【発明の詳細な説明】
飼料ペレットの製造方法
本発明は、魚、家禽、犬、猫及びブタ等の動物への給餌に適当である飼料ペレ
ットの製造方法に関する。本発明は、特に、生物活性成分を予備成形多孔性前駆
体飼料ペレット上に充填する方法に関する。
従来の家畜用飼料は、通常、脂肪又は油成分を充填した固体基礎原料から形成
されている。固体基礎原料は、魚肉等のタンパク質系であっても、穀物等の炭水
化物系、例えば、デンプンであってもよい。動物又は植物等の天然源由来のもの
でよい脂肪又は油成分を、基礎原料から形成した前駆体飼料ペレットに存在する
細孔に充填する。脂肪又は油により、飼料の総エネルギー分が増加する。
肉又は魚の生産のための家畜の集約的飼育において、動物のエネルギー要件を
満たすことの他に、飼料は、さらなる要件を満たさなければならない。これらの
要件には、疾病の予防又は治療及び所望の肉色又は肉組織を動物に付与すること
などがある。したがって、家畜用飼料は、ビタミン、ミネラル、酵素、着色剤、
例えば、カロテノイド色素、及び/又は薬学的に活性な化合物等の種々の成分も
含有する。この種の添加剤は、以下「生物活性成分」と称する。
しかしながら、上記要件を飼料ペレットにおいて満たすことができる程度には
限りがある。ほとんどの場合において、市販の飼料ペレットは、典型的には押出
しにより、基礎原料を圧縮するかペレット化することにより得られる。基礎原料
に脂肪又は油成分及び生物活性成分を充填するのは、ペレット化工程の前に上記
した成分を混合するか、基礎原料をペレット化した後に脂肪又は油成分と生物活
性成分をペレットに充填することにより行なうことができる。
押出しの前に飼料の全ての成分を混合するには、制限がある。特に、ペレット
の耐久性は、油成分がペレット化工程を妨害するために悪い。さらに、飼料混合
物全体をペレット化するのは、カロテノイド色素等の多くの生物活性成分が、押
出機等のペレット化装置中で熱を受けるとそれらの活性を失う。
この問題のため、飼料製造は、ペレット化工程後に脂肪又は油成分を予備成形
ペレットの細孔に吸収させることにより、これらの追加成分を添加する方向に移
行した。この方法では、充填後に高温の熱処理工程を必要としないので、生物活
性成分の活性が損失するのが防止される。さらに、相対的に高レベルの油を予備
成形ペレットに充填できる。しかしながら、予備成形ペレットへの生物活性成分
の浸透が、不十分なことがあることが判明した。これは、とりわけ、生物活性成
分が被覆された形態で市販されているものを予備成形ペレットに充填するときに
見られることが分かった。例えば、魚の飼料に含有させるために広く使用されて
いる色素であるCarophyll(登録商標)ピンク(Hoffmann L
aRoche社製)は、ビードレット(beadlets)の形態で販売されて
いる。これらのビードレットは、アスタキサンチン(astaxanthin)
(サケ亜目の魚の肉色を向上する色素)からなる直径約100〜150μmのコ
アと、ゼラチン、炭水化物及び酸化防止剤から形成された直径約200〜300
μmのシェルとからなる。このシェルを存在させる理由は、ばら材料の取扱いを
容易にするため、及びアスタキサンチンが天然の形態では多少不安定であるため
環境に暴露されるとその生物活性を失うからである。各ビードレットは、アスタ
キサンチンを約5〜15重量%含んでなる。
予備成形ペレットにこのような被覆生物活性成分を充填するとき、それらの大
きさのためペレットへの浸透が不十分であり、かなりの割合のビードレットがペ
レット表面に付着するだけである。このことは、飼料が水と接触したときに表面
に付着したビードレットが洗い流されてしまうので、魚の飼料を調製するときに
は特に不利である。さらに、このようなビードレットを用いて製造された飼料は
、表面に付着したビードレットが保存中に分離するにつれて、その初期生物活性
の一部分を失うことが判明した。これは、酵母細胞又は酵母細胞断片内に含有さ
れる色素を塗布したペレットについてもあてはまる。したがって、上記方法では
、上記生物活性成分が効率的に利用されず、このような生物活性成分が比較的高
価であるので経済的に不利である。
本発明の目的は、被覆生物活性成分で従来遭遇される困難を克服し、それによ
り向上した飼料ペレットの製造方法を提供することである。
本発明によれば、周囲を被覆した保護シェルを最初に備えている生物活性成分
を飼料ペレットに充填する方法であって、
(i)生物活性成分の周囲から保護シェルを除去する工程と;
(ii)工程(i)で得られた非被覆生物活性成分を脂肪又は油と混合する工
程と;
(iii)多孔性前駆体飼料ペレットに、工程(ii)で得られた混合物を充
填して、飼料ペレットを得る工程と、
を含んでなる方法が提供される。
本発明の方法により製造された飼料ペレットは、生物活性成分のペレットへの
浸透性が向上しているので、充填ペレットを長期間保存した後であっても生物活
性成分の活性が実質的に減少しない点で特に有利である。このため、生物活性成
分がもし不安定でも酸化が防止される。さらに、得られた飼料ペレットは、水と
接触したときに生物活性成分の実質的に損失しない。これらの利点により、生物
活性成分が給餌される動物により効率的に確実に摂取される。また、本発明によ
り製造された飼料ペレットは、比較的高価な生物活性成分が効率的に利用される
点でも有利である。特に、生物活性成分を飼料ペレット予備押出しを行なう原料
と混合していないので、従来には約10〜20重量%の色素が熱、湿気及び摩擦
等の影響により損失することがあった、飼料の押出し及び乾燥による損失がない
。
本発明の方法では、脂肪又は油成分がいくつかの機能を示す。第一の機能は、
得られた飼料ペレットにおいてエネルギー成分としての役割を果たすことである
。第二の機能は、非被覆生物活性成分のビヒクルとしての役割を果たして、生物
活性成分が多孔性前駆体飼料ペレットに容易に充填されるようにすることである
。最後に、脂肪又は油成分、とりわけ魚油は、抗酸化作用を示し、したがって保
護シェルを除去した後にそれと混合したときに生物活性成分の失活を防止するこ
とが分かった。
生物活性成分周囲の保護シェルは、デンプン、ゼラチン、炭水化物及びミネラ
ル等の種々の物質から形成できる。
ここで使用される生物活性成分には、ビタミン等の栄養性添加剤、酸化防止剤
、ミネラル、予防剤、酵素(例えば、フィターゼ、アミラーゼ又はプロテアーゼ
)等のタンパク質、薬学的に活性な物質、又は動物に所望の肉色を付与するため
のカロテノイド等の色素などがある。
魚の養殖及び特にサケ亜目の魚の養殖では、飼料への色素の添加は、魚の市場
価値の向上したピンク色の肉を有する魚を生産するのに非常に重要である。サケ
飼料に添加される一般的な色素は、アスタキサンチン、カンタキサンチン、ゼア
キサンチン及びβ−カロテンであり、これらのうち、アスタキサンチン及びカン
タキサンチンが最も好ましい。これらの色素は、例えば、商品名Carophy
ll(Hofmann LaRoche)で、バルクで市販されている。Car
ophyll(登録商標)Pink及びCarophyll(登録商標)Red
は、それぞれ化学的に合成したアスタキサンチン及びカンタキサンチンにゼラチ
ン及びデンプンからなる保護シェルをコーティングして含んでなるビードレット
の形態で入手できる。
生物活性成分の周囲の保護シェルは、その構成に応じていずれかの適当な手段
で除去できる。このような手段には、微細ビーズミリング、加水分解、音波処理
などがあり、最も好ましくは酵素介在分解である。生物活性成分を包囲している
保護シェルを除去し保護シェルを非被覆状態できれば、いずれの方法を用いても
よい。
生物活性成分から塗膜を除去するのに使用される酵素は、生物活性成分に悪影
響を及ぼすことなく塗膜を除去できる限りは、特に限定されない。適当な酵素に
は、プロテアーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ及びグルカナーゼなどがある。も
し、例えば、本発明による方法に使用しようとする被覆生物活性成分が上記した
Carophyll(登録商標)Pinkであ場合には、適当なタンパク質分解
酵素には、Maxatase(登録商標)、Delvolase(登録商標)及
びMultifect(登録商標)などがある。
生物活性成分の塗膜が酵素的に除去される条件は、酵素が充分な活性を保持す
る限りは、特に制限されない。換言すれば、最大活性又は最大活性に近い活性の
酵素は、たとえこのような条件がプロセス効率の点で好ましいとしても、使用す
る必要がない。一般的に、酵素は、塗膜の除去が通常水溶液中で行なわれるよう
に、水性環境でのみ活性である。例えば、生物活性成分のビードレットを水に懸
濁し、適当な温度及びpHで酵素により処理する。必要に応じて、緩衝液を混合
物に添加することにより、pHを調整できる。得られた水溶液における生物活性
成分の重量濃度は、1〜30%でよく、好ましくは5〜20%であり、最も好ま
しくは10〜15%である。
例えば、Carophyll(登録商標)Pinkビードレットから塗膜を除
去するのに好ましい酵素Maxatase(登録商標)、Delvolase(
登録商標)及びMultifect(登録商標)について適当な条件を、以下に
示す。
Maxatase(登録商標)の場合には、温度55℃以上(好ましくは60
〜65℃)で、pH7〜11(好ましくは9.5〜10)において充分な活性が
得られる。
Delvolase(登録商標)の場合には、温度90℃以下(60℃が好ま
しい)で、pH5〜11の範囲(好ましくは9.5〜10.5の範囲)が適当で
ある。
Multifect(登録商標)の場合には、温度60℃以下(50〜55℃
が好ましい)で、pH4.5〜11の範囲(好ましくは6.5〜8.5の範囲)
が適当である。
シェルを砕解するために被覆生物活性成分に添加する酵素の重量比は、1:1
00〜10,000であり、好ましくは1:500〜5,000であり、最も好
ましくは約1:1,000である。
本発明の方法による第二工程では、非被覆生物活性成分を脂肪又は油と混合す
る。第一シェル除去工程に続いて、非被覆生物活性成分を含む組成物は、状況に
応じて、この混合前に濃縮又は精製してもよいし、しなくてもよい。
本発明による方法に使用される脂肪又は油は、原料はいずれのものでもよいが
、植物源又は動物源から得た脂肪又は油が、一般的に好ましい。脂肪又は油は、
単一化合物でも混合物でもよい。また、脂肪及び油を混和物で使用することもで
きる。脂肪又は油は、魚油、例えば、メンヘーデン油、ニシン油、カラフトシシ
ャモ油等の;飽和トリグリセリド又はその飽和脂肪酸、例えば、水素添加ナタネ
油、水素添加大豆油、水素添加ヒマワリ油、水素添加オリーブ油、水素添加パー
ム油、水素添加ヤシ油、グリセリルトリステアレート、グリセリルトリパルミテ
ート、ステアリン酸、パルミチン酸、水素添加魚油、獣脂及び豚脂の一種以上で
もよい。上記の飽和トリグリセリドは、全て融点が40℃を超え、通常60℃以
上か、60℃に近い。したがって、これらを本発明の方法の第一工程から得られ
る非被覆生物活性成分と充分に混合するには、融点より高い温度に加熱する必要
がある。
好ましくは、脂肪又は油は、充填飼料ペレット中に脂肪又は油及び生物活性成
分を保持しやすいことから、周囲温度で固体か高粘度のものである。しかしなが
ら、混合時、脂肪又は油組成物は、確実に均一混合するために液状又は少なくと
も低粘度でなければならない。したがって、非被覆生物活性成分と脂肪又は油と
の混合は、好ましくは、周囲温度より高い温度で実施する。しかしながら、生物
活性成分は、熱感受性のことがあるので、この混合工程の温度は、生物活性成分
がその生物活性を失い始める温度よりも充分に低くなければならない。このよう
なことから、周囲温度よりもわずかに高い融点、即ち、融点60℃以下、好まし
くは45℃以下、を有する脂肪又は油を使用するのが好ましい。
脂肪又は油に添加される生物活性成分(重量基準)の量は、1,000,00
0重量部当り1.0〜5000でよく、好ましくは1,000,000重量部当
り50〜1,000、最も好ましくは1,000,000重量部当り約250で
ある。
混合工程において、飼料の特性をさらに向上させるために、コーティング組成
物にさらに生物活性成分を添加することもできる。このような追加成分としては
、例えば、脂質、ビタミン、ミネラル、予防剤、薬理学的活性化合物、着香剤、
防腐剤、酸化防止剤及び他の一般的な飼料添加剤などがある。
本発明により提供される方法の最終工程において、工程(ii)から得られる
混合物を、多孔性前駆体飼料ペレットに充填する。この多孔性前駆体飼料ペレッ
トは、いずれかの一般的なペレット化法、例えば、圧縮、押出し等、に準じて形
成できる。前駆体飼料ペレットは、上記したような炭水化物又はタンパク質等の
ような一般的に使用されるいずれかの通常の物質から得ることができる。好まし
い物質には、魚粉、肉及び骨粉、オキアミ荒粉、大豆かす、コーングルテンかす
、トルーラ(torula)酵母、小麦粉、デンプン、米、ぬか等がある。前駆
体飼料ペレットは、生物活性成分と脂肪又は油との混合物が確実に充填されるよ
うに多孔性である。したがって、押出しペレットは、得られるペレットの多孔性
を広範囲に変化できることから好ましい。ペレットの好ましい密度は、200〜
800g/cm3、好ましくは500g/cm3である。このようなペレットは、
好ましくは平均細孔サイズが10〜50μm、より好ましくは約25μmである
。
本発明の方法の充填工程では、多孔性前駆体飼料ペレット1重量部を、生物活
性成分と脂肪又は油との混合物0.05〜1.0重量部、好ましくは0.1〜0
.5重量部、最も好ましくは0.3重量部と混合する。この量は、意図する目的
に応じて適当に調整される。例えば、養殖魚の出荷直前に魚肉の色を迅速に向上
させようとするときには、高アスタキサンチン含量の飼料ペレットを魚に与え、
一方、魚肉の色を除々に向上させようとするときには、低アスタキサンチン含量
の飼料ペレットを与えてよい。
前駆体飼料ペレットへの充填は、押出し直後に行なってもよいが、生物活性成
分の分解を最小限に抑えるために、多少冷却した後にペレットに充填するのが最
良である。しかしながら、生物活性成分が存在する脂肪又は油に応じて、生物活
性成分と脂肪又は油との混合物が液体状態にあるように制御しなければならない
。
飼料ペレットに生物活性成分と脂肪又は油との混合物を充填するのは、混合、
浸漬、噴霧、塗布又は別のこのような手段により実施できる。例えば、前駆体飼
料ペレットと生物活性成分含有油混合物を、常圧下ドラム中で回転混合すること
によって実施できるが、この操作は加圧又は減圧下でも実施できる。
本発明の好ましい態様では、DE−A−2 933 261、EP−A−0
556 883又はGB−A−2 232 573に記載のように、充填を周囲
圧力より低い圧力で実施される。これらの3つの公報に記載の充填方法は、引用
することにより本明細書の開示の一部とされる。このような方法では、相対的に
多量の生物活性成分と脂肪又は油との混合物を飼料ペレットに充填できるので好
ましい。即ち、多孔性前駆体飼料ペレットをまず減圧下においた後、同時又は順
次ペレットを生物活性成分と脂肪又は油との混合物に接触させることが好ましい
。この工程中の圧力は約0.20kPaであり、充填工程は、約1〜30分間、
より好ましくは1〜5分間で実施する。この工程に適当であり且つ真空圧を調整
できる工業装置は、容易に入手できる。具体例をあげれば、Dorit Mas
chinen Handels AG製の装置であるVario−Vac(商標
)がある。減圧下での充填を実施した後、圧力を周囲圧力に戻す、これにより、
生物活性成分が飼料ペレットの内部に押し込まれる。
生物活性成分と脂肪又は油との混合物を前駆体ペレットに良好に浸透させるた
めに、混合物が液状又は少なくとも低粘度を有するように温度を制御しなければ
ならない。したがって、上記した混合工程(ii)で示した温度範囲が、この充
填工程でも好ましい。
充填のために飼料ペレットを適当な温度に温めるには、常温のペレットを反応
器に入れてそこでペレットを温めてもよいし、反応器に予備加熱したペレットを
入れてもよい。これは、前駆体ペレットをサイロに保存し、そこで熱風を用いて
所望の温度に加熱することにより達成できる。
工程(iii)により得られた充填飼料ペレットは、飼料としてそのまま使用
することができるが、続いての工程として追加の脂をさらに充填することができ
る。これにより、保存中のアスタキサンチン等の生物活性成分の空気酸化及び分
解を抑制できる。この続いての工程で使用される油は、植物油でも動物油(例え
ば、魚油)でもよく、制限されない。この油は、プロピレングリコール、スクロ
ース脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、レシチン及び他のこのよう
なリン脂質、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、デキストリン、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ビタミンA、A−ト
コフェリルポリエチレングリコールスクシネート等の成分と混合することもでき
る。
本発明により製造した飼料ペレットは、保存中の生物活性成分の保持率が極め
て高く、たとえ、例えば、魚の餌として水に入れても生物活性成分の保持率が高
い。したがって、このようなペレットは、動物による生物活性成分の摂取が極め
て高くすることができ、生物活性成分の損傷による損失や環境への損失を最小限
に抑えることができる。
実施例
サケへの給餌用試験飼料を、各々、Wenger X−20−軸スクリュー押
出機を150kg/時間操作することにより製造した原ペレットを原料として製
造した。原ペレットは、直径6mm、長さ8mmであり、形状が概略円柱状であ
る。原ペレットを、重量%基準で、魚肉70.5%と、前処理コーンスターチ(
炭水化物源)22.3%と、魚油6.2%と、ビタミン及びミネラル予備混合物
1%とからなる配合物から成形した。
飼料1(発明)
Carophyll(登録商標)ピンクを、pH9.2に緩衝したMaxat
ase(登録商標)1mg/mlを含有する水溶液に添加して、Carophy
ll(登録商標)ピンク120mg/mlを含有する懸濁液を得た。上記水溶液
は、0.05M NaHCO3 500mlと、0.1N NaOH 50ml
と、蒸留水450mlとを、50℃で混合することにより形成した。混合1時間
後に酵素反応が完了した後、反応混合物4.5重量部を、酸化防止剤としてエト
キシキン0.1重量部含有するカラフトシシャモ(capelin)油95.5
重量部と混合して、コーティング組成物を得た。
このようにして得られたコーティング組成物3.6kgを、上記した種類の原
ペレット20.2kg上に充填した。充填を圧力51kPaを30秒間保持する
ことにより実施した後、圧力を大気圧に戻した。
次に、得られたペレットに対して、さらに、魚油98重量部と水素添加ナタネ
油2重量部とから形成した油(Akofine R(登録商標))1.2kgを
充填した。
飼料2(比較)
原ペレット上に充填した組成物は、魚油91.4重量部に、酵素処理なしのN
atupink(登録商標)(Gist−Brocades社製)8.6重量部
を添加した懸濁液からなるものであった以外は、飼料1の製造方法に準じて飼料
2を製造した。
飼料3(比較)
酵素未処理Carophyll(登録商標)ピンクを原ペレットに添加してか
ら押出して、ペレットとした。原ペレットの構成は、予備処理コーンスターチの
量を0.8〜21.5%だけ減少させ、Carophyll(登録商標)ピンク
/小麦予備混合物(相対重量=12:88)で置き換えた以外は、上記で記載し
たのと同様であった。次に、この基礎原料を、上記と同様にして押出して、ペレ
ットとした。
飼料4(比較)
コーティング組成物が、無傷Carophyll(登録商標)ピンクビードレ
ット(beadlets)0.7重量部と魚油99.3重量部の懸濁液からなる
もっであった以外は、飼料1の製造方法に準じて飼料4を製造した。
(i)顕微鏡による評価
飼料1、2及び4を、顕微鏡で調べた。飼料1は、その表面にCarophy
ll(登録商標)ピンク粒子がなかったのに対して、飼料2では、その表面に、
直径約50μmの粒子が見られた。飼料4のペレットは、表面に相当数のCar
ophyll(登録商標)ピンクビードレットが付着しており、これらは機械的
に容易に除去できることが分かった。
(ii)色素の水への損失
飼料1、2及び4を、3%食塩水300mlの入ったビーカーに入れたスチー
ルネット上に置いた。食塩水温度は、20℃であった。1分間攪拌後に観察をし
たところ、以下のことが判明した。
飼料1は、色素の損失がなかった。飼料2は、色素が約7.5%損失し、溶液
に薄い色がついた。飼料4は、塗布色素の約30%が損失した。しかしながら、
この損失した色素は、溶解しなかった。
(iii)保存安定性
飼料1〜3を、周囲温度(約20℃)で暗所に17週間保存し、飼料1kg当
りの保持色素量を、6週間後と17週間後に測定した。結果を、下表に示す。
上記結果から明らかなように、6週間保存後、飼料1は、93%の色素を保持
し、17週間後でも、87%の色素が保持されている。一方、飼料2では、6週
間後には80%の色素しか保持されず、17週間後には61%しか保持されない
。最後に、飼料3では、6週間後では91%が保持され、17週間後でも、85
%の色素がまだ存在している。したがって、飼料1及び3は、同様の保存安定性
を有しているのに対して、飼料2はそれらよりも安定性が小さい。
(iv)サケの色素沈着
飼料1、2及び3の各々140kgを、初期体重250gのサケ20匹に、3
つの別個の給餌ケージ中で4カ月間にわたって給餌した。魚の色素沈着を、筋肉
組織中のアスタキサンチン含量として及びRoche Colour Card
スコア(RCC)に準じて評価した。結果は、以下の通りであった。
上記結果から明らかなように、本発明による被覆飼料ペレットは、保存安定性
が優れているばかりでなく、色素沈着も増加する。したがって、本発明の方法に
より製造した被覆飼料ペレットは、高品質飼料として使用できる。
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SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
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CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG
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O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,
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