JPH116542A - 免震支承構造体 - Google Patents

免震支承構造体

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JPH116542A
JPH116542A JP16142597A JP16142597A JPH116542A JP H116542 A JPH116542 A JP H116542A JP 16142597 A JP16142597 A JP 16142597A JP 16142597 A JP16142597 A JP 16142597A JP H116542 A JPH116542 A JP H116542A
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JP
Japan
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soft
seismic isolation
soft layer
bearing structure
isolation bearing
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JP16142597A
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English (en)
Inventor
Seiji Hara
誠治 原
Fumio Sekido
文雄 関堂
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然ゴム製の軟質層を有するものと同程度の
特性を有する上、たとえば巨大地震の発生などによって
軟質層が大きく変形した際にもせん断破壊するおそれの
ない、新規な免震支承構造体提供する。 【解決手段】 軟質層2の、式(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端−下端間の水平方向
の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
って求められる、水平方向への伸びDが300%のとき
の応力S300 と、200%のときの応力S200 との比S
300 /S200 を2.2以下とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばビルや橋
梁などの建造物の基礎部分に設けられる、免震支承構造
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビルや橋梁などの建造物の、地震による
破壊を防止すべく、その基礎部分に、横方向に柔らかい
免震支承構造体を挿入することが検討され、実用化され
つつある。上記の免震支承構造体としては種々の構造の
ものが提案されており、その中の1つに、加硫ゴムなど
のゴム状弾性を有する材料からなる軟質層と、鋼板など
の剛性を有する材料からなる拘束層とをそれぞれ複数層
ずつ交互に積層し、かつこの積層体の上下に、基礎およ
び建造物への連結フランジを配した積層構造のものがあ
る。
【0003】上記の、積層構造の免震支承構造体におい
て軟質層に要求される最も重要な特性は、地震発生時に
大変形して、地震の巨大なエネルギーが直接、建造物に
伝わるのを抑制する特性(免震特性)と、この大変形時
にその変形のエネルギーを吸収して、建造物の振動を減
衰する特性(ダンピング特性)である。また軟質層は、
外力に対する高い耐性(耐破壊特性)を有している必要
もある。
【0004】つまり免震支承構造体には、平常時でも常
に、建造物から巨大な圧縮荷重が加えられており、軟質
層は、この圧縮荷重によって外周部が外方へ膨張して、
その表面に大きな引張応力が加わった状態となっている
ため、この引張応力によって裂けたりしないことが求め
られる。また、地震発生による大変形時には、軟質層
に、局部的にではあるが大きなせん断変形が加えられる
おそれがあるため、この変形によって破壊されないこと
も求められる。
【0005】上記の各特性を満足する軟質層を得るため
に従来、材料強度および伸びの点ですぐれた特性を示す
天然ゴムを中心とした、各種のベースポリマーが検討さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、とくに天然
ゴムのみをベースポリマーとする加硫ゴム製の軟質層を
有する免震支承構造体は、天然ゴムが、上記のように材
料強度の点ですぐれているにもかかわらず、たとえば巨
大地震の発生により、せん断変位が300%を超えるよ
うな大きな変形が発生した際にせん断破壊するおそれの
あることが、発明者らの検討によって明らかとなった。
【0007】すなわち上記の軟質層は、変形時の歪み量
と応力との関係を示す歪み−応力特性の非線形性が強
く、とくに高歪み領域では、応力が急激に上昇する傾向
を示す、いわゆるハードニング現象を生じる。このた
め、上記のように大きく変形した際に、その応力が、軟
質層と拘束層との間、および軟質層と連結フランジとの
間の接着力を超えて軟質層がはく離破断し、免震支承構
造体がせん断破壊するのである。
【0008】本発明の目的は、天然ゴム製の軟質層を有
するものと同程度の免震特性、ダンピング特性および耐
破壊特性を有する上、たとえば巨大地震の発生などによ
って軟質層が大きく変形した際にもせん断破壊するおそ
れのない、新規な免震支承構造体を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らは、ハードニング現象の発生を抑制するた
めの、軟質層のパラメータについて種々検討した。その
結果軟質層の、下記式(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端−下端間の水平方向
の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
って求められる、水平方向への伸びDが300%のとき
の応力S300 と、上記伸びDが200%のときの応力S
200 との比S300 /S200 を所定の範囲以下に規定すれ
ばよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明の免震支承構造体は、ゴム
状弾性を有する軟質層と、剛性を有する拘束層とを複数
層ずつ交互に積層したものであって、上記軟質層の、上
記式(1) によって求められる、水平方向への伸びDが3
00%のときの応力S300 と、上記伸びDが200%の
ときの応力S200 との比S300 /S200 が2.2以下で
あることを特徴としている。
【0011】比S300 /S200 が上記の範囲を超えた場
合には、ハードニング現象が発生して、たとえば巨大地
震の発生などによって軟質層が大きく変形した際に、免
震支承構造体がせん断破壊してしまう。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の免震支承構造体
を、その実施の形態の一例を示す図1を参照しつつ説明
する。図1にみるように、この例の免震支承構造体M
は、円板状の2枚の連結フランジ1、1と、両連結フラ
ンジ1、1間に交互に積層された、同じく円板状の、複
数層ずつの軟質層2…および拘束層3…と、上記各層の
外周を被覆する被覆層4とを備えている。また免震支承
構造体Mの中心部には、上記連結フランジ1、1、軟質
層2…および拘束層3…の各層を貫通して、通孔M1が
形成されている。
【0013】上記のうち連結フランジ1および拘束層3
は、それぞれ従来同様に、鋼板などの剛性を有する材料
にて形成されており、このうち上側の連結フランジ1の
上面、および下側の連結フランジ1の下面には、それぞ
れ免震支承構造体Mを基礎および建造物と連結するため
のボルト(図示せず)が螺着される複数個のねじ穴12
…が形成されている。
【0014】本発明においては、上記軟質層2…の、式
(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端−下端間の水平方向
の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
って求められる、水平方向への伸びDが300%のとき
の応力S300 と、上記伸びDが200%のときの応力S
200 との比S300 /S200 が2.2以下に限定される。
この理由は前記のとおりである。
【0015】かかる軟質層2…を構成するベースポリマ
ーとしては種々のものが考えられるが、従来の天然ゴム
と同じイソプレンの重合体であって、しかもそのシス−
1,4結合の含有率が91.5〜93%の範囲内である
ポリイソプレンを使用するのが好ましい。その理由は以
下のとおりである。すなわち、発明者らの検討による
と、天然ゴムのみをベースポリマーとする軟質層が、前
述したようなハードニング現象と、それにともなうせん
断破壊とを生じるのは、上記の軟質層が変形により伸長
した際に、当該軟質層中で、複数のゴム分子が配向す
る、いわゆる伸長結晶化を生じるのが原因であり、この
伸長結晶化が発生するのは、天然ゴムが、シス−1,4
結合の含有率98%以上という、結晶性の高いポリイソ
プレンであることが原因である。
【0016】そこで、ポリイソプレンにおけるシス−
1,4結合の含有率を下げて、その結晶性を低下させる
ことにより、伸長結晶化によるハードニング現象の発生
を抑制することが考えられるが、シス−1,4結合の含
有率を下げすぎると、ポリイソプレンの材料強度や伸び
が低下して、軟質層に要求される他の特性(前述した免
震特性、ダンピング特性および耐破壊特性)が不十分と
なるおそれがある。
【0017】これに対し、シス−1,4結合の含有率
を、前記のように91.5〜93%の範囲内とした場合
には、天然ゴムと同レベルの材料強度や伸びを維持しつ
つ、なおかつ伸長結晶化によるハードニング現象の発生
を抑制することが可能となる。かかるポリイソプレンと
しては、シス−1,4結合の含有率を上記の範囲内に調
整したいわゆる低シス・ポリイソプレン〔たとえばシェ
ル化学(株)製の商品名カリフレックスIR309(シ
ス−1,4結合の含有率91.5%)、同IR310
(シス−1,4結合の含有率91.5%)、同IR30
5(シス−1,4結合の含有率92%)、同IR307
(シス−1,4結合の含有率92%)、同IR500
(シス−1,4結合の含有率92%)〕などがあげられ
る。
【0018】また、各種のポリイソプレンをブレンドし
て、シス−1,4結合の含有率を上記の範囲内としたも
のをベースポリマーとして使用してもよい。ブレンドす
る各種のポリイソプレンとしては、たとえば下記のもの
があげられる。 〈合成物〉 (i) 上述した低シス・ポリイソプレン (ii)シス−1,4結合の含有率が95%以上である高シ
ス・ポリイソプレン (iii) 特公平6−45726号公報、特公平7−103
264号公報、特開平5−59219号公報、特開平5
−59220号公報などに開示された、1,2結合や
3,4結合の含有率が高いために、相対的にシス−1,
4結合の含有率が低シス・ポリイソプレンよりもさらに
低いポリイソプレン 〈天然物〉 (iv)各種グレードの天然ゴム (v) グッタペルカ、およびバラタの主成分であるグッタ
(トランス−1,4ポリイソプレン) 上記のベースポリマーには、従来同様に加硫剤、加硫促
進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、老化防止剤、補強
剤、充てん剤、軟化剤、可塑剤、粘着性付与剤、潤滑
剤、シラン化合物その他各種添加剤を、必要に応じて添
加してもよい。
【0019】上記のうち加硫剤としては、たとえば硫
黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物などがあげられ、
このうち有機含硫黄化合物としては、たとえばN,N′
−ジチオビスモルホリンなどがあげられ、有機過酸化物
としては、たとえばベンゾイルペルオキシド、ジクミル
ペルオキシドなどがあげられる。また加硫促進剤として
は有機促進剤、たとえばテトラメチルチウラムジスルフ
ィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチ
ルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系加硫促進
剤;ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオ
カーバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカーバミン酸ナトリ
ウム、ジエチルジチオカーバミン酸テルルなどのジチオ
カーバミン酸類;2−メルカプトベンゾチアゾール、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンア
ミド、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール
類;トリメチルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素
などのチオウレア類や、あるいは無機促進剤、たとえば
消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(P
bO)などがあげられる。
【0020】加硫促進助剤としては、たとえば亜鉛華な
どの金属酸化物や、あるいはステアリン酸、オレイン
酸、綿実脂肪酸などの脂肪酸があげられる。加硫遅延剤
としては、たとえばサリチル酸、無水フタル酸、安息香
酸などの芳香族有機酸;N−ニトロソジフェニルアミ
ン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−
ジハイドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチ
ルアミンなどのニトロソ化合物などがあげられる。
【0021】上記加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤お
よび加硫遅延剤は、その合計の配合量が、ベースポリマ
ー100重量部に対して4〜15重量部程度であるのが
好ましい。老化防止剤としては、たとえば2−メルカプ
トベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類;フェニル
−α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−
p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプ
ロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類;ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールな
どノフェノール類があげられる。
【0022】老化防止剤の配合量は、ベースポリマー1
00重量部に対して1〜10重量部程度が好ましい。補
強剤としては主にカーボンブラックが使用される他、シ
リカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛
華、表面処理沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、タルク、クレーなどの無機補強剤や、あるいはクマ
ロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂
(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジエン共重合
体)などの有機補強剤も使用できる。
【0023】また充てん剤としては、たとえば炭酸カル
シウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土などがあげられ
る。上記補強剤および/または充てん剤の配合量は、ベ
ースポリマー100重量部に対して5〜150重量部程
度が好ましい。軟化剤としては、たとえば脂肪酸(ステ
アリン酸、ラウリン酸など)、綿実油、トール油、アス
ファルト物質、パラフィンワックスなどの、植物油系、
鉱物油系、および合成系の各種オイルがあげられる。
【0024】軟化剤の配合量は、ベースポリマー100
重量部に対して10〜100重量部程度が好ましい。可
塑剤としては、たとえばジブチルフタレート、ジオクチ
ルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどの各種
可塑剤があげられる。可塑剤の配合量は、ベースポリマ
ー100重量部に対して5〜20重量部程度が好まし
い。
【0025】粘着性付与剤としては、たとえばクマロン
・インデン樹脂、芳香族系樹脂、芳香族・脂肪族混合系
樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などが
あげられる。これら粘着性付与剤の配合量は、ベースポ
リマー100重量部に対して5〜50重量部程度が好ま
しい。
【0026】さらに潤滑剤としては、ポリエチレングリ
コール、ジエチレングリコールなどの各種潤滑剤があげ
られる。またシラン化合物としては、各種のシリル化剤
やシランカップリング剤などがあげられる。これら潤滑
剤およびシラン化合物は、その合計の配合量が、ベース
ポリマー100重量部に対して1〜40重量部程度であ
るのが好ましい。
【0027】上記以外にもベースポリマーには、たとえ
ば分散剤、溶剤などを適宜、配合してもよい。被覆層4
は、前記のように建造物の基礎部分に設けられて、長期
間にわたって使用される免震支承構造体の耐候性を向上
し、とくに軟質層2が、酸化劣化やオゾン劣化等を生じ
ないようにするためのもので、軟質層2と同じベースポ
リマーにて形成してもよいが、とくに耐候性にすぐれた
ベースポリマーにより形成するのが好ましい。
【0028】被覆層4を形成する耐候性にすぐれたベー
スポリマーとしては、これに限定されないがたとえば、
パラメチルスチレン−イソブチレン共重合体の臭素化
物、IIR、EPM等があげられる。被覆層4は、上記
ベースポリマーに、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助
剤、加硫遅延剤、補強剤、充てん剤、軟化剤、可塑剤そ
の他、各種添加剤を添加したゴム組成物により形成され
る。
【0029】本発明の免震支承構造体Mを製造するに
は、まず前述した各成分を、たとえば密閉式混練機等を
用いて混練して製造した軟質層2用の未加硫のゴム組成
物を、ローラーヘッド押出機等を用いてシート状に成形
し、ついで円板状に打ち抜いた後、打ち抜いたシートを
複数枚、連結フランジ1、1、および複数枚の拘束層3
…とともに、図1に示す順序で積層して円柱状の積層体
とする。
【0030】つぎにこの円柱状の積層体の周囲に、上述
した被覆層4用の未加硫のゴム組成物のシートを巻きつ
ける。なおこの際、連結フランジ1、1、軟質層2…用
のシート、および拘束層3…の各層間と、上記の各層と
被覆層4用のシートとの間にはそれぞれ、加硫接着剤を
介在させてもよい。
【0031】そして上記の組み立てたものを所定の温
度、圧力で加熱、加圧してやると、未加硫のシートが加
硫されて軟質層2…と被覆層4とが形成されるととも
に、当該軟質層2…および被覆層4と、連結フランジ
1、1と、拘束層3…とが互いに加硫接着されて、図1
に示す免震支承構造体Mが得られる。かかる免震支承構
造体Mは、前記のように軟質層2…が、シス−1,4結
合の含有率91.5〜93%のポリイソプレンをベース
ポリマーとする、結晶性の低い、したがって伸長結晶化
を生じにくい加硫ゴムにて形成されているため、天然ゴ
ム製の軟質層に比べて、とくに高歪み領域において、応
力の上昇の度合いが低い。すなわち、下記式(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端と下端との水平方向
の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
って求められる、軟質層の、水平方向への伸びDが30
0%のときの応力S 300 と、上記伸びDが200%のと
きの応力S200 との比S300 /S200 で表される、高歪
み領域における応力の上昇の度合いが2.2以下の範囲
となって、いわゆるハードニング現象の発生が抑制され
る。
【0032】なお上記免震支承構造体Mの中心部に形成
された通孔M1は、主として、上記加硫の際に、2枚の
連結フランジ1、1と、軟質層2…となるシートと、拘
束層3…とを位置決めするためのものであり、製造方法
によっては省略することもできる。また図1の免震支承
構造体Mは、連結フランジ1、1、軟質層2…、および
拘束層3…の外径が全て同じで、この全ての部材の外周
を、被覆層4によって被覆していたが、軟質層2…、拘
束層3…の外径を、連結フランジ1、1の外径よりも小
さくして、当該連結フランジ1、1間で、軟質層2…、
拘束層3…の外周のみを、被覆層4で被覆してもよい。
【0033】あるいはまた、上記被覆層4は省略しても
よい。その他、本発明の要旨を変更しない範囲で、種々
の設計変更を施すことができる。
【0034】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。 実施例1 〈ゴム組成物の作製〉低シス・ポリイソプレン〔前出の
シェル化学(株)製のカリフレックスIR309(シス
−1,4結合の含有率91.5%)〕をベースポリマー
とし、このベースポリマー100重量部を、下記の各成
分とともに密閉式混練機で混練してゴム組成物を作製し
た。
【0035】 (成 分) (重量部) ・補強剤 カーボンブラックGPF 35 〔三菱化学(株)製のダイヤブラックG〕 ・軟化剤 アロマオイル 5 〔出光興産(株)製のダイアナAH40〕 ・老化防止剤 アンチゲンFR 2.0 〔住友化学(株)製〕 サントフレックス13 2.0 〔フレキシス社製〕 ・加硫促進助剤 亜鉛華1号 4.0 ステアリン酸〔日本油脂(株)製の桐〕1.0 ・加硫剤 不溶性硫黄 1.2 〔四国化成(株)製のミュークロンOT−F〕 ・加硫促進剤 N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド 1.0 〔大内新興化学(株)製のノクセラーNS〕 テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド 1.0 〔大内新興化学(株)製のノクセラーTOT−n〕 〈免震支承構造体の製造〉上記ゴム組成物をローラーヘ
ッド押出機により、幅300mm、厚み2.2mmのシ
ート状に成形したのち、外径220mmでかつその中心
部に内径70mmの通孔を有する円板状に打ち抜いた。
【0036】つぎに上記円板状のシート25枚を、外径
240mmでかつその中心部に内径51mmの通孔を有
する、厚み1.0mmの円板状の拘束鋼板(拘束層)2
4枚と、加硫ゴム接着剤を介して交互に積層し、かつそ
の上下に、同じく外径240mmでかつその中心部に内
径51mmの通孔を有する、厚み19.0mmの円板状
の連結鋼板(連結フランジ)2枚を、加硫ゴム接着剤を
介して重ね合わせた状態で、油圧プレスで圧着した。
【0037】つぎに、上記積層体の周囲に、パラメチル
スチレン−イソブチレン共重合体の臭素化物〔エクソン
化学(株)製のEXXPRO EMDX 89−4〕か
らなる厚み3.0mmのシートを巻きつけた状態で、専
用の金型に仕込み、油圧プレスで加圧しつつ加熱して加
硫させた。加硫条件は、加硫圧200kgf/cm
2で、加硫温度×時間を120℃×10分間→130℃
×10分間→140℃×10分間→150℃×80分間
とした。
【0038】そして加硫後に金型から取り出して、図1
に示す形状を有し、全体の厚みが107.0mm、通孔
M1の内径が50mm、2枚の連結フランジ1、1間の
距離が69mm、軟質層2の1層の厚みが1.8mmで
ある免震支承構造体のモデルを製造した。 実施例2 低シス・ポリイソプレン〔前出のシェル化学(株)製の
カリフレックスIR305(シス−1,4結合の含有率
92%)〕100重量部をベースポリマーとしたこと以
外は実施例1と同様にして、同寸法の免震支承構造体の
モデルを製造した。
【0039】比較例1 低シス・ポリイソプレン〔前出のシェル化学(株)製の
カリフレックスIR309(シス−1,4結合の含有率
91.5%)〕35重量部と、天然ゴム〔SMR CV
60(シス−1,4結合の含有率100%)〕65重量
部とをベースポリマーとしたこと以外は実施例1と同様
にして、同寸法の免震支承構造体のモデルを製造した。
上記ベースポリマーの、シス−1,4結合の含有率を計
算したところ、97.0%であった。
【0040】比較例2 天然ゴム〔SMR CV60(シス−1,4結合の含有
率100%)〕100重量部をベースポリマーとしたこ
と以外は実施例1と同様にして、同寸法の免震支承構造
体のモデルを製造した。 比較例3 高シス・ポリイソプレン〔日本ゼオン(株)製のNIP
OL IR2200(シス−1,4結合の含有率98.
0%)〕100重量部をベースポリマーとしたこと以外
は実施例1と同様にして、同寸法の免震支承構造体のモ
デルを製造した。
【0041】上記実施例、比較例で製造した免震支承構
造体のモデル、および実施例、比較例で使用した軟質層
用のゴム組成物について、以下の各試験を行って、その
特性を評価した。 免震支承構造体のせん断変形試験 実施例、比較例で製造した免震支承構造体Mのモデル
の、上下の連結フランジ1、1間に、雰囲気温度20℃
の条件下で、50tonクリープ試験機〔近江度量
(株)製〕を用いて、図2に黒矢印で示すように鉛直方
向の荷重〔120kgf/cm2 〕をかけつつ、上側の
連結フランジ1を、図中白矢印で示すように水平方向
に、変位速度20mm/分で変位させて、軟質層をせん
断変形させた。
【0042】そして、下記式(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端と下端との水平方向
の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
って求められる、軟質層の、水平方向への伸びDが20
0%のときの応力S 200 〔kgf/cm2 〕と、上記伸
びDが300%のときの応力S300 〔kgf/cm2
とを測定し、最後に軟質層にはく離破断が発生した時点
での破断時応力SB 〔kgf/cm2 〕と、そのときの
伸びDB (破断時伸び、%)とを測定した。また、上記
応力S300 とS200 との比S300 /S200 を求めた。
【0043】加硫ゴムの引張試験 実施例、比較例で使用したゴム組成物を厚み2mmのシ
ート状に押出成形し、プレス加硫して、2mm厚の加硫
シートを作製した。そして上記の加硫シートを打ち抜い
て、JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」に規
定されたダンベル状1号形の試験片を作製し、この試験
片を、引張速度500mm/分、雰囲気温度20℃の条
件下、万能型引張試験機を用いて引張試験した。
【0044】そして試験片の、100%伸長時の応力S
* 100 〔kgf/cm2 〕、500%伸長時の応力S*
500 〔kgf/cm2 〕、および破断時応力S* B 〔k
gf/cm2 〕と、破断時の伸び D* B (%)とを測
定した。また、上記S* 500とS* 100 との比S* 500
/S* 100 を求めた。以上の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1より、シス−1,4結合の含有率が9
3%以下のポリイソプレンをベースポリマーとする加硫
ゴムにて軟質層を形成すると、伸長結晶化によるハード
ニング現象の発生を抑制して、軟質層が大きく変形した
際に、免震支承構造体がせん断破壊するのを防止できる
ことが確認された。
【0047】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
天然ゴム製の軟質層を有するものと同程度の免震特性、
ダンピング特性および耐破壊特性を有する上、たとえば
巨大地震の発生などによって軟質層が大きく変形した際
にもせん断破壊するおそれのない、新規な免震支承構造
体が得られるという、特有の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震支承構造体の、実施の形態の一例
を示す部分切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の実施例、比較例で作製した免震支承構
造体のモデルに対して行ったせん断変形試験の方法を説
明する図である。
【符号の説明】
M 免震支承構造体 2 軟質層 3 拘束層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム状弾性を有する軟質層と、剛性を有す
    る拘束層とを複数層ずつ交互に積層した免震支承構造体
    であって、上記軟質層の、下記式(1) : D(%)=d/t×100 (1) 〔式中dは、免震支承構造体の上端−下端間の水平方向
    の変位量(mm)、tは軟質層の総厚み(mm)〕によ
    って求められる、水平方向への伸びDが300%のとき
    の応力S300 と、上記伸びDが200%のときの応力S
    200 との比S300 /S200 が2.2以下であることを特
    徴とする免震支承構造体。
  2. 【請求項2】軟質層が、シス−1,4結合の含有率9
    1.5〜93%のポリイソプレンをベースポリマーとす
    る加硫ゴムにて形成されている請求項1記載の免震支承
    構造体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009269967A (ja) * 2008-05-02 2009-11-19 Bridgestone Corp 免震構造体用ゴム組成物

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