JPH1180614A - 熱硬化性粉体塗料組成物 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料組成物

Info

Publication number
JPH1180614A
JPH1180614A JP18749598A JP18749598A JPH1180614A JP H1180614 A JPH1180614 A JP H1180614A JP 18749598 A JP18749598 A JP 18749598A JP 18749598 A JP18749598 A JP 18749598A JP H1180614 A JPH1180614 A JP H1180614A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic elastomer
powder coating
coating composition
thermosetting powder
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP18749598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3902703B2 (ja
Inventor
Takahisa Miyawaki
孝久 宮脇
Yoshio Kikuta
佳男 菊田
Mitsusachi Mizoguchi
光幸 溝口
Hiroyuki Sakayama
裕之 坂山
Takeshi Matsumoto
松本  剛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP18749598A priority Critical patent/JP3902703B2/ja
Publication of JPH1180614A publication Critical patent/JPH1180614A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3902703B2 publication Critical patent/JP3902703B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、耐候性及び外観特性に優れ、特に
車両塗装用途に好適な粉体塗料組成物を提供する。 【解決手段】 アクリル系共重合体を含有する連続相
(海相)と、熱可塑性エラストマーを含有する分散相
(島相)から構成される海島型ミクロ相分離構造を有す
る樹脂組成物(A)、および、硬化剤(B)を含有し、
分散相を構成する熱可塑性エラストマー(a−2)の合
計量が樹脂組成物(A)100重量部を基準として0.
5〜20重量部である熱硬化性粉体塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性粉体塗料
組成物に関し、さらに詳細には、優れた塗膜特性(耐衝
撃性、耐チッピング性、密着性、耐候性等)、及び、塗
膜外観を有し、特に車両塗装用途に好適な焼付塗膜を与
えることのできる熱硬化性粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
[エコロジー等の観点からの塗料の技術分野における研
究開発動向と粉体塗料への期待]従来、物の塗装には溶
剤型の塗料が使用され、自動車用などの厳しい品質が要
求される分野に使用するために、種々の要求を満足させ
る塗料が開発され、使用されてきた。また近年、塗料の
技術分野において、ローカル又はグローバルな環境保
全、労働安全衛生環境改善、火災や爆発の予防、省資源
等の観点から、溶剤型塗料にかわって、粉体型塗料(以
下「粉体塗料」という。)への変更が期待されてきた。
【0003】そして、歴史的又は社会的要請により、粉
体塗料の高機能化・多様化への期待が大きくなるに従
い、粉体塗料にも、溶剤型塗料に匹敵する高度な塗膜性
能(例えば、耐衝撃性、耐酸性雨性等)が要求されるよ
うになってきた。
【0004】しかしながら、粉体塗料に要求される塗膜
性能が厳しくなってきたにもかかわらず、必ずしも、こ
のような要求を完全に満足する粉体塗料が上市されてき
たとはいえない。
【0005】[粉体塗料一般の技術的背景]従来の粉体
塗料の具体例としては、例えば、ビスフェノ−ルAを主
体とするエポキシ樹脂及びポリエステル樹脂粉体塗料が
挙げられる。しかしながら、これらは耐候性に問題があ
るばかりでなく、最近特に問題となってきた酸性雨に対
する耐性にも問題があり、自動車車体塗装等の屋外での
使用を前提とした用途において問題があった。
【0006】その欠点を改良すべく、特公昭48−38
617号においてアクリル系粉体塗料が提案され、顕著
な耐候性の改善が実現した。しかしながら、耐衝撃性、
耐チッピング性の観点からは、このアクリル系粉体塗料
も、従来のポリエステル系粉体塗料と比較して劣ってい
た。すなわち、耐候性、耐衝撃性及び耐チッピング性を
同時に満足する粉体型塗料が、必ずしも上市されている
とはいえなかった。
【0007】このように、耐候性及び耐衝撃性を同時に
満足する粉体塗料が市場から要望され、このような塗料
を上市すべく研究開発も精力的にすすめられてきた。
【0008】[アクリル系粉体塗料塗膜の耐衝撃性の改
良に関する技術的背景]アクリル系粉体塗料に関する開
発経緯の中、例えば、.特開平5−112743号
に、二塩基酸等を混合することにより、また例えば、
.特開昭63−165463号に、アルキルチタネー
トを混合する事により、それぞれ、低温硬化性やリコー
ト性の改善を図る技術が開示された。しかし、いずれ
も、耐衝撃性は二次的な効果にとして挙げているに過ぎ
ず、その効果は必ずしも充分なものではなかった。以
下、両技術、について説明する。
【0009】.特開平5−112743号 ここには、硬化性に優れた粉末形の被覆組成物を得る技
術が開示されている。すなわち、(A)グリシジル基を
含有する共重合体、(B)脂肪族又は脂環式二塩基酸、
その無水物又は二塩基酸のポリオール変性無水物、及
び、(C)場合により顔料及び他の添加剤、を含む粉末
形の被覆組成物が開示されている。この共重合体(A)
は、1,000〜10,000の数平均分子量(Mn)
及び30〜90℃のガラス転移温度を有し、(a)少な
くとも20重量%のグリシジルアクリレート又はグリシ
ジルメタアクリレート、(b)35〜50重量%のスチ
レン、(c)10〜45重量%の脂肪族不飽和モノカル
ボン酸又はジカルボン酸の1又は多数のアルキルエステ
ル、及び、(d)0〜50重量%の不飽和な一又は多数
の他のオレフィン単量体、から得られる共重合体であ
る。
【0010】.特開昭63−165463号 ここには、特定のグリシジル基官能性アクリル樹脂、脂
肪族二塩基酸(無水物)及びアルキルチタネート化合物
を主成分とする、低温で溶融、硬化し、しかも、硬度、
耐衝撃性、耐屈曲性等に優れた塗膜を与える熱硬化性ア
クリル粉体塗料組成物が開示されている。すなわち、
(A)(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜14のアル
キルエステルと、(メタ)アクリル酸のグリシジルエス
テルとを主成分として共重合させて得られるグリシジル
基官能性アクリル樹脂、(B)脂肪族二塩基酸(好まし
くはアジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ム
コン酸等)もしくはその酸無水物、及び、(C)Ti
(OR)4(Rは、炭素原子数15〜20のアルキル
基)で示されるアルキルチタネート化合物(例えばテト
ラペンタデシルチタネート)を主成分とする熱硬化性ア
クリル樹脂粉体塗料組成物が開示されている。
【0011】本発明者らは、例えば自動車等の車両のボ
ディーやシャシー表面のように、走行中に砂利や小石が
大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽
光線や厳しい気象条件に暴露される塗膜について鋭意検
討を重ねた結果、この技術の最も好ましい態様(ベスト
・モード)では、耐衝撃性については優れるものの、耐
チッピング性については劣り、さらには、塗膜外観又は
塗膜の耐候性が劣ることを確認した。すなわち、この粉
体塗料組成物は、上記のような用途には必ずしも適して
いない。
【0012】[熱可塑性エラストマーを含有する塗料塗
膜の耐衝撃性の改良に関する技術的背景]熱可塑性エラ
ストマーを含有する塗料塗膜の耐衝撃性の改良について
は、例えば、以下のような技術〜が開示されてい
る。しかしながら、これらの技術を熱硬化性粉体塗料組
成物やアクリル系熱硬化性粉体塗料組成物に応用するこ
とは困難である。
【0013】.特公平4−74367号及び特公平7
−17721号 ここには、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共
重合体の水素添加物、又は、マレイン酸又はその酸無水
物でグラフト変性されたスチレン・ブタジエン・スチレ
ンブロック共重合体の水素添加物(A)を溶解した不活
性溶媒中で、炭素原子数1〜8のアルキル基又はシクロ
ヘキシル基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル
酸エステルを50重量%以上含有するビニル単量体
(B)を重合して得られる塗料用樹脂組成物〔重量比
(A/B)=2/8〜7/3〕が開示されている。この
塗料用樹脂組成物は、耐候性に優れ、金属やプラスチッ
クの被着に好適とされている。
【0014】しかし、ここには、この塗料用樹脂組成物
を熱硬化性粉体塗料に応用する開示や示唆は一切ない。
また、実際にここに開示されているような組成比で熱可
塑性エラストマー成分を使用し、熱硬化性粉体塗料に応
用しようとしても、被混練物の常温粉砕が困難になるこ
と、粉体塗料の耐ブロッキング性が劣ること、塗膜の外
観や耐候性が損なわれるなどの問題が生じる。
【0015】.特公平4−55630号 ここには、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共
重合体、又は、その水素添加物に、α,β−不飽和カル
ボン酸、又は、その無水物をグラフト重合して得られた
樹脂(A)と、アミノ樹脂、重合性不飽和基含有化合
物、カルボキシル基・水酸基・アミノ基・メチロール基
含有アクリル樹脂、ポリイソシアネート化合物、及び、
ブロック化イソシアネート化合物からなる群から選択さ
れた少なくとも一種からなる架橋剤(B)と、エポキシ
化合物(C)とを必須成分とし、固形分重量比で、A/
B=99/1〜60/40、かつ、(A+B)/C=1
00/1〜100/50としたプライマー組成物が開示
されている。
【0016】しかし、ここにはこのプライマー組成物を
熱硬化性粉体塗料に応用する開示や示唆は一切ないし、
また、実際にここに開示されているような組成比で熱可
塑性エラストマー成分を使用し、熱硬化性粉体塗料に応
用しようとしても、前記技術と同様な問題が生じる。
さらに、このような水素添加されていないスチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体を、例えば自動車
等の車両のボディーや自動車部品の上塗り塗料のように
遮蔽物のない屋外で太陽光線や厳しい気象条件に暴露さ
れるような用途に使用した場合、塗膜の耐候性が極めて
劣る。その理由の一つとして、例えば、紫外線による不
飽和二重結合への攻撃が考えられる。
【0017】.特開昭62−236869号 ここには、(A)共重合ポリエステル100重量部に対
して、(B)共役ジエンの水添重合体、又は、共役ジエ
ンと芳香族ビニル炭化水素の水添共重合体に対し0.0
1〜10重量%の不飽和カルボン酸またはその誘導体を
グラフトして得た変性オレフィン系重合体0.5〜30
重量部、を混合した樹脂組成物からなる熱可塑性粉体塗
料用ポリエステル組成物が開示されている。ここで、
「水添」とは、水素添加、不飽和二重結合に水素原子を
付加する概念を包含する。このポリエステル組成物は、
良好な接着性、耐衝撃性、耐ヒートサイクル性を有する
とされている。
【0018】しかしながら、このポリエステル組成物
は、耐衝撃性、耐チッピング性については優れているも
のの、耐候性が必ずしも充分ではなく、熱可塑性粉体塗
料であるために、耐熱性や耐溶剤性の側面から、その用
途が制限されることが予想される。用途が制限されるこ
とが予想される具体例としては、自動車等の車両のボデ
ィーやシャシー表面が挙げられる。この用途では、遮蔽
物のない屋外で太陽光線や厳しい気象条件に暴露され、
車両走行中に砂利や小石が大きな相対速度で衝突するの
で、塗膜に、例えば、硬度、耐ガソリン性、耐候性、耐
チッピング性等が要求されるからである。
【0019】[耐チッピング性]本出願において用いる
「チッピング」なる語の概念は、ピンポイントに短時間
で荷重を負荷したの際の衝撃破壊の現象を包含し、特に
自動車塗料の技術分野においては、飛来してくる小石と
衝突した際に自動車車体塗膜が被る傷付きの現象をも包
含する。「耐チッピング性」なる語の概念は、「チッピ
ング」に対する塗膜の抵抗性を包含する。
【0020】耐チッピング性の評価方法の具体例として
は、例えば、米国で採用されている、自動車用塗膜の試
験法SAE−J400、ASTM D−370に従った
グラベロメーターによるグラベロショット試験が挙げら
れる。この評価法では、所定粒度の小石を、所定の力
で、所定温度で冷却された塗膜に衝突させて、それによ
り生じた塗膜傷直径を評価することにより判定される。
【0021】[耐衝撃性]本出願において用いる「耐衝
撃性」なる語の概念は、広い面積に短時間で荷重を負荷
した際の衝撃破壊の現象を包含し、特に自動車塗料の技
術分野においては、大きな物と衝突した際に自動車車体
塗膜が被る傷付きの現象をも包含する。
【0022】耐衝撃性の評価方法の具体例としては、例
えば、耐衝撃性試験(デュポン式衝撃性試験)JIS
K5400 6.13.3に従ったものが挙げられる。
この評価法では、おもり(500g又は1kgの2種
類)を塗膜に落下した際に、塗膜に割れやはがれが発生
する落下高さを評価することにより判定される。
【0023】[耐衝撃性と耐チッピング性との相関関
係]従来、粉体塗料の技術分野においては、塗膜の耐衝
撃性と耐チッピング性の概念の違いがほとんど認識され
ず、また、塗膜の耐衝撃性が重視されることはあった
が、塗膜の耐チッピング性の重要性については、ほとん
ど注意されることがなかった。
【0024】すなわち、塗膜の耐衝撃性について評価し
ても、塗膜の耐チッピング性について評価することはほ
とんどなかった。また、耐衝撃性に優れることが、必ず
しも耐チッピング性の十分条件になるとはいえなかっ
た。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
の技術的背景に立脚し、また、先に述べた各従来技術に
おいて、耐衝撃性向上を目的とすることはあったが、耐
チッピング性向上を目的とすることが殆どなかったこと
に着目し、粉体塗料により形成した塗膜に、耐衝撃性の
みならず耐チッピング性をも付与することを新たな目的
とした。
【0026】すなわち、本発明の目的は、エポキシ樹脂
粉体塗料やポリエステル粉体塗料により形成される塗膜
の欠点である耐候性を改善し、かつ、ポリエステル粉体
塗料により形成される塗膜に匹敵する優れた耐衝撃性を
有し、さらには、従来ほとんど当業者により注目されな
かった耐チッピング性についても優れた塗膜を形成でき
る熱硬化性粉体塗料組成物を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】このような目的の下、本
発明者らは、「ポリマーアロイ」の分野におけるミクロ
相分離構造によるタフニング機構の概念を、粉体塗料の
技術分野に応用し、塗膜に耐衝撃性と耐チッピング性を
同時に付与するという、全く新規な技術的思想に基づき
鋭意検討を進めた。その結果、本発明者らは、アクリル
系共重合体成分中に、実質的に不飽和二重結合を有さな
い熱可塑性エラストマーを特定の割合で均一分散させる
という新しい試みにより、上記目的が達成できることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
【0028】すなわち、上記目的は、樹脂組成物(A)
と硬化剤(B)を含有してなる熱硬化性粉体塗料組成物
であって、樹脂組成物(A)は、アクリル系共重合体
(a−1)を含有する連続相と、熱可塑性エラストマー
(a−2)を含有する分散相とから構成される海島型ミ
クロ相分離構造を有し、連続相を構成するアクリル系共
重合体(a−1)は、分子内に硬化剤(B)に対して反
応性のある官能基を有さず、且つ、ラジカル重合性ビニ
ル基を少なくとも1つ有するビニル単量体(a−1−
1)40〜99重量%、及び、分子内に硬化剤(B)に
対して反応性のある官能基を有し、且つ、ラジカル重合
性ビニル基を少なくとも1つ有するビニル単量体(a−
1−2)60〜1重量%を重合して成るものであり、分
散相を構成する熱可塑性エラストマー(a−2)は、グ
ラフト変性されていない熱可塑性エラストマー(a−2
−1)、及び、グラフト変性された熱可塑性エラストマ
ー(a−2−2)からなる群から選択される1種以上の
エラストマーであり、分散相を構成する熱可塑性エラス
トマー(a−2)の合計量は、樹脂組成物(A)100
重量部を基準として、0.5〜20重量部である熱硬化
性粉体塗料組成物により達成される。
【0029】従来技術とは対照的に、本発明の熱硬化性
粉体塗料組成物は、主鎖に実質的に不飽和二重結合を有
さない熱可塑性エラストマーを分散相(島)として、連
続相(海)であるアクリル系共重合体成分中に均一に特
定量で分散させ、適宜選択した硬化剤と組み合わせるこ
とにより得られる。このような構造は、硬化塗膜全体に
優れた耐衝撃性及び耐チッピング性を付与する。
【0030】本発明と、特公平4−55630号に記載
の発明とは、次の各点で異なっている。特公平4−55
630号に開示されるプライマー組成物は、自動車車体
塗装の用途に使用するものである点で、本発明の粉体塗
料組成物と共通する。しかし、本発明の粉体塗料組成物
が、厳しい塗膜性能が要求される「上塗り塗装」に使用
する場合も好適であるのとは対照的に、特公平4−55
630号に開示されるプライマー組成物は、厳しい塗膜
性能が要求されないプライマー(例えば、中塗り塗装用
塗料、下地塗装用塗料、下塗り塗装用塗料、サビ止め塗
装用塗料等)に使用するものである点で明確に異なる。
すなわち、本発明の粉体塗料組成物は、特公平4−55
630号に開示されるプライマー組成物よりも、より厳
しい水準を達成しようとするものである。
【0031】また両者は、スチレン−ブタジエン−スチ
レンブロック共重合体又はその水素添加物等の誘導体、
すなわち熱可塑性エラストマー(a−2)の組成比(重
量%)が異なる。本発明においては、熱可塑性エラスト
マー(a−2)の合計量を、樹脂組成物(A)100重
量部を基準として0.5〜20重量部という低い範囲に
抑制している。これにより、塗膜を形成した際に優れた
耐候性等の塗膜性能を達成することができるのである。
【0032】また両者は、塗料の形態において異なる。
特公平4−55630号においては、塗料形態として、
溶剤型塗料(塗料用樹脂、硬化剤等を有機溶剤に溶解
し、塗装後に、有機溶剤を揮発せしめることにより塗膜
を形成するタイプの塗料)のみが開示されており、熱硬
化性粉体塗料用樹脂として使用するといった開示や示唆
は一切ない。通常、溶剤型塗料と粉体型塗料(熱硬化性
粉体塗料)は、塗膜形成メカニズムが全く異なるので、
塗料組成物を構成する樹脂成分の分子的性質(例えば、
重合の際の単量体の処方、重合後の分子量や分子量分
布、分子内の反応性官能基の種類や量、融点やガラス転
移点等の熱的性質)と組成比や、硬化剤成分の種類と組
成比は、大幅に異なる。
【0033】
【発明の実施の形態】
[熱可塑性エラストマー(a−2)]本発明で用いる熱
可塑性エラストマー(a−2)の主鎖は、実質的に不飽
和二重結合を有さず、ポリオレフィン鎖を分子内に少な
くとも50重量%以上含有する、ポリオレフィンが主体
のものであることが好ましい。主鎖が実質的に不飽和二
重結合を有さない場合は、塗膜の耐候性が向上する。こ
の熱可塑性エラストマー(a−2)は、グラフト変性さ
れていない熱可塑性エラストマー(a−2−1)、及
び、グラフト変性された熱可塑性エラストマー(a−2
−2)からなる群から選択される。
【0034】[グラフト変性されていない熱可塑性エラ
ストマー(a−2−1)]グラフト変性されていない熱
可塑性エラストマー(a−2−1)の好ましい例として
は、主鎖に実質的に不飽和二重結合を有さない共重合体
であって、芳香族ビニル炭化水素を重合して成るハード
セグメントS、及び、共役ジエンを重合して成るソフト
セグメントBから構成されるS−B−S型3元ブロック
共重合体の水素添加物(SEBS)から構成されるスチ
レン系熱可塑性エラストマー(a−2−1a)、主鎖に
実質的に不飽和二重結合を有さない共重合体であって、
エチレン及び/又はプロピレンを重合して成るハードセ
グメント、並びに、エチレン及び/又は炭素原子数3以
上のα−オレフィンを共重合して成るソフトセグメント
から構成されるポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(a−2−1b)、主鎖に実質的に不飽和二重結合を有
さず、エチレンと、酢酸ビニル及び/又は(メタ)アク
リル酸エステルとを共重合して成る熱可塑性エラストマ
ー(a−2−1c)、及び、主鎖に実質的に不飽和二重
結合を有さず、エチレンと(メタ)アクリル酸を共重合
して成る熱可塑性エラストマー(a−2−1d)が挙げ
られる。 [スチレン系熱可塑性エラストマー(a−2−1a)]
本願の請求の範囲及び明細書において用いる「スチレン
系熱可塑性エラストマー」なる語の概念は、例えば、
「実用プラスチック事典第2刷」(実用プラスチック事
典 編集委員会編、産業調査会刊、1994年)に記載
されているスチレン系の熱可塑性エラストマーに関する
概念一般(例えば、該書・186〜187頁に記載され
ている一般概念)も包含する。その記載は全て、引用文
献及び引用範囲を明示したことにより本明細書の開示の
一部とし、明示した引用範囲を参照する事により、本明
細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的
かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0035】スチレン系熱可塑性エラストマー(a−2
−1a)の好ましい例としては、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物が
挙げられる。
【0036】スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体の製造法は従来より知られており、その典型的
な方法は米国特許3,265,765号に開示されてい
る。このブロック共重合体の分子内の不飽和二重結合に
水素原子を付加する、いわゆる水素添加によって、熱安
定性の向上したエラストマーを得ることができる。この
ような水素添加されたスチレン系熱可塑性エラストマー
の製造法は、例えば特公昭42−8704号、特公昭4
3−6636号、特公昭45−20504号、特公昭4
8−3555号等に記載されている。かかる水素添加物
は、例えば、Shell Chemical Comp
anyより“Kraton G”のグレード名で、例え
ば#1652のコード名で販売されている。
【0037】スチレン系熱可塑性エラストマー(a−2
−1a)中のジエン系重合体部分のオレフィン性不飽和
結合の水添率は、塗膜の耐候性等の点から、90%以上
が好ましい。
【0038】スチレン系熱可塑性エラストマー(a−2
−1a)中のジエン系重合体ブロックは、例えば、ブタ
ジエン及び/又はイソプレンを主体とする共重合体ブロ
ックであって、他の共役ジエン類やプロピレン等のα−
オレフィン類がランダムに共重合していてもよい。
【0039】スチレン系熱可塑性エラストマー(a−2
−1a)中の共役ジエン成分と芳香族ビニル炭化水素成
分の共重合比(重量比)は、50/50〜80/20が
好ましい。共重合比を上記範囲内にすると、アクリル系
共重合体(a−1)との相溶性がさらに良好となる。
【0040】[ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(a−2−1b)]本発明の請求の範囲及び明細書にお
いて用いる「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー」
なる語の概念は、例えば、「実用プラスチック事典第2
刷」(実用プラスチック事典 編集委員会編、産業調査
会刊、1994年)に記載されているポリオレフィン系
熱可塑性エラストマーに関する概念一般(例えば、該書
・187頁に記載されている一般概念)や「12394
の化学商品」(化学工業日報社刊、1994年)に記載
されているポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに関
する概念一般も包含する。その記載は全て、引用文献及
び引用範囲を明示したことにより本明細書の開示の一部
とし、明示した引用範囲を参照する事により、本明細書
に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ
一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0041】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(a−2−1b)の製造方法は特に制限されない。かか
るエラストマーは、例えば、三井化学(株)より“ミラ
ストマー”のグレード名で、例えば5510Bのコード
名で販売されている。
【0042】[エチレンと、酢酸ビニル及び/又は(メ
タ)アクリル酸エステルとを共重合して成る熱可塑性エ
ラストマー(a−2−1c)]熱可塑性エラストマー
(a−2−1c)の製造法は特に制限されない。エチレ
ンと酢酸ビニルを共重合する場合、共重合体中の酢酸ビ
ニルの共重合割合は10〜50重量%が好ましく、30
〜45重量%がより好ましい。酢酸ビニルの共重合割合
が上記範囲内であると、アクリル系共重合体(a−1)
に対する相溶性が良好になり、その結果得られる塗膜の
外観が良好で、耐溶剤性等の塗膜特性も良好になる。
【0043】エチレンと酢酸ビニルを共重合して成る熱
可塑性エラストマーは、三井・デュポンポリケミカル
(株)より“EVAFLEX”の名で、例えばEV45
Xのコード名で販売されている。
【0044】エチレンと(メタ)アクリル酸エステルを
共重合して成る熱可塑性エラストマーの好ましい例とし
ては、エチレンとエチルアクリレートとのランダム共重
合体が挙げられる。共重合体中の(メタ)アクリル酸エ
ステルの共重合割合は10〜45重量%が好ましく、2
0〜30重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エ
ステルの共重合割合が上記範囲内であると、アクリル系
共重合体(a−1)に対する分散性が良好になり、その
結果得られる塗膜の外観が良好になる。
【0045】エチレンとエチルアクリレートとのランダ
ム共重合体から成る熱可塑性エラストマーは、例えば、
三井・デュポンポリケミカル(株)より“EVAFLE
X−EEA”の名で、例えばA−704のコード名で販
売されている。
【0046】[エチレンと(メタ)アクリル酸を共重合
して成る熱可塑性エラストマー(a−2−1d)]熱可
塑性エラストマー(a−2−1d)の製造法は特に制限
されない。その好ましい例としては、エチレンとメタク
リル酸との共重合体が挙げられる。共重合体成分中の
(メタ)アクリル酸の共重合割合は、1〜10重量%が
好ましい。その割合が上記範囲内であると、アクリル系
共重合体(a−1)に対する分散性が良好となり、その
結果得られる塗膜の外観が良好になる。その割合は、1
〜5重量%であることがより好ましい。
【0047】この熱可塑性エラストマー(a−2−1
d)は、例えば、三井・デュポンポリケミカル(株)よ
り“NUCREL”の名で、例えばN0200Hのコー
ド名で販売されている。
【0048】[グラフト変性された熱可塑性エラストマ
ー(a−2−2)]グラフト変性された熱可塑性エラス
トマー(a−2−2)を用いると、ビニル単量体(a−
1−2)や硬化剤(B)との架橋反応を可能ならしめた
り、硬化剤(B)との相溶化に寄与し、塗膜外観、塗膜
の耐衝撃性や耐溶剤性等がさらに向上する。
【0049】グラフト変性された熱可塑性エラストマー
(a−2−2)の好ましい例としては、前記熱可塑性エ
ラストマー(a−2−1a)〜(a−2−1d)の何れ
かを主鎖とした熱可塑性エラストマーのグラフト化物
(a−2−2a)〜(a−2−2d)が挙げられる。
【0050】熱可塑性エラストマーのグラフト化物(a
−2−2a)〜(a−2−2d)としては、例えば、スチ
レン系熱可塑性エラストマー(a−2−1a)の主鎖の
水添部分に、アクリル系共重合体(a−1)を得る為に
反応系に加えたビニル単量体(a−1−1)やビニル単
量体(a−1−2)、または他のビニル単量体がグラフ
ト重合して得られるグラフト化物であってもよいし、熱
可塑性エラストマー(a−2−1a)〜(a−2−1
c)の側鎖としてα,β−不飽和カルボン酸又はその無
水物等の反応性官能基を含む化合物をまず導入して、こ
れをアクリル系重合体(a−1)の官能基と結合させ、
あるいはビニル単量体をグラフト重合させて得られるグ
ラフト化物であってもよいし、熱可塑性エラストマー
(a−2−1d)の官能基部分と、アクリル系重合体
(a−1)の官能基と結合させ、あるいはビニル単量体
(a−1−1)やビニル単量体(a−1−2)をグラフ
ト重合させて得られるグラフト化物であってもよい。
【0051】例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー
のビニル単量体グラフト化物(a−2−3a)の好まし
い例としては、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水
物でグラフト変性されたスチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体の水素添加物、α,β−不飽和カル
ボン酸又はその無水物でグラフト変性されたスチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物が
挙げられる。これらはスチレン−ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体及び/又はスチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体のジエン系重合体部分を水素添
加し、さらに、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水
物でグラフト変性することにより得られる。このような
グラフト化物は、例えば、特開昭61−192743号
に記載されている。
【0052】グラフト変性に用いるα,β−不飽和カル
ボン酸又はその酸無水物の具体例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が挙げ
られる。マレイン酸、フマル酸等の多塩基酸であるとき
は、そのハーフアルキルエステルであってもよい。
【0053】α,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水
物の量(変性量)は、0.1〜10重量%が好ましい。
この変性量が10重量%以下であると、樹脂組成物
(A)の製造時にゲル物が生じ難く、塗膜の外観劣化を
防止できる。特に、グラフトさせる成分にエポキシ基及
び/又はグリシジル基を有するビニル単量体を使用する
場合、変性量を上記範囲とすることが特に好ましい。ま
た、この変性量は0.1〜5重量%がより好ましい。
【0054】熱可塑性エラストマー成分(a−2)とし
て、エチレンと(メタ)アクリル酸を共重合して成る熱可
塑性エラストマー(a−2−1d)を最終的にグラフト
化物にして使用する場合も、同様の理由で、共重合体中
の(メタ)アクリル酸の共重合量は1.0〜5.0重量部
が好ましい。
【0055】グラフト変性には、α,β−不飽和カルボ
ン酸又はその酸無水物の代わりに、他のビニル単量体を
用いてもよい。その具体例としては、ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
3−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブタンジオール
モノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリ
レート、及びこれらのメタクリレート相当物、N−メチ
ロールアクリルアミド、アリルアルコール、ヒドロキシ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルブチルマレエ
ート等のヒドロキシル基含有ビニル単量体;グリシジル
メタクリレ−ト、グリシジルアクリレ−ト、β−メチル
グリシジルメタクリレ−ト、β−メチルグリシジルアク
リレ−ト、アクリルグリシジルエ−テル等のグリシジル
基含有ビニル単量体;が挙げられる。
【0056】グラフト変性法としては、例えば、熱可塑
性エラストマーと上記ビニル単量体をラジカル重合開始
剤と共に押し出し機内で反応させる方法や、熱可塑性エ
ラストマーを、ラジカル重合開始剤を溶解したトルエ
ン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒中に分
散させ、これに上記のビニル単量体とラジカル重合開始
剤を供給し、加熱してラジカル反応させる方法がある。
なお、ここでいうグラフト反応とは、上記のビニル単量
体がスチレン系熱可塑性エラストマーと化学的に結合す
ることを意味する。
【0057】グラフト変性に用いるラジカル重合開始剤
の具体例としては、tert−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(te
rt−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3などが挙げられる。
【0058】ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの
グラフト化物(a−2−2b)である無水マレイン酸変
性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、三井化学
(株)より“タフマー”のグレード名で、例えばMP0
620又はMP0610のコード名で販売されている。
【0059】[熱可塑性エラストマー(a−2)の重量
平均分子量]熱可塑性エラストマー(a−2)の重量平
均分子量は、2,000〜400,000が好ましく、
10,000〜200,000がより好ましい。この重
量平均分子量が上記範囲であると、塗膜の耐チッピング
性が良好で、且つ、塗膜の平滑性が損なわれない。この
重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマト
グラフィー(GPC)により測定できる。
【0060】[熱可塑性エラストマー(a−2)の使用
量]分散相(島相)を構成する熱可塑性エラストマー
(a−2)の使用量は、粉体塗料用樹脂成分(A)10
0重量部を基準として、0.5〜20重量部である。こ
の使用量が0.5重量部未満では耐チッピング性の改良
が不十分であり、20重量部を越えると連続相(海相)
であるアクリル系共重合体(a−1)中への分散が不十
分となり、塗膜の平滑性や耐候性、粉体塗料の耐ブロッ
キング性が損なわれる傾向にある。この使用量は0.5
〜15重量部であることが好ましい。
【0061】グラフト変性された熱可塑性エラストマー
(a−2−2)を使用する場合、熱可塑性エラストマー
(a−2)の使用量0.5〜20重量部は、グラフト部
分も含む。グラフト部分も含む熱可塑性エラストマー
(a−2−2)は、特定の溶媒によりアクリル系重合体
(a−1)と分離可能であり、これにより組成比(使用
量)を確認できる。
【0062】[アクリル系共重合体(a−1)]アクリ
ル系共重合体(a−1)は、分子内に硬化剤(B)に対
して反応性のある官能基を有さず、且つ、ラジカル重合
性ビニル基を少なくとも1つ有するビニル単量体(a−
1−1)40〜99重量%、及び、分子内に硬化剤
(B)に対して反応性のある官能基を有し、且つ、ラジ
カル重合性ビニル基を少なくとも1つ有するビニル単量
体(a−1−2)60〜1重量%を重合して成る。
【0063】このアクリル系共重合体(a−1)は、後
に詳述する硬化剤(B)と共に、例えば自動車等の車両
のボディーやシャシー表面のように、優れた外観(平滑
性、鮮映性等)が要求され、走行中に砂利や小石が大き
な相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋外で太陽光線
や厳しい気象条件に暴露される用途において、優れた外
観、耐候性、塗膜特性(耐衝撃性、耐酸性等)を発揮す
ることに大きく寄与する。
【0064】[ビニル単量体(a−1−1)]ビニル単
量体(a−1−1)は、分子内に硬化剤(B)に対して
反応性のある官能基を有さず、且つ、ラジカル重合性ビ
ニル基を少なくとも1つ有する単量体であれば、特に制
限されない。このビニル単量体(a−1−1)は、得ら
れる塗膜の耐候性の向上、基剤への密着性、硬度に寄与
すると考えられる。
【0065】ビニル単量体(a−1−1)としては、炭
素原子数1〜14のアルキル基及び/又はシクロヘキシ
ル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを、ビニル単
量体(a−1−1)100重量%中に50重量%〜10
0重量%使用することが好ましい。その具体例として、
メチル−、エチル−、n−プロピル−、n−ブチル−、
イソブチル−、n−アミル−、イソアミル−、n−ヘキ
シル−、シクロヘキシル−、2−エチルヘキシル−、オ
クチル−、2−エチルオクチル−、デシル−、ドデシル
−、シクロヘキシル−、イソボルニル−等の基を有する
(メタ)アクリル酸又はその誘導体等を挙げることができ
る。これらは単独で又は2種以上を組合せて使用でき
る。
【0066】炭素原子数1〜14のアルキル基及び/又
はシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステ
ルの使用量を50重量%以上にすると、得られる塗膜の
耐候性、塗膜の着色防止の点でより優れた結果が得られ
る。
【0067】また、ビニル単量体(a−1−1)の他の
具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等の芳香族ビニル類、マレイン酸、イタコン
酸等の不飽和ジカルボン酸のエステル類、ふっ化ビニ
ル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン、クロロプレン等のハロゲン化エチレン系不飽
和単量体類、アクリロニトリル、メタアクリロニトルな
どのニトリル類、ラウリルビニルエーテル等のアルキル
ビニルエーテル類、ビニルピロリドン、4−ビニルピロ
リドン等の含窒素ビニル類、ビニルアミド、アクリルア
ミド、メタクリルアミド等のアミド類、ヒドロキシエチ
ルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアク
リレート等の水酸基含有ビニル単量体類等のエチレン系
不飽和単量体類を挙げることができる。これらは、単独
で又は2種以上を組合せて使用できる。
【0068】[ビニル単量体(a−1−2)]ビニル単
量体(a−1−2)は、分子内に硬化剤(B)に対して
反応性のある官能基を有し、且つ、ラジカル重合性ビニ
ル基を少なくとも1つ有する単量体であれば特に制限さ
れない。硬化剤(B)に対して反応性のある官能基とし
ては、例えば、グリシジル基、エポキシ基、水酸基、カ
ルボキシル基、酸無水物基等の非ラジカル重合性の官能
基を挙げることができる。
【0069】ビニル単量体(a−1−2)としては、分
子内に少なくとも1つのエポキシ基及び/又はグリシジ
ル基を有し、且つ、少なくとも1つのラジカル重合性ビ
ニル基を分子内に有するビニル単量体が好ましい。その
具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレ−
ト、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレ−ト、アクリ
ルグリシジルエ−テル等が挙げられる。グリシジル(メ
タ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アク
リレートがさらに好ましく、グリシジル(メタ)アクリレ
ートが最も好ましい。
【0070】ビニル単量体(a−1−2)の他の具体例
としては、例えば、サイクロマーM100、サイクロマ
ーM101、サイクロマーA−200(以上、ダイセル
石油化学工業株式会社製、商品名)等の脂環型エポキシ
基を有する単量体等が挙げられる。これらビニル単量体
(a−1−2)は単独で又は2種以上を組合せて使用で
きる。
【0071】[ビニル単量体(a−1−1)及び(a−
1−2)の使用量]ビニル単量体(a−1−1)(例え
ば、(メタ)アクリル系モノマー)の使用量は、アクリル
系共重合体(a−1)の全量に対し40〜99重量%で
あり、60〜99重量%が好ましく、80〜99重量%
がより好ましい。
【0072】[誘導体]本願において用いる「誘導体」
なる語の概念には、特定の化合物の水素原子が、他の原
子あるいは原子団Rによって置換されたものを包含す
る。ここでRは、少なくとも1個の炭素原子を含む1価
の炭化水素基であり、より具体的には、脂肪族、実質的
に芳香族度の低い脂環族、これらを組み合わせた基、又
はこれらが水酸基、カルボキシル基、アミノ基、窒素、
硫黄、けい素、りんなどで結合されるような2価の残基
であってもよく、これらのうち特に、狭義の脂肪族系の
構造のものが好ましい。Rは、上記のものに、例えば、
アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アルコキシ
ル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ハロ
ゲン(F、Cl、Br等)基等が置換した基であっても
よい。
【0073】これらの置換基を適宜選択することによ
り、本発明に係る粉体塗料組成物により形成される塗膜
の諸特性を制御することができる。
【0074】[ガラス転移点]粉体塗料組成物の貯蔵安
定性、粉体塗料焼付時に塗料組成物流動性低下に起因す
る塗膜平滑性等を考慮して、アクリル系共重合体(a−
1)のガラス転移点計算値(Tg)が、30〜120℃
(好ましくは40〜110℃)になるように、ビニル単
量体(a−1−1)及び(a−1−2)を選択すること
が望ましい。ここで、ガラス転移点計算値は、ビニル単
量体(a−1−1)及び(a−1−2)のみを共重合さ
せた場合の計算値をいう。
【0075】[ガラス転移点計算値 ヘテロポリマーの
ガラス転移点(Tg)の評価]特定の単量体組成を有す
る重合体のガラス転移点(Tg)は、フォックス(Fo
x)の式により計算により求めることができる。ここ
で、フォックスの式とは共重合体を形成する個々の単量
体について、その単量体の単独重合体のTgに基づい
て、共重合体のTgを算出するためのものであり、その
詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン・フィジカル
・ソサエティー,シリーズ2(Bulletin of
the American Physical So
ciety,Series 2)1巻・3号・123頁
(1956年)に記載されている。
【0076】フォックスの式による共重合体のTgを評
価するための基礎となる各種エチレン性不飽和単量体に
ついてのTgは、例えば、新高分子文庫・第7巻・塗料
用合成樹脂入門(北岡協三著、高分子刊行会、京都、1
974年)168〜169頁の表10−2(塗料用アク
リル樹脂の主な原料単量体)に記載されている数値を採
用することができる。
【0077】それら記載は全て、引用文献及び引用範囲
を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、
明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書
に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ
一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0078】[アクリル系共重合体(a−1)の数平均
分子量]アクリル系共重合体(a−1)の数平均分子量
は、約1,000〜約20,000の範囲が好ましく、
約2,000〜約10,000の範囲がより好ましい。
この数平均分子量が約1,000以上であると、一般的
には、塗料組成物の貯蔵安定性が良好になる。この数平
均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)により、ポリスチレンを標準として評価する
ことができる。
【0079】アクリル系共重合体(a−1)の分子量を
調整する方法としては、例えばドデシルメルカプタンな
どのメルカプタン類、ジベンゾイルスルフィドなどのジ
スルフィド類、チオグリコール酸2−エチルヘキシルな
どのチオグリコール酸の炭素原子数1〜18のアルキル
エステル類、四臭化尿素などのハロゲン化炭化水素類の
連鎖移動剤、イソプロピルアルコール、イソプロピルベ
ンゼン、トルエン等の連鎖移動効果の大なる有機溶剤の
存在下に重合する等の手段を用いることができる。
【0080】[アクリル系共重合体(a−1)の合成
法]アクリル系共重合体(a−1)の合成法は、実質的
に所望の特性を有するものが得られるのであれば、特に
限定されないが、ラジカル溶液重合法が好適に用いられ
る。
【0081】[ラジカル重合開始剤]ラジカル重合を行
う際に使用する、ラジカル重合開始剤としては、有機過
酸化物、アゾニトリル等を挙げることができる。有機過
酸化物には、アルキルパーオキシド、アリールパーオキ
シド、アシルパーオキシド、アロイルパーオキシド、ケ
トンパーオキシド、パーオキシカボネート、パーオキシ
カーボキシレート等が含まれる。アルキルパーオキシド
としては、ジイソプロピルパーオキシド、ジターシャリ
ーブチルパーオキシド、ジターシャリーアミルパーオキ
シド、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、ターシャリーアミルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート、ターシャリーブチルヒドロ−パーオ
キシド、アリールパーオキシドとしては、ジクミルパー
オキシド、クミルヒドロパーオキシド、アシルパーオキ
シドとしては、ジラウロイルパーオキシド、アロイルパ
ーオキシドとしては、ジベンゾイルパーオキシド、ケト
ンパーオキシドとしては、メチルエチルケトンパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシド等を挙げることが
できる。アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられ
る。
【0082】[熱可塑性エラストマー(a−2)の分散
方法について]連続相(海相)であるアクリル系共重合
体(a−1)中に、分散相(島相)である熱可塑性エラ
ストマー(a−2)を、特定の重量比で分散させ樹脂組
成物(A)を製造する方法としては、特に制限は無く、
実質的に所望の樹脂組成物(A)を製造できればよい。
ただし、好ましい方法としては、具体的に、次のような
方法〜が挙げられる。
【0083】.所望の混練温度範囲において、所望量
の熱可塑性エラストマー(a−2)とアクリル系共重合
体(a−1)のみを予め溶融混練し、樹脂組成物(A)
を製造する方法。なお、溶融混練装置としては、加熱ニ
ーダー機、スクリュー押し出し機等が使用できる。
【0084】.アクリル系共重合体(a−1)を、芳
香族系有機溶剤等の有機溶剤溶液とした後、これに熱可
塑性エラストマー(a−2)を所定量溶解させることに
より加熱下(100〜180℃)で均一分散し、この混
合溶液(またはスラリー)から有機溶剤を脱溶剤するこ
とで、実質的に揮発分の残存しない樹脂組成物(A)を
製造する方法。
【0085】.所望量の熱可塑性エラストマー(a−
2)を、芳香族系有機溶剤等の有機溶剤溶液とした後、
これにアクリル系共重合体(a−1)を溶解させ、加熱
下(100〜180℃)で均一分散し、この混合溶液
(またはスラリー)から有機溶剤を脱溶剤することで、
実質的に揮発分の残存しない樹脂組成物(A)を製造す
る方法。
【0086】.所望量の熱可塑性エラストマー成分
(a−2)を溶解した不活性溶媒中に、ラジカル重合開
始剤を溶解したビニル単量体(a−1−1)及びビニル
単量体(a−1−2)を一括又は徐々に滴下し、撹拌
下、60〜160℃に加熱し、1〜24時間ラジカル溶
液重合を行う方法。このラジカル重合により得た生成物
は、樹脂組成物(A)が不活性溶媒により溶解された溶
液なので、有機溶剤を脱溶剤することで、実質的に、揮
発分の残存しない樹脂組成物(A)を得る。
【0087】上記方法、、及び、において、例え
ば、熱可塑性エラストマー(a−2)として、ビニル単
量成分(a−1−2)の反応性官能基と反応しない熱可
塑性エラストマーを使用した場合、連続相であるアクリ
ル系共重合体(a−1)中に、分散相としてグラフト変
性されていない熱可塑性エラストマー(a−2−1)が
均一に分散したポリマーアロイが形成される。
【0088】また例えば、熱可塑性エラストマー(a−
2)として、ビニル単量成分(a−1−2)の反応性官
能基と反応可能な熱可塑性エラストマーを使用した場
合、熱可塑性エラストマーとアクリル系共重合体(a−
1)中の反応性官能基と反応し、連続相であるアクリル
系共重合体(a−1)中に、分散相として熱可塑エラス
トマーのアクリル系共重合体が均一に分散したポリマー
アロイが形成される。
【0089】また例えば、熱可塑性エラストマー(a−
2)として、エチレンと(メタ)アクリル酸が共重合して
成る熱可塑性エラストマー(a−2−1d)を使用し、
ビニル単量体(a−1−2)として、エポキシ基及び/
又はグリシジル基を有するビニル単量体を使用した場
合、熱可塑性エラストマー(a−2−1d)のカルボキ
シル基とアクリル系共重合体(a−1)中のエポキシ基
及び/又はグリシジル基が反応し、連続相であるアクリ
ル系共重合体(a−1)中に、分散相として熱可塑エラ
ストマーのアクリル系共重合体グラフト化物が均一に分
散したポリマーアロイが形成される。
【0090】一方、方法において、例えば、熱可塑性
エラストマー(a−2)として、ビニル単量成分(a−
1−2)の反応性官能基と反応しない熱可塑性エラスト
マーを使用した場合、連続相であるアクリル系共重合体
(a−1)中に、分散相として、グラフト変性されてい
ない熱可塑性エラストマー(a−2−1)が均一に分散
し、及び/又は、熱可塑性エラストマー(a−2)とビ
ニル単量体(a−1−1)及び(a−1−2)のビニル
基部分との反応により、熱可塑性エラストマーに、ビニ
ル単量体(a−1−1)及び(a−1−2)の一部が反
応したグラフト化物が均一に分散したポリマーアロイが
形成される。
【0091】また例えば、熱可塑性エラストマー(a−
2)として、ビニル単量成分(a−1−2)の反応性官
能基と反応する熱可塑性エラストマーを使用した場合、
熱可塑性エラストマーとアクリル系共重合体(a−1)
中の反応性官能基、及び/又はビニル単量成分(a−1
−2)の反応性官能基とが反応し、連続相であるアクリ
ル系共重合体(a−1)中に、分散相としてグラフト変
性されていない熱可塑性エラストマー(a−2−1)、
熱可塑性エラストマーのアクリル系共重合体グラフト化
物及び/又は熱可塑性エラストマーのビニル単量体グラ
フト化物等が均一に分散したポリマーアロイが形成され
る。
【0092】また例えば、熱可塑性エラストマー(a−
2)として、エチレンと(メタ)アクリル酸が共重合して
成る熱可塑性エラストマー(a−2−1d)を使用し、
ビニル単量体(a−1−2)として、エポキシ基及び/
又はグリシジル基を有するビニル単量体を使用した場
合、熱可塑性エラストマー(a−2−1d)のカルボキ
シル基とアクリル系共重合体(a−1)中のエポキシ基
(又はグリシジル基)、及び/又はビニル単量成分(a
−1−2)のエポキシ基(又はグリシジル基)とが反応
し、連続相であるアクリル系共重合体(a−1)中に、
分散相として、熱可塑エラストマーのアクリル系共重合
体グラフト化物、熱可塑性エラストマーのビニル単量体
グラフト化物、グラフト変性されていない熱可塑性エラ
ストマー(a−2−1)等が均一に分散したポリマーア
ロイが形成される。
【0093】特に、熱可塑性エラストマー成分(a−
2)の分散性をより高めるには、上記方法、、及び
が好ましい。また、各成分の使用量は、得られる樹脂
組成物(A)が規定する組成比になるように、適宜決定
すればよい。一般的には、ビニル単量成分(a−1−
1)及び(a−1−2)と熱可塑性エラストマーとの合
計100重量部に対して、熱可塑性エラストマーを0.
5〜20重量部使用すればよい。
【0094】[分散相の粒子径]可塑性エラストマー
(a−2)により構成される分散相において、その一次
粒子としての平均直径が1nm〜30μmであることが
好ましく、1nm〜10μmがより好ましい。その平均
直径が上記範囲であると、塗膜の耐チッピング性の改良
が充分で、且つ、塗膜の平滑性が良好である。
【0095】[硬化剤成分(B)]硬化剤(B)として
は、ビニル単量体(a−1−2)の反応性官能基の種類
により適宜選択すればよい。ビニル単量体(a−1−
2)が有する反応性官能基が水酸基の場合は、ヘキサメ
トキシメチルメラミンなどのアミノ樹脂、あるいはε−
カプロラクタムでブロックされたイソホロンジイソシア
ネート等のブロック化ポリイソシアネート等などが挙げ
られ、カルボキシル基である場合は、ポリエポキシ化合
物等が挙げられ、エポキシ基及び/又はグリシジル基で
ある場合は、多価カルボン酸(b−1)及び/又は多価
カルボン酸無水物(b−2)が代表的なものである。
【0096】本発明の熱硬化性粉体塗料の好ましい態様
としては、アクリル系共重合体(a−1)が有する反応
性官能基としてエポキシ基及び/又はグリシジル基を選
択し、硬化剤(B)として、多価カルボン酸(b−1)
及び/又は多価カルボン酸無水物(b−2)からなる群
から選択された少なくとも1種の化合物から選択する熱
硬化性粉体塗料が挙げられる。以下、多価カルボン酸
(b−1)及び/又は多価カルボン酸無水物(b−2)
の例について説明する。
【0097】[多価カルボン酸(b−1)]多価カルボ
ン酸(b−1)としては、脂肪族、芳香族、脂環族の何
れの化合物も使用できる。芳香族多価カルボン酸の具体
例としては、例えば、イソフタル酸、トリメリット酸等
が挙げられ、これらは単独で又は組み合わせて使用する
事ができる。脂環式多価カルボン酸の具体例としては、
例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−
ヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカル
ボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等が挙げられ、これ
らは単独で又は組み合わせて使用する事ができる。ま
た、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂等も使用
できる。但し、本発明においては、脂肪族多価カルボン
酸を用いることが、平滑性、耐候性等の塗膜特性の点で
好ましい。
【0098】本出願の明細書において用いる「脂肪族」
なる語の概念には、狭義の脂肪族のみならず、実質的に
芳香族度が低い脂環族をも包含する。すなわちこの「脂
肪」なる語の概念には、少なくとも1個の炭素原子を含
む2価の炭化水素基を分子内に有する、実質的に芳香族
度の低い化合物からなる群をも包含し、具体的には、狭
義の脂肪族基のみならず、実質的に芳香族度の低い脂環
族基、これらを組み合わせた基、又はこれらが水酸基、
窒素、硫黄、けい素、りんなどで結合されるような2価
の残基を分子内に有する化合物からなる群をも包含し、
さらに具体的には、上記のものに例えば、アルキル基、
シクロアルキル基、アリル基、アルコキシル基、シクロ
アルコキシル基、アリルオキシル基、ハロゲン(F,C
l,Br等)基等が置換した基を分子内に有する化合物
からなる群をも包含する。これらの置換基を適宜選択す
ることにより、本発明に係る共重合体の諸特性(耐熱
性、強靭性、分解性、強度特性等)を制御することがで
きる。本願の明細書において用いる「脂肪族化合物」な
る語の概念には、一種類の化合物のみならず、二種類以
上の組合せによるものをも包含する。
【0099】[脂肪族多価カルボン酸]脂肪族多価カル
ボン酸は、実質的に、分子内にカルボキシル基を、少な
くとも2個有する脂肪族化合物であれば、特に制限され
ず、1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0100】脂肪族多価カルボン酸(b−1)のとして
は、脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカル
ボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、クエン酸、ウンデカン2酸、ドデカン
2酸、ブラシリン酸、エイコサン2酸、オクタデカン2
酸等が挙げられ、これらの中では、ドデカン2酸が好ま
しく、これらは単独で又は組み合わせて使用する事がで
きる。
【0101】平滑性、耐衝撃性、耐候性等の塗膜特性に
関して、脂環式多価カルボン酸については、芳香族度が
高くなるに従い、塗膜特性が劣化する。
【0102】[多価カルボン酸無水物(b−2)]本願
明細書において用いる「酸無水物」、「アンヒドリド
基」、「アンヒドリド結合」及び「ポリアンヒドリド」
なる語の概念には、「MARUZEN高分子大辞典−C
oncise Encyclopedia of Po
lymerScience and Engineer
ing(Kroschwitz編、三田 達監訳、丸
善、東京、1994年)」・996〜998頁の「ポリ
アンヒドリド」の項に記載されているそれぞれの語に関
する概念をも包含する。本願の明細書において用いる
「酸無水物」なる語の概念には、化学大辞典・第3巻
(共立出版刊・1963年)・996頁左欄〜997頁
右欄記載の「酸無水物」の項に記載されている概念をも
包含する。
【0103】本発明においては、橋架け効果等の点か
ら、線状の脂肪族多価カルボン酸無水物が好ましい。脂
肪族多価カルボン酸線状酸無水物は、実質的に、分子内
にカルボキシル基を有するか又は有しない、線状の2量
体以上のオリゴ又はポリの脂肪族の酸無水物であって、
分子内に実質的に存在するカルボキシル基及び/又は酸
無水物基を、少なくとも2個有する化合物であれば、特
に制限されず、1種類または2種類以上を用いることが
できる。
【0104】本出願の明細書において、「線状」なる語
の概念には、線状のみならず、線状の2量体以上のオリ
ゴまたはポリの脂肪族の酸無水物が、線状と同様の作用
を奏する大環状を形成している場合をも包含する。
【0105】脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の具体
例としては、1種類または2種類以上の脂肪族ジカルボ
ン酸を脱水縮合して得られる線状重縮合物が挙げられ
る。脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物として使用する
ことができる、耐チッピング性改善に特に有効な無水物
としては、1種類の脂肪族多価カルボン酸を脱水縮合し
て得られる線状重縮合物のある種のものは、以下の一般
式(1)で表すことができる。
【0106】 HO−[OC(CH2)mCOO]n−H (1) ここでmは1以上、nは2以上の、それぞれ自然数であ
り、好ましくはmは30以下である。
【0107】脂肪族ジカルボン酸の線状酸無水物の耐チ
ッピング性改善に有効な具体例としては、上記脂肪族多
価カルボン酸の脱水線状縮合物が挙げられる、これらの
中では、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、エイ
コサン2酸及びドデカン2酸等の脱水線状縮合物が好ま
しく、ドデカン2酸の脱水線状縮合物がさらに好まし
い。
【0108】多価カルボン酸無水物のその他の具体例と
して、例えば、欧州特許公開公報695,771号に記
載のポリイソシアネート変性のジカルボン酸(ポリ)無
水物や、欧州特許公開公報299,420号に記載のポ
リオール変性ポリマー状ポリ酸無水物等の変性ポリ酸無
水物も好適に使用することができる。
【0109】脂肪族ジカルボン酸無水物)は、融点が4
0〜150℃の範囲にあるように調製することが好まし
い。
【0110】[脂肪族ジカルボン酸線状酸無水物による
架橋結合形成]無水こはく酸や無水フタル酸のような、
多価カルボン酸の環状無水物を、アクリル系共重合体
(a−1)中のグリシジル基と反応させると、この無水
物はアクリル系共重合体(a−1)分子中の特定のグリ
シジル基のエポキシ環とのみ反応する確率が高いため、
複数のアクリル系共重合体(a−1)分子を橋架けする
効果が小さい。
【0111】一方、脂肪族ジカルボン酸の(共)重縮合
物をグリシジル基と反応させると、この縮合物はアンヒ
ドリド基部分で開裂して複数のフラグメントとなり、そ
れぞれが別々のアクリル系共重合体(a−1)分子中の
グリシジル基と反応し、複数のアクリル系共重合体(a
−1)分子を橋架けする効果が発揮されるため、塗膜の
耐溶剤性、耐酸性等の化学的特性が向上する。
【0112】[多価カルボン酸系化合物の使用量]樹脂
組成物(A)中のグリシジル基1当量に対し、多価カル
ボン酸(b−1)中のカルボキシル基は、0.1〜1.
2当量が好ましく、0.2〜1.1当量がより好まし
く、0.3〜1.0当量が最も好ましい。また、樹脂組
成物(A)中のグリシジル基1当量に対し、多価カルボ
ン酸無水物(b−2)中の酸無水物基は、0.1〜1.
2当量が好ましく、0.2〜1.1当量がより好まし
く、0.4〜1.0当量が最も好ましい。さらに、樹脂
組成物(A)中のグリシジル基1当量に対し、多価カル
ボン酸系化合物分子中に存在するカルボキシル基及び/
又は酸無水物基の合計当量は、0.5〜1.3当量が好
ましく、0.6〜1.2当量がより好ましく、0.7〜
1.0当量が最も好ましい。多価カルボン酸系化合物の
使用量がこの範囲内であれば、塗膜の耐溶剤性や耐衝撃
性などの特性が優れる傾向にある。
【0113】[添加剤]本発明の熱硬化性粉体塗料組成
物には、通常、塗料に添加される種々の添加剤を添加す
ることができる。例えば、目的に応じ、エポキシ樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミドなどを包含する合成樹脂
組成物、繊維素又は繊維素誘導体などを包含する天然樹
脂又は半合成樹脂組成物を配合して塗膜外観又は塗膜物
性を向上させることもできる。
【0114】本発明の熱硬化性粉体塗料には、目的に応
じ、硬化触媒、顔料、流動調整剤、チクソ剤(チクソト
ロピー調整剤)、帯電調整剤、表面調整剤、光沢付与
剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ワキ
防止剤(脱ガス剤)、酸化防止剤等の添加剤を配合して
もよい。またクリアコートとして使用する場合に少量の
顔料を配合し、完全に隠ぺい性の発現しない程度に着色
していてもよい。
【0115】[粉体塗料組成物の混練]樹脂組成物
(A)及び硬化剤(B)を含む組成物を機械的に混練す
る際の被混練物の温度は、実質的に均一な粉体塗料組成
物を製造できれば特に制限されない。溶融混練装置とし
ては、通常、加熱ロール機、加熱ニーダー機、押出機
(エクストルーダー)等を使用する。
【0116】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を配合す
る方法の具体例としては、ロール機、ニーダー機、ミキ
サー(バンバリー型、トランスファー型等)、カレンダ
ー設備、押出機(エクストルーダー)等の混練機を、適
宜組み合わせ、各工程の条件(温度、溶融若しくは非溶
融、回転数、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気等)を、適
宜、設定して、充分に均一に混合し、その後、粉砕装置
により、均一な微細粉末状態の粉体塗料組成物を得る方
法を採用することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0117】混練により得られた塊状塗料は、冷却の
後、平均粒径10〜90μm程度となるように粉砕され
る。使用される粉砕器としては、ハンマーミル等が挙げ
られる。本発明の粉体塗料組成物に添加剤等を加える配
合混練工程の一態様として、本発明の熱硬化性粉体塗料
組成物に、必要に応じ、硬化触媒、ブロッキング防止
剤、表面調整剤、可塑剤、帯電調整剤、顔料、充填剤、
増量剤等の添加剤を加え、40〜140℃の範囲で、充
分に溶融混練し、冷却後、適当な粒度(通常、100メ
ッシュ以下)に均一に粉砕する方法が挙げられる。
【0118】[塗装方法及び焼付方法]粉砕により得ら
れた粉体塗料は、静電塗装法、流動浸漬法等の塗装方法
によって、熱硬化性粉体塗料組成物の粉末を、塗装対象
物に付着せしめ、加熱して熱硬化させ塗膜を形成させ
る。本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の焼き付けは、通
常、約100℃〜約180℃、より好ましくは、約12
0℃〜約160℃の温度において、通常、約10分間〜
約60分間行うことにより、共重合体(a−1)と硬化
剤(B)との架橋反応を行うことができる。焼き付け
後、室温までに冷却後、優れた特性を有する塗膜を得る
ことができる。
【0119】この塗膜は、分散相として、熱可塑性エラ
ストマー成分を有し、連続相としてアクリル系共重合体
成分と硬化剤成分が、三次元架橋網目構造及び/又はI
PN(interpenetrating network)構造を有する有機高
分子を形成しており、分散相を連続相内に均一に保持し
ている。この塗膜は、通常、前記連続相の三次元架橋網
目構造及び/又はIPN構造により、分散相を連続相内
に均一に保持し、分散相の有する耐衝撃性により、塗膜
全体に耐衝撃性及び耐チッピング性を発現する機能を有
する。
【0120】また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を
上塗り塗料として用いる場合、その下塗り塗料として、
従来の溶剤型塗料のみならず、水性塗料を用いた場合に
おいても、焼き付け後の塗膜は溶剤型塗料を用いた場合
と同様に、本発明の塗料は優れた特性を有する。
【0121】即ち、水性下塗り塗料(顔料入り及び/又
は金属粉入りを含む)を塗装し、所定の時間乾燥させた
後、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を上記の方法によ
って下塗り塗料の上に付着せしめ、加熱して熱硬化させ
塗膜を形成させる。
【0122】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の塗装
は、自動車の車体又は自動車部品(アルミホイール、ワ
イパー、センターピラー等)へも用いられる。また、自
動車の車体又は自動車部品を本発明の熱硬化性粉体塗料
を用いて中塗り及び上塗り用の塗装へも用いられる。
【0123】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。実
施例及び製造例は、本出願に係る発明の内容の理解を支
援するためのものであって、その記載によって、本発明
が何ら限定される性質のものではない。また、「部」及
び「%」は、特に説明のない限り、重量による値であ
る。
【0124】[性能評価の為の塗装板の調製]ポリエス
テル−メラミン架橋の黒色溶剤型塗料を、りん酸亜鉛処
理を施した0.8mm厚の梨地鋼板に、20μm厚で塗
装し、その後、170℃、30分間焼付けをして、下地
処理鋼板を調製した。
【0125】[性能評価]性能評価は、次のようにして
行なった。
【0126】.耐衝撃性試験(デュポン式衝撃性試
験) JIS K5400 6.13.3に従って実施した。
おもりの重量は1kgと、評価結果の数値は、塗膜に割
れやはがれの発生した落下高さで示した。
【0127】.チッピング試験(グラベロショット試
験) 米国の自動車用塗膜の試験法SAE−J400及びAS
TM D−370に従ったグラベロメーター(スガ試験
機(株)製)を使用した。ここでは、塗装した鋼板を−
30℃の冷凍庫中4時間放置し、さらに、その後、直ち
に−30℃のドライアイス・メタノール浴中で5分間冷
却し、塗装鋼板をドライアイスメタノール浴から引き上
げ、グラベロメ−タ−にセット、直ちに砕石を吹き付け
て試験した。ドライアイスメタノール浴からの引き上げ
から、砕石を吹き付けまでの所要時間は5秒以内とし
た。砕石はJIS A5001に規定された道路用砕石
7号を使用した。塗装鋼板毎に50gの砕石を使用し、
一気に衝突させた。吹き付けのために使用した圧縮空気
の圧力は、390kPa(ゲージ)とした。砕石の衝突
により傷を受けた鋼板は、10分間室温で放置した後、
剥離しかけた塗膜をマスキングテープを用いて完全に剥
した。耐チッピング性の良否は、傷の平均直径により表
した。したがって、傷の直径が小さいほど、耐チッピン
グ性が良好である。この傷の平均直径が2.0mm未満
であれば耐チッピング性が優れており、2.0mm以上
では耐チッピング性が劣るものと判定される。
【0128】.耐候性試験 QUVテスターによる2000時間の促進テストを行
い、促進テスト前後の塗膜の光沢度を測定し、光沢残存
率(%)を求めた。光沢残存率は次式により計算した。
【0129】光沢残存率[%] =(促進試験後の60
゜光沢度)÷(促進試験前の60゜光沢度)×100 .耐酸性試験 10vol%の硫酸を塗膜表面に滴下し、室温にて1日
放置した後拭き取り、外観を観察した。その結果、痕跡
の無いものを〇、痕跡の付いているものを×として示し
た。
【0130】.目視外観 塗膜外観を観察して、特に平滑性が優れているものを
◎、平滑性が良好なものを○、平滑性が普通のものを
△、平滑性が劣るものを×として示した。
【0131】.光沢 光沢計での測定値(60゜グロス)で示した。
【0132】.耐溶剤性 キシロールを含浸させたガーゼで塗膜表面を往復50回
擦った後、その塗膜を観察して、痕跡がないものを○、
痕跡があるものを×として示した。
【0133】.鉛筆引っ掻き試験 JIS K5400 6.14により実施した。表示は
鉛筆の硬度記号で示した。
【0134】.粉体塗料の耐ブロッキング性試験 粉体塗料6.0gを内径20mmの円筒形容器に入れ、
30℃で7日間貯蔵後粉体を取り出し粉体塗料のブロッ
キング状態を目視及び指触で観察し、全く異常がないも
のを◎、ややブロッキングが観測されるものを○、劣る
ものを×として示した。
【0135】[製造例1〜3](アクリル系共重合体
(a−1)の製造) 撹拌機、温度計、還流コンデンサ−及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレン66.7部を仕込み、還
流温度まで昇温した。ここに、表1に示す単量体(部)
に、重合開始剤としてt−ブチル−パーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート(商標名パーブチルO、日本油脂株
式会社製)4.5重量部を溶解し、その混合溶液を5時
間に渡り滴下して、さらに、その後パーブチルOを0.
5部滴下し、100℃で5時間保持した。得られた重合
溶液の溶剤を加熱減圧下で除去することにより固体のア
クリル系共重合体(製造例1〜3)を得た。表1に、得
られた共重合体の特性値も併せて記載した。
【0136】
【表1】 共重合体の諸物性は、以下の方法により測定した。 .ガラス転移温度(Tg):モノマー組成に基き、F
oxの式に計算により求めた。 .数平均分子量(Mn):GPCにより、ポリスチレ
ンを標準として測定した。
【0137】[製造例4](ヒドロキシルエチルメタク
リレートグラフト変性熱可塑性エラストマー(a−2)
の製造) 撹拌機、温度計、環流コンデンサー及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレン1,000部、シェルケ
ミカル社製のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック
共重合体の水素添加物(商標名KRATON G1652)100部
を仕込み、系内を窒素ガス置換し、130℃に昇温した
後、ポンプを用いて、ヒドロキシエチルメタクリレート
6.6g及びジクミルパーオキシド0.6gを溶解した
キシレン溶液100gを、5時間かけて系内に供給し
た。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを
加えてヒドロキシエチルメタクリレートグラフト変性熱
可塑性エラストマーを濾取後、さらに、アセトンで沈殿
を繰り返し洗浄した。洗浄後の沈殿物を昇温下に減圧乾
燥すると、白色粉末状の変性樹脂が得られた。この変性
樹脂の水酸基価測定を行った結果、ヒドロキシエチルメ
タクリレートの含量は2.3重量%であった。
【0138】[製造例5](グリシジルメタクリレート
グラフト変性熱可塑性エラストマー(a−2)の製造) 撹拌機、温度計、環流コンデンサー及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレン1,000部、シェルケ
ミカル社製のスチレン・ブタジエン・スチレンブロック
共重合体の水素添加物(商標名KRATON G1652)100部
を仕込み、系内を窒素ガス置換し、130℃に昇温した
後、ポンプを用いて、グリシジルメタクリレート6.5
g及びジクミルパーオキシド0.6gを溶解したキシレ
ン溶液100gを、5時間かけて系内に供給した。反応
終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えてグ
リシジルメタクリレートグラフト変性熱可塑性エラスト
マーを濾取後、さらに、アセトンで沈殿を繰り返し洗浄
した。洗浄後の沈殿物を昇温下に減圧乾燥すると、白色
粉末状の変性樹脂が得られた。この変性樹脂のエポキシ
価測定を行った結果、グリシジルメタクリレートの含量
は2.0重量%であった。
【0139】[製造例6〜11](樹脂組成物の製造
1) 製造例1〜3で製造したアクリル系共重合体(a−1)
と、熱可塑性エラストマー(a−2)を表2に示す配合
比で配合し、ヘンシェルミキサーで均一にドライブレン
ドした後、ブッス社のエクストルーダーTCS30を用
い、シリンダー温度を140℃、スクリューの回転数を
280rpmに設定し、3回混練(3パス)する事によ
り粉体塗料用樹脂組成物(製造例6〜11)を得た。
【0140】
【表2】 TUFTEC H1031:(旭化成工業株式会社製のスチレン・フ゛タシ゛エン
・スチレンフ゛ロック共重合体の水素添加物、商標名) TUFTEC M1962:(旭化成工業株式会社製のスチレン・フ゛タシ゛エン
・スチレンフ゛ロック共重合体の水素添加物の無水マレイン酸ク゛ラフト変
性品、商標名) TUFMER MP0610:(三井化学株式会社製のオレフィン系エラストマーの
無水マレイン酸ク゛ラフト変性品、商標名) NUCREL N0200H:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエチレン
・メタクリル酸共重合体、商標名)。
【0141】[製造例12〜26](粉体塗料用樹脂組
成物の製造2) 撹拌機、温度計、環流コンデンサー及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレンを66.7部を仕込み系
内を窒素ガス置換し、さらに、熱可塑性エラストマー成
分(a−2)を表3、表4に示す重量部で仕込み、環流
温度まで昇温した。そして表3、表4に示す単量体に、
重合開始剤としてt−ブチル−パーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート(商標名パーブチルO、日本油脂株式会
社製)7.0重量部を溶解し、その混合溶液を5時間に
わたり滴下して、さらに、その後パーブチルOを0.5
部滴下し、100℃で5時間保持した。得られた重合溶
液の溶剤を加熱減圧下で除去することにより、固体の粉
体塗料用樹脂組成物(製造例12〜26)を得た。
【0142】
【表3】 TUFTEC M1962:(旭化成工業株式会社製のスチレン・フ゛タシ゛エン
・スチレンフ゛ロック共重合体の水素添加物の無水マレイン酸ク゛ラフト変
性品、商標名) SEPTON 2002:((株)クラレ製のスチレン・イソフ゜レン・スチレンフ゛ロ
ック共重合体の水素添加物、商標名) TUFMER MP0610:(三井化学株式会社製のオレフィン系エラストマーの
無水マレイン酸ク゛ラフト変性品、商標名) NUCREL N0200H:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエチレン
・メタクリル酸共重合体、商標名) EVAFLEX-EEA A704:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエ
チレン・エチルアクリレート共重合体、商標名) EVAFLEX 45X:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエチレン・
酢酸ヒ゛ニル共重合体、商標名) HPR AR201:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエチレン・エチ
ルアクリレート共重合体の無水マレイン酸ク゛ラフト変性品、商品名)。
【0143】製造例15で得た樹脂組成物の超薄切片を
RuO4で染色し、染色された切片を透過型電子顕微鏡
で20,000倍の倍率で観察したところ、連続相であ
るアクリル系共重合体(a−1)中に熱可塑性エラスト
マー(a−2)が分散相として分散しており、その一次
粒子が100±30nmの粒子径で均一に分散した海島
型ミクロ相分離構造を有していることが確認された。
【0144】
【表4】 TUFTEC M1962:(旭化成工業株式会社製のスチレン・フ゛タシ゛エン
・スチレンフ゛ロック共重合体の水素添加物の無水マレイン酸ク゛ラフト変
性品、商標名) MIRASTOMER 5510B:(三井化学株式会社製のオレフィン系エラストマ
ー、商標名)。
【0145】[製造例27〜32](粉体塗料用樹脂組
成物の製造3) 撹拌機、温度計、環流コンデンサー及び窒素導入管を備
えた4ッ口フラスコにキシレンを100重量部を仕込
み、さらに製造例1で製造したアクリル系共重合体と熱
可塑性エラストマー成分(a−2)を表5に示す配合比
で添加し、系内を窒素ガス置換し、環流温度まで昇温し
た。昇温後5時間保持し、アクリル系共重合体及び熱可
塑性エラストマー成分を均一に溶解した。得られた樹脂
のキシレン溶液中の溶剤を加熱減圧下で除去する事によ
り、固体の粉体塗料樹脂組成物(製造例27〜32)を
得た。
【0146】
【表5】 TUFTEC H1031:(旭化成工業株式会社製のスチレン・フ゛タシ゛エン
・スチレンフ゛ロック共重合体の水素添加物、商標名) NUCREL N0200H:(三井・テ゛ュホ゜ンホ゜リケミカル株式会社製のエチレン
・メタクリル酸共重合体、商標名)。
【0147】[製造例33](脂肪族2価カルボン酸の
線状酸無水物硬化剤の製造) ドデカン2酸1モル、無水酢酸0.8モルを反応容器に
装入し、150℃まで昇温し、無水酢酸が系外に流失し
ないように、生成してくる酢酸を真空ラインで除去しな
がら、5時間反応させた。その後、直ちに、冷却し、白
色の固形物を回収した。この化合物の融点は73〜82
℃であった。
【0148】[実施例1、2、4〜9、14〜19、2
1〜25]製造例で製造した粉体塗料用樹脂(A)とド
デカン2酸及び酸化チタン(商標名タイピュアR96
0、デュポン社製)を表6に示す割合(部)配合比で配
合し、RESIMIX RL−4(三井化学株式会社
製、商標名、低粘度アクリル樹脂、流動調整剤)、TI
NUVIN 144(チバ・スペシャリティ・ケミカル
ズ株式会社製、商標名)、及び、ベンゾイン(ワキ防止
剤)を各1重量部ずつ、TINUVIN 900(チバ・
スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商標名)を2
重量部添加し、上記混合物をヘンシェルミキサーを用い
て均一にドライブレンドした後、加熱ロールにて90℃
の条件下で溶融混練を行った。溶融混練物を冷却後、粉
砕機にて微粉砕し、150メッシュの篩いを通過した区
分を集め粉体塗料を得た。
【0149】得られた粉体塗料を下地処理鋼板上に静電
塗装機にて60〜70μmの膜厚になるように塗装後、
160℃で30分間加熱しテスト板を得た。
【0150】[実施例3、20]製造例で製造した粉体
塗料用樹脂(A)、硬化剤(B)としてIPDI・B1
530(ε−カプロラクタム・ブロックド・イソホロン
ジイソシアネート、ダイセル・ヒュルス株式会社製)を
表6に示す配合比で配合し、硬化触媒としてジブチル錫
ジラウレート(商標名ネオスタンU−100、日東化成
株式会社製)を0.1重量部添加した以外は、実施例1
と同様の手法でテスト板を得た。
【0151】[実施例10]製造例15で製造した粉体
塗料用樹脂組成物(A)、及び、硬化剤(B)として、
製造例33で製造したドデカン2酸無水物を表6に示す
配合比で配合し、硬化触媒としてオクタン酸錫(商標名
ネオスタンU−28、日東化成株式会社製)を0.2重
量部添加した以外は、実施例15と同様の手法でテスト
板を得た。
【0152】[実施例11]製造例15で製造した粉体
塗料用樹脂組成物(A)、及び、硬化剤(B)として、
市販のウレタン変性ポリ酸無水物であるCrelan
LS2125を表6に示す配合比で配合し、硬化触媒と
してオクタン酸錫(商標名ネオスタンU−28、日東化
成株式会社製)を0.2重量部添加した以外は、実施例
15と同様の手法でテスト板を得た。
【0153】[実施例12]製造例15で製造した粉体
塗料用樹脂組成物(A)、及び、硬化剤(B)として、
市販の脂肪族ポリ酸無水物であるAdditol VX
L1381(Vianova Resins社製、商標
名)を表6に示す配合比で配合し、硬化触媒としてオク
タン酸錫(商標名ネオスタンU−28、日東化成株式会
社製)を0.2重量部添加した以外は、実施例15と同
様の手法でテスト板を得た。
【0154】[実施例13]酸化チタンを用いないこと
以外は実施例9と同様の手法でテスト板を得た。
【0155】[実施例26]製造例30で製造した粉体
塗料用樹脂組成物(A)、及び、硬化剤(B)としてセ
バシン酸を表6に示す配合比で配合した以外は、実施例
1と同様の手法でテスト板を得た。
【0156】[比較例1]製造例1で製造したアクリル
系共重合体及び硬化剤としてドデカン2酸を表7に示す
配合比で用いた以外は、実施例1と全く同様な手法でテ
スト板を得た。
【0157】[比較例2]製造例2で製造したアクリル
系共重合体、及び、硬化剤(B)として、製造例33で
製造したドデカン2酸無水物を表7に示す配合比で配合
し、硬化触媒としてオクタン酸錫(商標名ネオスタンU
−28、日東化成株式会社製)を0.2重量部添加した
以外は、実施例10と同様の手法でテスト板を得た。
【0158】[比較例3]製造例3で製造したアクリル
系共重合体、硬化剤としてIPDI・B1530(ε−
カプロラクタム・ブロックド・イソホロンジイソシアネ
ート、ダイセル・ヒュルス株式会社製)を、表7に示す
配合比で配合し、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレー
ト(商標名ネオスタンU−100、日東化成株式会社
製)を0.1重量部添加した以外は、実施例3と同様の
手法でテスト板を得た。
【0159】[比較例4〜8]各製造例で製造した粉体
塗料用樹脂組成物、硬化剤としてドデカン2酸を表7に
示す配合比で用いた以外は、実施例1と同様の手法でテ
スト板を得た。
【0160】[比較例9]ポリエステル系粉体塗料の主
剤(商品名ER−8105、ユニチカ株式会社製)7
4.1部と硬化剤であるトリグリシジルイソシアヌレー
ト5.9部と二酸化チタン(商標名タイピュアR−96
0、デュポン社製)20.0部とを配合した。これに実
施例1と同様の添加剤を加え、さらに、実施例1と同様
の方法により粉体塗料とし、下地処理鋼板に静電スプレ
ーにて60〜70μmの膜厚になるよう塗装後、200
℃で20分間加熱しテスト板を得た。
【0161】
【表6】
【0162】
【表7】 [評価]実施例1〜26で形成した熱硬化性粉体塗料及
び塗膜の評価を行った結果を表8〜10に示す。また、
これに関連する比較例1〜8で形成した熱硬化性粉体塗
料及び塗膜の評価を行った結果を表11に示す。
【0163】
【表8】
【0164】
【表9】
【0165】
【表10】
【0166】
【表11】 表8〜10に示した実施例1〜26の本発明の粉体塗料
組成物は、アクリル系粉体塗料の特徴である耐候性を損
なうことなく、耐衝撃性、耐チッピング性についてはポ
リエステル系塗料と同等或いはそれ以上の性能を示して
おり、また、塗膜の外観、光沢、耐酸性及び耐溶剤性、
粉体塗料の耐ブロッキング性等も何等問題無く、塗料と
しての実用的な通常物性も兼ね備えている。
【0167】比較例1〜3は、熱可塑性エラストマー成
分を使用しない粉体塗料用樹脂の評価結果であるが、こ
の場合、塗膜の耐衝撃性や耐チッピング性が劣ってい
る。
【0168】比較例4〜8は、熱可塑性エラストマー成
分の使用量が本発明の規定する範囲外である粉体塗料用
樹脂組成物を使用した例であり、比較例4、比較例6、
及び、比較例8は、塗膜外観、耐候性などの塗膜の諸物
性、及び、粉体塗料の耐ブロッキング性が劣っており、
比較例5、及び、比較例7は、耐衝撃性及び耐チッピン
グ性の改良が不十分である。
【0169】比較例9は、ポリエステル系の粉体塗料の
塗膜及び粉体塗料の評価を行った結果であり、この場合
塗膜の耐候性が劣っている。
【0170】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の粉体塗料組
成物は、エポキシ樹脂粉体塗料やポリエステル粉体塗料
により形成される塗膜の欠点である耐候性を改善し、か
つ、ポリエステル粉体塗料により形成される塗膜に匹敵
する優れた耐衝撃性を有し、さらには、従来ほとんど当
業者により注目されなかった耐チッピング性についても
優れる。
【0171】本発明の粉体塗料組成物により形成される
塗膜は、優れた耐候性、耐チッピング性、耐衝撃性、外
観特性を同時に実現できるので、例えば、自動車等の車
両の車体等の塗装用途に好適である。特に、自動車等の
車両のボディーやシャシー表面のように、走行中に砂利
や小石が大きな相対速度で衝突し、又、遮蔽物のない屋
外で太陽光線や厳しい気象条件に暴露される塗膜にきわ
めて好適に応用できる。具体的には、自動車等の車両の
車体、及び、自動車等の車両の部品(アルミホイール、
ワイパー、ピラー、ドアハンドル、フェンダー、ボンネ
ット、エアスポイラー、スタビライザー、フロントグリ
ル等)の塗装−特に、中塗り及び上塗り塗装−に好適に
適用される。
【0172】上記各用途の上塗り塗装に使用した際、形
成される塗膜の、外観特性(平滑性、鮮映性等)、
物理特性(耐衝撃性、耐チッピング性、密着性等)、
化学特性(耐酸性、耐酸性雨、耐溶剤性等)、耐候性
や耐紫外線性、に関し、品質管理における厳しい品質要
求に対し、粉体塗料であるにもかかわらず、溶剤型塗料
と比較して、同等以上に、充分に応えることができる。
また、その中塗り塗装に使用した際にも同様の良好な効
果が得られる。また、上記各用途の下塗り塗料(例え
ば、水性下塗り塗料等)により形成された下塗り塗膜の
上に、その中塗り及び/又は上塗り塗装し、焼き付けた
際にも同様の良好な効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 287/00 C08F 287/00 (31)優先権主張番号 特願平9−182761 (32)優先日 平9(1997)7月8日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 坂山 裕之 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 松本 剛 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂組成物(A)と硬化剤(B)を含有
    してなる熱硬化性粉体塗料組成物であって、 樹脂組成物(A)は、アクリル系共重合体(a−1)を
    含有する連続相と、熱可塑性エラストマー(a−2)を
    含有する分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構
    造を有し、 連続相を構成するアクリル系共重合体(a−1)は、分
    子内に硬化剤(B)に対して反応性のある官能基を有さ
    ず、且つ、ラジカル重合性ビニル基を少なくとも1つ有
    するビニル単量体(a−1−1)40〜99重量%、及
    び、分子内に硬化剤(B)に対して反応性のある官能基
    を有し、且つ、ラジカル重合性ビニル基を少なくとも1
    つ有するビニル単量体(a−1−2)60〜1重量%を
    重合して成るものであり、 分散相を構成する熱可塑性エラストマー(a−2)は、
    グラフト変性されていない熱可塑性エラストマー(a−
    2−1)、及び、グラフト変性された熱可塑性エラスト
    マー(a−2−2)からなる群から選択される1種以上
    のエラストマーであり、 分散相を構成する熱可塑性エラストマー(a−2)の合
    計量は、樹脂組成物(A)100重量部を基準として、
    0.5〜20重量部である熱硬化性粉体塗料組成物。
  2. 【請求項2】 グラフト変性されていない熱可塑性エラ
    ストマー(a−2−1)は、 主鎖に実質的に不飽和二重結合を有さない共重合体であ
    って、芳香族ビニル炭化水素を重合して成るハードセグ
    メントS、及び、共役ジエンを重合して成るソフトセグ
    メントBから構成されるS−B−S型3元ブロック共重
    合体の水素添加物(SEBS)から構成されるスチレン
    系熱可塑性エラストマー(a−2−1a)、 主鎖に実質的に不飽和二重結合を有さない共重合体であ
    って、エチレン及び/又はプロピレンを重合して成るハ
    ードセグメント、並びに、エチレン及び/又は炭素原子
    数3以上のα−オレフィンを共重合して成るソフトセグ
    メントから構成されるポリオレフィン系熱可塑性エラス
    トマー(a−2−1b)、 主鎖に実質的に不飽和二重結合を有さず、エチレンと、
    酢酸ビニル及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとを
    共重合して成る熱可塑性エラストマー(a−2−1
    c)、及び、 主鎖に実質的に不飽和二重結合を有さず、エチレンと
    (メタ)アクリル酸を共重合して成る熱可塑性エラスト
    マー(a−2−1d)からなる群から選択された少なく
    とも一種のエラストマーであり、且つ、 グラフト変性された熱可塑性エラストマー(a−2−
    2)は、前記熱可塑性エラストマー(a−2−1a)〜
    (a−2−1d)の何れかを主鎖とした熱可塑性エラス
    トマーのグラフト化物(a−2−2a)〜(a−2−2
    d)である請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーのグラフト化物
    (a−2−2a)〜(a−2−2c)が、主鎖に対し
    0.1〜10重量%のα,β−不飽和カルボン酸又はそ
    の無水物でグラフト変性された構造を含む請求項2に記
    載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  4. 【請求項4】 スチレン系熱可塑性エラストマー(a−
    2−1a)が、スチレン−ブタジエン−スチレン3元ブ
    ロック共重合体の水素添加物、及び/又は、スチレン−
    イソプレン−スチレン3元ブロック共重合体の水素添加
    物である請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマー(a−2−1c)
    が、エチレンと、酢酸ビニル及び/又はエチルアクリレ
    ートとを共重合して成る熱可塑性エラストマーである請
    求項2に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー(a−2−1d)
    が、エチレンとメタクリル酸との共重合体であり、メタ
    クリル酸の使用量が、熱可塑性エラストマー(a−2−
    1d)100重量%に対して1〜10重量%である請求
    項2に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  7. 【請求項7】 熱可塑性エラストマー(a−2)が、
    2,000〜400,000の重量平均分子量を有する請
    求項1〜6の何れか一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成
    物。
  8. 【請求項8】 熱可塑性エラストマー(a−2)により
    構成される分散相は、一次粒子としての平均直径が1n
    m〜30μmである請求項1〜7の何れか一項に記載の
    熱硬化性粉体塗料組成物。
  9. 【請求項9】 ビニル単量体(a−1−1)100重量
    %中に、炭素原子数1〜14のアルキル基及び/又はシ
    クロヘキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが
    50重量%〜100重量%含まれる請求項1〜8の何れ
    か一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  10. 【請求項10】 ビニル単量体(a−1−2)が、グリ
    シジル(メタ)アクリレート及びβ−メチルグリシジル
    (メタ)アクリレートからなる群から選択された少なく
    とも1種の単量体である請求項1〜9の何れか一項に記
    載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  11. 【請求項11】 アクリル系共重合体(a−1)が、3
    0℃〜120℃のガラス転移点計算値を有する請求項1
    〜10の何れか一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  12. 【請求項12】 硬化剤(B)が、多価カルボン酸(b
    −1)及び/又は多価カルボン酸無水物(b−2)であ
    る請求項1〜11の何れか一項に記載の熱硬化性粉体塗
    料組成物。
  13. 【請求項13】 多価カルボン酸(b−1)が脂肪族多
    価カルボン酸であり、多価カルボン酸無水物(b−2)
    が脂肪族多価カルボン酸無水物である請求項12に記載
    の熱硬化性粉体塗料組成物。
  14. 【請求項14】 樹脂組成物(A)が、グラフト変性さ
    れていない熱可塑性エラストマー(a−2−1)、及び
    /又は、熱可塑性エラストマー(a−2−1)にグラフ
    ト変性の為の基を導入して得たエラストマーの存在下
    で、単量体(a−1−1)及び単量体(a−1−2)を
    ラジカル重合せしめることにより得られる海島型ミクロ
    相分離構造を有する組成物である請求項1〜13の何れ
    か一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  15. 【請求項15】 熱可塑性エラストマー(a−2−1)
    に対し0.1〜10重量%のα,β−不飽和カルボン酸又
    はその無水物を用いてグラフト変性することにより、前
    記グラフト変性の為の基を導入したエラストマーを得る
    請求項14に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  16. 【請求項16】 ビニル単量体(a−1−1)及びビニ
    ル単量体(a−1−2)のラジカル重合は、樹脂組成物
    (A)の合計重量に対して0.3〜5倍に相当する重量
    の不活性有機溶媒中で行う請求項14又は15に記載の
    熱硬化性粉体塗料組成物。
  17. 【請求項17】 不活性有機溶媒が、芳香族系有機溶媒
    である請求項16に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  18. 【請求項18】 芳香族系有機溶媒が、トルエン及び/
    又はキシレンである請求項17に記載の熱硬化性粉体塗
    料組成物。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料組
    成物を製造するための方法であって、樹脂組成物(A)
    及び硬化剤(B)を含む原料を溶融混練する工程、並び
    に、該溶融混練物を冷却し粉砕する工程を有する熱硬化
    性粉体塗料組成物の製造方法。
  20. 【請求項20】 溶融混練工程は、40℃〜130℃の
    温度で行う請求項19に記載の熱硬化性粉体塗料組成物
    の製造方法。
JP18749598A 1997-07-08 1998-07-02 熱硬化性粉体塗料組成物 Expired - Fee Related JP3902703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18749598A JP3902703B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-02 熱硬化性粉体塗料組成物

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18276197 1997-07-08
JP9-182759 1997-07-08
JP9-182760 1997-07-08
JP9-182758 1997-07-08
JP18275997 1997-07-08
JP18276097 1997-07-08
JP18275897 1997-07-08
JP9-182761 1997-07-08
JP18749598A JP3902703B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-02 熱硬化性粉体塗料組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006308979A Division JP4585503B2 (ja) 1997-07-08 2006-11-15 熱硬化性粉体塗料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1180614A true JPH1180614A (ja) 1999-03-26
JP3902703B2 JP3902703B2 (ja) 2007-04-11

Family

ID=27528834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18749598A Expired - Fee Related JP3902703B2 (ja) 1997-07-08 1998-07-02 熱硬化性粉体塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3902703B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002097256A (ja) * 2000-09-27 2002-04-02 Kyowa Yuka Co Ltd 樹脂組成物
JP2007100100A (ja) * 1997-07-08 2007-04-19 Mitsui Chemicals Inc 熱硬化性粉体塗料組成物
JP2015054932A (ja) * 2013-09-12 2015-03-23 Dic株式会社 粉体塗料及び該粉体塗料で塗装されたアルミホイール合金部材
JP2016030785A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 富士ゼロックス株式会社 熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007100100A (ja) * 1997-07-08 2007-04-19 Mitsui Chemicals Inc 熱硬化性粉体塗料組成物
JP2002097256A (ja) * 2000-09-27 2002-04-02 Kyowa Yuka Co Ltd 樹脂組成物
JP2015054932A (ja) * 2013-09-12 2015-03-23 Dic株式会社 粉体塗料及び該粉体塗料で塗装されたアルミホイール合金部材
JP2016030785A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 富士ゼロックス株式会社 熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3902703B2 (ja) 2007-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5767188A (en) Water-based paint composition, painting method and paint films
JP2009173731A (ja) プライマー及びそれを用いた塗装方法
EP0997501B1 (en) Thermosetting powder coating composition
WO2018181208A1 (ja) 塗料組成物
JP6399548B2 (ja) 水性着色ベース塗料組成物及びそれを用いた補修塗装方法
JP3242595B2 (ja) 水性プライマー塗料組成物
JP3502192B2 (ja) 粉体塗料組成物
JP3902703B2 (ja) 熱硬化性粉体塗料組成物
JP2005139336A (ja) 2液型塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品
JP4585503B2 (ja) 熱硬化性粉体塗料組成物
JP2003292881A (ja) 粉体塗料組成物及び塗膜形成方法
JP2002173637A (ja) 熱硬化性粉体塗料組成物
JP2023120827A (ja) 複層塗膜形成方法
JP7365311B2 (ja) ベース塗料組成物および塗装物品
JP4697996B2 (ja) 熱硬化性粉体塗料組成物
JP7078331B2 (ja) 塗料組成物
JPS62283134A (ja) プラスチツク部材用プライマ−
JP3505284B2 (ja) 熱硬化性粉体塗料、それを用いた塗装方法及び塗装された物
JP4697994B2 (ja) 熱硬化性粉体塗料用樹脂組成物及びそれを使用した熱硬化性粉体塗料組成物
US6333380B1 (en) Thermosetting resin composition for powder paint and thermosetting powder paint composition using the same
JPH0717721B2 (ja) 塗料用樹脂組成物
JP2008184522A (ja) プライマー及びそれを用いた塗装方法
WO2005087881A1 (ja) 粉体塗料組成物
JP2004352836A (ja) 樹脂組成物及びその用途
JP2003080166A (ja) 複層塗膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050608

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060705

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070104

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140112

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees