JPH1133290A - 電気洗濯機及び電動機速度制御装置 - Google Patents

電気洗濯機及び電動機速度制御装置

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JPH1133290A
JPH1133290A JP9192431A JP19243197A JPH1133290A JP H1133290 A JPH1133290 A JP H1133290A JP 9192431 A JP9192431 A JP 9192431A JP 19243197 A JP19243197 A JP 19243197A JP H1133290 A JPH1133290 A JP H1133290A
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JP
Japan
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rotation speed
zero
phase
induction motor
cross timing
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Application number
JP9192431A
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English (en)
Inventor
Gichu Ota
義注 太田
Toshifumi Koike
敏文 小池
Hisamitsu Gomita
寿光 五味田
Isao Hiyama
功 桧山
Masao Watanabe
雅生 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Accessory Of Washing/Drying Machine, Commercial Washing/Drying Machine, Other Washing/Drying Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】単相誘導電動機を用いた電気洗濯機の速度検出
および制御を安価な構成で実現する。 【解決手段】単相誘導電動機8の主コイル8mと進相用
コンデンサ8cの端子電圧のゼロクロスタイミングをゼ
ロクロスタイミング検出回路43,44により測定し、
その位相差に基づいて回転速度を求め、電動機への通断
電制御することにより一定速度制御を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気洗濯機および電
動機速度制御装置に係り、特に洗濯用の攪拌翼または脱
水用の洗濯兼脱水槽(以下、脱水槽という)を単相誘導
電動機により回転駆動するようにした電気洗濯機におけ
る前記単相誘導電動機の回転速度(毎分回転数)の検出
および検出した回転速度に基づく回転速度制御に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気洗濯機においては、攪拌翼または脱
水槽を回転駆動する電動機の回転速度を可変制御するこ
とにより、洗濯物の種類に応じて最適な洗濯水流を生成
したり、商用電源の周波数が異なっても脱水槽の脱水回
転速度を所定値に合わせたり、しわが付き易い衣類の脱
水ではその脱水回転速度を下げてしわの発生を防止する
ように構成したものがある。このような電気洗濯機にお
いて、、電動機の回転速度を検出する方式およびこの検
出した回転速度に基づき電動機を可変速制御する方式と
して種々のものが提案されている。
【0003】例えば、特開平5−269289号公報に
記載されているように、電動機として単相誘導電動機を
用い、この電動機の回転速度をホール素子を使用した回
転速度検出手段で検出し、検出した回転速度に基づいて
電動機の主コイルおよび補助コイルへの通電を制御して
電動機の回転速度を可変するものがある。
【0004】一方、ベクトル制御を採用する電動機制御
装置では、速度検出器を使用することなく1次周波数と
すべり周波数に基づいて回転速度を検出する制御方法を
採用したものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】電気洗濯機の制御装置
において、電動機の回転速度を検出するためにホール素
子等で構成する回転速度検出手段は、電動機への組み付
けが複雑であるために、製造コストが高くなるという問
題がある。
【0006】また、この電気洗濯機を駆動する電動機
は、一般的には、コンデンサ分相型の単相誘導電動機を
使用しており、その速度制御も給電を電圧波形単位で断
続するだけの単純な制御方法が実用的であるので、ベク
トル制御におけるような高度な制御方法を採用すること
は困難である。
【0007】更に、主回路(主コイル)あるいは補助回
路(補助コイル)の片方のみに通電して運転するような
場合には電動機の効率を著しく低下させるために該電動
機の温度が過度に上昇してしまうという問題がある。
【0008】本発明の目的は、安価な速度検出装置によ
って回転速度を検出して制御することができる電気洗濯
機を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、単相誘導電動機を使
用する家庭電気品における安価な回転速度検出装置およ
び回転速度制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、脱水槽または
洗濯兼脱水槽と、撹拌翼と、前記脱水槽および撹拌翼を
駆動するコンデンサ分相型の単相誘導電動機とを備えた
電気洗濯機において、前記単相誘導電動機の主回路およ
び補助回路の電流あるいは電圧のゼロクロスタイミング
を計測してその位相差を検出し、この位相差に基づいて
単相誘導電動機の回転速度情報を求める計測演算手段
と、求めた回転速度情報に基づいて前記単相誘導電動機
への通電を制御する通電制御手段を設けたことを特徴と
する。
【0011】コンデンサ分相型の誘導電動機における主
回路と補助回路の電流あるいは電圧の位相差は、回転速
度と所定の関係で変化する。従って、主回路および補助
回路の電流あるいは電圧のゼロクロスタイミングに基づ
いて回転速度情報を求めることができる。
【0012】また、このような電気洗濯機における洗濯
物の布量検出は、撹拌翼の惰性回転時の減衰特性を計測
することによって求めることができる。本発明は、前記
単相誘導電動機の惰性回転時に該分相回路を構成する進
相コンデンサの端子電圧のゼロクロスタイミングを示す
検出信号に基づいて前記減衰特性を測定して洗濯物の布
量を求めるようにした。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0014】図1は、本発明になる全自動電気洗濯機の
実施形態を示す縦断側面図である。鋼鈑製の外枠1内に
は、吊り棒2およびコイルバネや弾性ゴムからなる防振
装置3によって合成樹脂製の外槽4を吊架している。4
組の吊り棒2および防振装置3は、外枠1の上部の4隅
から吊り下げるように支持する。洗濯する水を溜める前
記外槽4内には、ステンレス製の洗濯兼脱水槽5を回転
自在に設ける。洗濯兼脱水槽5の側壁には多数の脱水孔
5aを設け、中央底部には撹拌翼6を回転可能に設け
る。洗いおよびすすぎ工程では洗濯兼脱水槽5を静止さ
せ、撹拌翼6を時計方向(正)および反時計方向(逆)
に交互に回転させる。また、脱水工程では洗濯兼脱水槽
5を一方向に回転させる。撹拌翼6および洗濯兼脱水槽
5の回転は前記外槽4の底部外側に設けた駆動装置7に
より行う。
【0015】駆動装置7は、電動機8とこの電動機8の
回転を撹拌翼6あるいは洗濯兼脱水槽5に伝達するため
のプーリ9aやベルト9bからなる伝達手段9と、洗い
およびすすぎ工程時に撹拌翼6のみを回転させ、脱水工
程では洗濯兼脱水槽5を回転させるためのクラッチ装置
10とその切り替えを行うクラッチソレノイド(図2に
参照符号10aを付して図示)と、排水を行う排水電磁
弁12を備える。
【0016】このような駆動装置7は、鋼鈑製の支持板
14を用いて外槽4の底面外側に固定する。また、外槽
4には該外槽内の水圧を水位センサ13に伝達するチュ
ーブ11を接続する導入口4cを設ける。
【0017】外枠1の上部には、洗濯物を投入する投入
口16aと、給水電磁弁15等を収納する後部収納箱1
6bと、マイコン(マイクロコンピュータ)等の電気部
品を収納する前部操作箱16cを形成したトップカバー
16を設ける。投入口16aには、合成樹脂製の蓋17
を設ける。
【0018】前部操作箱16cの上面には操作パネル1
8を取り付け、その下にはマイコン等を内蔵した制御部
30を設ける。また、前部操作箱16c内には、外槽4
内の水圧を検出することにより該外槽4内の水位を判定
する前記水位センサ13を設置する。操作パネル18に
は、電源スイッチ19,表示器20,操作ボタン21お
よびブザー(図2に参照符号22を付して図示)を配置
し、使用者が操作ボタン21を操作して洗濯機の運転を
指示し、また、その動作状態を表示器20およびブザー
22で報知して確認できるようにしている。
【0019】図2は、マイクロコンピュータを中心にし
て構成した前記制御部30のブロック図である。
【0020】商用電源31から電源スイッチ19を介し
て給電を受ける制御部30は、降圧トランス32によっ
て低電圧から電源回路33によって制御用電源を生成す
る。洗濯制御処理を司るマイクロコンピュータ34は、
水位センサ13から入力する水位検出信号と操作ボタン
21から操作ボタン入力回路35を介して入力する設定
信号および電動機制御回路36から入力するゼロクロス
タイミング検出信号に基づいて洗濯制御処理を実行し、
駆動回路37,38を介して給水電磁弁15および排水
電磁弁12を制御し、駆動回路39を介してクラッチソ
レノイド10aを制御し、電動機制御回路36を介して
電動機8を制御し、また、表示器20およびブザー22
を制御する。
【0021】図3は、本発明になる前記全自動電気洗濯
機における電動機8と電動機制御回路36とマイコン3
4の連係関係を示すブロック図である。電動機制御回路
36は、電動機8に対する給電断続機能と該電動機8の
回転速度を検出するために主回路電圧および補助回路電
圧のゼロクロスタイミングを検出する検出機能を備え
る。
【0022】電動機8はコンデンサ分相型の単相誘導電
動機である。8mは主コイル、8aは補助コイル、8c
は進相用コンデンサである。進相用コンデンサ8cは、
主コイル8mと補助コイル8aに流れる電流に位相差を
発生させることにより回転磁界を発生させ、回転子を回
転させる。
【0023】電動機制御回路36において、マイコン3
4に制御されて選択的にオン/オフ状態となる双方向性
3端子サイリスタ41,42は、主コイル8mまたは補
助コイル8aに電源電圧を供給する。双方向性3端子サ
イリスタ41がオン状態となって主コイル8mに電源電
圧を供給しているときには、補助コイル8aには、進相
用コンデンサ8cを介して電源電圧が供給され、回転子
は正方向に回転する。そして、双方向性3端子サイリス
タ42がオン状態となって補助コイル8aに電源電圧を
供給しているときには、主コイル8mには、進相用コン
デンサ8cを介して電源電圧が供給され、回転子は逆方
向に回転する。
【0024】また、電動機制御回路36において、ゼロ
クロスタイミング検出回路43,44は、それぞれ、双
方向性フォトカプラ45,46を使用して構成する。こ
の双方向性フォトカプラ45,46は、保護抵抗47,
48を介して検出電圧発生回路に逆並列に接続した発光
ダイオードの発光に感応するフォトトランジスタによっ
て検出信号を出力する構成である。ゼロクロスタイミン
グ検出回路43は、商用電源電圧のゼロクロスタイミン
グを検出するように接続し、ゼロクロスタイミング検出
回路44は、進相用コンデンサ8cの端子電圧のゼロク
ロスタイミングを検出するように接続している。因み
に、このようなゼロクロスタイミング検出回路は、特開
昭63−206283号公報や特開平7−255993
号公報に開示されている。
【0025】洗濯兼脱水槽5に洗濯物が投入され、洗濯
開始の操作ボタン21が押されると、マイコン34は、
洗濯物の量を検出するための洗濯布量検出運転制御を行
う。この洗濯布量検出運転制御では、洗濯水の量を変え
ながら撹拌翼6を断続的に回転させるように電動機8に
給電し、断電時の惰性回転速度の減衰特性を測定するこ
とにより、洗濯物の量を検出する。断電時には、電動機
8の主コイル8mおよび補助コイル8aは、惰性回転速
度に応じた周期の逆起電圧を発生する。従って、この逆
起電圧の発生周期を測定することにより惰性回転速度の
減衰特性を検出することができる。惰性回転時に主コイ
ル8mおよび補助コイル8aに発生する逆起電圧は、進
相用コンデンサ8cの端子電圧として現れるので、電動
機制御回路36に設けたゼロクロスタイミング検出回路
44から出力されるゼロクロスタイミング検出信号は、
電動機8の惰性回転速度に応じた周期となる。
【0026】マイコン34は、電動機8への給電が断た
れて惰性回転しているときのゼロクロスタイミング検出
回路44からのゼロクロスタイミング検出信号を取り込
んで惰性回転速度を検出する。そして、惰性回転速度の
減衰特性に基づいて洗濯物の布量を検出し、その後の洗
濯工程における制御に反映させる。
【0027】洗いおよびすすぎ工程では、マイコン34
は、電動機制御回路36における双方向性3端子サイリ
スタ41,42を交互にオン/オフさせることにより電
動機8への給電を制御して撹拌翼6を所定の周期で正回
転および逆回転させる。正回転させるときには双方向性
3端子サイリスタ41をオン、双方向性3端子サイリス
タ42をオフの状態とする。逆回転させるときには、反
対に、双方向性3端子サイリスタ42をオフ、双方向性
3端子サイリスタ42をオンの状態とする。正逆回転で
同じトルクを得るために、主コイル8mと補助コイル8
aはほば同じ線種で同じ回数巻かれている。つまり、正
回転時には、文字通り、主コイル8mが主コイル、補助
コイル8aが補助コイルとして機能するが、逆回転時に
は、立場を変えて、補助コイル8aが主コイル、主コイ
ル8mが補助コイルとして機能する。
【0028】脱水工程は、洗濯兼脱水槽5を正方向に高
速回転させて行うように、双方向性3端子サイリスタ4
1をオン、双方向性3端子サイリスタ42をオフの状態
とする。双方向性3端子サイリスタ41,42のオン/
オフ制御は、そのゲート端子にマイコン34の出力ポー
トからゲート制御信号を供給して行う。
【0029】この脱水工程において、マイコン34は、
電動機8の回転速度検出のために、ゼロクロスタイミン
グ検出回路43,44からのゼロクロスタイミング検出
信号を取り込む。ゼロクロスタイミング検出回路43は
商用電源31からの電源電圧のゼロクロスタイミングを
示す検出信号を出力し、ゼロクロスタイミング検出回路
44は、進相用コンデンサ8cの電圧のゼロクロスタイ
ミングを示す検出信号を出力するこの脱水工程におい
て、ゼロクロスタイミング検出回路43は、商用電源3
1から供給される電圧波形の周期に同期した矩形パルス
電圧を発生する。この矩形パルス電圧は、商用電源電圧
波形のゼロクロスタイミングでハイレベルとなる電源電
圧ゼロクロスタイミング検出信号となる。図4に示すよ
うに、前後する2つの電源電圧ゼロクロスタイミング検
出信号の発生周期は、商用電源電圧の1サイクルに相当
し、その発生周期は、50Hz商用電源では20mse
cであり、60Hz商用電源では16.7msecであ
る。
【0030】ゼロクロスタイミング検出回路44は、進
相用コンデンサ8cの端子電圧波形(主コイル8mに印
加される商用電源電圧と補助コイル8aに印加される電
圧の差となる)の周期に同期した矩形パルス電圧を発生
する。主コイル8mが商用電源31から直接給電されて
いるときには、図4に示すように、電源電圧ゼロクロス
タイミング検出信号と同じ周期で位相が進んだものとな
る。
【0031】単相誘導電動機の回転速度Nは、電源周波
数Fとコイル極数PおよびすべりSを用いて(数1)で
表される。
【0032】
【数1】
【0033】図5は、4極単相誘導電動機の回転速度ト
ルク特性の一例をすべりSと共に示している。周波数5
0Hzの商用電源で4極単相誘導電動機を駆動すれば、
電源投入と同時に回転を始めるが、当初はすべりSが大
きく、回転速度は低い。徐々にすべりSは小さくなり回
転速度が上昇し、ある程度時間が経つと負荷量に応じた
一定回転速度N(負荷曲線とトルク特性との交点P1で
示される回転速度)に達する。負荷が無い、すなわちす
べりS=0のときの回転速度は、同期回転速度Nsと呼
ばれ、(数1)から1500rpmである。通常は、す
べりSが0.1程度あるために、N=1300〜140
0rpmとなる。つまり、すべりSは同期回転速度Ns
(S=0とした)と実際の回転速度Nの比で定義される
ものである。
【0034】図6は、主コイルと補助コイルが同一巻き
数の単相誘導電動機の等価回路を示している。実際に
は、この等価回路は、同一電源に接続されるので(Em
=Es)、主コイルと補助コイルの電流はそれぞれ(数
2)および(数3)で表される。
【0035】
【数2】
【0036】
【数3】
【0037】(数2)および(数3)から、主コイルと
補助コイルの間の電流位相差角φは(数4)となる。位
相差角φは、すべりSの関数である。これは、すべりS
が主コイルと補助コイルの電流位相差φでも表されるこ
とを意味する。
【0038】
【数4】
【0039】(数4)から位相差角φを計測すれば、す
べりSを得ることができ、そして、このすべりSから
(数1)により回転速度Nを得ることができる。
【0040】位相差角φは、この実施形態では、2つの
ゼロクロスタイミング検出回路43,44から出力され
るゼロクロスタイミング検出信号の位相時間差に基づい
て取得する。図4に示すように、ゼロクロスタイミング
検出回路43が検出する電源電圧(主コイル8mの端子
電圧)のゼロクロスタイミングtmとゼロクロスタイミ
ング検出回路44が検出するゼロクロスタイミングta
の時間差t=tm−taを計測する。図7は、この時間
差tと脱水槽5の回転速度N1の関係の一例を示してい
る。電動機8はプーリ9aとベルト9bを介して脱水槽
5を回転させているために、電動機8の回転速度Nと脱
水槽5の回転速度N1は、N=aN1(a:定数)の関
係にある。時間差tと脱水槽回転速度N1は、800r
pm近くまで比例関係にあることがわかる。
【0041】脱水工程において、マイコン34により脱
水槽回転数を検出する方法を説明する。洗濯工程が進行
し、または操作ボタン21によって選択されて脱水工程
になると、制御部23のマイコン34は、クラッチ装置
10のソレノイド10aに通電することにより、電動機
8の回転を洗濯兼脱水槽5に伝達するようにする。そし
て、双方向性3端子サイリスタ41をオン状態にして電
動機8に電源電圧を供給して運転状態にする。同時に、
マイコン34は、ゼロクロスタイミング検出回路43か
ら電源電圧のゼロクロスタイミングtmとゼロクロスタ
イミング検出回路44からの進相用コンデンサ8cの端
子電圧のゼロクロスタイミングtaの検出信号を得る。
マイコン34には、図7に示すような脱水槽回転速度N
1と時間差tの関係を予め実験的に求めてテーブルの形
あるいは数式の形で記憶させておく。マイコン34は、
ゼロクロスタイミングtmとtaの差を演算して、前記
テーブルを検索することで脱水槽回転速度N1を得る。
このようにして電源電圧の1/2周期(50Hzの場合
は10ms)毎に回転速度を検出する。商用電源31
は、多少の電圧および周波数の変動があるために、電源
電圧の1/2周期毎に回転速度を得るのではなく、1/
2周期毎の時間差t=tm−taをある回数累積記憶し
て、この回数の平均値から回転速度を求めるのが好まし
い。例えば、10回の平均時間差から回転速度を求める
ようにすれば、電源電圧の周波数が50Hzの場合に
は、100ms毎に正確な回転速度を検出することがで
きる。
【0042】このような回転速度検出は、洗いおよびす
すぎ工程においても同様に実施することができる。但
し、このときは、電動機8の回転をクラッチ装置10内
のギヤで減速して撹拌翼6に伝達していること、撹拌翼
6を正逆回転させるために双方向性3端子サイリスタ4
1,42を断電を挟んで交互にオンさせていることに注
意しなければならない。撹拌翼6の回転速度は、図7に
示したような特性を記憶したテーブルから得られる回転
速度をギヤの減速比で割り算することにより求めること
ができる。例えば、ギヤで1/10に減速する構成であ
れば、時間差tで得られた回転速度が600rpmであ
れば、これを10で割って60rpmを撹拌翼6の回転
速度とする。
【0043】そして、マイコン34は、このようにして
検出した脱水槽回転速度や撹拌翼回転速度を使用して、
洗濯兼脱水槽5および撹拌翼6の回転速度が所定の速度
範囲となるように電動機8をフィードバック制御する速
度制御処理を実行する。
【0044】このような速度検出手段によれば、全く異
なる目的のために設けられているゼロクロスタイミング
検出手段を利用して、回転速度制御のための回転速度検
出を行うことができるので、コスト低減をはかることが
できる。
【0045】図8は、本発明になる前記全自動電気洗濯
機における電動機8と電動機制御回路36とマイコン3
4の連係関係の他の実施形態を示すブロック図である。
図3に示した実施形態と同一の構成手段には同一の参照
符合を付し、重複する説明はは省略する。進相コンデン
サ8cの端子電圧に応動するゼロクロスタイミング検出
回路49は、一方向性フォトカプラ50を使用して構成
し、図9に示すように、端子電圧の一方の極性の波形の
周期に等しい幅でハイレベルとなる矩形パルス電圧を発
生するようにする。
【0046】マイコン34は、ゼロクロスタイミング検
出回路43から出力されるゼロクロスタイミング検出信
号のタイミングtmとゼロクロスタイミング検出回路4
9から出力されるゼロクロス検出信号の立ち上がりある
いは立ち下がりのタイミングtaの時間差t=tm−t
aを計測し、この時間差に基づいて回転速度を求める処
理を行う。
【0047】この実施形態によれば、ゼロクロスタイミ
ング検出回路49で使用するフォトカプラ50は、一方
向性のものであるために、前述した実施形態に比較して
安価になる。
【0048】図10は、本発明になる前記全自動電気洗
濯機における電動機8と電動機制御回路36とマイコン
34の連係関係の更に他の実施形態を示すブロック図で
ある。図3に示した実施形態と同一の構成手段には同一
の参照符合を付し、重複する説明は省略する。ゼロクロ
スタイミング検出回路51の双方向性フォトカプラ52
は、保護抵抗53を介して主コイル8mと並列に接続す
ることにより該主コイル8mの端子電圧のゼロクロスタ
イミングにゼロクロスタイミング検出信号を出力するよ
うにする。また、ゼロクロスタイミング検出回路54の
双方向性フォトカプラ55は、保護抵抗56を介して補
助コイル8aと並列に接続することにより該補助コイル
8aの端子電圧のゼロクロスタイミングにゼロクロスタ
イミング検出信号を検出するようにする。図11は、こ
のようなゼロクロスタイミング検出信号を示している。
【0049】マイコン34は、ゼロクロスタイミング検
出回路51から出力される主コイル電圧ゼロクロスタイ
ミングtmを示す検出信号とゼロクロスタイミング検出
回路54から出力される補助コイル電圧ゼロクロスタイ
ミングtaを示す信号を取り込んで、時間差t=tm−
taを計測する。
【0050】図12は、この時間差tと脱水工程におけ
る脱水槽回転速度N1の関係の一例を示している。時間
差tと脱水槽回転速度N1が600rpm近くまで比例
関係にあることがわかる。マイコン34には、このよう
な脱水槽回転速度N1と時間差tの関係を予め実験的に
求めてテーブルの形あるいは数式の形で記憶させてお
く。
【0051】マイコン34は、前記時間差tに基づいて
テーブルを検索して脱水槽回転速度N1を得る。脱水工
程における動作は前述した実施形態と同様であるが、洗
いおよびすすぎ工程では撹拌翼6の正逆転では異なる。
逆転時には正転時と逆に双方向性3端子サイリスタ41
をオフ、双方向性3端子サイリスタ42をオンの状態と
する。つまり、正転時には主コイル8mが主コイル、補
助コイル8aが補助コイルとして機能するが、逆転時に
は立場を変えて、補助コイル8aが主コイル、主コイル
8mが補助コイルとして機能する。このために、ゼロク
ロスタイミング検出回路54の検出出力信号が電源電圧
のゼロクロスタイミングを示すものとなり、ゼロクロス
タイミング検出回路51の検出出力信号が補助コイルの
ゼロクロスタイミングを示すものであることに注意する
必要がある。
【0052】図13は、本発明になる前記全自動電気洗
濯機におけ電動機8と電動機制御回路36とマイコン3
4の連係関係の更に他の実施形態を示すブロック図であ
る。図3に示した実施形態と同一の構成手段には同一の
参照符号を付し、重複する説明は省略する。ゼロクロス
タイミング検出回路57は、主コイル8mに流れる電流
のゼロクロスタイミングを検出する電流検出回路であ
り、双方向性フォトカプラ58は、主コイル8mの電流
を検出する変流器60に保護抵抗59を介して接続する
ことにより該主コイル8mに流れる電流のゼロクロスタ
イミングにゼロクロスタイミング検出信号を出力するよ
うにする。また、ゼロクロスタイミング検出回路61
は、補助コイル8aに流れる電流のゼロクロスタイミン
グを検出する電流検出回路であり、双方向性フォトカプ
ラ62は、補助コイル8aの電流を検出する変流器64
に保護抵抗63を介して接続することにより該補助コイ
ル8aに流れる電流のゼロクロスタイミングにゼロクロ
スタイミング検出信号を検出するようにする。これらの
ゼロクロスタイミング検出回路57,61は、必要に応
じて増幅器を内蔵し、コイル8a,8mに流れる電流の
向きが変化するタイミングを検出して検出信号を出力す
る。
【0053】マイコン34は、前記ゼロクロスタイミン
グ検出回路57,61から出力される検出信号を取り込
んで、前述した実施形態と同様に回転速度検出と速度制
御処理を実行する。
【0054】また、図3,図8,図10に示した実施形
態において電圧のゼロクロスタイミングを検出している
ゼロクロスタイミング検出回路の1つと図13に示す実
施形態において電流のゼロクロスタイミングを検出する
ゼロクロスタイミング検出回路を組み合わせることによ
り、電圧位相(ゼロクロスタイミング)と電流位相(ゼ
ロクロスタイミング)を使用して回転速度を求めるよう
にすることも可能である。例えば、主コイル8mに対し
ては端子電圧のゼロクロスタイミングを検出し、補助コ
イルに対しては電流のゼロクロスタイミングを検出する
ように構成することもできる。
【0055】次に、検出した回転速度に基づく洗濯兼脱
水槽5の回転速度制御について説明する。家庭用の全自
動電気洗濯機の駆動電動機として使用される安価なコン
デンサ分相型の単相誘導電動機8の回転速度制御は、安
価な双方向性3端子サイリスタ41,42を用いて該単
相誘導電動機8への給電を断続する制御が有効である。
電源電圧波形を切断する位相制御を行う制御方法は、駆
動電流を歪ませるため電磁音が発生し、これが電気洗濯
機の構成部品である外槽や電動機取り付け台等に共振し
て大きな騒音を発生するという問題があるので、給電の
断続は、ゼロクロスタイミングを境界として行うように
する。
【0056】図14および図15は、本発明になる全自
動電気洗濯機の脱水工程においてマイコン34が実行す
る回転速度制御処理の一実施形態を示すフローチャート
と回転速度特性である。脱水工程において、マイコン3
4は、脱水期間Tにおいて洗濯兼脱水槽5の回転速度を
予め定めた一定の速度に維持するための速度制御処理を
行う。電源周波数は50Hzとする。この回転速度制御
における変数は、維持する一定回転速度を表す目標回転
数Ntと一定速制御を継続する脱水時間(期間)Tと電
動機8への給電をオフする時間Toffである。
【0057】電源スイッチ19が投入され、洗濯工程が
進行し、または操作ボタン21によって選択されて脱水
工程になると、制御部23のマイコン34は、クラッチ
装置10のソレノイド10aに通電することにより、電
動機8の回転を洗濯兼脱水槽5に伝達するようにする。
そして、制御目標の一定回転速度Nt、一定速制御期間
T、オフ時間Toffを設定し、回転速度一定制御処理
を開始する。マイコン50には、予め、図7に示すよう
な、回転速度N1と時間差tの関係を実験的に求めてテ
ーブルの形あるいは式で記憶しておく。
【0058】回転速度一定制御処理が起動すると、ま
ず、目標回転速度Ntを前述テーブルを参照して、これ
を表す位相時間差Tfに置き換える(ステップS1)。
以後、この位相時間差Tfをしきい値として回転速度一
定制御処理を行う。双方向性3端子サイリスタ41をオ
ン状態にして電動機8に給電することにより洗濯兼脱水
槽5を回転駆動する(ステップS2)。
【0059】そして、マイコン34は、ゼロクロスタイ
ミング検出回路43から電源電圧のゼロクロスタイミン
グtmを示す検出信号と、ゼロクロスタイミング検出回
路44から進相コンデンサ8cの端子電圧のゼロクロス
タイミングtaを示す検出信号を取り込み、タイミング
tmとtaの差を演算して位相時間差tを得る。この通
電期間の間、マイコン34は、洗濯兼脱水槽5の回転速
度を示す時間差tを、一定周期、例えば最短で10m
s、平均化処理で回転速度を求める場合には100ms
毎に実行する(ステップS3)。そして、位相時間差t
が目標の回転速度Ntを示す時間差Tfを超過したなら
ば(ステップS4)、一定制御期間タイマをスタートさ
せて回転速度一定制御期間となる(ステップS5)。ま
ず、回転速度の上昇を止めるために双方向性3端子サイ
リスタ41を制御してオフ状態にして電動機8への給電
を停止すると共にこのオフ状態を維持管理するオフタイ
マをスタートする(ステップS6)。これにより、洗濯
兼脱水槽5の回転は慣性による回転となるために徐々に
その回転速度が低下する。
【0060】予め定めたオフ時間(Toff)の間双方
向性3端子サイリスタ41をオフの状態に維持した(ス
テップS7)後、再びこの双方向性3端子サイリスタ4
1のゲート端子に制御信号を送出してこれをオン状態と
する(ステップS8)。これにより給電が再開された電
動機8はそのトルク特性を回復し、洗濯兼脱水槽5は回
転速度を上昇させる。この状態でマイコン34は、再び
時間差検出処理を開始して時間差t(回転速度N)を監
視する(ステップS9)。
【0061】そして、再び目標の時間差Tf(回転速度
Nt)を超過したならば(ステップS10)、電動機8
への給電を停止する処理に戻る(ステップS6)。この
間、一定速度制御を継続した時間を監視し(ステップS
11)、一定制御期間Tを超過したならばこの一定制御
処理を終了する。
【0062】こうして洗濯兼脱水槽5を略目標の回転速
度Nt以下の状態に一定速制御期間Tだけ維持すること
になる。目標回転速度Ntから下方への偏差はオフ時間
Toffで調整することができる。
【0063】図16および図17は、本発明になる全自
動電気洗濯機の脱水工程においてマイコン34が実行す
る回転速度制御処理の他の実施形態を示すフローチャー
トと回転速度特性である。前記実施形態は、双方向性3
端子サイリスタ41のオフ時間(Toff)を固定し、
オン時間を目標時間差(目標回転速度)になるまで継続
させる制御方法を採用したが、この実施形態は、逆に、
双方向性3端子サイリスタ41のオン時間(Ton)を
固定し、オフ時間(Toff)をオフする直前の検出時
間差(回転速度)に基づいて可変する制御方法である。
マイコン34には、前述した実施形態と同様に、予め、
図7に示すような回転速度N1と時間差tの関係を実験
的に求めてテーブルあるいは式の形で記憶しておく。電
源周波数は50Hzとする。この回転速度制御における
変数は、維持する一定回転速度を表す目標回転速度Nt
と回転速度一定制御を継続する一定制御時間(期間)T
とオン時間Tonおよび最初に電動機8への給電をオフ
する初期オフ時間Toffiである。
【0064】電源スイッチ19が投入され、洗濯工程が
進行し、または操作ボタン21によって選択されて脱水
工程になると、制御部23のマイコン34は、クラッチ
装置10のソレノイド10aに通電することにより、電
動機8の回転を洗濯兼脱水槽5に伝達するようにする。
そして、目標とする一定回転速度Nt、一定制御期間
T、オン時間Ton、初期オフ時間Toffiを設定
し、回転速度一定制御処理を開始する。回転速度一定制
御処理が起動すると、まず、目標回転数Ntを前記テー
ブルを参照して、これを表す位相時間差Tfに置き換え
る(ステップS21)。以後、この位相差時間Tfをし
きい値として回転速度一定制御を行う。そして双方向性
3端子サイリスタ41をオン状態にして電動機8に給電
することにより洗濯兼脱水槽5を回転駆動する(ステッ
プS22)。そして、マイコン34は、ゼロクロスタイ
ミング検出回路43から電源電圧のゼロクロスタイミン
グtmを示す検出信号とゼロクロスタイミング検出回路
44から進相コンデンサ8cの端子電圧のゼロクロスタ
イミングtaを示す検出信号を取り込み、タイミングt
mとtaの差を演算して時間差tを得る。
【0065】この通電期間の間、マイコン34は、洗濯
兼脱水槽5の回転速度を示す時間差tを、一定周期、例
えば最短で10ms、平均化処理で回転速度を求める場
合には100ms毎に実行する(ステップS23)。そ
して、位相時間差tが目標の回転速度Ntを示す時間差
Tfを超過すると(ステップS24)、一定速度制御タ
イマをスタートさせて設定期間Tの経過の監視を開始し
(ステップS25)、オフ時間Toffを初期値Tof
fiにセットする(ステップS26)。この時点から一
定速度制御が開始される。まず、回転速度を下げるため
に双方向性3端子サイリスタ41を制御してオフ状態に
することにより電動機7への給電を停止すると共にこの
オフ状態を維持管理するオフタイマをスタートする(ス
テップS27)。これにより、洗濯兼脱水槽5は慣性力
によって回転を維持する状態となり、徐々にその回転速
度は低下する。
【0066】オフ時間(Toff)の間、双方向性3端
子サイリスタ41をオフ状態に維持した(ステップS2
8)後、再び双方向性3端子サイリスタ41のゲート端
子に制御信号を送出してこれをオン状態にすると共にこ
のオン状態を維持管理するオンタイマをスタートさせる
(ステップS29)。この状態を予め定めたオン時間
(Ton)よりmLa時間短い時間だけ維持する(ステ
ップS30)。そして、オン時間の最終の時間(L
a)、例えば100ms間に時間差t(回転速度N)を
検出し(ステップS31)、これが目標時間差TfをΔ
だけ越えているかどうかを判定する。もし越えていれ
ば、オフ時間を所定サイクルβ、例えば1サイクル(2
0ms)だけ長くする(ステップS32)。目標Tfプ
ラスマイナスΔ以内であればオフ時間は変更しない。目
標時間差TfからΔ以上低ければ、オフ時間を所定サイ
クルβ、例えば1サイクル(20ms)だけ短くする
(ステップS33)。オフ時間を再設定した後、一定制
御経過時間が設定期間Tを経過したかどうかをチェック
(ステップS34)してから、このオフ時間だけ双方向
性3端子サイリスタ41を制御してオフ状態として電動
機8への給電を停止する処理(ステップS27)に戻
る。そして、再び双方向性3端子サイリスタ41を制御
してオン状態とし所定のオン時間の間だけ電動機8への
給電を行う(ステップS29)。このように電源電圧が
供給された電動機8はそのトルク特性を回復し、洗濯兼
脱水槽5は回転速度を上昇させる。
【0067】以上のような制御を繰り返すことで、洗濯
兼脱水槽5は平均的に目標の時間差Tfに相当する回転
速度Ntを維持することになる。所定の値Δおよびβを
適切に選べば平均的な回転速度をNtとすることができ
る。
【0068】以上のような2つの一定速度制御方法を組
み合わせる、つまりオン時間とオフ時間の双方を調整し
ながら一定回転速度にするような制御方法にしてもよい
ことは明らかである。
【0069】以上、電源周波数50Hzの場合で説明し
たが、60Hzの場合も基本的には同様である。但し、
時間差tと回転速度N1の関係が異なるために、60H
z用のテーブルをもう1つ用意する必要がある。そし
て、一定速度制御に入る前に、ゼロクロスタイミング検
出回路43が出力する検出信号のパルス周期を計測し
て、電源周波数を判定し、使用するテーブルを特定する
ようにすれば、電源周波数に左右されない制御を実現す
ることができる。
【0070】(数4)に示すように、位相差は、すべり
S、つまり回転速度だけでなくステータ(一次側)のコ
イル抵抗とロータ(二次側)の一次側変換された抵抗で
も変化する。一般に、導体の抵抗と温度は比例関係にあ
る。ロータの温度もステータコイルの温度に比例してい
る。図7に示す特性は、電動機のコイル温度をパラメー
タにして時間差tと脱水槽回転数N1の関係を示してい
る。両者の関係は、温度によって関係が相互に平行移動
した形になっている。
【0071】図18は、図7における回転速度ゼロ近
傍、すなわち電動機8への給電開始直後における時間差
とそのときの電動機のコイル温度の関係の一例を示して
いる。温度によりコイルの抵抗が変化することにより位
相差すなわち時間差tも変化する。この変化は、回転速
度検出の誤差となって現れる。洗濯工程後の脱水では、
電動機8は、洗濯工程である程度の温度上昇を起こして
いる。ところが、通常、電動機には温度センサが配置さ
れていないために、脱水工程開始時の温度を検知するこ
とができない。このために、所定の回転速度に制御する
ために所定の時間差をしきい値として図14に示すよう
な一定速度制御を行うと、脱水工程開始時のコイル温度
によって一定に制御される回転速度が異なるという制御
誤差を生じる。
【0072】図19は、このような制御誤差を解消する
ための一定速度制御処理のフローチャートである。双方
向性3端子サイリスタ41をオンした直後の時間差に基
づいて図18に示す関係を参照して電動機自身のコイル
の温度を検出し、一定速度制御での目標時間差Tfを変
更するものである。図7に示す温度60度における時間
差tと回転速度N1の関係を基準としてテーブルあるい
は式の形でマイコン34に記憶しておく。
【0073】そして、一定速度制御処理の起動直後の時
間差計測(ステップS53)のデータに基づいて制御に
入る前に設定した目標時間差Tfを再設定する(ステッ
プS54)。これには、基準としたテーブル温度Tsと
図18からの検出温度Tw、傾きαを用いて、ステップ
S54に示した数式で計算すればよい。例えば、具体的
には、図18の関係から、電動機コイル温度が80度で
あれば、Tfを0.05ms増加させ、40度であれば
0.05ms減少させる。その他は、図14に示したフ
ローチャートと同様の制御処理を実行すればよい。
【0074】図20は、図7に示した各コイル温度のデ
ータをもとに縦軸の位相時間差tを差分位相時間差td
に変更し、これと脱水槽回転速度N1の関係を示したも
のである。各温度のデータ系列を電源投入直後の時間差
tsをもとに、その後の各時間差データtをtd=t−
ts、つまり直後の時間差tsとの差分値に置き換えた
ものである。図に示すように、各温度データ系列は、総
て同一直線上の乗る。すなわち、差分値でみれば、位相
時間差データの温度依存性をキャンセルできることを示
す。
【0075】図21は、このような知見に基づいて、コ
イル温度による影響が現れないようにした一定速度制御
処理のフローチャートである。双方向性3端子サイリス
タ41をオン状態にした直後の時間差tsを記憶して、
以後、この時間差tsとの差分値を演算しながらこの差
分値で一定速度制御を行うものである。図20に示すよ
うな差分時間差tdと回転速度N1の関係は、テーブル
あるいは式の形でマイコン34に記憶させておく。
【0076】マイコン34は、予め記憶した差分時間差
tdと回転速度N1の関係テーブルを参照して目標回転
速度Ntを目標差分時間差Tdfに変換する(ステップ
S60)。そして、双方向性3端子サイリスタ41をオ
ン状態(ステップS61)にした直後の時間差計測デー
タ(スタート時間差)tsを記憶する(ステップS6
2)。以後、時間差tを計測し(ステップS63)、こ
れとスタート時間差tsを用いて差分時間差tdを演算
して(ステップS64)、これが目標に到達したかどう
かを判断(ステップS65)して一定速度制御処理を行
う。その他の制御処理動作は図14に示した制御処理の
フローチャートと同様である。
【0077】以上、脱水工程のための一定速度制御処理
を説明したが、このような速度制御処理は洗いあるいは
すすぎ工程における撹拌翼6の回転速度制御に応用する
こともできる。
【0078】以上、単相誘導電動機を使用した全自動電
気洗濯機における回転速度検出と速度制御について説明
したが、本発明は、単相誘導電動機を用いる家庭電化製
品である扇風機,ジューサー,ミキサー,エアコン等の
回転速度検出と速度制御にも適用することができる。
【0079】
【発明の効果】本発明は、給電を電圧波形単位で断続し
て速度制御を行うようにした単相誘導電動機を使用した
電気洗濯機において、前記単相誘導電動機の主回路およ
び補助回路の電流あるいは電圧のゼロクロスタイミング
を計測してその位相差に基づいて回転速度情報を求め、
この速度情報に基づいて前記単相誘導電動機への通電を
制御することにより速度制御を行うようにしたので、安
価な速度検出装置によって回転速度制御することができ
る電気洗濯機を実現することができる。
【0080】また、本発明のこのような速度検出および
制御装置は、単相誘導電動機を用いる電気洗濯機以外の
家庭電化製品、例えば扇風機,ジューサー,ミキサー,
エアコン等における回転速度検出および制御装置として
使用することにより、回転速度制御による多くの有用な
機能を安価な構成で発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる全自動電気洗濯機の縦断側面図で
ある。
【図2】本発明になる全自動電気洗濯機の電気接続ブロ
ック図である。
【図3】本発明になる全自動電気洗濯機における電動機
と電動機制御回路とマイコンの連係関係を示すブロック
図である。
【図4】図3に示す本発明になる全自動電気洗濯機にお
ける電圧波形とゼロクロスタイミング信号の関係を示す
タイミングチャートである。
【図5】4極単相誘導電動機のトルクとすべりの関係を
示す特性図である。
【図6】単相誘導電動機の等価回路図である。
【図7】単相誘導電動機の位相時間差と脱水槽回転速度
の関係を示す特性図である。
【図8】本発明になる前記全自動電気洗濯機における電
動機と電動機制御回路とマイコンの連係関係の他の実施
形態を示すブロック図である。
【図9】図8に示す本発明になる全自動電気洗濯機にお
ける電圧波形とゼロクロスタイミング信号の関係を示す
タイミングチャートである。
【図10】本発明になる前記全自動電気洗濯機における
電動機と電動機制御回路とマイコンの連係関係の更に他
の実施形態を示すブロック図である。
【図11】図10に示す本発明になる全自動電気洗濯機
における電圧波形とゼロクロスタイミング信号の関係を
示すタイミングチャートである。
【図12】位相時間差と脱水槽回転速度の関係を示す特
性図である。
【図13】本発明になる前記全自動電気洗濯機におけ電
動機と電動機制御回路とマイコンの連係関係の更に他の
実施形態を示すブロック図である。
【図14】本発明になる全自動電気洗濯機におけるマイ
コンが実行する一定回転速度制御の一実施形態を示すフ
ローチャートである。
【図15】図14に示す一定回転速度制御動作のタイミ
ングチャートである。
【図16】本発明になる全自動電気洗濯機におけるマイ
コンが実行する一定回転速度制御の他の実施形態を示す
フローチャートである。
【図17】図16に示す一定回転速度制御動作のタイミ
ングチャートである。
【図18】スタート時の位相時間差とコイル温度の関係
を示す特性図である。
【図19】本発明になる全自動電気洗濯機におけるマイ
コンが実行する一定回転速度制御の他の実施形態を示す
フローチャートである。
【図20】図7に示した各コイル温度のデータをもとに
縦軸の位相時間差を差分位相時間差に変更して脱水槽回
転速度の関係を示した特性図である。
【図21】本発明になる全自動電気洗濯機におけるマイ
コンが実行する一定回転速度制御の他の実施形態を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
1…外枠、4…外槽、5……洗濯兼脱水槽、6…撹拌
翼、8…単相誘導電動機、8m…主コイル、8a…補助
コイル、8c…進相用コンデンサ、10…クラッチ装
置、21…操作ボタン、30…制御部、34…マイコ
ン、36…電動機制御回路、41,42…双方向性3端
子サイリスタ、43,44…ゼロクロスタイミング検出
回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桧山 功 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部内 (72)発明者 渡辺 雅生 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱水槽または洗濯兼脱水槽と、撹拌翼と、
    前記脱水槽および撹拌翼を駆動するコンデンサ分相型の
    単相誘導電動機とを備えた電気洗濯機において、 前記単相誘導電動機の主回路および補助回路の電流ある
    いは電圧のゼロクロスタイミングを計測してその位相差
    を検出し、この位相差に基づいて単相誘導電動機の回転
    速度情報を求める計測演算手段と、求めた回転速度情報
    に基づいて前記単相誘導電動機への通電を制御する通電
    制御手段を設けたことを特徴とする電気洗濯機。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記通電制御手段は、
    前記単相誘導電動機の回転速度情報が所定の値に到達す
    るまで該単相誘導電動機への通電を継続し、その後は所
    定時間の断電を行った後に再び所定の値に到達するまで
    通電を継続する制御を繰り返すことを特徴とする電気洗
    濯機。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記測定演算手段は、
    前記単相誘導電動機への通電開始直後の位相差を検出し
    てコイル温度情報を取得し、この位相差に基づいて求め
    る回転速度情報を補正することを特徴とする電気洗濯
    機。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記測定演算手段は、
    前記単相誘導電動機への通電開始直後の位相差を記憶す
    ると共にその後の位相差の差分値に基づいて回転速度情
    報を求めることを特徴とする電気洗濯機。
  5. 【請求項5】脱水槽または洗濯兼脱水槽と、撹拌翼と、
    前記脱水槽および撹拌翼を駆動するコンデンサ分相型の
    単相誘導電動機とを備えた電気洗濯機において、 前記単相誘導電動機のコイルおよび進相コンデンサの端
    子電圧のゼロクロスタイミングを計測するゼロクロスタ
    イミング検出回路と、前記単相誘導電動機への給電を遮
    断して惰性回転状態にしたときの前記進相コンデンサの
    端子電圧のゼロクロスタイミングを測定して洗濯物の布
    量情報を求める洗濯布量検出手段と、前記単相誘導電動
    機への給電状態での前記コイルおよび進相コンデンサの
    端子電圧のゼロクロスタイミングを測定してその位相差
    に基づいて単相誘導電動機の回転速度情報を求める回転
    速度検出手段と、求めた布量情報および回転速度情報に
    基づいて前記単相誘導電動機への通電を制御する通電制
    御手段を設けたことを特徴とする電気洗濯機。
  6. 【請求項6】分相型の単相誘導電動機の回転速度を検出
    して速度制御を行う電動機速度制御装置において、 前記単相誘導電動機の主回路および補助回路の電流ある
    いは電圧のゼロクロスタイミングを計測してその位相差
    を検出し、この位相差に基づいて単相誘導電動機の回転
    速度情報を求める計測演算手段と、求めた回転速度情報
    に基づいて前記単相誘導電動機への通電を制御する通電
    制御手段を設けたことを特徴とする電動機速度制御装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010057587A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Panasonic Corp 洗濯機
JP2010057585A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Panasonic Corp 洗濯機
CN114173930A (zh) * 2019-07-24 2022-03-11 因特薄有限公司 搅拌机及其脱水方法
US20220345055A1 (en) * 2021-04-21 2022-10-27 Emerson Electric Co. Control Circuits For Disposer Motors

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