JPH1154356A - 電源装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電気二重層コンデンサの熱による劣化を防止し
て、電気二重層コンデンサに十分な性能を発揮させるこ
とができ、車載の場合にも設置場所の制約を受けない電
源装置を提供する。 【解決手段】電気二重層コンデンサに蓄電された電気エ
ネルギーを供給する電源装置であって、複数の電気二重
層コンデンサセル（モジュール２）を、熱を遮断するコ
ンデンサボックス３に収容する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電気二重層コンデ
ンサを用いた電源装置に関し、例えば電気自動車あるい
はハイブリッド自動車に搭載して、電気二重層コンデン
サに蓄電された電気エネルギーを電気自動車あるいはハ
イブリッド自動車の駆動用モータ等に供給する電源装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電気自動車あるいはハイブリッド
自動車の駆動電源として、電気二重層コンデンサに蓄電
された電気エネルギーを利用することが考えられてい
る。そこで、この種の電源装置では、各別に構成された
同じ容量の電気二重層コンデンサセルを複数設けて、大
容量を得ることが考えられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の各電
気二重層コンデンサセルは、放電時に個々において発熱
するが、このとき、各電気二重層コンデンサセルの間に
温度差が生じることがある。このような温度差が生じた
ときには、各電気二重層コンデンサセルの放電効率や内
部抵抗が不均一となり、各セル毎に電圧のばらつきが生
じて十分な電気エネルギーを供給することができなくな
る不都合がある。

【０００４】また充電の際にも、各電気二重層コンデン
サセル間に温度差が生じると、それらの電気二重層コン
デンサセルのなかで耐電圧を越えて充電されるものが生
じることが考えられ、電気二重層コンデンサセルを構成
しているコンデンサ素子の劣化が生じて、内部抵抗の上
昇や静電容量の減少を招き、十分な充放電特性が得られ
なくなる不都合がある。

【０００５】また、複数の電気二重層コンデンサセルを
例えばハイブリッド自動車に搭載した場合には、エンジ
ンや排気管等の熱源から各電気二重層コンデンサセルが
熱を受け、その温度変化の影響から各電気二重層コンデ
ンサセル間に温度差が生じるおそれがある。即ち、エン
ジンや排気管等の熱源近くに位置する電気二重層コンデ
ンサセルは、該熱源の影響を受けて他の部分に位置する
電気二重層コンデンサセルよりも高温となる。従って、
ハイブリッド自動車に搭載する場合には、なるべく温度
変化の小さい位置（熱源の影響を受けない位置）に各電
気二重層コンデンサセルを設置する必要があり、それら
の設置場所が制限される不都合がある。

【０００６】かかる不都合を解消して、本発明は、電気
二重層コンデンサの熱による劣化を防止して、電気二重
層コンデンサに十分な性能を発揮させることができ、車
載の場合にも設置場所の制約を受けない電源装置を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、電気二重層コンデンサに蓄電された電
気エネルギーを供給する電源装置であって、電極及び電
解液により構成された複数の電気二重層コンデンサセル
を、熱を遮断するコンデンサボックスに収容してなるこ
とを特徴とする。

【０００８】本発明によれば、熱を遮断するコンデンサ
ボックスに複数の電気二重層コンデンサセルを収容す
る。該コンデンサボックスはその断熱作用により、外部
の温度変化や熱の影響が各電気二重層コンデンサセルに
及ぶことを防止して、該コンデンサボックス内部の温度
環境を一定に保持する。これにより、例えばハイブリッ
ド自動車等に搭載した場合には、コンデンサボックスに
よってエンジンや排気管等の熱が遮断され、各電気二重
層コンデンサセルの温度環境を一定に保つことができ
る。従って、設置場所の制約を受けることなくハイブリ
ッド自動車等に搭載することができる。

【０００９】また、本発明においては、前記各電気二重
層コンデンサセルと前記コンデンサボックスとの間に熱
媒体を充填したことを特徴とする。

【００１０】本発明によれば、前記コンデンサボックス
によりその内部の温度環境を一定に保持したうえで、熱
媒体によって各電気二重層コンデンサセルから発生する
熱を吸収し分散する。これにより、各電気二重層コンデ
ンサセル間の温度差が小となり、コンデンサボックス内
部の温度分布を均一にすることができる。

【００１１】そして、本発明においては、前記熱媒体は
流動性を有するものであり、前記コンデンサボックス
に、該熱媒体を強制的に循環させる循環手段を設けたこ
とを特徴とする。

【００１２】前記循環手段により、各電気二重層コンデ
ンサセルから発生する熱を、熱媒体を循環させることに
よって効率よく吸収して分散することができ、各電気二
重層コンデンサセル間の温度差を無くして、コンデンサ
ボックス内部の温度分布を迅速に均一にすることができ
る。

【００１３】また、本発明において、前記コンデンサボ
ックスは、複数の前記電気二重層コンデンサセルが収容
されたモジュールケースを、複数配列して収容し、該モ
ジュールケースは、互いに隣接する前記電気二重層コン
デンサセルの間に介在して各電気二重層コンデンサセル
を放熱可能に隔離する熱伝導性を有する仕切板を備えて
いることを特徴とする。

【００１４】同一の構成（形状及び容量）を有する複数
の電気二重層コンデンサセルを互いに接続することによ
って、例えば、電気自動車あるいはハイブリッド自動車
等の電源として十分な電気エネルギーを得る。そのた
め、電気二重層コンデンサセルを所定の個数毎にまとめ
てモジュールを形成する。更に、このように形成された
モジュールを複数設けて互いに接続することにより大容
量を得ることが行われる。

【００１５】そこで、本発明によれば、複数の電気二重
層コンデンサセルがモジュールケースに収容され、複数
のモジュールケースが前記コンデンサボックスに収容さ
れる。

【００１６】そして、モジュールケース内において各電
気二重層コンデンサセルが発熱し、各電気二重層コンデ
ンサセル間に温度差が生じても、前記仕切板によって電
気二重層コンデンサセルの発熱を迅速に放熱することが
できると共に、前記コンデンサボックスの断熱作用によ
って該コンデンサボックスの外部への放熱が防止されて
いるので、各電気二重層コンデンサセル間の温度差を極
めて小とすることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づ
いて説明する。図１は本実施例の電源装置を示す説明的
斜視図、図２は図１のＩＩ−ＩＩ線断面図、図３は電気
二重層コンデンサモジュールの説明的分解斜視図、図４
は他の実施形態の電源装置を模式的に示す説明図であ
る。

【００１８】本実施形態の電源装置１は、例えば電気自
動車の電源として、電気二重層コンデンサの電気エネル
ギーを利用するものであり、比較的大容量のコンデンサ
を構成するものである。

【００１９】該電源装置１は、図１に示すように、複数
の電気二重層コンデンサモジュール２（以下、単にモジ
ュール２と言う）をコンデンサボックス３に収納するこ
とによって構成されている。該コンデンサボックス３
は、合成樹脂製であって断熱性を有しており、本体４と
該本体４を閉塞する蓋体５とによって構成される。該蓋
体５は、本体４に図示しないパッキンを介してその四隅
に設けられたボルト６によって水密に冠着されている。

【００２０】各モジュール２は、詳しい構成は後述する
が、静電容量が同じ複数の電気二重層コンデンサセル７
（図２又は図３参照）を一体的にまとめて静電容量を増
大させたものである。このようなモジュール２を複数接
続してコンデンサボックス３によって一体的な構成とす
ることにより、外形をコンパクトとして電気自動車の電
源に適した極めて大きな電気エネルギーを得ることがで
きる。

【００２１】各モジュール２は、モジュールケース８
と、該モジュールケース８を閉蓋する蓋部材９とを備
え、該蓋部材９に設けられた連結舌片１０を介して前記
コンデンサボックス３の本体４と蓋体５との間に挟持さ
れている。図１及び図２に示すように、各モジュール２
は、コンデンサボックス３内において互いに間隙を存し
て保持されていると共に、コンデンサボックス３と各モ
ジュール２との間にも間隙が形成されている。これらの
間隙には、図２に示すように、オイル等の熱媒体Ｘが充
填されている。これによって、コンデンサボックス３内
の温度変化は小さくなり、また、コンデンサボックス３
の外部から熱を受けたときには、内部の温度が急激に上
昇するようなことが防止される。

【００２２】前記モジュール２は、図３に示すように、
前述したように複数の電気二重層コンデンサセル７（以
下、単にセル７という）を前記モジュールケース８に収
容することによって構成されている。前記蓋部材９はそ
の内部に、図示しないセル端子接続基板及びセル電圧制
御手段を備えている。セル端子接続基板は、セル７の端
子を同一極性同士で互いに接続する直列接続用の大電流
基板である。セル電圧制御手段は、セル７の充放電電圧
を制御する電子部品からなる回路である。蓋部材９に
は、各モジュール２を配線接続するためのコネクタ接続
用窓１１が設けられている。なお、該窓１１及び配線用
リードは図１においては図示省略されている。

【００２３】モジュールケース８は、図２及び図３に示
すように、合成樹脂製（例えば、ポリプロピレン製）の
外壁を備え、複数のセル７を各別に収容するように区画
する複数の仕切板１２を備えている。該仕切板１２は、
熱伝導性の高いアルミニウム系金属によって形成されて
いる。

【００２４】前記セル７は、図３に示すように、アルミ
ニウム系金属製のセルケース１３と、該セルケース１３
を閉塞するアルミニウム系金属製の蓋部材１４とを備え
ている。該蓋部材１４は、セルケース１３内に収容され
た電気二重層コンデンサ素子１５（図２に模式的に示さ
れる）の電極に接続された端子１６を備えている。な
お、該コンデンサ素子１５は、図示しないが、合成樹脂
製の結束シートによって結束されてセルケース１３内部
に電解質溶液と共に収容されている。コンデンサ素子１
５とセルケース１３とは、結束シートにより電気的に絶
縁されている。従って、セルケース１３が電気的導体で
あっても、また、前記モジュールケース８の仕切板１２
が電気的導体であっても、各セルケース１３に収容され
たコンデンサ素子同士の電気的絶縁は前記結束シートに
よって維持されている。

【００２５】また、図２に示すように、セルケース１３
がアルミニウム系金属製であると共に、前記モジュール
ケース８の仕切板１２がアルミニウム系金属製であるこ
とにより、各セル７同士の間に温度差が生じても、仕切
板１２が迅速に放熱して、各セル７間の温度差を均一と
することができる。更に、各モジュール２同士の間に温
度差が生じても、図２に示すように、前記熱媒体Ｘによ
って、温度の高いモジュール２の熱を他の温度の低いモ
ジュール２に向かって拡散し、各モジュール２間の温度
差を迅速に均一化することができる。

【００２６】そしてこのように、各セル７間の温度だけ
でなく、各モジュール２間の温度をも均一化することが
できるので、各セル７の熱による劣化を防止して、電源
として十分な性能を発揮させることができる。

【００２７】なお、本実施形態においては、図２に示す
ように、コンデンサボックス３と各モジュール２との間
及び各モジュール２間にオイル等の熱媒体Ｘが充填され
ているものを示した。オイル等の流動性を有する熱媒体
Ｘである場合には、例えば、図４に示すように、前記コ
ンデンサボックス３に熱媒体循環用ポンプ１７を設けて
もよい。熱媒体循環用ポンプ１７によって、コンデンサ
ボックス３内の熱媒体Ｘを強制的に循環させて攪拌する
ことにより、温度の高いモジュール２の熱を一層均一に
コンデンサボックス３内に拡散することができる。

【００２８】また、前記モジュール２を形成する場合
に、図示しないが、モジュールケース８と蓋部材９とを
水密に接合し、更に、前記コネクタ接続用窓１１へのリ
ード接続時の水密状態が完全に得られるならば、熱媒体
Ｘとして水を採用することもできる。

【００２９】また、前記の各実施形態は、複数のセル７
を接続してモジュール２を構成したうえで、複数のモジ
ュール２をコンデンサボックス３内に収容したものを示
したが、例えば、図示しないが、前記のようなモジュー
ル２を形成することなく、複数のセル７を互いに間隔を
存して他のコンデンサボックスに収容するようにし、そ
の他の部分は前述した形態と同様に、コンデンサボック
スと各セル７との間に熱媒体を充填するようにしてもよ
い。

【００３０】更にまた、前記の各実施形態においては、
オイル等の熱媒体Ｘを用いたものを示した。その他の例
として、図２を参照して説明すれば、オイル等の熱媒体
Ｘを充填せずに、モジュール２とコンデンサボックス３
との間において空気を流通自在としておくこともでき
る。これによれば、前記の各実施形態に比べてコンデン
サボックス３内部の熱分布の均一化は多少劣るが、コン
デンサボックス３と各モジュール２との間には空気層に
よる高い断熱効果を得ることができ、コンデンサボック
ス３内外の熱の遮断によってコンデンサボックス３内の
温度変化を小とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の電源装置を示す説明的斜視
図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図。

【図３】電気二重層コンデンサモジュールの説明的分解
斜視図。

【図４】他の実施形態の電源装置を模式的に示す説明
図。

【符号の説明】

１…電源装置、３…コンデンサボックス、７…電気二重
層コンデンサセル、８…モジュールケース、１２…仕切
板、１７…熱媒体循環用ポンプ（循環手段）、Ｘ…熱媒
体。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電気二重層コンデンサに蓄電された電気エ
   ネルギーを供給する電源装置であって、電極及び電解液
   により構成された複数の電気二重層コンデンサセルを、
   熱を遮断するコンデンサボックスに収容してなることを
   特徴とする電源装置。
2. 【請求項２】前記各電気二重層コンデンサセルと前記コ
   ンデンサボックスとの間に熱媒体を充填したことを特徴
   とする請求項１記載の電源装置。
3. 【請求項３】前記熱媒体は流動性を有するものであり、
   前記コンデンサボックスに、該熱媒体を強制的に循環さ
   せる循環手段を設けたことを特徴とする請求項２記載の
   電源装置。
4. 【請求項４】前記コンデンサボックスは、複数の前記電
   気二重層コンデンサセルが収容されたモジュールケース
   を、複数配列して収容し、 該モジュールケースは、互いに隣接する前記電気二重層
   コンデンサセルの間に介在して各電気二重層コンデンサ
   セルを放熱可能に隔離する熱伝導性を有する仕切板を備
   えていることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項
   記載の電源装置。