JPH1193020A - カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法

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JPH1193020A
JPH1193020A JP25253897A JP25253897A JPH1193020A JP H1193020 A JPH1193020 A JP H1193020A JP 25253897 A JP25253897 A JP 25253897A JP 25253897 A JP25253897 A JP 25253897A JP H1193020 A JPH1193020 A JP H1193020A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カチオン染料により染色可能で、かつ高温処
理したのちでも潜在収縮力が残存し、最終的な布帛にお
いても高い風合効果を有するポリエステル繊維を得る。 【解決手段】 ジカルボン酸成分として、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸成分を0.8〜1.8モル%、ア
ジピン酸成分を7〜17モル%共重合し、繰り返し単位
の81.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレート
であるポリエステルを、紡速1,200〜3,000m
/分の速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25%
〜35%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の熱
板で熱セットして得られ、(a)その密度が1.372
以下で、(b)繊維強度(g/d)と破断伸度(%)の
平方根との積が20以上であるポリエステル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カチオン染料によ
り染色可能なだけでなく、高温処理した後でも潜在収縮
力が残存し、最終的な布帛においても充分な風合効果が
得られるような高収縮性能を有し、しかも繊維の強度・
伸度特性にも優れるカチオン可染性改質ポリエステル繊
維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、特にポリエチレンテ
レフタレート繊維は、耐熱性、耐薬品性及び機械的性質
などに優れているので、衣料用途や産業用途に広く利用
されている。しかしながらその反面、ポリエチレンテレ
フタレート繊維は他の繊維と比較して、繊維構造が強固
であるため、染色は高温高圧下で行わねばならないとい
う短所を持っている。
【0003】ポリエステルの染色性改良の目的で、ポリ
エステルポリマーの改質により染色性を向上させる方法
は数多く検討されている。例えば、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸成分をポリエステルに共重合させること
により、鮮明性の高いカチオン染料で染色する方法が知
られている(特公昭34−10497号公報参照)。更
に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分等のカチオ
ン可染成分に加えて、アジピン酸、イソフタル酸等他の
成分を共重合することにより、常圧でカチオン染料にも
染色可能なポリエステル繊維も得られている。例えば、
特公昭57−32139号公報では、金属スルホネート
基含有イソフタル酸に加えて、ランダム共重合タイプの
ジカルボン酸を共重合成分にすることにより、カチオン
染料に常圧染色可能なポリエステル繊維を得ている。ま
た、特開平8−269820号公報では、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸成分とアジピン酸成分を共重合し
たポリマーを、巻取速度5500〜9000m/分の高
速で紡糸することにより、分散染料及びカチオン染料に
常圧染色可能なポリエステル繊維を得ている。
【0004】一方、近年の消費者ニーズの多様化の中
で、上記例のようにカチオン染料に染色可能な性能に加
えて、高収縮性能を有するいわゆるカチオン可染型高収
縮性ポリエステル繊維への要求が高まってきた。高収縮
繊維とは、2本以上の糸条を流体処理、あるいは合糸に
より嵩高糸や潜在捲縮糸を得るときに、その特徴をより
大きくするために収縮率の異なった原糸を用いるのであ
るが、この時の収縮率の大きい原糸を言う。
【0005】カチオン可染型高収縮性ポリエステル繊維
のこれまでの例としては、特公昭58−30412号公
報に示されたメタ・ソジウムスルホイソフタル酸成分を
3モル%以上、かつ他の共重合成分とメタ・スルホイソ
フタル酸成分の合計が5〜20モル%の共重合ポリエス
テルの高収縮繊維がある。しかし、この繊維はステープ
ルファイバーであり、該ポリマーをフィラメントにした
場合には、メタ・ソジウムスルホイソフタル酸成分の共
重合量が多すぎる為、ポリエステルフィラメントとして
は繊維強度が不十分になってしまう。
【0006】一方、通常のポリエステル繊維から収縮率
の大きい原糸を得る方法として延撚工程に於いて熱セッ
トを施さない方法があり、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸を共重合したカチオン可染型改質ポリエステル繊
維についても、この方法で収縮率を大きくすることが可
能である。しかしながら、近年の工程合理化技術では特
に糸を布帛にする際の高速化が要望されており、そのた
め各工程における熱処理も高温の条件が採用されてい
る。例えば、糊付工程ではその乾燥工程の効率アップの
ため100℃〜150℃といった乾燥温度が用いられて
おり、その他撚止セット、WJL製織による生機乾燥等
の工程で高温の条件を採用し、工程の高速化に対応して
いるのが現状である。しかるに、従来の公知の手法で作
ったカチオン可染型高収縮ポリエステル糸はこういった
高温処理により、潜在収縮力が発現しきってしまい、そ
の後の例えば染色仕上げ工程での熱処理では目的とする
収縮力が発現せず、いわゆるヘタリのある布帛しか得ら
れないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、カチ
オン染料により染色可能なだけでなく、高温処理した後
でも潜在収縮力が残存し最終布帛で充分な風合効果が得
られるような高収縮性能を有し、しかも繊維の強度・伸
度特性にも優れているカチオン可染性ポリエステル繊維
及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記本発明の課題は、ジ
カルボン酸成分として、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸成分を0.8〜1.8モル%、アジピン酸成分を7
〜17モル%共重合し、繰り返し単位の81.2〜9
2.2モル%がエチレンテレフタレートであるポリエス
テルからなり、下記の要件(a),(b)を満足するこ
とを特徴とするカチオン可染性ポリエステル繊維、及び
上記ポリエステルを、1,200〜3,000m/分の
速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35
%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱
セットすることを特徴とするカチオン可染性ポリエステ
ル繊維の製造方法によって解決することができる。 (a)繊維の密度が1.372以下であること。 (b)DS×√DE≧20であること。(但し、DSは
繊維強度(g/d)、DEは破断伸度(%)を示す) また、この繊維の120℃熱水収縮率(繊維を0.07
g/dの張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処
理を施した後の高圧下120℃の熱水で60分間処理し
たときの収縮率)が9%以上であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明におけるポリエステルポリマーについて説
明する。本発明でのポリエステルは、繰り返し単位の8
1.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレートであ
り、ジカルボン酸成分として、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸が0.8〜1.8モル%、アジピン酸が7〜
17モル%共重合されたものである。
【0010】カチオン可染型ポリエステル繊維のカチオ
ン可染性は、ダイサイトである5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸の共重合量に依存する。しかしながら、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合が多すぎると、
100%ポリエチレンテレフタレート繊維と比較して繊
維強度が大きく低下してしまい、加工工程を限定せざる
をえなくなる。このことから、本発明者等は5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸の共重合量を極力減らすことを
考えた。そこで、従来のカチオン可染型ポリエステル繊
維のカチオン可染性と十分な繊維強度を維持するため
に、アジピン酸を共重合することを考えた。ポリエステ
ルの染色温度は、通常高圧下の120〜130℃であ
り、従来のカチオン可染型ポリエステル繊維についても
同様である。120〜130℃での高圧染色では確か
に、100℃の常圧染色と比較した場合には、染色レベ
ルは十分に上がっているが、染着座席の全てが埋まって
いる状態ではない。すなわち、アジピン酸のような屈曲
性のモノマーの共重合により、100℃での常圧染色だ
けでなく、120〜130℃の高圧染色においても、染
色時にポリマー分子の運動性が活発化され、分子間空隙
部が多くなり、その結果染料分子の染着座席への到達確
率が高くなり、染料反応率即ち染色性が上がる。我々は
上記の事実を突き止め、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸の共重合量を減らしても、アジピン酸のような屈曲
性のモノマーを追加することにより、染色性を維持でき
ることを確認した。
【0011】そして、本発明のポリエステル繊維を良好
に製造するためには、ポリエチレンテレフタレートへの
アジピン酸成分の共重合量を7〜17モル%にする必要
がある。アジピン酸成分の共重合量が7モル%未満であ
ると、120℃熱水収縮率(繊維を0.07g/dの張
力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施した
後の、高圧下120℃の熱水で60分間処理した時の収
縮率)が9%未満となり、繊維製織後の実際の染色仕上
工程における熱処理で目的とする収縮力が発現せず、ふ
くらみ感のある布帛が得られない。一方、アジピン酸の
共重合量が17モル%を越えると、ポリエステルポリマ
ーのガラス転移温度が著しく低下し、紡糸した後の未延
伸糸のフィラメント間で融着を起こし、未延伸糸を解舒
できず延伸糸とすることが不可能になる。
【0012】また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
成分の共重合量は0.8〜1.8モル%にする必要があ
る。5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分の共重合量
が1.8モル%を越えると、本発明のポリエステル繊維
の繊維強度と破断伸度の平方根との積が20未満とな
り、製織工程等での擦過に耐えられなくなり、糸切れ及
び毛羽の発生といったトラブルの原因となる。0.8モ
ル%未満であると、実用上カチオン染色が不可能なレベ
ルまでカチオン可染性が低下する。
【0013】本発明において、共重合させるアジピン酸
成分は、ポリエステルポリマーを合成する任意の段階に
おいて添加できるが、テレフタル酸とエチレングリコー
ルとのエステル化反応開始時にアジピン酸の粉体を添加
する方法、およびテレフタル酸とエチレングリコールと
のエステル化反応によって、またはジメチルテレフタレ
ートとエチレングリコールとのエステル交換反応によっ
て得られるビスヒドロキシエチルテレフタレートに、ア
ジピン酸またはビス(2−ヒドロキシ)アジペートの分
散液または溶液として添加する方法が一般的である。ま
た、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分について
も、アジピン酸と同様にポリマーを合成する任意の段階
で添加でき、テレフタル酸とエチレングリコールとのエ
ステル化反応開始時に5−ナトリウムスルホイソフタル
酸の粉体を添加する方法、及びジメチルテレフタレート
とエチレングリコールとのエステル交換反応開始時にそ
れのジメチルエステルとして添加する方法が一般的であ
る。なお、本発明のポリエステル繊維を得るためのポリ
エステルポリマーには、適当な艶消剤、易滑剤、顔料等
の添加剤が含有されていてもよい。
【0014】次に、上述のポリエステルポリマーから本
発明のポリエステル繊維を製造する方法について説明す
る。本発明のポリエステル繊維を得るための製造方法
は、紡速1,200〜3,000m/分の速度で紡糸し
て未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35%になる倍率
で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱セットする方
法である必要があり、以下にその理由を示す。紡速が
1,200m/分未満であると生産性の低下を招き、
3,000m/分を越えると巻取りが困難になる。ま
た、延伸倍率については、残留伸度が25%未満になる
延伸倍率では、延伸工程における糸切れが多発し、残留
伸度が35%を越える延伸倍率では、十分な構造歪を発
生できず、繊維の収縮特性の低下を招く。熱セット温度
については、100℃未満であると、製品の熱による品
質が不安定化し、150℃以上であると、繊維の収縮特
性の低下を招く。
【0015】さらに、このようにして製造されたポリエ
ステル繊維は、まず(a)その密度が1.372以下で
なければならない。密度が1.372を越えることは、
後述のように紡糸および延伸工程において発生する構造
歪が十分でないことを意味し、仕上工程等における熱処
理で収縮力が得られなくなる。また、得られたポリエス
テル繊維の強度、DS(g/d)と伸度、DE(%)の
平方根との積(DS×√DE)が20以上である必要が
ある。この値が20未満では、製織工程等での擦過に耐
えられなくなり、糸切れ及び毛羽の発生といったトラブ
ルの原因となる。また、得られた繊維を0.07g/d
の張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施
したのち、この繊維を高圧下120℃の熱水で60分間
処理したときの収縮率(120℃熱水収縮率)が9%以
上であることが好ましい。この120℃熱水収縮率が9
%未満では、仕上工程等での熱処理において目的とする
収縮力が得られず、ふくらみ感のある布帛が得られなく
なる。
【0016】さらに本発明のポリエステル繊維は、中空
部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空
繊維であってもよく、また、繊維の断面形状や中空部の
形状は円形であっても異形であってもよい。
【0017】このようにして得られた本発明のポリエス
テル繊維は、糊付工程、染色工程などの種々の仕上工程
での100℃を越える高温の熱処理を受けても、高い潜
在収縮力を残しており、最終の布帛で十分な風合を有す
るものとなる。以下、その理由を詳しく説明する。
【0018】本発明者等は、通常の5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸のみを共重合したポリエステルから公知
の手法で得られた高収縮糸を用いると、その熱収縮挙動
が図1のグラフのに示す様な挙動であることをつきと
めた。この時の収縮挙動は、まず試料を綛の状態にし、
その一端を固定フックに掛け、その下端に0.05g/
dの荷重を掛け、綛の全長(1)を測定する。次にその
状態のまま乾熱ルームにより100℃×1分の熱処理を
施し、その綛長(11)を測定する。更にこの試料を1
25℃×1分の処理をし綛長(12)を測定する。以下
同様に150℃×1分(13)、175℃×1分
(14)、200℃×1分(15)の時の綛長をそれぞれ
測定し、収縮率(%)=(1−115/1)×100の
式により各々温度処理時の収縮率を測定する。図1のグ
ラフのに示したように、延伸工程において熱セットを
施さない方法で得られた従来糸は、100℃以下の収縮
率は高いが、それ以上の各温度での収縮率は低くなって
いる。すなわち、実際の製織準備工程である糊付工程な
どの乾燥時に、例えば125℃の熱処理を受けると、2
00℃迄の残留収縮量は僅か4%内外であることが理解
できる。
【0019】一方、本発明のポリエステル繊維について
同様に収縮挙動を測定したところ、図1のグラフのの
様な傾向を示した。これによると、125℃の熱を受け
た後200℃まで昇温する場合でも、さらに10%強の
収縮率を得ていることがわかる。本発明のポリエステル
繊維が図1のグラフのに示されるような収縮挙動を示
すことは、120℃熱水収縮率(繊維を0.07g/d
の張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の熱処理を施
した後の、高圧下120℃の熱水で60分間処理をした
時の収縮率)が9%以上であることに対応している。
【0020】このように、ポリエステル繊維の120℃
熱水収縮率が9%以上であることは、図1のグラフの
に示されるように、十分な潜在収縮力を残していること
になり、これによって、製織後の実際の染色仕上工程に
おける熱処理で目的とする収縮力が発現でき、ふくらみ
感のある布帛が得られることになる。本発明において、
ポリエステル繊維の収縮特性が向上するのは、共重合に
より繊維を構成するポリマー構造が乱れ、紡糸及び延伸
工程において発生する構造歪が大きくなるためである。
すなわち、アジピン酸の共重合量を高くすることによっ
て、紡速1,200〜3,000m/分の速度で紡糸し
て未延伸糸とし、残留伸度が25%〜35%になる倍率
で延伸し、100℃〜150℃の熱板で熱セットして得
た繊維の密度を1.372以下にすることができ、収縮
特性の起因となる構造歪を十分に大きくできるのであ
る。該繊維の密度が1.372以下であることは、紡糸
及び延伸工程において発生する構造歪を十分大きくする
ことを意味しており、昇温収縮挙動は図1のグラフの
のようになり、製織後の実際の染色仕上工程における熱
処理で目的とする収縮力を発現でき、ふくらみ感のある
布帛が得られることとなる。
【0021】また、本発明のポリエステル繊維は、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸成分の共重合によって、
カチオン染料により良好に染色可能となる。さらに、本
発明のポリエステル繊維は、加工工程での強度低下も小
さく、製織後の残留収縮力も大きいことから、流体処理
などによる混織嵩高糸や潜在捲縮糸を得る際のカチオン
可染型高収縮成分として好適である。
【0022】(実施例)以下、実施例により本発明をさ
らに具体的に説明する。なお、実施例中の部は重量部を
意味し、また、表中の○、△、×の印は各々、良好、や
や良好、不良であることを示す。 (ガラス転移温度及び融点)セイコー電子工業社製DS
C220を用いて、昇温速度10℃/分で測定した値で
ある。 (繊維の強度及び伸度)島津製作所社製オートグラフS
D−100−Cを用いて、試料長200mm、引張速度
200mm/分で応力−伸長曲線を測定し、繊維の破断
点の強度及び伸度を求めた。 (繊維の熱水収縮率(BWS))原糸を綛取し、0.0
5g/dの荷重下での綛長がL0の試料を、無荷重下沸
騰水中(100℃)で30分間処理し、処理前と同荷重
での綛長L1を求め、以下の式により算出した。 BWS(%)=(L0−L1/L0)×100
【0023】(繊維の密度)繊維を200〜300dの
束にして結び目を作り両端を切断して密度測定用試料と
し、該試料を30℃でn−ヘプタン/四塩化炭素系の密
度勾配管に投入し測定した値である。 (120℃熱水収縮率)張力0.07g/d、温度12
0℃、時間0.2秒での熱処理を、図2に示すように行
った。すなわち、パーン1から送り出されたポリエステ
ル繊維2を供給ローラ3に巻回したのち、120℃の温
度に加熱された熱板4の表面に接触させつつ走行させ、
巻取ローラ5に巻回して巻き取るようにし、供給ローラ
3の回転速度によりも巻取ローラ5の回転速度をわずか
に遅くする方法によって行い、熱処理された繊維を綛取
し、0.05g/dの荷重下での綛長がL0の試料を、
高圧下熱水中(120℃)で30分間処理し、処理前と
同荷重での綛長L1を求め、以下の式により算出し た。 120℃熱水収縮率(%)=(L0−L1/L0)×10
【0024】(カチオン可染性)繊維の筒編地を以下の
条件で染色し、比較例1に示した従来のカチオン可染型
高収縮糸と比較して染色レベルを評価した。 染色条件 染料 Astrazon Blue 3RL 3%owf 助剤 Disper TL 0.2g/l Disper VG 0.5g/l 中和剤 Ultra MT−N2 0.5g/l 浴比 1/100 染色温度×時間 120℃×60分
【0025】(実施例1)ジメチルテレフタレート(以
下DMTと称す)100部、5−ナトリウムスルホキシ
ジメチルイソフタレート(以下DMSと称す)1.68
部(1.0モル%対全酸成分)、エチレングリコール7
5部をエステル交換釜に仕込み、150〜230℃にて
エステル交換反応を行った。引き続き、得られた反応生
成物を重合釜に供給し、ビス(2−ヒドロキシエチル)
アジペート/エチレングリコール(以下ADEと称す)
=2/1の溶液15.8部(8モル%対全酸成分)を添
加し、さらにトリメチルフォスフェイトを全酸成分に対
して0.06重量%、三酸化アンチモン及び艶消剤とし
て酸化チタンを、生成ポリエステルに対して0.04重
量%及び0.5重量%となるよう各々エチレングリコー
ル溶液または分散液として加え、反応温度280℃で重
縮合反応を行い、ポリエステルポリマーを得た。このポ
リマーのガラス転移温度及び融点を表1に示した。さら
に、このポリマーを常法にて乾燥し、孔径0.25mm
の円形紡糸孔を36個有する紡糸口金を通して280℃
にて溶融紡糸し、吐出糸条を冷却固化した後に油剤を付
与し、1,400m/分の巻取速度で巻取り、未延伸糸
を得た。次いで、この未延伸糸を常法に従って約3倍に
延伸した後に熱板を通し110℃の熱処理をし、600
m/分の速度で巻取り、75デニール/36フィラメン
トのマルチフィラメントを得た。得られた繊維の強度、
伸度、強度×√伸度、繊維の密度、BWS、120℃熱
水収縮率及びカチオン可染性を表1に示したが、良好な
強度伸度特性と収縮特性、及びやや良好なカチオン可染
性を有しており、カチオン可染型高収縮繊維として使用
可能であった。
【0026】(実施例2〜8)ポリエステルポリマーへ
のDMS及びADEの共重合量を変更して、表1のよう
な物性のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施
例1と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いで、この未延
伸糸を常法に従って2.5〜3倍に延伸、熱板による1
10℃の熱処理をし、600m/分の速度で巻取り、伸
度25〜30%の75デニール/36フィラメントのマ
ルチフィラメントを得た。得られた繊維の物性を表1に
示したが、強度伸度特性、120℃熱水収縮率、カチオ
ン可染性いずれもやや良好以上で、カチオン可染型高収
縮繊維として使用可能であった。
【0027】(比較例1)ポリエステルポリマーへのD
MS及びADEの共重合量を変更して、表1のような物
性のポリエステルポリマーを得た。さらに、このポリマ
ーを実施例1〜8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次い
で、この未延伸糸を常法に従って2.5倍に延伸、実施
例1〜8と異なり熱板による熱処理をせず、600m/
分の速度で巻取り、伸度34%の75デニール/36フ
ィラメントのマルチフィラメントを得た。得られた繊維
の物性を表1に示したが、BWSは高かったが、120
℃熱水収縮率は低く、高収縮糸としての使用は不可能で
あった。
【0028】(比較例2)ポリエステルポリマーへのD
MS及びADEの共重合量を変更し、表1のような物性
のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施例1〜
8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いでこの未延伸糸
を常法に従って2.5倍に延伸、熱板による110℃の
熱処理をし、600m/分の速度で巻取、伸度31%の
75デニール/36フィラメントのマルチフィラメント
を得た。得られた繊維の物性を表1に示したが、BWS
及び120℃熱水収縮率は低く、高収縮糸としての使用
は不可能であった。
【0029】(比較例3)ポリエステルポリマーへのD
MS及びADEの共重合量を変更して表1のような物性
のポリマーを得た。さらに、このポリマーを実施例1〜
8と同様に紡糸して未延伸糸を得、次いでこの未延伸糸
を常法に従って3倍に延伸、熱板による110℃の熱処
理をし、600m/分の速度で巻取、伸度32%の75
デニール/36フィラメントのマルチフィラメントを得
た。得られた繊維の物性を表1に示したが、カチオン可
染性が不十分で、カチオン可染糸としての使用は不可能
であった。
【0030】(比較例4)ポリエステルポリマーへのD
MS及びADEの共重合量を変更して表1のような熱物
性のポリエステルポリマーを得た。さらに、このポリマ
ーを実施例1〜8と同様に紡糸して未延伸糸を得、常法
に従って延伸を試みたが、ポリマーのガラス転移温度が
27℃と室温並であるため、未延伸糸のフィラメント間
で融着が起こり、解舒することができず、延伸糸を得る
ことができなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリエス
テル繊維は、カチオン染料により染色可能なだけでな
く、高温処理した後でも潜在収縮力が残存し、最終的な
布帛においても充分な風合効果が得られるような高収縮
性能を有し、しかも繊維の強度・伸度特性にも優れたカ
チオン可染型高収縮ポリエステル繊維として広く利用可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乾熱昇温過程におけるポリエステル糸の収縮
率の例を示すグラフである。
【図2】 120℃熱水収縮率測定用試料に予め熱処理
を施すための熱処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 パーン 2 ポリエステル繊維 3 供給ローラ 4 熱板 5 巻取ローラ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分として、5−ナトリウ
    ムスルホイソフタル酸成分を0.8〜1.8モル%、ア
    ジピン酸成分を7〜17モル%共重合し、繰り返し単位
    の81.2〜92.2モル%がエチレンテレフタレート
    であるポリエステルからなり、下記の要件(a),
    (b)を満足することを特徴とするカチオン可染性ポリ
    エステル繊維。 (a)繊維の密度が1.372以下であること。 (b)DS×√DE≧20であること。(但し、DSは
    繊維強度(g/d)、DEは破断伸度(%)を示す)
  2. 【請求項2】 120℃熱水収縮率が9%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のカチオン可染性ポリエス
    テル繊維。(但し、120℃熱水収縮率は、繊維を0.
    07g/dの張力下、乾熱温度120℃で0.2秒間の
    熱処理を施した後の、高圧下120℃の熱水で60分間
    処理した時の収縮率である。)
  3. 【請求項3】 繰り返し単位の81.2〜92.2モル
    %がエチレンテレフタレートであり、ジカルボン酸成分
    として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を0.
    8〜1.8モル%、アジピン酸成分を7〜17モル%共
    重合したポリエステルを、紡速1,200〜3,000
    m/分の速度で紡糸して未延伸糸とし、残留伸度が25
    %〜35%になる倍率で延伸し、100℃〜150℃の
    熱板で熱セットすることを特徴とするカチオン可染性ポ
    リエステル繊維の製造方法。
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