JPH1136142A - 耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維及びその製造方法 - Google Patents

耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維及びその製造方法

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JPH1136142A
JPH1136142A JP22615697A JP22615697A JPH1136142A JP H1136142 A JPH1136142 A JP H1136142A JP 22615697 A JP22615697 A JP 22615697A JP 22615697 A JP22615697 A JP 22615697A JP H1136142 A JPH1136142 A JP H1136142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐アルカリ性が良好な結晶性炭化ケイ素繊維及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】密度が2.7g/cm3 以上であり、強度
及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250GP
a以上である、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケ
イ素繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い力学的特性、
良好な耐アルカリ性、さらには優れた耐熱性を有する、
結晶性炭化ケイ素繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素繊維は、その優れた耐熱性及
び力学的特性を生かして、プラスチックス又はセラミッ
クスの強化繊維として利用されている。炭化ケイ素繊維
としては、比較的低い温度、例えば1300℃以下の温
度での加熱処理によって得られる、非晶質又は微結晶質
の繊維(以下この繊維を「非晶質炭化ケイ素繊維」とい
う。)が広く知られており、各種マトリックスの強化繊
維として実用に供されている。
【0003】この非晶質炭化ケイ素繊維及びその製法に
ついては既に多くの提案がされている。例えば、特公昭
58−38535号公報には、ケイ素及び炭素を主な骨
格成分とする有機ケイ素重合体を紡糸し、紡糸繊維を酸
化性雰囲気中で低温加熱して不融化し、不融化繊維を高
温焼成して炭化ケイ素繊維を製造する方法が開示されて
いる。また、特公昭62−52051号公報には、ケイ
素−炭素−チタン−酸素からなる炭化ケイ素繊維が開示
されており、特公昭58−5286号公報には、ポリカ
ルボシランのケイ素原子の一部をチタン原子と酸素原子
を介して結合させたポリチタノカルボシランを紡糸し、
紡糸繊維を不融化し、不融化繊維を焼成して、上記のケ
イ素−炭素−チタン−酸素からなる炭化ケイ素繊維を製
造する方法が開示されている。
【0004】上記の非晶質炭化ケイ素繊維を、焼結助剤
の作用のもとにさらに高温、例えば1500℃以上の温
度で加熱処理することにより、炭化ケイ素粒子を焼結さ
せた結晶性炭化ケイ素繊維の開発が行われている。そし
て、この結晶性炭化ケイ素繊維についても、いくつかの
提案がされている。例えば、米国特許5268336号
明細書には、ホウ素を0.2重量%以上含有する密度が
2.9g/cm3 以上である、結晶性炭化ケイ素繊維が
開示されている。さらに、米国特許5366943号明
細書には、ケイ素、炭素、チタン及び/又はジルコニウ
ム、及びホウ素のような焼結助剤からなる結晶性炭化ケ
イ素繊維が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】非晶質炭化ケイ素繊維
は、優れた耐熱性及び力学的特性を有している一方で、
耐アルカリ性が充分ではないこと、及び1300℃を超
える高温においては繊維中の酸素がCOガス及び/又は
SiOとして脱離し、β−SiC結晶の急激な成長によ
る力学的特性の低下が生じることが指摘されている。
【0006】炭化ケイ素繊維の耐アルカリ性を試験する
方法が、ジャ−ナル・オブ・アメリカン・セラミック・
ソサイアティ、78[7]1992−96(1995)
に記載されている。この試験方法は、炭化ケイ素繊維を
塩化ナトリウムの室温における飽和水溶液に浸漬した後
乾燥し、ついで、空気中、1000℃で2時間加熱処理
した後に、その力学的特性を測定する方法(以下この方
法を「耐アルカリ試験」と言う。)である。
【0007】この耐アルカリ試験法は炭化ケイ素繊維の
NaClに対する耐久性を調べるために行われる加速試
験法である。この文献には、炭化ケイ素繊維を耐アルカ
リ試験法に供した場合、繊維が酸化による著しい分解を
受け、繊維表面にはトリジマイト(鱗珪石塩)の結晶相
が生成し、またその近傍ではβ−SiCの結晶粒の成長
も認められ、繊維の力学的特性に重大な悪影響を及ぼす
ことが記載されている。
【0008】さらに、前述の焼結炭化ケイ素粒子からな
る結晶性炭化ケイ素繊維は、1300℃を超える温度に
おいても優れた力学的特性を示す一方で、耐アルカリ性
が良好でないという、非晶質炭化ケイ素繊維と同様の解
決すべき課題を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機ケイ
素重合体にアルミニウム及びホウ素、あるいはさらにイ
ットリウム及び/又はマグネシウムを特定割合で導入し
た有機ケイ素重合体から得られる炭化ケイ素繊維は、1
500℃以上の高温で繊維中のSiC結晶が効果的に焼
結し、上記のアルミニウム及びホウ素をそれぞれ単独で
用いた場合に比較して、両者を併用することにより、低
い濃度でもきわめて高い強度及び弾性率を有する結晶性
炭化ケイ素繊維を与えることを見い出した。さらに、こ
うして得られる結晶性炭化ケイ素繊維は、アルミニウム
の存在によって、優れた耐アルカリ性を示すことも明ら
かとなった。
【0010】本発明によれば、密度が2.7g/cm3
以上であり、強度及び弾性率が、それぞれ、2GPa以
上及び250GPa以上であり、SiCの焼結構造から
なる耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維が提供
される。また、本発明によれば、密度が2.7g/cm
3 以上であり、重量割合(合計で100重量%)で、S
i:55〜70%、C:30〜45%、Al:0.06
〜3.8%及びB:0.06〜0.5%からなり、Si
Cの焼結構造からなる耐アルカリ性の良好な結晶性炭化
ケイ素繊維が提供される。また、密度が2.7g/cm
3 以上であり、重量割合(合計で100重量%)で、S
i:55〜70%、C:30〜45%、Al:0.06
〜3.8%、B:0〜0.2%、及びY:0.06〜
3.8%及び/又はMg:0.06〜3.8%からな
り、SiCの焼結構造からなることを特徴とする耐アル
カリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維が提供される。
【0011】さらに、本発明によれば、Alを0.05
〜3重量%、Bを0.05〜0.4重量%、及び余剰の
炭素を1重量%以上含有する炭化ケイ素繊維を1600
〜2100℃の範囲内の温度で、不活性ガス中で加熱処
理することからなる、耐アルカリ性の良好な結晶性炭化
ケイ素繊維の製造方法が提供される。また、Alを0.
05〜3重量%、Bを0〜0.1重量%、Yを0.05
〜3重量%及び/又はMgを0.05〜3重量%、及び
余剰の炭素を1重量%以上含有する炭化ケイ素繊維を1
600〜2100℃の範囲内の温度で、不活性ガス中で
加熱処理することを特徴とする、耐アルカリ性の良好な
結晶性炭化ケイ素繊維の製造方法が提供される。
【0012】本発明の結晶性炭化ケイ素繊維についてま
ず説明する。この結晶性炭化ケイ素繊維は、SiCの焼
結構造からなり、密度が2.7g/cm3 以上であり、
強度及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250
GPa以上であるという優れた力学的特性を有してい
る。さらに特筆すべきことは、この結晶性炭化ケイ素繊
維は、耐アルカリ試験後の強度保持率が50%以上であ
るということである。本発明者らの知る限り、耐アルカ
リ試験後にこのような優れた強度保持率を有する結晶性
炭化ケイ素繊維は本発明によって始めてもたらされたも
のである。
【0013】本発明の結晶性炭化ケイ素繊維は、ケイ素
及び炭素を主成分とし、焼結助剤成分としてのアルミニ
ウム及びホウ素、あるいはさらにイットリウム及び/又
はマグネシウムから構成される。これら成分の好ましい
割合は、Si:55〜70%、C:30〜45%、A
l:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.25%、
B:0.06〜0.5%、特に0.06〜0.19%で
ある。また、イットリウム及び/又はマグネシウムが共
存する場合には、Si:55〜70%、C:30〜45
%、Al:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.2
5%、B:0〜0.2%、 Y:0.06〜3.8%、
特に0.13〜1.25%及び/又はMg:0.06〜
3.8%、特に0.13〜1.25%である。
【0014】アルミニウムの割合が過度に少ないと、結
晶性炭化ケイ素繊維の耐アルカリ性が低下し、その割合
が過度に高くなると高温における力学的特性が低下する
ようになる。ホウ素の割合が過度に少ないと、充分に焼
結した結晶性繊維とならず、繊維の密度が低下するよう
になり、逆に、その割合が過度に高いと、繊維の耐アル
カリ性が低下するようになる。一方、イットリウム及び
/又はマグネシウムが共存する場合には、ホウ素の含有
量を低減させても十分な焼結性並びに優れた耐アルカリ
性を発現させることができる。
【0015】この結晶性炭化ケイ素繊維は、少量の酸素
及び余剰の炭素を含むことがあるが、いずれも2重量%
以下であることが好ましい。本明細書において余剰の炭
素とは、繊維中に含有されるSiに対してSiCとして
存在し得る化学量論的組成量を超えて存在する炭素を意
味する。この結晶性炭化ケイ素繊維の繊維径については
特別の制限はないが、通常は、50μm以下である。ま
た、繊維の形態は一般には連続形状であることが好まし
い。
【0016】本発明の結晶性炭化ケイ素繊維の製造方法
をつぎに説明する。この結晶性炭化ケイ素繊維は、 A
lを0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量
%、及びBを0.05〜0.4重量%、好ましくは0.
05〜0.15重量%含有し、さらに余剰の炭素を1重
量%以上、好ましくは1.5〜2.5重量%含有する非
晶質の炭化ケイ素繊維を、1600〜2100℃の範囲
の温度に加熱することによって調製される。また、Al
を0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%、
Bを0〜0.1重量%、Yを0.05〜3重量%、好ま
しくは0.1〜1重量%及び/又はMgを0.05〜3
重量%、好ましくは0.1〜1重量%、及び余剰の炭素
を1重量%以上含有する非晶質の炭化ケイ素繊維を16
00〜2100℃の範囲の温度に加熱することによって
調製される。この加熱処理は、アルゴン、ヘリウムのよ
うな不活性ガス雰囲気下に行われる。
【0017】非晶質炭化ケイ素繊維中のアルミニウムの
割合が3重量%を超えると、焼結後の繊維の繊維におい
て、多くのアルミニウムが焼結SiC結晶の粒界に遍在
するために、粒界破壊が優勢に起こるようになって、高
い強度が得られないと共に、高温における力学的特性の
低下が顕著になる。この繊維中のアルミニウムの割合が
0.05重量%未満であると、充分に焼結した結晶性繊
維が得られなくなる。非晶質炭化ケイ素繊維中のホウ素
の割合が0.4重量%を超えると、得られる結晶性炭化
ケイ素繊維の耐アルカリ性が極端に低下し、逆にその割
合が0.05重量%より少ないと、充分に焼結した結晶
性繊維が得られなくなる。一方、イットリウム及び/又
はマグネシウムが共存する場合には、ホウ素の含有量を
低減させても十分な焼結性並びに優れた耐アルカリ性を
発現させることができる。
【0018】また、非晶質炭化ケイ素繊維は、酸素を8
〜16重量%含むことが好ましい。非晶質炭化ケイ素繊
維を加熱する際に、この酸素は前述の余剰の炭素をCO
ガスとして脱離させる。
【0019】上記の非晶質炭化ケイ素繊維は、例えば、
以下のような方法で調製することができる。まず、例え
ば、「有機ケイ素化合物の化学」化学同人(1972
年)に記載の方法に従って、1種類以上のジクロロシラ
ンをナトリウムによって脱塩素反応させて鎖状又は環状
のポリシランを調製する。ポリシランの数平均分子量は
通常300〜1000である。本明細書において、ポリ
シランは、上記の鎖状又は環状のポリシランを400〜
700℃の範囲の温度に加熱することにより、あるいは
上記の鎖状又は環状のポリシランにフェニル基含有ポリ
ボロシロキサンを添加して250〜500℃の範囲の温
度に加熱することよにって得られる、一部にカルボシラ
ン結合を有するポリシランも包含する。ポリシランは、
ケイ素の側鎖として、水素原子、低級アルキル基、アリ
−ル基、フェニル基あるいはシリル基を有することがで
きる。
【0020】フェニル基含有ポリボロシロキサンは、特
公昭53−42330号公報及び同53−50299号
公報に記載の方法に従い、ホウ酸と1種類以上のジオル
ガノクロロシランとの脱塩酸縮合反応によって調製する
ことができ、その数平均分子量は通常500〜1000
0である。
【0021】ついで、ポリシランに対して、アルミニウ
ムのアルコキシド、アセチルアセトキシド化合物、カル
ボニル化合物、又はシクロペンタジエニル化合物の所定
量を添加し、不活性ガス中、通常250〜350℃の範
囲の温度で1〜10時間反応することにより、紡糸原料
であるアルミニウム含有有機ケイ素重合体を調製するこ
とができる。アルミニウムの化合物の使用量は、ポリシ
ラン1g当たり、通常0.14〜0.86ミリモルであ
る。
【0022】アルミニウム含有有機ケイ素重合体を、溶
融紡糸、乾式紡糸のようなそれ自体公知の方法によって
紡糸して、紡糸繊維を調製する。つぎに、この紡糸繊維
を不融化処理して不融化繊維を調製する。不融化方法と
しては、一般に行われている空気中での加熱、あるいは
空気中での加熱と不活性ガス中での加熱を組合せた方法
が好ましく採用されうる。
【0023】不融化繊維を、窒素、アルゴンのような不
活性ガス中、800℃から1500℃の範囲の温度で加
熱処理して、本発明の結晶性炭化ケイ素繊維の前駆繊維
である、非晶質炭化ケイ素繊維が調製される。最後に、
前述したように、非晶質炭化ケイ素繊維を1600〜2
100℃の範囲の温度に加熱することによって、本発明
の結晶質炭化ケイ素繊維が調製される。不融化繊維から
の非晶質炭化ケイ素繊維の調製及びこの繊維からの結晶
質炭化ケイ素繊維の調製は、それぞれ、独立に行うこと
もでき、連続的に一貫して行うこともできる。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示す。以下におい
て、特別の言及がない限り、「部」及び「%」は、それ
ぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0025】参考例1 ナトリウム400部を含有する無水キシレンに、窒素ガ
ス気流下にキシレンを加熱還流させながら、ジメチルジ
クロロシラン1034重量部を滴下し、引き続き10時
間加熱還流し沈澱物を生成させた。この沈澱をろ過し、
メタノ−ル、ついで水で洗浄して、白色のポリジメチル
シラン420部を得た。
【0026】参考例2 ジフェニルジクロロシラン750部及びホウ酸124部
を窒素ガス雰囲気下にn−ブチルエ−テル中、100〜
120℃で加熱し、生成した白色樹脂状物をさらに真空
中400℃で1時間加熱することによって、フェニル基
含有ポリボロシロキサン530部を得た。
【0027】実施例1 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン4部
を添加し、窒素ガス雰囲気中、350℃で5時間熱縮合
して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有機ケ
イ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアルミニ
ウム−トリ(sec−ブトキシド)7部を加え、窒素ガ
ス気流下に310℃で架橋反応させることによって、ポ
リアルミノカルボシランを得た。
【0028】このポリアルミノカルボシランを245℃
で溶融紡糸した後、空気中140℃で5時間加熱処理し
た後、さらに窒素中300℃で10時間加熱して、不融
化繊維を得た。不融化繊維を窒素中1500℃で連続焼
成し、非晶質炭化ケイ素繊維を得た。この非晶質炭化ケ
イ素繊維の化学組成は、Si:56%、C:30%、
O:13%、Al:0.6%、B:0.05%であっ
た。
【0029】ついで、この非晶質炭化ケイ素繊維を19
00℃のアルゴン中で連続加熱処理して、結晶性炭化ケ
イ素繊維を得た。得られた結晶性炭化ケイ素繊維の化学
組成は、Si:67%、C:31%、O:0.3%、A
l:0.8%、B:0.06%であり、原子比では、S
i:C:O:Al:B=1:1.08:0.008:
0.012であった。この繊維の密度は2.9g/cm
3 であり、緻密なSiCの焼結構造からなっていた。
【0030】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性はつぎのとおりであった。 試験前 試験後 引張強度(GPa) 2.6 2.1(強度保持率:80.7%) 弾性率 (GPa) 314 301 耐アルカリ試験後の繊維表面はきわめてきれいな状態を
保っていることが観察された。また、この結晶質炭化ケ
イ素繊維はアルゴン中1600℃で1時間加熱処理した
後も処理前の強度の94%の強度を保持していた。
【0031】比較例1 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン20
部を添加し、窒素ガス雰囲気中、350℃で10時間熱
縮合した後、空気中160℃で9時間加熱処理して不融
化繊維を得た。この不融化繊維を窒素中1500℃で連
続焼成し、非晶質炭化ケイ素繊維を得た。この繊維を1
900℃のアルゴン中で連続加熱処理して、結晶性炭化
ケイ素繊維を得た。
【0032】得られた繊維の化学組成は、Si:62
%、C:37%、O:0.5%、B:0.3%であり、
原子比では、Si:C:O=1:1.4:0.014で
あった。この繊維の引張強度及び弾性率は、それぞれ、
1.3GPa及び205GPaであり、アルミニウムが
共存する実施例1の繊維に比較して、いずれも低い値を
しめした。この結晶性炭化ケイ素繊維を耐アルカリ試験
に供したところ、繊維同士の癒着が起こり、強度測定が
出来なかった。
【0033】比較例2 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部を、窒
素ガス中、470℃で4時間熱縮合して、高分子量のポ
リカルボシランを得た。このポリカルボシラン100部
を溶解したキシレン溶液にアルミニウム−トリ(sec
−ブトキシド)10部を加え、窒素ガス気流下に320
℃で架橋反応させることによって、ポリアルミノカルボ
シランを得た。このアルミノカルボシランを255℃で
溶融紡糸した後、空気中150℃で6時間加熱処理した
後、さらに窒素中300℃で10時間加熱して不融化繊
維を得た。
【0034】この不融化繊維を窒素中1400℃で連続
焼成し、非晶質炭化ケイ素繊維を得た。この繊維を18
00℃のアルゴン中で連続加熱処理して結晶性炭化ケイ
素繊維を調製した。得られた繊維の化学組成は、Si:
66%、C:32%、O:0.3%、Al:1.1%で
あり、原子比では、Si:C:O:Al=1:1.1
3:0.013:0.017であった。この繊維の引張
強度及び弾性率は、それぞれ、1.8GPa及び294
GPaであり、ホウ素が共存する実施例1の繊維に比較
して、低い値を示したものの、SiCの結晶構造からな
っていた。この結晶性炭化ケイ素繊維を耐アルカリ試験
に供した後の引張強度及び弾性率は、それぞれ、1.3
GPa及び245GPaであり、引張強度の保持率は7
2%であった。
【0035】実施例2 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン0.
5部を添加し、窒素ガス雰囲気中、410℃で5時間熱
縮合して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有
機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアル
ミニウム−トリ−(sec−ブトキシド)4部、及びマ
グネシウムアセチルアセトネート3部を加え、窒素ガス
気流下に310℃で架橋反応させることによって、アル
ミニウム並びにマグネシウムが導入された変成ポリカル
ボシランを得た。
【0036】この変成ポリカルボシランを255℃で溶
融紡糸した後、空気中150℃で3時間加熱処理し、さ
らに窒素中300℃で9時間加熱して、不融化繊維を得
た。不融化繊維をアルゴン中1450℃で連続焼成し、
非晶質炭化ケイ素繊維を合成した。この非晶質炭化ケイ
素繊維の化学組成は、Si:53wt%、C:33.4wt
%、O:13wt%、Al:0.34wt%、B:0.01
wt%、Mg:0.30wt%であった。
【0037】ついで、この非晶質炭化ケイ素繊維を18
50℃のアルゴン中で連続加熱処理して結晶性炭化ケイ
素繊維を合成した。得られた炭化ケイ素系連続無機繊維
の化学組成は、Si:66.5wt%、C:32.5wt
%、O:0.2wt%、Al:0.43wt%、B:0.0
1wt%、Mg:0.38wt%で、原子比でSi:C:
O:Al:Mg=1:1.14:0.005:0.00
67:0.0066であった。この繊維の密度は2.8
7g/cm3 であり、緻密なSiCの焼結構造からなっ
ていた。
【0038】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性は次の通りであった。 試験前 試験後 引張強度 (GPa) 2.4 2.1(強度保持率:87.5%) 弾性率 (GPa) 305 298 耐アルカリ試験後の繊維表面は、極めてきれいな状態を
保っていることが観察された。また、この結晶性炭化ケ
イ素繊維はアルゴン中1600℃で1時間加熱処理した
後も処理前の強度の91%の強度を保持していた。
【0039】実施例3 参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考
例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン0.
2部を添加し、窒素ガス雰囲気中、420℃で5時間熱
縮合して、高分子量の有機ケイ素重合体を得た。この有
機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にアル
ミニウム−トリ−(sec−ブトキシド)4部、及びイ
ットリウムアセチルアセトネート4部を加え、窒素ガス
気流下に300℃で架橋反応させることによって、アル
ミニウム並びにイットリウムが導入された変成ポリカル
ボシランを得た。
【0040】この変成ポリカルボシランを265℃で溶
融紡糸した後、空気中155℃で3時間加熱処理し、さ
らに窒素中300℃で10時間加熱して、不融化繊維を
得た。不融化繊維をアルゴン中1450℃で連続焼成
し、非晶質炭化ケイ素繊維を合成した。この非晶質炭化
ケイ素繊維の化学組成は、Si:52.5wt%、C:3
4.5wt%、O:12wt%、Al:0.35wt%、B:
0.005wt%、Y:0.56wt%であった。
【0041】ついで、この非晶質炭化ケイ素繊維を19
00℃のアルゴン中で連続加熱処理して結晶性炭化ケイ
素繊維を合成した。得られた炭化ケイ素系連続無機繊維
の化学組成は、Si:67wt%、C:31.5wt%、
O:0.1wt%、Al:0.41wt%、B:0.01wt
%、Y:0.73wt%で、原子比でSi:C:O:A
l:Y=1:1.1:0.0026:0.0064:
0.0034であった。この繊維の密度は3.01g/
cm3 であり、緻密なSiCの焼結構造からなってい
た。
【0042】この繊維の耐アルカリ試験前後の力学的特
性は次の通りであった。 試験前 試験後 引張強度 (GPa) 2.5 2.2(強度保持率:88%) 弾性率 (GPa) 325 315 耐アルカリ試験後の繊維表面は、極めてきれいな状態を
保っていることが観察された。また、この結晶性炭化ケ
イ素繊維はアルゴン中1600℃で1時間加熱処理した
後も処理前の強度を保持していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岡 裕幸 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が2.7g/cm3 以上であり、強度
    及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250GP
    a以上であり、SiCの焼結構造からなることを特徴と
    する耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維。
  2. 【請求項2】密度が2.7g/cm3 以上であり、重量
    割合(合計で100重量%)で、Si:55〜70%、
    C:30〜45%、Al:0.06〜3.8%及びB:
    0.06〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からな
    ることを特徴とする耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケ
    イ素繊維。
  3. 【請求項3】密度が2.7g/cm3 以上であり、重量
    割合(合計で100重量%)で、Si:55〜70%、
    C:30〜45%、Al:0.06〜3.8%、B:0
    〜0.2%、及びY:0.06〜3.8%及び/又はM
    g:0.06〜3.8%からなり、SiCの焼結構造か
    らなることを特徴とする耐アルカリ性の良好な結晶性炭
    化ケイ素繊維。
  4. 【請求項4】室温における飽和水溶液に浸漬した後乾燥
    し、ついで1000℃の空気中で2時間加熱処理した際
    の強度保持率が50%以上である請求項1〜3記載の結
    晶性炭化ケイ素繊維。
  5. 【請求項5】Alを0.05〜3重量%、Bを0.05
    〜0.4重量%、及び余剰の炭素を1重量%以上含有す
    る炭化ケイ素繊維を1600〜2100℃の範囲内の温
    度で、不活性ガス中で加熱処理することを特徴とする、
    耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維の製造方
    法。
  6. 【請求項6】Alを0.05〜3重量%、Bを0〜0.
    1重量%、Yを0.05〜3重量%及び/又はMgを
    0.05〜3重量%、及び余剰の炭素を1重量%以上含
    有する炭化ケイ素繊維を1600〜2100℃の範囲内
    の温度で、不活性ガス中で加熱処理することを特徴とす
    る、耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維の製造
    方法。
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