JPH10176578A - 空燃比制御装置 - Google Patents

空燃比制御装置

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JPH10176578A
JPH10176578A JP9138942A JP13894297A JPH10176578A JP H10176578 A JPH10176578 A JP H10176578A JP 9138942 A JP9138942 A JP 9138942A JP 13894297 A JP13894297 A JP 13894297A JP H10176578 A JPH10176578 A JP H10176578A
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JP
Japan
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air
fuel ratio
fuel
state
control device
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JP9138942A
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English (en)
Inventor
Akira Ishida
明 石田
Masuo Takigawa
益生 瀧川
Tatsuya Nakamura
達矢 中村
Norihiro Fujioka
典宏 藤岡
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1401Introducing closed-loop corrections characterised by the control or regulation method
    • F02D41/1405Neural network control
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/14Introducing closed-loop corrections
    • F02D41/1438Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor
    • F02D41/1444Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases
    • F02D41/1454Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio
    • F02D41/1458Introducing closed-loop corrections using means for determining characteristics of the combustion gases; Sensors therefor characterised by the characteristics of the combustion gases the characteristics being an oxygen content or concentration or the air-fuel ratio with determination means using an estimation

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 極低温時やエンジン始動時であっても、ま
た、空燃比センサの劣化の考慮の必要がない、適切に空
燃比制御を補助できる制御装置を提供することを目的と
する。 【解決手段】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃
料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助す
る空燃比制御装置において、状態検出手段により、エン
ジンの状態を表わす低温時でも検出可能な複数の物理量
を検出し、空燃比推定手段により、状態検出手段で検出
された物理量をパラメータとしてニューラルネットワー
クにより空燃比を推定し、燃料補正量算出手段により、
この推定された空燃比から燃料噴射量の補正量を算出す
るように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃エンジンの燃料噴
射制御方式の制御装置に関し、特に、ニューラルネット
ワークを用いてエンジンの空燃比の制御を補助する制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車台数の増加にともない排気
ガス公害がとみに問題となって来ている。かかる排気ガ
ス公害に対応するために、一般に自動車の排気ガス中に
含まれる有毒ガスであるNOx 、CO、HCを触媒を用
いて低減させるという方法が採られ、例えば代表的な触
媒として三元触媒が使用される。このような触媒は、N
Ox 、CO、HCの複数種類の有害ガスに作用すること
ができる。しかし、各気体ごとに気筒流入空気重量と気
筒流入燃料量との比である空燃比によって発生量が異な
るため空燃比がリーン(薄い)状態のときはNOx が浄
化できず、空燃比がリッチ(濃い)状態のときはCOや
HCが浄化できない。即ち、これらの有害ガスを触媒に
より最も効果的に浄化するためには空燃比を触媒が効果
的に働くことのできる一定値に保つ必要がある。
【0003】このために空燃比を自動車の運転状態にか
かわらず一定に保つ空燃比制御が必要となる。空燃比制
御にはスロットル開度等の変化に応じて、燃料の増量補
正、減量補正等を行うフィードフォワード制御が行われ
ている。また、これとともに空燃比センサである02 セ
ンサやリニア空燃比センサ(以下「LAFセンサ」とい
う)の値等を用いて燃料噴射量の補正量をフィードバッ
クするフィードバック制御も一般的に行われている。こ
れらの制御は、アイドル時や定速走行時などの定常運転
域で特に成果を納めている。
【0004】しかし、実際のエンジンでは、例えばイン
ジェクタより燃料を噴射しても、全ての量が気筒内へ流
入するのではなく一部は吸気管壁面に付着する等の複雑
な挙動をする。この付着量は運転状態(回転数や負荷
(吸入空気圧)等)や外部環境(吸入空気温度や冷却水
温、大気圧等)により複雑に変化し、また付着燃料から
蒸発して気筒内に流入する燃料量も、前記運転状態や外
部環境により変化するというように種々の要因により変
化していく。このため、加減速時などの過渡状態におけ
る空燃比を単純なフィードフォワード制御やフィードバ
ック制御のみで制御するのは現実には非常に困難であ
る。
【0005】そこで、これらの制御の精度を向上させる
ために、例えば特開平3−235723号に開示されて
いるように、上記燃料付着等の非線形要素をニューラル
ネットワークにより学習させ、このニューラルネットワ
ークを用いて燃料噴射量の補正量を過渡時の応答性能の
向上を図るように制御する制御装置が提案されている。
【0006】ニューラルネットワークを用いた空燃比制
御装置の一般的な構成を図50に示す。図50に示す空
燃比制御装置を簡単に説明する。空燃比は図示しない制
御装置のフィードフォワード制御およびフィードバック
制御によって所定の値に保たれており、これにさらに、
過渡時の空燃比を適切に保つために図50に示す空燃比
制御装置が設けられているものとする。
【0007】従来のニューラルネットワークによる空燃
比制御装置はエンジンに対して、エンジンの状態を表す
複数のパラメータ、例えばエンジンの回転数(Ne)、
吸入空気圧(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料
噴射量(Gf)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(T
w)、空燃比(A/F)等を検出する状態検出部210
が設けられている。そして、この状態検出部210によ
り検出された複数のパラメータを入力とし、燃料噴射量
の補正量を出力として学習させたニューラルネットワー
クにより燃料噴射量の補正量(ΔGf)を燃料補正量推
定部220により推定する。この燃料補正量推定部22
0によって推定された補正量(ΔGf)を、図示しない
制御装置が算出した燃料噴射量(Gf)に加えることで
燃料噴射量を補正し、空燃比(A/F)の制御を補助す
る。これにより、過渡状態における複雑なエンジンの挙
動に対しても適正な空燃比の制御が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来提案され
ているニューラルネットワークを用いた空燃比制御系で
はニューラルネットワークの入力項には空燃比(A/
F)のセンサ出力が入力項目に含まれているため、極低
温時やエンジン始動時では空燃比センサが不活性となり
使用することができず、エンジンが暖まるまではニュー
ラルネットワークを用いた補助制御ができないという問
題がある。
【0009】そして、エンジンが暖まった後において
も、空燃比センサの使用年数が長くなると劣化が激しく
なり、ニューラルネットワークの出力値にずれが生じ、
空燃比制御システム全体として不具合が生じる。さら
に、この空燃比制御システムの不具合は、空燃比制御シ
ステムを構成する幾つかの要素の異常や劣化によっても
もたらされる。
【0010】また、ニューラルネットワークによって直
接燃料噴射量の補正量を算出するような構成とすると、
教師データの設定や燃料噴射量の補正量の測定等が困難
であり、学習の際に精度が得られない場合はどこに問題
があるのかをつかみ難く、開発過程に非常に時間と労力
がかかることが予想される。さらに、エンジン始動時に
おいては燃料噴射量を噴き過ぎても、また噴く量が少な
くても失火してしまう。どちらの場合も失火という状況
は同じ為、空燃比センサ出力値は超リーン(薄い)とな
るが、従来のニューラルネットワークを用いた空燃比制
御系ではかかる失火原因の差異を考慮した学習をしてい
ないため制御時に不都合が生じ、また失火を防ぐことも
できず、有害な未燃燃料を排出してしまう恐れも多い。
【0011】また、失火状態を知ることができれば、失
火を防ぐように燃料噴射量の調整ができて、エンジン始
動をスムーズに行えるが、現実にエンジン始動時に於け
る失火状態を検出するには、内圧センサ等を各気筒毎に
つける必要があり、コストアップとなり実現可能性は低
い。一方、自動車の使用者は市販されている複数のガソ
リンの中からいずれか1つを選択して使用するが、選択
されるガソリンの蒸発率等の性状はそれぞれ異なるた
め、この蒸発率等の性状の違いを考慮した空燃比制御す
れば、特に蒸発率の差の大きな低温時において空燃比制
御が適切に行えると考えられる。しかし、現実に自動車
の使用者がどのガソリンを選択するかがわからないた
め、メーカー側では冷間時のエンジンの失火を防ぐ為、
始動時においては一律に最も蒸発率の悪いガソリンの性
状にあわせて燃料噴射量を調整している。このため、通
常は自動車の使用者はより蒸発率の高いガソリンを選択
するため、燃料噴射量が多くなり過ぎ有害な未燃燃料が
放出されるという問題がある。
【0012】また、始動後でもガソリンの蒸発率を特定
種類のガソリン種別に固定してフィードフォワード制御
により燃料噴射量を算出するので、ガソリンの種別が異
なれば適切に空燃比を制御できない。特に、また、低温
域では空燃比センサが働かないのでフィードバック制御
や従来のニューラルネットワークを用いた空燃比制御に
よってはこれを補うことはできない。
【0013】そこで、本発明は、極低温時やエンジン始
動時であっても、また、空燃比センサの劣化の考慮の必
要がない、適切に空燃比制御を補助できる制御装置を提
供することを目的とする。また、本発明は、空燃比制御
システムの構成要素に異常や劣化が生じていても、これ
を容易に検出し、場合に応じて異常や劣化を考慮して適
切な空燃比制御を行うことを目的とする。
【0014】それから、本発明は教師データの設定や測
定の容易な、燃料噴射量の補正量を算出するための物理
量をニューラルネットワークで推定するようにすること
で、学習を容易にし開発過程における時間と労力を削減
することを目的とする。さらに、本発明は、燃料の種別
をニューラルネットワークを用いて推定して、エンジン
の低温時、特にエンジン始動時の燃料噴射量を適切に設
定することで、失火を無くし未燃燃料の放出を防ぐこと
を目的とする。
【0015】そして、本発明は、失火状態を考慮したニ
ューラルネットワークを用いることによってより適正な
空燃比制御を達成するとともに、さらに、失火が発生し
ないようにニューラルネットワークによって燃料噴射量
を制御することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃料
噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助する
空燃比制御装置において、エンジンの状態を表す低温時
でも検出可能な複数の物理量を検出する状態検出手段
と、検出された複数の物理量をパラメータとして入力
し、ニューラルネットワークを用いて空燃比を推定する
空燃比推定手段と、推定された空燃比から燃料噴射量の
補正量を算出する燃料補正量算出手段とを設けたもので
ある。なお、低温時とはここでは空燃比センサが働かな
い温度以下の温度をいい、例えば、現存する空燃比セン
サを基準とすると約50℃以下の温度をいう。また、こ
れらのセンサは0℃以上で作動すれば足りる。燃料噴射
量の補正量の算出には、燃料噴射量に乗算することで補
正量を含んだ燃料噴射量を算出するための補正係数の算
出も含むものとする。
【0017】この空燃比制御装置に、さらに、燃料噴射
量の時系列データを格納する燃料時系列データ格納手段
を設け、前記空燃比推定手段は、入力するパラメータに
燃料噴射量の前記時系列データを含むようにすることが
望ましい。そして、さらに前記空燃比推定手段に入力さ
れる少なくとも1つのパラメータの値が、そのパラメー
タに対して予め設定された範囲内にあるか否かを判定す
るパラメータ範囲判定手段と、予め設定された範囲内に
ないと判定されたパラメータの値を予め設定された値に
置き換えるパラメータ変換手段を設けると効果的であ
る。ここで、前記パラメータに対して予め設定された範
囲は、前記ニューラルネットワークの学習において入力
された、当該パラメータとなる物理量の値の最大値と最
小値とに基づいて決定するのが効果的である。
【0018】また、上記の空燃比制御装置において、さ
らに、エンジンの過渡状態量を検出する過渡状態検出手
段と、検出された過渡状態量に基づいて前記燃料補正量
算出手段で得られた燃料噴射量の補正量を調整する燃料
補正量調整手段とを設けることができる。上記の過渡状
態検出手段は、前記状態検出手段で得られる少なくとも
1つの物理量の変化量に基づいて過渡状態量を検出する
ようにしたり、前記空燃比推定手段によって推定される
空燃比の変化量に基づいて過渡状態量を検出するように
したりすることが可能であり、さらに、空燃比を検出す
る空燃比センサと、前記空燃比センサの出力値の変化量
に基づいて過渡状態量を検出する過渡状態演算手段とよ
り構成してもよい。
【0019】それから、上記空燃比推定手段に用いられ
るニューラルネットワークは、学習過程において空燃比
センサの出力が超リーン状態であって燃料噴射量との整
合性がない場合に空燃比は超リッチ状態であるとする情
報を含む教師データを用いて学習させることが望まし
い。また、上記空燃比制御装置においては、エンジンに
使用されている燃料種別を検出する燃料種別検出手段を
設けて、前記空燃比推定手段が入力するパラメータとし
て、検出された燃料種別の性質に応じた数値を含むよう
にしてもよい。
【0020】さらに、上記課題を解決するために、本発
明は空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃料噴射量を
補正することによって空燃比の制御を補助する空燃比制
御装置において、燃料噴射量と空燃比を含むエンジンの
状態を表す複数の物理量を検出する状態検出手段と、検
出された複数の物理量のうち少なくとも2以上をパラメ
ータとして入力し、ニューラルネットワークを用いて気
筒流入空気重量を推定する流入空気重量推定手段と、状
態検出手段により検出される燃料噴射量および空燃比
と、流入空気重量推定手段によって推定された気筒流入
空気重量とから、燃料噴射量の補正量を算出する燃料補
正量算出手段とを設けたものである。
【0021】また、上記課題を解決するために本発明は
空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃料噴射量を補正
することによって空燃比の制御を補助する空燃比制御装
置において、エンジンの状態を表す低温時でも検出可能
な複数の物理量を検出する状態検出手段と、検出された
複数の物理量をパラメータとして入力し、ニューラルネ
ットワークを用いて空燃比に関連する物理量の変化量を
推定する変化量推定手段と、推定された空燃比に関連す
る物理量の変化量から燃料噴射量の補正量を算出する燃
料補正量算出手段とを設けたものである。なお、空燃比
に関連する物理量とは空燃比の値の増減に影響を与える
物理量をいう。また、変化量は変化率、変化速度をも含
むものである。
【0022】前記変化量推定手段は、検出された複数の
物理量をパラメータとして入力し、ニューラルネットワ
ークを用いて空燃比に関連する物理量を推定し、この物
理量の変化量を算出することで空燃比に関連するパラメ
ータの変化量を推定するよう構成することができ、前記
空燃比に関連する物理量は空燃比そのものとすることが
望ましい。
【0023】さらに、前記変化量推定手段に用いられる
ニューラルネットワークは、やはり学習過程において空
燃比センサの出力が超リーン状態であって燃料噴射量と
の整合性がない場合に空燃比は超リッチ状態であるとす
る情報を含む教師データを用いて学習したものを用いる
ようにすると効果的である。それから、上記課題を解決
するために本発明は空燃比を一定値に保つ制御系と、こ
の制御系に対して燃料噴射量を補正することによって空
燃比の制御を補助する制御系とよりなる空燃比制御シス
テムの異常又は劣化を検出する異常・劣化検出装置にお
いて、エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複数
の物理量を検出する状態検出手段と、検出された複数の
物理量をパラメータとして入力し、ニューラルネットワ
ークを用いて空燃比を推定する空燃比推定手段と、空燃
比を検出する空燃比センサと、前記空燃比推定手段によ
り推定された空燃比と、前記空燃比センサにより検出さ
れた空燃比を比較することにより、空燃比センサの動特
性変化を検出するセンサ特性判定手段とを設けたもので
ある。
【0024】前記センサ特性判定手段は、前記空燃比推
定手段により推定された空燃比の時間変化および前記空
燃比センサにより検出された空燃比の時間変化を微分演
算することにより それぞれの極値を求め、このそれぞ
れの極値の時刻及び値を比較することにより、前記空燃
比センサの動特性変化として空燃比センサの位相遅れお
よびゲイン変化を求めるよう構成することができ、ま
た、前記状態検出手段より検出された少なくとも1つ物
理量、前記空燃比推定手段により推定された空燃比、前
記空燃比センサにより検出された空燃比をパラメータと
して入力し、ニューラルネットワークを用いて前記空燃
比センサの動特性変化を推定するように構成することも
できる。
【0025】そして、上記課題を解決するために、上記
異常・劣化検出装置において、前記空燃比推定手段に、
排気管内における触媒より前の空燃比を推定させ、前記
空燃比センサに、排気管内における触媒より後の空燃比
を検出させ、前記センサ特性判定手段を、前記空燃比推
定手段により推定された空燃比と、前記空燃比センサに
より検出された空燃比を比較することにより触媒の劣化
を検出する触媒劣化検出手段に置換するような構成を採
用してもよい。
【0026】それから、上記課題を解決するために空燃
比を一定値に保つ制御系に対して燃料噴射量を補正する
ことによって空燃比の制御を補助する空燃比制御装置に
おいて、エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複
数の物理量を検出する状態検出手段と、空燃比を検出す
る空燃比センサと、エンジンの状態を表わす物理量を検
出し、この物理量に基づいて、エンジンが所定の運転状
態にあるかどうかを判定する運転状態判定手段と、エン
ジンが所定の運転状態であると判定された場合に、前記
状態検出手段により検出された少なくとも1つの物理量
を変更し、その物理量の変更時刻から前記空燃比センサ
が検出する空燃比が変動するまでの応答時間を計測して
記憶する応答時間検出手段と、検出された複数の物理量
と、記憶された応答時間をパラメータとして入力し、ニ
ューラルネットワークを用いて空燃比を推定する空燃比
推定手段と、推定された空燃比から燃料噴射量の補正量
を算出する燃料補正量算出手段とを設けたものである。
【0027】そして、上記空燃比推定手段に用いられる
ニューラルネットワークは、劣化しているセンサを用い
て得られた学習データに対して、劣化の無い空燃比セン
サの出力値を教師信号としてニューロ学習を行ったもの
とするのがよい。さらに、上記課題を解決するために本
発明は空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃料噴射量
を補正することによって空燃比の制御を補助する空燃比
制御装置において、エンジンの状態を表す複数の物理量
を検出する状態検出手段と、検出された複数の物理量を
パラメータとして入力し、ニューラルネットワークを用
いて燃料の種別を判定する燃料種別判定手段と、エンジ
ンの状態を表わす物理量を検出し、この物理量に基づい
てエンジンが所定の状態にあるかどうかを判定する運転
状態判定手段と、エンジンが所定の状態にある場合に、
前記燃料種別判別手段により判別された燃料種別に基づ
き燃料噴射量の補正量を算出する燃料補正量算出手段と
を設けたものである。
【0028】この場合において、前記状態検出手段は、
エンジンの状態を表わす物理量の一つとして、点火プラ
グへの通電からエンジン内の混合気が完全爆発するまで
のクランク数を検出し、前記運転状態判定手段は、エン
ジンの状態を表わす物理量として、点火プラグへの通電
を検出し、この物理量に基づいてエンジンが始動状態に
あるか否かを判定するようにすることができる。また、
前記状態検出手段が、エンジンの状態を表わす前記物理
量として、エンジンのバッテリー電圧を検出するように
すると好適である。
【0029】また、前記運転状態判定手段に、エンジン
の状態を表わす前記物理量としてエンジンの温度を検出
するエンジン温度検出部と、エンジンの温度が第1の設
定温度以下にある状態であるか否かを判定するエンジン
温度判定部とを有し、前記燃料補正量算出手段は、前記
エンジン温度検出部により検出されたエンジンの温度も
加味して燃料噴射量の補正量を算出するようにしてもよ
い。
【0030】さらに、この空燃比制御装置には、エンジ
ンの温度が定められた第2の設定温度以下の時のみ前記
燃料種別判別手段による判別を許可する判別許可部を設
けることが望ましい。そして、この空燃比制御装置には
前記燃料種別判定手段により判定される燃料種別を更新
される度に記憶する燃料種別記憶手段を設け、前記燃料
補正量算出手段はエンジンの始動時点において前記燃料
種別記憶手段に記憶された燃料種別に基づいて、燃料噴
射量の補正量を算出することとすると効果的である。
【0031】それから、前記状態検出手段を、少なくと
も燃料噴射量と空燃比を物理量として検出するように
し、前記燃料種別判定手段を検出された複数の物理量を
パラメータとして入力し、気筒流入空気重量をニューラ
ルネットワークにより推定する流入空気重量推定部と、
状態検出手段により検出された燃料噴射量および空燃比
と、流入空気重量推定部により推定された気筒流入空気
重量とより燃料の蒸発率または燃料の付着率もしくはこ
の両方を算出する燃料特性算出部と、上記燃料算出部に
より算出された燃料の蒸発率または燃料の付着率もしく
はこの両方から燃料の種別を判別する種別判別部とで構
成するようにすることができる。
【0032】この場合、前記燃料特性算出部に燃料の蒸
発率および燃料の付着率の両方を算出するようにさせ、
さらに、算出した燃料の蒸発率および燃料の付着率を順
次記憶していく算出値記憶部を設けて、前記種別判別部
に算出値記憶部で記憶された複数の燃料の蒸発率および
燃料の付着率から燃料の種別を判別するようにするのが
望ましい。
【0033】さらに、前記燃料種別判定手段を、基準と
なる種別の燃料を用いてエンジンを作動させた場合の前
記状態検出部により検出された物理量をパラメータとし
て入力して学習したニューラルネットワークを用いて、
前記状態検出部により検出された物理量をパラメータと
して入力し空燃比を推定する空燃比推定部と、空燃比を
検出する空燃比センサと、前記空燃比推定部により推定
された空燃比と、前記空燃比センサにより検出された空
燃比を用いて燃料種別を推定する燃料種別推定部とによ
り構成することができる。
【0034】また、上記課題を解決するために本発明に
係る振動補正制御装置は、入力するパラメータが制御対
象に振動成分を加える要因となる制御系において、振動
成分を補正する制御装置であって、制御対象の収束度合
を、制御対象に関連する物理量をパラメータとして入力
しニューラルネットワークにより推定する収束度合推定
手段と、推定された収束度合を用いて、制御対象が早く
収束するように入力するパラメータの補正量を算出する
補正量算出手段とを有するものである。
【0035】かかる振動補正制御装置は、空燃比を一定
値に保つ制御系に対して燃料噴射量を補正することによ
って空燃比の制御を補助する空燃比制御装置において、
エンジンの状態を表す複数の物理量を検出する状態検出
手段と、検出された複数の物理量をパラメータとして入
力しニューラルネットワークを用いて、エンジンの失火
度合を推定する失火度合推定手段と、失火度合推定手段
で得られた失火度合から燃料噴射量の補正量を算出する
燃料補正量算出手段とを設けたものにより具体化でき
る。
【0036】この空燃比制御装置においては、さらに、
状態検出手段により検出された複数の物理量の少なくと
も一つから、エンジンが始動状態であるか否かを判断す
る始動状態判断手段と、始動状態判断手段によりエンジ
ンが始動状態であると判断された場合にのみ燃料補正量
算出手段に燃料噴射量の補正量の算出を許可する燃料補
正量算出許可手段とを設けると好適である。
【0037】また、上記失火度合推定手段で用いられる
ニューラルネットワークは、学習過程において、エンジ
ンが始動状態から定常状態になるまでの間に、空燃比セ
ンサ出力の変化率が負の時は失火度合を0とする情報を
含む教師データを用いて学習したものとすることが望ま
しい。
【0038】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1に本願発明に係る空燃比制御装置
を含む制御装置の構成の概略を示す模式図を示す。図1
に示す制御装置では、スロットル開度センサl、吸入空
気圧センサm、吸入空気温センサn、冷却水温センサ
o、クランク角センサpおよび空燃比センサq、場合に
応じてバッテリー電圧計vの出力がエンジンコントロー
ルユニットCの入力とされ、この入力値からエンジンコ
ントロールユニットCが空燃比(A/F)を所定の値に
保つような燃料噴射量(Gf)を算出してインジェクタ
Iへ出力する。そして、インジェクタIは算出された燃
料噴射量(Gf)だけエンジン内に燃料を噴射する。但
し、空燃比センサqの出力は冷間時には使用されない。
【0039】エンジンコントロールユニットCのハード
ウエア構成図を図2に示す。図2に示すようにエンジン
コントロールユニットCは、演算処理を行うCPU20
1、制御プログラム、各種マップ、ニューラルネットワ
ークのウエイト値、閾値、トランスファ関数等を格納し
たROM202、演算処理時の数値記憶等に用いるRA
M203、A/D変換部3、D/A変換部204により
構成される。
【0040】また、図3にこのハードウエア構成を用い
て実現されるエンジンコントロールユニットCの機能ブ
ロック図を示す。図に示すように、エンジンコントロー
ルユニットCは主に基本燃料噴射量演算部1と空燃比補
助制御演算部2によって構成される。基本燃料噴射量演
算部1は各種センサーからA/D変換部3を介してデジ
タル量に変換された各入力値からマップを用いたフィー
ドフォワード制御により、また空燃比センサqが使用で
きる温度域においてはフィードバック制御をも加味して
基本燃料噴射量(Gfb)を公知の手法によって算出す
る部分である。通常定常時にはこの基本燃料噴射量演算
部1のみで空燃比(A/F)の値は所定の一定値に保た
れる。
【0041】空燃比補助制御演算部2はこの基本燃料噴
射量演算部1により算出された基本燃料噴射量(Gf
b)の過渡時等における補正量(ΔGf)を算出する部
分であり、各種センサーからの入力値および前回の制御
周期において基本燃料噴射量演算部1により算出された
基本燃料噴射量(Gfb)と空燃比補助制御演算部2に
よって算出された補正量(ΔGf)との和である前回の
制御周期における実際の燃料噴射量(Gf)からニュー
ラルネットワークを用いて燃料噴射量(Gf)の補正量
(ΔGf)を算出する。この空燃比補助制御演算部2が
本発明に係る空燃比制御装置の主要部分を構成する。
【0042】なお、ここでは常に空燃比センサqの入力
のなしに燃料噴射量の補正量(ΔGf)をニューラルネ
ットワークを用いて算出するようにしているが、空燃比
センサの働かない低温時には空燃比センサqの入力は用
いず、空燃比センサqの働く高温時には空燃比センサq
の入力を用いるようにし、これに応じてニューラルネッ
トワークの構成も切り替えるようにしてもよい。
【0043】以上の構成を有する全体の制御動作を簡単
に説明しておくと、まず、自動車の運転状態において、
各種センサーl〜p、温度が高い領域ではさらにセンサ
ーqがそれぞれエンジンEの状態量を検知し、この検知
された状態量がA/D変換部3によって変換されて、基
本燃料噴射量演算部1に入力され基本噴射燃料(Gf
b)が算出される。一方前回以前の制御周期で算出され
た実際の燃料補正量(Gf)の時系列データがRAMの
中に構成された時系列データ格納部4に記憶されてお
り、この時系列データ格納部4に記憶された燃料補正量
(Gf)とA/D変換部3によって変換された各種エン
ジン状態量が空燃比補助制御演算部2に入力され燃料噴
射量の補正量(ΔGf)が算出される。そして、それぞ
れ算出された基本燃料噴射量(Gfb)と補正量(ΔG
f)が足し合わされて、実際の燃料噴射量(Gf)が算
出され、エンジンEのインジェクタIより算出された量
の燃料が噴射される。なお、ここでは、時系列データ格
納部4には燃料噴射量(Gf)の時系列データのみを記
憶したが、さらに、各種センサの検出値の時系列データ
も記憶するようにしてもよい。
【0044】図4に実施の形態1に係る空燃比制御装置
の構成を表す機能ブロック図を示す。この空燃比制御装
置は状態検出部10、空燃比推定部20、燃料補正量算
出部30とにより構成される。図3の構成では空燃比補
助制御演算部2は空燃比推定部20および燃料補正量算
出部30を構成し、各種センサ、A/D変換部3、時系
列データ格納部4が状態検出部10を構成する。なお、
以下の各実施の形態に係る空燃比制御装置も実施の形態
1と同様に図1〜3に示す制御装置の一部である。
【0045】状態検出部10はエンジンEの状態を表す
低温時でも検出可能な複数の物理量を検出する部分であ
る。ここでは物理量として上述したセンサ出力から検知
できるエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、
スロットル開度(THL)、燃料噴射量(Gf)、吸入
空気温(Ta)、冷却水温(Tw)を検出するものと
し、状態検出部10はこれらの物理量を検出する上記各
種センサやセンサの値を用いて上記物理量に対し所定の
演算を行うCPU201、前回以前の制御周期における
燃料噴射量を記憶しているRAM203等により構成さ
れる。なお、この複数の物理量はこれらに限られるもの
ではなく、さらに多くの物理量を検出するようにしても
よいのは当然である。
【0046】空燃比推定部20は状態検出部10によっ
て検出された上記物理量をパラメータとして入力し、空
燃比を以下に詳述するニューラルネットワークを用いて
推定する部分である。空燃比推定部20に用いられるニ
ューラルネットワークの学習過程を図5を用いて説明す
る。図5はエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(P
b)、スロットル開度(THL)、燃料噴射量(G
f)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)を入力項
として、空燃比(A/F)を推定するニューラルネット
ワークの学習過程を示す模式図である。学習データ採取
のために自動車に各気筒の排気弁直後または排気管集合
部に空燃比(A/F)を検出する空燃比センサ10a
(LAFセンサ)を設けてあり、また入力パラメータを
採取するためにエンジンEに図4と同じ状態検出部10
を設けている。そして、実際に自動車を運転し学習用の
データを採取する。この際、空燃比センサ10aは最初
に暖めておき、エンジン自体が低温状態であっても、空
燃比を検出できるようにしておく。この採取した空燃比
(A/F)と、各パラメータをニューラルネットワーク
に入力して、出力として推定された空燃比(A/FNN)
との偏差eを検出し、この偏差eをある許容値以内、例
えば空燃比換算で平均0.1以下となるようにニューラ
ルネットワークの構成を変えていく。なお、この際、空
燃比センサ10aの検出遅れ等を考慮して入力データに
対して比較する教師データを時間的に遅いものを用いて
適切なフィードフォワード制御ができるようにしてい
る。また、各パラメータの過去のデータも入力項に加え
るようにしても良く、この場合には、時系列データ格納
部4に加えたパラメータの時系列データを記憶させるよ
うすればよい。
【0047】偏差eによるニューラルネットワークの構
成の変更は、バックプロパゲ−ション法を用い、各入力
パラメータをトランスファ−関数によって変換し、これ
に乗算されるウエイト値の値および各処理ユニットでの
閾値の値を偏差eに従って所定の手法で変換して行くこ
とにより行う。また、ここでは、トランスファー関数と
して、正接シグモイド関数(f(x)=tanh
(x))が用いられる。なお、ニューラルネットワーク
は各パラメータから空燃比等の求める値が得られるなら
ば種々の形式のものが採用できる。また、以下の実施の
形態に示されるニューラルネットワークの学習において
も同様の手法が採用される。このような学習の結果ニュ
ーラルネットワークは上記パラメータを入力としてスロ
ットルが変化する過渡状態において、空燃比(A/F)
を予測推定することができるようになる。
【0048】燃料補正量算出部30は、上記のようにし
て学習したニューラルネットワークを有する空燃比推定
部20で推定された空燃比(A/F)から燃料噴射量の
補正量(ΔGf)を算出する。具体的には、空燃比(A
/F)と燃料噴射量の補正量(ΔGf)の関係をP(比
例)関係、PI(比例、微分)関係等と近似して、
【0049】
【数1】
【0050】又は
【0051】
【数2】
【0052】等と設定して与えた式によって計算する。
なお、K1 およびK2は実験等によって導きだした定数
である。以上の構成を有する空燃比制御装置の動作を以
下に説明する。今、自動車が走行中であるものとする。
まず、状態検出部10がエンジン回転数(Ne)、吸入
空気圧(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料噴射
量(Gf)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)を
検出する。次に空燃比推定部20がこの検出された複数
の物理量を入力パラメータとしてニューラルネットワー
クにより空燃比(A/F)を推定し出力する。推定され
た空燃比(A/F)を用いて燃料補正量算出部30は燃
料噴射量の補正量(ΔGf)を算出する。算出された燃
料噴射量の補正量(ΔGf)と、前述した基本燃料噴射
量演算部1により算出された(Gfb)とが足し合わさ
れることによって実際の燃料噴射量(Gf)が算出さ
れ、インジェクタIへと出力されて、この量の燃料がエ
ンジンEへと噴射される。
【0053】図6(a)に、Ne=2000rpm、軸トルク
変化が5kgmから10kgmとなるようにスロットル開度を急
開・急閉した場合O2 センサを用いたフィードバック制
御による制御結果を示す。また、図6(b)に同様の条
件による、本実施の形態に係る空燃比制御装置を用いた
制御結果を示す。図6(a)、図6(b)を比較する
と、図6(b)の制御結果の方が変動が小さく、空燃比
推定値の検出値の入力がなくても、過渡時においても空
燃比が一定の変動の範囲内に抑えられていることがわか
る。
【0054】このような構成の空燃比制御装置によれ
ば、ニューラルネットワークの入力項に、エンジンが低
温状態では働かない空燃比センサの出力値を含まないの
で、エンジンが低温状態にある始動時等においてもニュ
ーラルネットワークを用いた適切なフィードフォワード
制御を行うことができる。また、空燃比センサが使用年
数とともに劣化することを考慮する必要もなくなる。
【0055】ところで、空燃比推定部20に用いられる
ニューラルネットワークの学習においてはエンジンの失
火状態を考慮に入れて学習するようにすることが望まし
い。即ち、運転時、特にエンジン始動時において、イン
ジェクタからの燃料を噴きすぎて空燃比が超リッチの状
態のときでも、また燃料を噴く量が少なくて空燃比が超
リーンの状態のときでもエンジンは失火してしまう。ど
ちらの場合も失火という状況は同じ為、各気筒の排気弁
直後または排気管集合部に設けてある空燃比センサは気
筒流入空気をそのまま検知することになるので、空燃比
センサ出力値は共に超リーンとなる。このように空燃比
が超リッチであるにもかかわらず、空燃比センサが空燃
比を超リーンと検出したデータを用いてニューラルネッ
トワークの学習を行わせると空燃比が超リッチの場合に
さらに燃料噴射量を増加させるように制御されることに
なり不都合が生じる。そこで、かかる失火状態を失火の
原因を考慮してニューラルネットワークによって学習さ
せればかかる不都合をなくすことができる。
【0056】エンジンの失火を考慮したニューラルネッ
トワークの学習について以下に説明する。図7にエンジ
ンの失火を考慮したニューラルネットワークの学習過程
を模式的に表した図を示す。図7は図5に対してさらに
失火判断部10bがある点で相違する。失火判断部10
bは空燃比センサ10aによって検出された空燃比(A
/N)と燃料噴射量(Gf)を比較し、空燃比(A/
N)が超リーンであって燃料噴射量(Gf)が相当量噴
射されている場合は整合性がとれていないので、このよ
うな場合は空燃比(A/F)が超リッチであると判断す
るようにする。
【0057】具体的には、例えば始動時において失火が
生じると、空燃比は一律に減少するはずであるが、空燃
比センサが検知する空燃比(A/F)の変化が失火が生
じたところで図8に示すように空燃比センサが限界値に
達して、変化が一定に推移している区間Xが生じる。燃
料噴射量(Gf)がある程度あるにもか変わらずこのよ
うな区間Xが生じていれば、空燃比センサ出力と燃料噴
射量との間に整合性がないので、この区間Xでは失火が
生じていたことがわかる。従って、自動車を運転し学習
用のデータを採取した後、このような区間Xにおける空
燃比(A/F)の値を所定の超リッチな値例えば10程
度に変更してニューラルネットワークの学習を行わせ
る。これにより空燃比が超リッチにもかかわらず空燃比
センサが超リーンと検出した場合でも、この過誤を修正
して学習を適切に行わせることが可能となる。
【0058】また、燃料噴射量が単調に増加している場
合例えば自動車の始動時に、失火が生じると図9に示す
よに空燃比センサが検出する空燃比の変化が単調減少に
ならず増加する区間Yが現れる。従って、上記のように
空燃比センサ出力が一定に推移している区間Xを検出す
るのではなくて、空燃比センサ出力の変化が燃料噴射が
単調増加であるにもかかわらず増加している区間Yを検
出することで失火状態を検知することも可能である。こ
の場合は自動車を運転し学習用のデータを採取した後、
区間Yの部分における空燃比を超リッチな値に変更して
ニューラルネットワークの学習を行わせる。この際に変
更する超リッチな値は、区間Yにおける空燃比(A/
F)の増加率および燃料噴射量(Gf)の増加率を勘案
して算出することが望ましい。
【0059】なお、このような、失火状態を考慮してニ
ューラルネットワークに学習を行わせる方法は以下に説
明する各実施の形態においても適宜適用することができ
る。また、ここでは失火状態を知るために燃料噴射量
(Gf)やその変化率を考慮したが、これは実際の気筒
内流入燃料量に関する量であれば足り、スロットル開度
(THL)等でもよい。
【0060】(実施の形態2)通常、ニューラルネット
ワークでは学習データの範囲内のパラメータが入力され
た場合には良好な推定精度を与えることを保証するが、
学習データの範囲外となるパラメータが入力された場合
には、推定精度は全く保証されず、推定値が大幅にずれ
ることがある。従って、実施の形態1に示した空燃比制
御装置においても、学習データの範囲外のパラメータが
入力された場合には、的確な制御ができなくなることが
ある。
【0061】例えば実施の形態1の空燃比制御装置では
ニューラルネットワークの入力パラメータである吸入空
気温(Ta)に対して、学習データ範囲は−30度から
60度まで与えている。これは、この範囲外において吸
入空気温度(Ta)が変化することによる空燃比の変化
度合は小さく、かつ、この範囲外となる頻度も少ないた
め学習データの範囲を前記−30度から60に設定すれ
ばほぼ足りるのでこの範囲で学習を行っているものであ
る。この場合、もしTa=70度のデータが入って来る
と学習範囲外であるため、このままでは空燃比推定値に
オフセット的なズレが生じる。
【0062】実施の形態2に係る空燃比制御装置が係る
問題に対応する手段を備えたものである。図10に実施
の形態2に係る空燃比制御装置の構成を示す機能ブロッ
ク図を示す。この空燃比制御装置が実施の形態1に係る
空燃比装置と異なるのは、パラメータ範囲判定部40
a、パラメータ変換部40bが設けてある点である。パ
ラメータ範囲判定部40aは、状態検出部10により検
出されたパラメータの値が、各パラメータに対して予め
設定された範囲内にあるか否かを判定する部分である。
ここで、パラメータに対して予め設定されている範囲と
して、空燃比推定部20のニューラルネットワークの学
習時に用いた各パラメータの最少値から最大値までの範
囲を用いている。
【0063】パラメータ変換部40bは、前記パラメー
タ範囲判定部40aが、予め設定された範囲内にないと
判定したパラメータの値を予め設定された値に置き換え
る。具体的には、パラメータの値が学習データの最大値
を越える場合には、学習データの最大値にパラメータの
値を置き換え、パラメータの値が学習データを下回る場
合には、その範囲の最少値にパラメータの値を置き換え
る。
【0064】このような構成の空燃比制御装置の動作を
以下に説明する。図11に、この空燃比制御装置の動作
を表わすフローチャートを示す。まず、状態検出部10
が各物理量を検出する(S101)。次に、パラメータ
範囲判定部40aが検出された物理量により与えられる
各パラメータの値が設定範囲内にあるか否かを判断する
(S102)。ここで、設定範囲内にないパラメータが
あれば、パラメータ変換部40bが、このパラメータの
値を定められた値へ変換し(S103)、空燃比推定部
20へ入力する。また、設定範囲内のパラメータはその
まま、変換せずに空燃比推定部20へ入力する。そし
て、これらの入力に基づいて空燃比推定部20は空燃比
を推定し、燃料補正量算出部30が燃料補正量(ΔG
f)を算出する。
【0065】図12(a)、図12(b)に、このよう
なパラメータの値の変換を行わなかった場合と、行った
場合の制御の実験例を示す。ここでは、変換するパラメ
ータとして吸入空気温度(Ta)を用いている。図12
(a)の上のグラフは、実際の空燃比A/F(点線)
と、吸入空気温度(Ta)の実データが学習範囲外の値
となった場合にも変換を行わなかった場合の推定空燃比
A/Fnn(実線)のグラフである。図12(a)の下の
グラフは、吸入空気温度(Ta)の実データのグラフで
ある。図12(b)の上のグラフは、実際の空燃比A/
F(点線)と、吸入空気温度(Ta)の実データが学習
範囲外の値となった場合に変換を行った場合の推定空燃
比A/Fnn(実線)のグラフである。図12(b)の下
のグラフは、吸入空気温度(Ta)の実データ(点線)
及び変換後の値(実線)のグラフである。これらの各グ
ラフを観察すると、図12(a)の上のグラフは、実空
燃比A/Fと推定空燃比A/Fnnとの間にズレが生じて
いる。一方、図12(b)の上のグラフは、ニューロの
入力項への吸入空気温度(Ta)の値を学習範囲データ
(図中実線)に置き換えることにより、実空燃比A/F
と推定空燃比A/Fnnとの間にバイアスはほとんど存在
しなくなっている。このように、本実施の形態に係る空
燃比制御装置では、入力項データが例え学習範囲外とな
っても大きく推定精度が劣化することを防ぐことが可能
であることが確認できた。
【0066】以上のように、本実施の形態に係る空燃比
制御装置では、空燃比推定部20のニューラルネットワ
ークの学習データの範囲内、即ち内挿となるパラメータ
が入力された場合だけでなく、学習データの範囲外、即
ち外挿となるパラメータに対しても良好な推定精度を得
ることが可能となる。 (実施の形態3)上記実施の形態では、ニューラルネッ
トワークの入力項から低温時には働かない空燃比センサ
の出力を省いたものを用いて空燃比(A/F)を推定し
て、これを用いて燃料噴射量の補正量を制御するもので
あるが、空燃比センサの出力を省くと場合によっては適
切な空燃比の推定ができない場合がある。
【0067】このことを示す実験例を図13(a)、図
13(b)に示す。図13(a)は図14(a)に示す
ような空燃比(A/F)を入力項に持つ空燃比(A/
F)を推定するニューラルネットワークについての、学
習用の教師データと実際の出力値とを示す図である。な
お、この入力される空燃比(A/F)は前回の制御周期
において検出もしくは算出されたものである。図13
(b)は図14(b)に示すような空燃比(A/F)を
入力項に持たない空燃比(A/F)を推定するニューラ
ルネットワークについての学習用の教師データと実際の
出力値を示している。図13(a)に示すように空燃比
(A/F)を入力項に持つ場合は教師データと実際の出
力値はほぼ一致しており、一方、図13(b)に示すよ
うに空燃比(A/F)を入力項に持たない場合は教師デ
ータと実際の出力値は一致せず、教師データに対してニ
ューラルネットワークによる実際の出力値は定常時も含
めて全般的に下方へずれており、低い値が出力されるこ
とがわかる(このずれを以下「定常時のバイアス」とい
う)。この定常時のバイアスの発生する直接の理由はわ
からないが、この定常時のバイアスは常に発生するわけ
ではなく、何等かの条件がそろった時に発生するものと
思われる。しかし、過渡時における変動方向は正しく推
定されているので、過渡時においては、これをこのまま
用いることも可能であると考えられる。
【0068】実施の形態3の空燃比制御装置は、かかる
定常時のバイアスに対処する手段を有するものである。
図15に実施の形態3に係る空燃比制御装置の構成を表
す機能ブロック図を示す。実施の形態3に係る空燃比制
御装置は状態検出部10、空燃比推定部20、燃料補正
量算出部30、過渡状態検出部50、燃料補正量調整部
60により構成される。この空燃比制御装置が実施の形
態1の空燃比制御装置と異なるのは、過渡状態検出部5
0および燃料補正量調整部60が設けてある点である。
【0069】過渡状態検出部50はエンジンEの過渡状
態量を検出する部分である。具体的には過渡状態検出部
50は、状態検出部10で得られる物理量であるスロッ
トル開度(THL)やエンジン回転数(Ne)が入力さ
れ、各値の制御周期毎の差分値の絶対値|ΔTHL|や
|ΔNe|の値を所定の設定値と比較して、設定値より
も小さければ変化率が少ないと考えられるので定常状態
と判断し、過渡状態量として0を出力し、設定値よりも
大きければ定常状態と判断し、過渡状態量として1を出
力する。
【0070】また他の方法として設定値をA、B(0<
A<B)の2つ設け、例えばスロットル開度が入力され
るとすると、|ΔTHL|≦Aならば変化率が少ないと
考えられるので過渡状態量として0を出力し、B≦|Δ
THL|ならば変化率が大きいと考えられるので過渡状
態量として1を出力する。そして、A≦|ΔTHL|≦
Bの場合は変化率が過渡と定常の間程度であると考えら
れるので、例えば、
【0071】
【数3】
【0072】によって与えられる0から1の間の値を過
渡状態量として出力する。さらに、他の方法として状態
検出部10で得られるスロットル開度(THL)やエン
ジン回転数(Ne)の値を入力値として、これをハイパ
スフィルターに通すようにしてもよい。スロットル開度
(THL)やエンジン回転数(Ne)が定常状態で変化
率が小さい場合、即ち周波数が低い場合にはハイパスフ
ィルターの値は0となる。一方、過渡状態で変化率の大
きい場合、即ち周波数が高い場合にはハイパスフィルタ
ーは変化率の大きさに応じた値を出力する。従って、ゲ
インの絶対値を0から1に正規化した値を過渡状態量と
して出力するようにしてもよい。
【0073】燃料補正量調整部60は過渡状態検出部5
0により検出された過渡状態量に基づいて燃料補正量算
出部30によって得られた燃料噴射量の補正量(ΔG
f)を調整する部分であり、具体的には得られた燃料噴
射量の補正量(ΔGf)に検出された過渡状態量を掛け
る。即ち、過渡状態量は上述したように0から1の値を
とり、明確な過渡状態の場合は1が掛かることになるの
で燃料噴射量の補正量(ΔGfo )の噴射量はそのまま
であり、明確な定常状態の場合は0が掛かることになる
ので燃料噴射量の補正量(ΔGfo )は0となる。
【0074】以上の構成を有する空燃比制御装置の動作
を以下に説明する。今、自動車が運転状態にあるものと
する。まず、制御周期ごとに状態検出部10が低温でも
検出可能な物理量であるエンジン回転数(Ne)、吸入
空気圧(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料噴射
量(Gf)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)を
検出する。検出された物理量は空燃比推定部20のニュ
ーラルネットワークにパラメータとして入力され空燃比
が推定される。そして、この推定された空燃比から燃料
補正量算出部30が燃料噴射量の補正量(ΔGf) を
算出して燃料補正量調整部60へと出力する。一方、状
態検出部10に検出された物理量の内、スロットル開度
(THL)が過渡状態検出部50に入力される。過渡状
態検出部50はこのスロットル開度(THL)と一つ前
の制御周期において入力されたスロットル開度(TH
L)との差から上述したように0〜1の間の値である過
渡状態量を算出し燃料補正量調整部60へ出力する。燃
料補正量調整部60では入力された燃料噴射量の補正量
(ΔGf)と過渡状態量とを掛け合わせて調整された燃
料噴射量の補正量(ΔGfo )を出力する。出力された
燃料噴射量の補正量(ΔGfo )は、前述した基本燃料
噴射量演算部1により算出された(Gfb)と足し合わ
されて実際の燃料噴射量(Gf)が算出され、インジェ
クタIへと出力されて、インジェクタIがこの量の燃料
がエンジンEへと噴射する。
【0075】いま、仮に自動車が始動時であったり、ア
クセルの急閉時またはアクセルの急開時であったときに
は、過渡状態量として1が出力されることになるので、
燃料補正量調整部60は燃料補正量算出部31で出力さ
れた値をそのまま出力する。また自動車が定常運転をし
ているときには過渡状態量として0が出力されるので燃
料補正量調整部60によって燃料噴射量の補正量は0に
されて出力されるので定常時には燃料噴射量の補正量の
調整は行われないこととなる。
【0076】即ち、明らかに定常時であるときには燃料
噴射量の補正は行われないので、上述したようにニュー
ラルネットワークに空燃比(A/F)の入力がなくニュ
ーラルネットワークによる空燃比(A/F)の出力値に
定常時のバイアスが掛かっていても定常時では燃料噴射
量の補正量は0となり、余分な補正をすることがなく、
補正が必要な過渡時のみ変動を抑えるように燃料噴射量
の補正量が出力されることとなる。なお、上述した過渡
状態検出部は、状態検出部10で得られる物理量を入力
として過渡状態量を検出するようにしているが、これは
図16に示すように、過渡状態検出部51に空燃比推定
部20により推定される空燃比を入力し、この空燃比の
変化量より過渡状態量を検出するようにしてもよい。こ
の場合は過渡状態検出部51は推定される空燃比(A/
FNN)の制御周期毎の差分値の絶対値|ΔA/FNN|を
空燃比の変化量として、これを、上述した状態検出部1
0で得られる物理量の変化量から過渡状態量を検出する
場合と同様の方法によって過渡状態量を検出することが
できる。
【0077】さらに、図17に示すように過渡状態検出
部52として、エンジンEの空燃比を検出する空燃比セ
ンサ52aと、この空燃比センサの出力値の変化量に基
づいて過渡状態量を演算する過渡状態演算部52bとよ
り構成とすることも考えられる。この場合の過渡状態演
算部52bによる過渡状態量の演算方法は、上述した空
燃比推定部20により推定される空燃比(A/FNN)を
入力とし、この変化量より過渡状態量を検出する方法と
同様である。この場合、始動時にエンジン温度が低い時
には空燃比センサを用いた過渡状態検出部52は作動し
ないため、燃料補正量算出部30によって算出される燃
料噴射量の補正量(ΔGf)は燃料補正量調整部60で
調整されることなくそのまま出力される。しかし、始動
時は通常は過渡時であるので、燃料噴射量の補正量(Δ
Gf)がそのまま出力されることは過渡状態検出部52
から過渡状態量1が出力されるのと等しいので、結果と
して支障はなくなる。
【0078】このように本実施の形態に係る空燃比制御
装置では上述した定常時のバイアスが掛かっていても、
補正をする必要のない定常時には燃料噴射量の補正をせ
ず、補正をする必要のある過渡時のみ空燃比を適切な値
に近付けるように燃料噴射量の補正を行う。これにより
定常時には定常時のバイアスの影響のない制御ができ、
過渡時特に低温時でも適切な空燃比制御を行うことが可
能となる。
【0079】(実施の形態4)実施の形態4では上述し
た定常時のバイアスに対処する手段を有する空燃比制御
装置の他の例を示す。図18に実施の形態4に係る空燃
比制御装置の構成を表す機能ブロック図を示す。この空
燃比制御装置は状態検出部10、変化量推定部21、燃
料補正量算出部31とにより構成される。この空燃比制
御装置が実施の形態1の空燃比制御装置と異なるのは、
空燃比推定部の代わりに変化量推定部21が設けてあ
り、燃料補正量算出部31が、この変化量推定部21の
出力値に基づいて燃料補正量を算出する点である。
【0080】変化量推定部21は状態検出部10によっ
て検出された上記物理量を入力として空燃比に関する物
理量の変化量をニューラルネットワークを用いて推定す
る部分である。ここでは空燃比に関する物理量として空
燃比(A/F)が用いられ、空燃比の変化量(ΔA/
F)として空燃比の微分値や、空燃比に高周波信号成分
のみを通すハイパスフィルターを通した値が用いられ
る。つまり、空燃比の変化量(ΔA/F)は次式で与え
られる。
【0081】
【数4】
【0082】または
【0083】
【数5】
【0084】ここで、sはラプラス演算子、f(s)は
低周波数信号成分をカットし、高周波数信号成分を通す
ハイパスフィルターであるものとする。なお、空燃比に
関するパラメータとしては空燃比の他に、気筒流入空気
重量や気筒流入燃料量などを用いることもできる。これ
らの計算結果である空燃比の変化量(ΔA/F)は、微
分値もしくはハイパスフィルターを通した値であるので
定常時のバイアスの影響を受けない。
【0085】ここで、変化量推定部21に用いられるニ
ューラルネットワークの学習過程を図19を用いて説明
する。図19は、このニューラルネットワークの学習過
程を示す模式図である。図19において図5と異なるの
は採取した空燃比(A/F)を上記式[1]又は式
[2]を用いて空燃比の変化量(ΔA/F)に変換する
点および、ニューラルネットワークの出力を空燃比の変
化量(ΔA/F)としている点である。従って、学習過
程も図5に示す空燃比を推定するニューラルネットワー
クとほぼ同様である。即ち、実際に自動車を運転し採取
した学習用のデータを用いて、検出値から得られた空燃
比の変化量(ΔA/F)と、各パラメータをニューラル
ネットワークに入力して、出力として推定された空燃比
の変化量(ΔA/FNN)との偏差eをバックプロパゲー
ション法により小さくするようにニューラルネットワー
クの構成を変えていく。
【0086】なお、ここでは変化量推定部21はニュー
ラルネットワークによって空燃比の変化量(ΔA/F)
を直接推定するようにしているが、まず、実施の形態1
の空燃比推定部20と同じニューラルネットワークによ
って空燃比(A/F)を推定し、この推定した空燃比
(A/F)を上記式[1]または式[2]を用いて空燃
比の変化量(ΔA/F)を算出するようにしてもよい。
【0087】燃料補正量算出部31は、上記のようにし
て学習したニューラルネットワークを有する変化量推定
部21で推定された空燃比の変化量(ΔA/F)から燃
料噴射量の補正量(ΔGf)を算出する。具体的には、
空燃比の変化量(ΔA/F)と燃料噴射量の補正量(Δ
Gf)の関係をP(比例)関係、PI(比例、微分)関
係等と近似して、
【0088】
【数6】
【0089】又は
【0090】
【数7】
【0091】等と設定して与えた式によって計算する。
なお、K3およびK4は実験等によって導きだした定数で
ある。以上の構成を有する空燃比制御装置の動作を以下
に説明する。今、自動車が走行を開始したところでエン
ジン温度は低温であるものとする。まず、状態検出部1
0が低温でも検出可能な物理量であるエンジン回転数
(Ne)、吸入空気圧(Pb)、スロットル開度(TH
L)、燃料噴射量(Gf)、吸入空気温(Ta)、冷却
水温(Tw)を検出する。次に変化量推定部21がこの
検出された複数の物理量を入力パラメータとしてニュー
ラルネットワークにより空燃比の変化量(ΔA/F)を
推定し出力する。推定された空燃比の変化量(ΔA/
F)を用いて燃料補正量算出部31は燃料噴射量の補正
量(ΔGf)を算出する。算出された燃料噴射量の補正
量(ΔGf)と、前述した基本燃料噴射量演算部1によ
り算出された(Gfb)とが足し合わされることによっ
て実際の燃料噴射量(Gf)が算出され、インジェクタ
Iへと出力されて、この量の燃料がエンジンEへと噴射
される。
【0092】このように本実施の形態の空燃比制御装置
では空燃比に関する物理量の変化量をニューラルネット
ワークを用いて推定し、この推定された変化量から燃料
噴射量の補正量を算出するようにしているため、即ち、
変化量は定常時のバイアスがあっても影響されないの
で、燃料噴射量の補正量から定常時のバイアスの影響を
排除することができる。
【0093】(実施の形態5)従来のニューラルネット
ワークを用いた空燃比制御装置のように、ニューラルネ
ットワークによって直接燃料噴射量の補正量を算出する
ような構成とすると、教師データの設定や燃料噴射量の
補正量の測定等が困難であり、学習の際に精度が得られ
ない場合はどこに問題があるのかを掴み難く、開発過程
に非常に時間と労力がかかることも予想される。これは
上記の実施の形態のようニューラルネットワークにより
空燃比等を推定し、これから燃料補正量を算出するよう
にすることで緩和することができる。本実施の形態で
は、空燃比やその変化量をニューラルネットワークで推
定するよりもさらに、開発の容易な空燃比制御装置を示
す。
【0094】図20に実施の形態5に係る空燃比制御装
置の構成を示す。この空燃比制御装置は状態検出部10
と、流入空気重量推定部22と、燃料補正量算出部32
とより構成される。この空燃比制御装置が実施の形態1
の空燃比制御装置と異なるのは、状態検出部10が空燃
比を検出する空燃比センサ部10aを有しており、ま
た、燃料噴射量(Gf)の検出を必須としている点、空
燃比推定部の代わりに流入空気重量推定部22が設けら
れている点、燃料補正量算出部32の入力パラメータが
相違する点である。
【0095】流入空気重量推定部22は状態検出部10
により検出された物理量のうち少なくとも2以上を入力
パラメータとして、気筒内空気重量(Qa) をニューラ
ルネットワークにより推定する部分である。ここで用い
られるニューラルネットワークの学習は図21に示す学
習過程によりなされたものを用いる。図21に示す学習
過程を簡単に説明すると、実際に自動車を運転して採取
した学習用のデータを用いて、各パラメータをニューラ
ルネットワークに入力して、出力として推定された気筒
内空気重量(QaNN)を検出された燃料噴射量(Gf)
で割って推定空燃比(A/FNN)を算出する。なお、こ
こではパラメータに空燃比(A/F)を入力項としても
差し支えない。その際には流入空気重量推定部22の入
力項に空燃比(A/F)の値を加える必要がある。そし
て、この推定空燃比(A/FNN)と検出された空燃比
(A/F)との偏差eをバックプロパゲーション法によ
り小さくするようにニューラルネットワークの構成を変
えていく。これにより各種パラメータを入力として気筒
内空気重量(QaNN)を推定できるようにニューラルネ
ットワークが構成されていくこととなる。
【0096】ここでは検出可能なっ空燃比センサ値を教
師信号としニューラルネットワークによって気筒内空気
重量(QaNN)を算出しているので、ニューラルネット
ワークによって燃料噴射量の補正量を直接算出するよう
な場合に比べて、学習を収束させるための試行錯誤を少
なくすることができ、学習過程において精度が得られな
い場合にもどこに問題があるのかを容易に発見すること
ができる。
【0097】燃料補正量算出部32は状態検出部10に
より検出される燃料噴射量(Gf)および空燃比(A/
F)と、流入空気重量推定部22によって推定された気
筒流入空気重量(QaNN)とから、燃料噴射量の補正量
(ΔGf)を算出する。この燃料噴射量の補正量(ΔG
f)の算出式について以下に説明する。インジェクタよ
り燃料を噴射しても、全ての量が気筒内へ流入するので
はなく一部は吸気管壁面に付着し、また、付着した燃料
の一部は蒸発して気筒内に流入する。従って、燃料噴射
量(Gf)と実際に気筒内に流入する気筒流入燃料量
(Gfc)は相違するため、この差異を燃料噴射量の補
正量(ΔGf)として算出することとする。そこで、ま
ず燃料噴射量の補正量(ΔGf)を算出するために実際
に気筒に流入する気筒流入燃料量(Gfc)を算出す
る。
【0098】空燃比A/Fと気筒流入空気重量Qaと気
筒流入燃料量Gfcとの関係は次式で与えられる。
【0099】
【数8】
【0100】いま、この式を変形し、また、A/Fの検
出遅れを1サンプリングと仮定すると、気筒流入燃料量
(Gfc)は、
【0101】
【数9】
【0102】と表される。この式から状態検出部10に
より検出される空燃比(A/F)、流入空気重量推定部
22によって推定された気筒流入空気重量(QaNN)を
代入してGfc(z)を求める。そして、状態検出部1
0により検出された燃料噴射量(Gf)と気筒内流入燃
料量(Gfc)の差を燃料噴射量の補正量(ΔGf)と
して算出する。即ち、以下の式、
【0103】
【数10】
【0104】より燃料噴射量の補正量が算出されること
となる。なお、後述するように、燃料噴射量(Gf)、
空燃比(A/F)および気筒流入空気重量(QaNN)か
ら燃料付着率(a)および燃料蒸発率(b)を算出する
ことが可能であるので、燃料補正量算出部32は燃料付
着率(a)および燃料蒸発率(b)を算出したのちに、
この燃料付着率(a)と燃料蒸発率(b)と燃料噴射量
の補正量(ΔGf)との関係を表したマップを用いて、
燃料噴射量の補正量(ΔGf)を算出するようにしても
よい。また、ここでは空燃比(A/F)の検出遅れを1
サンプリングと仮定したが、運転状態に応じて検出遅れ
を可変として与える構成としてもよい。
【0105】以上の構成を有する空燃比制御装置の動作
を以下に説明する。今、自動車が運転状態にあるものと
する。まず、制御周期ごとに状態検出部10は、エンジ
ンEからエンジンEの状態を示す物理量であるエンジン
回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、スロットル開度
(THL)、燃料噴射量(Gf)、吸入空気温(T
a)、冷却水温(Tw)、空燃比(A/F)を検出す
る。そして、検出された物理量の内、空燃比(A/F)
を除く物理量は流入空気重量推定部22のニューラルネ
ットワークにパラメータとして入力されて、ニューラル
ネットワークは気筒内流入空気重量(Qa)を推定す
る。それから、状態検出部10で検出された燃料噴射量
(Gf)と空燃比(A/F)および流入空気重量推定部
22で推定された気筒内流入空気重量(Qa)が燃料補
正量算出部32に入力され、燃料補正量算出部32はこ
れらの値から燃料噴射量の補正量(ΔGf)を算出す
る。算出された補正量(ΔGf)から上述した実施の形
態と同様に、実際の燃料噴射量(Gf)が算出されて、
この量の燃料がインジェクタIからエンジンEへ噴射さ
れる。
【0106】このような構成の空燃比制御装置はニュー
ラルネットワークによって流入空気重量を推定するよう
な構成とすることにより、ニューラルネットワークによ
って直接燃料噴射量の補正量を算出する構成と比較して
試行錯誤する割合が減り、学習時に精度が得られない場
合であってもどこに問題があるのかをより容易に判断で
きるので、開発工程を少なくすることができて開発コス
トおよび開発時間の削減に資することができる。
【0107】(実施の形態6)図22に本発明に係る異
常・劣化検出装置を含む空燃比制御装置の機能ブロック
図を示す。これは、図4の空燃比制御装置にセンサ特性
判定部70と、空燃比センサ80を付加したものであ
り、異常・劣化検出装置は状態検出部10、空燃比推定
部20、異常・劣化検出手段となるセンサ特性判定部7
0、空燃比センサ80により構成される。
【0108】この装置は、ニューラルネットワークによ
り推定されたされた空燃比を利用して空燃比センサの動
的特性変化を検出するものである。即ち、図3に示す制
御装置の基本燃料噴射量演算部1では、空燃比センサの
値からフィードバック制御を行っているが、空燃比セン
サの動特性が経年変化等により変化した場合、制御性能
が劣化し、最悪発振する可能性もある。そのため、一般
的な対策としてフィードバックゲインを下げ、制御性能
を落とした構成としている。そこで、本実施の形態で
は、フィードバックゲインを下げすぎることなく空燃比
センサが劣化しても劣化度合を判定し、制御系が発振す
ることを防ぐことができる。
【0109】図22において、状態検出部10、空燃比
推定部20、燃料補正量算出部30は図4に示すものと
同じであるので説明は省略する。空燃比センサ80は排
気管の空燃比を測定するものであり、図1の空燃比セン
サqが用いられる。センサ特性判定部70は、前記空燃
比推定部20で得られる空燃比の推定値と、前記空燃比
センサ80により検出された空燃比を比較することによ
り空燃比センサの動特性変化を検出する。
【0110】詳しく説明すると、センサ特性判定部70
は具体的な構成として図23(a)のように極値検出部
70aと極値比較部70bを有している。極値検出部7
0aは前記空燃比推定部20が推定した空燃比(A/F
NN)と前記空燃比センサ80が検出した空燃比(A/
F)に対し各々微分演算を行い極値を求める。そして、
極値比較部70bは、求められたそれぞれの極値に対し
て、極値となった時刻および値を比較し、空燃比センサ
の特性として図23(b)に示す位相遅れ(Δδ)およ
びゲイン変化(ΔK)を求める。なお、極値比較部70
bの出力値として時定数や無駄時間を採用してもよい。
【0111】このセンサ特性判定部70が算出した空燃
比センサの動的特性の変化量は図3に示す基本燃料噴射
量演算部1に送出される。そして、基本燃料噴射量演算
部1はこれに基づいて、フィードバックゲインを変更す
ることにより、制御性能を維持することが可能となる。
この異常・劣化検出装置の動作を簡単に説明すると、ま
ず、状態検出部10がエンジン回転数(Ne)、吸入空
気圧(Pb)等の物理量を検出し、空燃比推定部20が
この検出された複数の物理量を入力パラメータとしてニ
ューラルネットワークにより空燃比(A/FNN)を推定
し出力する。同時に、空燃比センサ80は触媒より後の
空燃比(A/F)を検出する。そして、センサ特性判定
部70が推定された空燃比(A/FNN)と検出された空
燃比(A/F)を比較し、位相変化量をゲイン変化量を
算出して、基本燃料噴射量演算部1へ送出する。これを
受けた基本燃料噴射量演算部1は、位相変化量およびゲ
イン変化量に応じてフィードバックゲインを適切な値に
調整する。
【0112】図24(a)、(b)に、スロットル開度
をランダムに急開・閉させた場合に本実施の形態のよう
に空燃比センサの動的特性を考慮してフィードバックゲ
インを変化させた場合と、させなかった場合の制御結果
の比較例を示す。図24(a)は劣化したセンサを用
い、フィードバックゲインを変化させない場合の制御結
果であり、図24(b)は空燃比センサの動的特性変化
に基づきフィードバックゲインを変更させた場合の制御
結果である。これらを比較すると、動的特性変化に基づ
きフィードバックゲインを変更させることにより振動が
抑えられていることがわかる。
【0113】ところで、上記の異常・劣化検出装置にお
いてセンサ特性判定部70は、空燃比センサ80より出
力された空燃比と空燃比推定部20より出力された空燃
比の時間変化における極値を比較することによって、空
燃比センサ80の動的特性の変化を検出するようにして
いるが、これをニューラルネットワークによって推定す
るようにすることも可能である。図25に空燃比センサ
の動的特性をニューラルネットワークで推定するセンサ
特性判定部71を有する異常・劣化検出装置の機能ブロ
ック図を示す。
【0114】図25におけるセンサ特性判定部71は、
前記空燃比推定部20の推定した空燃比(A/FNN)と
前記空燃比センサ80の検出した空燃比(A/F)と前
記状態検出部10の出力する物理量を入力項とし、出力
項を空燃比センサの動特性変化量とするニューロ演算を
行う。ここでは、空燃比センサの動特性を一次遅れと
し、その動特性変化量を一次遅れモデルの時定数および
ゲインの変化量とする。この一次遅れモデルの変化量に
応じて、やはり前記基本燃料噴射量演算部1内の制御ゲ
インを変更する。尚、動特性を二次遅れ以上とすると2
つの時定数の変化量を出力する形となる。また、時定数
およびゲイン以外に無駄時間を出力する形としてもよ
い。
【0115】このような構成によれば、センサが劣化し
ていない場合の空燃比の推定値と、実際の空燃比センサ
の出力値を入力とするニューロ演算を行うことにより、
少ない開発工数で劣化度合い判定を行うことが可能とな
る。そして、位相遅れが大きくなると基本燃料噴射量演
算部1内の制御ゲインを予め位相遅れに応じて小さくな
るように設定しておくことにより、やはり発振を抑える
ことができる。尚、ニューロ出力項としては基本燃料噴
射量演算部1で用いている制御ゲインを直接出力する構
成としてもよい。
【0116】以上のように本実施の形態の異常・劣化検
出装置は、空燃比センサが劣化しても、これに応じてフ
ィードバックゲインを調整するので制御性能を落とさ
ず、かつ、発振を防ぐことができる。 (実施の形態7)次に、排気管内の触媒の劣化を検出す
る異常・劣化検出装置について述べる。図26に実施の
形態7に係る異常・劣化検出装置を含む空燃比制御装置
の機能ブロック図を示す。この異常・劣化検出装置は状
態検出部10、空燃比推定部20a、燃料補正量算出部
30、触媒劣化検出部72、空燃比センサ80より構成
される。この異常・劣化検出装置が実施の形態6に示す
異常・劣化検出装置と異なるのは、空燃比センサ80が
排気管内における触媒より後ろの空燃比を検出する点、
異常・劣化検出手段として触媒劣化検出部72が設けら
れている点、および燃料補正量算出部30がこの触媒よ
り前の空燃比にから燃料補正量を算出する点である。
【0117】空燃比推定部20aで排気管内における触
媒より前の空燃比を推定するには、空燃比推定部20a
のニューラルネットワークの学習の際に、図27に示す
ように教師信号用の空燃比センサを触媒前方に設け、こ
の空燃比(A/Fcp)を教師信号として、図5に示すニ
ューラルネットワークと同様にバックプロパゲーション
法によって、触媒より前の空燃比を推定するように学習
するようにすればよい。
【0118】触媒劣化検出部72は、前記空燃比推定部
20aにより推定された空燃比(A/FcpNN)と前記空
燃比センサ80により検出された空燃比(A/F)とを
比較することにより、触媒の劣化を検出する。具体的に
は、触媒が正常に働いている場合には、触媒より前の酸
素濃度が変化しても触媒の酸素貯蔵力により、触媒より
後ろの酸素濃度の変化は小さくなるため、触媒より後ろ
の空燃比の変化量は触媒より前の空燃比の変化量に比べ
て小さくなる。ところが、触媒が劣化すると触媒より後
ろの空燃比の変化の量が少なくなる。このことから触媒
劣化検出部72は、この触媒の前と後の空燃比の変化量
の差が所定の値より小さくなったことによって、触媒が
劣化していることを検出する。また、触媒劣化検出部7
2は、触媒が劣化していることを検出した場合には所定
の信号を発する。この信号は例えば、車の運転手に触媒
が劣化していることを知らせる警報を発するトリガとし
て用いられる。
【0119】この異常・劣化検出装置の動作を簡単に説
明すると、まず、状態検出部10がエンジン回転数(N
e)、吸入空気圧(Pb)等の物理量を検出し、空燃比
推定部20がこの検出された複数の物理量を入力パラメ
ータとしてニューラルネットワークによって触媒より前
の空燃比(A/FcpNN)を推定し出力する。同時に、空
燃比センサ80は触媒より後の空燃比(A/F)を検出
する。そして、触媒劣化検出部72が推定された触媒よ
り前の空燃比(A/FcpNN)と検出された触媒より後の
空燃比(A/F)を比較し、両者の値の差が所定の値以
下否かを判断する。ここで、この差が所定の値以下であ
る場合には触媒劣化検出部72は所定の信号を発する。
この信号により警報が作動し、車の使用者は触媒の劣化
を知ることができる。一方、推定された触媒より前の空
燃比(A/FcpNN)と検出された触媒より後の空燃比
(A/F)との差が所定の値を越えている場合には、触
媒は劣化していないので、触媒劣化検出部72は信号を
発することはない。
【0120】このように実施の形態に係る異常・劣化検
出装置では、触媒の劣化を車の使用者に知らせて触媒の
交換を促すことができる。 (実施の形態8)本実施の形態では、空燃比センサの劣
化による応答時間の遅れが生じても適切な空燃比制御を
行うことができる空燃比制御装置を提示する。図28に
本実施の形態に係る空燃比制御装置の機能ブロック図を
示す。この空燃比制御装置は状態検出部10、空燃比推
定部20b、燃料補正量算出部30、空燃比センサ8
0、運転状態判定部90a、応答時間検出部90bより
なる。この空燃比制御装置が実施の形態1の空燃比制御
装置と異なるのは、空燃比センサ80、運転状態判定部
90a、応答時間検出部90bを設けてあり、空燃比推
定部20bが後述する応答時間検出部90bが検出する
応答時間(Tr)と空燃比センサ80の検出する空燃比
(A/F)を、入力パラメータとしている点である。
【0121】空燃比センサ80は排気管内の空燃比を制
御するものである。運転状態判定部90aは状態検出部
10が検出したエンジンの状態を表わす物理量の少なく
とも1つに基づいて、エンジンが所定の運転状態にある
かを判定する。ここでは、エンジンの状態を表わす物理
量としてスロットル開度(THL)とエンジン回転数
(Ne)を用い、これに基づいてエンジンがアイドリン
グ状態にあるか否かを判定する。なお、ここでは、状態
検出部10が検出した物理量をそのまま利用している
が、エンジンか所定の状態にあるか否かを判定する物理
量は別個に検出してもよい。
【0122】応答時間検出部90bは、エンジンが運転
状態判定部90aによって所定の運転状態、ここではア
イドリング状態にあると判定された場合に、前記状態検
出部10により検出された少なくとも1つの物理量を変
更し、この物理量の変更時刻から前記空燃比センサが検
出する空燃比が変動するまでの応答時間を計測して記憶
する。ここでは変更する物理量として、燃料噴射量を採
用しており、燃料噴射量を所定の微小量(Gfs)だけ増
加させる。そして、燃料噴射量を増加させてから空燃比
センサ80による検出値が変化するまでの時間、つまり
空燃比センサの応答時間(Tr)を計測する。
【0123】空燃比推定部20bは、状態検出部10が
検出した物理量(Ne、Pb・・・)、空燃比センサが
検出した空燃比(A/F)、応答時間検出部90bが検
出した応答時間(Tr)をパラメータとして入力し、ニ
ューラルネットワークを用いて空燃比を推定する。この
空燃比推定部20bの学習過程を以下に説明する。図2
9に、この学習過程を表わす摸式図を示す。図に示すよ
うにこのニューラルネットワークは入力として状態検出
部10が検出するエンジン回転数(Ne)、吸入空気圧
(Pb)、スロットル開度(THL)、燃料噴射量(G
f)、吸入空気温(Ta)、冷却水温(Tw)の他に、
空燃比(A/F)と応答時間(Tr)が入力される。こ
の入力される空燃比は劣化した空燃比センサにより検出
された空燃比を用い、応答時間(Tr)はこの劣化した
空燃比センサの応答時間が入力される。一方、教師信号
となる空燃比は劣化のない空燃比センサにより検出され
た空燃比が用いられる。そして、入力する空燃比を検出
する空燃比センサを劣化度合の異なる複数のものに交換
し、これに対応させて入力する応答時間(Tr)を変え
ていきながら、教師信号となる空燃比(A/F)とニュ
ーラルネットワークにより推定される空燃比(A/FN
N)との偏差eが小さくなるようにバックプロパゲーシ
ョン法によりニューラルネットワークの構成を変更して
いく。これにより、このニューラルネットワークでは、
劣化した空燃比センサによる入力があっても応答遅れや
ゲイン変化の無い適当な空燃比の値を推定することがで
きるようになる。
【0124】このような構成の空燃比制御装置の動作を
以下に示す。図30にこの動作を表わすフローチャート
を示す。まず、状態検出部10が各物理量を検出する
(S401)。次に、検出された物理量の内のスロット
ル開度(THL)とエンジン回転数(Ne)に基づき運
転状態判定部90aがエンジンがアイドリング状態にあ
るか否かを判断する(S402)。ここで、エンジンが
アイドリング状態であれば、応答時間検出部90bは燃
料補正量を所定量(Gfs)だけ増加させる(S40
3)。そして、この燃料補正量を増加させた時刻から空
燃比センサ80の検出値に変化があるまでの時間、即ち
応答時間を測定し記録する(S404)。
【0125】それから、空燃比推定部20bが、状態検
出部10が検出した物理量と、空燃比センサ80が検出
した一制御周期前の空燃比(A/F)とともに、記録さ
れている応答時間をパラメータに含めて、ニューラルネ
ットワークにより空燃比を推定する(S405)。ま
た、S402でエンジンはアイドリング状態に無いと判
断された場合には、ニューラルネットワークには前回以
前の制御周期で記録された応答時間が入力されることに
なる。最後に、燃料補正量算出部30が推定された空燃
比(A/FNN)から燃料補正量(ΔGf)を算出する
(S406)。
【0126】このような動作により、エンジンがアイド
リング状態となる度に空燃比センサの応答時間が記録さ
れ、これが空燃比推定部20bにおける空燃比推定に用
いられることでほぼ正確な空燃比の推定値が出力される
ことになるので、空燃比センサが劣化しても適切な空燃
比制御を行うことができる。図31(a)、図31
(b)に、従来の空燃比制御装置と本実施の形態の空燃
比制御装置の比較実験結果を示す。これらはそれぞれ、
Ne=2000rpm、軸トルク変化が5kgmから10kgmとなるよ
うにスロットル開度を急開・急閉した場合の制御結果で
あり、図31(a)が従来の制御装置によるものであ
り、図31(b)が本実施の形態の空燃比制御装置によ
るものである。これらに用いた空燃比センサは何れも劣
化のあるものを用いている。これらを比較すると、図3
1(b)に示す予測推定値A/Fnn(実線)を用いた方
が、精度良く目標空燃比(14.7)に制御できている
ことが分かる。
【0127】尚、ここでは空燃比予測推定部20bにお
いて、入力項に応答時間を用いたが、位相遅れまたは時
定数またはゲイン等を用いてもよい。また、応答時間と
ゲイン等を組み合わせて入力項とすることにより推定精
度を向上させることが可能となる。 (実施の形態9)ここでは、車の使用者が使用する燃料
の種別にかかわらず、特に始動時の燃料噴射量を適切に
制御する空燃比制御装置を示す。
【0128】図32に本実施の形態に係る空燃比制御装
置の機能ブロック図を示す。この空燃比制御装置は、状
態検出部10と、燃料種別判別部23と、燃料補正量算
出部33と、燃料種別記憶部100、エンジン温度検出
部110とにより構成される。状態検出部10は実施の
形態1とほぼ同様の構成により、エンジンEの状態を表
す複数の物理量を検出する。ただし、ここでは空燃比補
助制御演算部2から出力されるのは燃料補正係数(Cg
f)であり、この値は基本燃料噴射量演算部1から出力
される基本燃料噴射量(Gfb)に乗算される点で異な
る。
【0129】燃料種別判別部23は、検出された複数の
パラメータを入力としてニューラルネットワークにより
燃料の種別を判定する部分である。ここにいう燃料の種
別は現に市販されている燃料の種別を意味している。燃
料種別をニューラルネットワークによって推定するに
は、例えば、以下のような学習を行わせればよい。図3
3に燃料種別を判定するニューラルネットワークの学習
過程を表わす摸式図を示す。ニューラルネットワークに
は予め採取した状態検出部10により検出される物理量
(Gf,Ne,・・・)を入力とし、ガソリン性状を表
現するパラメータを出力とするように構成する。出力と
しては、例えばガソリンが50%気化するときの温度で
あるT50の値を用いることが考えられる。このT50
の値は燃料の種別ごとに予めわかっているので、ある種
別の燃料を用いてエンジンを動かして採取した各物理量
(Gf,Ne,・・・)を入力とし、用いている種別の
燃料のT50を教師データとする。かかる構成により推
定したT50の値と実際の教師データであるT50との
偏差eが許容値以内となるようにニューラルネットワー
クの構成を変えていく。このような学習を推定しようと
するすべての種別の燃料に対して行う。これにより、状
態検出部10から検出される物理量から推定しようとす
るすべての種別の燃料のT50を推定値をして出力する
ニューラルネットワークを得ることができる。このニュ
ーラルネットワークを用いれば、推定されるT50の値
から燃料種別を推定することができる。
【0130】なお、燃料種別を判断する構成としては、
以下のようなものも採用できる。即ち、図34に示すよ
うに、基準となる種別の燃料を用いて、状態検出部10
が検出した物理量(Gf,Ne,・・・)を入力とし、
空燃比(A/FNN)を出力とする学習を行ったニューラ
ルネットワーク23aを設け、このニューラルネットワ
ーク23aにより推定された空燃比(A/FNN)と、空
燃比センサが検出した空燃比(A/F)とを比較して、
両者の挙動の違いによりガソリン性状を判定する判定部
23bを設けてもよい。この判定部23bにおける判定
方法は、前記ニューラルネットワーク23aにより推定
された空燃比(A/FNN)と空燃比センサが検出した空
燃比(A/F)と前記状態検出部10が検出した物理量
(Gf,Ne,・・・)を入力とし、出力をT50とす
るニューロ演算を行うことが考えられる。
【0131】エンジン温度検出部110は、エンジンの
温度としてエンジンの冷却水温(Tw)を検出して電気
的な信号に変換するセンサである。なおエンジンの温度
は冷却水温に限らず吸入空気温Taや、他の温度センサ
出力を用いてもよく、また、これら温度センサ出力値を
一つまたは2つ以上入力とする関数を用いて、この関数
の出力値より判定する構成としてもよい。また、ここで
はエンジン温度検出部110は状態検出部10とは別個
に設けているが、これは状態検出部10における冷却水
温センサを共用してもよい。
【0132】燃料種別記憶部100は燃料種別判別部2
3によって推定された燃料の種別を記憶するものであ
り、燃料種別判別部23からの出力がなされる度に当該
出力された種別に書き換えられて行く。燃料補正量算出
部33は、エンジン温度検出部110により検出された
エンジンの温度が定められた第1の設定温度以下である
場合に、燃料種別判別部23により判別され燃料種別記
憶部100に記憶された燃料種別と、燃料種別ごとに設
けられたマップと、検出されたエンジンの温度に基づき
燃料噴射量の補正量としての補正係数(Cgf)を算出す
る部分である。第1の設定温度はここでは空燃比センサ
の働かない温度の境界点、例えば50℃程度に設定して
あり、この温度以下の場合即ち空燃比センサが働かずフ
ィードバック制御が制御が行われない低温時の噴射燃料
の補正係数を算出することとなる。また、燃料種別ごと
に設けられたマップは図35に示されるように、燃料種
別A〜Eに対応させて、補正係数(Cgf)を記憶してあ
る。また、自動車の運転を中断して次に始動する時に
は、燃料補正量算出部33は前記燃料種別記憶部100
に記憶された燃料種別を用いて始動時の燃料噴射量の補
正係数(Cgf)を算出するように構成してある。
【0133】上記構成を有する空燃比制御装置の動作を
以下に説明する。図36にこの空燃比制御装置の一制御
周期における動作を表すフローチャートを示す。ある種
別の燃料がはじめて入れられたものとして、自動車が運
転されると状態検出部10およびエンジン温度検出部1
10は冷却水温(Tw)を含むエンジンの状態を表す複
数の物理量を検出する(s501)。次に、燃料種別判
別部23が検出された複数の物理量をパラメータとして
ニューラルネットワークへ入力し燃料の種別を判別する
(s502)。そして、燃料種別記憶部100は判別さ
れた燃料種別を記憶する(s503)。それから、燃料
補正量算出部33はエンジン温度検出部110で検出さ
れた冷却水温(Tw)が50℃以下であるか否かを判断
し(s504)、冷却水温(Tw)が50℃以下であれ
ば冷却水温(Tw)と判別された燃料種別から上記マッ
プを用いて燃料噴射量の補正係数(Cgf)を算出する
(s505)。そして、算出された燃料噴射量の補正係
数(Cgf)が基本燃料噴射量(Gfb)に乗算されて実
際の燃料噴射量(Gf)が導かれて、この量の燃料がエ
ンジンEへと噴射される。また、冷却水温(Tw)が5
0℃を越える場合は燃料噴射量の補正係数(Cgf)は算
出されず、燃料噴射量の補正は通常のフィードバック制
御を含む基本燃料噴射量演算部1の制御に委ねられる。
【0134】さらに、一度、自動車の運転が中止され
て、もう一度自動車が始動する場合、即ち次の始動時に
は、最初の制御動作ではエンジン温度検出部110は冷
却水温(Tw)を検出するが、他のs501からs50
3の動作は行わず、まず、s504の燃料補正量算出部
33は冷却水温(Tw)が50℃以下か否かの判断を行
う。ここでは始動時であり冷却水温(Tw)は必ず50
℃以下であるのでs505へ進み、燃料補正量算出部3
3は、前回の運転で燃料種別記憶部100に記憶された
燃料種別と検出された冷却水温(Tw)とから始動時の
燃料噴射量の補正係数(Cgf)を算出する。通常は自動
車に入れられた燃料は次の始動時でもほとんど同じ燃料
であると考えられるので、このような動作により始動時
の燃料噴射量を適切に調整することができる。
【0135】なお、この空燃比制御装置にはさらに、図
37に示すようにエンジン温度検出部110により検出
されたエンジンの温度が定められた第2の設定温度以下
の時にのみ燃料種別判別部23による判別を許可する判
別許可部111を設けることができる。ここでは第2の
設定温度として例えば燃料種別による性状(燃料蒸発率
や燃料付着率等)の差異が明確に現れる境界点である8
0℃程度に設定してある。
【0136】このように判別許可部111を設けた場合
の燃料種別の燃料種別記憶部100への記憶までの動作
を図38を用いて説明する。図38はかかる動作を示す
フローチャートである。まず、自動車の運転状態で、状
態検出部10およびエンジン温度検出部110は冷却水
温(Tw)を含むエンジンEの状態を示す複数の物理量
を検出する(s601)。次に判別許可部111は冷却
水温(Tw)が80℃以下か否かを判断する(s60
2)。ここで冷却水温(Tw)が80 ℃以下であれ
ば、判別許可部111は燃料種別判別部23に燃料種別
の判断を許可する。燃料種別の判断を許可された燃料種
別判別部23は上述した動作で検出された複数の物理量
をパラメータとしてニューラルネットワークへ入力し、
燃料種別を判別する(s604)。そして、燃料種別記
憶部100は判別された燃料種別を記憶する(s60
5)。一方、冷却水温(Tw)が80℃を越える場合は
判別許可部111は燃料種別判別部23に燃料種別の判
別を許可せず(s606)、このため燃料種別判別部2
3は燃料種別を判別することはない。
【0137】このように燃料種別による燃料の性状の差
異が顕著な温度領域でのみニューラルネットワークによ
る燃料種別判別を行うことにより、判定精度を向上させ
ることができる。しかも判定領域が限定できる(ここで
は50℃〜80℃の温度領域のみ)ため、ニューラルネ
ットワークの学習過程における学習データ量を少なくす
ることができ、開発時間を短縮することも可能となる。
【0138】なお、上記各空燃比制御装置においては燃
料種別の推定にパラメータとして、点火プラグが通電し
てからエンジン内の混合気が完全爆発するまでのクラン
ク数とバッテリー電圧を用いることが望ましい。即ち、
当該クランク数は燃料の種別によって顕著な差異を生じ
る物理量であり、バッテリー電圧はこのクランク数に影
響を与えるパラメータであるので、これらをともに入力
することで燃料種別の推定の精度を上げることが可能と
なるからである。図39に、このような構成を有する空
燃比制御装置の機能ブロック図を示す。この空燃比制御
装置は、図32に示す空燃比制御装置に対して、状態検
出部10がクランク数検出部112と電圧検出部113
をさらに備え、エンジン温度検出部110の代わりに、
プラグ電流検出部114、を設けたものである。
【0139】クランク数検出部112は、エンジンの状
態を表わす物理量として点火プラグの通電からエンジン
の完爆までのクランク数を検出する。電圧検出部113
はエンジンの状態を表わす物理量としてバッテリー電圧
を検出する。プラグ電流検出部114はエンジンのイグ
ニッションキーの位置変化によって点火プラグへの通電
がONとなったことを検出する。
【0140】この空燃比制御装置の動作は図32に示す
空燃比制御装置とほぼ同じであり、点火プラグの通電に
よってエンジンが始動状態にあると判断された場合の
み、始動時のクランク数とバッテリー電圧を加味して燃
料種別を推定し、これによって燃料補正量を算出し、始
動時の空燃比を燃料種別に応じて適切に制御して、失火
等を防ぐ。
【0141】なお、この空燃比制御装置における前記燃
料種別記憶部100は、クランク数検出部112の検出
した始動時のクランク数がある設定値以下の時には判別
結果を更新しない構成とする。即ち始動時のクランク数
がある設定値より長い場合のみ、判別結果を反映させ始
動性を向上させ、設定値以内の時は現行使用している判
定値を用いて始動時燃料噴射を行う構成とする。これ
は、始動時のクランク数が短くなる燃料、即ち揮発しや
すい燃料に合わせて燃料噴射量を調整するようにする
と、車の使用者が燃料を入れ替えて、これより揮発しに
くい燃料となった場合に、失火してしまう可能性が高く
なるからである。即ち、失火すると、空燃比が目標値か
ら少々ずれるよりもずっと排気を汚してしまうこととな
るので、これを防ぐことを優先したものである。
【0142】さらに、上記実施の形態では燃料種別判別
部23はニューラルネットワークによって直接に燃料種
別を判別するようにしているが、これは後述するよう
に、ニューラルネットワークによって気筒内空気重量Q
aNNを推定し、これを用いて燃料付着率(a)、燃料蒸
発率(b)を算出し、この燃料付着率(a)、燃料蒸発
率(b)と燃料種別との対応を記載したテーブルを用い
て、燃料種別を算出してもよい。この燃料付着率
(a)、燃料蒸発率(b)の算出方法を以下に述べる。
【0143】上述したようにインジェクタより燃料を噴
射しても、全ての量が気筒内へ流入するのではなく一部
は吸気管壁面に付着し、また、付着した燃料の一部は蒸
発して気筒内に流入する。吸気管壁面に付着する燃料の
付着量は運転状態(回転数や負荷(吸入空気圧)等や外
部環境(吸入空気温度や冷却水温、大気圧等)により複
雑に変化し、また付着燃料から蒸発して気筒内に流入す
る燃料量も、前記運転状態や外部環境により変化する。
そこでまず、この燃料付着量(a)および燃料蒸発量
(b)を算出する。図40に燃料付着の挙動を表す簡単
なモデルを示す。図40を簡単に説明すると、サンプリ
ング時刻をkとして、インジェクタから噴射された燃料
の量である燃料噴射量(Gf)のうち、壁面に付着する
燃料の量である壁面燃料付着量(Mf)はa・Gfであ
り、残りの(1−a)・Gfが気筒内へと流入する。ま
た、付着燃料からの蒸発して気筒内に流入する燃料の量
はb・Mfと表される。従って、気筒流入燃料量(Gf
c)は(1−a)・Gfとb・Mfとの和となる。
【0144】ここで、サンプリング時刻k時点での壁面
燃料付着量をMf(k)、燃料噴射量をGf(k)、気
筒流入燃料量をGfc(k)とすると、以下の関係式が
成り立つ。
【0145】
【数11】
【0146】
【数12】
【0147】この両式より次式の関係式が得られる。
【0148】
【数13】
【0149】また、上述したように、空燃比A/Fと気
筒流入空気重量Qaと気筒流入燃料量Gfcとの関係は、
A/Fの検出後れを1サンプリングと仮定すると次式で
与えられる。
【0150】
【数14】
【0151】式[3]および式[4]より次式が得られ
る。
【0152】
【数15】
【0153】ここで、(A/F)・Gf=Wとすると、
【0154】
【数16】
【0155】この式に、状態検出部10により検出され
る燃料噴射量(Gf)および空燃比(A/F)とからW
を算出し、流入空気重量推定部によって推定される気筒
流入空気重量(QaNN)を代入して得られる式を、4回
以上のサンプリングによって2以上つくり、得られる複
数の式から燃料付着率(a)、燃料蒸発率(b)が算出
できることになる。
【0156】このような燃料付着量(a)と燃料蒸発量
(a)を求める方法を用いた、燃料種別判別部24を有
する空燃比制御装置の構成を図41に示す。かかる燃料
種別判別部24は流入空気重量推定部24a、燃料特性
算出部24b、種別判別部24cよりなり、流入空気重
量推定部24aは図20に示す流入空気重量推定部22
と同じである。燃料特性算出部24bは、上述した算出
式を用いて、状態検出部10により検出される燃料噴射
量(Gf)、空燃比(A/F)、流入空気重量推定部2
4aによって推定される気筒内空気重量(QaNN)より
燃料付着率(a)と燃料蒸発率(b)を算出する。
【0157】種別判別部24cは図42(I)、(II)
に示すような、燃料付着率(a)と燃料蒸発率(b)と
燃料の種別との関係を示したテーブルを用い、燃料特性
算出部24bによって推定された燃料付着率(a)と燃
料蒸発率(b)とから燃料の種別を判別する。図42
(I)、(II)のテーブルについて説明すると、まず、
冷却水温(Tw)に基づいて、図42(I)に示すテー
ブルによって冷却水温ごとに定められた図42(II)に
示すテーブルの内の1つを選択する。例えば、冷却水温
が5℃ならのテーブルを選択することとなる。それか
ら、選択された図42(II)の中のテーブルから燃料付
着率(a)、燃料蒸発率(b)に基づいて燃料種別を判
別する。
【0158】なお、ここでは燃料付着率(a)と燃料蒸
発率(b)とから燃料の種別を判別するようにしている
が、これは、燃料付着率(a)もしくは燃料蒸発率
(b)のいずれか一方から燃料種別を判別するようにし
てもよい。この場合は燃料特性算出部24bは燃料付着
率(a)もしくは燃料蒸発率(b)のうち必要な方のみ
を算出するようにすれば足りる。なお、上式で得られる
燃料付着率(a)および燃料蒸発率(b)を教師信号と
して学習させてニューラルネットワークで直接前記a、
bを推定して、このa、bから燃料噴射量の補正係数
(Cgf)を算出するようにしてもよい。
【0159】また、このように燃料種別判別部24にお
いて、燃料種別の判断を確実にするために、燃料特性算
出部24bには算出した燃料付着率(a)および燃料蒸
発率(b)を順次記憶して行く記憶部を設けておき、種
別判別部24cがこの順次記憶された複数の燃料付着率
(a)および燃料蒸発率(b)を用いて燃料の種別を判
別するようにしてもよい。
【0160】また、かかる燃料種別判別部24を有する
空燃比制御装置においても、図37で示したような判別
許可部111を設けることができる。この場合、空燃比
センサは第1の設定温度以下では働かないので空燃比セ
ンサの入力を必要とする燃料種別判別部23は第1の設
定温度以下では燃料種別の判別を行わない。従って、燃
料補正量算出部33では、専ら前回の運転時に燃料種別
記憶部100に記憶された燃料種別を用いて燃料噴射量
の補正係数(Cgf)を算出することとなる。
【0161】(実施の形態10)実施の形態9では、燃
料種別に応じて特に始動時の燃料噴射量を制御するもの
であったが、ここでは、始動時か否かにかかわらず燃料
種別を空燃比制御に反映させることのできる空燃比制御
装置を示す。図43に本実施の形態に係る空燃比制御装
置の機能ブロック図を示す。この空燃比制御装置は状態
検出部10、空燃比推定部20c、燃料補正量算出部3
0、燃料種別検出部120により構成される。この空燃
比制制御装置が実施の形態1の空燃比制御装置と異なる
のは、燃料種別検出部120が設けられている点、状態
検出部が空燃比も検出している点、空燃比推定部20c
がこの燃料種別検出部120の出力値と空燃比(A/
F)を入力としている点である。
【0162】燃料種別検出部120は、エンジンに使用
されている燃料種別を検出する。燃料種別の検出は、上
述した図32に示す空燃比制御装置の燃料種別判別部2
3と同様にニューロを用いて推定したり、直接、ガソリ
ンに超音波をあて伝達速度から密度を計測することによ
り検出する等の方法で行う。また、燃料種別検出部12
0は燃料種別に応じた値(Gs)を出力する。具体的に
は、燃料種別を揮発性の高さに応じて3つのグループに
分け、揮発性の高いグループほど大きな数値(Gs)を
与えて出力する。
【0163】空燃比推定部20cは、状態検出部10が
検出した物理量(Ne、Pb、A/F・・・)と、燃料
種別検出部120が検出した燃料種別に応じた数値を入
力パラメータとして、ニューラルネットワークにより、
空燃比を推定する。図44にこのニューラルネットワー
クの学習過程を示す摸式図を示す。図に示すように、入
力するパラメータとして状態検出部10で検出した物理
量(Ne、Pb、A/F・・・)と、実際に使用した燃
料の種別に応じた値Gsを用い、空燃比センサが検出し
た空燃比(A/F)を教師データとするニューラルネッ
トワークを構成し、推定値と教師データとの偏差を小さ
くするようにバックプロパゲーション法によってニュー
ラルネットワークの構成を変更していく。なお、ここで
は燃料の種別に応じた値として上述のような値を用いた
が、これはT50等を用いてもよい。これにより、燃料
種別を考慮して空燃比を推定するニューラルネットワー
クを得ることが出来る。
【0164】かかる構成の空燃比制御装置の動作を簡単
に説明すると、まず、車が走行中に状態検出部10がエ
ンジン回転数(Ne)、吸入空気圧(Pb)、前回の制
御周期における空燃比(A/F)・・・等の物理量を検
出する。同時に、燃料種別検出部120は、燃料の種別
を検出し、この燃料の種別に応じた値(Gs)を出力す
る。次に空燃比推定部20がこの検出された複数の物理
量(Ne、Pb、A/F・・・)と、燃料種別に応じた
値(Gs)を入力パラメータとしてニューラルネットワ
ークにより空燃比(A/F)を推定し出力する。推定さ
れた空燃比(A/F)を用いて燃料補正量算出部30は
燃料噴射量の補正量(ΔGf)を算出する。算出された
燃料噴射量の補正量(ΔGf)と、前述した基本燃料噴
射量演算部1により算出された(Gfb)とが足し合わ
されることによって実際の燃料噴射量(Gf)が算出さ
れ、インジェクタIへと出力されて、この量の燃料がエ
ンジンEへと噴射される。このような動作により燃料種
別に応じた空燃比制御が可能となる。
【0165】(実施の形態11)空燃比の制御を燃料噴
射量を補正することによって行うと、燃料噴射量を噴き
すぎた場合には失火する。すると空燃比センサの出力は
エンジン内の空燃比が低いにもかかわず高い空燃比を出
力する。これによって、例えばエンジンの始動時におけ
る空燃比センサの出力は失火が生じなければ図45
(a)のように、単調に目標値に近付くが、失火が生じ
ると空燃比センサの出力は図45(b)のように振動成
分が混入する。このような入力パラメータが制御対象に
振動成分を加える要因となる制御系においては、振動の
収束度合を予測して、これに応じて入力パラメータを補
正することによって振動を早く収束させることができる
と考えられる。
【0166】このように入力パラメータが制御対象に振
動成分を加える要因となる制御系において、この振動成
分を早期に収束させるための振動補正制御装置の一般的
な構成を図46に示す。この振動補正制御装置は制御対
象の収束度合を、制御対象Zに関連するパラメータを入
力としてニューラルネットワークにより推定する収束度
合推定部310と、推定された収束度合を用いて、制御
対象が早く収束するように入力パラメータの補正量を算
出する補正量算出部320とよりなる。
【0167】具体的な例として、空燃比制御装置を考え
る。図47にその構成を示す。この空燃比制御装置は、
状態検出部10、失火度合推定部25、燃料補正量算出
部34、始動状態判断部130、燃料補正量算出許可部
140によって構成されている。失火度合推定部25、
燃料補正量算出部34がそれぞれ上記、収束度合推定部
310、補正量算出部320に該当する。
【0168】状態検出部10はニューラルネットワーク
に入力する制御対象に関連するパラメータを検出する部
分であり、ここでは実施の形態1と同様の構成によりエ
ンジンEの状態を表す複数のパラメータを検出する。失
火度合推定部25は、状態検出部10によって検出され
た複数のパラメータを入力としてニューラルネットワー
クを用いて、エンジンEの失火度合を推定する部分であ
る。エンジンEの失火度合とは、ここではエンジンEの
排気弁直後または排気管集合部に設けた空燃比センサ出
力の収束度合をいう。
【0169】この失火度合(R)は種々の方法で表すこ
とができる。例えば、図45(b)において空燃比セン
サ出力の変化率が負から正に変わる点を境にして所定時
間幅dにおける負の変化率部分の変化量Δmと正の変化
率部分の変化量Δpのそれぞれの絶対値の和をもって失
火度合(R)とすることができる。また、変化率が正の
部分におけるサンプリング時間における接線の傾きを失
火度合(R)とすることも可能である。
【0170】この失火度合(R)を推定するニューラル
ネットワークの学習過程を図48に示す。この図は基本
的に図5に示すA/Fを推定するニューラルネットワー
クの学習過程とほぼ同様である。相違するのは空燃比セ
ンサ出力から失火度合算出部1cによって失火度合
(R)に変換されて出力されたものが教師データとなっ
ている点である。失火度合算出部1cでは空燃比センサ
からの出力が単調に減少している間は失火度合として0
を出力し、空燃比センサからの出力が増加になったとこ
ろで、サンプリング時刻における空燃比センサの出力の
増加率ΔA/Fを算出し、これを失火度合の値として出
力する。ΔA/Fは採取したA/Fを微分することによ
って行う。なお、失火度合として空燃比センサ出力の変
化率が負から正に変わる点を境にして所定時間幅dにお
ける負の変化率部分の変化量Δmと正の変化率部分の変
化量Δpのそれぞれの絶対値の和を用いる場合は、ΔA
/Fの代わりに、ΔmとΔpの和を算出してこれを正の
変化率部分の失火度合として出力することとなる。
【0171】図48の構成によってニューラルネットワ
ークを学習させる際には、自動車を止めた状態から定常
状態になるまで運転し、始動時の学習用データを採取し
て失火度合算出部1cによって失火度合(R)を算出す
る。これを複数のパラメータをニューラルネットワーク
に入力して、出力として推定された失火度合の推定量
(RNN)と比較してその偏差eを検出し、この偏差eを
小さくするようにバックプロパゲーション法によってニ
ューラルネットワークの構成を変えていくことによって
学習してゆく。
【0172】燃料補正量算出部34は失火度合推定部2
5で推定された失火度合から燃料噴射量の補正量(ΔG
f)を算出する部分であり、サンプリング時刻における
接線の傾きを失火度合(R)としているときは、燃料噴
射量の補正量(ΔGf)を次式より算出する。
【0173】
【数17】
【0174】このK5は実験等によって得られる定数で
ある。また、空燃比センサ出力の変化率が負から正に変
わる点を境にして所定時間幅dにおける負の変化率部分
の変化量Δmと正の変化率部分の変化量Δpのそれぞれ
の絶対値の和を失火度合(R)としているときは、燃料
噴射量の補正量(ΔGf)は次式で算出される。
【0175】
【数18】
【0176】このK6も実験等によって得られる定数で
ある。始動状態判断部130は、状態検出部10によっ
て検出されたパラメータの少なくとも1つから、エンジ
ンEが始動状態であるか否かを判断する部分であり、こ
こではパラータとしてエンジンEの冷却水の水温(T
w)を用いて、この冷却水の水温が所定の値以下、ここ
では50℃以下の場合に失火度合推定部25はエンジン
Eは始動状態にあると判断する。
【0177】燃料補正量算出許可部140は、始動状態
判断部130によりエンジンEが始動状態であると判断
された場合にのみ燃料補正量算出部34に燃料噴射量の
補正量の算出を許可する部分である。以上の構成を有す
る空燃比制御装置の動作について以下に説明する。図4
9にこの空燃比制御装置の1制御周期の動作を表すフロ
ーチャートを示す。まず、自動車が運転されると、状態
検出部10がエンジンEの状態を表す物理量を検出する
(s701)。次に、失火度合推定部25が検出された
複数の物理量をパラメータとしニューラルネットワーク
へ入力して失火度合を推定する(s702)。一方、始
動状態判断部130が状態検出部10から検出されてパ
ラメータの少なくとも1つからエンジンEが始動状態で
あるか否かを判断する。ここでは、パラメータとして冷
却水温(Tw)が50℃以下か否かによってエンジンE
が始動状態であるか否かを検出する(s703)。
【0178】ここで、冷却水温(Tw)が50℃以下で
あれば始動状態判断部130は燃料補正量算出許可部1
40にその旨の信号を出力し、これを受けた、燃料補正
量算出許可部140は燃料補正量算出部34に演算を許
可する(s704)。演算を許可された燃料補正量算出
部34は失火度合推定部25により推定された失火度合
を用いて燃料噴射量の補正量(ΔGf)を算出する(s
705)。算出された燃料噴射量の補正量(ΔGf)
が、基本燃料噴射量(Gfb)に足し合わされて、実際
の燃料噴射量(Gf)が算出され、この量の燃料がイン
ジェクタIから噴射される。
【0179】また、冷却水温(Tw)が50℃を越える
場合は始動状態判断部130はエンジンEは始動時でな
いと判断し、燃料補正量算出許可部140にその旨の信
号を出力する。これを受けた燃料補正量算出許可部14
0は燃料補正量算出部34に燃料補正量の算出を許可せ
ず(s706)、結果として燃料噴射量の補正量(ΔG
f)は算出されない。
【0180】なお、ここで挙げた空燃比制御装置では始
動状態判断部130および燃料補正量演算部90を設け
始動時のみに限って作動するように構成したが、始動状
態判断部130および燃料補正量演算部90を省く構成
とすることも可能である。その際には失火度合推定部2
5のニューラルネットワークを、学習過程において始動
時のみならず、さまざまな運転パターン下での失火度合
を学習するようにしておけばよい。
【0181】
【発明の効果】以上のことより、本発明は以下のような
効果を奏する。まず、本発明に係る、状態検出手段と、
空燃比検出センサと、燃料補正量算出手段とを有する空
燃比制御装置においては、状態検出手段により検出され
たエンジンの状態を表わす低温時でも検出可能な複数の
物理量が、パラメータとして空燃比推定手段に入力さ
れ、空燃比推定手段はこれらのパラメータにより空燃比
を推定する。そして、燃料補正量算出手段が、この推定
された空燃比から燃料噴射量の補正量を算出する。
【0182】かかる動作によって、空燃比センサの働か
ないような低温時でも、ニューラルネットワークにより
空燃比が推定でき、これから適切な燃料補正量が算出で
きるので、低温時でもニューラルネットワークによる空
燃比制御を行うことが可能となり、また、空燃比センサ
の劣化を考慮する必要がなくなる。また、さらに燃料噴
射量の時系列データを格納する時系列データ格納手段を
設け、これを前記空燃比推定手段に入力するパラメータ
に加えると、燃料噴射量の時系列データは空燃比の変化
に大きな影響を及ぼすため、空燃比の推定の精度が上が
ることになる。
【0183】上記空燃比制御装置に、パラメータ範囲判
定手段と、パラメータ変換手段とを設けると、パラメー
タ範囲判定手段が、前記空燃比推定手段に入力される少
なくとも1つのパラメータの値が、そのパラメータに対
して予め設定された範囲内にあるか否かを判定し、パラ
メータ変換手段が、予め設定された範囲内にないと判定
されたパラメータの値を予め設定された値に置き換え
る。このような動作により、ニューラルネットワークに
入力されるパラメータが予想外の値である場合、パラメ
ータが予め適当に定めた所定の値に変換されてニューラ
ルネットワークに入力されるので、推定される空燃比が
良好の精度に保たれる。
【0184】そして、上記予め設定された値を、前記ニ
ューラルネットワークの学習において入力された、当該
パラメータとなる物理量の値の最大値と最少値とに基づ
いて決定されるようにすると、ニューラルネットワーク
の動作が保証できない、学習範囲外のパラメータを適切
な値に変換でき、やはり、推定される空燃比の精度を一
定に保つことができる。
【0185】さらに、上記空燃比制御装置に、過渡状態
量検出手段と、燃料補正量調整手段を設けると、過渡状
態検出手段がエンジンの過渡状態量を検出し、燃料補正
量調整手段が検出された過渡状態量に基づいて前記燃料
補正量算出手段で得られた燃料噴射量の補正量を調整す
る。これにより、定常時には燃料噴射量を補正すること
を抑えれば、ニューラルネットワークの入力パラメータ
に空燃比を加えないことによる定常時のバイアスに対処
でき、過渡時には適切な空燃比制御を行うことが可能と
なる。
【0186】また、上記過渡状態検出手段が状態検出手
段で得られる少なくとも1のパラメータの変化量や空燃
比算出手段によって推定される空燃比の変化量に基づい
て過渡状態量を検出するようにすれば、新たなセンサ等
を設けることなく過渡状態量を検出することができる。
さらに、前記過渡検出手段を空燃比センサと、この空燃
比センサの出力値の変化量に基づいて過渡状態量を検出
する過渡状態演算手段とにより構成するようにすれば、
空燃比センサが空燃比を計測し、過渡状態演算手段がこ
の空燃比の変化量を演算するので、空燃比の変化量から
エンジンの過渡状態量を算出することができる。
【0187】そして、上記空燃比推定手段に用いられる
ニューラルネットワークを、学習過程において空燃比セ
ンサの出力が超リーン状態であって燃料噴射量との整合
性がない場合に空燃比は超リッチ状態であるする情報を
含む教師データを用いて学習させたものを用いると、失
火等により学習時の空燃比センサの出力が実際の空燃比
と異なっていても実際の空燃比に追従したニューラルネ
ットワークの学習をすることができるので、得られるニ
ューラルネットワークは適正に空燃比を推定することが
できるようになる。
【0188】それから、前記空燃比推定手段に、エンジ
ンに使用されている燃料種別を検出する燃料種別検出手
段を設け、これにより検出された燃料種別の性質に応じ
た数値を空燃比推定手段に入力するパラメータに含むよ
うににすれば、車の使用者が選択する燃料の種別に応じ
た空燃比制御が可能となる。さらに、状態検出手段と、
流入空気重量推定手段と、燃料補正量算出手段とよりな
る本発明に係る空燃比補助制御装置では、燃料噴射量と
空燃比と含むエンジンの状態を表す複数のパラメータが
状態検出手段によって検出され、流入空気重量推定手段
が、検出された複数のパラメータの内少なくとも2以上
を入力としてニューラルネットワークにより気筒流入空
気重量推定し、燃料補正量算出手段が状態検出手段で検
出される燃料噴射慮および空燃比と、流入空気重量推定
手段によって推定された気筒流入空位重量とから、燃料
噴射量の補正量を算出する。
【0189】このようにニューラルネットワークによっ
て流入空気重量を推定するような構成とすることによ
り、ニューラルネットワークによって直接燃料噴射量の
補正量を算出する構成と比較して試行錯誤する割合が減
り、学習時に精度が得られない場合であってもどこに問
題があるのかをより容易に判断できるので、開発工程を
少なくすることができて開発コストおよび開発時間の削
減に資することができる。
【0190】また、状態検出手段と、変化量推定手段
と、燃料補正量算出手段と、よりなる本発明に係る空燃
制御装置においては、状態検出手段において検出された
低温時でも検出可能な複数のパラメータが、変化量算出
手段のニューラルネットワークに入力されて、このニュ
ーラルネットワークを用いて空燃比に関するパラメータ
が推定され、燃料補正量算出手段により推定された空燃
比に関するパラメータの変化量から燃料噴射量の補正量
が算出される。
【0191】このように空燃比に関するパラメータの変
化量をニューラルネットワークを用いて推定し、この推
定された変化量から燃料噴射量の補正量を算出するよう
にしているため、即ち、変化量は定常時のバイアスがあ
っても影響されないので、燃料噴射量の補正量から定常
時のバイアスの影響を排除することができ、しかも、低
温時でも検出可能なパラメータのみをニューラルネット
ワークの入力項としているため、エンジンの低温時、特
に始動時においても空燃比の制御が適切に行われること
となるので、エンジンの低温時における排気ガス中の有
害ガスを削減することが可能となる。
【0192】そして、上記変化量推定手段が、まず空燃
比に関するパラメータの状態量をニューラルネットワー
クを用いて推定し、この推定した状態量から変化量を算
出するようにすれば、推定された空燃比に関するパラメ
ータの状態量を他の制御装置の入力パラメータとして利
用することが可能となる。さらに、上記空燃比に関する
パラメータを空燃比そのものとすることにより、燃料噴
射量の補正量を最も精度よく算出することができる。
【0193】それから、上記変化量推定手段で用いられ
るニューラルネットワークが、学習過程において空燃比
センサの出力が超リーンであって燃料噴射量との整合性
がない場合に、空燃比は超リッチ状態であるとする情報
を含む教師データを用いて学習したもの用いることとす
ると、やはり、失火等により学習時の空燃比センサの出
力が実際の空燃比と異なっていても実際の空燃比に追従
したニューラルネットワークの学習をすることができる
ので、適正に空燃比に関するパラメータの変化量を推定
することができる。
【0194】さらに、状態検出手段と、空燃比推定手段
と、空燃比センサと、センサ特性判定手段とを有する本
発明に係る異常・劣化検出手段では、状態検出手段がエ
ンジンの状態を表わす低温時でも検出可能な複数の物理
量を検出し、空燃比推定手段が、検出された複数の物理
量をパラメータとして入力し空燃比を推定する。一方、
空燃比センサが実際の空燃比を検出する。そして、セン
サ特性判定手段が、空燃比センサ推定手段により推定さ
れた空燃比と、空燃比センサが検出した空燃比とを比較
して、空燃比センサの動特性変化を検出する。
【0195】このような動作により、空燃比センサの動
特性変化を検出でき、この動特性変化から例えば、空燃
比センサを用いてフィードバック制御を行っているシス
テムのフィードバックゲインを適切に調整することがで
きる。上記センサ特性判定手段を、前記空燃比推定手段
により推定された空燃比の時間変化および前記空燃比セ
ンサにより検出された空燃比の時間変化を微分演算する
ことにより それぞれの極値を求め、このそれぞれの極
値の時刻及び値を比較することにより、前記空燃比セン
サの動特性変化として空燃比センサの位相遅れおよびゲ
イン変化を求めるようにすれば、これをそのまま用い
て、フィードバックゲインの調整を行うことができる。
【0196】また、前記センサ特性判定手段を、前記状
態検出手段より検出された少なくとも1つ物理量、前記
空燃比推定手段により推定された空燃比、前記空燃比セ
ンサにより検出された空燃比をパラメータとして入力
し、ニューラルネットワークを用いて前記空燃比センサ
の動特性変化を推定するようにすれば、上記の位相遅れ
やゲイン変化の他に必要に応じて種々の動特性の変化を
推定することができ、これを用いてシステムの調整を広
範に行うことができる。
【0197】さらに、前記空燃比推定手段に、排気管内
における触媒より前の空燃比を推定させ、前記空燃比セ
ンサに、排気管内における触媒より後の空燃比を検出さ
せて、前記センサ特性判定手段を、前記空燃比推定手段
により推定された空燃比と、前記空燃比センサにより検
出された空燃比を比較することにより触媒の劣化を検出
する触媒劣化検出手段に置換すれば、触媒の劣化を検出
でき、例えば車の使用者に触媒の交換を促すことができ
る。
【0198】また、状態検出手段と、空燃比センサと、
運転状態判定手段と、応答時間検出手段と、空燃比推定
手段と、燃料補正量算出手段とを有する空燃比制御装置
では、状態検出手段がエンジンの状態を表す低温時でも
検出可能な複数の物理量を検出し、空燃比センサが空燃
比を検出する。そして、運転状態判定手段がエンジンの
状態を表わす物理量を検出し、この物理量に基づいて、
エンジンが所定の運転状態にあるかどうかを判定し、応
答時間検出手段がエンジンが所定の運転状態であると判
定された場合に、前記状態検出手段により検出された少
なくとも1つの物理量を変更し、その物理量の変更時刻
から前記空燃比センサが検出する空燃比が変動するまで
の応答時間を計測して記憶する。さらに、空燃比推定手
段が検出された複数の物理量と、記憶された応答時間を
パラメータとして入力し、ニューラルネットワークを用
いて空燃比を推定し、燃料補正量算出手段が推定された
空燃比から燃料噴射量の補正量を算出する。
【0199】このような動作によって、エンジンが所定
の運転状態となるたびに、空燃比センサの応答時間が検
出され、この応答時間を加味してニューラルネットワー
クにより空燃比が推定される。従って、空燃比センサが
劣化して応答時間が遅延するようになっても、適切な空
燃比が出力され、この空燃比に基づいて正しい燃料補正
量を算出することができる。
【0200】そして、上記空燃比推定手段に用いられる
ニューラルネットワークを、劣化しているセンサを用い
て得られた学習データに対して、劣化の無い空燃比セン
サの出力値を教師信号としてニューロ学習を行ったもの
を用いると、空燃比センサの劣化による応答時間の遅れ
を調整して空燃比が推定され、適切な空燃比制御を行う
ことができる。
【0201】それから、状態検出手段と、燃料種別判定
手段と、運転状態判定手段と、燃料補正量算出手段とを
有する本発明に係る空燃比制御装置では、状態検出手段
が、エンジンの状態を表す複数の物理量を検出し、燃料
種別判定手段が検出された複数の物理量をパラメータと
して入力し、ニューラルネットワークを用いて燃料の種
別を判定する。そして、運転状態判定手段がエンジンの
状態を表わす物理量を検出し、この物理量に基づいてエ
ンジンが所定の状態にあるかどうかを判定し、燃料補正
量算出手段がエンジンが所定の状態にある場合に、前記
燃料種別判別手段により判別された燃料種別に基づき燃
料噴射量の補正量を算出する。
【0202】このような動作により、ニューラルネット
ワークによりエンジンに使用されている燃料の種別が判
別され、この燃料種別に応じてエンジンか所定の状態に
ある場合の燃料噴射量の補正量が算出される。従って、
車の使用者が選択する燃料の性質に応じた適切な空燃比
制御を行うことができる。そして、上記状態検出手段
が、エンジンの状態を表わす物理量として、点火プラグ
への通電からエンジン内の混合気が完全爆発するまでの
クランク数を検出し、上記運転状態判定手段が、エンジ
ンの状態を表わす物理量として、点火プラグへの通電を
検出し、この物理量に基づいてエンジンが始動状態にあ
るか否かを判定するようにすれば、燃料の種別と相関関
係の強い点火プラグの通電からエンジン内の混合気が完
全爆発するまでのクランク数をニューラルネットワーク
のネットワークのパラメータとすることでより推定精度
をあげることができ、燃料種別ごとに燃量噴射量の調整
が特に必要な始動時に、適切な燃料噴射量の調整を行う
ことができる。
【0203】さらに、前記状態検出手段が、エンジンの
状態を表わす前記物理量として、エンジンのバッテリー
電圧を検出するようにすれば、上記のクランク数に影響
を与えるバッテリー電圧も加味してニューラルネットワ
ークが燃料種別を検出するので、より正確な燃料種別の
推定を行うことができる。それから、前記運転状態判定
手段が、エンジン温度検出部により、エンジンの状態を
表わす前記物理量としてエンジンの温度を検出し、エン
ジン温度判定部により、エンジンの温度が第1の設定温
度以下にある状態であるか否かを判定するようにし、前
記燃料補正量算出手段が、前記エンジン温度検出部によ
り検出されたエンジンの温度も加味して燃料噴射量の補
正量を算出するようにすれば、第1の設定温度を適切に
設定することにより、空燃比センサが働かずフィードバ
ック制御をすることができない温度域において、燃料種
別とエンジン温度から適切な空燃比制御ができることに
なるので、低温時の排気ガス中の有害ガスを削減するこ
とができる。
【0204】また、エンジンの温度が定められた第2の
設定温度以下の時のみ前記燃料種別判別手段による判別
を許可する判別許可部を設けると、判定許可部はエンジ
ン温度が定められた第2設定温度以下の場合のみ上記燃
料種別判別手段による判別を許可するので、第2設定温
度を適切に定めれば、燃料種別による燃料の性状の差異
が顕著な温度域でのみニューラルネットワークによる燃
料種別判別が行われることになり、判定精度を向上させ
ることができるとともに、温度領域が限定されるために
ニューラルネットワークの学習過程における学習データ
量を少なくすることができ、開発時間を短縮することが
可能となる。
【0205】そして、上記空燃比制御装置において、さ
らに、前記燃料種別判定手段により判定される燃料種別
を更新される度に記憶する燃料種別記憶手段を設け、前
記燃料補正量算出手段はエンジンの始動時点において前
記燃料種別記憶手段に記憶された燃料種別に基づいて、
燃料噴射量の補正量を算出するようにすると、エンジン
を停止状態から始動させる一番最初の燃料噴射量も、燃
料の種別に応じて調整でき、始動時の空燃比を適切に制
御することができる。
【0206】それから、前記状態検出手段に、少なくと
も燃料噴射量と空燃比を物理量として検出させるように
し、前記燃料種別判定手段を、流入空気重量推定部と、
燃料特性算出部と、種別判別部とにより構成するように
すれば、流入空気重量推定部が状態検出手段によって検
出された複数の物理量をパラメータとして入力し、気筒
流入空気重量をニューラルネットワークにより推定し、
燃料特性算出部が状態検出手段により検出された燃料噴
射量および空燃比と、流入空気重量推定部により推定さ
れた気筒流入空気重量とより燃料の蒸発率または燃料の
付着率もしくはこの両方を算出し、種別判別部が燃料算
出部により算出された燃料の蒸発率または燃料の付着率
もしくはこの両方から燃料の種別を判別する。
【0207】このように、ニューラルネットワークで流
入空気重量を推定するようにすると、やはり学習時に精
度が得られない場合であってもどこに問題があるのかを
より容易に判断できるので、開発工程を少なくすること
ができて開発コストおよび開発時間の削減に資すること
ができる。また、前記燃料特性算出部が燃料の蒸発率お
よび燃料の付着率の両方を算出するようにし、さらに、
算出値記憶部を設け、前記種別判別部が算出値記憶部で
記憶された複数の燃料の蒸発率および燃料の付着率から
燃料の種別を判別するようにすれば、複数の算出結果に
基づいて燃料種別が判別されるので誤判断をする確率を
減らすことができ、より正確な空燃比制御が可能とな
る。
【0208】そして、この空燃比制御装置において、前
記燃料種別判定手段を空燃比推定部と、空燃比センサ
と、燃料種別推定部とにより構成すると、空燃比推定部
が基準となる種別の燃料を用いてエンジンを作動させた
場合の前記状態検出部により検出された物理量をパラメ
ータとして入力して学習したニューラルネットワークを
用いて、前記状態検出部により検出された物理量をパラ
メータとして入力し空燃比を推定し、一方、空燃比セン
サが空燃比を検出する。そして、燃料種別推定部が前記
空燃比推定部により推定された空燃比と、前記空燃比セ
ンサにより検出された空燃比を用いて燃料種別を推定す
る。かかる動作によっても燃料種別を推定することが可
能である。
【0209】それから、本願発明に係る収束度合推定手
段と、振動補正手段とを有する振動補正制御装置におい
ては、収束度合推定部が制御対象に関連するパラメータ
を入力としてニューラルネットワークにより推定し、補
正量算出手段が推定された収束度合を用いて、制御対象
が早く収束するように入力パラメータの補正量を算出す
る。
【0210】このような動作により入力パラメータが制
御対象に振動成分を加える要因となる制御系において、
振動成分が生じた時にこれを迅速に収束させることがで
きる。また、状態検出手段と、失火度合推定手段と、燃
料補正量算出手段とよりなる本発明に係る空燃比補助制
御装置では、状態検出手段がエンジンの状態を表す複数
のパラメータを検出し、失火度合推定手段が状態検出手
段で検出された複数のパラメータを入力としてニューラ
ルネットワークを用いてエンジンの失火度合を推定し、
補正量算出手段が失火度合推定手段で得られた失火度合
から燃料噴射量の補正量を算出する。
【0211】このように燃料噴射量を推定された失火度
合に応じて修正することにより、エンジンの失火を防
ぎ、且つ失火による有害な排出ガスを低減することがで
きる。また、エンジンのノックを防ぐこともできるので
自動車の乗り心地を良くするという効果も奏する。この
ような構成に、さらに、始動状態判断手段と、燃料補正
量算出許可手段とを設けると、始動状態判断手段が状態
検出手段により検出された複数のパラメータの少なくと
も一つから、エンジンが始動状態であるか否かを判断
し、燃料補正量算出許可手段が、始動状態判断手段によ
りエンジンが始動状態であると判断された場合にのみ燃
料補正量算出手段に燃料噴射量の補正量の算出を許可す
る。
【0212】つまり、特に失火が生じ易く、また、失火
が不安定な始動時に限定して失火を防ぎ、失火のあまり
問題とならない運転状態では失火の制御を行わせる必要
がないので、ニューラルネットワークにおける失火度合
の学習が始動時のみ行えば足りることとなり、開発工程
を削減することが可能となる。そして、失火度合推定手
段で用いられるニューラルネットワークが、学習過程に
おいてエンジンが始動状態から定常状態になるまでの間
に、空燃比センサ出力の変化率が負の時は失火度合を0
とする情報を含む教師データを用いて学習させると、失
火の生じていない状態を適切に推定するニューラルネッ
トワークを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る制御装置全体の構成を示す図
である。
【図2】エンジンコントロールユニットのハードウエア
構成を示す図である。
【図3】エンジンコントロールユニットの構成を示す機
能ブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る空燃比制御装置の機能ブロ
ック図である。
【図5】空燃比推定部のニューラルネットワークの学習
過程を示す摸式図である。
【図6】(a)は過渡時におけるフィードバック制御に
よる空燃比制御の結果を示す図であり、(b)は過渡時
における実施の形態1に係る空燃比制御装置による空燃
比制御の結果を示す図である。
【図7】失火を考慮した空燃比推定部のニューラルネッ
トワークの学習過程を示す摸式図である。
【図8】失火時における空燃比の変化の一例を示す図で
ある。
【図9】は失火時における空燃比の変化の他の例を示す
図である。
【図10】実施の形態2に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図11】実施の形態2に係る空燃比制御装置の動作を
示すフローチャートである。
【図12】(a)は学習範囲外の入力データに基づいて
推定した空燃比と、実際の空燃比を比較する図であり、
(b)は学習範囲外の入力データを変換してから推定し
た空燃比と、実際の空燃比を比較する図である。
【図13】(a)は空燃比センサ入力のあるニューラル
ネットワークで空燃比を推定した場合の推定空燃比と教
師データを比較した図であり、(b)は空燃比センサ入
力のないニューラルネットワークで空燃比を推定した場
合の推定空燃比と教師データを比較した図である。
【図14】(a)は空燃比センサ入力のあるニューラル
ネットワークの構成を示す図であり、(b)は空燃比セ
ンサ入力のないニューラルネットワークの構成を示す図
である。
【図15】実施の形態3に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図16】は施の形態3に係る空燃比制御装置の他の例
を示す機能ブロック図である。
【図17】実施の形態3に係る空燃比制御装置の他の例
を示す機能ブロック図である。
【図18】実施の形態4に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図19】変化量推定部のニューラルネットワークの学
習過程を示す摸式図である。
【図20】実施の形態5に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図21】流入空気重量推定部のニューラルネットワー
クの学習過程を示す摸式図である。
【図22】は実施の形態6に係る異常・劣化検出装置を
含む空燃比制御装置を示す機能ブロック図である。
【図23】(a)はセンサ特性判定部の構成を示す図で
あり、(b)は推定空燃比と検出された空燃比の特性の
相違している状態を示す図である。
【図24】(a)は空燃比センサの動特性が変化した状
態でフィードバック制御による空燃比制御をした結果を
示す図であり、(b)は空燃比センサの動特性の変化に
応じてフィードバックゲインを変化させてフィードバッ
ク制御による空燃比制御をした結果を示す図である。
【図25】実施の形態6に係る異常・劣化検出装置を含
む空燃比制御装置の他の例を示す機能ブロック図であ
る。
【図26】実施の形態7に係る異常・劣化検出装置を含
む空燃比制御装置を示す機能ブロック図である。
【図27】触媒前の空燃比と触媒後の空燃比の検出位置
を示す図である。
【図28】実施の形態8に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図29】空燃比推定部のニューラルネットワークの学
習過程を示す摸式図である。
【図30】実施の形態8に係る空燃比制御装置の動作を
示すフローチャートである。
【図31】(a)は従来の空燃比制御装置による空燃比
制御の結果を示す図であり、(b)は実施の形態8に係
る空燃比制御装置による空燃比制御装置による空燃比制
御の結果を示す図である。
【図32】実施の形態9に係る空燃比制御装置を示す機
能ブロック図である。
【図33】燃料種別判別部のニューラルネットワークの
学習過程を示す摸式図である。
【図34】実施の形態9における燃料種別判別部の他の
構成例を示す図である。
【図35】実施の形態9のおける燃料補正量演算部で用
いられるマップを示す図である。
【図36】実施の形態9に係る空燃比制御装置の動作を
示すフローチャートである。
【図37】判別許可部を設けた実施の形態9に係る空燃
比制御装置を示す機能ブロック図である。
【図38】判別許可部を設けた実施の形態9に係る空燃
比制御装置の燃料種別記憶までの動作を示すフローチャ
ートである。
【図39】クランク数検出部等を設けた実施の形態9に
係る空燃比制御装置を示す機能ブロック図である。
【図40】噴射燃料の付着挙動モデルを示した模式図で
ある。
【図41】実施の形態9に係る空燃比制御装置の他の例
を示す図である。
【図42】(I)は燃料種別判別部に用いられるテーブ
ルの一部を示す図であり、(II)は燃料種別判別部に用
いられるテーブルの他の一部を示す図である。
【図43】実施の形態10に係る空燃比制御装置を示す
機能ブロック図である。
【図44】空燃比推定部のニューラルネットワークの学
習過程を示す摸式図である。
【図45】(a)は失火のない場合の空燃比の変化を示
す図であり、(b)は失火が生じた場合の空燃比の変化
を示す図である。
【図46】実施の形態11に係る振動補正制御装置を示
すブロック図である。
【図47】実施の形態11に係る空燃比制御装置を示す
ブロック図である。
【図48】失火度合推定部のニューラルネットワークの
学習過程を示す図である。
【図49】実施の形態に係る空燃比制御装置の動作を示
すフローチャートである。
【図50】従来の空燃比制御装置の構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
1 基本燃料噴射量演算部 2 空燃比補助制御演算部 3 A/D変換部 4 時系列データ格納部 10 状態検出部 10a 空燃比検出部 20、20a、20b、20c 空燃比推定部 21 変化量推定部 22 流入空気重量推定部 23、24 燃料種別判別部 24a 流入空気重量推定部 24b 燃料特性算出部 24c 種別判別部 25 失火度合推定部 30、31、32、33、34 燃料補正量算出部 40a パラメータ範囲判定部 40b パラメータ変換部 50、51、52 過渡状態検出部 52a 空燃比センサ 52b 過渡状態演算部 60 燃料補正量調整部 70、71 センサ特性判定部 70a 極値検出部 70b 極値比較部 72 触媒劣化検出部 80 空燃比センサ 90a 運転状態判定部 90b 応答時間検出部 100 燃料種別記憶部 110 エンジン温度検出部 111 判別許可部 112 クランク数検出部 113 電圧検出部 114 プラグ電圧検出部 120 燃料種別検出部 130 始動状態判断部 140 燃料補正量算出許可部 310 収束度合推定部 320 補正量算出部 201 CPU 202 ROM 203 RAM 204 D/A変換部 C エンジンコントロールユニット E エンジン Z 制御対象
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/34 F02D 41/34 W 45/00 368 45/00 368Z (72)発明者 藤岡 典宏 横浜市港北区網島東四丁目3番1号 松下 通信工業株式会社内

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して燃
    料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助す
    る空燃比制御装置であって、 エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複数の物理
    量を検出する状態検出手段と、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力し、ニ
    ューラルネットワークを用いて空燃比を推定する空燃比
    推定手段と、 推定された空燃比から燃料噴射量の補正量を算出する燃
    料補正量算出手段とを有する空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の空燃比制御装置におい
    て、さらに、 燃料噴射量の時系列データを格納する燃料時系列データ
    格納手段を設け、 前記空燃比推定手段は、入力するパラメータに燃料噴射
    量の前記時系列データを含む空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の空燃比制御装置に
    おいて、さらに、 前記空燃比推定手段に入力される少なくとも1つのパラ
    メータの値が、そのパラメータに対して予め設定された
    範囲内にあるか否かを判定するパラメータ範囲判定手段
    と、 予め設定された範囲内にないと判定されたパラメータの
    値を予め設定された値に置き換えるパラメータ変換手段
    とを設けた空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】 前記パラメータに対して予め設定された
    範囲が、前記ニューラルネットワークの学習において入
    力された、当該パラメータとなる物理量の値の最大値と
    最小値とに基づいて決定される、 請求項3記載の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の空燃
    比制御装置において、さらに、 エンジンの過渡状態量を検出する過渡状態検出手段と、 検出された過渡状態量に基づいて前記燃料補正量算出手
    段で得られた燃料噴射量の補正量を調整する燃料補正量
    調整手段とを設けた空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】前記過渡状態検出手段が、前記状態検出手
    段で得られる少なくとも1つの物理量の変化量に基づい
    て過渡状態量を検出する請求項5記載の空燃比制御装
    置。
  7. 【請求項7】前記過渡状態検出手段が、前記空燃比推定
    手段によって推定される空燃比の変化量に基づいて過渡
    状態量を検出する請求項5記載の空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】 前記過渡状態検出手段が、 空燃比を検出する空燃比センサと、 前記空燃比センサの出力値の変化量に基づいて過渡状態
    量を検出する過渡状態演算手段とよりなる請求項5記載
    の空燃比制御装置。
  9. 【請求項9】 前記空燃比推定手段に用いられるニュー
    ラルネットワークが、学習過程において空燃比センサの
    出力がが超リーン状態であって燃料噴射量との整合性が
    ない場合に空燃比は超リッチ状態であるとする情報を含
    む教師データを用いて学習したものである請求項1〜8
    のいずれか1項記載の空燃比制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の空
    燃比制御装置において、さらに、 エンジンに使用されている燃料種別を検出する燃料種別
    検出手段を設け、 前記空燃比推定手段が、入力するパラメータに検出され
    た燃料種別の性質に応じた数値を含む空燃比制御装置。
  11. 【請求項11】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して
    燃料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助
    する空燃比制御装置であって、 燃料噴射量と空燃比を含むエンジンの状態を表す複数の
    物理量を検出する状態検出手段と、 検出された複数の物理量のうち少なくとも2以上をパラ
    メータとして入力し、ニューラルネットワークを用いて
    気筒流入空気重量を推定する流入空気重量推定手段と、 状態検出手段により検出される燃料噴射量および空燃比
    と、流入空気重量推定手段によって推定された気筒流入
    空気重量とから、燃料噴射量の補正量を算出する燃料補
    正量算出手段とを有する空燃比制御装置。
  12. 【請求項12】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して
    燃料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助
    する空燃比制御装置であって、 エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複数の物理
    量を検出する状態検出手段と、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力し、ニ
    ューラルネットワークを用いて空燃比に関連する物理量
    の変化量を推定する変化量推定手段と、 推定された空燃比に関連する物理量の変化量から燃料噴
    射量の補正量を算出する燃料補正量算出手段とを有する
    空燃比制御装置。
  13. 【請求項13】 前記変化量推定手段は、検出された複
    数の物理量をパラメータとして入力し、ニューラルネッ
    トワークを用いて空燃比に関連する物理量を推定し、こ
    の物理量の変化量を算出することで空燃比に関連するパ
    ラメータの変化量を推定する請求項12記載の空燃比制
    御装置。
  14. 【請求項14】 前記空燃比に関連する物理量が空燃比
    そのものである請求項12又は13記載の空燃比制御装
    置。
  15. 【請求項15】 前記変化量推定手段に用いられるニュ
    ーラルネットワークが、学習過程において空燃比センサ
    の出力が超リーン状態であって燃料噴射量との整合性が
    ない場合に空燃比は超リッチ状態であるとする情報を含
    む教師データを用いて学習したものである請求項12〜
    14のいずれか1項記載の空燃比制御装置。
  16. 【請求項16】 空燃比を一定値に保つ制御系と、この
    制御系に対して燃料噴射量を補正することによって空燃
    比の制御を補助する制御系とよりなる空燃比制御システ
    ムの異常又は劣化を検出する異常・劣化検出装置であっ
    て、 エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複数の物理
    量を検出する状態検出手段と、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力し、ニ
    ューラルネットワークを用いて空燃比を推定する空燃比
    推定手段と、 空燃比を検出する空燃比センサと、 前記空燃比推定手段により推定された空燃比と、前記空
    燃比センサにより検出された空燃比を比較することによ
    り、空燃比センサの動特性変化を検出するセンサ特性判
    定手段とを有する異常・劣化検出装置。
  17. 【請求項17】 前記センサ特性判定手段は、前記空燃
    比推定手段により推定された空燃比の時間変化および前
    記空燃比センサにより検出された空燃比の時間変化を微
    分演算することにより それぞれの極値を求め、このそ
    れぞれの極値の時刻及び値を比較することにより、前記
    空燃比センサの動特性変化として空燃比センサの位相遅
    れおよびゲイン変化を求める請求項16記載の異常・劣
    化検出装置。
  18. 【請求項18】 前記センサ特性判定手段は、前記状態
    検出手段より検出された少なくとも1つ物理量、前記空
    燃比推定手段により推定された空燃比、前記空燃比セン
    サにより検出された空燃比をパラメータとして入力し、
    ニューラルネットワークを用いて前記空燃比センサの動
    特性変化を推定する請求項16記載の異常・劣化検出装
    置。
  19. 【請求項19】 前記空燃比推定手段が、排気管内にお
    ける触媒より前の空燃比を推定し、 前記空燃比センサが、排気管内における触媒より後の空
    燃比を検出し、 前記センサ特性判定手段を、前記空燃比推定手段により
    推定された空燃比と、前記空燃比センサにより検出され
    た空燃比を比較することにより触媒の劣化を検出する触
    媒劣化検出手段に置換した請求項16記載の異常・劣化
    検出装置。
  20. 【請求項20】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して
    燃料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助
    する空燃比制御装置であって、 エンジンの状態を表す低温時でも検出可能な複数の物理
    量を検出する状態検出手段と、 空燃比を検出する空燃比センサと、 エンジンの状態を表わす物理量を検出し、この物理量に
    基づいて、エンジンが所定の運転状態にあるかどうかを
    判定する運転状態判定手段と、 エンジンが所定の運転状態であると判定された場合に、
    前記状態検出手段により検出された少なくとも1つの物
    理量を変更し、その物理量の変更時刻から前記空燃比セ
    ンサが検出する空燃比が変動するまでの応答時間を計測
    して記憶する応答時間検出手段と、 検出された複数の物理量と、記憶された応答時間をパラ
    メータとして入力し、ニューラルネットワークを用いて
    空燃比を推定する空燃比推定手段と、 推定された空燃比から燃料噴射量の補正量を算出する燃
    料補正量算出手段とを有する空燃比制御装置。
  21. 【請求項21】 前記空燃比推定手段に用いられるニュ
    ーラルネットワークが、劣化しているセンサを用いて得
    られた学習データに対して、劣化の無い空燃比センサの
    出力値を教師信号としてニューロ学習を行ったものであ
    る請求項20記載の空燃比制御装置。
  22. 【請求項22】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して
    燃料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助
    する空燃比制御装置であって、 エンジンの状態を表す複数の物理量を検出する状態検出
    手段と、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力し、ニ
    ューラルネットワークを用いて燃料の種別を判定する燃
    料種別判定手段と、 エンジンの状態を表わす物理量を検出し、この物理量に
    基づいてエンジンが所定の状態にあるかどうかを判定す
    る運転状態判定手段と、 エンジンが所定の状態にある場合に、前記燃料種別判別
    手段により判別された燃料種別に基づき燃料噴射量の補
    正量を算出する燃料補正量算出手段とを有する空燃比制
    御装置。
  23. 【請求項23】 前記状態検出手段が、エンジンの状態
    を表わす物理量として、点火プラグへの通電からエンジ
    ン内の混合気が完全爆発するまでのクランク数を検出
    し、 前記運転状態判定手段が、エンジンの状態を表わす物理
    量として、点火プラグへの通電を検出し、この物理量に
    基づいてエンジンが始動状態にあるか否かを判定する請
    求項22記載の空燃比制御装置。
  24. 【請求項24】 前記状態検出手段が、エンジンの状態
    を表わす前記物理量として、エンジンのバッテリー電圧
    を検出する請求項22又は23記載の空燃比制御装置。
  25. 【請求項25】 前記運転状態判定手段は、 エンジンの状態を表わす前記物理量としてエンジンの温
    度を検出するエンジン温度検出部と、 エンジンの温度が第1の設定温度以下にある状態である
    か否かを判定するエンジン温度判定部とを有し、 前記燃料補正量算出手段は、前記エンジン温度検出部に
    より検出されたエンジンの温度も加味して燃料噴射量の
    補正量を算出する請求項22〜24のいずれか1項記載
    の空燃比制御装置。
  26. 【請求項26】 請求項22〜25のいずれか1項記載
    の空燃比制御装置において、さらに、 エンジンの温度が定められた第2の設定温度以下の時の
    み前記燃料種別判別手段による判別を許可する判別許可
    部を設けた空燃比制御装置。
  27. 【請求項27】 請求項22〜26のいずれか1項記載
    の空燃比制御装置において、さらに、 前記燃料種別判定手段により判定される燃料種別を更新
    される度に記憶する燃料種別記憶手段を設け、 前記燃料補正量算出手段はエンジンの始動時点において
    前記燃料種別記憶手段に記憶された燃料種別に基づい
    て、燃料噴射量の補正量を算出する空燃比制御装置。
  28. 【請求項28】 前記状態検出手段が、少なくとも燃料
    噴射量と空燃比を物理量として検出し、 前記燃料種別判定手段が、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力し、気
    筒流入空気重量をニューラルネットワークにより推定す
    る流入空気重量推定部と、 状態検出手段により検出された燃料噴射量および空燃比
    と、流入空気重量推定部により推定された気筒流入空気
    重量とより燃料の蒸発率または燃料の付着率もしくはこ
    の両方を算出する燃料特性算出部と、 上記燃料算出部により算出された燃料の蒸発率または燃
    料の付着率もしくはこの両方から燃料の種別を判別する
    種別判別部とを有する請求項22〜27のいずれか1項
    記載の空燃比制御装置。
  29. 【請求項29】 請求項28記載の空燃比制御装置にお
    いて、 前記燃料特性算出部が燃料の蒸発率および燃料の付着率
    の両方を算出し、 さらに、算出した燃料の蒸発率および燃料の付着率を順
    次記憶していく算出値記憶部を有し、 前記種別判別部が算出値記憶部で記憶された複数の燃料
    の蒸発率および燃料の付着率から燃料の種別を判別する
    空燃比制御装置。
  30. 【請求項30】 前記燃料種別判定手段が、 基準となる種別の燃料を用いてエンジンを作動させた場
    合の前記状態検出部により検出された物理量をパラメー
    タとして入力して学習したニューラルネットワークを用
    いて、前記状態検出部により検出された物理量をパラメ
    ータとして入力し空燃比を推定する空燃比推定部と、 空燃比を検出する空燃比センサと、 前記空燃比推定部により推定された空燃比と、前記空燃
    比センサにより検出された空燃比を用いて燃料種別を推
    定する燃料種別推定部とよりなる請求項22〜27のい
    ずれか1項記載の空燃比制御装置。
  31. 【請求項31】 入力するパラメータが制御対象に振動
    成分を加える要因となる制御系において、振動成分を補
    正する制御装置であって、 制御対象の収束度合を、制御対象に関連する物理量をパ
    ラメータとして入力しニューラルネットワークにより推
    定する収束度合推定手段と、 推定された収束度合を用いて、制御対象が早く収束する
    ように入力するパラメータの補正量を算出する補正量算
    出手段とを有する振動補正制御装置。
  32. 【請求項32】 空燃比を一定値に保つ制御系に対して
    燃料噴射量を補正することによって空燃比の制御を補助
    する空燃比制御装置であって、 エンジンの状態を表す複数の物理量を検出する状態検出
    手段と、 検出された複数の物理量をパラメータとして入力しニュ
    ーラルネットワークを用いて、エンジンの失火度合を推
    定する失火度合推定手段と、 失火度合推定手段で得られた失火度合から燃料噴射量の
    補正量を算出する燃料補正量算出手段とを有する空燃比
    制御装置。
  33. 【請求項33】 請求項32記載の空燃比制御装置にお
    いて、さらに、 状態検出手段により検出された複数の物理量の少なくと
    も一つから、エンジンが始動状態であるか否かを判断す
    る始動状態判断手段と、 始動状態判断手段によりエンジンが始動状態であると判
    断された場合にのみ燃料補正量算出手段に燃料噴射量の
    補正量の算出を許可する燃料補正量算出許可手段とを設
    けた空燃比制御装置。
  34. 【請求項34】 前記失火度合推定手段で用いられるニ
    ューラルネットワークが、学習過程において、エンジン
    が始動状態から定常状態になるまでの間に、空燃比セン
    サ出力の変化率が負の時は失火度合を0とする情報を含
    む教師データを用いて学習したものである請求項32又
    は33記載の空燃比制御装置。
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