JPH1134482A - インクジェット記録用紙及びその製造方法 - Google Patents
インクジェット記録用紙及びその製造方法Info
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- JPH1134482A JPH1134482A JP9192160A JP19216097A JPH1134482A JP H1134482 A JPH1134482 A JP H1134482A JP 9192160 A JP9192160 A JP 9192160A JP 19216097 A JP19216097 A JP 19216097A JP H1134482 A JPH1134482 A JP H1134482A
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Abstract
記録適性に優れ、印字後のカール、コックリングが無
く、印画紙様の風合いを有するインクジェット記録用紙
を提供する。 【解決手段】 紙基材の一面に、樹脂を含有する塗液を
塗工し、この塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再
湿潤した後に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して
仕上げ光沢層を設けたインクジェット記録用紙におい
て、紙基材裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたこ
とを特徴とするインクジェット記録用紙。ポリオレフィ
ン樹脂含有層が二酸化チタンを含有することを特徴とす
る前記インクジェット記録用紙。
Description
録用紙に関し、特に白紙部および印字部の光沢、インク
ジェット記録適性に優れ、印字後のカール、コックリン
グが無く、印画紙様の風合いを有するインクジェット記
録用紙に関する。
騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が
容易なために多方面で利用されている。インクジェット
記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫され
た上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適
用されている。ところで、これらの用紙はすべて表面光
沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙
が主体であるため、表面光沢の高い、優れた外観を持つ
インクジェット記録用紙が要望されている。
び接着剤を主成分とする下塗り層を設けた原紙上に、エ
チレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる
40℃以上のガラス転移点を有する共重合体組成物を主
成分とする塗工液を塗工してキャスト用塗工層を形成せ
しめ、該キャスト用塗工層が湿潤状態にある間に加熱さ
れた鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、
優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット
記録用キャスト紙が得られることを本発明者等は見出
し、特開平7-89220号として提案した。ところで、近年
インクジェット記録装置の進歩に伴い、銀塩方式の写真
に迫る記録画像が可能になってきている。このため印画
紙に匹敵する様な光沢、記録品質、風合いの記録用紙が
求められている。しかしながら、印画紙の風合いという
点では、先に提案した技術を使用しても達成が困難であ
るのが現状である。またインクジェット記録を行うと、
水性インクを吸収することに伴い、紙のボコツキが生じ
てしまう欠点があった。
ット記録用紙に関し、特に白紙部および印字部の光沢に
優れ、印字濃度、インク吸収性、記録画質等のインクジ
ェット記録適性に優れ、印字後のコックリング(インク
吸収に伴う印字部のボコツキ)が無く、更に印画紙の風
合いを有するインクジェット記録用紙に関する。
含む。 〔1〕紙基材の一面に、樹脂を含有する塗液を塗工し、
得られる塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは乾燥後
再湿潤した後に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥し
て光沢層を設けたインクジェット記録用紙において、紙
基材裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたことを特
徴とするインクジェット記録用紙。 〔2〕ポリオレフィン樹脂含有層が二酸化チタンを含有
することを特徴とする〔1〕記載のインクジェット記録
用紙。 〔3〕ポリオレフィン樹脂含有層の表面がマット仕上げ
されてなることを特徴とする〔1〕または〔2〕記載の
インクジェット記録用紙。 〔4〕ポリオレフィン樹脂含有層が溶融押し出しラミネ
ートにより形成されてなる〔1〕、〔2〕または〔3〕
記載のインクジェット記録用紙。
接着剤を含有する下塗り層を少なくとも1層設けてなる
ことを特徴とする〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕
記載のインクジェット記録用紙。 〔6〕下塗り層の顔料が、非晶質シリカ、酸化アルミニ
ウム、ゼオライト、合成スメクタイトの内少なくとも1
種を含有することを特徴とする〔5〕記載のインクジェ
ット記録用紙。 〔7〕光沢層が、エチレン性不飽和結合を有するモノマ
ーを重合させてなるガラス転移点が40℃以上の重合体
樹脂、またはエチレン性不飽和結合を有するモノマーを
重合させてなるガラス転移点が40℃以上の重合体樹脂
とコロイダルシリカの複合体、を含有することを特徴と
する〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載されたインクジェ
ット用紙。
料として一次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以
下で、二次粒子の平均粒子径が10nm以上300nm
以下であるシリカ微細粒子を含有することを特徴とする
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のインクジェット記録
用紙。
有する塗液を塗工し、得られる塗工層が湿潤状態にある
間に、あるいは乾燥後再湿潤した後に、加熱された鏡面
ドラムに圧接、乾燥して光沢層を設けた後、紙基材の裏
面にポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出しラミネート
法により設けることを特徴とするインクジェット記録用
紙の製造方法。 〔10〕ポリオレフィン樹脂が密度0.915g/cm
3 〜0.950g/cm 3 、メルトフローインデックス
2〜20g/10分であるポリオレフィン樹脂を含む
〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のインクジェット用
紙。
特に限定されるものではなく、一般の塗工紙に使用され
る酸性紙、あるいは中性紙等が適宜使用される。紙基材
のインク吸収性を向上させる目的で、サイズ度を調整し
たり、焼成カオリン、シリカ等の吸収性顔料を内添する
ことができる。また透気性を有する合成紙または透気性
フィルム等も使用し得る。
設けるのが好ましい。何故なら光沢層のインク定着・吸
収能が少ない場合には、下塗り層がインク定着・吸収の
主な役割を果たし、光沢層はインク通過層となる。光沢
層にインク定着・吸収能がある場合でも、下塗り層を設
けることにより、インクの定着・吸収が促進される。紙
基材上に設けられる下塗り層(記録層ともいう)は、顔
料と接着剤を主成分として構成される。顔料としては、
例えばカオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ
(無定形シリカともいう)、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワ
イト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリ
カ、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成ス
メクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸
化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグ
メント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグ
アナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造
分野で公知公用の各種顔料が使用できるが、上記の顔料
の中で、塗工層の構造をポーラスでインク吸収性の優れ
たものにする意味で、非晶質シリカや酸化アルミニウ
ム、ゼオライト、合成スメクタイト等を少なくともその
一部として使用するのが好ましい。
(凝集粒子)の平均粒子径は、0.1μm以上15μm
以下のものが好ましく、1μm以上10μm以下のもの
がより好ましい。二次粒子の平均粒子径が0.1μm未
満になると、インク吸収性が低下し、にじみやインク吸
収ムラが発生し、所望とする画像品位を得られ難くな
る。また、顔料の二次粒子の平均粒子径が15μmを超
えると、光沢の低下が起こるとともに、発色性の低下が
発生し、所望する画像品位を得ることができ難くなる。
のを併用することができる。接着剤としては、カゼイ
ン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉
等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボキシメ
チルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導
体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレ
ート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテッ
クス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等一般に
塗被紙用として用いられている従来公知の接着剤が単
独、あるいは併用して用いられる。なお接着剤の配合量
は顔料100重量部に対し、1〜200重量部、より好
ましくは2〜100重量部の範囲で調節される。ここで
接着剤の量が少ないと、記録層の強度が弱くなり表面が
傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する場合がある。
逆に接着剤の量が多いと、インク吸収性が低下し、所望
のインクジェット記録適性が得られなくなる場合があ
る。
ポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリア
ミン類、またはその誘導体、第3級アミノ基や第4級ア
ンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン
等のカチオン性化合物を添加できる。これにより画像濃
度および印字画像耐水性および光沢層を設けた後の光沢
を向上させることができる。顔料100重量部に対し、
1〜100重量部、より好ましくは10〜60重量部の
範囲で使用することができる。下塗り層には、一般塗工
紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、
着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加さ
れる。上記材料をもって構成される各記録層用組成物
は、一般に固形分濃度を5〜65重量%程度に調整し、
坪量が約20〜400g/m2 程度の基材上に塗工され
る。塗工量は乾燥重量で1〜50g/m2 程度、より好
ましくは2〜30g/m2 程度である。塗工はブレード
コーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブ
ラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコータ
ー、グラビアコーター等の各種公知公用の塗工装置によ
り塗工、乾燥される。さらに、必要に応じて記録層の乾
燥後にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処
理を施すこともできる。
よりなる下塗り層上に、光沢層を設ける。光沢層はイン
クを速やかに通過あるいは吸収できるよう、光沢を阻害
しない範囲で多孔性もしくは通液性にするのが好まし
い。このようにするためには、顔料を配合するか、光沢
を落とさない範囲で、光沢層が完全に成膜しないような
乾燥条件を選択すると良い。光沢層に含有される樹脂と
しては下塗り層の接着剤として記載したもの等が使用で
きる。例えば、ポリビニルアルコール類、水性ウレタン
樹脂、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合さ
せてなる重合体樹脂等が挙げられる。樹脂を主体に光沢
層を形成する場合、特にエチレン性不飽和結合を有する
モノマー(以下エチレン性モノマーともいう)を重合さ
せてなる重合体樹脂あるいは共重合体樹脂(以下一括し
て重合体樹脂とも称する)を主成分として構成されるの
が好ましい。この様な重合体としては、例えばメチルア
クリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、2エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル
アクリレート等のアルキル基炭素数が1〜18個のアク
リル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタク
リレート等のアルキル基炭素数が1〜18個のメタクリ
ル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジ
エン等のエチレン性モノマーを重合して得られる重合体
が挙げられる。なお、重合体は、必要に応じて2種類以
上のエチレン性モノマーを併用した共重合体であっても
良いし、さらに、これら重合体あるいは共重合体の置換
誘導体でも良い。因みに、置換誘導体としては、例えば
カルボキシル基化したもの、またはそれをアルカリ反応
性にしたもの等が例示される。
ダルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R(R:重
合体成分)結合によって複合体になった形で使用する
と、光沢とインク吸収性のバランスに特に優れるため好
ましい。この際のエチレン性モノマーとコロイダルシリ
カの存在割合は、重量比で5/95〜95/5程度が望
ましい。コロイダルシリカの割合が95を超えて多くな
ると複合化に寄与しないコロイダルシリカが多くなり、
光沢が低下する場合があり、5未満であると所望の効果
が得られない場合がある。上記の重合体樹脂は、そのガ
ラス転移点が40℃以上のものが好ましく、50〜10
0℃の範囲であるものがより望ましい。ガラス転移点が
低いと乾燥の際に成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下
する結果、インクの吸収速度が低下するおそれが生じ
る。また、乾燥温度が重要であり、乾燥温度が高すぎる
と成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下する結果、イン
クの吸収速度が低下し、逆に乾燥温度が低すぎると、光
沢に乏しくなる傾向が有り、生産性も低下する。また、
光沢層には顔料を配合することができる。この場合、顔
料としては、下塗り層に用いたものと同様のものが挙げ
られるが、光沢、透明性、インク吸収性の点で、コロイ
ダルシリカ、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、ゼオラ
イト、合成スメクタイト等が好ましく、顔料の平均粒子
径は、0.01〜5μmものが好ましく、0.05〜1
μmのものがより好ましい。粒子径が0.01μm未満
になると、インク吸収性の効果に乏しく、5μmを超え
ると、光沢や印字濃度の低下が起こる可能性が生じる。
以上40nm以下で、二次粒子の平均粒子径が10nm
以上300nm以下であるシリカ微細粒子を使用する
と、光沢、インクの吸収性に特に優れたものとなり好ま
しい。このようなシリカ微細粒子を使用すると光沢層中
に比較的多量の顔料を添加しても、高光沢な表面が得ら
れ、この顔料を主成分(50%以上)として形成するこ
とができる。この場合、光沢層がインク吸収性および透
明性に優れるため、光沢層にカチオン性化合物を配合す
ると、インク染料が効率よく光沢層に定着し、光沢層の
透明性とあいまって印字濃度の極めて優れたものとなり
易い。
性を向上させる目的でポリエチレンポリアミンやポリプ
ロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン
類、またはその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモ
ニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等の
カチオン性化合物を、1〜100重量%、より好ましく
は5〜50重量%の範囲で配合することができる。光沢
層用塗工液には、その他に通常の印刷用塗工紙やインク
ジェット用紙に使用されている消泡剤、着色剤、帯電防
止剤、防腐剤及び分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添
加される。光沢層は、重合体樹脂、例えば上記のエチレ
ン性モノマーを重合してなる重合体樹脂、および必要に
応じ顔料を添加した塗液を塗工して、該塗工層が湿潤状
態(少なくとも可塑性を有する程度の水分を含有)にあ
る間に、あるいは再湿潤した後、加熱された鏡面ドラム
に圧接、乾燥して仕上げる方法(キャスト方式)によ
り、優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェ
ット記録用紙が得られる。鏡面ドラムによる乾燥温度は
特に限定しないが、50℃〜150℃、特に70〜12
0℃程度である。
する場合、ブレードコーター、エアーナイフコーター、
ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコ
ーター、バーコーター、グラビアコーター等の各種公知
の塗工装置が使用できる。光沢層用塗工液の塗工量は、
乾燥固形分で0.2〜100g/m2 、好ましくは、1
〜50g/m2 である。ここで、0.2g/m2 未満で
は光沢が十分に出ない場合があり、100g/m2 を越
えて多いとインク乾燥性が劣ったり、記録濃度が低下す
る場合がある。キャスト仕上げにより光沢層を設けた後
で、さらにスーパーカレンダー等により平滑化処理を行
うこともできる。
面の反対面に、ポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出し
ラミネート法により設ける。ポリオレフィン樹脂として
は、エチレン、α−オレフィン類例えばプロピレンなど
の単独重合体、ないしは前記オレフィンの少なくとも2
種類の共重合体、およびこれらの各種重合体の少なくと
も2種類の混合物などから選ぶことができる。特に好ま
しいポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピ
レンおよびこれらの混合物である。ポリオレフィン樹脂
の分子量に特に制限はないが、2万〜20万程度の範囲
のものが通常使用される。
宜選択して使用することができるが、その密度は0.9
15g/cm3 〜0.950g/cm3 がラミネート加
工適性の点で好ましい。メルトフローインデックスは2
〜20g/10分であることが好ましい(JISK−6
760)。メルトフローインデックスが小さい場合およ
び大きい場合は、溶融押出しの操業工程の管理が困難に
なり、均一な塗工層が得られ難くなる場合がある。ポリ
オレフィン樹脂含有層には、不透明度を向上させたり、
白さを向上させる目的で白色顔料を配合するのが好まし
い。白色顔料としては、アナターゼ型二酸化チタン、ル
チル型二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウ
ム、アルミナ、シリカ、合成ゼオライトなどから適宜選
択して使用でき、また2種類以上を混合して使用するこ
ともできる。特に、不透明度と白色度の点からアナター
ゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等の二酸化チ
タンが好ましい。白色顔料の表面はポリオレフィン樹脂
との分散性を向上させる目的で、表面処理を施すことも
できる。
リオレフィン樹脂100重量部に対し、1〜50重量部
程度である。少ないと不透明度と白色度向上の効果が得
られない場合がある。多いとポリオレフィン含有層にひ
び割れが生じて、均一な塗工層が得られ難い場合があ
り、印字後のカール・コックリング防止、印画紙様の風
合い付与等の効果が得られない場合がある。添加剤とし
て、有色顔料、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、可塑
剤、分散剤などを必要に応じて添加することができる。
本発明のポリオレフィン樹脂含有層は、好ましくは溶融
押出しラミネート法により塗工される。溶融押し出しラ
ミネートによる場合、例えば水性塗工液を塗布乾燥する
場合に比べ、塗液の浸透によるボコツキがなく、また均
一な裏面層を形成することができる。溶融押出しラミネ
ートを実施するには、通常ポリオレフィン樹脂および必
要に応じ白色顔料を溶解混練し、走行するシートの塗工
される面(裏面)の上に押出し機のスリットダイからフ
ィルム状に押出し塗工する。通常、溶融押出し温度は2
50〜350℃程度である。
多段塗工あるいはマルチスリットダイコート法等で設け
た多層であってもよい。塗工したポリオレフィン樹脂含
有層の表面を、クロームメッキなどで表面を平滑に仕上
げたクーリングロール、あるいは鏡面仕上げしたクーリ
ングロールで冷却固化し、光沢仕上げしたり、或いは細
かい凹凸をつけマット仕上げをしたクーリングロールで
冷却固化し、マット仕上げすることができる。印画紙の
風合い付与および記録用紙を重ねた場合のブロッキング
防止の観点からはマット仕上げが好ましい。ポリオレフ
ィン樹脂含有層の塗工量は、5〜100g/m2 程度が
適当であり、より好ましくは10〜50g/m2 程度で
ある。コート量が少ないと、目的とするコックリング防
止や印画紙風合い付与の効果に乏しい可能性が有り、さ
らに均一な塗工が困難となる場合がある。一方コート量
が多いとカールが著しくなる場合があり、また効果が飽
和しコスト的に不利となる。ポリオレフィン樹脂含有層
の上にさらにカール防止やブロッキング防止、筆記性付
与、帯電防止、プリンタでの給紙走行性改善等の目的で
塗工層を設けることができる。該塗工層は特に限定はし
ないが、例えば、樹脂と顔料とを主成分とするものであ
る。本発明のインクジェット記録用紙は、キャスト方式
で記録層を形成する。加熱された鏡面ドラムで乾燥する
ため、蒸気を逃がすために、基材の通気性が必要であ
る。このため、キャスト仕上げした後で裏面にポリオレ
フィン樹脂含有層を設けるのが望ましい。予め裏面にポ
リオレフィン樹脂層を設けた場合、光沢層の乾燥が不十
分になったり、光沢が劣る恐れがある。また支持体表面
にポリオレフィン樹脂層を設けることも乾燥性を損なう
ので好ましくない。
に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ
重量部および重量%を示す。 〔紙基材の作製〕木材パルプ(LBKP;ろ水度500
mlCSF)100部、アンシレックス(焼成カオリ
ン)10部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.
5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製
紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量120g/m2 の
紙基材を製造した。この紙基材のステキヒトサイズ度は
10秒であった。本発明の実施例、比較例ではすべてこ
の紙基材を用いた。
00部(商品名、ファインシールX−45、(株)トク
ヤマ製) 、接着剤として、シリル変性ポリビニルアルコ
ール( R1130 クラレ株製) 20部、カチオン性樹
脂としてジシアンジアミド系樹脂(商品名、ネオフィッ
クスE117、日華化学(株)製)5部およびアクリル
アミド系樹脂(商品名、スミレッツレジンSR100
1、住友化学(株)製)15部、分散剤として、ポリ燐
酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度18%の記録層
用塗工液を調成した。この記録層用塗工液を、紙基材の
片面に、乾燥重量で6g/m2 になるように、エアーナ
イフコーターで塗工、乾燥し、下塗り層を形成した。一
方、ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシル
アクリレート共重合体とコロイダルシリカ(平均粒子径
30nm)との複合体(共重合体とコロイダルシリカ
は、重量比で50:50)100部、増粘・分散剤とし
てアルキルビニルエーテル・マレイン酸誘導体共重合体
5部、離型剤としてレシチン1.5部よりなる固形分濃
度が25%の光沢層用塗工液を調製した。この光沢層用
塗工液を上記の記録層上層上にロールコーターを用いて
塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに
圧接し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェッ
ト記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分
重量で、6g/m2 であった。
層を設けた面と反対面に、バンバリーミキサーで混合分
散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、塗工量が
30g/m2 になるようにして、T型ダイを有する溶融
押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、その表面をマ
ット面を有するクーリングロールで冷却固化して裏面層
を設けた。 (ポリオレフィン樹脂組成物1)直鎖型低密度ポリエチ
レン樹脂(密度0.926g/cm3 、メルトフローイ
ンデックス20g/10分)35重量部、低密度ポリエ
チレン樹脂(密度0.919g/cm3 、メルトフロー
インデックス2g/10分)50重量部、アナターゼ型
二酸化チタン(石原産業製、商標:A−220)5重量
部、ステアリン酸亜鉛0.1重量部、酸化防止剤(チバ
ガイギー製、商標:Irganox1010)0.03
重量部、染料(第一化成製、商標:青口群青No.20
00)0.09重量部、蛍光増白剤(チバガイギー製、
商標:UVITEXOB)0.3重量部
m2 にした以外は実施例1と同様にしてインクジェット
記録用紙を得た。 実施例3 裏面のポリオレフィン樹脂含有層のコート量を10g/
m2 にした以外は実施例1と同様にしてインクジェット
記録用紙を得た。
フィン樹脂組成物2を用いた以外は実施例1と同様にし
てインクジェット記録用紙を得た。 (ポリオレフィン樹脂組成物2)高密度ポリエチレン樹
脂(密度0.954g/cm3 、メルトフローインデッ
クス20g/10分)65重量部、低密度ポリエチレン
樹脂(密度0.924g/cm3 、メルトフローインデ
ックス4g/10分)35重量部
と同様のポリオレフィン樹脂組成物1を、塗工量が30
g/m2 になるようにして、T型ダイを有する溶融押出
し機(溶融温度320℃)で塗工し、その表面を鏡面仕
上げしたクーリングロールで冷却固化して、光沢を有す
る裏面層を設けた以外は、実施例1と同様にしてインク
ジェット記録用紙を得た。
g/m2 になるように、エアーナイフコーターで塗工、
乾燥した。次に、下記光沢層用塗工液を、上記の下塗り
層上にエアーナイフコーターで塗工し、冷風で20秒乾
燥し半乾燥状態にした後(塗工層絶乾量に対する水分率
150%)、表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧接
し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記
録用紙を得た。このときのキャスト塗工層の塗工量は固
形分重量で、5g/m2 であった。 〔下塗り層用塗工液(固形分濃度17%)〕合成シリカ
(ファインシールX−60;トクヤマ製、平均二次粒子
径6.0μm、一次粒子径15nm)80部、ゼオライ
ト(トヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.5μ
m)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R11
30;クラレ製)20部、ガラス転移点75℃のスチレ
ン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体と粒子径3
0nmのコロイダルシリカとの複合体エマルジョン(共
重合体とコロイダルシリカは重量比で40:60、エマ
ルジョンの粒子径は80nm)40部
シリカ微細粒子A(下記に記載)100部、ジアリルジ
メチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合
体(日東紡績社製、商品名;PAS−J−81)10
部、カチオン性アクリル樹脂(XC−2010;星光化
学製、四級アミン変性アクリル水性樹脂、Tg85℃)
20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R113
0;クラレ製)10部、離型剤(レシチン)2部 〔シリカ微細粒子Aの調製〕合成無定形シリカ(トクヤ
マ社製、商品名:ファインシールX−45、2次粒子径
4.5μm、1次粒子径15nm)の水分散液を用い、
圧力式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式
ホモジナイザーGM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返
した(加圧500kg/cm2 )。処理後の分散液の平
均2次粒子径は50nm、固形分濃度は12%であっ
た。次に、上記インクジェット記録用紙の光沢層を設け
た面と反対面に、実施例1と同様にして裏面層を設け
た。
実施例1と同様にして、インクジェット記録用紙を得
た。 比較例2 顔料として平均二次粒子径4.5μmの非晶質シリカ1
00部( 商品名、ファインシールX−45、(株)トク
ヤマ製) 、接着剤として、シリル変性ポリビニルアルコ
ール( R1130 クラレ株製) 20部、カチオン性樹
脂としてジシアンジアミド系樹脂(商品名、ネオフィッ
クスE117、日華化学(株)製) 5部およびアクリル
アミド系樹脂(商品名、スミレッツレジンSR100
1、住友化学(株)製)15部、分散剤として、ポリ燐
酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度18%の記録層
用塗工液を調成した。この記録層用塗工液を、米坪10
0g/m2 の原紙の片面に、乾燥重量で6g/m2 にな
るように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥し、下塗
り層を形成した。次に、実施例1と同様にして裏面にポ
リオレフィン樹脂含有層を設けた。
比較例2と同様にして、インクジェット記録用紙を得
た。 比較例4 実施例1で用いた原紙の一方の面に、実施例1と同様に
して裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けた。 比較例5 実施例1で用いた原紙をそのまま用いた。
設ける代わりに、下記の水系塗料を乾燥重量で20g/
m2 になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥
し、インクジェット記録用紙を得た。 (水系塗料)顔料としてカオリン50部、重質炭酸カル
シウム50部、接着剤として酸化澱粉5部、スチレン−
ブタジエン共重合体ラテックス12部、分散剤としてポ
リアクリル酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度60
%の水系塗料を調製した。
用紙のインクジェット記録適性、白紙光沢、外観(風合
い)を表1にまとめて示した。なお、上記の評価につい
ては下記の如き方法で評価を行った。 [インクジェット記録適性]インクジェットプリンター
BJC600J(キヤノン(株)製)を用いて印字を行
なった。 (ベタ印字部の均一性)シアンインクとマゼンタインク
の2色混合のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視
にて評価した。 ○:印字ムラは見られず良好なレベル。 ×:印字ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベ
ル。 (インクの乾燥性)シアンインクとマゼンタインクの2
色混合のベタ印字部につきインクの乾燥性を評価した。 ○:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。 ×:印字直後に指で触れると汚れる。 (インクジェット記録後の印字濃度)黒ベタ印字部分の
印字濃度をマクベスRD−914で測定。
体に黒ベタ印字を行い、印字直後のコックリング(印字
によるボコツキ)を目視判定した。 ◎:コックリングはほとんど無い。 ○:若干コックリングが見られるが、実用上問題の無い
レベル。 ×:コックリングが著しい。 [白紙光沢]JIS−P8142に準じて白紙部の75
°光沢を測定した。
れ、印画紙様の外観を有する。 ○:表面の光沢感に優れるが、裏面の白さ、または手触
り感が若干劣る。 △:表面の光沢感に優れるが、裏面の白さ、手触り感が
かなり劣る。 ×:表面の光沢が無く、印画紙様の外観を全く有しな
い。
後でも記録体にコックリング(印字によるボコツキ)が
なく、またカールの生じない記録体であった。裏面層に
より原紙の伸びが抑制されることが効果が得られる一因
と推定できる。また光沢に優れ、記録濃度、印字品質に
も優れる。更に印画紙様の風合いを有している。
Claims (9)
- 【請求項1】紙基材の一面に、樹脂を含有する塗液を塗
工し、得られる塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは
再湿潤した後に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥し
て光沢層を設けたインクジェット記録用紙において、紙
基材裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたことを特
徴とするインクジェット記録用紙。 - 【請求項2】ポリオレフィン樹脂含有層が二酸化チタン
を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェ
ット記録用紙。 - 【請求項3】ポリオレフィン樹脂含有層の表面がマット
仕上げされてなることを特徴とする請求項1または2記
載のインクジェット記録用紙。 - 【請求項4】ポリオレフィン樹脂含有層が溶融押し出し
ラミネートにより形成されてなる請求項1、2または3
記載のインクジェット記録用紙。 - 【請求項5】光沢層と紙基材の間に、顔料および接着剤
を含有する下塗り層を少なくとも1層設けてなることを
特徴とする請求項1、2、3または4記載のインクジェ
ット記録用紙。 - 【請求項6】下塗り層の顔料が、非晶質シリカ、酸化ア
ルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイトの内少なく
とも1種を含有することを特徴とする請求項5記載のイ
ンクジェット記録用紙。 - 【請求項7】光沢層が、エチレン性不飽和結合を有する
モノマーを重合させてなるガラス転移点が40℃以上の
重合体樹脂、またはエチレン性不飽和結合を有するモノ
マーを重合させてなるガラス転移点が40℃以上の重合
体樹脂とコロイダルシリカの複合体、を含有することを
特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載されたインク
ジェット記録用紙。 - 【請求項8】光沢層が、顔料と樹脂を含有し、顔料とし
て一次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、
二次粒子の平均粒子径が10nm以上300nm以下で
あるシリカ微細粒子を含有することを特徴とする請求項
1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。 - 【請求項9】必要に応じ下塗り層を設けた紙基材に、樹
脂を含有する塗液を塗工し、得られる塗工層が湿潤状態
にある間に、あるいは再湿潤した後に、加熱された鏡面
ドラムに圧接、乾燥して光沢層を設けた後、紙基材の裏
面にポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出しラミネート
法により設けることを特徴とするインクジェット記録用
紙の製造方法。
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