JPH1192987A - めっき液およびこれを用いた電気めっき方法ならびに物品 - Google Patents

めっき液およびこれを用いた電気めっき方法ならびに物品

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JPH1192987A
JPH1192987A JP25309597A JP25309597A JPH1192987A JP H1192987 A JPH1192987 A JP H1192987A JP 25309597 A JP25309597 A JP 25309597A JP 25309597 A JP25309597 A JP 25309597A JP H1192987 A JPH1192987 A JP H1192987A
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plated
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oxidizing agent
plating
electrode potential
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Satoru Nakagawa
哲 中川
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】目的とする部分の形状が溝(長尺路)、穴等の
ような凹部の内部、間隙部である被めっき体に対して目
的物質を析出させ充填を行う場合や、電気めっきによっ
て析出した目的物質により複数の被めっき体同士を接合
する場合に有効なめっき液、およびこれを用いた電気め
っき方法、ならびに物品の提供。 【解決手段】電気めっきによって被めっき体の表面上に
析出させるべき目的物質のイオン、および該目的物質の
イオンが還元されて析出する際の標準電極電位より標準
電極電位が大きい酸化剤を含有するめっき液、該めっき
液を使用する電気めっき方法、該電気めっき方法により
めっきされた物品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電体、または目
的とする部分に導電性を付与した不導体表面等の目的箇
所に選択的に、金属または非金属の目的物質を電解によ
って析出させて被覆するためのめっき液、およびこれを
用いた電気めっき方法、ならびに物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気めっきにおいては、目的物質
である金属或いは非金属の、イオン或いは錯イオンを主
成分として、界面活性剤等の添加剤を混合した電気めっ
き液等を使用し、更に、めっきの均一性を高めるために
めっき槽内の一カ所或いは複数の場所に設置された攪拌
子をモータ等によって回転させるか、ポンプ等で循環さ
せるなどの手段により電気めっき液をめっき槽内で全体
的に循環させる方法が用いられていた。
【0003】この際に使用される電気めっき液の種類と
しては、例えば銅の電気めっきの場合には、硫酸銅系め
っき液、シアン化銅系めっき液、ピロ燐酸銅系めっき液
等が一般的に用いられるめっき液であり、硫酸銅系めっ
き液の場合を例として主な組成の一例をあげれば、目的
物質である銅の2価のイオン或いは錯イオン、硫酸、ナ
フタレンスルホン酸ナトリウム等の少量の平滑剤、少量
の界面活性剤、及び水から成っている。
【0004】しかしながら、以上のような従来の電気め
っき方法においては、めっきの形成状態が被めっき体の
幾何学的形状に大きく影響を受けることが知られてい
る。すなわち、図8に断面を示すように表面81に凹凸
のある導電体の被めっき体82に電気めっきを行った場
合、一般的に凸部83への電流集中および凹部84での
溶液循環不良による目的物質のイオンの減少のために、
凹部84に析出する目的物質85に比べて凸部83に析
出する目的物質86が多くなる。
【0005】従来、このような、被めっき体表面の凸部
へのめっき金属の析出の集中を回避してめっき厚みの均
一化をはかるために、溶液の撹拌に加えて、各種の平滑
剤を電気めっき液に添加する方法や、電気めっき装置の
電流変化を制御する等の方法が用いられていたが、これ
らの方法は、数μm程度以下の微細な凹凸の平滑化が対
象であった。
【0006】しかしながら、図9に被めっき体91の断
面図を示すように、表面92に形成された深さ数十μm
程度以上で幅に対して深さの方が大である溝93の内部
に目的物質を析出させ充填を行おうとする場合や、図1
に示すように複数の被めっき体11、12の間隙部13
に目的物質を析出させることで、電気めっきによって該
被めっき体同士を接合しようとする場合などでは、凹部
への目的物質の析出の割合が凸部への析出の割合より大
きくなることが必要であるため、従来の電気めっき方法
ではこのような目的を達成することが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、目的箇所の
みに選択的にめっきを行なう場合、例えば、目的とする
部分の形状が溝(長尺路)、穴等のような凹部の内部、
間隙部である被めっき体に対して目的物質を析出させ充
填を行う場合や、電気めっきによって析出した目的物質
により複数の被めっき体同士を接合する場合に好適に使
用できる新規なめっき液およびこれを用いた電気めっき
方法、ならびに該めっき方法により形成される電気伝導
路を有する物品、あるいは前記めっき方法により接合さ
れた物品を提供しようとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、電
気めっきによって被めっき体の表面上に析出させるべき
目的物質のイオン、および該目的物質のイオンが還元さ
れて析出する際の標準電極電位より標準電極電位が大き
い酸化剤を含有するめっき液を提供する。ここで、該酸
化剤の濃度が該目的物質のイオンの濃度に対して0.1
%から200%であるのが好ましい。また、本発明は、
電気めっきによって被めっき体の表面上に析出する目的
物質のイオン、および、該目的物質のイオンが還元され
て析出する際の標準電極電位より標準電極電位が大きい
酸化剤を含有するめっき液を用いて、被めっき体の表面
上に存在するめっきすべき場所とめっきすべきでない場
所において、該めっき液を異なる流れの速度で供給し、
該目的物質を被めっき体に電気めっきすることを特徴と
する電気めっき方法を提供する。ここで、該酸化剤の濃
度が該目的物質のイオンの濃度に対して0.1%から2
00%であり、また目的物質により還元された該酸化剤
がめっき液中から析出する際の標準電極電位が、水素の
標準電極電位より小さいことが好ましい。さらに、本発
明は被めっき体の表面凹部に目的物質が上記の電気めっ
き方法により充填され、ほぼ均一な表面であることを特
徴とする電気めっきされた物品を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下において本発明を詳細に説明
する。本発明のめっき液は、少なくとも目的物質のイオ
ンと酸化剤を含有する。この2成分を必須成分として含
有することにより被めっき体表面の不要箇所への被覆を
抑え、目的箇所のみへの選択的めっきを可能とする。
【0010】本発明の好ましい態様において、目的物質
は、銅、銀入り銅、クロム銅、ジルコニウム銅、スズ入
り銅等の銅合金、銀、鉄、ニッケル、クロム、錫等の金
属或いは、ポリアニリン等の非金属であり、銅または銅
の合金であるのが好ましい。これら目的物質は、めっき
液中にはイオン或いは錯イオンの形態で含有される。め
っき液中の目的物質のイオン濃度は0.01mol /L〜
100mol /L程度であり、より好ましくは、0.1mo
l /L〜10mol /L程度である。
【0011】また、酸化剤(E)は、Ey+ /Ex+の標
準電極電位が目的物質(M)のM/Mm+の標準電極電位
よりが大きく、E/Ey+ の標準電極電位が、水素のH
2 /H+ の標準電極電位より小さい物質である。なお、
ここでは以下のような関係があるものとして説明する。 Ex++(x−y)e- → Ey+、Ey+ +ye- → E(↓) Mm++me- → M(↓) 酸化剤としては、鉄(III)イオン、セリウム(IV) イオ
ン等が挙げられ、このうち鉄(III)イオンが好適例とし
て挙げられる。
【0012】めっき液中に、目的物質(M)のM/Mm+
の標準電極電位よりEy+/Ex+の標準電極電位が大きい
酸化剤(E)を添加した場合、被めっき体表面では目的
物質の析出反応と平行して目的物質の溶解反応も生じる
ことになる。このため析出反応と溶解反応を制御するこ
とにより、めっきの調節を行なうことが可能である。
【0013】また、酸化剤(E)として、E/Ey+の標
準電極電位が、水素のH2 /H+ の標準電極電位より小
さい物質を用いることにより、該酸化剤の還元生成物が
目的物質とともに析出して不純物となるのを防ぐことが
できる。
【0014】本発明の原理は詳しくは以下のように考え
られる。めっき液中に存在する析出させるべき目的物質
のイオンをMm+、酸化剤をEx+として説明する。通常、
電気めっき時の陰極側は、めっき液中のMm+の還元反応
(式(1))が進み目的物質Mが析出してくる。 Mm++me- → M(↓) (1) ところで、めっき液中に含まれているEx+の標準電極電
位がMより大きい標準電極電位を有する場合は式(2)
の反応が起こり、式(1)に従って電気めっきにより析
出したMがEy+により酸化されてイオン(Mm+)となり
再びめっき液中に溶け出し、それと同時に、Ex+は析出
した目的物質Mにより還元されてEy+となる(ただし、
m=nx−ny)。 M(↓)+nEx+ → Mm++nEy+ (2) ところで、Mを酸化した後のEy+がさらに還元されてE
として析出する時の標準電極電気が水素の標準電極電位
よりも大きい場合には、電気めっき時に陰極側で式
(3)の反応が起こる。 Ey++ye- → E(↓) (3) 当然、陰極側では式(1)の反応も同時進行しているの
で、MばかりでなくEも析出してしまう。ところが、E
y+がEとして析出するための標準電極電位が水素の標準
電極電位よりも小さい場合には、式(4)の反応が優先
するのでEは析出してこない。 2H+ +2e- → H2 (↑) (4) よって、Ex+の標準電極電位は目的物質の標準電極電位
より大きいことが必要であり、かつ、Eが析出する際の
標準電極電位は水素の標準電極電位(0.000V)よ
り小さいことが必要となる。実際、本発明に好適に使用
されうる目的物質のイオンである銅(II)イオンが、目
的物質である銅に還元されるときの標準電極電位は0.
337Vであり、酸化剤である鉄(III)イオンが鉄(I
I)イオン(Ey+に相当)に還元されるときの標準電極
電位は0.771Vであり、鉄(II)イオンが鉄(Eに
相当)に還元されるときの標準電極電位は−0.440
Vであり上記条件を満たす。また酸化剤をセリウム(I
V)イオンとした場合、セリウム(IV)イオンがセリウ
ム(III)イオンに還元される時の標準電極電位は1.7
4Vであり、セリウム(III)イオンがセリウムに還元さ
れる時の標準電極電位は−2.335Vであり、上記条
件を満たす。
【0015】目的物質のイオン濃度に対する酸化剤のイ
オン濃度の割合は、0.1%〜200%程度が好まし
く、より好ましくは1%〜100%程度の範囲である。
【0016】さらに詳細に説明すると、一般的に電気め
っきによって目的物質を析出させる場合、図10に示す
ような現象が起こる。すなわち、攪拌によって生じるめ
っき液の流れの速度が大きいほど、析出量も多くなる。
また、一般的に目的物質に酸化剤を作用させて、イオン
化させることで前記目的物質を溶解させる場合、図11
に示すような現象が起こる。すなわち、攪拌によって生
じる酸化剤を含んだ溶液の流れの速度が大きいほど、溶
解する量が多くなる。ところで、めっき液に酸化剤が含
まれている場合はこれらの組み合わせとなり、図12に
示すような現象が起こる。すなわち、流れの速度の小さ
いところでは電気めっきによる目的物の析出が優先し、
流れの速度の大きいところでは目的物の溶出が優先する
ので、析出した目的物は成長することなくめっき液中に
溶解する。
【0017】本発明においては、被めっき体の表面上の
めっきすべき場所とめっきすべきでない場所で異なる流
れの速度を与えることにより、めっき液の補給速度に差
を生じさせる。流れの速度を変えるためには、適切な攪
拌方法或いはポンプ等によりめっき槽中のめっき溶液の
循環を行ってもよい。目的物質を析出させようとする部
分の内少なくとも一カ所の表面での流れの速度に比べ
て、析出を望まない部分の内少なくとも一カ所の表面で
の流れの速度を0.0001m/秒以上大きくすること
が好ましい。
【0018】未反応のめっき液の補給効率は、被めっき
体表面上でのめっき液の循環効率等に依存するため、め
っき槽内のポンプ或いは攪拌子の配置、もしくは水槽の
形状等を適正化して、被めっき体上での目的物質の析出
を抑制したい部分へ向かう流れの速度を、目的物質を析
出させたい部分へ向かう流れの速度より大きくすること
で、析出させたい部分に重点的に目的物質を析出させる
ことが可能となる。
【0019】流れの模式図13(矢印の長さはめっき液
の流れの速さをあらわすものとする)を用いて詳しく説
明する。凹部132とエッジ部133が被めっき体表面
131上に存在する被めっき体130を酸化剤の存在す
るめっき液が入っているめっき槽内に設置された攪拌子
をモータ等によって回転させるか、ポンプ等で循環させ
るなどの方法により、めっき液を凹部に対して垂直方向
(矢印の方向)に循環させた場合、エッジ部133に比
べ凹部132でのめっき液の流れの速さは小さくなる。
ここで、図12で説明したとおり、流れの速度の大きい
エッジ部133では式(1)の反応より式(3)の反応
が優先する。すなわち、めっきによって析出した目的物
が析出と同時に溶解するので、後述する比較例1のよう
な現象が起きずに実施例1のような現象がおきる。逆
に、流れの速度の小さい凹部132では式(3)の反応
より式(1)の反応が優先する。すなわち、めっきによ
り析出した目的物が溶解するよりも、析出の方が優先す
るので、後述する実施例1のような現象が起きる。
【0020】被めっき体は金属や、導電性樹脂、導電性
セラミック等の非金属、或いは表面等に部分的に導電性
を付与した誘電体等である。特に、被めっき体上に形成
された導電性を持つ長尺路、溝、穴及び間隙部等や、複
数の被めっき体をめっきにより接合する際の間隙部の充
填に有効である。本発明により従来不可能であった、断
面の凹部の縦横比が縦:横=1:2〜3:1、好ましく
は1:1〜2:1程度の比較的深い溝の内部を選択的に
目的物質で均一に充填することも可能となる。溝の深さ
は特に限定される物ではないが、10μm〜5mm、特
に10μm〜500μmが例示される。また、例えば図
1に示す様に、複数の被めっき体11、12を電気的に
接合しようとするときに本発明のめっき液を矢印15の
方向に流して電気めっきを行なえば、複数の被めっき体
の間隙部13で流れの速さが小さくなり間隙部を選択的
にめっきすることができる。このような複数の被めっき
体を接合する方法は、マイクロマシン等の小さなサイズ
のセンサを実装する際にも有用である。なお、本発明に
より選択的めっきが行なえる箇所の形状は凹部や間隙部
に限られず、平な面の一部のみに選択的にめっきを行な
う場合にも本発明が使用可能である。
【0021】本発明法により表面凹部が電気めっきさ
れ、ほぼ均一な表面であることを特徴とする物品として
は、例えばカテーテル、ガイドワイヤ、内視鏡などの医
療チューブを含む医療用器具、電気製品、電子部品、機
械部品、装飾品などが例示される。
【0022】本発明の電気めっき方法において、目的物
質を導電性物質とすれば被めっき体表面に微細な電気伝
導路を形成することができる。この電気伝導路は、本発
明の電気めっき方法を用いて形成されることにより、被
めっき体上の溝内部が導電性物質で均一に充填されたも
のであり、被めっき体と一体となっている。本発明によ
る電気伝導路は、導電性物質が均一に充填されているた
め導電性に優れ、さらに、被めっき体と一体となってい
るため被めっき体の表面を滑らかな状態に保つことがで
きる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。 (実施例1)銅を目的物質、鉄(III)イオンを酸化剤と
して、めっき液中に銅のアンミン錯イオンおよび鉄(II
I)イオンを生成させるために以下の組成に溶液を調製し
た。 (1) 硫酸銅(II)五水和物(CuSO4 ・5H2O) : 120g (2) 濃硫酸(98wt% H2SO4 ) : 250g (3) 濃アンモニア水(28wt% NH3aq ) : 150g (4) 塩化鉄(III)六水和物(FeCl3 ・6H2O) : 30g (5) 水(H2O ) : 650g (6) 非イオン系界面活性剤 : 少量
【0024】本電気めっき方法を使用して、被めっき体
に設けた微細な溝の内部に銅をめっきした。図2は、本
発明の実施例1における、被めっき体21の概略を示す
図であり、また、図3は本発明の実施例1における電気
めっき装置の構成の概略を示す図である。
【0025】該被めっき体21は、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂のシートの一部に、断面形状が一辺0.1
mmの正方形で長さが30mmの直線状の溝22を、
0.1mmの間隔を隔てて5本平行に形成した物であ
り、該溝の内面はあらかじめ蒸着等の手段で形成された
厚み数μm程度以下の銅の層23により導電化されてお
り、一方の端部でリード線24に導電的に接合されてい
る。
【0026】更に、図3に示すように、該被めっき体の
端部に設けた該リード線31を直流電源装置32の負極
側に接続し、白金線で形成した陽極33を正極側に接続
して、被めっき体および陽極を約30mmの距離をあけ
て対向させ、円筒形状に形成されためっき槽34に浸漬
した。
【0027】その後、めっき槽内に円筒形磁石の攪拌子
35を配置し、めっき槽の下に設置されたスターラー3
6を用いて攪拌子35を1000rpm 程度の回転数で回転さ
せることによって、矢印37で示すように、該被めっき
体のシート表面に対して概ね平行で、かつ該溝に対して
概ね垂直な流れの速度を生じさせた。
【0028】以上のめっき装置を使用して、矢印43方
向に流れの速度を生じさせ、電流値20mAで1時間の
通電を行った結果を図4に示す。図4は図2の直線状の
溝22にCuがめっきされるようすを20分(図4
(a))、30分(図4(b))、60分後(図4
(c))の時点でそれぞれサンプリングし、エポキシ樹
脂を溝の上にかぶせて硬化した後、溝22に垂直な方向
で切断して断面形状を観察した物である。本発明のめっ
き方法は、めっきされる平面に対して平行にめっき金属
層が形成される従来法のめっき(従来例1の結果を示す
図7参照)と異なり、溝の底面の中心へ向かってすり鉢
状にめっき層が形成されるのが特徴である。
【0029】(実施例2)実施例1と同様の組成に調製
しためっき液を使用して、チューブ状の被めっき体に螺
旋状に設けた微細な溝の内部に銅をめっきした。図5
は、本発明の実施例2における、被めっき体51の概略
を示す図であり、また、図6は本発明の実施例2におけ
る電気めっき装置の構成の概略を示す図である。
【0030】該被めっき体51は、外径約2mmのポリ
ウレタン樹脂のチューブの表面に、断面形状が一辺0.
1mmの正方形で、螺旋の繰り返しピッチが1mmの螺
旋状溝52を形成した物であり、該溝の内面は実施例1
の場合と同様に、あらかじめ蒸着等の手段で形成された
厚み数μm程度以下の銅の層により導電化されており、
一方の端部でリード線53に導電的に接合されている。
【0031】本実施例2の場合は実施例1の場合と異な
り、ポンプによりチューブの軸と平行に流れの速度を生
じさせることで溝内部に比べて溝の外部の溶液循環効率
を大きくすることが可能となるため、図6に示すよう
に、円筒形状に形成されためっき槽61に浸漬し、該め
っき槽の両端をポンプ62に接続して循環させること
で、矢印63で示すように該被めっき体のチューブ64
表面に適切な流れの速度を生じさせた。
【0032】更に、該被めっき体の端部に設けた該リー
ド線65を直流電源装置66の負極側に接続し、白金線
で形成した陽極67を正極側に接続して、適切な電流密
度で通電を行った結果、実施例1の場合と同様に、溝内
部への銅の十分な充填を行うことが可能であった。
【0033】(比較例1)実施例1のめっき液組成から
酸化剤として機能する塩化鉄(III)六水和物のみを除い
ためっき液を調製し、実施例1と同様に作製した被めっ
き体へ、同様の条件で電気めっきを行った。図7は図2
の直線上の溝22にCuがめっきされる様子を30分
(図7(a))、60分後(図7(b))にそれぞれサ
ンプリングし、エポキシ樹脂を溝の上にかぶせて硬化し
た後、溝22に垂直な方向で切断して断面形状を観察し
たものである。比較例1の結果、図7(b)に該溝の内
の一本71の、溝方向に垂直な断面図を示したように、
溝71の内部にほとんど銅72が充填されずに、エッジ
の部分73のみに集中的に銅72が析出した。
【0034】(実施例3)外径が1mmとなるように、
Ni−Ti製の超弾性金属線の回りにポリウレタンを被
覆し、ガイドワイヤ(a)を作成した。このガイドワイ
ヤ1の表面全体に亜鉛を蒸着させた後、レーザー光を照
射しながら2本の溝(幅50μm、深さ50μ)を螺旋
状に形成させ、ガイドワイヤ(b)を作製した。次に、
ガイドワイヤ(b)の表面全体(溝を含む)に銅を蒸着
させた後、希塩酸で処理を行い、蒸着により薄層となっ
ている亜鉛とその上に存在する銅を取り除き、溝のみに
銅が蒸着されたガイドワイヤ(c)を作成した。このガ
イドワイヤ(c)の先端にレーザー光を照射しながら窪
みを形成し、接触センサー(サーモセンサー)を埋め込
んだ。この時、信号用電極とグランド用電極が銅の蒸着
されたそれぞれの溝に接するようにセンサーを配置し
た。次に、実施例2と同様な方法で電気めっきを行い溝
を銅で充填し、ガイドワイヤ(d)を作製した。充填さ
れた溝のエッジ部分に銅は観察されず、ガイドワイヤ
(d)の表面はなだらかであった。
【0035】ところで、特開平8−266633号には
カテーテル、内視鏡、あるいはガイドワイヤ等の医療用
器具の基材表面に凹部を形成し、この凹部に導電体を蒸
着あるいはめっきすることで電気伝導路を設ける方法が
開示されているが、この方法では凹部以外に被覆された
導電体を除去する必要があった。しかしながら、実施例
3のように、本発明を上述の医療用器具に応用すれば、
電気伝導路となる凹部以外に被覆された導電体を除去す
る必要がないので簡便な作業で医療用器具に電気伝導路
を設けることが可能となる。また、本発明を用いれば、
前記医療用器具の先端に設置されたサーミスタや圧力セ
ンサーの信号用電極とグランド用電極と電気伝導路を接
続するときにハンダ付けする必要がなくなる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電気め
っきによって、目的物質(M)のM/Mm+の標準電極電
位よりEy+/Ex+の標準電極電位が大きい酸化剤(E)
を添加しためっき液を使用し、かつ、電気めっき実行中
に、被めっき体の表面上の少なくとも2カ所の異なる場
所での該酸化剤の流れの速度、すなわち、補給速度に差
を生じさせることにより、それぞれの場所に異なる析出
速度で目的物質を析出させることを特徴とする電気めっ
き方法を用いているため、目的とする部分の形状が溝
(長尺路)、穴等のような凹部の内部、間隙部である被
めっき体に対して目的物質を析出させ充填を行う場合
や、電気めっきによって析出した目的物質により複数の
被めっき体同士を接合する場合に目的とする部分への十
分な金属の析出が行える。
【0037】更に、該酸化剤(E)のE/Ey+の標準電
極電位が、水素のH2 /H+ の標準電極電位より小さい
ことを特徴とするため、該酸化剤の還元生成物が目的物
質とともに析出して不純物となるのを防ぐことができ
る。更にまた、該酸化剤が、水溶液中で3価の鉄イオン
を生成する成分を含有するものであり、かつ、該目的物
質が、銅或いは銅の合金であることを特徴とするため、
特別な試薬を必要とすることなくめっきによる金属の充
填を可能とする。
【0038】また、本発明を接触センサー付きのガイド
ワイヤ、カテーテルあるいは内視鏡などの医療用器具に
応用すれば、煩雑な操作を要することなく、簡便に電気
伝導路を表面に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複数の被めっき体を電気めっきによって接合
しようとする場合の一例を示す図である。
【図2】 実施例1における、被めっき体の形状の概略
を示す図である。
【図3】 実施例1における、電気めっき装置の構成の
概略を示す図である。
【図4】 (a),(b),(c)は実施例1におけ
る、めっきによる溝内部の銅の析出状態を時間の経過に
従って示す断面図である。
【図5】 実施例2における、被めっき体の形状の概略
を示す図である。
【図6】 実施例2における、電気めっき装置の構成の
概略を示す図である。
【図7】 (a),(b)は比較例1における、めっき
による溝内部の銅の析出状態を時間の経過に従って示す
断面図である。
【図8】 表面に凹凸のある被めっき体にめっきを実施
した場合の一例を示す断面図である。
【図9】 溝を有する被めっき体の一例を示す断面図で
ある。
【図10】 めっき時の金属析出量と攪拌によって生じ
るめっき液の流れの速度との相関図である。
【図11】 酸化剤を含んだ溶液の流れの速度と溶出量
の相関図である。
【図12】 めっき液に酸化剤が存在している場合の、
めっき液の流れの速度、析出量および溶解量の相関図で
ある。
【図13】 被めっき体表面の平滑面に平行な方向にめ
っき液を流した場合の、被めっき体表面の平滑面と凹部
でのめっき液の流れの速さと方向を表した図である。
【符号の説明】
11 被めっき体 12 被めっき体 13 間隙部 21 被めっき体 22 溝 23 銅の層 24 リード線 31 リード線 32 直流電源装置 33 陽極 34 めっき槽 35 攪拌子 36 スターラー 37 溶液流の方向 41 溝 42 銅 43 溶液流 51 被めっき体 52 螺旋状溝 53 リード線 61 めっき槽 62 ポンプ 63 溶液流 64 チューブ 65 リード線 66 直流電源装置 67 陽極 71 溝 72 銅 73 エッジ 81 被めっき体表面 82 被めっき体 83 凸部 84 凹部 85 目的物質 86 目的物質 91 被めっき体 92 被めっき体表面 93 溝 130 被めっき体 131 被めっき体表面 132 凹部 133 エッジ部 134 流れの速度

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気めっきによって被めっき体の表面上に
    析出させるべき目的物質のイオン、および該目的物質の
    イオンが還元されて析出する際の標準電極電位より標準
    電極電位が大きい酸化剤を含有するめっき液。
  2. 【請求項2】前記酸化剤の濃度が前記目的物質のイオン
    の濃度に対して0.1%から200%である請求項1に
    記載のめっき液。
  3. 【請求項3】電気めっきによって被めっき体の表面上に
    析出する目的物質のイオン、および、該目的物質のイオ
    ンが還元されて析出する際の標準電極電位より標準電極
    電位が大きい酸化剤を含有するめっき液を用いて、被め
    っき体の表面上に存在するめっきすべき場所とめっきす
    べきでない場所において、該めっき液を異なる流れの速
    度で供給し、該目的物質を被めっき体に電気めっきする
    ことを特徴とする電気めっき方法。
  4. 【請求項4】前記酸化剤の濃度が前記目的物質のイオン
    の濃度に対して0.1%から200%である請求項3に
    記載の電気めっき方法。
  5. 【請求項5】前記目的物質により還元された、前記酸化
    剤が、めっき液中から析出する際の標準電極電位が、水
    素の標準電極電位より小さいことを特徴とする請求項3
    または4に記載の電気めっき方法。
  6. 【請求項6】被めっき体の表面凹部に目的物質が充填さ
    れ、ほぼ均一な表面であることを特徴とする電気めっき
    された物品。
  7. 【請求項7】前記物品が医療用器具である請求項6に記
    載の物品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11335888A (ja) * 1998-05-25 1999-12-07 Hitachi Ltd めっき液およびめっき方法
WO2010001554A1 (ja) * 2008-06-30 2010-01-07 株式会社日立製作所 電子回路部品およびその製造方法
WO2020246324A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 ジェイシーユー インターナショナル, インク. 銅-鉄合金電解めっき液およびこれを用いた電解めっき方法

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