JPH1182137A - パラメータ推定装置 - Google Patents

パラメータ推定装置

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JPH1182137A
JPH1182137A JP10027300A JP2730098A JPH1182137A JP H1182137 A JPH1182137 A JP H1182137A JP 10027300 A JP10027300 A JP 10027300A JP 2730098 A JP2730098 A JP 2730098A JP H1182137 A JPH1182137 A JP H1182137A
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JP
Japan
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neural network
fuel ratio
learning
air
unit
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JP10027300A
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English (en)
Inventor
Akira Ishida
明 石田
Masuo Takigawa
益生 瀧川
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Honda Motor Co Ltd
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
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Publication of JPH1182137A publication Critical patent/JPH1182137A/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1401Introducing closed-loop corrections characterised by the control or regulation method
    • F02D41/1405Neural network control

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニューラルネットワークを用いたパラメータ
推定装置において推定精度の悪い領域を再学習しても、
他の推定精度の良好な領域を劣化させることなく、悪い
領域だけの推定精度を向上させることを目的とする。 【解決手段】 ニューラルネットワークにより推定対象
パラメータ値を推定するパラメータ推定装置において、
ニューラルネットワークを、複数の入力パラメータの一
部のパラメータにより表される領域ごとに予め定めてあ
るように結合の仕方を変更して学習を行ったものとし、
領域判定手段により受け付けた前記複数の入力パラメー
タ値のうちの前記一部のパラメータ値から前記領域のい
ずれに属するかを判定し、経路変更手段により領域判定
手段が判定した領域に応じて前記ニューラルネットワー
クの結合の仕方を学習したときと同じように変更するよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニューラルネット
ワークを用いたパラメータ推定装置に関し、特に、入力
パラメータの範囲に対応した学習が可能なパラメータ推
定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ニューラルネットワークを用いると物理
系や化学系において入力と出力の因果関係を理論的に導
き出すことが困難な場合であっても、学習機能に基づい
て入力の値から出力の値を推定するようにすることが可
能である。このことを利用してニューラルネットワーク
を複雑な制御系を制御する制御装置、特に、非線形性の
強い制御対象を制御する制御装置に応用することが近年
行われつつある。例えば、このようなニューラルネット
ワークを用いた制御装置として自動車の内燃エンジンの
空燃比制御装置が挙げられる。
【0003】自動車より排出される排気ガス中に含まれ
る有毒ガスであるNOx、CO、HCは触媒を用いて低
減させるという方法が採られ、例えば代表的な触媒とし
て三元触媒が使用される。このような触媒がこれらの有
害ガスをより最も効果的に浄化するためには空燃比を触
媒が効果的に働くことのできる一定値に保つ必要があ
り、このために空燃比を自動車の運転状態にかかわらず
一定に保つ空燃比制御が必要となる。
【0004】このような空燃比制御では通常スロットル
開度等の変化に応じて、燃料噴射量の増量補正、減量補
正等を行うフィードフォワード制御が行われ、さらにフ
ィードバック制御も併用されている。これらの制御は、
アイドル時や定速走行時などの定常運転域ではよい結果
を得ることができる。しかし、加減速時などの過渡状態
においては、空燃比センサの応答の遅れや気筒内に実際
に流入する燃料量等が運転状態や外部環境により変化し
ていく等の解析困難な要因により、空燃比を単純なフィ
ードフォワード制御やフィードバック制御のみで一定値
に保つのは現実には非常に困難である。
【0005】そこで、空燃比制御の精度を向上させるた
めに、例えば特開平8−74636号公報に、上記燃料
付着等の非線形要素をニューラルネットワークにより学
習させ、このニューラルネットワークを用いて燃料噴射
量の補正量を過渡時の応答性能の向上を図るように制御
する制御装置が提案されている。従来のニューラルネッ
トワークを用いた空燃比制御装置の一例を図22に示
す。この空燃比制御装置は、状態検出部210によりエ
ンジンEの状態を表す複数の物理量、ここではエンジン
の回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、スロットル開
度(THL)、燃料噴射量(Gf)、吸入空気温(T
a)、冷却水温(Tw)、空燃比(A/F)を検出し、
ニューロ演算部220により、この状態検出部210で
検出した複数のパラメータを入力とし、空燃比センサで
は過渡時等においては追従できない真の空燃比(A/F
r)挙動をニューラルネットワークにより推定する。そ
して、燃料噴射量算出部230により、この推定された
空燃比(A/F)の値と目標空燃比(A/Fref)との
偏差を小さくするようにフィードバック制御により目的
の空燃比を実現する燃料噴射量(Gb)を算出する。こ
のように、通常のセンサでは得ることのできない過渡状
態等における空燃比(A/F)の値を得ることにより適
正な空燃比の制御が可能となる。
【0006】このような制御を可能とする、上記ニュー
ロ演算部220に用いられるニューラルネットワークの
構成を図23に示す。このニューラルネットワークは3
層により構成される。第1層へは入力パラメータとして
エンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、スロッ
トル開度(THL)、燃料噴射量(Gf)、吸入空気温
(Ta)、冷却水温(Tw)、検出空燃比(A/Fk)
が入力される。この検出空燃比(A/Fk)は制御周期
において空燃比センサが検出した最新の空燃比である。
もっとも、この空燃比(A/Fk)はセンサ遅れにより
真の空燃比(A/Fr)の値を示していない。入力され
た各パラメータはそれぞれのウエイト値を乗算されて第
2層の各ニューロンで総和されたのち閾値が加算され、
トランスファー関数により変換される。第2層で変換さ
れた値は、さらにそれぞれウエイト値を乗算されて第3
層のニューロンで総和される。そして、第3層のニュー
ロンでこの総和された値に別の閾値を加算したものを別
のトランスファー関数により変換して推定空燃比(A/
FNN)の値が算出される。
【0007】このようなニューラルネットワークの学習
課程を図24を用いて説明する。図24はエンジン回転
数(Ne)等を入力パラメータとして、推定空燃比(A
/FNN)を得るニューラルネットワークの学習過程を示
す模式図である。まず、学習データ採取のために自動車
のエンジンEに図22と同じ状態検出部210を設けて
おき、実際に自動車を運転し学習用のデータを採取す
る。採取されたデータは学習用データ生成部aによりセ
ンサの応答遅れ等を調整した学習用データに変換され
る。学習用データには、教師データ用の空燃比(A/F
t)と、これに対応する入力パラメータ用のエンジン回
転数(Ne)等がある。教師データ用の空燃比(A/F
t)は空燃センサにより検出された空燃比(A/Fk)か
ら検出遅れを考慮して得ることができる。なお、各入力
パラメータは時系列的に過去のデータも含めるようにす
ることが望ましいが、ここでは、説明を簡略化するため
に過去のパラメータは入力していない。生成された学習
用データは学習用データ蓄積部bに蓄積される。そし
て、学習実施部cが蓄積された学習用データを用いてニ
ューラルネットワークの学習を行う。即ち、入力パラメ
ータ用のエンジン回転数(Ne)等をニューラルネット
ワークに入力して、出力として推定された空燃比(A/
FNN)と教師用の空燃比(A/Ft)の偏差eを検出
し、この偏差eをある許容値以内、例えば空燃比換算で
平均0.1以下となるようにバックプロパゲーション法
によりニューラルネットワークの構成、つまり、ウエイ
ト値やトランスファー関数等を変えていく。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なニューラルネットワークを用いた制御系では、制御性
能を向上させるためには、ニューラルネットワークの高
精度な学習を行うことが不可欠となる。そこで、上記の
様な学習をさせる際に、学習用のデータを特定の範囲に
固まることなく、また、予め制御対象の動作範囲内の学
習データを揃えて学習を行うことが行われている。しか
し、この学習データで十分であるかどうかは結果からし
か知ることができず、通常は学習をしては評価を行い、
評価結果の悪い領域のデータを採取しては学習データを
作成し直し、再び学習を行うといった開発ルーチンを繰
り返す必要がある。なお、「領域」とは、少なくとも1
部の入力パラメータの範囲の組み合わせから定まる、エ
ンジンの運転状態を表す概念である。
【0009】ところで、評価データにより評価した結
果、一部のデータの誤差が大きい場合、その誤差を小さ
くするためには、通常その誤差の大きい領域の学習デー
タを増加させ再学習する。このとき全体の学習データ分
布のバランスを取るように、即ち各領域毎の学習データ
の個数のバランスを考えながら追加データを選定し再度
学習データを作成しなければならない。しかし、この選
定した追加データを用いて再学習した結果、前回良好な
結果が得られていた領域が、今回の学習により良好な結
果が得られなくなる場合や、全体的に劣化する場合が生
じることがある。このような場合、再度学習データの選
定を行わなければならず、何度もデータ採取を行い学習
し直さなければならないため、良好な結果が得られるま
で多大な時間がかかってしまう。このように、ニューラ
ルネットワークの推定精度を広範な推定領域に渡って向
上させるのは大変困難であり現在試行錯誤を行うことで
しかこれを解決することができない。
【0010】また、ニューラルネットワークの学習にお
いては全ての起こりうる動作状況を事前に学習・評価す
ることはできない。そのため、通常は起こりうると考え
られる動作範囲内の学習を上述のような試行錯誤により
行い、当該学習範囲内では高精度な制御性能を保証する
ようにしている。しかし、学習範囲外では推定精度が保
証できないため制御性能も保証できず、通常は学習範囲
外の入力があった場合は制御を中止する等のフェールセ
ーフ機能が必要となる。
【0011】例えば、前述したようなニューラルネット
ワークを用いた空燃比制御装置では、予め通常考えられ
る運転モードの範囲の学習データで学習・評価したニュ
ーラルネットワークが使用される。このため、学習範囲
外の走行状態では高精度な制御は保証できず、例えばド
ライバーが山岳路を主に走行する場合、さらには、空燃
比センサ等が劣化した場合などには、良好な空燃比制御
を行うことができなくなる。
【0012】そこで、本発明ではニューラルネットワー
クを用いたパラメータ推定装置において推定精度の悪い
領域を再学習しても、他の推定精度の良好な領域を劣化
させることなく、悪い領域だけの推定精度を向上させる
ことを可能として、当該パラメータ推定装置の開発の効
率化を図ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は推定対象パラメータに関連する複数の入力
パラメータ値の入力を受け付け、受け付けた入力パラメ
ータ値からニューラルネットワークにより推定対象パラ
メータ値を推定するパラメータ推定装置において、前記
ニューラルネットワークを、前記複数の入力パラメータ
の一部のパラメータにより表される領域ごとに予め定め
てあるように結合の仕方を変更して学習を行ったものと
し、受け付けた前記複数の入力パラメータ値のうちの前
記一部のパラメータ値から前記領域のいずれに属するか
を判定する領域判定手段と、領域判定手段が判定した領
域に応じて前記ニューラルネットワークの結合の仕方を
学習したときと同じように変更する経路変更手段とを設
けたものである。なお、本願ではパラメータの一部とい
う場合にはパラメータの全部も含むものとする。
【0014】また、前記ニューラルネットワークを前記
複数の入力パラメータの一部のパラメータにより表され
る領域ごとに結合の経路を変えて学習を行ったものとし
て、前記経路変更手段を領域判定手段が判定した領域に
応じて前記ニューラルネットワークの結合の経路を選択
するようにすることができる。さらに、前記ニューラル
ネットワークを前記複数の入力パラメータの一部のパラ
メータにより表される領域ごとに結合経路の重みを変え
て学習を行ったものとして、前記経路変更手段を領域判
定手段が判定した領域に応じて前記ニューラルネットワ
ークの結合経路の重みを変更するようにすることもでき
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (実施の形態1)図1に本願発明に係るパラメータ推定
装置を用いた空燃比制御装置の概略を示す模式図を示
す。この空燃比制御装置の概略の動作を、以下に簡単に
説明すると、まず、スロットル開度センサl、吸入空気
圧センサm、吸入空気温センサn、水温センサo、クラ
ンク角センサpおよび空燃比センサqの出力がコントロ
ールユニットCに入力される。そして、この入力に基づ
きコントロールユニットCは実際の空燃比(A/Fr)
を目標空燃比(A/Fref)に保つような燃料噴射量
(Gf)を算出してインジェクタIへ出力する。それか
らインジェクタIは算出された燃料噴射量(Gf)だけ
エンジン内に燃料を噴射する。このような動作により空
燃比を目標空燃比(A/Fref)に保つことが可能とな
る。なお、空燃比センサqの出力は冷間時には使用され
ない。
【0016】コントロールユニットCのハードウエア構
成図を図2に示す。図2に示すようにコントロールユニ
ットCは、演算処理を行うCPU101、制御プログラ
ム、各種マップ、ニューラルネットワークのウエイト
値、閾値、トランスファ関数等を格納したROM10
2、演算処理時の数値記憶等に用いるRAM103、セ
ンサ入力をデジタル値に変換するA/D変換部104、
デジタル出力をアナログ出力に変換するD/A変換部1
05により構成される。
【0017】上記ハードウエアにより実現されるコント
ロールユニットCを含む空燃比制御装置の機能ブロック
図を図3に示す。この空燃比制御装置は制御対象である
エンジンEの状態を表す物理量を検出する状態検出部
3、コントロールユニットCにより構成され、コントロ
ールユニットCはニューロ演算部1と燃料噴射量算出部
2より構成される。なお、本願発明に係るパラメータ推
定装置は、上記ニューロ演算部1によって構成される。
【0018】状態検出部3はエンジンEの状態を表す検
出可能な複数の物理量を検出する部分である。ここでは
物理量として上述したセンサ出力から検知できるエンジ
ン回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、スロットル開
度(THL)、燃料噴射量(Gf)、吸入空気温(T
a)、冷却水温(Tw)、空燃比(A/Fk)を検出す
るものとし、状態検出部3はこれらの物理量を検出する
上記各種センサやセンサの値を用いて上記パラメータに
対し所定の演算を行うCPU、過去の制御周期における
燃料噴射量等を記憶しているRAM等により構成され
る。なお、上記燃料噴射量(Gf)はRAMに記憶され
る1制御周期前の燃料噴射量である。また、空燃比セン
サが検出する空燃比はセンサの応答の遅れにより本当の
空燃比(A/Fr)を表していない。ここでは、このセ
ンサが検出する空燃比を検出空燃比(A/Fk)と表し
ている。さらに、検出される複数の物理量はこれらに限
られるものではなく、さらに多くの物理量を検出するよ
うにしてもよいのはいうまでもない。
【0019】コントロールユニットC中のニューロ演算
部1はニューロ推定部11、領域判定部12、経路変更
部13より構成される。ニューロ推定部11は状態検出
部3より検出された物理量をパラメータとして入力し、
ニューラルネットワークを用いて空燃比(A/FNN)を
推定する。図4に、ニューロ推定部11で用いられるニ
ューラルネットワークの概念図を示す。このニューラル
ネットワークは4層で構成される。第1層へは入力パラ
メータとしてエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(P
b)、スロットル開度(THL)、燃料噴射量(G
f)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)、検出空
燃比(A/Fk)が入力される。なお、空燃比(A/F
k)は冷間時においては空燃比センサが働かないので0
となる。また、各入力パラメータについても過去の制御
周期におけるデータも加えるようにすることが望まし
い。入力された各パラメータにはそれぞれの結合係数に
より示されるウエイト値が乗算されて第2層の各ニュー
ロンで総和される。この総和結果は閾値を加えられトラ
ンスファー関数により変換される。変換された値は、さ
らにそれぞれウエイト値を乗算されて第3層で総和さ
れ、第2層と同様の操作の後に第4層へと出力される。
そして第4層のニューロンで各値が総和されて別の閾値
が加えられ、これを別のトランスファー関数により変換
して推定空燃比(A/FNN)の値を算出する。このニュ
ーラルネットワークの特徴は、入力パラメータによって
異なる経路構成により空燃比を推定する点である。これ
については、後に詳述するこのニューラルネットワーク
の学習方法と関連するので、これとともに説明する。
【0020】領域判定部12は、ニューロ推定部11に
入力された上記パラメータの一部からエンジンの運転状
態が予め設定した当該一部のパラメータの各範囲により
定まる領域のいずれに属するのかを判定する。ここでは
領域を定めるパラメータとしてエンジン回転数(N
e)、吸入空気圧(Pb)、吸入空気温(Ta)、冷却
水温(Tw)を用いるものとし、この4つのパラメータ
により構成される4次元空間において予め区分けした領
域のいずれに該当するのかを判定する。これらのパラメ
ータの選択は入力パラメータの内、空燃比との関係で非
線形性の傾向が大きいものが選ばれる。
【0021】ここでは4次元空間における「領域」を用
いるので、これを図示することができないが、仮にエン
ジン回転数(Ne)と、吸入空気圧(Pb)の2つのパ
ラメータにより領域を分けるものとすれば、例えば、領
域は図5のように分けることができる。図5ではエンジ
ン回転数(Ne)と、吸入空気圧(Pb)の範囲をそれ
ぞれ3つに分けることで、領域を9つに分けている。即
ち、4次元空間における領域は、4次元空間内で各パラ
メータごとに区分けした範囲の交わりに囲まれる各部分
を意味する。なお、パラメータの数により空間の次元は
定まり、パラメータが1つの場合は直線上の範囲となる
が、ここではこれも領域というものとする。
【0022】経路変更部13は、この領域判定部12が
判定した領域に対応させて予め定めた経路に従って、ニ
ューラルネットワークの経路を変更する。前記領域に対
応させたニューラルネットワークの経路として、例え
ば、前述したように4次元空間で切り分けた領域ごと
に、第1層の各ニューロンから第2層に至る経路を特定
のニューロンへ向かう一本だけとしたり、あるいは、数
本だけとしたりすることができる。また、領域ごとに各
経路の重みを変更するようにしても良い。
【0023】図6に経路変更部13の一部を模式的に表
した図を示す。図6(a)はエンジンの回転数(Ne)
を入力とするニューロンについて、経路を1つ選択する
構成を示しており、領域判定結果の出力する領域に応じ
てスイッチX1を切り替えることにより、経路を決定す
る。その他のパラメータ(Pb、THL、・・・)が入力
されるニューロンも同様に、入力される領域に応じた経
路を選択するように構成してある。なお、実際の経路の
切替はROM内に格納されるプログラムの処理によって
行われる。
【0024】経路の選択としては、例えば、ある領域に
ついては全てのスイッチが図の一番上の経路を選択し、
別の領域には全てのスイッチが上から2番目のスイッチ
を選択する等、全てのスイッチが第2層の同一のニュー
ロンへ向かう経路を選択させることが考えられる。図7
に全てのスイッチが一番上の経路を選択した場合に得ら
れる経路を示す。図から理解できるように、このような
構成とすると領域ごとに第2層の特定のニューロンに出
力が集中するので、第2層から第3層へ向かう経路の結
合係数を変更するようにすれば、それぞれの領域につい
て再学習させる際に他のニューロンに影響を与えること
を避けることができる。
【0025】なお、経路の選択はこれに限られず、ある
領域に対して第2層の一群のニューロンへ向かう経路を
選択するようにでき、各領域に対応する当該一群のニュ
ーロンは互いに共通部分を含むようにしてもよく、完全
に相違するようにするようにしてもよい。図6(b)は
エンジンの回転数(Ne)を入力とするニューロンにつ
いて、各経路の重みを変更する構成を示しており、領域
に対応させて重み付け係数(S1〜S8)を変更し、これ
らの重み付け係数をそれぞれの経路に対して乗算する構
成を示している。
【0026】例えば、図7に示すような経路選択では特
定の領域について第2層の一つのニューロンしか用いら
れないが、特定のニューロンをメインとして最も重みを
付けるとともに、他のニューロンにもいくらかの重み付
けを行うことで、他のニューロンも用いるようにするこ
とができる。また、重み付けを変えることで経路の種類
を増やすことが可能であるので領域の種類に対応した柔
軟な経路を構成していくことができる。
【0027】図8にエンジンの回転数(Ne)を入力と
する第1層のニューロンから第2層のニューロンへの向
かう各経路に対する重み付けの例を示す。なお、図にお
いて他のパラメータが入力されるニューロンにおいても
上の経路から順に同様の重み付けがなされているものと
する。このようにすれば、第1層の全てのニューロンか
ら第2層の一番上のニューロンへ向かう経路に重み付け
値として「0.6」を乗算することによりこの一番上の
ニューロンをメインのニューロンとし、第2層の他のニ
ューロンへの経路には軽い重み付け値を乗算することで
他のニューロンを補助的なニューロンとすることができ
る。そして、パラメータより定まる領域ごとにメインの
ニューロンを変え、また、補助的なニューロンの重みを
変えることで種々の経路を構築していくことができる。
【0028】コントロールユニットC中の燃料噴射量算
出部2は、ニューロ演算部1で推定された空燃比(A/
FNN)と目標空燃比(A/Fref(=14.7))との
偏差Dより燃料噴射量(Gf)を算出する。具体的に
は、空燃比推定値(A/FNN)と目標空燃比との偏差D
からP制御系、PI制御系、PID制御系等として与え
た式によって計算する。例えば、下の式によって計算す
る。但し、Kp、Kd、KiはPIDゲインであり、実験
的に求められる。
【0029】Gf=Kp・D+Kd・ΔD+Ki・ΣD なお、ここでは推定空燃比(A/FNN)と目標空燃比
(A/Fref)との偏差Dから直接、燃料噴射量(G
f)を算出したが、これは、次のようにしてもよい。即
ち、燃料噴射量算出部2へ状態検出部3の検出した各物
理量を入力し、これらの値から実験により得たマップを
用いてフィードフォワード制御により基本となる燃料噴
射量(Gfb)を求める。一方、ニューロ推定部11に
より推定された空燃比(A/FNN)と目標空燃比(A/
Fref)の偏差からこれを小さくするようにPID制御
系等として与えた式により燃料噴射量の補正量(ΔG
f)を算出する。そして、基本燃料噴射量(Gfb)と
補正量(ΔGf)を足し合わせることで燃料噴射量(G
f)を算出する。このようにすると、万一ニューラルネ
ットワークに大きなノイズがのり、ニューラルネットワ
ークの推定値が大きく外れた場合に、異常な燃料噴射が
行われるのを防ぐことができる。
【0030】次に、以上のような構成を有するニューロ
推定部11ニューラルネットワークの学習課程について
説明する。図9にエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧
(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料噴射量(G
f)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)、検出空
燃比(A/Fk)を入力項として、空燃比(A/FNN)
を推定するニューラルネットワークの学習過程を示す模
式図である。
【0031】まず、学習データ採取のために自動車のエ
ンジンEに図4と同じ状態検出部3を設けている。そし
て、実際に自動車を運転し学習用のデータを採取する。
なお、低温時においては状態検出部の空燃比センサが働
かないので、空燃比センサは最初に暖めておき、エンジ
ン自体が低温状態であっても、空燃比を検出できるよう
にしておく。
【0032】採取したデータは学習用データ生成部aに
よりセンサの検出遅れに対する位相遅れ補償等を行い、
学習用のエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)
等を学習用の入力データ、また、これらに対応する空燃
比(A/Ft)を教師データとして、これらを関連付け
て学習用データ蓄積部bへ蓄積していく。但し、冷間時
の検出空燃比(A/Fk)は実際の運転では入力されな
いので入力データからは削除される。
【0033】そして、これらの学習用データを用いて学
習実施部cにより、各入力データをニューラルネットワ
ークの入力パラメータとし、出力として推定された空燃
比(A/FNN)と前記教師用データ(A/Ft)の偏差
eを検出し、この偏差eを小さくするようにニューラル
ネットワークの結合係数、即ちニューロンからニューロ
ンへ向かう各経路において積算されるウエイト値を変え
ていく。
【0034】この際、入力データの内のエンジン回転数
(Ne)、吸入空気圧(Pb)、吸入空気温(Ta)、
冷却水温(Tw)の各データは図4に示す空燃比制御装
置のと同じ領域判定部12に入力されて、当該入力デー
タについての領域判定が行われ、この結果に基づいてこ
れも図4に示す空燃比制御装置と同じ経路変更部13に
より、当該入力データに対応してニューラルネットワー
クの経路を変える。即ち、各入力データに対応する領域
に応じてニューラルネットワークの構成が変更されなが
ら学習が行われていく。
【0035】偏差eによるニューラルネットワークの結
合係数の変更は、バックプロパゲ−ション法を用い、各
入力パラメータをトランスファ−関数によって変換し、
これに乗算されるウエイト値の値および各処理ユニット
での閾値の値を偏差eに従って所定の手法で変換して行
くことにより行う。また、ここでは、トランスファー関
数として、正接シグモイド関数(f(x)=tanh
(x))が用いられる。なお、ニューラルネットワーク
は各パラメータから求める空燃比値が得られるならば種
々の形式のものが採用できる。
【0036】以上のような学習が終了すると、学習に使
用しなかったデータや、さらに自動車を動かして得た新
たなデータから学習用データを生成して、かかる学習用
データから得られる入力パラメータを学習後のニューラ
ルネットワークに入力して、各領域ごとに推定した空燃
比(A/FNN)が、教師用データの空燃比(A/Ft)
と比較して推定精度および汎化性つまり学習データ以外
の入力パラメータに対して良い推定ができている度合い
が良好かどうかを判断する。例えば、推定空燃比(A/
FNN)と教師用データの空燃比(A/Ft)との偏差
が、0.5を越えるデータが20%以上ある領域を推定
精度又は汎化性が悪いと判断する。
【0037】そして、このように推定精度等の悪い領域
が存在する場合は、当該領域に対応させて、経路変更部
13によりニューラルネットワークの経路を設定して、
当該領域の学習用データで再学習を行う。このような学
習をすることで、他の領域に属する入力パラメータを用
いて空燃比を推定する経路についてはほとんど影響を与
えることなく、推定精度や汎化性の悪い領域に属する入
力パラメータを用いて空燃比を推定する経路のみを改善
することができる。
【0038】このような学習の結果、上記ニューラルネ
ットワークは経路変更部により変更される各経路ごと
に、原則的に上記パラメータを入力として空燃比(A/
F)を予測推定することができるようになる。なお、以
下の実施の形態に示されるニューラルネットワークの学
習においても製造時には同様の手法が採用される。続い
て、以上の構成を有する空燃比制御装置の動作について
説明する。図10に当該空燃比制御装置の一制御周期に
おける動作を表すフローチャートを示す。
【0039】まず、状態検出部3がエンジンEの状態を
表す物理量としてエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧
(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料噴射量(G
f)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)、空燃比
(A/F)を検出する(S101)。次に、領域判定部
12が検出された物理量の内、エンジン回転数(N
e)、吸入空気圧(Pb)、吸入空気温(Ta)、冷却
水温(Tw)の値からエンジンの運転状態がどの領域で
あるかを判定する(S102)。この領域判定結果によ
り、経路変更部13が、ニューロ推定部11のニューラ
ルネットワークの経路の構成を変更する(S103)。
【0040】そして、この経路の構成を変更されたニュ
ーラルネットワークによりニューロ推定部11が、検出
された複数のパラメータを入力パラメータとして空燃比
(A/FNN)を推定する(S104)。最後に、推定さ
れた空燃比(A/FNN)を用いて燃料噴射量算出部2が
燃料噴射量(Gf)を算出する(S105)。算出され
た燃料噴射量(Gf)はエンジンのインジェクタIへと
出力されて、この量の燃料がエンジンEへと噴射され
る。このような動作により過渡時等においても適切な空
燃比制御が可能となる。
【0041】ところで、上記の説明においては領域はパ
ラメータの範囲に応じて明瞭に区分され、この明瞭に区
分された各領域ごとにニューラルネットワークの経路構
成を変えるようにしたが、パラメータの範囲の区分けは
明瞭にするのではなく、境界は曖昧にして、ファジィ推
論規則により領域判定部12は入力パラメータがどの領
域に属するのかを判定し、これに応じてニューラルネッ
トワークの経路を変更するようにすることも考えられ
る。以下、このようなファジィ推論規則を用いた領域判
断および経路変更の方法について説明する。
【0042】説明を簡単するために、ここでは領域を定
めるパラメータをエンジン回転数(Ne)と吸入空気圧
(Pb)の二つにして、図11のようにエンジン回転数
(Ne)と吸入空気圧(Pb)をそれぞれ小さい
(S)、中くらい(M)、大きい(B)の3つに分割し
て、大雑把にD1〜D9の境界の曖昧な9つの領域に分け
るものとする。
【0043】また、ニューロ推定部11のニューラルネ
ットワークの第2層は上記領域ごとに4つのニューロン
を割り当てるような構成にし、経路変更部13は領域ご
とに割り当てられた4つのニューロンへ向かう経路のみ
を選択するものとする。例えば経路変更部13は領域D
5に対しては図12のようにD5に割り当てられた4つの
ニューロンへ向かう経路のみを選択することになる。
【0044】上記D1〜D9の各領域は、ファジィ制御ル
ールにより次のように表せる。 if Ne=S and Pb=S then 領域F=D1 if Ne=M and Pb=S then 領域F=D2 if Ne=B and Pb=S then 領域F=D3 if Ne=S and Pb=M then 領域F=D4 ・・・(α) if Ne=M and Pb=M then 領域F=D5 ・・・(β) if Ne=B and Pb=M then 領域F=D6 if Ne=S and Pb=B then 領域F=D7 if Ne=M and Pb=B then 領域F=D8 if Ne=B and Pb=B then 領域F=D9 また、エンジン回転数(Ne)と吸入空気圧(Pb)の
各変数のメンバシップ関数をそれぞれ図13(a)、図
13(b)ような三角型であるものとする。なお、メン
バシップ関数は三角型の他、釣り鐘型や台形型等種々の
ものを採用することができる。
【0045】今、例えば、エンジン回転数(Ne)の値
が1000rpm、吸入空気圧(Pb)の値が−300mmH
g であるとする。これらの値より領域判定部12は以
下のようなファジィ推論を行う。図13(a)(b)の
メンバシップ関数より、エンジン回転数(Ne)および
吸入空気圧(Pb)のそれぞれの適合度は以下のように
なる。
【0046】 Ne: S=0.8, M=0.2, B=φ Pb: S=φ, M=1, B=φ これらより、上記ファジィ制御ルールに適合できると考
えられる組み合わせを求めると、上記(α)(β)であ
り、MIN演算により(α)即ち領域F=D4になるこ
との適合度は、S=0.8(Ne)、M=1(Pb)よ
り0.8であり、(β)即ち領域F=D5になることの
適合度は、M=0.2(Ne)、M=1(Pb)より
0.2となる。
【0047】これを図示すると図14のハッチング部分
のようになる。なお、図14は領域Fのファジィ変数の
メンバシップ関数である。そして、MAX演算により、
このハッチング部分の重心Gを求め、この点をエンジン
回転数(Ne)の値が1000rpm、吸入空気圧(P
b)の値が−300mmHgにより表される領域とする。こ
のようにして求められた重心Gから経路変更部13は次
のように経路を選択する。即ち、上記重心Gの位置はD
4の領域からややD5の領域側へずれた位置にあるので、
第2層のD4に対応するニューロンとD5に対応するニュ
ーロンとの構成比率をこの重心の位置に対応させて決め
るようにする。具体的には図15に示すように領域Fの
メンバシップ関数の各領域に対応させて、ニューラルネ
ットワークの第2層の対応するニューロンを並べた時
に、重心位置を中心にした一領域に対応する幅の中に入
るニューロンを選択して、これらのニューロンに向かう
経路のみを選択するようにする。
【0048】なお、ここでは経路変更部13はファジィ
推論の結果に応じて、選択する経路の割合を変えるよう
にしているが、これは、重心に応じて各経路に対する重
み付けを変更するようにしてもよい。例えば、各領域に
対して第2層の1つのニューロンへ向かう経路のみが選
択されるような構成において、ファジィ推論の結果、ニ
ューロンAへ向かうことになる領域が約80%、ニュー
ロンBへ向かうことになる領域が20%であると判定さ
れたとする。この場合にはニューロンAに向かう各経路
に0.8の重み付け係数を積算し、ニューロンBに向か
う各経路に0.2の重み付け係積算するようにする。こ
のようにすれば、ファジィ推論の結果を重み付けによる
経路構成の変更に反映させることが可能となる。
【0049】(実施の形態2)次に、第2の実施の形態
について説明する。図16に本実施の形態に係る空燃比
制御装置の機能ブロック図を示す。この空燃比制御装置
は実施の形態1に係る空燃比制御装置と異なり、オンラ
イン学習が可能な構成としてある。このため、実施の形
態1に係る空燃比制御装置とニューロ演算部1の構成が
異なっている。
【0050】即ち、ニューロ演算部1には、新たな構成
として基準値取得部14、推定データ記録部15、推定
精度判定部16、汎化性判定部17a、再学習部17
c、学習用データ生成部18a、学習用データ蓄積部1
8b、学習実施部18c、ニューラルネットワーク更新
部20、初期結合係数格納部19a、初期状態復帰部1
9bがさらに付加されている。その他の構成は実施の形
態1に係る空燃比制御装置と同様である。
【0051】基準値取得部14は、一つの制御周期にお
いてニューロ推定部11で推定した空燃比(A/FNN)
の値に対する、実際の空燃比(A/Fr)を基準値とし
て取得する部分であり、具体的には状態検出部3の空燃
比センサより検出される検出空燃比値(A/Fk)から
センサの応答遅れ時間分経過したものを実際の空燃比
(A/Fr)、即ち、基準値とする。
【0052】推定データ記録部15は、状態検出部3か
ら検出される入力パラメータと、当該入力パラメータか
ら領域判定部12により判定される領域および、当該入
力パラメータに対応する前記基準値を関連付けて記録し
ていく。推定精度判定部16は、 推定した空燃比(A
/FNN)とこれに対応する基準値とを比較して各領域に
おける推定精度の良否を判定する。具体的には、所定の
精度判定期間内における各領域内における前記推定空燃
比(A/FNN)と、前記基準値との差の絶対値の平均が
所定の設定値以下であれば、その領域の推定精度は良い
と判断し、設定値以上で在れば、その領域の推定精度は
悪いと判定する。ここでは精度判定期間は1時間とし、
また、上記設定値を0.8とする。
【0053】但し、推定された空燃比(A/FNN)の個
数が所定量、例えば10個を越えない場合は推定精度の
判断は行わない。このようにするのは推定精度悪化がセ
ンサノイズ等の一時的な原因に起因する場合は新たな学
習を行わせることは妥当ではないので、このような場合
を排除するためである。なお、精度判定期間は時間間隔
で規定してもニューロ推定部11の推定回数で規定して
もよく、さらには、各領域ごとにデータの個数が所定の
個数、例えば50個に達する期間としてもよい。また、
ここでは推定空燃比(A/FNN)と基準値との差の平均
が所定の設定値以下かどうかを判断したが、差の分散の
値が所定の設定値以下かどうかを判断するようにしても
よい。これらのことは、以下の各期間についても同様で
ある。
【0054】さらに、推定空燃比(A/FNN)と基準値
との差の平均や分散が所定の設定値以下か否かを判断せ
ずに、制御周期ごとに、各領域について推定空燃比(A
/FNN)と基準値との差の絶対値が所定値(例えば、
0.8)以上となるものをカウントしていき、これが所
定時間(例えば、1時間)の間に、所定個数(例えば、
20個)を越えた領域を推定精度が悪い領域と判断し、
越えなかった領域を推定精度が良い領域と判断するよう
にしてもよい。
【0055】学習用データ生成部18aは、推定精度判
定部16によって推定精度が悪いと判定された領域につ
いて、当該領域に対応する入力パラメータと前記基準値
とを前記推定データ記録部15から読み出し、これらを
用いてニューロ推定部11のニューラルネットワーク用
の学習用の入力データと教師用のデータを生成する。学
習用データ蓄積部18bは、生成された学習用データを
領域ごとに記録して蓄積する。
【0056】学習実施部18cは、所定の蓄積期間の間
に学習用データ蓄積部18bに蓄積された学習用データ
を用いて、各領域ごとに対応する結合の仕方をもつ前記
ニューラルネットワークについてニューロ学習を行い新
たな結合係数を得る。具体的には、学習実施部18cは
ニューロ推定部11のニューラルネットワークを実現す
るためのプログラムを呼び出して、これを用いて領域ご
とに経路変更部13によりニューラルネットワークの経
路を変更しながら、各領域に対応する学習データを用い
て変更した経路におけるニューラルネットワークの構成
をバックプロパゲーション法により変えていき新たな結
合係数を得る。これらの学習用データ生成部18a、学
習用データ蓄積部18b、学習実施部18cにより学習
部18が形成される。
【0057】ニューラルネットワーク更新部20は、学
習実施部18cにより新たな結合係数が得られると、こ
の新たな結合係数によりニューロ推定部11のニューラ
ルネットワークを更新する。汎化性判定部17aは、更
新されたニューラルネットワークを用いて推定される推
定空燃比値(A/FNN)と基準値とを比較して、前記各
領域ごとに更新されたニューラルネットワークの汎化性
の良否を判定する。汎化性は、主に、前記学習実施部1
8cが行う学習が過学習となりすぎている場合や、学習
結果が収束すべき値でない極小値(ローカルミニマム)
に陥った場合に悪くなるので、このような場合に対処す
べく汎化性判定部17aにより汎化性の良否を判断する
ものである。
【0058】具体的には、学習が行われた領域における
所定個数の推定空燃比値(A/FNN)と基準値取得部1
4が取得した対応する基準値との差の平均の値が所定の
設定値以下であれば汎化性が良いと判断し、設定値以上
であれば汎化性が悪いと判断する。ここでは所定個数と
してニューラルネットワーク更新部20によりニューラ
ルネットワークが更新されてから100個としてあり、
また、設定値は0.3としてある。
【0059】学習無効部17bは、更新前の結合係数を
記録しておき、汎化性判定部17aにより特定の領域に
ついて汎化性が悪いと判断された場合には、当該領域に
ついて更新された結合係数を以前の値に戻す。初期結合
係数格納部19aは製造段階で設定した当初のニューラ
ルネットワークの結合係数を格納し、初期状態復帰部1
9bは、初期結合係数格納部19aに格納された結合係
数を用いて、ニューロ推定部11のニューラルネットワ
ークを初期状態へ戻す。この初期状態復帰部19bは、
使用者が所定のスイッチを操作することにより起動する
ようにしてある。なお、初期状態復帰部19bの起動
は、劣化による性能の変化が激しい空燃比センサの交換
を行った場合等に所定の信号を発するようにしておき、
この信号により起動するようにすること等も考えられ
る。
【0060】以上の構成を有する空燃比制御装置の動作
について、以下に説明する。空燃比の制御動作について
は実施の形態1に係る空燃比制御装置と同じであるので
ここでは説明を省略し、オンラインによる学習動作につ
いて説明する。なお、以下の実施の形態においても空燃
比の制御制御動作は実施の形態1に係るものと同様であ
る。
【0061】図17に学習動作の1学習サイクルにおけ
る動作を表すフローチャートを示す。まず、基準値取得
部14が1制御周期における実際の空燃比(A/Fr)
を基準値として取得し、推定精度判定部16へ出力す
る。そして、推定精度判定部16はこの制御周期におい
てニューロ推定部11において推定された空燃比(A/
FNN)と、出力された基準値(A/Fr)との偏差を計
算し、この偏差の絶対値を領域判定部12により判定さ
れた領域に対応付けて記録し加算していく。同時に、推
定データ記録部15には当該制御周期におけるニューロ
推定部11の入力パラメータと基準値と領域が対応づけ
られて記録される。
【0062】そして、推定精度判定部16はかかる動作
を1時間繰り返したのち、各領域ごとに記録した偏差の
絶対値の総和から平均を計算して、これを設定値と比較
して、これを越えている領域があるか否かを判断する
(S201)。なお、推定精度判定部16においては、
ここで、再びS201にもどり、以下の処理は平行に行
われる。
【0063】次に、学習用データ生成部18aが、推定
精度判定部16が推定精度が悪いと判定した領域につい
て、推定データ記録部15に記録されている当該入力パ
ラメータと前記基準値を読み出して学習用の入力データ
と教師用データを生成し、学習用データ蓄積部18bに
蓄積する。そして、学習実施部18cがニューロ推定部
11のニューラルネットワークを実現するプログラムを
呼び出して、これを用いて領域に応じて経路変更部13
によりニューラルネットワークの経路を変更し、バック
プロパゲーション法により領域ごとにニューラルネット
ワークにつき新たな結合係数を得る(S202)。
【0064】推定精度が悪いとして抽出されたそれぞれ
領域についての学習が終了して最終的な結合係数が得ら
れると、エンジンがアイドリング状態の時等、空燃比制
御が問題とならない定常時にニューラルネットワーク更
新部20がニューロ推定部11のニューラルネットワー
クを新たな結合係数により更新する(S203)。ニュ
ーラルネットワークが更新されると、汎化性判定部17
aは学習された領域についてニューロ推定部11が推定
した空燃比(A/FNN)と基準値となる空燃比(A/F
r)との差の絶対値を加算していく。そして、一つの領
域について100個の値が加算されると汎化性判定部1
7aは、これらの差の平均値を算出し、この値が所定値
(0.3)以上か否かを判定する(S204)。
【0065】ここで、平均値が所定の値未満であるなら
ば汎化性は良いのでそのまま何もしない。一方、平均値
が所定値以上であれば汎化性が悪いので、ニューラルネ
ットワーク更新部20がニューロ推定部11のニューラ
ルネットワークを更新前の状態に戻す(S205)。以
上の動作を終了すると、ここでは学習用データ蓄積部1
8bのデータをクリアする(S206)。もっとも、学
習用データ蓄積部18bのデータはクリアすることな
く、次回の学習周期に際して、新たな学習用データとと
もに利用してもよく、また、最新の1時間分のデータを
常に残し、残りの古いデータをクリアする等のようにす
ることも考えられる。
【0066】以上のような動作により、製造時に学習し
ていなかった領域における運転状態での走行や、空燃比
センサの劣化等により空燃比の推定精度が悪くなって
も、再学習により推定精度を良い値にすることができ、
さらに、推定精度が悪くなった領域に対応するニューラ
ルネットワークの経路に対して学習が行われるので、そ
れまでに推定精度の良かった領域に対する推定にあまり
影響を与えることがない。
【0067】続いて、初期結合係数格納部19aおよび
初期状態復帰部19bの動作について説明する。まず、
初期状態復帰部19bに対して使用者が所定のスイッチ
を操作して、信号を送る。すると初期状態復帰部19b
は初期結合係数格納部19aに記録されている製造段階
で設定した当初のニューラルネットワークの結合係数に
よりニューラルネットワークをもとの状態にもどす。
【0068】例えば、空燃比センサの劣化により空燃比
の推定値が悪化したことが原因でオンライン学習を行い
ニューロ推定部11のニューラルネットワークの結合係
数が更新されている場合に、空燃比センサを新しいもの
に交換すると更新したニューラルネットワークでは良い
推定値を得ることができない。かかる場合は出荷当初の
結合係数に戻すことが妥当である。そのほかに、オンラ
イン学習の結果、ニューラルネットワークの構成が収拾
がつかなくなったり、自動車の所有者が変更になり、運
転環境が変わった場合などには、出荷当初の結合係数に
戻した方が良い場合がある。このような場合を想定して
初期結合係数格納部19a、初期状態復帰部19bが設
けてある。
【0069】(実施の形態3)実施の形態2では汎化性
判定部17aで汎化性がないと判定された領域につい
て、学習結果を無効にして更新前の結合係数に戻した
が、学習結果をそのまま利用して再学習を行うことも考
えられる。本実施の形態では、更新されたニューラルネ
ットワークをさらに再学習するように構成した空燃比制
御装置を示す。図18にかかる空燃比制御装置の機能ブ
ロック図を示す。
【0070】図18に示す空燃比制御装置の図16に示
す空燃比制御装置との違いは学習無効部17bが再学習
部17cに置き換わっている点であり、他の構成は同様
である。再学習部17cは、前記学習部18に働きかけ
て、汎化性判定部17aで汎化性が悪いと判定された領
域について再学習を行わせる。即ち、学習用データ生成
部18aが汎化性が悪いと判定された領域に対応する入
力パラメータと基準値とを前記推定データ記録部15か
ら読み出して学習データを生成し、学習用データ蓄積部
18bに蓄積し、学習実施部18cが蓄積された学習デ
ータを用いて当該領域に対応する結合に変更したニュー
ラルネットワークにつき再学習を行う。
【0071】なお、ここでは、この再学習においては過
学習や極小値になっている可能性が高いことを鑑みて、
最初の学習の時と条件を変え、例えば学習用データの数
を間引いて再学習を行うようにさせる。もっとも、再学
習におけるデータの採り方は、新たにデータを加える
等、種々のものが採用できることはいうまでもない。か
かる構成の空燃比制御装置のオンライン学習時の1周期
の動作を以下に説明する。図19に、この動作を表すフ
ローチャートを示す。このフローチャートは図17に示
すフローチャートとほぼ同じであるが、図17のフロー
チャートにおけるS205で学習を無効にせずに再学習
を行っている点で異なる。
【0072】推定精度の判定(S201)から汎化性の
判定(S204)までの動作は、実施の形態2に係る空
燃比制御装置と同様なので説明を省略する。S204に
おける汎化性判定部17aによる判定の結果、更新領域
の汎化性が良ければ実施の形態2の場合と同様に学習用
データ蓄積部18bのデータをクリアする(S20
6)。一方、汎化性判定部17aによる判定の結果、更
新領域の汎化性が悪ければ再学習部17cは汎化性の悪
い更新領域について、学習部18に働きかけて再学習を
行わせ、ニューラルネットワークの当該更新領域に対応
する新たな結合係数を取得させる(S305)。
【0073】さらに新たな結合係数が取得されると、S
203にもどり、ニューラルネットワーク更新部20
は、この結合係数をもってニューラルネットワークをさ
らに更新する。以下、更新領域の汎化性が良くなるま
で、S204、S305、S203の動作が繰り返され
る。このような動作により、推定精度を学習により高め
たニューラルネットワークをそのまま用いて、再学習に
よりさらに汎化性を高めることができ、効率良くニュー
ラルネットワークの構成を所望のものに変えていくこと
ができる。
【0074】(実施の形態4)実施の形態2および3に
係る空燃比制御装置では、学習実施部18cによりニュ
ーラルネットワークの新たな結合係数が得られた場合に
は、ニューラルネットワーク更新部20が即座にニュー
ロ推定部11のニューラルネットワークを更新したが、
本実施の形態に係る空燃比制御装置では、更新を行う前
に得られた新たな結合係数が汎化性の良いニューラルネ
ットワークを与えるか否かをまず判断するようにする。
【0075】図20に本実施の形態係る空燃比制御装置
の機能ブロック図を示す。この空燃比制御装置が実施の
形態3に係る空燃比制御装置と異なるのは、汎化性判定
部17aに置き換わって仮汎化性判定部17a*が設け
てあり、ニューラルネットワーク更新部20aの機能が
変更してある点である。仮汎化性判定部17a*は、学
習実施部18cが得た新たな結合係数を仮に置き換えた
仮のニューラルネットワークを用いて推定される推定空
燃比(A/FNN)と基準値とを比較して所定の基準に基
づき、各領域ごとに当該仮のニューラルネットワークの
汎化性の良否を判定する。具体的には、仮汎化性判定部
17a*は、ニューロ推定部11のニューラルネットワ
ークを実現するプログラムを学習実施部18cが得た結
合係数に置き換えたものを仮のニューラルネットワーク
として取得しておき、所定の汎化性判定期間における各
領域ごとの仮のニューラルネットワークが推定した推定
空燃比値(A/FNN)と基準値取得部14が取得した対
応する基準値との差の絶対値の平均の値が所定の設定値
以下であれば汎化性が良いと判断し、設定値以上であれ
ば、汎化性が悪いと判断する。ここでは、実施の形態3
に係る汎化性判定部17aと同様に、所定個数としてニ
ューラルネットワーク更新部20によりニューラルネッ
トワークが更新されてから100個としてあり、また、
設定値は0.3としてある。
【0076】また、再学習部17cは実施の形態3に係
るものとほぼ同様であるが、仮汎化性判定部17a* で
汎化性が悪いと判定された領域について再学習を行わせ
る点で異なる。即ち、再学習部17cは仮汎化性判定部
17a* で汎化性が悪いと判定された領域に対応する入
力パラメータと基準値とを学習用データ生成部18aに
働きかけて前記推定データ記録部15から読み出させて
学習データを生成させ、学習用データ蓄積部18bに蓄
積させた後に、当該学習データを用いて当該領域に対応
する結合に変更したニューラルネットワークにつき再学
習を行わせる。なお、再学習において学習データをある
程度変更するのは実施の形態3と同様である。
【0077】ニューラルネットワーク更新部20aは前
記仮汎化性判定部17a*により汎化性が良いと判定さ
れた場合のみ、前記学習実施部18cにより得られた結
合係数を用いて前記ニューロ推定部11のニューラルネ
ットワークを更新する。かかる構成を有する空燃比制御
装置のオンライン学習の1周期の動作を以下に説明す
る。図21にこの動作を表すフローチャートを示す。こ
のフローチャートに示す動作は図17に示すフローチャ
ートとS201、S202までは同様の動作を行うの
で、説明を省略する。
【0078】S202で学習により新たな結合係数が得
られると、仮汎化性判定部17a*は当該学習係数より
仮のニューラルネットワークを得て、所定の期間、即
ち、新たなデータが100個得られる期間の推定空燃比
(A/FNN)と基準値(A/Fr)との絶対値の平均
が、設定値以下か否かを判断する(S403)。ここ
で、汎化性が良いと判断された領域については、ニュー
ラルネットワーク更新部20aが学習実施部18cで得
られた結合係数を用いて、ニューロ推定部11のニュー
ラルネットワークを更新する(S404)。
【0079】一方、仮汎化性判定部17a* による判定
の結果、仮のニューラルネットワークの汎化性が悪けれ
ば再学習部17cは汎化性の悪い領域について、学習部
18に働きかけて再学習を行わせ、仮のニューラルネッ
トワークの当該領域に対応する新たな結合係数を取得さ
せる(S405)。さらに新たな結合係数が取得される
と、S403にもどり、仮汎化性判定部17a*は当該
学習係数よりさらに新たな仮のニューラルネットワーク
を得て再び汎化性の良否が判断され、汎化性が悪ければ
汎化性が良くなるまで、S405、S403の動作を繰
り返す。そして、汎化性が良いと判断されるとニューラ
ルネットワーク更新部20aが学習実施部18cで得ら
れた結合係数を用いて、ニューロ推定部11のニューラ
ルネットワークを更新する(S404)。以上の動作が
終了すると実施の形態2の場合と同様に学習用データ蓄
積部18bの データをクリアして処理を終了する(S
206)。
【0080】このような動作によって、汎化性の悪い結
果を与える結合係数を用いたニューラルネットワークの
更新は行われないので、誤学習により学習データ以外の
運転状態において急激に空燃比の推定精度が悪化し、ひ
いて制御精度の悪化が生じることを確実に防ぐことがで
き、オンライン学習における安全性を確保することがで
きる。
【0081】また、上記各実施の形態においては制御対
象をエンジンEの空燃比としたが、非線形性の強い、且
つニューロ出力として推定したい状態量に関連するパラ
メータが検出可能である制御対象で有れば上記のニュー
ロ演算部1を使用することができ、さらに、制御装置以
外にも何らかのある複数の入力値から因果関係があるが
解析が困難な出力値を推定するあらゆる装置に使用する
ことも可能である。
【0082】
【発明の効果】以上の説明から、本発明は以下のような
効果を奏する。まず、本発明に係るパラメータ推定装置
には、推定対象パラメータに関連する複数の入力パラメ
ータ値の入力を受け付け、受け付けた入力パラメータ値
からニューラルネットワークにより推定対象パラメータ
値を推定するパラメータ推定装置において、前記ニュー
ラルネットワークが、前記複数の入力パラメータの一部
のパラメータにより表される領域ごとに予め定めてある
ように結合の仕方を変更して学習を行ったものとしてあ
り、領域判定手段が受け付けた前記複数の入力パラメー
タ値のうちの前記一部のパラメータ値から前記領域のい
ずれに属するかを判定し、経路変更手段が領域判定手段
が判定した領域に応じて前記ニューラルネットワークの
結合の仕方を学習したときと同じように変更する。
【0083】このような動作により入力パラメータによ
り表される領域に応じた結合の仕方で推定対象パラメー
タ値が推定されることになる。そして、このように入力
パラメータにより定まる領域ごとに異なる結合構成とし
たニューラルネットワークで、推定対象パラメータ値を
推定するので、ニューラルネットワークの学習の際に領
域ごとの学習が可能となる。
【0084】即ち、学習領域(考えられる制御対象の動
作範囲)を入力パラメータにより分割し、領域に応じ
て、ニューロの入力層から中間層への結合係数のつなが
り方等を変更することにより、一つのニューロ構成の中
に各領域毎に対応した小さなニューロ構成を持たせるこ
とができる。これにより、特定の領域について推定精度
等が悪い場合に、当該領域に対応する結合構成としたニ
ューラルネットワークについてのみ学習を行えばよいの
で、他の領域に対応するニューラルネットワークの結合
構成に及ぶ影響を少なくして、ほぼ領域ごとの学習を行
うことができるようになる。
【0085】従って、精度が良く学習の不要な領域の結
合係数等はほぼ保存されるので、従来の追加学習では精
度が良好であった領域の推定精度が保証できないと言う
問題が解決でき、学習時の試行錯誤を減少させて学習効
率を上げることが可能となるる。更に、精度の悪い領域
のデータだけを用いて再学習すれば足りるので、従来の
ように全てのデータを用いて再学習する必要がなくなっ
て、データ数が少なくして学習時間を大幅に削減するこ
とができるので、このことによっても学習が高速に行え
ることとなる。
【0086】さらに、前記ニューラルネットワークを前
記複数の入力パラメータの一部のパラメータにより表さ
れる領域ごとに、結合の経路を変えて学習を行ったもの
とし、前記経路変更手段が領域判定手段を判定した領域
に応じて前記ニューラルネットワークの結合の経路を選
択するようにすれば、領域ごとに特有のニューロンを経
由するようにする等の構成とすることができ、このよう
にすることで領域ごと固有のニューラルネットワークの
結合の仕方を実現することができる。
【0087】一方、前記ニューラルネットワークを前記
複数の入力パラメータの一部のパラメータにより表され
る領域ごとに、結合経路の重みを変えて学習を行ったも
のとし、前記経路変更手段が領域判定手段が判定した領
域に応じて前記ニューラルネットワークの結合経路の重
みを変更するようにすれば、領域ごとに特有のニューロ
ンを経由する結合経路に大きな重みをつけると共に、他
のニューロンに小さな重みをつける等の構成とすること
ができ、領域ごとに非常に多種類のニューラルネットワ
ークの結合の仕方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る空燃比制御装置の概略を示す
模式図。
【図2】コントロールユニットのハードウエア構成を示
す図。
【図3】実施の形態1に係る空燃比制御装置の機能ブロ
ック図。
【図4】実施の形態に係るニューラルネットワークの概
念図。
【図5】領域の分け方の一例を示す図。
【図6】(a)は経路を変更する経路変更部の一部を模
式的に示す図であり、(b)は経路の重み付けを変える
経路変更部の一部を模式的に示す図。
【図7】経路変更したニューラルネットワークの一例を
示す概念図。
【図8】経路の重み付けを与えたニューラルネットワー
クの一例を示す概念図。
【図9】実施の形態1に係るニューラルネットワークの
学習課程を模式的に示す図。
【図10】実施の形態1に係る空燃比制御装置の制御動
作を示すフローチャート。
【図11】ファジィ推論規則を適用するための領域分け
の一例を示す図。
【図12】ファジィ推論規則を適用するためのニューラ
ルネットワークの構成の一例を示す概念図。
【図13】(a)はエンジン回転数のメンバシップ関数
を示す図であり、(b)は吸入空気圧(Pb)のメンバ
シップ関数を示す図。
【図14】領域のメンバシップ関数を示す図。
【図15】ファジィ推論の結果に応じて経路を選択する
方法の一例を模式的に示す図。
【図16】実施の形態2に係る空燃比制御装置の機能ブ
ロック図。
【図17】実施の形態2に係る空燃比制御装置のオンラ
イン学習の動作を示すフローチャート。
【図18】実施の形態3に係る空燃比制御装置の機能ブ
ロック図。
【図19】実施の形態3に係る空燃比制御装置のオンラ
イン学習時の動作を示すフローチャート。
【図20】実施の形態4に係る空燃比制御装置の機能ブ
ロック図。
【図21】実施の形態4に係る空燃比制御装置のオンラ
イン学習時の動作を示す機能ブロック図。
【図22】従来のニューラルネットワークを用いた空燃
比制御装置の機能ブロック図。
【図23】図22の空燃比制御装置に用いられるニュー
ラルネットワークの概念図。
【図24】従来のニューラルネットワークの学習過程を
模式的に示す図。
【符号の説明】
1 ニューロ演算部 2 燃料噴射量算出部 3 状態検出部 11 ニューロ推定部 12 領域判定部 13 経路変更部 14 基準値取得部 15 推定データ記録部 16 推定精度判定部 17a* 仮汎化性判定部 17a 汎化性判定部 17b 学習無効部 17c 再学習部 18 学習部 18a 学習用データ生成部 18b 学習用データ蓄積部 18c 学習実施部 19a 初期結合係数格納部 19b 初期状態復帰部 20、20a ニューラルネットワーク更新部 E エンジン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 推定対象パラメータに関連する複数の入
    力パラメータ値の入力を受け付け、受け付けた入力パラ
    メータ値からニューラルネットワークにより推定対象パ
    ラメータ値を推定するパラメータ推定装置であって、 前記ニューラルネットワークが、前記複数の入力パラメ
    ータの一部のパラメータにより表される領域ごとに予め
    定めてあるように結合の仕方を変更して学習を行ったも
    のであり、 受け付けた前記複数の入力パラメータ値のうちの前記一
    部のパラメータ値から前記領域のいずれに属するかを判
    定する領域判定手段と、 領域判定手段が判定した領域に応じて前記ニューラルネ
    ットワークの結合の仕方を学習したときと同じように変
    更する経路変更手段と、 を有するパラメータ推定装置。
  2. 【請求項2】 前記ニューラルネットワークが、前記複
    数の入力パラメータの一部のパラメータにより表される
    領域ごとに、結合の経路を変えて学習を行ったものであ
    り、 前記経路変更手段が、領域判定手段が判定した領域に応
    じて前記ニューラルネットワークの結合の経路を選択す
    る請求項1に記載のパラメータ推定装置。
  3. 【請求項3】 前記ニューラルネットワークが、前記複
    数の入力パラメータの一部のパラメータにより表される
    領域ごとに、結合経路の重みを変えて学習を行ったもの
    であり、 前記経路変更手段が、領域判定手段が判定した領域に応
    じて前記ニューラルネットワークの結合経路の重みを変
    更する請求項1〜2のいずれか1項に記載のパラメータ
    推定装置。
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