JPH1160297A - セメントキルンの排ガス処理方法 - Google Patents
セメントキルンの排ガス処理方法Info
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- JPH1160297A JPH1160297A JP9225791A JP22579197A JPH1160297A JP H1160297 A JPH1160297 A JP H1160297A JP 9225791 A JP9225791 A JP 9225791A JP 22579197 A JP22579197 A JP 22579197A JP H1160297 A JPH1160297 A JP H1160297A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プレヒータのセメント原料の流路の閉塞を
防ぐ。製品セメントの品質を高める。集塵機や排ガスの
処理系統を設置する設備コストを削減する。 【解決手段】 クリンカ焼成時に発生した排ガスをバイ
パス4からキルン外部に抽気する。バイパス4途中でガ
ス温度を600〜700℃まで低下させる。降温の結果
液化した揮発性成分はダストに付着する。このダストを
高性能サイクロン5で分級して系外に除去する。一方、
残りのガス分を、このガス温度と略同等のプレヒータ2
の温度領域内へ戻す。この結果、セメントキルン3内を
漂う揮発性成分によるプレヒータ2のセメント原料流路
の閉塞を防止できる。製品セメントの品質を向上でき
る。しかも集塵機や排ガスの処理設備を設置する設備コ
ストを削減できる。
防ぐ。製品セメントの品質を高める。集塵機や排ガスの
処理系統を設置する設備コストを削減する。 【解決手段】 クリンカ焼成時に発生した排ガスをバイ
パス4からキルン外部に抽気する。バイパス4途中でガ
ス温度を600〜700℃まで低下させる。降温の結果
液化した揮発性成分はダストに付着する。このダストを
高性能サイクロン5で分級して系外に除去する。一方、
残りのガス分を、このガス温度と略同等のプレヒータ2
の温度領域内へ戻す。この結果、セメントキルン3内を
漂う揮発性成分によるプレヒータ2のセメント原料流路
の閉塞を防止できる。製品セメントの品質を向上でき
る。しかも集塵機や排ガスの処理設備を設置する設備コ
ストを削減できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はセメントキルンの
排ガス処理方法、詳しくはセメント原料をセメントキル
ン内で焼成した際に発生した排出ガスの一部を、バイパ
スから外部へ抽気して処理するセメントキルンの排ガス
処理方法に関する。
排ガス処理方法、詳しくはセメント原料をセメントキル
ン内で焼成した際に発生した排出ガスの一部を、バイパ
スから外部へ抽気して処理するセメントキルンの排ガス
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セメント原料の焼成設備には、プレヒー
タにより仮焼されたセメント原料を1100℃程度で焼
成するセメントキルンが配備されている。このキルン
は、横向き円筒状のキルンシェルを回転しながら、プレ
ヒータにより仮焼されたセメント原料を、重油や粉砕石
炭を燃料に焼成することで、セメントクリンカを中間製
造するものである。ところで、セメント原料や燃料中に
は、例えばアルカリ元素(Na,Kなど),Cl,Sお
よびそれらの化合物といった揮発性成分が含まれてい
る。この揮発性成分は、セメントキルンの焼成熱などに
より気化し、その後、セメントキルンとプレヒータとの
閉じた系内で循環されることにより、徐々に濃縮され
る。なお、この濃縮循環は数時間で平衡状態となる。こ
の際、系内の揮発性成分量が多ければ、(1)必然的に
焼成後のクリンカ中に含まれる揮発性成分量も増え、セ
メントの品質低下を招いてしまう。(2)しかも、系内
では揮発性成分である低融点化合物が生成され、これが
プレヒータの内壁面に付着し、頻繁にセメント原料の流
路を閉塞して、キルン操業を妨げていた。
タにより仮焼されたセメント原料を1100℃程度で焼
成するセメントキルンが配備されている。このキルン
は、横向き円筒状のキルンシェルを回転しながら、プレ
ヒータにより仮焼されたセメント原料を、重油や粉砕石
炭を燃料に焼成することで、セメントクリンカを中間製
造するものである。ところで、セメント原料や燃料中に
は、例えばアルカリ元素(Na,Kなど),Cl,Sお
よびそれらの化合物といった揮発性成分が含まれてい
る。この揮発性成分は、セメントキルンの焼成熱などに
より気化し、その後、セメントキルンとプレヒータとの
閉じた系内で循環されることにより、徐々に濃縮され
る。なお、この濃縮循環は数時間で平衡状態となる。こ
の際、系内の揮発性成分量が多ければ、(1)必然的に
焼成後のクリンカ中に含まれる揮発性成分量も増え、セ
メントの品質低下を招いてしまう。(2)しかも、系内
では揮発性成分である低融点化合物が生成され、これが
プレヒータの内壁面に付着し、頻繁にセメント原料の流
路を閉塞して、キルン操業を妨げていた。
【0003】そこで、これを解消する従来技術として、
例えば特公平5−50458号公報記載の「セメントキ
ルン排ガスの処理方法」が知られている。このものは、
アルカリ濃度の高いキルン排ガスを、アルカリバイパス
により系外へ抜き出し、この系内のアルカリ量を減らす
技術である。具体的に説明すると、この方法は、セメン
トキルン内の一部の排ガス(1100℃前後)を、途
中、アルカリ化合物の融点以下の600〜700℃にま
で降温させた後、アルカリバイパスから外部の分級器へ
導く。ここで、ダスト粒径に応じて分級してから、粒径
が10μm以上の粗粒ダスト(アルカリ量は比較的少な
い)をセメントキルンへ戻す。一方、粒径が10μm未
満の微粒ダストを含んだ高温の排ガス(アルカリ量は多
い)は、まずこれをボイラへ導いて排ガスの熱を回収
し、その後、この微粒ダストを集塵機で除去する、とい
う方法である。これにより、アルカリバイパスから導出
された排ガスが保有する高カロリーの熱を有効に回収す
ることができる。なお、粒径が10μm未満の微粒ダス
トの場合、通常、ダストが持ち出す全アルカリ量の80
%程度を含んでいる。
例えば特公平5−50458号公報記載の「セメントキ
ルン排ガスの処理方法」が知られている。このものは、
アルカリ濃度の高いキルン排ガスを、アルカリバイパス
により系外へ抜き出し、この系内のアルカリ量を減らす
技術である。具体的に説明すると、この方法は、セメン
トキルン内の一部の排ガス(1100℃前後)を、途
中、アルカリ化合物の融点以下の600〜700℃にま
で降温させた後、アルカリバイパスから外部の分級器へ
導く。ここで、ダスト粒径に応じて分級してから、粒径
が10μm以上の粗粒ダスト(アルカリ量は比較的少な
い)をセメントキルンへ戻す。一方、粒径が10μm未
満の微粒ダストを含んだ高温の排ガス(アルカリ量は多
い)は、まずこれをボイラへ導いて排ガスの熱を回収
し、その後、この微粒ダストを集塵機で除去する、とい
う方法である。これにより、アルカリバイパスから導出
された排ガスが保有する高カロリーの熱を有効に回収す
ることができる。なお、粒径が10μm未満の微粒ダス
トの場合、通常、ダストが持ち出す全アルカリ量の80
%程度を含んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来技術によれば、アルカリバイパスからキルン外へ導出
された排ガス中のダストにあっては、分級器で分級され
た粗粒ダストがセメントキルンへ戻される。この粗粒ダ
ストの表面にも、上記10μm未満の微粒ダストより少
ないが、揮発性成分が付着している。この結果、粗粒ダ
ストの持つ熱が戻されることで、セメントキルンの燃料
費を若干節約することができるという利点はあるが、キ
ルン内の揮発性成分の濃度が増える。したがって、バイ
パス未設置の場合より閉塞時間は遅くなるものの、徐々
に揮発性成分がプレヒータの内壁面で成長して、セメン
ト原料の流路を閉塞するという問題点があった。しか
も、中間製造物のクリンカ中に含まれる揮発性成分の割
合が増え、セメント品質を低下させるという別の問題点
もあった。
来技術によれば、アルカリバイパスからキルン外へ導出
された排ガス中のダストにあっては、分級器で分級され
た粗粒ダストがセメントキルンへ戻される。この粗粒ダ
ストの表面にも、上記10μm未満の微粒ダストより少
ないが、揮発性成分が付着している。この結果、粗粒ダ
ストの持つ熱が戻されることで、セメントキルンの燃料
費を若干節約することができるという利点はあるが、キ
ルン内の揮発性成分の濃度が増える。したがって、バイ
パス未設置の場合より閉塞時間は遅くなるものの、徐々
に揮発性成分がプレヒータの内壁面で成長して、セメン
ト原料の流路を閉塞するという問題点があった。しか
も、中間製造物のクリンカ中に含まれる揮発性成分の割
合が増え、セメント品質を低下させるという別の問題点
もあった。
【0005】一方、分級された残りの微粒ダストは、ボ
イラによる熱回収後に集塵機により捕獲されている。そ
の後のガスにあっては、ガス中の微量な揮発性成分で大
気汚染を招かないように、煙突から大気開放される前
に、この集塵機に連結された排ガス処理設備により揮発
性成分を最終的に除去していた。この結果、集塵機や、
各種大型装置を並べた排ガスの処理設備を配備するため
の設備コストが嵩むという問題点があった。
イラによる熱回収後に集塵機により捕獲されている。そ
の後のガスにあっては、ガス中の微量な揮発性成分で大
気汚染を招かないように、煙突から大気開放される前
に、この集塵機に連結された排ガス処理設備により揮発
性成分を最終的に除去していた。この結果、集塵機や、
各種大型装置を並べた排ガスの処理設備を配備するため
の設備コストが嵩むという問題点があった。
【0006】そこで、発明者らは、排ガス中に含まれる
揮発性成分を、この揮発成分である化合物の融点以下の
600〜700℃にまで低下させてダストに付着させ、
これを除去し、残った排ガスを、このガス温度と略等し
いプレヒータの温度領域内へ戻せば、セメントキルン内
の揮発性成分量を減らしてプレヒータのセメント原料の
流路の閉塞が防げるとともに、製品セメントの品質を向
上することができて、しかも集塵機や排ガスの処理系統
を設置する設備コストが不要になることを見出し、この
発明を完成させるに至った。
揮発性成分を、この揮発成分である化合物の融点以下の
600〜700℃にまで低下させてダストに付着させ、
これを除去し、残った排ガスを、このガス温度と略等し
いプレヒータの温度領域内へ戻せば、セメントキルン内
の揮発性成分量を減らしてプレヒータのセメント原料の
流路の閉塞が防げるとともに、製品セメントの品質を向
上することができて、しかも集塵機や排ガスの処理系統
を設置する設備コストが不要になることを見出し、この
発明を完成させるに至った。
【0007】
【発明の目的】この発明の目的は、プレヒータのセメン
ト原料の流路の閉塞を防止することができ、かつ製品セ
メントの品質を向上することができ、しかも集塵機や排
ガスの処理系統を設置する設備コストを削減することが
できるセメントキルンの排ガス処理方法を提供すること
にある。
ト原料の流路の閉塞を防止することができ、かつ製品セ
メントの品質を向上することができ、しかも集塵機や排
ガスの処理系統を設置する設備コストを削減することが
できるセメントキルンの排ガス処理方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、プレヒータにより仮焼されたセメント原料をセメン
トキルンにより焼成し、発生した排ガスの一部をバイパ
スを通して外部へ抽気する工程と、このバイパスにより
抽気された排ガスの温度を、この排ガス中に含まれる揮
発性成分である化合物の融点以下の600〜700℃に
まで低下させる工程と、この排ガスの温度低下後、上記
揮発性成分が表面に付着したダストを除去し、残りのガ
ス分を、このガス温度と略同等の上記プレヒータの温度
領域内へ戻す工程とを備えたセメントキルンの排ガス処
理方法である。
は、プレヒータにより仮焼されたセメント原料をセメン
トキルンにより焼成し、発生した排ガスの一部をバイパ
スを通して外部へ抽気する工程と、このバイパスにより
抽気された排ガスの温度を、この排ガス中に含まれる揮
発性成分である化合物の融点以下の600〜700℃に
まで低下させる工程と、この排ガスの温度低下後、上記
揮発性成分が表面に付着したダストを除去し、残りのガ
ス分を、このガス温度と略同等の上記プレヒータの温度
領域内へ戻す工程とを備えたセメントキルンの排ガス処
理方法である。
【0009】ここでいうセメント原料としては、例えば
石灰石,粘土,珪石,鉄原料などの一般的な原料が挙げ
られる。プレヒータ投入前の粘土は、粘土ドライヤによ
り乾燥され、その後、原料ミルにより他の原料とともに
砕かれて混合される。プレヒータによるセメント原料の
仮焼温度は、その出口温度で800〜900℃ぐらいで
ある。排出ガス中に含まれる揮発性成分(低融点化合
物)としては、例えばNaBr(融点747℃),KB
r(融点730℃),NaCl(融点801℃),KC
l(融点776℃)などが挙げられる。
石灰石,粘土,珪石,鉄原料などの一般的な原料が挙げ
られる。プレヒータ投入前の粘土は、粘土ドライヤによ
り乾燥され、その後、原料ミルにより他の原料とともに
砕かれて混合される。プレヒータによるセメント原料の
仮焼温度は、その出口温度で800〜900℃ぐらいで
ある。排出ガス中に含まれる揮発性成分(低融点化合
物)としては、例えばNaBr(融点747℃),KB
r(融点730℃),NaCl(融点801℃),KC
l(融点776℃)などが挙げられる。
【0010】排ガス温度を、揮発性成分である化合物の
融点以下の600〜700℃にまで低下させる装置とし
ては、例えば排ガスに直接に冷風を吹きかける空冷装置
や、各種の熱交換器が採用することができる。抽気され
た排ガス中のダストを除去する分級器としては、例えば
粒径が0.2μm以上のダストを捕獲することができる
高性能サイクロンを採用することができる。なお、ここ
でいう抽気とは、排ガスなどの気体成分を外部へ抽出す
ることをいう。また、粒径が0.2μm以上のダストを
捕獲することで、通常、排出ガス中の揮発性成分のほと
んどを除去することができる。例えば、図3のダスト粒
径と排ガス中のアルカリ量との関係を示すグラフで説明
すると、0.2μm以上のダストには、排ガス中の全ア
ルカリ量の95%以上が含まれている。なお、図3にお
いて、aはダストの粒度分布をその累積値で示す。b
は、ダストの粒径における排ガス中のアルカリ量の割合
を示すその累積値である。
融点以下の600〜700℃にまで低下させる装置とし
ては、例えば排ガスに直接に冷風を吹きかける空冷装置
や、各種の熱交換器が採用することができる。抽気され
た排ガス中のダストを除去する分級器としては、例えば
粒径が0.2μm以上のダストを捕獲することができる
高性能サイクロンを採用することができる。なお、ここ
でいう抽気とは、排ガスなどの気体成分を外部へ抽出す
ることをいう。また、粒径が0.2μm以上のダストを
捕獲することで、通常、排出ガス中の揮発性成分のほと
んどを除去することができる。例えば、図3のダスト粒
径と排ガス中のアルカリ量との関係を示すグラフで説明
すると、0.2μm以上のダストには、排ガス中の全ア
ルカリ量の95%以上が含まれている。なお、図3にお
いて、aはダストの粒度分布をその累積値で示す。b
は、ダストの粒径における排ガス中のアルカリ量の割合
を示すその累積値である。
【0011】なお、高性能サイクロンの分級精度は、図
2の高性能サイクロンの説明図に示すように、例えば高
性能サイクロン5へバイパス4から送り込まれる排ガス
の風速、このサイクロン5の胴部5aの直径D、サイク
ロン5の上面から差し込まれたガス分戻し管8の直径
d、このガス分戻し管8の偏心位置、この管8のサイク
ロン5内への差し込み長さLなどの数値を適宜変更する
ことにより、比較的容易に変更することができる。
2の高性能サイクロンの説明図に示すように、例えば高
性能サイクロン5へバイパス4から送り込まれる排ガス
の風速、このサイクロン5の胴部5aの直径D、サイク
ロン5の上面から差し込まれたガス分戻し管8の直径
d、このガス分戻し管8の偏心位置、この管8のサイク
ロン5内への差し込み長さLなどの数値を適宜変更する
ことにより、比較的容易に変更することができる。
【0012】
【作用】この発明にあっては、プレヒータで仮焼された
セメント原料をセメントキルン内で焼成すると、揮発性
成分を含む排ガスが発生する。この排ガスはバイパスを
通して外部へ抽気され、この抽気の途中で排ガスの温度
が、ガス中に含まれる揮発性成分である化合物の融点以
下の600〜700℃にまで低下させられる。これによ
り、液化した揮発性成分である化合物がダストの表面に
付着し、その後、このダストは系外へ除去される。よっ
て、揮発性成分もダストとともに系外へ除去される。一
方、残りのガス分はプレヒータの略同等の温度領域内へ
戻される。この結果、セメントキルン内に漂う揮発性成
分によるプレヒータのセメント原料の流路閉塞を防止す
ることができる。また、製品セメントの品質を向上させ
ることができる。さらに、集塵機や、排ガスの処理系統
を設置するための設備コストを削減することができる。
セメント原料をセメントキルン内で焼成すると、揮発性
成分を含む排ガスが発生する。この排ガスはバイパスを
通して外部へ抽気され、この抽気の途中で排ガスの温度
が、ガス中に含まれる揮発性成分である化合物の融点以
下の600〜700℃にまで低下させられる。これによ
り、液化した揮発性成分である化合物がダストの表面に
付着し、その後、このダストは系外へ除去される。よっ
て、揮発性成分もダストとともに系外へ除去される。一
方、残りのガス分はプレヒータの略同等の温度領域内へ
戻される。この結果、セメントキルン内に漂う揮発性成
分によるプレヒータのセメント原料の流路閉塞を防止す
ることができる。また、製品セメントの品質を向上させ
ることができる。さらに、集塵機や、排ガスの処理系統
を設置するための設備コストを削減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてこの発明を
詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係るセメ
ントキルンの排ガス処理方法が適用されたセメント焼成
設備の一部断面図を含む正面図である。図1において、
1は一実施例に係るセメントキルンの排ガス処理方法が
適用されたセメント焼成設備である。このセメント焼成
設備1は、プレヒータ2内で仮焼されたセメント原料を
セメントキルン3により焼成し、発生した排ガスの一部
をバイパス4を通して外部の高性能サイクロン(分級
器)5へ抽気するものである。ここでのセメントキルン
3は、90〜100t/hでセメントクリンカを生産す
るものとする。
詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係るセメ
ントキルンの排ガス処理方法が適用されたセメント焼成
設備の一部断面図を含む正面図である。図1において、
1は一実施例に係るセメントキルンの排ガス処理方法が
適用されたセメント焼成設備である。このセメント焼成
設備1は、プレヒータ2内で仮焼されたセメント原料を
セメントキルン3により焼成し、発生した排ガスの一部
をバイパス4を通して外部の高性能サイクロン(分級
器)5へ抽気するものである。ここでのセメントキルン
3は、90〜100t/hでセメントクリンカを生産す
るものとする。
【0014】プレヒータ2は、図外の原料ミルにより粉
砕されたセメント原料を、後工程のセメントキルン3に
より焼成しやすいように、所定温度まで予熱するもので
ある。プレヒータ2は、多数のサイクロン2aを、数階
建ての鉄骨架台に搭載して設けられている。セメントキ
ルン3は、下流側へ若干下方傾斜した横向き円筒状のキ
ルンシェル3aを有している。キルンシェル3aの内壁
面には、耐火物3bが張られている。キルンシェル3a
は周方向へ(軸線回りに)回転しながら、重油や微粉石
炭を燃料とするバーナ加熱により、プレヒータ2からの
セメント原料を焼成して、セメントクリンカを中間製造
する。
砕されたセメント原料を、後工程のセメントキルン3に
より焼成しやすいように、所定温度まで予熱するもので
ある。プレヒータ2は、多数のサイクロン2aを、数階
建ての鉄骨架台に搭載して設けられている。セメントキ
ルン3は、下流側へ若干下方傾斜した横向き円筒状のキ
ルンシェル3aを有している。キルンシェル3aの内壁
面には、耐火物3bが張られている。キルンシェル3a
は周方向へ(軸線回りに)回転しながら、重油や微粉石
炭を燃料とするバーナ加熱により、プレヒータ2からの
セメント原料を焼成して、セメントクリンカを中間製造
する。
【0015】バイパス4の端部は、プレヒータ2のキル
ン側端部に連通されている。また、バイパス4の途中に
は、セメントキルン3から抽気された排ガスに、ファン
6からの冷空気を混合して、排ガス温度を600〜70
0℃にまで降温させる冷却室7が接続されている。図2
に示すように、高性能サイクロン5は、下部が徐々に小
径化した胴部5aを有している。胴部5aの上面には、
先端が図1破断斜線に示すプレピータ2の600〜70
0℃領域に連結されたガス分戻し管8の元部が差し込ま
れている。なお、このガス分戻し管8は、胴部5aの上
面の偏心位置に差し込まれている。
ン側端部に連通されている。また、バイパス4の途中に
は、セメントキルン3から抽気された排ガスに、ファン
6からの冷空気を混合して、排ガス温度を600〜70
0℃にまで降温させる冷却室7が接続されている。図2
に示すように、高性能サイクロン5は、下部が徐々に小
径化した胴部5aを有している。胴部5aの上面には、
先端が図1破断斜線に示すプレピータ2の600〜70
0℃領域に連結されたガス分戻し管8の元部が差し込ま
れている。なお、このガス分戻し管8は、胴部5aの上
面の偏心位置に差し込まれている。
【0016】次に、セメント焼成設備1を用いたセメン
トキルンの排ガス処理方法を説明する。図1に示すよう
に、セメント原料は、プレヒータ2の各サイクロン2a
を流下中に仮焼される。その後、セメント原料は、セメ
ントキルン3の窯尻部へ流れ込み、キルン3内でバーナ
加熱の焼成により、セメントクリンカに生成される。こ
のように、プレヒータ2で仮焼されたセメント原料をセ
メントキルン3内で焼成すると、揮発性成分を含む排ガ
スが発生する。この排ガスはバイパス4を通して外部へ
抽気される。この抽気の途中で排ガスは、冷却室7を通
過することで、ファン6からの冷空気により、排ガス中
に含まれる揮発性成分である化合物の融点以下の600
〜700℃にまで、その温度が低下させられる。これに
より、揮発性成分である化合物が排ガス中に含まれるダ
ストの表面に付着する。
トキルンの排ガス処理方法を説明する。図1に示すよう
に、セメント原料は、プレヒータ2の各サイクロン2a
を流下中に仮焼される。その後、セメント原料は、セメ
ントキルン3の窯尻部へ流れ込み、キルン3内でバーナ
加熱の焼成により、セメントクリンカに生成される。こ
のように、プレヒータ2で仮焼されたセメント原料をセ
メントキルン3内で焼成すると、揮発性成分を含む排ガ
スが発生する。この排ガスはバイパス4を通して外部へ
抽気される。この抽気の途中で排ガスは、冷却室7を通
過することで、ファン6からの冷空気により、排ガス中
に含まれる揮発性成分である化合物の融点以下の600
〜700℃にまで、その温度が低下させられる。これに
より、揮発性成分である化合物が排ガス中に含まれるダ
ストの表面に付着する。
【0017】図2に示すように、ダストは高性能サイク
ロン5へ入り、この内部で遠心分離された後、胴部5a
の底部に連結された排出管を通して系外へ除去される。
一方、残りのガス分は、ガス分戻し管8からプレヒータ
2の略同等の温度領域(600〜700℃)内へ戻され
る。高性能サイクロン5は、粒径が0.2μm以上のダ
ストを捕獲することができる高性能なサイクロンであ
る。これにより、例えば揮発性成分のうちのアルカリ分
について述べれば、図3のグラフに示すように、ダスト
全体に捕獲されるアルカリ分のうちの95%以上を除去
することができる。
ロン5へ入り、この内部で遠心分離された後、胴部5a
の底部に連結された排出管を通して系外へ除去される。
一方、残りのガス分は、ガス分戻し管8からプレヒータ
2の略同等の温度領域(600〜700℃)内へ戻され
る。高性能サイクロン5は、粒径が0.2μm以上のダ
ストを捕獲することができる高性能なサイクロンであ
る。これにより、例えば揮発性成分のうちのアルカリ分
について述べれば、図3のグラフに示すように、ダスト
全体に捕獲されるアルカリ分のうちの95%以上を除去
することができる。
【0018】この結果、セメントキルン3内へ戻される
ダストに付着した揮発性成分はきわめてわずかな量とな
り、揮発性成分によるプレヒータ2のセメント原料の流
路閉塞を防止することができる。とともに、クリンカ中
に含まれる揮発性成分の割合を減少させて、製品セメン
トの品質を向上させることができる。しかも、このよう
に分級されたガス分はプレヒータ2内へ戻されるので、
従来技術では必要であった分級されたガス分の処理設備
が不要となり、そのための設備コストを削減することが
できる。さらに、ガス分が戻されるプレヒータ2の部分
が、前述したようにガス温度と略同等のプレヒータ2の
温度領域であるので、プレヒータ2の仮焼温度を低下さ
せることもなく、このガス分を円滑にプレヒータ2へ導
入することができる。
ダストに付着した揮発性成分はきわめてわずかな量とな
り、揮発性成分によるプレヒータ2のセメント原料の流
路閉塞を防止することができる。とともに、クリンカ中
に含まれる揮発性成分の割合を減少させて、製品セメン
トの品質を向上させることができる。しかも、このよう
に分級されたガス分はプレヒータ2内へ戻されるので、
従来技術では必要であった分級されたガス分の処理設備
が不要となり、そのための設備コストを削減することが
できる。さらに、ガス分が戻されるプレヒータ2の部分
が、前述したようにガス温度と略同等のプレヒータ2の
温度領域であるので、プレヒータ2の仮焼温度を低下さ
せることもなく、このガス分を円滑にプレヒータ2へ導
入することができる。
【0019】
【発明の効果】この発明によれば、クリンカ焼成時に発
生した排ガスを、バイパス途中でガス温度を600〜7
00℃にまで低下させて外部へ抽気し、この降温で液化
した揮発性成分である化合物が付着したダストを分級し
て除去する一方、残りのガス分を、このガス温度と略同
等のプレヒータの温度領域内へ戻すようにしたので、セ
メントキルン内を漂う揮発性成分によるプレヒータのセ
メント原料の流路の閉塞を防止することができる。ま
た、製品セメントの品質を向上させることができる。さ
らに、集塵機や、排ガスの処理設備を設置するための設
備コストを削減することができる。
生した排ガスを、バイパス途中でガス温度を600〜7
00℃にまで低下させて外部へ抽気し、この降温で液化
した揮発性成分である化合物が付着したダストを分級し
て除去する一方、残りのガス分を、このガス温度と略同
等のプレヒータの温度領域内へ戻すようにしたので、セ
メントキルン内を漂う揮発性成分によるプレヒータのセ
メント原料の流路の閉塞を防止することができる。ま
た、製品セメントの品質を向上させることができる。さ
らに、集塵機や、排ガスの処理設備を設置するための設
備コストを削減することができる。
【図1】この発明の一実施例に係るセメントキルンの排
ガス処理方法が適用されたセメント焼成設備の一部断面
図を含む正面図である。
ガス処理方法が適用されたセメント焼成設備の一部断面
図を含む正面図である。
【図2】この発明の一実施例に係る高性能サイクロンの
説明図である。
説明図である。
【図3】この発明の一実施例に係るダスト粒径とアルカ
リ量との関係を示すグラフである。
リ量との関係を示すグラフである。
1 セメント焼成設備、 2 プレヒータ、 3 セメントキルン、 4 バイパス、 5 高性能サイクロン。
Claims (1)
- 【請求項1】 プレヒータにより仮焼されたセメント原
料をセメントキルンにより焼成し、発生した排ガスの一
部をバイパスを通して外部へ抽気する工程と、 このバイパスにより抽気された排ガスの温度を、この排
ガス中に含まれる揮発性成分である化合物の融点以下の
600〜700℃にまで低下させる工程と、 この排ガスの温度低下後、上記揮発性成分が表面に付着
したダストを除去し、残りのガス分を、このガス温度と
略同等の上記プレヒータの温度領域内へ戻す工程とを備
えたセメントキルンの排ガス処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9225791A JPH1160297A (ja) | 1997-08-06 | 1997-08-06 | セメントキルンの排ガス処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9225791A JPH1160297A (ja) | 1997-08-06 | 1997-08-06 | セメントキルンの排ガス処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1160297A true JPH1160297A (ja) | 1999-03-02 |
Family
ID=16834843
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9225791A Withdrawn JPH1160297A (ja) | 1997-08-06 | 1997-08-06 | セメントキルンの排ガス処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1160297A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007261886A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置 |
JP2011079738A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-21 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置 |
JP2011195339A (ja) * | 2010-03-17 | 2011-10-06 | Taiheiyo Cement Corp | 燃焼ガス抽気プローブ及びその運転方法 |
JP2016166684A (ja) * | 2015-03-09 | 2016-09-15 | 太平洋セメント株式会社 | ガスの冷却方法及び装置 |
-
1997
- 1997-08-06 JP JP9225791A patent/JPH1160297A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007261886A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-10-11 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置 |
JP2011195339A (ja) * | 2010-03-17 | 2011-10-06 | Taiheiyo Cement Corp | 燃焼ガス抽気プローブ及びその運転方法 |
JP2011079738A (ja) * | 2011-01-14 | 2011-04-21 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置 |
JP2016166684A (ja) * | 2015-03-09 | 2016-09-15 | 太平洋セメント株式会社 | ガスの冷却方法及び装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20041102 |