JP3476636B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子

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JP3476636B2
JP3476636B2 JP33388496A JP33388496A JP3476636B2 JP 3476636 B2 JP3476636 B2 JP 3476636B2 JP 33388496 A JP33388496 A JP 33388496A JP 33388496 A JP33388496 A JP 33388496A JP 3476636 B2 JP3476636 B2 JP 3476636B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化物半導体(In
XAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりな
るレーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体は高輝度青色LED、純緑
色LEDの材料として、フルカラーLEDディスプレ
イ、交通信号灯等で最近実用化されたばかりである。ま
た、本出願人は、最近この材料を用いてパルス電流にお
いて、室温での410nmのレーザ発振を発表した(例
えば、文献A:Jpn.J.Appl.Phys. Vol.35 (1996) pp.L2
17-L220、文献B:Appl.Phys.Lett.69(10),2 Sep.1996
pp.1477-1479等)
【0003】窒化物半導体よりなるレーザ素子の共振面
は一般にエッチング、劈開等の技術を用いて形成され
る。前記文献Aでは、窒化物半導体をエッチングして対
向する共振面を形成しており、またBでは、サファイア
A面上に窒化物半導体を成長させ、そのサファイアのR
面で劈開することにより共振面を形成している。しか
し、それらのレーザ素子の出力は未だ低く満足できるも
のではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明はこの
ような事情を鑑みて成されたものであって、その主たる
目的は、出力の向上した窒化物半導体よりなるレーザ素
子と、その製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レ
ーザ素子は、基板上に活性層を含む窒化物半導体が積層
されて、その窒化物半導体層端面に互いに対向する共振
面を有する窒化物半導体レーザ素子において、前記共振
面の一方は窒化物半導体のエッチング面であり、もう一
方の共振面は窒化物半導体の劈開面であり、前記エッチ
ング面、及び前記劈開面にはそれぞれレーザ光を窒化物
半導体層内に反射させる反射鏡が形成されており、エッ
チング面側の反射鏡の反射率が、劈開面側の反射鏡の反
射率よりも高く調整されていることを特徴とする。
【0006】本発明の窒化物半導体レーザ素子におい
て、前記劈開面は窒化物半導体のM面
【外2】 であることが望ましい。M面とは窒化物半導体を六角柱
状の六方晶系で近似した場合に、その側面に相当する四
角形の面である。M面には六角柱の側面に沿ってそれぞ
れ、6種類の面方位で示すことができるが、本明細書で
は前記
【外3】 が全てのM面の面方位を示しているものとする。
【0007】本発明の窒化物半導体レーザ素子では、レ
ーザ素子のレーザ光は主として劈開面側から取り出され
る。レーザ光は両方の共振面より出射されるが、本発明
において”主として劈開面側から取り出される”とは、
劈開面より出射されるレーザ光が例えば読み取り、書き
込み等の各種光源として使用されることを意味する。な
お、もう一方のエッチング面より出射されるレーザ光
は、例えばフォトディテクター等の光検出器により検出
されて、レーザ素子が制御されるが、このエッチング面
側より出射されるレーザ光は、本発明においては”主と
して取り出される”側を意味するものではない。
【0008】以下、本明細書ではエッチング面側に形成
する反射鏡を第1の反射鏡ということがある。
【0009】また、本明細書では、劈開面側に形成する
反射鏡を第2の反射鏡ということがある。
【0010】さらに、反射鏡には通常、誘電体よりなる
多層膜を形成することが望ましい。
【0011】本発明に係る窒化物半導体レーザ素子は、
次のような製造方法により製造することができる。すな
わち、その製造方法では、基板上に活性層を含む窒化物
半導体層を積層する工程(以下、積層工程という。)
と、その窒化物半導体層をエッチングして、対向する窒
化物半導体層のエッチング端面に、それぞれ共振面を作
製する工程(以下、エッチング工程という。)と、共振
面作成後、その共振面と共振面との間にある窒化物半導
体を劈開する工程(以下、劈開工程という。)とを含
む。
【0012】そして、前記製造方法において、エッチン
グ工程後、劈開工程の前に、それらの共振面に誘電体よ
りなる連続した反射鏡(第1の反射鏡)を形成する工程
(以下、第1の反射鏡形成工程という。)を含む。
【0013】さらに、前記製造方法において、劈開工程
後、エッチング面に形成された反射鏡よりも活性層の発
光波長の反射率が低い他の反射鏡(第2の反射鏡)を、
劈開面に形成する工程(以下、第2の反射鏡形成工程と
いう。)を含む。
【0014】またさらに、前記製造方法は、基板上に活
性層を含む窒化物半導体層を積層する工程と、その窒化
物半導体層をエッチングして、対向する窒化物半導体層
のエッチング端面に、それぞれ共振面を作製する工程
と、共振面形成後、窒化物半導体層の表面と共振面と
に、連続した誘電体よりなる反射鏡を形成する工程を備
えていてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明のレーザ素子の形状
を示す斜視図であり、図2は図1のレーザ素子を、一点
鎖線で示す位置で共振方向に平行に切断した際の概略的
な断面図である。基本構造としては、基板上に、窒化物
半導体よりなるn型層、活性層、p型層が積層されたダ
ブルへテロ構造を有し、それらの窒化物半導体層の端面
には互いに対向する共振面を有している。それら共振面
は活性層の発光波長において異なる反射率を有してい
る。具体的な共振面としては、一方が窒化物半導体のエ
ッチング面とされており、もう一方が窒化物半導体の劈
開面とされている。
【0016】窒化物半導体をエッチングするには、ウエ
ットエッチング、ドライエッチング等の方法があるが、
共振面となるような平滑な面を形成するには、好ましく
ドライエッチングを用いる。ドライエッチングには、例
えば反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオン
ビームエッチング(RIBE)、電子サイクロトロンエ
ッチング(ECR)、イオンビームエッチング等の装置
があり、いずれもエッチングガスを適宜選択することに
より、窒化物半導体をエッチングして共振面を形成する
ことができる。例えば、本出願人が先に公開した特開平
8−17803号公報に、窒化物半導体の具体的なエッ
チング手段が開示されている。
【0017】一方、劈開により窒化物半導体の端面に共
振面を形成するには、例えば、本出願人が先に公開した
特開平8−153931号に記載されているような、サ
ファイアのC面にC軸配向した窒化物半導体を成長させ
た後、サファイア基板をM面で割る方法がある。その
他、上記文献Bに記載されるような、サファイアA面上
に窒化物半導体を成長させ、そのサファイアのR面で劈
開する方法等がある。本発明のレーザ素子において、窒
化物半導体の劈開面の面方位は特に問わないが、好まし
くは窒化物半導体のM面を共振面とすると、非常に歩留
良く、また鏡面に近い共振面が得られる。なお本発明で
いう共振面とは、図1の矢印で示すように、活性層の端
面に形成する共振面を指す。
【0018】このように窒化物半導体の一方の共振面を
エッチング面とし、さらにもう一方の共振面をエッチン
グ面とすることにより、レーザ素子の共振面の反射率を
異なるようにすることができるので、反射率の低い共振
面より出射されるレーザ光の出力を向上させることがで
きる。特に、図1、2に示すようにエッチング面側の共
振面に活性層の発光波長を反射する第1の反射鏡を形成
すると、劈開面側の反射率がさらに小さくなるので、劈
開面よりレーザ光が直接出射されるため出力の高いレー
ザ素子が得られる。
【0019】さらにまた、エッチングにより共振面を形
成すると、図1に示すようにエッチング共振面側には、
共振面とほぼ垂直な位置にあるn層の平面が露出してし
まう。この平面はレーザ光をその表面で反射して、レー
ザ光のファーフィールドパターンを乱す。つまりレーザ
出射光側に共振面よりも突出した平面が存在すると、そ
の平面でレーザ光の形状が乱される。一方劈開面であれ
ば、その突出部分がないために、楕円形に近い一定形状
のレーザ光が得られる。そのため、本発明のレーザ素子
では劈開面側から出射されるレーザ光を主として取り出
して、各種光源として使用することが望ましい。
【0020】さらに好ましくは、図1に示すようにエッ
チング面側には第1の反射鏡を形成して、劈開面側には
反射鏡を形成しないことが最も望ましい。レーザ光は共
振面より出射される場合に反射鏡で一部が出射を阻害さ
れる。そのため、劈開面側に反射鏡を形成しないことに
より、光の取出効率が向上し、スロープ効率もよくなる
ので、高出力のレーザが得られる。さらに好ましくは反
射鏡がSiO2、TiO2、ZrO2、ポリイミドのよう
な高誘電体で構成されていると、本発明の製造方法にお
いても非常に都合がよい。つまり、窒化物半導体レーザ
素子の場合には、同一面側にある半導体層からp電極
と、n電極とが取り出されることが多いため、電極形成
の際に、電極間の短絡には非常に注意を要する。しか
し、本発明のように高誘電体よりなる反射鏡を共振面と
共に形成すると、その反射鏡がn、p電極が短絡するの
を防止する絶縁膜として作用するので、レーザ素子の信
頼性が向上する。この誘電体よりなる反射鏡の作用につ
いては、本実施例においてさらに詳説する。
【0021】本発明のレーザ素子では、エッチング面側
に形成した第1の反射鏡の反射率よりも低い反射率を有
する第2の反射鏡を劈開面側に形成してもよい。第2の
反射鏡を形成すると、閾値が低下するという利点はある
が、劈開面側から出射されるレーザ素子の出力は、第2
の反射鏡を形成しないものに比較して、若干低下する。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例において詳説する。図
3は本発明のレーザ素子の一構造を示す模式的な断面図
であり、共振面に平行な方向で素子を切断した際の構造
を示している。図4は窒化物半導体の結晶構造を示すブ
ロックセル図である。図5、図6は本発明の実施例の一
工程において得られるレーザ素子の構造を示す部分断面
図であり、この図はレーザ光の共振方向に平行な方向で
素子を切断した際の図を示している。以下、これらの図
を元に本発明のレーザ素子、及び製造方法について説明
する。
【0023】[実施例1]以下、図3に示す構造のレー
ザ素子を作製する方法について述べる。 (積層工程) 1) 2インチφのサファイア(C面)よりなる基板1の
上に 2) GaNよりなるバッファ層2 3) Siドープn型GaNよりなるコンタクト層3 4) Siドープn型In0.1Ga0.9Nよりなるクラック
防止層4 5) Siドープn型Al0.2Ga0.8Nよりなるn型クラ
ッド層5 6) SiドープGaNよりなるn型光ガイド層6 7) SiドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を25
オングストロームと、SiドープIn0.01Ga0.95Nよ
りなる障壁層を50オングストロームと3ペア積層して
最後に井戸層を積層した活性層7 8) Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nよりなるp型キャ
ップ層8 9) Mgドープp型GaNよりなるp型光ガイド層9 10) Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなるp型ク
ラッド層10 11) Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層
11 を順に積層する。
【0024】1) 基板1にはサファイアC面の他、R
面、A面を主面とするサファイア、その他、スピネル
(MgA124)のような絶縁性の基板を用いることが
できる。その他SiC(6H、4H、3Cを含む)、Z
nS、ZnO、GaAs、GaN等の半導体基板を用い
て、本発明のような構造の素子とすることもできる。
【0025】2) バッファ層2はAlN、GaN、A
lGaN等が、900℃以下の温度で、膜厚数十オング
ストローム〜数百オングストロームで形成できる。この
バッファ層は基板と窒化物半導体との格子定数不正を緩
和するために形成されるが、窒化物半導体の成長方法、
基板の種類等によっては省略することも可能である。
【0026】3) n型コンタクト層3はInXAlY
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成すること
ができ、特にGaN、InGaN、その中でもSi若し
くはGeをドープしたGaNで構成することにより、キ
ャリア濃度の高いn型層が得られ、またn電極と好まし
いオーミック接触が得られる。
【0027】4) クラック防止層4はInを含むn型
の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長させるこ
とにより、次に成長させるAlを含むn型クラッド層を
厚膜で成長させることが可能となり、非常に好ましい。
LDの場合は、光閉じ込め層となる層を、好ましくは
0.1μm以上の膜厚で成長させる必要がある。従来で
はGaN、AlGaN層の上に直接、厚膜のAlGaN
を成長させると、後から成長させたAlGaNにクラッ
クが入るので素子作製が困難であったが、このクラック
防止層が、次に成長させるAlを含むn型クラッド層に
クラックが入るのを防止することができる。クラック防
止層は100オングストローム以上、0.5μm以下の
膜厚で成長させることが好ましい。100オングストロ
ームよりも薄いと前記のようにクラック防止として作用
しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変す
る傾向にある。なお、このクラック防止層は成長方法、
成長装置等の条件によっては省略することもできるがL
Dを作製する場合には成長させる方が望ましい。このク
ラック防止層はn型コンタクト層内に成長させても良
い。
【0028】5) n型クラッド層5はキャリア閉じ込
め層、及び光閉じ込め層として作用し、Alを含む窒化
物半導体、好ましくはAlGaNを成長させることが望
ましく、100オングストローム以上、2μm以下、さ
らに好ましくは500オングストローム以上、1μm以
下で成長させることにより、結晶性の良いキャリア閉じ
込め層が形成できる。
【0029】6) n型光ガイド層6は、活性層の光ガ
イド層として作用し、GaN、InGaNを成長させる
ことが望ましく、通常100オングストローム〜5μ
m、さらに好ましくは200オングストローム〜1μm
の膜厚で成長させることが望ましい。
【0030】7) 活性層7は膜厚70オングストロー
ム以下のInを含む窒化物半導体よりなる井戸層と、膜
厚150オングストローム以下の井戸層よりもバンドギ
ャップエネルギーが大きい窒化物半導体よりなる障壁層
とを積層した多重量子井戸構造とするとレーザ発振しや
すい。
【0031】8) キャップ層8はp型としたが、膜厚
が薄いため、n型不純物をドープしてキャリアが補償さ
れたi型としても良く、最も好ましくはp型とする。p
型キャップ層の膜厚は0.1μm以下、さらに好ましく
は500オングストローム以下、最も好ましくは300
オングストローム以下に調整する。0.1μmより厚い
膜厚で成長させると、p型キャップ層中にクラックが入
りやすくなり、結晶性の良い窒化物半導体層が成長しに
くいからである。またキャリアがこのエネルギーバリア
をトンネル効果により通過できなくなる。Alの組成比
が大きいAlGaN程薄く形成するとLD素子は発振し
やすくなる。例えば、Y値が0.2以上のAlYGa1-Y
Nであれば500オングストローム以下に調整すること
が望ましい。p型キャップ層8の膜厚の下限は特に限定
しないが、10オングストローム以上の膜厚で形成する
ことが望ましい。
【0032】9) p型光ガイド層9は、n型光ガイド
層と同じくGaN、InGaNで成長させることが望ま
しい。また、この層はp型クラッド層を成長させる際の
バッファ層としても作用し、100オングストローム〜
5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜1
μmの膜厚で成長させることにより、好ましい光ガイド
層として作用する。
【0033】10) p型クラッド層10はn型クラッ
ド層と同じく、キャリア閉じ込め層、及び光閉じ込め層
として作用し、Alを含む窒化物半導体、好ましくはA
lGaNを成長させることが望ましく、100オングス
トローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オ
ングストローム以上、1μm以下で成長させることによ
り、結晶性の良いキャリア閉じ込め層が形成できる。さ
らに前記のようにこの層をAlを含む窒化物半導体層と
することにより、p型コンタクト層と、p電極との接触
抵抗差ができるので好ましい。
【0034】本実施例のようにInGaNよりなる井戸
層を有する量子構造の活性層の場合、その活性層に接し
て、膜厚0.1μm以下のAlを含むp型キャップ層を
設け、そのp型キャップ層よりも活性層から離れた位置
に、p型キャップ層よりもバッドギャップエネルギーが
小さいp型光ガイド層を設け、そのp型光ガイド層より
も活性層から離れた位置に、p型光ガイド層よりもバン
ドギャップが大きいAlを含む窒化物半導体よりなるp
型クラッド層を設けることは非常に好ましい。しかもp
型キャップ層の膜厚を0.1μm以下と薄く設定してあ
るため、キャリアのバリアとして作用することはなく、
p層から注入された正孔が、トンネル効果によりp型キ
ャップ層を通り抜けることができて、活性層で効率よく
再結合し、LDの出力が向上する。つまり、注入された
キャリアは、p型キャップ層のバンドギャップエネルギ
ーが大きいため、半導体素子の温度が上昇しても、ある
いは注入電流密度が増えても、キャリアは活性層をオー
バーフローせず、p型キャップ層で阻止されるため、キ
ャリアが活性層に貯まり、効率よく発光することが可能
となる。従って、半導体素子が温度上昇しても発光効率
が低下することが少ないので、閾値電流の低いLDを実
現することができる。
【0035】11) p型コンタクト層11はp型のI
XAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構
成することができ、好ましくはMgをドープしたGaN
とすれば、p電極20と最も好ましいオーミック接触が
得られる。(積層工程終了)
【0036】以上の構成で基板1の上に活性層7を含む
窒化物半導体層を積層後、窒素雰囲気中、ウェーハを反
応容器内において、アニーリングを行い、p型層中に含
まれる水素の一部を除去し、p型層をさらに低抵抗化す
る。
【0037】次に、最上層のp型コンタクト層の表面に
所定の形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエ
ッチング)装置で、図3に示すように、最上層のp型コ
ンタクト層11と、p型クラッド層10とをメサエッチ
ングして、4μmのストライプ幅を有するリッジ形状と
する。
【0038】リッジ形成後、露出しているp型層の平面
にマスクを形成し、図3に示すようにストライプ状のリ
ッジに対して左右対称にして、n型コンタクト層22の
平面を露出させる。このようにn電極22を形成すべき
n型コンタクト層3をリッジストライプに対して左右対
称に設けることにより、n層からの電流も活性層に対し
て均一に係るようになり、閾値が低下する。
【0039】(エッチング工程)次に、n型コンタクト
層3の表面と、露出しているp型層の表面に所定の形状
のマスクを形成し、同じくRIEを用いて、n型コンタ
クト3の平面とほぼ同じ高さになるようにエッチングを
行い、共振器長700μmの共振面を形成する。
【0040】次に、リッジ最上部のp型コンタクト層1
1に、NiとAuよりなるオーミック用のp電極20を
ほぼ全面に形成する。一方、TiとAlよりなるオーミ
ック用のn電極22をストライプ状のn型コンタクト層
のほぼ全面に形成する。なお、ほぼ全面とは80%以上
の面積をいう。このようにn電極も全面に形成し、さら
にリッジに対して左右対称に形成することにより閾値が
低下する。図5は、p電極20形成後のウェーハの部分
断面図であり、レーザの共振方向に平行な方向で、リッ
ジの直上からウェーハを切断した際の概略図を示してい
る。
【0041】(第1の反射鏡形成工程)電極形成後、ウ
ェーハをCVD装置に移送し、p電極20、n電極2
2、p型クラッド層10等、基板から上の表面に露出し
ている層全てに渡って、SiO2とTiO2の誘電体多層
膜よりなる第1の反射鏡30を形成する。第1の反射鏡
30の各層の膜厚はλ/4n(λ:活性層の発光波長、
n:材料の屈折率)に従うものとする。第1の反射鏡3
0形成後の断面図を図6に示す。この第1の反射鏡は共
振面側では活性層の発光を反射する反射鏡として作用
し、さらに、n型コンタクト層3、p型クラッド層10
の表面では電極間の短絡を防止する絶縁膜として作用す
る。このように、第1の反射鏡30を共振面と共振面と
の間に連続して形成することにより、非常に効果的に素
子を作製することができる。反射鏡の材料としては例え
ばSiO2、TiO2、ZrO2、Al23、ZnO、M
gO、ポリイミドのような高誘電体材料を用いることが
できる。
【0042】第1の反射鏡30形成後、p電極20と、
n電極22の表面に形成されている第1の反射鏡30を
除去する。除去されて露出したp電極20と、n電極2
2の表面には電極面積を広げ、電流を均一に拡散させる
目的で、それぞれpパッド電極21と、nパッド電極2
2とを図3に示すような構造となるように形成する。な
お、図3に示すようにpパッド電極は、絶縁膜としての
第1の反射鏡を介して、p型クラッド層10の表面にも
渡って形成する。
【0043】(劈開工程)次に、ウェーハを研磨装置に
移送し、ダイヤモンド研磨剤を用いて、窒化物半導体を
形成していない側のサファイア基板をラッピングし、基
板の厚さを50μmとする。ラッピング後、さらに細か
い研磨剤で1μmポリシングして基板表面を鏡面状とす
る。基板の厚さは70μm以下、さらに好ましくは60
μm以下、最も好ましくは50μm以下とすることによ
り、素子の放熱性が高まり素子が長寿命になる。
【0044】基板研磨後、研磨面側をスクライブして、
図6に示す一点鎖線の位置で、共振面に平行な方向でバ
ー状に劈開し、劈開面に共振器を作製する。これによ
り、劈開面とエッチング面とで構成された共振器長55
0μmの共振面が作製される。なお劈開面はサファイア
基板の上に成長した窒化物半導体面のM面とする。M面
とは前にも説明したが、具体的には、図4に示すよう
に、窒化物半導体を正六角柱の六方晶系で近似した場合
に、その六角柱の側面に相当する四角形の面に相当する
面である。なお、M面で劈開するためには、予めエッチ
ング工程で作製する共振面がM面となるように作製して
おく必要がある。さらにn電極に平行な位置でウェーハ
を切断することにより、図2に示すような形状のレーザ
素子を得る。
【0045】以上のようにしてレーザ素子を作製するこ
とにより、図1に示すような構造の素子を作製すること
ができる。このレーザ素子の共振面の一方は劈開により
形成されて、その劈開面には反射鏡が形成されていな
い。もう一方の共振面はエッチングにより形成され、そ
のエッチング面には反射鏡が形成されている。このレー
ザ素子をフェースアップ(基板とヒートシンクとが対向
した状態)でヒートシンクに設置し、それぞれの電極を
ワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みた
ところ、室温において、閾値電流密度1.5kA/c
m2、閾値電圧6Vで、発振波長405nmの連続発振が
確認された。なお、劈開面側から出射されたレーザ光の
出力は、両方の共振面をエッチングにより形成し、さら
にその共振面に同一反射率を有する反射鏡を形成したも
のに比較して、およそ2倍に向上した。また劈開面側か
ら周されたレーザ光のファーフィールドパターンも、楕
円形であって乱れのない非常に奇麗な形状のものが得ら
れた。
【0046】[実施例2]実施例1において、劈開工程
終了後、劈開面以外の第1の反射鏡の表面にマスクを形
成し、劈開面に同じくSiO2とTiO2の誘電体多層膜
よりなる第2の反射鏡31を形成する。なお第2の反射
鏡31はその膜厚を調整することにより、第1の反射鏡
の反射率の1/10に調整する。
【0047】第2の反射鏡形成後、マスクを除去し、同
様にしてp電極20、n電極22の表面を露出させ、後
は同様にしてレーザ素子を作製した。このレーザ素子の
構造を示す概略的な断面図を図7に示す。このレーザ素
子も同様に室温において連続発振を示し、実施例1のも
のに比較して出力がおよそ20%低下した。
【0048】[実施例3]実施例1のエッチング工程に
おいて、共振器長550μmとなるようにエッチングす
る他は同様にしてエッチングを行う。
【0049】次に、同様にしてp型コンタクト層11に
p電極20、n型コンタクト層3にn電極22を形成す
る。
【0050】電極形成後、片方の共振面となるエッチン
グ面にマスクを形成した後、ウェーハをCVD装置に移
送し、実施例1と同様に基板から上の表面に露出してい
る層全てに渡って、SiO2とTiO2の誘電体多層膜よ
りなる第1の反射鏡を形成する。このように、共振面形
成後、窒化物半導体層の表面と共振面とに、連続した誘
電体よりなる反射鏡を形成する工程を備えることによ
り、前述したように第1の反射鏡が窒化物半導体表面に
形成された絶縁膜として作用し、電極間のショートを防
止すると共に、p電極20の上にpパッド電極21を形
成して、実質的な電極面積を広げることができる。電極
面積が広がると閾値を低下させることができる。
【0051】その後、マスクを除去した後、共振面と共
振面との間でウェーハを劈開する。このようにして、エ
ッチングにより両方の共振面が作製され、一方の共振面
には反射鏡が形成されて、もう一方の共振面には反射鏡
が形成されておらず、互いの共振面で反射率が異なるレ
ーザ素子が作製できる。このレーザ素子は反射鏡が形成
されていない側の共振面からレーザ光が取り出され、室
温において、同様に閾値電流密度1.5kA/cm2、閾
値電圧6Vで、発振波長405nmの連続発振が確認さ
れた。なお、反射鏡を形成していない共振面側から出射
されたレーザ光の出力は、両方の共振面をエッチングに
より形成し、さらにその共振面に同一反射率を有する反
射鏡を形成したものに比較して、1.3倍に向上した。
但し、レーザ光のファーフィールドパターンは劈開面で
ないために乱れがあった。しかし、この共振面より突出
した平面部は研磨して除去するか、あるいは共振面に近
い位置で基板を劈開することにより除去できる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子は互いの共振面の反射率を異ならせることにより、高
出力なレーザ素子を実現することができる。しかも片方
を劈開面、もう片方をエッチング面とすると、劈開面側
から出射されるレーザ光はほぼ楕円形に近い非常に奇麗
な形状のレーザ光が得られる。
【0053】また本発明の製造方法では、反射鏡を作製
する工程において、絶縁膜も形成することができるた
め、同一面側にあるレーザ素子の電極間ショートを防止
でき、非常に信頼性の高い素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す概略断面図。
【図2】 図1のレーザ素子の形状を示す斜視図。
【図3】 図2のレーザ素子の構造を詳細に示す断面
図。
【図4】 窒化物半導体の結晶構造を模式的に示すユニ
ットセル図。
【図5】 本発明の製造方法の一工程において得られる
ウェーハの概略構造を示す部分断面図。
【図6】 本発明の製造方法の一工程において得られる
ウェーハの概略構造を示す部分断面図。
【図7】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す概略断面図。
【符号の説明】
1・・・サファイア基板 2・・・バッファ層 3・・・n型コンタクト層 4・・・クラック防止層 5・・・n型クラッド層 6・・・n型光ガイド層 7・・・活性層 8・・・p型キャップ層 9・・・p型光ガイド層 10・・・p型クラッド層 11・・・p型コンタクト層 20・・・p電極 21・・・pパッド電極 22・・・n電極 23・・・nパッド電極 30・・・第1の反射鏡 31・・・第2の反射鏡
フロントページの続き (72)発明者 中村 修二 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−315703(JP,A) 特開 平8−250802(JP,A) 特開 平3−285380(JP,A) 特開 平8−153931(JP,A) 特開 昭61−265888(JP,A) 特開 平8−264886(JP,A) 特開 平8−213692(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に活性層を含む窒化物半導体が積
    層されて、その窒化物半導体層端面に互いに対向する共
    振面を有する窒化物半導体レーザ素子において、 前記共振面の一方は窒化物半導体のエッチング面であ
    り、もう一方の共振面は窒化物半導体の劈開面であり、 前記エッチング面、及び前記劈開面にはそれぞれレーザ
    光を窒化物半導体層内に反射させる反射鏡が形成されて
    おり、エッチング面側の反射鏡の反射率が、劈開面側の
    反射鏡の反射率よりも高く調整されていることを特徴と
    する窒化物半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記劈開面が窒化物半導体のM面 【外1】 であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体
    レーザ素子。
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