JPH11332021A - ハイブリッド車両および動力出力装置 - Google Patents

ハイブリッド車両および動力出力装置

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JPH11332021A
JPH11332021A JP15357398A JP15357398A JPH11332021A JP H11332021 A JPH11332021 A JP H11332021A JP 15357398 A JP15357398 A JP 15357398A JP 15357398 A JP15357398 A JP 15357398A JP H11332021 A JPH11332021 A JP H11332021A
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power
drive shaft
torque
output
shaft
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JP15357398A
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English (en)
Inventor
Akihiko Kanamori
彰彦 金森
Yasumi Kawabata
康己 川端
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 4輪駆動可能なハイブリッド車両において運
転効率が低下する場面があった。また、前後輪のトルク
配分の制御について十分検討されていなかった。 【解決手段】 エンジンの出力軸と前車軸とを対ロータ
モータで結合する。さらにモータを用意し、その回転軸
をクラッチによりエンジンの出力軸および駆動軸に選択
的に結合可能とする。後車軸に別途モータを結合する。
これらの各要素の運転を制御する制御装置は、前車軸の
回転数がエンジンの出力軸の回転数よりも大きいときは
モータをエンジンの出力軸に結合し、逆の場合には前車
軸側に結合する。また、前車軸と後車軸のいずれかがス
リップしている場合には両車軸のトルク配分を変更す
る。これらの制御により、動力の循環を生じることなく
なるため運転効率を向上でき、前後輪のトルク配分を適
切に制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1の駆動軸と第
2の駆動軸から動力を出力して4輪駆動可能なハイブリ
ッド車両および前記2つの駆動軸から動力を出力可能な
ハイブリッド式の動力出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンと電動機とを動力源とす
るハイブリッド車両が提案されている(例えば特開平9
−47094に記載の技術等)。ハイブリッド車両の一
種としていわゆるパラレルハイブリッド車両がある。パ
ラレルハイブリッド車両は、エンジンから出力された動
力を動力調整装置により分配する。分配された動力の一
部は出力軸に伝達され、残りは発電機により電力に変換
される。この電力はバッテリに蓄電されたり、出力軸に
結合された電動機を駆動するのに用いられる。かかる構
成により、パラレルハイブリッド車両はエンジンから出
力された動力を任意の回転数およびトルクで出力軸に出
力することができる。エンジンは運転効率の高い運転ポ
イントを選択して運転することができるため、ハイブリ
ッド車両はエンジンのみを駆動源とする従来の車両に比
べて省資源性および排気浄化性に優れている。
【0003】上述のパラレルハイブリッド車両の技術を
利用して、4輪駆動可能なハイブリッド車両も提案され
ている(例えば特開平9−175203記載の技術
等)。4輪駆動可能なハイブリッド車両の構成例を図4
9に示す。かかるハイブリッド車両では、クラッチモー
タ30のインナロータ34を原動機50の出力軸に結合
するとともに、アウタロータ32を駆動軸22に結合す
る。駆動軸22は変速ギヤ23およびディファレンシャ
ルギヤ24を介して前輪26,28に結合されている。
後輪27,29には電動機40が結合されており、該電
動機40はインバータ92を介してバッテリ94に接続
されている。クラッチモータ30もまたインバータ91
を介してバッテリ94に電気的に接続されている。従っ
て、電動機40とクラッチモータ30はバッテリ94を
介して電気的に接続されている。
【0004】クラッチモータ30はインナロータ34と
アウタロータ32との間の電磁的な結合により動力を伝
達するとともに、両者間の相対的な滑りに応じて電力を
回生し、動力を電力に変換する動力調整装置としての役
割を果たすものである。原動機50から出力された動力
は上述したクラッチモータ30の作用により、一部が駆
動軸22に伝達され前輪26,28を駆動し、残りの動
力が電力に変換される。この電力は電動機40を駆動す
ることにより、後輪27,29の駆動に用いられる。か
かる作用により上述のハイブリッド車両では、前輪2
6,28および後輪27,29の双方から動力を出力す
ることができ、いわゆる4輪駆動が可能である。
【0005】4輪駆動可能なハイブリッド車両として
は、上述の構成において駆動軸22に第2の電動機を結
合したものも提案されている。かかる構成を図50に示
す。図50に示したハイブリッド車両は、駆動軸22に
第2の電動機45が結合されている。その他の点につい
ては、図49に示したハイブリッド車両の構成と同じで
ある。図50に示す構成を有するハイブリッド車両でも
図49に示したハイブリッド車両と同様、原動機50か
ら出力された動力を動力調整装置としてのクラッチモー
タ30により一部を電力に変換しつつ、残余の動力をア
ウタロータ34側に伝達する。ここで回生された電力を
用いて第1の電動機40および第2の電動機45を力行す
る。両電動機から出力されるトルクは任意に設定可能で
ある。従って、図50に示したハイブリッド車両では、
前輪および後輪から出力されるトルクの配分を適切な値
にすることが可能となる。
【0006】エンジンのみを動力源とする従来の車両で
4輪駆動を実現するためには、エンジンの動力を前輪お
よび後輪の両者に伝達するために、プロペラシャフトを
用いていた。これは重量および車両の室内スペースへの
影響等の面でデメリットが多い。上述のハイブリッド車
両では、プロペラシャフトを用いることなく4輪駆動を
実現できる点でも大きな利点を有している。4輪駆動可
能なハイブリッド車両は、その他省資源性および排気浄
化性に優れているというハイブリッド車両の特性を4輪
駆動車両においても活かすことができる点でも優れてい
る。なお、以下の説明では、4輪駆動可能なハイブリッ
ド車両について、図49に示すように動力調整装置とし
て機能する電動機と、後輪に結合された電動機との2つ
の電動機を備えるタイプのハイブリッド車両を2モータ
式のハイブリッド車両と呼び、図50に示すように前輪
にさらに電動機が結合されたハイブリッド車両を3モー
タ式のハイブリッド車両と呼ぶものとする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の4輪駆
動可能なハイブリッド車両では、運転状態によっては動
力の循環という現象が生じ、運転効率が低下することが
あった。動力の循環について図51〜図54を用いて説
明する。
【0008】図51は、図49に示した2モータ式のハ
イブリッド車両における動力の出力の様子を示す説明図
である。原動機からは要求された大きさの動力P1が出
力される。原動機50から出力された動力P1はクラッ
チモータ30で一部電力E1に変換され、残余の動力P
Fが前輪に伝達される。一方、この電力E1は後輪に結
合された電動機40に供給され、電動機40を力行する
ことにより後輪から動力PRを出力する。ただし、クラ
ッチモータ30で電力を回生するためには、アウタロー
タ34にトルクが加えられる方向と、アウタロータ34
がインナロータ32に対して相対的に回転する方向とが
逆となっている必要がある。つまり、アウタロータ43
はインナロータ32よりも遅い回転数で回転している必
要がある。言い換えれば「駆動軸22の回転数<原動機
50の回転数」(以下、アンダードライブと呼ぶ)であ
る必要がある。
【0009】アウタロータ34の回転数がインナロータ
32よりも高い場合、即ち「駆動軸22の回転数>原動
機50の回転数」である場合(以下、オーバードライブ
と呼ぶ)の動力の出力の様子を図52に示した。原動機
50からは要求された大きさの動力P1が出力される。
駆動軸22の回転数は原動機50の回転数よりも高いか
ら、動力が回転数とトルクの積に等しいことを考えれ
ば、前輪および後輪からは原動機50から出力されるト
ルクよりも低いトルクの動力が出力されることになる。
この運転状態においては、クラッチモータ30に電力を
供給して力行し、回転数を増大して前輪から出力する。
図52で前輪への動力を示す矢印PFが原動機50の出
力動力を示す矢印P1よりも太くなっているのは、クラ
ッチモータ30を力行することによる動力が増加するこ
とを意味している。ところが、作用反作用の原理によ
り、クラッチモータ30のインナロータ32に加えられ
るトルクとアウタロータ34に加えられるトルクは等し
い。従って、前輪からは要求トルクに対して余剰のトル
クが出力されていることになる。上記運転状態では、こ
の余剰トルクに相当する負荷トルクを後輪で加えること
によって全体として要求トルクが出力されるようにす
る。後輪は前輪と同じ回転数で回転しているから、後輪
の回転動力PRを電動機40で電力E2として回生す
る。この電力はクラッチモータ30に供給される。これ
は、図52に示す通り、前輪から出力された動力の一部
PTが地面を介して後輪に伝達され、電動機40により
電力として回生された状態としても捉えられる。
【0010】オーバードライブ時には、図52に示した
通り、クラッチモータ30から出力された動力PFの一
部PTは地面を介して後輪に伝達され、電動機40によ
り回生され、電力E2として再びクラッチモータ30に
供給される。この結果、動力は図52に示す循環Γ1を
生じる。一般に動力の伝達、および電力と機械的な動力
の変換には何らかの損失が伴う。従って、図52に示し
たような動力の循環が生じると、その分ハイブリッド車
両の運転効率は低下してしまう。
【0011】同様の問題は、図50に示した3モータ式
のハイブリッド車両でも生じていた。図53は、3モー
タ式のハイブリッド車両において、アンダードライブ時
の動力の出力の様子を示す説明図である。2モータ式の
ハイブリッド車両の場合(図51)において、後輪に結
合された電動機40を、前輪に結合された電動機45に
置換した状態に相当する。原動機50から出力された動
力P1はクラッチモータ30で一部が電力E1に変換さ
れ、残余の動力PF1が前輪に伝達される。一方、電力
E1は電動機45に供給され、電動機45を力行する。
電動機45から出力された動力PF2は同じく前輪から
出力される。図53では、図示を省略したが、電力E1
の一部を後輪に結合された電動機40に供給して後輪か
ら動力を出力することもできる。このときは、図53か
ら明らかな通り、動力の循環は生じない。
【0012】図54は、3モータ式のハイブリッド車両
において、オーバードライブ時の動力の出力の様子を示
す説明図である。2モータ式のハイブリッド車両の場合
(図52)において、後輪に結合された電動機40を、
前輪に結合された電動機45に置換した状態に相当す
る。クラッチモータ30を力行することにより、原動機
50から出力された動力P1の回転数を増す。この結
果、前輪から出力される動力PF1は要求動力よりも大
きくなる。従って、余剰の動力PF2を電動機45によ
り電力として回生する。こうして回生された電力E2は
クラッチモータ30の力行に用いられる。このときは、
2モータ式のハイブリッド車両の場合と同様、クラッチ
モータ30から出力された動力の一部が電力として再び
クラッチモータ30に供給されるという動力の循環(図
54のΓ2)を生じる。こうした動力の循環はハイブリ
ッド車両の運転効率を低下させることになる。
【0013】一方、4輪駆動可能なハイブリッド車両と
して2モータ式のハイブリッド車両(図49の構成)
と、3モータ式のハイブリッド車両とが存在し、3モー
タ式のハイブリッド車両の方が前後輪のトルク配分に対
する自由度が高いことは既に説明した通りである。しか
しながら、従来の3モータ式のハイブリッド車両におい
ては、かかる利点を活かしたトルク配分の設定について
は何ら提案されていなかった。
【0014】本発明は上記課題の少なくとも一部を解決
するためになされ、動力の循環を低減し得る構成を有す
る4輪駆動可能なハイブリッド車両を提供することを第
1の目的とする。また、制御装置によって、このような
構成を種々の走行状態に応じて適切に使用して走行可能
なハイブリッド車両を提供することを第2の目的とす
る。さらに、こうしたハイブリッド車両において前後輪
のトルク配分を適切に制御する技術を提供することを第
3の目的とする。同様に、2つの出力軸から動力を出力
する動力出力装置において、動力の循環を低減し得る技
術を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では
以下の構成を採った。本発明のハイブリッド車両は、第
1および第2の駆動軸に動力を出力して走行することが
できるハイブリッド車両であって、出力軸を有する原動
機と、該出力軸と前記第1の駆動軸とに結合され、該出
力軸および第1の駆動軸の一方から入力された機械的な
動力を、電力のやりとりを介して増減して、他方に伝達
可能な動力調整装置と、前記第2の駆動軸に結合された
第1の電動機と、前記出力軸、第1の駆動軸および第2
の駆動軸のいずれとも異なる回転軸を有する第2の電動
機と、該回転軸と前記出力軸との結合および切り離しを
行う第1の接続装置と、該回転軸と前記第1の駆動軸と
の結合および切り離しを行う第2の接続装置と、該ハイ
ブリッド車両の走行状態を特定する特定手段と、該特定
された走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
軸と前記出力軸および前記第1の駆動軸との結合状態を
切り替える接続制御手段とを備えることを要旨とする。
【0016】かかるハイブリッド車両によれば、車両の
走行状態に応じて第1の接続装置および第2の接続装置
を制御することにより、第2の電動機の回転軸を原動機
の出力軸側に結合した状態、第1の駆動軸側に結合した
状態、双方に結合した状態、および双方から切り離され
た状態の4つの結合状態をとることができる。この結
果、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、これらの4
つの結合状態の中から前述した動力の循環が生じないよ
うな結合状態、または動力の循環の程度が低い結合状態
を選択しつつ、ハイブリッド車両を走行することが可能
となる。従って、本発明のハイブリッド車両によれば、
運転効率を向上することができる。
【0017】上記ハイブリッド車両において、動力調整
装置としては、種々の構成が可能である。例えば、前記
動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1のロータ
と、前記第1の駆動軸に結合され前記第1のロータと同
軸上で相対的に回転可能な第2のロータとを有する対ロ
ータ電動機であるものとすることができる。
【0018】かかる構成を有する動力調整装置によれ
ば、前記第1のロータと、第2のロータとの間の磁気的
な結合の程度を電力のやりとりによって調整することに
より、一方のロータから他方のロータへ動力の大きさを
増減しつつ、動力を伝達することができる。
【0019】また、前記動力調整装置は、前記出力軸に
結合された第1の軸と、前記第1の駆動軸に結合された
第2の軸と、該第1の軸および第2の軸とは異なる第3
の軸を有し、これらの3つの軸のうち2つの軸の動力状
態が決定されると残余の一つの軸の動力状態が決まる3
軸式動力伝達装置を有し、前記第1の電動機および第2
の電動機とは異なる第3の電動機を前記第3の軸に結合
した装置であるものとすることができる。
【0020】かかる構成を有する動力調整装置によれ
ば、第3の電動機との電力のやりとりによって第3の軸
の動力状態を調整することにより、第1の軸および第2
の軸のうちの一方から他方に伝達される動力の大きさを
増減しつつ、動力を伝達することができる。なお、本明
細書では、回転数およびトルクの組み合わせで表される
軸の回転状態を動力状態と呼ぶものとする。一般に「動
力」は軸の回転数とトルクの積で表されるスカラー量を
意味している。従って、動力の大きさをある値に特定し
ても回転軸の回転状態は一義的には定まらず、回転数お
よびトルクの組み合わせは無数に存在する。このように
無数に存在する回転数およびトルクの組み合わせを意味
する「動力」という用語に対し、ある回転数およびトル
クの組み合わせにより一義的に特定された回転状態を意
味する用語として「動力状態」を用いる。
【0021】本発明のハイブリッド車両においては、さ
らに、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から出力す
べき動力の総和を要求動力として設定する動力設定手段
と、前記原動機、動力調整装置、第1の電動機および第
2の電動機の運転を制御して、前記第1の駆動軸および
第2の駆動軸から前記要求動力を出力する駆動制御手段
とを備えることが望ましい。
【0022】かかる構成によれば、第1の駆動軸および
第2の駆動軸から出力すべき動力の総和を要求動力に一
致させることができ、運転者の意図に従ってハイブリッ
ド車両を走行させることができる。なお、第1の駆動軸
および第2の駆動軸から出力すべき動力の総和が要求動
力に一致していればよく、両軸から出力する動力の配分
は種々の値に設定可能である。配分を予め定めた一定値
としてもよいし、車両の走行状態に応じて変化するもの
としてもよい。また、いずれか一方の駆動軸からのみ要
求動力を出力するものとしても構わない。さらに、一方
の駆動軸から要求動力よりも大きな動力を出力し、他方
の駆動軸で負荷を与えることによって両者の総和が要求
動力に一致するようにしてもよい。
【0023】本発明のハイブリッド車両において、車両
の走行状態に応じた前記第1の接続装置と第2の接続装
置の制御についても種々の態様が可能である。第1の態
様として、前記特定手段は、車両の走行状態として前記
第1の駆動軸の回転数と前記出力軸の回転数の大小関係
を特定する手段であり、前記接続制御手段は、前記第1
の駆動軸の回転数が前記出力軸の回転数よりも有意に小
さいと判定された場合に、前記第2の電動機の回転軸を
前記第1の駆動軸に結合する手段であるものとすること
ができる。
【0024】かかる結合状態では、原動機から出力され
た動力は、そのまま動力調整装置に入力され、動力調整
装置により大きさが調整された後、第1の駆動軸に伝達
される。動力調整装置から出力された動力状態が第1の
駆動軸から出力すべき要求トルクに一致しない場合に
は、第2の電動機への電力のやりとりを介して動力状態
を制御することが可能である。第2の電動機は力行およ
び回生の双方の運転状態を採りうる。かかる作用により
動力を出力する際、駆動軸の回転数は原動機の出力軸の
回転数よりも低いから、少なくとも動力調整装置に電力
を供給して回転数を増大させる必要はない。従って、一
旦第1の駆動軸に伝達された動力が第2の電動機により
回生され、動力調整装置に供給されるという動力の循環
は生じない。この結果、上記結合状態によれば、ハイブ
リッド車両の運転効率を向上することができる。
【0025】また、上記結合状態によれば、第2の電動
機の運転状態および第2の駆動軸に結合された第3の電
動機の運転状態について、動力の循環を生じることなく
任意に制御可能である。従って、ハイブリッド車両の運
転効率を低減させることなく第1の駆動軸および第2の
駆動軸の動力配分を任意に制御することが可能となる。
【0026】前記第1の接続装置と第2の接続装置の制
御の第2の態様として、前記特定手段は、車両の走行状
態として前記第1の駆動軸の回転数と前記出力軸の回転
数の大小関係を特定する手段であり、前記接続制御手段
は、前記第1の駆動軸の回転数が前記出力軸の回転数よ
りも有意に大きいと判定された場合に、前記第2の電動
機の回転軸を前記出力軸に結合する手段であるものとす
ることができる。
【0027】かかる結合状態では、第2の電動機の運転
状態を制御することにより、原動機から出力された動力
について、トルクの大きさを調整して動力調整装置に入
力することができる。第2の電動機は力行および回生の
双方の運転状態を採りうる。動力調整装置は入力された
動力の大きさを調整して第1の駆動軸に伝達する。かか
る作用により動力を出力する際、第1の駆動軸の回転数
は原動機の出力軸の回転数よりも高いから、少なくとも
動力調整装置には電力を供給して回転数を増大させる必
要がある。従って、動力調整装置に入力された動力の一
部が、該動力調整装置で電力として回生され、再び第2
の電動機に供給されるという動力の循環は生じない。こ
の結果、上記結合状態によれば、ハイブリッド車両の運
転効率を向上することができる。また、上記結合状態に
よれば、動力の循環を生じることなく第1の駆動軸と第
2の駆動軸の動力配分を任意に制御することも可能であ
る。
【0028】第3の態様として、前記特定手段は、車両
の走行状態として前記第1の駆動軸の回転数と前記出力
軸の回転数の大小関係を特定する手段であり、前記接続
制御手段は、前記出力軸および前記駆動軸の回転数が略
一致する場合に、前記第2の電動機を前記出力軸および
前記第1の駆動軸の双方に結合する手段であるものとす
ることもできる。
【0029】かかる結合状態によれば、原動機から出力
された動力は、第2の電動機への電力のやりとりによっ
て、その大きさを調整された後、第1の駆動軸に出力さ
れる。つまり、上記結合状態においては、動力調整装置
は機能しない。第2の電動機の運転を制御することによ
り第1の駆動軸から出力するトルクは任意に制御可能で
ある。また、第2の駆動軸に結合された第1の電動機を
制御することにより第2の駆動軸から出力するトルクも
任意に制御可能である。従って、上記結合状態では、第
1の駆動軸および第2の駆動軸の一方から余剰の動力を
出力し、他方の駆動軸で回生するという態様での動力の
循環を生じることなくハイブリッド車両を走行すること
ができる。この結果、ハイブリッド車両の運転効率を向
上することができる。また、動力の循環を生じることな
く第1の駆動軸および第2の駆動軸から出力される動力
の配分を任意に制御することも可能である。
【0030】第4の態様として、前記動力設定手段は、
前記要求動力を所定のトルク配分で前記第1の駆動軸か
ら出力すべき動力と前記第2の駆動軸から出力すべき動
力に配分する動力配分手段を有しており、前記特定手段
は、車両の走行状態として前記第1の駆動軸から出力す
べきトルクと前記出力軸のトルクの関係を特定する手段
であり、前記接続制御手段は、前記出力軸のトルクと前
記第1の駆動軸から出力すべきトルクとの比率が動力調
整装置におけるトルクの変換比率に略一致する場合に、
前記第2の電動機を前記出力軸および前記第1の駆動軸
の双方から切り離す手段であるものとすることができ
る。
【0031】かかる結合状態によれば、原動機から出力
された動力は動力調整装置を介して第1の駆動軸から出
力される。第2の電動機はこの動力に対し何らの影響も
与えない。また、原動機から出力されたトルクと第1の
駆動軸から出力すべきトルクとは動力調整装置における
トルクの変換比率に略一致しているから、動力調整装置
は原動機から出力された動力について回転数の増減のみ
を行う。この結果、上述の結合状態においては、第1の
駆動軸から余剰の動力が出力されないように動力調整装
置を制御することが可能である。この結果、ハイブリッ
ド車両の運転効率を向上することができる。なお、トル
クの変換比率は、動力調整装置が先に説明した対ロータ
電動機により構成されている場合には値1となる。ま
た、先に説明した3軸式の動力伝達装置を用いて構成さ
れている場合には、該伝達装置によるトルクの変換比率
に一致する。
【0032】第5の態様として、前記動力設定手段は、
前記要求動力を所定のトルク配分で前記第1の駆動軸か
ら出力すべき動力と前記第2の駆動軸から出力すべき動
力に配分する動力配分手段を有しており、前記特定手段
は、走行状態として前記第1の駆動軸から出力すべきト
ルクを特定する手段であり、前記接続制御手段は、前記
第1の駆動軸から出力すべきトルクが前記動力調整装置
から出力可能なトルクよりも大きい場合に、前記第2の
電動機の回転軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であ
るものとすることができる。
【0033】かかる構成を有するハイブリッド車両によ
れば、動力調整装置の定格、即ち動力調整装置から出力
可能なトルク以上の動力を第1の駆動軸から出力可能と
なる。この結果、ハイブリッド車両の第1の駆動軸およ
び第2の駆動軸の動力の配分の自由度が増し、より適切
な配分で動力を出力することが可能となる。
【0034】本発明のハイブリッド車両において、原動
機、動力調整装置、第1の電動機および第2の電動機の
運転状態を制御する駆動制御手段と、前記接続制御手段
とを種々の態様で組み合わせて適用したハイブリッド車
両が可能である。第1の態様として、前記接続制御手段
は、車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置およ
び前記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の
回転軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であり、前記
駆動制御手段は、前記原動機の運転を停止すると共に、
少なくとも前記第2の電動機を力行して、前記第1の駆
動軸および第2の駆動軸から総和が前記要求動力となる
動力を出力する手段であるものとすることができる。
【0035】第2の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
軸を前記出力軸に結合する手段であり、前記駆動制御手
段は、前記原動機の運転を停止すると共に、少なくとも
前記動力調整装置に電力を供給して動力を出力すること
により、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から総和
が前記要求動力となる動力を出力する手段であるものと
することができる。
【0036】これらの構成を有するハイブリッド車両
は、従来のハイブリッド車両と同様、それぞれ原動機か
らの動力を要することなく走行することができる。前者
では第2の電動機が第1の駆動軸に結合されているか
ら、第2の電動機から動力をそのまま第1の駆動軸に出
力することができる。後者では、動力調整装置が第1の
駆動軸に結合されているから、動力調整装置から動力を
第1の駆動軸に出力することができる。後者の場合は、
原動機の出力軸側に第2の電動機が結合されている。従
って、動力調整装置から動力を出力するのに伴って、そ
の反作用により原動機の出力軸が回転しないように保持
するための保持トルクを第2の電動機で出力するものと
してもよい。こうした作用に基づき、本発明のハイブリ
ッド車両は、従来のハイブリッド車両の機能を損ねるこ
となく、先に説明した運転効率の向上を実現することが
できる。当然、これらの走行に伴って第2の駆動軸に結
合された第1の電動機を力行して動力を第2の駆動軸か
ら動力を出力することもできる。
【0037】第3の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であり、前記駆動
制御手段は、前記動力調整装置に電力を供給して前記原
動機をモータリングしつつ、前記第1の駆動軸および第
2の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力す
る手段であるものとすることができる。
【0038】第4の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
前記出力軸に結合する手段であり、前記駆動制御手段
は、前記第2の電動機を力行して前記原動機をモータリ
ングしつつ、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から
総和が前記要求動力となる動力を出力する手段であるも
のとすることができる。
【0039】これらの構成を有するハイブリッド車両
は、従来のハイブリッド車両と同様、原動機のモータリ
ングをしながら走行することができる。もちろん、車両
の走行中に原動機のモータリングをすることも可能であ
る。前者では動力調整装置が原動機の出力軸に結合され
ているから、動力調整装置により原動機をモータリング
することができる。また、第2の電動機で第1の駆動軸
から動力を出力することができる。この際、動力調整装
置で原動機をモータリングする反作用としてのトルクが
第1の駆動軸から出力されないように第2の電動機から
出力されるトルクを制御することも可能である。後者で
は、第2の電動機が原動機の出力軸に結合されているか
ら、第2の電動機により原動機をモータリングすること
ができる。また、動力調整装置が第1の駆動軸に結合さ
れているから、動力調整装置から動力を第1の駆動軸に
出力することができる。こうした作用に基づき、本発明
のハイブリッド車両は、従来のハイブリッド車両の機能
を損ねることなく、先に説明した運転効率の向上を実現
することができる。当然、これらの走行に伴って第2の
駆動軸に結合された第1の電動機を力行して動力を第2
の駆動軸から動力を出力することもできる。
【0040】第5の態様として前記接続制御手段は、車
両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を前
記第1の駆動軸に結合する手段であり、前記駆動制御手
段は、前記原動機から出力された動力の一部を前記動力
調整装置により電力として回生し、該回生された電力を
前記第1の電動機および前記第2の電動機の少なくとも
一方に供給することにより、前記第1の駆動軸および第
2の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力す
る手段であるものとすることができる。
【0041】第6の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
前記出力軸に結合する手段であり、前記駆動制御手段
は、前記原動機から出力された動力の一部を前記第2の
電動機により電力として回生し、該回生された電力を前
記第1の電動機および前記動力調整装置の少なくとも一
方に供給することにより、前記第1の駆動軸および第2
の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する
手段であるものとすることができる。
【0042】これらの構成を有するハイブリッド車両
は、従来のハイブリッド車両と同様、原動機から出力さ
れた動力状態を要求された動力状態に変換して出力する
ことにより走行することができる。前者では原動機から
出力された動力を動力調整装置により電力として回生
し、該電力を用いて第1および第2の電動機を力行する
ことができる。後者では、第2の電動機が原動機の出力
軸に結合されているから、原動機から出力された動力を
第2の電動機により電力として回生し、動力調整装置お
よび第1の電動機を力行することができる。いずれの場
合においても、原動機から出力された動力が第1および
第2の駆動軸に伝達される経路において、上流側で電力
として回生することができるため、動力の循環は生じな
い。こうした作用に基づき、本発明のハイブリッド車両
は、従来のハイブリッド車両の機能を損ねることなく、
先に説明した運転効率の向上を実現することができる。
【0043】第7の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
前記第1の駆動軸に結合する手段であり、前記動力設定
手段は、トルクが負となる動力を要求動力として設定す
る手段であり、前記駆動制御手段は、少なくとも前記第
2の電動機で電力を回生することにより、前記第1の駆
動軸および第2の駆動軸から総和が前記要求動力となる
動力を出力する手段であるものとすることができる。
【0044】第8の態様として、前記接続制御手段は、
車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
前記出力軸に結合する手段であり、前記動力設定手段
は、トルクが負となる動力を要求動力として設定する手
段であり、前記駆動制御手段は、少なくとも前記動力調
整装置で電力を回生することにより、前記第1の駆動軸
および第2の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力
を出力する手段であるものとすることができる。
【0045】これらの構成を有するハイブリッド車両
は、従来のハイブリッド車両と同様、駆動軸に負のトル
クを出力することにより、車輌の制動をすることができ
る。前者では第1の駆動軸に第2の電動機が結合されて
いるから、該第2の電動機により制動負荷を与えること
ができる。後者では、動力調整装置が第1の駆動軸に結
合されているから、動力調整装置により制動負荷を与え
ることができる。なお、後者の場合には、原動機の出力
軸に第2の電動機が結合されているから、動力調整装置
で制動を与えることによる反作用で原動機の出力軸が回
転しないようにするための保持トルクを第2の電動機に
より出力することもできる。こうした作用に基づき、本
発明のハイブリッド車両は、従来のハイブリッド車両の
機能を損ねることなく、先に説明した運転効率の向上を
実現することができる。当然、これらの走行に伴って第
2の駆動軸に結合された第1の電動機を回生して制動負
荷を第2の駆動軸に与えることもできる。
【0046】さらに、本発明のハイブリッド車両におい
ては、以下に示す通り第1の駆動軸および第2の駆動軸
から出力される動力の配分を適切に制御するものが可能
である。本発明のハイブリッド車両において、前記動力
設定手段は、前記要求動力を所定のトルク配分で前記第
1の駆動軸から出力すべき動力と前記第2の駆動軸から
出力すべき動力に配分する動力配分手段を有する手段で
あり、さらに、前記第1の駆動軸に結合された第1の駆
動輪および前記第2の駆動軸に結合された第2の駆動輪
の路面に対する滑り量を検出する検出する検出手段と、
前記第1の駆動輪および第2の駆動輪の少なくとも一方
の滑り量が所定の値以上である場合には、前記動力配分
手段により配分された結果に関わらず、少なくとも滑り
量が該所定の値を超える駆動輪が結合された駆動軸から
出力すべきトルクを変更して前記要求動力を補正する動
力補正手段とを備えるものとすることができる。
【0047】かかる構成を有するハイブリッド車輌によ
れば、前記第1の駆動軸に結合された第1の駆動輪およ
び前記第2の駆動軸に結合された第2の駆動輪の路面に
対する滑り量を検出し、該滑り量に応じて両駆動軸から
出力すべきトルクを変更することができる。一般に駆動
輪に滑りが生じている場合には、路面に十分な動力を伝
達することができない。上記発明のハイブリッド車輌に
よれば、かかる場合に各駆動軸から出力されるトルクを
適切に制御することができ、動力を効率的に路面に伝達
することができる。この結果、ハイブリッド車輌を効率
的に走行することができる。なお、トルクの変更は、第
1および第2の駆動軸の双方について行うものとしても
よいし、いずれか一方の駆動軸についてのみ行うものと
してもよい。また、第1および第2の駆動軸から出力さ
れる動力が動力設定手段により設定された要求動力に満
たない場合も含まれる。
【0048】かかる場合において、前記検出手段は、前
記第1の駆動軸の回転数と前記第2の駆動軸の回転数の
差に基づいて前記滑り量を検出する手段であるものとす
ることができる。
【0049】第1および第2の駆動軸に結合されたいず
れの駆動輪にも滑りが生じていない場合には、第1およ
び第2の駆動軸の回転数は略同一となる。両者の一方に
滑りが生じている場合に、両者の回転数に差が生じるか
ら、この回転数差に基づいて滑り量を検出することがで
きる。この場合において、要求動力を考慮することによ
り、いずれの車軸が滑りを生じているかを判断すること
ができる。例えば、要求動力が正の値である場合には、
回転数が大きい側の駆動軸で滑りが生じていると判断さ
れる。逆に要求動力が負の値である場合には、回転数が
小さい側の駆動軸で滑りが生じていると判断される。
【0050】滑り量の検出は上記方法のみならず種々の
方法を採ることができる。例えば、駆動輪の回転数以外
の方法で車速を検出することが可能な場合には、該検出
された車速から算出される駆動軸の回転数と現実の回転
数との差分に応じて滑り量を検出するものとしても構わ
ない。また、駆動軸の回転数の時間的な変化を検出し、
急激な変化が生じた場合や所定の程度以上の不規則な変
化が現れた場合に滑りが生じているものと判断しても構
わない。なお、こうした駆動輪の滑りは、車両がいわゆ
るぬかるみにはまったような場合に生じる他、通常の走
行中にカーブを曲がる際にも生じる。
【0051】また、上述のハイブリッド車両において、
前記動力補正手段は、前記滑り量が該所定の値を超える
駆動輪が結合された駆動軸から出力すべきトルクの絶対
値を減少させる手段であるものとすることができる。
【0052】一般に駆動輪に滑りが生じるのは、該駆動
輪から出力されるトルクが路面の摩擦力よりも大きいこ
とが原因である。従って、上記構成を有するハイブリッ
ド車両によれば、滑りを生じている側のトルクの絶対値
を減少させることにより、滑りを低減することができ
る。なお、絶対値を減少させるため、駆動軸から負のト
ルクが出力されている制動時においても同様の効果を得
ることができる。
【0053】また、前記動力補正手段は、前記第1の駆
動軸および第2の駆動軸から出力されるトルクの総和を
一定に保持したまま前記第1の駆動軸から出力すべきト
ルクおよび前記第2の駆動軸から出力すべきトルクを変
更する手段であるものとすることもできる。
【0054】こうすれば、要求トルクの総和を一定に保
持することにより、車両の走行に必要な動力を出力しつ
つ、滑りを低減することができる。
【0055】第1の駆動軸から出力すべきトルクを変更
するための手段としては、例えば、次に挙げる2通りが
ある。一つは、前記動力補正手段は、前記動力調整装置
を制御して、前記第1の駆動軸から出力すべきトルクを
変更する手段であるものとするものであり、もう一つ
は、前記動力補正手段は、前記第2の電動機を制御し
て、前記第1の駆動軸から出力すべきトルクを変更する
手段であるものとするものである。
【0056】これらのいずれの手段によっても、第1の
駆動軸から出力するトルクを変更することができる。こ
れらの手段は、第2の電動機が第1の駆動軸側に結合さ
れている場合、原動機の出力軸側に結合されている場合
のいずれにおいてもそれぞれ適用することができる。第
2の電動機が第1の駆動軸側に結合されている場合にお
いて、動力調整装置を制御して出力トルクを変更する場
合には、原動機にかけられる負荷が変化することになる
から、結果として原動機の運転状態の変化も伴うことに
なる。第2の電動機が原動機の出力軸側に結合されてい
る場合において、第2の電動機を制御して出力トルクを
変更する場合も同様である。
【0057】一方、前記駆動制御手段は、前記原動機の
運転を制御して、前記動力補正手段により前記第1の駆
動軸から出力すべき動力が変更される前後で前記原動機
から出力される動力を一定に維持する手段であるものと
することができる。
【0058】こうすれば、原動機の運転ポイントの変更
を伴う場合であっても、原動機から出力される動力を一
定に維持することができるため、バッテリなど原動機以
外のエネルギ源に依存することなく車両に必要な動力を
出力することができる。動力の大きさは回転数とトルク
の積により表される。従って、原動機から出力される動
力を一定に維持するとは、トルクの変更に伴って、回転
数とトルクの積が一定に維持されるように原動機の回転
数を変更することを意味する。
【0059】また、前記動力補正手段は、前記滑り量が
該所定の値を超える駆動輪が結合された駆動軸から出力
すべきトルクの変更量を、前記滑り量に応じた関係とし
て記憶する記憶手段と、前記滑り量に基づいて前記記憶
手段に記憶された関係を参照して、前記出力すべきトル
クを変更する変更手段とを備えるものとすることもでき
る。
【0060】かかる構成によれば、上記記憶手段に記憶
された関係を参照することにより、駆動軸の滑り量に応
じてトルクを適切に変更し、滑りを抑制することができ
る。また、かかる構成によれば、滑りを抑制するための
トルクを短時間で設定することができるという利点も有
している。なお、滑り量とトルクの変更量との関係は、
予め実験その他の手段により決定することができる。
【0061】また、前記動力補正手段は、前記滑り量が
所定範囲内になるまで、前記滑り量が該所定の値を超え
る駆動輪が結合された駆動軸から出力すべきトルクを、
段階的に変更する手段であるものとすることもできる。
【0062】かかる構成によれば、滑りが生じている側
の駆動軸から出力されるトルクを段階的に減少させるこ
とにより、滑りを抑制することができる。また、かかる
構成では、滑りを抑制するための制御を非常に容易に実
現することができるという利点もある。
【0063】なお、本発明のハイブリッド車両に搭載さ
れる動力出力装置は、単独で以下の発明として構成され
ている。本発明の動力出力装置は、第1および第2の駆
動軸に動力を出力することができる動力出力装置であっ
て、出力軸を有する原動機と、該出力軸と前記第1の駆
動軸とに結合され、該出力軸および第1の駆動軸の一方
から入力された機械的な動力を、電力のやりとりを介し
て増減して、他方に伝達可能な動力調整装置と、前記第
2の駆動軸に結合された第1の電動機と、前記出力軸、
第1の駆動軸および第2の駆動軸のいずれとも異なる回
転軸を有する第2の電動機と、該回転軸と前記出力軸と
の結合および切り離しを行う第1の接続装置と、該回転
軸と前記第1の駆動軸との結合および切り離しを行う第
2の接続装置と、該動力出力装置の運転状態を特定する
特定手段と、該特定された運転状態に応じて、前記第1
の接続装置および前記第2の接続装置を制御して、前記
第2の電動機の回転軸と前記出力軸および前記第1の駆
動軸との結合状態を切り替える接続制御手段とを備える
ことを要旨とする。
【0064】かかる動力出力装置によれば、先にハイブ
リッド車両の発明について説明したのと同様、動力の循
環を抑制することができるため、動力出力装置の運転効
率を向上することができる。
【0065】また、本発明は以下に示す制御方法として
も成立する。本発明の制御方法は、原動機の出力軸およ
び第1の駆動軸に結合された動力調整装置により該原動
機の動力を増減して前記第1の駆動軸から出力可能な第
1の駆動系統と、第1の電動機の動力を該第1の電動機
に結合された第2の駆動軸から出力可能な第2の駆動系
統と、接続装置により前記第1の駆動軸および前記出力
軸の少なくとも一方に選択的に結合することができる第
2の電動機とを備え、第1の駆動軸および第2の駆動軸
から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両を制御
する制御方法であって、(a) 前記第1の駆動軸およ
び第2の駆動軸から出力すべき動力の総和を要求動力と
して設定する工程と、(b) 前記第1の駆動軸の回転
数と前記出力軸の回転数の大小関係を特定する工程と、
(c) 前記特定された大小関係に応じて、前記接続装
置を制御して前記第2の電動機と前記出力軸および前記
第1の駆動軸との結合状態を切り替える工程と、(d)
前記原動機、動力調整装置、第1の電動機および第2
の電動機の運転を制御して、前記第1の駆動軸および第
2の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力す
る工程とを備えることを要旨とする。
【0066】この場合において、前記工程(a)は、前
記要求動力を所定のトルク配分で前記第1の駆動軸から
出力すべき動力と前記第2の駆動軸から出力すべき動力
に配分する工程を有する工程であり、さらに、(e)
前記第1の駆動軸に結合された第1の駆動輪および前記
第2の駆動軸に結合された第2の駆動輪の路面に対する
滑り量を検出する検出する検出する工程と、(g) 前
記第1の駆動輪および第2の駆動輪の少なくとも一方の
滑り量が所定の値以上である場合には、前記動力配分手
段により配分された結果に関わらず、少なくとも滑り量
が該所定の値を超える駆動輪が結合された駆動軸から出
力すべきトルクを変更して前記要求動力を補正する工程
とを備えるものとすることもできる。
【0067】これらの制御方法によれば、先にハイブリ
ッド車両の発明において説明したと同様の作用により、
ハイブリッド車両の運転効率を向上することができ、ま
た、第1および第2の駆動軸に滑りが生じた場合にトル
クを変更することによって、その滑りを低減することが
できる。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。 (1)実施例の構成:はじめに、実施例の構成について
図1を用いて説明する。図1は本実施例の動力出力装置
を搭載した4輪駆動可能なハイブリッド車両の概略構成
を示す説明図である。
【0069】このハイブリッド車両に搭載された動力出
力装置は、原動機としてのエンジン150から出力され
た動力を、動力調整装置としてのクラッチモータ130
およびディファレンシャルギヤ114を介して第1の駆
動軸に相当する前車軸116に伝達し、前車軸116に
結合された前輪116R,116Lから出力する前輪動
力系統と、同じくエンジン150から出力された動力を
電力の形を経て第2の駆動軸に相当する後車軸118に
伝達し後輪118R,118Lから出力する後輪動力系
統とから成っている。
【0070】まず、前輪動力系統の構成について説明す
る。前輪動力系統に備えられた動力源としてのエンジン
150は通常のガソリンエンジンであり、クランクシャ
フト156を回転させる。エンジン150の運転はEF
IECU170により制御されている。EFIECU1
70は内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチ
ップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに
記録されたプログラムに従い、エンジン150の燃料噴
射料その他の制御を実行する。これらの制御を可能とす
るために、EFIECU170にはエンジン150の運
転状態を示す種々のセンサが接続されている。その一つ
としてクランクシャフト156の回転数を検出する回転
数センサ152がある。その他のセンサおよびスイッチ
などの図示は省略した。
【0071】エンジン150のクランクシャフト156
は、クラッチモータ130に結合されている。クラッチ
モータ130は、後述する通りインナロータ軸133に
結合されたインナロータ132とアウタロータ軸135
に結合されたアウタロータ134を備え、両者が相対的
に回転可能な対ロータ電動機である。クラッチモータ1
30のインナロータ軸133は第1クラッチ111を介
してクランクシャフト156に結合されている。アウタ
ロータ軸135は第2クラッチ112およびディファレ
ンシャルギヤ114を介して、前輪116R,116L
を備えた前車軸116に結合されている。
【0072】前輪動力系統において、第1クラッチ11
1および第2クラッチ112には、それぞれ前輪アシス
トモータ140のロータ142が結合されている。前輪
アシストモータ140はステータ144はケースに固定
されている。第1クラッチ111および第2クラッチ1
12は油圧により結合または切り離しを行うことがで
き、その作動は制御ユニット190により制御される。
第1クラッチ111および第2クラッチ112の結合状
態に応じて、本実施例のハイブリッド車両の前輪動力系
統は、4つの構成を選択的に採ることができる。これら
の構成について説明する。
【0073】図2は第1クラッチ111を解放状態と
し、第2クラッチ112を結合状態とした場合の前輪動
力系統の構成を示す説明図である(以下、「アンダード
ライブ結合」と呼ぶ)。図2に示すように、かかる結合
状態では、前輪アシストモータ140のロータ142は
アウタロータ軸135に結合された状態となる。この結
果、エンジン150から出力された動力は、クラッチモ
ータ130、前輪アシストモータ140をこの順に経て
前車軸116に出力されることになる。
【0074】図3は第1クラッチ111を結合状態と
し、第2クラッチ112を解放状態とした場合の前輪動
力系統の構成を示す説明図である(以下、「オーバード
ライブ結合」と呼ぶ)。図3に示すように、かかる結合
状態では、前輪アシストモータ140のロータ142は
クランクシャフト156に結合された状態となる。この
結果、エンジン150から出力された動力は、前輪アシ
ストモータ140、クラッチモータ130をこの順に経
て前車軸116に出力されることになる。
【0075】図4は第1クラッチ111および第2クラ
ッチ112の双方を解放状態とした場合の前輪動力系統
の構成を示す説明図である。図4に示すように、かかる
結合状態では、前輪アシストモータ140のロータ14
2はアウタロータ軸135およびクランクシャフト15
6の双方から解放された状態となる。この結果、エンジ
ン150から出力された動力は、クラッチモータ130
を経て前車軸116に出力されることになる。
【0076】図5は第1クラッチ111および第2クラ
ッチ112の双方を結合状態とした場合の前輪動力系統
の構成を示す説明図である。図5に示すように、かかる
結合状態では、前輪アシストモータ140のロータ14
2はアウタロータ軸135およびクランクシャフト15
6の双方に結合された状態となり、クラッチモータ13
0は機能しない状態となる。この結果、エンジン150
から出力された動力は、前輪アシストモータ140を経
て前車軸116に出力されることになる。
【0077】次に後輪動力系統について説明する。後輪
動力系統では図1に示す通り、後車軸118に後輪アシ
ストモータ160のロータ162が結合されている。後
輪アシストモータ160のステータ164は回転不能に
ケースに固定されている。後車軸118には後輪118
R,118Lが結合されている。
【0078】次に、クラッチモータ130、前輪アシス
トモータ140,後輪アシストモータ160の構成につ
いて説明する。クラッチモータ130は、対ロータの同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石を有するインナロータ132と、回転磁界を形成する
三相コイルが巻回されたアウタロータ134とを備え
る。アウタロータ134とインナロータ132とは、共
に相対的に回転可能に軸支されている。クラッチモータ
130はインナロータ132に備えられた永久磁石によ
る磁界とアウタロータ134に備えられた三相コイルに
よって形成される磁界との相互作用により両者が相対的
に回転駆動する電動機として動作し、場合によってはこ
れらの相互作用によりアウタロータ134に巻回された
三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても
動作する。
【0079】クラッチモータ130はインナロータ13
2とアウタロータ134の双方が回転可能であるため、
インナロータ軸133およびアウタロータ軸135の一
方から入力された動力を他方に伝達することができる。
クラッチモータ130を電動機として力行運転すれば他
方の軸にはトルクが付加された動力が伝達されることに
なるし、発電機として回生運転すれば動力の一部を電力
の形で取り出しつつ残余の動力を伝達することができ
る。また、力行運転も回生運転も行わなければ、動力が
伝達されない状態となる。この状態は機械的なクラッチ
を解放にした状態に相当する。
【0080】クラッチモータ130のアウタロータ13
4はスリップリングおよびインバータ191を介してバ
ッテリ194に電気的に接続されている。インバータ1
91は内部にスイッチング素子であるトランジスタを複
数備えており、制御ユニット190と電気的に接続され
ている。制御ユニット190がインバータ191のトラ
ンジスタのオン・オフの時間をPWM制御するとバッテ
リ194を電源とする三相交流がスリップリング138
を介してクラッチモータ130のアウタロータ134に
流れる。この三相交流によりアウタロータ134には回
転磁界が形成されクラッチモータ130は回転する。
【0081】前輪アシストモータ140および後輪アシ
ストモータ160も、クラッチモータ130と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石を有するロータ142、162と、回転磁界を形成す
る三相コイルが巻回されたステータ144、164とを
備える。ステータ144,164がケースに固定されて
いる点で、クラッチモータ130とは異なっている。前
輪アシストモータ140はインバータ192を介してバ
ッテリ194に接続されており、後輪アシストモータ1
60はインバータ193を介してバッテリ194に接続
されている。これらのインバータ192,193もトラ
ンジスタインバータにより構成されており、制御ユニッ
ト190に電気的に接続されている。制御ユニット19
0の制御信号によりインバータ192、193のトラン
ジスタをスイッチングすると、ステータ144、164
に三相交流が流れて回転磁界を生じ、前輪アシストモー
タ140および後輪アシストモータ160は回転する。
【0082】本実施例のハイブリッド車両の運転状態は
制御ユニット190により制御されている。制御ユニッ
ト190もEFIECU170と同様、内部にCPU、
ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピ
ュータであり、CPUがROMに記録されたプログラム
に従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成されて
いる。これらの制御を可能とするために、制御ユニット
190には、各種のセンサおよびスイッチが電気的に接
続されている。制御ユニット190に接続されているセ
ンサおよびスイッチとしては、アクセルペダルおよびブ
レーキペダルの操作量を検出するためのアクセルペダル
ポジションセンサ165、ブレーキペダルポジションセ
ンサ166、前車軸116の回転数を検出する回転数セ
ンサ117および後車軸118の回転数を検出する回転
数センサ119等が挙げられる。制御ユニット190
は、EFIECU170とも電気的に接続されており、
EFIECU170との間で種々の情報を、通信によっ
てやりとりしている。制御ユニット190からエンジン
150の制御に必要な情報をEFIECU170に出力
することにより、エンジン150を間接的に制御するこ
とができる。逆にエンジン150の回転数などの情報を
EFIECU170から入力することもできる。この制
御ユニット190は、本発明における接続制御手段、駆
動制御手段、動力設定手段、動力補正手段等として機能
する。
【0083】(2)運転制御処理:次に、本実施例のハ
イブリッド車両の運転制御処理について説明する。前述
した構成を有するハイブリッド車両は種々の運転モード
により走行することができる。本実施例のハイブリッド
車両の運転が開始されると、制御ユニット190内のC
PU(以下、単に「CPU」という)は車両の走行状態
に応じて運転モードを判定し、それぞれのモードについ
てエンジン150、クラッチモータ130、前輪アシス
トモータ140,後輪アシストモータ160および第
1、第2のクラッチ111,112等の制御を実行す
る。これらの制御は種々の制御処理ルーチンを周期的に
実行することにより行われる。以下では、それぞれの制
御処理ルーチンの内容について説明する。
【0084】最初に運転制御処理ルーチンの全体の流れ
を図6に示すフローチャートにより説明する。運転制御
ルーチンが開始されるとCPUは、アクセルペダルおよ
びブレーキベダルの操作量を検出する(ステップS10
0)。これらの操作量は、アクセルペダルポジションセ
ンサ165、ブレーキペダルポジションセンサ166に
より検出される。また、CPUは同時に車速も検出する
(ステップS102)。車速は前車軸116および後車
軸118に設けられた回転数センサ117,119の回
転数に基づいて算出される。図1では示していないが、
回転数センサ117,119とは別に車速を検出するた
めのセンサを設けるものとしても構わない。
【0085】次に、CPUは運転モード判定処理を実行
する(ステップS104)。この処理は、先に検出した
アクセルペダルおよびブレーキペダルの操作量および車
速に基づいてハイブリッド車両の運転モードを決定する
処理である。これらの諸量の他にバッテリ194の残容
量等の情報も併せて判断するものとしても構わない。本
実施例では、ハイブリッド車両の運転モードとして図6
に示す通り、「EV走行」「エンジン始動」「通常走
行」「回生制動」の4つの状態がある。
【0086】運転モード判定処理における判定内容につ
いて図7を用いて説明する。図7は、本実施例のハイブ
リッド車両の走行状態(車速およびトルク)と運転モー
ドとの関係を示す説明図である。図7中の曲線LIMで
示された領域内が本実施例のハイブリッド車両が走行可
能な領域を意味している。図7中の領域ODは「エンジ
ン150の回転数<前車軸116の回転数」となる領域
を意味し、領域UDは「エンジン150の回転数>前車
軸116の回転数」となる領域を意味している。ハイブ
リッド車両の運転モードのうち「EV走行」は、エンジ
ン150の運転を停止したまま、クラッチモータ13
0,前輪アシストモータ140および後輪アシストモー
タ160のいずれかを力行することにより走行する運転
モードである。ハイブリッド車両が比較的低速度の場合
に行われる。EV走行が行われる領域を図7中に領域E
Vとして示した。このようにハイブリッド車両が停止状
態から走行し始める初期の状態において、「EV走行」
による運転モードが行われる(ステップS200)。
【0087】車速が領域EV以上の速度になった場合や
領域EV以上のトルクが必要になった場合には、CPU
はハイブリッド車両の運転モードを、エンジン150を
始動するための運転モードに切り替える(ステップS3
00)。このモードが行われる領域を図7中に領域ES
として示した。かかる領域においてエンジン150の始
動が行われてエンジン150が運転すると、ハイブリッ
ド車両は通常走行モードにより運転する(ステップS4
00)。図7中の領域EV,ES以外の部分は全て通常
走行モードによる運転が行われる領域を意味している。
【0088】一方、ブレーキペダルが操作された場合に
は、CPUは回生制動モードによりハイブリッド車両を
運転する(ステップS500)。このモードは図7中の
いずれの領域においても行われ得る。また、ブレーキペ
ダルが操作された場合のみならず、アクセルペダルの操
作量が少なくなった場合等、運転者が減速するための何
らかの操作を行った場合に行われる。
【0089】なお、上述の各運転モードを判定するため
の基準量(車速、トルク等)は、ハイブリッド車両に備
えられているエンジン150、クラッチモータ130,
前輪アシストモータ140,後輪アシストモータ160
の特性等を考慮して設定される。また、図7ではEV走
行モード、エンジン始動モード等をそれぞれ明確な領域
EV,ESとして図示したが、これらの領域は固定的な
ものではなく、例えばバッテリ194やエンジン150
の暖機状態に応じて変化するものとしたり、車速やトル
クの変化に対してヒステリシスを持たせるものとしても
よい。以下、それぞれの運転モードにおける制御内容に
ついて個別に説明する。
【0090】(3)EV走行制御処理:図8にEV走行
モードにおける制御処理のフローチャートを示す。この
フローチャートは制御ユニット190内のCPUにより
周期的に実行される処理である。この処理が開始される
と、CPUは要求動力Pd*を設定する(ステップS2
02)。要求動力Pd*は、アクセルペダルの踏み込み
量および車速に基づいて、車両を走行するために必要な
動力として設定される。要求動力Pd*は、要求トルク
Td*および回転数Nd*の組み合わせにより設定され
る。
【0091】こうして設定された要求動力Pd*を前車
軸116から出力すべき要求トルクTdf*と、後車軸
118から出力すべき要求トルクTdr*とに分けて設
定する。要求トルクの配分は、予め定めた一定の割合で
行われる。本実施例では、前車軸116から出力すべき
要求トルクと後車軸118から出力すべき要求トルクT
dr*とを等しく設定している。もちろん、両車軸にか
かる重量の配分を考慮してそれぞれのトルクを設定する
ものとすることもできるし、前車軸116または後車軸
118のいずれか一方の車軸からのみ動力を出力する場
合が存在するように設定しても構わない。また、トルク
配分は予め定めた一定値ではなく、車両の走行状態に応
じて変化させるものとしてもよい。
【0092】次に、CPUは前車軸116の回転数Nf
および後車軸118の回転数Nrを検出する(ステップ
S206)。それぞれの回転数は、回転数センサ11
7,119により検出される。こうして検出された両車
軸の回転数の差の絶対値(|Nf−Nr|)が所定の値
αよりも大きいか否かを判定する(ステップS20
8)。所定の値αよりも大きい場合、即ち両車軸の回転
数に差がある場合には、いずれかの前輪116R、11
6Lまたは後輪118R、118Lのいずれかがスリッ
プしていると判断されるため、要求トルクの補正処理を
実行する(ステップS210)。両車軸の回転数に差が
ない場合には、この処理をスキップする。所定の値α
は、このようにスリップが生じているか否かを判断する
ための基準となる値であり、予め実験等により定められ
た値である。この値は全車速において一定の値としても
よいし、車速に応じて変化するものとしても構わない。
【0093】ここで、要求トルク補正処理(ステップS
210)の内容について説明する。図9は要求トルク補
正処理ルーチンのフローチャートである。この処理で
は、最初に前車軸116の回転数Nfと後車軸118の
回転数Nrとの大小関係を判定する(ステップS21
2)。これは、前車軸116と後車軸118のいずれの
車軸の側がスリップしているか判断するためである。
【0094】前車軸116の回転数Nfの方が大きい場
合には、前車軸116の要求トルクTdf*を補正す
る。具体的には、トルク補正量△Tだけ前車軸116の
要求トルクTdf*を減少させる(ステップS21
4)。つまり、「Tdf*−△T」を補正後の要求トル
クTdf*とするのである。トルク補正量△Tは前車軸
116の回転数Nfと後車軸118の回転数Nrとの差
の絶対値に応じたマップとして予め設定されている。こ
のマップの例を図10に示した。両回転軸の差の絶対値
が大きくなるほど、トルクの補正量△Tが大きくなるマ
ップとなっている(図10中の曲線CT参照)。このマ
ップを制御ユニット190内のROMに予め記憶し、そ
のマップを読み出すことにより、図9のステップS21
4における補正を行っている。
【0095】なお、図10では横軸に両車軸の回転数の
絶対値を採ることにより、前車軸116および後車軸1
18のいずれの軸側がスリップしている場合でも同じト
ルク補正量△Tを用いるものとしている。これに対し、
前車軸116側がスリップしている場合と、後車軸11
8側がスリップしている場合とで、用いるマップを異な
るものとすることもできる。両車軸にかかる荷重が異な
る場合など、それぞれに対応したマップを用意すること
により、トルクの補正をより適切に行うことができる場
合もある。
【0096】上述したマップにより前車軸116の要求
トルクTdf*を変更した後、CPUは後車軸118の
要求トルクTdr*の設定を行う(ステップS21
6)。要求トルクTdr*は、車両全体の要求トルクT
d*から補正後の前車軸116の要求トルクTdf*を
引くことによって設定する。後車軸118の要求トルク
Tdr*をトルク補正量△Tだけ増すものとしても同じ
である。このように設定することにより、車両全体とし
ての出力トルクは維持したまま、前車軸116と後車軸
118のトルク配分を変更することができる。
【0097】一方、後車軸118の回転数Nrの方が大
きい場合には、後車軸118の要求トルクTdr*を補
正する。具体的には、トルク補正量△Tだけ後車軸11
8の要求トルクTdr*を減少させる(ステップS21
8)。つまり、「Tdr*−△T」を補正後の要求トル
クTdr*とするのである。トルク補正量△Tは先に説
明したマップ(図10)により設定される。
【0098】後車軸118の要求トルクTdr*を変更
した後、CPUは前車軸116の要求トルクTdf*の
設定を行う(ステップS220)。要求トルクTdf*
は、車両全体の要求トルクTd*から補正後の後車軸1
18の要求トルクTdr*を引くことによって設定す
る。前車軸116の要求トルクTdf*をトルク補正量
△Tだけ増すものとしても同じである。このように設定
することにより、車両全体としての出力トルクは維持し
たまま、前車軸116と後車軸118のトルク配分を変
更することができる。
【0099】なお、上述した要求トルクの補正処理で
は、トルクの補正量△Tをマップにより設定するものと
しているが、補正量△Tを予め定めた一定量とすること
もできる。この場合、要求トルク補正処理を1回実行し
ただけでスリップが解消されるとは限らないが、EV走
行制御処理ルーチン(図8)のステップS208および
S210を周期的に実行するにつれ、段階的に要求トル
クが減少し、徐々にスリップが解消する。こうすれば、
スリップが解消するまでに若干の時間を要するものの、
処理自体を簡単に実現することができる。
【0100】また、上述した要求トルク補正処理では、
前車軸116および後車軸118から出力されるトルク
の和が要求トルクTd*に一致するように双方の要求ト
ルクTdf*、Tdr*を変更するものとしている。こ
れに対し、スリップしていると判断される側の要求トル
クを減少させる処理のみを行うものとすることもでき
る。かかる場合には、車両全体として出力するトルクは
要求トルクTd*に満たない可能性があるが、少なくと
も車輪のスリップを抑制することは可能である。
【0101】以上の処理により要求トルクの補正を行っ
た後、CPUはクラッチ111,112の結合状態を検
出する(ステップS230)。クラッチ111,112
の結合は制御ユニット190のCPU自体が制御してい
るため、ここではクラッチ111,112の結合状態を
示すフラグを確認することによって結合状態を判定して
いる。クラッチ111,112の結合状態を検出するの
は、この後の処理、つまり、クラッチモータ130、前
輪アシストモータ140および後輪アシストモータ16
0の目標トルク、回転数を設定する処理(ステップS2
40)がクラッチ111,112の結合状態に応じて変
わるからである。
【0102】モータの目標トルク、回転数を設定する処
理(ステップS240)の内容について、クラッチ11
1,112の結合状態に応じて場合を分けて説明する。
図11は、クラッチ111,112がアンダードライブ
結合(図2に示した状態)である場合のモータ目標トル
ク、回転数設定処理のフローチャートである。
【0103】アンダードライブ結合の場合は、前輪アシ
ストモータ140が前車軸116に結合した状態となっ
ているから、前輪アシストモータ140を力行すること
により要求動力を前車軸116から出力する事ができ
る。従って、モータ目標トルク、回転数の設定処理で
は、CPUはクラッチモータ130の要求トルクTc*
を値0に設定する(ステップS242)。また、前輪ア
シストモータ140の目標回転数N1*として前車軸1
16の要求回転数Nd*を設定する。また、目標トルク
T1*として前車軸116の要求トルクTdf*を設定
する(ステップS244)。後輪アシストモータ160
については、目標回転数として駆動軸の回転数Nd*を
設定し、目標トルクT2*として後車軸118の要求ト
ルクTdr*を設定する(ステップS246)。
【0104】オーバードライブ結合の場合におけるモー
タ目標トルク、回転数設定処理のフローチャートを図1
2に示す。オーバードライブ結合の場合には、クラッチ
モータ130を力行することによって要求動力を前車軸
116から出力することができる。従って、モータ目標
トルク、回転数の設定処理では、CPUはクラッチモー
タ130の目標回転数Nc*として前車軸116の要求
回転数Nd*を設定し、目標トルクTc*として前車軸
116の要求トルクTdf*を設定する(ステップS2
52)。クラッチモータ130からトルクを出力する
と、その反作用によりインナロータ133およびクラン
クシャフト156が回転する。従って、前輪アシストモ
ータ140でこの回転を抑制するための保持トルクを出
力する必要がある。このために、CPUは前輪アシスト
モータ140の目標回転数N1*として値0を設定し、
目標トルクT1*としてクラッチモータ130の目標ト
ルクTc*を設定する(ステップS254)。こうする
ことにより、前輪アシストモータ140でクラッチモー
タ130の反作用を打ち消すことができる。もちろん、
前輪アシストモータ140の目標トルクT1*をTc*
以上の値とし、前輪アシストモータ140をいわゆるロ
ックアップするものとしてもよい。後輪アシストモータ
160については、目標回転数として駆動軸の回転数N
d*を設定し、目標トルクT2*として後車軸118の
要求トルクTdr*を設定する(ステップS256)。
【0105】こうして各モータの目標トルクおよび回転
数が設定されると、CPUはそれぞれのモータの運転を
制御する(ステップS260)。本実施例で用いられて
いるクラッチモータ130、前輪アシストモータ14
0、後輪アシストモータ160はいずれも同期電動機と
して構成されているため、その制御処理の内容は共通し
ている。本実施例では、トルクの目標値に応じてd軸、
q軸の2成分で各モータに流すべき電流を設定し、既に
流れている電流との差分に基づく比例積分制御によって
d軸方向、q軸方向に印加すべき電圧値を設定する。こ
うして設定された電圧をいわゆる2相/3相変換してコ
イルの各相に印加する電圧値に置換し、PWM制御によ
って、電圧を印加している。同期電動機を要求された回
転数およびトルクで運転するための制御処理としては周
知の種々の制御方法を適用可能であるため、ここではこ
れ以上の詳細な説明は省略する。なお、EV走行制御処
理ルーチンは、エンジン150から出力される動力を用
いることなく車両を走行するため、エンジン150は運
転が停止されている。もちろん、エンジン150をアイ
ドル状態で運転するものとしても構わない。
【0106】以上で説明したEV走行制御処理ルーチン
では、第1クラッチ111および第2クラッチ112の
結合状態の切り替えは行っていない。EV走行制御処理
ルーチンにおいて、以下に示す通り、両クラッチ11
1,112の切り替え処理を含めるものとすることもで
きる。本実施例のハイブリッド車両においては、クラッ
チモータ130と前輪アシストモータ140の定格が異
なっている。クラッチモータ130よりも前輪アシスト
モータ140の方が定格が大きいため、大きなトルクを
出力することができる。車両がオーバードライブ結合
(図3の状態)である場合には、図3に示す構成から明
らかな通り、クラッチモータ130の出力トルク以上の
トルクを前車軸116に出力することができない。例え
ば、前輪アシストモータ140によりトルクを出力した
としても、作用・反作用の原理に従い、クラッチモータ
130で伝達可能なトルク以上のトルクが前車軸116
に伝達されることはあり得ないのである。一方、アンダ
ードライブ結合(図2の状態)とすれば、前輪アシスト
モータ140を力行することにより、クラッチモータ1
30の定格以上のトルクを前車軸116に出力すること
ができる。かかる点に鑑み、EV走行制御処理ルーチン
において、前車軸116の要求トルクTdf*がクラッ
チモータ130の最大トルクよりも小さい場合には、オ
ーバードライブ結合(図3の状態)とし、それ以上のト
ルクが要求される場合には、アンダードライブ結合(図
2の状態)とするクラッチの切り替え制御処理を伴うも
のとすることもできる。その他、クラッチモータ130
や前輪アシストモータ140の運転効率を考慮してオー
バードライブ結合とアンダードライブ結合とを切り替え
る等、種々の条件に応じたクラッチ111,112の切
り替え処理を伴うものとすることができる。
【0107】(4)エンジン始動制御処理:次に、エン
ジン始動制御処理ルーチンについて図13のフローチャ
ートに基づいて説明する。この処理は、先に図7を用い
て説明した通り、EV走行制御と通常走行の過渡期に行
われる。エンジン150の暖機が必要な場合やバッテリ
194の充電が必要になった場合などの一定条件下で
は、車両が停止したまま行う場合もある。
【0108】この処理の内容は、概ねEV走行制御処理
の場合(図8)と同様である。まず、要求動力Pd*を
設定し(ステップS302)、前車軸116の要求トル
クTdf*および後車軸118の要求トルクTdr*を
設定する(ステップS304)。次に、前車軸116の
回転数Nfおよび後車軸118の回転数Nrを検出し
(ステップS306)、両者の回転数差の絶対値が処理
の値αよりも大きい場合には(ステップS308)、要
求トルク補正処理を行う(ステップS310)。要求ト
ルク補正処理の内容はEV走行制御処理で説明した内容
(図9)と同じである。次に、クラッチ111,112
の結合状態を検出し(ステップS330)、結合状態に
応じてモータ目標トルク、回転数の設定を行う(ステッ
プS340)。
【0109】モータ目標トルク、回転数の設定処理の内
容がEV走行制御処理ルーチンとは相違する。この内容
について、アンダードライブ結合の場合、オーバードラ
イブ結合の場合に分けて説明する。
【0110】図14はアンダードライブ結合の場合のモ
ータ目標トルク、回転数の設定処理のフローチャートで
ある。アンダードライブ結合(図2の状態)では、クラ
ッチモータ130によりエンジン150にトルクを加え
ることができる。従って、CPUはクラッチモータ13
0の目標トルクTc*として、エンジン150をモータ
リングするための始動トルクTstを設定する。始動ト
ルクTstは予め実験等によって設定された値である。
一定値としてもよいし、エンジン150の温度状態に応
じて変化する値としても構わない。
【0111】前輪アシストモータ140の目標回転数N
1*としては、EV走行制御の場合と同様、要求動力と
して設定された回転数Nd*を設定する。また、目標ト
ルクT1*は、前車軸116から要求トルクTdf*が
出力できるように設定する。このとき、前車軸116に
はクラッチモータ130でエンジン150をモータリン
グした反トルクが出力されるから、これを相殺するた
め、CPUは前輪アシストモータ140の要求トルクT
d*として要求トルクTdf*と始動トルクTstの
和、つまり「Tdf*+Tst」を設定する(ステップ
S344)。
【0112】一方、後輪アシストモータ160の目標回
転数N2*としては、EV走行制御の場合と同様、要求
動力として設定された回転数Nd*を設定する。また、
目標トルクとしては、後車軸118の要求トルクTdr
*を設定する(ステップS346)。
【0113】図15はオーバードライブ結合の場合のモ
ータ目標トルク、回転数の設定処理のフローチャートで
ある。オーバードライブ結合(図3の状態)では、クラ
ッチモータ130により前車軸116に動力を出力しつ
つ、前輪アシストモータ140によりエンジン150に
トルクを加えることができる。従って、CPUはクラッ
チモータ130の目標回転数Nc*として、要求動力と
して設定された回転数「Nd*−Ne*」を設定する。
また、目標トルクTc*として前車軸116の要求トル
クTdf*を設定する。Ne*はエンジン150の回転
数である。エンジン始動制御処理開始直後は、エンジン
150の回転数Ne*は値0であるが、エンジン150
がモータリングされるにつれてNe*は大きくなる。
【0114】前輪アシストモータ140の目標回転数N
1*としては、エンジン150の回転数Ne*を設定す
る。目標トルクT1*としては、エンジン150をモー
タリングするための始動トルクTstとクラッチモータ
130の目標トルクTc*との和を設定する(ステップ
S354)。クラッチモータ130の目標トルクTc*
を加えるのは、クラッチモータ130から前車軸116
に動力を出力する反トルクを相殺する必要があるからで
ある。
【0115】一方、後輪アシストモータ160の目標回
転数N2*としては、EV走行制御の場合と同様、要求
動力として設定された回転数Nd*を設定する。また、
目標トルクとしては、後車軸118の要求トルクTdr
*を設定する(ステップS356)。
【0116】以上で設定された要求トルク、回転数に基
づいて、CPUは各モータの運転を制御する(ステップ
S360)。また、エンジン150を始動するための制
御処理も実行する(ステップS370)。エンジン15
0を始動するための制御処理とは、エンジン150の回
転数が所定の回転数に達した時点で、燃料の噴射および
点火を開始する制御である。
【0117】以上で説明したエンジン始動制御処理ルー
チンにおいては、クラッチ111,112の切り替え処
理は実行していない。これに対し、EV走行制御におい
て説明したのと同様、例えばクラッチモータ130の定
格に応じてクラッチ111,112を切り替える処理を
含むものとすることもできる。
【0118】(5)通常走行制御処理:次に、通常走行
制御処理の内容について説明する。図16は、通常走行
制御処理の内容を示すフローチャートである。この処理
が開始されるとCPUは要求動力Pd*を設定する(ス
テップS402)。要求動力Pd*の設定内容は、EV
走行制御処理(図8)の場合と同様である。また、前車
軸116の要求トルクTdf*および後車軸118の要
求トルクTdr*を設定する(ステップS404)。
【0119】次に、こうして要求動力Pd*に基づいて
エンジン150の運転ポイントを設定する(ステップS
406)。エンジン150の運転ポイントは、予め定め
たマップに従って、基本的にはエンジン150の運転効
率を優先して設定する。
【0120】図17はかかるマップの例である。図17
はエンジンの回転数Neを横軸に、トルクTeを縦軸に
とりエンジン150の運転状態を示している。図17中
の曲線Bはエンジン150の運転が可能な限界範囲を示
している。曲線α1からα6まではエンジン150の運
転効率が一定となる運転ポイントを示している。α1か
らα6の順に運転効率は低くなっていく。また、曲線C
1からC3はそれぞれエンジン150から出力される動
力(回転数×トルク)が一定となるラインを示してい
る。
【0121】エンジン150は図17に示す通り、回転
数およびトルクに応じて、運転効率が大きく相違する。
図17中の曲線C1〜C3に相当する動力を出力する場
合のエンジン150の回転数Neと効率αの関係を図1
8に示す。エンジン150から曲線C1に相当する動力
を出力する場合には、図17および図18中のA1点に
相当する運転ポイント(回転数およびトルク)でエンジ
ン150を運転するときが最も運転効率が高くなる。同
様に曲線C2およびC3に相当する動力を出力する場合
には図17および図18中のA2およびA3点で運転す
る場合が最も効率が高くなる。出力すべき動力ごとに最
も運転効率が高くなる運転ポイントを選択すると、図1
7中の曲線Aが得られる。これを動作曲線と呼ぶ。
【0122】図16のステップS406における運転ポ
イントの設定では、予め実験的に求められた動作曲線を
制御ユニット190内のROMにマップとして記憶して
おき、かかるマップから要求動力Pe*に応じた運転ポ
イントを読み込んで、エンジン150の回転数Ne*お
よびトルクTe*を設定するのである。こうすることに
より、最も運転効率の高い運転ポイントを設定すること
ができる。
【0123】なお、エンジン150の要求動力Pe*は
ステップS402で設定された要求動力Pd*と等しい
値に設定することもできるし、その他以下の要因を考慮
した値に設定することもできる。例えば、ステップS4
02で設定された要求動力Pd*に加えて、バッテリ1
94の充放電に要する動力を考慮することもできる。つ
まり、バッテリ194の残容量が少ない場合には、エン
ジン150から要求動力Pd*以上の動力を出力し、余
剰の動力を用いてバッテリ194の充電を行うのであ
る。逆にバッテリ194が充電過多である場合には、エ
ンジン150から要求動力Pd*よりも小さい動力を出
力し、バッテリ194からの電力を用いて不足分の動力
を補うものとするのである。バッテリ194の充放電に
要する動力の他に、エアコンなどの補機を運転するため
の動力を考慮することもできる。
【0124】こうして設定されたエンジン150の運転
ポイントに応じて、CPUはクラッチ切り替え処理を行
う(ステップS408)。クラッチ切り替え処理の内容
を図19のフローチャートに基づいて説明する。この処
理が開始されるとCPUは、エンジン150の運転ポイ
ントとして設定されたトルクTe*および回転数Ne*
を読み込む(ステップS410)。次に、前車軸116
の要求トルクTdf*および回転数Nd*を読み込む
(ステップS412)。エンジン150の回転数は、回
転数センサ152により検出された値をEFIECU1
70を介して受け取ることにより検出される。また、前
車軸116の回転数は回転数センサ117により検出さ
れる。
【0125】CPUはエンジン150の回転数Ne*と
前車軸116の回転数Nd*とを比較し(ステップS4
14)、エンジン150の回転数Ne*の方が大きい場
合には、オーバードライブ結合とする(ステップS42
6)。つまり第1クラッチ111を結合し、第2クラッ
チ112を解放状態とする。
【0126】エンジン150の回転数Ne*と前車軸1
16の回転数Nd*とが略同一である場合には、第1ク
ラッチ111および第2クラッチ112の双方を結合状
態とする(ステップS424)。両クラッチ111,1
12を結合状態とした場合には、前車軸116の動力系
統は図5に示した構成となる。このときはエンジン15
0の回転数Ne*と前車軸116の回転数Nd*とを異
なる値とすることができない。ステップS414におけ
る条件が成立する場合にはエンジン150を効率よく運
転した状態で両クラッチ111,112を結合すること
ができる。
【0127】エンジン150の回転数Ne*の方が前車
軸116の回転数Nd*よりも小さい場合には、次に両
者のトルクTe*とTdf*とを比較する(ステップS
416)。両者のトルクが略同一である場合には、CP
Uは第1クラッチ111および第2クラッチ112の双
方を解放状態とする(ステップS422)。両クラッチ
111,112を解放状態とすることにより、前車軸1
16の動力系統は図4に示した構成となる。このとき作
用・反作用の原理から明らかな通り、エンジン150の
トルクTe*と前車軸116のトルクTdf*とを異な
る値とすることができない。ステップS416における
条件が成立する場合にはエンジンエンジン150を効率
よく運転した状態で両クラッチ111,112を解放す
ることができる。
【0128】以上で示したいずれの条件も成立しない場
合には、CPUは第1クラッチ111を解放状態とし、
第2クラッチ112を結合状態としてアンダードライブ
結合(図2の状態)とする(ステップS420)。な
お、実際にはステップS414,S416,S418に
おける判断にはそれぞれヒステリシスを設け、クラッチ
111,112の切り替えが必要以上に頻繁に行われる
ことを回避している。
【0129】こうしてクラッチ切り替え処理を実行した
後、CPUは前車軸116の回転数Nfと後車軸118
の回転数Nrを検出し(ステップS430)、両者の差
の絶対値と所定の値αを比較する(ステップS43
2)。回転数の差の絶対値が所定の値αよりも大きい場
合には、要求トルク補正処理を実行する(ステップS4
34)。この処理内容は、EV走行制御処理において説
明した内容と同じである(図9参照)。
【0130】以上の処理によって設定されたクラッチ1
11,112の結合状態および前車軸116、後車軸1
18の要求動力に基づいて、CPUはモータ目標トル
ク、回転数設定処理を実行する(ステップS450)。
この処理内容については、クラッチ111,112の結
合状態に応じて場合を分けて後述する。こうして各モー
タの目標トルクおよび回転数が設定されると、CPUは
各モータの運転制御およびエンジン150の運転制御処
理を実行する(ステップS490)。モータの運手制御
処理については既に説明した通りである。エンジン15
0の運転は現実にはEFIECU170が実施する処理
である。従って、制御ユニット190のCPUはEFI
ECU170に対してエンジン150の運転ポイントの
情報を出力することで、間接的にエンジン150の運転
を制御する。
【0131】以下、各モータの目標トルクおよび回転数
設定処理について、クラッチ111,112の結合状態
に応じて場合を分けて説明する。図20はアンダードラ
イブ結合(図2の状態)におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理のフローチャートである。図2の構成から
明らかな通り、クラッチモータ130のアウタロータ1
34は前車軸116の回転数と同じ回転数Nd*で回転
することになる。一方、クラッチモータ130のインナ
ロータ132はクランクシャフト156の回転数と同じ
回転数Ne*で回転する。従って、CPUはクラッチモ
ータ130の目標回転数Nd*として両者の差分である
「Nd*−Ne*」を設定する。また、図2の構成およ
び作用・反作用の原理から明らかな通り、クラッチモー
タ130のトルクはエンジン150に与えられる負荷ト
ルクに等しい。従って、CPUはクラッチモータ130
の目標トルクTc*としてエンジン150の目標トルク
Te*を設定する(ステップS452)。
【0132】アンダードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140が前車軸116に結合された状態である。
従って、前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
としてNd*を設定する。また、目標トルクT1*は、
前車軸116から要求トルクTdf*が出力可能な値が
設定される。前車軸116にはクラッチモータ130の
目標トルクTc*の反作用としてのトルクが出力され
る。従って、前輪アシストモータ140の目標トルクと
しては、この反作用を相殺した上で要求トルクTdf*
を出力することができるように「Tdf*−Tc*」が
設定される(ステップS454)。先に説明した通り、
クラッチモータ130の目標トルクTc*は正の値であ
る。従って、前輪アシストモータ140には前車軸11
6の要求トルクTdf*よりも小さいトルクが目標トル
クT1*として設定されることになる。
【0133】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS456)。
【0134】以上の処理により目標トルクおよび回転数
を設定した場合の動力の流れを説明する。クラッチモー
タ130の目標回転数Nc*は「Nd*−Ne*」とし
て設定される(ステップS452)。アンダードライブ
結合では、「前車軸116の回転数Nd*<エンジン1
50の回転数Ne*」であるから、クラッチモータ13
0のアウタロータ134はインナロータ132よりも減
速して回転し、アウタロータ134はインナロータ13
2に対し、相対的に負の方向に回転する。目標トルクT
c*は正の値であるから、クラッチモータ130は回生
運転されることになる。回生される電力は、この滑り量
|Nd*−Ne*|とトルクTe*との積に等しい。
【0135】前輪アシストモータ140および後輪アシ
ストモータ160は正のトルクを出力して正方向に回転
するから、それぞれ電力の供給を受けて力行することに
なる。前輪アシストモータ140に供給される電力は、
トルクT1*と回転数Nd*との積に等しい。また、後
輪アシストモータ160に供給される電力は、トルクT
2*と回転数Nd*との積に等しい。エンジン150か
ら要求動力Pd*に等しい動力が出力されている場合、
100%の効率で動力が伝達されるものとすれば、クラ
ッチモータ130で回生される電力と、前輪アシストモ
ータ140および後輪アシストモータ160に供給され
る電力とは等しくなる。この結果、図20の処理で設定
された目標トルクおよび回転数でクラッチモータ13
0、前輪アシストモータ140、後輪アシストモータ1
60の運転を行えば、エンジン150から出力された動
力状態を要求された回転数およびトルクからなる動力状
態に変換して前車軸116および後車軸118から出力
することができる。
【0136】しかも、この変換では、動力の循環を生じ
ない。エンジン150から出力された動力は、クラッチ
モータ130、前輪アシストモータ140を順に経て前
車軸116から出力される。上記変換では、こうした動
力の伝達の流れにおいて上流側に位置するクラッチモー
タ130により電力を回生し、下流側に位置する前輪ア
シストモータ140にその電力を供給しているから、動
力の循環は生じないのである。
【0137】図21はオーバードライブ結合(図3の状
態)におけるモータ目標トルク、回転数設定処理のフロ
ーチャートである。図3の構成から明らかな通り、クラ
ッチモータ130のアウタロータ134は前車軸116
の回転数と同じ回転数Nd*で回転することになる。一
方、クラッチモータ130のインナロータ132はクラ
ンクシャフト156の回転数と同じ回転数Ne*で回転
する。従って、CPUはクラッチモータ130の目標回
転数Nd*として両者の差分である「Nd*−Ne*」
を設定する。また、図3の構成から明らかな通り、クラ
ッチモータ130のトルクは前車軸116の要求トルク
Tdf*に等しい。従って、CPUはクラッチモータ1
30の目標トルクTc*として前車軸116の要求トル
クTdf*を設定する(ステップS458)。
【0138】オーバードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140がクランクシャフト156に結合された状
態である。従って、CPUは前輪アシストモータ140
の目標回転数N1*としてエンジン150の回転数Ne
*を設定する。また、目標トルクT1*は、エンジン1
50に負荷Te*を与えるように設定される。このとき
クランクシャフト156には、クラッチモータ130の
目標トルクTc*の反作用としてのトルクが出力され
る。従って、前輪アシストモータ140の目標トルクと
しては、この反作用を相殺した上でエンジン150に負
荷トルクTe*をかけることができるように「Tdf*
−Te*」が設定される(ステップS460)。
【0139】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS462)。
【0140】以上の処理により目標トルクおよび回転数
を設定した場合の動力の流れを説明する。クラッチモー
タ130の目標回転数Nc*は「Nd*−Ne*」とし
て設定される(ステップS458)。オーバードライブ
結合では、「前車軸116の回転数Nd*>エンジン1
50の回転数Ne*」であるから、クラッチモータ13
0のアウタロータ134はインナロータ132よりも増
速して回転する。この増速はクラッチモータ130を力
行することによって実現される。力行に当たりクラッチ
モータ130に供給される電力は、アウタロータ134
とインナロータ132の滑り量|Nd*−Ne*|とト
ルクTdf*との積に等しい。
【0141】前輪アシストモータ140の目標トルクは
「Tdf*−Te*」に設定される(ステップS46
0)。オーバードライブ時には、エンジン150から出
力される動力状態は、回転数が高く、トルクが低い動力
状態に変換される。従って、「前車軸116の要求トル
クTdf*<エンジン150の出力トルクTe*」であ
る。この結果、前輪アシストモータ140の目標トルク
T1*は負の値となる。つまり、前輪アシストモータ1
40はエンジン150から出力された動力の一部を電力
として回生することになる。この電力は、トルク|T1
*|と回転数N1*との積に等しい。一方、後輪アシス
トモータ160は電力の供給を受けて正のトルクを出力
する。後輪アシストモータ160に供給される電力は、
トルクT2*と回転数Nd*との積に等しい。エンジン
150から要求動力Pd*に等しい動力が出力されてい
る場合、100%の効率で動力が伝達されるものとすれ
ば、前輪アシストモータ140で回生される電力と、ク
ラッチモータ130および後輪アシストモータ160に
供給される電力とは等しくなる。この結果、図21の処
理で設定された目標トルクおよび回転数でクラッチモー
タ130、前輪アシストモータ140、後輪アシストモ
ータ160の運転を行えば、エンジン150から出力さ
れた動力状態を要求された回転数およびトルクからなる
動力状態に変換して前車軸116および後車軸118か
ら出力することができる。
【0142】しかも、この変換では、動力の循環を生じ
ない。エンジン150から出力された動力は、前輪アシ
ストモータ140、クラッチモータ130を順に経て前
車軸116から出力される。上記変換では、こうした動
力の伝達の流れにおいて上流側に位置する前輪アシスト
モータ140により電力を回生し、下流側に位置するク
ラッチモータ130にその電力を供給しているから、動
力の循環は生じないのである。
【0143】図22はクラッチ111,112の双方を
解放した場合(図4の状態)におけるモータ目標トル
ク、回転数設定処理のフローチャートである。図4の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130のアウタロ
ータ134は前車軸116の回転数と同じ回転数Nd*
で回転することになる。一方、クラッチモータ130の
インナロータ132はクランクシャフト156の回転数
と同じ回転数Ne*で回転する。従って、CPUはクラ
ッチモータ130の目標回転数Nd*として両者の差分
である「Nd*−Ne*」を設定する。また、図4の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130のトルクは
エンジン150への負荷トルクTe*に等しい。従っ
て、CPUはクラッチモータ130の目標トルクTc*
としてエンジン150の目標トルクTe*を設定する
(ステップS464)。
【0144】両クラッチ111,112を解放した状態
では、図4に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140は動力の伝達に影響を与えない。従って、
CPUは前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
および目標トルクT1*としてデフォルト値を設定する
(ステップS466)。本実施例では、デフォルト値と
してそれぞれ値0を設定している。
【0145】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS468)。
【0146】以上の処理により目標トルクおよび回転数
を設定した場合の動力の流れを説明する。クラッチモー
タ130の運転状態は、アンダードライブ結合の時と同
じであり、クラッチモータ130では電力が回生され
る。一方、後輪アシストモータ160は電力の供給を受
けて正のトルクを出力する。エンジン150から要求動
力Pd*に等しい動力が出力されている場合、100%
の効率で動力が伝達されるものとすれば、クラッチモー
タ130で回生される電力と後輪アシストモータ160
に供給される電力とは等しくなる。この結果、図22の
処理で設定された目標トルクおよび回転数でクラッチモ
ータ130、前輪アシストモータ140、後輪アシスト
モータ160の運転を行えば、エンジン150から出力
された動力状態を要求された回転数およびトルクからな
る動力状態に変換して前車軸116および後車軸118
から出力することができる。
【0147】しかも、この変換では、動力の循環を生じ
ない。エンジン150から出力された動力はクラッチモ
ータ130を経て前車軸116から出力される。上記変
換では、こうした動力の伝達の経路から電力を回生する
のみであり、別途動力を供給する部分が存在しないか
ら、動力の循環は生じ得ないのである。
【0148】図23はクラッチ111,112の双方を
結合した場合(図5の状態)におけるモータ目標トル
ク、回転数設定処理のフローチャートである。図5の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130は動力の伝
達に影響を与えない。従って、CPUはクラッチモータ
130の目標回転数Nc*および目標トルクTc*とし
てデフォルト値を設定する(ステップS470)。本実
施例では、デフォルト値としてそれぞれ値0を設定して
いる。
【0149】両クラッチ111,112を結合した状態
では、図5に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140の回転数はエンジン150の回転数と等し
くなる。従って、CPUは、前輪アシストモータ140
の目標回転数N1*として、エンジン150の回転数N
e*を設定する。また、目標トルクT1*はエンジン1
50に負荷トルクTe*を与えつつ、前車軸116から
要求トルクTdf*が出力できるように、「Tdf*−
Te*」を設定する(ステップS472)。
【0150】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS474)。
【0151】以上の処理により目標トルクおよび回転数
を設定した場合、エンジン150の回転数Ne*は要求
動力として設定された回転数Nd*に等しい。エンジン
150から出力される動力の大きさが要求動力Pd*に
等しい場合には、その出力トルクTe*も要求トルクT
d*に等しい。前車軸116の要求トルクTdf*と後
車軸118の要求トルクTdr*の和が要求トルクTd
*であるから、それぞれの「要求トルクTdf*,Td
r*<エンジン150の出力トルク」である。上述の結
合状態では、前輪アシストモータ140の目標トルクT
1*は「Tdf*−Te*」と設定されている(ステッ
プS472)。つまり、目標トルクT1*は負の値であ
る。従って、上記結合状態では、エンジン150から出
力された動力の一部を前輪アシストモータ140で電力
として回生し、その電力を後輪アシストモータ160に
供給して動力を出力している。
【0152】この変換では、動力の循環を生じない。エ
ンジン150から出力された動力は前輪アシストモータ
140を経て前車軸116から出力される。上記変換で
は、こうした動力の伝達の経路から電力を回生するのみ
であり、別途動力を供給する部分が存在しないから、動
力の循環は生じ得ないのである。
【0153】以上で説明した処理において実行している
要求トルク補正処理(ステップS434)は、先に図9
を用いて説明した処理と同じであることを説明した。こ
の処理を実行した場合、エンジン150の運転ポイント
はステップS406で設定されたポイントを維持するこ
とになる。これに対し、要求トルク補正処理の第2の態
様としてエンジン150の運転ポイント自体の変更を伴
う処理を採ることもできる。第2の態様からなる要求ト
ルク補正処理の内容を図24のフローチャートにより説
明する。
【0154】第2の態様の要求トルク補正処理が開始さ
れると、CPUは前車軸116の回転数Nfと後車軸1
18の回転数Nrの大小関係を比較し(ステップS43
6)。前車軸116の回転数Nfの方が大きい場合に
は、前車軸116の要求トルクTdf*を、トルク補正
量△Tだけ減少させる(ステップS438)。また、後
車軸118の要求トルクTdr*の設定を行う(ステッ
プS440)。ここまでは、図9に示した処理と同様で
ある。次に、CPUはエンジン150の運転ポイントを
補正する処理を実行する(ステップS442)。具体的
には、エンジン150の目標トルクTe*をトルク補正
量△Tだけ減少させる。また、出力される動力がPe*
で一定に保たれるように、目標回転数Ne*を増大させ
る。動力の大きさはトルクと回転数の積で与えられる。
従って、補正後の回転数Ne*は、エンジン150から
出力する動力Pe*を補正されたトルクTe*で除する
ことによって求められる。
【0155】一方、後車軸118の回転数Nrの方が大
きい場合には、後車軸118の要求トルクTdr*をト
ルク補正量△Tだけ減少させる(ステップS444)。
また、前車軸116の要求トルクTdf*の設定を行う
(ステップS446)。ここまでは、図9に示した処理
と同様である。次に、CPUはエンジン150の運転ポ
イントを補正する処理を実行する(ステップS44
8)。具体的には、エンジン150の目標トルクTe*
をトルク補正量△Tだけ増大させる。また、出力される
動力がPe*で一定に保たれるように、目標回転数Ne
*を増大させる。動力の大きさはトルクと回転数の積で
与えられる。従って、補正後の回転数Ne*は、エンジ
ン150から出力する動力Pe*を補正されたトルクT
e*で除することによって求められる。
【0156】上述した要求トルク補正処理におけるエン
ジン150の運転ポイントの変更の様子を図25に示し
た。図25中の曲線Pe*は、エンジン150から出力
される動力が値Pe*で一定となる運転ポイントを示し
ている。要求トルク補正処理の前のエンジン150の運
転ポイントが図25中のポイントP0(回転数Ne*、
トルクTe*)であるとする。前車軸116側がスリッ
プしている場合は、エンジン150の目標トルクTe*
を減らす(ステップS442)。このとき、エンジン1
50の運転ポイントは、図25中の点P1に移行するこ
とになる。先に述べた通り、回転数はNe*からNe1
に増大する。
【0157】後車軸118側がスリップしている場合
は、エンジン150の目標トルクTe*を増大する(ス
テップS448)。このとき、エンジン150の運転ポ
イントは、図25中の点P2に移行することになる。先
に述べた通り、回転数はNe*からNe2に減少する。
【0158】図25中の曲線Aは先に図17を用いて説
明した動作曲線である。要求トルク変更処理前のエンジ
ン150の運転ポイントP0は、図25に示す通り、動
作曲線A上で設定されている。これに対し、要求トルク
変更処理によりエンジン150の運転ポイントを図25
中の点P1またはP2に移行すれば、動作曲線Aから外
れることになる。従って、エンジン150の運転効率は
その分低くなる。かかるデメリットを有するものの、エ
ンジン150の運転ポイントの変更を伴うことにより、
前車軸116および後車軸118から出力されるトルク
を広範囲で変更可能となる利点がある。なお、第1の態
様による要求トルク補正処理(図9)と第2の態様によ
る要求トルク補正処理(図24)を、例えばトルク補正
量△Tに応じて使い分けることも可能である。
【0159】上述した第2の態様の要求トルク補正処理
においては、エンジン150から出力される動力が一定
となるようにトルクおよび回転数を変更する。これに対
し、エンジン150のトルクのみを変更するものとして
もよい。例えば、図25において、運転ポイントP0か
らトルク補正量△Tだけトルクを小さくした点P3で運
転するものとしたり、逆にトルク補正量△Tだけトルク
を大きくした点P4で運転するものとしてもよい。かか
る場合には、エンジン150から出力される動力が要求
動力Pd*に対して不足したり過剰であったりする。し
かし、車輪にスリップが生じるのは一過性の現象である
と考えれば、かかる制御を行うものとしても大きな支障
は生じない。
【0160】(6)回生制動制御処理:次に、回生制動
制御処理の内容について説明する。図26は、回生制動
制御処理の内容を示すフローチャートである。この処理
が開始されるとCPUは制動動力Pb*を設定する(ス
テップS502)。制動動力Pb*は、制動トルクTb
*と回転数Nb*との組み合わせとして設定される。制
動動力Pb*の設定は、アクセルペダルおよびブレーキ
ペダルの操作量に応じて設定される。本実施例では、各
車速において、これらのペダルの操作量に応じて制動ト
ルクTb*を予めマップとして制御ユニット190内の
ROMに記憶しておき、このマップから対応する値を読
み出すことによって制動トルクを設定している。また、
こうして設定された制動トルクTb*に基づいて、前車
軸116の制動トルクTbf*および後車軸118の制
動トルクTbr*を設定する(ステップS504)。両
者のトルク配分は他の運転モードにおける要求トルクの
配分と同様、種々の値に設定可能である。
【0161】なお、制動トルクTb*とは、負の要求動
力である。以下の説明では正負の混乱を避けるため、
「制動トルク」というときは、トルクの絶対値を意味す
るものとする。例えば、モータの目標トルクとして制動
トルクPb*が設定された場合には、制御ユニットは
「−Pb*」を要求トルクとして設定することになる。
【0162】CPUは制動トルクを設定した後、エンジ
ン150の運転ポイントをアイドル状態に設定する(ス
テップS506)。これは、制動時は動力を出力する必
要がないからである。エンジン150の運転を停止する
ものとしても構わないが、一般に制動が終了した後、再
度エンジン150の始動を行っていては、運転操作に対
する車両の応答性が悪くなるため、本実施例ではエンジ
ン150の運転ポイントをアイドル状態に設定してい
る。
【0163】次に、CPUは前車軸116の回転数Nf
と後車軸118の回転数Nrを検出し(ステップS50
8)、両者の差の絶対値と所定の値αを比較する(ステ
ップS510)。回転数の差の絶対値が所定の値αより
も大きい場合には、制動トルク補正処理を実行する(ス
テップS532)。この処理内容について、図27のフ
ローチャートを用いて説明する。
【0164】この処理では、最初に前車軸116の回転
数Nfと後車軸118の回転数Nrとの大小関係を判定
する(ステップS522)。これは、前車軸116と後
車軸118のいずれの車軸がスリップしているか判断す
るためである。
【0165】前車軸116の回転数Nfの方が小さい場
合には、前車軸116の制動トルクTbf*を補正す
る。具体的には、トルク補正量△Tだけ前車軸116の
制動トルクTdf*を減少させる。つまり、「Tbf*
−△T」を補正後の制動トルクTbf*とするのであ
る。トルク補正量△Tは前車軸116の回転数Nfと後
車軸118の回転数Nrとの差の絶対値に応じたマップ
として予め設定されている。このマップは要求トルク補
正処理ルーチンで用いたマップ(図10)と同様であ
る。
【0166】上述したマップにより前車軸116の制動
トルクTbf*を変更した後、CPUは後車軸118の
制動トルクTbr*の設定を行う(ステップS52
6)。制動トルクTbr*は、車両全体の制動トルクT
b*から補正後の前車軸116の制動トルクTbf*を
引くことによって設定する。後車軸118の制動トルク
Tbr*をトルク補正量△Tだけ増すものとしても同じ
である。このように設定することにより、車両全体とし
ての出力トルクは維持したまま、前車軸116と後車軸
118のトルク配分を変更することができる。
【0167】一方、後車軸118の回転数Nrの方が小
さい場合には、後車軸118の制動トルクTbr*を補
正する。具体的には、トルク補正量△Tだけ後車軸11
8の制動トルクTbr*を減少させる。つまり、「Tb
r*−△T」を補正後の制動トルクTbr*とするので
ある。トルク補正量△Tは先に説明したマップ(図1
0)により設定される。
【0168】後車軸118の制動トルクTbr*を変更
した後、CPUは前車軸116の制動トルクTbf*の
設定を行う(ステップS530)。制動トルクTbf*
は、車両全体の制動トルクTb*から補正後の後車軸1
18の制動トルクTbr*を引くことによって設定す
る。前車軸116の制動トルクTbf*をトルク補正量
△Tだけ増すものとしても同じである。このように設定
することにより、車両全体としての出力トルクは維持し
たまま、前車軸116と後車軸118のトルク配分を変
更することができる。なお、上述した制動トルクの補正
処理においても図9で説明した要求トルク補正処理と同
様、制動トルクを段階的に減少させるものとしても構わ
ない。また、前車軸116または後車軸118のうち、
スリップが生じている側の車軸における制動トルクのみ
を補正するものとしても構わない。
【0169】以上の処理によって制動トルクを設定した
後、CPUはクラッチ111,112の結合状態を検出
する(ステップS548)。クラッチ111,112の
結合状態を検出するのは、先に説明した種々の運転モー
ドと同じく、この後の処理、つまり、クラッチモータ1
30、前輪アシストモータ140および後輪アシストモ
ータ160の目標トルク、回転数を設定する処理(ステ
ップS550)がクラッチ111,112の結合状態に
応じて変わるからである。続いて、CPUはモータ目標
トルク、回転数設定処理を実行する(ステップS55
0)。この処理内容については、クラッチ111,11
2の結合状態に応じて場合を分けて後述する。こうして
各モータの目標トルクおよび回転数が設定されると、C
PUは各モータの運転制御およびエンジン150の運転
制御処理を実行する(ステップS590)。これらの処
理については既に説明した通りである。
【0170】以下、各モータの目標トルクおよび回転数
設定処理について、クラッチ111,112の結合状態
に応じて場合を分けて説明する。図28はアンダードラ
イブ結合(図2の状態)におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理のフローチャートである。図2の構成から
明らかな通り、前輪アシストモータ140は前車軸11
6の回転数と同じ回転数Nd*で回転することになる。
従って、CPUは前輪アシストモータ140の目標回転
数N1*としてNd*を設定する。また、目標トルクT
1*として前車軸116の制動トルクTb*を設定する
(ステップS552)。
【0171】上記設定により、前車軸116には設定さ
れた制動トルクTb*が出力されることになる。従っ
て,CPUはクラッチモータ130の目標トルクTc*
として値0を設定し、また、目標回転数Nc*としてデ
フォルトを設定する(ステップS554)。後輪アシス
トモータ160の目標回転数N2*には制動動力として
設定された回転数Nd*が設定され、目標トルクT2*
には後車軸118の制動トルクTbr*が設定される
(ステップS556)。
【0172】図29はオーバードライブ結合(図3の状
態)におけるモータ目標トルク、回転数設定処理のフロ
ーチャートである。図3の構成から明らかな通り、クラ
ッチモータ130のアウタロータ134は前車軸116
の回転数と同じ回転数Nd*で回転することになる。一
方、クラッチモータ130のインナロータ132はクラ
ンクシャフト156の回転数と同じ回転数Ne*で回転
する。従って、CPUはクラッチモータ130の目標回
転数Nd*として両者の差分である「Nd*−Ne*」
を設定する。また、図3の構成から明らかな通り、クラ
ッチモータ130のトルクは前車軸116の制動トルク
Tbf*に等しい。従って、CPUはクラッチモータ1
30の目標トルクTc*として前車軸116の制動トル
クTbf*を設定する(ステップS558)。
【0173】オーバードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140がクランクシャフト156に結合された状
態である。従って、CPUは前輪アシストモータ140
の目標回転数N1*としてエンジン150の回転数Ne
*を設定する。エンジン150葉、アイドル状態で運転
されるから、目標トルクT1*は、エンジン150に負
荷を与えないように設定される。このときクランクシャ
フト156には、クラッチモータ130の目標トルクT
c*(Tbf*に等しい)の反作用としてのトルクが出
力される。従って、前輪アシストモータ140の目標ト
ルクとしては、この反作用を相殺するトルクを出力する
ためにTbf*が設定される(ステップS560)。
【0174】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS562)。
【0175】図30はクラッチ111,112の双方を
解放した場合(図4の状態)におけるモータ目標トル
ク、回転数設定処理のフローチャートである。図4の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130のアウタロ
ータ134は前車軸116の回転数と同じ回転数Nd*
で回転することになる。一方、クラッチモータ130の
インナロータ132はクランクシャフト156の回転数
と同じ回転数Ne*で回転する。従って、CPUはクラ
ッチモータ130の目標回転数Nd*として両者の差分
である「Nd*−Ne*」を設定する。また、図4の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130のトルクは
制動トルクTbf*に等しい。従って、CPUはクラッ
チモータ130の目標トルクTc*として制動トルクT
bf*を設定する(ステップS564)。
【0176】両クラッチ111,112を解放した状態
では、図4に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140は動力の伝達に影響を与えない。従って、
CPUは前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
および目標トルクT1*としてデフォルト値を設定する
(ステップS566)。本実施例では、デフォルト値と
してそれぞれ値0を設定している。
【0177】クラッチモータ130により前車軸116
に制動トルクTbf*が出力されれば、その反作用とし
てのトルクがエンジン150のクランクシャフト156
に出力される。両クラッチ111,112を解放した状
態では、この反作用はエンジン150における摩擦力や
ポンピングロスで相殺することになる。つまり、両クラ
ッチ111,112を解放した場合は、いわゆるエンジ
ンブレーキをかけた状態で車両の制動を行うことにな
る。
【0178】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS568)。
【0179】図31はクラッチ111,112の双方を
結合した場合(図5の状態)におけるモータ目標トル
ク、回転数設定処理のフローチャートである。図5の構
成から明らかな通り、クラッチモータ130は動力の伝
達に影響を与えない。従って、CPUはクラッチモータ
130の目標回転数Nc*および目標トルクTc*とし
てデフォルト値を設定する(ステップS570)。本実
施例では、デフォルト値としてそれぞれ値0を設定して
いる。
【0180】両クラッチ111,112を結合した状態
では、図5に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140の回転数は制動動力として設定された回転
数Nd*と等しくなる。従って、CPUは、前輪アシス
トモータ140の目標回転数N1*として、この回転数
Nd*を設定する。また、目標トルクT1*としては前
車軸116から出力すべき制動トルクTbf*を設定す
る(ステップS572)。
【0181】このとき、エンジン150は前車軸116
と同じ回転数Nd*で回転する。従って、エンジン15
0の運転ポイントはアイドル状態として制御されるが、
必ずしもアイドル状態として定められた回転数で回転す
るとは限らない。この際、いわゆるエンジンブレーキが
かかり前車軸116に、前輪アシストモータ140から
出力されるよりも大きい制動トルクが出力される可能性
もある。前車軸116に出力される制動トルクの大きさ
を正確に制御する必要性がある場合には、エンジンブレ
ーキによる制動トルクも考慮した制御を行うものとして
もよい。例えば、エンジン150の回転数といわゆるエ
ンジンブレーキによる制動トルクとの関係を予めマップ
として制御ユニット190内のROMに記憶しておく。
この関係を参照すれば、エンジンブレーキによる制動ト
ルクTbe*の大きさを知ることができる。従って、前
輪アシストモータ140の目標トルクT1*をエンジン
ブレーキによる制動トルクTbe*に相当する分だけ減
少させれば、前車軸116には前輪アシストモータ14
0による制動トルクとエンジンブレーキによる制動トル
クの総和として、制動トルクTbf*が出力される。図
31のステップS572において、かかる制御を伴うも
のとしてもよい。
【0182】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS574)。
【0183】以上、図28〜図31を用いて説明した目
標トルク、回転数設定処理により各モータの目標トル
ク、回転数を設定すれば、前車軸116および後車軸1
18からそれぞれ制動トルクTbf*、Tbr*を出力
することができ、車両を制動することができる。上述し
た回生制動制御では、それぞれ車両の走行時の運動エネ
ルギを各モータにより電力として回生することにより車
両を制動している。こうして回生された電力はバッテリ
194に蓄電することができる。
【0184】上述した回生制動制御処理(図26)で
は、クラッチ111,112の結合状態の切り替え処理
は実行していない。これに対し、以下に示すようなクラ
ッチの切り替え処理を伴うものとしてもよい。例えば、
両クラッチ111,112が解放状態の場合の制動(図
30)およびでは、制動トルクが大きくなると、いわゆ
るエンジンブレーキがかかった状態で車両を制動する。
エンジンブレーキは有効な制動方法ではあるが、車両の
走行に伴う運動エネルギを熱に変換することになるた
め、エネルギを有効に活用するという点では他の制動方
法に比べて劣る。従って、両クラッチ解放時に車両を制
動する場合には、クラッチ111,112の切り替えを
行い、アンダードライブ結合等の結合状態にして回生制
動を行うものとすることができる。逆に、エンジン15
0の暖機を行う必要があるような場合には、回生制動時
にクラッチ111,112を解放状態として、エンジン
ブレーキによる制動を実行し、摩擦熱でエンジン150
を暖機するようにしてもよい。
【0185】また、オーバードライブ結合時の回生制動
(図29)では、クラッチモータ130で制動トルクT
bf*を出力しつつ、前輪アシストモータ140でその
反トルクを相殺する必要がある。これに対し、アンダー
ドライブ結合時の回生制動(図28)では、前輪アシス
トモータ140で制動トルクTbf*を出力すれば、ク
ラッチモータ130の制御を行う必要がない。従って、
回生制動を行う場合には、アンダードライブ結合の方
が、オーバードライブ結合よりも制御が容易となる。か
かる点に鑑み、回生制動を行う際には、クラッチ11
1,112をアンダードライブ状態に切り替えるものと
してもよい。その他、クラッチ111,112の各結合
状態における特性を活かして、回生制動時にクラッチ1
11,112を種々切り替える処理を行うことができ
る。
【0186】以上で説明した本実施例のハイブリッド車
両によれば、EV走行、エンジン始動、通常走行、回生
制動の各運転モードにおいて、前車軸116および後車
軸118から、それぞれ要求動力又は制動動力を出力し
つつ4輪駆動で走行することができる。この際、第1ク
ラッチ111,第2クラッチ112を種々の状態に切り
替えることにより、動力の循環を生じることなく走行す
ることが可能である。この結果、本実施例のハイブリッ
ド車両では、4輪駆動を実現しつつ、その運転効率を向
上することができる。
【0187】また、本実施例のハイブリッド車両では、
前輪116R、116Lまたは後輪118R,118L
のいずれかがスリップした場合に、前後輪のトルク配分
を適切に変更することができる。この結果、常に要求さ
れたトルクを路面に伝達することができるようになる。
従って、本実施例のハイブリッド車両によれば、例えば
路面の摩擦係数が低い場合等において、4輪駆動の特性
を活かしつつ、安定して走行することが可能となる。ま
た、スリップが生じないようにトルク配分を変更するこ
とは、車両から出力された動力を路面に伝達する際の損
失を抑制することができることを意味する。従って、本
実施例のハイブリッド車両によれば、4輪駆動時の運転
効率を向上することができる。
【0188】(7)第2実施例の構成:次に、本発明の
第2実施例としてのハイブリッド車両について説明す
る。図32は、第2実施例としてのハイブリッド車両の
概略構成を示す説明図である。第2実施例のハイブリッ
ド車両では、前輪動力系統においてクラッチモータ13
0に代えて、プラネタリギヤ200と電動発電機210
が用いられている。その他の構成は、第1実施例のハイ
ブリッド車両(図1参照)と同じである。
【0189】プラネタリギヤ200は、中心で回転する
サンギヤ201、サンギヤ201の外周を自転しながら
公転するプラネタリピニオンギヤを備えるプラネタリキ
ャリア203と、更にその外周で回転するリングギヤ2
02とから構成されている。サンギヤ201、プラネタ
リキャリア203,およびリングギヤ202はそれぞれ
別々の回転軸を有している。サンギヤ201の回転軸で
あるサンギヤ軸204は中空になっており、電動発電機
210のロータ212に結合されている。プラネタリキ
ャリア203の回転軸であるプラネタリキャリア軸20
6はエンジン150のクランクシャフト156と結合さ
れている。リングギヤ202の回転軸であるリングギヤ
軸205はディファレンシャルギヤ114を介して前車
軸116に結合されている。
【0190】プラネタリギヤ200は、サンギヤ軸20
4,プラネタリキャリア軸206およびリングギヤ軸2
05の3軸の回転数およびトルクに以下の関係が成立す
ることが機構学上よく知られている。即ち、上記3つの
回転軸のうち2つの回転軸の動力状態が決定されると、
以下の関係式に基づいて残余の一つの回転軸の動力状態
が決定される。 Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ; Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ); Nr=(1+ρ)Nc−ρNs; Ts=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTr; Tr=Tc/(1+ρ); ρ=サンギヤ121の歯数/リングギヤ122の歯数 ・・・(1);
【0191】ここで、Nsはサンギヤ軸204の回転
数;Tsはサンギヤ軸204のトルク;Ncはプラネタ
リキャリア軸206の回転数;Tcはプラネタリキャリ
ア軸206のトルク;Nrはリングギヤ軸205の回転
数;Trはリングギヤ軸205のトルク;である。
【0192】電動発電機210は、前輪アシストモータ
140および後輪アシストモータ160と同様の構成を
している。つまり、電動発電機210はステータ214
にコイルが巻回され、ロータ212に永久磁石が貼付さ
れた三相同期モータとして構成されている。ステータ2
14はケースに固定されている。ステータ214に巻回
されたコイルに三相交流を流すと回転磁界が生じ、ロー
タ212に貼付された永久磁石との相互作用によってロ
ータ212が回転する。電動発電機210は、ロータ2
12が外力によって回転されると、その動力を電力とし
て回生する発電機としての機能も奏する。なお、電動発
電機210のステータ214に巻回されたコイルは、イ
ンバータ191と電気的に接続されている。制御ユニッ
ト190がインバータ191のトラジスタをオン・オフ
することにより電動発電機210の運転を制御すること
ができる。
【0193】第1実施例におけるクラッチモータ130
は、インナロータ132とアウタロータ134の間の相
対的な滑りによって、インナロータ132に入力された
動力の一部を電力として回生しつつ、残余の動力をアウ
タロータ134に伝達する機能を奏することができた。
また、クラッチモータ130を力行することにより、イ
ンナロータ132から入力された動力を増大してアウタ
ロータ134に伝達することもできた。このように第1
実施例では、クラッチモータ130は一方の軸から入力
された動力を電力のやりとりを通じて増減し、他方の軸
に伝達する動力調整装置としての機能を奏するものであ
った。
【0194】第2実施例では、プラネタリギヤ200と
電動発電機210の組み合わせにより、第1実施例にお
けるクラッチモータ130と同じ機能を奏することがで
きる。クラッチモータ130のインナロータ軸133に
相当するのがプラネタリキャリア軸206であり、アウ
タロータ軸135に相当するのがリングギヤ軸205で
ある。第2実施例では、これらの組み合わせにより動力
調整装置としての機能を奏する。
【0195】エンジン150からプラネタリキャリア軸
206に動力が入力されると、上式(1)に従い、リン
グギヤ202およひサンギヤ201が回転する。リング
ギヤ202およびサンギヤ201のいずれか一方の回転
を止めることも可能である。リングギヤ202が回転す
ることにより、エンジン150から出力された動力の一
部を前車軸116に機械的な形で伝達することができ
る。また、サンギヤ201が回転することにより、エン
ジン150から出力された動力の一部を電動発電機21
0により電力として回生することができる。一方、電動
発電機210を力行すれば、電動発電機210から出力
されたトルクは、サンギヤ201、プラネタリキャリア
203およびリングギヤ202を介して前車軸116に
機械的に伝達することができる。従って、電動発電機2
10を力行することにより、エンジン150から出力さ
れたトルクを増大して前車軸116に出力することも可
能である。このように、第2実施例では、プラネタリギ
ヤ200と電動発電機210の組み合わせにより、クラ
ッチモータ130と同様の機能を奏することができるの
である。
【0196】第2実施例においても、第1クラッチ11
1および第2クラッチ112の結合状態に応じて、前輪
動力系統は種々の構成を採ることができる。以下、前輪
動力系統においてエンジン150から出力された動力が
前車軸116に伝達される流れに沿って、エンジン15
0に近い側を上流側、前車軸116に近い側を下流側と
呼ぶものとする。
【0197】第1クラッチ111を解放して、第2クラ
ッチ112を結合した場合の構成を図33に示す。この
構成は、前輪アシストモータ140がプラネタリギヤ2
00よりも下流側に位置している。この結合状態をアン
ダードライブ結合と呼ぶ。第1実施例における図2に相
当する構成である。
【0198】第1クラッチ111を結合して、第2クラ
ッチ112を解放した場合の構成を図34に示す。この
構成は、前輪アシストモータ140がプラネタリギヤ2
00よりも上流側に位置している。この結合状態をオー
バードライブ結合と呼ぶ。第1実施例における図3に相
当する構成である。
【0199】第1クラッチ111,第2クラッチ112
の双方を解放した場合の構成を図35に示す。この構成
では、前輪アシストモータ140は動力の伝達に何らの
影響も与えない。第1実施例における図4に相当する構
成である。
【0200】第1クラッチ111,第2クラッチ112
の双方を結合した場合の構成を図36(a)に示す。こ
の構成では、前輪アシストモータ140によりエンジン
150のクランクシャフト156とリングギヤ軸205
とが直結された状態となる。このときは、プラネタリギ
ヤ200に備えられた3つのギヤは全て同じ回転数で一
体的に回転する。この結果、電動発電機210は機能し
なくなる。従って、両クラッチ111,112を結合し
た場合の構成は図36(b)に示す構成と同義となる。
これは、第1実施例における図5に相当する構成であ
る。
【0201】(8)第2実施例における運転制御処理:
第2実施例における運転制御処理について説明する。第
2実施例のハイブリッド車両も第1実施例のハイブリッ
ド車両と同様の運転モードにより走行することができ
る。制御ユニット190内のCPU(以下、単に「CP
U」という)は第1実施例の場合と同様、種々の制御処
理ルーチンを周期的に実行することによりハイブリッド
車両の制御を行う。
【0202】ハイブリッド車両の運転が開始されると、
CPUは運転制御処理ルーチンを実行して運転モードの
判定を行う。この処理は、第1実施例における処理(図
6参照)と同一である。本実施例でも、ハイブリッド車
両の運転モードとして、「EV走行」「エンジン始動」
「通常走行」「回生制動」の4つの状態がある。以下、
それぞれの運転モードについて説明する。
【0203】最初にEV走行モードについて説明する。
EV走行モードにおける制御処理の内容は、第1実施例
における処理内容(図8参照)と同一である。但し、モ
ータ目標トルク、回転数設定処理(図8のステップS2
40)の処理内容が第1実施例とは相違する。
【0204】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、アンダードライブ結合時の処理
内容を図37のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0205】アンダードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140により前車軸116から要求トルクTdf
*および回転数Nd*からなる動力を出力する必要があ
る。従って、前輪アシストモータ140の目標回転数N
1*としては、回転数Nd*が設定される。また、目標
トルクとしては、前車軸116の要求トルクTdf*が
設定される(ステップS600)。
【0206】EV走行時にはエンジン150は運転を停
止している。エンジン150のクランクシャフト156
にトルクが伝達されないようにするときは、上式(1)
から明らかな通り、電動発電機210のトルクも値0と
なる。従って、CPUは電動発電機210の目標トルク
Tg*として値0を代入する(ステップS602)。ト
ルクが値0であれば、目標回転数は制御上何の意味もな
い値となるから、CPUは電動発電機210の目標回転
数Ng*をデフォルト値に設定する。この結果、電動発
電機210は上式(1)において、リングギヤ軸205
の回転数Nrに前車軸116の回転数Nd*を代入し、
プラネタリキャリア軸206の回転数Ngに値0を代入
して求められる回転数「−Nd*/ρ」で回転する。後
輪アシストモータ160の目標回転数N2*および目標
トルクT2*の設定は第1実施例の場合(図11のステ
ップS246)と同じである。つまり、目標回転数N2
*として後車軸118の回転数Nd*が設定され、目標
トルクT2*として後車軸118の要求トルクTdr*
が設定される(ステップS604)。
【0207】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、オーバードライブ結合時の処理
内容を図38のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0208】オーバードライブ結合の場合には、電動発
電機210を力行することによって要求動力を前車軸1
16から出力することができる。従って、モータ目標ト
ルク、回転数の設定処理では、CPUは電動発電機21
0の目標回転数Ng*に「−Nd*/ρ」を設定する
(ステップS610)。この回転数は、上式(1)のリ
ングギャ軸205の回転数Nrに要求動力として設定さ
れた回転数Nd*を代入し、プラネタリキャリア軸20
6の回転数Ngに値0を代入して算出される回転数であ
る。目標トルクTg*として「ρ×Tdf*」を設定す
る(ステップS610)。このトルクは、上式(1)に
おいて、リングギヤ軸205のトルクTrに前車軸11
6の要求トルクTdf*を代入して設定される値であ
る。
【0209】電動発電機210からトルクを出力すると
き、上式(1)の関係が成立するためには、プラネタリ
キャリア軸206にトルクを出力する必要がある。この
ために、CPUは前輪アシストモータ140の目標回転
数N1*として値0を設定し、目標トルクT1*として
「(1+ρ)Tdf*」を設定する(ステップS61
2)。このトルクは、上式(1)によりプラネタリキャ
リア軸206のトルクとして算出される値である。後輪
アシストモータ160については、目標回転数として駆
動軸の回転数Nd*を設定し、目標トルクT2*として
後車軸118の要求トルクTdr*を設定する(ステッ
プS614)。
【0210】次にエンジン始動モードについて説明す
る。エンジン始動走行モードにおける制御処理の内容
は、第1実施例における処理内容(図13参照)と同一
である。但し、モータ目標トルク、回転数設定処理(図
13のステップS340)の処理内容が第1実施例とは
相違する。
【0211】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、アンダードライブ結合時の処理
内容を図39のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0212】アンダードライブ結合(図2の状態)で
は、電動発電機210によりエンジン150にトルクを
加えることができる。従って、CPUは電動発電機21
0の目標トルクTg*として「ρ/(1+ρ)Tst」
を設定する。このトルクは上式(1)によりプラネタリ
キャリア軸206のトルクTgにエンジン150をモー
タリングするための始動トルクTstを代入した時のサ
ンギヤ軸のトルクTsの値である。始動トルクTstは
予め実験等によって設定された値である。一定値として
もよいし、エンジン150の温度状態に応じて変化する
値としても構わない。
【0213】前輪アシストモータ140の目標回転数N
1*としては、EV走行制御の場合と同様、要求動力と
して設定された回転数Nd*を設定する。目標トルクT
1*は、前車軸116から要求トルクTdf*が出力で
きるように設定する。このとき、エンジン150のクラ
ンクシャフト156に始動トルクTstを出力するため
には、前車軸116には電動発電機210の出力トルク
に応じて上式(1)で定まるトルクが要求される。この
値は「Tst/(1+ρ)」である。従って、CPUは
前輪アシストモータ140の要求トルクTd*として要
求トルクTdf*と上記トルク「Tst/(1+ρ)」
の和、つまり「Tdf*+Tst/(1+ρ)」を設定
する(ステップS622)。
【0214】一方、後輪アシストモータ160の目標回
転数N2*としては、EV走行制御の場合と同様、要求
動力として設定された回転数Nd*を設定する。また、
目標トルクとしては、後車軸118の要求トルクTdr
*を設定する(ステップS624)。
【0215】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、オーバードライブ結合時の処理
内容を図40のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機2
10、および後輪アシストモータ160の目標回転数お
よびトルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0216】オーバードライブ結合(図3の状態)で
は、電動発電機210により前車軸116に動力を出力
しつつ、前輪アシストモータ140によりエンジン15
0にトルクを加えることができる。従って、CPUは電
動発電機210の目標回転数Ng*として「(1+ρ)
/ρNe*−Nd*/ρ」を設定する。この回転数は上
式(1)において、リングギヤ軸205の回転数に要求
動力として設定された回転数Nd*を代入し、プラネタ
リキャリア軸206の回転数Ngにエンジン150の回
転数Ne*を代入して算出される回転数である。また、
目標トルクTg*として「ρTdf*」を代入する。こ
れは、上式(1)においてリングギヤ軸205のトルク
に前車軸116の要求トルクTdf*を代入して得られ
る値である。
【0217】前輪アシストモータ140の目標回転数N
1*としては、エンジン150の回転数Ne*を設定す
る。エンジン始動制御処理が開始された直後は値0であ
る。目標トルクT1*としては、エンジン150をモー
タリングするための始動トルクTstとトルク「(1+
ρ)Tdf*」との和を設定する(ステップS63
2)。トルク「(1+ρ)Tdf*」は、電動発電機2
10からの出力トルクによって前車軸116から要求動
力Tdf*を出力するために、上式(1)に基づいてプ
ラネタリギヤ軸206に要求されるトルクである。
【0218】一方、後輪アシストモータ160の目標回
転数N2*としては、EV走行制御の場合と同様、要求
動力として設定された回転数Nd*を設定する。また、
目標トルクとしては、後車軸118の要求トルクTdr
*を設定する(ステップS634)。
【0219】次に通常走行モードについて説明する。通
常走行モードにおける制御処理の内容は、第1実施例に
おける処理内容(図16参照)と同一である。但し、モ
ータ目標トルク、回転数設定処理(図16のステップS
450)の処理内容が第1実施例とは相違する。また、
プラネタリギヤ200を介してトルクを伝達する関係か
ら、クラッチ切り替え処理(図19)におけるステップ
S416が、第1実施例とは相違する。第1実施例で
は、ステップS416において、エンジン150のトル
クTe*と前車軸116のトルクTdf*とを比較して
いる。これに対し、第2実施例では、エンジン150の
トルクTe*と「(1+ρ)Tdf*」とを比較する。
「(1+ρ)Tdf*」は、上式(1)において、リン
グギヤ軸205のトルクTrに前車軸116の要求トル
クTdf*を代入した時のプラネタリキャリア軸206
のトルクTcである。
【0220】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、アンダードライブ結合時の処理
内容を図41のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0221】CPUは、電動発電機210の目標回転数
Ng*として「(1+ρ)/ρNe*−Nd*/ρ」を
設定する(ステップS640)。この回転数は、上式
(1)において、リングギヤ軸205の回転数Nrに前
車軸116の回転数Nd*を代入し、プラネタリキャリ
ア軸206の回転数Ngにエンジン150の回転数Ne
*を代入して得られる回転数である。また、CPUは電
動発電機210の目標トルクTg*として「−ρ/(1
+ρ)Te*」を設定する(ステップS640)。上式
(1)において、プラネタリキャリア軸206のトルク
Trにエンジン150の目標トルクTe*を代入すれ
ば、エンジン150からサンギヤ軸204に出力される
トルクが求められる。上記トルクはこのトルクを相殺す
るトルクとして設定される値である。このとき、電動発
電機210は目標回転数Ng*と目標トルクTg*の積
に相当する動力を電力として回生することになる。
【0222】アンダードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140が前車軸116に結合された状態である。
従って、前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
としてNd*を設定する。また、目標トルクT1*に
は、前車軸116から要求トルクTdf*が出力可能な
値が設定される。前車軸116にはエンジン150から
出力されるトルクの一部が上式(1)に基づいて出力さ
れる。従って、前輪アシストモータ140の目標トルク
としては、このトルクを考慮した上で要求トルクTdf
*を出力することができるように「Tdf*−Te*/
(1+ρ)」が設定される(ステップS642)。後輪
アシストモータ160の目標回転数N2*には要求動力
として設定された回転数Nd*が設定され、目標トルク
T2*には後車軸118の要求トルクTdr*が設定さ
れる(ステップS644)。前輪アシストモータ140
および後輪アシストモータ160を力行するための電力
は、電動発電機210により回生された電力が用いられ
る。
【0223】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、オーバードライブ結合時の処理
内容を図42のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0224】CPUは電動発電機210の目標回転数N
g*として「(1+ρ)/ρNe*−Nd*/ρ」を設
定する。この回転数は、上式(1)において、リングギ
ヤ軸205の回転数Nrに前車軸116の回転数Nd*
を代入し、プラネタリキャリア軸206の回転数Ngに
エンジン150の回転数Ne*を代入して得られる値で
ある。また、CPUは電動発電機210の目標トルクT
g*として「ρTdf*」を設定する(ステップS65
0)。このトルクは、上式(1)において、リングギヤ
軸205のトルクとして前車軸116の要求トルクTd
f*を代入して得られる値である。
【0225】オーバードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140はエンジン150のクランクシャフト15
6に直結されている。従って、CPUは前輪アシストモ
ータ140の目標回転数N1*としてエンジン150の
回転数Ne*を設定する(ステップS652)。また、
目標トルクT1*は、エンジン150に負荷Te*を与
えるように設定される。上式(1)において、リングギ
ヤ軸205のトルクとして前車軸116の要求トルクT
df*を代入すると、プラネタリキャリア軸206のト
ルクTgが「(1+ρ)Tdf*」と算出される。エン
ジン150の目標トルクTe*はこうして求められるT
gに一致しているとは限らない。従って、CPUは前輪
アシストモータ140の目標トルクT1*として、両者
の差分に相当する「(1+ρ)Tdf*−Te*」を設
定する(ステップS652)。オーバードライブ時に
は、前輪アシストモータ140の目標トルクT1*は負
の値となる。従って、前輪アシストモータ140では、
目標トルクT1*と目標回転数N1*との積に相当する
動力が電力として回生される。こうして回生された電力
は、電動発電機210および後輪アシストモータ160
の力行に用いられる。
【0226】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS654)。
【0227】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、第1クラッチ111および第2
クラッチ112の双方を解放した場合の処理内容を図4
3のフローチャートに示した。この処理では、CPUは
前輪アシストモータ140、電動発電機、および後輪ア
シストモータ160の目標回転数およびトルクをそれぞ
れ次の通り設定する。
【0228】CPUは電動発電機210の目標回転数N
g*として「(1+ρ)/ρNe*−Nd*/ρ」を設
定する(ステップS662)。この回転数は、上式
(1)においてリングギヤ軸205の回転数Nrに前車
軸116の回転数Nd*を代入し、プラネタリキャリア
軸206の回転数Ngにエンジン150の回転数Ne*
を代入して得られる値である。また、CPUは電動発電
機210の目標トルクTg*として「ρTe*」を設定
する(ステップS662)。このトルクは上式(1)に
おいて、プラネタリキャリア軸206のトルクTrにエ
ンジン150の目標トルクTe*を代入して得られる値
である。
【0229】両クラッチ111,112を解放した状態
では、図4に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140は動力の伝達に影響を与えない。従って、
CPUは前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
および目標トルクT1*としてデフォルト値を設定する
(ステップS662)。本実施例では、デフォルト値と
してそれぞれ値0を設定している。
【0230】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS664)。
【0231】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、第1クラッチ111および第2
クラッチ112の双方を結合した場合の処理内容を図4
4のフローチャートに示した。この処理では、CPUは
前輪アシストモータ140、電動発電機、および後輪ア
シストモータ160の目標回転数およびトルクをそれぞ
れ次の通り設定する。
【0232】図36の構成から明らかな通り、電動発電
機210は動力の伝達に影響を与えない。従って、CP
Uは電動発電機210の目標回転数Ng*および目標ト
ルクTg*としてデフォルト値を設定する(ステップS
670)。本実施例では、デフォルト値としてそれぞれ
値0を設定している。
【0233】両クラッチ111,112を結合した状態
では、図36に示す構成から明らかな通り、前輪アシス
トモータ140の回転数はエンジン150の回転数およ
び前車軸116の回転数と等しくなる。従って、CPU
は、前輪アシストモータ140の目標回転数N1*とし
て、エンジン150の回転数Ne*を設定する。また、
目標トルクT1*はエンジン150に負荷トルクTe*
を与えつつ、前車軸116から要求トルクTdf*が出
力できるように、「Tdf*−Te*」を設定する(ス
テップS672)。
【0234】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には要求動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の要求トルク
Tdr*が設定される(ステップS674)。
【0235】最後に回生制動走行モードについて説明す
る。回生制動走行モードにおける制御処理の内容は、第
1実施例における処理内容(図26参照)と同一であ
る。但し、モータ目標トルク、回転数設定処理(図26
のステップS550)の処理内容が第1実施例とは相違
する。
【0236】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、アンダードライブ結合時の処理
内容を図45のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0237】CPUは前輪アシストモータ140の目標
回転数N1*として前車軸116の回転数Nd*を設定
する(ステップS680)。また、目標トルクT1*と
して前車軸116の制動トルクTbf*を設定する(ス
テップs680)。このように設定することにより前車
軸116には前輪アシストモータ140から設定された
制動トルクTb*が出力されることになる。従って,C
PUは電動発電機210の目標トルクTg*として値0
を設定する。目標トルクTg*が値0であるときは、目
標回転数Ng*の設定は制御上意味のない値となるか
ら、CPUは目標回転数Ng*としてデフォルトを設定
する(ステップS682)。後輪アシストモータ160
の目標回転数N2*には制動動力として設定された回転
数Nd*が設定され、目標トルクT2*には後車軸11
8の制動トルクTbr*が設定される(ステップS68
4)。
【0238】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、オーバードライブ結合時の処理
内容を図46のフローチャートに示した。この処理で
は、CPUは前輪アシストモータ140、電動発電機、
および後輪アシストモータ160の目標回転数およびト
ルクをそれぞれ次の通り設定する。
【0239】CPUは電動発電機210の目標回転数N
d*として「(1+ρ)/ρNe*−Nd*/ρ」を設
定する(ステップS690)。この回転数は、上式
(1)において、リングギヤ軸205の回転数Nrに前
車軸116の回転数を代入し、プラネタリキャリア軸2
06の回転数としてエンジン150の回転数Ne*を代
入して得られる値である。また、CPUは電動発電機2
10の目標トルクTg*として「ρTbf*」を設定す
る。このトルクは上式(1)においてリングギヤ軸20
5のトルクTrに前車軸116の制動トルクTbf*を
代入することによって得られる値である(ステップS6
90)。
【0240】オーバードライブ結合では、前輪アシスト
モータ140がクランクシャフト156に結合された状
態である。従って、CPUは前輪アシストモータ140
の目標回転数N1*としてエンジン150の回転数Ne
*を設定する(ステップS692)。エンジン150
は、アイドル状態で運転されるから、目標トルクT1*
は、エンジン150に負荷を与えないように設定され
る。このときクランクシャフト156には、電動発電機
210の目標トルクTg*(Tbf*に等しい)により
上式(1)に基づいて求められるトルク「(1+ρ)/
ρTbf*」が出力される。従って、前輪アシストモー
タ140の目標トルクT1*としては、このトルクを相
殺するように「(1+ρ)/ρTbf*」が設定される
(ステップS692)。
【0241】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS694)。
【0242】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、第1クラッチ111および第2
クラッチ112の双方を解放した場合の処理内容を図4
7のフローチャートに示した。この処理では、CPUは
前輪アシストモータ140、電動発電機、および後輪ア
シストモータ160の目標回転数およびトルクをそれぞ
れ次の通り設定する。
【0243】CPUは電動発電機210の目標回転数N
d*として「(1+ρ)/ρNe*−Nd*/ρ」を設
定する(ステップS700)。この回転数は、上式
(1)においてリングギヤ軸205の回転数Nrに前車
軸116の回転数Nd*を代入し、プラネタリキャリア
軸206の回転数Ngにエンジン150の回転数Ne*
を代入して得られる値である。また、CPUは電動発電
機210の目標トルクTg*として「ρTbf*」を設
定する(ステップS700)。このトルクは上式(1)
においてリングギヤ軸205のトルクTrに制動トルク
Tbf*代入して得られる値である。
【0244】両クラッチ111,112を解放した状態
では、図4に示す構成から明らかな通り、前輪アシスト
モータ140は動力の伝達に影響を与えない。従って、
CPUは前輪アシストモータ140の目標回転数N1*
および目標トルクT1*としてデフォルト値を設定する
(ステップS702)。本実施例では、デフォルト値と
してそれぞれ値0を設定している。
【0245】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS704)。
【0246】第2実施例におけるモータ目標トルク、回
転数設定処理について、第1クラッチ111および第2
クラッチ112の双方を結合した場合の処理内容を図4
8のフローチャートに示した。この処理では、CPUは
前輪アシストモータ140、電動発電機、および後輪ア
シストモータ160の目標回転数およびトルクをそれぞ
れ次の通り設定する。
【0247】図36の構成から明らかな通り、電動発電
機210は動力の伝達に影響を与えない。従って、CP
Uは電動発電機210の目標回転数Ng*および目標ト
ルクTg*としてデフォルト値を設定する(ステップS
710)。本実施例では、デフォルト値としてそれぞれ
値0を設定している。
【0248】両クラッチ111,112を結合した状態
では、図36に示す構成から明らかな通り、前輪アシス
トモータ140の回転数は制動動力として設定された回
転数Nd*と等しくなる。従って、CPUは、前輪アシ
ストモータ140の目標回転数N1*として、この回転
数Nd*を設定する(ステップS710)。また、目標
トルクT1*としては前車軸116から出力すべき制動
トルクTbf*を設定する(ステップS712)。
【0249】後輪アシストモータ160の目標回転数N
2*には制動動力として設定された回転数Nd*が設定
され、目標トルクT2*には後車軸118の制動トルク
Tbr*が設定される(ステップS714)。
【0250】以上で説明した本実施例のハイブリッド車
両によれば、第1実施例のハイブリッド車両と同様、第
1クラッチ111,第2クラッチ112を種々の状態に
切り替えることにより、動力の循環を生じることなく種
々のモードで走行することが可能である。この結果、本
実施例のハイブリッド車両では、4輪駆動を実現しつ
つ、その運転効率を向上することができる。
【0251】また、本実施例のハイブリッド車両では、
第1実施例のハイブリッド車両と同様、前輪116R、
116Lまたは後輪118R,118Lのいずれかがス
リップした場合に、前後輪のトルク配分を適切に変更す
ることができる。従って、本実施例のハイブリッド車両
によれば、例えば路面の摩擦係数が低い場合等におい
て、4輪駆動の特性を活かしつつ、安定して走行するこ
とが可能となる。また、本実施例のハイブリッド車両に
よれば、4輪駆動時の運転効率を向上することができ
る。
【0252】なお、以上で説明した双方の実施例では、
前輪動力系統および後輪動力系統において減速ギヤを設
けてはいない。これに対し、減速ギヤを設けるものとし
てもよい。この場合には、第1実施例においてはクラッ
チモータ130のアウタロータ軸135、第2実施例に
おいてはプラネタリギヤ200のリングギヤ軸205の
回転数およびトルクをそれぞれ前車軸116の回転数お
よびトルクと同視して上述の各制御を実行すればよい。
【0253】以上ではハイブリッド車両の実施例につい
て説明した。上述したハイブリッド車両は前車軸11
6,後車軸118の2つの駆動軸から動力を出力して走
行する車両である。従って、本実施例のハイブリッド車
両において、前輪116R、116Lおよび後輪118
R、118Lを除く部分は、2つの駆動軸から動力を出
力する動力出力装置を構成する。上記実施例をこのよう
な動力出力装置として捉え、2つの駆動軸から出力され
る動力を利用する種々の装置に適用するものとしてもよ
い。
【0254】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例え
ば、本実施例のハイブリッド車両では、原動機としてガ
ソリンエンジン150を用いたが、ディーゼルエンジン
その他の動力源となる装置を用いることができる。ま
た、本実施例では、モータとして全て三相同期モータを
適用したが、誘導モータその他の交流モータおよび直流
モータを用いるものとしてもよい。また、本実施例で
は、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行する
ことにより実現しているが、かかる制御処理をハード的
に実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてのハイブリッド車両
の全体構成を示す説明図である。
【図2】第1実施例のハイブリッド車両について、オー
バードライブ結合時の前輪動力系統の概略構成を示す説
明図である。
【図3】第1実施例のハイブリッド車両について、オー
バードライブ結合時の前輪動力系統の概略構成を示す説
明図である。
【図4】第1実施例のハイブリッド車両について、第1
クラッチ、第2クラッチを共に解放した時の前輪動力系
統の概略構成を示す説明図である。
【図5】第1実施例のハイブリッド車両について、第1
クラッチ、第2クラッチを共に結合した時の前輪動力系
統の概略構成を示す説明図である。
【図6】第1実施例のハイブリッド車両について、運転
制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図7】第1実施例のハイブリッド車両について、運転
モードと車両の走行状態との関係を示す説明図である。
【図8】第1実施例のハイブリッド車両について、EV
走行制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートであ
る。
【図9】第1実施例のハイブリッド車両について、制動
トルク補正処理ルーチンの流れを示すフローチャートで
ある。
【図10】第1実施例のハイブリッド車両について、回
転数差とトルク補正量との関係を示すグラフである。
【図11】第1実施例のハイブリッド車両について、E
V走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図12】第1実施例のハイブリッド車両について、E
V走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図13】第1実施例のハイブリッド車両について、エ
ンジン始動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャー
トである。
【図14】第1実施例のハイブリッド車両について、エ
ンジン始動走行モードのオーバードライブ結合時におけ
るモータ目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図15】第1実施例のハイブリッド車両について、エ
ンジン始動走行モードのオーバードライブ結合時におけ
るモータ目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図16】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートで
ある。
【図17】エンジンの運転ポイントと運転効率との関係
を示す説明図である。
【図18】出力動力が一定の場合について、エンジンの
回転数と運転効率との関係を示す説明図である。
【図19】第1実施例のハイブリッド車両について、ク
ラッチ切り替え処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図20】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図21】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図22】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードの両クラッチ解放時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図23】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードの両クラッチ結合時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図24】第1実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードにおける第2の態様による制動トルク補正
処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図25】エンジンの運転ポイント変換の様子を示す説
明図である。
【図26】第1実施例のハイブリッド車両について、回
生制動制御処理ルーチンの流れを示すフローチャートで
ある。
【図27】第1実施例のハイブリッド車両について、制
動トルク補正処理ルーチンの流れを示すフローチャート
である。
【図28】第1実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図29】第1実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図30】第1実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードの両クラッチ解放時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図31】第1実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードの両クラッチ結合時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図32】本発明の第2実施例としてのハイブリッド車
両の全体構成を示す説明図である。
【図33】第2実施例のハイブリッド車両について、オ
ーバードライブ結合時の前輪動力系統の概略構成を示す
説明図である。
【図34】第2実施例のハイブリッド車両について、オ
ーバードライブ結合時の前輪動力系統の概略構成を示す
説明図である。
【図35】第2実施例のハイブリッド車両について、第
1クラッチ、第2クラッチを共に解放した時の前輪動力
系統の概略構成を示す説明図である。
【図36】第2実施例のハイブリッド車両について、第
1クラッチ、第2クラッチを共に結合した時の前輪動力
系統の概略構成を示す説明図である。
【図37】第2実施例のハイブリッド車両について、E
V走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図38】第2実施例のハイブリッド車両について、E
V走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図39】第2実施例のハイブリッド車両について、エ
ンジン始動走行モードのオーバードライブ結合時におけ
るモータ目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図40】第2実施例のハイブリッド車両について、エ
ンジン始動走行モードのオーバードライブ結合時におけ
るモータ目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図41】第2実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図42】第2実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図43】第2実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードの両クラッチ解放時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図44】第2実施例のハイブリッド車両について、通
常走行モードの両クラッチ結合時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図45】第2実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図46】第2実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードのオーバードライブ結合時におけるモータ
目標トルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図47】第2実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードの両クラッチ解放時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図48】第2実施例のハイブリッド車両について、回
生制動モードの両クラッチ結合時におけるモータ目標ト
ルク、回転数設定処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図49】従来の2モータ式の4輪駆動可能なハイブリ
ッド車両の概略構成を示す説明図である。
【図50】従来の3モータ式の4輪駆動可能なハイブリ
ッド車両の概略構成を示す説明図である。
【図51】2モータ式のハイブリッド車両におけるオー
バードライブ時の動力の出力の様子を示す説明図であ
る。
【図52】2モータ式のハイブリッド車両におけるオー
バードライブ時の動力の出力の様子を示す説明図であ
る。
【図53】3モータ式のハイブリッド車両におけるオー
バードライブ時の動力の出力の様子を示す説明図であ
る。
【図54】3モータ式のハイブリッド車両におけるオー
バードライブ時の動力の出力の様子を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
22…駆動軸 23…変速ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,27,28,29…駆動輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 40…電動機 45…第2電動機 50…原動機 80…制御装置 91,92…駆動回路 94…バッテリ 111…第1クラッチ 112…第2クラッチ 114…ディファレンシャルギヤ 116…前車軸 116R,116L…前輪 117…回転数センサ 118…後車軸 118R,118L…後輪 119…回転数センサ 130…クラッチモータ 132…インナロータ 133…インナロータ軸 134…アウタロータ 135…アウタロータ軸 140…前輪アシストモータ 142…ロータ 144…ステータ 150…エンジン 152…回転数センサ 156…クランクシャフト 160…後輪アシストモータ 162…ロータ 164…ステータ 165…アクセルペダルポジションセンサ 166…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 190…制御ユニット 191,192,193…インバータ 194…バッテリ 200…プラネタリギヤ 201…サンギヤ 202…リングギヤ 203…プラネタリキャリア 204…サンギヤ軸 205…リングギヤ軸 206…プラネタリキャリア軸 210…電動発電機 212…ロータ 214…ステータ

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の駆動軸に動力を出力し
    て走行することができるハイブリッド車両であって、 出力軸を有する原動機と、 該出力軸と前記第1の駆動軸とに結合され、該出力軸お
    よび第1の駆動軸の一方から入力された機械的な動力
    を、電力のやりとりを介して増減して、他方に伝達可能
    な動力調整装置と、 前記第2の駆動軸に結合された第1の電動機と、 前記出力軸、第1の駆動軸および第2の駆動軸のいずれ
    とも異なる回転軸を有する第2の電動機と、 該回転軸と前記出力軸との結合および切り離しを行う第
    1の接続装置と、 該回転軸と前記第1の駆動軸との結合および切り離しを
    行う第2の接続装置と、 該ハイブリッド車両の走行状態を特定する特定手段と、 該特定された走行状態に応じて、前記第1の接続装置お
    よび前記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機
    の回転軸と前記出力軸および前記第1の駆動軸との結合
    状態を切り替える接続制御手段とを備えるハイブリッド
    車両。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記動力調整装置は、 前記出力軸に結合された第1のロータと、前記第1の駆
    動軸に結合され前記第1のロータと同軸上で相対的に回
    転可能な第2のロータとを有する対ロータ電動機である
    ハイブリッド車両。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記動力調整装置は、 前記出力軸に結合された第1の軸と、前記第1の駆動軸
    に結合された第2の軸と、該第1の軸および第2の軸と
    は異なる第3の軸を有し、これらの3つの軸のうち2つ
    の軸の動力状態が決定されると残余の一つの軸の動力状
    態が決まる3軸式動力伝達装置を有し、 前記第1の電動機および第2の電動機とは異なる第3の
    電動機を前記第3の軸に結合した装置であるハイブリッ
    ド車両。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のハイブリッド車両であっ
    て、 さらに、 前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から出力すべき動
    力の総和を要求動力として設定する動力設定手段と、 前記原動機、動力調整装置、第1の電動機および第2の
    電動機の運転を制御して、前記第1の駆動軸および第2
    の駆動軸から前記要求動力を出力する駆動制御手段とを
    備えるハイブリッド車両。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記特定手段は、車両の走行状態として前記第1の駆動
    軸の回転数と前記出力軸の回転数の大小関係を特定する
    手段であり、 前記接続制御手段は、 前記第1の駆動軸の回転数が前記出力軸の回転数よりも
    有意に小さいと判定された場合に、前記第2の電動機の
    回転軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であるハイブ
    リッド車両。
  6. 【請求項6】 請求項4記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記特定手段は、車両の走行状態として前記第1の駆動
    軸の回転数と前記出力軸の回転数の大小関係を特定する
    手段であり、 前記接続制御手段は、 前記第1の駆動軸の回転数が前記出力軸の回転数よりも
    有意に大きいと判定された場合に、前記第2の電動機の
    回転軸を前記出力軸に結合する手段であるハイブリッド
    車両。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記特定手段は、車両の走行状態として前記第1の駆動
    軸の回転数と前記出力軸の回転数の大小関係を特定する
    手段であり、 前記接続制御手段は、 前記出力軸および前記駆動軸の回転数が略一致する場合
    に、前記第2の電動機を前記出力軸および前記第1の駆
    動軸の双方に結合する手段であるハイブリッド車両。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記動力設定手段は、前記要求動力を所定のトルク配分
    で前記第1の駆動軸から出力すべき動力と前記第2の駆
    動軸から出力すべき動力に配分する動力配分手段を有し
    ており、 前記特定手段は、車両の走行状態として前記第1の駆動
    軸から出力すべきトルクと前記出力軸のトルクの関係を
    特定する手段であり、 前記接続制御手段は、 前記出力軸のトルクと前記第1の駆動軸から出力すべき
    トルクとの比率が動力調整装置におけるトルクの変換比
    率に略一致する場合に、前記第2の電動機を前記出力軸
    および前記第1の駆動軸の双方から切り離す手段である
    ハイブリッド車両。
  9. 【請求項9】 請求項4記載のハイブリッド車両であっ
    て、 前記動力設定手段は、前記要求動力を所定のトルク配分
    で前記第1の駆動軸から出力すべき動力と前記第2の駆
    動軸から出力すべき動力に配分する動力配分手段を有し
    ており、 前記特定手段は、走行状態として前記第1の駆動軸から
    出力すべきトルクを特定する手段であり、 前記接続制御手段は、 前記第1の駆動軸から出力すべきトルクが前記動力調整
    装置から出力可能なトルクよりも大きい場合に、前記第
    2の電動機の回転軸を前記第1の駆動軸に結合する手段
    であるハイブリッド車両。
  10. 【請求項10】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
    記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
    軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、 前記原動機の運転を停止すると共に、少なくとも前記第
    2の電動機を力行して、前記第1の駆動軸および第2の
    駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する手
    段であるハイブリッド車両。
  11. 【請求項11】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
    記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
    軸を前記出力軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、 前記原動機の運転を停止すると共に、少なくとも前記動
    力調整装置に電力を供給して動力を出力することによ
    り、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から総和が前
    記要求動力となる動力を出力する手段であるハイブリッ
    ド車両。
  12. 【請求項12】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第1の接続装置および前
    記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機の回転
    軸を前記第1の駆動軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、 前記動力調整装置に電力を供給して前記原動機をモータ
    リングしつつ、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸か
    ら総和が前記要求動力となる動力を出力する手段である
    ハイブリッド車両。
  13. 【請求項13】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
    前記出力軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、前記第2の電動機を力行して前記
    原動機をモータリングしつつ、前記第1の駆動軸および
    第2の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力
    する手段であるハイブリッド車両。
  14. 【請求項14】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
    前記第1の駆動軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、 前記原動機から出力された動力の一部を前記動力調整装
    置により電力として回生し、該回生された電力を前記第
    1の電動機および前記第2の電動機の少なくとも一方に
    供給することにより、前記第1の駆動軸および第2の駆
    動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する手段
    であるハイブリッド車両。
  15. 【請求項15】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
    前記出力軸に結合する手段であり、 前記駆動制御手段は、 前記原動機から出力された動力の一部を前記第2の電動
    機により電力として回生し、該回生された電力を前記第
    1の電動機および前記動力調整装置の少なくとも一方に
    供給することにより、前記第1の駆動軸および第2の駆
    動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する手段
    であるハイブリッド車両。
  16. 【請求項16】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
    前記第1の駆動軸に結合する手段であり、 前記動力設定手段は、トルクが負となる動力を要求動力
    として設定する手段であり、 前記駆動制御手段は、少なくとも前記第2の電動機で電
    力を回生することにより、前記第1の駆動軸および第2
    の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する
    手段であるハイブリッド車両。
  17. 【請求項17】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記接続制御手段は、 車両の走行状態に応じて、前記第2の電動機の回転軸を
    前記出力軸に結合する手段であり、 前記動力設定手段は、トルクが負となる動力を要求動力
    として設定する手段であり、 前記駆動制御手段は、少なくとも前記動力調整装置で電
    力を回生することにより、前記第1の駆動軸および第2
    の駆動軸から総和が前記要求動力となる動力を出力する
    手段であるハイブリッド車両。
  18. 【請求項18】 請求項4記載のハイブリッド車両であ
    って、 前記動力設定手段は、前記要求動力を所定のトルク配分
    で前記第1の駆動軸から出力すべき動力と前記第2の駆
    動軸から出力すべき動力に配分する動力配分手段を有す
    る手段であり、 さらに、 前記第1の駆動軸に結合された第1の駆動輪および前記
    第2の駆動軸に結合された第2の駆動輪の路面に対する
    滑り量を検出する検出する検出手段と、 前記第1の駆動輪および第2の駆動輪の少なくとも一方
    の滑り量が所定の値以上である場合には、前記動力配分
    手段により配分された結果に関わらず、少なくとも滑り
    量が該所定の値を超える駆動輪が結合された駆動軸から
    出力すべきトルクを変更して前記要求動力を補正する動
    力補正手段とを備えるハイブリッド車両。
  19. 【請求項19】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記検出手段は、 前記第1の駆動軸の回転数と前記第2の駆動軸の回転数
    の差に基づいて前記滑り量を検出する手段であるハイブ
    リッド車両。
  20. 【請求項20】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、前記滑り量が該所定の値を超える
    駆動輪が結合された駆動軸から出力すべきトルクの絶対
    値を減少させる手段であるハイブリッド車両。
  21. 【請求項21】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、前記第1の駆動軸および第2の駆
    動軸から出力されるトルクの総和を一定に保持したまま
    前記第1の駆動軸から出力すべきトルクおよび前記第2
    の駆動軸から出力すべきトルクを変更する手段であるハ
    イブリッド車両。
  22. 【請求項22】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、前記動力調整装置を制御して、前
    記第1の駆動軸から出力すべきトルクを変更する手段で
    あるハイブリッド車両。
  23. 【請求項23】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、前記第2の電動機を制御して、前
    記第1の駆動軸から出力すべきトルクを変更する手段で
    あるハイブリッド車両。
  24. 【請求項24】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記駆動制御手段は、前記原動機の運転を制御して、前
    記動力補正手段により前記第1の駆動軸から出力すべき
    動力が変更される前後で前記原動機から出力される動力
    を一定に維持する手段であるハイブリッド車両。
  25. 【請求項25】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、 前記滑り量が該所定の値を超える駆動輪が結合された駆
    動軸から出力すべきトルクの変更量を、前記滑り量に応
    じた関係として記憶する記憶手段と、 前記滑り量に基づいて前記記憶手段に記憶された関係を
    参照して、前記出力すべきトルクを変更する変更手段と
    を備えるハイブリッド車両。
  26. 【請求項26】 請求項18記載のハイブリッド車両で
    あって、 前記動力補正手段は、 前記滑り量が所定範囲内になるまで、前記滑り量が該所
    定の値を超える駆動輪が結合された駆動軸から出力すべ
    きトルクを、段階的に変更する手段であるハイブリッド
    車両。
  27. 【請求項27】 第1および第2の駆動軸に動力を出力
    することができる動力出力装置であって、 出力軸を有する原動機と、 該出力軸と前記第1の駆動軸とに結合され、該出力軸お
    よび第1の駆動軸の一方から入力された機械的な動力
    を、電力のやりとりを介して増減して、他方に伝達可能
    な動力調整装置と、 前記第2の駆動軸に結合された第1の電動機と、 前記出力軸、第1の駆動軸および第2の駆動軸のいずれ
    とも異なる回転軸を有する第2の電動機と、 該回転軸と前記出力軸との結合および切り離しを行う第
    1の接続装置と、 該回転軸と前記第1の駆動軸との結合および切り離しを
    行う第2の接続装置と、 該動力出力装置の運転状態を特定する特定手段と、 該特定された運転状態に応じて、前記第1の接続装置お
    よび前記第2の接続装置を制御して、前記第2の電動機
    の回転軸と前記出力軸および前記第1の駆動軸との結合
    状態を切り替える接続制御手段とを備える動力出力装
    置。
  28. 【請求項28】 原動機の出力軸および第1の駆動軸に
    結合された動力調整装置により該原動機の動力を増減し
    て前記第1の駆動軸から出力可能な第1の駆動系統と、
    第1の電動機の動力を該第1の電動機に結合された第2
    の駆動軸から出力可能な第2の駆動系統と、接続装置に
    より前記第1の駆動軸および前記出力軸の少なくとも一
    方に選択的に結合することができる第2の電動機とを備
    え、第1の駆動軸および第2の駆動軸から動力を出力し
    て走行可能なハイブリッド車両を制御する制御方法であ
    って、(a) 前記第1の駆動軸および第2の駆動軸か
    ら出力すべき動力の総和を要求動力として設定する工程
    と、(b) 前記第1の駆動軸の回転数と前記出力軸の
    回転数の大小関係を特定する工程と、(c) 前記特定
    された大小関係に応じて、前記接続装置を制御して前記
    第2の電動機と前記出力軸および前記第1の駆動軸との
    結合状態を切り替える工程と、(d) 前記原動機、動
    力調整装置、第1の電動機および第2の電動機の運転を
    制御して、前記第1の駆動軸および第2の駆動軸から総
    和が前記要求動力となる動力を出力する工程とを備える
    ハイブリッド車両の制御方法。
  29. 【請求項29】 請求項28記載のハイブリッド車両の
    制御方法であって、 前記工程(a)は、前記要求動力を所定のトルク配分で
    前記第1の駆動軸から出力すべき動力と前記第2の駆動
    軸から出力すべき動力に配分する工程を有する工程であ
    り、 さらに、(e) 前記第1の駆動軸に結合された第1の
    駆動輪および前記第2の駆動軸に結合された第2の駆動
    輪の路面に対する滑り量を検出する検出する検出する工
    程と、(f) 前記第1の駆動輪および第2の駆動輪の
    少なくとも一方の滑り量が所定の値以上である場合に
    は、前記動力配分手段により配分された結果に関わら
    ず、少なくとも滑り量が該所定の値を超える駆動輪が結
    合された駆動軸から出力すべきトルクを変更して前記要
    求動力を補正する工程とを備えるハイブリッド車両の制
    御方法。
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