにおける体
動補正データTKD’を示す図である。
【図17】 同実施形態において、体動成分が除去され
た脈波補正データMKD''を示す図である。
【図18】 第3実施形態に係わる心機能診断装置のブ
ロック図である。
【図19】 第4実施形態に係わる心機能診断装置のブ
ロック図である。
【図20】 同実施形態に係わる体動除去部11の詳細
なブロック図である。
【図21】 同実施形態に係わる体動除去脈波データM
KD’’の一例を示す図である。
【図22】 第5実施形態に係わる心機能診断装置の主
要部の構成を示すブロック図である。
【図23】 同実施形態に係わる連続性判定部20の構
成の一例を示すブロック図である。
【図24】 同実施形態に係わる連続性判定部20の構
成の他の例を示すブロック図である。
【図25】 第6実施形態に係わる心機能診断装置の主
要部の構成を示すブロック図である。
【図26】 同実施形態に係わる補正済診断テーブルの
内容を説明するための図である。
【図27】 変形例においてウエーブレット変換をフィ
ルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図であ
る。
【図28】 変形例において逆ウエーブレット変換をフ
ィルタバンクで構成した場合の例を示すブロック図であ
る。
【図29】 変形例において告知手段の一態様としての
フェイスチャートを示す図である。
【図30】 変形例に係わる光電式脈波センサの例を示
す図である。
【図31】 変形例において光電式脈波センサを眼鏡に
応用した例を示す図である。
【図32】 変形例において圧力センサを用いた心機能
診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
130 脈波検出用センサユニット(脈波検出手段) 130’加速度センサ(体動検出手段) 11 体動除去部(体動除去手段) 12 拍数検出部(拍数検出手段) 13 駆出時間検出部(駆出時間検出手段) 15 表示部(告知手段) 16 第1のウエーブレット変換部(第1のウエーブレ
ット変換手段) 17 第1の周波数補正部(第1の周波数補正手段) 18 第2のウエーブレット変換部(第2のウエーブレ
ット変換手段) 19 第2の周波数補正部(第2の周波数補正手段)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数検出手段
    と、 前記脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検出する駆
    出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段と を備えたことを特徴とする心機能診断装置。
  2. 【請求項2】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段
    と、 前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動成分を生
    成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去して体動除
    去脈波波形を生成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波波形に基づいて、拍数を検出する拍数
    検出手段と、 前記体動除去脈波波形に基づいて、心臓の駆出時間を検
    出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  3. 【請求項3】 前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波
    波形のピークを検出し、検出された当該ピークの周期性
    に基づいて前記拍数を求めることを特徴とする請求項2
    に記載の心機能診断装置。
  4. 【請求項4】 前記拍数検出手段は、前記体動除去脈波
    波形に周波数解析を施し、当該解析結果に基づいて前記
    拍数を求めることを特徴とする請求項2に記載の心機能
    診断装置。
  5. 【請求項5】 前記駆出時間検出手段は、前記体動除去
    脈波波形の各ピークを検出し、最大ピークの次に現れる
    ピークと最小ピーク間の時間を検出することによって前
    記駆出時間を検出することを特徴とする請求項2ないし
    4のうちいずれか1項に記載の心機能診断装置。
  6. 【請求項6】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段
    と、 前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動成分を生
    成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去して体動除
    去脈波波形を生成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波波形にウエーブレット変換を施して、
    各周波数領域毎に体動を除去した体動除去脈波解析デー
    タを生成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出す
    る拍数検出手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時
    間を検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  7. 【請求項7】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段
    と、 前記体動波形に基づいて前記脈波波形中の体動成分を生
    成し、前記脈波波形から前記体動成分を除去して体動除
    去脈波波形を生成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波波形にウエーブレット変換を施して、
    各周波数領域毎に体動を除去した体動除去脈波解析デー
    タを生成する体動除去手段と、 対応する各周波数に基づいて、体動除去脈波解析データ
    に周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し
    て補正脈波データを生成する周波数補正手段と、 前記補正脈波データに基づいて、拍数を検出する拍数検
    出手段と、 前記補正脈波データに基づいて、心臓の駆出時間を検出
    する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  8. 【請求項8】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記脈波波形にウエーブレット変換を施して各周波数領
    域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット
    変換手段と、 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段
    と、 前記体動波形にウエーブレット変換を施して各周波数領
    域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット
    変換手段と、 前記脈波解析データから前記体動解析データを減算し
    て、体動を除去した体動除去脈波解析データを生成する
    体動除去手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出す
    る拍数検出手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時
    間を検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  9. 【請求項9】 生体の検出部位から脈波波形を検出する
    脈波検出手段と、 前記脈波波形にウエーブレット変換を施して各周波数領
    域毎に脈波解析データを生成する第1のウエーブレット
    変換手段と、 対応する各周波数に基づいて、脈波解析データに周波数
    当たりのパワーを正規化するように補正を施して補正脈
    波解析データを生成する第1の周波数補正手段と、 前記生体の体動を示す体動波形を検出する体動検出手段
    と、 前記体動波形にウエーブレット変換を施して各周波数領
    域毎に体動解析データを生成する第2のウエーブレット
    変換手段と、 対応する各周波数に基づいて、体動解析データに周波数
    当たりのパワーを正規化するように補正を施して補正体
    動解析データを生成する第2の周波数補正手段と、 前記補正脈波解析データから前記補正体動解析データを
    減算して、体動を除去した体動除去脈波解析データを生
    成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出す
    る拍数検出手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時
    間を検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  10. 【請求項10】 前記第1のウエーブレット変換手段と
    前記第2のウエーブレット変換手段は、同期してウエー
    ブレット変換を行うことを特徴とする請求項8または9
    に記載の心機能診断装置。
  11. 【請求項11】 生体の検出部位から脈波波形を検出す
    る脈波検出手段と、 前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウ
    エーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析
    データを生成するウエーブレット変換手段と、 前記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応
    する周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを
    生成する体動除去手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、拍数を検出す
    る拍数検出手段と、 前記体動除去脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時
    間を検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  12. 【請求項12】 生体の検出部位から脈波波形を検出す
    る脈波検出手段と、 前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウ
    エーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析
    データを生成するウエーブレット変換手段と、 前記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応
    する周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを
    生成する体動除去手段と、 対応する各周波数に基づいて、体動除去脈波解析データ
    に周波数当たりのパワーを正規化するように補正を施し
    て補正脈波解析データを生成する周波数補正手段と、 前記補正脈波解析データに基づいて、拍数を検出する拍
    数検出手段と、 前記補正脈波解析データに基づいて、心臓の駆出時間を
    検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  13. 【請求項13】 生体の検出部位から脈波波形を検出す
    る脈波検出手段と、 前記脈波検出手段によって検出された前記脈波波形にウ
    エーブレット変換を施して、各周波数領域毎に脈波解析
    データを生成するウエーブレット変換手段と、 前記脈波解析データのうち、予め定められた体動に対応
    する周波数成分を除去して、体動除去脈波解析データを
    生成する体動除去手段と、 前記体動除去解析脈波データに逆ウエーブレット変換を
    施して体動除去脈波データを生成する逆ウエーブレット
    変換手段と、 前記体動除去脈波データに基づいて、拍数を検出する拍
    数検出手段と、 前記体動除去脈波データに基づいて、心臓の駆出時間を
    検出する駆出時間検出手段と、 前記拍数と前記駆出時間に基づいて、心機能の状態を評
    価する評価手段とを備えたことを特徴とする心機能診断
    装置。
  14. 【請求項14】 前記評価手段は、 拍数および駆出時間と評価指標を対応付けて記憶した記
    憶手段と、 前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前
    記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に
    基づいて、前記記憶手段から対応する評価指標を読み出
    す読出手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至1
    3のうちいずれか1項に記載の心機能診断装置。
  15. 【請求項15】 前記評価手段は、 前記拍数検出手段によって検出された前記拍数および前
    記駆出時間検出手段によって検出された前記駆出時間に
    基づいて、心機能の状態の連続性を判定する連続性判定
    手段と、 前記判定手段の判定結果に基づいて評価指標を生成する
    評価指標生成手段とを備えたことを特徴とする請求項1
    乃至14のうちいずれか1項に記載の心機能診断装置。
  16. 【請求項16】 前記判定手段は、 前記拍数検出手段によって検出された前記拍数の変化
    が、一定範囲内にあることを検知した際に、前記駆出時
    間検出手段によって検出された前記駆出時間の変化率を
    検出する駆出時間変化率検出部と、 前記駆出時間の変化率と予め定められた閾値と比較し、
    比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判
    定部とを備えたことを特徴とする請求項15に記載の心
    機能診断装置。
  17. 【請求項17】 前記判定手段は、 前記拍数検出手段によって検出された前記拍数と前記駆
    出時間検出手段によって検出された前記駆出時間を乗算
    して、乗算結果の変化率を算出する変化率算出部と、 前記乗算結果の変化率と予め定められた閾値と比較し、
    比較結果に基づいて心機能の状態の連続性を判定する判
    定部とを備えたことを特徴とする請求項15に記載の心
    機能診断装置。
  18. 【請求項18】 前記評価手段は、 拍数および駆出時間と評価指標とを対応付けて予め記憶
    した第1の記憶手段と、 平常時に前記拍数検出手段によって検出された平常拍数
    および前記駆出時間検出手段によって検出された平常駆
    出時間に基づいて、前記第1記憶手段の内容を補正する
    補正手段と、 前記補正手段によって補正された前記拍数および前記駆
    出時間と前記評価指標との関係を記憶する第2の記憶手
    段と、 運動中に前記拍数検出手段によって検出された前記拍数
    および前記駆出時間検出手段によって検出された前記駆
    出時間に基づいて、前記第2の記憶手段から対応する評
    価指標を読み出す読出手段とを備えたことを特徴とする
    請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の心機能診
    断装置。
  19. 【請求項19】 前記評価手段によって得られた評価結
    果を告知する告知手段を備えたことを特徴とする請求項
    1乃至18のうちいずれか1項に記載の心機能診断装
    置。
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