JPH1160581A - 金超微粒子反応試剤 - Google Patents

金超微粒子反応試剤

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JPH1160581A
JPH1160581A JP9224956A JP22495697A JPH1160581A JP H1160581 A JPH1160581 A JP H1160581A JP 9224956 A JP9224956 A JP 9224956A JP 22495697 A JP22495697 A JP 22495697A JP H1160581 A JPH1160581 A JP H1160581A
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JP
Japan
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solution
thiol compound
gold particles
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Application number
JP9224956A
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English (en)
Inventor
Koichi Mizuma
浩一 水間
Takashi Kawaseki
孝志 河関
Toyoji Hayashi
豊治 林
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 アミノ基を有するチオール化合物、水酸
基を有するチオール化合物またはカルボキシル基を有す
るチオール化合物で修飾された金超微粒子。 これらの
金超微粒子が、さらにチオ−ル化合物で修飾された金超
微粒子。 【効果】 金超微粒子が安定に存在し、かつ重縮合反応
や重付加反応に利用可能な反応試剤としての金超微粒子
材料を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号灯等に利用さ
れる光波長カットフィルターなどの光学材料、導電体や
抵抗体等に利用される電子材料、加圧により電気抵抗値
の変化を感知できる感圧材料、磁気記録等に利用される
磁性材料、位相共役波発生や光双安定現象などを利用す
る非線形光電子材料、触媒反応性材料や無機材料原料な
どに用いられる金超微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超微粒子とは粒子径が1〜100nmの
粒子をいう。このような小粒子径の超微粒子において
は、通常の機械的な粉砕などによって製造される粒子径
がマイクロメートル以上の粉体と比べて、さまざまな光
学的、磁気的及び電気的性質やその化学的反応性に際だ
った差異が見られ、導電性材料などの電子デバイスや非
線形光学材料などの光電子デバイスとしての利用が注目
されている。
【0003】金超微粒子の製造方法としては、古くから
様々な方法が提案されている。加熱還元による合成を一
例挙げてみると、メタノール中で水酸化ナトリウム共存
のもと、塩化金酸を加熱還元して金超微粒子コロイド溶
液を合成するという方法がある(表面、Vol.17、
279−289(1979))。また、保護ポリマー存
在のもと金属塩を溶液中で還元する手法によりコロイド
溶液として合成されている。その一例を挙げると、塩化
金酸とポリビニルピロリドン存在下のアセトニトリル溶
液を、水素化ホウ素ナトリウムを添加することで還元
し、金超微粒子コロイド溶液を得るという方法がある
(特願平04−024927)。
【0004】ここで、ポリマー以外の保護剤を使用した
例としては、半導体超微粒子の合成例が報告されてい
る。チオフェノール化物により表面がチオフェニル基で
保護されたセレン化カドミウムの超微粒子を得るという
方法(J.Am.Chem.Soc.,Vol.11
0,3046−3050(1988))や、チオフェノ
ールにより表面がチオフェニル基で保護された硫化カド
ミウム超微粒子を得るという方法(J.Am.Che
m.Soc.,Vol.112,1322−1326
(1990))がある。これらの方法により得られた超
微粒子は、表面がチオフェニル基によって覆われた安定
化された超微粒子であり、さらにこの超微粒子を溶液中
で濃縮した場合や、粉末として取り出した場合でも、超
微粒子同士の凝集・凝結による粒子径増大が防止され、
溶媒中への再分散が可能であることなどの性質をもつ、
安定化された超微粒子が得られる。
【0005】しかし、この方法を金超微粒子の合成に適
用すると、溶液中においてはチオールは金超微粒子の原
料となる金属塩と反応してチオールの金属塩を生じ安定
化することが知れれており(化学大辞典9,P.23
7)、超微粒子化することは困難であるという技術的欠
点があり、その改良が要請されている。この問題点を解
決するために、金属塩とアミン共存の溶液を還元するこ
とにより、表面がアミンで保護された金超微粒子を形成
し、これにチオールまたはチオール溶液を添加すること
により、金超微粒子表面を保護しているアミンをチオー
ルに置換する方法(特願平09−001940)が提案
されている。
【0006】以上に述べてきたように従来の技術では、
様々な金超微粒子の合成手法が提案されているが、これ
ら保護剤は金属を超微粒子化しかつ安定化するためだけ
のものであり、金超微粒子それ自体に反応性を持たせ、
例えばヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレ
ンイソシアネート等のイソシアネート類、セバチン酸、
アジピン酸等の塩基酸類との重縮合反応や重付加反応と
いった反応に利用することは行われていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの前記問題
点を解決するために、金超微粒子が安定に存在し、かつ
加工が容易で製品形態の選択幅が広く操作性に優れた反
応性を有する金超微粒子を製造することを目的とするも
のである。さらに本発明では、重縮合反応や重付加反応
が可能な金超微粒子を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、発明が解決し
ようとする課題に記載した金超微粒子を鋭意検討した結
果、金超微粒子を合成する際に、溶媒中に金属塩とアミ
ンを溶解した溶液を還元することにより得られた溶液
に、アミノ基を有するチオール化合物、またはアミノ基
を有するチオール化合物を溶解した溶液、またはアミノ
基を有するチオール化合物及びチオール化合物、または
アミノ基を有するチオール化合物及びチオール化合物を
溶解した溶液;又は水酸基を有するチオール化合物、ま
たは水酸基を有するチオール化合物を溶解した溶液、ま
たは水酸基を有するチオール化合物及びチオール化合
物、または水酸基を有するチオール化合物及びチオール
化合物を溶解した溶液;又はカルボキシル基を有するチ
オール化合物、またはカルボキシル基を有するチオール
化合物を溶解した溶液、またはカルボキシル基を有する
チオール化合物及びチオール化合物、または、カルボキ
シル基を有するチオール化合物及びチオール化合物を溶
解した溶液を添加することにより、金超微粒子表面を保
護しているアミンを各種チオール化合物に置換すること
により表面が各種チオール化合物で修飾されることで安
定化し、さらには重縮合反応や重付加反応に用いること
が可能な金超微粒子を発明した。
【0009】すなわち、本発明は、 (1) アミノ基を有するチオール化合物、水酸基を有
するチオール化合物またはカルボキシル基を有するチオ
ール化合物で修飾された金超微粒子。 (2) 金超微粒子が、更にチオール化合物で修飾され
たものである(1)に記載の金超微粒子。 (3) アミノ基を有するチオール化合物で修飾された
(1)または(2)に記載の金超微粒子。 (4) 水酸基を有するチオール化合物で修飾された
(1)または(2)に記載の金超微粒子。 (5) カルボキシル基を有するチオール化合物で修飾
された(1)または(2)に記載の金超微粒子。 (6) 重縮合反応に使用可能な(3)、(4)または
(5)に記載の金超微粒子。 (7) 重付加反応に使用可能な(3)、(4)または
(5)に記載の金超微粒子。 (8) (3)、(4)、(5)、(6)または(7)
に記載の金超微粒子によって製造した金超微粒子架橋材
料、及びその成形体。 を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明する。本発明
における超微粒子とは、1〜100nm、好ましくは1
〜20nmの平均粒子直径のものである。この直径は、
1次粒子のそれであっても良いし、また1次粒子が凝集
して形成する2次粒子の直径であっても良い。
【0011】アミノ基を有するチオール化合物として
は、4−アミノチオフェノール、2−アミノチオフェノ
ール、2−アミノエタンチオール、6−チオグアニン、
5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオー
ル等があり、それぞれを単独で用いてもよいし、混合し
て用いてもよい。
【0012】チオール化合物としてはチオフェノール、
メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、4−メトキ
シチオフェノール、トルエンチオール等があり、それぞ
れを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0013】水酸基を有するチオール化合物としては、
p−ヒドロキシチオフェノール、2−メルカプトフェノ
ール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1
−メルカプト−2−プロパノール、2−メルカプトエタ
ノール等があり、それぞれを単独で用いてもよいし、混
合して用いてもよい。
【0014】カルボキシル基を有するチオール化合物と
しては、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト
プロピオン酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプト−
1,2,4−トリアゾール、メルカプト安息香酸、メル
カプト酢酸、メルカプト酢酸ナトリウム等があり、それ
ぞれを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0015】具体的な製造方法を以下に示す。まず始め
に、金属塩とアミンを溶媒に溶解する。溶媒としては、
製造する金超微粒子の原料として用いる金属塩と、溶液
中に共存するアミンを溶解するものであればよい。具体
的には、水または非水溶媒、好ましくは比較的極性の大
きな有機溶媒であればよく、より具体的にはアセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル、
プロピルニトリルなどのニトリル類、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブチルアルコールなどのアルコ
ール類、ジオキサンなどのエーテル類やジメチルホルム
アミド、ジエチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチ
ルスルホキシドなど、またはこれらの混合溶媒、または
これらを含有する混合溶媒であってもよい。
【0016】金属塩としては、用いる溶媒に溶解するも
のであればよく特に制限はなく、例えば、塩化金酸三水
和物、塩化金酸四水和物、塩化金酸(III)四水和物、
塩化ナトリウム金(III)二水和物、シアン化金
(I)、シアン化カリウム金(I)などが用いられる。
【0017】アミンとしては、用いる溶媒に溶解するも
のであればよく特に制限はないが、具体的には、エチル
アミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ア
ニリンなどの第一アミン類、ジメチルアミン、ジアリル
アミン、ジフェニルアミンなどの第二アミン類、トリメ
チルアミン、トリアリルアミン、トリフェニルアミンな
どの第三アミン類、エチレンジアミンなどのジアミン類
やポリアミン類、ピリジンなどの環式アミン類、または
これらのアミン類の混合物を例としてあげることができ
る。
【0018】溶媒に溶解する金属塩の濃度は、使用する
溶媒の室温での溶解度以下の重量に相当する濃度であれ
ばよく特に制限はない。溶液中のアミンの濃度は、使用
する溶媒の室温での溶解度以下の重量に相当する濃度で
あればよく特に制限はない。続いて、金属塩とアミンを
溶媒に溶解した溶液を還元する。ここで言う還元とは、
還元剤による還元を示す。
【0019】還元剤としては特に制限はないが、好まし
くはヨウ素、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、スズ等の
水素化物類または水素錯化合物類、一酸化炭素、二酸化
硫黄、亜硫酸塩等の低級酸化物類または低級酸素酸の塩
類、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミ
ニウム、亜鉛などの電気的陽性の大きい金属類またはそ
れらのアマルガム類、アルデヒド、糖、ギ酸、シュウ
酸、ヒドラジン等の有機化合物類が用いられる。
【0020】還元剤による還元を行う場合、直接溶液中
に還元剤を添加する方法、またはあらかじめ還元剤を溶
媒に溶解した溶液を添加する方法がとられることはいう
までもない。還元剤を溶媒に溶解した溶液とは、金属塩
とアミンを溶解した溶液を調製するのに使用した溶媒と
同一の溶媒を使用して、所定の濃度の還元剤を溶解した
溶液、または金属塩とアミンを溶解した溶液の調製に使
用した溶媒と異なる溶媒を使用する場合には、金属塩と
アミンを溶解した溶液の調製に使用した溶媒と相溶性が
良好である溶媒により調製した溶液のことであることは
いうまでもない。
【0021】還元剤の濃度は、直接溶液に還元剤を添加
する場合、溶液を調製するのに使用した溶媒の室温での
溶解度以下の重量に相当する濃度であればよく特に制限
はない。還元剤を溶媒に溶解した溶液を添加する場合に
は、還元剤を溶媒に溶解した溶液を調製するのに使用し
た溶媒の室温での溶解度以下の重量に相当する濃度であ
ればよく特に制限はない。還元剤を溶媒に溶解した溶液
を添加する場合には、還元剤を溶媒に溶解した溶液を調
製するのに使用した溶媒中の室温での溶解度以下の重量
に相当する濃度であればよく特に制限はない。還元する
ときの温度は、特に制限はないが、反応の相を溶液状態
に保つのに必要な温度であればよい。還元時間も、特に
制限はないが、通常0.1分〜200時間である。
【0022】続いて、還元することによって生成したア
ミンで表面を保護された金超微粒子を含む溶液に、アミ
ノ基を有するチオール化合物、またはアミノ基を有する
チオール化合物を溶解した溶液、またはアミノ基を有す
るチオール化合物及びチオール化合物、またはアミノ基
を有するチオール化合物及びチオール化合物を溶解した
溶液;又は水酸基を有するチオール化合物、または水酸
基を有するチオール化合物を溶解した溶液、または水酸
基を有するチオール化合物及びチオール化合物、または
水酸基を有するチオール化合物及びチオール化合物を溶
解した溶液;又はカルボキシル基を有するチオール化合
物、またはカルボキシル基を有するチオール化合物を溶
解した溶液、またはカルボキシル基を有するチオール化
合物及びチオール化合物、または、カルボキシル基を有
するチオール化合物及びチオール化合物を溶解した溶液
を添加することにより、表面が各種チオール化合物で修
飾された金超微粒子を得ることができる。
【0023】各種チオール化合物の添加量は、アミン1
重量部に対して0.01〜100重量部であり、好まし
くは1〜10重量部である。溶液とは、金属塩とアミン
を溶解した溶液を調製するのに使用した溶媒と同一の溶
媒を使用して所定の濃度の各種チオール化合物を溶解し
た溶液、または金属塩とアミンを溶解した溶液の調製に
使用した溶媒と異なる溶媒を使用する場合には、金属塩
とアミンを溶解した溶液の調製に使用した溶媒と相溶性
が良好でありかつ還元することにより生成した表面をア
ミンで保護された金超微粒子を溶液中で安定に分散させ
ることが可能な溶媒により調製した溶液のことである。
【0024】各種チオール化合物を添加する際に各種チ
オール化合物を溶解した溶液として使用する場合の、溶
液の濃度は、所定の金属塩と所定のアミンを溶解した溶
液を調製するのに使用した溶媒中の室温での溶解度以下
の濃度であればよく特に制限はない。各種チオール化合
物または各種チオール化合物を溶解した溶液を還元後の
液に添加するときの温度は、特に制限はないが、反応の
相を溶液状態に保つのに必要な温度であればよい。時間
も、特に制限はないが、通常0.1分〜200時間であ
る。
【0025】このようにして得られた金超微粒子を含む
コロイド溶液を乾燥させることで粉体とし、これを目的
に応じた溶媒で洗浄することにより、目的とする金超微
粒子を得ることができる。さらに、このようにして得ら
れた表面が修飾された金超微粒子をヘキサメチレンジイ
ソシアネート、p−フェニレンイソシアネート等のイソ
シアネート類、セバチン酸、アジピン酸等の塩基酸類と
混合し、重縮合反応や重付加反応といった反応で粒子間
を連結して架橋し、必要な材料が得られる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明はこれらのみに限定されるものではない。 実施例1 塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)2.5×1
ー3M 及びアニリン7.5×10ー3M濃度のメタノー
ル溶液500mlを三角フラスコに入れる。室温でこの
溶液を攪はんしながら、 水素化ホウ素ナトリウム(N
aBH4)1.0×10ー2M濃度のメタノール溶液15
0mlを添加すると溶液は赤茶色に変化する。この溶液
に500mlの溶液量に対して、3.75×10ー3M濃
度に相当するチオフェノール及び3.75×10ー3M濃
度に相当する4−アミノチオフェノールを溶解したメタ
ノール溶液50mlを一気に滴下することにより溶液
は、ワインレッド色に変化し沈澱物が生成する。この溶
液の上澄み液の紫外可視吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、波長530nmに金超微粒子の表面プラズモンに起
因する吸収バンドが観測された。この溶液を濾過するこ
とで沈澱物を取り除いた溶液を、ロータリーエバポレー
ターにより濃縮し黒紫色の粉体を得ることができた。
【0027】この粉体を洗浄することで未反応物を除去
し、乾燥させた後、メタノールに再溶解した溶液の紫外
可視吸収スペクトルを測定したところ、波長530nm
に金超微粒子の表面プラズモンに起因する極大が、また
透過型電子顕微鏡観察により、粒子直径 5〜15nm
の大きさの分布を有する金超微粒子が観測されたことか
ら、金超微粒子は凝集することなく安定に粉体としてと
り出せることがわかる。 洗浄した金超微粒子をKBr
と混合し、錠剤にして赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、芳香族アミンに特徴的な、N−H伸縮の吸収(3
400cm-1付近)、p−ベンゼン二置換体のCH面外
変角の吸収(820cm-1付近)、ベンゼン一置換体の
CH面外変角の吸収(750cm-1付近)が観測され
た。一方、SH基の伸縮の吸収(2600〜2550c
-1)はほとんど観測されていないことから、金超微粒
子表面にはアミノ基が存在していることがわかる。
【0028】実施例2 実施例1で製造した金超微粒子30mgをジメチルホル
ムアミド2mlに溶かし、ヘキサメチレンジイソシアナ
ート10mgを加え、重付加反応をおこなった。その結
果ゲル状の不透明な反応物が生成した。この反応物を洗
浄することで未反応物を除去した後、乾燥させ、赤外吸
収スペクトルの測定を行った。これによるとイソシアネ
ートに特徴的なN=C=Oに起因する逆対称伸縮の吸収
(2280〜2240cm-1)は観測されず、脂肪族メ
チレンCH2の伸縮振動(3000〜2840cm-1
が観測されている。C=O伸縮が1640cm-1に観測
され、N-H変角が1550cm-1付近に観測されてい
る。これによりアミド結合の存在が示唆され、金超微粒
子架橋材料が生成していると考えられる。
【0029】実施例3 実施例1で製造した金超微粒子30mgをジメチルホル
ムアミド2mlに溶かし、p−フェニレンジイソシアナ
ート5mgを加え、重付加反応をおこなった。その結果
ゲル状の不透明な反応物が生成した。この反応物を洗浄
することで未反応物を除去した後、乾燥させ、赤外吸収
スペクトルの測定をおこなった結果、実施例2と同様に
アミド結合の存在が示唆された。
【0030】実施例4 アニリンで表面が保護された金超微粒子のコロイド溶液
は実施例1と同様に製造した。この溶液に、500ml
の溶液量に対して、7.5×10ー3M濃度に相当するp
−ヒドロキシチオフェノールを溶解したメタノール溶液
50mlを一気に滴下することにより溶液は、ワインレ
ッド色に変化し沈澱物が生成する。この溶液の上澄み液
の紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、波長53
0nmに金超微粒子の表面プラズモンに起因する吸収バ
ンドが観測された。この溶液を濾過することで沈澱物を
取り除いた溶液を、ロータリーエバポレーターにより濃
縮し黒紫色の粉体を得ることが出来た。
【0031】この粉体を洗浄することで未反応物を除去
し、乾燥させた後、メタノールに再溶解した溶液の紫外
可視吸収スペクトルを測定したところ、波長530nm
に金超微粒子の表面プラズモンに起因する極大が、また
透過型電子顕微鏡観察により、粒子直径 5〜15nm
の大きさの分布を有する金超微粒子が観測されたことか
ら、金超微粒子は凝集することなく安定に粉体としてと
り出せることがわかる。 得られた金超微粒子をKBr
と混合し、錠剤にして赤外吸収スペクトルを測定したと
ころ、C−O伸縮(1260cm-1付近)、O−H面内
変角振動(1357cm-1付近)が観測され、p−ベン
ゼン二置換体のC−H面外変角の吸収(820cm-1
近)も観測されている。これにより、金超微粒子表面に
は水酸基が存在していることが分かる。
【0032】実施例5 実施例4で製造した金超微粒子30mgをジメチルホル
ムアミド4mlに溶かし、シュウ酸15mgを加えた。
その結果ゲル状の反応物が生成した。この反応物を洗浄
し未反応物を除去した後、乾燥させ、赤外吸収スペクト
ルの測定を行った。これによるとカルボン酸に特徴的な
O−H伸縮に起因する3000cm-1付近の吸収と、9
30cm-1付近のO−H面外変角に起因する吸収が観測
されなかった。これによりエステル結合の存在が示唆さ
れ、金超微粒子架橋材料が生成していると考えられる。
【0033】実施例6 アニリンで表面が保護された金超微粒子のコロイド溶液
は実施例1と同様に製造した。この溶液に、500ml
の溶液量に対して、3.75×10ー3M濃度に相当する
チオフェノール及び3.75×10ー3M濃度に相当する
メルカプト酢酸を溶解したメタノール溶液50mlを一
気に滴下することにより溶液は、ワインレッド色に変化
し沈澱物が生成する。この溶液の上澄み液の紫外可視吸
収スペクトルを測定したところ、波長530nmに金超
微粒子の表面プラズモンに起因する吸収バンドが観測さ
れた。この溶液を濾過することで沈澱物を取り除いた溶
液を、ロータリーエバポレーターにより濃縮し黒紫色の
粉体を得ることが出来た。
【0034】この粉体を洗浄することで未反応物を除去
し、乾燥させた後、メタノールに再溶解した溶液の紫外
可視吸収スペクトルを測定したところ、波長530nm
に金超微粒子の表面プラズモンに起因する極大が、また
透過型電子顕微鏡観察により、粒子直径 5〜15nm
の大きさの分布を有する金超微粒子が観測されたことか
ら、金超微粒子は凝集することなく安定に粉体としてと
り出せることがわかる。 また得られた金超微粒子をK
Brと混合し、錠剤にして赤外吸収スペクトルを測定し
たところ、C=O伸縮(1340〜1250cm-1)、
O−H伸縮に起因する幅広い吸収(3000〜2800
cm-1)が観測されたことから、金超微粒子表面にはカ
ルボキシル基が存在することがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明は、金超微粒子をその生成過程に
おいて単に生成するだけではなく、金超微粒子の表面を
修飾することにより安定化することで、固体t粉体とし
て取り出すことが可能であり、さらには反応性を持たせ
ることにより、この表面処理金超微粒子を反応始剤とし
て重縮合反応や重付加反応に利用可能なものとした。本
発明によって得られた表面処理された金超微粒子は、粉
体の形であることから、他の組成成分や超微粒子との混
合が容易であり、製品形態の選択の幅も広く、量産性に
優れた中間材料として、光学材料、電子材料、感圧材
料、磁性材料、非線形光電子材料、触媒材料、無機材料
への利用に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08G 18/38 C08G 18/38 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有するチオール化合物、水酸
    基を有するチオール化合物またはカルボキシル基を有す
    るチオール化合物で修飾された金超微粒子。
  2. 【請求項2】 金超微粒子が、更にチオール化合物で修
    飾されたものである請求項1に記載の金超微粒子。
  3. 【請求項3】 アミノ基を有するチオール化合物で修飾
    された請求項1または2に記載の金超微粒子。
  4. 【請求項4】 水酸基を有するチオール化合物で修飾さ
    れた請求項1または2に記載の金超微粒子。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基を有するチオール化合物
    で修飾された請求項1または2に記載の金超微粒子。
  6. 【請求項6】 重縮合反応に使用可能な請求項3、4ま
    たは5に記載の金超微粒子。
  7. 【請求項7】 重付加反応に使用可能な請求項3、4ま
    たは5に記載の金超微粒子。
  8. 【請求項8】 請求項3、4、5、6または7に記載の
    金超微粒子によって製造した金超微粒子架橋材料、及び
    その成形体。
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