JPH1177028A - クロム含有廃液の処理方法 - Google Patents

クロム含有廃液の処理方法

Info

Publication number
JPH1177028A
JPH1177028A JP23929297A JP23929297A JPH1177028A JP H1177028 A JPH1177028 A JP H1177028A JP 23929297 A JP23929297 A JP 23929297A JP 23929297 A JP23929297 A JP 23929297A JP H1177028 A JPH1177028 A JP H1177028A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chromium
waste liquid
adsorbent
hexavalent chromium
hexavalent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23929297A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Nakamura
康雄 中村
Wataru Shirato
渡 白土
Yoshio Nakano
義夫 中野
Kenji Takeshita
健二 竹下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Nuclear Fuel Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Nuclear Fuel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Nuclear Fuel Co Ltd filed Critical Mitsubishi Nuclear Fuel Co Ltd
Priority to JP23929297A priority Critical patent/JPH1177028A/ja
Publication of JPH1177028A publication Critical patent/JPH1177028A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 六価クロムを吸着剤により三価クロムに比較
的短時間で還元して吸着し、処理後の廃液中の六価クロ
ムの含有量を極めて少なくし、処理済みの廃液をそのま
ま河川や海洋に放出できる程度の水質にする。従来使用
した還元剤や中和剤を必要とせず、廃液や吸着剤の二次
処理を不要とする。六価クロムを含有する廃液から効率
よくかつ安価に三価クロムを回収する。 【解決手段】 酸性溶液中で六価クロムを三価クロムに
還元可能な水酸基、ベンゼン環構造、炭化水素構造及び
エーテル構造からなる群より選ばれた少なくとも1種以
上の反応基を有し、酸化後に前記反応基が少なくとも還
元された三価クロムの吸着部位となるクロム吸着剤を用
意し、六価クロムの含有廃液をpH1以上3未満の酸性
溶液に調整後、pH調整した廃液と上記クロム吸着剤と
を接触させて廃液中の六価クロムを三価クロムに還元し
てクロム吸着剤に吸着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃液に含まれる六
価クロムを三価クロムに還元してこれを吸着する吸着剤
を用いて除去するクロム含有廃液の処理方法に関する。
更に詳しくはメッキ工業、写真工業等における廃液など
からクロムを除去する廃液の処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】メッキ工業、写真工業等で発生する廃液
には六価クロムが含まれる。この六価クロムは酸化力が
強く、人体に暴露されれば皮膚や呼吸器を刺激し、腫瘍
や皮膚炎を生じることが知られている。そのため六価ク
ロムの生活環境への排出は厳しく制限されている。わが
国の環境基準では水道水中の六価クロム濃度を0.05
ppm以下に規制している。従来、六価クロムを含有す
る廃液の処理方法としては、重亜硫酸ナトリウムを用い
た六価クロムの還元法(松谷守康著「排水の公害対策」
理工学社(1987))が知られている。この方法では廃液中
の六価クロムを重亜硫酸ナトリウムで三価クロムに還元
した後、酸性の廃液を生石灰で中和して、三価クロムの
化合物である水酸化クロム(Cr(OH)3)を沈殿さ
せ、これを濾過し回収している。しかし、この方法で
は、六価クロムの還元と中和に多量の重亜硫酸ナトリウ
ムと生石灰などの薬液を必要とする。即ち、クロム酸1
kgを処理するためには重亜硫酸ナトリウムが約3kg
必要であり、中和処理した後に発生する水酸化クロムを
含むスラッジの重量は約4kgである。この発生したス
ラッジからのクロムの回収はほとんど行われず、この方
法では二次廃棄物が大量に発生し、蓄積する問題点があ
った。また六価クロムを含有する廃液の別の処理方法と
して、陰イオン交換樹脂により廃液中の重クロム酸イオ
ンを回収し、これをメッキ工場に再利用する方法が提案
されている(松谷守康著「排水の公害対策」理工学社(1
987))。この方法では回収した重クロム酸イオンを再利
用するために二次廃棄物の発生量は少ないが、六価クロ
ムの酸化力によってイオン交換樹脂性能が低下するため
に、安定して廃液を処理し続けることが難しく、かつ経
済性が低いという不具合があった。
【0003】一方、本出願人は、タンニン系吸着剤を用
いて重金属元素が含まれる溶液から重金属元素を分離す
る方法について特許出願した(特開平5−50058号
公報、特開平5−66291号公報)。特開平5−50
058号公報に記載の方法では、ウラン、トリウム、超
ウラン元素等のアクチニド元素、或いは鉛、カドミウ
ム、クロム、水銀、鉄等の複数種類の重金属元素が含ま
れる溶液のpHを調整し、この溶液とタンニン系吸着剤
とを接触させて吸着剤に所定の重金属元素を吸着させ、
この残液を上記と異なるpHに調整した後、この溶液と
新しいタンニン系吸着剤とを接触させて別の所定の重金
属元素を吸着させることにより、複数種類の重金属元素
を溶液から分離している。また特開平5−66291号
公報に記載の方法では、縮合型タンニン粉末から安定化
したゲル状組成物からなる金属元素吸着剤を製造し、こ
の吸着剤を細分化した後、金属元素を含有する溶液に接
触させることにより、細分化した吸着剤に金属元素を吸
着している。このときの重金属元素の吸着剤への吸着
は、図4のA部に示すタンニンのポリフェノール性水酸
基が官能基となって、金属元素とキレート化合物を形成
するためと考えられていた(特開平5−66291号公
報第6欄第43〜45行目参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−50058
号公報及び特開平5−66291号公報で示された方法
では、六価クロムを含有する溶液から六価クロムを分離
する場合に、六価クロムを含む溶液をpH3〜6(特開
平5−50058号公報第4欄第9〜11行目参照)又
はpH3.5〜10(特開平5−66291号公報第1
3欄第28〜30行目参照)の範囲にpH調整してタン
ニン系吸着剤と接触させている。これらの方法における
上記酸性域では、吸着剤による六価クロムの三価クロム
への還元速度が著しく低い問題点があり、このために吸
着時間を極めて長くしないと、処理済みの廃液をそのま
ま河川や海洋に放出できない欠点があった。またこれら
の方法におけるアルカリ域では吸着剤に六価クロムがそ
のままの形態で吸着するため、廃液処理した吸着剤を焼
却して処分するにしても、この吸着剤は六価クロムを吸
着しているため、吸着剤の焼却灰には六価クロムが含ま
れ、この処分方法によっては新たな環境汚染が懸念され
る。またアルカリ域で吸着した処理済み廃液には六価ク
ロムが含まれることがあり、この廃液をそのまま河川や
海洋に放出できない欠点があった。
【0005】本発明の目的は、六価クロムを吸着剤によ
り三価クロムに比較的短時間で還元して吸着し、処理後
の廃液中の六価クロムの含有量を極めて少なくし、処理
済みの廃液をそのまま河川や海洋に放出できる程度の水
質にし得るクロム含有廃液の処理方法を提供することに
ある。本発明の別の目的は、従来方法で使用した還元剤
や中和剤を必要とせず、廃液や吸着剤の二次処理を不要
とするクロム含有廃液の処理方法を提供することにあ
る。本発明の更に別の目的は、六価クロムを含有する廃
液から効率よくかつ安価に三価クロムを回収し得るクロ
ム含有廃液の処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、pH1以
上3未満の強酸性域で六価クロムを含有する廃液と本発
明の吸着剤を接触させると、六価クロムが三価クロムに
比較的短時間で還元して吸着剤に吸着するという従来に
ない知見を得て、本発明に到達した。
【0007】請求項1に係る発明は、(a) 酸性溶液中で
六価クロムを三価クロムに還元可能な水酸基、ベンゼン
環構造、炭化水素構造及びエーテル構造からなる群より
選ばれた1種又は2種以上の反応基を有し、酸化後に前
記反応基が少なくとも還元された三価クロムの吸着部位
となるクロム吸着剤を用意する工程と、(b) 六価クロム
を含有する廃液をpH1以上3未満の酸性溶液に調整す
る工程と、(c) 前記pH調整した廃液と前記クロム吸着
剤とを接触させて前記廃液中の六価クロムを三価クロム
に還元して前記クロム吸着剤に吸着させる工程とを含む
クロム含有廃液の処理方法である。pH1以上3未満に
調整した、六価クロムを含有する廃液と上記吸着剤とを
接触させると、六価クロムが吸着剤の上記水酸基、ベン
ゼン環構造、炭化水素構造及びエーテル構造からなる群
より選ばれた1種又は2種以上の反応基と反応して吸着
剤が酸化され、同時に六価クロムは三価クロムに比較的
短時間で還元されて上記反応部位に吸着する。
【0008】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、(d) クロム吸着剤と接触させた後の廃液の
六価クロムの濃度を測定する工程と、(e) 前記(d)工程
で測定した廃液中の六価クロムの濃度が所定値以上であ
るときに前記廃液のpHを1以上3未満に再調整した
後、前記pH再調整した廃液と前記(a)工程で用意した
クロム吸着剤又は前記(c)工程で廃液と接触したクロム
吸着剤とを再接触させて前記廃液中の六価クロムを三価
クロムに還元する工程とを更に含み、廃液中の六価クロ
ムの濃度が所定値未満になるまで、前記(d)工程と前記
(e)工程を繰返すクロム含有廃液の処理方法である。吸
着後に廃液中に六価クロムが残存する場合には、pHを
再調整して廃液と吸着剤とを再接触させる。これまでク
ロムを吸着していた吸着剤に未だ六価クロムを三価クロ
ムに還元可能な水酸基、ベンゼン環構造、炭化水素構
造、エーテル構造などの反応基が残っている場合には、
吸着剤は補充せず、残っていない場合には新しい吸着剤
を補充する。これにより更に六価クロムを還元して三価
クロムとして吸着することができる。この(d)工程と(e)
工程を繰返すことにより所定の廃液の排出基準まで六価
クロムを廃液から除去することができる。従来のような
六価クロムの形態でなく、三価クロムの形態で吸着剤に
吸着しているので、これを回収すれば、回収後の吸着剤
の二次処理が不要になる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。 (1) クロム吸着剤 本発明のクロム吸着剤は、酸性溶液中で六価クロムを三
価クロムに還元可能な水酸基、ベンゼン環構造、炭化水
素構造及びエーテル構造からなる群より選ばれた1種又
は2種以上の反応基を有し、酸化後に前記反応基が少な
くとも還元された三価クロムの吸着部位となる高分子物
質である。この吸着剤を例示すれば、タンニン、フラボ
ノイド、ポリヒドロキシアントラキノン、ポリヒドロキ
シナフトキノン、メラニン、ポリビニルアルコールなど
が挙げられる。タンニンには、加水分解型タンニンや縮
合型タンニンが存在する。本発明のタンニンは加水分解
型タンニン又は縮合型タンニンの粉末を原料として作ら
れる。この加水分解型タンニンは酸、アルカリ、酵素の
作用によって、糖(普通はグルコース)、没食子酸、そ
の関連化合物等を生成し、いずれも没食子酸とその類似
化合物が糖とペプシド結合したものである。例示すれ
ば、加水分解によって主として没食子酸を生じる五倍
子タンニン、没食子タンニン等のガロタンニン、加水
分解によって没食子酸の他にエラグ酸及び没食子酸の関
連化合物を生じるミロバランタンニン、ジビジビタンニ
ン、アルガロビラタンニン等のエラグタンニン、ゲン
ノショウコ、アカメガシワ、ザクロの果皮、ミロバラン
等のエキスが挙げられる。また縮合型タンニンは酸でア
ントシアニジン系色素をつくるプロアントシアニジンを
いい、柿渋を含まない。例示すれば、ケブラチョタンニ
ン、ワットルタンニン、マングローブタンニン、スプル
ースタンニン、ガンビールタンニン、アカカテキン、カ
シワ樹皮タンニン等が挙げられる。
【0010】加水分解型タンニン粉末からは六価クロム
の吸着に適した加水分解型不溶性タンニンが作られる。
この不溶性タンニンはアンモニア水のようなアルカリ水
溶液に加水分解型タンニン粉末を溶解し、この溶液にア
ルデヒド水溶液を添加混合して沈殿物を生成し、この沈
殿物を加熱し、この加熱した沈殿物に鉱酸を添加混合し
た後、濾過乾燥して得られる。ここで不溶性タンニンと
は、水、酸又はアルカリのいずれに対しても不溶なタン
ニンを意味する。縮合型タンニン粉末からは六価クロム
の吸着に適したゲル状組成物のタンニンが作られる。こ
のゲル状組成物はアンモニア水に縮合型タンニン粉末を
溶解し、この溶液にアルデヒド水溶液を混合することに
より生成され、更に室温下で熟成するか又は加熱して熟
成して得られる。
【0011】(2) 六価クロム含有廃液のpH調整 六価クロムを含有する廃液としては、六価クロムを大量
に利用するメッキ工業、写真工業等からの廃液、又は六
価クロムで汚染された土壌水などが挙げられる。この廃
液をpH1以上3未満の範囲に調整する。好ましくはp
Hを1.5〜2.5、より好ましくはpHを2に調整す
る。調整したpHが1未満になると、高分子物質の吸着
剤の分子結合を破壊するため好ましくない。また3を超
えると、六価クロムの三価クロムへの還元速度が著しく
低下するために、本発明の目的を達成しない。pH調整
液としては強酸であればよい。過塩素酸、塩酸、硝酸、
硫酸、リン酸等が好ましい。
【0012】(3) pH調整した廃液とクロム吸着剤との
接触 pH調整した廃液とクロム吸着剤とを接触させる方法に
は、pH調整した廃液とクロム吸着剤とを混合撹拌する
方法、又はクロム吸着剤をカラムに充填した後、このカ
ラムにpH調整した廃液を通す方法がある。前者の方法
には撹拌槽が用いられ、後者の方法には固定反応層や流
動反応層が用いられる。六価クロムの陰イオンである重
クロム酸(Cr27 2-)は、水素イオン(H+)濃度が
高い、pH=1以上3未満の液中において、図4のB部
に示す高分子物質(ワットルタンニン)の水酸基(R-
OH)、同じくC部に示すベンゼン環構造、同じくD部
に示す炭化水素構造、同じくE部に示すエーテル構造
(R-O-R’)などの吸着剤構造の一部と反応する。こ
こで吸着剤の水酸基、ベンゼン環構造、炭化水素構造、
エーテル構造などは六価クロムによって酸化されて、R
-COOH(カルボン酸)、R-CHO(アルデヒド)、
R=O(ケトン)になり、六価クロムは三価クロムに還
元されて、この水酸基、ベンゼン環構造、炭化水素構
造、エーテル構造の反応部位に三価クロムとして吸着す
る。この吸着機構を式で表すことを試みれば次の式
(1)〜(3)で表される。
【0013】
【化1】
【0014】上記式(2)の反応の過程で液中の水素イ
オン(H+)が式(1)及び式(3)で発生する以上に
消費される。このため処理が進むにつれ、廃液のpHは
中性から弱アルカリ性に変化する。吸着剤に吸着した後
で廃液中に六価クロムが残存していなければ、中性から
弱アルカリ性に変化した廃液はそのまま河川や海洋に放
出することができる。またpH調整した廃液中に六価ク
ロムの含有量に比して水素イオン(H+)が少なく、反
応中に水素イオン(H+)が消費し尽くされると、六価
クロムの還元は行われなくなる。この場合には、残液の
六価クロムの濃度に応じて、再度pHを1以上3未満に
再調整する。この六価クロムの濃度は廃液の排出時の基
準により決められる。これまでクロムを吸着していた吸
着剤に未だ六価クロムを三価クロムに還元可能な水酸
基、ベンゼン環構造、炭化水素構造、エーテル構造など
の反応基が残っている場合には、吸着剤は補充せず、残
っていない場合には新しい吸着剤を補充する。
【0015】(4) 吸着剤から三価クロムの回収 処理後の吸着剤には三価クロムが吸着している。この三
価クロムを回収するには三価クロムを吸着した吸着剤と
pH1以下の鉱酸とを接触させて、三価クロムを吸着剤
から溶離させる方法や、或いは三価クロムを吸着した吸
着剤を焼却して酸化クロム(Cr23)として回収でき
る。この酸化クロムは例えば耐火煉瓦の原料の一部に利
用することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに具体
的に説明する。以下の実施例は本発明の範囲を限定する
ものではない。 <第1吸着剤の製造>蒸留水24.6mlに6.25N
のNaOH1.8mlを混合した溶液に縮合型タンニン
(ワットルタンニン)粉末16.8gと架橋剤として市
販のホルムアルデヒド水溶液2.4mlを添加して撹拌
し溶解した。その溶液を恒温槽で80℃に保ち、一昼夜
放置した。タンニンがアルデヒドで架橋されてゲル状組
成物が得られた。得られたゲル状組成物を蒸留水で十分
に洗浄した後、ミキサーで粉砕し300〜600μmの
粒径に細分化して第1吸着剤を得た。このゲル状組成物
の含水率は60.4%であった。
【0017】<第2吸着剤の製造>縮合型タンニン(ワ
ットルタンニン)粉末の量を14.0gにした以外は第
1吸着剤の製造方法と同様にして含水率68.2%のゲ
ル状組成物からなる第2吸着剤を得た。 <第3吸着剤の製造>縮合型タンニン(ワットルタンニ
ン)粉末の量を11.2gにした以外は第1吸着剤の製
造方法と同様にして含水率72.3%のゲル状組成物か
らなる第3吸着剤を得た。 <第4吸着剤の製造>縮合型タンニン(ワットルタンニ
ン)粉末の量を8.4gにした以外は第1吸着剤の製造
方法と同様にして含水率78.4%のゲル状組成物から
なる第4吸着剤を得た。 <第5吸着剤の製造>縮合型タンニン(ワットルタンニ
ン)粉末の量を5.6gにした以外は第1吸着剤の製造
方法と同様にして含水率84.3%のゲル状組成物から
なる第5吸着剤を得た。
【0018】<実施例1>上記第3吸着剤を用いて吸着
試験を行った。先ず重クロム酸ナトリウムを蒸留水に溶
解して六価クロム濃度が1000ppmの模擬廃液を調
製した。この模擬廃液を過塩素酸でpH2に調整した。
このpH調整した模擬廃液200mlを撹拌槽に入れ、
30℃に保ち、500rpmで撹拌した。撹拌しなが
ら、第3吸着剤5gを撹拌槽に入れ、所定時間毎に少量
の模擬廃液を採取した。 <比較例1>比較のために水酸化ナトリウムでpHを
8.3に調整した模擬廃液200mlを撹拌槽に入れ、
実施例1と同様に第3吸着剤5gを撹拌槽に入れ、所定
時間毎に少量の模擬廃液を採取した。
【0019】<クロム吸着性能の比較>クロム吸着後、
実施例1のpH2に調整した模擬廃液と比較例1のpH
8.3に調整した模擬廃液からそれぞれ採取した液にお
ける全クロム及び六価クロムの各量を測定した。全クロ
ム量をICP発光分析法により、また六価クロム量をジ
フェニルカルバジド法によりそれぞれ測定した。その結
果を図1に示す。図から明らかなように、実施例1のp
H2に調整した模擬廃液も比較例1のpH8.3に調整
した模擬廃液もクロム吸着剤で処理すると、両方の模擬
廃液から検出される全クロム濃度はいずれも時間の経過
とともに減少した。また六価クロム濃度についてもいず
れも時間の経過とともに減少した。このことから、使用
した吸着剤によって模擬廃液から六価クロムを除去でき
ることを確認した。また吸着剤を入れてから43時間後
の実施例1及び比較例1の双方のpHを測定したとこ
ろ、pHは7.9と8.1であり、クロムの吸着により
模擬廃液のpHが弱アルカリ性に変化することを確認し
た。なお、実施例1ではCr(VI)濃度が180ppmに
おいて吸着平衡に達しているが、タンニン及び酸の供給
量を増加すれば、Cr(VI)濃度を放出基準値(0.05
ppm)以下にすることができる。
【0020】<吸着したクロムの分析>実施例1及び比
較例1で使用済みのそれぞれ吸着平衡に到達した2種の
吸着剤を模擬廃液から濾別し、吸着剤粒子間に残った余
剰の水分を除去した。撹拌槽に蒸留水100mlに入
れ、別の撹拌槽に1Mの塩酸溶液100mlを入れた
後、実施例1で使用済みの水分除去した吸着剤をそれぞ
れ二等分し、各撹拌槽に入れ、500rpmで撹拌し
た。また比較例1で使用済みの水分除去した吸着剤は蒸
留水の入った撹拌槽中で500rpmで撹拌した。撹拌
してから8時間経過後と30時間経過後において、蒸留
水又は塩酸溶液中の全クロム量、六価クロム量及び三価
クロム量を上記クロム吸着性能を比較したときと同様の
方法で評価した。三価クロム量は全クロム量から六価ク
ロム量を減じて求めた。これらの結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかなように、実施例1で使用
した吸着剤から蒸留水中に溶離したクロム量はいずれも
僅かであり、その大部分は未吸着の六価クロムであっ
た。比較例1では吸着されたクロムの約90%が蒸留水
によって溶離され、その大部分が六価クロムであった。
一方、塩酸溶液により実施例1で使用した吸着剤から溶
離したクロムは全吸着量の約70%であって、その全て
が三価クロムであった。この結果から、比較例1では六
価クロムは還元されずに六価クロムの形態で吸着される
のに対して、実施例1では六価クロムは吸着剤上で三価
クロムに還元されていること、及びその吸着されている
クロムのほぼ全量が三価クロムであることを確認した。
【0023】<実施例2>模擬廃液として、六価クロム
濃度が実施例1と同一の1000ppm重クロム酸水溶
液を用い、これを6種類の異なるpH(0.85, 1.83, 2.
9, 4.19, 4.99, 8.28)に調整した。30個のバイヤル
瓶を用意し、5個の瓶毎に同一にpH調整された模擬廃
液各40mlを入れた。次いで上述した5種類の第1吸
着剤〜第5吸着剤をそれぞれ0.5g採取し、30個の
瓶に入れた。全ての瓶を30℃の恒温槽に入れ、3昼夜
振とうした。瓶から模擬廃液を取出し、吸着剤1gに吸
着されたクロムのモル数m1と模擬廃液1mlに残留す
るクロムのモル数m2を測定し、次の式(4)により分
配比Kdを算出した。 Kd = m1/m2 …… (4) この模擬廃液の初期pHと分配比Kdの関係を図2に示
す。図2から明らかなように、pHが1.83において
全ての吸着剤が分配比が1000以上と高い吸着性能を
示し、pH=2付近が最適であった。この吸着性能をク
ロムの吸着容量で表すと、pH=3〜5の弱酸性域にお
いて乾燥したタンニン1g当り100〜125mgのク
ロムを吸着し、pH=1.83の強酸性域においては乾
燥したタンニン1g当り185〜200mgの高い値で
クロムを吸着していた。またpH=1.83では含水率
が低い程、分配比が高い傾向を示した。
【0024】<実施例3>実施例1と同様に第3吸着剤
を用いて吸着試験を行った。先ず重クロム酸ナトリウム
を蒸留水に溶解して六価クロム濃度が1000ppmの
模擬廃液を調製した。この模擬廃液を過塩素酸でpH2
に調整した。このpH調整した模擬廃液200mlを撹
拌槽に入れ、30℃に保ち、500rpmで撹拌した。
撹拌しながら、第3吸着剤5gを撹拌槽に入れ、所定時
間毎に少量の模擬廃液を採取した。採取した液における
六価クロムの量をジフェニルカルバジド法により測定し
た。その結果を図3に示す。六価クロム濃度は時間の経
過とともに減少し、この第3吸着剤によって模擬廃液か
ら六価クロムが回収可能であることを確認した。
【0025】また吸着剤を入れてから27時間後に少量
の模擬廃液を採取してpHを測定したところ、pH=
7.9であった。このことから重クロム酸塩から酸素が
脱離したために模擬廃液中の水素イオンが消費され、廃
液のpHが中性から弱アルカリ性に変化することを確認
した。吸着剤を入れてから27時間経過して吸着平衡を
確認した後、0.1Mの硝酸水溶液を加えて模擬廃液の
pHを2に調整した。模擬廃液中の六価クロム濃度が低
下し、再び吸着剤への吸着が開始された。吸着剤を入れ
てから53時間後の模擬廃液のpHは6.9であり、ほ
ぼ中性で吸着平衡になった。このことから、酸を供給し
て模擬廃液を酸性に保つことにより六価クロムの三価ク
ロムへの還元が進行し吸着剤への吸着が継続することを
確認した。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、酸
性溶液中で六価クロムを三価クロムに還元可能な水酸
基、ベンゼン環構造、炭化水素構造及びエーテル構造か
らなる群より選ばれた1種又は2種以上の反応基を有
し、酸化後に前記反応基が少なくとも還元された三価ク
ロムの吸着部位となるクロム吸着剤と、pHを1以上3
未満に調整したクロム含有廃液とを接触させることによ
り、六価クロムを吸着剤により三価クロムに比較的短時
間で還元して吸着し、処理後の廃液中の六価クロムの含
有量を極めて少なくすることができる。この結果、処理
済みの廃液をそのまま河川や海洋に放出できる程度の水
質にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1のクロム吸着状況を示す
図。
【図2】実施例2の模擬廃液の初期pHと分配比Kd
関係を示す図。
【図3】実施例3のクロム吸着状況を示す図。
【図4】吸着剤であるワットルタンニンの推定構造式を
示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 義夫 静岡県浜松市広沢2丁目46番44号 (72)発明者 竹下 健二 東京都町田市南つくし野2丁目14番地3

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 酸性溶液中で六価クロムを三価クロ
    ムに還元可能な水酸基、ベンゼン環構造、炭化水素構造
    及びエーテル構造からなる群より選ばれた1種又は2種
    以上の反応基を有し、酸化後に前記反応基が少なくとも
    還元された三価クロムの吸着部位となるクロム吸着剤を
    用意する工程と、 (b) 六価クロムを含有する廃液をpH1以上3未満の酸
    性溶液に調整する工程と、 (c) 前記pH調整した廃液と前記クロム吸着剤とを接触
    させて前記廃液中の六価クロムを三価クロムに還元して
    前記クロム吸着剤に吸着させる工程とを含むクロム含有
    廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 (d) クロム吸着剤と接触させた後の廃液
    の六価クロムの濃度を測定する工程と、 (e) 前記(d)工程で測定した廃液中の六価クロムの濃度
    が所定値以上であるときに前記廃液のpHを1以上3未
    満に再調整した後、前記pH再調整した廃液と前記(a)
    工程で用意したクロム吸着剤又は前記(c)工程で廃液と
    接触したクロム吸着剤とを再接触させて前記廃液中の六
    価クロムを三価クロムに還元する工程とを更に含み、 廃液中の六価クロムの濃度が所定値未満になるまで、前
    記(d)工程と前記(e)工程を繰返す請求項1記載のクロム
    含有廃液の処理方法。
JP23929297A 1997-09-04 1997-09-04 クロム含有廃液の処理方法 Pending JPH1177028A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23929297A JPH1177028A (ja) 1997-09-04 1997-09-04 クロム含有廃液の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23929297A JPH1177028A (ja) 1997-09-04 1997-09-04 クロム含有廃液の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1177028A true JPH1177028A (ja) 1999-03-23

Family

ID=17042574

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23929297A Pending JPH1177028A (ja) 1997-09-04 1997-09-04 クロム含有廃液の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1177028A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11169602A (ja) * 1997-12-12 1999-06-29 Mitsubishi Materials Corp 吸着済吸着剤の燃焼装置
JP2001096104A (ja) * 1999-07-29 2001-04-10 Univ Kansai 液中の有機物の除去方法及び除去装置
WO2009031568A1 (ja) * 2007-09-03 2009-03-12 Yuken Industry Co., Ltd. 化成処理のための組成物およびその処理により形成された化成皮膜を有する部材
CN104192938A (zh) * 2014-09-11 2014-12-10 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种褐煤脱除六价铬的方法
CN105032374A (zh) * 2015-06-24 2015-11-11 山东大学 选择性吸附污水中染料的氧化石墨烯基高分子聚合物凝胶的制备方法
CN105217719A (zh) * 2015-11-17 2016-01-06 梅庆波 一种制革废水中重金属铬的处理方法
CN105233812A (zh) * 2015-09-29 2016-01-13 安徽省绿巨人环境技术有限公司 用于去除废水中的三价铬离子吸附剂的制备方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11169602A (ja) * 1997-12-12 1999-06-29 Mitsubishi Materials Corp 吸着済吸着剤の燃焼装置
JP2001096104A (ja) * 1999-07-29 2001-04-10 Univ Kansai 液中の有機物の除去方法及び除去装置
WO2009031568A1 (ja) * 2007-09-03 2009-03-12 Yuken Industry Co., Ltd. 化成処理のための組成物およびその処理により形成された化成皮膜を有する部材
JP4568863B2 (ja) * 2007-09-03 2010-10-27 ユケン工業株式会社 化成処理のための組成物およびその処理により形成された化成皮膜を有する部材
JPWO2009031568A1 (ja) * 2007-09-03 2010-12-16 ユケン工業株式会社 化成処理のための組成物およびその処理により形成された化成皮膜を有する部材
US8916007B2 (en) 2007-09-03 2014-12-23 Yuken Industry Co., Ltd. Composition for chemical conversion treatment and member having a chemical conversion coating formed by the treatment
CN104192938A (zh) * 2014-09-11 2014-12-10 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种褐煤脱除六价铬的方法
CN105032374A (zh) * 2015-06-24 2015-11-11 山东大学 选择性吸附污水中染料的氧化石墨烯基高分子聚合物凝胶的制备方法
CN105233812A (zh) * 2015-09-29 2016-01-13 安徽省绿巨人环境技术有限公司 用于去除废水中的三价铬离子吸附剂的制备方法
CN105217719A (zh) * 2015-11-17 2016-01-06 梅庆波 一种制革废水中重金属铬的处理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dehghani et al. Adsorptive removal of endocrine disrupting bisphenol A from aqueous solution using chitosan
Ghimire et al. Adsorptive separation of arsenate and arsenite anions from aqueous medium by using orange waste
Sharma et al. The treatment of chromium wastewaters using the sorptive potential of leaf mould
DE2724954C2 (de) Verfahren zur Dekontamination von alpha- und beta-aktivem Prozeßwasser
Xu et al. Cerium doped red mud catalytic ozonation for bezafibrate degradation in wastewater: efficiency, intermediates, and toxicity
WO2005042412A1 (en) Metal mediated aeration for water and wastewater purification
Waite et al. Oxidation and coagulation of wastewater effluent utilizing ferrate (VI) ion
JPH1177028A (ja) クロム含有廃液の処理方法
CA1331226C (fr) Procede d'extraction de cations et son application au traitement d'effluents aqueux
US6666972B2 (en) Method for treating wastewater containing heavy metals with used iron oxide catalyst
RU2115180C1 (ru) Способ адсорбции с применением таннина
AU644303B2 (en) Method of preparing insoluble hydrolysable tannin and method of treating waste liquid with the tannin
Xu et al. Chelation of heavy metals by potassium butyl dithiophosphate
CN106045007A (zh) 利用过硫酸盐催化臭氧氧化难降解碘化有机物控制碘代消毒副产物的水处理方法
CA2072821C (en) Method of preparing metal element adsorbent and method of adsorbing and separating metal element using the same
RU2226726C2 (ru) Способ переработки жидких радиоактивных отходов атомной электростанции
JP2004008854A (ja) 汚染土壌中の重金属などの不溶化方法
JP2007029925A (ja) ホウ素含有排水の処理方法
JPH11221576A (ja) セレン含有廃水もしくはセレン含有汚泥の処理方法
JP2001232372A (ja) ホウ素含有水の処理方法
Bontea et al. Removal of uranyl ions from wastewaters using cellulose and modified cellulose materials
JP3144160B2 (ja) 水中の放射性物質除去方法
JP5497226B1 (ja) セシウムを含む脱塩ダストの処理方法及び処理装置
Bose Selected physico-chemical properties of natural organic matter and their changes due to ozone treatment: implications for coagulation using alum
Jee et al. Reduction of disinfection byproduct formation by an oxidative coupling reaction with birnessite

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040108

A977 Report on retrieval

Effective date: 20051130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20051213

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060411

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02