JPH1189575A - 微生物を用いたアミド化合物の製造方法 - Google Patents

微生物を用いたアミド化合物の製造方法

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JPH1189575A
JPH1189575A JP9255359A JP25535997A JPH1189575A JP H1189575 A JPH1189575 A JP H1189575A JP 9255359 A JP9255359 A JP 9255359A JP 25535997 A JP25535997 A JP 25535997A JP H1189575 A JPH1189575 A JP H1189575A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物の菌
体またはその菌体処理物を利用してニトリル化合物から
対応するアミドを製造する方法において、より少ない菌
体量でより高いアミド濃度の反応液を得る。 【解決手段】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
の菌体またはその菌体処理物を利用してアクリロニトリ
ルからアクリルアミドを製造する方法において、30重
量%のアクリルアミド水溶液中で該微生物の菌体を10
℃にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの
活性を保持しているような該微生物の菌体または菌体処
理物を水性媒体中でアクリロニトリルと接触させてアク
リルアミドを生成させる反応の反応開始時または反応途
中のアクリロニトリル濃度が水性媒体中でのアクリロニ
トリルの飽和濃度以上となるように反応液にアクリロニ
トリルを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニトリルヒドラタ
ーゼ活性を有する微生物菌体またはその菌体処理物を用
いて、水性媒体中でニトリル化合物より対応するアミド
化合物を生成させる反応方法に関する。より詳細には、
反応開始時または反応途中の該ニトリル化合物の濃度を
水性媒体中での該ニトリル化合物の飽和濃度以上に設定
することにより、効率的にニトリル化合物から対応する
アミド化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ニトリル基を水和しアミド基に変換
するニトリル水和活性を有する酵素であるニトリルヒド
ラターゼが発見されている。該酵素、該酵素を含有する
微生物の菌体またはその菌体処理物等を用いて水性媒体
中でニトリル化合物より対応するアミド化合物を製造す
る方法が知られている(特公昭62−21519)。ニ
トリルヒドラターゼを用いたアミド化合物の製造方法で
は、それまでの化学的な方法と比べて、ニトリル化合物
の転化率及び選択率が高いメリットがある。しかし、そ
の一方で、酵素反応の基質となるニトリル化合物や生成
物であるアミド化合物は一般的に強い生物毒性を有する
有機化合物であり、その反応系内の濃度が高くなるにつ
れて該酵素を急速に失活させることが従来より指摘され
ている。そのため、工業的にニトリル化合物からアミド
化合物を製造するに際しては、反応系内のニトリル化合
物及びアミド化合物の濃度を低く保つことにより、ニト
リルヒドラターゼ活性を安定に保持して反応を円滑に進
行させることが重要であると考えられてきた。
【0003】一例を挙げると、ニトリル化合物よりアミ
ド化合物を工業的に製造する方法として、長沢・山田の
報文(遺伝、別冊1号、36頁から45頁、1988年
3月)が知られている。該報文中(38頁、右段、下か
ら8行目)には、アクリロニトリルからアクリルアミド
を製造する方法について、「静止菌体を20mg/ml
の濃度で5〜15℃、pH7.0付近でアクリロニトリ
ルと反応させる。このとき、高濃度のアクリロニトリル
はニトリルヒドラターゼ活性を阻害するので反応の進行
に伴い経時的に分割添加していく」と記載されている。
【0004】特公昭56−38118号公報には、アク
リロニトリルまたはメタクリロニトリルを基質とする該
水和反応を氷点から15℃までの低温下で行わせる方法
が開示されているが、その際の基質濃度について、「本
酵素反応においては基質は反応系内おいて常に溶解状態
となるように加えることが適当である」と記載されてい
る。さらに、「回分法による場合には、通常フィーディ
ング方式がとられるが、前記固定化菌体を含む水性懸濁
液に温度を氷点〜15℃に保ちつつアクリロニトリルま
たはメタクリロニトリルを撹拌下に滴下すればよい。」
と記載されており、ニトリル化合物の分割添加の必要性
が示されている。
【0005】特公昭57−1234号では、アクリロニ
トリルまたはメタクリロニトリルよりアクリルアミドま
たはメタクリルアミドを連続的に製造するに際して、ニ
トリル化合物の濃度を反応混合物に対して溶解する範囲
内の量で連続的に供給する方法が開示されており、当該
公報においてもニトリル化合物の濃度を低くコントロー
ルすることの重要性が示されている。
【0006】ニトリルヒドラターゼを用いて水性媒体中
でニトリル化合物を水和させてアミド化合物を製造する
場合、反応の進行と共に生成したアミド化合物は水性媒
体中に蓄積し続けてゆく。生成するアミド化合物の最大
の濃度は、個々の微生物由来のニトリルヒドラターゼの
性質と反応温度により決定される。すなわち、その反応
温度において該酵素とアミド化合物を接触させた場合
に、該酵素が直ちに失活してしまうアミド化合物濃度の
下限値以上には、反応液中のアミド化合物の濃度は高く
なることはない。尚、今後、このアミド化合物の濃度を
限界のアミド化合物濃度と記す。
【0007】前述の長沢・山田の報文では、「40%に
も達するアクリルアミドの生産は現在の化学的方法によ
っては不可能とされ、ここにアクリルアミドの工業的製
法としての酵素法の有効性が強く示唆された。」とある
(39頁、左段、上から2行目)。このように、工業的
には、反応終了時のアミド化合物の濃度が高いことが重
要であり、この限界のアミド化合物濃度が高いニトリル
ヒドラターゼが有用である。
【0008】反応液中のニトリル化合物濃度を低くコン
トロールして反応を行わせた場合、ニトリルヒドラター
ゼがニトリル化合物及びアミド化合物と接触する時間が
相対的に長くなり、限界のアミド化合物濃度までアミド
化合物濃度を蓄積させるためには、相対的に反応系内の
ニトリルヒドラターゼ活性を多くする必要がある。酵素
使用量の増大は、工業的なアミド化合物の製造にとっ
て、コスト面から不利になるので、反応液中のニトリル
化合物濃度を低くコントロールする反応方法は、必ずし
も効率的な反応方法とは言えない。
【0009】ところで、ニトリルヒドラターゼ活性を有
する微生物菌株は、アミド化合物を対応するカルボン酸
化合物に水和する酵素であるアミダーゼを有しているこ
とがほとんどである。このため、該微生物菌株を用いて
ニトリル化合物より対応するアミド化合物を生成させた
場合、該アミダーゼによって対応するカルボン酸化合物
が副成することが知られている。これを避けるために
は、アミダーゼ活性を有していない変異微生物菌株を取
得したり、アミダーゼ活性が相対的に低くなるような微
生物菌体の調製方法を工夫したりする必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、微生
物を用いてニトリル化合物から対応するアミド化合物を
製造するより効率的な方法を提供することにある。
【0011】本発明の目的はニトリルヒドラターゼを産
生する微生物の菌体またはその菌体処理物を利用してニ
トリル化合物から対応するアミドを製造する方法におい
て、より少ない菌体量でより高いアミド濃度の反応液を
得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の限
界のアミド化合物濃度がある程度以上に高いニトリルヒ
ドラターゼは対応するニトリル化合物に対する耐性も高
いことを見出した。そしてそのようなアミド化合物に対
する耐性がある程度以上に高いニトリルヒドラターゼを
有する微生物の菌体またはその菌体処理物を利用してニ
トリル化合物から対応するアミドを生成する反応を行う
と、その反応液中では、アクリロニトリルやメタクリロ
ニトリル等の生物毒性の強いニトリル化合物による該酵
素の失活は急速には進まず、水性媒体中の該ニトリル化
合物の濃度が高くなるにつれて該酵素の反応速度が相対
的に増加することが判明した。即ち、従来より行われて
いた反応系内のニトリル化合物の濃度を常に低く制御す
る必要のない、水性媒体中でのニトリル化合物の飽和濃
度以上となるように反応液にアクリロニトリルを添加す
る反応方法が新たに見出された。
【0013】そして、本発明者らによる検討の結果、新
たに見いだされた反応方法によれば、同じ酵素量(活性
量)を使用した場合に従来の方法に比してより短時間で
該ニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換できる
こと、より少量の酵素量(活性量)でより高い濃度のア
ミド化合物水溶液を得ることができることが確認され
た。本発明者らは以上の知見を基に本発明を完成させる
に至った。
【0014】すなわち、本発明は、ニトリルヒドラター
ゼを産生する微生物の菌体またはその菌体処理物を利用
してニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法で
あって、30重量%のアクリルアミド水溶液中で該微生
物の菌体を10℃にて60分間処理した後にもニトリル
ヒドラターゼの活性を保持しているような該微生物の菌
体または菌体処理物を、水性媒体中でニトリル化合物と
接触させてアミド化合物を生成させる反応の反応開始時
または反応途中のニトリル化合物濃度が水性媒体中での
ニトリル化合物の飽和濃度以上となるように反応液にニ
トリル化合物を添加することを特徴とするアミド化合物
の製造方法を提供するものである。
【0015】本発明によれば、ニトリルヒドラターゼを
産生する微生物の菌体または菌体処理物を用いて、水性
媒体中でニトリル化合物より対応するアミド化合物を製
造するに際して、ニトリル化合物より対応するアミド化
合物を生成する反応の開始時またはその途中において、
水性媒体中での該ニトリル化合物の飽和濃度以上に該ニ
トリル化合物を反応系内に添加することにより、効率的
かつ短時間でニトリル化合物から対応するアミド化合物
を高濃度で生成することが可能となる。
【0016】
【発明実施の形態】以下、本発明の詳細について概説す
る。本発明におけるニトリル化合物は炭素数が2〜8の
ニトリル化合物である。その中でも、特にアクリロニト
リル、メタクリロニトリル、クロトンニトリルを好適な
例として挙げることができる。
【0017】本発明におけるニトリルヒドラターゼと
は、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合
物を生成する能力を有し、かつ、30重量%のアクリル
アミド水溶液中でニトリルヒドラターゼを産生する微生
物の菌体を10℃にて60分間処理した後にも該ニトリ
ルヒドラターゼの活性が保持されていれば特に制限はさ
れない。好ましくは、そのαサブユニット内に配列表の
配列番号:1記載のアミノ酸配列または配列番号:2記
載のアミノ酸配列を有しているニトリルヒドラターゼを
挙げることができる。
【0018】種々の微生物のニトリルヒドラタアーゼの
アミド化合物に対する耐性は様々である。アミド化合物
としてアクリルアミドを例にとると、ニトリルヒドラタ
ーゼをアクリルアミド水溶液中で10℃にて処理する場
合、10重量%のアクリルアミド水溶液中で60分後に
完全に失活してしまうニトリルヒドラターゼがある一
方、50重量%のアクリルアミド水溶液中で60分間処
理しても失活しないニトリルヒドラターゼがある。この
ように、前述したニトリルヒドラターゼの限界のアクリ
ルアミド濃度は個々のニトリルヒドラターゼによって異
なっている。
【0019】工業的には、反応終了時のアミド化合物の
濃度が高いことが重要であり、アクリルアミド水溶液中
で10℃にて60分間処理した後に失活しない(活性を
保持している)アクリルアミド濃度が30重量%以上の
ニトリルヒドラターゼの利用が特に有効である。また、
工業的にアミド化合物を生産する場合、ニトリルヒドラ
ターゼを産生する微生物の菌体またはその菌体処理物を
反応に供することがコスト面から有利である。
【0020】即ち、本発明においては、ニトリルヒドラ
ターゼを産生する微生物の菌体をアクリルアミド水溶液
中で10℃にて60分間処理した場合に、ニトリルヒド
ラターゼの活性が保持されるアクリルアミド濃度の上限
が30重量%以上のニトリルヒドラターゼを産生する微
生物の菌体またはその菌体処理物を用いることが好まし
い。
【0021】本発明における30重量%のアクリルアミ
ド水溶液中で10℃にて60分間処理してもニトリルヒ
ドラターゼの活性を保持している微生物とは、ニトリル
化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する
能力を有するニトリルヒドラターゼを産生し、かつ、3
0重量%のアクリルアミド水溶液中で該微生物の菌体を
10℃にて60分間処理してもニトリルヒドラターゼの
活性を保持している微生物であれば特に制限はされな
い。好ましくは、そのαサブユニット内に配列表の配列
番号:1記載のアミノ酸配列または配列番号:2記載の
アミノ酸配列を有しているニトリルヒドラターゼを産生
している微生物であればよい。具体的には、ノカルディ
ア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacteriu
m)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シ
ュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Microc
occus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表される
ロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Ac
inetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、
ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhi
zobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバ
クター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、
エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobac
ter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロ
バクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(th
ermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseud
onocardia)属に属する微生物を好適な例として挙げるこ
とができる。
【0022】また、該微生物よりクローニングしたニト
リルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質
転換体も本発明でいうニトリルヒドラターゼを産生する
微生物に含まれる。尚、ここでいう任意の宿主には、後
述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例
として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるのもの
ではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属
菌、酵母や放線菌等の他の微生物菌株も含まれる。その
様なものの例として、MT−10822(本菌株は、1
996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番
号FERM BP−5785として、特許手続き上の微
生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づ
いて寄託されている。)が挙げられる。また、組換えD
NA技術を用いて該酵素の構成アミノ酸の1個または2
個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入
することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐
性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラ
ターゼを発現させた形質転換体も本発明でいうニトリル
ヒドラターゼを産生する微生物に含まれる。
【0023】本発明における微生物を本発明の製造方法
に使用するに際しては、該微生物の菌体あるいは菌体処
理物を用いる。菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子
工学の分野において公知の一般的な方法を利用して調製
すればよい。たとえば、LB培地やM9培地等の通常液
体培地に該微生物を植菌した後、適当な培養温度(一般
的には、20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50
℃以上でもよい。)で生育させ、続いて、該微生物を遠
心分離によって培養液より分離・回収して得る方法が挙
げられる。
【0024】また、本発明における微生物の菌体処理物
は、上記微生物菌体の抽出物や磨砕物、該抽出物や磨砕
物のニトリルヒドラターゼ活性画分を分離精製して得ら
れれる後分離物、該微生物菌体や該菌体の抽出物・磨砕
物・後分離物を適当な担体を用いて固定化した固定化物
等を指し、これらはニトリルヒドラターゼの活性を有し
ている限りは本発明の菌体処理物に相当する。
【0025】本発明における微生物の菌体または菌体処
理物は、回分反応に供することもできるし、連続反応に
供することもできる。また、懸濁床として用いてもよい
し固定床として用いてもよい。その際の反応液中での該
微生物の菌体または菌体処理物の濃度は、水性媒体とニ
トリル化合物の混合に支障をきたさない限り特に制限は
されるものではない。
【0026】本発明における水性媒体とは、水、また
は、リン酸塩等の緩衝剤・硫酸塩や炭酸塩等の無機塩・
アルカリ金属の水酸化物・アミド化合物等を適当な濃度
で溶解させた水溶液を示す。
【0027】本発明においては、水性媒体中のニトリル
化合物が反応の進行に伴って消費されると同時にニトリ
ル相より供給されることにより、その濃度が飽和濃度前
後に相対的に長時間維持されることが重要である。この
ため、回分反応または連続反応いずれの場合でも、必要
なニトリル化合物の全量を反応開始時に一括して添加す
るか、反応途中における水性媒体中でのニトリル化合物
濃度が飽和濃度以上に保たれるようにニトリル化合物を
逐次添加することが好ましい。また、回転翼やラインミ
キサー等の適当な混合装置を使用して、静置下において
二相に分離する水性媒体相とニトリル相を十分に混和さ
せることも重要である。
【0028】ニトリル化合物を反応開始時に一括添加す
る場合のニトリル化合物の濃度の下限は、反応開始時に
おいて該ニトリル化合物の飽和濃度以上であればよい。
一方、その濃度の上限は特に限定されるものではなく、
想定する反応終了時のアミド化合物濃度およびニトリル
化合物濃度により任意に決定すればよい。また、未反応
のニトリル化合物は、反応後に蒸留等の手段により反応
液より除去することもできる。よって、想定する反応終
了時のアミド化合物濃度に達した時点でもニトリル化合
物が過剰となるようにニトリル化合物を添加することも
できる。
【0029】具体的には、アクリロニトリルがニトリル
化合物である場合、水に対する本化合物の飽和濃度は約
7重量%であるので、約7重量%以上、50重量%以下
の範囲が好適である。また、メタクリロニトリルまたは
クロトンニトリルがニトリル化合物である場合、水に対
するこれらの化合物の飽和濃度は約2重量%であるの
で、約2重量%以上50重量%以下の範囲が好適であ
る。
【0030】本発明における反応は、一般的には常圧下
で行われるが、水性媒体中へのニトリル化合物の溶解度
を高めるために加圧下で行うこともできる。また、反応
温度に関しては、水性媒体の氷点以上であれば特に制限
されないが、好ましくは0℃から50℃、より好ましく
は10℃から30℃の範囲内で行われる。一方、pH
は、ニトリルヒドラターゼ活性が維持されている限りは
特に制限されないが、好ましくはpH6からpH10、
より好ましくはpH7からpH9の範囲内である。
【0031】本発明の方法におけるアミド化合物を生成
する反応においては、ニトリルヒドラターゼが直ちに失
活するようなことはなく、むしろニトリル水和反応は良
好に進行する。そればかりか、水性媒体相中のニトリル
化合物は、反応の進行に伴って消費されると同時にニト
リル相より供給されるため、その濃度は常に飽和濃度付
近に維持される。このため、その反応温度における最大
の反応速度またはそれに近い速度でニトリル水和反応が
進行するので、相対的に短時間かつ効率的に該ニトリル
化合物から対応するアミド化合物が生成することにな
る。
【0032】また、ニトリル化合物を水性媒体中での飽
和濃度以上に添加した後、反応の進行に伴って反応系内
のニトリル化合物濃度は徐々に低下し、水性媒体中の飽
和濃度以下になる。これにより反応速度も徐々に低下す
るが、その時点までは最大の反応速度またはそれに近い
速度でニトリル水和反応が進行するので、実質的に短時
間かつ効率的に該ニトリル化合物から対応するアミド化
合物が生成することになる。
【0033】さらに、本発明の製造方法によれば、水性
媒体中の該ニトリル化合物の濃度を高くすることによっ
て、微生物菌体中のアミダーゼによる対応するカルボン
酸化合物の生成が相対的に抑制されるという副次的な効
果を得ることもできる。
【0034】得られたアミド化合物は、反応液より遠心
分離等の通常の公知の方法により菌体または菌体処理物
を分離した後、そのままの水溶液として利用してもよい
し、膜濃縮やスプレードライ濃縮等の方法により濃縮し
て結晶を得ても良い。また、菌体または菌体処理物を分
離した後、活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換膜等も
用いて着色物質等の不純物を除去することにより、アミ
ド化合物の純度をさらに高めることもできる。
【0035】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例によって何等限定される
ものではない。尚、各実施例及び比較例におけるHPL
C分析は、カラムとして日本分光製のFinepak
SIL C18−5(250×4.6φmm)を用い、
4体積%のアセトニトリルを含む10mMリン酸水溶液
を展開液として使用した。また、アクリルアミド、メタ
クリルアミド及びクロトンアミドは220nmの吸光度
により検出し、アクリロニトリル、アクリル酸、メタク
リロニトリル及びクロトンニトリルは210nmの吸光
度により検出した。
【0036】[実施例1]アクリルアミド濃度耐性の測
定(1) 500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培
地100mlを調製し、121℃・20分間のオートク
レーブにより滅菌した。この培地に終濃度が50μg/
mlとなるようにアンピシリンを添加した後、MT−1
0822株(FERM BP−5785)を一白菌耳植
菌し、37℃・130rpmにて20時間培養した。遠
心分離(15000G×15分間)により菌体のみを培
養液より分離し、続いて、50mlの生理食塩水に該菌
体を再懸濁した後に、再度遠心分離を行って湿菌体を得
た。
【0037】 培地組成 酵母エキストラクト 5.0g/L ポリペプトン 10.0g/L NaCl 5.0g/L 塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L 硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L pH7.5
【0038】該湿菌体10mgを10gの50mMのト
リス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、この懸濁液
にアクリロニトリルの終濃度が14重量%になるように
添加し、10℃にてかくはんを行いながら5分間反応を
行った。10mMのリン酸水溶液を90g添加して反応
を終了させた後、HPLC分析により反応終了液中のア
クリルアミド濃度を測定した。続いて、単位湿菌体及び
単位反応時間あたりのアクリルアミドの生成速度(=反
応速度)を算出した。
【0039】続いて、同じ該湿菌体50mgを40gの
50mMのトリス塩酸塩を含む30重量%のアクリルア
ミド水溶液(pH8.0)に懸濁し、10℃にてゆるや
かにかくはんさせながら60分間接触させた。この後、
遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを
懸濁液より分離した。続いて、50gの50mMのトリ
ス塩酸塩水溶液(pH8.0)に該菌体を再懸濁した後
に、再度遠心分離を行う操作を2回繰り返すことにより
該菌体を洗浄した。洗浄した該湿菌体10mgを10g
の50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁
し、この懸濁液にアクリロニトリルの終濃度が14重量
%になるように添加し、10℃にてかくはんを行いなが
ら5分間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を90
g添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反
応終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。続いて、
単位湿菌体及び単位反応時間あたりのアクリルアミドの
生成速度(=反応速度)を算出した。
【0040】30重量%のアクリルアミド水溶液と接触
させる前の反応速度を100%とし、10℃にて60分
間接触させた後の反応速度を相対値として比較した。そ
の結果、相対値は70%であった。すなわち、活性残存
率は70%であった。
【0041】[実施例2]ニトリル化合物の濃度と反応
速度の比較 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体10mgを10gの50mM
のトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、この懸
濁液にアクリロニトリルが第1表(表1)に示した終濃度
になるように添加し、10℃にてかくはんを行いながら
5分間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を90g
添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反応
終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。単位湿菌体
及び単位反応時間あたりのアクリルアミドの生成速度
(=反応速度)を算出し、反応開始時のアクリロニトリ
ル濃度が1重量%の場合の反応速度を100%として、
それぞれのアクリロニトリル濃度場合の相対値を相対反
応速度として比較した(第1表(表1)及び第1図(図
1))。
【0042】
【表1】
【0043】[実施例3]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(1) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体1.5gを98.5gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にアクリロニトリルを36g一括添加して、1
0℃にてかくはんを行いながら反応した。反応開始から
8時間後にHPLC分析により反応液の分析を行った。
その結果、反応液中にはアクリルアミドのみが存在(濃
度=35.0重量%)しており、アクリロニトリルは認
められなかった。すなわち、転化率は100%であっ
た。
【0044】[実施例4]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(2) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体1.5gを98.5gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にアクリロニトリルを12g一括添加して、1
0℃にてかくはんを行いながら反応を開始した。さらに
反応開始と同時にアクリロニトリルを1時間当たり12
gの速度で2時間添加し、アクリロニトリルを合わせて
36g添加した。反応開始から8時間後に、実施例1と
同様のHPLC分析により反応液の分析を行った。その
結果、反応液中にはアクリルアミドのみが存在(濃度=
35.0重量%)しており、アクリロニトリルは認めら
れなかった。すなわち、転化率は100%であった。
【0045】[比較例1]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(1) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体1.5gを98.5gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にアクリロニトリルを1時間当たり2gの速度
で18時間添加した。反応開始から8時間後に実施例1
と同様のHPLC分析により反応液の分析を行った。そ
の結果、反応液中のアクリルアミド濃度は17.4重量
%であり、アクリロニトリル濃度は0.8重量%であっ
た。すなわち、転化率は94%であった。さらに、反応
開始から26時間後に実施例1と同様のHPLC分析に
より反応液の分析を行った。その結果、反応液中のアク
リルアミド濃度は33.0重量%であり、アクリロニト
リル濃度は1.9重量%であった。すなわち、転化率は
93%であった。
【0046】[比較例2]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(2) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体1.5gを98.5gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にアクリロニトリルを1時間当たり1.2gの
速度で30時間添加した。反応開始から8時間後に実施
例1と同様のHPLC分析により反応液の分析を行った
ところ、反応液中のアクリルアミド濃度は10.3重量
%であり、アクリロニトリル濃度は1.0重量%であっ
た。すなわち、転化率は88%であった。さらに、反応
開始から38時間後に実施例1と同様のHPLC分析に
より反応液の分析を行った。その結果、反応液中のアク
リルアミド濃度は32.6重量%であり、アクリロニト
リル濃度は2.1重量%であった。すなわち、転化率は
92%であった。
【0047】[実施例5]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(3) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体3.0gを97.0gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にメタクリロニトリルを8.6g一括添加し
て、10℃にてかくはんを行いながら反応を開始した。
反応開始から24時間後に、実施例1と同様のHPLC
分析により反応液の分析を行った。その結果、反応液中
にはメタクリルアミドのみが存在(濃度=10.0重量
%)しており、メタクリロニトリルは認められなかっ
た。すなわち、転化率は100%であった。
【0048】[実施例6]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(4) 実施例1と同様の方法により、MT−10822株の湿
菌体を調製した。該湿菌体1.5gを98.5gの50
mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、こ
の懸濁液にクロトンニトリル(但し、cis体とtra
ns体の混合物)を18.7g一括添加して、10℃に
てかくはんを行いながら反応を開始した。反応開始から
24時間後に析出したクロトンアミドの結晶を30℃に
て完全に溶解した後に、実施例1と同様のHPLC分析
により反応液の分析を行った。その結果、反応液中には
クロトンアミド(但し、cis体とtrans体の混合
物)のみが存在(濃度=20.0重量%)しており、ク
ロトンニトリルは認められなかった。すなわち、転化率
は100%であった。
【0049】[実施例7]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(5) 500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培
地100mlを調製し、121℃・20分間のオートク
レーブにより滅菌した。この培地に特開平08−566
84号記載のシュードノカルディア・サーモフィラ(Ps
eudonocardia thermophila )(JCM3095)を一
白菌耳植菌し、50℃・130rpmにて72時間培養
した。遠心分離(15000G×15分間)により菌体
のみを培養液より分離し、続いて、50mlの生理食塩
水に該菌体を再懸濁した後に、再度遠心分離を行って湿
菌体を得た。
【0050】 培地組成 酵母エキストラクト 5.0g/L ポリペプトン 10.0g/L trans-クロトンアミド 2.0g/L 塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L 硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L pH7.0
【0051】該湿菌体10.0gを100gの50mM
のトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、この懸
濁液にアクリロニトリルを36g一括添加して、10℃
にてかくはんを行いながら反応を開始した。反応開始か
ら8時間後に実施例1と同様のHPLC分析により反応
液の分析を行った。その結果、反応液中にはアクリルア
ミドのみが存在(濃度=35.0重量%)しており、ア
クリロニトリルは認められなかった。すなわち、転化率
は100%であった。
【0052】[実施例8]アクリルアミド濃度耐性の測
定(2) 500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培
地100mlを調製し、121℃・20分間のオートク
レーブにより滅菌した。この培地に特公平06−551
48号記載のロドコッカス・ロドクロウスJ−1株(F
ERM BP−1478として、前記の寄託機関に特許
手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペス
ト条約に基づいて寄託されており、万人に対し請求によ
り分譲される)を一白菌耳植菌し、30℃・130rp
mにて72時間培養した。遠心分離(15000G×1
5分)により菌体のみを培養液より分離し、続いて、5
0mlの生理食塩水に該菌体を再懸濁した後に、再度遠
心分離を行って湿菌体を得た。
【0053】 培地組成 グルコース 10.0g/L リン酸二水素一カリウム 0.5g/L リン酸一水素二カリウム 0.5g/L 硫酸マグネシウム・七水和物 0.5g/L 酵母エキストラクト 1.0g/L ペプトン 7.5g/L 尿素 7.5g/L 塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L pH7.2
【0054】該湿菌体10mgを10gの50mMのト
リス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁し、この懸濁液
にアクリロニトリルの終濃度が14重量%になるように
添加し、10℃にてかくはんを行いながら5分間反応を
行った。10mMのリン酸水溶液を90g添加して反応
を終了させた後、HPLC分析により反応終了液中のア
クリルアミド濃度を測定した。続いて、単位湿菌体及び
単位反応時間あたりのアクリルアミドの生成速度(=反
応速度)を算出した。
【0055】続いて、同じ該湿菌体50mgを40gの
50mMのトリス塩酸塩を含む30重量%のアクリルア
ミド水溶液(pH8.0)に懸濁し、10℃にてゆるや
かにかくはんさせながら60分間接触させた。この後、
遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを
懸濁液より分離した。続いて、50gの50mMのトリ
ス塩酸塩水溶液(pH8.0)に該菌体を再懸濁した後
に、再度遠心分離を行う操作を2回繰り返すことにより
該菌体を洗浄した。洗浄した該湿菌体10mgを10g
の50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.0)に懸濁
し、この懸濁液にアクリロニトリルの終濃度が14重量
%になるように添加し、10℃にてかくはんを行いなが
ら5分間反応を行った。10mMのリン酸水溶液を90
g添加して反応を終了させた後、HPLC分析により反
応終了液中のアクリルアミド濃度を測定した。続いて、
単位湿菌体及び単位反応時間あたりのアクリルアミドの
生成速度(=反応速度)を算出した。
【0056】30重量%のアクリルアミド水溶液と接触
させる前の反応速度を100%とし、10℃にて60分
間接触させた後の反応速度を相対値として比較した。そ
の結果、相対値は95%であった。すなわち、活性残存
率は95%であった。
【0057】[実施例9]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(6) 実施例8と同様の方法により、ロドコッカス・ロドクロ
ウスJ−1株の湿菌体を調製した。該湿菌体0.15g
を100gの50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.
0)に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを60g
一括添加して、20℃にてかくはんを行いながら反応を
開始した。反応開始から8時間後に実施例1と同様のH
PLC分析により反応液の分析を行った。その結果、反
応液中にはアクリルアミドのみが存在(濃度=50.0
重量%)しており、アクリロニトリルおよびアクリル酸
は認められなかった。すなわち、転化率は100%であ
った。
【0058】[実施例10]ニトリル化合物のアミド化
合物への変換(7) 実施例8と同様の方法により、ロドコッカス・ロドクロ
ウスJ−1株の湿菌体を調製した。該湿菌体0.15g
を100gの50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.
0)に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを60g
一括添加して、10℃にてかくはんを行いながら反応を
開始した。反応開始から8時間後に実施例1と同様のH
PLC分析により反応液の分析を行った。その結果、反
応液中のアクリルアミド濃度は47.7重量%であり、
アクリロニトリル濃度は1.9重量%であった。すなわ
ち、転化率は95%であった。さらに、反応開始から1
2時間後に実施例1と同様のHPLC分析により反応液
の分析を行った。その結果、反応液中のアクリルアミド
濃度は50.0重量%、アクリル酸濃度は0.05重量
%であり、アクリロニトリルは認められなかった。すな
わち、転化率は100%であった。
【0059】[実施例11]ニトリル化合物のアミド化
合物への変換(8) 実施例8と同様の方法により、ロドコッカス・ロドクロ
ウスJ−1株の湿菌体を調製した。該湿菌体0.15g
を100gの50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.
0)に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを20g
一括添加して、10℃にてかくはんを行いながら反応を
開始した。さらに反応開始と同時にアクリロニトリルを
1時間当たり20gの速度で2時間添加し、アクリロニ
トリルを合わせて60g添加した。反応開始から8時間
後に実施例1と同様のHPLC分析により反応液の分析
を行った。その結果、反応液中のアクリルアミド濃度は
46.7重量%であり、アクリロニトリル濃度は2.6
重量%であった。すなわち、転化率は93%であった。
さらに、反応開始から12時間後に実施例1と同様のH
PLC分析により反応液の分析を行った。その結果、反
応液中のアクリルアミド濃度は50.0重量%、アクリ
ル酸濃度は0.05重量%であり、アクリロニトリルは
認められなかった。すなわち、転化率は100%であっ
た。
【0060】[比較例3]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(3) 実施例8と同様の方法により、ロドコッカス・ロドクロ
ウスJ−1株の湿菌体を調製し、該湿菌体0.15gを
100gの50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.
0)に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを1時間
当たり3gの速度で20時間添加した。反応開始から8
時間後に実施例1と同様のHPLC分析により反応液の
分析を行ったところ、反応液中のアクリルアミド濃度は
23.6重量%であり、アクリロニトリル濃度は1.7
重量%であった。すなわち、転化率は91%であった。
さらに、反応開始から32時間後に実施例1と同様のH
PLC分析により反応液の分析を行った。その結果、反
応液中のアクリルアミド濃度は46.1重量%、アクリ
ル酸濃度は0.2重量%であり、アクリロニトリル濃度
は2.9重量%であった。すなわち、転化率は92%で
あった。
【0061】[比較例4]ニトリル化合物のアミド化合
物への変換(4) 実施例8と同様の方法により、ロドコッカス・ロドクロ
ウスJ−1株の湿菌体を調製し、該湿菌体0.15gを
100gの50mMのトリス塩酸塩水溶液(pH8.
0)に懸濁し、この懸濁液にアクリロニトリルを1時間
当たり2gの速度で30時間添加した。反応開始から8
時間後に実施例1と同様のHPLC分析により反応液の
分析を行った。その結果、反応液中のアクリルアミド濃
度は16.4重量%であり、アクリロニトリル濃度は
1.5重量%であった。すなわち、転化率は89%であ
った。さらに、反応開始から42時間後に実施例1と同
様のHPLC分析により反応液の分析を行った。その結
果、反応液中のアクリルアミド濃度は43.5重量%、
アクリル酸濃度は0.3重量%であり、アクリロニトリ
ル濃度は4.8重量%であった。すなわち、転化率は8
7%であった。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来に比べより
短期間内に少量の酵素量で高ニトリル濃度の反応液を得
ることが可能であり、ニトリル化合物から対応するアミ
ド化合物を効率的に製造することが可能となる。しか
も、本発明の方法によれば、ニトリル化合物に対応する
カルボン酸化合物の副成も抑制される。そのため、本発
明の方法は、ニトリルヒドラターゼを産生する微生物を
利用した工業的なアミド化合物の生産にとって極めて有
用である。
【0063】
【配列表】
【0064】配列番号:1 配列の長さ:21 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴 他の情報:ニトリルヒドラターゼαサブユニットの部分
配列 配列 Val Cys Xaa Leu Cys Ser Cys Tyr Pro Trp Pro Xaa Leu Gly Leu Pro 5 10 15 Pro Xaa Trp Xaa Lys 20 21
【0065】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴 他の情報:ニトリルヒドラターゼαサブユニットの部分
配列 配列 Val Cys Xaa Leu Cys Ser Cys Xaa Trp Pro Xaa Leu Gly Leu Pro Pro 5 10 15 Xaa Trp Tyr Lys 20
【図面の簡単な説明】
【図1】反応開始時のアクリロニトリル濃度に対する反
応速度を比較した図である。横軸は反応開始時のアクリ
ロニトリル濃度(重量%)、縦軸は相対反応速度(%)
を表している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 鈴木 正 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 中村 武史 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体またはその菌体処理物を利用してアクリロニトリ
    ルからアクリルアミドを製造する方法であって、30重
    量%のアクリルアミド水溶液中で該微生物の菌体を10
    ℃にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの
    活性を保持しているような該微生物の菌体または菌体処
    理物を水性媒体中でアクリロニトリルと接触させてアク
    リルアミドを生成させる反応の反応開始時または反応途
    中のアクリロニトリル濃度が水性媒体中でのアクリロニ
    トリルの飽和濃度以上となるように反応液にアクリロニ
    トリルを添加することを特徴とするアクリルアミドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 反応終了後の反応液中のアクリルアミド
    濃度が30重量%以上となるようにアクリロニトリルを
    添加することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体またはその菌体処理物を利用してメタクリルニト
    リルからメタクリルアミドを製造する方法であって、3
    0重量%のアクリルアミド水溶液中で該微生物の菌体を
    10℃にて60分間処理した後にもニトリルヒドラター
    ゼの活性を保持しているような該微生物の菌体または菌
    体処理物を水性媒体中でメタクリルニトリルと接触させ
    てメタクリルアミドを生成させる反応の反応開始時また
    は反応途中のメタクリルニトリル濃度が水性媒体中での
    アクリロニトリルの飽和濃度以上となるように反応液に
    メタクリルニトリルを添加することを特徴とするメタク
    リルアミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体またはその菌体処理物を利用してクロトンニトリ
    ルからクロトンアミドを製造する方法であって、30重
    量%のアクリルアミド水溶液中で該微生物の菌体を10
    ℃にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの
    活性を保持しているような該微生物の菌体または菌体処
    理物を水性媒体中でクロトンニトリルと接触させてクロ
    トンアミドを生成させる反応の反応開始時または反応途
    中のクロトンニトリル濃度が水性媒体中でのクロトンニ
    トリルの飽和濃度以上となるように反応液にクロトンニ
    トリルを添加することを特徴とするクロトンアミドの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体を30重量%のアクリルアミド水溶液中で10℃
    にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの活
    性を保持しているような該微生物が発現しているニトリ
    ルヒドラターゼが、αサブユニット内に配列表の配列番
    号1記載のアミノ酸配列または配列表の配列番号2記載
    のアミノ酸配列を有していることを特徴とする請求項1
    から請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体を30重量%のアクリルアミド水溶液中で10℃
    にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの活
    性を保持しているような該微生物が、ノカルディア(Noc
    ardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、
    バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュード
    モナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)
    属、ロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクタ
    ー(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacte
    r)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウ
    ム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エン
    テロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwini
    a)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Ci
    trobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、
    アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはシュード
    ノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物である
    ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ニトリルヒドラターゼを産生する微生物
    の菌体を30重量%のアクリルアミド水溶液中で10℃
    にて60分間処理した後にもニトリルヒドラターゼの活
    性を保持しているような該微生物が、シュードノカルデ
    ィア・サーモフィラ(Pseudonocardia thermophila JCM
    3095)由来のニトリルヒドラターゼ遺伝子を発現させた
    遺伝子組換え微生物であることを特徴とする請求項1か
    ら請求項4に記載の製造方法。
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