JPH1193020A - カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents
カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法Info
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- JPH1193020A JPH1193020A JP25253897A JP25253897A JPH1193020A JP H1193020 A JPH1193020 A JP H1193020A JP 25253897 A JP25253897 A JP 25253897A JP 25253897 A JP25253897 A JP 25253897A JP H1193020 A JPH1193020 A JP H1193020A
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Abstract
理したのちでも潜在収縮力が残存し、最終的な布帛にお
いても高い風合効果を有するポリエステル繊維を得る。 【解決手段】 ジカルボン酸成分として、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸成分を0.8〜1.8モル%、ア
ジピン酸成分を7〜17モル%共重合し、繰り返し単位
の81.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレート
であるポリエステルを、紡速1,200〜3,000m
/分の速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25%
〜35%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の熱
板で熱セットして得られ、(a)その密度が1.372
以下で、(b)繊維強度(g/d)と破断伸度(%)の
平方根との積が20以上であるポリエステル繊維。
Description
り染色可能なだけでなく、高温処理した後でも潜在収縮
力が残存し、最終的な布帛においても充分な風合効果が
得られるような高収縮性能を有し、しかも繊維の強度・
伸度特性にも優れるカチオン可染性改質ポリエステル繊
維及びその製造方法に関する。
レフタレート繊維は、耐熱性、耐薬品性及び機械的性質
などに優れているので、衣料用途や産業用途に広く利用
されている。しかしながらその反面、ポリエチレンテレ
フタレート繊維は他の繊維と比較して、繊維構造が強固
であるため、染色は高温高圧下で行わねばならないとい
う短所を持っている。
エステルポリマーの改質により染色性を向上させる方法
は数多く検討されている。例えば、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸成分をポリエステルに共重合させること
により、鮮明性の高いカチオン染料で染色する方法が知
られている(特公昭34−10497号公報参照)。更
に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分等のカチオ
ン可染成分に加えて、アジピン酸、イソフタル酸等他の
成分を共重合することにより、常圧でカチオン染料にも
染色可能なポリエステル繊維も得られている。例えば、
特公昭57−32139号公報では、金属スルホネート
基含有イソフタル酸に加えて、ランダム共重合タイプの
ジカルボン酸を共重合成分にすることにより、カチオン
染料に常圧染色可能なポリエステル繊維を得ている。ま
た、特開平8−269820号公報では、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸成分とアジピン酸成分を共重合し
たポリマーを、巻取速度5500〜9000m/分の高
速で紡糸することにより、分散染料及びカチオン染料に
常圧染色可能なポリエステル繊維を得ている。
で、上記例のようにカチオン染料に染色可能な性能に加
えて、高収縮性能を有するいわゆるカチオン可染型高収
縮性ポリエステル繊維への要求が高まってきた。高収縮
繊維とは、2本以上の糸条を流体処理、あるいは合糸に
より嵩高糸や潜在捲縮糸を得るときに、その特徴をより
大きくするために収縮率の異なった原糸を用いるのであ
るが、この時の収縮率の大きい原糸を言う。
のこれまでの例としては、特公昭58−30412号公
報に示されたメタ・ソジウムスルホイソフタル酸成分を
3モル%以上、かつ他の共重合成分とメタ・スルホイソ
フタル酸成分の合計が5〜20モル%の共重合ポリエス
テルの高収縮繊維がある。しかし、この繊維はステープ
ルファイバーであり、該ポリマーをフィラメントにした
場合には、メタ・ソジウムスルホイソフタル酸成分の共
重合量が多すぎる為、ポリエステルフィラメントとして
は繊維強度が不十分になってしまう。
の大きい原糸を得る方法として延撚工程に於いて熱セッ
トを施さない方法があり、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸を共重合したカチオン可染型改質ポリエステル繊
維についても、この方法で収縮率を大きくすることが可
能である。しかしながら、近年の工程合理化技術では特
に糸を布帛にする際の高速化が要望されており、そのた
め各工程における熱処理も高温の条件が採用されてい
る。例えば、糊付工程ではその乾燥工程の効率アップの
ため100℃〜150℃といった乾燥温度が用いられて
おり、その他撚止セット、WJL製織による生機乾燥等
の工程で高温の条件を採用し、工程の高速化に対応して
いるのが現状である。しかるに、従来の公知の手法で作
ったカチオン可染型高収縮ポリエステル糸はこういった
高温処理により、潜在収縮力が発現しきってしまい、そ
の後の例えば染色仕上げ工程での熱処理では目的とする
収縮力が発現せず、いわゆるヘタリのある布帛しか得ら
れないという問題がある。
オン染料により染色可能なだけでなく、高温処理した後
でも潜在収縮力が残存し最終布帛で充分な風合効果が得
られるような高収縮性能を有し、しかも繊維の強度・伸
度特性にも優れているカチオン可染性ポリエステル繊維
及びその製造方法を提供することにある。
カルボン酸成分として、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸成分を0.8〜1.8モル%、アジピン酸成分を7
〜17モル%共重合し、繰り返し単位の81.2〜9
2.2モル%がエチレンテレフタレートであるポリエス
テルからなり、下記の要件(a),(b)を満足するこ
とを特徴とするカチオン可染性ポリエステル繊維、及び
上記ポリエステルを、1,200〜3,000m/分の
速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35
%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱
セットすることを特徴とするカチオン可染性ポリエステ
ル繊維の製造方法によって解決することができる。 (a)繊維の密度が1.372以下であること。 (b)DS×√DE≧20であること。(但し、DSは
繊維強度(g/d)、DEは破断伸度(%)を示す) また、この繊維の120℃熱水収縮率(繊維を0.07
g/dの張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処
理を施した後の高圧下120℃の熱水で60分間処理し
たときの収縮率)が9%以上であることが好ましい。
まず、本発明におけるポリエステルポリマーについて説
明する。本発明でのポリエステルは、繰り返し単位の8
1.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレートであ
り、ジカルボン酸成分として、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸が0.8〜1.8モル%、アジピン酸が7〜
17モル%共重合されたものである。
ン可染性は、ダイサイトである5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸の共重合量に依存する。しかしながら、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合が多すぎると、
100%ポリエチレンテレフタレート繊維と比較して繊
維強度が大きく低下してしまい、加工工程を限定せざる
をえなくなる。このことから、本発明者等は5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸の共重合量を極力減らすことを
考えた。そこで、従来のカチオン可染型ポリエステル繊
維のカチオン可染性と十分な繊維強度を維持するため
に、アジピン酸を共重合することを考えた。ポリエステ
ルの染色温度は、通常高圧下の120〜130℃であ
り、従来のカチオン可染型ポリエステル繊維についても
同様である。120〜130℃での高圧染色では確か
に、100℃の常圧染色と比較した場合には、染色レベ
ルは十分に上がっているが、染着座席の全てが埋まって
いる状態ではない。すなわち、アジピン酸のような屈曲
性のモノマーの共重合により、100℃での常圧染色だ
けでなく、120〜130℃の高圧染色においても、染
色時にポリマー分子の運動性が活発化され、分子間空隙
部が多くなり、その結果染料分子の染着座席への到達確
率が高くなり、染料反応率即ち染色性が上がる。我々は
上記の事実を突き止め、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸の共重合量を減らしても、アジピン酸のような屈曲
性のモノマーを追加することにより、染色性を維持でき
ることを確認した。
に製造するためには、ポリエチレンテレフタレートへの
アジピン酸成分の共重合量を7〜17モル%にする必要
がある。アジピン酸成分の共重合量が7モル%未満であ
ると、120℃熱水収縮率(繊維を0.07g/dの張
力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施した
後の、高圧下120℃の熱水で60分間処理した時の収
縮率)が9%未満となり、繊維製織後の実際の染色仕上
工程における熱処理で目的とする収縮力が発現せず、ふ
くらみ感のある布帛が得られない。一方、アジピン酸の
共重合量が17モル%を越えると、ポリエステルポリマ
ーのガラス転移温度が著しく低下し、紡糸した後の未延
伸糸のフィラメント間で融着を起こし、未延伸糸を解舒
できず延伸糸とすることが不可能になる。
成分の共重合量は0.8〜1.8モル%にする必要があ
る。5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分の共重合量
が1.8モル%を越えると、本発明のポリエステル繊維
の繊維強度と破断伸度の平方根との積が20未満とな
り、製織工程等での擦過に耐えられなくなり、糸切れ及
び毛羽の発生といったトラブルの原因となる。0.8モ
ル%未満であると、実用上カチオン染色が不可能なレベ
ルまでカチオン可染性が低下する。
成分は、ポリエステルポリマーを合成する任意の段階に
おいて添加できるが、テレフタル酸とエチレングリコー
ルとのエステル化反応開始時にアジピン酸の粉体を添加
する方法、およびテレフタル酸とエチレングリコールと
のエステル化反応によって、またはジメチルテレフタレ
ートとエチレングリコールとのエステル交換反応によっ
て得られるビスヒドロキシエチルテレフタレートに、ア
ジピン酸またはビス(2−ヒドロキシ)アジペートの分
散液または溶液として添加する方法が一般的である。ま
た、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分について
も、アジピン酸と同様にポリマーを合成する任意の段階
で添加でき、テレフタル酸とエチレングリコールとのエ
ステル化反応開始時に5−ナトリウムスルホイソフタル
酸の粉体を添加する方法、及びジメチルテレフタレート
とエチレングリコールとのエステル交換反応開始時にそ
れのジメチルエステルとして添加する方法が一般的であ
る。なお、本発明のポリエステル繊維を得るためのポリ
エステルポリマーには、適当な艶消剤、易滑剤、顔料等
の添加剤が含有されていてもよい。
発明のポリエステル繊維を製造する方法について説明す
る。本発明のポリエステル繊維を得るための製造方法
は、紡速1,200〜3,000m/分の速度で紡糸し
て未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35%になる倍率
で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱セットする方
法である必要があり、以下にその理由を示す。紡速が
1,200m/分未満であると生産性の低下を招き、
3,000m/分を越えると巻取りが困難になる。ま
た、延伸倍率については、残留伸度が25%未満になる
延伸倍率では、延伸工程における糸切れが多発し、残留
伸度が35%を越える延伸倍率では、十分な構造歪を発
生できず、繊維の収縮特性の低下を招く。熱セット温度
については、100℃未満であると、製品の熱による品
質が不安定化し、150℃以上であると、繊維の収縮特
性の低下を招く。
ステル繊維は、まず(a)その密度が1.372以下で
なければならない。密度が1.372を越えることは、
後述のように紡糸および延伸工程において発生する構造
歪が十分でないことを意味し、仕上工程等における熱処
理で収縮力が得られなくなる。また、得られたポリエス
テル繊維の強度、DS(g/d)と伸度、DE(%)の
平方根との積(DS×√DE)が20以上である必要が
ある。この値が20未満では、製織工程等での擦過に耐
えられなくなり、糸切れ及び毛羽の発生といったトラブ
ルの原因となる。また、得られた繊維を0.07g/d
の張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施
したのち、この繊維を高圧下120℃の熱水で60分間
処理したときの収縮率(120℃熱水収縮率)が9%以
上であることが好ましい。この120℃熱水収縮率が9
%未満では、仕上工程等での熱処理において目的とする
収縮力が得られず、ふくらみ感のある布帛が得られなく
なる。
部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空
繊維であってもよく、また、繊維の断面形状や中空部の
形状は円形であっても異形であってもよい。
テル繊維は、糊付工程、染色工程などの種々の仕上工程
での100℃を越える高温の熱処理を受けても、高い潜
在収縮力を残しており、最終の布帛で十分な風合を有す
るものとなる。以下、その理由を詳しく説明する。
ホイソフタル酸のみを共重合したポリエステルから公知
の手法で得られた高収縮糸を用いると、その熱収縮挙動
が図1のグラフのに示す様な挙動であることをつきと
めた。この時の収縮挙動は、まず試料を綛の状態にし、
その一端を固定フックに掛け、その下端に0.05g/
dの荷重を掛け、綛の全長(1)を測定する。次にその
状態のまま乾熱ルームにより100℃×1分の熱処理を
施し、その綛長(11)を測定する。更にこの試料を1
25℃×1分の処理をし綛長(12)を測定する。以下
同様に150℃×1分(13)、175℃×1分
(14)、200℃×1分(15)の時の綛長をそれぞれ
測定し、収縮率(%)=(1−11〜5/1)×100の
式により各々温度処理時の収縮率を測定する。図1のグ
ラフのに示したように、延伸工程において熱セットを
施さない方法で得られた従来糸は、100℃以下の収縮
率は高いが、それ以上の各温度での収縮率は低くなって
いる。すなわち、実際の製織準備工程である糊付工程な
どの乾燥時に、例えば125℃の熱処理を受けると、2
00℃迄の残留収縮量は僅か4%内外であることが理解
できる。
同様に収縮挙動を測定したところ、図1のグラフのの
様な傾向を示した。これによると、125℃の熱を受け
た後200℃まで昇温する場合でも、さらに10%強の
収縮率を得ていることがわかる。本発明のポリエステル
繊維が図1のグラフのに示されるような収縮挙動を示
すことは、120℃熱水収縮率(繊維を0.07g/d
の張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施
した後の、高圧下120℃の熱水で60分間処理をした
時の収縮率)が9%以上であることに対応している。
熱水収縮率が9%以上であることは、図1のグラフの
に示されるように、十分な潜在収縮力を残していること
になり、これによって、製織後の実際の染色仕上工程に
おける熱処理で目的とする収縮力が発現でき、ふくらみ
感のある布帛が得られることになる。本発明において、
ポリエステル繊維の収縮特性が向上するのは、共重合に
より繊維を構成するポリマー構造が乱れ、紡糸及び延伸
工程において発生する構造歪が大きくなるためである。
すなわち、アジピン酸の共重合量を高くすることによっ
て、紡速1,200〜3,000m/分の速度で紡糸し
て未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35%になる倍率
で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱セットして得
た繊維の密度を1.372以下にすることができ、収縮
特性の起因となる構造歪を十分に大きくできるのであ
る。該繊維の密度が1.372以下であることは、紡糸
及び延伸工程において発生する構造歪を十分大きくする
ことを意味しており、昇温収縮挙動は図1のグラフの
のようになり、製織後の実際の染色仕上工程における熱
処理で目的とする収縮力を発現でき、ふくらみ感のある
布帛が得られることとなる。
ナトリウムスルホイソフタル酸成分の共重合によって、
カチオン染料により良好に染色可能となる。さらに、本
発明のポリエステル繊維は、加工工程での強度低下も小
さく、製織後の残留収縮力も大きいことから、流体処理
などによる混織嵩高糸や潜在捲縮糸を得る際のカチオン
可染型高収縮成分として好適である。
らに具体的に説明する。なお、実施例中の部は重量部を
意味し、また、表中の○、△、×の印は各々、良好、や
や良好、不良であることを示す。 (ガラス転移温度及び融点)セイコー電子工業社製DS
C220を用いて、昇温速度10℃/分で測定した値で
ある。 (繊維の強度及び伸度)島津製作所社製オートグラフS
D−100−Cを用いて、試料長200mm、引張速度
200mm/分で応力−伸長曲線を測定し、繊維の破断
点の強度及び伸度を求めた。 (繊維の熱水収縮率(BWS))原糸を綛取し、0.0
5g/dの荷重下での綛長がL0の試料を、無荷重下沸
騰水中(100℃)で30分間処理し、処理前と同荷重
での綛長L1を求め、以下の式により算出した。 BWS(%)=(L0−L1/L0)×100
束にして結び目を作り両端を切断して密度測定用試料と
し、該試料を30℃でn−ヘプタン/四塩化炭素系の密
度勾配管に投入し測定した値である。 (120℃熱水収縮率)張力0.07g/d、温度12
0℃、時間0.2秒での熱処理を、図2に示すように行
った。すなわち、パーン1から送り出されたポリエステ
ル繊維2を供給ローラ3に巻回したのち、120℃の温
度に加熱された熱板4の表面に接触させつつ走行させ、
巻取ローラ5に巻回して巻き取るようにし、供給ローラ
3の回転速度によりも巻取ローラ5の回転速度をわずか
に遅くする方法によって行い、熱処理された繊維を綛取
し、0.05g/dの荷重下での綛長がL0の試料を、
高圧下熱水中(120℃)で30分間処理し、処理前と
同荷重での綛長L1を求め、以下の式により算出し た。 120℃熱水収縮率(%)=(L0−L1/L0)×10
0
条件で染色し、比較例1に示した従来のカチオン可染型
高収縮糸と比較して染色レベルを評価した。 染色条件 染料 Astrazon Blue 3RL 3%owf 助剤 Disper TL 0.2g/l Disper VG 0.5g/l 中和剤 Ultra MT−N2 0.5g/l 浴比 1/100 染色温度×時間 120℃×60分
下DMTと称す)100部、5−ナトリウムスルホキシ
ジメチルイソフタレート(以下DMSと称す)1.68
部(1.0モル%対全酸成分)、エチレングリコール7
5部をエステル交換釜に仕込み、150〜230℃にて
エステル交換反応を行った。引き続き、得られた反応生
成物を重合釜に供給し、ビス(2−ヒドロキシエチル)
アジペート/エチレングリコール(以下ADEと称す)
=2/1の溶液15.8部(8モル%対全酸成分)を添
加し、さらにトリメチルフォスフェイトを全酸成分に対
して0.06重量%、三酸化アンチモン及び艶消剤とし
て酸化チタンを、生成ポリエステルに対して0.04重
量%及び0.5重量%となるよう各々エチレングリコー
ル溶液または分散液として加え、反応温度280℃で重
縮合反応を行い、ポリエステルポリマーを得た。このポ
リマーのガラス転移温度及び融点を表1に示した。さら
に、このポリマーを常法にて乾燥し、孔径0.25mm
の円形紡糸孔を36個有する紡糸口金を通して280℃
にて溶融紡糸し、吐出糸条を冷却固化した後に油剤を付
与し、1,400m/分の巻取速度で巻取り、未延伸糸
を得た。次いで、この未延伸糸を常法に従って約3倍に
延伸した後に熱板を通し110℃の熱処理をし、600
m/分の速度で巻取り、75デニール/36フィラメン
トのマルチフィラメントを得た。得られた繊維の強度、
伸度、強度×√伸度、繊維の密度、BWS、120℃熱
水収縮率及びカチオン可染性を表1に示したが、良好な
強度伸度特性と収縮特性、及びやや良好なカチオン可染
性を有しており、カチオン可染型高収縮繊維として使用
可能であった。
のDMS及びADEの共重合量を変更して、表1のよう
な物性のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施
例1と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いで、この未延
伸糸を常法に従って2.5〜3倍に延伸、熱板による1
10℃の熱処理をし、600m/分の速度で巻取り、伸
度25〜30%の75デニール/36フィラメントのマ
ルチフィラメントを得た。得られた繊維の物性を表1に
示したが、強度伸度特性、120℃熱水収縮率、カチオ
ン可染性いずれもやや良好以上で、カチオン可染型高収
縮繊維として使用可能であった。
MS及びADEの共重合量を変更して、表1のような物
性のポリエステルポリマーを得た。さらに、このポリマ
ーを実施例1〜8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次い
で、この未延伸糸を常法に従って2.5倍に延伸、実施
例1〜8と異なり熱板による熱処理をせず、600m/
分の速度で巻取り、伸度34%の75デニール/36フ
ィラメントのマルチフィラメントを得た。得られた繊維
の物性を表1に示したが、BWSは高かったが、120
℃熱水収縮率は低く、高収縮糸としての使用は不可能で
あった。
MS及びADEの共重合量を変更し、表1のような物性
のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施例1〜
8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いでこの未延伸糸
を常法に従って2.5倍に延伸、熱板による110℃の
熱処理をし、600m/分の速度で巻取、伸度31%の
75デニール/36フィラメントのマルチフィラメント
を得た。得られた繊維の物性を表1に示したが、BWS
及び120℃熱水収縮率は低く、高収縮糸としての使用
は不可能であった。
MS及びADEの共重合量を変更して表1のような物性
のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施例1〜
8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いでこの未延伸糸
を常法に従って3倍に延伸、熱板による110℃の熱処
理をし、600m/分の速度で巻取、伸度32%の75
デニール/36フィラメントのマルチフィラメントを得
た。得られた繊維の物性を表1に示したが、カチオン可
染性が不十分で、カチオン可染糸としての使用は不可能
であった。
MS及びADEの共重合量を変更して表1のような熱物
性のポリエステルポリマーを得た。さらに、このポリマ
ーを実施例1〜8と同様に紡糸して未延伸糸を得、常法
に従って延伸を試みたが、ポリマーのガラス転移温度が
27℃と室温並であるため、未延伸糸のフィラメント間
で融着が起こり、解舒することができず、延伸糸を得る
ことができなかった。
テル繊維は、カチオン染料により染色可能なだけでな
く、高温処理した後でも潜在収縮力が残存し、最終的な
布帛においても充分な風合効果が得られるような高収縮
性能を有し、しかも繊維の強度・伸度特性にも優れたカ
チオン可染型高収縮ポリエステル繊維として広く利用可
能である。
率の例を示すグラフである。
を施すための熱処理装置の概略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ジカルボン酸成分として、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸成分を0.8〜1.8モル%、ア
ジピン酸成分を7〜17モル%共重合し、繰り返し単位
の81.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレート
であるポリエステルからなり、下記の要件(a),
(b)を満足することを特徴とするカチオン可染性ポリ
エステル繊維。 (a)繊維の密度が1.372以下であること。 (b)DS×√DE≧20であること。(但し、DSは
繊維強度(g/d)、DEは破断伸度(%)を示す) - 【請求項2】 120℃熱水収縮率が9%以上であるこ
とを特徴とする請求項1記載のカチオン可染性ポリエス
テル繊維。(但し、120℃熱水収縮率は、繊維を0.
07g/dの張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の
熱処理を施した後の、高圧下120℃の熱水で60分間
処理した時の収縮率である。) - 【請求項3】 繰り返し単位の81.2〜92.2モル
%がエチレンテレフタレートであり、ジカルボン酸成分
として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を0.
8〜1.8モル%、アジピン酸成分を7〜17モル%共
重合したポリエステルを、紡速1,200〜3,000
m/分の速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25
%〜35%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の
熱板で熱セットすることを特徴とするカチオン可染性ポ
リエステル繊維の製造方法。
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---|---|---|---|
JP25253897A JP3540561B2 (ja) | 1997-07-22 | 1997-09-17 | カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法 |
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JP2014005578A (ja) * | 2012-06-27 | 2014-01-16 | Kuraray Co Ltd | 複合繊維及び該複合繊維より得られる極細カチオン可染ポリエステル繊維 |
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1997
- 1997-09-17 JP JP25253897A patent/JP3540561B2/ja not_active Expired - Lifetime
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