JPH11355777A - 符号化制御方法、符号化制御装置、および符号化制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

符号化制御方法、符号化制御装置、および符号化制御プログラムを記録した記録媒体

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JPH11355777A
JPH11355777A JP9884699A JP9884699A JPH11355777A JP H11355777 A JPH11355777 A JP H11355777A JP 9884699 A JP9884699 A JP 9884699A JP 9884699 A JP9884699 A JP 9884699A JP H11355777 A JPH11355777 A JP H11355777A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 符号化制御の精度を向上させ、目標発生情報
量のマージンを極力少なくした効率的な符号化画像の伝
送を可能とする。 【解決手段】 動画像データの符号化の際に、1フレー
ムの符号化による符号化データの発生情報量Aigに基づ
き次のフレームの符号化に使用すべき量子化特性を決定
する符号化制御装置において、閾値比較部134が発生
情報量Aigを上限及び下限しきい値Th_U,Th_Lと比
較する。量子化特性決定部135は、動画像データの各
フレームを予め複数の領域GOB1〜GOB12に分割
すると共に、各フレームのその複数の領域を第1のグル
ープと第2のグループに分類し、次のフレームの符号化
に使用すべき量子化特性として、上記比較結果に応じ
て、第1及び第2のグループに同一の量子化特性を設定
するか、又は、直近の2つの異なる量子化特性のうち一
方を第1のグループに他方を第2のグループにそれぞれ
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像等の信号を高
能率に圧縮符号化して伝送するための符号化制御方法お
よび装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオ信号を高能率に圧縮符号化して伝
送する技術の応用分野として、図33(a)に示すよう
なテレビ電話やテレビ会議が一般的である。さらに無線
LANの伝送路を利用したディジタル無線によりビデオ
信号を伝送し、危険個所の監視や移動体間の映像を伝送
する図33(b)に示すようなシステムなどへの応用
や、図33(C)に示すようなインターネットを利用し
た映像配信への応用が期待されている。
【0003】以下、テレビ会議やテレビ電話における画
像符号化を例にとって従来の画像符号化方法について詳
細に説明する。従来、テレビ会議やテレビ電話信号の符
号化では、フレーム間の時間的な相関性を利用するフレ
ーム間予測符号化とフレーム内の空間的な相関性を利用
するフレーム内予測符号化とを組み合わせた符号化を用
いるのが一般的である。1秒間に30枚の画像(フレー
ム)で構成されるテレビ画像の時間軸方向の相関性は大
きく、フレーム間相関を利用して1フレーム前の画面中
の同一位置の画素を予測に用いることにすれば、画面が
静止している場合には最も理想的な予測が行えることに
なる。しかし、フレーム間符号化においては、画面中に
動きがある場合には逆にフレーム間の相関は低くなり、
むしろフィールド内の隣接画素間の相関に比べても低く
なってしまう。一方、フレーム毎の画像信号の各画素も
隣接する画素とのレベル変化が小さく相関性が強い。そ
の自己相関関数は負の指数関数で近似できるとされてい
る。このとき、自己相関関数のフーリエ変換である電力
スペクトル密度はゼロ周波数成分(すなわち直流成分)
で最大となり、周波数成分が高くなるにつれて単調減少
する性質を持っている。周波数領域への直交変換として
最もよく知られているのはフーリエ変換であるが、フー
リエ変換は複素数演算を含み、構成が複雑になることか
ら、画像の符号化ではこれに代わる直交変換として2次
元DCT(Discrete Cosine Transform )を用いるのが一
般的である。DCTにより周波数成分に分解された変換
係数が、符号化しない変換係数(無意係数)であるレベ
ルゼロと離散的な量子化代表値をとる有意係数であるレ
ベル±1からレベル±Kとに量子化された後、無意係数
の連続性を符号化するランレングス符号化ならびに有意
係数のレベルの生起確率に応じて可変長符号を割り当て
るハフマン符号化が行われることにより、画像データが
圧縮される。
【0004】例えばITU−T勧告H.261では、動
きの少ない画像に対しては動き補償フレーム間予測を適
用し、フレーム間の予測誤差に対して以下に示すような
符号化を行なっている。また動きの大きい画像に対して
はフレーム間予測を適用せず、フレーム画素に対して直
接以下の符号化を行なう。図31はH.261による画
像データの符号化器および復号化器を示したものであ
る。
【0005】図31に示すように、H.261による画
像データの符号化器116は、減算部107と、2次元
DCTを行なう第1の直交変換部108と、第1の量子
化部109と、第2の逆量子化部110と、第2の逆直
交変換部111と、加算部112と、動き補償用の第2
の画像メモリ113と、ループ内フィルタ114と、符
号化制御部115と、セレクタ123,124とを備え
ている。
【0006】一方、復号化器122は、第1の逆量子化
部117と、第1の逆直交変換部118と、加算部11
9と、動き補償用の第1の画像メモリ120と、ループ
内フィルタ121と、セレクタ125とを備えている。
【0007】符号化器116では、減算部107によ
り、予め352×288ドットのCIF(Common Interm
ediate Format)に変換されたビデオ入力信号と動き補償
用の第2の画像メモリ113が記憶している予測データ
との差分をとることでフレーム間の予測誤差を算出す
る。この時15×15画素の範囲内の動きは、予測デー
タをブロック周辺の16×16画素の任意の16×16
画素のブロックとして指定することにより動き補償され
る。動き量の指定は2次元動きベクトルにより行い、画
像データとともに復号化器に送られる。復号化側では復
号ブロックよりこの動きベクトルだけずらした領域の動
き補償用画像メモリのデータを予測データとして復号を
行なう。また動き補償が利かないような大きな動きに対
しては、セレクタ123、124により、予測をしない
フレーム内符号化を選択する。予測誤差やフレーム画素
を8画素×8ラインのブロックに分割し、この各ブロッ
クに対して第1の直交変換部108で2次元DCTを施
す。DCTにより各ブロックの画素は周波数成分に変換
される。得られた変換係数は第1の量子化部109で量
子化される。量子化により各変換係数は、無意係数のレ
ベル0からレベル±127までの整数である有意係数の
レベルに代表される。量子化されたデータは、通信部等
を経て復号化器に送られるが、同時に第2の逆量子化部
110、第2の逆直交変換部111で逆変換された後、
動き補償用の第2の画像メモリ113が記憶する予測デ
ータに加算部112により加算され、動き補償用の第2
の画像メモリ113に記憶されて次の予測データとな
る。復号化器122では、入力された画像データを第1
の逆量子化部117および第1の逆直交変換部118で
逆変換した後、動き補償用の第1の画像メモリ120が
記憶する予測データに加算器119により加算し、ビデ
オ出力を得るとともに、これを次の予測データとして動
き補償用の第1の画像メモリ120に記憶する。入力ブ
ロックがフレーム内データの場合には、セレクタ125
により予測データは選択されず、入力データが直接逆変
換され、ビデオ出力として取り出され、動き補償用画像
メモリに記憶される。
【0008】以上がビデオ信号の予測符号化、特にフレ
ーム間予測符号化とフレーム内予測符号化を組み合わせ
た符号化の一例である。フレーム間符号化では、伝送エ
ラーが生じると符号化側と復号化側のフレームメモリー
の内容にミスマッチを生じるため、それ以降の再生画像
に全てエラーの影響が伝播する。このため、フレーム内
符号化された画像データを伝送して再生画像をリフレッ
シュする必要がある。
【0009】フレーム内符号化はフレーム間の相関を利
用しない符号化のため、フレーム間符号化と比べると符
号量が膨大である。このため、1フレームの全てのブロ
ックがフレーム内符号化されたフレームをリフレッシュ
用に伝送すると、伝送に時間がかかるため、遅延時間が
増大してしまう。そこで、従来、1フレームを複数のブ
ロック群に分割し、1フレーム毎に一つのブロック群を
フレーム内符号化でリフレッシュすることにより1フレ
ーム当たりの符号量の増加を少なくすることが考えられ
ている。
【0010】次に、符号化制御部115における従来の
符号化制御方法について説明する。画像の空間的相関性
や時間的相関性は刻々変化するため、DCTやフレーム
間差分により冗長度を取り除いた結果の情報量も刻々変
化する。符号化後の情報量は、DCTを行った結果の情
報の量子化における量子化特性を変えることにより制御
することができる。ただし、量子化による情報の圧縮
は、量子化誤差に起因する画像の歪みを伴う。符号化制
御は、発生情報量を所望の値に近づけるために量子化特
性を選択することにより達成される。伝送速度が一定の
場合には、入力画像の特性に応じて変動する冗長度を予
測して常に発生情報量が均一になるように量子化特性を
選択する。例えば、1992年電子情報通信学会秋季大
会予稿集D−162において仙田らによって公表された
報告「低遅延フレーム間予測符号化の検討」において、
画像フレームをマクロブロックと呼ばれる16x16画
素のブロックに分割し、i番目のマクロブロックまでに
発生した情報量とその予測値との差分に基づきマクロブ
ロックを符号化する毎に次に符号化するマクロブロック
の量子化特性を決定する、という符号量制御の手法が開
示されている。この報告では、マクロブロック単位の目
標発生情報量と実際に発生した情報量とにより次のマク
ロブロックの量子化特性(量子化パラメータ)を決定し
ていくことで、1画像フレームの発生情報量を1画像フ
レームの目標発生情報量に近づける制御を行なってい
る。マクロブロック単位の目標発生情報量をフレーム内
で均等にすると処理は単純であるが、フレーム間相関の
高いマクロブロックとそうでないマクロブロックとを同
じ目標発生情報量にすると、動きの大きいブロックの画
質が劣化してしまうという問題がある。これに対し特開
平5−344493号公報において、フレーム間予測符
号化効率を算出する予測符号化効率算出器からの出力に
基づいて符号化パラメータを決定することにより動画像
の部分毎に最適な符号化を行なうようにしてこの問題を
解決した動画像符号化装置が開示されている。しかし、
1フレームの情報量を目標発生情報量におさめつつ、フ
レーム内の相関性に応じたマクロブロック毎の目標発生
情報量を決定することは容易ではなく、複雑な処理を伴
う。
【0011】そこで、1フレーム前の符号化結果の発生
情報量またはバッファ占有量をもとに予め決めておいた
符号化パラメータ制御テーブルを参照して量子化特性を
決定することが一般には行われている。ただし、発生情
報量と量子化特性との関係は一義的には決まらないた
め、特開平4−57489号公報に開示されているよう
に、予め想定したシーンタイプのそれぞれに対して符号
化パラメータ制御テーブルを持つことが考えられてい
る。さらに本願出願人は、特開平7−107482号公
報において、1フレーム前の符号化結果の発生情報量ま
たはバッファ占有量をもとに一義的に量子化特性を算出
するのではなく、量子化特性に対する目標発生情報量の
上限と下限を予め設定しておき、或る量子化特性で1フ
レームを符号化した結果の発生情報量が目標発生情報量
の上限と下限の間にあれば次のフレームも同じ量子化特
性で符号化し、1フレームを符号化した結果の発生情報
量が目標発生情報量の上限を越えていれば、量子化精度
を下げる方向に(すなわち画質を劣化させる方向に)量
子化特性を変更し、1フレームを符号化した結果の発生
情報量が目標発生情報量の下限を下回っていれば、量子
化精度を上げる方向に(すなわち画質を向上させる方向
に)量子化特性を変更する、という符号化制御方法を提
案している。この符号化制御方法によれば、絶対レベル
を規定することなく、簡単な制御であらゆるシーンに適
応することができる。図7(a)を用いてその動作を以
下に説明する。
【0012】図7における縦軸は発生情報量を示すもの
とし、この縦軸の上方向を発生情報量の多くなる方向と
する。また、図7における横軸は量子化特性(QUAN
T)を示し、量子化特性の大小は量子化ステップサイズ
の大小に対応するものとし、この横軸の右方向を量子化
ステップサイズ(量子化誤差)の大きくなる方向とす
る。伝送速度が一定のもとで常に秒間30フレームの画
像を伝送する場合には、1フレームあたりの発生情報量
は伝送速度/30フレームにするのが理想である。しか
し、現実には発生情報量を正確に制御することは不可能
であるため、適度なマージンを見込んだ発生情報量を目
標発生情報量にする。ここで、量子化特性をq(s)で
表現して、自然数である指標sにより各量子化特性を識
別するものとし、量子化特性q(s)の量子化ステップ
サイズは、指標sが大きくなるほど大きくなるものとす
る。このとき、符号化されるべきフレームの量子化特性
q(s)の状態は指標sの値によって特定される。以下
では、符号化されるべきフレームの量子化特性の状態も
q(s)で表すものとする。特開平7−107482号
公報に開示された符号化制御方法では、量子化特性の各
状態毎に発生情報量の上限しきい値と下限しきい値を決
めておく。これらは目標発生情報量を挟むように決めら
れる。或る状態q(s)で或るフレームを符号化した結
果の発生情報量がしきい値を越えていない時(a)には
この状態にとどまり、次のフレームの符号化も状態q
(s)で行う。或る状態q(s)で或るフレームを符号
化した結果の発生情報量が上限しきい値を越えた時
(b)には量子化特性の大きい状態(量子化ステップサ
イズの大きい状態)に遷移し、量子化特性q(s+1)
で次のフレームを符号化する結果、次の発生情報量は
(c)となる。或る状態q(s)で或るフレームを符号
化した結果の発生情報量が下限しきい値を越えた時
(d)には量子化特性の小さい状態(量子化ステップサ
イズの小さい状態)に遷移し、量子化特性q(s−1)
で次のフレームを符号化する結果、次の発生情報量は
(e)となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】フレーム毎に量子化特
性を制御する上述の符号化制御方法は、以下の問題を有
している。
【0014】量子化特性は、予め定められた離散的な量
子化代表値の集合である。1フレームをまとめて一つの
量子化特性で量子化する場合には、1画面を構成するマ
クロブロックの数だけ誤差が累積されて情報量の差とな
るため、最も細かく量子化特性を制御したとしても情報
量が大きく変動する。このため、制御に大きな誤差を伴
ってしまう。特に本願出願人が提案している符号化制御
方法、すなわち、1フレーム前の符号化結果の発生情報
量またはバッファ占有量をもとに一義的に量子化特性を
算出するのではなく、1フレーム前の符号化結果の発生
情報量またはバッファ占有量をもとに量子化特性の増減
を決める符号化制御方法を使用する場合においては、画
像の相関性が一定している場合であっても、発生情報量
が、量子化特性q(s)では目標発生情報量の下限を下
回り、量子化特性q(s−1)では目標発生情報量の上
限を上回るため、量子化特性が1フレーム毎にq(s)
とq(s−1)の間を行き来して結果の発生情報量が振
動する、という事態が生じうる。すなわち、図7(a)
に示されている点(e’)と点(d)のそれぞれに対応
する2つの状態の間を量子化特性が行き来して発生情報
量が振動する、という事態が生じうる。図8(a)はこ
の時の符号化結果の発生情報量の時間的な推移を示して
いる。発生情報量が多い時でも目標発生情報量を越えて
しまわないようにしようとすると、この振動の上限を目
標発生情報量より少なく設定する必要があるため、振動
の下限では発生情報量が大幅に少なくなり、伝送帯域を
効率的に使えない。
【0015】ところで、画像を符号化した際の発生情報
量は、被写体の動きが大きくなるほど増加する傾向にあ
り、また、被写体の動きが小さくとも被写体の領域が大
きければ増加する傾向にある。更に、被写体の背後に隠
れていた背景が被写体の動きにより出現した場合には、
背景の柄の細かさによって発生情報量は増減する。更に
また、被写体の動きまたは動領域が徐々に小さくなり、
フレーム間相関が徐々に高くなる動画像では、発生情報
量は減少していく傾向にあり、逆に、被写体の動きまた
は動領域が徐々に大きくなる動画像では、発生情報量は
増加していく傾向にある。このように、主に発生情報量
は、被写体の動きの大きさ、動領域の大きさ、背景の柄
で左右されるため、前に符号化した画像フレームの発生
情報量に基づき、次に符号化する画像フレームの発生情
報量を正確に制御することは、非常に困難である。その
ため、特開平7−107482号公報において開示され
た上記従来の符号化制御では、目標発生情報量に適度な
マージンを見込んで、上限しきい値と下限しきい値を設
定している。しかし、被写体の動きの大きさ、動領域の
大きさ、被写体の速度や背景の柄、更に被写体の動き始
めや動き終わりまで考慮にいれた上限しきい値と下限し
きい値を設定することは非常に困難である。そのため、
例えば、発生情報量が下限しきい値を下回ったため、画
質を向上させる方向に量子化特性を変更したが、画質を
向上させる方向に変更された量子化特性で符号化すると
発生情報量が上限しきい値を越えてしまう、というよう
な状況や、逆に発生情報量が上限しきい値を越えたた
め、画質を劣化させる方向に量子化特性を設定したが、
画質を劣化させる方向に設定した量子化特性で符号化す
ると発生情報量が下限しきい値を下回ってしまう、とい
うような状況も生じる。
【0016】以下に、被写体の動きや動領域の大きさが
徐々に小さくなったり、大きくなったりする状況で、特
開平7−107482号公報において開示された従来の
符号化制御方法を適用した場合の問題を、図32を参照
して説明する。
【0017】まず、フレーム間相関が徐々に高くなる状
況においてこの従来の符号化制御方法を適用した場合の
問題について説明する。 問題1:或る状態q(s)で符号化した結果の発生情報
量が上限しきい値を越えている場合(b)において、被
写体の動きや動領域が徐々に小さくなりフレーム間相関
が徐々に高くなっている状況を仮定する。この場合、発
生情報量が上限しきい値を越えてしまっているため、量
子化特性をq(s+1)に設定し、次のフレームを符号
化する。しかし、フレーム間相関が徐々に高くなり発生
情報量が減少する傾向にあるにもかかわらず、量子化特
性をq(s+1)に設定すると、量子化特性とフレーム
間相関の相乗効果で、発生情報量が下限しきい値を下回
り(c’)、必要以上に画質を劣化させてしまう、とい
う問題が生じる。更に、次のフレームでは量子化特性q
(s+1)で符号化し画質が劣化した画像と符号化しよ
うとする画像とのフレーム間差分をとるため、画質が劣
化した分、差分が大きくなり圧縮率が低下する。
【0018】問題2:或る状態q(s)で符号化した結
果の発生情報量が下限しきい値を下回っている場合
(d)において、被写体の動きや動領域が徐々に小さく
なりフレーム間相関が徐々に高くなっている状況を仮定
する。発生情報量が下限しきい値を下回っているため、
量子化特性をq(s−1)に設定し、次のフレームを符
号化する。しかし、フレーム間相関が徐々に高くなり発
生情報量が減少する傾向にあるため、量子化特性q(s
−1)で符号化すると、発生情報量が再び下限しきい値
を下回ってしまったり、下限しきい値の近辺の値となっ
たりする(e’’)。その結果、動画像の符号化データ
の伝送において伝送帯域を効率的に使えないという問題
が生じる。
【0019】次に、フレーム間相関が徐々に低くなる状
況において上記従来の符号化制御を適用した場合の問題
について説明する。 問題3:或る状態q(s)で符号化した結果の発生情報
量が下限しきい値を下回っている場合(d)において、
被写体の動きや動領域が徐々に大きくなりフレーム間相
関が徐々に低くなっている状況を仮定する。この場合、
発生情報量が下限しきい値を下回っているため、量子化
特性をq(s−1)に設定し、次のフレームを符号化す
る。しかし、フレーム間相関が徐々に低くなり発生情報
量が増加する傾向にあるにもかかわらず、量子化特性を
q(s−1)に設定すると、量子化特性とフレーム間相
関の相乗効果で、急激に発生情報量が増加し(e’)、
コマ飛びが発生する。
【0020】問題4:或る状態q(s)で符号化した結
果の発生情報量が上限しきい値を越えている場合(b)
において、被写体の動きや動領域が徐々に大きくなりフ
レーム間相関が徐々に低くなっている状況を仮定する。
この場合、発生情報量が上限しきい値を越えているた
め、量子化特性をq(s+1)に設定し、次のフレーム
を符号化する。しかし、フレーム間相関が徐々に低くな
り発生情報量が増加する傾向にあるため、量子化特性q
(s+1)で符号化すると、発生情報量が再び上限しき
い値を越えてしまったり、上限しきい値の近辺の値とな
ったりする(c’’)。その結果、符号化されて伝送さ
れる動画像においてコマ飛びが発生するという問題が生
じる。
【0021】本発明は、上述の問題を解決すべくなされ
たものであり、符号化制御の精度を向上させ、目標発生
情報量のマージンを極力少なくしてロスをなくした効率
的な符号化画像の伝送を可能とする符号化制御方法およ
び装置を提供することを目的とする。より具体的には、
本発明は、フレーム毎に行われる量子化特性の制御の精
度を簡単な構成で高めることを目的とする。また、本発
明は、被写体の動きや動領域の大きさの変化を考慮する
ことにより符号化制御の精度および速度を向上させるこ
とを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記の
ような目的を達成するために、本発明は、以下に述べる
ような特徴を有している。
【0023】第1の発明は、複数フレームから成るデー
タの符号化の際に、1フレームの符号化により生成され
た符号化データの量である発生情報量または符号化後の
データの伝送のために使用される平滑バッファにおける
占有量に基づき、その1フレームの次のフレームの符号
化において用いられる量子化特性を決定する符号化制御
装置であって、発生情報量または占有量を予め決められ
た値と比較する比較手段と、複数のフレームの各フレー
ムを予め複数の領域に分割するとともに、各フレームに
おける複数の領域を第1のグループと第2のグループと
に分類し、比較手段による比較結果に応じて、第1およ
び第2のグループに同一の量子化特性を設定するか、ま
たは、直近の2つの異なる量子化特性のうち一方を第1
のグループに他方を第2のグループにそれぞれ設定する
量子化特性決定手段と、を備えている。上記第1の発明
によれば、量子化特性決定手段が直近の2つの量子化特
性q(s)とq(s+1)のうち一方を第1のグループ
に対して設定し他方を第2のグループに対して設定する
ことにより、q(s)とq(s+1)の間の中間的な量
子化特性に相当する量子化状態が作り出されるため、簡
単なアルゴリズムでより細密な符号化制御が可能とな
る。
【0024】第2の発明は、第1の発明において、複数
の領域は、第1のグループの符号化により得られる符号
化データの量と第1のグループの符号化により得られる
符号化データの量とが釣り合うように、予め第1および
第2のグループに分類されていることを特徴としてい
る。上記第2の発明によれば、各フレームにおける複数
の領域が、第1および第2のグループに、それぞれの符
号化データが釣り合うように予め分類されているため、
制御の最中に複雑な解析をすることなく、符号化制御の
精度を高めることができる。
【0025】第3の発明は、第2の発明において、第1
のグループに属する領域と第2のグループに属する領域
とが空間的に交互に配置されていることを特徴としてい
る。上記第3の発明によれば、第1のグループの領域と
第2のグループの領域とが空間的に交互に配置されてい
るため、背景や人物など性質の異なる被写体を含む画像
のデータを符号化する場合においても、その画像フレー
ムにおける複数の領域が2つのグループに均等に分類さ
れる。
【0026】第4の発明は、第2の発明において、第1
のグループに対して設定されるべき量子化特性と第2の
グループに対して設定されるべき量子化特性とを所定時
間毎に入れ替えることを指示する信号を時間軸配置制御
信号として出力する時間軸配置制御手段を更に備え、量
子化特性決定手段は、時間軸配置制御信号に応じて、第
1および第2のグループに対し量子化特性を設定する、
ことを特徴としている。上記第4の発明によれば、第1
のグループのGOBの符号化に用いられる量子化特性と
第2のグループのGOBの符号化に用いられる量子化特
性とが所定時間毎に入れ替わるため、空間的に量子化特
性が異なることによる画像の歪みや画質のむらを目立た
なくすることができる。
【0027】第5の発明は、第2の発明において、複数
フレームから成るデータの符号化の際に、複数の領域の
うちいずれかの領域に対しフレーム内符号化による強制
リフレッシュが行われる場合には、量子化特性決定手段
は、複数の領域のうち、強制リフレッシュされるべき領
域を第1のグループに分類し、強制リフレッシュされる
べき領域以外の他の領域を第2のグループに分類するこ
とを特徴としている。上記第5の発明によれば、強制リ
フレッシュを行う場合においても、直近の2つの量子化
特性q(s)とq(s+1)の間の中間的な量子化特性
に相当する量子化状態を作り出すことができるため、簡
単なアルゴリズムで精度の高い符号化制御が可能とな
る。
【0028】第6の発明は、第5の発明において量子化
特性決定手段は、複数の領域のうち強制リフレッシュさ
れるべき領域の符号化における量子化精度が、強制リフ
レッシュされるべき領域以外の他の領域の符号化におけ
る量子化精度よりも高いか又はその量子化精度に等しく
なるように、第1および第2グループに対して量子化特
性を設定することを特徴としている。上記第6の発明に
よれば、第1および第2のグループに対して異なる量子
化特性が設定される場合には、強制リフレッシュのため
にフレーム内符号化すべき領域の量子化精度が、フレー
ム間符号化される他の領域の量子化精度よりも高いた
め、フレーム内符号化によるブロック歪みが緩和され
る。
【0029】第7の発明は、第1の発明において、領域
は、グループオブブロックであることを特徴としてい
る。上記第7の発明によれば、符号化データの伝送にお
いて、量子化特性を指定する情報としてはGOB毎に一
つの指定情報を送ればよく、余分な情報を送信する必要
がなくなるため、圧縮効率が向上する。
【0030】第8の発明は、第1の発明において、予め
設定された上限および下限の遷移ステップ幅制御しきい
値を発生情報量と比較する遷移ステップ幅制御手段と、
量子化特性設定手段は、遷移ステップ幅制御手段による
比較結果に基づき、発生情報量が上限の遷移ステップ幅
制御しきい値よりも小さく、かつ、下限の遷移ステップ
幅制御しきい値よりも大きい場合には、第1および第2
のグループの一方に対して設定されていた量子化特性の
みが変更されるか、または、第1および第2のグループ
の量子化特性が維持されるように、次のフレームの符号
化に用いられる量子化特性を設定し、発生情報量が上限
の遷移ステップ幅制御しきい値よりも大きいか、また
は、下限の遷移ステップ幅制御しきい値よりも小さい場
合には、第1および第2のグループに対して設定されて
いた量子化特性が共に変更されるように次のフレームの
符号化に用いられる量子化特性を設定する、ことを特徴
としている。上記第8の発明によれば、画像データの符
号化において、被写体の動きの急変などにより、急にフ
レーム間相関が高くなったり低くなったりすることで、
発生情報量の急激な増減が生じた場合には、第1および
第2のグループに対する量子化特性が共に変更されるこ
とにより次のフレームにおける量子化特性の状態(量子
化状態)が通常よりも大きく変更されるため、細密な符
号化制御をしていることによる制御の遅れを防止するこ
とができる。
【0031】第9の発明は、複数フレームから成る動画
像データの符号化の際に、1フレームの符号化により生
成された符号化データの量である発生情報量または符号
化後のデータの伝送のために使用される平滑バッファに
おける占有量に基づき、その1フレームの次のフレーム
の符号化において用いられる量子化特性を決定する符号
化制御装置であって、動画像データの表す被写体の動き
量に基づき、該被写体の動き始め状態と該被写体の動き
終わり状態のいずれか一方または双方を検出する検出手
段と、発生情報量または占有量と検出手段による検出結
果と基づき、次のフレームの符号化において用いられる
量子化特性を決定する量子化制御手段と、を備えてい
る。上記第9の発明によれば、被写体の動き始め状態お
よび/または動き終わり状態の検出に基づき、被写体の
動き特性に応じて量子化特性が制御されるため、符号化
制御の精度を向上させることができ、また、適正な量子
化特性が設定されるまでに要する時間を短縮することが
できる(すなわち符号化制御の速度を向上させることが
できる)。
【0032】第10の発明は、第9の発明において、量
子化制御手段は、検出手段による検出結果に基づき、被
写体の動き始め状態におけるフレームの符号化に用いら
れる量子化特性を画質が向上する方向に変更することを
抑制することを特徴としている。上記第10の発明によ
れば、被写体が動き始め状態であるために符号化による
発生情報量が増加していく場合には、画質が向上する方
向に量子化特性が変更されないため、発生情報量の揺ら
ぎを抑え、精度のよい符号化制御を行うことができる。
【0033】第11の発明は、第9の発明において、量
子化制御手段は、検出手段による検出結果に基づき、被
写体の動き終わり状態におけるフレームの符号化に用い
られる量子化特性を画質が劣化する方向に変更すること
を抑制することを特徴としている。上記第11の発明に
よれば、被写体が動き終わり状態であるために符号化に
よる発生情報量が減少していく場合には、画質が劣化す
る方向に量子化特性が変更されないため、発生情報量の
揺らぎを抑え、精度のよい符号化制御を行うことができ
る。
【0034】第12の発明は、第9の発明において、量
子化制御手段は、量子化特性を画質が劣化する方向に変
更する場合において、検出手段により被写体の動き始め
状態が検出されたときには、被写体の動き始め状態が検
出されないときよりも量子化特性を大きく変更すること
を特徴としている。上記第12の発明によれば、被写体
の動き始め状態において量子化特性を画質が劣化する方
向に変更すべき場合には、量子化特性が大きく変更され
るため、適正な量子化特性が設定されるまでに要する時
間を短縮することができ、素早く被写体の動きに追従す
る符号化制御を行うことができる。
【0035】第13の発明は、第9の発明において、量
子化制御手段は、量子化特性を画質が向上する方向に変
更する場合において、検出手段により被写体の動き終わ
り状態が検出されたときには、被写体の動き終わり状態
が検出されないときよりも量子化特性を大きく変更する
ことを特徴としている。上記第13の発明によれば、被
写体の動き終わり状態において量子化特性を画質が向上
する方向に変更すべき場合には、量子化特性が大きく変
更されるため、適正な量子化特性が設定されるまでに要
する時間を短縮することができ、素早く画質を向上させ
ることができる。
【0036】第14の発明は、第9の発明において、発
生情報量または占有量に対する上限しきい値および下限
しきい値を格納する格納手段と、検出手段による検出結
果に基づき、被写体の動き始め状態の期間における上限
しきい値を、被写体の動き始め状態の期間以外の期間に
おける上限しきい値よりも低い値に設定するしきい値設
定手段とを更に備え、量子化制御手段は、発生情報量ま
たは占有量が上限しきい値を越えたときには、量子化特
性を画質が劣化する方向に変更し、発生情報量または占
有量が下限しきい値を下回ったときには、量子化特性を
画質が向上する方向に変更する、ことを特徴としてい
る。上記第14の発明によれば、被写体の動き始め状態
の期間では上限しきい値が低く設定されるので、被写体
が動き始め状態であるために発生情報量が増加していく
場合には、画質が劣化する方向に量子化特性が変更され
やすくなり、これにより、素早く被写体の動きに追従す
る符号化制御を行うことができる。
【0037】第15の発明は、第9の発明において、発
生情報量または占有量に対する上限しきい値および下限
しきい値を格納する格納手段と、検出手段による検出結
果に基づき、被写体の動き始め状態の期間における下限
しきい値を、被写体の動き始め状態の期間以外の期間に
おける下限しきい値よりも低い値に設定するしきい値設
定手段とを更に備え、量子化制御手段は、発生情報量ま
たは占有量が上限しきい値を越えたときには、量子化特
性を画質が劣化する方向に変更し、発生情報量または占
有量が下限しきい値を下回ったときには、量子化特性を
画質が向上する方向に変更する、ことを特徴としてい
る。上記第15の発明によれば、被写体の動き始め状態
の期間では下限しきい値が低く設定されるので、被写体
が動き始め状態であるために発生情報量が増加していく
場合には、画質が向上する方向に量子化特性が変更され
にくくなり、これにより、発生情報量の揺らぎを抑え、
精度のよい符号化制御を行うことができる。
【0038】第16の発明は、第9の発明において、発
生情報量または占有量に対する上限しきい値および下限
しきい値を格納する格納手段と、検出手段による検出結
果に基づき、被写体の動き終わり状態の期間における上
限しきい値を、被写体の動き終わり状態の期間以外の期
間における上限しきい値よりも高い値に設定するしきい
値設定手段とを更に備え、量子化制御手段は、発生情報
量または占有量が上限しきい値を越えたときには、量子
化特性を画質が劣化する方向に変更し、発生情報量また
は占有量が下限しきい値を下回ったときには、量子化特
性を画質が向上する方向に変更する、ことを特徴として
いる。上記第16の発明によれば、被写体の動き終わり
状態の期間では上限しきい値が高く設定されるので、被
写体が動き終わり状態であるために発生情報量が減少し
ていく場合には、画質が劣化する方向に量子化特性が変
更されにくくなり、これにより、発生情報量の揺らぎを
抑え、精度のよい符号化制御を行うことができる。
【0039】第17の発明は、第9の発明において、発
生情報量または占有量に対する上限しきい値および下限
しきい値を格納する格納手段と、検出手段による検出結
果に基づき、被写体の動き終わり状態の期間における下
限しきい値を、被写体の動き終わり状態の期間以外の期
間における下限しきい値よりも高い値に設定するしきい
値設定手段とを更に備え、量子化制御手段は、発生情報
量または占有量が上限しきい値を越えたときには、量子
化特性を画質が劣化する方向に変更し、発生情報量また
は占有量が下限しきい値を下回ったときには、量子化特
性を画質が向上する方向に変更する、ことを特徴として
いる。上記第17の発明によれば、被写体の動き終わり
状態の期間では下限しきい値が高く設定されるため、被
写体が動き終わり状態であるために発生情報量が減少し
ていく場合には、画質が向上する方向に量子化特性が変
更されやすくなり、これにより、素早く画質を向上させ
ることができる。
【0040】第18の発明は、第9の発明において、検
出手段は、被写体の動き量が予め設定されたしきい値よ
りも大きく、かつ、被写体の動き量が増加し続けている
状態を、被写体の動き始め状態として検出する、ことを
特徴としている。上記第18の発明によれば、簡単な処
理で被写体の動き始め状態を検出することができる。
【0041】第19の発明は、第9の発明において、検
出手段は、被写体の動き量が予め設定されたしきい値よ
りも大きく、かつ、被写体の動き量が減少し続けている
状態を、被写体の動き終わり状態として検出する、こと
を特徴としている。上記第19の発明によれば、簡単な
処理で被写体の動き終わり状態を検出することができ
る。
【0042】第20の発明は、第9の発明において、動
き量は、動き予測フレーム間差分符号化を行った際の符
号化データである動きベクトルの絶対値の総和であるこ
とを特徴としている。上記第20の発明によれば、被写
体の動き始め状態および被写体の動き終わり状態の検出
のために新たに処理を設ける必要がないため、符号化処
理能力の低下を防ぐことができるとともに、低消費電力
化や低コスト化を図ることができる。
【0043】第21の発明は、複数フレームから成るデ
ータの符号化の際に、1フレームの符号化により生成さ
れた符号化データの量である発生情報量または符号化後
のデータの伝送のために使用される平滑バッファにおけ
る占有量に基づき、その1フレームの次のフレームの符
号化において用いられる量子化特性を決定する符号化制
御方法であって、発生情報量または占有量を予め決めら
れた値と比較する比較ステップと、複数のフレームの各
フレームを予め複数の領域に分割するとともに、各フレ
ームにおける複数の領域を第1のグループと第2のグル
ープとに分類し、比較ステップによる比較結果に応じ
て、第1および第2のグループに同一の量子化特性を設
定するか、または、直近の2つの異なる量子化特性のう
ち一方を第1のグループに他方を第2のグループにそれ
ぞれ設定する量子化特性決定ステップとを備えている。
【0044】第22の発明は、第21の発明において、
複数の領域は、第1のグループの符号化により得られる
符号化データの量と第1のグループの符号化により得ら
れる符号化データの量とが釣り合うように、予め第1お
よび第2のグループに分類されていることを特徴として
いる。
【0045】第23の発明は、第22の発明において、
第1のグループに属する領域と第2のグループに属する
領域とが空間的に交互に配置されていることを特徴とし
ている。
【0046】第24の発明は、第22の発明において、
量子化特性決定ステップでは、第1のグループに対して
設定されるべき量子化特性と第2のグループに対して設
定されるべき量子化特性とが所定時間毎に入れ替えられ
ることを特徴としている。
【0047】第25の発明は、第22の発明において、
複数フレームから成るデータの符号化の際に、複数の領
域のうちいずれかの領域に対しフレーム内符号化による
強制リフレッシュが行われる場合には、量子化特性決定
ステップでは、複数の領域のうち、強制リフレッシュさ
れるべき領域は第1のグループに分類され、強制リフレ
ッシュされるべき領域以外の他の領域は第2のグループ
に分類されることを特徴としている。
【0048】第26の発明は、第21の発明において、
領域は、グループオブブロックであることを特徴として
いる。
【0049】第27の発明は、第21の発明において、
予め設定された上限および下限の遷移ステップ幅制御し
きい値を発生情報量と比較する第2比較ステップと、量
子化特性決定ステップでは、第2比較ステップによる比
較結果に基づき、発生情報量が上限の遷移ステップ幅制
御しきい値よりも小さく、かつ、下限の遷移ステップ幅
制御しきい値よりも大きい場合には、第1および第2の
グループの一方に対して設定されていた量子化特性のみ
が変更されるか、または、第1および第2のグループの
量子化特性が維持されるように、次のフレームの符号化
に用いられる量子化特性が設定され、発生情報量が上限
の遷移ステップ幅制御しきい値よりも大きいか、また
は、下限の遷移ステップ幅制御しきい値よりも小さい場
合には、第1および第2のグループに対して設定されて
いた量子化特性が共に変更されるように次のフレームの
符号化に用いられる量子化特性が設定される、ことを特
徴としている。
【0050】第28の発明は、複数フレームから成る動
画像データの符号化の際に、1フレームの符号化により
生成された符号化データの量である発生情報量または符
号化後のデータの伝送のために使用される平滑バッファ
における占有量に基づき、1フレームの次のフレームの
符号化において用いられる量子化特性を決定する符号化
制御方法であって、動画像データの表す被写体の動き量
に基づき、該被写体の動き始め状態と該被写体の動き終
わり状態のいずれか一方または双方を検出する検出ステ
ップと、発生情報量または占有量と検出ステップによる
検出結果と基づき、次のフレームの符号化において用い
られる量子化特性を決定する量子化制御ステップと、を
備えている。
【0051】第29の発明は、第28の発明において、
量子化制御ステップでは、検出ステップによる検出結果
に基づき、被写体の動き始め状態におけるフレームの符
号化に用いられる量子化特性を画質が向上する方向に変
更することが抑制されることを特徴としている。
【0052】第30の発明は、第28の発明において、
量子化制御ステップでは、検出ステップによる検出結果
に基づき、被写体の動き終わり状態におけるフレームの
符号化に用いられる量子化特性を画質が劣化する方向に
変更することが抑制されることを特徴としている。
【0053】第31の発明は、第28の発明において、
量子化制御ステップでは、量子化特性が画質の劣化する
方向に変更される場合において、検出ステップにより被
写体の動き始め状態が検出されたときには、被写体の動
き始め状態が検出されないときよりも量子化特性が大き
く変更されることを特徴としている。
【0054】第32の発明は、第28の発明において、
量子化制御ステップでは、量子化特性が画質の向上する
方向に変更される場合において、検出ステップにより被
写体の動き終わり状態が検出されたときには、被写体の
動き終わり状態が検出されないときよりも量子化特性が
大きく変更されることを特徴としている。
【0055】第33の発明は、第28の発明において、
発生情報量または占有量に対する上限しきい値および下
限しきい値を設定する第1設定ステップと、検出ステッ
プによる検出結果に基づき、被写体の動き始め状態の期
間における上限しきい値を、被写体の動き始め状態の期
間以外の期間における上限しきい値よりも低い値に設定
し直す第2設定ステップとを更に備え、量子化制御ステ
ップでは、発生情報量または占有量が上限しきい値を越
えたときには、量子化特性が画質の劣化する方向に変更
され、発生情報量または占有量が下限しきい値を下回っ
たときには、量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
れる、ことを特徴としている。
【0056】第34の発明は、第28の発明において、
発生情報量または占有量に対する上限しきい値および下
限しきい値を設定する第1設定ステップと、検出ステッ
プによる検出結果に基づき、被写体の動き始め状態の期
間における下限しきい値を、被写体の動き始め状態の期
間以外の期間における下限しきい値よりも低い値に設定
し直す第2設定ステップとを更に備え、量子化制御ステ
ップでは、発生情報量または占有量が上限しきい値を越
えたときには、量子化特性が画質の劣化する方向に変更
され、発生情報量または占有量が下限しきい値を下回っ
たときには、量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
れる、ことを特徴としている。
【0057】第35の発明は、第28の発明において、
発生情報量または占有量に対する上限しきい値および下
限しきい値を設定する第1設定ステップと、検出ステッ
プによる検出結果に基づき、被写体の動き終わり状態の
期間における上限しきい値を、被写体の動き終わり状態
の期間以外の期間における上限しきい値よりも高い値に
設定し直す第3設定ステップとを更に備え、量子化制御
ステップでは、発生情報量または占有量が上限しきい値
を越えたときには、量子化特性が画質の劣化する方向に
変更され、発生情報量または占有量が下限しきい値を下
回ったときには、量子化特性が画質の向上する方向に変
更される、ことを特徴としている。
【0058】第36の発明は、第28の発明において、
発生情報量または占有量に対する上限しきい値および下
限しきい値を設定する第1設定ステップと、検出ステッ
プによる検出結果に基づき、被写体の動き終わり状態の
期間における下限しきい値を、被写体の動き終わり状態
の期間以外の期間における下限しきい値よりも高い値に
設定する第3設定ステップとを更に備え、量子化制御ス
テップでは、発生情報量または占有量が上限しきい値を
越えたときには、量子化特性が画質の劣化する方向に変
更され、発生情報量または占有量が下限しきい値を下回
ったときには、量子化特性が画質の向上する方向に変更
される、ことを特徴としている。
【0059】第37の発明は、第28の発明において、
検出ステップでは、被写体の動き量が予め設定されたし
きい値よりも大きく、かつ、被写体の動き量が増加し続
けている状態が、被写体の動き始め状態として検出され
ることを特徴としている。
【0060】第38の発明は、第28の発明において、
検出ステップでは、被写体の動き量が予め設定されたし
きい値よりも大きく、かつ、被写体の動き量が減少し続
けている状態が、被写体の動き終わり状態として検出さ
れることを特徴としている。
【0061】第39の発明は、第28の発明において、
動き量は、動き予測フレーム間差分符号化を行った際の
符号化データである動きベクトルの絶対値の総和である
ことを特徴としている。
【0062】第40の発明は、複数フレームから成るデ
ータの符号化の際に、1フレームの符号化により生成さ
れた符号化データの量である発生情報量または符号化後
のデータの伝送のために使用される平滑バッファにおけ
る占有量に基づき、その1フレームの次のフレームの符
号化において用いられる量子化特性を決定する符号化制
御プログラムを、コンピュータ装置において実行される
プログラムとして記録した記録媒体であって、発生情報
量または占有量を予め決められた値と比較する比較ステ
ップと、複数のフレームの各フレームを予め複数の領域
に分割するとともに、各フレームにおける複数の領域を
第1のグループと第2のグループとに分類し、比較ステ
ップによる比較結果に応じて、第1および第2のグルー
プに同一の量子化特性を設定するか、または、直近の2
つの異なる量子化特性のうち一方を第1のグループに他
方を第2のグループにそれぞれ設定する量子化特性決定
ステップと、を含む動作環境をコンピュータ装置上で実
現するための符号化制御プログラムを記録している。
【0063】第41の発明は、複数フレームから成る動
画像データの符号化の際に、1フレームの符号化により
生成された符号化データの量である発生情報量または符
号化後のデータの伝送のために使用される平滑バッファ
における占有量に基づき、その1フレームの次のフレー
ムの符号化において用いられる量子化特性を決定する符
号化制御プログラムを、コンピュータ装置において実行
されるプログラムとして記録した記録媒体であって、動
画像データの表す被写体の動き量に基づき、該被写体の
動き始め状態と該被写体の動き終わり状態のいずれか一
方または双方を検出する検出ステップと、発生情報量ま
たは占有量と検出ステップによる検出結果と基づき、次
のフレームの符号化において用いられる量子化特性を決
定する量子化制御ステップと、を含む動作環境をコンピ
ュータ装置上で実現するための符号化制御プログラムを
記録している。
【0064】第42の発明は、第9の発明において、動
き量は、各マクロブロック毎の動き予測フレーム間差分
符号化を行った際の符号化データである動きベクトルの
絶対値が、予め定められた閾値を越えたマクロブロック
の総数であることを特徴としている。上記第42の発明
によれば、被写体の動き始め状態および被写体の動き終
わり状態の検出のために新たに処理を設ける必要がない
ため、符号化処理能力の低下を防ぐことができるととも
に、低消費電力化や低コスト化を図ることができる。
【0065】第43の発明は、第28の発明において、
動き量は、各マクロブロック毎の動き予測フレーム間差
分符号化を行った際の符号化データである動きベクトル
の絶対値が、予め定められた閾値を越えたマクロブロッ
クの総数であることを特徴としている。
【0066】
【発明の実施の形態】図21は、以下に説明する本発明
の各実施形態に係る符号化制御方法に基づく符号化制御
装置122が使用されている画像符号装置121の構成
を示すブロック図である。この画像符号化装置121
は、符号化制御装置122と画像符号化部125とを備
える。画像符号化部125は、画像符号化装置121に
入力されたビデオ信号Svに対し圧縮符号化を行うこと
により符号化データDcを生成し、その符号化データD
cを画像符号化装置121から出力する。符号化制御装
置122は、動き始め/動き終わり検出部123と量子
化制御部124とを備え、本発明の各実施形態に係る符
号化制御方法により、画像符号化部125におけるビデ
オ信号Svの符号化を制御する。符号化制御装置による
その符号化制御の際に、動き始め/動き終わり検出部1
23は、入力ビデオ信号Svの表す画像における被写体
の動き始めおよび動き終わりを検出し、量子化制御部1
24は、その検出結果を用いて、画像符号化部125に
よる符号化における量子化を制御する。
【0067】図21に示した上記画像符号化装置121
の各部は、符号化制御装置122の内部も含めて、直
接、ハードウェアにより実現してもよいが、ソフトウェ
アを用いて実現することもできる。後者の場合、例えば
CPU(Central Processing Unit )とメモリと外部記憶
装置とを用いて画像符号化装置を構成し、外部記憶装置
からメモリにロードされた所定のプログラム(以下「画
像符号化プログラム」という)をCPUが実行すること
により、画像符号化装置121の各部を実現することが
できる。この場合、画像符号化プログラムは、典型的に
は、当該プログラムを記憶した記憶媒体(フレキシブル
ディスク、CD−ROM、DVD等)によって提供され
る。すなわち、ユーザは、購入した記憶媒体を画像符号
化装置121にセットし、そこに記憶されている画像符
号化プログラムを画像符号化装置121に読み取らせ
て、ハードディスク装置等の記憶装置にインストールす
る。また、画像符号化装置121に通信回線を介してオ
ンラインで伝送されてくる画像符号化プログラムを記憶
装置にインストールするようにしてもよい。さらに、メ
ーカが画像符号化装置121を出荷する前に、予め記憶
装置に画像符号化プログラムをインストールしておくよ
うにしてもよい。このようにしてインストールされたプ
ログラムは、記憶装置からメモリにロードされてCPU
により実行される。符号化制御装置122の内部がソフ
トウェアを用いて実現される場合には、上記の画像符号
化プログラムに符号化制御プログラムも含まれており、
この符号化制御プログラムをCPUが実行することによ
り、ビデオ信号Svの符号化が制御される。
【0068】以下では、ITU(International Telecom
munication Union )で勧告されているH.261または
H.263のCIF画像に本発明の各実施形態の符号化
制御方法を適用した場合について説明する。CIF画像
は352×288ドットであり、H.261またはH.
263では、これが16×16ドットのマクロブロック
を単位として22×18ブロックに分割され、さらに、
11×3ブロック毎にグループオブブロック(以下「G
OB」という)が構成される。つまり、CIF画像は2
×6のGOBで構成され、それぞれのGOBはさらに1
1×3のマクロブロックで構成されている。本発明では
符号化制御に際して1フレームの画像領域が2個以上の
領域に分割される。この領域は任意の大きさを持つ領域
であり、GOBの領域に限定されるものではないが、本
発明の各実施形態では、この領域をGOBと仮定して説
明する。なお、「GOB」は、上記のような画素の集合
としての部分画像を意味する表現として使用するととも
に、その部分画像の領域を意味する表現としても使用す
るものとする。また、各フレームにおけるGOBのうち
フレーム内における位置が同一であるGOBは、区別さ
れることなく同一GOBとして識別され、同一番号を付
して参照されるものとする。具体的には、GOBには図
1および図2に示す順にGOB1からGOB12までの
番号が付けられている。そして、各GOBは図1および
図2に示すような量子化特性で符号化される。すなわ
ち、各GOBを構成するマクロブロックが図1および図
2に示すような量子化特性で符号化される。なお、図1
および図2において、量子化特性を“QUANT”と表
記している。
【0069】また、本発明の各実施形態においても、特
開平7−107482号公報に開示された従来の符号化
制御方法と同様、量子化特性の各状態毎に発生情報量の
上限しきい値と下限しきい値とが決められている。これ
らの上限および下限しきい値は、画像フレームに対して
設定された目標発生情報量を挟むように設定されてい
る。以下、これらの上限および下限しきい値を総称して
「状態遷移しきい値」と呼ぶものとする。
【0070】(第1の実施形態)以下、本発明の第1の
実施形態である符号化制御方法および装置について説明
する。
【0071】本実施形態では、1画像フレームを構成す
る各GOBの符号化に用いる量子化特性がGOBによっ
て異なる符号化と全て同じである符号化とを、1画像フ
レームの符号化による発生情報量によって切り換えるよ
うに、符号化制御が行われる。そして、このような符号
化制御のために、「符号化制御状態」という概念が導入
されている。
【0072】図1は、発生情報量が状態遷移しきい値の
下限を下回った場合、および発生情報量が状態遷移しき
い値の上限を越えた場合の符号化制御状態の遷移を示し
ている。図1において、「符号化制御状態1」は、画像
フレームを構成する各GOBの符号化に用いられる量子
化特性が全て同じである状態を意味する。また、「符号
化制御状態2」は、予めGOBを第1と第2の2つのグ
ループに分けておき、同じグループに属するGOBはす
べて同じ量子化特性で符号化するものとし、いずれか一
方のグループを第1の符号化制御状態1と同じ量子化特
性で、他方のグループを第2の符号化制御状態1と同じ
量子化特性でそれぞれ符号化する状態を意味する。ここ
で、第1の符号化制御状態1は、前記従来の符号化制御
方法における量子化特性の或る状態q(s)に相当し、
第2の符号化制御状態1は、状態q(s)の次の量子化
特性の状態q(s+1)に相当する。また本実施形態に
おいて、符号化制御状態2におけるグループ分けは、同
一の量子化特性で符号化した場合に第1のグループと第
2のグループの発生情報量が等しくなるように行われ、
これにより、本発明の目的は達成される。すなわち、発
生情報量が第1の符号化制御状態1と第2の符号化制御
状態1の平均の発生情報量となる状態を、符号化制御状
態2として簡易に作り出すことが目的である。
【0073】以下、本実施形態の符号化制御方法を具体
的に説明する。本実施形態では、グループの異なるGO
Bを空間的に交互に配置することにより、被写体である
背景や人物などがそれぞれ2つのグループにほぼ均等に
分離されることを狙っている。この場合、基本となる領
域を細分化すればするほどこの狙いは高精度に達成され
るが、どこまで細分化するかは処理量とのトレードオフ
となる。以下では、1フレームを構成するGOB1〜G
OB12のうち、GOB1,4,5,8,9,12が第
1のグループを構成し、GOB2,3,6,7,10,
11が第2のグループを構成するものとする。
【0074】図22は、本実施形態の符号化制御装置に
おける量子化制御部の構成を示すブロック図、すなわち
図21に示した前述の符号化制御装置122における量
子化制御部124の一構成例を示すブロック図である
(以下、この構成の量子化制御部を参照番号“131”
で示すものとする)。この量子化制御部131は、状態
遷移閾値上限格納部132と、状態閾値下限格納部13
3と、閾値比較部134と、量子化特性決定部135と
を備えており、画像符号化部125における1画像フレ
ームの符号化による発生情報量Aigを示す信号を入力し
て、第1および第2のグループのGOBの符号化に用い
られる量子化特性Q1およびQ2を決定し、決定された
量子化特性を示す信号を量子化の制御信号として画像符
号化部125に入力する。
【0075】状態遷移閾値上限格納部132は予め決め
られた状態遷移しきい値の上限Th_Uを、状態遷移閾値
下限格納部133は予め決められた状態遷移しきい値の
下限Th_Lを、それぞれ保持している。閾値比較部13
4は、これらの状態遷移しきい値の上限Th_Uおよび下
限Th_Lと、1画像フレームの符号化による発生情報量
Aigとを比較し、発生情報量Aigが状態遷移しきい値の
下限Th_Lを下回っている場合は、画質を向上させる方
向への量子化特性の変更を指示する信号を遷移要因1を
示す信号として出力し、発生情報量Aigが状態遷移しき
い値の下限Th_Lと上限Th_Uとの間にある場合は、画
質の維持を指示する信号を遷移要因2を示す信号として
出力し、発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_
Uを越えている場合は、画質を劣化させる方向への量子
化特性の変更を指示する信号を遷移要因3を示す信号と
して出力する。量子化特性決定部135は、これら遷移
要因1〜3のいずれかを示す信号に基づき、第1のグル
ープのGOBの符号化に用いられる量子化特性Q1(以
下、単に「第1のグループの量子化特性Q1」という)
を示す信号、および、第2のグループのGOBの符号化
に用いられる量子化特性Q2(以下、単に「第2のグル
ープの量子化特性Q2」という)を示す信号を出力す
る。これらの量子化特性Q1およびQ2を示す信号は画
像符号化部125に入力され、画像符号化部125にお
いて、これらの量子化特性Q1およびQ2を用いて次の
画像フレームの符号化が行われる。
【0076】図23は、量子化制御部131の動作を示
す状態遷移図である。量子化制御部131の状態は、第
1のグループの量子化特性Q1と第2のグループの量子
化特性Q2との組み合わせに対応している。以下では、
量子化制御部の状態を「量子化状態」と呼び、これを量
子化特性Q1とQ2の値の組み合わせ(Q1,Q2)で
特定するものとする。また、量子化特性を自然数で識別
し、量子化特性jの大小はjの大小に対応するものとす
る。したがって、jが大きくなるほど量子化ステップサ
イズも大きくなり量子化精度は低くなる。なお図面で
は、量子化特性を「QUANT」と表記するものとす
る。
【0077】いま、第1および第2のグループのGOB
の符号化に用いられる量子化特性Q1およびQ2が共に
量子化特性1である場合、すなわち(Q1,Q2)=
(1,1)の場合を考える。(Q1,Q2)=(1,
1)である量子化状態S1 において、遷移要因3が生じ
ると、量子化制御部131の状態は、(Q1,Q2)=
(1,2)である量子化状態S2 へ遷移し、量子化特性
決定部135は、第1のグループの量子化特性Q1とし
て量子化特性1を示す信号を、第2のグループの量子化
特性Q2として量子化特性2を示す信号を、それぞれ出
力する。ここで、量子化状態S1は符号化制御状態1に
属し、量子化状態S2は符号化制御状態2に属するた
め、上記の状態遷移は、符号化制御状態1から符号化制
御状態2への遷移でもある。その後、量子化状態S2
おいて、遷移要因1が生じると、量子化制御部131の
状態は、符号化制御状態1に属する量子化状態S1 に戻
り、量子化特性決定部135は、第1のグループの量子
化特性Q1を示す信号および第2のグループの量子化特
性Q2として、共に量子化特性1を示す信号を出力す
る。
【0078】一方、量子化状態S2 において、遷移要因
3が生じると、量子化制御部131の状態は、(Q1,
Q2)=(2,2)である量子化特性S3 へ遷移する。
これは、符号化制御状態2から符号化制御状態1への遷
移でもある。このとき、量子化特性決定部135は、第
1のグループの量子化特性Q1および第2のグループの
量子化特性Q2として共に量子化特性2を示す信号を出
力する。その後、符号化制御状態1に属する量子化状態
3 において、遷移要因1が生じると、量子化制御部1
31の状態は、符号化制御状態2に属する量子化状態S
2 に戻り、量子化特性決定部135は、第1のグループ
の量子化特性Q1として量子化特性1を示す信号を、第
2のグループの量子化特性Q2として量子化特性2を示
す信号を、それぞれ出力する。一方、量子化状態S3
おいて、遷移要因3が生じると、量子化制御部131の
状態は、符号化制御状態2に属する量子化状態S4 へ遷
移し、量子化特性決定部135は、第1のグループの量
子化特性Q1として量子化特性2を示す信号を、第2の
グループの量子化特性Q2として量子化特性3を示す信
号を、それぞれ出力する。
【0079】以降、同様にして、量子化制御部131の
状態は、遷移要因3が生じる毎に、量子化特性を示す数
値の大きくなる方向すなわち量子化精度が低下する方向
に量子化状態が遷移し、遷移要因1が生じる毎に、量子
化特性を示す数値の小さくなる方向すなわち量子化精度
が向上する方向に量子化状態が遷移する。量子化特性決
定部135は、第1および第2グループの量子化特性を
示す信号として、遷移先の各量子化状態に対応する量子
化特性を示す信号を出力する。なお、各量子化状態にお
いて遷移要因2が生じたときは、量子化制御部131は
その量子化状態に留まり、量子化特性決定部135から
の出力信号は変化しない。
【0080】上記のように第1の実施形態によれば、量
子化特性q(s)で符号化した結果の発生情報量すなわ
ち図7(a)において点dで示される発生情報量が、量
子化特性q(s+1)の量子化状態への状態遷移によ
り、図7(a)において点e’で示される発生情報量と
なるような場合であっても、q(s)とq(s+1)の
平均の状態をつくりだすことにより、図7(b)に示す
ように点e’’に対応する量子化特性の量子化状態に遷
移させることが可能となる。この結果、図8(b)に示
すように、符号化した結果の発生情報量と目標発生情報
量との誤差が少なくなり、量子化制御部131による発
生情報量の制御精度が向上する。
【0081】なお、上記第1の実施形態では、符号化制
御状態として2つの状態が存在するが、符号化制御状態
が3状態以上存在するようにしてもよい。具体的には、
例えば次のような符号化制御が考えられる。上記第1の
実施形態では、1つの画像フレームの各GOBを同一の
量子化特性で符号化した場合に第1のグループのGOB
の符号化による発生情報量と第2のグループのGOBの
符号化による発生情報量とがほぼ等しくなるようにグル
ープ分けが行われているが、例えば、第2のグループの
GOBの符号化による発生情報量が第1のグループのG
OBの符号化による発生情報量のほぼ2倍となるように
グループ分けを行う(例えば、第2のグループのGOB
数が第1のグループのGOB数の2倍となるようにグル
ープ分けを行う)。このようにすれば、第1のグループ
のGOBの符号化に量子化特性q(s)を、第2のグル
ープの符号化に量子化特性q(s+1)をそれぞれ使用
した符号化制御状態と、第1のグループのGOBの符号
化に量子化特性q(s+1)を、第2のグループの符号
化に量子化特性q(s)をそれぞれ使用した符号化制御
状態とを、別個の符号化制御状態として、第1の符号化
制御状態1と第2の符号化制御状態1の間に作り出すこ
とができる。このようにして符号化制御状態の状態数を
増やせば、より細かく量子化特性を設定できるため、発
生情報量の揺らぎをより小さくすることができる。
【0082】また、上記第1の実施形態では、1画像フ
レームの符号化による発生情報量に基づいて次の画像フ
レームの符号化において用いられる量子化特性を決定し
ているが、符号化後のデータを送信するための平滑バッ
ファ(送信バッファ)における占有量に基づいて次の画
像フレームの符号化において用いられる量子化特性を決
定するようにしてもよい。
【0083】(第2の実施形態)図24は、本実施形態
の符号化制御装置における量子化制御部の構成を示すブ
ロック図、すなわち図21に示した前述の符号化制御装
置122における量子化制御部124の他の構成例を示
すブロック図である(以下、この構成の量子化制御部を
参照番号“151”で示すものとする)。この量子化制
御部151は、図22に示した第1の実施形態における
量子化制御部131と同様に、状態遷移閾値上限格納部
132、状態遷移閾値下限格納部133、閾値比較部1
34、および量子化特性決定部153を備えている。こ
れらに加えて量子化制御部151は、時間軸配置制御部
152を備えており、この点で第1の実施形態における
量子化制御部131と相違する。
【0084】この時間軸配置制御部152は、量子化制
御部151が符号化制御状態2に属する量子化状態にあ
るときに、第1のグループの量子化特性Q1と第2のグ
ループの量子化特性Q2とを1画像フレーム毎に交換す
るための制御信号を量子化特性決定部153に入力す
る。すなわち、第1のグループの量子化特性Q1が第2
のグループの量子化特性Q2よりも大きくなるように量
子化状態を符号化制御状態2内において遷移させる遷移
要因4を示す信号と、第1のグループの量子化特性Q1
が第2のグループの量子化特性Q2よりも小さくなるよ
うに量子化状態を符号化制御状態2内において遷移させ
る遷移要因5を示す信号とを、1画像フレーム毎に交互
に量子化特性決定部153に入力する。なお、既述のよ
うに、量子化特性(QUANT)の大小は、量子化ステ
ップサイズの大小に対応する。したがって、例えば、第
1のグループの量子化特性が第2のグループの量子化特
性よりも大きければ、第1のグループのGOBの符号化
における量子化精度は第2のグループのGOBの符号化
における量子化精度よりも低い。
【0085】本実施形態における量子化特性決定部15
3は、閾値比較部134から出力される遷移要因1〜3
のいずれかを示す信号、および、時間軸配置制御部15
2から出力される遷移要因4または5を示す信号に基づ
き、第1のグループの量子化特性Q1を示す信号および
第2のグループの量子化特性Q2を示す信号を、量子化
の制御信号として画像符号化部125に入力する。
【0086】上述の時間軸配置制御部152および量子
化特性決定部153以外の量子化制御部151における
他の構成要素は第1の実施形態におけるものと同様であ
り、同一部分には同一の参照番号が付されている。
【0087】図25は、量子化制御部151の動作を示
す状態遷移図である。本実施形態においても、量子化制
御部151は、図23に示した第1の実施形態における
ものと同様の量子化状態S1 〜S61を有する。さらに量
子化制御部151は、これらの量子化状態S1 〜S61
加え、符号化制御状態2に属する量子化状態S2,S4
…,S60のそれぞれに対応する量子化状態S2r,S4r
…,S60r を有している。この量子化状態S2ir (i=
1,2,…,30)は、符号化制御状態2に属し、対応
する量子化状態S2iにおける第1のグループの量子化特
性Q1と第2のグループの量子化特性Q2とを交換した
量子化状態である。
【0088】いま、量子化制御部151が、符号化制御
状態2に属する或る量子化状態S2iにある場合(すなわ
ちQ1≠Q2の場合)を考える。この量子化状態S2i
おいて、遷移要因2と遷移要因4が共に生じると、量子
化制御部151は、量子化状態S2ir へと遷移し、量子
化特性決定部153は、遷移前の量子化状態S2iにおけ
る第1のグループの量子化特性Q1を示す信号と第2の
グループの量子化特性Q2を示す信号とを互いに交換し
た信号を、量子化の制御信号として出力する。すなわ
ち、量子化特性決定部153は、第1のグループの量子
化特性Q1として量子化特性(i+1)を示す信号を、
第2のグループの量子化特性Q2として量子化特性iを
示す信号を、それぞれ出力する。その後、この量子化状
態S2ir において、遷移要因2と遷移要因5が共に生じ
ると、量子化制御部151の状態は量子化状態S2iに戻
り、量子化特性決定部153は、第1のグループの量子
化特性Q1として量子化特性iを示す信号を、第2のグ
ループの量子化特性Q2を示す信号として量子化特性
(i+1)を示す信号を、それぞれ出力する。既述のよ
うに、遷移要因2を示す信号は、画質の維持を指示する
信号であって、発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上
限と下限の間にあることを示している。また、遷移要因
4は、Q1>Q2となるように量子化状態を符号化制御
状態2内において遷移させる要因を示し、遷移要因5
は、Q1<Q2となるように量子化状態を符号化制御状
態2内において遷移させる要因を示しており、遷移要因
4を示す信号と遷移要因5を示す信号とは、1画像フレ
ーム毎に交互に量子化特性決定部153に入力される。
したがって、発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限
と下限の間にある間は、量子化状態S2iとS2ir との間
で状態遷移が繰り返され、これにより、1画像フレーム
毎に、画質を向上させたGOBの量子化特性と画質を向
上させなかったGOBの量子化特性とが交換される。そ
の結果、画質を向上させたGOBが時間方向に関して分
散する。
【0089】量子化状態S2ir において、遷移要因1が
生じると、量子化制御部151の状態は、符号化制御状
態1に属する量子化状態S2i-1に戻り、量子化特性決定
部153は、第1のグループの量子化特性Q1および第
2のグループの量子化特性Q2として共に量子化特性i
を示す信号を出力する。他方、量子化状態S2ir におい
て、遷移要因3が生じると、量子化制御部151の状態
は、符号化制御状態1に属する量子化状態S2i+1へ遷移
し、量子化特性決定部153は、第1のグループの量子
化特性Q1および第2のグループの量子化特性Q2とし
て共に量子化特性(i+1)を示す信号を出力する。
【0090】上記以外の状態遷移すなわち量子化状態S
j (j=1,2,…,61)の間での状態遷移およびそ
の状態遷移に伴う量子化特性決定部153の動作は、図
23に示した第1の実施形態における状態遷移および量
子化特性決定部135の動作と同様である。
【0091】次に、上記の量子化制御部151を備えた
本実施形態の符号化制御装置122の動作例として、各
GOBの符号化に用いられる量子化特性q(s)が全て
量子化特性5である、すなわち量子化制御部151の状
態が量子化状態S9 (第1の符号化制御状態1)である
と仮定し、画質が向上する方向に量子化状態が遷移する
場合の動作を、図1を参照して説明する。
【0092】各GOBを量子化特性5で符号化した際の
発生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回
ると、量子化制御部151の状態が符号化制御状態2に
属する量子化状態S8 へ遷移するとともに、画質を向上
させるGOBが分散するように、量子化特性決定部15
3により、第1のグループのGOBすなわちGOB1,
4,5,8,9,12の符号化に用いられる量子化特性
が5から4へと変更される。さらに、第1のグループの
GOBを量子化特性4で符号化し他のGOBである第2
のグループのGOBを量子化特性5で符号化した際の発
生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uと下限T
h_Lの間にあったとすると、量子化制御部151の状態
は符号化制御状態2に保持されたままで、画質を向上さ
せたGOBが時間方向に関しても分散するように、量子
化特性決定部153により、画質を向上させたGOBの
量子化特性と画質を向上させなかったGOBの量子化特
性とが交換される。すなわち、符号化制御状態2内にお
いて量子化状態が量子化状態S8 と量子化状態S8rとの
間で交互に遷移する。これは、GOB毎に量子化特性が
異なることによる画質のむらを目立たなくする目的で行
われるものである。図1に示した例では、量子化状態S
8rにおいては、第2のグループのGOBであるGOB
2,3,6,7,10,11を量子化特性4で符号化し
その他のGOBである第1グループのGOBを量子化特
性5で符号化するように量子化特性が設定される。
【0093】符号化制御状態2において設定された量子
化特性で各GOBを符号化した際の発生情報量Aigが状
態遷移しきい値の下限Th_Lを下回った場合は、量子化
制御部151の状態が、符号化制御状態1に属する量子
化状態S7 (第2の符号化制御状態1)に遷移し、量子
化特性決定部153により、各GOBを全て量子化特性
4で符号化するように量子化特性が設定される。
【0094】画質が劣化する方向に符号化制御状態が遷
移する場合、すなわち発生情報量Aigが状態遷移しきい
値の上限Th_Uを越えた場合は、画質が向上する方向に
符号化制御状態が遷移する上述の場合の逆の手順で動作
するため、ここでは説明を省略する。
【0095】第2の符号化制御状態1において更に発生
情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回った
場合には、第2の符号化制御状態1が上記説明における
第1の符号化制御状態1に置き換えられて以降の動作が
行われる。また、第1の符号化制御状態1において発生
情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uを越えた場
合には、第1の符号化制御状態1が上記説明の第2の符
号化制御状態1に置き換えられて以降の動作が行われ
る。
【0096】以上の第2の実施形態によれば、第1の実
施形態と同様、量子化特性の状態q(s)とq(s+
1)の平均の状態が導入されるため、符号化した結果の
発生情報量と目標発生情報量との誤差が少なくなり、量
子化制御部151による発生情報量Aigの制御精度が向
上する。
【0097】さらに第2の実施形態によれば、量子化制
御部151が符号化制御状態2にある場合において、発
生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uと下限T
h_Lの間にある間は、1画像フレーム毎に第1のグルー
プのGOBの量子化特性Q1と第2のグループの量子化
特性Q2とが交換される。すなわち、Q1≠Q2である
符号化制御状態2において、画質を向上させたGOBの
量子化特性と画質を向上させなかったGOBの量子化特
性とが1フレーム毎に交換される。これにより、画質を
向上させたGOBが時間方向に関しても分散し、GOB
によって量子化特性が異なることによる画質のむらが目
立たなくなる。
【0098】(第3の実施形態)図26は、本実施形態
の符号化制御装置における量子化制御部の構成を示すブ
ロック図、すなわち図21に示した前述の符号化制御装
置122における量子化制御部124の第3の構成例を
示すブロック図である(以下、この構成の量子化制御部
を参照番号“171”で示すものとする)。この量子化
制御部171は、図24に示した第2の実施形態におけ
る量子化制御部151と同様に、状態遷移閾値上限格納
部132、状態遷移閾値下限格納部133、閾値比較部
134、時間軸配置制御部152、および量子化特性決
定部175を備えている。これらに加えて量子化制御部
171は、状態遷移ステップ幅制御部172、第1の状
態遷移ステップ幅制御閾値格納部173、および第2の
状態遷移ステップ幅制御閾値格納部174を備えてお
り、この点で第2の実施形態における量子化制御部15
1と相違する。
【0099】第1の状態遷移ステップ幅制御閾値格納部
173は予め決められた値としての第1の状態遷移ステ
ップ幅制御閾値Th_stp1を、第2の状態遷移ステップ幅
制御閾値格納部174は予め決められた値としての第2
の状態遷移ステップ幅制御閾値Th_stp2を、それぞれ保
持している。状態遷移幅ステップ制御部172は、これ
らの状態遷移ステップ幅制御閾値Th_stp1およびTh_st
p2と、1画像フレームの符号化による発生情報量Aigと
を比較し、発生情報量Aigが第1の状態遷移ステップ幅
制御しきい値Th_stp1を越えるか、または、発生情報量
Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp2
を下回った場合に、1つの量子化状態をスキップするこ
とを指示する信号を遷移要因6を示す信号として出力
し、発生情報量Aigが第1の状態遷移ステップ幅制御し
きい値Th_stp1と第2の状態遷移ステップ幅制御しきい
値Th_stp2との間にある場合に、スキップせずに1つの
量子化状態ずつ遷移することを指示する信号を遷移要因
7を示す信号として出力する。
【0100】本実施形態における量子化特性決定部17
5は、閾値比較部134から出力される遷移要因1〜3
のいずれかを示す信号、時間軸配置制御部152から出
力される遷移要因4または5を示す信号、および状態遷
移ステップ幅制御部172から出力される遷移要因6ま
たは7を示す信号に基づき、第1のグループの量子化特
性Q1を示す信号および第2のグループの量子化特性Q
2を示す信号を生成し、これらを量子化の制御信号とし
て画像符号化部125に入力する。
【0101】上述の状態遷移ステップ幅制御部172、
第1の状態遷移ステップ幅制御閾値格納部173、第2
の状態遷移ステップ幅制御閾値格納部174、および量
子化特性決定部175以外の量子化制御部171におけ
る他の構成要素は第2の実施形態におけるものと同様で
あり、同一部分には同一の参照番号が付されている。
【0102】図27は、量子化制御部171の動作を示
す状態遷移図である。本実施形態においても、量子化制
御部171は、図25に示した第2の実施形態における
ものと同様の量子化状態S1,S2,…,S61および量子
化状態S2r,S4r,…,S60 r を有している。しかし、
本実施形態では、第2の実施形態における状態遷移に加
えて、1つの量子化状態をスキップする状態遷移が存在
し、この点で本実施形態の状態遷移は第2の実施形態の
状態遷移とは相違する。以下、この相違点につき説明す
る。
【0103】発生情報量Aigが第1の状態遷移ステップ
幅制御しきい値Th_stp1と第2の状態遷移ステップ幅制
御しきい値Th_stp2との間にある場合には、状態遷移ス
テップ幅制御部172から遷移要因7を示す信号が出力
され、閾値比較部134から出力される信号に応じて第
2の実施形態におけるものと同様の状態遷移が行われ
る。しかし、発生情報量Aigが第1の状態遷移ステップ
幅制御しきい値Th_stp1を越えるか、または、発生情報
量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p2を下回った場合には、状態遷移ステップ幅制御部17
2から遷移要因6を示す信号が出力され、閾値比較部1
34から出力される遷移要因1または3を示す信号に応
じて、1つの量子化状態をスキップするような状態遷移
が行われる。例えば、量子化制御部171が量子化状態
i (i=1,2,…,61)にある場合には、量子化
制御部171の状態は、遷移要因6を示す信号および遷
移要因1を示す信号が出力されると、量子化状態Si-1
をスキップして量子化状態Si -2へと遷移し、遷移要因
6を示す信号および遷移要因3を示す信号が出力される
と、量子化状態Si+1をスキップして量子化状態Si+2
と遷移する。また、量子化制御部171が量子化状態S
jr(j=2,4,…,60)にある場合には、量子化制
御部171の状態は、遷移要因6を示す信号および遷移
要因1を示す信号が出力されると、量子化状態Sj-1
スキップして量子化状態S(j-2)rへと遷移し、遷移要因
6を示す信号および遷移要因3を示す信号が出力される
と、量子化状態Sj+1をスキップして量子化状態S
(j+2)rへと遷移する。
【0104】次に、上記の量子化制御部171を備えた
本実施形態の符号化制御装置122の動作例として、被
写体の急な動きやシーンチェンジ等により急にフレーム
間相関が低くなった場合や、急にフレーム間相関が高く
なった場合の動作を、図2を参照して説明する。
【0105】フレーム間差分を用いることで高い圧縮率
を得ているITU勧告H.261やH.263等に基づ
く画像符号化では、被写体の急な動きやシーンチェンジ
等が発生すると、フレーム間相関が急に低くなるため、
急激に発生情報量が増加する。他方、急にフレーム間相
関が高くなると、急激に発生情報量が減少する。図1を
参照して説明した符号化制御では、1画像フレーム中の
GOBを複数の量子化特性で符号化する状態(すなわち
符号化制御状態2)が存在するため、急に発生情報量が
増加したり、急に発生情報量が減少したりすると、発生
情報量を目標発生情報量(または状態遷移しきい値の上
限と下限の間)に近づける量子化特性を設定するまでに
遅延が発生する。即ち、発生情報量が急に増加した場合
に、コマ飛びが発生したり、発生情報量が急に減少した
場合に、もっと画質を上げることができる量子化特性で
符号化することができるのに画質の悪い量子化特性で符
号化している、という現象が生じる。そこで、本実施形
態では、第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p1および第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p2が予め設定されており、発生情報量Aigが第1の状態
遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越えるか、また
は、発生情報量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御し
きい値Th_stp2を下回った場合に、状態遷移ステップ幅
を大きくし、素早く発生情報量を目標発生情報量に近づ
ける符号化制御を行っている。
【0106】図2は、発生情報量Aigが第1の状態遷移
ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越えた場合、およ
び、発生情報量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御し
きい値Th_stp2を下回った場合の量子化状態の遷移を示
したものである。なお、符号化制御状態1とは、図1に
示した第1の実施形態の動作例と同様、画像フレームを
構成する各GOBを符号化する量子化特性が全て同じで
ある状態を意味するものとする。
【0107】いま、各GOBの符号化に用いられる量子
化特性(QUANT)が全て量子化特性5である、すな
わち量子化制御部171の状態が符号化制御状態1に属
する量子化状態S9 であると仮定し、画質が向上する方
向に量子化状態が遷移する場合を考える。各GOBを量
子化特性5で符号化した際の発生情報量Aigが状態遷移
しきい値の下限Th_Lを下回り、かつ第2の状態遷移ス
テップ幅制御しきい値Th_stp2を下回ると、量子化制御
部171により、各GOBの量子化特性は全て画質が向
上する方向に変更、すなわち量子化特性5から量子化特
性4へと変更される。これは、量子化制御部171の状
態が、符号化制御状態2に属する量子化状態S8 をスキ
ップして、符号化制御状態1に属する量子化状態S7
遷移することを意味する。ここで、各GOBを量子化特
性4で符号化した際の発生情報量Aigが再び状態遷移し
きい値の下限Th_Lを下回り、かつ第2の状態遷移ステ
ップ幅制御しきい値Th_stp2を下回ると、量子化制御部
171により、各GOBの量子化特性は全て画質が向上
する方向に変更、すなわち量子化特性4から量子化特性
3へと変更される。これは、量子化制御部171の状態
が、符号化制御状態2に属する量子化状態S6をスキッ
プして、符号化制御状態1に属する量子化状態S5へ遷
移することを意味する。
【0108】画質が劣化する方向に量子化状態が遷移す
る場合、すなわち、発生情報量Aigが状態遷移しきい値
の上限Th_Uを越え、かつ第1の状態遷移ステップ幅制
御しきい値Th_stp1を越える場合は、画質が向上する方
向に量子化状態が遷移する上述の場合の逆の手順で動作
するため、ここでは説明を省略する。
【0109】次に、上記第3の実施形態の符号化制御装
置において使用されている符号化制御方法を説明する。
図3は、この符号化制御方法による1画像フレームに対
する符号化制御処理を示すフローチャートである。図3
において、量子化特性を“QUANT”と表記してい
る。また図3において、q1およびq2は量子化特性を
識別する数値、Sccは符号化制御状態を表す変数、Ft
は時間軸制御フラグであり、q1,q2,Scc,Ft
は予め初期化されているものとする。
【0110】図3に示すように、第3の実施形態におけ
る符号化制御処理では、まず、1画像フレームの符号化
による発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_U
を越えているか否かを閾値比較部134が判定する(ス
テップ301)。この結果、その発生情報量Aigが状態
遷移しきい値の上限Th_Uを越えている場合には、ステ
ップ302〜309の実行により、1画像フレームの発
生情報量を目標発生情報量に近づけるべく、量子化精度
を下げる方向すなわち画質を劣化させる方向に量子化状
態を遷移させる。すなわち、まず、その発生情報量Aig
が第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越
えているか否かを状態遷移ステップ幅制御部172が判
定する(ステップ302)。その結果、発生情報量Aig
が第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越
えていれば、フレーム間相関が急に低くなり、発生情報
量が急増したと判断されるので、第1および第2グルー
プの双方の各GOBの符号化における量子化精度を下げ
るべく、量子化特性決定部175がq1およびq2をイ
ンクリメントする(ステップ304、305)。これに
より、量子化精度を下げる方向に通常よりも大きい状態
遷移幅で量子化状態が遷移する。その後、ステップ31
9へ進む。ステップ302での判定の結果、1画像フレ
ームの符号化による発生情報量Aigが第1の状態遷移ス
テップ幅制御しきい値Th_stp1以下であれば、符号化制
御状態を表す変数Sccが“1”か否かを量子化特性決定
部175が判定する(ステップ303)。その結果、変
数Sccが“1”であれば、第1および第2のグループの
GOBのうち一方のグループのGOBの量子化精度を下
げるべく、量子化特性決定部175がq2をインクリメ
ントし(ステップ306)、変数Sccを“2”に設定す
る(ステップ307)。ステップ303での判定の結
果、変数Sccが“1”でなければ、第1および第2のグ
ループのGOBのうち他方のグループの各GOBの量子
化精度を下げるべく、量子化特性決定部175がq1を
インクリメントし(ステップ308)、変数Sccを
“1”に設定する(ステップ309)。その後、ステッ
プ319へ進む。
【0111】ステップ301での判定の結果、1画像フ
レームの符号化による発生情報量Aigが状態遷移しきい
値の上限Th_Uを越えていない場合には、1画像フレー
ムの発生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを
下回っているか否かを閾値比較部134が判定する(ス
テップ310)。この結果、その発生情報量Aigが状態
遷移しきい値の下限Th_Lを下回っている場合には、ス
テップ311〜318の実行により、1画像フレームの
発生情報量を目標発生情報量に近づけるべく、量子化精
度を上げる方向すなわち画質を向上させる方向に量子化
状態を遷移させる。すなわち、まず、その発生情報量A
igが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp2を
越えているか否かを状態遷移ステップ幅制御部172が
判定する(ステップ311)。この結果、その発生情報
量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p2を下回っていれば、フレーム間相関が急に高くなり、
発生情報量が急減したと判断されるので、第1および第
2グループの双方の各GOBの符号化における量子化精
度を上げるべく、量子化特性決定部175がq1および
q2をデクリメントする(ステップ313、314)。
これにより、量子化精度を上げる方向に通常よりも大き
い状態遷移幅で量子化状態が遷移する。その後、ステッ
プ319へ進む。ステップ311での判定の結果、1画
像フレームの符号化による発生情報量Aigが第2の状態
遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp2以上であれば、符
号化制御状態を表す変数Sccが“1”か否かを量子化特
性決定部175が判定する(ステップ312)。その結
果、変数Sccが1であれば、第1および第2のグループ
のGOBのうち一方のグループの各GOBの量子化精度
を上げるべく、量子化特性決定部175がq1をデクリ
メントし(ステップ315)、変数Sccを“2”に設定
する(ステップ316)。ステップ312での判定の結
果、変数Sccが“1”でなければ、第1および第2のグ
ループのGOBのうち他方のグループの各GOBの量子
化精度を上げるべく、量子化特性決定部175がq2を
デクリメントし(ステップ317)、変数Sccを“1”
に設定する(ステップ318)。その後、ステップ31
9へ進む。
【0112】ステップ310での判定の結果、1画像フ
レームの発生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_
Lを下回っていない場合には、ステップ319へ進む。
【0113】ステップ319では、時間軸配置制御フラ
グFtが“1”か否かを量子化特性決定部175が判定
する。この時間軸制御フラグFtは、画像フレーム中の
画質が良いGOBと画質が悪いGOBを1フレーム毎に
入れ替えるために使用されるフラグである。時間軸制御
フラグFtが“1”の場合には、GOB1、4、5、
8、9、12すなわち第1のグループの各GOBは量子
化特性q1を用いて符号化され、その他のGOBすなわ
ち第2のグループの各GOBは量子化特性q2を用いて
符号化される。時間軸制御フラグFtが“2”の場合に
は、GOB2、3、6、7、10、11すなわち第2の
グループの各GOBは量子化特性q1を用いて符号化さ
れ、その他のGOBはすなわち第1のグループの各GO
Bは量子化特性q2を用いて符号化される。
【0114】したがって、量子化特性決定部175は、
ステップ319での判定の結果に基づき、時間軸配置制
御フラグFtが“1”であれば、第1のグループの各G
OBの量子化特性を量子化特性q1に、第2のグループ
の各GOBの量子化特性を量子化特性q2にそれぞれ設
定し(ステップ320)、時間軸配置制御フラグFtが
“1”でなければ、第1のグループの各GOBの量子化
特性を量子化特性q2に、第2のグループの各GOBの
量子化特性を量子化特性q1にそれぞれ設定する(ステ
ップ321)。これらのステップ320および321
は、画像フレーム中の画質が良いGOBと画質が悪いG
OBの空間的配置を決定する。この空間的配置により、
画質が良いGOBが画像フレーム中で偏ったり画質が悪
いGOBが画像フレーム中で偏ったりすることが防止さ
れる。
【0115】時間軸配置制御フラグFtが“1”の場合
において、ステップ320の実行後、時間軸配置制御部
152がこの時間軸配置制御フラグFtを“2”に設定
する。時間軸配置制御フラグFtが“2”の場合におい
て、ステップ321の実行後、時間軸配置制御部152
がこの時間軸配置制御フラグFtを“1”に設定する。
これらステップ322および323により、1フレーム
毎に時間軸配置制御フラグには“1”と“2”とが交互
に設定され、その結果、1フレーム毎にステップ320
と321とが交互に実行される。符号化制御装置の状態
が符号化制御状態2の場合には、1画像フレームが2種
類の量子化特性q1およびq2(q1≠q2)で符号化
され画質が良いGOBと画質が悪いGOBが存在する
が、このように1フレーム毎にステップ320と321
とが交互に実行されるため、画質を向上させたGOBが
時間方向にも分散する。
【0116】以上のようにして、前に符号化された1画
像フレームの発生情報量Aigに基づき現在符号化しよう
とする1画像フレームに対する量子化特性が設定される
と、1画像フレームに対する符号化制御が終了する。こ
のようにして設定された量子化特性(ステップ320お
よび321)で1画像フレームに対する符号化が画像符
号化部125により行われる。その後、その結果の発生
情報量Aigを用いて次の1画像フレームに対する符号化
制御が上記と同様にして行われる。
【0117】以上説明した第3の実施形態によれば、第
1の実施形態と同様、前に符号化した画像フレームの発
生情報量Aigを基に、現在符号化しようとする画像フレ
ームの量子化特性を、符号化制御状態1および2の導入
により簡単なアルゴリズムで細かく設定できるため、1
画像フレーム中の画質のばらつきや発生情報量の揺らぎ
が少なく、コマ落ちのない視覚上良好な動画像を得るこ
とができる。また第3の実施形態によれば、第2の実施
形態と同様、符号化制御状態2において、画質を向上さ
せたGOBの量子化特性と画質を向上させなかったGO
Bの量子化特性とが1フレーム毎に交換されるため、画
質を向上させたGOBが空間的に分散されるだけでなく
時間方向に関しても分散され、GOBによって量子化特
性が異なることによる画質のむらが目立たなくなる。さ
らに第3の実施形態によれば、急にフレーム間相関が高
くなったり低くなったりすることで、発生情報量の急激
な増減が生じた場合でも、1つの量子化状態をスキップ
した状態遷移により状態遷移ステップ幅を大きくするこ
とで、素早く画像の特性に応じた量子化特性で符号化す
ることができる。しかも、GOB単位で量子化特性を決
定することで、各マクロブロック毎に符号化に用いた量
子化を復号化側に伝送しなくてもよいため、伝送帯域を
有効に活用でき、画質のよい動画像を得ることができ
る。
【0118】なお、量子化状態もしくは符号化制御状態
の状態遷移に1フレーム前の発生情報量Aigが用いられ
ているが、過去に符号化した複数の画像フレームの発生
情報量を保持し、それらの平均値である1フレーム当た
りの発生情報量を用いて状態遷移を行うようにしてもよ
い。この場合、一時的な発生情報量の増減に左右されな
い符号化制御を行うことができる。
【0119】また、符号化制御状態として2つの状態が
存在するが、符号化制御状態が3状態以上存在するよう
にしてもよい。符号化制御状態の状態数を増やせば、よ
り細かく量子化特性を設定できるため、発生情報量の揺
らぎをより小さくすることができる。
【0120】なお、符号化された画像データの伝送にお
けるスループットが一定であるものとしている。伝送エ
ラーによる再送制御によりスループットが変動するシス
テムに本実施形態の符号化制御方法を適用する場合は、
予め定められた一定時間内に伝送した情報量から平均ス
ループットTp_avを算出する処理を付加し、以下の式を
用いて状態遷移しきい値の上限Th_Uおよび下限Th_
L、並びに、第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値T
h_stp1および第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値T
h_stp2を補正することで、スループットに応じた符号化
制御を行うことができる。すなわち、この場合、状態遷
移しきい値の上限および下限、並びに、第1の状態遷移
ステップ幅制御しきい値および第2の状態遷移ステップ
幅制御しきい値の補正値を、それぞれ、Th_Ua、Th_
La、Th_stp1a、Th_stp2aとすると、 Th_Ua=Th_U×Tp_av Th_La=Th_L×Tp_av Th_stp1a=Th_stp1×Tp_av Th_stp2a=Th_stp2×Tp_av (0≦Tp_av≦1) である。
【0121】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態である符号化制御方法および符号化制御装置に
ついて説明する。
【0122】本実施形態は、本発明を、ITUで勧告さ
れているH.261またはH.263のCIF画像を伝
送する画像伝送システムであって、伝送エラーにより送
信側と受信側のフレームメモリの不一致が発生した場合
にフレーム内符号化によりリフレッシュを行う機能を持
つ画像伝送システムに適用したものである。本実施形態
では、上記リフレッシュ機能が1画像フレーム毎に1G
OBをフレーム内符号化することによって強制リフレッ
シュを行うものと仮定する。図4および図5では、1画
像フレーム目でGOB1をフレーム内符号化し、次の画
像フレームではGOB2をフレーム内符号化し、その次
の画像フレームではGOB3をフレーム内符号化する例
を示している。なお、図4および図5において、量子化
特性を“QUANT”と表記している。
【0123】本実施形態の符号化制御装置の構成は、時
間軸配置制御部152を有しない点を除き図26に示し
た量子化制御部171を備えた第3の実施形態の符号化
制御装置122と同様であるので、同一部分には同一の
符号を付すものとして各部の説明を省略する。
【0124】以下、本実施形態の符号化制御装置の動作
例を図4および図5を参照して説明する。図4は、1画
像フレームの符号化による発生情報量Aigが状態遷移し
きい値の下限Th_Lを下回った場合、および、その発生
情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uを越えた場
合の量子化状態の遷移を示している。なお、符号化制御
状態1とは、画像フレームを構成する各GOBの符号化
に用いられる量子化特性が全て同じである状態を意味
し、符号化制御状態2とは、予めGOBを2つのグルー
プに分け(本実施形態ではフレーム内符号化すべき1つ
のGOBから成るグループと、フレーム間符号化すべき
複数のGOBから成るグループとに分ける)、同一グル
ープ内のGOBの符号化に用いられる量子化特性が同一
であって、異なるグループのGOBの符号化に用いられ
る量子化特性が異なっている状態を意味する。
【0125】まず、各GOBの符号化に用いられる量子
化特性が全て量子化特性5の状態すなわち第1の符号化
制御状態1としての量子化状態であると仮定し、画質が
向上する方向に量子化状態が遷移する場合の動作例を説
明する。各GOBを量子化特性5で符号化した際の発生
情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回る
と、量子化制御部の状態が符号化制御状態2に属する量
子化状態に遷移するとともに、量子化特性決定部175
により、フレーム内符号化を行うGOB以外のGOB
(GOB1およびGOB3〜12)の量子化特性が、画
質を向上させる方向に5から4へと変更される。その符
号化制御状態2において設定された量子化特性で各GO
Bを符号化した際の発生情報量Aigが再び状態遷移しき
い値の下限Th_Lを下回った場合、量子化特性決定部1
75により、各GOBの量子化特性が全て量子化特性4
に設定され、符号化制御装置の状態が再び符号化制御状
態1に遷移する、すなわち、量子化制御部の状態が第2
の符号化制御状態1に相当する量子化状態に遷移する。
【0126】次に、画質が劣化する方向に量子化状態が
遷移する場合の動作例を説明する。画質が向上する方向
に量子化状態が遷移する場合と同様に、各GOBの符号
化に用いられる量子化特性が全て量子化特性3の状態す
なわち第1の符号化制御状態1に属する量子化状態であ
ると仮定する。各GOBを量子化特性3で符号化した際
の発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uを越
えると、量子化制御部の状態が符号化制御状態2に属す
る量子化状態に遷移するとともに、量子化特性決定部1
75により、フレーム内符号化を行うGOB以外のGO
B(GOB1およびGOB3〜12)の量子化特性が画
質を劣化させる方向に3から4へと変更される。その符
号化制御状態2において設定された量子化特性で各GO
Bを符号化した際の発生情報量Aigが再び状態遷移しき
い値の上限Th_Uを越えた場合、量子化特性決定部17
5により、各GOBの量子化特性が全て量子化特性4に
設定され、符号化制御装置の状態が再び符号化制御状態
1に遷移する、すなわち量子化制御部の状態が第2の符
号化制御状態1に相当する量子化状態に遷移する。次
に、本実施形態の符号化制御装置の動作例として、被写
体の急な動きやシーンチェンジ等により急にフレーム間
相関が低くなった場合や、急にフレーム間相関が高くな
った場合の動作を、図5を参照して説明する。
【0127】フレーム間差分を用いることで高い圧縮率
を得ているITU勧告H.261やH.263等に基づ
く画像符号化では、被写体の急な動きやシーンチェンジ
等が発生すると、フレーム間相関が急に低くなるため、
急激に発生情報量が増加する。他方、急にフレーム間相
関が高くなると、発生情報量が急激に減少する。図4を
参照して説明した符号化制御では、1画像フレーム中の
GOBを複数の量子化特性で符号化する状態すなわち符
号化制御状態2が存在するため、急に発生情報量が増加
したり、急に発生情報量が減少したりしたりすると、発
生情報量を目標発生情報量(状態遷移しきい値の上限と
下限の間)に近づける量子化特性を設定するまでに遅延
が発生し、発生情報量が急に増加した場合では、コマ飛
びが発生したり、発生情報量が急に減少した場合では、
もっと画質を上げることができる量子化特性で符号化す
ることができるのに、画質の悪い量子化特性で符号化し
ている、という現象が生じる。そこで、本実施形態で
は、第3の実施形態と同様、第1の状態遷移ステップ幅
制御しきい値Th_stp1および第2の状態遷移ステップ幅
制御しきい値Th_stp2が予め設定されており、発生情報
量Aigが第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p1を越えるか、または、発生情報量Aigが第2の状態遷
移ステップ幅制御しきい値Th_stp2を下回った場合に、
状態遷移ステップ幅を大きくし、素早く発生情報量を目
標発生情報量に近づける符号化制御を行っている。
【0128】図5は、発生情報量Aigが第1の状態遷移
ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越えた場合、およ
び、発生情報量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御し
きい値を下回った場合の量子化状態の遷移を示したもの
である。なお、符号化制御状態1とは、図4に示した動
作例と同様、画像フレームを構成する各GOBを符号化
する量子化特性が全て同じである状態を意味するものと
する。
【0129】まず、各GOBの符号化に用いられる量子
化特性が全て量子化特性5の量子化状態(符号化制御状
態1)であると仮定し、画質が向上する方向に符号化制
御状態が遷移する場合の動作例を説明する。各GOBを
量子化特性5で符号化した際の発生情報量Aigが状態遷
移しきい値の下限Th_Lを下回り、かつ第2の状態遷移
ステップ幅制御しきい値Th_stp2を下回ると、量子化制
御部171により、フレーム内符号化するGOBかフレ
ーム間符号化するGOBかにかかわらず、各GOBの量
子化特性が全て画質が向上する方向に5から4へと変更
される。これは、第1の符号化制御状態1から符号化制
御状態2をスキップして第2の符号化制御状態1へ量子
化状態が遷移したことを意味する。ここで、各GOBを
量子化特性4で符号化した際の発生情報量Aigが再び状
態遷移しきい値の下限Th_Lを下回り、かつ第2の状態
遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp2を下回ると、量子
化制御部171により、各GOBの量子化特性が、全て
画質が向上する方向に4から3へと変更される。これ
は、第2の符号化制御状態1から符号化制御状態2をス
キップして第3の符号化制御状態1へ量子化状態が遷移
したことを意味する。
【0130】画質が劣化する方向に量子化状態が遷移す
る場合、すなわち、発生情報量Aigが状態遷移しきい値
の上限Th_Uを越え、かつ第1の状態遷移ステップ幅制
御しきい値Th_stp1を越える場合は、画質が向上する方
向に量子化状態が遷移する上述の場合の逆の手順で動作
するため、ここでは説明を省略する。
【0131】次に、上記第4の実施形態の符号化制御装
置において使用されている符号化制御方法の詳細を説明
する。図6は、この符号化制御方法による1画像フレー
ムに対する符号化制御処理を示すフローチャートであ
る。また図6において、q1およびq2は量子化特性を
識別する数値、Sccは符号化制御状態を表す変数、Ft
は時間軸制御フラグであり、q1,q2,Scc,Ft
は予め初期化されているものとする。
【0132】図6に示すように、第4の実施形態の符号
化制御方法では、まず、1画像フレームの符号化による
発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uを越え
ているか否かを閾値比較部134が判定する(ステップ
601)。この結果、その発生情報量Aigが状態遷移し
きい値の上限Th_Uを越えている場合には、ステップ6
02〜609の実行により、1画像フレームの発生情報
量を目標発生情報量に近づけるべく、量子化精度を下げ
る方向すなわち画質を劣化させる方向に量子化状態を遷
移させる。すなわち、まず、その発生情報量Aigが第1
の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越えてい
るか否かを状態遷移ステップ幅制御部172が判定する
(ステップ602)。その結果、発生情報量Aigが第1
の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1を越えてい
れば、フレーム間相関が急に低くなり、発生情報量が急
増したと判断されるので、フレーム内符号化すべきGO
Bおよびフレーム間符号化すべきGOBの双方の量子化
精度を下げるべく、量子化特性決定部175がq1およ
びq2をインクリメントする(ステップ604、60
5)。これにより、量子化精度を下げる方向に通常より
も大きい状態遷移幅で量子化状態が遷移する。その後、
ステップ619へ進む。ステップ602での判定の結
果、1画像フレームの符号化による発生情報量Aigが第
1の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp1以下であ
れば、符号化制御状態を表す変数Sccが“1”か否かを
量子化特性決定部175が判定する(ステップ60
3)。その結果、変数Sccが1であれば、フレーム間符
号化すべき各GOBの量子化精度を下げるべく、量子化
特性決定部175がq2をインクリメントし(ステップ
606)、変数Sccを“2”に設定する(ステップ60
7)。ステップ603での判定の結果、変数Sccが
“1”でなければ、フレーム内符号化すべきGOBの量
子化精度を下げるべく、量子化特性決定部175がq1
をインクリメントし(ステップ608)、変数Sccを
“1”に設定する(ステップ609)。その後、ステッ
プ619へ進む。
【0133】ステップ601での判定の結果、1画像フ
レームの符号化による発生情報量Aigが状態遷移しきい
値の上限Th_Uを越えていない場合には、1画像フレー
ムの発生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを
下回っているか否かを閾値比較部134が判定する(ス
テップ610)。この結果、その発生情報量Aigが状態
遷移しきい値の下限Th_Lを下回っている場合には、ス
テップ611〜618の実行により、1画像フレームの
発生情報量を目標発生情報量に近づけるべく、量子化精
度を上げる方向すなわち画質を向上させる方向に量子化
状態を遷移させる。すなわち、まず、その発生情報量A
igが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_stp2を
越えているか否かを状態遷移ステップ幅制御部172が
判定する(ステップ611)。この結果、その発生情報
量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p2を下回っていれば、フレーム間相関が急に高くなり、
発生情報量が急減したと判断されるので、フレーム内符
号化すべきGOBおよびフレーム間符号化すべきGOB
の双方の量子化精度を上げるべく、量子化特性決定部1
75がq1およびq2をデクリメントする(ステップ6
13、614)。これにより、量子化精度を上げる方向
に通常よりも大きい状態遷移幅で量子化状態が遷移す
る。その後、ステップ619へ進む。ステップ611で
の判定の結果、1画像フレームの符号化による発生情報
量Aigが第2の状態遷移ステップ幅制御しきい値Th_st
p2以上であれば、符号化制御状態を表す変数Sccが
“1”か否かを量子化特性決定部175が判定する(ス
テップ612)。その結果、変数Sccが1であれば、フ
レーム内符号化すべきGOBの量子化精度を上げるべ
く、量子化特性決定部175がq1をデクリメントし
(ステップ615)、変数Sccを“2”に設定する(ス
テップ616)。ステップ612での判定の結果、変数
Sccが“1”でなければ、フレーム間符号化すべき各G
OBの量子化精度を上げるべく、量子化特性決定部17
5がq2をデクリメントし(ステップ617)、変数S
ccを“1”に設定する(ステップ618)。その後、ス
テップ619へ進む。
【0134】ステップ610での判定の結果、1画像フ
レームの発生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_
Lを下回っていない場合には、ステップ619へ進む。
【0135】ステップ619では、量子化特性決定部1
75が、フレーム内符号化すべきGOBの量子化特性を
量子化特性q1に設定する。次にステップ620で量子
化特性決定部175は、フレーム内符号化されないGO
Bすなわちフレーム間符号化すべきGOBの量子化特性
をq2に設定する。
【0136】以上のようにして、前に符号化された1画
像フレームの発生情報量Aigに基づき現在符号化しよう
とする1画像フレームに対する量子化特性が設定される
と、1フレーム分の符号化制御が終了する。このように
して設定された量子化特性(ステップ619および62
0)で1画像フレームに対する符号化が画像符号化部1
25により行われる。その後、その結果の発生情報量A
igを用いて次の1画像フレームに対する符号化制御が上
記と同様にして行われる。
【0137】以上のような第4の実施形態によれば、フ
レーム内符号化による強制リフレッシュが行われる場合
であっても、第3の実施形態と同様、画像フレームの量
子化特性を簡単なアルゴリズムで細かく設定できるた
め、1画像フレーム中の画質のばらつきや発生情報量の
揺らぎが少なく、コマ落ちのない視覚上良好な動画像を
得ることができる。また第4の実施形態によれば、第3
の実施形態と同様、急にフレーム間相関が高くなったり
低くなったりすることで、発生情報量の急激な増減が生
じた場合でも、状態遷移ステップ幅を大きくすること
で、素早く画像の特性に応じた量子化特性で符号化する
ことができる。さらに、GOB単位で量子化特性を決定
することで、各マクロブロック毎に符号化に用いた量子
化を復号化側に伝送しなくてもよいため、伝送帯域を有
効に活用でき、画質のよい動画像を得ることができる。
【0138】なお、第4の実施形態では、量子化状態も
しくは符号化制御状態の状態遷移に1フレーム前の発生
情報量Aigが用いられているが、過去に符号化した複数
の画像フレームの発生情報量を保持し、それらの平均値
である1フレーム当たりの発生情報量を用いて状態遷移
を行うようにしてもよい。この場合、一時的な発生情報
量の増減に左右されない符号化制御を行うことができ
る。
【0139】また、第4の実施形態では、符号化制御状
態として2つの状態が存在するが、符号化制御状態が3
状態以上存在するようにしてもよい。符号化制御状態の
状態数を増やせば、より細かく量子化特性を設定できる
ため、発生情報量の揺らぎをより小さくすることができ
る。
【0140】また、第4の実施形態では、画像フレーム
毎に1GOBをフレーム内符号化することによって強制
リフレッシュを行うものと仮定している。しかし、強制
リフレッシュを行うフレームには第4の実施形態の符号
化制御方法を適用し、強制リフレッシュを行わないフレ
ームには第3の実施形態の符号化制御方法を適用すれ
ば、強制リフレッシュが間欠的に挿入された画像の符号
化にも本発明を適用することができる。
【0141】なお、第4の実施形態では、符号化された
画像データの伝送におけるスループットが一定であるも
のとしている。伝送エラーによる再送制御によりスルー
プットが変動するシステムに本実施形態の符号化制御方
法を適用する場合は、予め定められた一定時間内に伝送
した情報量から平均スループットTp_avを算出する処理
を付加し、以下の式を用いて状態遷移しきい値の上限T
h_Uおよび下限Th_L、並びに、第1の状態遷移ステッ
プ幅制御しきい値Th_stp1および第2の状態遷移ステッ
プ幅制御しきい値Th_stp2を補正することで、スループ
ットに応じた符号化制御を行うことができる。すなわ
ち、この場合、状態遷移しきい値の上限および下限、並
びに、第1の状態遷移ステップ幅制御しきい値および第
2の状態遷移ステップ幅制御しきい値の補正値を、それ
ぞれ、Th_Ua、Th_La、Th_stp1a、Th_stp2aと
すると、 Th_Ua=Th_U×Tp_av Th_La=Th_L×Tp_av Th_stp1a=Th_stp1×Tp_av Th_stp2a=Th_stp2×Tp_av (0≦Tp_av≦1) である。
【0142】(第5の実施形態)上記の第4の実施形態
では、1画像フレーム毎に1GOBをフレーム内符号化
することによって強制リフレッシュを行うものと仮定
し、符号化制御状態2においては、フレーム内符号化す
べきGOBとフレーム間符号化すべきGOBとが異なる
量子化特性で符号化されるように符号化制御が行われ
る。この場合、画質のむらを抑えるという観点から、フ
レーム内符号化すべきGOBの量子化精度がフレーム間
符号化すべきGOBの量子化精度よりも常に高くなるよ
うに量子化特性を設定するのが好ましい。そこで、以下
では、このような量子化特性の設定が行われる符号化制
御方法および符号化制御装置を第5の実施形態として説
明する。
【0143】本実施形態の符号化制御装置の構成は、時
間軸配置制御部152を有しない点を除き図26に示し
た量子化制御部171を備えた第3の実施形態の符号化
制御装置122と同様であるので、同一部分には同一の
符号を付すものとして各部の説明を省略する。
【0144】図9は、1画像フレームの符号化による発
生情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回っ
た場合、およびその発生情報量Aigが状態遷移しきい値
の上限Th_Uを越えた場合の量子化状態の遷移を示して
いる。なお、符号化制御状態1とは、画像フレームを構
成する各GOBの符号化に用いられる量子化特性が全て
同じである状態を意味し、符号化制御状態2とは、予め
GOBを2つのグループに分け(本実施形態ではフレー
ム内符号化すべき1つのGOBから成るグループと、フ
レーム間符号化すべき複数のGOBから成るグループと
に分ける)、同一グループ内のGOBの符号化に用いら
れる量子化特性が同一であって、異なるグループのGO
Bの符号化に用いられる量子化特性が異なっている状態
を意味する。図9において、量子化特性を“QUAN
T”と表記している。
【0145】まず、各GOBの符号化に用いられる量子
化特性が全て量子化特性5の状態すなわち第1の符号化
制御状態1としての量子化状態であると仮定し、画質が
向上する方向に量子化状態が遷移する場合の動作例を説
明する。各GOBを量子化特性5で符号化した際の発生
情報量Aigが状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回る
と、量子化制御部の状態が符号化制御状態2に属する量
子化状態に遷移するとともに、量子化特性決定部175
により、フレーム内符号化すべきGOB2の量子化特性
のみが画質を向上させる方向に5から4へと変更され
る。この点、フレーム間符号化すべきGOBであるGO
B1およびGOB3〜12の量子化特性が画質を向上さ
せる方向に5から4へと変更されていた第4の実施形態
と相違する。その符号化制御状態2において設定された
量子化特性で各GOBを符号化した際の発生情報量Aig
が再び状態遷移しきい値の下限Th_Lを下回った場合、
量子化特性決定部175により、各GOBの量子化特性
が全て量子化特性4に設定され、符号化制御装置の状態
が再び符号化制御状態1に遷移する、すなわち量子化制
御部の状態が第2の符号化制御状態に相当する量子化状
態に遷移する。
【0146】次に、画質が劣化する方向に量子化状態が
遷移する場合の動作例を説明する。画質が向上する方向
に量子化状態が遷移する場合と同様に、各GOBの符号
化に用いられる量子化特性が全て量子化特性3の状態す
なわち第1の符号化制御状態1としての量子化状態であ
ると仮定する。各GOBを量子化特性3で符号化した際
の発生情報量Aigが状態遷移しきい値の上限Th_Uを越
えると、量子化制御部の状態が符号化制御状態2に属す
る量子化状態に遷移するとともに、量子化特性決定部1
75により、フレーム内符号化を行うGOB以外のGO
B(GOB1およびGOB3〜12)の量子化特性が画
質を劣化させる方向に3から4へと変更される。その符
号化制御状態2において設定された量子化特性で各GO
Bを符号化した際の発生情報量Aigが再び状態遷移しき
い値の上限Th_Uを越えた場合、量子化特性決定部17
5により、各GOBの量子化特性が全て量子化特性4に
設定され、符号化制御装置の状態が再び符号化制御状態
1に遷移する、すなわち量子化制御部の状態が第2の符
号化制御状態に相当する量子化状態に遷移する。
【0147】図10は、本実施形態に係る符号化制御方
法による1画像フレームに対する符号化制御処理を示す
フローチャートである。図10のフローチャートにおけ
るステップ1101〜1118は、第4の実施形態の符
号化制御方法を示す図6のフローチャートにおけるステ
ップ601〜608にそれぞれ対応する。ステップ11
01〜1118の各ステップでは、ステップ601〜6
08のうちその各ステップに対応するステップと同様の
処理が行われるので、その説明を省略する。
【0148】一方、図10のフローチャートにおけるス
テップ1119〜1123から成る処理は、図6のフロ
ーチャートにおけるステップ619および620から成
る処理に相当するが、両処理は相違している。すなわ
ち、本実施形態では、まず、ステップ1119におい
て、量子化特性決定部175が、量子化特性を示す2つ
の数値q1とq2を比較し、q1がq2よりも大きいか
否かを判定する。この結果、q1>q2であれば、量子
化特性決定部175は、フレーム内符号化すべきGOB
の量子化特性を量子化特性q2に設定し、フレーム間符
号化すべきGOBの量子化特性をq1に設定する。ステ
ップ1119での判定の結果、q1≦q2であれば、量
子化特性決定部175は、フレーム内符号化すべきGO
Bの量子化特性を量子化特性q1に設定し、フレーム間
符号化すべきGOBの量子化特性を量子化特性q2に設
定する。このようにして、フレーム内符号化すべきGO
Bの量子化精度は、フレーム間符号化すべきGOBの量
子化精度よりも低くならないように、各GOBの量子化
特性が設定される。
【0149】上記のような第5の実施形態によれば、フ
レーム内符号化すべきGOBとフレーム間符号化すべき
GOBとに対し異なる量子化特性が設定される符号化制
御状態2においては、フレーム内符号化すべきGOBの
量子化精度がフレーム間符号化すべきGOBの量子化精
度よりも常に高くなるため、フレーム内符号化によるブ
ロック歪みが緩和される。
【0150】(第6の実施形態)図21に示した画像符
号化装置121における符号化制御装置122は、動き
始め/終わり検出部123を備えており、動き始め/終
わり検出部123は、入力ビデオ信号Svの表す画像に
おける被写体の動き始めおよび動き終わりを検出し、量
子化制御部124は、その検出結果を用いて、画像符号
化部125による符号化における量子化特性を制御す
る。以下では、このような符号化制御装置122の一実
施形態を第6の実施形態として説明する。
【0151】図28は、本実施形態の符号化制御装置に
おける動き始め/終わり検出部の構成を示すブロック
図、すなわち図21に示した符号化制御装置122にお
ける動き始め/終わり検出部123の一構成例を示すブ
ロック図である(以下、この構成の動き始め/終わり検
出部を参照番号“191”で示すものとする)。この動
き始め/終わり検出部191は、動きベクトル絶対値総
和算出部193と、動きベクトル絶対値総和格納部19
2と、動き始め検出部194と、動き終わり検出部19
5とを備えており、画像符号化部125から1画像フレ
ームの動きベクトル情報Imvを示す信号を入力する。
【0152】動きベクトル絶対値総和算出部193は、
画像符号化部125から1画像フレームの動きベクトル
情報Imvを入力して、動きベクトル絶対値総和Smvを算
出する。動きベクトル絶対値総和格納部192は、算出
された動きベクトル絶対値総和Smvを保持する。動き始
め検出部194は、この動きベクトル絶対値総和Smvを
用いて動き始め情報Imsを示す信号を生成し、動き終わ
り検出部195は、この動きベクトル絶対値総和Smvを
用いて動き終わり情報Imeを示す信号を生成する。これ
らの動き始め情報Imsおよび動き終わり情報Imeを示す
信号は量子化制御部124に入力され、量子化制御部1
24において、これらの動き始め情報Imsおよび動き終
わり情報Imeに基づき次の画像フレームの符号化におけ
る量子化特性が制御される。
【0153】図11は、被写体の動き始め状態および動
き終わり状態を定義するための説明図である。図11に
おける縦軸は1画像フレームの動きベクトルの絶対値の
総和Smvを示し、この縦軸の上方向を動きベクトルの絶
対値の総和Smvが大きくなる方向とする。図11におけ
る横軸は時間の経過を表している。図11において、
「しきい値Th_M」は、被写体の動きがあるか否かの判
定に用いられるしきい値であり、動きベクトルの絶対値
の総和Smvがしきい値Th_Mよりも小さければ被写体の
動きが無いと判定され、しきい値Th_Mよりも大きけれ
ば動きが有ると判定される。また、「動き終わり状態」
とは、図11に示すように、動きベクトルの絶対値の総
和Smvがしきい値Th_Mを上回り、かつ、動きベクトル
の絶対値の総和Smvが徐々に減少する状態を意味する。
また、「動き始め状態」とは、動きベクトルの絶対値の
総和Smvがしきい値Th_Mを上回り、かつ動きベクトル
の絶対値の総和Smvが徐々に増加する状態を意味する。
これら「しきい値Th_M」、「動き始め状態」、「動き
終わり状態」の意味は、後述の他の実施形態においても
同様である。
【0154】次に、本実施形態の符号化制御装置の動作
例を説明する。まず、被写体の動き終わり状態における
符号化制御について、図12を参照して説明する。図1
2における縦軸は発生情報量を示し、この縦軸の上方向
を発生情報量が大きくなる方向とする。図12における
横軸は時間の経過を表している。「上限しきい値Th_
U」と「下限しきい値Th_L」は、従来の技術で説明し
たものと同様なものであり(既述の各実施形態における
状態遷移しきい値の上限Th_Uおよび下限Th_Lのそれ
ぞれと同じものである)、量子化特性の設定に用いられ
る。さらに図12において、黒丸“●”は、本実施形態
の符号化制御装置を使用した場合における、1画像フレ
ームの符号化による発生情報量を示しており、白丸
“○”は、従来の符号化制御装置を使用した場合におけ
る、1画像フレームの符号化による発生情報量を示して
いる。なお、グラフの縦軸および横軸の表すものや、
「上限しきい値Th_U」と「下限しきい値Th_L」の意
味は、後述の図13、15、16、18、19において
も同様である。
【0155】時刻T1において、1画像フレームを量子
化特性q(s)で符号化した際の発生情報量Aigが上限
しきい値Th_Uと下限しきい値Th_Lの間にあったと仮
定する。このとき、発生情報量Aigが上限しきいTh_U
と下限しきい値Th_Lとの間に位置するため、量子化特
性が変えられずに次の画像フレームが符号化される。こ
こで、時刻T2において、被写体の背後に隠れていた柄
の細かい背景が被写体の移動により出現し、量子化特性
q(s)で符号化した結果の発生情報量Aigが上限しき
い値Th_Uを越えたと仮定する。従来の符号化制御装置
では、発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uを越える
と、次の画像フレームの符号化に用いられる量子化特性
は画質が劣化する方向に変更されてq(s+1)に設定
される。しかし、被写体の動き終わり状態では、フレー
ム間相関が高まり、発生情報量が徐々に減少するため、
量子化特性が画質の劣化する方向に変更されると、フレ
ーム間相関と量子化特性の相乗効果により、発生情報量
が激減し、時刻T3における“○”で示されているよう
に、下限しきい値Th_Lを下回ってしまう。そこで、本
実施形態では、仮に発生情報量Aigが上限しきい値Th_
Uを越えたとしても、被写体の動き終わり状態において
は、量子化特性を画質が劣化する方向に変更しない。即
ち、時刻T2で発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uを
越えたにもかかわらず、時刻T3では、量子化特性q
(s)で画像フレームが符号化される。以降、従来の符
号化制御装置と同様な動作を行う。
【0156】次に、被写体の動き始め状態における符号
化制御について、図13を用いて説明する。時刻T1に
おいて、画像フレームを量子化特性q(s)で符号化し
た際の発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uと下限しき
い値Th_Lの間にあったと仮定する。このとき、その発
生情報量Aigが上限しきいTh_Uと下限しきい値Th_L
との間に位置するため、量子化特性が変えられずに次の
画像フレームが符号化される。ここで、時刻T2におい
て、被写体の背後に隠れていた柄の粗な背景が被写体の
移動により出現し、量子化特性q(s)で符号化した結
果の発生情報量Aigが下限しきい値Th_Lを下回ったと
仮定する。従来の符号化制御装置では、発生情報量Aig
が下限しきい値Th_Lを下回ると、次の画像フレームの
符号化に用いられる量子化特性は画質が向上する方向に
変更されてq(s−1)に設定される。しかし、被写体
の動き始め状態では、フレーム間相関が低下し、発生情
報量が徐々に増加するため、量子化特性が画質の向上す
る方向に変更されると、フレーム間相関と量子化特性の
相乗効果により、発生情報量が激増し、時刻T3におい
て“○”で示されているように、上限しきい値Th_Uを
越えてしまう。そこで、本実施形態では、発生情報量A
igが下限しきい値Th_Lを下回ったとしても、被写体の
動き始め状態においては、量子化特性を画質が向上する
方向に変更しない。即ち、時刻T2で発生情報量Aigが
下限しきい値Th_Lを下回ったにもかかわらず、時刻T
3では、量子化特性q(s)で画像フレームが符号化さ
れる。以降、従来の符号化制御装置と同様な動作を行
う。
【0157】図14は、上記動作を行う本実施形態の符
号化制御装置による1画像フレームに対する動き始め終
わり検出処理を示すフローチャートである。この動き始
め終わり検出処理では、まず、動きベクトル絶対値総和
算出部193が動き始め識別フラグFmSおよび動き終わ
り識別フラグFmEをリセットする(FmS=0、FmE=
0)(ステップ401)。この動き始め識別フラグFmS
および動き終わり識別フラグFmEは、状態遷移を行うか
否かの判定に用いられ、量子化制御部124は、動き始
め識別フラグFmSがセットされていれば即ちFmS=1で
あれば、画質を向上させる方向に量子化状態を遷移させ
ず、動き終わり識別フラグFmEがセットされていれば即
ちFmE=1であれば、画質を劣化させる方向に量子化状
態を遷移させない。状態遷移の処理については、動き始
め識別フラグFmSおよび動き終わり識別フラグFmEを参
照して、状態遷移をするか否かを決めること以外は、従
来の符号化制御装置におけるものと同様であるため、こ
こでは詳しい説明を省略する。
【0158】次に、動きベクトル絶対値総和格納部19
2が2フレーム前の1画像フレームにおける動きベクト
ルの絶対値の総和Smv1を動きベクトル絶対値総和Smv
2として格納する(ステップ402)。次に、1フレー
ム前の1画像フレームにおける動きベクトルの絶対値の
総和Smvを動きベクトル絶対値総和Smv1として格納す
る(ステップ403)。その後、動きベクトル絶対値総
和算出部193が、現在符号化した1画像フレーム(現
行フレーム)の動きベクトルの絶対値の総和Smvを算出
する。現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smv、1
フレーム前の動きベクトル絶対値総和Smv1、および2
フレーム前の動きベクトル絶対値総和Smv2は、被写体
の動き始めおよび動き終わりの検出に下記のように用い
られ、動きベクト絶対値総和がSmv2からSmvへと徐々
に小さくなれば、被写体の動き終わりと判断され、動き
ベクト絶対値総和がSmv2からSmvへと徐々に大きくな
れば、被写体の動き始めと判断される。
【0159】すなわち、まず、動き終わり検出部195
が、現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smvがしき
い値Th_Mよりも大きいか否かを判定する(ステップ4
05)。この結果、Smv>Th_Mであれば、ステップ4
06〜408により動き終わりか否かを検出する。すな
わち、動き終わり検出部195は、2フレーム前の動き
ベクトル絶対値総和Smv2と1フレーム前の動きベクト
ル絶対値総和Smv1と現行フレームの動きベクトル絶対
値総和Smvとの間に、Smv2>Smv1>Smvなる関係が
あれば、被写体が動き終わり状態にあると判定し、動き
終わり識別フラグFmEをセットする(FmE=1)(ステ
ップ408)。その後、ステップ409へ進む。ステッ
プ405での判定の結果、Smv≦Th_Mであれば、その
ままステップ409へ進む。
【0160】ステップ409では、動き始め検出部19
4が、現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smvがし
きい値Th_Mよりも大きいか否かを判定する。この結
果、Smv>Th_Mであれば、ステップ409〜412に
より動き始めか否かを検出する。すなわち、動き始め検
出部194は、2フレーム前の動きベクトル絶対値総和
Smv2と1フレーム前の動きベクトル絶対値総和Smv1
と現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smvとの間
に、Smv2<Smv1<Smvなる関係があれば、被写体が
動き始め状態にあると判定し、動き始め識別フラグFmS
をセットする(FmS=1)(ステップ412)。以上に
より、1画像フレームに対する動き始め終わり検出処理
が終了する。なお、ステップ409での判定の結果、S
mv≦Th_Mであれば、そのまま1画像フレームに対する
動き始め終わり検出処理を終了する。
【0161】このようにして1画像フレームに対する動
き始め終わり検出処理が終了すると、動き始め識別フラ
グFmSおよび動き終わり識別フラグFmEは、それぞれ、
動き始め情報Imsおよび動き終わり情報Imeとして量子
化制御部124に入力される。量子化制御部124は、
これらの情報を用いて次の画像フレームの符号化に用い
られる量子化特性を決定する。このとき、量子化制御部
124は、1画像フレームを量子化特性q(s)で符号
化した結果の発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uを越
えた場合であっても、動き終わり識別フラグFmEがセッ
トされていれば(FmE=1)、量子化特性を画質の劣化
する方向には変更せずにq(s)のままとする。また量
子化制御部124は、1画像フレームを量子化特性q
(s)で符号化した結果の発生情報量Aigが下限しきい
値Th_Lを下回った場合であっても、動き始め識別フラ
グFmSがセットされていれば(FmS=1)、量子化特性
を画質の向上する方向には変更せずにq(s)のままと
する。このようにして設定された量子化特性で次の1画
像フレームに対する符号化が画像符号化部125により
行われる。その後、その符号化において得られる動きベ
クトル情報Imvに基づいて、次の1画像フレームに対す
る動き始め終わり検出処理が上記と同様にして行われる
(ステップ401〜412)。
【0162】以上のような第6の実施形態によれば、被
写体の動き始め状態および動き終わり状態を検出し、被
写体の動き始め状態では、量子化特性を画質が向上する
方向に変更せず、被写体の動き終わり状態では、量子化
特性を画質が劣化する方向に変更しないことで、画像フ
レームの符号化による発生情報量の揺らぎを抑え、精度
のよい符号化制御を行うことができる。更に、第6の実
施形態では、被写体の動き始め状態および動き終わり状
態の検出にフレーム間符号化に用いる動きベクトルを使
用しているため、被写体の動き始め状態および被写体の
動き終わり状態の検出用に新たに処理を設ける必要がな
く、その結果、符号化処理能力の低下を防ぐことができ
るとともに、低消費電力化や低コスト化を図ることがで
きる。
【0163】なお、上記第6の実施形態では、被写体の
動き始め状態および動き終わり状態の検出に3フレーム
の動きベクトルの絶対値の総和Smv2,Smv1,Smvを
用いて判断しているが、被写体の動き始め状態および動
き終わり状態の検出のためのフレームは、3フレームに
限定されるものではなく、3フレーム以上でもよいし、
3フレーム以下であってもよい。3フレーム以上で被写
体の動き始め状態および動き終わり状態を検出する場
合、より正確に被写体の動き始め状態および動き終わり
状態を検出することができる。一方、3フレーム以下で
被写体の動き始め状態および動き終わり状態を検出する
場合、素早く被写体の動きに応じた符号化制御を行うこ
とができる。
【0164】なお、上記第6の実施形態では、被写体の
動き始め状態および動き終わり状態の検出に用いる動き
量に、1画像フレームの動きベクトルの絶対値総和を用
いたが、これに代えて、画像フレームを構成するマクロ
ブロック毎の動きベクトルの絶対値と予め定めた閾値と
の比較に基づき、動きベクトルの絶対値が閾値を越えた
マクロブロックの数を動き量として用いてもよい。この
場合、より正確に被写体の動き始め状態および動き終わ
り状態を検出することができる。
【0165】また、上記第6の実施形態では、符号化さ
れた画像データの伝送におけるスループットが一定であ
るものとしている。伝送エラーによる再送制御によりス
ループットが変動するシステムに本実施形態の符号化制
御方法を適用する場合は、予め定められた一定時間内に
伝送した情報量から平均スループットTp_avを算出する
処理を付加し、以下の式を用いて上限しきい値Th_Uお
よび下限しきい値Th_Lを補正することで、スループッ
トに応じた符号化制御を行うことができる。すなわち、
この場合、上限しきい値および下限しきい値の補正値
を、それぞれ、Th_Ua、Th_Laとすると、 Th_Ua=Th_U×Tp_av Th_La=Th_L×Tp_av (0≦Tp_av≦1) である。
【0166】(第7の実施形態)図29は、本実施形態
の符号化制御装置における動き始め/終わり検出部の構
成を示すブロック図、すなわち図21に示した符号化制
御装置122における動き始め/終わり検出部123の
他の構成例を示すブロック図である(以下、この構成の
動き始め/終わり検出部を参照番号“201”で示すも
のとする)。この動き始め/終わり検出部201は、第
6の実施形態における動き始め/終わり検出部191と
同様、動きベクトル絶対値総和算出部193と、動きベ
クトル絶対値総和格納部192と、動き始め検出部19
4と、動き終わり検出部195とを備えており、画像符
号化部125から1画像フレームの動きベクトル情報I
mvを示す信号を入力する。これに加えて、動き始め/終
わり検出部201は、状態遷移ステップ幅制御部202
を備えており、この点で第6の実施形態における動き始
め/終わり検出部191と相違する。
【0167】この状態遷移ステップ幅制御部202は、
動き始め検出部194による検出結果および動き終わり
検出部195による検出結果に基づき、状態遷移ステッ
プ幅Wtrを出力する。この状態遷移ステップ幅制御部2
02以外の動き始め/終わり検出部201における他の
構成要素は第6の実施形態におけるものと同様であり、
同一部分には同一の参照番号が付されている。
【0168】以下、上記のような動き始め/終わり検出
部201を備える本実施形態の符号化制御装置の動作例
を、図15および図16を参照して説明する。なお、こ
れら図15および図16図において、黒丸“●”は、本
実施形態の符号化制御装置を用いた場合における、1画
像フレームの符号化による発生情報量を示し、白丸
“○”は、従来の符号化制御装置を用いた場合におけ
る、1画像フレームの符号化による発生情報量を示して
いる。
【0169】まず、被写体の動き終わり状態における符
号化制御について、図15を参照して説明する。時刻T
1において、1画像フレームを量子化特性q(s)で符
号化した際の発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uと下
限しきい値Th_Lの間にあったと仮定する。このとき、
発生情報量Aigが上限しきいTh_Uと下限しきい値Th_
Lとの間に位置するため、量子化特性が変えられずに次
の画像フレームが符号化される。同様に、時刻T2にお
いても、量子化特性q(s)で符号化した際の発生情報
量Aigが上限しきいTh_Uと下限しきい値Th_Lとの間
に位置するため、量子化特性が変えられずに次の画像フ
レームが符号化される。時刻T3においては、量子化特
性q(s)で符号化した結果の発生情報量Aigが下限し
きい値Th_Lを下回っているため、量子化特性の状態が
画質の向上する状態に遷移する。このとき、従来の符号
化制御装置では、段階的に量子化特性の状態が画質の向
上する状態に遷移するため、量子化特性がq(s−1)
に設定される。しかし、被写体の動き終わり状態では、
フレーム間相関が高まり、発生情報量が徐々に減少する
ため、時刻T4における“○”に示されているように、
発生情報量は下限しきい値Th_L近辺の値となる。同様
に、被写体の動き終わり状態により発生情報量が徐々に
減少するため、時刻T5では再び下限しきい値Th_Lを
下回り、量子化特性の状態が画質の向上する状態に遷移
し、量子化特性はq(s−2)に設定される。しかし、
被写体の動き終わり状態による発生情報量の低下のた
め、時刻T6においても発生情報量が下限しきい値Th_
Lを下回ってしまう。このように、被写体の動き終わり
状態において従来の符号化制御装置による符号化制御を
行うと、発生情報量が下限しきい値Th_L近辺となるよ
うに符号化が行われる。このため、動画像の符号化デー
タの伝送において伝送帯域を有効に使用することができ
ず、また、被写体の動き終わり状態における画質の向上
が遅れてしまう。
【0170】そこで本実施形態の符号化制御装置では、
時刻T3において、発生情報量Aigが下限しきい値Th_
Lを下回った場合、量子化特性の状態遷移におけるステ
ップ幅である状態遷移ステップ幅Wtrを大きくし、量子
化特性をq(s−2)に設定する。これにより、時刻T
4における“●”に示されているように、発生情報量
は、下限しきい値Th_Lから離れた、上限しきい値Th_
Uと下限しきい値Th_Lとの間の値となる。時刻T5お
よびT6においては、それぞれ時刻T2およびT3と同
様な動作を行う。
【0171】次に、被写体の動き始め状態における符号
化制御について、図16を参照してて説明する。時刻T
1において、1画像フレームを量子化特性q(s)で符
号化した際の発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uと下
限しきい値Th_Lの間にあったと仮定する。このとき、
発生情報量Aigが上限しきいTh_Uと下限しきい値Th_
Lとの間に位置するため、量子化特性が変えられずに次
の画像フレームが符号化される。同様に、時刻T2にお
いても、量子化特性q(s)で符号化した際の発生情報
量Aigが上限しきいTh_Uと下限しきい値Th_Lとの間
に位置するため、量子化特性が変えられずに次の画像フ
レームが符号化される。時刻T3においては、量子化特
性q(s)で符号化した結果の発生情報量Aigが上限し
きい値Th_Uを越えているため、量子化特性の状態が画
質の劣化する状態に遷移する。従来の符号化制御装置で
は、量子化特性の状態が画質の劣化する状態に段階的に
遷移するため、量子化特性がq(s+1)に設定され
る。しかし、被写体の動き始め状態では、フレーム間相
関が低下し、発生情報量が徐々に増加するため、時刻T
4における“○”に示されているように、発生情報量は
上限しきい値Th_U近辺の値となる。同様に、被写体の
動き始め状態により発生情報量が徐々に増加するため、
時刻T5では再び上限しきい値Th_Uを上回り、量子化
特性の状態が画質の劣化する状態に遷移し、量子化特性
がq(s+2)に設定される。しかし、被写体の動き始
め状態による発生情報量の増加のため、時刻T6におい
ても発生情報量が上限しきい値Th_Uを越えてしまう。
このように、被写体の動き始め状態に従来の符号化制御
装置により符号化制御を行うと、発生情報量が上限しき
い値Th_U近辺となるように符号化が行われる。このた
め、コマ飛びが発生し、動きのぎこちない動画像が得ら
れることになる。
【0172】そこで本実施形態の符号化制御装置では、
時刻T3において、発生情報量が上限しきい値Th_Uを
越えた場合、量子化特性の状態遷移におけるステップ幅
である状態遷移ステップ幅Wtrを大きくし、量子化特性
をq(s+2)に設定する。これにより、時刻T4にお
ける“●”に示されているように、発生情報量は、上限
しきい値Th_Uから離れた、上限しきい値Th_Uと下限
しきい値Th_Lとの間の値となる。時刻T5、T6にお
いては、T2、T3と同様な動作を行う。
【0173】図17は、上記動作を行う本実施形態の符
号化制御装置による1画像フレームに対する動き始め終
わり検出処理を示すフローチャートである。この動き始
め終わり検出処理では、第6の実施形態における動き始
め動き終わり検出処理(図14)におけるステップ40
1がステップ701に、ステップ408がステップ70
2に、ステップ412がステップ703に、それぞれ置
き換わっている。その他のステップ402〜407,4
09〜411については、第6の実施形態における動き
始め動き終わり検出処理と同様であり、同様の処理が行
われるので、ここでは説明を省略する。
【0174】ステップ701では、状態遷移ステップ幅
制御部202が、第1状態遷移ステップ幅Wtr1 および
第2状態遷移ステップ幅Wtr2 をデフォルト値Vdfにセ
ットする。デフォルト値Vdfとは、被写体の動き始め状
態と動き終わり状態以外の状態において、発生情報量が
上限しきい値Th_Uを上回った場合または下限しきい値
Th_Lを下回った場合の状態遷移ステップ幅である。通
常、隣の量子化特性の状態に遷移するため、デフォルト
値Vdfとして“1”が設定されている。
【0175】本実施形態の動き始め終わり検出処理にお
いても、現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smvが
しきい値Th_Mよりも大きく、かつ、2フレーム前の動
きベクトル絶対値総和Smv2と1フレーム前の動きベク
トル絶対値総和Smv1と現行フレームの動きベクトル絶
対値総和Smvとの間にSmv2>Smv1>Smvなる関係が
ある場合に、動き終わり検出部195は被写体が動き終
わり状態にあると判定する(ステップ405〜40
7)。この場合、ステップ702において、状態遷移ス
テップ幅制御部202が、第1の状態遷移ステップ幅W
tr1 を“デフォルト値Vdf+1”に設定する。
【0176】また本実施形態においても、Smv>Th_
M、かつ、Smv2<Smv1<Smvなる関係がある場合
に、動き始め検出部194は被写体が動き始め状態にあ
ると判定する(ステップ409〜411)。この場合、
ステップ703において、状態遷移ステップ幅制御部2
02が、第2の状態遷移ステップ幅Wtr2 を“デフォル
ト値Vdf+1”に設定する。この設定により、1画像フ
レームに対する動き始め終わり検出処理が終了する。
【0177】このようにして1画像フレームに対する動
き始め終わり検出処理が終了すると、第1の状態遷移ス
テップ幅Wtr1 および第2の状態遷移ステップ幅Wtr2
は量子化制御部124に入力される。量子化制御部12
4は、これらの第1の状態遷移ステップ幅Wtr1 および
第2の状態遷移ステップ幅Wtr2 を用いて次の画像フレ
ームの符号化に用いられる量子化特性を決定する。この
とき、量子化制御部124は、1画像フレームを量子化
特性q(s)で符号化した結果の発生情報量Aigが上限
しきい値Th_Uを越えた場合には、量子化特性の状態を
第2の状態遷移ステップ幅Wtr2 だけ画質の劣化する方
向に遷移させ、その発生情報量Aigが下限しきい値Th_
Lを下回った場合には、量子化特性の状態を第1の状態
遷移ステップ幅Wtr1 だけ画質の向上する方向に遷移さ
せる。すなわち量子化制御部124は、次の画像フレー
ムの符号化に用いられる量子化特性を、Aig>Th_Uの
場合にはq(s+Wtr2 )に設定し、Aig<Th_Lの場
合にはq(s−Wtr1 )に設定する。
【0178】以上のような第7の実施形態によれば、被
写体の動き始め状態または動き終わり状態が検出される
と、状態遷移ステップ幅が大きくなる。このため、被写
体の動き終わり状態において、符号化による発生情報量
が下限しきい値Th_L近辺の値となる状態で符号化が行
われることがなくなり、伝送帯域を有効に使用すること
ができ、画質を素早く向上させることができる。また、
被写体の動き始め状態においては、符号化による発生情
報量が上限しきい値Th_U近辺の値となるような状態で
符号化が行われることがなくなり、コマ飛びのない滑ら
かな動画像を得ることができる。
【0179】なお、上記実施形態では、被写体の動き始
め状態を検出した場合と被写体の動き終わり状態を検出
した場合の第1の状態遷移ステップ幅Wtr1 および第2
の状態遷移ステップ幅Wtr2 は同じであるとしている
が、被写体の動き始め状態と被写体の動き終わり状態で
異なった状態遷移ステップ幅を用いるようにしてもよ
い。この場合、より精度の高い符号化制御を行うことが
できる。
【0180】また、上記実施形態では、被写体の動き始
め状態を検出した場合と被写体の動き終わり状態を検出
した場合の第1の状態遷移ステップ幅Wtr1 および第2
の状態遷移ステップ幅Wtr2 を“デフォルト値Vdf+
1”に設定しているが、これ以上に設定してもよいし、
これ以下に設定してもよい。第1の状態遷移ステップ幅
Wtr1 および第2の状態遷移ステップ幅Wtr2 を大きく
すると、符号化制御の速度を向上させることができる。
【0181】更に、第1の状態遷移ステップ幅Wtr1 お
よび第2の状態遷移ステップ幅Wtr2 を、符号化中に被
写体の動き特性や画像の特性に応じて変更するようにし
てもよい。この場合、刻々と変化する被写体の動き特性
や背景等の画像特性に応じた符号化制御を行うことがで
きる。
【0182】なお、上記第7の実施形態では、被写体の
動き始め状態および動き終わり状態の検出に用いる動き
量に、1画像フレームの動きベクトルの絶対値総和を用
いたが、これに代えて、画像フレームを構成するマクロ
ブロック毎の動きベクトルの絶対値と予め定めた閾値と
の比較に基づき、動きベクトルの絶対値が閾値を越えた
マクロブロックの数を動き量として用いてもよい。この
場合、より正確に被写体の動き始め状態および動き終わ
り状態を検出することができる。
【0183】(第8の実施形態)図30は、本実施形態
の符号化制御装置における動き始め/終わり検出部の構
成を示すブロック図、すなわち図21に示した符号化制
御装置122における動き始め/終わり検出部123の
第3の構成例を示すブロック図である(以下、この構成
の動き始め/終わり検出部を参照番号“211”で示す
ものとする)。この動き始め/終わり検出部211は、
第7の実施形態における動き始め/終わり検出部201
と同様、動きベクトル絶対値総和算出部193と、動き
ベクトル絶対値総和格納部192と、動き始め検出部1
94と、動き終わり検出部195とを備えており、画像
符号化部125から1画像フレームの動きベクトル情報
Imvを示す信号を入力する。これに加えて、動き始め/
終わり検出部211は、上限/下限閾値格納部212を
備えるとともに、第7の実施形態の動き始め/終わり検
出部201における状態遷移ステップ幅制御部202に
代えて、上限/下限閾値設定部213を備えている。
【0184】上限/下限閾値格納部212は、量子化制
御部124による量子化特性の決定に使用される既述の
上限しきい値Th_Uおよび下限しきい値Th_Lを保持し
ている。上限/下限閾値設定部213は、動き始め検出
部194による検出結果および動き終わり検出部195
による検出結果に基づき、上限/下限閾値格納部212
に保持されている上限しきい値Th_Uおよび下限しきい
値Th_Lを必要に応じて変更する。上限/下限閾値格納
部212および上限/下限閾値設定部213以外の動き
始め/終わり検出部211における他の構成要素は第7
の実施形態におけるものと同様であり、同一部分には同
一の参照番号が付されている。
【0185】以下、上記のような動き始め/終わり検出
部211を備える本実施形態の符号化制御装置の動作例
を、図18および図19参照して説明する。なお、これ
ら図18および図19図において、黒丸“●”は、本実
施形態の符号化制御装置を用いた場合における、1画像
フレームの符号化による発生情報量を示し、白丸“○”
は、従来の符号化制御装置を用いた場合における、1画
像フレームの符号化による発生情報量を示している。
【0186】まず、被写体の動き終わり状態における符
号化制御について、図18を参照して説明する。時刻T
1において、1画像フレームを量子化特性q(s)で符
号化した際の発生情報量Aigが上限しきい値Th_Uを越
えたと仮定する。この時、従来の符号化制御装置では、
発生情報量が上限しきい値Th_Uを越えているため、次
の画像フレームの量子化特性が画質の劣化する方向に変
更されてq(s+1)に設定される。しかし、被写体の
動き終わり状態では、フレーム間相関が高まり、発生情
報量が徐々に減少するため、量子化特性が画質の劣化す
る方向に変更されると、フレーム間相関と量子化特性の
相乗効果により、発生情報量が激減し、時刻T2におけ
る“○”で示されているように、発生情報量が下限しき
い値Th_Lを下回ってしまう。そこで本実施形態の符号
化制御装置では、被写体の動き終わり状態を検出する
と、上限しきい値Th_Uを高く再設定し、下限しきい値
Th_Lも高く再設定する。そのため、時刻T1において
発生情報量は、通常の上限しきい値Th_Uを越えたが、
再設定した上限しきい値Th_U2を越えていないため、
時刻T2において、量子化特性q(s)で画像フレーム
が符号化される。時刻T2では、量子化特性q(s)で
符号化した際の発生情報量が再設定した上限しきい値T
h_U2と下限しきい値Th_L2の間にあるため、量子化
特性q(s)を維持する。時刻T3では、量子化特性q
(s)で符号化した際の発生情報量が再設定した下限し
きい値Th_L2を下回っているため、量子化特性を画質
の向上する方向に変更してq(s−1)に設定する。
【0187】従来の符号化制御装置では、時刻T5にお
ける“○”で示されているように発生情報量が通常の下
限しきい値Th_Lを下回った場合に、量子化特性が画質
の向上する方向に変更されてq(s−1)に設定され
る。しかし、被写体の動き終わり状態では、発生情報量
が減少していくため、時刻T6における“○”に示され
ているように、発生情報量が通常の下限しきい値Th_L
の近辺の値となるように符号化が行われることになり、
動画像の符号化データの伝送において伝送帯域を効率的
に使えない。これに対し本実施形態における符号化制御
装置は、時刻T4以降に関しては、時刻T2、T3と同
様な動作を行う。ここで、各時刻において、例えば、被
写体の移動により、被写体の背後に隠れていた柄の細か
い背景の出現し、その結果、発生情報量が再設定した上
限しきい値Th_U2を越えた場合には、量子化特性が画
質の劣化する方向に変更される。
【0188】次に、被写体の動き始め状態における符号
化制御について、図19を参照して説明する。時刻T1
において、1画像フレームを量子化特性q(s)で符号
化した際の発生情報量が下限しきい値Th_Lを下回った
と仮定する。このとき、従来の符号化制御装置では、発
生情報量が下限しきい値Th_Lを下回っているため、次
の画像フレームの量子化特性が画質の向上する方向に変
更されてq(s−1)に設定される。しかし、被写体の
動き始め状態では、フレーム間相関が低下し、発生情報
量が徐々に増加するため、量子化特性が画質の向上する
方向に変更されると、フレーム間相関と量子化特性の相
乗効果により、発生情報量が激増し、時刻T2における
“○”で示されているように、上限しきい値Th_Uを越
えてしまう。そこで、本実施形態の符号化制御装置で
は、被写体の動き始め状態を検出すると、上限しきい値
Th_Uを低く再設定し、下限しきい値Th_Lも低く再設
定する。そのため、時刻T1において発生情報量は、通
常の下限しきい値Th_Lを下回ったが、再設定した下限
しきい値Th_L3を下回っていないため、時刻T2にお
いて量子化特性q(s)で画像フレームが符号化され
る。時刻T2では、量子化特性q(s)で符号化した際
の発生情報量が再設定した上限しきい値Th_U3と下限
しきい値Th_L3の間にあるため、量子化特性q(s)
を維持する。時刻T3では、量子化特性q(s)で符号
化した際の発生情報量が再設定した上限しきい値Th_U
3を越えているため、量子化特性を画質が劣化する方向
に変更してq(s+1)に設定する。
【0189】従来の符号化制御装置では、時刻T5にお
ける“○”で示されているように、発生情報量が通常の
上限しきい値Th_Uを越えた場合に量子化特性が画質の
劣化する方向に変更されてq(s+1)に設定される。
しかし、被写体の動き始め状態では、発生情報量が増加
していくため、時刻T6における“○”に示されている
ように、発生情報量が通常の上限しきい値Th_Uの近辺
の値となるように符号化が行われることになり、コマ飛
びが発生しやすくなる。これに対し本実施形態の符号化
制御装置は、時刻T4以降に関しては、時刻T2、T3
と同様な動作を行う。ここで、各時刻において、例え
ば、被写体の移動により、被写体の背後に隠れていた柄
の粗な背景の出現によって、発生情報量が再設定した下
限しきい値Th_L3を下回った場合には、量子化特性が
画質の向上する方向に変更される。
【0190】図20は、上記動作を行う本実施形態の符
号化制御装置による1画像フレームに対する動き始め終
わり検出処理を示すフローチャートである。この動き始
め終わり検出処理では、第6の実施形態における動き始
め動き終わり検出処理(図14)におけるステップ40
1がステップ1001に、ステップ408がステップ1
002に、ステップ412がステップ1003に、それ
ぞれ置き換わっている。その他のステップ402〜40
7,409〜411については、第6の実施形態におけ
る動き始め動き終わり検出処理と同様であり、同様の処
理が行われるので、ここでは説明を省略する。
【0191】ステップ1001では、上限/下限閾値設
定部213が、上限しきい値Th_Uをデフォルトの上限
しきい値Th_U0に、下限しきい値Th_Lをデフォルト
の下限しきい値Th_L0に、それぞれ設定する。デフォ
ルトの上限しきい値Th_U0および下限しきい値Th_L
0とは、それぞれ、予め状態毎に設定された上限しきい
値および下限しきい値である。
【0192】本実施形態の動き始め終わり検出処理にお
いても、現行フレームの動きベクトル絶対値総和Smvが
しきい値Th_Mよりも大きく、かつ、2フレーム前の動
きベクトル絶対値総和Smv2と1フレーム前の動きベク
トル絶対値総和Smv1と現行フレームの動きベクトル絶
対値総和Smvとの間にSmv2>Smv1>Smvなる関係が
ある場合に、動き終わり検出部195は被写体が動き終
わり状態にあると判定する(ステップ405〜40
7)。この場合、ステップ1002において、上限/下
限閾値設定部213が、上限しきい値Th_Uをデフォル
トの上限しきい値Th_U0よりも高く再設定し(Th_U
=Th_U2>Th_U0)、下限しきい値Th_Lをデフォ
ルトの下限しきい値Th_L0よりも高く再設定する(T
h_L=Th_L2>Th_L0)。ここで再設定値Th_U2
およびTh_L2は予め決められた値として用意されてい
るものとする。
【0193】また本実施形態においても、Smv>Th_
M、かつ、Smv2<Smv1<Smvなる関係がある場合
に、動き始め検出部194は被写体が動き始め状態にあ
ると判定する(ステップ409〜411)。この場合、
ステップ1003において、上限/下限閾値設定部21
3が、上限のしきい値Th_Uをデフォルトの上限しきい
値Th_U0よりも低く再設定し(Th_U=Th_U3<T
h_U0)、下限しきい値Th_Lをデフォルトの下限しき
い値Th_L0よりも低く再設定する(Th_L=Th_L3
<Th_L0)。ここで再設定値Th_U3およびTh_L3
も予め決められた値として用意されているものとする。
このステップ1003での再設定により、1画像フレー
ムに対する動き始め終わり検出処理が終了する。
【0194】このようにして1画像フレームに対する動
き始め終わり検出処理が終了すると、上限/下限閾値設
定部213により上限しきい値Th_Uまたは下限しきい
値Th_Lが再設定された場合には、その再設定後のしき
い値が上限/下限閾値格納部212に保持されている。
量子化制御部124は、上限/下限閾値格納部212に
保持されている上限しきい値Th_Uまたは下限しきい値
Th_Lを用いて次の画像フレームの符号化に用いられる
量子化特性を決定する。具体的には、例えば図3に示し
たような符号化制御処理により量子化特性を決定する。
【0195】以上のように第8の実施形態では、被写体
の動き始め状態または動き終わり状態を検出し、被写体
の動き始め状態では、上限しきい値Th_Uと下限しきい
値Th_Lを低く再設定し、被写体の動き終わり状態で
は、上限しきい値Th_Uと下限しきい値Th_Lを高く再
設定することで、被写体の動き始め状態においては、量
子化特性の状態を画質が向上する方向に遷移しにくく、
また被写体の動き終わり状態においては、量子化特性の
状態を画質が劣化する方向に遷移しにくくしている。こ
れにより、画像フレームの符号化による発生情報量の揺
らぎを抑え、精度のよい符号化制御を行うことができ
る。更に、第8の実施形態によれば、被写体の動き始め
状態および動き終わり状態の検出にフレーム間符号化に
用いる動きベクトルを使用しているため、被写体の動き
始め状態および被写体の動き終わり状態の検出用に新た
に処理を設ける必要がなく、その結果、符号化処理能力
の低下を防ぐことができるとともに、低消費電力化や低
コスト化を図ることができる。
【0196】なお、上記第8の実施形態では、被写体の
動き始め状態を検出した場合と被写体の動き終わり状態
を検出した場合の上限しきい値Th_Uと下限しきい値T
h_Lの再設定値を予め定められた値であるとしている
が、符号化中に、被写体の動き特性や画像の特性に応じ
て、これらの再設定値を変更するようにしてもよい。こ
の場合、刻々と変化する被写体の動き特性や背景等の画
像特性に応じた符号化制御を行うことができる。
【0197】なお、上記第8の実施形態では、被写体の
動き始め状態および動き終わり状態の検出に用いる動き
量に、1画像フレームの動きベクトルの絶対値総和を用
いたが、これに代えて、画像フレームを構成するマクロ
ブロック毎の動きベクトルの絶対値と予め定めた閾値と
の比較に基づき、動きベクトルの絶対値が閾値を越えた
マクロブロックの数を動き量として用いてもよい。この
場合、より正確に被写体の動き始め状態および動き終わ
り状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第2の実施形態に係る符号化制御装置
の動作例を示す図。
【図2】本発明の第3の実施形態に係る符号化制御装置
の動作例を示す図。
【図3】第3の実施形態に係る符号化制御方法を示すフ
ローチャート。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る符号化制御装置
の一動作例を示す図。
【図5】第4の実施形態に係る符号化制御装置の他の動
作例を示す図。
【図6】第4の実施形態に係る符号化制御方法を示すフ
ローチャート。
【図7】フレーム毎に量子化特性を設定する従来の符号
化制御方法を説明するための図(a)、および、本発明
の第1の実施形態に係る符号化制御方法を説明するため
の図(b)。
【図8】従来の符号化制御方法の問題を説明するための
図(a)、および、本発明の第1の実施形態に係る符号
化制御方法を適用した場合の結果を説明するための図
(b)。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る符号化制御装置
の動作例を示す図。
【図10】第5の実施形態に係る符号化制御方法を示す
フローチャート。
【図11】被写体の動き始め状態および動き終わり状態
を定義するための説明図。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る符号化制御装
置の、被写体の動き終わり状態における動作を説明する
ための図。
【図13】第6の実施形態に係る符号化制御装置の、被
写体の動き始め状態における動作を説明するための図。
【図14】第6の実施形態に係る符号化制御装置による
動き始め終わり検出処理を示すフローチャート。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る符号化制御装
置の、被写体の動き終わり状態における動作を説明する
ための図。
【図16】第7の実施形態に係る符号化制御装置の、被
写体の動き始め状態における動作を説明するための図。
【図17】第7の実施形態に係る符号化制御装置による
動き始め終わり検出処理を示すフローチャート。
【図18】本発明の第8の実施形態に係る符号化制御装
置の、被写体の動き終わり状態における動作を説明する
ための図。
【図19】第8の実施形態に係る符号化制御装置の、被
写体の動き始め状態における動作を説明するための図。
【図20】第8の実施形態に係る符号化制御装置による
動き始め終わり検出処理を示すフローチャート。
【図21】本発明の各実施形態に係る符号化制御装置が
使用されている画像符号化装置を示すブロック図。
【図22】本発明の第1の実施形態に係る符号化制御装
置における量子化制御部の構成を示すブロック図。
【図23】第1の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る量子化制御部の動作を示す状態遷移図。
【図24】第2の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る量子化制御部の構成を示すブロック図。
【図25】第2の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る量子化制御部の動作を示す状態遷移図。
【図26】第3の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る量子化制御部の構成を示すブロック図。
【図27】第3の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る量子化制御部の動作を示す状態遷移図。
【図28】第6の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る動き始め/終わり検出部の構成を示すブロック図。
【図29】第7の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る動き始め/終わり検出部の構成を示すブロック図。
【図30】第8の実施形態に係る符号化制御装置におけ
る動き始め/終わり検出部の構成を示すブロック図。
【図31】従来の画像符号化器および復号化器の構成を
示すブロック図。
【図32】フレーム毎に量子化特性を設定する従来の符
号化制御方法を説明するための図。
【図33】本発明の応用分野を説明するためのシステム
図。
【符号の説明】
122 …符号化制御装置 123,201,211 …動き始め/終わり検出部 124,131,151,171 …量子化制御部 132 …状態遷移閾値上限格納部 133 …状態遷移閾値下限格納部 134 …閾値比較部 135,153,171 …量子化特性決定部 152 …時間軸配置制御部 172 …状態遷移ステップ幅制御部 173 …第1の状態遷移ステップ幅制御閾値格納部 174 …第2の状態遷移ステップ幅制御閾値格納部 192 …動きベクトル絶対値総和格納部 193 …動きベクトル絶対値総和算出部 194 …動き始め検出部 195 …動き終わり検出部 202 …状態遷移ステップ幅制御部 212 …上限/下限閾値格納部 213 …上限/下限閾値設定部 Aig …発生情報量 Th_L …状態遷移しきい値の下限(下限しきい値) Th_H …状態遷移しきい値の上限(上限しきい値) Th_stp1…第1の状態遷移ステップ幅制御閾値 Th_stp2…第2の状態遷移ステップ幅制御閾値 Imv …動きベクトル情報 Smv …動きベクトル絶対値総和 GOB1〜GOB12 …グループオブブロック

Claims (43)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数フレームから成るデータの符号化の
    際に、1フレームの符号化により生成された符号化デー
    タの量である発生情報量または符号化後のデータの伝送
    のために使用される平滑バッファにおける占有量に基づ
    き、前記1フレームの次のフレームの符号化において用
    いられる量子化特性を決定する符号化制御装置であっ
    て、 前記発生情報量または前記占有量を予め決められた値と
    比較する比較手段と、 前記複数のフレームの各フレームを予め複数の領域に分
    割するとともに、前記各フレームにおける前記複数の領
    域を第1のグループと第2のグループとに分類し、前記
    比較手段による比較結果に応じて、前記第1および第2
    のグループに同一の量子化特性を設定するか、または、
    直近の2つの異なる量子化特性のうち一方を前記第1の
    グループに他方を前記第2のグループにそれぞれ設定す
    る量子化特性決定手段と、を備える符号化制御装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の領域は、前記第1のグループ
    の符号化により得られる符号化データの量と前記第1の
    グループの符号化により得られる符号化データの量とが
    釣り合うように、予め前記第1および第2のグループに
    分類されている、請求項1に記載の符号化制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第1のグループに属する前記領域と
    前記第2のグループに属する前記領域とが空間的に交互
    に配置されている、請求項2に記載の符号化制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1のグループに対して設定される
    べき量子化特性と前記第2のグループに対して設定され
    るべき量子化特性とを所定時間毎に入れ替えることを指
    示する信号を時間軸配置制御信号として出力する時間軸
    配置制御手段を更に備え、 前記量子化特性決定手段は、前記時間軸配置制御信号に
    応じて、前記第1および第2のグループに対し量子化特
    性を設定する、請求項2に記載の符号化制御装置。
  5. 【請求項5】 前記複数フレームから成るデータの符号
    化の際に、前記複数の領域のうちいずれかの領域に対し
    フレーム内符号化による強制リフレッシュが行われる場
    合には、前記量子化特性決定手段は、前記複数の領域の
    うち、強制リフレッシュされるべき領域を前記第1のグ
    ループに分類し、強制リフレッシュされるべき領域以外
    の他の領域を前記第2のグループに分類する、請求項2
    に記載の符号化制御装置。
  6. 【請求項6】 前記量子化特性決定手段は、前記複数の
    領域のうち強制リフレッシュされるべき領域の符号化に
    おける量子化精度が、強制リフレッシュされるべき前記
    領域以外の他の領域の符号化における量子化精度よりも
    高いか又は該量子化精度に等しくなるように、前記第1
    および第2グループに対して量子化特性を設定する、請
    求項5に記載の符号化制御装置。
  7. 【請求項7】 前記領域は、グループオブブロックであ
    る、請求項1に記載の符号化制御装置。
  8. 【請求項8】 予め設定された上限および下限の遷移ス
    テップ幅制御しきい値を前記発生情報量と比較する遷移
    ステップ幅制御手段を更に備え、 前記量子化特性決定手段は、前記遷移ステップ幅制御手
    段による比較結果に基づき、 前記発生情報量が前記上限の遷移ステップ幅制御しきい
    値よりも小さく、かつ、前記下限の遷移ステップ幅制御
    しきい値よりも大きい場合には、前記第1および第2の
    グループの一方に対して設定されていた量子化特性のみ
    が変更されるか、または、前記第1および第2のグルー
    プの量子化特性が維持されるように、前記次のフレーム
    の符号化に用いられる量子化特性を設定し、 前記発生情報量が前記上限の遷移ステップ幅制御しきい
    値よりも大きいか、または、前記下限の遷移ステップ幅
    制御しきい値よりも小さい場合には、前記第1および第
    2のグループに対して設定されていた量子化特性が共に
    変更されるように前記次のフレームの符号化に用いられ
    る量子化特性を設定する、請求項1に記載の符号化制御
    装置。
  9. 【請求項9】 複数フレームから成る動画像データの符
    号化の際に、1フレームの符号化により生成された符号
    化データの量である発生情報量または符号化後のデータ
    の伝送のために使用される平滑バッファにおける占有量
    に基づき、前記1フレームの次のフレームの符号化にお
    いて用いられる量子化特性を決定する符号化制御装置で
    あって、 前記動画像データの表す被写体の動き量に基づき、該被
    写体の動き始め状態と該被写体の動き終わり状態のいず
    れか一方または双方を検出する検出手段と、 前記発生情報量または前記占有量と前記検出手段による
    検出結果と基づき、前記次のフレームの符号化において
    用いられる量子化特性を決定する量子化制御手段と、を
    備える符号化制御装置。
  10. 【請求項10】 前記量子化制御手段は、前記検出手段
    による検出結果に基づき、前記被写体の動き始め状態に
    おけるフレームの符号化に用いられる量子化特性を画質
    が向上する方向に変更することを抑制する、請求項9に
    記載の符号化制御装置。
  11. 【請求項11】 前記量子化制御手段は、前記検出手段
    による検出結果に基づき、前記被写体の動き終わり状態
    におけるフレームの符号化に用いられる量子化特性を画
    質が劣化する方向に変更することを抑制する、請求項9
    に記載の符号化制御装置。
  12. 【請求項12】 前記量子化制御手段は、前記量子化特
    性を画質が劣化する方向に変更する場合において、前記
    検出手段により前記被写体の動き始め状態が検出された
    ときには、前記被写体の動き始め状態が検出されないと
    きよりも前記量子化特性を大きく変更する、請求項9に
    記載の符号化制御装置。
  13. 【請求項13】 前記量子化制御手段は、前記量子化特
    性を画質が向上する方向に変更する場合において、前記
    検出手段により前記被写体の動き終わり状態が検出され
    たときには、前記被写体の動き終わり状態が検出されな
    いときよりも前記量子化特性を大きく変更する、請求項
    9に記載の符号化制御装置。
  14. 【請求項14】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を格納する格納手
    段と、 前記検出手段による検出結果に基づき、前記被写体の動
    き始め状態の期間における前記上限しきい値を、前記被
    写体の動き始め状態の期間以外の期間における前記上限
    しきい値よりも低い値に設定するしきい値設定手段とを
    更に備え、 前記量子化制御手段は、前記発生情報量または前記占有
    量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量子化特
    性を画質が劣化する方向に変更し、前記発生情報量また
    は前記占有量が前記下限しきい値を下回ったときには、
    前記量子化特性を画質が向上する方向に変更する、請求
    項9に記載の符号化制御装置。
  15. 【請求項15】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を格納する格納手
    段と、 前記検出手段による検出結果に基づき、前記被写体の動
    き始め状態の期間における前記下限しきい値を、前記被
    写体の動き始め状態の期間以外の期間における前記下限
    しきい値よりも低い値に設定するしきい値設定手段とを
    更に備え、 前記量子化制御手段は、前記発生情報量または前記占有
    量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量子化特
    性を画質が劣化する方向に変更し、前記発生情報量また
    は前記占有量が前記下限しきい値を下回ったときには、
    前記量子化特性を画質が向上する方向に変更する、請求
    項9に記載の符号化制御装置。
  16. 【請求項16】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を格納する格納手
    段と、 前記検出手段による検出結果に基づき、前記被写体の動
    き終わり状態の期間における前記上限しきい値を、前記
    被写体の動き終わり状態の期間以外の期間における前記
    上限しきい値よりも高い値に設定するしきい値設定手段
    とを更に備え、 前記量子化制御手段は、前記発生情報量または前記占有
    量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量子化特
    性を画質が劣化する方向に変更し、前記発生情報量また
    は前記占有量が前記下限しきい値を下回ったときには、
    前記量子化特性を画質が向上する方向に変更する、請求
    項9に記載の符号化制御装置。
  17. 【請求項17】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を格納する格納手
    段と、 前記検出手段による検出結果に基づき、前記被写体の動
    き終わり状態の期間における前記下限しきい値を、前記
    被写体の動き終わり状態の期間以外の期間における前記
    下限しきい値よりも高い値に設定するしきい値設定手段
    とを更に備え、 前記量子化制御手段は、前記発生情報量または前記占有
    量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量子化特
    性を画質が劣化する方向に変更し、前記発生情報量また
    は前記占有量が前記下限しきい値を下回ったときには、
    前記量子化特性を画質が向上する方向に変更する、請求
    項9に記載の符号化制御装置。
  18. 【請求項18】 前記検出手段は、前記被写体の動き量
    が予め設定されたしきい値よりも大きく、かつ、前記被
    写体の動き量が増加し続けている状態を、前記被写体の
    動き始め状態として検出する、請求項9に記載の符号化
    制御装置。
  19. 【請求項19】 前記検出手段は、前記被写体の動き量
    が予め設定されたしきい値よりも大きく、かつ、前記被
    写体の動き量が減少し続けている状態を、前記被写体の
    動き終わり状態として検出する、請求項9に記載の符号
    化制御装置。
  20. 【請求項20】 前記動き量は、動き予測フレーム間差
    分符号化を行った際の符号化データである動きベクトル
    の絶対値の総和である、請求項9に記載の符号化制御装
    置。
  21. 【請求項21】 複数フレームから成るデータの符号化
    の際に、1フレームの符号化により生成された符号化デ
    ータの量である発生情報量または符号化後のデータの伝
    送のために使用される平滑バッファにおける占有量に基
    づき、前記1フレームの次のフレームの符号化において
    用いられる量子化特性を決定する符号化制御方法であっ
    て、 前記発生情報量または前記占有量を予め決められた値と
    比較する比較ステップと、 前記複数のフレームの各フレームを予め複数の領域に分
    割するとともに、前記各フレームにおける前記複数の領
    域を第1のグループと第2のグループとに分類し、前記
    比較ステップによる比較結果に応じて、前記第1および
    第2のグループに同一の量子化特性を設定するか、また
    は、直近の2つの異なる量子化特性のうち一方を前記第
    1のグループに他方を前記第2のグループにそれぞれ設
    定する量子化特性決定ステップとを備える符号化制御方
    法。
  22. 【請求項22】 前記複数の領域は、前記第1のグルー
    プの符号化により得られる符号化データの量と前記第2
    のグループの符号化により得られる符号化データの量と
    が釣り合うように、予め第1および第2のグループに分
    類されている、請求項21に記載の符号化制御方法。
  23. 【請求項23】 前記第1のグループに属する前記領域
    と前記第2のグループに属する前記領域とが空間的に交
    互に配置されている、請求項22に記載の符号化制御方
    法。
  24. 【請求項24】 前記量子化特性決定ステップでは、前
    記第1のグループに対して設定されるべき量子化特性と
    前記第2のグループに対して設定されるべき量子化特性
    とが所定時間毎に入れ替えられる、請求項22に記載の
    符号化制御方法。
  25. 【請求項25】 前記複数フレームから成るデータの符
    号化の際に、前記複数の領域のうちいずれかの領域に対
    しフレーム内符号化による強制リフレッシュが行われる
    場合には、前記量子化特性決定ステップでは、前記複数
    の領域のうち、強制リフレッシュされるべき領域は前記
    第1のグループに分類され、強制リフレッシュされるべ
    き領域以外の他の領域は前記第2のグループに分類され
    る、請求項22に記載の符号化制御方法。
  26. 【請求項26】 前記領域は、グループオブブロックで
    ある、請求項21に記載の符号化制御方法。
  27. 【請求項27】 予め設定された上限および下限の遷移
    ステップ幅制御しきい値を前記発生情報量と比較する第
    2比較ステップを更に備え、 前記量子化特性決定ステップでは、前記第2比較ステッ
    プによる比較結果に基づき、 前記発生情報量が前記上限の遷移ステップ幅制御しきい
    値よりも小さく、かつ、前記下限の遷移ステップ幅制御
    しきい値よりも大きい場合には、前記第1および第2の
    グループの一方に対して設定されていた量子化特性のみ
    が変更されるか、または、前記第1および第2のグルー
    プの量子化特性が維持されるように、前記次のフレーム
    の符号化に用いられる量子化特性が設定され、 前記発生情報量が前記上限の遷移ステップ幅制御しきい
    値よりも大きいか、または、前記下限の遷移ステップ幅
    制御しきい値よりも小さい場合には、前記第1および第
    2のグループに対して設定されていた量子化特性が共に
    変更されるように前記次のフレームの符号化に用いられ
    る量子化特性が設定される、請求項21に記載の符号化
    制御方法。
  28. 【請求項28】 複数フレームから成る動画像データの
    符号化の際に、1フレームの符号化により生成された符
    号化データの量である発生情報量または符号化後のデー
    タの伝送のために使用される平滑バッファにおける占有
    量に基づき、前記1フレームの次のフレームの符号化に
    おいて用いられる量子化特性を決定する符号化制御方法
    であって、 前記動画像データの表す被写体の動き量に基づき、該被
    写体の動き始め状態と該被写体の動き終わり状態のいず
    れか一方または双方を検出する検出ステップと、 前記発生情報量または前記占有量と前記検出ステップに
    よる検出結果と基づき、前記次のフレームの符号化にお
    いて用いられる量子化特性を決定する量子化制御ステッ
    プと、を備える符号化制御方法。
  29. 【請求項29】 前記量子化制御ステップでは、前記検
    出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体の動き
    始め状態におけるフレームの符号化に用いられる量子化
    特性を画質が向上する方向に変更することが抑制され
    る、請求項28に記載の符号化制御方法。
  30. 【請求項30】 前記量子化制御ステップでは、前記検
    出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体の動き
    終わり状態におけるフレームの符号化に用いられる量子
    化特性を画質が劣化する方向に変更することが抑制され
    る、請求項28に記載の符号化制御方法。
  31. 【請求項31】 前記量子化制御ステップでは、前記量
    子化特性が画質の劣化する方向に変更される場合におい
    て、前記検出ステップにより前記被写体の動き始め状態
    が検出されたときには、前記被写体の動き始め状態が検
    出されないときよりも前記量子化特性が大きく変更され
    る、請求項28に記載の符号化制御方法。
  32. 【請求項32】 前記量子化制御ステップでは、前記量
    子化特性が画質の向上する方向に変更される場合におい
    て、前記検出ステップにより前記被写体の動き終わり状
    態が検出されたときには、前記被写体の動き終わり状態
    が検出されないときよりも前記量子化特性が大きく変更
    される、請求項28に記載の符号化制御方法。
  33. 【請求項33】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を設定する第1設
    定ステップと、 前記検出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体
    の動き始め状態の期間における前記上限しきい値を、前
    記被写体の動き始め状態の期間以外の期間における前記
    上限しきい値よりも低い値に設定し直す第2設定ステッ
    プとを更に備え、 前記量子化制御ステップでは、前記発生情報量または前
    記占有量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量
    子化特性が画質の劣化する方向に変更され、前記発生情
    報量または前記占有量が前記下限しきい値を下回ったと
    きには、前記量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
    れる、請求項28に記載の符号化制御方法。
  34. 【請求項34】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を設定する第1設
    定ステップと、 前記検出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体
    の動き始め状態の期間における前記下限しきい値を、前
    記被写体の動き始め状態の期間以外の期間における前記
    下限しきい値よりも低い値に設定し直す第2設定ステッ
    プとを更に備え、 前記量子化制御ステップでは、前記発生情報量または前
    記占有量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量
    子化特性が画質の劣化する方向に変更され、前記発生情
    報量または前記占有量が前記下限しきい値を下回ったと
    きには、前記量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
    れる、請求項28に記載の符号化制御方法。
  35. 【請求項35】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を設定する第1設
    定ステップと、 前記検出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体
    の動き終わり状態の期間における前記上限しきい値を、
    前記被写体の動き終わり状態の期間以外の期間における
    前記上限しきい値よりも高い値に設定し直す第3設定ス
    テップとを更に備え、 前記量子化制御ステップでは、前記発生情報量または前
    記占有量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量
    子化特性が画質の劣化する方向に変更され、前記発生情
    報量または前記占有量が前記下限しきい値を下回ったと
    きには、前記量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
    れる、請求項28に記載の符号化制御方法。
  36. 【請求項36】 前記発生情報量または前記占有量に対
    する上限しきい値および下限しきい値を設定する第1設
    定ステップと、 前記検出ステップによる検出結果に基づき、前記被写体
    の動き終わり状態の期間における前記下限しきい値を、
    前記被写体の動き終わり状態の期間以外の期間における
    前記下限しきい値よりも高い値に設定する第3設定ステ
    ップとを更に備え、 前記量子化制御ステップでは、前記発生情報量または前
    記占有量が前記上限しきい値を越えたときには、前記量
    子化特性が画質の劣化する方向に変更され、前記発生情
    報量または前記占有量が前記下限しきい値を下回ったと
    きには、前記量子化特性が画質の向上する方向に変更さ
    れる、請求項28に記載の符号化制御方法。
  37. 【請求項37】 前記検出ステップでは、前記被写体の
    動き量が予め設定されたしきい値よりも大きく、かつ、
    前記被写体の動き量が増加し続けている状態が、前記被
    写体の動き始め状態として検出される、請求項28に記
    載の符号化制御方法。
  38. 【請求項38】 前記検出ステップでは、前記被写体の
    動き量が予め設定されたしきい値よりも大きく、かつ、
    前記被写体の動き量が減少し続けている状態が、前記被
    写体の動き終わり状態として検出される、請求項28に
    記載の符号化制御方法。
  39. 【請求項39】 前記動き量は、動き予測フレーム間差
    分符号化を行った際の符号化データである動きベクトル
    の絶対値の総和である、請求項28に記載の符号化制御
    方法。
  40. 【請求項40】 複数フレームから成るデータの符号化
    の際に、1フレームの符号化により生成された符号化デ
    ータの量である発生情報量または符号化後のデータの伝
    送のために使用される平滑バッファにおける占有量に基
    づき、前記1フレームの次のフレームの符号化において
    用いられる量子化特性を決定する符号化制御プログラム
    を、コンピュータ装置において実行されるプログラムと
    して記録した記録媒体であって、 前記発生情報量または前記占有量を予め決められた値と
    比較する比較ステップと、 前記複数のフレームの各フレームを予め複数の領域に分
    割するとともに、前記各フレームにおける前記複数の領
    域を第1のグループと第2のグループとに分類し、前記
    比較ステップによる比較結果に応じて、前記第1および
    第2のグループに同一の量子化特性を設定するか、また
    は、直近の2つの異なる量子化特性のうち一方を前記第
    1のグループに他方を前記第2のグループにそれぞれ設
    定する量子化特性決定ステップと、を含む動作環境をコ
    ンピュータ装置上で実現するための符号化制御プログラ
    ムを記録した記録媒体。
  41. 【請求項41】 複数フレームから成る動画像データの
    符号化の際に、1フレームの符号化により生成された符
    号化データの量である発生情報量または符号化後のデー
    タの伝送のために使用される平滑バッファにおける占有
    量に基づき、前記1フレームの次のフレームの符号化に
    おいて用いられる量子化特性を決定する符号化制御プロ
    グラムを、コンピュータ装置において実行されるプログ
    ラムとして記録した記録媒体であって、 前記動画像データの表す被写体の動き量に基づき、該被
    写体の動き始め状態と該被写体の動き終わり状態のいず
    れか一方または双方を検出する検出ステップと、 前記発生情報量または前記占有量と前記検出ステップに
    よる検出結果と基づき、前記次のフレームの符号化にお
    いて用いられる量子化特性を決定する量子化制御ステッ
    プと、 を含む動作環境をコンピュータ装置上で実現するための
    符号化制御プログラムを記録した記録媒体。
  42. 【請求項42】 前記動き量は、各マクロブロック毎の
    動き予測フレーム間差分符号化を行った際の符号化デー
    タである動きベクトルの絶対値が、予め定められた閾値
    を越えたマクロブロックの総数である、請求項9に記載
    の符号化制御装置。
  43. 【請求項43】 前記動き量は、各マクロブロック毎の
    動き予測フレーム間差分符号化を行った際の符号化デー
    タである動きベクトルの絶対値が、予め定められた閾値
    を越えたマクロブロックの総数である、請求項28に記
    載の符号化制御方法。
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