JPH1151550A - 排水蒸発装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械室等のドレンパンの専有面積を小さく
し、かつ排水用蒸発管からの熱量をドレンパンに貯留さ
れる排水量の大小に関わらず有効に利用する。 【解決手段】 機械室の基台３４上にゲート３２が配設
され、該ゲート３２にドレンパン５０が挿脱自在に収納
される。ゲート３２に、排水蒸発管４０が固定具４４を
介して配設される。排水蒸発管４０は、水平平面内で蛇
行配置される下段蒸発管４０ａおよび上段蒸発管４０ｂ
を上下に離間して構成される。そして、ドレンパン５０
をゲート３２内に収納した際に、排水蒸発管４０がドレ
ンパン５０の内部に位置して貯留している排水と接触可
能となる。コンプレッサ２８からのホットガス状態の冷
媒２が、下段蒸発管４０ａを流通した後に、上段蒸発管
４０ｂを流通して凝縮器３０に流れるよう設定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、排水蒸発装置に
関し、更に詳細には、冷却器からの排水の排出量の多少
に関わらず、常に充分な蒸発能力を提供し得る排水蒸発
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】冷蔵庫や冷凍庫等では、庫内の霜等によ
る排水や、庫内に配設された冷却器からの排水を、冷凍
機構を構成するコンプレッサから吐出されるホットガス
状態の冷媒の熱量を利用して蒸発処理する排水蒸発装置
が採用されている。この排水蒸発装置は、排水を貯留す
るドレンパンと、このドレンパンの内部に収納される排
水蒸発管とを備え、該蒸発管にコンプレッサから吐出さ
れるホットガス状態の冷媒を供給することで、ドレンパ
ン内の排水を蒸発させるよう構成してある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記排水蒸発装置で
は、排水蒸発管からの熱量を有効に利用するために、例
えば排水用蒸発器をドレンパン底面に対し平面的に配置
して排水との接触面積を大きくしている。しかしこの場
合は、ドレンパンの設置面積は前記接触面積に比例して
大きくなり、ドレンパンが配設される機械室等の内部に
おける割合が大きくなってしまうため、装置全体が大型
化してしまう欠点がある。なお、特開平４−３０２９８
１号公報に示される如く、ドレンパンに対してスパイラ
ル形状とした排水蒸発管を収納することで配置状態を立
体的にすると、ドレンパンの設置面積を小さくすること
はできるが、排水貯留量(ドレンパン内の排水水位)によ
り排水蒸発管との接触面積が決定され、貯留された排水
が排水蒸発管を完全に覆わなければ、熱量を有効利用で
きない欠点が指摘される。殊に排水貯留量が少ない場合
には、排水と排水蒸発管との接触面積は小さく、排水の
効率的な蒸発がなされない。

【０００４】

【発明の目的】本発明は、前述した従来の技術に内在し
ている前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案
されたものであって、機械室等におけるドレンパンの専
有面積を小さくし、かつ排水蒸発管からの熱量をドレン
パンに貯留される排水量の大小に関わらず有効に利用で
きる排水蒸発装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明は、排水を貯留するドレン
パンと、前記ドレンパン内に収納され、コンプレッサか
らホットガス状態の冷媒が供給される排水蒸発管とを有
する排水蒸発装置において、前記排水蒸発管は、上下に
所定間隔離間して設けられる上段蒸発管および下段蒸発
管から構成されることを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係る排水蒸発装置
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下説明する。図１は実施例に係る排水蒸発装置が採
用される冷却貯蔵庫を一部破断した正面図を、図２は機
械室内部の冷凍機構の分解斜視図を夫々示している。実
施例に係る冷却貯蔵庫１０は、内装板１２、外装板１４
およびその間に配設されるウレタン等の発泡断熱材１６
からなる断熱箱体１８および該断熱箱体１８の下部に配
設されるフレーム２０から構成され、前記フレーム２０
内部にコンプレッサ２８等を備える冷凍機構２４および
電装箱２６が収納される機械室２２を画成している。

【０００７】前記冷凍機構２４は、図２に示す如く、底
部フレーム２０ａ上に配置される基台３４上に配設され
ており、この基台３４の前面右側に凝縮器３０、該凝縮
器３０の後部にコンプレッサ２８を夫々備えると共に、
基台３４の左側にドレンパン５０が配設されるゲート３
２を有している。このゲート３２は、図２および図３に
示す如く、ドレンパン５０の挿脱を許容する間隔で前記
基台３４上に対向的に立設固定される一対の側板３６,
３６と、断面Ｌ字形の前支持板３８と、断面略へ字形の
後支持板３９とから構成される。前記各側板３６は、所
要寸法の矩形状板材の下端および上端の一部を直角に曲
折成形することで、垂直な立脚部３６ａと水平な下取付
部３６ｂおよび水平な上取付部３６ｃを有する断面コ字
形を呈している。そしてゲート３２の下取付部３６ｂ,
３６ｂが、基台３４に図示しないビス等の固定手段で固
定されるようになっている。

【０００８】前記前支持板３８の水平部３８ａは基台３
４に取り付けた両側板３６,３６における立壁部３６ａ,
３６ａの外側面間の間隔と同一の長さに設定されると共
に、該水平部３８ａの両側に取付部３８ｂが夫々曲折成
形されている。そして両側板３６,３６における前端の
上部間において、適宜の手段(ビスまたは溶接等)で前記
各取付部３８ｂを対応の各立壁部３６ａの外側面に接合
して、該側板３６,３６上に前支持板３８が水平に架設
される。

【０００９】前記後支持板３９の水平部３９ａは、基台
３４に取り付けた両側板３６,３６における立壁部３６
ａ,３６ａの内側面間の間隔と同一の長さに設定される
と共に、該水平部３９ａの両側に取付部３９ｂが夫々曲
折成形されている。そして両側板３６,３６における後
端の上下方向略中央の間において、適宜の手段(ビスま
たは溶接等)で前記各取付部３９ｂを対応の各立壁部３
６ａの内側面に接合して、該側板３６,３６間に後支持
板３９が水平に架設される。この後支持板３９は、前記
ドレンパン５０をゲート３２に対して収納または引き出
す際に、該ドレンパン５０の後壁５０ｃに当接してドレ
ンパン５０を斜め上下方向に案内すべく機能すると共
に、ドレンパン５０の収納状態では該ドレンパン５０の
底板５０ａが載置されるよう構成される。

【００１０】前記ドレンパン５０は矩形状底板５０ａの
周囲に前壁５０ｂ、後壁５０ｃおよび両側の側壁５０
ｄ,５０ｄを一体的に立設して、上部に開口したトレー
状を呈している。そして前記前壁５０ｂの上部には、前
方に延出した把持部５０ｅが一体的に形成されており、
その上面略中央にネジ等の係止部５２が配設されてい
る。また後壁５０ｃは、上部に向かうにつれて前壁５０
ｂから離間する適宜角度の傾斜面に設定され、ドレンパ
ン５０は上方に向かって前後に拡開した形状になってい
る。

【００１１】前記ドレンパン５０はゲート３２の内部に
画成された空間に、両側板３６,３６および前支持板３
８により形成されるゲート口３２ａを介して前面側に引
き出し自在に収納される(図５参照)。また前支持板３８
における水平部３８ａ前端の幅方向略中央には、前記ド
レンパン５０の把持部５０ｅに配設した前記係止部５２
の軸部が整合し得る切欠３８ｃが形成され、この切欠３
８ｃに係止部５２を係止することによりドレンパン５０
をゲート３２内に収納状態で保持し得るよう構成してあ
る。そして、ゲート３２に収納されたドレンパン５０
に、貯蔵庫上部に配設されて貯蔵庫内に冷気を送る冷却
器５８からの排水が、図示しない排水管を介して集めら
れると共に、スライド扉のガイドレールに溜る排水が排
水パイプ５４を介して集められる。なお、貯蔵庫内の霜
等による排水も、排水パイプ５４等を介してドレンパン
５０に集められる。

【００１２】前記ゲート３２の上取付部３６ｃ,３６ｃ
に固定具４４によって排水蒸発管４０が固定され、前記
ドレンパン５０をゲート３２内に収納した際に、排水蒸
発管４０がドレンパン５０の内部に位置して貯留してい
る排水と好適に接触するよう構成される。なおドレンパ
ン５０の内底部に、前記排水蒸発管４０の接触時の衝撃
緩和のためにクッション材４６が配設されており、該ク
ッション材４６としては吸水性、弾力性およびある程度
の耐熱性を有する材料が好適に使用される。

【００１３】前記排水蒸発管４０は、図６に示す如く、
水平平面内で蛇行配置される下段蒸発管４０ａおよび上
段蒸発管４０ｂを上下に離間して構成され、実施例にお
いてその蛇行回数は上下段とも３ターンであるが、その
回数は要求される蒸発能力およびドレンパン５０の大き
さにより好適に決定される。また同様に下段蒸発管４０
ａと上段蒸発管４０ｂとの間の離間高さも、要求される
蒸発能力およびドレンパン５０の大きさにより好適に決
定され、その離間高さは下段蒸発管４０ａおよび上段蒸
発管４０ｂの間に挟まれるスペーサ４２(後述)により維
持されるようになっている。前記コンプレッサ２８、凝
縮器３０および冷却器５８は互いに排水蒸発管４０また
は配管６０によって接続されており、冷凍機構２４にお
ける冷媒循環経路での冷媒２の循環方向は、コンプレッ
サ２８を起点とすれば、コンプレッサ２８→排水蒸発管
４０→凝縮器３０→冷却器５８→コンプレッサ２８とな
っている。また排水蒸発管４０では、コンプレッサ２８
からのホットガス状態の冷媒２が、下段蒸発管４０ａを
流通した後に、上段蒸発管４０ｂを流通して凝縮器３０
に流れるよう設定されている。

【００１４】前記固定具４４は、図２に示す如く、上段
蒸発管４０ｂの上部に配設係合される上固定部材４７
と、下段蒸発管４０ａの下部に配設係合される下固定部
材４９および上下の蒸発管４０ａ,４０ｂの間に介挿さ
れるスペーサ４２とから構成される。下固定部材４９
は、上方に開放するコ字状に形成され、その左右の側板
の上端に外方に延出するよう形成したフランジ４９ａ,
４９ａを、前記ゲート３２における上取付部３６ｃ,３
６ｃに当接載置した状態でネジ等で固定されるようにな
っている。そして、上下の蒸発管４０ａ,４０ｂの間に
スペーサ４２を介挿した状態の排水蒸発管４０を下部固
定部材４９の内側に載置すると共に、上段蒸発管４０ｂ
の上側に上固定部材４７を載置した状態で、上固定部材
４７およびスペーサ４２を共通のネジ４８で下固定部材
４９に固定するよう構成されている。なお、前記下段蒸
発管４０ａと上段蒸発管４０ｂとの間の隙間は、側面か
らみると略コ字型になって一方向(前方)に対して開口し
ているから、前記スペーサ４２を開口している前方から
容易に挿脱することができる。

【００１５】

【実施例の作用】次に、実施例に係る排水蒸発装置の作
用につき説明する。前記ドレンパン５０をゲート３２に
収納する場合には、図４および図５に示す如く、ドレン
パン５０の後部端をゲート３２のゲート口３２ａに整合
すると共に、前記各側板３６を基台３４に固定する複数
の図示しないビス等の頭部に底板５０ａを載置した状態
で、後壁５０ｃが後支持板３９に当接するまで後方側に
移動させる。そして前記後壁５０ｃが後支持板３９に当
接したらドレンパン５０を水平に維持したまま、更に斜
め上方に押し上げる。従ってドレンパン５０は、その後
端部が後支持板３９の上方へ押し込まれると共に、把持
部５０ｅの上部に設けた係止部５２が前支持板３８の水
平部３８ａの前端に形成した切欠３８ｃへ整合するの
で、後端部が後支持板３９の上面に載置されると共に、
前端部が前支持板３８に係止された状態で該ドレンパン
５０がゲート３２に収納される(図５参照)。このとき排
水蒸発管４０はドレンパン５０内に位置すると共に、下
段蒸発管４０ａの下面が前記クッション材４６に当接す
る。

【００１６】前記冷却貯蔵庫１０に電源が投入されて運
転を開始し、その運転中は、貯蔵庫内や冷却器５８から
の排水が、排水パイプ５４および図示しない排水管を介
して、ゲート３２内に収納されたドレンパン５０の内部
に随時排出される。また前記コンプレッサ２８から吐出
されたホットガス状態の冷媒２は、図６に示す如く、最
初に排水蒸発管４０の下段蒸発管４０ａに流れ込み、水
平平面内に蛇行配置されている該下段蒸発管４０ａ内を
通過した後に上段蒸発管４０ｂに至り、この上段蒸発管
４０ｂ内を通過した冷媒２が凝縮器３０に移行する。す
なわち、ドレンパン５０に貯留される排水は、ホットガ
ス状態である冷媒２が流通している排水蒸発管４０の熱
により適宜蒸発することになる。なお排水に熱を放出し
て蒸発させた冷媒２は、適宜温度低下した後に凝縮器３
０に流入する。

【００１７】ここで、図７に示す如く、排水のドレンパ
ン５０内に貯留される量により、前記ドレンパン５０内
の排水の水位は変化することになる。水位位置Ａ以下の
場合には、排水蒸発管４０の下段蒸発管４０ａと排水と
は直接に接触はできないが、吸水性を有するクッション
材４６が介在することにより、該クッション材４６が排
水を吸収し、前記下段蒸発管４０ａに接触させることが
できる。また前記クッション材４６は、下段蒸発管４０
ａの放熱の介在も同様になし、放出した熱を吸収してい
る排水に伝えて水位位置がＡ以下の場合であっても、排
水蒸発管４０の熱を効率良く放出できる。また水位位置
Ａ以上でＢ以下の場合、排水蒸発管４０へ流入するホッ
トガス状態の冷媒２は、前述した如く、先ず下段蒸発管
４０ａに流入するため高温の状態で排水と接触させるこ
とが可能であり、蒸発能力を充分得ることが可能であ
る。更に水位位置がＢを越え、Ｃまで至った場合であっ
ても、熱を上段蒸発管４０ｂから排水に加えるて蒸発さ
せることができる。すなわち、前記下段蒸発管４０ａで
利用されなかった熱の有効利用にもなり、冷媒２の冷却
効果もより一層高くなる。

【００１８】前述した如く、上下の蒸発管４０ａ,４０
ｂはスペーサ４２によって上下に離間して重なることが
ないよう構成してあるので、各蒸発管４０ａ,４０ｂで
の効果的な排水の蒸発が期待できる。また蒸発管４０
ａ,４０ｂ同志が接触しないから、該蒸発管４０ａ,４０
ｂが傷付くことも防止し得る。

【００１９】実施例では、排水蒸発管４０を上下２段の
蒸発管４０ａ,４０ｂから構成することで、幅の狭いド
レンパン５０を用いることができ、該ドレンパン５０が
配設される機械室２２および冷却貯蔵庫本体をスリムに
して省スペース化を図ることが可能となる。しかもドレ
ンパン５０の幅を狭くすることにより、該ドレンパン５
０に貯留される排水量が多くなってその水位が高くなっ
ても、上下に離間して蒸発管４０ａ,４０ｂが位置して
いるので好適に対応し得る。また機械室２２の横幅を変
化させることなくドレンパン５０の幅のみを狭くすれ
ば、その分だけ機械室２２内における冷凍機構２４と外
気との接触部分を拡大することが可能となり、冷凍機構
２４の冷却効率が向上する。

【００２０】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係る排水蒸
発装置によれば、排水蒸発管を上下２段の蒸発管で構成
することで全体の幅寸法を狭くすることができ、これに
より幅の狭いドレンパンを使用することが可能となる。
従ってドレンパンを備える機械室等をスリム化して省ス
ペース化を図り得る。しかも、ドレンパンの幅を狭くす
ることによりドレンパンに貯留される排水の水位が高く
なっても、上下に離間して蒸発管が位置しているので好
適に対応することができる。また下段蒸発管には、コン
プレッサから供給されるホットガス状態の高温のままの
冷媒が流通するので、ドレンパン内に貯留される排水量
が少なく、該下段蒸発管のみが排水に接触している場合
でも冷媒の熱を有効利用することができ、蒸発能力を向
上させ得る。

【００２１】前記排水蒸発管の上段蒸発管と下段蒸発管
とをスペーサを介して重ならないよう構成したので、各
蒸発管での効率的な放熱が可能であり、また傷を付け合
うこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例に係る排水蒸発装置が採用される冷却
貯蔵庫の一部切欠き正面図である。

【図２】 機械室に配設される冷凍機構の分解斜視図で
ある。

【図３】 ゲートおよびドレンパンの斜視図である。

【図４】 ドレンパンをゲートに収納する前の配置構造
を示す側断面図である。

【図５】 ドレンパンをゲートに収納した状態の配置構
造を示す側断面図である。

【図６】 排水蒸発管の斜視図である。

【図７】 ドレンパン内の排水蒸発管と排水水位の関係
を示す側断面図である。

【符号の説明】

２ 冷媒，２８ コンプレッサ，４０ 排水蒸発管，４０
ａ 下段蒸発管 ４０ｂ 上段蒸発管，４２ スペーサ，５０ ドレンパン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 周藤 康治 愛知県豊明市栄町南館３番の16 ホシザキ 電機株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水を貯留するドレンパン(50)と、前記
   ドレンパン(50)内に収納され、コンプレッサ(28)からホ
   ットガス状態の冷媒(2)が供給される排水蒸発管(40)と
   を有する排水蒸発装置において、 前記排水蒸発管(40)は、上下に所定間隔離間して設けら
   れる上段蒸発管(40b)および下段蒸発管(40a)から構成さ
   れることを特徴とする排水蒸発装置。
2. 【請求項２】 前記上段蒸発管(40b)および下段蒸発管
   (40a)は、何れも水平平面内で蛇行配置されている請求
   項１記載の排水蒸発装置。
3. 【請求項３】 前記排水蒸発管(40)へ供給されるホット
   ガス状態の冷媒(2)は、最初に下段蒸発管(40a)を通過
   し、その後に上段蒸発管(40b)を通過するよう設定され
   ている請求項１または２記載の排水蒸発装置。
4. 【請求項４】 前記下段蒸発管(40a)と上段蒸発管(40b)
   との間にスペーサ(42)が介挿されている請求項１〜３の
   何れかに記載の排水蒸発装置。