JPH1178618A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JPH1178618A
JPH1178618A JP9241564A JP24156497A JPH1178618A JP H1178618 A JPH1178618 A JP H1178618A JP 9241564 A JP9241564 A JP 9241564A JP 24156497 A JP24156497 A JP 24156497A JP H1178618 A JPH1178618 A JP H1178618A
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road surface
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engine
vehicle
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裕介 皆川
Yasushi Narita
靖史 成田
Satoru Takizawa
哲 滝沢
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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】低μ路面でのアクセルペダル操作時或いは制動
時における車両の挙動変化を抑制する。 【解決手段】低μ路面を走行中であると判断したときに
は、Dレンジ変速比領域の最大及び最小変速比CMAX
MIN を、スノーモード時の最大及び最小変速比
SMAX,CSMINに制限して変速領域の範囲を狭くし、且
つスロットル開度が全閉状態であるときに実行している
エンジンの燃料カットを行わない。これによって、低μ
路面において、変速比がより大きな最小変速比CSMIN
制御されることによるエンジンブレーキの作用しすぎ
が、燃料カットを禁止して或る程度のエンジントルクを
発生させることにより回避されて、適度なエンジンブレ
ーキによる制動効果が得られ、また、アクセル再踏み込
み時のエンジントルクの引き込みが回避されるから、低
μ路面におけるブレーキ操作等の頻度が低減されると共
にエンジントルクのトルク変動が抑制され、車両の挙動
変化が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
無段変速機の制御装置に関するものであり、特に氷雪路
面や濡れたタイル路面等のような低摩擦係数状態の路面
での踏み込み時、或いは制動時における車両挙動変化を
抑制するのに好適な無段変速機の制御装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、ベルト式やトロイダル式の従来
の無段変速機では、その変速比を制御するための変速パ
ターンは、例えば、特開平4−203665号公報に示
すように、車速とスロットルバルブの開度(以下、スロ
ットル開度という。)とを変数として、変速セレクトポ
ジションに応じた変速比制御領域内で変速パターンを制
御している。つまり、前進走行時について述べれば、変
速セレクトポジションとして、通常走行レンジ(一般に
いうDレンジ)が選択されている場合は、通常走行に好
適な通常走行変速比制御領域(つまりDレンジ変速比領
域)内で、また、エンジンブレーキレンジ(一般にいう
Lレンジ,S(2)レンジ)が選択されている場合は、
前記通常走行変速比制御領域よりも最小変速比の大きい
エンジンブレーキ変速比制御領域(つまり、Lレンジ,
S(2)レンジ変速比領域)内で、前記車速及びスロッ
トル開度に応じて、無段変速機の変速パターンを制御す
るようになっている。
【0003】また、一般にエンジンブレーキ作動時等の
ように、アクセルペダルが開放状態であり且つ、ある程
度の車速がでているとき、つまり、スロットル開度が全
閉状態であり且つ、エンジン回転数が所定値以上である
ときには、エンジンへの燃料供給を行う必要がないもの
と判断し、燃費の向上、或いは触媒の加熱防止等を目的
として、エンジンへの燃料供給を停止する燃料カットを
行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の無段変速機の制御装置においては、例えば通常走行
レンジが選択されている状態で、氷雪路面や濡れたアス
ファルト路面等の路面の摩擦係数の低い低μ路面を走行
した場合には、アクセルペダルを開放状態としたコース
ト走行状態からアクセル操作を行ったとき、タイヤと路
面との間の摩擦係数状態も小さいにも係わらず高μ路面
と同等の駆動力が作用することになって、駆動力が出す
ぎる傾向となりホイールスピンを生じる可能性がある。
また、アクセルペダル開放状態では、通常所定のエンジ
ン回転数以上で走行しているときには燃料カットが行わ
れるため、燃料カットにより負側のエンジントルクが作
用している状態からアクセルペダルの踏み込みが行われ
ると、エンジンのイナーシャトルクが加速された後エン
ジントルクが生じるようになるため、エンジントルクの
変動が大きくなり車両挙動が不安定になる。
【0005】また、高μ路面を走行している状態から低
μ路面に移行した場合等にアクセルペダルを開放状態に
してエンジンブレーキによる減速効果を期待しても、低
μ路面であり、また、無段変速機の変速比は通常走行レ
ンジ変速比領域の最小変速比に制御されるから、エンジ
ンブレーキによる減速効果は小さい。そのため、ブレー
キ操作やセレクトダウンを行う頻度が多くなり、これに
伴って車両挙動が不安定となり、特に低μ路面において
は、車両挙動が不安定となることは車両の挙動変化につ
ながるため、回避されることが望ましい。
【0006】そこで、この発明は、上記従来の問題点に
着目してなされたものであり、特に低μ路面での、アク
セルペダル操作時或いは制動時における車両の挙動変化
を抑制することの可能な無段変速機の制御装置を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る無段変速機の制御装置は、少なくと
もスロットル開度が全閉状態のとき最小変速比となるよ
うに所定の変速比制御領域で無段変速機の変速制御を行
う変速制御手段と、前記スロットル開度が全閉状態であ
り且つエンジン回転数が所定値以上であるときエンジン
への燃料供給を停止する燃料供給停止手段と、を備えた
無段変速機の制御装置において、車両が走行中の路面摩
擦係数状態を検出する路面摩擦係数状態検出手段と、当
該路面摩擦係数状態検出手段が低摩擦路面状態を検出し
たとき、前記燃料供給停止手段による燃料供給の停止を
禁止し且つ前記変速比制御領域の最小変速比を最大変速
比側に変更する低摩擦路面用調整手段と、を備えること
を特徴としている。
【0008】この請求項1に係る発明では、変速制御手
段によって、スロットル開度,車速等に基づいて所定の
変速比制御領域内で無段変速機が変速制御され、少なく
ともスロットル開度が全閉状態であるときには、無段変
速機の変速比は変速比制御領域内の最小変速比に制御さ
れ、スロットル開度或いは車速等に応じた車両の走行状
態に適した適切な変速比が設定される。また、エンジン
ブレーキ作動時等のようにスロットル開度が全閉状態で
あり且つエンジン回転数が所定値以上であるときには、
エンジンへの燃料供給を行う必要がないと判断して、燃
料供給停止手段によりエンジンへの燃料供給が停止さ
れ、これによって燃費の向上等を図るようにしている。
【0009】そして、例えば、雪道等の低摩擦路面での
走行に適した変速比制御領域で無段変速機の変速制御を
行うスノーモードが、ドライバにより指示されていると
き、或いは前後輪の車輪速度の速度差等に基づき車輪が
スリップしていることが検出された場合等、路面摩擦係
数状態検出手段により低摩擦路面を走行していることが
検出されたときには、低摩擦路面用調整手段によって、
燃料供給停止手段によるエンジンへの燃料供給の停止が
禁止され、且つ、変速比制御領域の最小変速比が最大変
速比側に変更される。
【0010】つまり、エンジンブレーキを作用させる目
的でアクセルペダルを開放状態とした場合、変速制御手
段によって所定の変速比制御領域の最小変速比が無段変
速機の変速比として設定されるが、最小変速比に制御さ
れている状態でエンジンブレーキによる制動効果は得る
ことは困難である。そのため、ブレーキ操作等を行う頻
度が高くなり車両挙動の変化をもたらす可能性がある
が、低摩擦路面状態である場合には、最小変速比が最大
変速比側に変更され、また、燃料供給停止手段によるエ
ンジンへの燃料供給の停止が禁止されるから、無段変速
機の変速比が最小変速比よりもより大きい変速比に変更
されてエンジンブレーキによる制動効果を得られると共
に、燃料供給を停止せずに引き続き行うことにとてエン
ジンブレーキが強くなりすぎることが回避され、ある程
度のエンジントルクを発生させた状態で無段変速機の変
速比を大きくすることによって、適度なエンジンブレー
キによる減速効果が得られることになる。
【0011】また、エンジンブレーキを作用させている
状態から、再度踏み込みを行うような場合等には、スロ
ットル開度が全閉状態であり且つエンジン回転数が所定
値以上であるときには、燃料供給停止手段によりエンジ
ンへの燃料供給が停止されているため、負側のエンジン
トルクが作用することになり、この状態からアクセルペ
ダルの踏み込みが行われると、イナーシャトルクが加速
された後エンジントルクが発生するから、エンジントル
ク変動が大きくなるため、車両挙動が不安定となる。し
かしながら、低μ路面である場合にはエンジンへの燃料
供給の停止が禁止されるから、ある程度のエンジントル
クが発生している状態から立ち上がることになるので、
アクセルペダルの踏み込みに応じてなめらかにエンジン
トルクが立ち上がり、エンジントルクの変動が抑制され
て車両挙動が安定する。
【0012】また、請求項2に係る無段変速機の制御装
置は、車速を検出する車速検出手段を備え、前記低摩擦
路面用調整手段は、前記車速が大きくなるほど前記最小
変速比の変更幅を小さくするようになっていることを特
徴としている。
【0013】この請求項2に係る発明では、路面摩擦係
数状態検出手段によって低摩擦路面状態であることが検
出されたことに伴い、低摩擦路面用調整手段によって変
速比制御領域の最小変速比が最大変速比側へ変更される
ときに、車速が大きくなるほど、より変更幅が小さくな
るように変更される。つまり、車速が大きい程エンジン
ブレーキによる減速効果が大きくなるから、車速が小さ
いほど最小変速比をより最大変速比側に変更し、車速が
大きくなるほどより変更幅が小さくなるように最小変速
比が変更されることによって、車速に応じたエンジンブ
レーキによる減速効果に応じて最小変速比の変更が行わ
れることになって、エンジンブレーキのききすぎが回避
される。
【0014】さらに、請求項3に係る無段変速機の制御
装置は、前記低摩擦路面用調整手段は、前記路面摩擦係
数状態検出手段が低摩擦路面状態を検出したとき、前記
変速比制御領域の最大変速比を最小変速比側に変更する
ようになっていることを特徴としている。
【0015】この請求項3に係る発明では、車両が走行
中の路面が低摩擦路面状態であるときには、低摩擦路面
用調整手段によって、変速比制御領域の最大変速比が、
最小変速比側のより変速比の小さい値に変更される。
【0016】したがって、低μ路面において通常の高μ
路面走行と同様に変速比が制御された場合、例えばアク
セルの踏み込み操作を行ったとき等には、低μ路面にお
いて高μ路面と同等の駆動力が作用することになって駆
動力が作用しすぎることにより車両がスピンする可能性
があるが、低μ路面走行である場合には、最大変速比を
よりより変速比の小さな値に変更するようにしたから、
低μ路面においてアクセル操作を行った場合でも駆動力
が抑制されて、車両がスピンする可能性が低減される。
【0017】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る無段変速機の制
御装置によれば、低摩擦路面状態を検出したときには、
低摩擦路面用調整手段によって、燃料供給停止手段によ
るエンジンへの燃料供給の停止を禁止し、且つ、変速比
制御領域の最小変速比を最大変速比側の大きな変速比に
変更するようにしたから、エンジンブレーキによる減速
効果を適度に得ることが可能となる共に、再踏み込み時
の車両挙動を安定化することができ、低摩擦路面におけ
る車両の挙動変動を抑制することができる。
【0018】また、請求項2に係る無段変速機の制御装
置によれば、低摩擦路面用調整手段により変速比制御領
域の最小変速比を変更する際に、車速が大きくなるほ
ど、変更幅が小さくなるようにしたから、車両の走行状
態に応じた適度なエンジンブレーキによる減速効果を得
ることができる。
【0019】さらに、請求項3に係る無段変速機の制御
装置によれば、低摩擦路面状態を検出したとき、前記変
速比制御領域の最大変速比を、最小変速比側のより小さ
な変速比に変更するようにしたから、低摩擦路面におけ
るアクセルペダル操作時に、駆動力が作用しすぎること
を回避し、車両挙動が不安定となることを回避すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明をトロイダル型無
段変速機に適用した場合の一例を示す構成図である。
【0021】この実施の形態における車両に搭載される
無段変速機は、前進走行用の変速セレクトポジションと
して、通常走行レンジと、エンジンブレーキを作動させ
るエンジンブレーキレンジと、を少なくとも備えてお
り、変速セレクトポジションに通常走行レンジであるD
レンジが選択されているときには、通常走行に好適な通
常走行変速比制御領域(Dレンジ変速比領域)内で、ま
た、エンジンブレーキレンジであるSレンジが選択され
ているときには、前記通常走行変速比制御領域よりも最
小変速比の大きいエンジンブレーキレンジ制御領域(S
レンジ変速比領域)内で、それぞれ車速及びスロットル
開度に応じて目標入力軸回転数を設定することにより、
無段変速機の変速比を制御する。
【0022】この無段変速機の動力伝達機構は、図1に
明示するように、トルクコンバータ2,前後進切換機構
4,トロイダル型無段変速機6,終減速装置8等を有し
ており、エンジン10の図示しない出力軸の回転を、所
定の変速比及び回転方向で左右の駆動輪9に伝達するこ
とができる。そして、前記エンジン10の出力軸に接続
されたトルクコンバータ2の出力側は、前後進切換機構
4の図示しない回転軸と連結されており、この前後進切
換機構4を制御することによって、駆動軸の回転方向を
前進用の正方向又は後進用の逆方向に変化させることが
できるようになっている。なお、前記トルクコンバータ
2には、フルードカップリングを採用することも可能で
ある。
【0023】前記トロイダル型無段変速機6は、図1に
示すように、前後進切換機構4の回転軸と一体に回転す
る入力ディスク11及び12と、当該入力ディスク11
及び12間に配置された出力ディスク13と、入力ディ
スク11及び出力ディスク13間に設けられこれら間の
回転力を伝達する一対の伝動ローラ15と、入力ディス
ク12及び出力ディスク13間に設けられこれら間の回
転力を伝達する一対の伝動ローラ16と、を少なくとも
備えている。
【0024】ここで、入力ディスク11,12及び出力
ディスク13と伝動ローラ15,16との接触面はトロ
イド面に形成され、入力ディスク11,12及び出力デ
ィスク13に対する伝動ローラ15,16の傾転角を変
えることにより、入力ディスク11,12と出力ディス
ク13との回転速度比を連続的に変えることができる。
【0025】そして、入力ディスク11,12及び出力
ディスク13に対する伝動ローラ15,16の傾転角
は、油圧制御装置20によって制御される。この油圧制
御装置20は、図2に示すように、弁本体21a内に摺
動自在に配設されたスプール21bを有する制御弁21
と、この制御弁21のスプール21bをラックアンドピ
ニオン機構を介して移動させるステップモータ22と、
一方のピストンロッドが伝動ローラ15,16を回転自
在に支持する支持機構17の回転軸に連結された油圧シ
リンダ23と、この油圧シリンダ23の他方のピストン
ロッドの先端に取付けられたプリセスカム面を備えたプ
リセスカム24と、一端がプリセスカム24のカム面に
係合し他端が制御弁21の弁本体21aに形成された突
出片21cに係合するL字状リンク25とを備えてい
る。
【0026】そして、制御弁21の入力ポートPsにラ
イン圧PLが供給され、入出力ポートPo1及びPo2
が夫々油圧配管を介して油圧シリンダ23のピストン2
3aで画成された圧力室23b及び23cに接続されて
いる。なお、26は、弁本体21aを中立位置に復帰さ
せるリターンスプリングである。
【0027】したがって、ステップモータ22の例えば
時計方向の回転に応じて制御弁21のスプール21bが
右動し、これによって所定のライン圧PLが入出力ポー
トPo1を介して油圧シリンダ23の圧力室23bに供
給されると共に、圧力室23c内の圧力油が入出力ポー
トPo2及びドレンポートPD を介してタンクに戻され
る。このため、ピストン23aが下方向に移動して、伝
動ローラ15を支持する支持機構17が中立位置から下
方に移動される。
【0028】このため、プリセスカム24も下方に移動
されることにより、L字状リンク25を介して制御弁2
1の弁本体21aが右動することにより入出力ポートP
o1及びPo2が閉じられ、これと同時に伝動ローラ1
5,16が傾転を開始することにより、プリセスカム2
4が回転し、これに応じて弁本体21aがさらに右動さ
れて、上記とは逆に入出力ポートPo2にライン圧PL
が供給されることにより、支持機構17が中立位置に復
帰されると共に、プリセスカム24が上昇して弁本体2
1aが左動して入出力ポートPo1及びPo2が閉じら
れ、伝動ローラ15,16の傾転角がステップモータ2
2のステップ数に応じた角度だけ変更される。
【0029】そして、前記ステップモータ22がコント
ロールユニット30によって駆動制御されることによっ
て、ステップモータ22のステップ数に対応して各入出
力ディスクに対する伝動ローラ15,16の傾転角が変
化し、ステップモータ22のステップ数と変速比とが一
意に対応する。
【0030】一方、車両には、ロータリ式ポテンショメ
ータ等から構成されてエンジン10のスロットル開度T
VOを検出するスロットル開度センサ41,前記トロイ
ダル型無段変速機6の入力ディスク11の回転数を検出
する入力軸回転数センサ42,出力ディスク13の回転
数を検出する出力軸回転数センサ43,図示しないセレ
クトレバーで通常走行レンジであるDレンジが選択され
たとき、セレクト信号FD=1として出力するセレクタ
スイッチ44,雪路や砂路等の低摩擦路面用のスノーモ
ード走行パターンでの変速制御を指示するスノーモード
が選択されたとき検出信号SWSNOW=1として出力する
スノーモードスイッチ45,エンジン10の出力軸の回
転数を検出するエンジン回転数センサ46,前輪側回転
数及び後輪側回転数を検出する前輪回転数センサ47,
後輪回転数センサ48を少なくとも備え、それぞれ適所
に設けられている。
【0031】このうち、スロットル開度センサ41は、
エンジン10のスロットル開度を電圧信号として検出す
るものであって、アクセルペダルの踏み込み量を段階的
に分割し、このアクセルペダルの踏み込み量が“0”で
ある、すなわち、それと等価なスロットル開度が全閉状
態である場合を最小値TVOMIN とし、アクセルペダル
の踏み込み量が最大である、すなわち、それと等価なス
ロットル開度が全開状態である場合を最大値TVOMAX
として、このスロットル開度に応じたアナログ信号TV
Oが出力されるようになっている。
【0032】そして、前記コントロールユニット30
は、後述する変速比制御及びその他の変速機能制御のた
めの演算処理を行うマイクロコンピュータ31と、前記
ステップモータ22を駆動するためのモータ駆動回路3
2と、を備えている。前記マイクロコンピュータ31
は、前記各センサからの信号を読み込むためのA/D変
換機能等を有する入力インタフェース回路31aと、マ
イクロプロセッサユニットMPU等から構成される演算
処理装置31bと、ROM,RAM等を備えた記憶装置
31cと、D/A変換機能等を有する出力インタフェー
ス回路31dと、を備えている。
【0033】そして、このマイクロコンピュータ31で
は、例えば後述する変速比制御のための演算処理にした
がって、スロットル開度センサ41からのスロットル開
度TVO及び出力回転数センサ43からの出力軸回転数
Noをもとに算出した車速V SP、Dレンジが選択されて
いるかSレンジが選択されているか、また、スノーモー
ドが選択されているかどうか等、に基づいて無段変速機
で達成すべき入力回転数を算出し、これに基づいてトロ
イダル型無段変速機機構6で達成すべき変速比Cを算出
設定し、この変速比Cを達成するために必要な、ステッ
プモータ22を駆動するためのモータ制御信号SM を生
成し、モータ駆動回路32に出力すると共に、エンジン
制御装置50に対して後述のスノーモードフラグFSNOW
を出力する。
【0034】前記モータ駆動回路32は、入力されるモ
ータ制御信号SM を、ステップモータ22への駆動信号
に変換して出力する。次に、前記マイクロコンピュータ
31の演算処理装置31bで実行される変速比制御処理
について図3に示すフローチャートに基づいて説明す
る。この演算処理は例えば10msec程度のサンプリ
ング周期毎のタイマ割り込みによって実行される。な
お、このフローチャートでは特に通信のためのステップ
を設けていないが、演算処理に必要なマップやプログラ
ム或いは所定の演算式等は前記記憶装置31cのROM
から随時読み込まれ、また演算により得られた算出値や
各情報値は随時記憶装置31cのRAMに記憶されるも
のとする。
【0035】この変速比制御処理では、まず、ステップ
S1で、スロットル開度センサ41からのスロットル開
度TVO,エンジン回転数センサ46からのエンジン回
転数Ne,入力軸回転数センサ42からの入力軸回転数
Nt,出力軸回転数センサ43からの出力軸回転数N
o,スノーモードスイッチ45からの検出信号S
SNOW,セレクタスイッチ44からのセレクタ位置信号
FD,前輪側及び後輪側の回転数センサ47,48から
の前輪側回転数NF 及び後輪側回転数NR を読み込む。
次いでステップS2に移行して、出力軸回転数Noから
次式(1)に基づいて車速VSPを算出する。なお、式中
のAは、変換係数である。
【0036】 VSP=No×A ……(1) また、エンジン回転数Neとスロットル開度TVOをも
とに、図4に示す、スロットル開度TVOをパラメータ
としてエンジン回転数NeとエンジントルクTeとの対
応を表す制御マップからエンジントルクTeを算出す
る。そして、このエンジントルクTeと、トルクコンバ
ータ比t(e)とから次式(2)にしたがって無段変速
機6の推定入力トルクTinを算出する。なお、トルク
コンバータ比t(e)は、入力軸回転数Ntとエンジン
回転数Neとから次式(3)にしたがって算出される。
【0037】 Tin=Te×t(e) ……(2) t(e)=Nt/Ne ……(3) 次に、ステップS3に移行して、スノーモード判定処理
を実行する。このスノーモード判定処理では、図5のフ
ローチャートに示すように、まず、スノーモードスイッ
チ45からの検出信号SWSNOWがSWSNOW=1である
か、つまり、ドライバによって、スノーモード走行パタ
ーンでの走行が指示されているか否かを判定する(ステ
ップS11)。そして、SWSNOW=1である場合には、
ステップS12に移行して、スノーモードフラグFSNOW
をFSNOW=1として処理を終了し、メインプログラムに
戻る。
【0038】一方、ステップS11でSWSNOW=1でな
い場合には、ステップS13に移行して、前輪側回転数
F と後輪側回転数NR との差に基づいてスリップして
いるか否かを判定すること、或いは駆動輪の車輪速の速
度変化等に基づいてスノーモード走行パターンでの走行
が適した自動スノーモードであるか、つまり、低μ路面
を走行しているか否かを判断し、自動スノーモードであ
る場合には前記ステップS12に移行する。一方、自動
スノーモードでない場合には、ステップS14に移行し
て、スノーモードフラグFSNOWをFSNOW=0として処理
を終了し、メインプログラムに戻る。
【0039】図3のフローチャートに戻って、ステップ
S3の処理でスノーモード判定処理が終了すると、次
に、ステップS4に移行して、変速判断処理を実行す
る。この変速判断処理では、セレクタスイッチ44から
のセレクタ位置信号FDがFD=1であるか否かに基づ
いて、通常走行レンジであるDレンジが選択されている
か否かを判定し、Dレンジが選択されていない場合、例
えばSレンジが選択されている場合には通常の目標変速
比設定時の処理と同様にして変速セレクトポジションに
応じた目標変速比Ctを設定する。
【0040】一方、Dレンジが選択されている場合に
は、図6のフローチャートを実行し、まず、ステップS
21で、車速VSPとスロットル開度TVOとに基づき、
図7の制御マップにおいて目標入力軸回転数TNtを設
定する。
【0041】ここで、図7に示す制御マップは、車速V
SPを横軸,目標入力軸回転数TNtを縦軸,スロットル
開度TVOをパラメータとする通常の変速パターンの総
合制御マップと同等であり、原点を通る傾き一定の直線
は変速比が一定であると考えればよい。そして、例えば
変速パターンの全領域において最も傾きの大きい直線は
車両全体の減速比が最も大きく、すなわち最大変速比C
MAX を表し、逆に最も傾きの小さい直線は減速比が最も
小さく、すなわち最小変速比CMIN を表している。そし
て、同等の車速VSPであっても、アクセルペダルの踏み
込み量が大きくスロットル開度TVOが大きいことは、
例えば加速力を必要とするとか、登坂路や向かい風抵抗
等の走行負荷によってエンジンに要求される負荷が大き
い状態であるからエンジンの回転数を増加させてその出
力トルクを大きくする必要があり、そのためにスロット
ル開度センサ41で検出されたスロットル開度TVOを
パラメータとして、スロットル開度TVOが大きくなる
ほど、目標入力軸回転数TNtが大きく設定されるよう
になっている。なお、車速VSPがある変速比制御開始し
きい値よりも小さい領域では、変速比は最大変速比C
MAX に設定される。
【0042】そして、前記最小変速比CMIN から最大変
速比CMAX までのDレンジ変速比領域内で、スロットル
開度TVOと車速VSPとに応じて目標入力軸回転数TN
tが設定されるようになっている。
【0043】次いで、ステップS22に移行して、スノ
ーモードフラグFSNOW=1であるか否かに基づいて、取
り得る変速比の最大値及び最小値に応じた目標入力軸回
転数TNtMAX 及びTNtMIN を、図7の制御マップか
ら設定する。つまり、スノーモードフラグFSNOW=0で
ある場合には、最大変速比CMAX 及び最小変速比CMI N
は図7の制御マップに実線で示すように、Dレンジ変速
比領域の変速比の最大値及び最小値をそのまま最大変速
比,最小変速比として設定する。
【0044】一方、スノーモードフラグFSNOW=1であ
る場合には、ステップS22の処理では、図7の制御マ
ップに破線で示すように最大変速比CMAX をこれよりも
最小変速比CMIN 側の変速比の小さいスノーモード時最
大変速比CSMAXに制限し、また、最小変速比CMIN をこ
れよりも最大変速比側のCMAX 側の変速比の大きいスノ
ーモード時最小変速比CSMINに制限し、このスノーモー
ド時最大変速比CSMAX及びスノーモード時最小変速比C
SMINを、最大変速比,最小変速比として設定する。つま
り、スノーモードフラグFSNOW=1である場合には低μ
路面を走行しているとみなすことができ、この低μ路面
を走行している状態でアクセルペダルの踏み込みを行っ
たときに、高μ路面と同等の駆動力を低μ路面で発生さ
せた場合には駆動力が強すぎる場合がある。よって、こ
れを回避するために、最大変速比CMAX をこれよりも変
速比の小さいスノーモード時最大変速比CSMAXに制限
し、駆動力を抑制するようにしている。
【0045】また、エンジンブレーキを作用させる場
合、つまり、スロットル開度が全閉状態であるときに
は、変速比が最小変速比CMIN に制御されることから、
エンジンブレーキによる制動効果を得にくい。これを回
避するために、最小変速比CMINをこれよりも変速比の
大きいスノーモード時最小変速比CSMINに制限し、エン
ジンブレーキによる制動効果を向上させるようにしてい
る。
【0046】次いで、ステップS23に移行して、ステ
ップS21で求めた目標入力軸回転数TNtを、ステッ
プS22で求めた最大及び最小変速比に対応する目標入
力軸回転数の最大値TNtMAX 及び最小値TNtMIN
範囲内の値に制限し、到達目標回転数TNt* を設定す
る。つまり、目標入力軸回転数TNtが目標入力軸回転
数の最大値TNtMAX を越える場合(TNt>TNt
MAX )には、到達目標回転数TNt* =TNtMAX
し、目標入力軸回転数TNtが目標入力軸回転数の最小
値TNtMIN より小さい場合(TNt<TNtMIN )に
は、到達目標回転数TNt* =TNtMIN とし、目標入
力軸回転数TNtが目標入力軸回転数の最大値TNt
MAX 及び最小値TNtMIN の範囲内である場合には、到
達目標回転数TNt* =TNtとする。
【0047】次いで、ステップS24に移行し、例えば
車両特性等に応じて時定数Krを設定する。この時定数
Krは後述の一次遅れ目標回転数Nt(k−1)を到達
目標回転数TNt* にどの程度反映させるかという重み
係数であり、0<Kr<1を満足する値に設定される。
なお、時定数Krは固定値としても、車速VSPが所定車
速以上となったときに車速の増加に応じて“1”から
“0”に減少させるようにしてもよい。
【0048】次いでステップS25に移行して、次式
(4)に基づいて、一次遅れ目標回転数Nt(k)を算
出する。 Nt(k)=〔TNt* +Nt(k−1)×Kr〕/(Kr+1) ……(4) なお、式中のNt(k−1)は前回変速制御処理実行時
に所定の記憶領域に保存していた前回算出時の一次遅れ
目標回転数である。
【0049】次に、ステップS26に移行して、ステッ
プS25で算出した一次遅れ目標回転数Nt(k)と出
力軸回転数Noとをもとに次式(5)にしたがって、目
標変速比Ctを算出する。そして、処理を終了しメイン
プログラムに戻る。
【0050】 Ct=Nt(k)/No ……(5) 図3に戻って、ステップS4の処理で変速判断処理が終
了すると、次にステップS5に移行して変速処理を実行
する。この変速処理は、ステップモータ22は瞬時に目
標位置を実現できないことから制御速度を規定するよう
にしたものであり、図8のフローチャートに示すよう
に、まず、ステップS31で、図9の制御マップに基づ
いてステップS4の処理で設定した目標変速比Ctと推
定入力トルクTinとをもとに、トルクシフト補償を考
慮した実目標変速比C* を設定する。次いで、ステップ
S32に移行して、この実目標変速比C* に対応する、
ステップモータ22のステップ数である実目標ステップ
数STP* を、図10に示す、実目標変速比C* とステ
ップモータ22のステップ数STPとの対応を示す制御
マップから求める。
【0051】次に、ステップS33に移行して、ステッ
プS32で求めた実目標ステップ数STP* が、ステッ
プモータ22の現在のステップ数STPNOW よりも小さ
いか否かを判定する。そして、現在のステップ数STP
NOW よりも実目標ステップ数STP* の方が小さくない
場合(STP* ≧STPNOW )には、ステップS34に
移行し、単位ステップ量ΔSTPを、現在ステップ数S
TPNOW に加算して、仮目標ステップ数STP′を算出
する。
【0052】次いで、ステップS35に移行して、仮目
標ステップ数STP′が実目標ステップ数STP* より
も大きいか否かを判定し、仮目標ステップ数STP′が
実目標ステップ数STP* よりも大きい場合には、ステ
ップS36に移行して、実目標ステップ数STP* をモ
ータ制御信号SM として設定する。そして、処理を終了
してメインプログラムに戻る。
【0053】一方、ステップS35の処理で、仮目標ス
テップ数STP′が実目標ステップ数STP* よりも大
きくない場合(STP′≦STP* )には、ステップS
38に移行して、仮目標ステップ数STP′をモータ制
御信号SM として設定する。そして、処理を終了してメ
インプログラムに戻る。
【0054】また、ステップS33の処理で現在ステッ
プ数STPNOW が実目標ステップ数STP* よりも大き
い場合には、ステップS39に移行し現在ステップ数S
TP NOW から単位ステップ量ΔSTPを減算して、仮目
標ステップ数STP′を算出する。次いで、ステップS
40に移行して、仮目標ステップ数STP′が実目標ス
テップ数STP* よりも小さいか否かを判定し、ST
P′<STP* でない場合には、ステップS41に移行
して、仮目標ステップ数STP′をモータ制御信号SM
として設定する。そして、処理を終了してメインプログ
ラムに戻る。
【0055】一方、ステップS40の処理で、仮目標ス
テップ数STP′が実目標ステップ数STP* よりも小
さい(STP′<STP* )場合には、ステップS36
に移行する。
【0056】このようにして、図6の変速処理、つま
り、図3のステップS5の処理が終了すると、次にステ
ップS6に移行し、図6の変速処理で設定したモータ制
御信号SM をモータ駆動回路32に出力すると共に、図
5の処理で設定したスノーモードフラグFSNOWをエンジ
ン制御装置50に出力する。そして、変速制御処理を終
了し、以後、所定のサンプリング周期で、以上の処理を
繰り返し実行する。
【0057】前記エンジン制御装置50は、エンジン負
荷や車速等に応じて例えば燃料噴射量や点火時期等を制
御し、エンジン10の回転状態を車両の走行状態に応じ
て最適状態に制御する。また、エンジンブレーキ作動時
等、スロットル開度が全閉状態であり、且つエンジンの
回転数がエンジン冷却水温度或いは車速等によって決定
される所定値、例えば図7に一点鎖線で示す燃料復帰回
転数NFCよりも大きい燃料カット回転数以上であるとき
には、エンジン10に対する燃焼供給を行う必要がない
と判断し、エンジン回転数が燃料復帰回転数NFCを下回
るまでの間、エンジン10に対する燃料の供給を停止す
る減速時燃料カット処理を行うようになっている。この
とき、コントロールユニット30から入力されるスノー
モードフラグFSNOWがFSNOW=1であるときには、減速
時燃料カット処理を行わないようになっている。つま
り、図11のフローチャートに示すように、まず、スノ
ーモードフラグFSNOW=0であるか否かを判定し(ステ
ップS51)、FSNOW=0である場合には、スノーモー
ドではないものと判断して、スロットル開度及びエンジ
ン回転数等に基づいて減速時燃料カット処理を実行し、
所定の条件を満足するときエンジン10への燃料供給を
停止する(ステップS52)。
【0058】一方、スノーモードフラグがFSNOW=1つ
まり、スノーモードである場合には、減速時燃料カット
処理における所定の条件を満足する場合でもエンジン1
0への燃料供給を停止しない(ステップS53)。
【0059】次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、乾燥したアスファルト路面やコンクリート路面等の
ようにタイヤとの間に充分な摩擦係数状態が維持される
高μ路面において、アクセルペダルを踏み込んで車両が
定速状態、もしくは加速状態で通常に走行しているもの
とし、変速セレクトポジションとして通常走行に好適な
Dレンジが選択されているものとする。
【0060】コントロールユニット30では、前記図3
の変速制御処理が所定のサンプリング周期で実行され、
各種センサからの検出値が読み込まれ(ステップS
1)、これらに基づいて車速VSP及び推定入力トルクT
inが算出される(ステップS2)。
【0061】そして、まずスノーモード判定処理が実行
され(ステップS3)、このとき、車両は高μ路面を走
行しているから、ドライバが低摩擦路面用のスノーモー
ド走行パターンでの走行を指示していないものとする
と、スノーモードスイッチ45の検出信号SWSNOW=0
となる。また、高μ路面を走行しており車輪がスリップ
していないことから、スノーモードフラグFSNOWはF
SNOW=0として設定される。次に、ステップS4の変速
判断処理が実行され、この場合Dレンジが選択されてい
ることから、図7の制御マップにおいて、車速VSPとス
ロットル開度TVOとに基づいて、Dレンジ変速比領域
内から目標入力軸回転数TNtが設定され、これに基づ
いて目標変速比Ctが設定される。そして、この目標変
速比Ctに基づいて変速処理が実行され(ステップS
5)、これにより算出設定されたモータ制御信号SM
モータ駆動回路32に出力される。このモータ駆動回路
32にからモータ制御信号SM に応じた駆動信号がステ
ップモータ22に供給されることにより、ステップモー
タ22が移動し、ステップモータ22の移動方向に応じ
て制御弁21が作動し、これによって伝動ローラ15,
16が移動することによって、所定の変速比に制御され
る。
【0062】次に、この状態から、同じく高μ路面にお
いて、変速セレクトポジションを変えることなく、ブレ
ーキペダルの踏み込みもアクセルペダルの踏み込みも解
除した惰性走行状態、つまり、コースト走行状態に移行
したとする。このコースト走行状態では、アクセルペダ
ルの踏み込みを解除した状態であるから、図7の制御マ
ップのDレンジ変速比領域の最小変速比CMIN となるよ
うに、変速制御が行われる。
【0063】そして、この状態からアクセルペダルが踏
み込まれた場合には、スロットル開度が大きくなること
から、例えば最大変速比CMAX が変速比として設定され
これに応じて変速制御が行われ、これによって適度な加
速力が与えられて良好に加速が行われる。
【0064】一方、車両が高μ路面を走行している状態
から低μ路面に移行すると、前輪側及び後輪側の車輪の
回転数差に基づくスリップ状態から、自動スノーモード
であることが検出されてスノーモードフラグがFSNOW
1に設定される。或いは、低μ路面を走行することか
ら、ドライバによってスノーモード走行パターンでの走
行が指示されて、これによって、スノーモードフラグが
SNOW=1に設定される。したがって、図7の制御マッ
プにおいて、変速比の取り得る範囲が、CMAX からC
MIN の範囲であるDレンジ変速比領域から、スノーモー
ド時最大変速比CSM AX及び最小変速比CSMINの範囲に制
限される。
【0065】そして、この状態からエンジンブレーキに
よる減速効果を期待してアクセルペダルを開放状態にす
ると、スロットル開度が全閉状態となることから、図7
の制御マップにおいて、スノーモード時の最小変速比C
SMINが変速比として設定されることになる。このスノー
モード時の最小変速比CSMINは通常の最小変速比CMI N
よりも大きな変速比に設定されているから、無段変速機
はより大きな変速比に変速制御されることになる。
【0066】このときエンジン回転数が燃料カット回転
数以上となり、燃料復帰回転数NFCを下回らない状態で
あるとすると、スロットル開度が全閉状態である場合に
は、エンジン制御装置50によって、エンジン10に対
する燃料カットが行われるが、この場合、スノーモード
フラグFSNOWがFSNOW=1であることから、燃料カット
が禁止され、燃料カットは行われない。
【0067】したがって、エンジンブレーキ作用時に
は、燃料カットを行わずある程度のエンジントルクを発
生させるようにすることによって、変速比をより大きく
することに伴いエンジンブレーキが作用しすぎる傾向と
なることが回避され、低μ路面において、適度なエンジ
ンブレーキによる制動効果が得られる。
【0068】よって、低μ路面においてもエンジンブレ
ーキによる適度な制動効果を得ることができるから、ブ
レーキ操作或いはセレクトダウン操作を行う頻度が削減
されて、これに伴う挙動変化が抑制される。特に低μ路
面における挙動変化が抑制されるから、低μ路面におけ
る走行安定性を向上させることができる。
【0069】そして、この低μ路面においてコースト走
行している状態から、アクセルペダルの踏み込み操作が
行われ、例えばスロットル開度が最大となると、スノー
モードフラグFSNOWがFSNOW=1であることから、図7
の制御マップにおいて、変速比の最大値はスノーモード
時の最大変速比CSMAXとなり、この最大変速比CSMAX
なるように無段変速機の変速比が制御される。このと
き、最大変速比CSMAXは通常のDレンジ変速比領域にお
ける最大変速比CMAX よりも変速比が小さいから、高μ
路面に比較して発生する駆動力が抑制されることにな
る。よって、低μ路面においては、高μ路面に比較して
より小さい駆動力が発生されることになるから、駆動力
が大きすぎて車両挙動が不安定となることはない。
【0070】また、このとき、コースト走行状態である
ときには燃料カットを行っていないから、コースト走行
状態から加速状態に移行した場合でもエンジントルクの
変動が少ない。つまり、エンジン回転数Neに対するエ
ンジントルクTeは、図12に示すように、実線で示す
スロットル開度が全閉状態であり燃料カットを行った場
合のエンジントルクTeに比較して、破線で示すスロッ
トル開度が全閉状態であり燃料カットを行わない場合の
エンジントルクTeの方が大きい。
【0071】したがって、コースト走行状態から、アク
セルペダルの踏み込みを行ったときには、燃料カットを
行った場合、図13(a)に示すように、コースト走行
状態では負側のエンジントルクTeが作用することにな
り、この状態でアクセルペダルの踏み込みを行った場
合、イナーシャトルクを加速する必要があるから、エン
ジントルクTeが一時的に小さくなる引き込みが生じる
ことになる。そしてその後、アクセルペダルの踏み込み
に応じたエンジントルクTeが発生することになって、
段差ΔTeが発生することになる。
【0072】これに比較して、燃料カットを行わない場
合には、図13(b)に示すように、コースト走行状態
でもエンジントルクTeは正側であるから、アクセルペ
ダルの踏み込みが行われた場合でも引き込みが生じるこ
とはなく、エンジントルクTeの段差ΔTe′が低減さ
れることになる。
【0073】したがって、このようなエンジントルクT
eが発生した場合に発生するプロペラシャフトにおける
駆動トルクは、燃料カットを行った場合は図14(a)
に示すように、エンジントルクTeに比例して、同様に
引き込みが発生することになり、その後、駆動トルクが
大きくなることになる。これに対し、燃料カットを行わ
ない場合は、エンジントルクTeに引き込みが生じてい
ないことから、図14(b)に示すように、コースト状
態のときにもある程度の駆動トルクが出力され、その後
アクセルペダルの踏み込み操作に応じてなめらかに増加
し、また、最大変速比がより小さい値となるように変更
されているから、駆動トルクの段差が抑制され、車両挙
動が安定した状態で加速が行われることになる。また、
図中に破線で示す、路面が車輪を回転させる駆動力であ
る路面回転駆動力と駆動トルクとの差であるエンジンブ
レーキトルクを、ある程度得ることができることがわか
る。
【0074】よって、低μ路面におけるコースト走行か
らアクセルペダルの踏み込みを行った場合には、イナー
シャトルクによる引き込みが低減され、また、最大変速
比をより小さな値に変更するようにして適度な駆動力を
発生させるようにしたから、駆動力変動が抑制され、こ
れに伴う車両の挙動変化が抑制されることになり、特に
低μ路面における車両挙動の変化が抑制することがで
き、車両の走行安定性を向上させることができる。
【0075】なお、上記実施の形態においては、スノー
モードフラグがFSNOW=1であるときに、最小変速比を
一律に最大変速比側のCSMINに変更するようにした場合
について説明したが、例えば図15に示すように、車速
が増加するにつれて、変更幅をより小さくするようにし
てもよい。つまり、車速が大きくなるほど変速比CMI N
との差が小さい変速比に設定するようにしてもよい。こ
のようにすることによって、通常エンジンブレーキは高
車速になるほど減速効果が大きくなるから、車速に応じ
て変速比の変更幅を変更することによって、車両の走行
状態に応じたより的確なエンジンブレーキによる適度な
制動効果を得ることができる。
【0076】また、上記実施の形態においては、無段変
速機としてハーフトロイダル型無段変速機6を適用した
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、フルトロイダル型無段変速機やプライマリプーリ及
びセカンダリプーリ間にVベルトを張設したベルト式無
段変速機にも本発明を適用することができる。
【0077】また、上記実施の形態においては、変速制
御弁21の弁本体21aとスプール21bとを相対移動
させる場合について説明したが、これに限定されるもの
ではなく、弁本体21a内に円筒状のスリーブをプリセ
スカム24によって変移させることにより、上記と同等
の作用を得ることができる。
【0078】また、上記実施の形態においては、コント
ロールユニットをマイクロコンピュータで構築した場合
について説明したが、これに限るものではなく、例えば
演算回路等の電子回路を組み合わせ構成してもよいこと
は言うまでもない。
【0079】また、上記実施の形態においては、ステッ
プS31でトルクシフト補償を行う場合について説明し
たが、これを省略することもできる。また、図8の変速
処理では、オープンループ制御処理を行うようにしてい
るが、例えば、入力軸回転数センサ42からの入力軸回
転数Nt及び出力軸回転数センサ43からの出力軸回転
数Noから現在の実変速比Cp(=Nt/No)を算出
し、これに基づきフィードバック制御処理を行うように
してもよい。
【0080】ここで、Dレンジ変速比領域が変速比制御
領域に対応し、図3のステップS4の変速判断処理が変
速制御手段に対応し、エンジン制御装置50が燃料供給
停止手段に対応し、図3のステップS3のスノーモード
判定処理が路面摩擦係数状態検出手段に対応し、図6の
ステップS22,S23の処理,及び図11のステップ
S51でスノーモードフラグFSNOW=1であるときステ
ップS53を実行する処理が低摩擦路面用調整手段に対
応し、図3のステップS2で車速を検出する処理が車速
検出手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における無段変速機の制御装置の一例を
示す構成図である。
【図2】油圧制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】変速制御処理の処理手順の一例を示すフローチ
ャートである。
【図4】スロットル開度TVOをパラメータとしてエン
ジン回転数NeとエンジントルクTeとの対応を表す制
御マップである。
【図5】スノーモード判定処理の処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図6】変速判断処理の処理手順の一例を示すフローチ
ャートである。
【図7】スロットル開度TVOをパラメータとして車速
SPと目標入力軸回転数TNtとの対応を表す制御マッ
プである。
【図8】変速処理の処理手順の一例を示すフローチャー
トである。
【図9】入力トルクTinをパラメータとして目標変速
比Ctと実目標変速比C* との対応を表す制御マップで
ある。
【図10】実目標変速比C* とステップモータのステッ
プ数STPとの対応を表す制御マップである。
【図11】エンジン制御装置における減速時燃料カット
処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】燃料カット時及び非カット時のエンジントル
クマップである。
【図13】コースト走行状態からアクセルペダル操作時
のエンジントルクの変化状況を説明する説明図である。
【図14】コースト走行状態からアクセルペダル操作時
のプロペラシャフトの駆動トルクの変化状況を説明する
説明図である。
【図15】図7の制御マップのその他の例である。
【符号の説明】
6 トロイダル型無段変速機 9 車輪 10 エンジン 11,12 入力ディスク 13 出力ディスク 15,16 伝動ローラ 20 油圧制御装置 21 制御弁 22 ステップモータ 23 油圧シリンダ 24 プリセスカム 25 L字状リンク 30 コントロールユニット 32 モータ駆動回路 41 スロットル開度センサ 42 入力軸回転数センサ 43 出力軸回転数センサ 45 スノーモードスイッチ 46 エンジン回転数センサ 50 エンジン制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // F16H 59:24 59:66

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスロットル開度が全閉状態の
    とき最小変速比となるように所定の変速比制御領域で無
    段変速機の変速制御を行う変速制御手段と、前記スロッ
    トル開度が全閉状態であり且つエンジン回転数が所定値
    以上であるときエンジンへの燃料供給を停止する燃料供
    給停止手段と、を備えた無段変速機の制御装置におい
    て、 車両が走行中の路面摩擦係数状態を検出する路面摩擦係
    数状態検出手段と、当該路面摩擦係数状態検出手段が低
    摩擦路面状態を検出したとき、前記燃料供給停止手段に
    よる燃料供給の停止を禁止し且つ前記変速比制御領域の
    最小変速比を最大変速比側に変更する低摩擦路面用調整
    手段と、を備えることを特徴とする無段変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 車速を検出する車速検出手段を備え、前
    記低摩擦路面用調整手段は、前記車速が大きくなるほど
    前記最小変速比の変更幅を小さくするようになっている
    ことを特徴とする請求項1記載の無段変速機の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記低摩擦路面用調整手段は、前記路面
    摩擦係数状態検出手段が低摩擦路面状態を検出したと
    き、前記変速比制御領域の最大変速比を最小変速比側に
    変更するようになっていることを特徴とする請求項1又
    は2記載の無段変速機の制御装置。
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