JPH11335761A - 表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
表面性状に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法Info
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- JPH11335761A JPH11335761A JP28024498A JP28024498A JPH11335761A JP H11335761 A JPH11335761 A JP H11335761A JP 28024498 A JP28024498 A JP 28024498A JP 28024498 A JP28024498 A JP 28024498A JP H11335761 A JPH11335761 A JP H11335761A
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Abstract
肌荒れが発生することなく、また板のエッチング特性に
も優れる様な、表面性状に優れたアルミニウム合金板、
およびその様なアルミニウム合金板を製造する為の有用
な方法を提供する。 【解決手段】 FeおよびSiを含有するアルミニウム
合金板であって、該合金の表面に現れている結晶の平均
粒径が100μm以下であると共に、同一結晶面を有す
る集合体サイズが圧延方向で10mm以下である。
Description
ル、日用品、厨房用品、平版印刷版用支持体等の素材と
して用いられる表面処理用アルミニウム合金板に関する
ものであり、殊に陽極酸化処理、研磨・研削、化学的ま
たは電気化学的なエッチング処理等の表面処理が施され
て使用されるアルミニウム合金板における表面性状を改
善する技術に関するものである。
純アルミニウム系合金板(Al純度が99.0%以上)
としては、JIS−1100、1200、1500等が
知られており、その特性としては表面性状が優れている
ことが要求される。そしてこうした表面性状を評価する
為の具体的な基準としては、表面にグレインストリー
ク等の欠陥が生じない程度に表面品質が優れていること
や、加工後の表面においてリビングマークや肌荒れが
発生しないこと、等が挙げられる。ここでグレインスト
リークとは、製品にアルマイト処理を施したときに表面
に生じる筋状欠陥であり、リビングマークとは製品に絞
り加工を施したときに圧延方向に沿って生じるしま状の
凹凸である。
製造方法としては、DC鋳造(半連続鋳造)した合金鋳
塊を、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍等の
工程によって、或は更に熱間圧延と冷間圧延の間に中間
焼鈍を入れた工程によって製造されるのが一般的であ
る。そして、こうした工程において上記,の様な要
求特性を満足させる為に、これまで様々な工夫がなされ
ている。
間圧延で生じる繊維状組織は焼鈍を行なうだけでは集合
組織として残存し、これがグレインストリーク発生の原
因となることが示されている。そして、熱間圧延のパス
とパスとの間で再結晶を起こさせて繊維状組織を消滅さ
せる方法において、熱間圧延の各パスの圧下量できるだ
け大きくすると共に圧延温度を上げることによって、グ
レインストリークの発生を防止できることが開示されて
いる。またその為の具体的な処理条件として、全圧下量
が50%を超えた後のパス間で300〜450℃の温度
で1分間以上保持する処理が行われている。
675号、同5−9674号および同4−23745号
等には、グレインストリークの発生原因について上記特
開昭64−31954号と同様の記載が認められるが、
その解決手段としては、熱延後に高冷延率を図ることや
焼鈍条件を工夫にすることが示されている。
°以上の曲げ加工、張り出し加工、絞り加工が行われる
ので、これらの用途に使用されるアルミニウム合金板
は、成形加工性や加工後の表面品質に優れていることが
必要であり、これらの特性を改善するには板材の結晶粒
径の微細化が必要であるとされている。また絞り加工時
に生じる肌荒は製品の再結晶粒径が大きいときに生じる
とされており、再結晶粒径を小さくすることは上記した
肌荒れを防止する上でも有用である。
状を改善するという観点からなされた技術として、例え
ば特開平5−320839号の技術も提案されており、
この技術では、化学成分組成を調整すると共に、最終冷
間圧延や最終焼鈍条件等を制御することによって結晶粒
径の微細化を達成することが開示されている。
いられる場合の様に、表面を研磨・研削したり化学的ま
たは電気化学的なエッチング処理が施されて使用される
アルミニウム合金では、その研磨・研削むらやエッチン
グむらが生じるという問題がある。こうした問題を解決
する技術として、例えば特開平7−224339号に
は、結晶粒の寸法や形状を制御することが開示されてい
る。更に、アルミニウム板の板厚が薄いものが要求され
るにつれて、例えば1mm以下のものでは、板の強度と
して、強度不足や強度のバラツキという問題も生じるこ
とになる。
金板の表面性状については、要求される特性が益々厳し
くなる傾向にある。しかしながら、これまで提案されて
いる技術では、こうした要求に十分に対応できるアルミ
ニウム合金板を得ることができず、表面性状を更に改善
する技術の確立が望まれているのが実情である。
たものであって、その目的は、グレインストリーク、リ
ビングマークおよび肌荒れが発生することなく、また板
のエッチング均一性にも優れる様な、表面性状に優れた
アルミニウム合金板、およびその様なアルミニウム合金
板を製造する為の有用な方法を提供することにある。
のできた本発明に係るアルミニウム合金板は、Feおよ
びSiを含有するアルミニウム合金板であって、該合金
の表面に現われている結晶の平均粒径が100μm以下
であると共に、同一結晶面を有する集合体のサイズが、
圧延方向で10mm以下である点に要旨を有するもので
ある。またこのアルミニウム合金板においては、前記集
合体は、(100)面、(011)面、(112)面、
(123)面のいずれか1種の結晶面を前記表面に現わ
している結晶粒の集合体であることが好ましい。
は、工業純度の純アルミニウム系合金板を想定したもの
であり、基本的な成分として少量のFeおよびSiを含
有するものであるが、このFeおよびSiの含有量は、
夫々0.8質量%以下(0質量%を含まない)、0.5
質量%以下(0質量%を含まない)であることが好まし
い。また必要によって、下記(a)〜(d)の成分を含
有させることも有用であり、これによってアルミニウム
合金板の特性を更に改善することができる。
を含まない)および/またはB:0.1質量%以下(0
質量%を含まない)、 (b)Cu:0.5質量%以下(0質量%を含まない)
および/またはMn:0.5質量%以下(0質量%を含
まない) (c)Mg:0.5質量%以下(0質量%を含まない) (d)Cr:0.3質量%以下(0質量%を含まない)
および/またはZr:0.3質量%以下(0質量%を含
まない)
金を製造するに当たっては、鋳塊に均熱化処理を施した
後、圧延開始温度を450℃以下として開始パスから5
0m/分以上の圧延速度で、且つ圧下量30mm以上ま
たは1パス圧下率30%以上のどちらかを満足させつ
つ、終了温度を300〜370℃とする熱間粗圧延を行
なう様にすれば良い。
ム合金板における表面品質が不十分である原因につい
て、様々な角度から検討した。その結果、結晶面の分布
状態の制御が十分になされていなかったことが、表面性
状が悪化する原因であることを突き止めた。また本発明
者らが、結晶方位分布状態を種々に変化させ、グレイン
ストリークの発生の有無との関係について調査し、その
発生メカニズムを研究したところ、表面品質を悪化させ
ているのは、同一の結晶面が圧延方向に伸長した組織で
あることも分かった。これらの着想に基づいて、表面性
状を良好にする為の具体的手段について更に検討したと
ころ、上記した様な構成を採用すれば、上記目的が見事
に達成されることを見出し、本発明を完成した。
る。本発明のアルミニウム合金板においては、その表面
に現れている結晶の平均粒径が100μm以下である必
要がある。この値が100μmを超えると、エッチング
面質が粗くなるだけでなく、成形加工後の肌荒れの原因
になる。この結晶の平均粒径は、80μm以下であるこ
とが好ましい。
の集合体も何らかの形で関与していることも判明した。
この点に関して従来技術では、1つ1つの結晶粒径が5
0μm以下であれば良いとされているものもあるが、集
合体を分散させれば100μm程度までの結晶粒径でも
肌荒れを抑えた板の提供が可能である。尚本発明におけ
る「結晶粒径」とは、圧延直角方向でラインインターセ
プト法によって測定した値である。
体サイズ」とは、圧延方向に伸長した同一の結晶面(こ
の点については後述する)を持つ集合体について、実体
顕微鏡若しくはミクロ組織観察により1×1mm2 当た
りの同一結晶面の割合が、面積率で30%以下になった
とき、集合体の端とみなし、その間の圧延方向の距離を
集合体サイズとする。これは、上記面積率が30%以下
であると、結晶方位が分散しており、外観でも筋模様と
いった外観不良を感じないからである。尚本発明におけ
る上記面積率とは、上記方法によって同一の結晶面を解
析し、同一の結晶方位の色分けを行ってこれを画像処理
して求めたものである。またこの面積率の好ましい上限
は、25%である。
体サイズは、圧延方向で10mm以下のときに表面の筋
模様やリビングマーク等の発生を防止することができ
る。この集合体サイズが10mmよりも大きくなると、
エッチングむらやストリーク等の外観不良を生じる。集
合体サイズは、好ましくは、9mm以下、より好ましく
は8mm以下とするのが良い。尚この様な集合体の生成
は、圧延後の加工組織でも、焼鈍後の部分再結晶組織や
再結晶組織でも生じる。
ける結晶面とその集合組織を特定することを好ましい構
成とするものであるが、次にこれらの概念について説明
する。通常のアルミニウム合金板においては、Cube
方位、Goss方位、Brass方位、Copper方
位、S方位と呼ばれる集合組織を形成し、それらに応じ
た結晶面が存在する。ここで、集合組織のでき方は同じ
結晶系でも加工法によって異なり、圧延による板材の場
合には圧延面と圧延方向で表す必要がある。圧延面は
{○○○}で表現され、圧延方向は〈△△△〉で表現さ
れる(○,△は整数を示す)。かかる表現方法に基づい
て、各方位は下記の様に表わされる。 Cube方位 {001}〈100〉 Goss方位 {011}〈100〉 Brass方位 {011}〈211〉 Copper方位 {112}〈111〉 S方位 {123}〈634〉
度が異なり、板面内の分布状態が変化すると表面の凹凸
が変化し、表面性状が悪化するものと考えられる。尚本
発明においては、基本的にこれらの結晶面から±20°
以内の方位のずれは、同一の結晶面に属するものと定義
する。
の同定は、TEM(Transmission Electron Microscop
y) による電子線解析法、SEM(Scanning Electron M
icroscopy)-ECP (Electron Channeling Pattern )
法、或はSEM- EBSP( Electron Back Scattering
Pattern )等を用いて調査できる。またマクロ組織、光
学顕微鏡の偏光観察によるミクロ組織を上記方法と組み
合わせ、広範囲の観察を行い、個々の結晶粒組織につき
上記方法によって結晶面を特定することにより、広範囲
の結晶方位分布を調査できる。尚光学顕微鏡の偏光観察
では、結晶面は特定できないが、同一の結晶面同士は同
様のコントラストで見える為、マクロ的な分布状態を見
るのには有効な方法である。
説明する。グレインストリークとは、前述の如く圧延方
向に対してほぼ平行に伸長した筋模様として見られる組
織である。本発明者らが、光学顕微鏡の偏光観察による
ミクロ組織と筋模様の有無との関係について検討したと
ころ、次のことが明らかになった。まず筋模様が顕著に
現れている箇所においては、コントラストの同様な結晶
粒が、圧延方向へ伸びている様子が認められた。これに
対して、筋模様が顕著に現れていない箇所においては、
同様なコントラストを持つ粒の圧延方向への伸長が明瞭
には認められず、またコントラストの異なる粒が混在し
ており、結晶面が分散していることが判明した。
るのは、同一の結晶面の集合体が原因である。そこで、
これら筋模様に見える原因を上記方法、例えばSEM−
EBSPによって詳細に結晶面観察を行うと、存在して
いる結晶面が、(100)面、(011)面、(11
2)面または(123)面が大半であることが判明し
た。
筋状集合組織中には、厳密には同一結晶面だけでなく、
いくつかの他の結晶面も混在している集合体であること
が分かる。しかしながら、こうした集合体のうち、グレ
インストリークといった表面外観不良を生じるさせるの
は、前述した様な特定の集合体であることが分かった。
しか生じない場合、例えば単結晶の様に板全体に単一の
結晶面である場合には、エッチングは均一に起こるの
で、エッチングむらやグレインストリークという現象は
生じない。即ち、エッチングむらやグレインストリーク
等の現象が生じるのは、2種類以上の結晶方位が混在す
る場合である。しかしながら、建築用や日用品等に用い
られる純アルミニウム系合金板では、強度、成形性もま
たその特性として求められるので、多結晶組織や圧延組
織であるのが一般的であり、上記の様ないくつかの結晶
面が存在することになる。
JIS−1100、1200等の様にAl純度が99.
0%以上の純アルミニウム系合金を想定したものであ
り、基本的な成分として少量のFeおよびSiを含有す
るものであるが、その他必要によって下記(a)〜
(d)の様な元素を添加することも有効である。これら
の元素の範囲限定理由は下記に示す通りである。
を含まない)および/またはB:0.1質量%以下(0
質量%を含まない)、 (b)Cu:0.5質量%以下(0質量%を含まない)
および/またはMn:0.5質量%以下(0質量%を含
まない) (c)Mg:0.5質量%以下(0質量%を含まない) (d)Cr:0.3質量%以下(0質量%を含まない)
および/またはZr:0.3質量%以下(0質量%を含
まない)
ない)およびSi:0.5質量%以下(0質量%を含ま
ない) Feは製品の焼鈍時に生じる再結晶粒を微細化するのに
有効に作用し、成形性の向上と肌荒れの防止に効果的で
ある。しかしながら、その量が0.8質量%を超えると
その効果がなくなってしまう。尚Fe含有量の好ましい
下限は0.003質量%であり、好ましい上限は0.7
質量%である。
(限界絞り値)等の形成性を向上させるのに有効であ
る。しかしながら、0.5質量%を超えて添加しても成
形性の向上が望めないばかりか、Al−Fe−Si系の
金属間化合物を生じ、加えてアルマイト色調むらが生じ
易くなる。尚Si含有量の好ましい下限は0.003質
量%であり、好ましい上限は0.4質量%である。
ない)および/またはB::0.1質量%以下(0質量
%を含まない) TiおよびBは、鋳造組織の微細化や圧延板の再結晶粒
微細化に有効に作用する。しかしながら、いずれも0.
1質量%を超えて含有させても上記効果が飽和するばか
りでなく、粗大なAl−Ti系化合物を形成してその化
合物が圧延板に筋状に分布して陽極酸化処理皮膜に欠陥
を与えることにもなる。尚Ti添加は、Ti単独だけで
はなく、Ti−B複合化合物として添加する方法もある
が、この場合でも上記範囲に調整することに変わりがな
い。またTiおよびBの好ましい下限は、いずれも0.
0001質量%であり、好ましい上限はいずれも0.0
9質量%である。
ない)および/またはMn:0.5質量%以下(0質量
%を含まない) CuとMnは、絞り加工性や耳率のばらつきを安定さ
せ、成形性を向上させる作用を発揮する。またCuは強
度向上にも寄与する元素である。しかしながら、その量
がいずれも0.5質量%を超えるとその効果が飽和す
る。尚CuおよびMnの好ましい下限は、いずれも0.
0001質量%であり、好ましい上限はいずれも0.4
質量%である。
ない) Mgは、強度向上に寄与する元素であるが、その量が
0.5質量%を超えるとその効果が飽和する。尚Mgの
好ましい下限は、0.0001質量%であり、好ましい
上限は0.4質量%である。
ない)および/またはZr:0.3質量%以下(0質量
%を含まない) CrとZrは、結晶粒の安定化に寄与する元素である
が、その量がいずれも0.3質量%を超えるとその効果
が飽和する。尚CrおよびZrの好ましい下限は、いず
れも0.0001質量%であり、好ましい上限はいずれ
も0.2質量%である。
上記以外の添加元素として或は不可避不純物として、夫
々0.05質量%以下で且つ合計で0.15質量%以下
であれば、それらの元素は本発明の特性には影響を及ぼ
さないので添加されても構わない。こうした成分とし
て、Zn,Ni,V,Be,Bi,Sn,Pb,Ga等
が挙げられる。
ウム合金板を製造する方法について説明する。まず本発
明に用いる合金鋳塊は通常のDC鋳造法によって製造さ
れたもので良い。この合金鋳塊は均熱化処理が施される
が、均熱化処理は面削後に熱間圧延前の加熱を兼ねて行
っても良いし、均質化処理として熱間圧延の加熱の前に
行っても良い。尚予め均質化処理を行い、その後面削し
て再加熱した後熱間圧延を行うと、圧延前の鋳塊表面の
酸化皮膜が少なくなるので表面品質の向上に効果的であ
る。
とからなるが、これらは夫々異なった圧延機で行うこと
が必要である。即ち、本発明は粗圧延開始から終了ま
で、仕上げ圧延に移行する間に再結晶を制御し、グレイ
ンストリークとリビングマークの発生を抑えるものであ
り、その為には熱間粗圧延と熱間仕上げ圧延を夫々異な
った圧延機で行うのが好都合だからである。
は、熱間粗圧延の開始温度を450℃以下とし、開始パ
ス条件より50m/min以上の圧延速度と共に、圧下
量30mm以上とするかまたは1パス圧下率を30%以
上とするかのどちらかを満足する圧延を行ない、終了温
度を300〜370℃とする。
て、グレインストリークやリビングマーク等の発生を防
止することができる。またピックアップレベルの向上や
製品特性のコイル内ばらつきを少なくする効果も発揮さ
せることができる。更に、後工程で焼鈍−冷延、冷延の
みの低コスト工程で表面性状の優れたアルミニウム合金
板を実現できる。
圧延に開始条件から制御し、本質的な改善を試みたもの
であるが、上記の熱間粗圧延条件によって特性が向上す
る理由については、次の様に考えることができる。
粗圧延時の結晶粒径の微細化が必要である。この点に関
して従来技術では、最終パス付近の温度や圧下率の制御
によって達成されていたが、本発明では更に粗圧延の開
始条件からの制御によって、結晶方位状態を分散させる
ことに成功したのである。また本発明は熱間圧延開始か
らの組織微細化を図るものであるので、熱延中の析出も
均一に生じ、ロット内での特性のばらつき低減にも大き
な効果を示すことになる。
延前半で同一の結晶面の集合体を生成して好ましくな
い。より好ましくは、430℃以下とするのが良い。即
ち、圧延開始温度を450℃以下とするのは、表層部に
微細な再結晶粒を生じさせてグレインストリークやピッ
クアップレベルを向上させる為である。
min以上とする必要がある。圧延速度が50m/分未
満となると、圧延時の表面部に導入される歪みや歪速度
が小さくなり、パス間に生じる再結晶粒径が粗大化し、
同一結晶方位の集合体の元を形成してしまうことにな
る。この圧延速度は、より好ましくは60m/分以上と
することが推奨される。
または1パスの圧下率:30%以上の少なくともどちら
かを満足させる必要がある。これらの要件は、表面部に
大きな歪みまたは歪速度で加工を施すことによって結晶
方位を分散させるという観点から重要である。こうした
条件は、圧延開始から終了まで満足させる必要がある。
これらの条件のより好ましい範囲は、圧下量:40mm
以上、1パスの圧下率:35%以上である。尚各圧延パ
スの圧下率とは、1回の圧延パス前後の板厚を夫々t
n , tn+1 としたとき、{(tn −tn+1 )/tn }×
100(%)で表したものである。
る必要がある。この温度が300℃未満になると、表面
部で微細な再結晶粒が生じず、または部分再結晶組織と
なって、同一結晶面の集合体が生成してしまうことにな
る。一方、この温度が370℃を超えると、結晶粒成長
や粒界移動等によって同一結晶面が成長してしまい、好
ましくない。この温度のより好ましい下限は310℃で
あり、より好ましい上限は360℃である。またこの様
な温度制御は、最終パスの速度やパス後の水冷制御によ
って達成することができる。
に要求される板厚や強度の面からして、冷間圧延材や再
結晶焼鈍材と様々なものとなる。従来技術では、後工程
で冷間圧延・焼鈍の工程を2回行う等、その工程数を増
やす程グレインストリークやリビングマーク等の発生を
回避する方法が採用されているが、これらの方法であれ
ば表面品質は確かに良好になるのであるが、工程数を増
やせば増やす程コスト高となり、好ましくない。
適切にすることによって組織が根本的に制御されている
ので、熱延後の後工程が焼鈍−冷間圧延、または冷間圧
延のみ、更には仕上げ圧延ままといった低コスト工程に
おいても、表面性状の優れたアルミニウム合金板の提供
を可能にする。
冷間圧延のみの場合、若しくは仕上げ圧延板ままの場合
は、仕上げ圧延後の表面部を再結晶させた方が優れた表
面性状となるので、再結晶を起こさせる温度とする必要
がある。こうした観点から、仕上げ圧延温度(巻取り温
度)は少なくとも280℃以上とする必要があるが、よ
り好ましくは300℃以上とするのが良い。こうした条
件を満足させることによって、後工程の焼鈍工程を省略
しても、優れた表面性状のアルミニウム合金板が実現で
き、またコスト的にも有利である。
延後に焼鈍工程が必要な場合には、仕上げ圧延後は加工
組織であることが好ましい。部分再結晶粒等が生じる
と、冷延時や焼鈍後に不均一組織となり、同一結晶方位
群の生成につながる。即ち、仕上げ圧延条件は、後工程
に応じて適正化する必要がある。
板厚によって定まるが、本発明の冷間圧延条件を実施で
きる板厚であれば良く、通常の適用される製品板厚1〜
6mm程度に対して通常2.5〜12mm程度である。
に再結晶を生じる温度であれば、得に限定されるもので
はないが、過度の焼鈍は結晶粒成長や粒界移動による同
一結晶面の成長が起こり、集合体を生成してしまうこと
になる。通常、徐加熱焼鈍になるバッチ式の焼鈍であれ
ば、300〜450℃で0.5〜6時間程度であれば良
いし、連続式の焼鈍であれば430〜580℃で0.3
〜60秒程度であれば良い。但し、低コストであるとい
う観点からすれば、バッチ焼鈍であることが好ましい。
説明するが、下記の実施例は本発明を限定する性質のも
のではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更すること
はいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
のDC鋳造によって厚さ:50mm,幅:1500mm
の鋳塊を鋳造した。
(610℃×4時間)を施した後、面削、または面削の
後に再度均質化処理を施し、その後熱間圧延に供する為
に、加熱または炉冷して下記表2に示す様な熱間圧延条
件を変えて、アルミニウム合金板(コイル)を得た。ま
た表3には、熱間後の工程・条件と共に、下記の方法に
よって測定した結晶粒径、および同一結晶面の集合体の
サイズ等についても示した。
mmまで機械研磨した後、電解エッチングし、光学顕微
鏡(偏光板使用)を用いて観察し、圧延直角方向でライ
ンインターセプト法にて結晶粒径粒を測定した。
面に王水エッチングを施した面を実態顕微鏡で観察し、
暗く見える部分をマークし、大凡の筋をマークする。そ
の後、同一結晶面の確認には、板表面部電解研磨を施し
た後、SEM−EPSP法により行った。同一結晶面
(100)、(011)、(112)、(123)面の
夫々の解析を行い、同一結晶面を色分けし、画像解析に
より、1×1mm2 当たりの面積率を求め、30%以上
ある箇所間の圧延方向への長さ5〜10点の測定を行
い、その平均を集合体のサイズとした。
部での幅方向の端部と中心の夫々について、グレインス
リトーク、リビングマーク、肌荒れ等の特性について、
下記の方法で調査した。これらの結果を、下記表4に示
す。
ついては、板を王水でエッチングした後に目視でその表
面性状を観察し、下記の基準で評価した。またリビング
マークおよび肌荒れについては、ブランク径:61m
m、ポンチ径:33mmでカップを絞った後、目視でそ
の表面性状を観察し、下記の基準で評価した。 (1) グレインストリーク、エッチングむら ◎:良好、 ○:可、 △:悪い、 ×:非常に悪い (2) リビングマークおよび肌荒れ ◎:発生なし、 ○:軽度に発生、 △:発生、 ×:
強く発生
後、610℃×4時間の条件で均質化処理を施した後、
熱間圧延で3.5mm厚さの板とし、40%冷延後2m
m厚さの板材にした。尚表4には、上記と同様にして測
定した結晶粒径、および同一結晶面の集合体のサイズ等
についても示した。
部での幅方向の端部と中心の夫々について、グレインス
トリーク、リビングマーク、肌荒れ等の特性について調
査した。これらの結果を、下記表6に示す。
規定する要件を満足する実施例のものは、グレインスト
リーク、エッチング特性に優れ、絞り加工においてリビ
ングマークや肌荒れ等が生じずに、表面性状に優れてい
ることが分かる。
レインストリーク等の特性に優れ、絞り加工においてリ
ビングマークや肌荒れ等が生じることなく、また板のエ
ッチング均一性にも優れ、しかもそれら特性のコイル内
でのばらつきが少ない表面処理用アルミニウム合金が実
現できた。
Claims (8)
- 【請求項1】 FeおよびSiを含有するアルミニウム
合金板であって、該合金の表面に現われている結晶の平
均粒径が100μm以下であると共に、同一結晶面を有
する集合体のサイズが、圧延方向で10mm以下である
ことを特徴とする表面性状に優れたアルミニウム合金
板。 - 【請求項2】 前記集合体は、(100)面、(01
1)面、(112)面、(123)面のいずれか1種の
結晶面を前記表面に現わしている結晶粒の集合体である
請求項1に記載のアルミニウム合金板。 - 【請求項3】 Feの含有量が0.8質量%以下(0質
量%を含まない)であり、Siの含有量が0.5質量%
以下(0質量%を含まない)である請求項1または2に
記載のアルミニウム合金板。 - 【請求項4】 更に他の元素として、Ti:0.1質量
%以下(0質量%を含まない)および/またはB:0.
1質量%以下(0質量%を含まない)を含有するもので
ある請求項3に記載のアルミニウム合金板。 - 【請求項5】 更に他の元素として、Cu:0.5質量
%以下(0質量%を含まない)および/またはMn:
0.5質量%以下(0質量%を含まない)を含有するも
のである請求項3または4に記載のアルミニウム合金
板。 - 【請求項6】 更に他の元素として、Mg:0.5質量
%以下(0質量%を含まない)を含有するものである請
求項3〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金板。 - 【請求項7】 更に他の元素として、Cr:0.3質量
%以下(0質量%を含まない)および/またはZr:
0.3質量%以下(0質量%を含まない)を含有するも
のである請求項3〜6のいずれかに記載のアルミニウム
合金板。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のアルミ
ニウム合金を製造するに当たり、鋳塊に均熱化処理を施
した後、圧延開始温度を450℃以下として開始パスか
ら50m/分以上の圧延速度で、且つ圧下量30mm以
上または1パス圧下率30%以上のどちらかを満足させ
つつ、終了温度を300〜370℃とする熱間粗圧延を
行なうことを特徴とする表面性状に優れたアルミニウム
合金板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002241878A (ja) * | 2001-02-09 | 2002-08-28 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 平版印刷版用アルミニウム合金材および平版印刷版 |
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-
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