JPH114039A - 窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法

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JPH114039A
JPH114039A JP15381497A JP15381497A JPH114039A JP H114039 A JPH114039 A JP H114039A JP 15381497 A JP15381497 A JP 15381497A JP 15381497 A JP15381497 A JP 15381497A JP H114039 A JPH114039 A JP H114039A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共振面が平滑で、レーザ光のファーフィール
ドパターン形状の良好な、更にしきい値の低下された窒
化物半導体レーザ素子及びその製造方法を提供すること
である。 【解決手段】 エッチングして共振面を形成した後、更
にエッチングによりリッジ(p側コンタクト層20及び
p側クラッド層19よりなる)を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化物半導体(InX
YGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなるレ
ーザ素子に関し、特にファーフィールドパターンが良好
な、しきい値の低下されたレーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者等は、光導波効率を上げるため
に共振面間にリッジ構造を設け実効屈折率導波型のレー
ザ素子を提案している。窒化物半導体レーザ素子(以下
単に半導体レーザ素子とする場合がある。)は、活性層
の発光を半導体層内部で共振させるために共振面を有す
る。共振面は、エッチング(ドライエッチング、ウエッ
トエッチング等)や劈開等によって形成される。またリ
ッジ構造はエッチング等によって形成される。そして、
レーザ光は共振面から出射されるため、共振面が鏡のよ
うに平滑であるとレーザ光のファーフィールドパターン
が良好となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窒化物
半導体にエッチングによりリッジ構造及び共振面を形成
すると、図2の窒化物半導体の部分的な構造を示す斜視
図で示すように共振面に2本の筋が生じて平滑な面にな
らない。また、劈開により共振面を形成しようとする
と、窒化物半導体がサファイア(Al23)のような劈
開性をほとんど有しない基板上に形成されることが多い
ため、基板を劈開して共振面とすることが難しい。基板
として用いられるサファイアはダイヤモンドと同じくら
いに硬い物質であるので、フルカットすると長時間を要
し、更に切断面にある窒化物半導体層に割れや欠け等の
欠陥が生じ易い傾向にある。
【0004】この様に共振面に2本の筋が生じたり、半
導体が割れたりして共振面が十分平滑でないと、半導体
レーザから放出される光のファーフィールドパターンが
乱れ、良好な楕円形状等のレーザビームが得られない。
更にファーフィールドパターンが乱れると、レーザ光と
レンズとが結合し難くなり光源として使いにくい。また
エッチングにより共振面に2本の筋が生じると、光の帰
還率の低下により共振面での光損失が増加し、しきい値
が上昇する。レーザの連続発振を長時間に渡り可能とす
るためには、しきい値の低下が必要である。
【0005】そこで、本発明の目的は、共振面が平滑
で、レーザ光のファーフィールドパターン形状の良好
な、更にしきい値の低下された窒化物半導体レーザ素子
及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の目的は以
下の構成によって達成することができる。 (1) 光導波機構がリッジ構造である窒化物半導体レ
ーザ素子において、共振面がエッチングにより形成され
てなり、該共振面を形成後に、リッジ構造がエッチング
により形成されてなることを特徴とする窒化物半導体レ
ーザ素子。 (2) 前記共振面の面上に生じる凹凸が2μm以下で
あることを特徴とする前記1に記載の窒化物半導体レー
ザ素子。 (3) 光導波機構がリッジ構造である窒化物半導体レ
ーザ素子の製造方法において、エッチングして共振面を
形成した後、更にエッチングによりリッジ構造を形成し
てなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子の製造
方法。
【0007】更に本発明の目的は、以下好ましい態様に
より達成することができる。 (4) リッジ構造がp側の超格子層を含んだ上の層を
リッジとして形成されていることを特徴とする前記
(1)又は(3)に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【0008】つまり、本発明は、上記の如く共振面を形
成した後にリッジ構造を形成することによって、共振面
が平滑になり、これによりファーフィールドパターンが
正常になる。更に本発明は共振面が平滑となったので、
光の帰還率が向上し、しきい値の上昇が抑えられしきい
値を低下させることができる。
【0009】本発明者等は、ファーフィールドパターン
を乱す共振面の荒れについて種々検討した結果、リッジ
構造を形成後に共振面を形成すると、図2のように共振
面に2本の筋が生じることを見いだした。通常、フォト
リソグラフィの性質上、窒化物半導体をエッチングする
場合、エッチング深さの小さい部分から行う。これは、
エッチング深さが大きい部分を形成した後エッチング深
さが小さい部分を形成しようとすると、レジスト膜の厚
みに差が生じ、露光して現像しても段差が大きい部分に
レジスト膜が残り、所望する形状にフォトリソすること
が困難となる。従って当業者の多くは、エッチングの深
さが小さい部分からフォトリソを行う。
【0010】しかしながら、本発明者等は、フォトリソ
グラフィを行う際の上記のような常識に反し、エッチン
グ深さの大きい共振面を形成した後にエッチング深さの
小さいリッジ構造の形成を行うことによって平滑な共振
面を可能にした。そして、図1の窒化物半導体の部分的
な構造を示す斜視図のA部分のように、従来法ではエッ
チングされるべき箇所にわずかな段差が生じているが、
この段差によるレーザ素子への何らの悪影響もない。更
に、このように段差の生じる要因のレジスト膜の残存物
は、悪影響がないばかりか、リッジ構造をエッチングす
る際の共振面及びそれ以外の側面の不要な浸食を防止
し、共振面の不要な浸食による共振面の面角度の不具合
を防止することができる。即ち、本発明は、単に従来の
エッチングの順序を変更しただけではなく、エッチング
の順序を変更したことによって生じる不要の副産物とさ
れているレジスト膜の残存物を共振面の保護膜として活
用しリッジ構造を形成するものである。これによって、
共振面の面角度が基板に対しほぼ90°、且つ共振面が
平滑で鏡面状を保つことができ、ファーフィールドパタ
ーンが非常に良好となると共にしきい値の低下を可能に
し、劈開性のほとんどない基板上に形成され且つリッジ
構造を有する窒化物半導体レーザ素子に特有の上記問題
点を解決するに至った。
【0011】更に本発明は、上記の如く半導体レーザか
ら出射される光のファーフィールドパターンが良好とな
ったので、楕円形状のレーザビームを得ることが可能と
なる。更にファーフィールドパターンが良好であるとレ
ーザ光とレンズとが結合し易くなり光源として使い易く
なる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の窒化物半導体レーザ素子
は、少なくとも共振面を形成後にリッジ構造が形成され
ているものである。そしてこのように形成された本発明
の窒化物半導体レーザ素子は、平滑な共振面を有するこ
とができる。本発明にかかる共振面は、共振面の面上の
凹凸が2μm以下、好ましくは1μm以下、より好まし
くは0.5μm以下である。つまり図3の図2の斜視図
を上から見た模式的平面図のdの値が凹凸の値を示す。
このような本発明における共振面は、例えば図1で示す
ように、従来問題となっていたリッジ構造を有する場合
にリッジ構造のストライプ幅の両脇に生じていた2本の
筋が発生していない。このことは図2で示した従来の共
振面と比較すれば一目瞭然である。
【0013】また、本発明の窒化物半導体レーザ素子
は、図1に示されるように、n型の窒化物半導体層の端
部(図1のA部分)にわずかな段差が生じる。この段差
は、エッチング深さが大きい共振面を形成後に、エッチ
ング深さの小さいリッジ構造を形成するために生じる。
つまり、レジストを塗布し窒化物半導体層に薄膜を形成
し露光する際、エッチングによる段差が大きいとレジス
ト薄膜の厚みにむらが生じ均一に露光できないため図1
のような段差が生じる。しかしながら、このように段差
が生じても、レーザから出射される光のファーフィール
ドパターン、しきい値等にはほとんど悪影響を与えな
い。従って、この段差は、本発明のレーザ素子に特有の
構造であり、且つ本発明の製造方法によって生じる特定
の構造といえる。
【0014】共振面は、窒化物半導体をエッチングして
活性層のエッチング端面に形成される。共振面は、活性
層の端面に形成するレーザ光を共振させるための面を指
す。
【0015】リッジ構造は、活性層の上部のp側層(p
型不純物を含有するp側の窒化物半導体層)を一定のス
トライプ幅を有してエッチングしてリッジ構造とされ
る。以下、本発明においてリッジ構造を有する部分をリ
ッジ部と言う場合がある。本発明において、ストライプ
状のリッジ構造の形状は特に限定されるものではない
が、例えば本発明者等が先に提案した特願平8−676
32号明細書等に記載のリッジ構造の形状を挙げること
ができる。またリッジ構造は活性層上のp側窒化物半導
体層に形成されていることが好ましい。
【0016】リッジ構造の形状の好ましい一実施態様と
して、例えば、図4に示す様にp側コンタクト層20、
p側クラッド層19をエッチングしてリッジ形状を図の
様に形成する。このようにp側の超格子層を含んだ上の
層をリッジ構造とすることが好ましい。超格子層を含ん
でリッジを形成するとしきい値を低下させることができ
好ましい。超格子層とは、組成の異なる極めて薄い層が
積層されたものであって、各層の厚さが十分薄いため
に、格子不整に伴う欠陥が発生することなく積層された
層のことをいい、量子井戸構造を含む広い概念である。
また、この超格子層は、内部に欠陥は有しないが、通
常、格子不整に伴う歪みを有するので歪み超格子とも呼
ばれる。
【0017】本発明において、共振面及びリッジ構造
は、エッチングにより形成される。窒化物半導体をエッ
チングする方法には、ウエットエッチング、ドライエッ
チング等の方法があり、共振面となるような平滑な面を
形成するには、好ましくはドライエッチングを用いる。
ドライエッチングには、例えば反応性イオンエッチング
(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIB
E)、電子サイクロトロンエッチング(ECR)、イオ
ンビームエッチング等の装置があり、いずれもエッチン
グガスを適宜選択することにより、窒化物半導体をエッ
チングして共振面を形成することができる。例えば、本
出願人が先に出願した特開平8−17803号公報記載
の窒化物半導体の具体的なエッチング手段を用いること
ができる。本発明は、上記のようなエッチング方法を用
い共振面を形成した後、リッジ構造を形成するものであ
る。
【0018】本発明において、窒化物半導体の構成は特
に限定されず、いずれの層構成及び形状を有していても
よい。以下に本発明に用いることのできる好ましい窒化
物半導体素子の構成要素を記載する。
【0019】図4は、本発明に係る一実施形態の窒化物
半導体素子の構造を示す模式的な断面図(レーザ光の共
振方向に垂直な断面)であり、該窒化物半導体素子は、
例えば、C面を主面とするサファイア等の基板10上
に、n型窒化物半導体層領域(n側コンタクト層12、
クラッド防止層13、n側クラッド層14及びn側光ガ
イド層15からなる。)とp型窒化物半導体領域(キャ
ップ層17、p側光ガイド層18、p側クラッド層19
及びp側コンタクト層20からなる。)とによって挟設
された窒化物半導体からなる活性層16を備えた窒化物
半導体レーザダイオード素子である。
【0020】ここで、本実施形態の窒化物半導体素子
は、n型窒化物半導体層領域におけるn側クラッド層1
4を超格子層で形成し、かつp型窒化物半導体領域にお
けるp側クラッド層19を超格子層で形成することによ
り、LD素子である窒化物半導体素子のしきい値電圧を
低く設定している。
【0021】この実施形態の窒化物半導体素子において
は、まず、基板10上にバッファ層11と第2のバッフ
ァ層112を介してn側コンタクト層12が形成され、
さらにn側コンタクト層12上に、クラック防止層1
3、n側クラッド層14及びn側光ガイド層15が積層
されて、n型窒化物半導体層領域が形成される。なお、
クラック防止層13の両側に露出されたn側コンタクト
層12の表面にはそれぞれ、n側コンタクト層12とオ
ーミック接触するn側電極23が形成され、該n側電極
23上には、例えば、ワイヤーボンディング用のn側パ
ッド電極が形成される。そして、n側光ガイド層15上
に窒化物半導体からなる活性層16が形成され、さらに
該活性層16上に、キャップ層17、p側光ガイド層1
8、p側クラッド層19及びp側コンタクト層20が積
層されてp側窒化物半導体層領域が形成される。さら
に、p側コンタクト層20上に該p側コンタクト層20
とオーミック接触するp側電極21が形成され、該p側
電極21上には、例えば、ワイヤーボンディング用のp
側パッド電極が形成される。なお、p側コンタクト層2
0とp側クラッド層19の上部とによって、共振方向に
長く伸びた峰状のリッジ部が構成された該リッジ部を形
成することによって、活性層16において、光を幅方向
(共振方向に直交する方向)に閉じ込め、リッジ部(ス
トライプ状の電極)に垂直な方向で劈開された劈開面を
用いて、リッジ部の長手方向に共振する共振器を作製し
てレーザ発振させる。
【0022】(基板10)基板10にはC面を主面とす
るサファイアの他、R面、A面を主面とするサファイ
ア、その他、スピネル(MgA124)のような絶縁性
の基板の他、SiC(6H、4H、3Cを含む)、Zn
S、ZnO、GaAs、GaN等の半導体基板を用いる
ことができる。
【0023】(バッファ層11)バッファ層11は、例
えばAlN、GaN、AlGaN、InGaN等が90
0℃以下の温度で成長させて、膜厚数十オングストロー
ム〜数百オングストロームに形成される。このバッファ
層11は、基板と窒化物半導体との格子定数不正を緩和
するために形成されるが、窒化物半導体の成長方法、基
板の種類等によってはバッファ層11を省略することも
可能である。
【0024】(第2のバッファ層112)第2のバッフ
ァ層112は、前記バッファ層11の上に、前記バッフ
ァ層よりも高温で成長させた単結晶の窒化物半導体より
なる層であり、バッファ層11よりも厚膜を有する。こ
の第2のバッファ層112は次に成長させるn側コンタ
クト層12よりもn型不純物濃度が少ない層とするか、
若しくはn型不純物をドープしない窒化物半導体層、好
ましくはGaN層とすると、第2のバッファ層112の
結晶性が良くなる。最も好ましくはn型不純物をアンド
ープのGaNとすると最も結晶性が良い窒化物半導体が
得られる。従来のように負電極を形成するn側コンタク
ト層を数μm以上の膜厚で、高キャリア濃度の単一の窒
化物半導体層で構成しようとすると、n型不純物濃度の
大きい層を成長させる必要がある。不純物濃度の大きい
厚膜の層は結晶性が悪くなる傾向にある。このため結晶
性の悪い層の上に、活性層等の他の窒化物半導体を成長
させても、結晶欠陥を他の層が引き継ぐことになって結
晶性の向上が望めない。そこで、n側コンタクト層12
層を成長させる前に、不純物濃度が小さい、結晶性の良
い第2のバッファ層112を成長させることにより、キ
ャリア濃度が大きく結晶性の良いn側コンタクト層12
を成長させることができる。この第2のバッファ層11
2の膜厚は、0.1μm以上、さらに好ましくは0.5
μm以上、最も好ましくは1μm以上、20μm以下に
調整することが望ましい。第2のバッファ層112が
0.1μmよりも薄いと、不純物濃度の大きいn型コン
タクト層12を厚く成長させなければならず、n側コン
タクト層12の結晶性の向上があまり望めない傾向にあ
る。また20μmよりも厚いと、第2のバッファ層11
2自体に結晶欠陥が多くなりやすい傾向にある。また第
2のバッファ層112を厚く成長させる利点として、放
熱性の向上が挙げられる。つまりレーザ素子を作製した
場合に、第2のバッファ層112で熱が広がりやすくレ
ーザ素子の寿命が向上する。さらにレーザ光の漏れ光が
第2のバッファ層112内で広がって、楕円形に近いレ
ーザ光が得やすくなる。なお、第2のバッファ層112
は、基板にGaN、SiC、ZnO等の導電性基板を使
用した場合には省略してもよい。
【0025】(n側コンタクト層12)n側コンタクト
層12は負電極を形成するコンタクト層として作用する
層であり、0.2μm以上、4μm以下に調整すること
が望ましい。0.2μmよりも薄いと、後で負電極を形
成する際にこの層を露出させるようにエッチングレート
を制御するのが難しく、一方、4μm以上にすると不純
物の影響で結晶性が悪くなる傾向にある。このn側コン
タクト層12の窒化物半導体にドープするn型不純物の
範囲は1×1017/cm3〜1×1021/cm3の範囲、
さらに好ましくは、1×1018/cm3〜1×1019
cm3に調整することが望ましい。1×10 17/cm3
りも小さいとn電極の材料と好ましいオーミックが得ら
れにくくなるので、レーザ素子ではしきい値電流、電圧
の低下が望めず、1×1021/cm 3よりも大きいと、
素子自体のリーク電流が多くなったり、また結晶性も悪
くなるため、素子の寿命が短くなる傾向にある。なおn
側コンタクト層12においては、n電極23とのオーミ
ック接触抵抗を小さくするために、該n側コンタクト層
12のキャリア濃度を上げる不純物の濃度を、n側クラ
ッド層14よりも大きくすることが望ましい。なお、n
側コンタクト層12は基板にGaN、SiC、ZnO等
の導電性基板を使用し基板裏面側に負電極を設ける場合
にはコンタクト層としてではなくバッファ層として作用
する。
【0026】また、第2のバッファ層112、及びn側
コンタクト層12の内の少なくとも一方の層を、超格子
層とすることもできる。超格子層とすると、この層の結
晶性が飛躍的に良くなり、しきい値電流が低下する。好
ましくは第2のバッファ層112よりも膜厚が薄いn側
コンタクト層12の方を超格子層とする。n側コンタク
ト層12を互いにバンドギャップエネルギーが異なる第
1の層と第2の層とが積層されてなる超格子構造とした
場合においては、好ましくはバンドギャップエネルギー
の小さな層を露出させてn電極23を形成することによ
り、n電極23との接触抵抗が低くできしきい値を低下
させることができる。なおn型窒化物半導体と好ましい
オーミックが得られるn電極23の材料としてはAl、
Ti、W、Si、Zn、Sn、In等の金属若しくは合
金が挙げられる。
【0027】また、n側コンタクト層12を不純物濃度
が異なる超格子層とすることにより、横方向の抵抗値を
低くでき、LD素子のしきい値電圧、電流を低くするこ
とができる。これは、バンドギャップエネルギーの大き
な層の方に、多くn型不純物をドープした超格子層をn
層側のコンタクト層として形成した場合について、以下
のようなHEMT(High−Electoron−M
obility−Transistor)に類似した作
用が出現した効果が推察される。n型不純物がドープさ
れたバンドギャップの大きい第1の層(第2の層)と、
バンドギャップが小さいアンドープ{(undop
e);以下、不純物がドープされてない状態をアンドー
プという}の第2の層(第1の層)とを積層した超格子
層では、n型不純物を添加した層と、アンドープの層と
のヘテロ接合界面で、バンドギャップエネルギーの大き
な層側が空乏化し、バンドギャップエネルギーの小さな
層側の厚さ(100オングストローム)前後の界面に電
子(二次元電子ガス)が蓄積する。この二次元電子ガス
がバンドギャップエネルギーの小さな層側にできるの
で、電子が走行するときに不純物による散乱を受けない
ため、超格子層の電子の移動度が高くなり、抵抗率が低
下すると推察される。
【0028】(クラック防止層13)クラック防止層1
3は、例えば、Siを5×1018/cm3ドープしたIn
0.1Ga0.9Nからなり、例えば、500オングストロー
ムの膜厚を有する。このクラック防止層13はInを含
むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNを成長さ
せて形成することにより、その上に形成されるAlを含
む窒化物半導体層中にクラックが入るのを防止すること
ができる。なお、このクラック防止層13は100オン
グストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させる
ことが好ましい。100オングストロームよりも薄いと
前記のようにクラック防止として作用しにくく、0.5
μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。な
お、このクラック防止層13は、n型コンタクト層12
を超格子とする場合、または次に成長させるn型クラッ
ド層14を超格子層とする場合には省略してもよい。
【0029】(n型超格子からなるn側クラッド層1
4)n側クラッド層は、例えばSiを5×1018/cm3
ドープしたn型Al0.2Ga 0.8Nからなり、20オング
ストロームの膜厚を有する第1の層、及びアンドープの
GaNよりなり、20オングストロームの膜厚を有する
第2の層とが交互に積層された超格子層よりなり、全体
で例えば0.5μmの膜厚を有する。このn型クラッド
層14はキャリア閉じ込め層、及び光閉じ込め層として
作用し、超格子層とした場合にはいずれか一方の層をA
lを含む窒化物半導体、好ましくはAlGaNを成長さ
せることが望ましく、100オングストローム以上、2
μm以下、さらに好ましくは500オングストローム以
上、1μm以下で成長させることにより良好なキャリア
閉じ込め層が成長できる。このn型クラッド層14は単
一の窒化物半導体で成長させることもできるが、超格子
層とすることがクラックのない結晶性のよいキャリア閉
じ込め層が形成できる。
【0030】(n側光ガイド層15)n側光ガイド層1
5は、アンドープGaNからなり、0.1μmの膜厚を
有する。このn側光ガイド層6は、活性層の光ガイド層
として作用し、GaN、InGaNを成長させて形成す
ることが望ましく、通常100オングストローム〜5μ
m、さらに好ましくは200オングストローム〜1μm
の膜厚で成長させることが望ましい。なお、この光ガイ
ド層15も超格子層にすることができる。n側光ガイド
層15、n側クラッド層14を超格子層にする場合、超
格子層を構成する窒化物半導体層の平均的なバンドギャ
ップエネルギーは活性層よりも大きくする。超格子層と
する場合には、第1の層及び第2の層の少なくとも一方
にn型不純物をドープしてもよいし、またアンドープで
も良い。
【0031】(活性層16)活性層16は、例えば、S
iを8×1018/cm3でドープしたIn0.2Ga0.8Nよ
りなり、25オングストロームの膜厚を有する井戸層
と、Siを8×1018/cm3ドープしたIn0.05Ga
0.95Nよりなり、50オングストロームの膜厚を有する
障壁層とを交互に積層することにより、所定の膜厚を有
する多重量子井戸構造(MQW)で構成する。活性層1
6においては、井戸層、障壁層両方に不純物をドープし
ても良く、いずれか一方にドープしてもよい。なおn型
不純物をドープすると閾値が低下する傾向にある。ま
た、このように活性層16を多重量子井戸構造とする場
合には必ずバンドギャップエネルギーの小さい井戸層
と、井戸層よりもバンドギャップエネルギーが小さい障
壁層とを積層するため、超格子層とは区別される。井戸
層の厚さは、100オングストローム以下、好ましくは
70オングストローム以下、最も好ましくは、50オン
グストローム以下にする。障壁層の厚さは150オング
ストローム以下、好ましくは100オングストローム以
下、最も好ましくは70オングストローム以下にする。
【0032】(p側キャップ層17)p側キャップ層1
7は、活性層16よりもバンドギャップエネルギーが大
きい、例えば、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型
Al0.3Ga0.7Nよりなり、例えば、200オングスト
ロームの膜厚を有する。本実施形態では、このように、
キャップ層17を用いることが好ましいが、このキャッ
プ層は、薄い膜厚に形成されるので、本発明では、n型
不純物をドープしてキャリアが補償されたi型としても
よい。p側キャップ層17の膜厚は0.1μm以下、さ
らに好ましくは500オングストローム以下、最も好ま
しくは300オングストローム以下に調整する。0.1
μmより厚い膜厚で成長させると、p側キャップ層17
中にクラックが入りやすくなり、結晶性の良い窒化物半
導体層が成長しにくいからである。また、p側キャップ
層17の膜厚が、0.1μmより大きいと、キャリアが
このエネルギーバリアとなるp型キャップ層17をトン
ネル効果により通過できなくなるからであり、該トンネ
ル効果によるキャリアの通過を考慮すると、上述のよう
に500オングストローム以下、さらには300オング
ストローム以下に設定することが好ましい
【0033】また、p側キャップ層17には、LD素子
を発振しやすくするために、Alの組成比が大きいAl
GaNを用いて形成することが好ましく、該AlGaN
を薄く形成する程、LD素子は発振しやすくなる。例え
ば、Y値が0.2以上のAlYGa1-YNであれば500
オングストローム以下に調整することが望ましい。p型
キャップ層17の膜厚の下限は特に限定しないが、10
オングストローム以上の膜厚で形成することが望まし
い。
【0034】(p側光ガイド層18)p側光ガイド層1
8は、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層17
よりも小さい、例えば、アンドープGaNよりなり、
0.1μmの膜厚を有する。このp側光ガイド層18
は、活性層16の光ガイド層として作用し、n側光ガイ
ド層15と同じくGaN、InGaNで成長させて形成
することが望ましい。また、この層はp型クラッド層1
9を成長させる際のバッファ層としても作用し、100
オングストローム〜5μm、さらに好ましくは200オ
ングストローム〜1μmの膜厚で成長させることによ
り、好ましい光ガイド層として作用する。このp側光ガ
イド層はMg等のp型不純物をドープしてp型の導電型
としても良い。なお、このp側光ガイド層を超格子層と
することもできる。超格子層とする場合には第1の層及
び第2の層の少なくとも一方にp型不純物をドープして
もよいし、またアンドープでも良い。
【0035】(p側クラッド層19=超格子層)p側ク
ラッド層19は、例えば、Mgを1×1020/cm3ドー
プしたp型Al0 .2Ga0.8Nよりなり、例えば、20オ
ングストロームの膜厚を有する第1の層と、例えばMg
を1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなり、2
0オングストロームの膜厚を有する第2の層とが交互に
積層された超格子層からなる。このp側クラッド層19
は、n側クラッド層14と同じくキャリア閉じ込め層と
して作用し、特にp型層の抵抗率を低下させるための層
として作用する。このp側クラッド層19の膜厚も特に
限定しないが、100オングストローム以上、2μm以
下、さらに好ましくは500オングストローム以上、1
μm以下で形成することが望ましい。
【0036】(p側コンタクト層20)p側コンタクト
層20は、p側クラッド層19の上に、例えば、Mgを
2×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなり、例え
ば、150オングストロームの膜厚を有する。このp側
コンタクト層20はp型のInXAlYGa1-X-YN(0
≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、好まし
くは、上述のようにMgをドープしたGaNとすれば、
p電極21と最も好ましいオーミック接触が得られる。
さらにp側コンタクト層の膜厚を500オングストロー
ム以下、さらに好ましくは300オングストローム以
下、最も好ましくは200オングストローム以下に調整
することが望ましい。なぜなら、上述したように抵抗率
が数Ω・cm以上もあるp型窒化物半導体層の膜厚を5
00オングストローム以下に調整することにより、さら
に抵抗率を低下させることができるため、しきい値での
電流、電圧が低下する。またp型層から除去される水素
の量を多くすることができ、さらに抵抗率を低下させる
ことができる。
【0037】なお、本発明では、p側コンタクト層20
も超格子層とすることもできる。超格子層とする場合に
は、特にバンドギャップエネルギーが異なる第1の層と
第2の層とを積層し、第1+第2+第1+第2+・・・
というように積層していき、最後にバンドギャップエネ
ルギーが小さい方の層が露出するようにすると、p電極
21と好ましいオーミック接触が得られる。p電極21
の材料としては、例えばNi、Pd、Ni/Au等を挙
げることができる。
【0038】次に、図4に示すようにp電極21と、n
電極23との間に露出した窒化物半導体層の表面にSi
2よりなる絶縁膜25が形成され、この絶縁膜25に
形成された開口部を介してp電極21と電気的に接続さ
れたpパッド電極22、及びn電極23と接続されたn
パッド電極24が形成される。このpパッド電極22は
実質的なp電極21の表面積を広げて、p電極側をワイ
ヤーボンディング、ダイボンディングできるようにし、
一方nパッド電極24はn電極23の剥がれを防止す
る。
【0039】以上の窒化物半導体素子は、第1の層、及
び第2の層を弾性歪み限界以下の膜厚にして積層された
超格子層である、結晶性のよいp型クラッド層19を備
えている。これによって、本実施形態の窒化物半導体素
子は、p側クラッド層19の抵抗値を、超格子構造を有
しないp側クラッド層に比較して1桁以上低くすること
ができるので、しきい値電圧、電流を低くすることがで
きる。
【0040】また、本実施形態の窒化物半導体素子では
p型AlYGa1-YNを含むp側クラッド層19に接し
て、バンドギャップエネルギーの小さい窒化物半導体を
p側コンタクト層20として、その膜厚を500オング
ストローム以下と薄く形成することにより、実質的にp
側コンタクト層20のキャリア濃度が高くなりp電極と
好ましいオーミックが得られて、素子のしきい値電流、
電圧を低くすることができる。さらに、n側コンタクト
層を成長させる前に、第2のバッファ層112を備えて
いるので、第2のバッファ層112の上に成長させる窒
化物半導体層の結晶性が良くなり、長寿命の素子を実現
できる。好ましくは、第2のバッファ層112の上に成
長させるn側コンタクト層を超格子とすると、横方向の
抵抗値が低くなり、しきい値電圧・しきい値電流の低い
素子が実現できる。
【0041】なお、本実施形態のLD素子ではInGa
Nのような、少なくともインジウムを含む窒化物半導体
を活性層16に備える場合には、InXGa1-XNと、A
YGa1-YNとが交互に積層された超格子層を、活性層
16を挟設する層(n側クラッド層14及びp側クラッ
ド層19)として用いることが好ましい。これによっ
て、活性層16と該超格子層とのバンドギャップエネル
ギー差、屈折率差を大きくできるため、該超格子層をレ
ーザ素子を実現する際に非常に優れた光閉じ込め層とし
て動作させることができる。さらにInGaNは結晶の
性質が他のAlGaNのようなAlを含む窒化物半導体
に比べて柔らかいので、InGaNを活性層とすると、
積層した各窒化物層全体にクラックが入りにくくなる。
これによって、LD素子の寿命を長くすることができ
る。
【0042】本実施形態のように量子井戸構造を有する
活性層16を有するダブルヘテロ構造の半導体素子の場
合、その活性層16に接して、活性層16よりもバンド
ギャップエネルギーが大きい膜厚0.1μm以下の窒化
物半導体よりなるp側キャップ層17、好ましくはAl
を含む窒化物半導体よりなるp側キャップ層17を設
け、そのp側キャップ層17よりも活性層から離れた位
置に、p側キャップ層17よりもバンドギャップエネル
ギーが小さいp側光ガイド層18を設け、そのp側光ガ
イド層18よりも活性層から離れた位置に、p側光ガイ
ド層18よりもバンドギャップが大きい窒化物半導体、
好ましくはAlを含む窒化物半導体を含む超格子構造を
有するp側クラッド層19を設けることは非常に好まし
い。しかもp側キャップ層17のバンドギャップエネル
ギーを大きくしてあるため、n層から注入された電子
が、このp側キャップ層17で阻止されて閉じ込めら
れ、電子が活性層をオーバーフローしないために、素子
のリーク電流が少なくなる。
【0043】以上の本実施形態の窒化物半導体素子で
は、レーザ素子の構造として好ましい構造を示したが、
本実施形態ではn型の超格子層は活性層16から下のn
型窒化物半導体層領域(n型層側)に少なくとも1層有
していれば良く、またp型の超格子層も活性層16から
上のp型窒化物半導体層領域(p型層側)に少なくとも
1層有していれば良く、素子構成は特に規定するもので
はない。但し、前記超格子層はp層側に形成する場合は
キャリア閉じ込め層としてのp側クラッド層19に形成
し、n層側に形成する場合はn電極23が接した電流注
入層としてのnコンタクト層12、またはキャリア閉じ
込めとしてのn側クラッド層14として形成することが
素子のVf、しきい値を低下させる上で最も好ましい傾
向にある。
【0044】以上のように構成された実施形態2の窒化
物半導体素子では、各層が形成された後、水素を含まな
い雰囲気、例えば、窒素雰囲気中で、400℃以上、例
えば700℃でアニーリングを行うことが好ましく、こ
れによって、p型窒化物半導体層領域の各層をさらに低
抵抗化することができるので、これによって、さらにし
きい値電圧を低くすることができる。
【0045】また、実施形態の窒化物半導体素子では、
p側コンタクト層12の表面にNiとAuよりなるp電
極21がストライプ状に形成され、このp電極21に対
して左右対称にn側コンタクト層を露出させて、そのn
側コンタクト層表面のほぼ全面にn電極23を設けてい
る。このように、絶縁性基板を用いた場合p電極21の
両側に左右対称にn電極23を設ける構造は、しきい値
電圧を低くする上で非常に有利である。
【0046】なお、本実施形態では、リッジ部(ストラ
イプ状の電極)に垂直な方向で劈開した劈開面(共振器
面)にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形成し
てもよい。
【0047】このように、本実施形態において、超格子
層は、活性層を挟設するn型領域又はp型領域に形成さ
れるキャリア閉じ込め層としてのクラッド層、活性層の
光ガイド層、若しくは電極が接して形成される電流注入
層として用いられるため、超格子層を構成する窒化物半
導体の平均バンドギャップエネルギーが活性層よりも大
きくなるように調整することが望ましい。
【0048】
【実施例】以下、実施例において本発明を更に詳細に説
明する。 [実施例1]本発明に係る実施例1は図4に示す窒化物
半導体素子(LD素子)の作成例であり、以下の手順で
作製される。まず、サファイア(C面)よりなる基板1
0を反応容器内にセットし、容器内を水素で十分置換し
た後、水素を流しながら、基板の温度を1050℃まで
上昇させ、基板のクリーニングを行う。続いて、温度を
510℃まで下げ、キャリアガスに水素、原料ガスにア
ンモニア(NH3)とTMG(トリメチルガリウム)と
を用い、基板10上にGaNよりなるバッファ層11を
約200オングストロームの膜厚で成長させる。
【0049】バッファ層11成長後、TMGのみ止め
て、温度を1050℃まで上昇させる。1050℃にな
ったら、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガスを用
い、キャリア濃度1×1018/cm3アンドープGaNよ
りなる第2のバッファ層112を5μmの膜厚で成長さ
せる。第2のバッファ層112はInXAlYGa1-X-Y
N(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組
成は特に問うものではないが、好ましくはアンドープで
Al(Y値)が0.1以下のAlYGa1-YN、最も好ま
しくはアンドープのGaNとする。続いて、1050℃
でTMG、アンモニア、不純物ガスにシランガス(Si
4)を用い、Siを1×1019/cm3ドープしたn型G
aNよりなるn側コンタクト層12を1μmの膜厚で成
長させる。このn側コンタクト層12は超格子で形成す
るとさらに好ましい。
【0050】次に、温度を800℃にして、原料ガスに
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニ
ア、不純物ガスにシランガスを用い、Siを5×1018
/cm3ドープしたIn0.1Ga0.9Nよりなるクラック防
止層13を500オングストロームの膜厚で成長させ
る。
【0051】そして、温度を1050℃にして、TMA
(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモニア、シ
ランガスを用い、Siを5×1018/cm3ドープしたn
型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層を20オングスト
ロームの膜厚で成長させ、続いて、TMA、シランを止
め、アンドープGaNよりなる第2の層を20オングス
トロームの膜厚で成長させる。そして、この操作をそれ
ぞれ100回繰り返し、総膜厚0.4μmの超格子層よ
りなるn側クラッド層14を成長させる。
【0052】続いて、1050℃でアンドープGaNよ
りなるn側光ガイド層15を0.1μmの膜厚で成長さ
せる。次に、TMG、TMI、アンモニア、シランガス
を用いて活性層16を成長させる。活性層16は温度を
800℃に保持して、まずSiを8×1018/cm3でド
ープしたIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を25オング
ストロームの膜厚で成長させる。次にTMIのモル比を
変化させるのみで同一温度で、Siを8×10 18/cm3
ドープしたIn0.01Ga0.99Nよりなる障壁層を50オ
ングストロームの膜厚で成長させる。この操作を2回繰
り返し、最後に井戸層を積層した総膜厚175オングス
トロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層16を
成長させる。
【0053】次に、温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、TMA、アンモニア、不純物ガスにCp2
g(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、活性
層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、Mgを1
×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.7Nよりな
るp側キャップ層17を300オングストロームの膜厚
で成長させる。続いて、1050℃で、バンドギャップ
エネルギーがp側キャップ層17よりも小さい、アンド
ープGaNよりなるp側光ガイド層18を0.1μmの
膜厚で成長させる。
【0054】続いて、TMG、TMA、アンモニア、C
2Mgを用い、1050℃でMgを1×1020/cm3
ープしたp型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層を20
オングストロームの膜厚で成長させ、続いてTMAのみ
を止め、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaN
よりなる第2の層を20オングストロームの膜厚で成長
させる。そしてこの操作をそれぞれ100回繰り返し、
総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層1
9を形成する。最後に、1050℃で、p側クラッド層
19の上に、Mgを2×1020/cm3ドープしたp型G
aNよりなるp側コンタクト層20を150オングスト
ロームの膜厚で成長させる。
【0055】反応終了後、温度を室温まで下げ、さらに
窒素雰囲気中、ウェーハを反応容器内において、700
℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化す
る。アニーリング後、ウェーハを反応容器から取り出
し、図4に示すように、RIE装置により最上層のp側
コンタクト層20からn側コンタクト層12の一部から
なるストライプを形成するためにn側コンタクト層12
の表面を露出させ、これと同時に共振面を形成する。p
側コンタクト層20にマスクを形成し、図4に示すよう
に、RIE装置によりストライプの形状をする最上層の
p側コンタクト層20とp側クラッド層19の一部をエ
ッチングして、4μmのストライプ幅を有するリッジ形
状とする。
【0056】次にp側コンタクト層20のストライプリ
ッジ最表面のほぼ全面にNiとAuよりなるp電極21
を形成する。一方、TiとAlよりなるn電極23をス
トライプ状のn側コンタクト層12のほぼ全面に形成す
る。
【0057】次に、図4に示すようにp電極21と、n
電極23との間に露出した窒化物半導体層の表面にSi
2よりなる絶縁膜25を形成し、この絶縁膜25を介
してp電極21と電気的に接続したpパッド電極22、
及びnパッド電極24を形成する。以上のようにして、
n電極とp電極とを形成したウェーハを研磨装置に移送
し、ダイヤモンド研磨剤を用いて、窒化物半導体を形成
していない側のサファイア基板1をラッピングし、基板
の厚さを50μmとする。ラッピング後、さらに細かい
研磨剤で1μmポリシングして基板表面を鏡面状とす
る。
【0058】基板研磨後、研磨面側をスクライブして、
ストライプ状の電極に垂直な方向でバー状に劈開する。
共振器面にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形
成し、最後にp電極に平行な方向で、バーを切断してレ
ーザチップとした。次にチップをフェースアップ(基板
とヒートシンクとが対向した状態)でヒートシンクに設
置し、それぞれの電極をワイヤーボンディングして、室
温でレーザ発振を試みたところ、室温において、しきい
値電流密度2.9kA/cm2、しきい値電圧4.4V
で、ファーフィールドパターンではレーザ光のスッポト
が1つであった。
【0059】[実施例2]実施例1において、第2のバ
ッファ層112を成長させず、さらにn側コンタクト層
12をSiを1×1019/cm3ドープしたn型GaN単
一で5μm成長させ、n側クラッド層14をSiを1×
1019/cm3ドープしたn型Al0.2Ga0. 8N単一で
0.4μm成長させ、p側クラッド層19をMgを1×
1020/m3ドープしたp型Al0.2Ga0.8N単一で0.
4μm成長させ、さらにp側コンタクト層20をMgを
2×1020/cm3ドープした単一のp型GaNを0.2
μm成長させる他は実施例1と同様にしてレーザ素子を
得た。実施例1と同様にレーザ発振させたところ、室温
において、しきい値電流密度3.1kA/cm2、しきい
値電圧4.6Vで、ファーフィールドパターンではレー
ザの楕円形状の光のスッポトが1つであった。
【0060】[比較例1]実施例1において、リッジ構
造を形成後、共振面を形成する他は同様にして行った。
その結果、ファーフィールドパターンではレーザ光が横
方向に3つに***していた。また、共振面にリッジ構造
のストライプ幅の2本の筋が生じたため、実施例1に比
べてしきい値の上昇が見られた。
【0061】[比較例2]実施例2において、リッジ構
造を形成後、共振面を形成する他は同様にして行った。
その結果、ファーフィールドパターンではレーザ光が横
方向に3つに***していた。また、共振面にリッジ構造
のストライプ幅の2本の筋が生じたため、実施例2に比
べてしきい値の上昇が見られた。
【発明の効果】本発明の窒化物半導体レーザ素子は、共
振面が平滑であり、レーザ光のファーフィールドパター
ン形状が良好で、更にしきい値の低下された窒化物半導
体レーザ素子及びその製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る共振面を形成後にリッジを形成し
たときの窒化物半導体のエッチング面の結晶構造を示す
窒化物半導体の部分的な構造を示す斜視図である。
【図2】従来のリッジを形成後に共振面を形成したとき
の窒化物半導体のエッチング面の結晶構造を示す窒化物
半導体の部分的な構造を示す斜視図である。
【図3】図2を上から見たときの模式的平面図である。
【図4】本発明の一実施態様である窒化物半導体素子の
模式的断面図である。
【符号の説明】
10・・・・基板 11・・・・バッファ層 112・・・・第2のバッファ層 12・・・・n側コンタクト層 13・・・・クラック防止層 14・・・・n側クラッド層(超格子層) 15・・・・n側光ガイド層 16・・・・活性層 17・・・・キャップ層 18・・・・p側光ガイド層 19・・・・p側クラッド層(超格子層) 20・・・・p側コンタクト層 21・・・・p電極 22・・・・pパッド電極 23・・・・n電極 24・・・・nパッド電極 25・・・・絶縁膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波機構がリッジ構造である窒化物半
    導体レーザ素子において、共振面がエッチングにより形
    成されてなり、該共振面を形成後に、リッジ構造がエッ
    チングにより形成されてなることを特徴とする窒化物半
    導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記共振面の面上に生じる凹凸が2μm
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半
    導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 光導波機構がリッジ構造である窒化物半
    導体レーザ素子の製造方法において、エッチングして共
    振面を形成した後、更にエッチングによりリッジ構造を
    形成してなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子
    の製造方法。
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