JPH1178039A

JPH1178039A - インクジェット記録装置

Info

Publication number: JPH1178039A
Application number: JP25276497A
Authority: JP
Inventors: Shinya Sonoda; 園田　　信哉
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1997-09-02
Filing date: 1997-09-02
Publication date: 1999-03-23

Abstract

(57)【要約】【目的】種類の異なるインクを吐出する複数の吐出口群
を有する吐出口面に付着した異物を、異なるインクの混
合に起因する混色の弊害を生じることなく、確実に拭き
取り清掃することを可能にする。【構成】異なるインクを吐出する複数の吐出口群２１を
同一の吐出口面３１に形成し、複数の吐出口群２１に対
応してワイピング手段５に設けられた複数のワイピング
ブレード４１のそれぞれをワイピング方向と直交する方
向に対して所定角度θだけ傾斜させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録手段から被記録材へ
インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機
能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワード
プロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーショ
ンなどの出力機器として用いられる記録装置は、記録情
報に基づいて用紙やプラスチック薄板等の被記録材に画
像（文字や記号等を含む）を記録していくように構成さ
れている。前記記録装置は、記録方式により、インクジ
ェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービー
ム式等に分けることができる。

【０００３】被記録材の搬送方向（副走査方向）と交叉
する方向に主走査しながら記録するシリアルタイプの記
録装置においては、被記録材に沿って移動する記録手段
（記録ヘッド）によって画像を記録（主走査）し、１行
分の記録を終了した後に所定量の紙送り（副走査として
のピッチ搬送）を行い、その後に再び停止した被記録材
に対して次の行の画像を記録（主走査）するという動作
を繰り返すことにより、被記録材の所望範囲に記録が行
われる。一方、被記録材の搬送方向の副走査のみで記録
するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所
定の記録位置にセットし、一括して１行分の記録を連続
的に行ないながら所定量の紙送り（ピッチ送り）を行な
い、被記録材の所望範囲に画像が記録される。

【０００４】そのうち、インクジェット式の記録装置
（インクジェット記録装置）は、記録手段（記録ヘッ
ド）から被記録材にインクを吐出して記録を行うもので
あり、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細な
画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理
を必要とせずに記録することができ、ランニングコスト
が安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、
しかも、多種類のインク（例えばカラーインク）を使用
してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を
有している。

【０００５】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、ＩＣ技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により記録手段の長尺化や面状化（２次元化）が容易で
あり、記録手段のフルマルチ化及び高密度実装化も容易
である。

【０００６】また、被記録材の材質に対する要求も様々
なものがあり、近年では、これらの要求に対する開発が
進み、通常の被記録材である紙（薄紙や加工紙を含む）
や樹脂薄板（ＯＨＰ等）などの他に、布、皮革、不織
布、さらには金属等を被記録材として用いる記録装置も
使用されるようになっている。

【０００７】記録液（インク）としてカラーインクを用
いるフルカラーインクジェット記録装置において、複数
色のインクに対応した複数の記録ヘッドには、それぞれ
独立して並列に配置されるものと、複数の吐出口より成
る吐出口群を一つの吐出口面に複数配列して（通常１列
に並べて）一つにまとめたものがある。前者の配置方法
は、比較的大型のインクジェット記録装置に用いられる
ことが多く、インク容器（インクタンク）の大容量化が
可能である。また、後者の配置方法は、小型のインクジ
ェット記録装置に適しており、インクタンクも小型のも
のとなる。

【０００８】前記インクジェット記録装置においては、
記録ヘッドの吸引回復動作により吐出口面にインク液滴
が残留したり、記録動作により記録ヘッドの吐出口面に
インク滴、固着インク、ホコリ、紙粉等の異物が付着
し、これらの付着物により正常なインク吐出が阻害され
ることがある。そこで、これらの付着物を除去するため
の手段として、例えばウレタンゴム等で形成したゴム状
弾性体のワイピングブレードにより吐出口面を拭き取り
清掃するワイピング手段（クリーニング手段）を設ける
ことが行われている。

【０００９】このようなワイピング手段による拭き取り
動作（ワイピング動作）の一態様として、前記ワイピン
グブレードを吐出口面の移動経路内へ進入させた状態で
記録ヘッドを左右方向へ移動させることにより、該ワイ
ピングブレードを吐出口面に摺擦させること、すなわ
ち、記録ヘッド（キャリッジ）の往復移動を利用して吐
出口面をワイピングすることが行われている。

【００１０】複数種類（複数色）のインクを吐出する吐
出口群を有する記録ヘッドの吐出口面をクリーニングす
る場合、典型的な従来例では、一枚のワイピングブレー
ドを用いて拭き取り清掃していた。また、複数枚のワイ
ピングブレードを用いる方法として、特開平５−２３８
０１５号や特開平７−３２６００号に開示されている方
法も提案されている。異なる色のインクを吐出する複数
の記録ヘッドを並べた複数色独立型の記録ヘッドでは、
１枚のブレードでワイピングする方式と複数枚のブレー
ドでワイピングする方式の２種類が採用されている。ま
た、複数の吐出口より成る吐出口群の複数（複数の吐出
口群）を１列に並べたインライン型の記録ヘッドの吐出
口面をワイピングする場合は、主に１枚のブレードでワ
イピングする方法が採られている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】前記インライン型の記
録ヘッドにおいて、吐出口面に形成された複数の吐出口
群の全てを１枚のブレードで同時にワイピングする方法
は、構造や制御が容易であることから、低コストが実施
することができる。しかし、この方法では、異なる色の
インクを吐出する複数の吐出口群を有するカラー記録ヘ
ッドをワイピングする場合、ワイピングを繰り返すうち
に複数色のインクがワイピングブレード上で混ざり合
い、この混ざり合ったインクが他の色の吐出口に入り込
み、インク混色の問題が発生することがある。

【００１２】また、複数枚のブレードを用いて各色の吐
出口面をワイピングする方法では、インク混色の問題は
解決することができるが、構造が複雑になって部品点数
も多くなり、またクリーニング機構自体が大きくなり、
記録装置の小型化の妨げになるなどの不都合な面があ
る。

【００１３】本発明はこのような技術課題に鑑みてなさ
れたものであり、本発明の目的は、記録手段の吐出口面
をワイピングするに際し、簡単な構造で、吸引回復動作
により吐出口面に付着したインク滴や一度増粘あるいは
固着したインク等を確実に除去することができ、しかも
異なる色の吐出口群を同時にワイピングしてもワイピン
グブレード上に残ったインクが他の色のインク吐出口に
入り込むことに起因するインク混色を防止することがで
きるワイピング手段を備えたインクジェット記録装置を
提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、上記
目的を達成するため、記録手段から被記録材へインクを
吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
同一のインクを吐出する複数の吐出口から成る吐出口群
を同一の吐出口面に複数配し、前記複数の吐出口群のそ
れぞれに対応した複数のワイピングブレードを有するワ
イピング手段で前記吐出口面をクリーニングすることを
特徴とする。

【００１５】請求項２〜５の各発明は、上記請求項１の
構成に加えて、前記複数のワイピングブレードの少なく
とも一つはワイピング方向に対して直角でないワイピン
グ面を有する構成、前記ワイピングブレードのワイピン
グ面が曲面である構成、前記複数の吐出口群は被記録材
搬送方向に１列に配列されている構成、あるいは、前記
ワイピングブレードにワイピングしたインクを下方に流
すためのスリットが形成されている構成とすることによ
り、一層効率よく上記目的を達成するものである。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図１は本発明を適用したインクジェ
ット記録装置の一実施例の主要部構成を示す模式的斜視
図である。なお、図１はシリアルタイプのフルカラーの
インクジェット記録装置に本発明を適用する場合の記録
部を示す。図１において、記録手段（記録ヘッド）１の
吐出口面には異なる種類（例えば異なる色）のインクを
吐出する複数の吐出口群が一列に配列されて形成されて
いる。各吐出口群は同一種類のインクを吐出する複数の
吐出口で構成されている。

【００１７】本実施例では、記録液（インク）としてブ
ラックを含めた複数種類（複数色）のインクが使用され
ている。記録ヘッド１は、被記録材（記録紙等）６に対
して相対移動可能なキャリッジ２に搭載されており、該
キャリッジ２の移動を制御することにより主走査方向に
高精度で往復移動させることができる。各吐出口群に対
応する色のインクを供給するためのインクタンク３は、
キャリッジ２上の記録ヘッド１に組み込まれており、記
録ヘッド１と同様に主走査方向に移動する。すなわち、
本実施例では、記録ヘッド部とインク貯留部を一体化し
た交換可能なカートリッジタイプの記録手段（ヘッドカ
ートリッジ）が使用されている。

【００１８】図２は記録手段（記録ヘッド）１の吐出口
面における複数の吐出口群の配列状態を示す正面図であ
る。図２において、記録ヘッド１の吐出口面（被記録材
６と所定隙間をもって対面するフェイス面）には、各色
のインクに対応した複数の吐出口群２１Ｂ、２１Ｃ、２
１Ｍ、２１Ｙが被記録材搬送方向（紙送り方向）に一列
に配置されている。以下、複数の吐出口群２１Ｂ、２１
Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙの任意の一つ又は全体を指す場合
は、単に吐出口群２１と称する。なお、図２に示すよう
な一つの吐出口面に複数の吐出口群が配列された記録ヘ
ッドは、インライン型の記録ヘッドと呼ばれている。

【００１９】カラー記録用の場合、前記複数の吐出口群
２１Ｂ、２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙは、例えば、ブラツク
（Ｂ）、シアン（Ｃ）、マゼンダ（Ｍ）、イエロー
（Ｙ）の各色のインクを吐出して記録するのに使用され
る。本実施例では、吐出口群２１Ｂよりブラック、２１
Ｃよりシアン、２１Ｍよりマゼンダ、２１Ｙよりイエロ
ーの各インクが吐出される。各色のインクを用いる４つ
の吐出口群２１Ｂ〜２１Ｙのそれぞれの間には０．５ミ
リ程度の間隔（インクを吐出しない境界領域）が設けら
れており、通常の記録動作では隣接した吐出口群２１間
でインクの混色が起こりにくい配置になっている。

【００２０】前記記録手段（記録ヘッド）１は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変
換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド１は、
前記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーによ
り生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる
圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させ、記
録を行なうものである。

【００２１】図３は、記録手段（記録ヘッド）１のイン
ク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図３
において、被記録材６と所定の隙間（例えば、約０．３
〜２．０ミリ程度）をおいて対面する吐出口面３１に
は、所定のピッチで複数の吐出口３２が形成され、共通
液室３３と各吐出口３２とを連通する各液路３４の壁面
に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電
気熱変換体（発熱抵抗体など）３５が配設されている。
記録ヘッド１は、前記吐出口３２がキャリッジ２の移動
方向（主走査方向）と交叉する方向に並ぶような位置関
係で、該キャリッジ２に搭載されている。こうして、画
像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体
３５を駆動（通電）して、液路３４内のインクを膜沸騰
させ、その時に発生する圧力によって吐出口３２からイ
ンクを吐出させる記録手段（記録ヘッド）１が構成され
ている。

【００２２】図１において、記録手段１の移動範囲内で
あって記録領域を外れた位置（通常ではホームポジショ
ン）には、該記録手段１の吐出口３２の吐出性能を正常
状態に維持又は回復するための回復系４が配設されてい
る。この回復系４は、各吐出口３２キャップ２２で密封
した状態で吸引ポンプ（不図示）による負圧吸引力を作
用させて吐出口群２１からインクを排出させたり、各吐
出口３２内のインクに圧力を作用させて吐出口群２１か
らインクを排出させたりすることにより、吐出口３２か
らインクとともに固着インクも気泡等の異物を排出する
ことにより回復処理（吐出不良の解消や正常吐出の維
持）を行うためのものである。

【００２３】記録装置の待機中には、記録ヘッド１の各
吐出口群２１は、インク蒸発の防止（又は軽減）及び吐
出口３２の保護のため、前記回復系４の前面（図示の上
面）に設けられた前記キャップ２２によりキャッピング
されている。また、記録領域外には、キャリッジ２（記
録ヘッド１）の移動を利用して記録ヘッド１の吐出面３
１を拭き取り清掃するためのワイピング手段（クリーニ
ング手段）５が配設されている。

【００２４】ここで、回復系４及びワイピング手段５の
動作は次の通りである。最初に、各吐出口群２１をキャ
ップ２２で密封した状態で該キャップ２２内にポンプ吸
引力を作用させることにより、インク液路３４内で増粘
したインク、侵入したホコリや紙粉、あるいはインク内
に発生した気泡などをインクとともに強制的に排出する
動作、つまり吸引動作を行う。次に、前記吸引動作の際
に吐出口面３１に付着したインク滴やホコリ等をワイピ
ングブレード（ワイピング手段）５で拭き払って除去す
る（ワイピング動作＝クリーニング動作）。その後、最
初の吸引動作の際に各吐出口群２１の間で混色が起こる
可能性があることから、これを防止するため、電気熱変
換体３５を駆動して混色インクを液路３４内から排出す
る（予備吐出）。そして、最後に再度のワイピング動作
を行う。

【００２５】各色のインクをそれぞれ独立して吐出する
複数の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置にお
いては、前述のような動作で回復処理及びワイピング動
作を行っても各色のインク間に混色が起きることはほと
んどない。しかし、図２に示すようなインライン型の記
録ヘッド１を用いるインクジェット記録装置において
は、１枚のブレードでワイピングすると、ブレード上に
複数色のインクが付着することになるため、前述の吸引
動作（吸引過程）のみならず、前述のワイピング動作
（ワイピング過程）でも、インクの混色が起こりやす
い。

【００２６】また、記録動作の途中で吐出口面３１にイ
ンク滴やホコリ等が付着することがあり、記録途中でも
一時記録を中断してワイピング動作に入ることが考えら
れるが、このようなワイピング動作の時も、ブレードに
付着したインクによる混色が発生する可能性もある。

【００２７】図４は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第１実施例の記録手段１に対する回復系４及び
ワイピング手段５の配置を示す模式図であり、図５は図
４中の線５−５に沿った複数の吐出口群２１とキャップ
２２と複数のワイピングブレード４１の配置を示す模式
図である。図５において、４１Ｂ、４１Ｃ、４１Ｍ、４
１Ｙは、各色のインクを吐出する前記吐出口群２１Ｂ、
２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙに対応して配置されたワイピン
グブレードである。なお、前記ワイピングブレード４１
Ｂ、４１Ｃ、４１Ｍ、４１Ｙの任意の一つ又は全体を指
す場合は、単にワイピングブレード４１と称する。

【００２８】本実施例（第１実施例）に係るインクジェ
ット記録装置においては、ワイピング手段５に、各吐出
口群２１Ｂ、２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙごとに分離独立し
たワイピングブレード４１Ｂ、４１Ｃ、４１Ｍ、４１Ｙ
が設けられている。これは、吐出口面３１のワイピング
によるインクの混色を防止するためである。このように
各インク色ごとにワイピングブレード４１を独立して配
置するので、ワイピングブレード４１のそれぞれには単
色のインクのみが付着することになり、従って、ブレー
ド４１上で混じり合ったインクが吐出口３２に入り込む
ことで発生する混色を防ぐことができる。

【００２９】さらに、本実施例では、各ワイピングブレ
ード４１は、図５に示すように、記録装置の排紙側から
見てワイピング方向（矢印Ａ方向）に対して時計回り方
向（右回転方向）に傾斜して配置されている。この傾斜
角度は、他の吐出口群より吐出口の数が多い（吐出口列
の長さが長い）ブラックの吐出口群２１Ｂをワイピング
するブレード４１Ｂについては比較的小さい角度θ１に
選定され、他の吐出口群２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙをワイ
ピングするブレード４１Ｃ、４１Ｍ、４１Ｙについては
比較的大きい角度θ２に選定されている。つまり、各吐
出口群２１Ｂ、２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙにおける吐出口
の数が全て同じである場合には、θ１＝θ２となる。な
お、前記傾斜角度θ１、θ２の絶対値は、使用するイン
クの粘度や表面張力、インクと接する各部材の撥水性、
あるいは、記録ヘッド１の移動速度などを考慮して決定
される。

【００３０】図６は吐出口面３１に付着したインクを前
記ワイピング手段５によってワイピングしていく時の動
作を排紙側から見て示す模式図である。図６中の矢印は
記録ヘッド１の移動方向を示し、従ってワイピング動作
はこの矢印の方向に順次進行していく。図６中の網かけ
をしている範囲は未清掃領域（ワイピング前の領域）を
示す。図６において、実際には記録ヘッド１の吐出口面
３１がワイピングブレード４１に向かって（矢印方向）
移動し、各ワイピングブレード４１は相対的に吐出口面
３１に対して前記θ１、θ２だけ傾斜して進入すること
になる。そのため、吐出口面３１のワイピング方向は排
紙側から見て右から左方向（記録ヘッド移動方向に対し
て平行）になり、その時の清掃領域（ワイピング範囲）
は各色の吐出口群２１ごとに４分割されることになる。
このようなワイピング動作を採ることにより、混色が目
立ちやすいイエローインクが吐出される吐出口群側（吐
出口群２１Ｙ側）に他の色のインクを寄せ付けないよう
にすることができる。

【００３１】図４〜図６の第１実施例における各ワイピ
ングブレード４１の吐出口面３１に対する接離（進入退
避）動作は次のとおりである。記録時には、記録ヘッド
１を搭載したキャリッジ２は回復系４及びワイピング手
段５が配設された領域には進入しない。記録ヘッド１の
回復処理を開始する時あるいは記録中でも吐出口面３１
をクリーニングする時に、各ワイピングブレード４１を
吐出口面３１に接触させて図６に示すようなワイピング
動作を実行するが、ワイピング動作後に記録ヘッド１が
記録領域側へ移動する時には図４中に右方向へ傾いた淡
い線で示すようにワイピング手段５を退避位置へ移動さ
せ、各ワイピングブレード４１が吐出口面３１に接触し
ないようにする。

【００３２】前記ワイピング動作（クリーニング動作）
のタイミングは、記録時の条件に応じて自由に設定でき
るが、例えば記録ヘッド１の移動が長距離になる大版画
像記録を行う場合、糸くず等のゴミが発生しやすい織布
を被記録材として用いる場合、あるいは揮発性の高いイ
ンクを使用する場合などでは、記録ヘッド１の毎回の往
動時に行うことが望まれる。しかし、これに限定される
ことなく、所定の記録動作ごと、あるいは所定の記録枚
数ごとにワイピング動作を行ってもよい。

【００３３】図７は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第２実施例のワイピング手段を示す模式図であ
る。本実施例は、吐出口群２１Ｂ付近に付着したブラッ
クのインク滴を他のカラーインクが吐出される吐出口群
２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙの方へ寄せ付けないようにブレ
ード４１Ｂを配置し、他の吐出口群２１Ｃ、２１Ｍ、２
１Ｙを共通の１枚のブレードでワイピングするように構
成したものである。すなわち、本実施例は、他の色に混
色の影響を与えやすいブラックインクのみに着目してこ
のブラックインクと他の色のインクとの混色を防止し、
加えて、カラーインクの中でも特に混色が目立ちやすい
イエローインクが吐出される吐出口群２１Ｙを最初にワ
イピングするように構成したものである。

【００３４】図８は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第３実施例のワイピング手段を示す模式図であ
る。本実施例は、各吐出口群２１に対してそれぞれ独立
したワイピングブレード４１を用いる点では前述の第２
実施例と同じであるが、それに加えて、独立した各ブレ
ード４１のワイピング面を図示のように湾曲した曲面で
形成する点に特徴を有するものである。

【００３５】図９は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第４実施例のワイピング手段を示す模式図であ
る。本実施例では、記録ヘッド１の移動方向（矢印Ａ方
向）に平行配置した複数の吐出口群２１Ｂ、２１Ｃ、２
１Ｍ、２１Ｙを有する記録ヘッドが使用されている。こ
の場合、ワイピングブレード４１Ｂ、４１Ｃ、４１Ｍ、
４１Ｙの移動方向は、両矢印Ｂで示すように、記録ヘッ
ド１の移動方向に対して略垂直な方向に設定される。本
実施例においても、他の実施例と同様に、各ワイピング
ブレード４１は、混色の目立ちやすいインクの吐出口群
（例えばイエローインクの吐出口群２１Ｙ）の方向に他
の色のインクを寄せ付けないような方向に傾斜して配置
されている。

【００３６】図１０は本発明を適用したインクジェット
記録装置の第５実施例の記録ヘッド１及びワイピング手
段５を示す模式図である。本実施例では、複数の吐出口
群２１を記録ヘッド移動方向と垂直な方向に１列に配列
したインライン型記録ヘッドにおいて、ワイピングブレ
ード４１を記録ヘッド移動方向と略垂直な方向に移動さ
せてワイピングを行うように構成されている。ブラック
の吐出口の数が他の各色のインクの吐出口の数より多く
設定されている本実施例の場合には、ブラックインクを
拭き取るワイピングブレード４１Ｂに対して、他の色の
インクを拭き取るワイピングブレード４１Ｃ、４１Ｍ、
４１Ｙを独立に動作させる接離機構（不図示）を設ける
必要がある。ただし、全ての吐出口群２１Ｂ、２１Ｃ、
２１Ｍ、２１Ｙの吐出口３２の数を同じにする場合（全
ての吐出口群２１の長さが等しい場合）には、前記接離
機構は不必要になる。

【００３７】以上説明した第１〜第５実施例によれば、
同一のインクを吐出する複数の吐出口から成る吐出口群
２１Ｂ、２１Ｃ、２１Ｍ、２１Ｙを同一の吐出口面３１
に複数配列し、前記複数の吐出口群のそれぞれに対応し
た複数のワイピングブレード４１Ｂ、４１Ｃ、４１Ｍ、
４１Ｙを有するワイピング手段５で前記吐出口面をクリ
ーニングするようにし、さらに、各ワイピングブレード
４１を傾斜させる構成としたので、吐出口面３１を拭き
取り清掃する際の該吐出口面３１における混色の発生を
防止することができる。

【００３８】すなわち、ワイピングブレード４１上に残
ったインクが他の色のインク吐出口に入り込むことによ
り発生する混色を解消でき、また、ワイピングブレード
４１はワイピング方向に対して直角でない面を有するの
で、混色が目立ちやすい色のインクが吐出される吐出口
側に、他の色のインクを寄せ付けることなく吐出口面の
クリーニングを行うことが可能となる。本発明によれ
ば、ワイピングブレード４１の枚数や形状にも関わらず
インクの混色を防止することができる。

【００３９】図１１はスリット付きのワイピングブレー
ド４１の正面形状及び端面形状を示す模式図である。以
上の各実施例において更に効果的にインクの混色を防止
するためには、図１１に示すように各ワイピングブレー
ド４１に、拭き取ったインクをブレード４１の下方に流
すための溝（スリット）１１１を形成することが有効で
ある。図１１において、前記スリット１１１は、毛管現
象を利用して、吐出口面３１のクリーニングで拭き取っ
たインクをブレード４１と吐出口面３１の接触面から瞬
時に排出するためのものである。このスリット１１１に
より、吐出口面３１と接触するブレード４１の上端およ
び側面に未乾燥のインクが残留しないようになり、ブレ
ード４１上の残留インクによる混色を防ぐことができ
る。

【００４０】なお、前述の実施例では、異なる４色のイ
ンクで記録するための４個の記録ヘッドを用いるカラー
記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、同一色彩
で濃度の異なるインクで記録するインライン型記録ヘッ
ドを用いる階調記録用の記録装置等、記録ヘッドの数や
記録色に関係なく広く適用することができ、同様の効果
が得られるものである。また、吐出口群の配列方法も、
前述の実施例におけるインライン型に限らず平行配列、
千鳥配列等の複数列配列に対しても、同様の効果が得ら
れるものである。

【００４１】さらに、本発明は、記録ヘッドとインクタ
ンクを別体にしてチューブ等で接続する構成のもの、あ
るいは記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能
なヘッドカートリッジを使用するもの等、記録ヘッドと
インクタンクの配置形態がどのようなものであっても、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。

【００４２】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えばピエゾ素子等の電気機械変換体などを
用いる記録手段（記録ヘッド）を使用するものにも適用
できるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐
出する方式のインクジェット記録装置において優れた効
果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の
高密度化、高精細化が立つせいできるからである。

【００４３】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる記録ヘッドに対しての回復手段または予備的な補
助手段は、前述のようなキャッピング、クリーニング、
吸引回復、予備吐出の他に、加圧式の回復手段、電気熱
変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの
組み合わせによる予備加熱手段などを用いることも安定
した記録を行うために有効である。

【００４４】本実施例では、吸引回復、ワイピング、予
備吐出、ワイピングの順に回復動作を行っているが、そ
の順序や手段の組み合わせにかかわらず、本発明は優れ
た効果をもたらすものである。また、本発明の装置構成
として設けられるワイピング手段（クリーニング機構）
におけるワイピングブレードの材質は、ウレタンゴムの
みではなく、塩化ビニルやナイロン等の軟質樹脂であっ
ても、本発明は優れた効果をもたらすものである。

【００４５】また、本発明に装置構成として設けられる
ワイピング手段におけるワイピングブレードの傾斜方向
は、本実施例の場合、時計回り方向（右回転方向）とし
たが、吐出口群の配列順序や記録ヘッドの移動方向、ワ
イピング方向によって反時計回り方向（左回転方向）に
傾斜させることになる場合もある。いずれにしても、記
録濃度の淡いインクを吐出する吐出口群の方向に、拭き
取ったインク滴を寄せ付けないような方向に傾斜させれ
ば、本発明は優れた効果をもたらすものである。

【００４６】また、本発明の装置構成として設けられる
ワイピング手段の動作も、ワイピングブレードを固定し
たまま記録ヘッドを移動させて拭き取りを行う方法のみ
ならず、記録ヘッドを固定したままワイピングブレード
を摺動させる方法等、記録ヘッドとワイピングブレード
との間に相対的な摺動が発生する動作であれば、本発明
は優れた効果をもたらすものである。また、本発明の装
置構成として設けられる被記録材は、紙だけでなく、布
等の繊維、平面のみならず立体的な物体であっても、本
発明は優れた効果をもたらす。

【００４７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
１の発明によれば、記録手段から被記録材へインクを吐
出して記録を行うインクジェット記録装置において、同
一のインクを吐出する複数の吐出口から成る吐出口群を
同一の吐出口面に複数配し、前記複数の吐出口群のそれ
ぞれに対応した複数のワイピングブレードを有するワイ
ピング手段で前記吐出口面をクリーニングする構成とし
たので、記録手段の吐出口面をワイピングするに際し、
簡単な構造で、吸引回復動作により吐出口面に付着した
インク滴や一度増粘あるいは固着したインク等を確実に
除去することができ、しかも異なる色の吐出口群を同時
にワイピングしてもワイピングブレード上に残ったイン
クが他の色のインク吐出口に入り込むことに起因する混
色を防止することができるワイピング手段を備えたイン
クジェット記録装置が提供される。

【００４８】請求項２の発明によれば、上記請求項１の
構成に加えて、前記複数のワイピングブレードの少なく
とも一つはワイピング方向に対して直角でないワイピン
グ面を有する構成としたので、混色が目立ちやすい色の
インクが吐出される吐出口側に他の色のインクを寄せ付
けることなく吐出口面の拭き取ることが可能なワイピン
グ手段を備えたインクジェット記録装置が提供される。

【００４９】請求項３の発明によれば、上記請求項１の
構成に加えて、前記ワイピングブレードのワイピング面
が曲面である構成としたので、混色が目立ちやすい色の
インクが吐出される吐出口側に他の色のインクを寄せ付
けることなく吐出口面の拭き取ることが可能なワイピン
グ手段を備えたインクジェット記録装置が提供される。

【００５０】請求項５の発明によれば、上記請求項１の
構成に加えて、前記ワイピングブレードにワイピングし
たインクを下方に流すためのスリットが形成されている
構成としたので、ワイピング時に拭き取ったインクをワ
イピングブレードと吐出口面との接触面から瞬時に排出
することができ、ブレード上端に残留したインクによる
混色を防ぐことが可能なワイピング手段を備えたインク
ジェット記録装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例の主要部構成を示す模式的斜視図である。

【図２】記録手段の吐出口面における複数の吐出口群の
配列状態を示す正面図である。

【図３】記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す
部分斜視図である。

【図４】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
１実施例の記録手段に対する回復系及びワイピング手段
の配置を示す模式図である。

【図５】図４中の線５−５に沿った複数の吐出口群とキ
ャップと複数のワイピングブレードの配置を示す模式図
である。

【図６】図４のワイピング手段により吐出口面に付着し
たインクをワイピングしていく時の動作を排紙側から見
て示す模式図である。

【図７】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
２実施例のワイピング手段を示す模式図である。

【図８】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
３実施例のワイピング手段を示す模式図である。

【図９】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
４実施例のワイピング手段を示す模式図である。

【図１０】本発明を適用したインクジェット記録装置の
第５実施例の記録ヘッド及びワイピング手段を示す模式
図である。

【図１１】スリット付きのワイピングブレードの正面形
状及び端面形状を示す模式図である。

【符号の説明】

１記録手段（記録ヘッド）２キャリッジ３インクタンク４回復系５ワイピング手段（クリーニング機構）６被記録材２１吐出口群２２キャップ３１吐出口面３２吐出口３４液路３５電気熱変換体４１ワイピングブレード１１１スリット θ ワイピングブレードの傾斜角度Ａ平行なワイピング方向Ｂ垂直なワイピング方向

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】記録手段から被記録材へインクを吐出
して記録を行うインクジェット記録装置において、同一
のインクを吐出する複数の吐出口から成る吐出口群を同
一の吐出口面に複数配し、前記複数の吐出口群のそれぞ
れに対応した複数のワイピングブレードを有するワイピ
ング手段で前記吐出口面をクリーニングすることを特徴
とするインクジェット記録装置。
【請求項２】前記複数のワイピングブレードの少な
くとも一つはワイピング方向に対して直角でないワイピ
ング面を有することを特徴とする請求項１に記載のイン
クジェット記録装置。
【請求項３】前記ワイピングブレードのワイピング
面が曲面であることを特徴とする請求項１に記載のイン
クジェット記録装置。
【請求項４】前記複数の吐出口群は被記録材搬送方
向に１列に配列されていることを特徴とする請求項１〜
３のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項５】前記ワイピングブレードにワイピング
したインクを下方に流すためのスリットが形成されてい
ることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のイ
ンクジェット記録装置。
【請求項６】前記記録手段がインクを吐出するため
に利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を備
えているインクジェット記録手段であることを特徴とす
る請求項１〜５のいずれかに記載のインクジェット記録
装置。
【請求項７】前記記録手段が前記電気熱変換体が発
生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利用
して吐出口よりインクを吐出させることを特徴とする請
求項６に記載のインクジェット記録装置。