JPH1170350A - 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物 - Google Patents

階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物

Info

Publication number
JPH1170350A
JPH1170350A JP18623798A JP18623798A JPH1170350A JP H1170350 A JPH1170350 A JP H1170350A JP 18623798 A JP18623798 A JP 18623798A JP 18623798 A JP18623798 A JP 18623798A JP H1170350 A JPH1170350 A JP H1170350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tone
roll
image
transfer roll
gradation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18623798A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Umeda
育志 梅田
Tetsuhiro Hatano
哲洋 秦野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP18623798A priority Critical patent/JPH1170350A/ja
Publication of JPH1170350A publication Critical patent/JPH1170350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロールコーターを用いて、凹凸形状を有する
基材の表面に、中間調を有する画像を良好な再現性でも
って塗装することができる塗装システムを提供する。 【解決手段】 ロールコーター8を備えた塗装システム
においては、画像データベース1内に格納されている濃
淡原画像データを用いて、フィルム原稿作成装置2によ
ってフィルム原稿データが作成される。さらにフィルム
原稿作成装置2で、フィルム原稿データに対してドット
ゲインを減殺するための階調調子補正処理が施される。
そして、フィルム原稿データは、フィルム原稿作成装置
2又はイメージコントローラ4によって2値化され、階
調再現画像データが作成される。そして、この補正処理
が施された階調再現画像データに基づいて、ロールコー
ター8によって、中間調を有する画質の良好な塗装が基
材に施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、階調再現式塗装シ
ステム並びに該塗装システムを用いた塗装方法及び被塗
物に関するものである。より詳しくは、意匠性を有する
濃淡原画像の2値化処理前又は処理後の画像信号に階調
補正を施すことにより作成された階調再現画像に基づい
て、とくに凹凸面を有する基材に、意匠性のある中間調
の塗膜を高精度でかつ容易に塗装することができるよう
にした塗装システムと、該塗装システムを用いた塗装方
法及び被塗物とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、窯業、金属サイジング(冷間プ
レス)等により製造された、凹凸面を有する壁材、外装
用建材、内装用建材、金属建材等(以下、これらを「基
材」と総称する)には、ロールコーター、スクリーン印
刷機、スプレー塗装機等の塗装装置を用いて塗料が塗装
されることが多い。そして、これらの塗装装置のうち、
スプレー塗装機は、基材の表面全体に一様な塗装を施す
のには適しているものの、基材表面の一部に意匠性のあ
る塗装を施すのには不向きである。また、スクリーン印
刷機は、基材表面の一部に意匠性のある塗装を施すのに
は適しているものの、基材の表面全体に一様な塗装を施
すのには不向きである。
【0003】これに対して、ロールコーターは、その転
写ロールの円周面を平滑にすれば、スプレー塗装機と同
様に基材の表面全体に一様な塗装を施すことができ、他
方その転写ロールの円周面に意匠性を付与するための凹
凸形状を形成すれば、該転写ロールの円周面の凸部によ
ってスクリーン印刷機と同様に基材表面に意匠性のある
塗膜を塗装することができ、したがって全面塗装及び意
匠性のある塗装のいずれにも臨機応変に対応することが
できるので、上記のような凹凸面を有する基材の塗装に
広く用いられている。
【0004】このようなロールコーターを用いて基材に
意匠性のある塗装を施す場合は、まず転写ロールの表面
に、意匠性を有する原画像に対応する凹凸形状が形成さ
れる。そして、転写ロールの表面に塗料が塗布され、次
に転写ロールの表面の凸部に付着している塗料が基材の
表面に転写され、これにより基材表面に原画像に対応す
る意匠性のある塗膜が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
ロールコーターを用いた塗装において、原画像が濃淡に
よる中間調で表現されていることがあるが、ロールコー
ターを用いた従来の塗装システムでは濃淡による中間調
を表現することができない。すなわち、一般に一種類の
塗料を用いて基材に濃淡のある中間調の塗装を施す場合
は、普通、塗膜の厚さの大小によって濃淡を表現すると
いった手法が用いられる。つまり、濃い部分は塗膜を厚
くし、淡い部分は塗膜を薄くして濃淡により中間調を表
現するわけである。しかしながら、ロールコーターによ
る塗装においては、転写ロールの表面の凸部に付着する
塗料の厚さはほぼ一定であるので、基材に転写された塗
膜の厚さもほぼ一定である。このため、ロールコーター
では基材に濃淡による中間調の画像を塗装することがで
きない。
【0006】そこで、ロールコーターを用いた塗装にお
いて、中間調を表現する場合は、濃淡原画像を2値化処
理して階調再現画像を作成し、この階調再現画像に基づ
いて版材に凹凸形状形成し、この版材を用いて基材に塗
装を施すといった手法を用いることなる。ここで、階調
再現画像は多数のドットで構成され、このドットの寸法
の大小あるいはドットの配置密度の大小により擬似的に
濃淡が表現される。つまり、塗装画像では、基材への塗
料の着肉面積の大小により中間調が表現されることにな
る。したがって、2値化された階調再現画像に基づいて
版材を作成した場合、版材には、階調再現画像のドット
に対応して多数の微小な凸部が形成される。
【0007】ところで、一般に、ロールコーターにより
基材に塗装する際には、基材の表面にかなり大きな凹凸
があるので、へこみ部にも十分に塗膜が形成されるよ
う、転写ロールが基材にかなり強い押圧力で押し付けら
れる。このため、とくに基材の膨出部と当接する部分で
は版材の凸部に強い押圧力が作用し、該凸部が広がると
いった現象が生じる。そして、2値化された階調再現画
像に基づいて版材を作成した場合、前記のとおり版材に
は多数の微小な凸部が形成されるが、微小な凸部は転写
ロールの押圧力によってとくに広がりが生じやすく、こ
のため基材に転写される着色ドットが拡大されてドット
ゲイン(ドット太り)が生じる。
【0008】このため、ロールコーターを用いた塗装に
おいて、濃淡原画像を2値化処理することによって得ら
れた階調再現画像に基づいて製作された版材を用いて塗
装を行うと、基材に塗装される画像は階調再現画像(ひ
いては原画像)とはかなり違ったものとなり、良好な画
像再現性が得られないといった問題がある。
【0009】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたものであって、ロールコーターを用いて、凹
凸形状を有する基材の表面に、中間調を有する画像を良
好な再現性でもって塗装することができる塗装システム
ないしは塗装方法を提供することを解決すべき課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
なされた本発明にかかる階調再現式塗装システムは、
(a)濃淡による中間調で表現された意匠性を有する濃
淡原画像の画像信号を2値化処理して、中間調を有する
階調再現画像の2値化画像信号を生成する階調再現装置
と、(b)階調再現装置による2値化処理が施される前
又は後の画像信号に対して、所定の補正特性でもってド
ットゲインが減少する方向に階調調子補正を施す階調調
子補正装置と、(c)2値化画像信号に基づいて第2原
図を作成する第2原図作成装置と、(d)第2原図作成
装置によって作成された第2原図を用いて、転写ロール
の表面に、第2原図に対応する凹凸形状を形成する製版
装置と、(e)周面に複数の溝部がメッシュ状に形成さ
れ、塗料供給源から供給される塗料を上記溝部により上
記周面に所定の膜厚で保持するメッシュロールを備える
一方転写ロールを装着し、該転写ロールをメッシュロー
ルと接触させて該メッシュロールの周面に保持された塗
料を転写ロールの円周面に付着させ、該円周面に付着し
ている塗料を、濃淡原画像に対応する意匠性を有する塗
膜として基材に転写するロールコーターとが設けられて
いることを特徴とするものである。ここで、階調調子補
正装置は、2値化処理前の画像信号に対して階調調子補
正を施すようになっているのが実用的である。なお、ロ
ールコーターには、(e)その外周面が転写ロールの円
周面に圧接するように配置され、転写位置通過後におい
て転写ロールの円周面に残留している塗料を回収して該
円周面のクリーニングを行うクリーニングロールが設け
られているのが好ましい。また、ロールコーターには、
(f)転写ロールの円周面に接触し、該転写ロールの円
周面の凹部に付着している塗料をクリーニングする洗浄
用ロールが設けられているのがさらに好ましい。
【0011】この塗装システムにおいては、中間調で表
現された濃淡原画像の画像信号あるいは該原画像に2値
化処理を施すことにより得られた階調再現画像の画像信
号の階調調子が、ドットゲインが減少する方向に補正さ
れるので、凹凸形状を有する基材の表面に、中間調を有
する画像を良好な再現性でもって塗装することができ
る。
【0012】上記塗装システムにおいては、階調調子補
正装置が、各画素について、入力濃度と出力濃度との関
係を規定する所定の濃度補正関数を用いて濃度値を変換
することにより画像信号の階調調子を補正するようにな
っているのが好ましい。ここで、濃度補正関数は、ロー
ルコーティングによるドットゲイン(ドット太り)を減
殺ないしは相殺するような特性、すなわち補正処理を施
さない場合における階調再現画像ないしは版材の濃度
(入力濃度)に対する塗装画像の濃度(出力濃度)の出
力特性を減殺ないしは相殺するような特性(例えば、ト
ーンカーブの逆関数)に設定される。
【0013】また、上記階調調子補正装置は、各画素に
ついて、入力濃度をガンマ変換することにより画像信号
の階調調子を補正する(ガンマ補正を行う)ようになっ
ていてもよい。ここで、ガンマ変換とは、画像処理の技
術分野において用いられている画像の補正処理手法であ
って、入力濃度の平方根に基づいて出力濃度を設定する
ものである。
【0014】さらに、上記階調調子補正装置は、補正後
の階調再現画像の濃度ヒストグラム(画像中の濃度値の
出現頻度をあらわすグラフ)が所定のパターンに一致す
るように画像信号の階調調子を補正するようになってい
てもよい。
【0015】上記塗装システムにおいては、転写ロール
が、略円柱形の硬い軸体と、該軸体の外周面上に装着さ
れその外側表面に上記凹凸形状が形成された略円筒形の
版構成体とで構成されているのが好ましい。ここで、版
構成体としては、例えば、その外側表面に上記凹凸形状
が形成されたゴム製の版材、その外側表面に上記凹凸形
状が形成されたゴム製の版材と該版材の内側に配置され
た弾性体層とからなる構成体、その外側表面に上記凹凸
形状が形成されたスポンジ層等があげられる。
【0016】上記塗装システムにおいては、軸体と版構
成体との間に金属(例えば、ニッケル)、ガラス強化プ
ラスチック等からなる円筒形のスリーブが介設されてい
るのが好ましい。例えば、軸体と嵌合することができる
スリーブが設けられ、該スリーブの外周面上に版構成体
が装着されているのが好ましい。このようにすれば、版
構造体の装着及び取り外しが極めて容易となる。
【0017】上記塗装システムにおいては、例えば紫外
線又はレーザー光線を用いた処理により、版材(ゴム
層)の表面に階調再現画像に対応する凹凸形状を形成す
ることができる。このようにすれば、転写ロール全体を
交換しなくても、版材を交換するだけで、基材に塗装す
べき意匠の種類を自在に切り替えることができ、塗装作
業を能率化することができる。なお、転写ロールは、ゴ
ム製あるいはスポンジ製の円柱体であってもよい。
【0018】また、本発明によれば、上記の各階調再現
式塗装システムのいずれかを用いて、乾燥膜厚が10μ
m以上の意匠性のある塗膜を基材に塗装することを特徴
とする塗装方法が提供される。この塗装方法によれば、
凹凸形状を有する基材の表面に、ロールコーターで中間
調を有する画質の良好な画像を塗装することができる。
さらに、本発明によれば、上記の各階調再現式塗装シス
テムのいずれかを用いて、基材上に塗膜が塗装された、
乾燥膜厚が10μm以上の意匠性を有する被塗物が提供
される。
【0019】上記塗装システムにおいては、2値化処理
は、例えば誤差拡散ディザ法(平均誤差最小ディザ法)
などのディザ法、濃度パターン法、網点法(AMスクリ
ーン法)、FMスクリーン法等を用いて行われる。な
お、「ディザ法」は、濃淡画像の各画素を各々異なる閾
値で白又は着色(例えば黒)に振り分けて2値化すると
いった手法であり、「誤差拡散ディザ法」はかかるディ
ザ法の1つであって、2値化によって生じた誤差を周り
の画素の濃度値に加算してゆくことにより閾値を決定す
るようにしたものである。「濃度パターン法」は、中間
調で表現された原画像の各画素を、それぞれ、例えばn
×n(nは自然数)のドット領域で構成した上で各ドッ
ト領域を白又は着色(例えば、黒)に設定することがで
きるようにし、各画素中における白いドット領域と着色
されたドット領域(例えば、黒いドット領域)の割合を
変えることにより中間調を表現しようとするものであ
る。「網点法(AMスクリーン法)」は、濃淡原画像の
1つの画素の濃度レベルに対して表示画素として所定の
大きさの画素を割り当て、濃淡原画像の濃度レベルに比
例するように、表示画素中の黒の占有部分を増加させる
ことにより、擬似的な中間調を作成するといった階調再
現手法である。また、「FMスクリーン法」は、ドット
径が一定の微小なドット(網点)をランダムに配置し、
該ドットの配置密度の大小により中間調を表現するとい
った階調再現手法である。
【0020】本発明で用いられる転写ロールの版材は、
例えば、重合性モノマーの重合物又はクロロプレンゴ
ム、エチレン−クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム、天
然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、これらのゴ
ムの発泡体又はこれらのゴム成分と光重合性モノマーと
の反応物等の材料で形成される。
【0021】重合性モノマーの重合物又はゴム、あるい
はゴムの発泡体又はゴム成分と重合性モノマーとの反応
物を、転写ロールの版材の材料として使用すれば、転写
ロールの表面部分に意匠性を付与する凹凸形状を、紫外
線又はレーザー光線によって形成することが容易とな
り、またその耐久性も高められる。とりわけ、ゴム成分
と光重合性モノマーとからなる組成物は、紫外線照射に
よる光重合により版材に意匠性を付与する凹凸形状を施
すのに適している。
【0022】そして、この意匠性を付与する凹凸形状を
備えた版材は、例えば塗装に先立って転写ロールに巻き
付けられる。また、この版材は、転写ロールの円周が長
大な場合でも、容易に転写ロールに装着又は貼付するこ
とができる。したがって、かかる重合性モノマーの重合
物又はゴム、あるいはゴムの発泡体又はゴム成分と重合
性モノマーとの反応物は、転写ロールの版材の材料とし
て使用するのに非常に適している。
【0023】本発明にかかるロールコーターにより意匠
性のある塗膜が塗装(転写)される基材は、該ロールコ
ーターによる塗料の転写が可能な材料であればどのよう
なものであってもよい。かかる基材としては、例えば窯
業あるいは金属サイジングにかかる壁材、建材等に属す
るものでは、石膏板、繊維セメント板、炭酸マグネシウ
ム板、ケイ酸カルシウム板、石綿板等の無機質板、ある
いは合板、パーティクルボード、ハードボード等の木質
板があげられる。さらには、アルミ板、鉄板等の金属
板、あるいはポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラ
スチック板、さらにはタイル、壁紙などがあげられる。
これらの基材は、その表面が平滑な面であっても、また
凹凸面であってもよい。さらには、これらの基材の表面
に、下塗り、防錆処理、接着性向上処理等が施されてい
てもよい。
【0024】本発明で用いられる転写ロールの版材(ゴ
ム層)の表面部分は、表面硬度がJIS ASKER C
(SRIS 0101)30°〜A(JIS K 630
1)80°のゴムで形成されているのが好ましい。かか
る表面硬度を有する版材を備えた転写ロールを用いれ
ば、該転写ロールにクリーニングロールを押圧配置する
ことにより、該転写ロールに残留している塗料を充分に
絞り出すことができ、該塗料を効率よくクリーニングロ
ールに回収することができる。このように、残留してい
る塗料が効率良く回収される結果、転写ロールはメッシ
ュロールから一定量で塗料の供給を受けることとなり、
安定した意匠性のある所望の膜厚の塗膜を転写すること
ができる。
【0025】本発明で用いられる転写ロールの版材の表
面部分には、転写される意匠の種類に応じて、凹部深さ
が0.01〜1mmの凹凸形状を設けることができる。
このような深さないしは厚みの凹凸形状を形成すること
により、従来の転写ロールを用いた場合に比べて、転写
された塗膜の膜厚をより均一にすることができ、また高
精細な意匠性のある塗膜を得ることができる。
【0026】本発明で用いられる転写ロールの版材に形
成される意匠性を付与する凹凸形状は、紫外線又はレー
ザー光線により凹部深さが0.01mm以上となるよう
に形成されるのが好ましい。転写ロールの版材の表面に
は、紫外線又はレーザー光線によって意匠性を付与する
凹凸形状を、均一にかつ正確に凹部深さが0.01mm
以上となるように形成することができるので、転写ロー
ルの表面に必要な量だけ塗料を保持することが可能とな
り、その結果意匠性のある塗膜を基材に高精度で転写す
ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。まず、本発明にかかる階調再現式塗装シ
ステムの概略を説明する。図1に示すように、本発明に
かかる塗装システムは、実質的に、各種画像データを格
納(記憶)する画像データベース1と、該画像データを
用いてフィルム原稿データ(色版データ)ないしは階調
再現画像データを作成するフィルム原稿作成装置2と、
イメージコントローラ4及び自動現像機5からなりフィ
ルム原稿作成装置2から入力されるフィルム原稿データ
ないしは階調再現画像データに基づいて自動的にフィル
ム7を作成(現像)するイメージセッタと、該フィルム
7を用いて版材21を製作する製版装置6と、該版材2
1を用いて基材に塗装を施すロールコーター8とで構成
されている。
【0028】ここで、フィルム原稿作成装置2は、原画
像の画像データに対して後記の階調調子補正処理を施す
とともに、該画像データに対して2値化処理を施して階
調再現画像データを作成するコンピュータシステムであ
る。ただし、このフィルム原稿作成装置2は、ここでは
網点法及びFMスクリーン法による2値化処理は行わな
いようになっている。そして、2値化処理が網点法又は
FMスクリーン法の場合は、イメージコントローラ4が
2値化処理を行うようになっている。
【0029】つまり、フィルム原稿作成装置2とイメー
ジコントローラ4とは、いずれもコンピュータであっ
て、2値化処理及び階調調子補正処理を行うことが可能
であるが、この塗装システムでは、イメージコントロー
ラ4が網点法及びFMスクリーン法による2値化処理を
分担し、フィルム原稿作成装置2がこれ以外の2値化処
理と階調調子補正処理とを分担している。したがって、
このような分担をどのように変更することも可能である
のはもちろんである。なお、イメージコントローラ4
は、自動現像機5の各種制御も行うようになっている。
【0030】この塗装システムにおいて、基材に塗装を
施す際には、まず画像データベース1内に格納されてい
る、濃淡による中間調で表現された意匠性を有する種々
の濃淡原画像の画像データの中から所望の画像データが
選択される。次に、この選択された画像データがフィル
ム原稿作成装置2に入力される。このフィルム原稿作成
装置2では、入力された画像データに対して、データ変
換処理、色分解・画像分割処理、仕上がりサイズの調整
処理等が施され、フィルム原稿データ(色版データ)が
作成される。ここで、2値化手法が、網点法(AMスク
リーン法)及びFMスクリーン法のどちらでもなけれ
ば、例えば誤差拡散ディザ法(平均誤差最小ディザ法)
等のディザ法、濃度パターン法等であれば、このフィル
ム原稿作成装置2で、上記画像データに対して2値化処
理が施され、階調再現画像データが作成される。なお、
フィルム原稿データないしは階調再現画像データは、保
存する必要がある場合はディスク3に格納(保存)され
る。他方、2値化手法が、網点法(AMスクリーン法)
又はFMスクリーン法であれば、このフィルム原稿作成
装置2では2値化処理は施されず、イメージコントロー
ラ4で2値化処理が施されて階調再現画像データが作成
される。
【0031】ここで、画像データに対する階調調子の補
正処理は、後で説明するように、所定の補正特性(濃度
補正関数ないしはトーンカーブ補正パターン)でもっ
て、ドットゲインを減殺ないしは相殺する方向に補正す
るといった手法で施される。すなわち、ロールコーター
8により基材に塗装する際には、基材の表面にかなり大
きな凹凸があるので、へこみ部(凹部)にも十分に塗膜
が形成されるよう、転写ロール12が基材にかなり強い
押圧力で押し付けられる。このため、とくに基材の膨出
部(凸部)と当接する部分では版材の凸部に強い押圧力
が作用し、該凸部が広がり、これに伴って基材に転写さ
れる着色ドットが拡大されるといった現象すなわちドッ
トゲインが生じる。そこで、階調再現画像データの階調
調子を補正してこのようなドットゲインを減殺ないしは
相殺するようにしている。
【0032】この後、フィルム原稿データないしは階調
再現画像データはイメージコントローラ4に入力され
る。2値化手法が網点法又はFMスクリーン法であれ
ば、このイメージコントローラ4でフィルム原稿データ
に対して2値化処理が施され、階調再現画像データが作
成される。なお、2値化手法が網点法でもFMスクリー
ン法でもなければ、フィルム原稿作成装置2ですでに2
値化処理が施されているので、このイメージコントロー
ラ4は自動現像機5の各種制御のみを行う。そして、自
動現像機5では、イメージコントローラ4から入力され
る階調再現画像データに基づいて、階調再現画像に対応
する画像(ひいては濃淡原画像に対応する画像)を有す
るフィルム7(ネガフィルムあるいはポジフィルム)が
作成される。
【0033】次に、製版装置6で、フィルム7を用いて
該フィルム7に表示された画像(すなわち階調再現画
像)に対応する凹凸形状を有する版材21が製作され
る。具体的には、例えばゴム製の版材21の表面にフィ
ルム7が配置され、この後フィルム7ないしは版材21
に所定時間だけ紫外線が照射される。ここで、フィルム
7の透明部分では、紫外線がフィルム7を透過して版材
21に到達して該版材21を硬化させる。他方、フィル
ム7の不透明部分(黒い部分)では、紫外線が該フィル
ム7に吸収されるので版材21には到達せず、したがっ
て版材21は硬化されないままである。かくして、版材
21のフィルム7の透明部分と当接している部分には凸
部が形成され、フィルム7の不透明部分と当接している
部分には凹部が形成される。このようにして、フィルム
7に表示された画像すなわち階調再現画像に対応する凹
凸形状が版材21上に形成される。
【0034】このような製版手法に代えて、レーザー光
線(例えば、CO2レーザー)によるレーザー彫刻製版
手法を用いてよい。このレーザー彫刻製版手法において
は、ゴム又はスポンジにレーザー光線が照射されると、
該ゴム又はスポンジが溶融・分解されないしは削られる
といった性質を利用する。かかるレーザー彫刻製版手法
による場合は、およそ次のようなプロセスで凹凸形状を
有する版材21が製作される。すなわち、版材21の任
意の位置にレーザー光線を照射することができるレーザ
ー装置を用いて、該版材21の凹部を形成すべき部分の
みにレーザー光線を照射する。ここで、レーザー装置は
版材21の表面を走査し、その走査中におけるレーザー
装置の照準位置が、版材21に凹部を形成すべき位置で
あればレーザー光線を発射し(オン)、このとき版材2
1のこの部分はゴム又はスポンジが溶融・分解ないしは
削られて除去される。他方、レーザー装置の照準位置が
版材21に凸部を形成すべき位置であればレーザー光線
の発射を停止し(オフ)、このとき版材21のこの部分
のゴム又はスポンジはそのまま残る。かくして、版材2
1の表面には、階調再現画像に対応する凹凸形状が形成
される。ここで、レーザー装置は、コンピュータから直
接入力される階調再現画像データに基づいて走査し、又
は階調再現画像(プリント、ポジフィルム等)を読み取
りつつ、読み取った画像情報に基づいて走査する。した
がって、この場合は、フィルム7の作成は必要とはされ
ない(フィルムレス化)。
【0035】さらに、前記の各製版手法のほか、次のよ
うなレーザー光線(例えば、YAGレーザー光線)と紫
外線とを用いる製版手法を用いてもよい。この製版手法
による場合は、およそ次のような手順で凹凸形状を有す
る版材21が製作される。なお、この場合は、版材材料
として感光性樹脂(フォトポリマー)を用いるのが好ま
しい。この製版手法においては、版材21の上にレーザ
ー感光性の薄い黒色マスクが配置される。そして、版材
21上の黒色マスクの任意の位置にレーザー光線を照射
することができるレーザー装置を用いて、版材21の凸
部を形成すべき部分に対応する位置においてのみ黒色マ
スクにレーザー光線を照射する。ここで、レーザー装置
は、版材21上の黒色マスクの表面を走査し、その走査
中におけるレーザー装置の照準位置が、版材21に凸部
を形成すべき位置であればレーザー光線を発射し(オ
ン)、このとき黒色マスクのこの部分は溶融・除去され
又は透明化される。他方、レーザー装置の照準位置が、
版材21に凹部を形成すべき位置であればレーザー光線
の発射を停止し(オフ)、このとき版材21上の黒色マ
スクのこの部分は黒色のまま残留する。ここで、レーザ
ー装置は、コンピュータから直接入力される階調再現画
像データに基づいて走査し、又は階調再現画像(プリン
ト、ポジフィルム等)を読み取りつつ、読み取った画像
情報に基づいて走査する。したがって、この場合も、フ
ィルム7の作成は必要とはされない(フィルムレス
化)。次に、黒色マスク側から版材21に紫外線が照射
される。この場合、黒色マスクが溶融・除去ないしは透
明化された部分では紫外線によって版材21が硬化させ
られ、この部分は凸部となる。他方、黒色マスクが残留
している部分では、紫外線が黒色マスクに吸収されるの
で、版材21は硬化されないままであり、この部分は凹
部となる。かくして、版材21の表面には、階調再現画
像に対応する凹凸形状が形成される。
【0036】そして、ロールコーター8では、この版材
21を用いて基材の表面に塗装が施され、濃淡原画像に
対応する意匠性を有する塗膜が形成される。このロール
コーター8には、周面に複数の溝部がメッシュ状に形成
され、塗料供給源から供給される塗料を該溝部により周
面に所定の膜厚で保持するメッシュロール11と、その
円周面に前記の版材21を巻き付けた転写ロール12と
が設けられている。そして、ロールコーター8は、転写
ロール12をメッシュロール11と接触させて該メッシ
ュロール11の周面に保持された塗料を転写ロール12
の円周面に付着させ、さらにこの円周面に付着している
塗料を、濃淡原画像に対応する意匠性を有する塗膜とし
て基材に転写する。
【0037】以下、この塗装システムにおける、フィル
ム原稿作成装置2による階調調子補正処理と、フィルム
原稿作成装置2又はイメージコントローラ4による2値
化処理と、ロールコーター8による塗装処理とについて
さらに詳しく説明する。なお、前記のとおり、この塗装
システムでは階調調子補正処理をフィルム原稿作成装置
2で行うようにしているが、これをイメージコントロー
ラ4で行うようにしてもよい。また、2値化処理をフィ
ルム原稿作成装置2とイメージコントローラ4のどちら
で行ってもよい。さらには、階調調子補正処理と2値化
処理とを同一の装置で行う場合、どちらを先に行っても
よいが、階調調子補正処理を先に行うのが実用的であ
る。
【0038】まず、フィルム原稿作成装置2による階調
調子補正処理について説明する。前記のとおり、この塗
装システムでは、まず濃淡原画像から2値化処理により
階調再現画像データ(フィルム原稿データ)が作成さ
れ、次に階調再現画像データからフィルムが作成され、
この後フィルムから版材が製作されるが、この階調調子
補正処理は、ドットゲインを補正ないしは減殺(相殺)
するために、2値化処理前の画像データに対して施され
る。一般に、ロールコーター8を用いた塗装システムに
おいては、たとえ濃淡原画像の中間調が2値化処理によ
りフィルム上に正しく再現されていたとしても、版材2
1への焼き付け、塗料の特性、転写ロール押圧力等の塗
装条件によって、基材上に形成されるドット(網点)の
大きさが変化するといった現象が生じる。このような現
象の中で、塗装の際にドット(網点)がつぶれる(太
る)現象がドットゲインであるが、このようなドットゲ
インの影響が大きい場合、設定ないしは指定された濃度
と実際に塗装された濃度との間にずれが生じる。
【0039】すなわち、ロールコーター8を用いた塗装
において、階調再現画像に対して階調調子補正処理を施
さない場合は、例えば図7(a)に模式的に示すような
トーンカーブ、すなわちフィルム(ネガ)の濃度(入力
濃度)に対する塗膜(印刷物)の濃度(出力濃度)のず
れないしは偏寄が生じる。なお、図7(a)に示す例で
はとくに入力濃度が50%付近の中間調のドットゲイン
が大きくなっている。
【0040】そこで、このフィルム原稿作成装置2で
は、2値化処理前の画像データに対して、所定の濃度補
正関数(トーンカーブ補正パターン)でもって補正処理
を施し、ドットゲインを補正ないしは減殺して、設定な
いしは指定した意匠柄を忠実に再現できるようにしてい
る。この補正処理における濃度補正関数は、基本的に
は、トーンカーブの逆関数であり、例えば図7(a)に
示すようなトーンカーブの塗装系に対しては、図7
(b)に示すようにドットゲインを減殺ないしは相殺す
るような特性に設定される。なお、かかる補正処理にお
いては、各画素について、入力濃度をガンマ変換するこ
とにより画像データの階調調子を補正するようになって
いてもよい。また、補正後の画像の濃度ヒストグラムが
所定のパターンに一致するように画像データの階調調子
を補正するようになっていてもよい。
【0041】以下、トーンカーブないしは濃度補正関数
についてさらに具体的に説明する。例えば、図8に示す
ような画像データ(オリジナル画像)に対して濃度補正
処理を施さずに用いた場合における、オフセット印刷、
フレキソ印刷及びこの塗装システム(意匠塗料システ
ム)によるトーンカーブ及び印刷画像ないしは塗装画像
(シミュレーション画像)を、それぞれ、図9、図10
及び図11に示す。図9〜図11から明らかなとおり、
オフセット印刷の場合はドットゲインは非常に小さいが
(図9)、フレキソ印刷の場合はドットゲインがかなり
大きくなり、入力濃度がおよそ70%のところで飽和し
ている(図10)。すなわち、フレキソ印刷の場合は、
入力濃度がおよそ75%以上ではすべて黒となり、した
がって入力濃度がおよそ75%以上の階調は表現するこ
とができないことになる。
【0042】また、図11から明らかなとおり、ロール
コーター8を用いたこの塗装システムでは、ドットゲイ
ンは非常に大きくなり、入力濃度がおよそ35%のとこ
ろで飽和している。したがって、この塗装システムで
は、階調再現画像データに濃度補正処理を施さない場合
は、入力濃度がおよそ35%以上の階調は表現すること
ができないことになる。つまり、図11中のシミュレー
ション画像からもわかるように、この場合の塗装画面
は、大半は白領域と黒領域とで構成され、中間調で表現
されている領域は非常に少ない。
【0043】ここで、例えば図12中に示すような濃度
補正関数1(トーンカーブ補正パターン1)を用いて補
正処理が施された階調再現画像が図12の左半部に示さ
れている。そして、図12に示す階調再現画像に基づい
てフィルム7及び版材21を作成し、この版材21を用
いて塗装を行った場合の塗装画像(シミュレーション画
像)を図13に示す。なお、この濃度補正関数1では、
ドットゲイン減少方向への補正の度合いは比較的小さく
設定され、出力濃度を100%に設定することも可能な
特性となっている。この場合の塗装画面(図13)は、
図11の場合に比べて、中間調の領域がかなり増加して
いるものの、図8に示すオリジナル画像とはまだかなり
の隔たりがある。
【0044】また、図14中に示すような濃度補正関数
2(トーンカーブ補正パターン2)を用いて補正処理が
施された階調再現画像が図14の左半部に示されてい
る。そして、図14に示す階調再現画像に基づいてフィ
ルム7及び版材21を作成し、この版材21を用いて塗
装を行った場合の塗装画像(シミュレーション画像)を
図15に示す。この濃度補正関数2では、ドットゲイン
減少方向への補正の度合いは濃度補正関数1の場合に比
べてかなり大きく設定され、75%以上の出力濃度の設
定は禁止されている。この場合の塗装画面(図15)
は、図8に示すオリジナル画像にかなり接近しており、
実用上は問題なく使用しうるものである。
【0045】さらに、図16中に示すような濃度補正関
数3(トーンカーブ補正パターン3)を用いて補正処理
が施された階調再現画像が図16の左半部に示されてい
る。そして、図16に示す階調再現画像に基づいてフィ
ルム7及び版材21を作成し、この版材21を用いて塗
装を行った場合の塗装画像(シミュレーション画像)を
図17に示す。この補正関数3では、ドットゲイン減少
方向への補正の度合いは濃度補正関数2の場合よりもさ
らに大きく設定され、50%以上の出力濃度の設定は禁
止されている。この場合の塗装画面(図17)も、図8
に示すオリジナル画像にかなり接近しており、実用上は
問題なく使用しうるものである。
【0046】次に、フィルム原稿作成装置2又はイメー
ジコントローラ4による2値化処理について説明する。
フィルム原稿作成装置2においては、誤差拡散ディザ法
(平均誤差最小ディザ法)、濃度パターン法等の種々の
階調再現手法により濃淡原画像を2値化処理して、2値
化された階調再現画像(擬似中間調表現画像)を作成す
ることができる。また、イメージコントローラ4におい
ては、網点法(AMスクリーン法)又はFMスクリーン
法の階調再現手法により濃淡原画像を2値化処理して、
2値化された階調再現画像(擬似中間調表現画像)を作
成することができる。なお、これらの2値化処理手法の
中では誤差拡散ディザ法がとくに好ましい。
【0047】ディザ法は、濃淡画像の各画素を各々実質
的に異なる閾値で白又は黒に振り分けて2値化するとい
った2値化手法であり、かかるディザ法としては、ラン
ダムディザ法、組織的ディザ法、誤差拡散ディザ法(平
均誤差最小ディザ法)、平均値制限ディザ法等が知られ
ているが、ロールコーター8を用いる基材の塗装におい
ては誤差拡散ディザ法が最適である。濃度パターン法に
おいては、階調数を多く設定すれば、画素の大きさが増
加するので表示される画素の総数は少なくなり、他方表
示される画素の総数を多くしようとすれば、1つの画素
の大きさが小さくなり、表現しうる階調数は少なくな
る。したがって、この濃度パターン法は、画像の解像度
をある程度犠牲にして良好な中間調を有する画像を得る
のに適した2値化処理手法といえる。
【0048】図2(a)に、誤差拡散ディザ法による濃
淡表現を模式的に示す。なお、図2(a)において、左
側の図は濃淡原画像を示し、右側の図は該濃淡原画像を
誤差拡散ディザ法で2値化処理して得られる階調再現画
像を示している。なお、この場合、ドット径は、50μ
m以上に設定するのが好ましい。また、図3(a)、
(b)に示す濃淡原画像を、誤差拡散ディザ法により2
値化処理して得られた階調再現画像を、それぞれ、図4
(a)、(b)に示す。ここで、図3(a)、(b)に示
す濃淡原画像は、いずれもグレー濃淡256階調で表現
されたものであり、図4(a)、(b)に示す階調再現
画像は、いずれも100ドット/インチのモノクロ2階
調で表現されたものである。図4(a)、(b)から明
らかなとおり、誤差拡散ディザ法による2値化処理で得
られた階調再現画像では偽輪郭は形成されず、画質が良
好な中間調(擬似中間調)が得られている。
【0049】図2(b)に、濃度パターン法による濃淡
表現を模式的に示す。なお、図2(b)において左側の
図は濃淡原画像を示し、右側の図は該原画像の一部を濃
度パターン法で2値化処理して得られる階調再現画像を
拡大して示している。また、図5(a)、(b)に、そ
れぞれ、前記の図3(a)、(b)に示した濃淡原画像
を濃度パターン法により2値化処理して得られた階調再
現画像を示す。ここで、図5(a)、(b)に示す階調
再現画像は、いずれも300ドット/インチのモノクロ
2階調で表現されたものである。図5(a)、(b)か
ら明らかなとおり、濃度パターン法による2値化処理で
得られた階調再現画像でも、画質が良好な中間調が得ら
れている。
【0050】図2(c)に、網点法による濃淡表現を模
式的に示す。なお、図2(c)において、左側の図は濃
淡原画像を示し、右側の図は該原画像の一部を網点法で
2値化処理して得られる階調再現画像を拡大して示して
いる。なお、この場合、網点のスクリーン線数を133
ライン/インチ(lpi)以下、とくに80ライン/イン
チ以下に設定するのが好ましい。また、図6(a)、
(b)に、それぞれ、前記の図3(a)、(b)に示し
た濃淡原画像を網点法により2値化処理して得られた階
調再現画像を示す。ここで、図6(a)、(b)に示す
階調再現画像は、スクリーン線数が30ライン/インチ
のモノクロ2階調で表現されたものである。図6
(a)、(b)から明らかなとおり、網点法による2値
化処理で得られた階調再現画像でも、比較的良好な中間
調(擬似中間調)が得られている。
【0051】以下、ロールコーター8による塗装処理に
ついて説明する。まず、塗装工程の概略を説明する。図
22は、レンガを積み重ねたような外観を呈する塗装が
施された基材Bの斜視図である。図22に示すように、
この基材Bには、凹凸面を有するベース材35の凸部に
レンガのような外観を呈する塗装が施されてなるレンガ
部36と、凹部に各レンガ部36のつなぎ目のような外
観を呈する塗装が施されてなる目地部37とが形成され
ている。さらに、レンガ部36の表面には、レンガとし
てリアルな外観を表現するための意匠性のある塗装が施
されてなる意匠部38(図柄部、模様部)が形成されて
いる。
【0052】そして、図22に示す基材Bには、一般
に、例えば図23に示すような手順で塗装が施される。
すなわち、図23に示すように、この塗装においては、
まずベース材35を準備し(ステップS1)、このベー
ス材35に対して、目地部37に相応する色彩(例え
ば、灰色)の第1色目の塗料をベース材35の表面全体
にスプレー塗装機等を用いて吹き付け、第1塗膜40を
形成する(ステップS2)。次に、連続乾燥炉等を用い
て第1塗膜40を乾燥させる(ステップS3)。
【0053】続いて、平滑な円周面(円筒表面)を有す
る転写ロールを備えたロールコーター8(図18参照)
を用いて、ベース材35の凸部の表面に、レンガ部36
に相応する色彩(例えば、茶色)の第2色目の塗料を塗
り重ね、第2塗膜41を形成する(ステップS4)。次
に、第2塗膜41を、第1塗膜40の乾燥の場合と同様
に、連続乾燥炉等を用いて乾燥させる(ステップS
5)。かくして、ベース材35の表面に、レンガ部36
と目地部37とが形成される(図22参照)。
【0054】さらに、基材Bの意匠性を高めるために、
骨材や色相の異なる混合物を表現する、意匠部38に相
応する色彩の第3色目の塗料を、凸部(レンガ部36)
の所定の部分に塗装し、第3塗膜42を形成する(ステ
ップS6)。この第3塗膜42の塗装は、円周面に所定
の形状の凹凸を有する転写ロールを備えたロールコータ
ーを用いて、レンガ部36の表面に塗料を塗り重ねるこ
とにより施される。この後、連続乾燥炉等を用いて、第
3塗膜42を乾燥させる(ステップS7)。かくして、
図22に示すような基材Bが得られる。このように、塗
装装置を使い分けて塗料を塗り重ねることにより、所望
の意匠性のある塗膜の連続塗装が可能となる。
【0055】以下、ロールコーター8の具体的な構造及
び機能を説明する。なお、この実施の形態では、第1の
塗膜と第2の塗膜とが塗装された基材において、第2塗
膜の上に意匠性を有する塗膜を塗装するようにしている
が、本発明はこのような形態に限定されるものではな
く、他の形態、例えば第1の塗膜の上に意匠性を有する
塗膜を塗装する形態なども含むことはもちろんである。
【0056】図18は、凹凸面を有する基材Bに意匠性
のある塗膜42(第3塗膜)を塗装するための、本発明
にかかるロールコーター8を模式的に示す立面断面図で
ある。なお、図18に示された基材Bは、例えば図22
に示すような、レンガを積み重ねたような外観を呈する
塗装が施された、凹凸面を有する窯業関連の建設材料で
ある壁材等である。そして、この基材Bには、例えば図
23に示すような塗装工程のステップS1〜S5を経
て、目地部37を形成するための第1塗膜40と、レン
ガ部36を形成するための第2塗膜41とがすでに塗装
されている。
【0057】図18に示すように、基材Bは、搬送機構
(図示せず)によって矢印Y方向に搬送されるようにな
っている。そして、ロールコーター8には、矢印X1
向に回転するメッシュロール11と、矢印X2方向に回
転する転写ロール12と、矢印X3方向に回転するクリ
ーニングロール13と、矢印X4方向に回転する洗浄用
ロール14とが設けられている。なお、洗浄用ロール1
4は、両矢印Z12方向に移動して、転写ロール12に
当接ないしは圧接し、又はこれから離反することができ
るようになっている。
【0058】メッシュロール11は、転写ロール12に
所定の膜厚の塗料を供給するためのものであり、転写ロ
ール12と所望の圧力で接触するようになっている。そ
して、メッシュロール11へは塗料タンク等の塗料供給
源(図示せず)から塗料が供給されるようになってい
る。メッシュロール11の周面に対して所定の間隔を隔
ててドクターブレード17が配置されている。このドク
ターブレード17は、塗料をメッシュロール11上に保
持するとともに、メッシュロール11とドクターブレー
ド17との間隔に応じた膜厚(例えば、250μm程
度)で塗料をメッシュロール11上に供給するようにな
っている。なお、メッシュロール11の下方には、該メ
ッシュロール11から落下する塗料を受け止めて収容す
る開放型の塗料容器18(パン)が配置されている。
【0059】図20に示すように、円柱形のメッシュロ
ール11は回転軸15に同軸に取り付けられ、その周面
にはメッシュ状に形成された複数の溝部16(例えば、
深さ30〜400μm程度の格子型の溝)が形成されて
いる。このメッシュ状の溝部16は、周面上に塗料を適
切な厚さで確実に保持させるとともに、該メッシュロー
ル11の回転に起因する遠心力によって塗料が偏った
り、塗料だれが生じるのを防止する機能を有している。
【0060】転写ロール12は、基材Bの表面に接触可
能に配置されている。そして、この転写ロール12にお
いては、図21(a)に示すように、メッシュロール1
1が該転写ロール12と所望の圧力で接触することがで
きるよう、アルミニウム等の金属で形成された円柱形の
軸体20の外周部にゴム製の版材21が巻き付けられた
構造、あるいは軸体20にゴム製の版材21が貼付され
た構造とされている。なお、転写ロール12は、シャフ
ト19に同軸に取り付けられている。そして、版材21
の外表部には複数の凸部22が形成され、各凸部22内
に微小な凹部23が形成されている。
【0061】このように、転写ロール12の版材21の
表面には、所望の意匠性を付与する凹凸形状(骨材や色
相の異なる混合物の塊や苔等を表現した模様)が、紫外
線又はレーザー光線を用いて、例えば0.01mm以
上、より好ましくは0.05〜2mmの厚さないしは深
さで形成される。紫外線又はレーザー光線を用いれば、
版材21に対して、意匠性を付与する凹凸形状を均一の
厚さないしは深さで、輪郭を明瞭に保って形成すること
ができる。かかる紫外線又はレーザー光線による加工に
適した版材21の材料としては、例えば、ブタジエン/
メタクリル酸/ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル
からなる部分架橋共重合体、スチレン/イソプレン/ス
チレン共重合体、マレイン酸モノエステル変性イソプレ
ン重合体、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリル
アミド、メタクリル酸ラウリル及び2−エチレンアント
ラキノンからなる水現像型ゴム成形体(例えば商品名
「フレキシードD−123」、硬化後硬度 JIS A4
0°、3.1mm:日本ペイント社製)、スチレン/イソ
プレン/スチレン共重合体を主成分とする溶剤現像型ゴ
ム成形体(例えば商品名「サイレルTDR」、「サイレ
ルDPSフレキソプレート」:Du Pont社製)などが
あげられる。
【0062】これらのゴム成形体に、意匠性を付与しう
る模様(階調)、形状、あるいはこれらの組み合わせを
施した銀塩フィルムを真空密着させ、これに紫外線を照
射した後、あるいはレーザーによって直接書き込みして
光重合させた後、水やパークロルエチレン等を用いて非
露光部を現像・乾燥することにより、意匠性を付与する
凹凸形状を有するゴム成形体(版材21)が得られる。
紫外線やレーザーによって意匠性を付与する凹凸形状を
有するゴム成形体(版材21)を得るには、コンピュー
タグラフィック等を用いて、意匠性のある模様、形状、
これらの組み合わせを、これらに対応する電気的な信号
に変換して版材21に凹凸形状を形成するといった手法
も有効である。この他、アクリル系液状注型用のゴム成
形体(商品名「APR」:旭化成工業社製)も使用する
ことができる。
【0063】なお、図21(b)に示すように、円柱形
の金属製軸体20と版材21との間に、発泡体層24を
介設した転写ロール12’を用いてもよい。このよう
に、発泡体層24を設ければ、該発泡体層24の弾力性
により、平滑でない壁材等の基材に対しても意匠性のあ
る塗膜を効率的に転写することが可能となる。かかる発
泡体層24の材料は、復起弾性に富み、かつ残留応力の
少ない弾力性のあるものであればよく、例えば密度が1
〜500kg/m3(好ましくは、100〜300kg
/m3)のポリウレタンなどがあげられるが、とくに接
着性の観点からはスキン面を有する材料が好ましいとい
える。発泡体層24の厚さは、基材が平滑面であるか凹
凸面であるかなどといった事情を考慮して所望の値に設
定することができるが、通常は1〜30mmであり、好
ましくは5〜20mmである。なお、転写ロール2’を
構成する各層間には、各層間にずれが生じるのを防止す
るための接着層あるいはテープを設けてもよい。また、
図21(c)に示すように、円柱形の金属製軸体20の
外周にスポンジロール25を外嵌してなる転写ロール1
2”を用いてもよい。この場合は、スポンジロール25
の外周部に、意匠部を形成するための凸部26及び微小
な凹部27が形成される。
【0064】ところで、かかる転写ロール12、12’、
12”において、意匠塗装の内容を変更する場合は、現
に装着されている版材21、発泡体層24を伴った版材
21、あるいはスポンジロール25(以下、これらを便
宜上「版構成体」と総称する)を軸体20から取り外し
た上で、別の版構成体を軸体20に取り付けなければな
らない。したがって、転写ロール12、12’、12”
は、版構成体を、軸体20に容易に取り付けることがで
き、かつ容易に取り外すことができる構造を備えている
のが好ましい。
【0065】そこで、図24(a)〜(c)に示すよう
に、版構成体の軸体20への取り付け又は取り外しを容
易にするために、両者間に、金属、ガラス強化プラスチ
ック等からなるスリーブ50を設けてもよい。この場
合、まずスリーブ50の外周面に版構成体を取り付けた
上で、版構成体を伴ったスリーブ50を軸体20に外挿
し、あるいは軸体20をスリーブ50内に挿入すること
になる。なお、まず軸体20上にスリーブ50を装着さ
せた上で、このスリーブ50の外周面上に版構成体を装
着させるようにしてもよい。
【0066】ここで使用することができるスリーブ50
としては、例えば、ニッケル等の金属材料からなる円筒
形の金属スリーブ、円筒形のガラス強化プラスチックス
リーブなどが挙げられる。また、スリーブ50の軸体2
0への取り付け又は取り外しをより容易にするために、
スリーブ50の内周面をテーパー状に形成する一方、軸
体20の外周面をスリーブ内周面に対応するテーパー状
に形成してもよい。さらに、スリーブ50に、静電気防
止のための導電処理を施してもよい。
【0067】また、版構成体をスリーブ50に取り付け
る手法としては、版構成体を直接軸体20に取り付ける
場合と同様に、スリーブ50の外周面上に、所望の意匠
性を付与する凹凸形状を表面に備えた版材21を接着な
いしは装着させるといった手法を用いることができる。
また、スリーブ50の外周面上にまず発泡体層24(ゴ
ム層、軟質プラスチック層でもよい)を接着ないしは装
着させ、この後発泡体層24の外周面上に、所望の意匠
性を付与する凹凸形状を表面に備えた版材21を接着な
いしは装着させるといった手法を用いることができる。
あるいは、スリーブ50の外周面上に、所望の意匠性を
付与する凹凸形状を表面に備えたスポンジロール25を
接着ないしは装着させるといった手法を用いることがで
きる。
【0068】このようにスリーブ50を用いる場合、ス
リーブ50の軸体20への取り付け又は取り外しをさら
に容易にするために、軸体20の外周面に形成されたエ
アー吹き出し口から圧縮空気を吹き出させるエアー吹き
出し機構を設けるのが好ましい。この場合、スリーブ5
0を軸体20に取り付け又は取り外す際に、エアー吹き
出し口を介して軸体外周面とスリーブ内周面との間隙に
圧縮空気が供給され、該圧縮空気の空気圧によりスリー
ブ50が若干拡張させられ、これによりスリーブ50と
軸体20との間の摩擦が低減され、スリーブ50の軸体
20への取り付け又は取り外しが容易となる。なお、圧
縮空気の供給を停止すれば、スリーブ50と軸体20と
は密接する。
【0069】また、このようにスリーブ50を用いる場
合は、軸体20をロールコーター本体に片持ち支持させ
るのが好ましい。このようにすれば、スリーブ50の取
り付け作業又は取り外し作業を行う際に、軸体20が片
持ち支持されている側とは反対側からスリーブ50を取
り付け又は取り外すことにより、スリーブ50の取り付
け作業又は取り外し作業が非常に楽になり、短時間でス
リーブ50を交換することができる。
【0070】再び、図18に示すように、クリーニング
ロール13は、塗料転写位置を通過した転写ロール12
の表面に付着している塗料を回収して、転写ロール12
の表面のクリーニングを行う。このクリーニングロール
13には、好ましくは、クリーニングロール13上の塗
料をかき取るドクターブレード28と、オープン型の塗
料受け29(パン)とが付設されているが、これらは省
略してもよい。
【0071】図18から明らかなとおり、クリーニング
ロール13は、転写ロール回転方向(矢印X2方向)に
みて、ゴム転写ロール12が基材Bに接触する転写位置
のトレーリング側(後側)の所定の位置に配置されてい
る。このクリーニングロール13は、転写位置を通過し
たゴム転写ロール12の表面に付着している塗料を回収
するために、ゴム転写ロール12の表面に押圧されてい
る。このクリーニングロール13においては、転写ロー
ル12からクリーニングロール13に転写された塗料
が、ドクターブレード28により擦り落とされて塗料受
け29に収容される。ここで、塗料受け29内に溜まっ
た塗料は、適宜、塗料タンク等(図示せず)へ戻され
る。なお、ドクターブレード28に替えて洗浄用のロー
ルを装着し、塗料受け29内に洗浄用溶剤を入れておけ
ば、クリーニングロール13に付着している塗料は洗浄
溶剤によって洗浄されて塗料受け29に捕捉される。
【0072】このように、基材Bに意匠性のある塗膜4
2を塗装した後において転写ロール12に残留している
塗料が、クリーニングロール13により回収されるの
で、転写ロール12の表面を余分な塗料が残留しない状
態にすることができ、ひいてはメッシュロール11から
転写ロール12に供給された塗料を、基材Bに対して適
切な膜厚に保持することが可能となる。このため、基本
的には、ある程度ないしはかなり安定した塗装を行うこ
とができる。
【0073】しかしながら、このようなクリーニングロ
ール13のみでは、転写ロール12の円周面(表面)に
供給されている塗料の粘度が高い場合、あるいは転写ロ
ール12の円周面に付着している塗料が硬化した場合に
は、転写ロール12に付着している塗料は十分には除去
されないことがある。そして、このような場合、細かい
装飾柄等の転写を行おうとすれば、転写ロール12の柄
の掘り込み部である凹部23に塗料が詰まるなどして、
装飾柄の輪郭が崩れることがある。また、塗装の厚みを
大きくしたい場合、あるいはかなりの凹凸がある基材に
塗装を施す場合は、転写ロール12の転写圧をかなり高
くする必要があるが、その際転写圧を過度に高めてしま
うことがあり、このような場合には転写ロール12の凹
部23に塗料が堆積し、上記不具合が著しくなる。
【0074】そこで、このロールコーター8には、転写
ロール12(版材21)の円周面に接触し、該転写ロー
ル12の円周面の凹部23に付着している塗料をクリー
ニングする洗浄用ロール14が設けられている。この洗
浄用ロール14は、転写ロール回転方向(矢印X2
向)にみて、クリーニングロール13よりもトレーリン
グ側(後側)であり、かつメッシュロール11よりリー
ディング側(前側)の所定の位置に配置されている。な
お、洗浄用ロール14をクリーニングロール13よりも
リーディング側(前側)に配置してもよい。
【0075】この洗浄用ロール14には、矢印X4方向
に回転する円柱体30と、該円柱体30の円周部に取り
付けられ転写ロール12の円周面と接触ないしは圧接す
るブラシ31とが設けられている。ここで、ブラシ31
は、例えばナイロン等を用いたプラスチック製ブラシ、
あるいは豚毛等を用いた動物製ブラシとされる。そし
て、ブラシ31は、転写ロール12の円周面と接触し
て、該転写ロールの凹部23に溜まっているあるいは付
着している塗料を効果的に除去する。さらに、この洗浄
用ロール14のやや下方には、塗料の親溶媒である水、
有機溶剤等が入ったオープン型のパン32(受け皿)が
設けられている。そして、ブラシ31の一部は、このパ
ン32内の親溶媒に浸されており、したがってブラシ3
1は該親溶媒の作用でもって凹部23内の塗料を効果的
に除去することができる。なお、転写ロール12の回転
方向にみて、洗浄用ロール14のトレーリング側(後
側)に、転写ロール12の円周面に付着している上記親
溶媒をふき取る溶媒除去装置を設けてもよい。
【0076】洗浄用ロール14は、両矢印Z12方向に
移動できるようになっている。したがって、必要に応じ
て適宜、転写ロール12の円周面の凹部23のクリーニ
ングを行うことができるので、不必要なクリーニングを
回避することができる。さらに、洗浄用ロール14は、
押圧できる金属あるいはプラスチック等のロールを併用
することにより、塗料の回収効率を高めることが可能で
ある。
【0077】この洗浄用ロール14は、基本的には、転
写ロール12の円周面の凹部23にたまった塗料を、吸
い取りあるいはこすり取るなどして除去できるものであ
れば、どのようなものでも使用することができる。例え
ば、ナイロン等を用いたプラスチック製ブラシや、豚毛
等を用いた動物製ブラシをロール表面に装着したものを
用いることができる。また、CR,NBR,ウレタン等
のフォーム、PVAフォーム等の吸水性ないしは吸油性
のあるスポンジロール等も用いることができ、硬度とし
てはJISC10°〜80°、厚みは1〜30mmが好
ましく、またブラシロールとフォームロールの組合わせ
や、これらを複数配置することも可能である。
【0078】また、図18に示すような実質的に円柱体
30とブラシ31とで構成される洗浄用ロール14に替
えて、図19に示すような、ウレタンフォーム、PVA
フォーム等からなる吸水性ないしは吸油性のあるフォー
ムロール33(ないしは、スポンジロール)を備えた洗
浄用ロール14’を設け、転写ロール12の円周面の凹
部23に溜まった塗料を吸い取るようにしてもよい。こ
の場合は、フォームロール33が保持している塗料を絞
り出してパン32に落下させるために、該フォームロー
ル33に圧接する金属製又はプラスチック製の圧接ロー
ル34を設置するのが好ましい。
【0079】かくして、ロールコーター8においては、
洗浄用ロール14によって転写ロール12の版材21の
凹部23に付着ないしは堆積している塗料が効果的に除
去(回収)されるので、基材B上の意匠部以外の部分に
塗料が転写されるなどといった問題が生じない。また、
転写ロール12の円周面上で塗料が固化して該円周面の
硬度が高くなったり、あるいは該円周面の凹部23が目
詰まりを起こすなどといった不具合が生じない。このた
め、意匠性の高い高精細な塗膜42を、安価でかつ容易
に基材Bに塗装することができる。つまり、高精細な意
匠を基材Bに形成することができ、また工程を一時的に
停止させて転写ロール12を洗浄する必要がなくなり、
生産効率が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる塗装システムの模式図であ
る。
【図2】 (a)は誤差拡散ディザ法による階調再現特
性を模式的に示す、ディスプレイ上に表示された中間調
画像の写真であり、(b)は濃度パターン法による階調
再現特性を模式的に示す、ディスプレイ上に表示された
中間調画像の写真であり、(c)は網点法による階調再
現特性を模式的に示す、ディスプレイ上に表示された中
間調画像の写真である。
【図3】 (a)、(b)は、それぞれ、階調再現に用
いられる濃淡原画像を示す、ディスプレイ上に表示され
た中間調画像の写真である。
【図4】 (a)、(b)は、それぞれ、図3(a)、
(b)に示す濃淡原画像から誤差拡散ディザ法により階
調再現されてディスプレイ上に表示された中間調画像の
写真である。
【図5】 (a)、(b)は、それぞれ、図3(a)、
(b)に示す濃淡原画像から濃度パターン法により階調
再現されてディスプレイ上に表示された中間調画像の写
真である。
【図6】 (a)、(b)は、それぞれ、図3(a)、
(b)に示す濃淡原画像から網点法により階調再現され
てディスプレイ上に表示された中間調画像の写真であ
る。
【図7】 (a)は塗装におけるトーンカーブの一例を
示す図であり、(b)は該トーンカーブを補正するため
の濃度補正関数(トーンカーブ補正パターン)の一例を
示す図である。
【図8】 濃度補正関数の設定に用いられる濃淡原画像
(オリジナル画像)及びそのトーンカーブを示す、ディ
スプレイ上に表示された中間調画像の写真である。
【図9】 オフセット印刷における印刷画像及びそのト
ーンカーブを示す、ディスプレイ上に表示された中間調
画像の写真である。
【図10】 フレキソ印刷における印刷画像及びそのト
ーンカーブを示す、ディスプレイ上に表示された中間調
画像の写真である。
【図11】 補正処理を行わない場合における、本発明
にかかる塗装システムの塗装画像及びそのトーンカーブ
を示す、ディスプレイ上に表示された中間調画像の写真
である。
【図12】 濃度補正関数1及び該濃度補正関数1を用
いて作成された階調再現画像の、ディスプレイ上に表示
された中間調画像の写真である。
【図13】 図12に示す階調再現画像を用いた場合に
おける、本発明にかかる塗装システムの塗装画像及びそ
のトーンカーブを示す、ディスプレイ上に表示された中
間調画像の写真である。
【図14】 濃度補正関数2及び該濃度補正関数2を用
いて作成された階調再現画像の、ディスプレイ上に表示
された中間調画像の写真である。
【図15】 図14に示す階調再現画像を用いた場合に
おける、本発明にかかる塗装システムの塗装画像及びそ
のトーンカーブを示す、ディスプレイ上に表示された中
間調画像の写真である。
【図16】 濃度補正関数3及び該濃度補正関数3を用
いて作成された階調再現画像の、ディスプレイ上に表示
された中間調画像の写真である。
【図17】 図16に示す階調再現画像を用いた場合に
おける、本発明にかかる塗装システムの塗装画像及びそ
のトーンカーブを示す、ディスプレイ上に表示された中
間調画像の写真である。
【図18】 本発明にかかる塗装システムで用いられる
ロールコーターの立面断面構造を模式的に示す概略図で
ある。
【図19】 図18に示すロールコーターの変形例の立
面断面構造を模式的に示す概略図である。
【図20】 図18又は図19に示すロールコーターで
用いられるメッシュロールの外観斜視図である。
【図21】 (a)は図18又は図19に示すロールコ
ーターで用いられる転写ロールの一部が破断された外観
斜視図であり、(b)及び(c)はそれぞれ転写ロール
の変形例を示す一部が破断された外観斜視図である。
【図22】 レンガを積み重ねたような外観を呈する塗
装が施された窯業関連の建設材料の斜視図である。
【図23】 窯業、金属サイジング関連の基材の塗装工
程を示すフローチャートである。
【図24】 (a)〜(c)は、それぞれ、図21
(a)〜(c)に示す転写ロールにスリーブを設けた場
合の断面図である。
【符号の説明】
B…基材、1…画像データベース、2…フィルム原稿作
成装置、3…ディスク、4…イメージコントローラ、5
…自動現像機、6…製版装置、7…フィルム、8…ロー
ルコーター、11…メッシュロール、12…転写ロー
ル、12’…転写ロール(変形例)、12”…転写ロー
ル(変形例)、13…クリーニングロール、14…洗浄
用ロール、14’…洗浄用ロール(変形例)、15…回
転軸、16…溝部、17…ドクターブレード、18…塗
料容器(パン)、19…シャフト、20…軸体、21…
版材、22…凸部、23…凹部、24…発泡体層、25
…スポンジロール、26…凸部、27…凹部、28…ド
クターブレード、29…塗料受け(パン)、30…円柱
体、31…ブラシ、32…パン、33…フォームロー
ル、34…圧接ロール、35…ベース材、36…レンガ
部、37…目地部、38…意匠部、40…第1塗膜、4
1…第2塗膜、42…第3塗膜、50…スリーブ。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 濃淡による中間調で表現された意匠性を
    有する濃淡原画像の画像信号を2値化処理して、中間調
    を有する階調再現画像の2値化画像信号を生成する階調
    再現装置と、 上記階調再現装置による2値化処理が施される前又は後
    の画像信号に対して、所定の補正特性でもってドットゲ
    インが減少する方向に階調調子補正を施す階調調子補正
    装置と、 上記2値化画像信号に基づいて第2原図を作成する第2
    原図作成装置と、 上記第2原図作成装置によって作成された第2原図を用
    いて、転写ロールの表面に、上記第2原図に対応する凹
    凸形状を形成する製版装置と、 周面に複数の溝部がメッシュ状に形成され、塗料供給源
    から供給される塗料を上記溝部により上記周面に所定の
    膜厚で保持するメッシュロールを備える一方上記転写ロ
    ールを装着し、該転写ロールを上記メッシュロールと接
    触させて該メッシュロールの周面に保持された塗料を上
    記転写ロールの円周面に付着させ、該円周面に付着して
    いる塗料を、濃淡原画像に対応する意匠性を有する塗膜
    として基材に転写するロールコーターとが設けられてい
    ることを特徴とする階調再現式塗装システム。
  2. 【請求項2】 上記階調調子補正装置が、2値化処理前
    の画像信号に対して階調調子補正を施すようになってい
    ることを特徴とする、請求項1に記載された階調再現式
    塗装システム。
  3. 【請求項3】 上記階調調子補正装置が、各画素につい
    て、入力濃度と出力濃度との関係を規定する所定の濃度
    補正関数を用いて濃度値を変換することにより2値化画
    像信号の階調調子を補正するようになっていることを特
    徴とする、請求項1又は2に記載された階調再現式塗装
    システム。
  4. 【請求項4】 上記階調調子補正装置が、各画素につい
    て、入力濃度をガンマ変換することにより2値化画像信
    号の階調調子を補正するようになっていることを特徴と
    する、請求項1又は2に記載された階調再現式塗装シス
    テム。
  5. 【請求項5】 上記階調調子補正装置が、濃度ヒストグ
    ラムが所定のパターンに一致するように2値化画像信号
    の階調調子を補正するようになっていることを特徴とす
    る、請求項1又は2に記載された階調再現式塗装システ
    ム。
  6. 【請求項6】 上記ロールコーターに、 その外周面が上記転写ロールの円周面に圧接するように
    配置され、転写位置通過後において上記転写ロールの円
    周面に残留している塗料を回収して該円周面のクリーニ
    ングを行うクリーニングロールが設けられていることを
    特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載された
    階調再現式塗装システム。
  7. 【請求項7】 上記ロールコーターに、 上記転写ロールの円周面に接触し、該転写ロールの円周
    面の凹部に付着している塗料をクリーニングする洗浄用
    ロールが設けられていることを特徴とする、請求項6に
    記載された階調再現式塗装システム。
  8. 【請求項8】 上記転写ロールが、略円柱形の硬い軸体
    と、該軸体の外周面上に装着されその外側表面に上記凹
    凸形状が形成された略円筒形の版構成体とで構成されて
    いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに
    記載された階調再現式塗装システム。
  9. 【請求項9】 上記版構成体が、その外側表面に上記凹
    凸形状が形成されたゴム製の版材であることを特徴とす
    る、請求項8に記載された階調再現式塗装システム。
  10. 【請求項10】 上記版構成体が、その外側表面に上記
    凹凸形状が形成されたゴム製の版材と、該版材の内側に
    配置された弾性体層とで構成されていることを特徴とす
    る、請求項8に記載された階調再現式塗装システム。
  11. 【請求項11】 上記版構成体が、その外側表面に上記
    凹凸形状が形成されたスポンジ層であることを特徴とす
    る、請求項8に記載された階調再現式塗装システム。
  12. 【請求項12】 上記転写ロールが、スポンジ製の円柱
    体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1
    つに記載された階調再現式塗装システム。
  13. 【請求項13】 上記軸体と上記版構成体との間に円筒
    形のスリーブが介設されていることを特徴とする、請求
    項8〜12のいずれか1つに記載された階調再現式塗装
    システム。
  14. 【請求項14】 上記軸体と嵌合することができるスリ
    ーブが設けられ、該スリーブの外周面上に上記版構成体
    が装着されていることを特徴とする、請求項8〜12の
    いずれか1つに記載された階調再現式塗装システム。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1つに記載
    された階調再現式塗装システムを用いて、乾燥膜厚が1
    0μm以上の意匠性のある塗膜を基材に塗装することを
    特徴とする塗装方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜14のいずれか1つに記載
    された階調再現式塗装システムを用いて、基材上に塗膜
    が塗装された、乾燥膜厚が10μm以上の被塗物。
JP18623798A 1997-07-01 1998-07-01 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物 Pending JPH1170350A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18623798A JPH1170350A (ja) 1997-07-01 1998-07-01 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-175618 1997-07-01
JP17561897 1997-07-01
JP18623798A JPH1170350A (ja) 1997-07-01 1998-07-01 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1170350A true JPH1170350A (ja) 1999-03-16

Family

ID=26496831

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18623798A Pending JPH1170350A (ja) 1997-07-01 1998-07-01 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1170350A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011081203A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Toppan Printing Co Ltd 照合素子、粘着ラベル、転写箔及びラベル付き物品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011081203A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Toppan Printing Co Ltd 照合素子、粘着ラベル、転写箔及びラベル付き物品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6731405B2 (en) Printing plates containing ink cells in both solid and halftone areas
JP4271754B2 (ja) フレキソ印刷版の衝撃を緩和する要素
US5778793A (en) Shaded logos for golf balls
US7580154B2 (en) Printing plates containing ink cells in both solid and halftone areas
TWI477928B (zh) 改善柔性印刷元件印刷性能之方法
CN103052511A (zh) 柔性版印刷部件
CA2370575A1 (en) Flexographic printing plate having improved solids rendition
JP5225237B2 (ja) 樹脂凸版印刷版およびその製造方法
JP5150899B2 (ja) 印刷用版材及びその製版方法
JPH1170350A (ja) 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物
JPH1120123A (ja) フレキソ印刷方法
JPH1119557A (ja) 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物
JPH1119558A (ja) 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物
JPH09202979A (ja) 金型のシボ加工方法
JPH1119559A (ja) 階調再現式塗装システム並びに該システムを用いた塗装方法及び被塗物
CN103391846B (zh) 制备柔性版部件的方法
JP2003211898A (ja) 画像彫刻方法
JP3281571B2 (ja) ゴム転写ロールを有するロールコーター及びこれを用いた塗装方法
JPH1125137A (ja) 塗装板見本作成装置及び塗装板見本作成方法並びに塗装板見本及び該塗装板見本に基づいて製作された見本塗装板及び意匠塗装板
JP2001079479A (ja) 化粧板の製造方法
US1980069A (en) Process and plate for color printing
JPH0410936A (ja) 凹版インキング法
KR100364642B1 (ko) 스크린 인쇄를 이용한 나무무늬 인쇄방법
JPH1148697A (ja) エンボス化粧材
JPH1067088A (ja) 印刷版及びそれを使用した印刷方法