JPH1148317A - 合成樹脂製中空成形体 - Google Patents

合成樹脂製中空成形体

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JPH1148317A
JPH1148317A JP20608897A JP20608897A JPH1148317A JP H1148317 A JPH1148317 A JP H1148317A JP 20608897 A JP20608897 A JP 20608897A JP 20608897 A JP20608897 A JP 20608897A JP H1148317 A JPH1148317 A JP H1148317A
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JP
Japan
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resin
liquid crystal
blow
hollow molded
ratio
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Pending
Application number
JP20608897A
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English (en)
Inventor
Kouichi Karikaya
孝一 刈茅
Kenji Miyazaki
健次 宮崎
Yasushi Kawabata
康史 川端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性及び耐熱変形性に優れ、リサイク
ル使用に適した合成樹脂製中空成形体を提供する。 【解決手段】 ブロー成形により得られる合成樹脂製中
空成形体であって、液晶樹脂1〜40重量%と熱可塑性
樹脂60〜99重量%とを含み、ブロー比1.05〜5
でブロー成形されている合成樹脂製中空成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロー成形により
得られる合成樹脂製中空成形体に関し、より詳細には、
耐熱変形性、機械的強度、リサイクル性及びコストパフ
ォーマンスに優れた合成樹脂製中空成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂製中空成形体が、ボ
トルやタンクなどの容器、断熱材または電気絶縁材など
に幅広く用いられている。また、自動車用バンパービー
ムなどの自動車部品としては金属からなるものが用いら
れていたが、近年、これらの自動車部品の軽量化、防錆
性の向上及び賦形性の向上を図るために、プラスチック
よりなる自動車部品が用いられてきている。
【0003】プラスチック製バンパービームとしては、
例えば、スタンパブルシートをプレス成形してなるも
の、あるいはエンジニアリングプラスチックをブロー成
形したものなどが知られている。しかしながら、これら
のプラスチック製バンパービームは、何れも高比重であ
り、十分な軽量化効果が得られないという問題があっ
た。また、これらの成形品は耐薬品性が十分でなく、か
つリサイクルした場合、樹脂の成形性が大幅に低下し、
工業的に再使用することが困難であった。
【0004】他方、特開平8−208912号公報に
は、ポリプロピレン系樹脂混合物70〜99重量%に対
し、タルク1〜30重量%を配合してなるブロー成形用
樹脂組成物が開示されている。この先行技術に記載のブ
ロー成形用樹脂組成物では、タルクを充填材として含有
させることにより機械的強度の向上が図られている。
【0005】しかしながら、上記ブロー成形用樹脂組成
物をブロー成形して中空の成形品を得ようとした場合、
機械的強度、寸法精度、耐ドローダウン性などの成形加
工性がポリプロピレン成形体に比べると向上するもの
の、タルクを充填材として用いているため、得られた中
空成形品の補強効果及びガスバリア性がなお十分でない
という問題があった。
【0006】なお、特開昭62−116666号公報に
は、繊維強化プラスチックスに比べて軽量であり、かつ
機械的強度を高め得る重合体複合物として、熱可塑性樹
脂のような融通のきく鎖を有する基礎重合体に、該基礎
重合体に対して不相溶性の溶融加工可能な液晶樹脂を組
み合わせた自己強化重合体複合物の製造方法が開示され
ている。
【0007】すなわち、熱可塑性樹脂に液晶樹脂を組み
合わせることにより、該液晶樹脂によって機械的強度を
高めた強化プラスチックス及びその製造方法が開示され
ている。この先行技術では、得られた重合体複合物は、
ペレット化され、テープ、フィルムまたは繊維となるよ
うに押出成形や射出成形などの成形方法に従って成形さ
れる旨が示されているが、中空成形品への適用やブロー
成形法については言及されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中空
成形品を得るのに好適なブロー成形により得られる合成
樹脂製中空成形体であって、機械的特性及び耐熱変形性
に優れ、リサイクル使用に適した合成樹脂製中空成形体
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ブロー成形により得られる合成樹脂製中空成形体で
あって、液晶樹脂1〜40重量%と熱可塑性樹脂60〜
99重量%とを含み、ブロー比1.05〜5でブロー成
形されていることを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載の発明では、上記液
晶樹脂が、熱可塑性樹脂中にフィブリル状に分散されて
いる。また、請求項3に記載の発明では、上記熱可塑性
樹脂が無架橋ポリオレフィン樹脂と架橋性ポリオレフィ
ン樹脂とを含んでいる。以下、本発明の詳細を説明す
る。
【0011】(熱可塑性樹脂)本発明において用いられ
る熱可塑性樹脂としては、特に限定されるわけではない
が、例えば、ABS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、フッ素樹脂、アセタール樹脂、アミド樹脂、イミド
樹脂、アミドイミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹
脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアクリレート、ポリフェニレンオキサイド、ポ
リスチレン、熱可塑性ポリウレタンなどを挙げることが
できる。また、熱可塑性樹脂として、これらの樹脂の変
性体や、これらの樹脂を2種以上ブレンドしてなるブレ
ンド材(アロイ材)などを用いてもよい。中でも、熱可
塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン
及びオレフィン系もしくはスチレン系共重合体樹脂など
を用いることが中空成形品の特性及びコストのバランス
がとれた材料であるため好ましい。
【0012】(液晶樹脂)上記液晶樹脂としては、マト
リックスとなる上記熱可塑性樹脂の融点よりも液晶転移
温度が高いものであれば特に限定されるものではない
が、全芳香族系ポリエステル樹脂、半芳香族系ポリエス
テル樹脂及び非芳香族系ポリエステル樹脂などの熱可塑
性液晶ポリエステル、熱可塑性液晶ポリエステルアミド
を用いることがフィブリル化特性、成形加工性に優れる
ため好ましい。より具体的には、商品名:ベクトラ(ポ
リプラスチック社製)、商品名:エコノール(住友化学
社製)、商品名ザイダー(アモコ社製)、商品名:ロッ
ドラン(ユニチカ社製)などの市販の全芳香族系ポリエ
ステル樹脂や半芳香族系ポリエステル樹脂を用いること
ができる。
【0013】(相溶化剤)本発明においては、必要に応
じて、上記液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合樹脂組成物
に、互いの相溶性を改善するために、成形前もしくは成
形時に相溶化剤を添加してもよい。相溶化剤としては、
例えば、熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂の場合には、
オレフィン成分とスチレン成分や芳香族ポリエステル成
分とを共重合したもの;マレイン酸成分やアクリル酸成
分を有するオレフィン樹脂;グリシジルメタクリレート
成分を有するオレフィン樹脂共重合体などを挙げること
ができる。また、相溶化剤の添加部数については、熱可
塑性樹脂及び液晶樹脂の合計100重量部に対し、通常
0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜3重量部の
範囲である。0.01重量部未満の場合には、相溶化剤
を添加したことによる相溶性改善効果が十分でないこと
があり、20重量部を超えると相溶化剤の配合割合が多
くなりすぎ、中空成形体の機械的特性などが劣化するこ
とがある。
【0014】(熱可塑性樹脂と液晶樹脂との混合割合)
熱可塑性樹脂に対する液晶樹脂の混合割合は、熱可塑性
樹脂60〜99重量%に対し、液晶樹脂1〜40重量
%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜2
0樹脂%の範囲とされる。液晶樹脂の混合割合が1重量
%未満の場合には、液晶樹脂が少なくなりすぎ、得られ
る中空成形体の耐熱変形性及び機械的強度が不十分とな
る。他方、液晶樹脂の混合割合が40重量%を超える
と、肌荒れや局所的な薄肉部の発生などの表面外観不良
が発生し、表面性状が良好な均一な中空成形体を得るこ
とができない。
【0015】(ブロー比)本発明に係る合成樹脂製中空
成形体は、ブロー比1.05〜5、好ましくは1.2〜
3の範囲でブロー成形されている。このブロー比は樹脂
組成及び製品に必要な特性や用途に応じて適宜選択され
るが、ブロー比が1.05未満では、ブロー成形時の型
への密着が不十分となり、5を超えると、成形品の形状
や肉厚分布が不均一となり、均一な中空成形品が得られ
ない。
【0016】なお、本明細書において、ブロー比とは、
パリソンの脹らみ比を示し、膨らむ前のパリソンの径を
D0、もしくは膨らむ前の樹脂の肉厚をt0、膨らんだ
後のパリソンの径をD1、もしくは膨らんだ後の成形体
の肉厚をt1としたときに、パリソンの径の比D1/D
0もしくは肉厚比t0/t1で表される値である。
【0017】(製造方法)本発明に係る合成樹脂製中空
成形体を製造するに際しては、従来より公知のブロー成
形法を用いることができる。例えば、液晶樹脂と熱可塑
性樹脂とを含む混合樹脂を押出ブロー成形もしくは射出
ブロー成形する方法が挙げられる。
【0018】この場合、混合樹脂は、上記熱可塑性樹脂
及び液晶樹脂を含み、従来公知の混合方法により得るこ
とができる。例えば、両者をタンブラーなどのミキサー
でドライ混合する方法、押出機にて溶融混合する方法な
どを採用することができる。特に、予め、押出機にて熱
可塑性樹脂及び液晶樹脂を溶融混合し、押出し、ペレッ
ト状にカットした混合材料が好適に用いられる。製造方
法の具体的な例を挙げると、以下の通りである。
【0019】液晶樹脂と熱可塑性樹脂の成形原料を2
軸混練押出機に投入し、少なくとも熱可塑性樹脂の融点
もしくは溶融温度以上でストランド状もしくはシート状
に押出し、冷却後カッティングし、混合ペレットを得
る。この場合、成形原料としては、粉体状もしくはペレ
ット状のものを好適に用いることができる。
【0020】1軸押出機の先端にクロスヘッドダイが
取り付けられたブロー成形機に上記混合ペレットを供給
し、少なくとも熱可塑性樹脂の融点もしくは溶融温度以
上の温度で、下方に円筒状パリソンを押出し、樹脂が所
定長さに押し出された状態で左右から製品形状に対応し
た金型にて型締めを行う。 次に、ブローピンを打ち込み、ピンから圧縮空気を送
り込んだ後冷却し、ブロー成形品を得る。
【0021】(請求項2に記載の発明)請求項2に記載
の発明では、上記合成樹脂製中空成形体において、液晶
樹脂が熱可塑性樹脂マトリックス中にフィブリル状に分
散されている。このフィブリル状とは、分散している液
晶樹脂のアスペクト比(長さ/径)が1以上である形状
を示し、上記アスペクト比は10以上であることが望ま
しい。
【0022】また、フィブリル径は、100μm以下が
好ましく、10μm以下であることがより好ましい。ア
スペクト比が1未満の場合には、液晶樹脂がフィブリル
状とはならないため、機械的強度を高める効果が十分に
得られないことがある。また、フィブリル径が100μ
mを超えると、得られる材料が脆くなることに加え、分
散が不均一となることがある。
【0023】また、組成物中において液晶樹脂をフィブ
リル状に分散させるには、例えば、熱可塑性樹脂及び液
晶樹脂からなる組成物を液晶樹脂の転移点以上の温度に
加熱し、剪断応力や伸張応力等の外部応力を加えること
により達成することができる。
【0024】上記液晶樹脂をフィブリル状とする方法に
ついては、より具体的には、例えば、熱可塑性樹脂と液
晶樹脂とを溶融混合し、上記混合樹脂を得るにあたり、
押出機内もしくは金型内で剪断力を加える方法が挙げら
れる。液晶樹脂が熱可塑性樹脂中で繊維状となる場合の
樹脂に作用する見かけの剪断速度は、1×102 〜10
5 sec-1、より好ましくは3×102 〜104 sec
-1とすればよい。上記範囲の剪断速度で押出しを受ける
ことにより、樹脂ブレンド物中の液晶樹脂が、フィブリ
ル化し易くなり、フィブリル径10μm以下、フィブリ
ル長0.1mm以上のフィブリルとすることができる。
【0025】また、ブロー成形時の混合樹脂よりなるパ
リソンを液晶転移点以上の温度でブロー成形することよ
りフィブリル化することも可能である。最終的に得られ
る合成樹脂成形体中に含まれる液晶樹脂のフィブリル化
の度合いは、顕微鏡観察もしくは軟X線観察により目視
で確認することができる。本発明では、液晶樹脂の少な
くとも10%以上がフィブリル状であることが望まし
い。
【0026】(請求項3に記載の発明)請求項3に記載
の発明では、上記熱可塑性樹脂が、無架橋ポリオレフィ
ン樹脂と架橋性ポリオレフィン樹脂とを含んでいる。こ
こで、使用し得るポリオレフィン樹脂としては、低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレ
ン、ブロック状ポリプロピレンなどの単独重合体及びエ
チレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ア
クリル酸共重合体(EEA)などの共重合体を挙げるこ
とができる。上記無架橋ポリオレフィン樹脂としては、
これらのポリオレフィン系樹脂が単独で使用されてもよ
く、複数種併用されてもよい。
【0027】また、架橋性ポリオレフィン樹脂として
は、上記各種ポリオレフィン樹脂に対し、過酸化物や反
応性モノマーが配合されたポリオレフィン樹脂、シラン
架橋性ポリオレフィン樹脂、電子線で架橋するポリエチ
レン樹脂などを挙げることができる。これらの架橋性ポ
リオレフィン樹脂の架橋方法については、特に限定され
るわけではないが、過酸化物を用いる方法、水架橋によ
る方法、電離性放射線を照射する方法などを挙げること
ができる。
【0028】過酸化物を用いる架橋方法は、過酸化ベン
ゾイル等の各種ラジカル発生剤を熱可塑性樹脂に対し
て、単独でもしくはビニル基を有するモノマー(例えば
スチレンモノマー)やポリマー(例えばブタジエンポリ
マー)等と共に配合し、過酸化物の分解温度以上に加熱
することにより、架橋させる方法である。従って、本発
明においては、予め過酸化物等が配合されたオレフィン
樹脂を用いて成形すれば成形時の熱履歴、もしくは成形
後の熱処理により架橋することができる。
【0029】水架橋による架橋方法は、シラン架橋性ポ
リオレフィン樹脂を用い、上述のようにして成形した混
合樹脂ペレット等もしくは成形品を水や水蒸気と接触さ
せることにより架橋させる方法である。接触時の温度及
び時間については適宜調整し得る。
【0030】上記シラン架橋性ポリオレフィン樹脂と
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂に
不飽和基を有するシラン化合物をグラフト変性したも
の、またはその共重合体をいうものとする。また、不飽
和基を有するシラン化合物としては、例えばビニルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン等が挙げられる。
【0031】上記シラン架橋性ポリオレフィン樹脂は、
例えばメトキシ基のようなアルコキシ基を有し、このア
ルコキシ基が水とが接触し、加水分解してシラノール基
となる。このシラノール基の水酸基と他の分子の水酸基
とが反応してSi−O−Si結合を形成することによ
り、架橋された熱可塑性樹脂が得られる。このとき、架
橋を促進させるためにシラノール縮合触媒を併用しても
よい。このようなシラノール縮合触媒としては、例え
ば、ジブチル錫ジフタレート、オクタン酸コバルト、ス
テアリン酸亜鉛等が挙げられる。シラノール縮合触媒の
添加量は、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂に対して、
0.001〜10重量%が好ましい。
【0032】電離性放射線を用いた架橋方法は、電子
線、γ線等を成形品に照射することにより架橋させる方
法である。この場合、上述した過酸化物やビニル基を有
するモノマー等を組み合わせても構わない。
【0033】また、他の方法として、紫外線を用いて架
橋する方法や可視光線を用いて架橋する方法が挙げら
れ、この方法では、紫外線や可視光線により分解しラジ
カルを発生する開始剤を熱可塑性樹脂に添加しておく。
【0034】上述した各種架橋方法は、単独で行われて
もよく、複数の架橋処理方法を併用してもよい。また、
架橋処理はブロー成形前であることが望ましい。すなわ
ち、架橋性ポリオレフィンを架橋後ブロー成形すること
により、パリソンの溶融伸張が著しく改善され、耐ブロ
ーダウン性が改善されると共に、均一な肉厚の成形体を
容易に得ることが可能となる。
【0035】なお、上記無架橋ポリオレフィン樹脂及び
架橋性ポリオレフィン樹脂の混合割合については、特に
限定されず、また、混合方法についても、2軸押出機を
用いた溶融混練法などを適宜用いることができる。
【0036】(他の添加剤等)本発明においては、成形
体中に必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲
で、公知の充填剤、抗酸化剤、顔料、難燃剤及び造核剤
などを添加してもよい。また、本発明にかかる合成樹脂
製中空成形体は、用途や形状に応じて、2層以上の複層
構造を有するものであってもよい。
【0037】(用途)本発明は、合成樹脂製中空成形体
を提供するものであるが、この合成樹脂製中空成形体の
用途は特に限定されず、例えば、タンクやボトルなどの
中空容器類、2重壁を有する成形品、バンパーやスポイ
ラーなどの自動車部品、ドア材などの建材などに用いる
ことができる。
【0038】(作用)請求項1に記載の発明に係る合成
樹脂製中空成形体では、液晶樹脂1〜40重量%と熱可
塑性樹脂60〜99重量%とを含み、ブロー比が1.0
5〜5であるようにブロー成形されているので、熱可塑
性樹脂マトリックス中に液晶樹脂が分散し、耐熱変形性
及び耐薬品性が高められる。また、本発明の合成樹脂製
中空成形体では、液晶樹脂及び熱可塑性樹脂により構成
されているので、再溶融が容易である。
【0039】また、請求項2に記載の発明では、液晶樹
脂がフィブリル状に分散しているので、液晶樹脂による
補強効果が高められ、合成樹脂製中空成形体の剛性及び
強度がより一層高められる。
【0040】請求項3に記載の発明では、熱可塑性樹脂
が、無架橋ポリオレフィン樹脂及び架橋性ポリオレフィ
ン樹脂を含んでいるため、溶融時の伸長特性に優れ、ブ
ロー成形に好適である。
【0041】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を挙げるこ
とにより、本発明を明らかにする。なお、以下における
液晶相転移温度はDSC(示差熱量分析計)で測定した
値である。
【0042】(実施例1)液晶樹脂として、ポリプラス
チック社製ベクトラA950(液晶転移温度280℃)
14重量%と、熱可塑性樹脂として、ホモポリプロピレ
ン(融点165℃、メルトインデックスMI=0.1)
86重量%とをシリンダ温度が290℃に設定された3
0mm押出機にて溶融混練し、ストランド状に押出した
後、カッティングしてペレットを得た。このとき、ペレ
ットに含まれる液晶樹脂の形態を電子顕微鏡(倍率50
0倍)で観察したところ、ほとんどの液晶樹脂がフィブ
リル状であった。
【0043】得られたペレットを50mm単軸押出ブロ
ー成形機(日本製鋼所社製、JEB−7)に供給し、1
0kg/時間の速度で、ダイ径=75mm、コア径=7
0mm、ダイギャップ=2.5mmの金型を用い、押出
温度210℃とし、押出ブロー成形法によりブロー比=
1.67で成形し、外径125mm、高さ260mmの
中空成形体を得た。得られた中空成形体を熱キシレンに
溶解し、残存する液晶樹脂の形態を光学顕微鏡で観察し
たところ、ほとんどがフィブリル状で残存していた。
【0044】(実施例2)液晶樹脂として、ユニチカ社
製、ロッドランLC3000(転移温度185℃)14
重量%と、熱可塑性樹脂として、ホモポリプロピレン
(融点165℃、MI=0.1)86重量%とをシリン
ダ温度が200℃に設定された30mm押出機にて溶融
混練し、ストランド状に押し出した後、カッティング
し、ペレットを得た。
【0045】実施例1と同様にして、得られたペレット
を50mm単軸押出ブロー成形機に供給し、10kg/
時間の速度で、押出温度は210℃として押出ブロー成
形した。得られた中空成形体を熱キシレンに溶解し、残
存する液晶樹脂の形態を光学顕微鏡で観察したところ、
一部がフィブリル状で存在していた。
【0046】(実施例3)液晶樹脂として、ポリプラス
チック社製ベクトラA950(転移温度280℃)14
重量%と、熱可塑性樹脂として、無架橋ホモポリプロピ
レン樹脂(融点MI=10)及びシラン架橋性ホモポリ
プロピレン(三菱化学社製、XPM800H)を重量比
で7:3の割合で含むオレフィン樹脂86重量%とから
なる配合物をシリンダ温度が290℃に設定された2軸
押出機にて、溶融混練し、ストランド状に押し出した
後、カッティングして混合ペレットを得た。このペレッ
トを100℃の熱湯にて4時間浸漬し架橋処理を行っ
た。
【0047】実施例1と同様にして、この混合樹脂ペレ
ットを50mm単軸押出ブロー成形機に供給し、10k
g/時間の速度で、押出温度は290℃として押出ブロ
ー成形した。得られた中空成形体を熱キシレンに溶解
し、残存する液晶樹脂の形態を光学顕微鏡で観察したと
ころ、一部がフィブリル状で残存していた。
【0048】(実施例4)液晶樹脂として、ユニチカ社
製ロッドランLC3000(転移温度180℃)14重
量%と、熱可塑性樹脂として、無架橋高密度ポリエチレ
ン樹脂(融点MI=1)及びシラン架橋性ポリエチレン
(三菱化学社製、HF700N)を重量比で8:2で含
むオレフィン樹脂86重量%とからなる配合物をシリン
ダ温度が200℃に設定された2軸押出機にて、溶融混
練し、ストランド状に押し出した後、カッティングして
混合ペレットを得た。
【0049】このペレットを100℃の熱湯に4時間浸
漬し架橋処理を行った。実施例2と同様にして、この混
合樹脂ペレットを50mm単軸押出ブロー成形機に供給
し、10kg/時間の速度で、押出温度は220℃とし
て押出ブロー成形した。
【0050】中空成形体を液体窒素下で破断し、その破
断面を電子顕微鏡で観察したところ、マトリックスを形
成しているポリエチレン中に液晶樹脂がフィブリル状で
分散していた。
【0051】(実施例5)液晶樹脂が20重量%の割合
で配合されている点以外は、実施例1と同じ。
【0052】(比較例1)液晶樹脂を混合せずに、ポリ
プロピレンペレット単独を50mm単軸押出ブロー成形
機に供給し、その他の点は実施例1と同様にしてブロー
成形し、中空成形体を得た。
【0053】(比較例2)液晶樹脂を混合しなかったこ
とを除いては、実施例3と同様にして中空成形体を得
た。
【0054】(比較例3)液晶樹脂を混合しなかったこ
とを除いては、実施例4と同様にして中空成形体を得
た。
【0055】(比較例4)液晶樹脂が60重量%の割合
で配合されている点以外は、実施例1と同様としたが、
ブローアップ時に樹脂切れを起こし、成形できなかっ
た。
【0056】(比較例5)ダイギャップ0.5mmと
し、ブロー比を約8倍とした点を除いては実施例1と同
様にして中空成形体を得ようとしたが、ブロー成形時に
穴が開いてしまった。
【0057】(成形品の評価)実施例1〜5及び比較例
1〜3で得られた中空成形体をオーブン中で140℃で
5分間放置し、熱による変形の有無を評価した。
【0058】また、得られた中空成形品より、2号ダン
ベルを切り出し、JIS K7113に準拠し、引張試
験を行った。なお、クロスヘッド速度は、10mm/分
とした。得られたS−Sカーブの初期勾配より引張弾性
率を、最大値より引張強度を求めた。結果を表1に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】表1から明らかなように、液晶樹脂を用い
なかった比較例1〜3では、得られた中空成形体が耐熱
変形試験においてその形状を保持せず、側面が一部屈曲
状態となっていた。また、引張強度が31.7MPa以
下、引張弾性率が1.6GPaと低く、機械的強度が十
分でなかった。
【0061】これに対して、実施例1〜4では、耐熱変
形試験において、その形状が変化しないか、あるいは僅
かの変形が見られるだけであり、引張弾性率は熱可塑性
樹脂としてポリエチレンを用いた場合でも1.6GPa
以上、引張強度が32.6MPa以上と高く、機械的強
度も十分な大きさとなっていることがわかる。
【0062】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、液晶樹
脂1〜40重量%と熱可塑性樹脂60〜99重量%とを
含み、ブロー比が1.05〜5であるようにブロー成形
された合成樹脂製中空成形体であるため、この中空成形
体は耐熱変形性に優れ、かつ十分な機械的強度を有す
る。
【0063】また、この合成樹脂製中空成形体は、液晶
樹脂を用いて耐熱変形性及び機械的強度を高めたもので
あるため、再溶融が容易であり、従って同一成形体の原
料としてのリサイクルが容易であり、かつ他の成形体へ
の再使用も容易である。従って、耐熱変形性及び機械的
強度が高く、かつリサイクル使用に適した合成樹脂製中
空成形体を提供することが可能となる。
【0064】請求項2に記載の発明では、液晶樹脂がフ
ィブリル状に熱可塑性樹脂中に分散されているため、液
晶樹脂による補強効果が高められ、剛性及び機械的強度
のより一層高い合成樹脂製中空成形体を提供することが
できる。
【0065】請求項3に記載の発明では、熱可塑性樹脂
がポリオレフィン樹脂であり、機械的特性に優れたポリ
オレフィン系樹脂を用いているため、加えて、ポリオレ
フィン系樹脂が無架橋ポリオレフィン樹脂と架橋性ポリ
オレフィン樹脂とを併用したものであるため、機械的強
度がより一層優れた合成樹脂製中空成形体を提供するこ
とが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロー成形により得られる合成樹脂製中
    空成形体であって、 液晶樹脂1〜40重量%と熱可塑性樹脂60〜99重量
    %とを含み、ブロー比1.05〜5でブロー成形されて
    いることを特徴とする合成樹脂製中空成形体。
  2. 【請求項2】 前記液晶樹脂が、熱可塑性樹脂中にフィ
    ブリル状に分散されている請求項1に記載の合成樹脂製
    中空成形体。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂が無架橋ポリオレフィ
    ン樹脂と架橋性ポリオレフィン樹脂とを含んでいること
    を特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製中空
    成形体。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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