JPH1151936A - 初感染の特異的検出方法及び検出用試薬キット - Google Patents

初感染の特異的検出方法及び検出用試薬キット

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JPH1151936A
JPH1151936A JP20649197A JP20649197A JPH1151936A JP H1151936 A JPH1151936 A JP H1151936A JP 20649197 A JP20649197 A JP 20649197A JP 20649197 A JP20649197 A JP 20649197A JP H1151936 A JPH1151936 A JP H1151936A
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JP
Japan
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infection
antibody
rubella
igg
iga
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JP20649197A
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English (en)
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Shigeo Takahashi
重雄 高橋
Fusaichi Machikawa
房市 町川
Atsuya Noda
温也 野田
Tetsuya Oda
哲弥 織田
Tetsuya Tachikawa
哲也 立川
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses

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Abstract

(57)【要約】 【課題】感染症の初感染を既往感染と区別して特異的に
検出する方法の提供、当該初感染の検出を簡便に実施す
るための試薬キットの提供。 【解決手段】感染源、特にウイルスに向けられた、尿中
に存在する特異抗体のIgGに対するIgAの力価比か
らなる抗体比を指標として検出することを特徴とする初
感染の特異的検出方法、初感染を特異的に検出するため
の試薬キットであって、感染源に対して産生された抗体
と抗原抗体反応し得る抗原試薬、及びIgGとIgAの
抗体検出試薬の両試薬を有効成分として含有する試薬キ
ット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、尿中に湧出された
抗体のうち免疫グロブリンG(IgG)及び免疫グロブ
リンA(IgA)の各力価を測定し、それらから算出さ
れる抗体比(IgA/IgG)を指標として、微生物な
どの感染源による初感染を特異的に検出する方法及びそ
の検出用試薬キットに関する。
【0002】本発明の方法は、ウイルス、細菌又は原虫
といった微生物等による初感染によって尿中に特異的に
生じる指標を測定することを特徴とするものである。従
って、当該方法によれば、既往感染と区別して、初感染
を簡便且つ特異的に診断することができる。とりわけ風
疹ウイルス感染に対しては、初感染の識別診断に加え
て、感染時期をかなり絞り込んで特定することも可能で
ある。先天性風疹症候群児の出生が妊娠初期の風疹初感
染に起因することに鑑みて、風疹ウイルス感染に対する
本発明は、特に妊婦に対する風疹感染診断法として有用
である。
【0003】また、本発明の方法及びキットは、非侵襲
的に採取できる尿を検体として用いることができるた
め、簡便であるとともに、採血が困難な幼児・小児に対
する感染症の診断に多いに利用できる点で有用である。
【0004】
【従来の技術】感染症に対してその診断を確実にかつ速
やかに行うことは、当該疾患に対する適切な医療処置を
とる上で重要である。
【0005】感染症のうち、例えばウイルス感染の診断
方法として、最も確かな方法はウイルスを分離し確認す
ることであるが、通常は、間接的な診断法として、ウイ
ルス感染によって引き起こされる生体反応、とりわけ該
ウイルスに向けられた特異抗体の出現またはその上昇の
確認が広く行なわれている。
【0006】例えば風疹は、RNAウイルスである風疹
ウイルス(ルベラウイルス:rubella virus)によって起
きる感染性疾患であり、経気道飛沫により感染し2〜3
週間の潜伏期後発症する。
【0007】風疹の臨床経過及び予後は一般に良好であ
るが、妊婦が罹患すると流産や早産の原因となり、また
持続感染の結果として先天性風疹症候群(CRS)児を
出産する可能性がある。このCRS児出生頻度は、母体
の感染時期により相違し、妊娠1か月で50%以上、2
か月で30%、妊娠3か月で20%、妊娠4か月で5%
と妊娠初期の感染によってその危険率が増すといわれて
いる。このため、妊娠がわかった段階で早期に風疹感染
の確定診断を行うことが求められている。
【0008】また風疹は臨床症状が現れない不顕性感染
が比較的多い一方、CRSを出生した母体の15〜20
%は不顕性感染であり、CRSを引き起こす危険率は臨
床症状の軽重や不顕性感染とは関係がないといわれてい
る。また、再感染では一般にCRSを起こすおそれはな
いといわれている。
【0009】このような事情から、従来から風疹による
初感染を特異的に診断する方法が求められている。
【0010】従来汎用されている風疹の初感染診断法と
しては、血清の風疹抗体価(赤血球凝集抑制反応:H
I)の上昇を観察する方法、血清中のIgM風疹抗体を
検出する方法等といった血清診断が挙げられる。
【0011】しかしながら、前者の血中抗体価の上昇を
観察する方法は、1〜2週間に亘って抗体価の上昇を観
察しなくてはならず、その診断に時間を要する。また、
IgM抗体は感染初期ばかりでなく感染後長期にわたっ
て検出されることが報告されていることから(吉川ひろ
み「風疹ウイルス感染症における血清学的研究」、ウイ
ルス、28(2), 43-49, 1978年;AL-Nakib, W., J. M. Be
st, and J. E. Banatvala. 1974. Rubella-specific Ig
M and a new inhibitor. Brit. Med. J. iii:579; Patt
ison, J. R., D. S. Dane and J. E. Mace. 1975. Pres
ence of specific IgM after natural infection with
rubella virus. Lancet i: 185-187; Ogra, P. L., D.
Kerr-Grant, G. Umana, J. Dzierba and D. Werntraub.
1971.Antibody response in serum and nasopharynx a
fter naturally acquired andvaccine induced infecti
on with rubella virus. N. Eng. J. Med. 285: 1333-1
339; AL-Nakib, W., J. M. Best, and J. E. Banatval
a. 1975. Rubella-specific serum and nasopharyngeal
immunoglobulin responses following naturally acqu
ired and vaccine-induced infection. Lancet i: 182-
185)、後者の診断方法では初期感染と既往感染とを区
別することができない。さらに血清IgMの測定は、一
般的に、その前処理としてIgG及びIgAを吸収する
操作〔Israel Journal of Medical Sciences. 23(12):1
223-7, 1987; Archives of Virology. 95(1-2):41-52,
1987; Journal of Medical Virology. 19(2):101-10, 1
986;Journal of Clinical Pathology. 34(6):670-3, 19
81; Journal of Immunological Methods. 32(1):59-70,
1980; Acta Microbiologica Polonica. 28(4)293-9, 1
979; Medical Microbiology & Immunology. 167(2):77-
82, 1979; Journal of Laboratory & Clinical Medicin
e. 92(6):849-57, 1978; Acta Pathologica et Microbi
ologica Scandinavia - Section C, Immunology. 86
(1):33-5, 1978;Journal of Clinical Microbiology. 5
(6):588-92, 1977; Clinical & Experimental Immunolo
gy. 22(3):431-7, 1975; Journal of Infectious Disea
ses. 130(3):268-73, 1974)、若しくはキャプチャー法
(Journal of Medical Virology, 5, 273 (1980); Jour
nal of immunoassay, 3(2), 197 (1982)〕という煩雑な
測定方法を必要とする。また、一般に血清中の抗体を測
定する血清診断法によれば、検体を測定前に希釈する操
作が別途必要となる。
【0012】このような既存の血清診断法における問題
点は、風疹に限らず、他の微生物感染においても同様で
あり、例えば、単純ヘルペス感染症を例にとれば以下の
とおりである。
【0013】単純ヘルペス感染症は、1型(HSV−
1)及び2型(HSV−2)の単純ヘルペスウイルス
(helpes simplex virus: 以下、HSVともいう)によ
る感染症であり、初感染時に口腔や生殖器等の粘膜から
進入し、初感染後、三叉神経節に潜伏し反復発症する。
臨床像は、極めて多彩であり、新生児期、小児期及び成
人ではそれぞれ異なり、主として、皮膚、粘膜、眼、中
枢神経系或は全身性の症状を呈する。
【0014】単純ヘルペス感染症の診断は、現状では水
泡内容からのウイルス分離と血清抗体価の上昇によりな
されている。しかしながら、上述するようにHSVによ
る初感染の大部分は潜在的な不顕性感染であり、また非
感染状態となっても抗体は持続することから、たとえ当
該ウイルスに向けられた血清抗体が陽性であっても、そ
れが初感染によるものなのか、回帰感染または既往歴に
よるものなのかを区別することは困難である。
【0015】性器ヘルペスの場合、その初感染は病期が
回帰感染に比して一般的に長く3〜4週間持続する。よ
って、妊婦が性器ヘルペスを発症した場合、発症後1カ
月以内であれば産道感染による新生児ヘルペス症を防ぐ
ために帝王切開することが求められる。このため、特に
性器ヘルペスの診断においては、その感染が初感染であ
るか否かの判定並びに感染期の特定が重要となる。
【0016】このように、斯界には、各種感染源による
初感染の把握(初感染の識別、感染時期の推定)を的確
に行うという要望があるにも関わらず、既存の血中特異
抗体の検出による方法はなお改良の余地を残しており、
初感染に共通する特有な指標の提供、ひいては各種感染
症において上記所望の初感染の診断が簡便に行える測定
法の開発が望まれている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みて開発されたものであり、感染症の初感染を既往
感染と区別して特異的に検出する方法を提供することを
目的とする。
【0018】また、本発明は、当該初感染の検出を簡便
に実施するための試薬キットを提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種感染
源による初感染を特異的に検出するための簡便かつ信頼
性の高い検出方法を開発すべく、感染後に血中及び尿中
に出現する種々のクラスの抗体の動向を追っていたとこ
ろ、感染によって尿中に出現する抗体のIgGとIgA
との間に一定の関係があることを見出した。更に、発明
者らは、この特定の関係を指標にすることによって、初
感染を既往感染又は回帰感染等と区別して特異的に検出
できること、また感染源の種類によっては、初感染に加
えてその感染時期を高い信頼性をもって推定することが
可能となることを確認して本発明を完成するに至った。
【0020】即ち、本発明は、下記(1)〜(4)に示
す感染症の初感染を特異的に検出する方法である。
【0021】(1)尿中に存在する、感染源に向けられ
た特異抗体のIgGに対するIgAの力価比からなる抗
体比を指標として検出することを特徴とする、初感染の
特異的検出方法。
【0022】(2)上記抗体比が、既往感染におけるそ
れに対して大の値を示すことを指標とする(1)記載の
初感染の特異的検出方法。
【0023】(3)感染源が、ウイルスである(1)ま
たは(2)記載の初感染の特異的検出方法。
【0024】(4)ウイルスが、風疹ウイルス又は単純
ヘルペスウイルスである(3)記載の初感染の特異的検
出方法。
【0025】また、本発明は上記(1)から(4)に記
載する初感染の特異的検出を簡便かつ特異的に実施する
ための試薬キット、即ち、感染源に対して産生された抗
体と抗原抗体反応し得る抗原試薬、及びIgGとIgA
の抗体検出試薬の両者試薬を有効成分として含有する試
薬キットである。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は、各種感染症をもたらす
感染源による初感染を、既往感染又は回帰感染と区別し
て特異的に検出する方法である。詳細には、尿を被検体
とする検出方法であって、感染源に対して産生された特
異抗体のうちIgG及びIgAの力価をそれぞれ免疫測
定法等により測定し、それらの値から算出される抗体比
(IgA/IgG)を指標とすることを特徴とする初感
染の特異的検出方法である。
【0027】本発明で「感染源」とは、ウイルス、細
菌、原虫等の微生物を意味する。本発明が対象とする微
生物としては、その微生物自身若しくはそれを介して哺
乳類、特にヒトに対して感染症をもたらすものである限
り特に制限はされないが、具体的には肝炎ウイルス(H
AV,HBV,HCV),ムンプスウイルス,風疹ウイ
ルス,単純ヘルペスウイルス,水痘・帯状ヘルペスウイ
ルス,サイトメガロウイルス,麻疹ウイルス,EBウイ
ルス,パルボウイルス,エイズウイルス,コクサッキー
ウイルス,エンテロウイルス,アデノウイルス,(パ
ラ)インフルエンザウイルス等のウイルス、クラミジア
(クラミジア・トラコマティス,クラミジア・ニューモ
ニア,クラミジア・シッタシ),スピロヘータ,結核
菌,ヘリュバクターピロリ,淋菌,トレポネーマ(梅
毒),マイコプラズマ等の細菌、ツツガムシ,トキソプ
ラズマ,赤痢アメーバー等の原虫が例示される。好まし
くは、風疹ウイルス,単純ヘルペスウイルス等のウイル
スである。
【0028】よって、本発明の検出方法及び検出キット
は、上記微生物を含む各種感染源による初感染の診断に
用いられる。
【0029】本発明において、「感染」には能動免疫を
与える目的で投与されるワクチン接種を含むものとす
る。また「初感染」とは、特定の感染源に対して最初の
感染を指し、「回帰感染」や過去に感染発症歴又は不顕
性感染歴のある「既往感染」とは区別される。
【0030】本発明方法において、感染源に対して産生
された特異抗体としてのIgG及びIgAの測定方法
は、尿を被検試料とする限りにおいて特に制限されるこ
とはなく、慣用の方法を広く採用することができる。具
体的には、感染源に特有の抗原を利用する各種の免疫測
定法を好適に例示できる。
【0031】例えば、ヒト尿を被検試料とする固相化サ
ンドイッチ法を例にすると、目的抗体は例えば以下の方
法で測定することができる。まず測定対象である特定の
感染源に対して産生された抗体と特異的に抗原抗体反応
する抗原を固相化しておき、これに被検試料としての尿
検体を加える。その結果、固相化抗原と試料中の抗体と
の間で抗原抗体反応が起こり、検体中に存在する目的抗
体は固相化抗原に結合する。次に結合した目的抗体のう
ちヒトIgG及びヒトIgAのそれぞれの抗体量(力
価)を、ヒト抗体検出試薬を用いて検出することによ
り、被検試料中に存在する目的のヒトIgG及びヒトI
gAのそれぞれを検出、測定することができる。
【0032】また、上記において、ヒト抗体検出試薬を
固相化し、これにより検体中のヒト抗体を捕捉し、次い
で感染源に特有の抗原を加えて目的抗体に結合させ、更
に該抗原の特異抗体の標識体を結合することにより、被
検試料中に存在する目的のヒトIgG又はヒトIgAの
抗体量(力価)を検出、測定することもできる。これら
測定手法における各種手段の選択やそれらの改変等はい
ずれも当業者のよく知るところであり、本発明において
はそれら各手法のいずれによることもできる〔「臨床検
査法提要」、金原出版、1995年等参照〕。
【0033】尚、IgG又はIgAを検出するための抗
体検出試薬は、特に制限されることなく一般に使用され
ている各種の試薬を利用できる。例えば、好適にはヒト
IgG又はヒトIgAに特異的に結合する抗ヒトIgG
抗体又は抗ヒトIgA抗体等を利用できる。これらは市
販品として入手できるが、常法に従い調製することもで
きる。
【0034】また、感染源に対して産生された抗体と抗
原抗体反応し得る抗原試薬としては、当該感染源に特有
の抗原からなるものであれば特に制限されない。このよ
うな抗原としては、当該感染源そのものでもよいが、少
なくとも感染源特有の抗原決定基を有するものであれば
よく、例えば、当該感染源を加温処理や放射線照射等に
より不活性化したもの、当該感染源より界面活性剤等で
抽出した抗原、また、化学合成や遺伝子工学的手法によ
り人工的に調製した抗原等が例示できる。尚、採用しよ
うとする抗原が、本発明に良好に使用し得るかは、例え
ば、個別具体的に感染源たる微生物に対して産生された
抗体との反応性を常法に従い試験することにより容易に
確認できる。また、上記感染源は、常法に従い、これと
適合性の任意の宿主細胞を利用して増殖することもでき
る。
【0035】尚、前記したように、感染源に向けられた
血中の特異抗体の測定法は当業者によく知られており、
本発明においてもそれらの測定手法、手段及びそれらに
使用の測定試薬等を好適に利用することができる。
【0036】例えば、上記測定方法において、固相法を
採用する場合、測定系の抗原或は抗体は常法に従って固
相に固定化して用いられるが、固相としては不溶性、不
活性担体であれば特に制限されず、通常使用されるもの
が広く用いられる。例えばガラス、セルロース粉末、セ
ファデックス、セファロース、ポリスチレン、濾紙、カ
ルボキシメチルセルロース、イオン交換樹脂、デキスト
ラン、プラスチックフィルム、プラスチックチューブ、
ナイロン、ガラスビーズ、絹、ポリアミン−メチルビニ
ルエーテル−マレイン酸共重合体、アミノ酸共重合体、
エチレン−マレイン酸共重合体等の種々の素材からなる
スティック、ビーズ、マイクロプレート、試験管等が広
く用いられる。
【0037】抗原あるいは抗体の固定化方法についても
特に制限はなく、物理的結合及び化学的結合のいずれを
も使用できるが、例えば共有結合法としてジアゾ法、ペ
プチド法(酸アミド誘導体法、カルボキシルクロライド
樹脂法、カルボジイミド樹脂法、無水マレイン酸誘導体
法、イソシアナート誘導体法、臭化シアン活性化多糖体
法、セルロースカルボナート誘導体法、縮合試薬を使用
する方法等)、アルキル化法、架橋試薬による担体結合
法(架橋試薬としてグルタールアルデヒド、ヘキサメチ
レンイソシアナート等を用いる。)、Ugi反応による
担体結合法等の化学的反応:あるいはイオン交換樹脂の
ような担体を用いるイオン結合法:ガラスビーズ等の多
孔性ガラスを担体として用いる物理的吸着法等が例示で
きる。
【0038】また、各測定系における標識剤としても、
特に制限はされず、従来公知のもの又は将来使用され得
るいずれをも用いることができるが、具体的には3H、
14C等の放射性同位元素、アルカリホスファターゼ、
パーオキシダーゼ(POX)などの酵素、フルオレセイ
ンイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルロー
ダミンイソチオシアネート(RITC)等の蛍光物質、
及び1N−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキ
シル−4−ピペリジル)−5N−(アスパルテート)−
2,4−ジニトロベンゼン(TOPA)等が例示され
る。これらを標識剤として使用する免疫測定法は、それ
ぞれラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセ
イ、フルオロイムノアッセイ及びスピンイムノアッセイ
と称されるが、本発明においては簡便性、安全性、感度
等の観点から、好ましくは、酵素を標識剤として用いる
エンザイムイムノアッセイが採用される。
【0039】酵素標識のための酵素標識物質としては、
例えば、上記に加えて、マイクロパーオキシダーゼ、キ
モトリプシノーゲン、プロカルボキシペプチダーゼ、グ
リセロアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、アミラー
ゼ、ホスホリラーゼ、D−ナーゼ、P−ナーゼ等を例示
することができる。なお、これらの標識物質による標識
方法は、自体公知の方法に従って行うことができる
(「単クローン抗体」岩崎辰夫 他著、講談社サイエン
ティフィク、1984;「酵素免疫測定法」第2版、石川栄
治 他著、医学書院、1982等)。
【0040】酵素活性の測定は、使用する酵素の種類に
応じて公知の方法に従って行うことができ、例えば標識
酵素としてパーオキシダーゼを用いる場合は基質として
ABTSJ2,2’−アジノ−ビ(3’エチルベンツチ
アゾリンスルホン酸)を用い、またアルカリホスファタ
ーゼを用いる場合は基質としてp−ニトロフェニルホス
フェートを用いて、それぞれインキュベートし、各基質
の分解を分光光度計等を用いて測定する方法等が挙げら
れる(「酵素免疫測定法」第2版、石川栄治他著、医学
書院、1982等参考)。
【0041】なお、上記酵素標識の代わりに、放射性同
位元素や蛍光物質による標識体を用いる場合も自体公知
の方法に従って測定することができる。
【0042】上記の測定系において使用される溶媒とし
ては、反応に悪影響を与えないものであれば一般的に使
用されるもののいずれをも用いることができるが、具体
的にはクエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩緩衝
液、酢酸緩衝液等のpHが約5〜9程度の緩衝液が例示
される。
【0043】免疫反応(結合)条件も特に制限はなく、
一般にこの種の測定法で用いられる通常の条件が採用さ
れるが、一般には45℃以下、好ましくは約4〜40℃
程度の温度条件下に、約1〜40時間程度を要して反応
を行うことができる。
【0044】本発明では、かくして測定された目的抗体
のIgA及びIgGの量(力価)から、本発明にかかる
抗体比(IgA/IgG)を算出することが重要であ
る。しかして当該抗体比が重要であって、目的の抗体量
を適切に測定し得る限りにおいてどのような測定手法に
よろうとも本発明に利用できることが理解されるであろ
う。
【0045】かかる本発明抗体比は、例えば、酵素活性
(吸光度)や放射活性等の抗体測定系に採用した標識活
性に基づく直接の測定値等を利用して算出することがで
き、また、常法に従い抗体力価として換算された値を用
いてもよい。
【0046】本発明によれば、かかる抗体比(IgA/
IgG)を指標にすることによって、微生物等の感染源
による初感染を特異的に検出することが可能である。
【0047】即ち、初感染における個体の尿中抗体比
(IgA/IgG)は、既往感染個体における同抗体比
と比較して、大の値を示すことにより明確に相違し、こ
れにより両者を的確に区別することができる。
【0048】したがって、本発明において尿中抗体比
(IgA/IgG)による初感染検出を行うに際して、
既往感染個体における尿中抗体比(IgA/IgG)を
対照コントロールとして設定しておくのが簡便である。
ここで対照コントロールとしては、対象とする感染源に
対して終生免疫を有する既往歴者等の既往感染個体に由
来する尿中抗体比(IgA/IgG)が用いられるが、
より好適には感染後少なくとも1年以上経過した既往感
染個体における尿中抗体比(IgA/IgG)である。
【0049】尚、本発明において、上記評価方法とし
て、好ましくはカットオフ値を利用する方法が例示され
る。
【0050】ここでカットオフ値は、対象とする感染源
に対して未感染である個体に由来する尿検体を用いて、
本発明実施のために採用したのと同一の測定系に従って
目的抗体量(力価)(IgA、IgG)を測定し、その
平均値(M)とその標準偏差(SD)から算出される値
である。算出方法は任意に設定できるが、通常、平均値
に3倍の標準偏差を加えた値とするのがよい。
【0051】該カットオフ値を利用することにより、被
験試料尿における目的のIgG及びIgAの抗体量(力
価)をカットオフインデックス値(COI値)として得
ることができ、これにより、本発明の測定方法において
指標となる尿中抗体比(IgA/IgG)を算出するこ
とができる。
【0052】具体的には、各抗体のカットオフインデッ
クス値は、次式により求めることができる。 IgAのCOI値(IgACOI)=IgA測定値/Ig
Aカットオフ値 IgGのCOI値(IgGCOI)=IgG測定値/Ig
Gカットオフ値 尿中抗体比(IgA/IgG)としてCOI値を利用し
た尿中抗体比(IgACOI/IgGCOI)を用いると、実
施例において示すように、既往感染個体に由来する尿中
抗体比は、通常1よりも低値であるのに対して、初感染
個体に由来する尿中抗体比は異なる挙動を示し、一定時
期に1以上の値となる。従ってこの方法によれば、検体
尿における抗体比(IgACOI/IgGCOI)から、感染
源に対する初感染か否かを簡便に判定することができ
る。
【0053】本発明の方法は、初感染によって尿中に出
現する特有のマーカー(IgA/IgG)を指標とする
ものであり、初感染を既往感染又は回帰感染と区別して
検出するのに適している。
【0054】尚、上記本発明方法を実施するに際して
は、上記検出のための試薬キットを利用することが簡便
であり、本発明はまた、初感染の検出法の実施に利用で
きる試薬キットを提供するものである。
【0055】本発明の試薬キットは、IgG及びIgA
の両者を検出するための抗体検出試薬及び対象感染源に
特有の抗原試薬の両者試薬を有効成分として含むことを
特徴とするものであるが、当該有効成分に加えて、固
相、標識剤、標識剤に応じた基質(検出試薬)の中から
任意に選択される少なくとも一乃至三を組み合わせたも
ののセットであってもよい。
【0056】ここにおいて、セット中に固相が含まれる
場合は、当該固相には予め測定系に応じた任意成分が固
定化されていてもよく、またセット中に標識剤が含まれ
る場合も、同様に任意成分が当該標識剤で予めコンジュ
ゲートされていてもよい。尚、標識剤としては前述する
ように放射性同位元素、酵素、蛍光物質等の種々の化合
物が挙げられるが、好ましくは酵素が挙げられる。
【0057】さらに、当該試薬キットには、測定の実施
の便益のために適当な抗体希釈液、反応希釈液、標準抗
体、緩衝液、洗浄液、基質溶解液、反応停止液等が含ま
れていてもよい。また抗体試薬は、安定剤としてチメロ
サールやグリセリン等を加えて凍結乾燥されていてもよ
い。
【0058】以上、本発明の効果は次のように要約され
る。
【0059】(1)尿中の感染源に対する抗体の比(I
gA/IgG)を指標にすることによって、感染源によ
る初感染を判断できる。具体的には、被験尿試料に存在
する、対象感染源に対する抗体(力価)の比(IgA/
IgG)が、既往感染個体から得られる尿試料において
得られるそれよりも大きい値を示す場合には、該感染源
による初感染である疑いが示唆される。
【0060】(2)感染源によっては、初感染の識別検
出に加えてその感染の時期を特定することができる。こ
れは、例えば風疹ウイルスにおける妊娠初期の感染診断
や妊婦の性器ヘルペス感染の診断等のように、その後の
医療処置において感染時期が重要な情報となる場合にお
いて極めて有用である。
【0061】(3)本発明方法は、被験試料として安全
かつ簡便な尿が使用できる点において、臨床検査、診断
分野において有用性の高い方法である。特に、血清を被
検体とする従来の検査法と比較して、血液を介した感染
の危険性、採血に必要な特別な器具や技術者、殊に乳幼
児からの採血における技術的困難性、あるいは使用済器
具や血液の廃棄処理の問題がないことは意義のあること
である。
【0062】以下、本発明の内容を実施例を用いて具体
的に説明する。ただし、本発明はこれらに何ら限定され
るものではない。
【0063】
【実施例】
実施例1 尿中風疹ウイルス(Rubella)抗体の測定 (1)ルベラ抗原プレートの調製 抗原として市販のルベラ抗原(BIO-DESIGN社)を用い、
抗原濃度を1μg/mlとなるように冷ダルベッコ
(D)−PBSにて調製した。これを96ウエルマルチ
プレートの各ウエルに100μl加え、4℃で一夜イン
キュべートした。該ウエルを洗浄後、ブロッキング液
(D-PBS,1% BSA, 5% ソルビトール, 0.05% NaN3 (pH
7.4))を300μl加え、4℃で一夜インキュベートし
た。次いでブロッキング液を除去し、25℃で一夜乾燥
させ、これをアルミ袋に乾燥剤とともに入れ密封して、
使用時まで4℃で保存した。
【0064】(2)尿中抗体の測定 上記で得られたプレートを用い、尿検体中に含まれるル
ベラ抗体(IgG及びIgA)のそれぞれを測定した。
【0065】即ち、各ウエルに、第1緩衝液(200mM Tr
is, 0.14M NaCl, 2% カゼイン, 0.5% BSA, 0.05% Tween
20, 0.1% NaN3, (pH 7.3))を25μl及び尿サンプル
を100μl加え、10秒間攪拌後、37℃で1時間放
置した。該プレートを6回洗浄後(洗浄液:D-PBS, 0.0
5% Tween20)、酵素(HRP)標識抗ヒトlgG抗体(Per
oxidase conjugated Affini Pure Goat anti-Human lg
G:ジャクソン・イムノ・リサーチ)又は同抗ヒトIg
A抗体(ジャクソン・イムノ・リサーチ)を第2緩衝液
(50mM Tris, 0.14M NaCl, 0.5% BSA, 5% ヤギ血清, 0.
05% Tween20, 0.1% XL-II(pH 7.3))で11,000倍希
釈したものを100μ1加えて37℃で1時間放置し、
その後プレート洗浄(6回)を行った。
【0066】次いで、発色液(50% TMB, 50mM シトレー
ト-Na2HPO4, 0.0075% H2O2)を100μ1加え、室温で
10分間反応後、反応停止液(50% TMB停止溶液, 50% 1
N-H2SO4)100μlを加えて吸光度(450nm)を
測定した。
【0067】(3)測定結果 .血中IgG風疹抗体陽性健常成人68名(風疹の既
往歴のある者(風疹ワクチン接種歴のある者も含
む。))および同陰性健常成人21名(風疹未感作者)
を対象とした結果を図1及び図2に示す。
【0068】図1は尿中IgG風疹抗体の測定結果を、
また図2は尿中IgA風疹抗体の測定結果を示す。縦軸
は、下記式によって求めたカットオフインデックス(C
OI)を、横軸の「陽性」及び「陰性」は、市販キット
(風疹IgG(II)−EIA「生研」、デンカ生研
(株))により測定した血清IgGルベラ抗体の陽性者
(風疹感作群)及び同陰性者(風疹未感作群)による群
分けを示す。
【0069】なお、カットオフインデックス(COI)
算出に用いたカットオフ値は上記「陰性」群(風疹未感
作群)の測定値の平均値(M)にその標準偏差(SD)
の3倍を加えた値(M+3SD)である。
【0070】図1及び図2からわかるように、「陽性」
群(血清診断)に相当する尿中の風疹抗体IgG及びI
gAの測定値はいずれも「陰性」群に比して有意に高か
った。特に、図1で示される尿中のIgG風疹抗体値
(IgGCOI)は、優れた感度と特異性をもって血清抗
体による診断結果と一致した。
【0071】一方、初感染の検出という観点からは、尿
中IgG風疹抗体測定値(図1)は勿論、図2で示すよ
うに、風疹感作群の獲得免疫に由来する尿検体(陽性
群)中にもIgA風疹抗体がかなり多く含まれている例
があることが判明し、尿中のIgG及びIgA風疹抗体
測定値は、それら単独では風疹の初感染の指標として十
分なものとはいえないことが示唆された。
【0072】.風疹ワクチンの接種によって初感染を
受けたボランティア3名の測定結果を図3及び図4に示
す。
【0073】図3及び図4は、それぞれ尿中に出現する
IgG風疹抗体及びIgA風疹抗体の経時動向を、また
図5及び図6は、それぞれ血中に出現するIgG風疹抗
体及びIgM風疹抗体の経時的動向を示す。なお各図
中、○は各測定における陰性検体を、●は同様に陽性検
体を示す。
【0074】図3及び図5より、尿中IgG風疹抗体の
動向は、同時に測定した血中における同抗体の動向と殆
ど変わらずほぼ同等であった。また、図4及び図6よ
り、尿中IgA風疹抗体及び血中IgM風疹抗体は3週
目より上昇し、5,6週目以降は徐々に減じるものの、
ワクチン接種後長期に渡って陽性を示した。
【0075】これら図1及び図3の結果から、風疹感染
に関して、従来の血清診断に代えて、尿中のIgG風疹
抗体を測定する方法が使用できることがわかる。尿を被
検試料とするこの方法は、血清を被検体とする従来法と
異なり、検体の前処理が不要でかつ取り扱いが簡便であ
ることに加えて、血液採取の困難な小児からも容易に検
体を採取できる点で有用である。
【0076】また、尿中IgA風疹抗体及び血中IgM
風疹抗体は、比較的感染初期に高値を示す傾向はある
が、従来から報告されているように感染後(ワクチン接
種後)長期に渡り陽性を保ち、優れた初感染の指標では
ないことが、この実験でも示された。
【0077】.上記で得られた結果に基づいて、尿
サンプル中のIgG風疹抗体力価(COI)に対するI
gA風疹抗体力価(COI)の抗体比(IgA/Ig
G)を求めた。ここで、抗体比は、それぞれのカットオ
フインデックス(COI)により次式によって求められ
た。
【0078】 IgA/IgG抗体比=IgACOI/IgGCOI 結果を図7に示す。該図において、「既往」は上記に
おける「陽性」群(風疹感作群)の尿検体についての抗
体比(IgACOI/IgGCOI)を示す。また図中○は尿
中IgG風疹抗体と尿中IgA風疹抗体のいずれもが陰
性である検体を、また●は両者のいずれかが陽性である
検体を示す。
【0079】図7より、本発明抗体比(IgA/Ig
G)は、風疹感染(ワクチン接種)の約3週目から4週
目にかけて急激に上昇し、その後は急速に下降するが8
週目までは比較的高い状態を維持することが判る。この
抗体比は、獲得免疫に由来する検体(既往)では共通し
て低値であり(通常、1よりも小さい)、このことは、
尿中の風疹抗体比(IgA/IgG)を指標にすること
によって、風疹の初感染を的確に判断できることを意味
している。つまり、尿サンプルの風疹抗体比(IgA
COI/IgGCOI)が、約1以上の場合は初感染であると
判断できる。
【0080】尚、同抗体比が低値である場合(1よりも
小さい場合)には、既往歴(風疹感作歴)と判断され
る。風疹未感作群においては、抗体価がIgG及びIg
Aともに低値(陰性)であるため、同抗体比の算出対象
とはならない。即ち、尿中IgG風疹抗体とIgA風疹
抗体のいずれもが陰性の場合は、容易に風疹未感作と判
断できる。
【0081】また、風疹感染後の尿中風疹抗体比(Ig
A/IgG)は、図7に示されるような特徴的な上昇及
び下降カーブを描く傾向があることから、本発明方法に
よれば、風疹初感染のみならず尿を被検試料として風疹
感染の時期をも推測することができる。従って、本発明
は、当該方法で得られる風疹感染時期と妊娠時期との関
係から、妊娠初期における風疹感染を簡便に診断する方
法として有用である。
【0082】既に述べたように、風疹ウイルスは胎児に
及ぼす影響が最も強いウイルスであり、妊娠初期の女性
が罹患すると、垂直感染の結果、先天性風疹症候群(C
RS)児を出生する危険性がある。しかも、風疹は不顕
性感染が多く、臨床症状がないからといって非感染であ
ると認定することはできない。
【0083】また、再感染では一般にCRSを起こすお
それはないといわれている。一般に再感染の場合、初感
染のようなIgAやIgMの急激な産生は起きず、すぐ
にIgGが産生されるため、本発明の(IgA/Ig
G)比は低値となると容易に予想できる。とするなら、
本発明の検出方法は、風疹感染診断において、初感染を
既往感染のみならず再感染(回帰感染)と区別して検出
できる方法である。
【0084】以上のことから、CRSを高い確率で生じ
る風疹の初感染を既往感染及び再感染(回帰感染)と区
別して診断でき、さらには感染時期の特定が可能な本発
明の方法は、特に妊婦を対象とする風疹感染の診断方法
として極めて有用である。また、幼児・小児における発
疹を伴う他の疾患と識別診断にも有用である。
【0085】実施例2 尿中HSV抗体の測定 (1)HSV抗原プレートの調製 抗原として市販のHSV抗原(BIO-DESIGN社)を用い、
抗原濃度を2μg/mlとなるように冷ダルベッコ
(D)−PBSにて調製した。これを96ウエルマルチ
プレートの各ウエルに100μl加え、4℃で一夜イン
キュべートした。該ウエルを洗浄後、ブロッキング液
(D-PBS,1% BSA, 5% ソルビトール, 0.05% NaN3 (pH
7.4))を300μl加え、4℃で一夜インキュベートし
た。次いでブロッキング液を除去し、25℃で一夜乾燥
させ、これをアルミ袋に乾燥剤とともに入れ密封して、
使用時まで4℃で保存した。
【0086】(2)尿中抗体の測定 上記で得られたプレートを用い、尿検体中に含まれるH
SV抗体(IgG及びIgA)のそれぞれを測定した。
【0087】即ち、各ウエルに、第1緩衝液(200mM Tr
is, 0.14M NaCl, 2% カゼイン, 0.5% BSA, 0.05% Tween
20, 0.1% NaN3, (pH 7.3))を25μl及び尿サンプル
を100μl加え、10秒間攪拌後、37℃で1時間放
置した。該プレートを6回洗浄後(洗浄液:D-PBS, 0.0
5% Tween20)、酵素(HRP)標識抗ヒトlgG抗体(Per
oxidase conjugated Affini Pure Goat anti-Human lg
G:ジャクソン・イムノ・リサーチ)又は同抗ヒトIg
A抗体(ジャクソン・イムノ・リサーチ)を第2緩衝液
(50mM Tris, 0.14M NaCl, 0.5% BSA, 5% ヤギ血清, 0.
05% Tween20, 0.1% XL-II(pH 7.3))で11、000倍
希釈したものを100μ1加えて37℃で1時間放置
し、その後プレート洗浄(6回)を行った。
【0088】次いで、発色液(50% TMB, 50mM シトレー
ト-Na2HPO4, 0.0075% H2O2)を100μ1加え、室温で
10分間反応後、反応停止液(50% TMB停止溶液, 50% 1
N-H2SO4)100μlを加えて吸光度(450nm)を
測定した。
【0089】(3)測定結果 .市販キット(エンザイグノストB HSV/Ig
G、ベーリングベルケ社)により測定した血清HSV抗
体(IgG)の陽性者〔初感染者、並びに再発患者(再
発感染者)及び不顕性感染者を含む既感染者〕82例及
び同陰性者(未感染者)12例を対象として、上記によ
り測定した尿中HSV抗体の測定結果を図8及び図9に
示す。
【0090】図8及び図9は、それぞれ尿中IgG−H
SV抗体及び尿中IgA−HSV抗体の測定結果を示
す。尚、縦軸の表示は図1又は2と同じくカットオフイ
ンデックス(COI)を示し、横軸の「陽性」及び「陰
性」は、それぞれ上記市販キットにより測定した血清I
gG−HSV抗体の陽性者及び陰性者による群分けを示
す。また、カットオフインデックス(COI)算出に用
いたカットオフ値は上記「陰性」群の測定値の平均値
(M)にその標準偏差(SD)の3倍を加えた値(M+
3SD)である。
【0091】図8より、尿中IgG−HSV抗体の測定
は、HSV感染及びその既往歴をHSV未感染と識別す
るのに有用であることがわかる。特に、HSV感染はそ
の大多数が採血の困難な小児期に起こることから、尿を
検体としてHSV感染の有無を判定できることは有意義
である。
【0092】上記血清HSV抗体陽性者における本発明
のHSV抗体比(IgA/IgG)を算出した結果を図
10に示す。同図中Aは、再発(反復感染)群(図中
「再発」と標記)及び不顕性感染を含む既往歴群(図中
「既往」と標記)の同抗体比を示す。また同図中Bは、
初感染におけるHSV抗体比(IgA/IgG)の経時
的変化を示す。尚、縦軸は、前記したカットオフインデ
ックス(COI)より算出した抗体比(IgACOI/I
gGCOI)を示している。
【0093】図10より、HSV抗体比(IgA/Ig
G)は、HSV初感染において高値を示し、発症より日
数が経過するにつれて低下することが判る。この抗体比
は、再発例及び感染既往例においてはいずれも低値を示
す(1より小さい)ことより、本発明によれば、この抗
体比を指標にすることによりHSVの初感染を既往感染
及び回帰感染と区別して的確に判断できることがわか
る。特に、発症後早期の初感染の識別に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】健常者を対象として、尿中の風疹抗体IgGの
レベルを測定した実施例1の結果を示す。縦軸はカット
オフインデックス(COI)を、横軸の「陽性」及び
「陰性」は、市販キットにより測定した血清IgG風疹
抗体の陽性者(風疹感作群)及び同陰性者(風疹未感作
群)による群分けを示す。
【図2】健常者を対象として、尿中の風疹抗体IgAの
レベルを測定した実施例1の結果を示す。縦軸及び横軸
は図1と同じである。
【図3】風疹ワクチン接種後に、尿中に出現する風疹抗
体(IgG)の経時的推移を示す図である(被験試料:
n=3)。
【図4】風疹ワクチン接種後に、尿中に出現する風疹抗
体(IgA)の経時的推移を示す図である(被験試料:
n=3)。
【図5】風疹ワクチン接種後に、血中に出現する風疹抗
体(IgG)の経時的推移を示す図である(被験試料:
n=3)。
【図6】風疹ワクチン接種後に、血中に出現する風疹抗
体(IgM)の経時的推移を示す図である(被験試料:
n=3)。
【図7】風疹ワクチン接種後の尿中風疹抗体比(IgA
/IgG)を経時的に示した図である。
【図8】HSV感染陽性者及び陰性者を対象として、尿
中のHSV抗体IgGのレベルを測定した実施例2の結
果を示す。縦軸はカットオフインデックス(COI)
を、横軸の「陽性」及び「陰性」は、市販キットにより
測定した血清IgGHSV抗体の陽性者(HSV感作
群)及び同陰性者(HSV未感作群)による群分けを示
す。縦軸及び横軸は図1と同じである。
【図9】HSV感染陽性者及び陰性者を対象として、尿
中のHSV抗体IgAのレベルを測定した実施例2の結
果を示す。縦軸及び横軸は図6と同じである。
【図10】実施例2において、血清HSV抗体陽性者に
おける本発明のHSV抗体比(IgA/IgG)を算出
した結果を示す。同図Aは、再発(反復感染)群(図中
「再発」と標記)及び不顕性感染を含む既往歴群(図中
「既往」と標記)の同抗体比を示す。同図Bは、初感染
におけるHSV抗体比(IgA/IgG)の経時的変化
を示す。尚、縦軸は、前記したカットオフインデックス
(COI)より算出した抗体比(IgACOI/Ig
COI)を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】尿中に存在する、感染源に向けられた特異
    抗体のIgGに対するIgAの力価比からなる抗体比を
    指標として検出することを特徴とする、初感染の特異的
    検出方法。
  2. 【請求項2】上記抗体比が、既往感染におけるそれに対
    して大の値を示すことを指標とする請求項1記載の初感
    染の特異的検出方法。
  3. 【請求項3】感染源が、ウイルスである請求項1又は2
    記載の初感染の特異的検出方法。
  4. 【請求項4】ウイルスが、風疹ウイルス又は単純ヘルペ
    スウイルスである請求項3記載の初感染の特異的検出方
    法。
  5. 【請求項5】初感染を特異的に検出するための試薬キッ
    トであって、感染源に対して産生された抗体と抗原抗体
    反応し得る抗原試薬、及びIgGとIgAの抗体検出試
    薬の両試薬を有効成分として含有する試薬キット。
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