JPH11354361A - 表面清浄度の良好な希土類磁石およびその製造方法 - Google Patents

表面清浄度の良好な希土類磁石およびその製造方法

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JPH11354361A
JPH11354361A JP10160069A JP16006998A JPH11354361A JP H11354361 A JPH11354361 A JP H11354361A JP 10160069 A JP10160069 A JP 10160069A JP 16006998 A JP16006998 A JP 16006998A JP H11354361 A JPH11354361 A JP H11354361A
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earth magnet
rare
rare earth
cleaning
magnet
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JP10160069A
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English (en)
Inventor
Masahiro Takahashi
昌弘 高橋
Takeshi Mizuhara
猛 水原
Katsuhei Abe
克平 阿部
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類磁石表面の付着粒子の数を低減するこ
と。 【解決手段】 希土類磁石の耐蝕性被膜の表面を、モー
タ等で回転可能に構成したスポンジ20で摺擦する。あ
るいは、溶存酸素量を飽和溶存酸素量の50%以下に脱
気した純水を使用して超音波洗浄する。あるいは、両方
法を組み合わせて洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば磁気式、光
磁気式、光式等の記録/再生装置に搭載される記録再生
ヘッドの高精度の位置決め用駆動装置等に有用な表面清
浄度の良好な希土類磁石、およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】R−T−B系希土類永久磁石(RはYを
含む希土類元素の1種または2種以上、TはFeまたは
FeとCo)は優れた磁気特性を有しコストパフォーマ
ンスに優れるため、現在希土類磁石の主流となってい
る。このR−T−B系希土類永久磁石として一般的なR
−T−B系希土類焼結磁石は、溶解等により作製した合
金塊を粉砕、成形、焼結後に、熱処理、加工、表面処理
するかまたは加工、熱処理、表面処理して製造される
が、耐蝕性が悪いために表面に耐蝕性被膜を被覆する処
理が行われている。特にハ−ドディスクドライブ等の記
録/再生装置の用途には信頼性の高いNiメッキ等が必
須となっている。
【0003】また、焼結法以外の鋳造・熱間加工(圧
延)法(例えば特開平6−302419号公報、特開昭
64−704号公報等)によるR−T−B系希土類磁石
や、超急冷法により得られた薄帯を用いてホットプレス
等で高密度化後、温間で塑性変形させて異方性化したR
−T−B系希土類磁石(例えば、特開昭64−7504
号公報等)においてもNiメッキ等は必須である。
【0004】しかし、Niメッキ等を被覆した希土類磁
石の表面には、多数の微粒子が付着しており、この付着
粒子により記録/再生装置において、記録/再生エラ−
が生じないように、ハ−ドディスクドライブのボイスコ
イルモ−タ(VCM)等の用途に使用されるR−T−B
系希土類磁石は、強磁性微粒子の付着を極力抑えた表面
清浄度の良好なものが望まれている。そして、表面清浄
度を良好とする手段は、例えば純水中での超音波洗浄等
によるのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】記録/再生エラ−の問
題となる上記付着粒子は主にR−T−B系希土類磁石の
製造工程で生じる強磁性の微粉末が、例えばVCMを構
成するR−T−B系希土類磁石の表面に遊離状態で付着
したものである。
【0006】具体的には、その付着状況を走査型電子顕
微鏡等により撮影した写真を画像処理して求めた面積近
似の円相当径で1〜50μmの強磁性付着粒子が問題と
なる。
【0007】例えば、耐蝕性被膜を被覆する前の磁石体
同士の衝突やNiメッキを被覆したもの同士の衝突等に
よって生成されるR−T−B系希土類磁石の微粉未粒
子、Niメッキに付随して生じるNi微粒子等である。
従来の脱気していない純水中での超音波洗浄により、表
面の付着粒子をある程度低減することは可能であるが、
高記録密度化に伴い要求される高い表面清浄度に対応す
ることは困難である。
【0008】特にR−T−B系希土類磁石の微粉末粒子
をはじめとした希土類磁石の微粉末粒子は、磁気的な吸
着力が強いため上記従来の純水中での洗浄により十分に
除去することは困難であった。
【0009】また、Ni粒子はNiメッキ層から脱落す
る形で発生するため、Niメッキ層から完全に脱落して
いるものの他、脱落しかかっているものが混在する。そ
のためNi粒子の付着力は一様でなく、これらの粒子を
除去し、上記記録/再生エラーが問題とならない清浄な
表面状態にまですることは困難であった。
【0010】そして、これらの付着粒子を希土類磁石の
表面に付着させたまま使用するとハ−ドディスク等の記
録/再生エラ−を誘発させることが懸念され、記録/再
生部を汚染しないようにVCM等に用いる希土類磁石は
表面清浄度の良好なものでなければならない。
【0011】本発明の目的は、例えば磁気式、光磁気
式、光式のいずれかの記録/再生装置の記録/再生ヘッ
ドの高精度位置決め用駆動装置に組み込まれる表面清浄
度の高い希土類磁石およびその製造方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐蝕性被
膜を被覆した表面清浄度の高い希土類磁石を得るため、
付着粒子、特に吸着力の強いR−T−B系希土類磁石の
微粉末粒子をはじめとした希土類磁石の微粉末粒子、N
iメッキ層から脱落したNi粒子等の強磁性微粒子の付
着低減の方法を鋭意検討した結果、耐蝕性被膜を被覆
し、希土類磁石の表面を摺擦しながら洗浄するか、ある
いはこの希土類磁石を脱気した純水、または界面活性剤
を含有した洗浄液中で超音波洗浄するか、あるいは両洗
浄方法を併用することにより、耐蝕性被膜層の表面が洗
浄され、表面清浄度の高い希土類磁石が得られることを
見出し、本発明に至ったものである。
【0013】本発明では、耐蝕性被膜を被覆後の希土類
磁石表面をブラシ等の表面を擦ることができる摺擦部材
で摺擦させて洗浄する。摺擦部材を用いることにより、
脱気していない従来の純水中で超音波洗浄する場合に比
べて、表面の付着粒子の除去作用力を高めることが可能
で高い洗浄能力が得られる。
【0014】また、摺擦部材として高い弾性を有する弾
性体を使用することにより、洗浄時の希土類磁石表面へ
の摺擦力の調整が容易となる。特にブラシおよび/また
はスポンジを使用することにより、希土類磁石表面の凹
凸に対応した確実な接触および摺擦力を確保できるとと
もに、この摺擦動作により希土類磁石表面に傷がつくこ
とを回避できる。
【0015】ブラシ、スポンジの材質、形状について
は、希土類磁石表面に傷をつけない材質、および摺擦の
際希土類磁石表面を汚染しない材質であればよく、例え
ばポリアミド、PVA製のもの等を使用することができ
る。また、摺擦させる動作は回転運動を用いることによ
り実質的な摺擦回数、摺擦時間を多くとることが可能と
なり、高い洗浄能力を得ることができる。
【0016】摺擦部材の回転摺擦運動の機構は特に限定
するものではないが、例えば希土類磁石表面に垂直ある
いは平行な回転軸を有する機構を用いることができる。
希土類磁石の各面の洗浄手順も特に限定するものではな
いが、一面を洗浄した後反転・移動等の変位操作により
別の面を洗浄する方法、複数の摺擦部材で同時に各面を
洗浄する方法、摺擦部材の変位操作により各面を洗浄す
る方法等を適用することができる。
【0017】また、ブラシ、スポンジ等の摺擦部材は1
種類でも、単数でも、1回でも使用することができる
が、洗浄能力を高めるために1種類または2種類以上、
1個または2個以上、1回または2回以上の組み合わせ
で接触・洗浄することにより洗浄能力を高めることが可
能である。
【0018】洗浄時間、回転数等の洗浄条件は被洗浄物
である希土類磁石の所望の表面清浄度等に応じて決定さ
れる。洗浄は、適度な潤滑性を得るとともに付着粒子の
除去を促進するために液体で被洗浄物の表面が濡れた状
態で摺擦部材を摺擦させて行う必要がある。
【0019】また、洗浄には、環境、ハンドリングの問
題から純水を使用することが好ましい。また、界面活性
剤を含有した洗浄液がより好ましく、希土類磁石表面の
洗浄の濡れ性が改善されるとともに、付着粒子の遊離の
促進・再付着の防止が図られ洗浄能力が向上する。
【0020】本発明によれば十分な洗浄能力が得られる
が、その前および/または後処理として、他の洗浄方
法、例えば超音波洗浄、ジェット水洗浄等を実施するこ
とも可能である。特に純水に界面活性剤を含む洗浄剤を
添加して洗浄した場合、洗浄部に残る洗浄剤を除去する
ために、本発明における洗浄の後に純水による超音波洗
浄および/またはジェット水洗浄等の洗浄工程を付加す
ることが好ましい。洗浄後の乾燥方法は特に限定するも
のではないが、例えば室温〜100℃の温風乾燥、加熱
・減圧乾燥等を適用することができる。
【0021】また、本発明では、耐蝕性被膜を被覆した
希土類磁石表面を脱気した純水中で超音波洗浄する。純
水を脱気することにより超音波洗浄の効果が高められ、
従来の脱気されていない純水を使用した超音波洗浄に比
べて、表面に付着する粒子の総数を、さらには強磁性付
着粒子の比率を低減することができる。
【0022】脱気した純水としては溶存酸素量を飽和溶
存酸素量の50%以下としたものを用いることが、付着
粒子の洗浄による除去効果を高めるために好ましい。脱
気する方法は特に限定されないが、例えば減圧脱気、特
にアスピレ−ションによる減圧脱気を利用することによ
り本発明による洗浄装置を小型化できる。
【0023】また、純水に界面活性剤を含有した洗浄剤
を添加してなる洗浄液を脱気した後超音波洗浄に供する
と、耐蝕性被膜を被覆した希土類磁石表面への洗浄液の
濡れ性が改善されるとともに、付着した粒子の遊離の促
進・再付着の防止が図られ洗浄能力が向上する。
【0024】被洗浄物である耐蝕性被膜を被覆した希土
類磁石に対する超音波振動子の配置・数は特に限定する
ものではないが、例えば被洗浄物に対して下側および/
または上側に配置することができる。均一な表面清浄度
を得るためには、超音波振動子を上側および下側に対称
配置することがよい。
【0025】超音波の強度等の洗浄条件は被洗浄物であ
る前記希土類磁石の表面清浄度によって選択される。本
発明によれば十分な洗浄能力が得られるが、その前およ
び/または後処理に他の洗浄方法を組み合わせることも
可能である。
【0026】なお界面活性剤を含む洗浄剤を純水に添加
してなる洗浄液を用いて洗浄した場合、洗浄部に残った
洗浄剤を除去するために、その後に純水による超音波洗
浄、ジェット水洗浄、シャワ−洗浄等の洗浄工程を付加
することが好ましい。洗浄後の乾燥方法は特に限定する
ものではないが、例えば温風乾燥、加熱・減圧乾燥等が
適用できる。
【0027】良好な洗浄作用を実現するために、本発明
で用いる界面活性剤を含む洗浄液は、純水または脱気し
た純水に対し、0.1〜10体積%の石鹸や各種合成洗剤
等の界面活性剤を主成分とした洗浄剤(洗剤)を添加す
ることにより作製できる。洗浄液に占める洗浄剤の含有
量が0.1体積%未満では洗浄の改善効果が認められず、
10体積%を越えると洗浄剤の除去に多大の後洗浄の工
数を要する他表面に残存する洗浄剤分によって、最終的
に得られる希土類磁石の接着強度が低下する場合があり
好ましくない。
【0028】前記合成洗剤としてはアルキルベンゼンス
ルホン酸ソーダ、アルファオレフィンスルホン酸ソーダ
等の合成によって製造された界面活性剤を主成分とする
洗浄剤を用いることができる。特に、りん酸系の中性の
界面活性剤を主成分とする洗浄剤を用いることが防錆の
ために好ましい。
【0029】また、本発明の洗浄液は、前記の純水に対
して、下記の界面活性剤と化学清浄剤とを合計で0.1〜
10体積%複合添加することにより作製できる。界面活
性剤としては例えば陰イオン界面活性剤、陽イオン界面
活性剤、あるいは両性界面活性剤、さらには非イオン
(中性)の界面活性剤のいずれかを用いることができ
る。
【0030】化学清浄剤としては例えばソーダ塩類、け
い酸塩類、りん酸塩類のいずれかを用いることができ
る。特に、りん酸塩類の化学清浄剤である第一りん酸ソ
ーダ(NaH2 PO4 )、第二りん酸ソーダ(Na2
PO4 )、第三りん酸ソーダ(Na3 PO4 )、トリポ
リりん酸ソーダ(Na5 3 10)、ピロりん酸ソーダ
(Na4 2 7 )、ヘキサメタりん酸ソーダ(NaP
3 2 のいずれかが洗浄時の防錆(酸化防止)、表面
清浄化の向上のために好ましい。
【0031】前記の界面活性剤と化学清浄剤との組合せ
において、特に中性の界面活性剤と前記りん酸塩類系の
化学清浄剤のいずれかとを合計で0.1〜10体積%前記
純水に対して添加してなる洗浄液が好ましい。
【0032】なお、洗浄液に占める前記の界面活性剤と
化学清浄剤との体積比率を30〜70:70〜30の範
囲とすることが防錆と表面清浄度の向上のために好まし
い。
【0033】本発明で用いる界面活性剤には、従来より
一般に使用されている陰イオン活性剤、陽イオン活性
剤、あるいは両性界面活性剤、さらには非イオン界面活
性剤のいずれかを使用すればよい。
【0034】本発明は、特にR2 14B型金属間化合物
を主相とするR−T−B系希土類磁石体(RはYを含め
た希土類元素の1種または2種以上、TはFeまたはF
eとCo)の表面を、電解メッキおよび/または無電解
メッキで被覆したR−T−B系磁石の表面清浄化に有効
である。
【0035】電解メッキおよび/または無電解メッキの
前に、希土類磁石体の加工変質層の除去およびメッキ前
活性化を図る上で硫酸や塩酸等の強酸を用いた酸性溶液
により希土類磁石体を処理することがよい。特に、2〜
10体積%の硝酸による第1エッチング、その後過酸化
水素5〜10体積%、硝酸10〜30体積%、残部純水
からなる混酸による第2エッチングが好ましい。
【0036】続いて電解メッキとして例えばワット浴に
よる単層Niメッキを採用できる。また、希土類磁石体
表面に順次形成された無光沢Ni層と光沢Ni層とから
なるNiメッキ層(例えば特許第2599753号参
照)を採用できる。
【0037】また、希土類磁石体表面に順次形成された
ワット浴による電解Niストライクメッキ、ピロリン酸
Cu浴により電解Cuメッキ、ワット浴による電解Ni
メッキからなる3層メッキ(例えば特開平5−2059
26号参照)を用いてもよい。
【0038】これらの耐蝕性被膜の平均総厚は10〜2
5μmが好ましい。10μm未満では十分な耐蝕性を付
与することが困難であり、25μmを越えるとフラック
スロスやヨーク等へのギャップ増大による磁力低下を招
来する。
【0039】無電解メッキにより、上記単層Niメッ
キ、無光沢Niメッキ層と光沢Niメッキ層とからなる
Niメッキ層、Niメッキ/Cuメッキ/Niメッキの
3層メッキのいずれかを被覆することができる。また、
無電解によるNi−Pメッキを採用できる。上記と同様
に無電解メッキの平均総厚は10〜25μmが好まし
い。
【0040】なお、多層メッキの構成とする場合には電
解メッキと無電解メッキとを併用ししてもよい。また、
メッキしたものをクロム酸塩の水溶液中に浸漬後乾燥さ
せるクロメート処理や、このクロメート処理したものを
NaOHやKOH等の溶液中に浸漬後水洗、乾燥させる
アルカリ処理を行うこともできる。
【0041】また、本発明は上記以外の公知の耐蝕性被
膜を被覆した希土類磁石にも勿論適用可能である。
【0042】次に、本発明において、前記ブラシ等の摺
擦部材の摺擦により表面を洗浄する方法と、脱気した純
水または界面活性剤を含む洗浄液を使用した超音波洗浄
とを組み合わせると両洗浄方法の相乗効果により、格段
に表面清浄度が向上することがわかった。
【0043】上記本発明の表面清浄度の良好な希土類磁
石の製造方法によれば、付着粒子の総数、Nd−Fe−
B系磁石の微粉末粒子をはじめとした希土類磁石の微粉
末粒子、Ni粒子等の強磁性微粒子の付着数をともに大
幅に低減することができる。
【0044】記録/再生エラ−を抑えるためには、付着
粒子の総数を先ず低減することが必要で、本発明の希土
類磁石表面10cm2 あたり250個以下が好ましい。
より好ましくは、200個/10cm2 以下である。
【0045】Nd−Fe−B系磁石粉末粒子をはじめと
した永久磁石微粉末粒子(上述の円相当径で1〜50μ
mのもの)は、付着粒子の総数を250個/10cm2
以下に抑えた上で、かつこの付着粒子総数に対する割合
が1.0%以下であることが好ましい。
【0046】また、Ni粒子を含めた強磁性粒子数(上
述の円相当径で1〜50μmのもの)は付着粒子の総数
に対する割合が70%以下、好ましくは50%以下とす
ることが望ましい。特に、永久磁石の微粉末粒子の付着
を10cm2 あたり1個以下とすることがよい。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、実
施例とともに具体的に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0048】(実施の形態1)本実施の形態では、耐蝕
性被膜で表面が被覆された希土類磁石の表面を、回転ブ
ラシ等の摺擦部材で摺擦し、摺擦部材の摺擦により表面
に付着した付着粒子を除去し、その希土類磁石の表面清
浄度を向上させた表面清浄度の良好な希土類磁石、およ
びその製造方法について説明する。
【0049】本実施の形態で対象とする希土類磁石は、
焼結磁石でも、あるいは焼結磁石以外の形態の磁石でも
よい。例えば、R2 14B型金属間化合物を主相とする
R−T−B系異方性焼結磁石のようなVCM用に好適な
ものが挙げられる。
【0050】例えば、かかるR−T−B系異方性焼結磁
石では、先ず、所要組成に合わせて金属原料を混合して
溶解、鋳造し、R−T−B系磁石用合金の鋳塊を得る。
かかる鋳塊の製造は従来より既知の製法により行えばよ
く、例えば、ストリップキャスト法等で薄帯状の合金片
を製造すればよい。
【0051】その後上記磁石用合金片を適当な条件下で
水素吸蔵後自然崩壊させて粗粉化し、さらに32メッシ
ュアンダー程度に篩分する。その後、得られた粗粉を不
活性ガス中でジエットミルで微粉砕し、その後磁場中成
形し、得られた所定形状の成形品を所定温度で焼結す
る。
【0052】焼結後、順次機械加工、熱処理または熱処
理、機械加工を経たものをバレル加工(面取り加工)
後、メッキ前処理を行った後、バレル電解Niメッキ等
の方法で磁石体表面にNiメッキを耐蝕性被膜として被
覆する。被覆後、Niメッキ表面に付着しているR−T
−B系磁石の微粉末粒子、Ni微粒子等の強磁性粒子を
含む付着粒子を、その表面を摺擦することにより除去し
て、表面清浄度の良好な希土類磁石を製造する。
【0053】本実施の形態では、図1に示すように、希
土類磁石10の表面を摺擦するに際しては、スポンジ2
0を回転可能に構成した摺擦部材30を使用して行っ
た。スポンジ20(例えば、PVA製)は、希土類磁石
10の厚さより十分に大きな厚みを有し、中央に中空部
21を設けて略中空円筒状(ディスク状)に形成され、
その略中空円筒面中央にスポンジ支持部22を介して回
転軸23が設けられて回転自在になっている。
【0054】回転軸23は、従来既知の機構(図示せ
ず)で回転数を調節可能にモータ回転できるように構成
しておけばよい。
【0055】かかる構成の摺擦部材30のスポンジ20
を回転させながら、図1に示すように、スポンジ20の
表面を希土類磁石10の表面10aに押し当てて、表面
10aをスポンジ20面で摺擦する。摺擦に際しては、
表面10aに純水、あるいは純水に界面活性剤入りの洗
浄剤を添加した洗浄液(界面活性剤を含有した洗浄剤の
純水による希釈液)、あるいは両者を併用して、表面1
0aを濡らした状態で行うのが好ましい。
【0056】このようにして、表面10aに付着してい
た粒子は、このスポンジ20の摺擦により除去される。
表面10aを上記要領で摺擦したのち、希土類磁石10
を裏返して裏面10bを表に向け、この裏面10bにス
ポンジ20面を当てて摺擦すれば、両面の付着粒子の除
去が行える。
【0057】また、希土類磁石10の周縁部端面10
c、内/外周面10dは、図1に示すように、スポンジ
20を表面10aまたは裏面10bに押し当てると、軟
らかいスポンジ20は適当に歪んで周縁部端面10c、
内/外周面10dにも接触するので、これら10c面、
10d面は同時に摺擦されて10c面、10d面の付着
粒子の除去も行われる。
【0058】なお、摺擦に際して洗浄剤を使用した場合
には、別途付着粒子の除去後純水で洗浄して洗浄剤を表
面から除去し、温風乾燥させておく。
【0059】摺擦部材には、上記スポンジ20以外の摺
擦部材を使用しても構わない。例えば、図2に示すよう
に、略中空円筒状に形成したブラシ31の中央にブラシ
支持部32を介して回転軸33を設けて回転ブラシ40
に構成して希土類磁石50を摺擦するようにしても構わ
ない。ブラシ31の素材には、例えばポリアミド、ある
いはPVA等の合成樹脂製素材を使用すればよい。
【0060】スポンジ20やブラシ31の素材、摺擦時
の回転数、押圧力等は、Niメッキ等の耐蝕性被膜に傷
が付かないように適宜設定すればよい。さらに、希土類
磁石面が平らな場合には、上記スポンジやブラシ以外で
も、例えば回転可能に構成した円板面に不織布を張っ
て、不織布で付着粒子の除去を行うようにしても構わな
い。
【0061】上記説明では、希土類磁石に施した耐蝕性
被膜としてNiメッキの場合について説明したが、勿論
例えば上述のNiメッキ以外の耐蝕性被膜を被覆した場
合にも有効である。
【0062】また、上記説明ではスポンジ20あるいは
ブラシ31をモータ回転させる摺擦手段を示したが、場
合によっては手にブラシを持って希土類磁石表面を摺擦
するようにしても一向に構わない。さらに、工場等で
は、ベルトコンベア等を用いたライン途中に、複数の回
転する摺擦部材を設けて、複数の希土類磁石がラインを
流れて行くうちに、摺擦部材により付着粒子が除去され
るように構成することもできる。
【0063】また、上記説明では摺擦部材としてスポン
ジ20、ブラシ31を各個別に使用する場合について説
明したが、それぞれを組み合わせて使用するようにして
も構わない。
【0064】例えば、当初は、スポンジ20より比較的
硬い素材のブラシ31を使用して、大きめの付着粒子を
除去し、その後ブラシ31に比べて柔らかく表面への密
着度の高いスポンジ20を使用して細かな付着粒子を除
去するようにしてもよい。
【0065】ブラシ31を使用して比較的大きな付着粒
子を当初から除去しておけば、その後にスポンジ20を
使用しても、密着度の高いスポンジ20に大きな付着粒
子を保持させた状態で必要以上に表面を摺擦せずに済
み、耐蝕性被膜の傷付け防止に効果がある。
【0066】本実施の形態を以下の実施例によりさらに
具体的に説明する。
【0067】(実施例1)耐蝕性被膜として電解Niメ
ッキ(平均膜厚20μm)を被覆した偏平形状のVCM
用のNd−Fe−B系焼結磁石を、図2に示すのとほぼ
同様の要領で、純水を滴下しながらナイロン製ブラシ3
1を回転させて洗浄した。ブラシ31は洗浄面に対して
垂直な回転軸で回転させ、回転数200rpm、洗浄時
間10秒の条件で洗浄を行った。洗浄後、純水ですすい
だ後温風にて乾燥した。
【0068】この乾燥したNd−Fe−B系焼結磁石の
洗浄した面に導電性粘着テ−プを貼り、付着している粒
子を導電性粘着テ−プに転写した。
【0069】この転写作業は、上記洗浄した任意面に所
定サイズの導電性粘着テープを貼り付けて付着粒子をこ
の導電性粘着テープに転写する操作を1回として、続い
てこの導電性粘着テープを未転写の任意の洗浄面に貼り
付けて第2回目の転写を行い、引き続いて最終的に上記
の洗浄した未転写の任意の洗浄面に対してこの所定サイ
ズの同一の導電性粘着テープにて合計10回の転写を行
った。
【0070】次に、この10回転写後の導電性粘着テー
プの1cm×1cmの範囲における円相当径で1μm以
上の粒子(付着粒子は円相当径で全て1〜50μmの範
囲のものだった)をSEM/EDXにより計数、分析し
た。
【0071】すなわち、この転写後の導電性粘着テープ
の1cm×1cmの範囲には上記の洗浄したNd−Fe
−B系焼結磁石の表面10cm2 に付着している粒子が
転写されていることを意味する。
【0072】表1に示すように、この実施例1のものの
表面10cm2 あたりに相当する付着粒子の総数、Nd
−Fe−B系磁石の粒子数、Ni粒子数とも非常に少な
く、表面清浄度の良好な希土類磁石が得られた。
【0073】(実施例2)実施例1と同様に図2に示す
のとほぼ同様の要領で電解無光沢Niメッキ層と電解光
沢Niメッキ層(平均総厚20μm)とからなるNiメ
ッキ被覆Nd−Fe−B系焼結磁石に、純水に1体積%
の界面活性剤入りの洗浄剤を添加した洗浄液を滴下しな
がらナイロン製ブラシ31を回転させて洗浄した。
【0074】ブラシ31は洗浄面に対して垂直な回転軸
で回転させ、回転数200rpm、洗浄時間10秒の条
件で洗浄を行った。洗浄後、純水で5分超音波洗浄した
後温風にて乾燥した。
【0075】この乾燥したNd−Fe−B系焼結磁石の
洗浄した任意面における付着粒子の状況を実施例1と同
様にしてSEM/EDXにより計数、分析した結果を、
表1に示す。表1より、この実施例のものも良好な表面
清浄度を有する希土類磁石であることがわかる。
【0076】(実施例3)電解によるストライクNiメ
ッキ/Cuメッキ/Niメッキ(平均総厚20μm)
を、Nd−Fe−B系焼結磁石体の表面側から順次被覆
してなる3層メッキ被覆Nd−Fe−B系焼結磁石に、
純水に1体積%の界面活性剤入りの洗浄剤をを添加した
洗浄液を滴下しながら、図1に示すとほぼ同様の要領
で、PVAスポンジ20を回転させて洗浄した。
【0077】スポンジ20は洗浄面に対して垂直な回転
軸で回転させ、回転数200rpm、洗浄時間10秒の
条件で洗浄を行った。洗浄後、純水で5分超音波洗浄し
た後温風にて乾燥した。
【0078】洗浄後乾燥させたこのNd−Fe−B系焼
結磁石の洗浄した任意面における付着粒子の状況を実施
例1と同様にしてSEM/EDXにより計数、分析し
た。結果は、表1に示すように上記実施例と略同様の表
面清浄度の良好な希土類磁石が得られた。
【0079】次に、上記実施例1〜3と対比するため
に、比較例1、2として下記の比較実験を行った。
【0080】(比較例1)比較例1では、実施例1と同
様のNiメッキ被覆Nd−Fe−B系焼結磁石を用いて
洗浄工程を経ることなく、未洗浄のままの任意面におけ
る付着粒子の状況を実施例1と同様にしてSEM/ED
Xにより計数、分析した。その結果を、表1に示す。表
1より、この比較例1のものは、付着粒子総数、Nd−
Fe−B系磁石の粒子数、Ni粒子数は表1に示すよう
な値となり表面清浄度が非常に悪いことがわかった。
【0081】(比較例2)比較例2では、実施例2と同
様の無光沢Niメッキと光沢Niメッキとからなる電解
Niメッキ被覆Nd−Fe−B系焼結磁石を用いて、脱
気していない純水中(溶存酸素量は飽和溶存酸素量の9
0%)で20分超音波洗浄を行った後、温風乾燥した。
その乾燥したものの任意面における付着粒子の状況を実
施例1と同様にしてSEM/EDXにより計数、分析し
た。
【0082】結果は、表1に示すように付着粒子総数、
Nd−Fe−B系磁石の粒子数、Ni粒子数とも実施例
2に比較して非常に多く、表面清浄度が非常に劣るもの
だった。
【0083】
【表1】
【0084】(実施の形態2)本実施の形態では、耐蝕
性被膜で表面が被覆された希土類磁石を脱気した純水ま
たは純水に界面活性剤入りの洗浄剤を添加してなる洗浄
液を用いて超音波洗浄した表面清浄度の良好な希土類磁
石、およびその製造方法について説明する。
【0085】本実施の形態の対象とする希土類磁石も、
前記実施の形態1と同様の希土類磁石である。
【0086】かかる希土類磁石の例えばNiメッキ表面
には、R−T−B系磁石粉末粒子、Ni粒子等の強磁性
粒子を含む粒子が付着しているが、本実施の形態では、
溶存酸素量を飽和溶存酸素量の50%以下に脱気した純
水または界面活性剤を含む洗浄液を使用して超音波洗浄
することにより、希土類磁石の表面清浄度を高めてい
る。
【0087】かかる洗浄に使用する超音波洗浄器は、従
来型の洗浄器を使用すればよい。アスピレーション等の
減圧脱気により溶存酸素量が飽和溶存酸素量の50%以
下に抑えられた脱気した純水または上記洗浄液を洗浄槽
に入れる。洗浄槽内の脱気した純水中または上記洗浄液
中に、表面に粒子が付着した状態の希土類磁石を入れて
超音波により洗浄を行う。洗浄後は、温風乾燥しておけ
ばよい。
【0088】上記脱気した洗浄液として、純水に界面活
性剤入りの洗浄剤を添加して脱気処理後使用しても構わ
ない。あるいは、希土類磁石表面を適当な濃度に希釈し
た界面活性剤入りの洗浄剤で濡らしておき、続いてこれ
を脱気した純水中に入れて超音波洗浄を行っても構わな
い。
【0089】さらには、純水に界面活性剤入りの洗浄剤
を添加後、脱気した洗浄液中に、上記要領で希釈した界
面活性剤入りの洗浄剤により表面を濡らした希土類磁石
を入れて、超音波洗浄するようにしても構わない。
【0090】なお、上記いずれの場合でも、界面活性剤
入りの洗浄剤を使用した場合には、超音波洗浄後さら
に、洗浄剤を添加していない通常の純水で超音波清浄等
してすすいで、洗浄剤分を除去しておく必要がある。す
すぎ後は、温風乾燥しておけばよい。すすぎに際して
は、ジェット水洗浄、シャワー洗浄等の手段を使用して
もよく、さらにはブラシを使用した摺擦洗浄手段を併用
してもよく、要は洗浄剤分が十分に除去できる手段であ
ればよい。
【0091】また、洗浄槽内での超音波の印加に際して
は、超音波を発生させる超音波振動子の設置箇所は、希
土類磁石の下側でも、あるいは上側でも、あるいは上下
の両方の側でも構わないが、均一な清浄度を得るために
は、上側および下側に対称に配置することが好ましい。
【0092】(実施例4)耐蝕性被膜としてNd−Fe
−B系焼結磁石体に実施例3と同様の電解によるストラ
イクNiメッキ/Cuメッキ/Niメッキ(平均総厚2
0μm)を順次被覆してなる3層メッキを施した偏平形
状のVCM用のNd−Fe−B系焼結磁石をステンレス
のネット上に置き、脱気した純水中で3分超音波洗浄し
た。この脱気した純水中の溶存酸素量は27℃で1.8m
g/l(飽和溶存酸素量の23%)であった。
【0093】洗浄後さらに純水ですすいだ後温風にて乾
燥した。乾燥後のNd−Fe−B系焼結磁石の任意面に
おける付着粒子の状況を実施例1として同様にしてSE
M/EDXにより計数、分析した。
【0094】結果は、表2に示すように、付着粒子総
数、Nd−Fe−B系磁石粉末の粒子数、Ni粒子数と
も非常に少なく、表面清浄度の良好なNd−Fe−B系
焼結磁石が得られた。
【0095】(実施例5)1体積%の界面活性剤を含む
洗浄剤(ダイヤフロック(株)製、ダイヤカイトPD・
M3)と残部純水とからなる洗浄液を脱気し、実施例2
と同様の電解による無光沢メッキNiメッキ層と光沢メ
ッキ層(平均総厚20μm)からなるNiメッキ被覆の
Nd−Fe−B系焼結磁石をステンレスのネット上に置
き、3分間超音波洗浄した。この脱気処理した洗浄液の
溶存酸素量は28℃で2.0mg/l(飽和溶存酸素量の
26%)であった。洗浄後さらに脱気処理していない純
水(溶存酸素量は飽和溶存酸素量の90%)で3分超音
波洗浄した後温風にて乾燥した。
【0096】乾燥後のものの任意面における付着粒子の
状況を実施例1と同様にして、SEM/EDXにより計
数、分析した。
【0097】結果は、表2に示すように、実施例4に比
較してもさらに汚染粒子が低減しており、本発明におけ
る洗浄方法が高い洗浄能力を有することがわかる。
【0098】また、上記実施例4、5と対照させるため
に比較例3、4として下記の比較実験を行った。
【0099】(比較例3)比較例3では、実施例4にお
ける超音波洗浄に供する前の未洗浄の3層メッキ被覆V
CM用Nd−Fe−B系焼結磁石の任意面における付着
粒子の状況を実施例1と同様にしてSEM/EDXによ
り計数、分析した。
【0100】付着粒子総数、Nd−Fe−B系磁石の粒
子数、Ni粒子数は表2に示すように実施例5、6に比
べて非常に多かった。
【0101】(比較例4)比較例4では、実施例4と同
様の3層メッキ被覆Nd−Fe−B系焼結磁石を脱気し
てない純水中(溶存酸素量は飽和溶存酸素量の92%)
で6分超音波洗浄を行った後、温風乾燥した。乾燥した
ものの任意面における付着粒子の状況を実施例1と同様
にしてSEM/EDXにより計数、分析した。
【0102】結果は、表2に示すように付着粒子総数、
Nd−Fe−B系磁石の粒子数、Ni粒子数とも実施例
4あるいは5に比較して非常に多く、表面清浄度が非常
に悪いことがわかる。
【0103】
【表2】
【0104】(実施の形態3)本実施の形態では、前記
実施の形態1で説明した摺擦部材による表面の摺擦によ
る洗浄方法と、上記実施の形態2で説明した脱気した純
水または洗浄液を使用する超音波洗浄による洗浄方法と
を組み合わて、表面清浄度の良好な希土類磁石を製造し
た。
【0105】スポンジを使用した摺擦部材で洗浄後、脱
気した純水または洗浄液を使用した超音波清浄を行って
も良いし、あるいはブラシを使用した摺擦部材による洗
浄と、この超音波洗浄とを組み合わせても、それぞれの
洗浄方法を単独で使用した場合よりも良好な結果が得ら
れた。
【0106】さらに、本発明者らは、ブラシからなる摺
擦部材を使用した洗浄方法と、スポンジからなる摺擦部
材を使用した洗浄方法と、脱気した純水また洗浄液を使
用した超音波清浄方法とを組み合わせることにより、よ
り効果的に付着粒子の低減が図れることを知見した。以
下、その詳細を具体的に実施例6により説明する。
【0107】(実施例6)耐蝕性被膜としてNiメッキ
を被覆した偏平形状のVCM用のNd−Fe−B系焼結
磁石を用いて、実施例1と同様に、純水を滴下しながら
ナイロン製ブラシを使用して、回転数200rpm、洗
浄時間10秒の条件で洗浄を行った。ナイロン製ブラシ
は、希土類磁石の表面の洗浄面に対して垂直方向に回転
軸を設けて、ナイロン製ブラシ面で洗浄面を摺擦するよ
うにして行った。
【0108】その後、実施例3と同様の要領で、スポン
ジを用いて、回転数200rpm、洗浄時間10秒の条
件で洗浄を行った。このスポンジ面が希土類磁石表面の
洗浄面と摺擦するようにして行った。
【0109】このようにしてブラシ、スポンジの両者に
より摺擦して洗浄した希土類磁石を用いて、次に、実施
例5と同様に、純水に1体積%の界面活性剤入りの洗浄
剤をを添加してなる洗浄液を脱気して、この脱気した洗
浄液を満たした洗浄槽内のステンレス製のネット上に置
いた。脱気した洗浄液の溶存酸素量は、飽和溶存酸素量
の30%であった。
【0110】かかる条件で、超音波洗浄を3分間行っ
た。その後、脱気しない純水を使用して、3分間超音波
洗浄を行い、界面活性剤をすすぎ、その後温風乾燥し
た。
【0111】洗浄後乾燥したかかるNd−Fe−B系希
土類焼結磁石の任意面における付着粒子の状況を実施例
1と同様にしてSEM/EDXにより計数、分析した。
その結果を表2に示す。
【0112】本実施例6による結果は、付着粒子総数で
も、Ni粒子数でも、他の実施例1〜5の場合に比べて
格段に少なくなっていることがわかる。強磁性粒子数の
付着粒子総数に占める割合も50%以下となり、上記実
施例1〜5で示した洗浄方法を各々単独で使用した場合
よりも、組み合わせた本実施の形態の方法が格段に洗浄
効果が優れていることを示している。
【0113】
【発明の効果】本発明によれば、希土類磁石の耐蝕性被
膜の表面を摺擦することにより、表面に付着した強磁性
粒子等の付着粒子を、従来よりも著しく少なくすること
ができる。
【0114】本発明では、スポンジおよび/またはブラ
シを使用して摺擦できるので、スポンジ等は希土類磁石
面の凹凸に適当に馴染みながら変形等して摺擦すること
ができるので、変形が起きにくい固い物で摺擦する場合
に比べて、磁石表面の凹凸がある場合でも付着粒子を効
果的に除去することができる。
【0115】本発明では、純水または界面活性剤を含む
洗浄液により希土類磁石の耐蝕性被膜の表面を濡らした
状態で、摺擦することができるので、摺擦時に適度の潤
滑性が得られるとともに、付着粒子の除去が促進され
る。特に、界面活性剤を含む洗浄液を使用した場合に
は、表面の濡れ性が非常によく改善されて、付着粒子の
遊離促進、再付着の防止が図れる。
【0116】本発明では、溶存酸素量を飽和溶存酸素量
の50%以下に脱気した純水または界面活性剤を含む洗
浄液で超音波洗浄することにより、希土類磁石の耐蝕性
被膜表面に付着した強磁性粒子等の付着粒子を従来より
も少なくすることができる。
【0117】本発明では、溶存酸素量を飽和溶存酸素量
の50%以下に脱気した純水または界面活性剤を含む洗
浄液で超音洗浄するに際して、さらに界面活性剤を含む
洗浄剤を希土類磁石表面に付着させることができるの
で、界面活性剤を使用しない場合に比べて、付着粒子の
除去をより効果的に行うことができる。
【0118】本発明では、希土類磁石の耐蝕性被膜の表
面を摺擦して洗浄する方法と、溶存酸素量を飽和溶存酸
素量の50%以下に脱気した純水または界面活性剤を含
む洗浄液で超音洗浄する方法とを組み合わせて行うこと
により、それぞれ単独で洗浄を行う場合よりもより付着
粒子の低減を図ることができる。
【0119】本発明の希土類磁石は、従来に比べて良好
な表面清浄度を有する湿式の電解メッキおよび/または
無電解メッキ等の耐酸化性被膜が被覆されているので、
この希土類磁石を磁気式、光磁気式、光式のいずれかの
方式の記録/再生装置における記録/再生ヘッドの高精
度の位置決め用駆動装置に搭載すれば、記録/再生エラ
−を誘発させる可能性を非常に低く抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態の摺擦による
希土類磁石の表面の洗浄状況を示す斜視図である。
(b)は、(a)の状況を示す断面図である。
【図2】本発明の摺擦による希土類磁石の表面の他の洗
浄方法を示す斜視図である。
【符合の説明】
10 希土類磁石 10a 表面 10b 裏面 20 スポンジ 21 中空部 22 回転支持部 23 回転軸 30 摺擦部材 31 ブラシ 32 回転支持部 33 回転軸 40 回転ブラシ 50 希土類磁石

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類磁石体の表面を耐蝕性被膜で被覆
    してなる希土類磁石の表面を摺擦して洗浄することを特
    徴とする表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の表面清浄度の良好な希土
    類磁石の製造方法において、 前記希土類磁石の表面を摺擦するに際しては、ブラシお
    よび/またはスポンジを使用して摺擦することを特徴と
    する表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の表面清浄度の良
    好な希土類磁石の製造方法において、 摺擦するに際しては、前記希土類磁石の表面を純水また
    は界面活性剤を含む洗浄液で濡らした状態で行うことを
    特徴とする表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 希土類磁石体の表面を耐蝕性被膜で被覆
    してなる希土類磁石を、溶存酸素量を飽和溶存酸素量の
    50%以下に脱気した純水中で超音波洗浄することを特
    徴とする表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 希土類磁石体の表面を耐蝕性被膜で被覆
    してなる希土類磁石を、溶存酸素量を飽和溶存酸素量の
    50%以下に脱気した界面活性剤を含む洗浄液中で超音
    波洗浄することを特徴とする表面清浄度の良好な希土類
    磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法、あるいは請
    求項4または5記載の表面清浄度の良好な希土類磁石の
    製造方法のいずれか一方を前工程とし、他方を後工程と
    して組み合わせてなることを特徴とする表面清浄度の良
    好な希土類磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    表面清浄度の良好な希土類磁石の製造方法において、 前記耐蝕性被膜が電解メッキおよび/または無電解メッ
    キであることを特徴とする表面清浄度の良好な希土類磁
    石の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の表面清浄度の良好な希
    土類磁石の製造方法において、 前記希土類磁石がR2 14B型金属間化合物を主相とす
    るR−T−B系永久磁石(RはYを含めた希土類元素の
    1種または2種以上、TはFeまたはFeとCo)であ
    ることを特徴とする表面清浄度の良好な希土類磁石の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 耐蝕性被膜で被覆された希土類磁石の表
    面に付着している粒子の総数がこの磁石表面10cm2
    あたり250以下であることを特徴とする表面清浄度の
    良好な希土類磁石。
  10. 【請求項10】 耐蝕性被膜で被覆された希土類磁石の
    表面に付着している粒子の総数に占める強磁性粒子の数
    が70%以下であることを特徴とする表面清浄度の良好
    な希土類磁石。
  11. 【請求項11】 請求項9または10記載の表面清浄度
    の良好な希土類磁石において、 前記付着粒子の総数に占める磁石粉末粒子の数が1%以
    下であることを特徴とする表面清浄度の良好な希土類磁
    石。
  12. 【請求項12】 請求項9乃至11のいずれか1項に記
    載の表面清浄度の良好な希土類磁石において、 前記希土類磁石体がR2 14B型金属間化合物を主相と
    するR−T−B系永久磁石(RはYを含めた希土類元素
    の1種または2種以上、TはFeまたはFeとCo)で
    あり、かつ前記耐蝕性被膜が電解メッキおよび/または
    無電解メッキであることを特徴とする表面清浄度の良好
    な希土類磁石。
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