JPH1192536A - 水性樹脂、その製造法ならびに其れを含有する水性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

水性樹脂、その製造法ならびに其れを含有する水性硬化性樹脂組成物

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JPH1192536A
JPH1192536A JP9253514A JP25351497A JPH1192536A JP H1192536 A JPH1192536 A JP H1192536A JP 9253514 A JP9253514 A JP 9253514A JP 25351497 A JP25351497 A JP 25351497A JP H1192536 A JPH1192536 A JP H1192536A
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宏司 木下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とりわけ、優れた硬化性と優れた保存安定性
とを兼備する水性樹脂を提供すると共に、該樹脂を必須
の成分として含有する形の、とりわけ、曝露時の光沢保
持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性などの、いわゆ
る耐久性に優れる硬化塗膜を形成することの出来る水性
硬化性樹脂組成物を提供するにある。 【解決手段】 アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須
の成分とする媒体中で、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポ
リシロキサンの存在下に、酸基・加水分解性シリル基併
有重合体を調製する過程で得られる複合樹脂を、中和せ
しめ、水に分散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹
脂を用いるということによって、叙上のような諸性能な
どを発現することを見出すに及んで、目的を見事に達成
させることが出来た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、それぞれ、新規に
して有用なる水性樹脂と、該水性樹脂の新規にして有用
なる製造法と、該水性樹脂を必須の成分として含有す
る、新規にして有用なる水性硬化性樹脂組成物とに関す
る。
【0002】さらに詳細には、本発明は、分子中にアル
コール性水酸基を有する有機溶剤を必須の成分として含
有する媒体中において、一分子中に、珪素原子に結合し
た水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性
基を有するポリシロキサンの存在下に、酸基および加水
分解性シリル基なる両基を併有する重合体、あるいは一
分子中に、酸基および加水分解性シリル基なる両基と、
さらに、これらの官能基以外の官能基をも併有する重合
体を調製する過程で以て得られる複合樹脂を、塩基性化
合物で以て、部分的に中和し、あるいは完全に中和せし
めたのちに、水に分散化ないしは溶解せしめて得られる
水性樹脂;該水性樹脂の製造法;ならびに該水性樹脂を
必須の成分として含有する、水性硬化性樹脂組成物に関
し、
【0003】とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性なら
びに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性をはじめ
として、とりわけ、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性
などの諸性能にも優れるという塗膜を形成せしめること
が出来て、しかも、優れた硬化性と、優れた保存安定性
とを兼備した水性樹脂に関するし、はたまた、該水性樹
脂の製造法にも関するし、加えて、該水性樹脂を必須の
成分として含有することから成る、とりわけ、硬化性に
も優れるし、しかも、前記したような耐久性などをはじ
めとする諸性能にも優れるという硬化塗膜を与え得る水
性硬化性樹脂組成物にも関する。
【0004】
【従来の技術】これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂
組成物としては、塩基性基または酸基と、水酸基などの
ような、いわゆる官能基とを併有する形のビニル系重合
体を、酸性化合物あるいは塩基性化合物で以て中和せし
めたのちに、水に分散化ないしは溶解せしめて得られる
水性樹脂と、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂および
アミノ樹脂などのような、種々の硬化剤とから成る水性
硬化性樹脂組成物が、幅広く、利用されている。
【0005】しかしながら、こうした、これまでに使用
されて来た水性樹脂を、いわゆるベース樹脂(成分)と
する形の水性硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜
は、とりわけ、曝露時の光沢保持性、耐曝露汚染性なら
びに耐酸性雨性などの、いわゆる耐久性が不十分であ
り、したがって、高度の耐久性などが要求されるような
用途には、全くと言ってよいほど、利用し適用すること
が出来ない、という問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く、解決し、こうした従来型技術における種々の
欠点ないしは欠陥を、悉く、解消するべく、鋭意、研究
を開始した。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐
酸性雨性などの耐久性に優れた硬化物を与えることが出
来、しかも、硬化性や、保存安定性などにも優れるとい
う、新規にして有用なる水性樹脂それ自体を提供するこ
とにもあるし、はたまた、そうした水性樹脂の製造方法
を提供することにもあるし、併せて、斯かる新規にして
有用なる水性樹脂を含有することから成る、前記したよ
うな、いわゆる耐久性に加えて、耐溶剤性、耐薬品性な
らびに耐水性などの諸性能にも優れるという、新規にし
て有用なる水性硬化性樹脂組成物を提供することにもあ
る、ということである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
【0009】分子中にアルコール性水酸基を有する有機
溶剤を必須成分として含有する媒体中において、珪素原
子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を有するという、特定のポリシロキサンの
存在下に、
【0010】酸基および加水分解性シリル基なる両基を
併有する重合体、あるいは酸基および加水分解性シリル
基なる両基と、さらに、これらの官能基以外の官能基を
も併有する重合体を調製する過程で得られる複合樹脂
を、
【0011】塩基性化合物で以て、部分中和ないしは完
全に中和せしめたのちに、水に分散化ないしは溶解せし
めて得られる水性樹脂が、とりわけ、硬化性ならびに保
存安定性などに優れるということを見出し、該水性樹脂
の製造法を確立すると共に、
【0012】該水性樹脂を必須の成分として含有する形
の水性硬化性樹脂組成物が、とりわけ、光沢保持性、耐
酸性雨性ならびに耐曝露汚染性などの、いわゆる耐久性
に優れるということをも見出し、ひいては、上述したよ
うな、本発明が解決しようとする課題を、見事に、解決
することが出来るということを確信するに及んで、ここ
に、本発明を完成させるに到った。
【0013】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、基本的に
は、分子中にアルコール性水酸基を有する有機溶剤を必
須成分として含有する媒体中において、珪素原子に結合
した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解
性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸基お
よび加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体(A
−1)〔以下、これを、酸基・加水分解性シリル基併有
重合体(A−1)ともいう。〕を調製する過程で、
【0014】上記ポリシロキサン(B)と、上記重合体
(A−1)とを複合化せしめて得られる複合樹脂(C−
1)を、塩基性化合物で以て、部分中和ないしは完全に
中和せしめたのちに、水に分散化ないしは溶解せしめて
得られる水性樹脂(D−1)それ自体を;該水性樹脂
(D−1)の製造法をも;ならびに該水性樹脂(D−
1)を必須の成分として含有する形の水性硬化性樹脂組
成物をも;さらには、該水性樹脂(D−1)と、該水性
樹脂(D−1)中に含まれる官能基と反応する官能基を
有する化合物(E)とを含有する形の水性硬化性樹脂組
成物をも提供しようとするものであるし、
【0015】加えて、分子中にアルコール性水酸基を有
する有機溶剤を必須成分として含有する媒体中におい
て、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(B)
の存在下に、酸基および加水分解性シリル基なる両基
と、これらの酸基および加水分解性シリル基なる両基以
外の官能基をも併有する重合体(A−2)を調製する過
程で、
【0016】上記ポリシロキサン(B)と、上記重合体
(A−2)とを複合化せしめて得られる複合樹脂(C−
2)を、塩基性化合物で以て、部分中和ないしは完全に
中和せしめたのち、水に分散化ないしは溶解せしめて得
られる水性樹脂(D−2)それ自体を;該水性樹脂(D
−2)の製造法をも;ならびに該水性樹脂(D−2)を
必須の成分として含有する形の水性硬化性樹脂組成物を
も;さらには、該水性樹脂(D−2)と、該水性樹脂
(D−2)中に含まれる官能基と反応する官能基を有す
る化合物(E)とを含有する形の水性硬化性樹脂組成物
をも提供しようとするものである。
【0017】以下に、本発明を、さらに詳細に、説明す
ることにする。
【0018】ここにおいて、まず、本発明に係る水性樹
脂(D−1)とは、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシ
ロキサン(B)の存在下に、酸基・加水分解性シリル基
併有重合体(A−1)を調製する工程を、分子中にアル
コール性水酸基を有する有機溶剤(以下、これを、アル
コール性水酸基含有有機溶剤ともいう。)を必須成分と
して含有する媒体中において行なうことにより、該
(B)ポリシロキサンと、該重合体(A−1)とを複合
化せしめて得られる複合樹脂(C−1)を、塩基性化合
物で以て、部分中和ないしは完全に中和せしめたのち
に、水に分散ないしは溶解せしめて得られる形の樹脂を
指称するものである。
【0019】他方、本発明に係る水性樹脂(D−2)と
は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(B)
の存在下に、酸基および加水分解性シリル基なる両基
と、酸基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能
を併有する重合体(A−2)を調製する工程を、アルコ
ール性水酸基含有有機溶剤を必須成分として含有する媒
体中において行なうことにより、該ポリシロキサン
(B)と、該重合体(A−2)とを複合化せしめて得ら
れる複合樹脂(C−2)を、塩基性化合物で以て、部分
中和ないしは完全に中和せしめたのちに、水に分散ない
しは溶解せしめて得られる形の樹脂を指称するものであ
る。
【0020】こうした、それぞれ、複合樹脂(C−1)
あるいは(C−2)の調製を、アルコール性水酸基含有
有機溶剤を含有しない形の媒体中において行なうという
ような場合には、どうしても、得られる複合樹脂溶液が
著しく増粘し、引き続き行なわれる塩基性化合物による
中和工程でのゲル化などが生じ易くなるということであ
り、充分に注意する必要がある。
【0021】特に、アルコール性水酸基含有有機溶剤を
含有しない形の媒体中での斯かる複合化の際に、重合体
(A−1)あるいは(A−2)に対して、加水分解性シ
リル基を、重合体の1,000グラム(g)当たりのモ
ル数で以て、0.05モル以上、導入しようとすると、
斯かる複合化過程で以て、ゲル化が起こる場合があると
いうことである。
【0022】これに対して、アルコール性水酸基含有有
機溶剤を必須成分として含有する形の媒体中で、複合樹
脂(C−1)あるいは(C−2)の調製を行なうという
場合においては、複合化過程や、塩基性化合物による中
和過程などでのゲル化などが起こらずに、目的とする水
性樹脂(D−1)あるいは(D−2)を、安全に、しか
も、容易に調製せしめることが出来る、ということであ
る。
【0023】そして、アルコール性水酸基含有有機溶剤
を必須成分として含有する形の此の媒体中での斯かる複
合化それ自体を、円滑に進めるという目的で以て、ポリ
シロキサン(B)の有する珪素原子に結合した加水分解
性基と、重合体(A−1)あるいは(A−2)の有する
加水分解性シリル基との間における、いわゆる加水分解
反応に必要なる水を、予め、反応系に添加せしめておく
ということも好適であるし、これらの、それぞれ、ポリ
シロキサン(B)と、重合体(A−1)あるいは(A−
2)との間における、いわゆる縮合反応に必要なる触媒
を添加せしめておくということも亦、好適である。
【0024】斯かるアルコール性水酸基含有有機溶剤と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メ
タノール、エタノール、ノルマル(n−)プロパノール
またはイソ(i−)プロパノールの如き、各種の水溶性
のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリ
コール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−
n−プロピルエーテルの如き、各種の水溶性のグリコー
ル類あるいはグリコールエーテル類などである。
【0025】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)における、ポリシロキサン(B)に由来するポリシ
ロキサン・セグメントと、重合体(A−1)あるいは
(A−2)に由来する重合体セグメントとの比率は、ポ
リシロキサン・セグメント:重合体セグメントなる重量
割合で以て、5:95〜95:5程度になるように、好
ましくは、10:90〜90:10となるように、さら
に好ましくは、20:80〜80:20となるように設
定するのがよい。
【0026】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)における、重合体(A−1)あるいは(A−2)に
由来する重合体セグメントの重量割合が約5%未満にな
るように設定すると、どうしても、ポリシロキサン
(B)に由来するポリシロキサン・セグメントが多すぎ
る処となるために、とりわけ、水性樹脂(D−1)ある
いは(D−2)より形成される塗膜の、とりわけ、耐ア
ルカリ性などが低くなったりするし、一方、重合体セグ
メントの重量割合が約95%を超えて余りにも多くなる
ような場合には、どうしても、ポリシロキサン・セグメ
ントが少なすぎる処となるために、水性樹脂(D−1)
あるいは(D−2)の、とりわけ、硬化性などが低下し
たりするようになるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0027】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)を調製する際に使用される、前記した、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有するポリシロキサン(B)とは、一般的
に、シラノール基と呼称される、こうした、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有する化合物を指称するものである。
【0028】ここにおいて、珪素原子に結合した加水分
解性基とは、此の珪素原子に結合している、それぞれ、
ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシ
ロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ア
ミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケ
ニルオキシ基などで代表されるような、加水分解され
て、シラノール基を生成するという部類の基を指称する
ものである。
【0029】斯かるポリシロキサン(B)として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、一分子中に、
少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
有する珪素化合物を加水分解縮合せしめることによって
調製される形の該珪素化合物の加水分解縮合物;あるい
は斯かる珪素化合物を部分加水分解縮合せしめることに
よって調製される形の該珪素化合物の部分加水分解縮合
物などである。
【0030】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)を調製するに際して、斯かるポリシロキサン(B)
としては、後掲するような処方によって調製される、一
分子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水
分解性基を有する珪素化合物の加水分解縮合物ないしは
部分加水分解縮合物を使用することが出来る。
【0031】また、前記した、一分子中に、少なくとも
2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
化合物の加水分解ないしは部分加水分解によって、此の
ポリシロキサン(B)を調製する際に使用される、珪素
原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物として
は、公知慣用の種々の化合物が、いずれも使用できるけ
れども、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示
するにとどめれば、次のような一般式(S−II)
【0032】
【化4】R1 aSiR2 4-a (S−II)
【0033】(ただし、式中のR1 は、それぞれ、置換
基を有していても有していなくてもよい、アルキル基、
アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価
の有機基を、R2 はハロゲン原子、アルコキシ基、置換
アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプ
ト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオ
キシ基またはアルケニルオキシ基の如き、加水分解性基
を表わすものとし、また、aは0あるいは1または2な
る整数であるものとする。)
【0034】で以て示される珪素化合物;これらの珪素
化合物の1種のみの部分加水分解縮合によって得られる
形の部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2
種以上の混合物の部分加水分解縮合によって得られる形
の部分共加水分解縮合物;
【0035】あるいは
【0036】
【化5】
【0037】(CH3CH2O)3 SiCH2CH2Si
(OCH2CH33
【0038】または
【0039】
【化6】
【0040】(CH3CH2O)3 SiCH2CH2CH2
Si(OCH2CH33
【0041】などのような、一分子中に2個以上の加水
分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0042】前掲した一般式(S−II)で示される珪
素化合物として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン
またはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種のテト
ラアルコキシシラン類;
【0043】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エ
チルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメト
キシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシランまたはn−ブチルトリエトキシ
シラン、
【0044】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランまたはアリルトリメト
キシシラン、
【0045】あるいは2−トリメトキシシリルエチルビ
ニルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエ
ーテル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテ
ル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シランまたは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコ
キシシラン類;
【0046】ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジ
エトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランまた
はジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0047】あるいはジフェニルジメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフ
ェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエー
テル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニル
エーテルまたは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノジ
アルコキシシラン類;
【0048】テトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロ
ロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェ
ニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランま
たは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ
クロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0049】あるいは亦、テトラアセトキシシラン、メ
チルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシ
ラン、ジメチルジアセトキシシランまたはジフェニルジ
アセトキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類な
どである。
【0050】これらの加水分解性基を有する珪素化合物
のうちでも、ポリシロキサン(B)を調製する際に使用
されるものとして特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアル
コキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、あ
るいは其れ等の部分加水分解縮合物または其れ等の部分
共加水分解縮合物などであるし、さらには、各種クロル
シラン類の加水分解縮合物などである。
【0051】また、当該珪素化合物として、特に、上掲
したテトラエトキシシランなどに代表されるような、い
わゆる4官能珪素化合物を使用するに際しては、ポリシ
ロキサン(B)の存在下に、重合体(A−1)あるいは
(A−2)を調製する過程で以て、此のポリシロキサン
(B)と、此等の(A−1)あるいは(A−2)を複合
化せしめる反応中のゲル化防止、ならびに塩基性化合物
による中和反応中のゲル化防止のためにも、2官能珪素
化合物ないしは3官能珪素化合物を併用するのが望まし
い。
【0052】ここにおいて、此のポリシロキサン(B)
を調製するに際し、前掲したような各種の珪素化合物に
加えて、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエト
キシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニ
ルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチ
ルクロロシランまたはトリフェニルクロロシランの如
き、一分子中に、珪素原子に結合した加水分解性基を1
個のみ有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用
することが出来る。
【0053】前掲したような各種の珪素化合物を、加水
分解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによっ
て、当該ポリシロキサン(B)として使用される、それ
ぞれ、加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得
ることが出来るが、その際に、触媒を使用してもよい
し、使用しなくてもよいけれども、これらの縮合反応を
容易に進行せしめるという上からは、触媒を使用するこ
とが望ましい。
【0054】ここにおいて、斯かる触媒を使用するとい
う場合には、公知慣用の種々の化合物のいずれをも使用
することが出来るし、しかも、それらは単独使用でも、
2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0055】斯かる触媒として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、
各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイ
ソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0056】水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの
如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネー
トまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン
酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル
酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0057】鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如
き、各種の金属の、種々のナフテン酸塩類あるいはオク
チル酸塩などのような、各種の金属カルボン酸塩類;ア
ルミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種の
アルミニウム化合物;
【0058】1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザ
ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ
−n−ブチルアミンまたはジメチルベンジルアミン、ブ
チルアミン、オクチルアミン、
【0059】あるいはモノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1
−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール
または1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のア
ミン化合物類;
【0060】テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロ
ピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアン
モニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモ
ニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオ
クチルメチルアンモニウム塩またはo−トリフルオロメ
チルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種の
4級アンモニウム塩類であって、
【0061】代表的なる対アニオンとして、それぞれ、
クロライド、ブロマイド、カルボキシレートまたはハイ
ドロオキサイドなどを有するという形の、種々の4級ア
ンモニウム塩類などである。
【0062】当該触媒の使用量としては、加水分解ない
しは部分加水分解に供される珪素化合物に対して、約
0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ましく
は、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好まし
くは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切であ
る。
【0063】また、前記した反応において用いられる水
の量としては、斯かる珪素化合物の珪素原子に結合して
いる加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以
上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さ
らに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0064】0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用
上、好ましくないけれども、その一方で、此の水の量
が、5モルとか、10モルとか、珪素原子に結合してい
る加水分解性基の1モルに対して、大過剰となるように
使用することは、一向に、支障が無い。
【0065】そして、これらの触媒ならびに水の添加
は、一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水
とを混合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添
加してもよいことは、勿論である。
【0066】斯かる反応の反応温度としては、0℃〜1
50℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100
℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力として
は、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件において
も行なうことが出来る。
【0067】そして、斯かる反応の副生成物である、そ
れぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行なわれ
る、ポリシロキサン(B)の存在下での、重合体(A−
1)あるいは(A−2)の調製による、それぞれ、これ
らの、ポリシロキサン(B)と、重合体(A−1)ある
いは(A−2)の複合化反応や、
【0068】得られる水性樹脂それ自体の安定性あるい
は該水性樹脂を含有する形の水性硬化性組成物の安定性
などに対して問題を惹起するようであれば、蒸留などの
手段によって、系外に除去せしめることが出来るし、そ
うした問題が無ければ、そのまま、系内に存在させてお
いても、一向に、支障は無い。
【0069】また、斯かる反応に際しては、公知慣用の
種々の有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよ
いけれども、引き続いて行なわれる重合体(A−1)あ
るいは(A−2)との複合化反応を、より一層、スムー
ズに進行せしめるためにも、前掲したような各種のアル
コール性水酸基を有する有機溶剤を必須成分として含有
する媒体を使用することが望ましい。
【0070】そして、斯かるアルコール性水酸基含有有
機溶剤を必須成分として含有する形の媒体を使用して、
当該ポリシロキサン(B)を調製する際には、一分子中
に、少なくとも3個の珪素原子に結合した加水分解性基
を有するという形の珪素化合物の、此の有機溶剤中にお
ける濃度としては、5重量%程度以上と為すことが望ま
しい。
【0071】また、当該ポリシロキサン(B)として、
市販のポリシロキサンを使用することも出来るものであ
り、そのような市販ポリシロキサンとして特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、一分子中に、シラノ
ール基あるいは珪素原子に結合したメトキシ基を有する
ポリシロキサンとして市販されているような、それぞ
れ、「TSR−160もしくは165」[東芝シリコー
ン(株)製の商品名]、
【0072】「SH−6018」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の商品名]または「GR−10
0、908もしくは950」[昭和電工(株)製の商品
名]などで以て代表されるような、線状、環状または分
岐状(分枝状)あるいはラダー(型)構造を有するとい
う形の種々の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合
物などである。
【0073】上述したようなポリシロキサンのうちで
も、水性樹脂(D−1)および(D−2)の安定性など
の面からは、当該ポリシロキサン(B)を構成する全珪
素原子のうちの10モル%以上、好ましくは、20モル
%以上、さらに好ましくは、40モル%以上の珪素原子
に、フェニル基の如き、各種のアリール基が結合してい
るという形の化合物を使用するのが適切である。
【0074】また、水性樹脂(D−1)あるいは(D−
2)の硬化性と耐久性との面からは、ポリシロキサン
(B)を構成する全珪素原子のうちの10モル%以上、
好ましくは、20モル%以上、さらに好ましくは、30
モル%以上が、メチルトリアルコキシシラン類、メチル
トリクロロシラン、フェニルトリアルコキシラン類また
はフェニルトリクロロシランの如き、3官能シラン化合
物に由来するという形の化合物を使用することが適切で
ある。
【0075】複合樹脂(C−1)を調製する際に、前記
したポリシロキサン(B)の存在下において調製される
重合体である、酸基・加水分解性シリル基併有重合体
(A−1)とは、勿論ながら、一分子中に、酸基と、加
水分解性シリル基とを併有する形の重合体を指称するも
のであるが、そのうちの斯かる加水分解性シリル基と
は、次のような一般式(S−III)
【0076】
【化7】
【0077】(ただし、式中のR3 はアルキル基、アリ
ール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R4
水素原子もしくはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロ
キシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基またはイミノ
オキシ基もしくははアルケニルオキシ基の如き加水分解
性基を表わすものとし、また bは0あるいは1または
2なる整数であるものとする。)
【0078】で示されるような、加水分解されて珪素原
子に結合した水酸基、つまり、シラノール基を生成する
基を指称するものであって、しかも、該加水分解性シリ
ル基それ自体が、直接に、炭素原子と共有結合すること
により、あるいはシロキサン結合を介して、炭素原子と
共有結合することにより、此の重合体(A−1)に結合
しているような基であるものとする。
【0079】また、ここでいう酸基としては、カルボキ
シル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スル
ホン酸基またはスルフィン酸基などで代表されるような
各種の、遊離の酸基に加えて、カルボン酸無水基、燐酸
無水基、スルホン酸無水基またはカルボン酸−スルホン
酸混合酸無水基などで代表されるような酸無水基、さら
には、たとえば、シリルエステル基、ターシャリー(t
ert−)ブチルエステル基または1−アルコキシエチ
ルエステル基などのように、容易に遊離の酸基に変換さ
れるエステル基の形としてブロックされた、カルボキシ
ル基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基またはス
ルホン酸基などで代表されるようなブロックされた酸基
などが挙げられる。
【0080】前掲したような各種の酸基のうちでも特に
代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、カル
ボキシル基、ブロックされたカルボキシル基またはカル
ボン酸無水基などである。
【0081】斯かる重合体(A−1)として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、アクリル系重合
体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重
合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビニル
系重合体;あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹脂ま
たはポリウレタン系重合体などである。
【0082】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体が挙げ
られ、さらに、此のビニル重合体のうちでも特に望まし
いものとしては、アクリル系重合体が挙げられる。
【0083】複合樹脂(C−1)を調製するための、ポ
リシロキサン(B)の存在下において行なわれる、斯か
る重合体(A−1)の調製法のうちで、此のビニル系重
合体の調製方法としては、たとえば、(i) 加水分解
性シリル基を有するビニル系単量体(以下、加水分解性
シリル基含有ビニル系単量体ともいう。)と、酸基を有
するビニル系単量体(以下、酸基含有ビニル系単量体と
もいう。)とを共重せしめたり、これら両タイプの単量
体(両単量体類)と、さらに、これらの両単量体類と共
重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめたりす
るというような方法であるとか、
【0084】(ii) 分子中に加水分解性シリル基を
有する連鎖移動剤(以下、加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤ともいう。)および/または分子中に加水分解性
シリル基を有するラジカル重合開始剤(以下、加水分解
性シリル基含有ラジカル重合開始剤ともいう。)の存在
下に、酸基含有ビニル系単量体を重合せしめたり、さら
に、該単量体と共重合可能なる其の他の単量体をも共重
合せしめたりするというような方法であるとか、
【0085】(iii) 加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤および/または加水分解性シリル基含有ラジカル
重合開始剤の存在下に、加水分解性シリル基含有ビニル
系単量体と、酸基含有ビニル系単量体とを共重合せしめ
たり、加水分解性シリル基含有連鎖移動剤および/また
は加水分解性シリル基含有ラジカル重合開始剤の存在下
に、上記した両タイプの単量体(両単量体類)と、これ
らの単量体と共重合可能なる其の他の単量体とを共重合
せしめたりするというような方法であるとか、
【0086】(iv) 予め調製しておいた、水酸基と
酸基とを併有するビニル系重合体に、3−イソシアナー
トプロピルトリエトキシシランのような、各種のイソシ
アナート基含有シラン化合物を反応せしめるというよう
な方法
【0087】などで代表される、公知慣用の種々の方法
を適用することが出来るが、これらのうちでも、上記
(i)〜(iii)なる方法によるのが、特に簡便であ
るので推奨され得よう。
【0088】当該重合体(A−1)を調製する際に使用
される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とは、
前掲したような構造式(S−III)で示される加水分
解性シリル基を有する単量体を指称するものであって、
斯かる単量体として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキ
シエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−
トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエ
トキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメ
トキシシリル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキ
シシリルプロピルビニルエーテルまたは3−トリエトキ
シシリルプロピルビニルエーテル、
【0089】あるいは3−(メチルジメトキシシリル)
プロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンまたは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチ
ルジクロロシランなどである。
【0090】また、当該重合体(A−1)を調製する反
応において使用される、加水分解性シリル基含有連鎖移
動剤とは、上述したような加水分解性シリル基と、メル
カプト基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のよう
な、いわゆる遊離ラジカルにより活性化される基ないし
は原子団とを併有する化合物を指称するものである。
【0091】斯かる連鎖移動剤として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−メルカプトプロピルジメチルクロロシラン、3
−ブロモプロピルトリメトキシシランまたは3−ブロモ
プロピルトリエトキシシランなどである。
【0092】さらにまた、当該重合体(A−1)を調製
する際に使用される、上記したような加水分解性シリル
基含有ラジカル重合開始剤として特に代表的なるものの
みを例示するにとどめるならば、
【0093】2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−
トリメトキシシリルブチロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス−(2−メチル−4−トリエトキシシリルブチロニ
トリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−ジ
メトキシメチルシリルブチロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス−(2−メチル−4−ジエトキシメチルシリルブ
チロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキ
シメチル)プロピオニトリル]または4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリックアシッド)の如き、活性水素
含有基を有する各種のアゾ系開始剤を、3−イソシアナ
ートプロピルトリエトキシシランまたは3−イソシアナ
ートプロピルメチルジメトキシシシランの如き、イソシ
アナートシランとを反応せしめて得られる、アミド結合
あるいはウレタン結合を介して加水分解性シリル基が結
合した形のアゾ系化合物の如き、各種のアゾ系化合物;
【0094】あるいはtert−ブチルパーオキシ−
2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプロパノエ
ート、tert−ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル
−3−トリエトキシシリルプロパノエート、tert−
ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル−3−ジメトキシ
メチルシリルプロパノエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2,2−ジメチル−3−ジエトキシメチルシリル
プロパノエート、tert−ブチルパーオキシ−3−メ
チル−5−トリメトキシシリルヘキサノエートまたはt
ert−ブチルパーオキシ−4−エチル−5−トリメト
キシシリルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物など
である。
【0095】当該重合体(A−1)を調製する際に使用
される、酸基含有ビニル系単量体のうち、遊離のカルボ
キシル基を有するビニル系単量体として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸、
2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸の如き、各
種の不飽和カルボン酸類;
【0096】イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−
n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−
n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−
ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アル
コール類とのモノエステル類(ハーフエステル類);ア
ジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、
各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;
【0097】あるいは無水コハク酸、無水グルタル酸、
無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の
飽和ポリカルボン酸の無水物類と、後掲するような各種
の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物など
であるし、さらには、前掲したような各種のカルボキシ
ル基含有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて
得られるような単量体類などである。
【0098】当該重合体(A−1)を調製する際に使用
される酸基含有単量体のうち、ブロックされたカルボキ
シル基を有する単量体として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、トリメチルシリル(メタ)アクリ
レート、ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)ア
クリレートまたはトリメチルシリルクロトネートの如
き、特開昭62−254876号公報に開示されている
ような種々のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0099】1−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン
または2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフ
ランの如き、特開平5−222134号公報に開示され
ているような種々のヘミアセタールエステル基またはヘ
ミケタールエステル基を有する単量体;あるいはter
t−ブチル(メタ)アクリレートまたはtert−ブチ
ルクロトネートの如き、各種のtert−ブチルエステ
ル基含有単量体類などである。
【0100】続いて、当該重合体(A−1)を調製する
際に使用される酸基含有単量体のうち、カルボン酸無水
基を有する単量体(カルボン酸無水基含有単量体)とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水
マレイン酸、無水シトラコン酸または無水イタコン酸の
如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水ア
クリル酸または無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和
モノカルボン酸の無水物類;あるいはアクリル酸または
メタクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢
酸、プロピオン酸または安息香酸などのような、種々の
飽和カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0101】そしてまた、前述した(i)〜(iii)
なる方法に従って、当該ビニル系重合体(A−1)を調
製するに当たって重合せしめるべきビニル系単量体とし
ては、まず、(i)と(iii)との場合においては、
酸基含有ビニル系単量体と、加水分解性シリル基含有ビ
ニル系単量体との併用のみであってもよいし、別の(i
i)においては、酸基含有ビニル系単量体のみであって
もよいが、これらに加えて、これらの各ビニル系単量体
と共重合可能なる其の他のビニル系単量体との併用によ
ってもよいことは、勿論である。
【0102】斯かる共重合可能なる其の他のビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートまた
はラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C22
る炭素数の1級ないしは2級アルキルアルコールと(メ
タ)アクリル酸とのエステル類;
【0103】ベンジル(メタ)アクリレートまたは2−
フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のア
ラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メ
タ)アクリレートまたはイソボロニル(メタ)アクリレ
ートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレー
ト類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートまたは
4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種
のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0104】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンの如き、
各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ルまたは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニ
ルエステル類;
【0105】クロトン酸メチルまたはクロトン酸エチル
の如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメ
チルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマ
レート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネ
ートまたはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の
不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0106】(メタ)アクリロニトリルまたはクロトノ
ニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、
クロロトリフルオロエチエレンまたはヘキサフルオロプ
ロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビ
ニルまたは塩化ビニリデンの如き、各種のハロゲン化オ
レフィン類、就中、クロル化オレフィン類;エチレン、
プロピレン、イソブチレン、1−ブテンまたは1−ヘキ
センの如き、各種のα−オレフィン類;
【0107】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテル、イソブチルビニルエーテルまたはn−ヘキシ
ルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテ
ル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシル
ビニルエーテルまたは4−メチルシクロヘキシルビニル
エーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル
類;
【0108】N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドンの
如き、3級アミド基含有単量体類;
【0109】あるいはメトキシポリエチレングリコール
またはメトキシポリプロピレングリコールの如き、一分
子中に1個の水酸基を有するポリエーテル類と、(メ
タ)アクリル酸とのエステル類の如き、各種のポリエー
テル鎖含有単量体類などである。
【0110】また、分子中にアルコール性水酸基を有す
る有機溶剤を必須成分として含有する媒体中で、ポリシ
ロキサン(B)の存在下に、重合体(A−1)を調製す
る際に使用できる重合開始剤としては、勿論ながら、公
知慣用の種々の化合物が挙げられるけれども、それらの
うちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめる
ならば、
【0111】2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0112】tert−ブチルパーオキシピバレート、
tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセ
チルパーオキサイド、
【0113】あるいはジ−tert−ブチルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、
メチルエチルケトンパーオキサイドまたはジイソプロピ
ルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類な
どである。
【0114】以上に掲げたような、単量体類および重合
開始剤類を使用して、アルコール性水酸基含有有機溶剤
を必須成分として含有する媒体中において、ポリシロキ
サン(B)の存在下に、公知慣用の溶液ラジカル重合法
を適用し、目的とする加水分解性シリル基・酸基併有ビ
ニル系重合体(A−1)を調製する過程で、複合樹脂
(C−1)を調製する方法としては、
【0115】(1) ポリシロキサン(B)、アルコー
ル性水酸基含有有機溶剤を必須成分として含有する媒
体、ビニル系重合体(A−1)の調製に必要なビニル系
単量体類、加水分解性シリル基導入用の化合物およびラ
ジカル重合開始剤を、反応容器中に、一括して仕込んで
反応せしめるとか、
【0116】(2) ポリシロキサン(B)と、アルコ
ール性水酸基含有有機溶剤を必須成分として含有する媒
体とを、予め反応容器に仕込み、次いで、此の重合体
(A−1)の調製に必要なるビニル系単量体類、加水分
解性シリル基導入用の化合物、ラジカル重合開始剤およ
びアルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成分として含
有する媒体を、反応系に滴下せしめるとか、あるいは
【0117】(3) それぞれ、ポリシロキサン(B)
と、アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成分として
含有する媒体との全量と、ならびに此の重合体(A−
1)の調製に必要なるビニル系単量体、加水分解性シリ
ル基導入用の化合物およびラジカル重合開始剤の一部分
を、反応容器に仕込んで、重合反応を開始した処に、さ
らに、それぞれ、残余の、該重合体(A−1)の調製に
必要なるビニル系単量体と、加水分解性シリル基導入用
の化合物と、ラジカル重合開始剤とを滴下せしめると
か、などのような種々の方法を適用することが出来る。
【0118】さらに、前記した(1)、(2)あるいは
(3)なる調製例にあっては、ポリシロキサン(B)の
全量を、予め、反応容器に仕込むという形の処方である
が、これらを、加水分解性シリル基・酸基併有ビニル系
重合体(A−1)の調製の過程で、滴下するとか分割添
加するとか、種々のバリエーションを採用できること
は、勿論のことである。
【0119】また、此のビニル系重合体(A−1)を調
製する反応に使用される、ビニル系単量体類、加水分解
性シリル基導入用の化合物およびラジカル重合開始剤の
反応系への添加方法としても、前記した(1)、(2)
あるいは(3)なる調製例の方法以外にも、各種のバリ
エーションを採用することが出来る。
【0120】続いて、複合樹脂(C−2)を調製する際
に、前記したポリシロキサン(B)の存在下において調
製される重合体である、加水分解性シリル基および酸基
なる両基と、加水分解性シリル基および酸基なる両基以
外の官能基とを併有する重合体(A−2)とは、前掲し
たような加水分解性シリル基と、前掲したような酸基に
加えて、これらの加水分解性シリル基と酸基以外の公知
慣用の種々の官能基をも含有するという形の重合体を指
称するものである。
【0121】此の重合体(A−2)中に導入される酸基
としては、前述した重合体(A−1)中に導入できるも
のとして例示して来たような各種の基が挙げられるが、
それらのうちでも特に好ましいものとしては、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン
酸無水基などである。
【0122】さらに、此の重合体(A−2)中に導入さ
れる、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官
能基として代表的なもののみを例示するにとどめれば、
水酸基、ブロックされた水酸基、1級アミノ基、2級ア
ミノ基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カ
ーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド
基、カーバメート基、オキサゾリン基、カルボニル基、
アセトアセチル基または下記の構造式(S−I)で示さ
れる官能基などである。
【0123】
【化8】
【0124】そして、上記した2級アミド基は、N−ヒ
ドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド
基または下記の構造式(S−IV)で示される官能基を
も包含するものである。
【0125】
【化9】 −C(O)−NH−CH(OR5)−COOR6 (S−IV)
【0126】(ただし、式中のR5 は、水素原子、炭素
数が1〜8なるアルキル基、またはアリール基を、ま
た、R6 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリー
ル基を表わすものとする)
【0127】また、これらの官能基は、此の重合体(A
−2)中に、1種のみを含有せしめるというようにして
もよいし、2種以上を含有せしめるというようにしても
よいことは、勿論である。
【0128】加水分解性シリル基・酸基なる両基以外
の、前掲したような各種の官能基のうちでも特に好まし
いものとしては、水酸基、ブロックされた水酸基、3級
アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級ア
ミド基、2級アミド基、カーバメート基または構造式
(S−I)で示されるような官能基などが挙げられる。
【0129】斯かる各種の官能基を有する重合体(A−
2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、
ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合体の
如き、各種のビニル系重合体などであるし、あるいはポ
リエステル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重
合体などである。
【0130】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、ビニル系重合体およびポリウレタン系重合体が挙げ
られ、さらに、ビニル重合体のうちでも特に好ましいも
のとしては、アクリル系重合体が挙げられる。
【0131】また、当該複合樹脂(C−2)を調製する
ための、前記したポリシロキサン(B)の存在下におけ
る此の重合体(A−2)の調製法のうちの、ビニル系重
合体を調製するには、たとえば、(v) 水酸基、ブロ
ックされた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート
基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバ
メート基または構造式(S−I)で示される官能基など
のような、加水分解性シリル基・酸基なる両基以外の各
種の官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の
官能基を有する単量体(以下、三タイプ単量体類ともい
う。)と、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、
酸基含有単量体とを共重合せしめるというような方法、
あるいは前記した三タイプの官能基を有する単量体、す
なわち、三タイプ単量体類に加えて、これらと共重合可
能なる其の他のビニル系単量体をも共重合せしめるとい
うような方法であるとか、
【0132】(vi) 加水分解性シリル基含有連鎖移
動剤および/または加水分解性シリル基含有ラジカル重
合開始剤の存在下に、水酸基、ブロックされた水酸基、
3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1
級アミド基、2級アミド基、カーバメート基または構造
式(S−I)で示される官能基などのような、加水分解
性シリル基・酸基なる両基以外の各種の官能基よりなる
群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する単量
体と、酸基含有ビニル系単量体とを共重合せしめたり、
あるいは前記した両タイプの単量体(両単量体類)と、
これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体とを共
重合せしめたりする方法であるとか、
【0133】(vii) 加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤および/または加水分解性シリル基含有ラジカル
重合開始剤の存在下に、水酸基、ブロックされた水酸
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は構造式(S−I)で示される官能基などのような、加
水分解性シリル基・酸基なる両基以外の各種官能基より
なる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を有する
単量体と、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体と、
酸基含有ビニル系単量体とを共重合せしめたり、
【0134】加水分解性シリル基含有連鎖移動剤および
/または加水分解性シリル基含有ラジカル重合開始剤の
存在下に、前記した三タイプ単量体類と、これらの単量
体と共重合可能なる其の他の単量体とを共重合せしめた
りする方法などの、公知慣用の種々の方法を適用するこ
とが出来る。
【0135】斯かる方法によってビニル系重合体(A−
2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル基含
有ビニル系単量体、酸基含有単量体および此等と共重合
可能なる其の他のビニル系単量体のうちでも特に代表的
なものとしては、前述したビニル系重合体(A−1)を
調製する際に使用されるものとして、それぞれにつき、
すでに、例示しているような部類の、各種の単量体など
が挙げられる。
【0136】また、ビニル系重合体(A−2)を調製す
る際に使用される、分子中に水酸基を有するビニル系単
量体(以下、これを、水酸基含有ビニル系単量体ともい
う。)として特に代表的なるもののみを例示するにとど
めるならば、
【0137】2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまた
は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、
各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2
−ヒドロキシエチルビニルエーテルまたは4−ヒドロキ
シブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニ
ルエーテル類;
【0138】2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如
き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレン
グリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエ
ーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸などで以て代
表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られ
るポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;
【0139】あるいは前掲したような各種の水酸基含有
単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表される
ような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジ
ル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、
種々のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸などで以て
代表されるような、種々の酸類との付加物;
【0140】さらには、(メタ)アクリル酸などで以て
代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カ
ーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)など
で以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイ
ド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物などの
ような、種々の化合物などである。
【0141】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテルま
たは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテルの如
き、特開昭62−283163号公報に開示されている
ような種々のシリルエーテル基含有ビニル系単量体類;
【0142】2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アク
リロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランまたは
2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメ
チルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報
に開示されているような種々のアセタール基またはケタ
ール基含有含有ビニル系単量体類;
【0143】あるいは3−〔2−(メタ)アクリロイル
オキシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3
−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾ
リジンまたは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−
(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの
如き、各種のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類な
どである。
【0144】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、3級アミノ基を有するビニル系単量体(以
下、これを、3級アミノ基含有ビニル系単量体ともい
う。)として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、
【0145】2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート
またはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチル
モルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)ア
クリル酸エステル類;
【0146】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール
またはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ基
含有芳香族ビニル系単量体類;
【0147】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピ
ルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−
ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミ
ドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモ
ルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アク
リルアミド類;
【0148】N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチ
ルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロ
ピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミ
ノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ
基含有クロトン酸アミド類;
【0149】あるいは2−ジメチルアミノエチルビニル
エーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、
3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−
ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3
級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0150】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、シクロカーボネート基を有するビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、
【0151】2,3−カーボネートプロピル(メタ)ア
クリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピ
ル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル
(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネ
ートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4
−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−
カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−
カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチ
ル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレー
トまたは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アクリ
レート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテ
ル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートまた
はジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの
如き、各種の、5員環のシクロカーボネート基含有ビニ
ル系単量体類;
【0152】あるいは〔5−N−(メタ)アクリロイル
カルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−ジ
オキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アクリ
ロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−5
−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチル
−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−ジ
オキサン−2−オンまたは4−(5−エチル−2−オキ
ソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチルス
チレンの如き、各種の、6員環のシクロカーボネート基
含有ビニル系単量体類などである。
【0153】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、エポキシ基を有するビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)
アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシ
ド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニ
ルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、各
種の化合物などである。
【0154】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、1級ないしは2級アミド基を有するビニル
系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N−ビニルフォルムアミド、メチル(メタ)ア
クリルアミドグリコレート、メチル(メタ)アクリルア
ミドグリコレートメチルエーテル、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミドまたはN−n−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミドなどをはじめ、さらには、2−イソ
シアナートエチル(メタ)アクリレートと、アセチルア
セトンまたはアセト酢酸エステル類との付加反応物など
のような種々の化合物である。
【0155】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、カーバメート基を有するビニル系単量体と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0156】N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メ
チル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、
N−〔2−((メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカル
バミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキ
シ)エチル(メタ)アクリレートまたは2−(N−エチ
ルカルバモイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートな
どをはじめ、さらには、3−イソプロペニル−α,α−
ジメチルベンジルイソシアネートと、2−ヒドロキシプ
ロピルカーバメートとの付加反応物、2−イソシアナー
トエチル(メタ)アクリレートと、フェノールとの付加
反応物、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレー
トと、エタノールとの付加反応物などであるし、2−イ
ソシアナートエチル(メタ)アクリレートと、メチルエ
チルケトオキシムとの付加反応物などのような種々の化
合物である。
【0157】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、前掲したような構造式(S−I)で示され
る官能基を有するビニル系単量体として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナートエ
チル(メタ)アクリレートまたは3−イソプロペニル−
α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如き、イソ
シアナート基を有するビニル系単量体と、ε−カプロラ
クタムまたはγ−ブチロラクタムの如き、アミド化合物
との付加反応物などのような種々の化合物である。
【0158】ビニル系重合体(A−2)を調製する際に
使用される、前掲したような官能基の2種以上の官能基
を併有するビニル系単量体として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、モノ−(2−ヒドロキシエチ
ル)イタコネートまたはモノ−(2,3−カーボネート
プロピル)イタコネートなどである。
【0159】上述した、それぞれ、加水分解性シリル基
含有単量体と、酸基含有単量体と、加水分解性シリル基
・酸基なる両基以外の官能基含有単量体と、さらに、必
要に応じて、これらと共重合可能なる其の他の単量体と
を使用して、此のビニル系重合体(A−2)を調製する
には、
【0160】前述したビニル系重合体(A−1)を調製
する際に使用されるものとして、すでに、例示している
ような、種々の重合開始剤を使用して、公知慣用の種々
の方法で以て溶液ラジカル重合せしめるというようにす
ればよい。
【0161】以上に掲げたような、単量体類および重合
開始剤類を用いて、アルコール性水酸基含有有機溶剤を
必須成分として含有する媒体中で、ポリシロキサン
(B)の存在下に、公知慣用の溶液ラジカル重合法を適
用し、目的とする加水分解性シリル基と酸基と、加水分
解性シリル基・酸基なる両基以外の官能基とを併有する
ビニル系重合体(A−2)を調製する過程で、当該複合
樹脂(C−2)を調製するということが出来る。
【0162】上述したように、当該複合樹脂(C−1)
あるいは(C−2)の調製を目的として、ポリシロキサ
ン(B)の存在下において調製される、此のビニル系重
合体(A−1)あるいは(A−2)中に導入されるべき
加水分解性シリル基量としては、それぞれの重合体の固
形分の1,000g当たり、大約0.005〜大約3モ
ルなる範囲内が適切であり、好ましくは、0.01〜2
モルなる範囲内が適切であるし、さらに一層好ましく
は、0.05〜1モルなる範囲内が適切である。
【0163】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、此のビニル系重合体(A−1)あるいは(A−
2)と、珪素原子に結合した水酸基および/または加水
分解性基を有するポリシロキサン(B)との縮合反応が
進行しずらくなり易く、ひいては、得られる硬化物の耐
久性などを低下させるようになるし、一方、約3モルを
超えて余りにも多くなるような場合には、前述した縮合
反応時の溶液粘度が上昇し易く、ひいては、ゲル化を惹
起するようになるなどの不都合があるので、いずれの場
合も好ましくない。
【0164】また、ポリシロキサン(B)の存在下にお
いて調製される、此のビニル系重合体(A−1)あるい
は(A−2)中に導入されるべき酸基量としては、それ
ぞれの重合体の固形分の1,000g当たり、約0.1
〜約10モルなる範囲内が適切であるし、好ましくは、
0.2〜5モルなる範囲内が適切であるし、最も好まし
くは、0.3〜3モルなる範囲内が適切である。
【0165】さらに、当該複合樹脂(C−2)の調製を
目的として、ポリシロキサン(B)の存在下において調
製される、此のビニル系重合体(A−2)中に導入され
るべき、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、3
級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級
アミド基、2級アミド、カーバメート基および構造式
(S−I)で示される官能基などにより代表される、加
水分解性シリル基・酸基なる両基以外の官能基の少なく
とも1種の量としては、該ビニル系重合体(A−2)の
固形分の1,000g当たり、約0.1〜約5モルなる
範囲内が適切であり、好ましくは、0.2〜3モルなる
範囲内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.3
〜2モルなる範囲内が適切である。
【0166】約6モルを超えて余りにも多くなるような
場合には、どうしても、硬化物の、とりわけ、耐水性な
らびに耐薬品性などが低下するというようになり易いの
で、好ましくない。
【0167】また、当該複合樹脂(C−1)あるいは
(C−2)の調製を目的として、ポリシロキサン(B)
の存在下において調製される、此のビニル系重合体(A
−1)あるいは(A−2)を構成するビニル系重合体セ
グメントの数平均分子量としては、大約500〜大約1
00,000なる範囲内に、好ましくは、1,000〜
50,000なる範囲内に設定することが適切である
し、一層好ましくは、1,500〜30,000なる範
囲内に設定することが適切である。
【0168】此のビニル系重合体(A−1)あるいは
(A−2)を構成するビニル系重合体セグメントの数平
均分子量を、約500未満に設定したような場合には、
どうしても、硬化性や、硬化物の機械的強度などが劣る
ようになり易いし、一方、約100,000を超えて余
りにも高く設定したような場合には、どうしても、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低く
なったり、塗装作業性にも劣るようになったり、さらに
は、硬化塗膜の外観などが低下したりするようにもなる
ので、いずれの場合も好ましくない。
【0169】当該複合樹脂(C−1)の調製方法とし
て、アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成分とする
媒体中で、ポリシロキサン(B)および重合性不飽和二
重結合を有する、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂
などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在下
に、加水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量体
とを必須成分とする単量体混合物を、ラジカル重合せし
めることによって、加水分解性シリル基および酸基を併
有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた
形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などの重合
体(A−1)と、ポリシロキサン(B)とを複合化せし
めるというような方法がある。
【0170】また、当該複合樹脂(C−2)の調製方法
として、アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成分と
する媒体中で、ポリシロキサン(B)および重合性不飽
和二重結合を有する、ポリエステル樹脂またはアルキド
樹脂などのような、ビニル系重合体以外の重合体の存在
下に、加水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量
体と、これらの両官能基以外の官能基を有する単量体と
を、必須成分とする単量体混合物を、ラジカル重合せし
めることによって、加水分解性シリル基と酸基と、これ
ら以外の官能基を有するビニル系重合体セグメントをグ
ラフト化せしめた形の、ポリエステル樹脂またはアルキ
ド樹脂などの重合体(A−2)と、ポリシロキサン
(B)とを複合化せしめるというような方法もある。
【0171】当該複合樹脂(C−1)を調製する際に、
此の重合体(A−1)として、ポリウレタン系重合体を
調製する場合には、たとえば、予め、各種のジイソシア
ネート化合物と、ジヒドロキシ化合物と、ジメチロール
プロピオン酸またはジメチロールブタン酸の如き、各種
の、酸基を有するジヒドロキシ化合物の如き、公知慣用
の種々の原料成分とを使用して、公知慣用の種々の方法
によって、イソシアネート基と酸基とを併有する形のポ
リウレタン前駆体を調製したのちに、該前駆体と、ポリ
シロキサン(B)とを仕込んだ反応容器に、
【0172】分子中にアルコール性水酸基を有する有機
溶剤(アルコール性水酸基含有有機溶剤)を必須成分と
して含有する形の媒体と、加水分解性シリル基を有する
ジアミン化合物(加水分解性シリル基含有ジアミン化合
物)または加水分解性シリル基を有するモノアミン化合
物(加水分解性シリル基含有モノアミン化合物)との混
合物を滴下して、ポリウレタン系重合体(A−1)を調
製する過程で、これらの、それぞれ、(A−1)成分
と、(B)成分とを複合化せしめることによって、目的
とする複合樹脂(C−1)を調製するということが出来
る。
【0173】その一方、当該複合樹脂(C−2)を調製
する際に、此の重合体(A−2)として、ポリウレタン
系重合体を調製する場合には、たとえば、上述したポリ
ウレタン系重合体(A−1)の調製に際して、予め、調
製されるポリウレタン前駆体を調製する際に使用される
ものとして、すでに、掲げているような、公知慣用の種
々の原料類に加えて、加水分解性シリル基・酸基なる両
基以外の、前掲したような各種の官能基を有し、しか
も、イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する形
の基をも、1個ないしは2個、有する化合物を原料成分
として使用して、公知慣用の種々の方法によって、
【0174】イソシアネート基と、酸基と、加水分解性
シリル基・酸基なる両基以外の、前掲したような各種の
官能基とを併有するポリウレタン前駆体を調製したの
ち、該前駆体と、ポリシロキサン(B)とを仕込んだ反
応容器に、アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成分
として含有する媒体と、加水分解性シリル基含有ジアミ
ン化合物または加水分解性シリル基含有モノアミン化合
物との混合物を滴下して、ポリウレタン系重合体(A−
2)を調製する過程で、これらの、それぞれ、(A−
2)成分と、(B)成分とを複合化せしめることによ
り、目的とする(C−2)を調製するということが出来
る。
【0175】上述したような方法により、当該複合樹脂
(C−2)を調製する際に使用される、加水分解性シリ
ル基・酸基なる両基以外の、前掲したような各種の官能
基を有し、しかも、イソシアネート基と反応する活性水
素を有する基を、1個または2個、有する化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、4−ヒ
ドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、グ
リシドール、N−メチルジエタノールアミン、2−ヒド
ロキシエチルカーバメートまたは2−ヒドロキシプロピ
ルカーバメートの如き、各種の官能基と水酸基とを併有
するというような化合物などである。
【0176】前記したような方法で、当該複合樹脂(C
−1)あるいは(C−2)の調製を目的として、ポリシ
ロキサン(B)の存在下において調製される、此のポリ
ウレタン系重合体(A−1)あるいは(A−2)中に導
入されるべき加水分解性シリル基量としては、それぞれ
の重合体の固形分1,000g当たり、大約0.005
〜大約3モルなる範囲内が適切であり、好ましくは、
0.01〜2モルなる範囲内が適切であるし、さらに一
層好ましくは、0.05〜1モルなる範囲内が適切であ
る。
【0177】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、ポリウレタン系重合体(A−1)あるいは(A−
2)と、珪素原子に結合した水酸基および/または加水
分解性基を有するポリシロキサン(B)との縮合反応が
進行しずらくなり易く、ひいては、得られる硬化物の耐
久性などを低下させるようになって来るし、一方、約3
モルを超えて余りにも多くなるような場合には、斯かる
縮合反応時の溶液粘度が上昇し易くなり、ひいては、ゲ
ル化を惹起するようになるなどの不都合があるので、い
ずれの場合も好ましくない。
【0178】また、ポリシロキサン(B)の存在下にお
いて調製される、此のポリウレタン系重合体(A−1)
あるいは(A−2)中に導入されるべき酸基量として
は、それぞれの重合体の固形分の1,000g当たり、
約0.07〜約5.0モルなる範囲内が適切であるし、
好ましくは、0.07〜2.0モルなる範囲内が適切で
あるし、最も好ましくは、0.1〜0.7モルなる範囲
内が適切である。
【0179】さらに、当該複合樹脂(C−2)の調製を
目的として、ポリシロキサン(B)の存在下において調
製される、此のポリウレタン系重合体(A−2)中に導
入されるべき、加水分解性シリル基・酸基なる両基以外
の官能基の少なくとも1種の量としては、此のポリウレ
タン系重合体(A−2)の固形分の1,000g当た
り、約0.1〜約5モルなる範囲内が適切であり、好ま
しくは、0.2〜3モルなる範囲内が適切であるし、さ
らに一層好ましくは、0.3〜2モルなる範囲内が適切
である。
【0180】さらには、当該複合樹脂(C−1)あるい
は(C−2)の調製を目的として、ポリシロキサン
(B)の存在下において調製される、此のポリウレタン
系重合体(A−1)あるいは(A−2)を構成するポリ
ウレタン系重合体セグメントの数平均分子量は、大約5
00〜大約100,000なる範囲内で、好ましくは、
1,000〜50,000なる範囲内で設計することが
適切であるし、一層好ましくは、1,500〜30,0
00なる範囲内で設計することが適切である。
【0181】此のポリウレタン系重合体(A−1)ある
いは(A−2)を構成するポリウレタン系重合体セグメ
ントの数平均分子量を、約500未満に設計したような
場合には、どうしても、硬化性や、硬化物の機械的強度
などが劣るようになり易く、一方、約100,000を
超えて余りにも高く設計したような場合には、どうして
も、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著
しく低くなったり、塗装作業性にも劣るようになった
り、さらには、硬化塗膜の外観などが低下したりするよ
うにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0182】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)を調製するための、ポリシロキサン(B)の存在下
における、此の重合体(A−1)あるいは(A−2)の
調製を行なうに当たり、該(B)成分と、該(A−1)
あるいは(A−2)成分との複合化反応を、より一層、
スムーズに進行させるために、触媒を添加することが出
来るが、斯かる触媒としては、該ポリシロキサン(B)
を調製する際に使用されるものとして、すでに、前掲し
ているような種々の触媒類を、そのまま、使用すること
が出来る。
【0183】また、斯かる複合化反応に際して、ことさ
ら、触媒を添加せずとも、前述したような処方で以て調
製されたポリシロキサン(B)中に残留している触媒の
みでも、該複合化反応を促進することは可能である。
【0184】使用される触媒量としては、此の重合体
(A−1)あるいは(A−2)と、ポリシロキサン
(B)との合計量に対して、約0.0001〜約10重
量%なる範囲内が、好ましくは、0.0005〜3重量
%なる範囲内が、特に好ましくは、0.0005〜1重
量%なる範囲内が適切である。
【0185】また、ポリシロキサン(B)の存在下に、
此の重合体(A−1)あるいは(A−2)を調製する過
程での、該(B)成分と、該(A−1)あるいは(A−
2)成分との間の複合化反応を、より一層、スムーズに
進行せしめるためには、此の重合体(A−1)あるいは
(A−2)中に存在する加水分解性シリル基と、ポリシ
ロキサン(B)中に、場合によっては存在する、珪素原
子に結合した加水分解性基との加水分解を、円滑に進行
せしめることが望ましく、したがって、此の複合化反応
を、水の存在下で以て行なうことが、特に望ましい。
【0186】水の存在下に、斯かる複合化反応を行なっ
て、それぞれ、当該複合樹脂(C−1)あるいは複合樹
脂(C−2)を得るには、ポリシロキサン(B)に、水
を添加せしめたのちに、此の重合体(A−1)あるいは
(A−2)の調製を行なって、該重合体(A−1)ある
いは(A−2)中に存在する加水分解性シリル基と、ポ
リシロキサン(B)中に、場合によっては存在する、珪
素原子に結合した加水分解性基との双方を加水分解せし
め、引き続いて、縮合反応を行なうというようにすれば
よいし、
【0187】また、ことさらに、水を加えずに、前述し
たような処方で以て調製された、此のポリシロキサン
(B)中に残存している水を利用することによって、重
合体(A−1)あるいは(A−2)中に存在する加水分
解性シリル基と、ポリシロキサン(B)中に、場合によ
っては存在する、珪素原子に結合した加水分解性基との
双方を加水分解せしめ、その後に、引き続いて、縮合反
応を行なうということによって、目的とする複合化反応
を行なうことも出来る。
【0188】斯かる複合化反応を行なう際に、添加され
る水の量としては、重合体(A−1)あるいは(A−
2)中に含まれる加水分解性シリル基に結合している加
水分解性基と、ポリシロキサン(B)中に存在する、珪
素原子に結合している加水分解性基との合計のモル数1
モルに対して、約0.05モル以上が、好ましくは、
0.1モル以上が適切であるし、さらに好ましくは、
0.2モル以上が適切である。
【0189】0.05モル未満の場合には、どうして
も、複合化反応に関わる加水分解の速度が著しく遅くな
ってしまうようにもなるので好ましくない。
【0190】また、水の添加量を大過剰に設定しても、
重合体(A−1)あるいは(A−2)を調製するに際し
て、重合反応を阻害したり、反応中に不溶物が析出した
りするなどの不都合が生じない限り、何らの障害もな
く、複合化反応を遂行なすることが可能ではあるが、ポ
リシロキサン(B)中に存在する、珪素原子に結合して
いる加水分解性基が存在しているというような場合に
は、このような加水分解性シリル基の1モルに対して、
水の使用量を、概ね10モル以下に、好ましくは、5モ
ル以下に、より好ましくは、3.5モル以下に設定する
のが適切であるし、
【0191】他方、ポリシロキサン(B)中に存在す
る、珪素原子に結合している加水分解性基が存在しない
というような場合には、重合体(A−1)あるいは(A
−2)中に含まれる加水分解性シリル基に結合している
加水分解性基の1モルに対して、500モル以下に、好
ましくは、300以下にモル以下に、より好ましくは、
200モル以下に設定するのが適切である。
【0192】そして、斯かる複合化反応を行なう際の触
媒および水の添加方法は、一括添加でも、分割添加でも
よいし、また、触媒と水とを混合した形で以て添加して
も、あるいは別々に、添加してもよいことは、勿論であ
る。
【0193】当該複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)を調製するための、アルコール性水酸基含有有機溶
剤を必須成分として含有する媒体中、ポリシロキサン
(B)の存在下において行なう重合体(A−1)あるい
は(A−2)の重合温度としては、0℃〜150℃程度
が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃の範囲内
が適切であるし、一方、これらの反応の圧力としては、
常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件においても行
なうことが出来る。
【0194】また、ポリシロキサン(B)と、重合体
(A−1)あるいは(A−2)との複合化反応の副生成
物である、アルコールや水などは、蒸留などの手段によ
って、これらを、系外に除くことが出来るし、問題が無
ければ、そのまま、系内に存在させておいても、一向
に、支障は無い。
【0195】また、斯かる複合化反応を行なう場合の、
それぞれ、重合体(A−1)あるいは(A−2)と、ポ
リシロキサン(B)との、アルコール性水酸基含有有機
溶剤を必須成分として含有する媒体中における濃度とし
ては、両成分の合計量で以て、5重量%程度以上にする
ことが望ましい。
【0196】このようにして調製される、当該複合樹脂
(C−1)あるいは(C−2)を、塩基性化合物で以
て、部分的に、あるいは完全に中和反応せしめたのち
に、水に分散化ないしは溶解せしめるということによっ
て、それぞれ、目的とする水性樹脂(D−1)あるいは
(D−2)が調製される。
【0197】斯かる中和反応の際に使用される此の塩基
性化合物として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、2−
アミノ−2−メチルプロパノ−ル、2−アミノエタノ−
ルまたは2−ジメチルアミノエタノ−ルなどによって代
表されるような、各種の有機アミン化合物;
【0198】あるいはアンモニアをはじめ、水酸化ナト
リウムまたは水酸化カリウムなどによって代表されるよ
うな、各種の無機塩基性物質;またはテトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアン
モニウムハイドロオキサイドまたはトリメチルベンジル
アンモニウムハイドロオキサイドなどによって代表され
るような、各種の第四級アンモニウムハイドロオキサイ
ド類などである。
【0199】このような各種の塩基性化合物のうちで
も、アンモニアおよび各種の有機アミン類の使用が特に
望ましい。
【0200】そして、当該塩基性化合物の添加量として
は、少なくとも、複合樹脂(C−1)あるいは(C−
2)に対し、水分散性を付与することが可能なる範囲内
の量であり、該複合樹脂中に含まれる酸基の当量数に対
する、当該塩基性化合物の当量数の比率、
【0201】つまり、「当該塩基性化合物」/「該複合
樹脂中の酸基」なる当量比が約0.1以上となることが
適切ではあるが、塗膜諸性能を損なわない範囲の量とし
て、好ましくは、概ね、0.1〜3なる範囲内が適切で
あるし、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲内が適切
である。
【0202】斯かる中和反応を行なう際の塩基性化合物
の添加方法は、一括添加でも、分割添加でもよいこと
は、勿論である。
【0203】こうした中和反応の反応温度としては、0
℃〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜
100℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力と
しては、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件にお
いても行なうことが出来る。
【0204】こうして塩基性化合物により中和された複
合樹脂(C−1)あるいは(C−2)を、水に分散化な
いしは溶解せしめ、水性樹脂(D−1)あるいは(D−
2)を調製する方法としては、公知慣用の種々の方法を
適用することが出来る。
【0205】たとえば、中和された複合樹脂(C−1)
あるいは(C−2)に対して、単に、水を添加せしめる
か、あるいは中和された複合樹脂(C−1)あるいは
(C−2)を、水に対して加えるということによって、
水中に分散化せしるか、あるいは溶解せしめことによっ
て、それぞれ、目的とする水性樹脂(D−1)あるいは
(D−2)を製造することが出来る。
【0206】さらにまた、必要に応じて、このようにし
て調製される水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)中
に存在する、アルコール性水酸基含有有機溶剤を必須成
分として含有する媒体を、加熱および/または減圧によ
って、部分的に、あるいは完全に除去せしめるというこ
とによって、有機溶剤の含有率が低い、あるいは有機溶
剤を含有しない形の目的水性樹脂(D−1)あるいは
(D−2)を調製することが出来る
【0207】このようにして調製される水性樹脂(D−
1)中に含まれる官能基は、重合体(A−1)と、ポリ
シロキサン(B)とに由来する、シラノール基および場
合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解性
基、ならびに該重合体(A−1)に由来する遊離の酸基
および塩基性化合物により中和された酸基である。
【0208】上述のようにして調製される水性樹脂(D
−2)中に含まれる官能基は、重合体(A−2)と、ポ
リシロキサン(B)とに由来する、シラノール基および
場合によっては含有される珪素原子に結合した加水分解
性基、該重合体(A−2)に由来する、遊離の酸基およ
び塩基性化合物により中和された酸基に加えて、該重合
体(A−2)に由来する、それぞれ、水酸基、ブロック
された水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、
エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメー
ト基および/または構造式(S−I)で示される官能基
などの、加水分解性シリル基・酸基なる両基以外の官能
基の、少なくとも1種の基である。
【0209】水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)を
調製する過程で、重合体(A−1)あるいは(A−2)
に、酸基として、ブロックした酸基あるいは酸無水基を
導入せしめようとするような場合には、斯かるブロック
した酸基あるいは酸無水基のうちの少なくとも一部分
は、ポリシロキサン(B)との複合化の過程で、あるい
は塩基性化合物による中和の過程で、加水分解、酸触媒
分解、熱分解あるいはアルコリシスなどによって、遊離
の酸基に変換されて、水性化のための親水性基として機
能するということである。
【0210】もし、酸基として、こうした、ブロックし
た酸基あるいは酸無水基を導入せしめたような場合にお
いて、塩基性化合物による中和過程ののちも、水性化に
必要なる量の遊離の酸基が生成しない場合には、斯かる
中和過程あるいはポリシロキサン(B)との複合化過程
の反応条件を厳しくするなどの措置により、遊離の酸基
に変換せしめるという必要がある。
【0211】また、水性樹脂(D−2)を調製する際
に、重合体(A−2)中に、ブロックされた水酸基、エ
ポキシ基またはシクロカーボネート基を導入せしめよう
とするような場合には、該重合体(A−2)と、ポリシ
ロキサン(B)との複合化の過程で以て、
【0212】さらには、複合化反応ののちに行なわれ
る、塩基性化合物を用いた中和反応の段階で以て、さら
に加えて、水に対する複合樹脂(C−2)の分散化ない
しは溶解の段階で以て、これらの官能基の少なくとも一
部分は、それぞれ、加水分解、酸触媒分解あるいはアル
コリシスなどによって、遊離の水酸基に変換されるとい
うようなこともある。
【0213】そして、斯かるブロックされた水酸基、エ
ポキシ基またはシクロカーボネート基の種類とか、ある
いは重合体(A−2)と、ポリシロキサン(B)との複
合化反応、該複合化反応ののちに行なう中和反応ならび
に水に対する分散化ないしは溶解の条件などによって
は、斯かる各種の官能基は、完全に、遊離の水酸基に変
換されるというようなこともある。
【0214】このようにして調製される水性樹脂(D−
1)あるいは(D−2)から、本発明に係る水性硬化性
樹脂組成物を調製するには、一つには、(D−1)およ
び(D−2)は自己硬化性を有するものであるという処
ことから、(D−1)あるいは(D−2)を必須成分と
して含有する形の、自己硬化性の樹脂組成物とするよう
にすればよいし、
【0215】二つには、(D−1)あるいは(D−2)
に、さらに、前記した化合物(E)を配合せしめるとい
うことによって、(D−1)あるいは(D−2)中に含
まれる官能基と、該化合物(E)中に含まれる官能基と
の間の架橋反応をも利用するという形の硬化性樹脂組成
物、つまり、目的とする水性硬化性樹脂組成物と為すこ
とも出来る。
【0216】後者の硬化性樹脂組成物の調製に際して使
用される、斯かる化合物(E)とは、前述した水性樹脂
(D−1)あるいは(D−2)中に含まれる、前述のよ
うな各種の官能基と反応し得るような官能基を、少なく
とも1種、有するという形の、公知慣用の種々の化合物
を指称するものであり、こうした官能基として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、
【0217】イソシアネート基、ブロックされたイソシ
アネート基、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無
水基、アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネ
ート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カ
ーバメート基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシメチル
アミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、カルボニル
基、アセトアセチル基、シラノール基、珪素原子に結合
した加水分解性基または下記のような構造式(S−I
V)で示される官能基などである。
【0218】
【化10】 −C(O)−NH−CH(OR5)−COOR6 (S−IV)
【0219】(ただし、式中のR5 は、水素原子、炭素
数が1〜8なるアルキル基、またはアリール基を、ま
た、R6 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリー
ル基を表わすものとする。)
【0220】そして、斯かる化合物(E)中に含まれる
官能基は、水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)中に
存在する官能基の種類に応じて、適宜、選択されるとい
うことである。こうした形の組み合わせとして特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、シラノール基−
シラノール基、シラノール基−アルコキシシリル基、ア
ルコキシシリル基−アルコキシシリル基、カルボキシル
基−エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボネート
基、3級アミノ基−エポキシ基、水酸基−N−ヒドロキ
シメチルアミノ基または水酸基−イソシアネート基など
である。
【0221】そして、当該化合物(E)としては、水性
樹脂(D−1)あるいは(D−2)中に含まれる官能基
によっては、前述したような種々の官能基のうちの2種
以上を有するようなものであってもよい。
【0222】また、当該化合物(E)としては、比較
的、分子量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類を使用
するということが出来る。このような樹脂類として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹
脂またはフッ素樹脂の如き、各種のビニル系重合体であ
るとか、あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポ
リウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などである。
【0223】かくして、当該化合物(E)として、前掲
したような官能基を、2種以上、有する形の化合物を使
用する際には、当該化合物(E)としては、ビニル系重
合体を使用するのが簡便であり、特に推奨され得よう。
【0224】斯かる化合物(E)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有する化合物、一分子中にイソシアネート基と珪素原子
に結合した加水分解性基とを併有する化合物、一分子中
にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併
有する化合物、一分子中にアミノ基と珪素原子に結合し
た加水分解性基とを併有する化合物、
【0225】ポリイソシアネート化合物、ブロック・ポ
リイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシ
クロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2
級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒ
ドロキシ化合物、ポリアジリジン化合物、ポリアクリレ
ート化合物、ポリカーボジイミド化合物、ブロックされ
た水酸基を有する化合物、ポリアミン化合物、少なくと
も2個のカルボン酸無水基を有する化合物またはポリオ
キサゾリン化合物などであり、これらの諸々の化合物類
は、単独使用であってもよいし、2種以上の併用であっ
てもよいことは、勿論、可能である。
【0226】これらのうちでも特に好ましいものとして
は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にイ
ソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを
併有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結
合した加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシア
ネート化合物、ブロック・ポリイソシアネート化合物、
ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、
アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポ
リカルボキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物などが
挙げられる。
【0227】前記した、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または加水分解性基を有する珪素化合物のうちでも
特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、前掲
したような一般式(S−II)で以て示される珪素化合
物;これらの珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解
縮合物;これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合
により得られる部分加水分解縮合物;または此等の珪素
化合物の2種以上の部分加水分解縮合により得られる部
分共加水分解縮合物などである。
【0228】これらのうちでも、当該珪素化合物として
特に望ましいものとして代表的なものは、テトラメトキ
シシランおよびテトラエトキシシラン、それらの部分加
水分解縮合物または其れ等の部分共加水分解縮合物など
である。
【0229】前記した、一分子中に、それぞれ、イソシ
アネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併
せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示
するにとどめることにするならば、
【0230】3−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ンまたは3−イソシアナートプロピルメチルジエトキシ
シランの如き、各種の珪素化合物;
【0231】あるいは前掲したような、加水分解性シリ
ル基含有ビニル系単量体と、後掲するような、イソシア
ネート基含有ビニル系単量体とからなる種々の共重合
体、あるいは此等の両単量体を、該両単量体と共重合可
能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステ
ル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオ
ロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめるこ
とによって得られるような、エポキシ基と加水分解性シ
リル基とを併有する、それぞれ、アクリル系共重合体、
ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系
共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などであ
る。
【0232】前記した、一分子中に、それぞれ、エポキ
シ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有す
る化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するに
とどめることにするならば、
【0233】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランまた
は3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの
如き、珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加
水分解縮合により得られる部分加水分解縮合物;または
此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合により
得られる部分共加水分解縮合物;
【0234】「EGM−202」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社製の、珪素原子に結合したメトキシ基
と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状のポ
リシロキサンの商品名];「KP−392」[信越化学
(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの部分加水分解縮合物の商品名];
【0235】あるいは前掲したような、各種のエポキシ
基含有ビニル単量体と、同じく、前掲したような、加水
分解性シリル基含有ビニル系単量体とからなる種々の共
重合体、あるいは亦、此等の両単量体を、該両単量体と
共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニ
ルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系また
はフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せ
しめることによって得られるような、エポキシ基と加水
分解性シリル基とを併有する、それぞれ、アクリル系共
重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレ
フィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類な
どである。
【0236】前記したポリイソシアネート化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレ
ンジイソシアネートまたはジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネ
ート類;
【0237】メタ−キシリレンジイソシアネート、α,
α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイ
ソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシアネー
ト類;
【0238】ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチル
シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナー
トシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナ
ートシクロヘキサンまたはイソホロンジイソシアネート
の如き、各種の脂肪族ないしは脂環式(脂肪族環状)ジ
イソシアネート類;
【0239】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を、多価アルコール類と付加反応せしめて得られると
いう形の、イソシアネート基を有するプレポリマー類;
【0240】あるいは前掲したような各種のポリイソシ
アネート類を環化三量化せしめて得られる、イソシアヌ
レート環を有するプレポリマー類;
【0241】あるいは亦、前掲したような各種のポリイ
ソシアネート類と、水とを反応せしめて得られる、ビウ
レット構造を有するポリイソシアネート類;
【0242】さらには、2−イソシアナートエチル(メ
タ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジルイソシアネートまたは(メタ)アクリロイ
ルイソシアネートの如き、各種のイソシアネート基を有
するビニル単量体の単独重合体
【0243】または此等のイソシアネート基含有ビニル
単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル
単量体類などと共重合せしめることによって得られる、
【0244】イソシアネート基含有の、それぞれ、アク
リル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフル
オロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共
重合体類などである。
【0245】そして、斯かるポリイソシアネート化合物
のうちにあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族
ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合
物またはアラルキルジイソシアネート化合物であると
か、それらの各ジイソシアネート化合物から誘導され
る、種々のプレポリマーあるいはイソシアネート基含有
ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい。
【0246】前記したブロック・ポリイソシアネート化
合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物
を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化
せしめることによって得られる形の種々のブロック・ポ
リイソシアネート化合物や、
【0247】イソシアネート基を環化二量化せしめるこ
とによって得られる、種々のウレトジオン構造を有する
形の化合物のように、熱によって、イソシアネート基が
再生するという部類の化合物などである。
【0248】そして、ブロック・ポリイソシアネート化
合物を調製する際に使用される、ブロック剤として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノー
ル、エタノール、ベンジルアルコールまたは乳酸エステ
ルの如き、各種のカルビノール基含有化合物類;
【0249】フェノール、サリチル酸エステルまたはク
レゾールの如き、各種のフェノール性水酸基含有化合物
類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンまたは
アセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0250】あるいはアセトンオキシムまたはメチルエ
チルケトオキシムの如き、各種のオキシム類などである
し、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルま
たはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合
物類などである。
【0251】前記したポリエポキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリ
コール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリ
セリンまたはペンタエリスリトール、ソルビトールある
いは水添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ないし
は脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0252】ヒドロキノン、カテコールまたはレゾルシ
ンあるいはビスフェノールA、ビスフェノールSまたは
ビスフェノールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポ
リグリシジルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオ
ール類のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付
加体の如き、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジ
ルエーテル類;
【0253】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールまたはポリテトラメチレングリコールの如
き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエ
ーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル
酸、テレフタル酸またはトリメリット酸の如き、各種の
脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジル
エステル類;
【0254】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンま
たはビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系ジ
エンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4ーエポキ
シシクロヘキシルメチル)アジペートまたは3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロ
ヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエ
ポキシ化合物;ポリブタジエンまたはポリイソプレンの
如き、各種のジエンポリマーの種々のエポキシ化物;あ
るいは「EGM−400」[東レ・ダウコーニング・シ
リコーン社製の、3−グリシドキシプロピルを有する、
環状のポリシロキサンの商品名];
【0255】あるいは亦、前掲したような、各種のエポ
キシ基含有ビニル系単量体の種々の単独重合体、あるい
は此等のエポキシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共
重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニル
エステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系または
フルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せし
めることによって得られるような形の、エポキシ基含有
の、それぞれ、アクリル系共重合体、ビニルエステル系
共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、
種々のビニル系共重合体類などである。
【0256】ポリシクロカーボネート化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したよ
うな各種のポリエポキシ化合物を、たとえば、触媒の存
在下に、二酸化炭素と反応せしめることによって、此の
エポキシ基を、シクロカーボネート基に変換することに
より得られるという形の、各種の5員環シクロカーボネ
ート基を有するポリシクロカーボネート化合物;あるい
は前掲したような、各種のシクロカーボネート基含有ビ
ニル系単量体の種々の単独重合体
【0257】または此等のシクロカーボネート基含有ビ
ニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、
(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニ
ル単量体類などと共重合せしめることによって得られる
ような形の、シクロカーボネート基含有の、それぞれ、
アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体または
フルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル
系共重合体類などである。
【0258】アミノ樹脂として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、メラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミン、尿素またはグリコウリルの如き、各
種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒドまたはア
セトアルデヒドの如き、各種のアルデヒド化合物(ない
しはアルデヒド供給物質)と反応せしめることによって
得られるような部類の、アルキロール基を有する種々の
アミノ樹脂;
【0259】あるいは斯かるアルキロール基含有アミノ
樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノールまた
はi−ブタノールの如き、各種の低級アルコールと反応
せしめて得られる形の、アルコキシアルキル基を有する
アミノ樹脂などである。
【0260】また、1級ないしは2級アミド基含有化合
物として特に代表的なるもののみを例示するにとどめる
ならば、重合体(A−2)を調製する際に使用されるも
のとして、すでに、例示しているような、1級ないしは
2級アミド基を有する、種々のビニル単量体の単独重合
【0261】または此等の1級ないしは2級アミド基含
有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞ
れ、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロ
オレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめること
によって得られるような、1級ないしは2級アミド基を
有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系
共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、
種々のビニル系共重合体類などである。
【0262】また、ポリカルボキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン
酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など
の低分子量の化合物などであり、さらに、
【0263】重合体(A−1)を調製する際に使用され
るものとして、すでに、例示しているような、カルボキ
シル基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体
【0264】または此等のカルボキシル基含有ビニル単
量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル
単量体類などと共重合せしめることによって得られるよ
うな、カルボキシル基を有する、各種のアクリル系共重
合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフ
ィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類など
である。
【0265】ポリヒドロキシ化合物として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリ
セリンなどの低分子化合物などであるし、また、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなどであ
るし、さらには、重合体(A−2)を調製する際に使用
されるものとして、すでに、例示しているような、水酸
基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体
【0266】または此等の水酸基含有ビニル単量体を、
該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビ
ニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類など
と共重合せしめることによって得られるような形の、水
酸基を有する、それぞれ、各種のアクリル系共重合体、
ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系
共重合体の如き、種々のビニル系共重合体類などであ
る。
【0267】当該化合物(E)を、水性樹脂(D−1)
あるいは(D−2)に配合せしめる際に、該化合物
(E)が水溶性であったり、ある程度の親水性を有する
というような場合には、該化合物(E)が、水性樹脂
(D−1)あるいは(D−2)の中に、均一に溶解ない
しは均一に分散化した形の組成物を得ることが出来る。
【0268】しかしながら、当該化合物(E)それ自体
の親水性が低いというような場合には、水性樹脂(D−
1)あるいは(D−2)と混合しても、均一に溶解ない
しは分散化した形の組成物を得るということが出来な
い。このような場合には、公知慣用の種々の方法によ
り、当該化合物(E)中に親水性基などを導入するなど
の手段によって、当該化合物(E)それ自体の親水性を
向上化せしめ、均一なる組成物と為すことが出来る。
【0269】当該化合物(E)それ自体が重合体である
というような場合には、該化合物(E)としては、無溶
剤液状物、有機溶剤溶液、水溶液または水分散体のいず
れの形態であっても使用することが出来る。そして、該
化合物(E)が、特に、ビニル系重合体であるような場
合には、エマルジョン重合体として使用するのも好適で
ある。
【0270】前記した水性樹脂(D−1)あるいは(D
−2)と、当該化合物(E)とから成る水性硬化性樹脂
組成物を調製するには、該化合物(E)が、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有する化合物である場合には、水性樹脂(D
−1)あるいは(D−2)の固形分の100重量部に対
して、該化合物(E)の固形分量が、0.1〜約200
重量部、好ましくは、0.5〜150重量部、一層好ま
しくは、1〜100重量部の範囲内となるように、配合
するようにすればよい。
【0271】また、当該化合物(E)それ自体が、一分
子中に、イソシアネート基と珪素原子に結合した加水分
解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合物
またはブロック・ポリイソシアネート化合物であるとい
うような場合には、水性樹脂(D−1)あるいは(D−
2)中に含まれる、イソシアネート基またはブロックイ
ソシアネート基と反応する官能基の1当量に対して、
【0272】該化合物(E)中に含まれるイソシアネー
ト基またはブロック・イソシアネート基の量が約0.1
〜約10当量、好ましくは、0.3〜5当量、一層好ま
しくは、0.5〜2当量の範囲内となるように、該化合
物(E)を配合せしめるというようにすればよい。
【0273】また、当該化合物(E)が、一分子中に、
エポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有
する化合物、ポリエポキシ化合物、あるいはポリシクロ
カーボネート化合物であるというような場合には、水性
樹脂(D−1)および(D−2)中に含まれる、エポキ
シ基またはシクロカーボネート基と反応する官能基の1
当量に対して、
【0274】該化合物(E)中に含まれるエポキシ基量
および/またはシクロカーボネート基量の合計量が、約
0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、0.5〜
3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当量
の範囲内となるように、該化合物(E)を配合せしめる
というようにすればよい。
【0275】また、当該化合物(E)がアミノ樹脂であ
るというような場合には、水性樹脂(D−1)あるいは
(D−2)の固形分の100重量部に対して、該化合物
(E)の固形分量が、約5〜約200重量部、好ましく
は、10〜150重量部、一層好ましくは、15〜10
0重量部の範囲内となるように配合せしめるというよう
にすればよい。
【0276】また、当該化合物(E)それ自体が、1級
ないしは2級アミド基を有する化合物であるというよう
な場合には、水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)中
に含まれる、1級ないしは2級アミド基と反応する官能
基の1当量に対して、
【0277】該化合物(E)中に含まれる1級ないしは
2級アミド基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、
好ましくは、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好まし
くは、0.7〜2当量の範囲内となるように、該化合物
(E)を配合せしめるというようにすればよい。
【0278】また、当該化合物(E)がポリカルボキシ
化合物であるというような場合には、水性樹脂(D−
1)あるいは(D−2)中に含まれる、カルボキシル基
と反応する官能基の1当量に対して、
【0279】該化合物(E)中に含まれるカルボキシル
基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましく
は、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、
0.7〜2当量の範囲内となるように、該化合物(E)
を配合せしめるというようにすればよい。
【0280】また、当該化合物(E)それ自体が、ポリ
ヒドロキシ化合物であるというような場合には、水性樹
脂(D−1)あるいは(D−2)中に含まれる、ヒドロ
キシ基と反応する官能基の1当量に対して、
【0281】該化合物(E)中に含まれる水酸基量が、
約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、0.5
〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当
量の範囲内となるように、該化合物(E)を配合せしめ
るというようにすればよい。
【0282】上述のようにして調製される、水性樹脂
(D−1)あるいは(D−2)を必須成分として含有す
る形の、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物、あるいは
水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)に、さらに、当
該化合物(E)をも配合せしめた形の、本発明に係る水
性硬化性樹脂組成物は、着色顔料を全く含まない形の、
いわゆるクリヤーなる組成物として使用することが出来
るし、あるいは公知慣用の種々の有機系あるいは無機系
の顔料を含有するという形の、いわゆる着色組成物とし
ても亦、使用することが出来る。
【0283】また、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
には、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリン
グ剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添
加剤類などをも配合せしめた形で以て、種々の用途に利
用することが出来る。
【0284】前記した添加剤類のうち、硬化触媒として
特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、
前述したようなポリシロキサン(B)を調製する際に使
用されるものとして、すでに、前掲しているような各種
の触媒類を使用することが出来るし、これらに加えて、
テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウ
ム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホ
スホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピ
ル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩また
はベンジルホスホニウム塩類などである。
【0285】かくして得られる、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物は、これを構成する水性樹脂(D−1)あ
るいは(D−2)の種類により、(E)成分の有無によ
り、あるいは該(E)成分を添加したような場合には、
その種類と量とにより、最適なる硬化条件は異なるけれ
ども、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめる
か、
【0286】あるいは約80〜約250℃程度の温度範
囲で、約30秒〜約2時間程度のあいだ焼き付けを行な
うということによって、実用性の高い硬化物を得ること
が出来る。
【0287】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、耐久
性などに極めて優れる硬化物を与える処から、該水性樹
脂を必須の成分として含有することから成る、本発明に
係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上塗り
用塗料、建築外装用塗料、建材用塗料などの、種々の塗
料用として利用することが出来るし、さらには、接着剤
用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに表面処理剤
用などとして、広範囲なる用途にも、利用することが出
来る。
【0288】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本
発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下において、部および%は、特に断
りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0289】参考例1〔重合体(R−1)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、i−プロパノール(IPA)の
470部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にま
で昇温した。
【0290】次いで、同温度で、スチレン(ST)の1
00部、メチルメタアクリレート(MMA)の300
部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の184部、
n−ブチルアクリレート(BA)の221部、アクリル
酸(AA)の50部および2−ヒドロキシエチルメタク
リレート(HEMA)の115部と、IPAの450部
と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート(TBPO)の50部とからなる混合物を、4時
間に亘って滴下した。
【0291】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌するということによって、不揮発分が53.4%
で、かつ、数平均分子量が11,000なる、カルボキ
シル基および水酸基を併有する、対照用樹脂1を調製す
る際に使用する重合体の溶液を得た。以下、これを、
(R−1)と略記する。
【0292】参考例2〔重合体(R−2)の調製例〕 参考例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0293】次いで、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの364部、BAの186部およ
びAAの50部と、IPAの450部と、2,2’−ア
ゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(ABMBN)
の40部とからなる混合物を、4時間に亘って滴下し
た。
【0294】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が52.2%で、か
つ、数平均分子量が10,500なる、カルボキシル基
を有する、対照用樹脂2を調製する際に使用する重合体
の溶液を得た。以下、これを、(R−2)と略記する。
【0295】参考例3〔対照用樹脂1の調製例〕 参考例1と同様の反応容器に、重合体(R−1)の1,
311部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0296】次いで、同温度で、トリエチルアミン(T
EA)の49部と、イオン交換水の1,001部との混
合物を、30分かけて滴下したのちに、減圧蒸留で、溶
剤であるIPAを除去せしめるということによって、不
揮発分が42.3%なる水性樹脂を得た。以下、これ
を、対照用樹脂1と略記する。
【0297】参考例4〔対照用樹脂2の調製例〕 参考例1と同様の反応容器に、重合体(R−2)の1,
341部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0298】次いで、同温度で、TEAの49部と、イ
オン交換水の1,001部との混合物を、30分かけて
滴下したのちに、減圧蒸留で、溶剤であるIPAを除去
せしめるということによって、不揮発分が43.7%な
る水性樹脂を得た。以下、これを、対照用樹脂2と略記
する。
【0299】実施例1
【0300】本例は、水性樹脂(D−1)を調製するた
めの、一つの例示例を示すというものである。
【0301】温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗お
よび窒素導入管を備えた反応容器中に、メチルトリメト
キシシラン(MTMS)の69部と、フェニルトリメト
キシシラン(PTMS)の600部と、IPAの1,0
70部とを仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にま
で昇温した。
【0302】次いで、同温度で、「AP−3」[大八化
学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェー
トの商品名]の4.8部と、イオン交換水の191部と
を、約5分間で滴下し、同温度で、4時間のあいだ攪拌
したのちに、核磁気共鳴分析(1H−NMR)で以て、
MTMSとPTMSとの加水分解が、100%進行して
いることを確認した。
【0303】その後も、同温度で、STの100部、M
MAの300部、BMAの334部、BAの186部、
AAの50部および3−メタクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン(MPTMS)の30部と、IPA
の350部と、TBPOの50部とからなる混合物を、
各々、4時間に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度
で、16時間のあいだ攪拌して重合反応を継続せしめる
ことによって、まず、複合樹脂を得た。この複合樹脂
を、 1H−NMRで以て分析し、MPTMSの加水分解
反応が、100%進行していることを確認した。
【0304】引き続き、同温度で、TEAの70部と、
イオン交換水の1,914部との混合物を、30分かけ
て滴下して、カルボキシル基を中和せしめたのちに、減
圧蒸留で、メタノールおよびIPAなどのアルコール類
を除去せしめるということによって、不揮発分が41.
8%で、かつ、数平均分子量が6,100なる、目的と
する水性樹脂を得た。以下、これを、(D−1−1)と
略記する。
【0305】しかるのち、此の水性樹脂(D−1−1)
を、40℃において、1ヵ月間のあいだ保存した処、ゲ
ル化や、沈澱物の析出などの異状は全く見られなく、し
たがって、保存安定性に優れているということが判明し
た。
【0306】実施例2(同上) 参考例1と同様の反応容器に、PTMSの666部、ジ
メチルジメトキシシラン(DMDMS)の333部およ
びIPAの1,210部を仕込んで、窒素ガスの通気下
に、80℃にまで昇温した。
【0307】次いで、同温度で、「AP−3」の8.9
部と、イオン交換水の300部とを、約5分間で滴下
し、同温度で、4時間のあいだ攪拌したのちに、1H−
NMRで以て、PTMSとDMDMSとの加水分解が、
100%進行しているということを確認した。
【0308】その後も、同温度で、STの100部、M
MAの300部、BMAの364部、BAの186部お
よびAAの50部と、IPAの350部と、TBPOの
50部の混合物と、3−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン(HSPTMS)の24部とを、各々、4時間
に亘って滴下し、滴下終了後も、同温度で、16時間の
あいだ攪拌して重合反応を継続せしめることによって、
まず、複合樹脂を得た。この複合樹脂を、1H−NMR
で以て分析し、HSPTMSの加水分解反応が、100
%進行していることを確認した。
【0309】引き続き、同温度で、TEAの70部と、
イオン交換水の2,305部との混合物を、30分かけ
て滴下して、カルボキシル基を中和せしめたのちに、減
圧蒸留で、メタノールおよびIPAなどのアルコール類
を除くことによって、不揮発分が41.0%で、かつ、
数平均分子量が5,000なる、目的とする水性樹脂を
得た。以下、これを、(D−1−2)と略記する。
【0310】しかるのち、この水性樹脂(D−1−2)
を、40℃において、1ヵ月間のあいだ保存した処、ゲ
ル化や、沈澱物の析出などの異状は認められなく、保存
安定性に優れていることが判明した。
【0311】実施例3〜5(同上)
【0312】これらの諸例も亦、水性樹脂(D−1)の
調製のための例示例を示すというものである。
【0313】珪素化合物の種類と、それらの量ならびに
溶剤、触媒および水の量とを、そして、ビニル系単量
体、連鎖移動剤および/またはラジカル重合開始剤の種
類と其れらの量とを、さらにまた、中和反応の際の塩基
性化合物の量と水の量とを、第1表に示すように変更し
た以外は、実施例1と同様にして、ポリシロキサンを合
成したのち、その存在下において、ラジカル共重合反応
を行ない、引き続き、中和反応ならびに水性化を行なっ
て、同表に示すような性状(値)を有する各種の水性樹
脂(D−1)を得た。それらの水性樹脂は、第1表に示
すように略記した形で呼称するものとする。
【0314】
【表1】
【0315】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0316】「TBPOTMS」…………tert−ブ
チルパーオキシ−2,2−ジメチル−3−トリメトキシ
シリルプロパノエートの略記
【0317】
【表2】
【0318】《第1表の脚注》「保存安定性」は、上記
のように調製された、それぞれの水性樹脂を、40℃に
おいて、1ヶ月間のあいだ保存して、その保存後の水性
樹脂においては、保存前に見られなかった、それぞれ、
ゲル化や、沈澱物の析出などの異状が有るか否かの別を
確認して評価判定したものであって、そうした形の結果
を示すものである。
【0319】実施例6および7〔水性樹脂(D−2)の
調製〕
【0320】これらの諸例は、水性樹脂(D−2)を調
製するための、一つの例示例を示すというものである。
【0321】珪素化合物の種類と、それらの量ならびに
溶剤、触媒および水の量とを、そして、ビニル系単量体
および重合開始剤の種類と、それらの量とを、さらには
亦、中和反応の際の塩基性化合物の量と、水の量とを、
第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様に
して、ポリシロキサンの合成を行なったのちに、その存
在下で、ラジカル共重合反応を行ない、引き続き、中和
反応ならびに水性化を行なって、同表に示すような性状
(値)を有する各種の水性樹脂(D−2)を得た。それ
らの水性樹脂は、第1表に示すように略記して呼称する
ものとする。
【0322】
【表3】
【0323】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0324】「DMAEMA」……2−ジメチルアミノ
エチルメタアクリレートの略記
【0325】
【表4】
【0326】実施例8〜17まず、水性樹脂(D−1)
あるいは(D−2)の一部と、顔料と、エチレングリコ
ールモノブチルエーテルとの混合物を、サンドミルを使
用して分散せしめ、顔料重量濃度(PWC)が60%な
る、各種のミルベースを調製し、次いで、このミルベー
スに、水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)の残り全
部を添加し、混合せしめることによって、各種の白色ベ
ースを調製した。
【0327】そして、このような、それぞれの白色ベー
スに対して、水を、必要に応じて、さらに、化合物
(E)をも配合せしめることによって、PWCが35%
なる、各種の白色塗料を調製した。
【0328】上述のようにして調製された、それぞれの
白色塗料に使用した、水性樹脂(D−1)あるいは(D
−2)と、顔料と、エチレングリコールモノブチルエー
テルと、化合物(E)との使用比率は、第2表に示す通
りである。
【0329】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、予め、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装さ
れ、焼き付けの施された塗装鋼板であって、しかも、水
研ぎされた此の鋼板上に、乾燥膜厚が約40ミクロン
(μm)となるように、アプリケーターで以て塗布せし
め、同表に示すような硬化条件で以て、硬化せしめるこ
とによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0330】ここに得られた、本発明に係る水性硬化性
樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、
外観に優れるというものであった。それぞれの塗膜につ
いて、諸性能の評価判定を行なった。それらの結果は、
まとめて、同表に示す。
【0331】比較例1および2 まず、対照用樹脂1または2の一部と、顔料と、エチレ
ングリコールモノブチルエーテルとの混合物を、サンド
ミルを使用して分散せしめ、PWCが60%なる、各種
のミルベースを調製し、次いで、此のミルベースに、対
照用樹脂1または2の残り全部を添加して混合せしめる
ことによって、各種の白色ベースを調製した。
【0332】そして、このような、それぞれの白色ベー
スに対して、水と、必要に応じて、さらに、化合物
(E)をも配合せしめることによって、PWCが35%
なる、各種の、対照用の白色塗料を調製した。
【0333】このようにして調製される、それぞれの白
色塗料に使用した、対照用樹脂1または2と、顔料と、
エチレングリコールモノブチルエーテルおよび化合物
(E)との使用比率は、同表に示す通りである。
【0334】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、実施例8と同様にして塗布せしめ、同表に示すよう
な硬化条件で以て硬化せしめることによって、各種の、
対照用の硬化塗膜を得た。
【0335】このようにして得られた、対照用樹脂1ま
たは2を含有する、対照用の硬化性組成物を用いた、そ
れぞれの塗膜は、いずれもが、外観に優れるというもの
であった。それぞれの塗膜について、諸性能の評価判定
を行なった。それらの結果は、まとめて、同表に示す。
【0336】
【表5】
【0337】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0338】「CR−97」は、「タイペーク CR−
97」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型
酸化チタンの商品名である。
【0339】「EGMBE」…………エチレングリコー
ルモノブチルエーテルの略記
【0340】
【表6】
【0341】《第2表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の同上の光沢値
で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:
%)を表示したものである。
【0342】その値が大きいほど、耐候性が良好である
ということを示している。
【0343】「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、未曝露時の塗膜と
の色差(△E)を表示したものである。
【0344】その値が、ゼロに近いほど、耐汚染性が良
好であるということを示している。
【0345】「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験
として行なっているというものであり、それぞれの硬化
塗膜の表面上に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リッ
トルを載せた試験板を、60℃の熱風乾燥器中に、30
分間のあいだ保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してか
ら、その表面の状態を、目視により評価判定したもので
ある。
【0346】その際の評価判定の基準は次の通りであ
る。
【0347】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…光沢が低下している ×…エッチングが著しい
【0348】「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板
を、5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下、24時
間のあいだ浸漬せしめたのち、塗膜表面を、各別に、水
洗し乾燥してから、その表面状態を、目視により、評価
判定したものである。
【0349】
【表7】
【0350】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0351】「S−695」は、「ウォーターゾル S
−695」の略記であって、大日本インキ化学工業
(株)製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂
水溶液の商品名;不揮発分=66%。
【0352】
【表8】
【0353】
【表9】
【0354】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0355】「GPTMS」………………3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランの略記
【0356】「エチルシリケート40」は、コルコート
(株)製の、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合
物の商品名である。
【0357】
【表10】
【0358】
【表11】
【0359】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0360】「EX−612」は、「デナコール EX
−612」の略記であって、ナガセ化成工業(株)製
の、ソルビトールポリグリシジルエーテルの商品名であ
る。
【0361】「EGM−202」は、東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメト
キシ基と、3−グリシドキシプロピル基とを併有する、
環状のポリシロキサンの商品名である。
【0362】
【表12】
【0363】実施例18
【0364】本例は、各種の水性樹脂についての、とり
わけ、保存安定性の評価判定を行なうものである。
【0365】実施例1〜7において得られた、各種の水
性樹脂(D−1)あるいは(D−2)を、40℃に、1
ヵ月間のあいだ保存せしめたのちに、実施例8〜17と
同様のにして、各種の白色ベースを調製せしめ、次い
で、水を、さらに必要に応じて、化合物(E)をも配合
せしめることによって、PWCが35%なる、各種の白
色塗料を調製した。
【0366】かくして得られた、それぞれの白色塗料に
使用した、水性樹脂(D−1)あるいは(D−2)と、
顔料と、エチレングリコールモノブチルエーテルおよび
化合物(E)との使用比率は、すでに、第2表に示して
いる通りである。
【0367】次いで、実施例8〜17と同様にして、そ
れぞれの白色塗料を、試験塗板上に塗布せしめ、しかる
のち、同表に示すような硬化条件で以て硬化せしめるこ
とによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0368】このようにして得られた、40℃に、1ヵ
月間のあいだ保存したのちの水性樹脂から調製された白
色ベースを含有するという形の、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも
が、とりわけ、外観に優れるというものであると共に、
それぞれの塗膜の諸性能が、同表に示すような結果と、
殆ど、差異が認められなかった。
【0369】これらの諸々の事実から、水性樹脂(D−
1)あるいは(D−2)は、とりわけ、保存安定性に優
れるものであることが、無理なく、理解され得よう。
【0370】以上に詳説した通り、本発明に係る水性樹
脂は、分子中にアルコール性水酸基を有する有機溶剤を
必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に結
合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸基
および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
(A−1)を調製する過程で、ポリシロキサン(B)
と、此の重合体(A−1)とを複合化せしめて得られる
複合樹脂を、塩基性化合物で以て、部分中和ないしは完
全に中和せしめたのちに、水に分散化ないしは溶解せし
めるという、斬新なるの製造方法によって得られるとい
うものであるか、
【0371】あるいはアルコール性水酸基含有有機溶剤
を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの酸基
および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基をも併
有する重合体(A−2)を調製する過程で、ポリシロキ
サン(B)と、此の重合体(A−2)とを複合化せしめ
て得られる複合樹脂を、塩基性化合物で以て、部分中和
ないしは完全に中和せしめたのちに、水に分散化ないし
は溶解せしめるという、斬新なるの製造方法によって得
られるというものであり、優れた硬化性ならびに優れた
保存安定性を兼備するという、極めて実用性の高いもの
である。
【0372】また、こうした、極めて実用性の高い水性
樹脂を必須の成分として含有する形の、本発明に係る水
性硬化性樹脂組成物は、とりわけ、光沢保持性、耐曝露
汚染性ならびに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久
性などに優れる塗膜を形成することの出来る、極めて実
用性の高いものである。
【0373】
【発明の効果】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、優
れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備するというも
のであり、このように優れた水性樹脂を必須の成分とし
て含有する形の、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
は、とりわけ、曝露時の光沢保持性、耐曝露汚染性なら
びに耐酸性雨性などの、いわゆる耐久性に優れる硬化塗
膜を形成することの出来る、特に、被覆用組成物とし
て、極めて実用性の高いものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】
【化2】
【化3】

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤を
    必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に結
    合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
    解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸基
    および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (A−1)を調製する過程で、上記したポリシロキサン
    (B)と、上記した重合体(A−1)とを複合化せしめ
    て得られる複合樹脂(C−1)を、塩基性化合物で以
    て、部分中和ないしは完全中和せしめたのちに、水に分
    散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂。
  2. 【請求項2】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤を
    必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に結
    合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水分
    解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸基
    および加水分解性シリル基なる両基と、さらに、これら
    の酸基および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基
    をも併有する重合体(A−2)を調製する過程で、上記
    したポリシロキサン(B)と、上記した重合体(A−
    2)とを複合化せしめて得られる複合樹脂(C−2)
    を、塩基性化合物で以て、部分中和ないしは完全中和せ
    しめたのちに、水に分散化ないしは溶解せしめて得られ
    る水性樹脂。
  3. 【請求項3】 前記した加水分解性基がアルコキシ基で
    ある、請求項1または2に記載の水性樹脂。
  4. 【請求項4】 前記した加水分解性シリル基がアルコキ
    シシリル基である、請求項1または2に記載の水性樹
    脂。
  5. 【請求項5】 前記した、加水分解性シリル基および酸
    基なる両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた水
    酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
    基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基および
    下記の構造式(S−I)で示される官能基よりなる群か
    ら選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項2
    に記載の水性樹脂。 【化1】
  6. 【請求項6】 前記した、珪素原子に結合した水酸基お
    よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
    ポリシロキサン(B)が、一分子中に、少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物ない
    しは部分加水分解縮合物である、請求項1または2に記
    載の水性樹脂。
  7. 【請求項7】 前記した、一分子中に、少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項6に記載の水性樹脂。
  8. 【請求項8】 前記した重合体(A−1)が、加水分解
    性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリル
    基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有す
    るラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少なく
    とも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系単
    量体を必須成分とするビニル系単量体類を、ラジカル重
    合せしめて調製されるビニル系重合体である、請求項1
    に記載の水性樹脂。
  9. 【請求項9】 前記した重合体(A−2)が、加水分解
    性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリル
    基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有す
    るラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少なく
    とも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系単
    量体と、酸基および加水分解性シリル基なる両基以外の
    官能基を有するビニル系単量体とを必須成分とするビニ
    ル系単量体とを、ラジカル重合せしめて調製されるビニ
    ル系重合体である、請求項2に記載の水性樹脂。
  10. 【請求項10】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (A−1)を調製する過程で、上記したポリシロキサン
    (B)と、上記した重合体(A−1)とを複合化せしめ
    て得られる複合樹脂(C−1)を、塩基性化合物で以
    て、部分中和ないしは完全中和せしめたのちに、水に分
    散化ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹脂
    (D−1)の製造法。
  11. 【請求項11】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの酸基
    および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基をも併
    有する重合体(A−2)を調製する過程で、上記したポ
    リシロキサン(B)と、上記した重合体(A−2)とを
    複合化せしめて得られる複合樹脂(C−2)を、塩基性
    化合物で以て、部分中和ないしは完全中和せしめたのち
    に、水に分散化ないしは溶解せしめることを特徴とす
    る、水性樹脂(D−2)の製造法。
  12. 【請求項12】 前記した加水分解性基がアルコキシ基
    である、請求項10または11に記載の製造法。
  13. 【請求項13】 前記した加水分解性シリル基がアルコ
    キシシリル基である、請求項10または11に記載の製
    造法。
  14. 【請求項14】 前記した、加水分解性シリル基および
    酸基なる両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた
    水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキ
    シ基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基およ
    び下記の構造式(S−I)で示される官能基よりなる群
    から選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項
    11に記載の製造法。 【化2】
  15. 【請求項15】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(B)が、一分子中に、少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物な
    いしは部分加水分解縮合物である、請求項10または1
    1に記載の製造法。
  16. 【請求項16】 前記した、一分子中に、少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコ
    キシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの
    部分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物よ
    りなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシ
    ランである、請求項15に記載の製造法。
  17. 【請求項17】 前記した重合体(A−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系
    単量体を必須成分とするビニル系単量体類を、ラジカル
    重合せしめて調製されるビニル系重合体である、請求項
    10に記載の製造法。
  18. 【請求項18】 前記した重合体(A−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系
    単量体と、酸基および加水分解性シリル基なる両基以外
    の官能基を有するビニル系単量体とを必須成分とするビ
    ニル系単量体類を、ラジカル重合せしめて調製されるビ
    ニル系重合体である、請求項11に記載の製造法。
  19. 【請求項19】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (A−1)を調製する過程で、上記したポリシロキサン
    (B)と、上記した重合体(A−1)とを複合化せしめ
    て得られる複合樹脂(C−1)を、塩基性化合物で以
    て、部分中和ないしは完全中和せしめたのちに、水に分
    散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂(D−1)
    を、必須の成分として含有することを特徴とする、水性
    硬化性樹脂組成物。
  20. 【請求項20】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基を併有する重合体
    (A−1)を調製する過程で、上記したポリシロキサン
    (B)と、上記した重合体(A−1)とを複合化せしめ
    て得られる複合樹脂(C−1)を、塩基性化合物で以
    て、部分中和ないしは完全中和せしめたのちに、水に分
    散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂(D−1)
    と、該水性樹脂(D−1)中に含まれる官能基と反応す
    る官能基を有する化合物(E)とを、必須の成分として
    含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  21. 【請求項21】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの酸基
    および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基をも併
    有する重合体(A−2)を調製する過程で、上記したポ
    リシロキサン(B)と、上記した重合体(A−2)とを
    複合化せしめて得られる複合樹脂(C−2)を、塩基性
    化合物で以て、部分中和ないしは完全中和せしめたのち
    に、水に分散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂
    (D−2)を、必須の成分として含有することを特徴と
    する、水性硬化性樹脂組成物。
  22. 【請求項22】 アルコール性水酸基を有する有機溶剤
    を必須成分として含有する媒体中において、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(B)の存在下に、酸
    基および加水分解性シリル基なる両基と、これらの酸基
    および加水分解性シリル基なる両基以外の官能基をも併
    有する重合体(A−2)を調製する過程で、上記したポ
    リシロキサン(B)と、上記した重合体(A−2)とを
    複合化せしめて得られる複合樹脂(C−2)を、塩基性
    化合物で以て、部分中和ないしは完全中和せしめたのち
    に、水に分散化ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂
    (D−2)と、該水性樹脂(D−2)中に含まれる官能
    基と反応する官能基を有する化合物(E)とを、必須の
    成分として含有することを特徴とする、水性硬化性樹脂
    組成物。
  23. 【請求項23】 前記した加水分解性基がアルコキシ基
    である、請求項19〜22に記載の水性硬化性樹脂組成
    物。
  24. 【請求項24】 前記した加水分解性シリル基がアルコ
    キシシリル基である、請求項19〜22に記載の水性硬
    化性樹脂組成物。
  25. 【請求項25】 前記した、加水分解性シリル基および
    酸基なる両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた
    水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキ
    シ基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基およ
    び下記の構造式(S−I)で示される官能基よりなる群
    から選ばれる、少なくとも1種の官能基である、請求項
    21または22に記載の水性硬化性樹脂組成物。 【化3】
  26. 【請求項26】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(B)が、一分子中に、少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物な
    いしは部分加水分解縮合物である、請求項19〜22に
    記載の水性硬化性樹脂組成物。
  27. 【請求項27】 前記した、一分子中に、少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコ
    キシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの
    部分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物よ
    りなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシ
    ランである、請求項26に記載の水性硬化性樹脂組成
    物。
  28. 【請求項28】 前記した重合体(A−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系
    単量体を必須成分とするビニル系単量体類を、ラジカル
    重合せしめて調製されるビニル系重合体である、請求項
    19または20に記載の水性硬化性樹脂組成物。
  29. 【請求項29】 前記した重合体(A−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、酸基を有するビニル系
    単量体と、酸基および加水分解性シリル基なる両基以外
    の官能基を有するビニル系単量体とを必須成分とするビ
    ニル系単量体類を、ラジカル重合せしめて調製されるビ
    ニル系重合体である、請求項21または22に記載の水
    性硬化性樹脂組成物。
  30. 【請求項30】 前記した化合物(E)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基
    と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合
    物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分
    解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合
    物、ブロック・ポリイソシアネート化合物、ポリエポキ
    シ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹
    脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボ
    キシ化合物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から
    選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項20
    または22に記載の水性硬化性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11255846A (ja) * 1998-03-13 1999-09-21 Shin Etsu Chem Co Ltd シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物及びその製造方法並びに該組成物の硬化被膜を有する物品
JP2001055443A (ja) * 1999-08-19 2001-02-27 Kansai Paint Co Ltd 活性エネルギー線硬化性組成物およびその被膜形成方法
JP2015199822A (ja) * 2014-04-08 2015-11-12 Dic株式会社 水性複合樹脂組成物及びそれを用いたコーティング剤

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