JPH1185720A - 最適解探索方法及び最適解探索装置 - Google Patents

最適解探索方法及び最適解探索装置

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JPH1185720A
JPH1185720A JP9241519A JP24151997A JPH1185720A JP H1185720 A JPH1185720 A JP H1185720A JP 9241519 A JP9241519 A JP 9241519A JP 24151997 A JP24151997 A JP 24151997A JP H1185720 A JPH1185720 A JP H1185720A
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JP9241519A
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Shigeaki Sakurai
茂明 櫻井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最適解をより少ない探索数で効率良く探索す
ることで、最適解探索を高速に行うことである。 【解決手段】 最適解探索問題において、探索後の解お
よびその評価結果を、評価結果に基づき事例として選択
し(S005〜S011)、この選択された事例の集合
を用いて、最適解探索のための判断規則を帰納的に生成
し(S013)、この判断規則を用いて探索を行う(S
015,S016)ことにより、最適解探索の方向を制
限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最適解探索方法及
び最適解探索装置に関し、特に、事例を用いた帰納学習
により、最適解探索の方向を制限して、最適解をより少
ない探索数で効率良く高速に探索するための技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、製品の生産順序を決定するスケ
ジューリング、制御モデルに内在する制御パラメータの
調整、種々の形状を持った部品を2次元上の領域に配置
する設計等、産業上の様々な分野において、最適化問題
の技法が必要とされ、また事実、応用に供されている。
【0003】ここで、最適化問題とは、所定の制約条件
の下で、与えられた評価関数の値を可能な限り最大また
は最小にするような解を解集合の中から決定する問題と
定義される。
【0004】こうした最適化問題では一般に、解空間が
大きくなると、探索に非常な長時間を要してしまうた
め、解探索を効率化すべく、種々の接近手法が試みられ
ている。こうした中でも、最適解を効率よく探索するた
めの一技法として、近年注目されているものに、遺伝的
アルゴリズム(Genetic Algorithm、
以下、「GA」という。)がある。GAとは、自然界に
おける生物進化(選択淘汰、交差、突然変異)の原理か
ら着想を得て、染色体の進化の様子をモデル化したアル
ゴリズムである。GAは、この染色体を、各問題に応じ
た解としてとらえて、染色体中の各遺伝子座に解の一部
分を表現した値を割り振り、また各問題ごとの評価関数
に基づく評価を経て遺伝子操作を加えていくことによ
り、様々な最適化問題に適用されるものである(「ジェ
ネティックアルゴリズム」、安居院猛、長尾智晴、昭晃
堂、1993年)。
【0005】GAによる一般的な処理手順を、図24に
示すフローチャートに基づき説明する。
【0006】ある最適化問題を解く場合、まず、集団の
大きさ、解の良さを判定するための評価関数、遺伝子操
作を行う確率、探索数、各種しきい値等のGAの稼働に
必要なパラメータを設定し、その問題に対する解の一般
的な表現方法を、染色体における遺伝子表現として、そ
の長さやコーディング方法などを決定する(S10
0)。そして、まず、問題の解である染色体のパターン
をランダムに複数生成し、初期染色体集団を作成する
(S101)。
【0007】以降は、染色体集団の収束条件が満たされ
るまで、以下の処理のル−プを行う(S112)。すな
わち、染色体集団の各々の個体(染色体)に対して、染
色体の善し悪しの基準である適合度の評価を評価関数を
用いて行い(S104)、当該世代の全ての染色体の評
価がなされたと判断された場合には(S102、S10
3)、最適解探索の終了条件に達しない限り、選択(S
114)、交差(S115)、突然変異(S116)に
よる遺伝子操作を行い、次世代の染色体集団を生成して
いくのである。
【0008】ここで、選択とは、適合度の高さに応じ
て、次世代に残す染色体を確率的に選択し、残りの染色
体を淘汰するプロセスである。また、交差とは、二つの
個体間で染色体を組み替えることにより新しい個体を生
成するプロセスであり、突然変異とは、染色体上のある
遺伝子座の値を他の対立遺伝子に置き換えることによ
り、個体の近傍に新しい個体を生成するプロセスであ
る。
【0009】かかるGAは、前述の交差、突然変異とい
った遺伝子操作の概念を用いることによって、組み合わ
せによる冗長性を排除できるため、解空間の中から効率
よく最適解を探索できる手法であり、すでに実績を有し
ている。しかしながら、他方では、遺伝子操作中での突
然変異の対象となる遺伝子座の決定や交差における遺伝
子切断箇所の決定等においてランダム探索的な要素が残
っているため、最適解の周辺には早く近づくことができ
るが、その近傍に一旦は近づいてから逆に遠のいてしま
う場合がままある。すなわち、最適解の近傍における収
束がよくないという欠点を有している。このため、最適
解発見までに多くの探索数を要しており、特に探索する
解空間が大きい場合には、多数の染色体の適合度を調べ
る必要があり、GAのみによって現実的な時間内で最適
解を発見することが困難となっていた。
【0010】かかるGAの欠点を解消すべく、いわゆる
ハイブリッドGAと呼ばれる、GAによる探索と局所探
索等の他の手法とを組み合わせた手法が開発された。従
来より知られる「最適化問題解決処理方法および装置」
(特開平7−219920)も、かかる手法の流れを汲
むものの一つであり、人工知能による方法などの決定論
的な手法を用いるAI処理部、GA処理部、及び、これ
ら処理部の各々に対応する修正部とを有する計画エンジ
ン部により構成されるものである。
【0011】その処理内容を以下に説明する。まず、第
一の過程として、AI処理部によって、探索のための基
本ルールを用いて解空間中の最適解の探索を行い、解を
構成する変数の集合のうちで、最適解である値が判明し
たものについて、その判明した値を解の一部として固定
することによって解空間を限定する。その後、第二の過
程として、第一の過程によって限定された解空間の範囲
のみを対象として、GA処理部が、GAを用いた探索を
行うことにより、最適解探索の高速化を図っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た探索方法および装置には、以下の問題点があった。す
なわち、第一に、AI処理部における解空間の限定が適
切かつ実効性を有するものとなるか否かは、AI探索に
用いられる基本ルールを、いかに適切に準備できるかに
依存する。ところが、肝要であるところの基本ルールの
決定および蓄積は、あらかじめ人間系などの別の手段に
よってなされている必要を要していた。このため、この
基本ルールの蓄積に要する時間およびその妥当性は大き
く経験に依存することとなってしまっていた。また、第
二に、計画エンジン部においては、解の修正を人間系で
行う構成となっているため、探索数が多ければそれだけ
長時間を要してしまっていた。
【0013】このため、特に解空間が大きい場合におい
ては、前述の基本ルールの準備や解の修正の部分がボト
ルネックとなって、トータルでの最適解探索の高速化と
いう課題の解決を十分に図るものとはいい難く、さら
に、AI処理部の用いる基本ルールや評価手法の内容い
かんによっては、求められた解の精度を損なう場合も生
じるという限界を有していた。
【0014】以上のように、本発明は、従来技術におけ
る、最適解の近傍における収束が悪かったために、最適
解発見までに多くの探索数を要し、特に探索空間が大き
い場合には、実用的な時間内で最適解を発見できなかっ
たという問題点を解決するためになされたものである。
そして、その目的とするところは、事例を用いた帰納学
習により、最適解探索の方向を制限して、最適解をより
少ない探索数で効率良く探索することを可能とする最適
解探索方法および装置を提供することにある。
【0015】また、他の目的は、帰納学習に用いる事例
集合を適宜洗練化することにより、さらに最適解探索の
方向の制限についての精度の向上を図ることにある。
【0016】加えて、他の目的は、解の評価結果を事例
中に正または負として保持し、この値に基づいた探索を
行うことにより、さらに簡易に最適解探索の実現を図る
ことにある。
【0017】加えて、他の目的は、事例抽出の判断に用
いるしきい値を内部的に生成することにより、さらに簡
易に最適解探索の実現を図ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】要するに、本発明方法
(請求項1)は、与えられた解集団に対して各々の解の
良さを評価し、該評価の結果が得られた解集団に対して
新たな解集団を生成するための最適解の探索を行い、必
要とされる最適解が求められたと判断されるまで前記評
価および前記探索を繰り返し行うことにより最適解を出
力する最適解探索方法であって、少なくとも前記評価の
なされた解および前記評価結果に基づく値を、該評価結
果に従って、事例として選択し、該選択された事例の集
合を用いて、前記最適解の探索の方向を制限するための
判断規則を帰納的に生成することを特徴とするものであ
る。かかる方法によれば、解の評価の結果に基づいて蓄
積された事例集合から、最適解探索の方向を制限するた
めの判断規則を、帰納学習によって自動生成することに
より、この判断規則を用いて、評価値の高い解が存在す
ると期待される方向に対して解を探索することができ
る。つまり、より少ない探索数で、最適解を効率良く探
索することが可能となる。
【0019】また、請求項2の発明においては、前記最
適解探索方法は、さらに、前記選択された事例を事例保
持手段に格納し、前記格納された事例の集合の中から、
前記評価結果の値に基づいて、最も格納に適さない1ま
たは複数の事例を判定し、前記判定のなされた事例を前
記事例集合から削除することによって前記事例集合の洗
練化を行うことにより、評価の結果である適合度の値を
用いて事例集合を洗練化することができる。つまり、事
例が数多く蓄積されるにつれて、より最適解探索の方向
の制限についての精度の向上を図ることが可能となる。
【0020】また、請求項3の発明は、遺伝的アルゴリ
ズムを用いて最適解の探索を行う方法において、初期解
を探索するステップと、探索された解について解の良さ
を示す適合度の算出を行うステップと、前記適合度の得
られた解について、帰納学習を行うための事例として格
納するか否かを該適合度に基づいて判定するステップ
と、少なくとも、格納すると判定された解について、事
例として事例保持手段に選択的に格納するステップと、
前記格納された事例の集合から帰納的に最適解探索に用
いられる判断規則を生成するステップと、該判断規則を
用いることにより最適解探索の方向を制限して新たな解
を探索するステップと、を少なくとも含み、前記事例
は、それぞれ解の属性値および該解の適合度に基づいて
決定された分類クラスとを少なくとも有し、前記適合度
が当該世代の解集団の全ての解について得られた場合
に、前記分類クラスに示された値に基づいて判断規則を
生成し、最適解探索を行う際に、該判断規則の示すパタ
ーンに基づいて、解の一部を探索から除くことにより解
の探索の方向を制限することを特徴とするものである。
かかる方法によれば、解の適合度から導かれる分類クラ
スに基づいて蓄積された事例集合から、GAによる最適
解探索の方向を制限するための判断規則を、帰納学習に
よって自動生成することにより、この判断規則を用いて
適合度の高い解が存在すると期待される方向に対して解
を探索することができる。つまり、より少ない探索数
で、最適解を効率良く探索することが可能となる。
【0021】また、請求項4の発明においては、前記分
類クラスは所定値以上の適合度を持つことを示す値であ
る正または所定値以下の適合度を示す値である負のいず
れかであり、前記正および/または負の値に基づいて、
前記事例集合の洗練化および前記判断規則の生成を行う
ことにより、解の評価結果を事例中に正または負として
保持し、この二値に基づいた探索を行うことができる。
つまり、さらに簡易に最適解探索を行うことが可能とな
る。
【0022】また、請求項5の発明においては、前記事
例の格納の判定に用いられる上限のしきい値は、初期解
集団のうち前記適合度の上位集団中から求められた所定
値であり、下限のしきい値は、前記初期解集団のうち前
記適合度の下位集団中から求められた所定値とすること
により、事例抽出の判断に用いるしきい値を内部的に生
成することが可能となる。つまり、さらに簡易に最適解
探索を行うことが可能となる。尚、ここにいう所定値と
は、処理速度やコンピュータ資源状況等により定まる、
蓄積される事例数の適正値等に応じて求められる値であ
る。
【0023】更に、本発明装置(請求項6)は、初期解
を探索する初期解生成部、探索された解について解の良
さの評価を行う探索結果評価部、および探索済みの解集
団から新たな解を探索する解生成部とを有する探索部
と、前記評価のなされた解について、帰納学習を行うた
めの事例として格納するか否かを判定する事例抽出部、
少なくとも格納すると判定された事例を選択的に格納す
る事例格納部、および前記格納された事例の集合から最
適解探索に用いる判断規則を生成する探索知識生成部と
を有する帰納学習部と、を少なくとも有し、前記帰納学
習部は、少なくとも前記評価のなされた解および前記評
価結果に基づく値を、該評価結果に従って、事例として
選択し、該選択された事例の集合を用いて、最適解探索
の方向を制限するための判断規則を帰納的に生成し、前
記解生成部は、該判断規則を用いて探索を行うことによ
り最適解探索の方向を制限することを特徴するものであ
る。かかる装置によれば、解の評価の結果に基づいて蓄
積された事例集合から、最適解探索の方向を制限するた
めの判断規則を、帰納学習によって自動生成することに
より、この判断規則を用いて、評価値の高い解が存在す
ると期待される方向に対して解を探索することができ
る。つまり、より少ない探索数で、最適解を効率良く探
索することが可能となる。
【0024】また、請求項7の発明においては、前記事
例格納部は、さらに、前記事例集合の中から、前記評価
結果の値に基づいて、最も格納に適さない1または複数
の事例を判定し、前記判定のなされた事例を前記事例集
合から削除することによって前記事例集合の洗練化を行
うことにより、評価の結果である適合度の値を用いて事
例集合を洗練化することができる。つまり、事例が数多
く蓄積されるにつれて、より最適解探索の方向の制限に
ついての精度の向上を図ることが可能となる。
【0025】また、請求項8の発明は、遺伝的アルゴリ
ズムを用いて最適解の探索を行う装置において、初期解
を探索する初期解生成部、探索された解について解の良
さを示す適合度の算出を行う探索結果評価部、および探
索済みの解集団から新たな解を探索する解生成部とを有
する探索部と、前記適合度の得られた解について、帰納
学習を行うための事例として格納するか否かを該適合度
に基づいて判定する事例抽出部、少なくとも格納すると
判定された解について事例として事例保持手段に選択的
に格納する事例格納部、および前記格納された事例の集
合から帰納的に判断規則を生成する探索知識生成部とを
有する帰納学習部と、を少なくとも具備し、前記事例
は、それぞれ解の属性値および該解の適合度に基づいて
決定された分類クラスとを少なくとも有し、前記探索知
識生成部は、前記適合度が当該世代の解集団の全ての解
について得られた場合に、前記分類クラスに示された値
に基づいて判断規則を生成し、前記解生成部は、該判断
規則の示すパターンに基づいて、解の一部を探索から除
くことにより解の探索の方向を制限することを特徴とす
るものである。かかる方法によれば、解の適合度から導
かれる分類クラスに基づいて蓄積された事例集合から、
GAによる最適解探索の方向を制限するための判断規則
を、帰納学習によって自動生成することにより、この判
断規則を用いて適合度の高い解が存在すると期待される
方向に対して解を探索することができる。つまり、より
少ない探索数で、最適解を効率良く探索することが可能
となる。
【0026】また、請求項9の発明においては、前記分
類クラスは所定値以上の適合度を持つことを示す値であ
る正または所定値以下の適合度を示す値である負のいず
れかであり、前記正および/または負の値に基づいて、
前記事例集合の洗練化および前記判断規則の生成を行う
ことにより、解の評価結果を事例中に正または負として
保持し、この二値に基づいた探索を行うことができる。
つまり、さらに簡易に最適解探索を行うことが可能とな
る。
【0027】また、請求項10の発明においては、前記
事例の格納の判定に用いられる上限のしきい値は、初期
解集団のうち前記適合度の上位集団中から求められた所
定値であり、下限のしきい値は、前記初期解集団のうち
前記適合度の下位集団中から求められた所定値とするこ
とにより、事例抽出の判断に用いるしきい値を内部的に
生成することが可能となる。つまり、さらに簡易に最適
解探索を行うことが可能となる。
【0028】尚、上述した最適解探索機能を実現するた
めのプログラムは、記録媒体に保存することが可能であ
り、かかる記録媒体をコンピュータシステムに読み込ま
せ、コンピュータを制御しながら前記プログラムを実行
することにより、上述した最適解探索を実現することが
できる。ここで、記録媒体とは、メモリ装置、磁気ディ
スク装置、光ディスク装置等、プログラムを機械読取り
可能な状態で記録することができる装置一般を含むもの
である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態
は、GAを用いて、制御システム内に存在する制御パラ
メータの調整問題についての最適解を得る目的のもので
ある。
【0030】図2に示すように、本実施形態に係る最適
解探索装置は、探索部100と、帰納学習部200とを
備えている。尚、図2において、実線は制御の遷移を、
破線はデータの入出力(IO)を示すものである。
【0031】探索部100はさらに、探索を行うための
初期染色体集団を形成する初期解生成部110と、生成
された各染色体に対する評価を、評価関数を用いた適合
度計算により行う探索結果評価部130と、各世代にお
ける探索を選択、交差、突然変異といった遺伝子操作を
用いて行う解生成部120とを備えている。また、さら
に探索結果の解を探索結果ファイル11を用いて保持す
る構成としてもよい。尚、かかる探索結果は、必ずしも
ファイルの形式で保持する必要はなく、コンピュータ資
源状況等に応じて、メモリ内に持つことも可能である。
【0032】帰納学習部200とは、本実施形態の新規
機能を実現する構成部分であり、さらに、評価を行った
染色体の中から判断規則を生成するための事例として格
納するか否かを判断する事例抽出部210と、格納する
と判断された事例を事例集合として保持、蓄積する事例
格納部220と、蓄積された事例集合から最適解探索の
方向を制限するための判断規則を生成する探索知識生成
部230とを備えている。尚、事例集合を保持する手段
としては、事例ベース12を用いる構成としても、ま
た、特に高速処理の要請の高い問題の場合にはメモリ内
に保持する構成としてもよい。さらに、事例集合から生
成した判断規則も、知識ベース13に保持する構成とす
れば、全事例を用いて判断規制を生成するかわりに、新
たに追加、及び削除された事例だけを利用して、バッチ
的に判断規制を部分修正することにより、探索の高速化
を促進することや、判断規則の他の問題への適用が可能
となる。また、制御データベース10は、GA探索のた
めの初期パラメータ等の各種制御用パラメータを格納し
ており、適宜各構成部分から参照されるが、これも高速
処理の要請や汎用性などを勘案して適宜メモリ上に保持
する構成とすることができる。
【0033】本実施形態は、上記のように構成されてお
り、以下、その処理の流れを図1に示すフローチャート
に基づき説明する。
【0034】ここでは、4つのパラメータ(p1〜p
4)を最適化の対象とし、各パラメータは、各々3ビッ
トを用いて表現されているものとする。すなわち、本問
における一つの解を染色体として表現すると、12ビッ
トからなる遺伝子の並びとなる。ここで例えば、p1=
0.0,p2=1.4,p3=1.2,p4=1.2と
いう解は、図3に示すビット表現から、図4に示す染色
体として表現されることとなる。
【0035】最適解を探索するにあたっては、まず、初
期処理として、最適解探索方法の本実施例の稼働に必要
となる各種パラメータの設定を行う。具体的には、探索
部によってGA探索に用いられるg1〜g4、および帰
納学習部によって事例格納等に用いられるT1〜T4の
値を設定する(S000)。
【0036】続いて、まず、遺伝子操作の対象とする染
色体における各遺伝子座の値、ここでは0あるいは1の
値を、乱数を用いて決定する。こうして作成した染色体
をg1個生成することにより、初期染色体集団(第0世
代の染色体集団)を作成する(S001)。さらに、こ
のステップにおいては、生成した染色体の数g1を、第
0世代の探索数として設定する。例えば、g1の値が1
0と設定された場合は、図6に示すようにc1〜c10
までの10個の染色体が生成され、探索数も10と設定
されることとなる。尚、ここでの各遺伝子座における初
期値の設定は、必ずしも乱数を用いる必要はなく、問題
のパターンや経験の程度に応じてS000において初期
値として与えてもよい。
【0037】次に、染色体集団の中から、まだ評価を行
っていない、すなわち評価関数によって適合度を計算し
ていない染色体を一つづつ取り出す(S002)。
【0038】この場合、取り出す対象となる染色体が、
染色体集団中に存在するか否かが判断され(S00
3)、取り出した染色体が存在した場合、すなわち、ま
だ当該世代における評価(適合度の計算)を行っていな
い場合には、S004の評価のステップに進む。一方、
取り出した染色体が存在しなかった場合、すなわち、全
染色体について評価済みである場合には、S012の収
束判定のステップへ進む。例えば、図5の10個の染色
体のうち、c1〜c4までの染色体の適合度が計算され
ているとすると、染色体c5が取り出され、S004へ
と進む。一方、図5の全ての染色体の適合度の計算が行
われているとすれば、S002で取り出される染色体は
存在せず、S012へと進むのである。
【0039】ここで、前述のように、染色体c5が取り
出されたとすると、次に、c5の染色体の評価、すなわ
ち適合度の計算を、各問題に応じた評価関数を用いて行
う(S004)。いま、各染色体の適合度が所定の評価
関数によって図6に示すように計算されたとすると、染
色体c5の適合度は16と与えられることとなる。
【0040】次に、S004で計算された適合度の値に
基づいて、評価のなされた染色体を、判断規則を生成す
るために用いる事例として格納するか否かが判断される
(S005)。すなわち、取り出されている染色体の適
合度の値が上限のしきい値T1よりも大きい場合に、正
事例として格納すると判定し、下限のしきい値T2より
も小さい場合に、負事例として格納すると判定する。ま
た、どちらにも該当しない場合、すなわち、T2以上T
1以下の染色体は、事例として格納しないと判定する。
すなわち、格納される染色体(事例)と格納されない染
色体(事例)には、図7に示す関係が存在する。例え
ば、T1,T2が、それぞれ11,9と与えられている
とすれば、染色体c1,c5,c7,c8,c10に対
しては、正事例として格納すると判定する。また、染色
体c2,c4,c6,c9に対しては、負事例として格
納すると判定する。さらに、染色体c3に対しては、格
納を実施しないと判定する。尚、S050における事例
の格納判定処理においては、外部から与えられるしきい
値T1,T2を使った判定を行なっている。しかしなが
ら、しきい値T1,T2を、例えば初期染色体集団の上
位半分の適合度、初期染色体集団の下位半分の適合度と
することにより、外部から与えないようにすることもで
きる。
【0041】このように、S005において正事例と判
断された染色体を、正事例として事例ベース12に格納
する(S006)。
【0042】正事例を格納した場合には、さらに、事例
ベースに格納されている正事例の数が、正事例格納上限
値T3よりも大きいかどうかの判定を行う(S00
7)。このとき、T3以下であれば、正事例格納数の上
限に達していないと判定し、S002へ進む。一方、T
3よりも大きければ、正事例格納数の上限に達したと判
定して、S008へ進む。例えばT3の値が2であると
する。このとき、事例格納部に格納されている事例が図
8のように与えられているならば、正事例の数は1個し
かないので、正事例格納の上限に達していないと判定
し、S002へ進む。一方、事例格納部に格納されてい
る事例が図12のように与えられているならば、正事例
の数は3個となるので、正事例格納の上限に達している
と判定し、S008へ進む。
【0043】S007によって正事例の上限値を超えた
と判断された場合には、事例格納部に格納されている正
事例の中から最も適合度の低い染色体を探索し、当該染
色体を事例格納部から削除する(S008)。例えば、
図12のように事例が与えられていれば、図6により、
3個の正事例の中で最も適合度の小さいものとして、
(c5,正)が選択されるので、c5の事例が事例格納
部から削除される。従って、S008の処理の後に事例
格納部に格納されている事例集合は図13に示す内容と
なる。
【0044】一方、S005において負事例と判断され
た染色体は、負事例として事例ベース12に格納される
(S009)。
【0045】負事例を格納した場合には、さらに、事例
ベース12に格納されている負事例の数が、負事例格納
上限値T4よりも大きいかどうかの判定を行う(S01
0)。このとき、T4以下であれば、負事例格納数の上
限に達していないと判定し、S002へ進む。一方、T
4よりも大きければ、負事例格納数の上限に達したと判
定して、S011へ進む。例えばT4の値が2であると
する。このとき、事例格納部に格納されている事例が図
9のように与えられているならば、負事例の数は1個し
かないので、負事例格納の上限に達していないと判定
し、S002へ進む。一方、事例格納部に格納されてい
る事例が図10のように与えられているならば、負事例
の数は3個となるので、負事例格納の上限に達している
と判定し、S011へ進む。
【0046】S010によって負事例の上限値を超えた
と判断された場合には、事例格納部に格納されている負
事例の中から最も適合度の高い染色体を探索し、当該染
色体を事例格納部から削除する(S011)。例えば、
図10のように事例が与えられていれば、図6により、
3個の負事例の中で最も適合度の高いものとして、(c
2,負)が選択されるので、c2の事例が事例格納部か
ら削除される。従って、S011の処理の後に事例格納
部に格納されている事例集合は図11に示す内容とな
る。
【0047】以上のS005からS011の事例格納処
理を、図5の初期世代(第0世代)に対して実施するこ
とにより、図14に示す内容の事例が事例ベース12に
格納されることとなる。
【0048】一方、先のS003において、染色体集団
中の全ての染色体についての適合度の計算がすでになさ
れたと判断された場合には、まず、当該世代の染色体集
団が十分収束しているか否か、すなわち、終了条件の判
定を行う(S012)。具体的には、これまでの探索数
がg2よりも大きいかどうかによって、探索数がg2以
下の場合は、染色体集団が収束していないと判定して、
S013へと進み、一方、この探索数がg2より大きい
場合には、染色体集団が収束した、すなわち、与えられ
た問題に対する最適解を発見したとして、最適解探索処
理を終了する。
【0049】例えば、g2の値が100と設定されてい
るとする。このとき、初期世代(第0世代)の適合度を
計算した段階では、探索数は10と与えられるので、染
色体集団は収束していないと判定して、S013へと進
む。一方、第10世代目の適合度を計算した段階では、
探索数は110と与えられるので、染色体集団は収束し
たと判定して、本最適解探索装置の処理を終了する。
尚、ここにおける収束判定(解探索の終了判定)は、必
ずしも探索数の上限を用いる方式である必要はなく、例
えば、処理時間はある程度要しても解の精度を追及した
いタイプの問題については、最良の解に対する適合度の
値や、あるいは最良の解についての収束度によって判定
を行うことも可能である。しかし、探索数を用いて、こ
れを所定の時間内に探索が終了するように適宜設定する
ことによって、例えば実用的時間内における最適解を得
たい問題に対応することが容易となる。即ち、収束判定
のための条件を問題に応じて適宜変更することによっ
て、異なる要請の種々の最適化問題に対応することが可
能となる。
【0050】S012において、未だ染色体集団が収束
していないと判断された場合には、まず、最適解探索の
方向を制限するための判断規則を生成し、これを用いて
以下の遺伝子操作を行って当該世代における最適解探索
を実行する(S014〜S016)。
【0051】すなわち、まず行われる判断規則生成の処
理では、事例ベース12に格納されている各事例に対し
て、染色体の各ビットを属性、正事例を分類クラス
「正」、負事例を分類クラス「負」と解釈する。また、
この解釈に従って、IDFアルゴリズム(参考文献「櫻
井茂明,荒木大,帰納学習によるファジィ決定木の生
成,電気学会論文誌,vol.113−C,no.7,
488頁−494頁(1993年)」)を事例集合に適
用することにより、決定木形式の判断規則を生成する
(S013)。この判断規則はすなわち探索方向を制御
するための知識である。例えば、事例ベース中の図14
の各事例は、各々、図15に示す属性値および分類クラ
スを持つ事例と解釈される。この事例集合に対して、I
DFを適用することにより、図16に示す木構造の知識
が生成される。ここで、図16の木構造(探索方向制御
知識)は、この場合さらに、「A2=0かつA3=0か
つA5=0ならば、負」、「A2=0かつA3=0かつ
A5=1ならば、正」、「A2=0かつA3=1なら
ば、正」、「A2=1ならば、負」という4つの判断規
則に対応しているものである。尚、各事例の有する分類
クラスのとりうる値は、必ずしも正負に限定されるもの
ではなく、例えば適合度のとりうる値の幅をより細分化
した値を設定し、この重みづけ等を用いて判断規則に反
映させることが可能である。また、この細分化された値
は分類クラスとは別の情報として保有することも可能で
ある。さらに、判断規則生成に用いる手法はIDFに限
定されるものではない。こうした探索方向制御知識の学
習にIDFを利用する代わりに、例えば、参考文献「大
須賀節雄 監訳,人工知能大辞典,丸善,177頁−1
78頁(1991年)」に記載のAQ11を利用するこ
とも考えられる。
【0052】次に、まず遺伝子操作対象となる染色体の
選択を行う。即ち、式(1)により計算される各染色体
についての選択の確率に従って、染色体集団の中からg
1個の染色体を取り出し、次世代(第1世代)の染色体
集団の基になる染色体集団を生成する(S014)。こ
こで、式(1)において、fiは、染色体iについての
適合度を表すものとする。
【0053】
【数1】 尚、この選択に用いられる計算式(1)は、最適化問題
の種類に応じて準備される式である。また、本実施形態
においては、選択を行う際に、特に事例の内容を考慮し
た処理は行っていない。しかしながら、事例の内容を反
映した選択圧力を用いて選択を行うことも可能であり、
かかる場合には、さらに探索の効率を向上させることと
なる。
【0054】次に、当該染色体集団に含まれる染色体の
数を探索総数に加えることにより、探索総数を更新す
る。例えば、図5の染色体集団の場合、各染色体の確率
は図17のように計算される。この例の場合では、選択
する染色体の数g1が10個と与えられているので、平
均的には、確率0.1ごとに1個の染色体が選択される
計算となる。ただし、実際の選択においては、かかる選
択は乱数を利用して行なわれるので、0.1よりも小さ
な確率しかもたない染色体が選択されることもある。こ
こでは、図18の染色体集団が選択されたとする。ま
た、当該染色体集団の生成により、探索数が20に更新
される。
【0055】図18に示す、選択された染色体集団を対
象として、次に、探索方向制御知識を利用した交差を行
なう(S015)。すなわち、初めに、S150で選択
した染色体集団の中から乱数を用いて取り出した二つの
染色体に対して、まず切断箇所を決定し、切断箇所で切
り離された染色体同志の交換を行なう。次に、探索方向
制御知識を利用して、交差の処理を行うのである。すな
わち、まず、取り出した元の二つの染色体の中に、分類
クラスが「正」となるビットパターンと一致するビット
パターンがあるかどうかを判定する。ここで、分類クラ
スが「正」となるビットパターンとは、ステップS01
3において生成した判断規則のうち、結論部分が「正」
となる判断規則の条件部分に対応している。例えば、図
16の判断規則の場合、第2ビット0(A2=0)、第
3ビット1(A3=1)及び第2ビット0(A2=
0)、第3ビット0(A3=0)、第5ビット(A5=
1)という二つの「正」となるビットパターンが存在す
る。もし、このビットパターンが存在しないならば、取
り出した染色体に対する交差は終了と判断する。一方、
このビットパターンが存在しているならば、当該ビット
パターンがあった元の染色体の遺伝子を多数保存してい
る染色体に当該ビットパターンが表れるように、切断し
たもう一方の染色体との間で遺伝子(ビット)の交換を
行なう。この探索方向制御知識を利用した交差を、式
(2)で計算される交差率がg3のしきい値以上になる
まで行なう。
【0056】
【数2】 例えば、図18の中から、染色体c7と染色体c3とが
取り出されたとし、図19のような交差によって、染色
体c11,c12が生成されたものとする。ここで、図
19に示すように、染色体c7には、第2ビット0、第
3ビット0、第5ビット1という「正」の分類クラスを
持つビットパターンが含まれているので、適合度が高い
と期待される事例と同じ当該ビットパターンが表れるよ
うに、染色体c11,c12の第2ビット及び第3ビッ
トを交換する。この結果、図20に示す染色体c13,
c14が生成される。ここで、しきい値g3の値を0.
8とした場合には、4回の交差が行なわれることとな
り、8個の染色体が作り直される。作り直された後の染
色体集団を図21に示す。
【0057】かかる交差の処理ののち、図21に示す、
交差後の染色体集団を対象として、探索方向制御知識を
利用した突然変異を行なう(S016)。すなわち、染
色体集団の染色体の各ビットに対して、探索方向制御知
識を利用したビットの反転を行なう。。具体的には、分
類クラス「正」のビットパターンに対応するビットパタ
ーンに含まれるビットの場合には、当該ビットパターン
に突然変異を行なわないと判断する。一方、それ以外の
ビットに対しては、g4の確率で、ビットの反転を行な
う。例えば、図21の染色体集団に含まれる染色体c1
4の場合、「正」のビットパターンと一致する第2,第
3,第5ビット以外のビットが突然変異の対象となる。
染色体c14の場合、第7ビットにだけ突然変異が発生
するとすれば、図22に示すように染色体c14から染
色体c21が生成される。ここで、突然変異率g4が
0.1と与えられているならば、染色体集団全体では1
20個のビットが存在し、このうち図21に示すよう
に、分類クラスが「正」となるビットパターンを構成す
るビットが14個存在するので、これが突然変異の対象
から除かれ、平均的には10.6個のビットが反転され
る。このとき、図21の染色体集団に含まれる染色体に
対して、突然変異を実施した結果の例を図23に示す。
図23においては、10個のビットが反転されている。
【0058】また、本実施形態においては、分類クラス
が「正」となる判断規則のみをすべて直接利用した交差
および突然変異を行なっている(S015、S01
6)。しかしながら、事例数が少ない探索当初において
は、正しい判断規則が生成されているとは限らないの
で、分類クラスが「正」となる判断規則に、判断規則を
構成する事例の数に応じて順位付けを行ない、探索が進
むにつれて、ビットパターンを保存するのに利用する判
断規則を増加させるといった方法も考えられる。
【0059】さらに、分類クラスが「正」となる判断規
則のみならず、これと併用して、または単独で、分類ク
ラスが「負」となる判断規則をも利用した交差および突
然変異を行なってもよい。すなわち、交差については、
分類クラスが負となるビットパターンに対して、このビ
ットパターンが出現しないように、さらに二つの染色体
の遺伝子を交換してもよいし、突然変異については、分
類クラスが負となるビットパターンに対しては、このビ
ットパターンが壊れるように、このビットパターンの一
部が必ず反転するようにしてもよい。この他、本実施形
態に示した方法以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変形して実施し得る。
【0060】以上が1つの世代について行われる最適解
探索の処理である。これらの処理を、次世代の染色体集
団に対しても、染色体集団が収束したとの判断がなされ
るまで(S012)、再帰的に繰り返すことによって、
最適解を探索するのである。
【0061】このようにして、本実施形態によれば、以
下の効果が得られる。すなわち、適合度に応じて選択し
た事例を遺伝子操作に利用することによって、より適合
度の高いビットパターンを次世代の染色体に残し易くす
ることとなり、従来のGAに比べて、少ない探索数で最
適解に到達することが可能となった。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
以下に記載されるような効果を奏する。即ち、生成され
た解の中から、適合度の値に応じて抽出した解および分
類クラスを事例として蓄積し、かかる事例集合から最適
解探索の方向性を制限するための判断規則を帰納学習に
よって自動生成するという機能を有するので、生成され
た判断規則を用いて、適合度の高い解(より良い解)が
存在すると期待される方向に最適解探索の方向を限定す
ることが可能となる。従って、探索におけるランダム性
を軽減し、最適解の近傍における解の収束度を向上させ
て、より少ない探索数で最適解を得ることが可能となる
という効果が得られる。このように探索を効率化するこ
とにより、最適化問題処理における解の評価時間と解の
探索時間とをともに減少させることができる。このた
め、結果的に、より高速に最適解を得ることが可能とな
る。また、同様に、実用レベルの最適化問題、いわゆる
準最適解を得る問題においても、現実的な時間内におい
て最適解を発見することが可能となる。
【0063】さらに、判断規則を生成するために用いら
れる事例の蓄積、即ち知識の獲得自体を、あらかじめ準
備することなく、自動的に行う機能を有するので、判断
規則獲得の負荷を軽減することができ、トータルの探索
処理の高速化を図ることが可能となるという効果が得ら
れる。
【0064】また、判断規則生成の基礎となる事例集合
を、適合度の幅を用いて洗練化する機能を有するので、
世代数が増して蓄積される事例の数が増すにつれて、最
適解探索の方向を、より良い解が存在すると期待される
方向に、より限定することが可能となるという効果を有
する。これにより、最適解の収束度をより向上させ、さ
らに効率良く最適解探索を行うことが可能となる。
【0065】また、判断規則生成の基礎となる事例は、
評価の結果を正負の分類クラスにより保持する機能を有
するので、かかる分類クラスの値を用いて判断規則生成
を行うことにより、大規模なAI、事例ベース推論シス
テム等を必要とすることなく、簡易に最適解探索を行う
ことが可能となるという効果が得られる。
【0066】さらに、事例抽出の判断に用いるしきい値
を内部的に生成するという機能を有するので、事例格納
の判断のためにあらかじめ外部からしきい値を入力する
ことが不要となるという効果が得られる。これにより、
人的経験に依存することなく、さらに簡易に最適解探索
を行うことが可能となる。
【0067】このように、本発明を用いれば、最適化問
題の適用される分野に応じて、生産コストや流通コスト
の削減、製品の精度の向上など、種々の産業分野におけ
る実用的効果を奏することができるのであり、産業上そ
の効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る最適解探索方法のアルゴリズムを
示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る最適解探索装置の機能構成を示す
機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る調整対象のパラメータ
の値とビット表現の対応を記述した図である。
【図4】実施形態に記述した問題の一つの解を記述した
染色体を表す図である。
【図5】乱数により生成した初期染色体集団を表す図で
ある。
【図6】初期染色体集団に格納されている染色体とその
適合度の関係を記述した図である。
【図7】事例ベースに格納される事例と格納されない事
例の関係を説明するための図である。
【図8】事例ベースに染色体c1が格納された直後の様
子を表す図である。
【図9】事例ベースに染色体c2が格納された直後の様
子を表す図である。
【図10】事例ベースに染色体c6が格納された直後の
様子を表す図である。
【図11】事例ベースから染色体c2が削除された直後
の様子を表す図である。
【図12】事例ベースに染色体c7が格納された直後の
様子を表す図である。
【図13】事例ベースから染色体c5が削除された直後
の様子を表す図である。
【図14】事例ベースに初期染色体集団の染色体から事
例格納部に最終的に格納される染色体を表す図である。
【図15】初期染色体集団の染色体から事例格納部に最
終的に格納される染色体を、事例として表現し直した図
である。
【図16】図15の事例集合にIDFを適用することに
より、学習される判断規則を表す図である。
【図17】初期染色体集団に格納されている染色体に対
する次世代に保存する染色体を選択する確率を表す図で
ある。
【図18】初期染色体集団から選択によって生成された
染色体集団を表す図である。
【図19】二つの染色体c7,c3に対する交差を表す
図である。
【図20】染色体c13,c14に対して、分類クラス
が「正」となるビットパターンを保存するために、交差
した染色体に修正が加えられる様子を表す図である。
【図21】図18の染色体集団に対して交差を実施する
ことにより得られた染色体集団を表す図である。
【図22】突然変異が実施される様子を表す図である。
【図23】図21の染色体集団に対して突然変異を実施
することにより得られた染色体集団を表す図である。
【図24】従来のGAによる最適解探索のアルゴリズム
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
p1〜p4 調整対象となるパラメータ c1〜c29 染色体の番号 g1〜g4 GAを起動するためのパラメータ T1〜T4 事例格納処理において利用されるパラメー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 与えられた解集団に対して各々の解の良
    さを評価し、該評価の結果が得られた解集団に対して新
    たな解集団を生成するための最適解の探索を行い、必要
    とされる最適解が求められたと判断されるまで前記評価
    および前記探索を繰り返し行うことにより最適解を出力
    する最適解探索方法であって、 少なくとも前記評価のなされた解および前記評価結果に
    基づく値を、該評価結果に従って、事例として選択し、
    該選択された事例の集合を用いて、前記最適解の探索の
    方向を制限するための判断規則を帰納的に生成すること
    を特徴とする最適解探索方法。
  2. 【請求項2】 前記最適解探索方法は、さらに、前記選
    択された事例を事例保持手段に格納し、前記格納された
    事例の集合の中から、前記評価結果の値に基づいて、最
    も格納に適さない1または複数の事例を判定し、前記判
    定のなされた事例を前記事例集合から削除することによ
    って前記事例集合の洗練化を行うことを特徴とする請求
    項1記載の最適解探索方法。
  3. 【請求項3】 遺伝的アルゴリズムを用いて最適解の探
    索を行う方法において、 初期解を探索するステップと、 探索された解について解の良さを示す適合度の算出を行
    うステップと、 前記適合度の得られた解について、帰納学習を行うため
    の事例として格納するか否かを該適合度に基づいて判定
    するステップと、 少なくとも、格納すると判定された解について、事例と
    して事例保持手段に選択的に格納するステップと、 前記格納された事例の集合から帰納的に最適解探索に用
    いられる判断規則を生成するステップと、 該判断規則を用いることにより最適解探索の方向を制限
    して新たな解を探索するステップと、 を少なくとも含み、 前記事例は、それぞれ解の属性値および該解の適合度に
    基づいて決定された分類クラスとを少なくとも有し、 前記適合度が当該世代の解集団の全ての解について得ら
    れた場合に、前記分類クラスに示された値に基づいて判
    断規則を生成し、 最適解探索を行う際に、該判断規則の示すパターンに基
    づいて、解の一部を探索から除くことにより解の探索の
    方向を制限することを特徴とする最適解探索方法。
  4. 【請求項4】 前記分類クラスは所定値以上の適合度を
    持つことを示す値である正または所定値以下の適合度を
    示す値である負のいずれかであり、 前記正および/または負の値に基づいて、前記事例集合
    の洗練化および前記判断規則の生成を行うことを特徴と
    する請求項3記載の最適解探索方法。
  5. 【請求項5】 前記事例の格納の判定に用いられる上限
    のしきい値は、初期解集団のうち前記適合度の上位集団
    中から求められた所定値であり、下限のしきい値は、前
    記初期解集団のうち前記適合度の下位集団中から求めら
    れた所定値であることを特徴とする請求項2乃至4のい
    ずれか記載の最適解探索方法。
  6. 【請求項6】 初期解を探索する初期解生成部、 探索された解について解の良さの評価を行う探索結果評
    価部、 および探索済みの解集団から新たな解を探索する解生成
    部とを有する探索部と、 前記評価のなされた解について、帰納学習を行うための
    事例として格納するか否かを判定する事例抽出部、 少なくとも格納すると判定された事例を選択的に格納す
    る事例格納部、 および前記格納された事例の集合から最適解探索に用い
    る判断規則を生成する探索知識生成部とを有する帰納学
    習部と、 を少なくとも有し、 前記帰納学習部は、少なくとも前記評価のなされた解お
    よび前記評価結果に基づく値を、該評価結果に従って、
    事例として選択し、該選択された事例の集合を用いて、
    最適解探索の方向を制限するための判断規則を帰納的に
    生成し、 前記解生成部は、該判断規則を用いて探索を行うことに
    より最適解探索の方向を制限することを特徴とする最適
    解探索装置。
  7. 【請求項7】 前記事例格納部は、さらに、前記事例集
    合の中から、前記評価結果の値に基づいて、最も格納に
    適さない1または複数の事例を判定し、前記判定のなさ
    れた事例を前記事例集合から削除することによって前記
    事例集合の洗練化を行うことを特徴とする請求項6記載
    の最適解探索装置。
  8. 【請求項8】 遺伝的アルゴリズムを用いて最適解の探
    索を行う装置において、 初期解を探索する初期解生成部、 探索された解について解の良さを示す適合度の算出を行
    う探索結果評価部、 および探索済みの解集団から新たな解を探索する解生成
    部とを有する探索部と、 前記適合度の得られた解につ
    いて、帰納学習を行うための事例として格納するか否か
    を該適合度に基づいて判定する事例抽出部、 少なくとも格納すると判定された解について事例として
    事例保持手段に選択的に格納する事例格納部、 および前記格納された事例の集合から帰納的に判断規則
    を生成する探索知識生成部とを有する帰納学習部と、 を少なくとも具備し、 前記事例は、それぞれ解の属性値および該解の適合度に
    基づいて決定された分類クラスとを少なくとも有し、 前記探索知識生成部は、前記適合度が当該世代の解集団
    の全ての解について得られた場合に、前記分類クラスに
    示された値に基づいて判断規則を生成し、 前記解生成部は、該判断規則の示すパターンに基づい
    て、解の一部を探索から除くことにより解の探索の方向
    を制限することを特徴とする最適解探索装置。
  9. 【請求項9】 前記分類クラスは所定値以上の適合度を
    持つことを示す値である正または所定値以下の適合度を
    示す値である負のいずれかであり、 前記正および/または負の値に基づいて、前記事例集合
    の洗練化および前記判断規則の生成を行うことを特徴と
    する請求項8記載の最適解探索装置。
  10. 【請求項10】 前記事例の格納の判定に用いられる上
    限のしきい値は、初期解集団のうち前記適合度の上位集
    団中から求められた所定値であり、下限のしきい値は、
    前記初期解集団のうち前記適合度の下位集団中から求め
    られた所定値であることを特徴とする請求項6乃至9の
    いずれか記載の最適解探索装置。
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