JPH11326814A - 頭部装着型表示装置及び拡大画像生成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生成される拡大画像の大きさはそのままで、
前後方向の厚さを薄くする。 【解決手段】 画像表示部１は、実際に利用者に見せる
画像のアスペクト比（縦横比）よりも、縦方向の長さが
短くなっている。この画像表示部１の表示画面の前方に
は、トーリックレンズ２が配置されている。トーリック
レンズ２を透過した光の進行方向には、トーリックハー
フミラー３が配置されている。トーリックハーフミラー
３は、画像表示部１からの光を利用者の視線前方へ反射
するように配置されている。トーリックハーフミラー３
で反射された光の進行方向には、凹面ミラー４が配置さ
れている。凹面ミラー４は、トーリックハーフミラー３
に正対している。これにより、画像表示部１に表示され
た画像５は、アナモルフィック光学系で縦方向に引き延
ばされた後拡大され、利用者の視認する拡大虚像６とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は頭部に装着して使用
される頭部装着型表示装置及びそのような頭部装着型表
示装置で表示すべき拡大画像を生成するための拡大画像
生成方法に関し、特により携帯性を高めた頭部装着型表
示装置及び携帯性の高い頭部装着型表示装置で表示する
拡大画像を生成するための拡大画像表示方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、コンピュータやビデオ装置から入
力された映像の拡大虚像を観察し、利用者があたかも２
ｍ先に５０インチの大迫力画面を体感できるような頭部
装着型表示装置が発売されている。このような頭部装着
型表示装置は、リングとディスプレイ部で基本的に構成
される。リングにはパッドが設けられ、パッドを利用者
の額に押し当て、リングを頭部に掛けることで、ちょう
ど眼鏡を掛けている感覚で装着できるようになってい
る。

【０００３】図５は、従来の頭部装着型表示装置の概略
構成を示す図である。頭部装着型表示装置４０には、液
晶表示パネル（ＬＣＤ：Liquid Crystal Display）４１
が設けられ、このＬＣＤ４１にビデオ装置等から送られ
た画像が表示される。ＬＣＤ４１の下方には、ハーフミ
ラー４２が設けられている。ハーフミラー４２は、ＬＣ
Ｄ４１から出射される光を利用者の視線前方に反射する
ように配置されている。ハーフミラー４２から反射され
た光の光路上に、凹面ミラー４３がハーフミラー４２に
正対して設けられている。

【０００４】このような頭部装着型表示装置４０のＬＣ
Ｄ４１に画像が表示されると、その画像はハーフミラー
４２により、利用者の前方に向かって反射される。ハー
フミラー４２で反射された画像は、凹面ミラー４３で反
射されて、再びハーフミラー４２に戻される。凹面ミラ
ー４３で反射されることで、ＬＣＤ４１に表示された画
像の拡大虚像が生成される。凹面ミラー４３から戻され
た拡大虚像は、ハーフミラー４２を透過し、利用者の目
の網膜に結像する。

【０００５】このような頭部装着型表示装置を用いれ
ば、利用者は、場所をとらずに大画面の映像を楽しむこ
とが可能となる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の頭部装
着型表示装置は、装着した際の前後方向の厚みが大き
く、携帯性が十分であるとはいえなかった。頭部装着型
表示装置を薄型化するためには、頭部装着型表示装置に
使用する液晶表示パネルを小さくする必要がある。とこ
ろが、液晶表示パネルを小さくすると、生成される拡大
虚像のサイズも小さくなるため、好ましくない。

【０００７】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、生成される拡大画像の大きさはそのままで、
前後方向の厚さを薄くすることのできる頭部装着型表示
装置を提供することを目的とする。

【０００８】また、本発明の他の目的は、薄型化を図っ
た頭部装着型表示装置の拡大画像を、薄型化を図る前と
同じ大きさで表示するための拡大画像表示方法を提供す
ることである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、頭部に装着して使用される頭部装着型表
示装置において、画像を表示する画像表示部と、前記画
像表示部の画像を表示する面の前方に配置され、前記画
像表示部の画像サイズを補正するトーリックレンズと、
前記トーリックレンズを透過した光を反射するように配
置されたトーリックハーフミラーと、前記トーリックハ
ーフミラーで反射された光の光路上に、前記トーリック
ハーフミラーに正対して配置された凹面ミラーと、を有
することを特徴とする頭部装着型表示装置が提供され
る。

【００１０】このような頭部装着型表示装置によれば、
画像表示部に画像が表示されると、その画像の光がトー
リックレンズを通して出力される。トーリックレンズを
透過した画像は、画像サイズが補正されトーリックハー
フミラーで反射される。反射された光は凹面ミラーで反
射され、トーリックハーフミラーに返される。この際、
サイズが補正された画像の拡大虚像が生成される。凹面
ミラーから反射された画像は、トーリックハーフミラー
を透過して出力される。出力される画像は、画面のサイ
ズが補正され、そして拡大された虚像である。

【００１１】また、上記課題を解決するために、頭部に
装着して使用される頭部装着型表示装置で表示すべき拡
大画像を生成するための拡大画像生成方法おいて、前記
画像表示部の表示する画像の縦横比をトーリックレンズ
によって補正し、前記トーリックレンズで補正された補
正画像をトーリックハーフミラーで反射し、前記トーリ
ックハーフミラーで反射された補正画像を凹面ミラーに
よって前記ハーフミラー部に向かって反射することで、
前記補正画像の拡大虚像を生成する、ことを特徴とする
拡大画像生成方法が提供される。このような拡大画像生
成方法によれば、画像表示部で表示した画像の縦横比が
トーリックレンズで補正され、補正画像となる。補正画
像はトーリックハーフミラーで反射される。反射された
補正画像が凹面ミラーで反射することで拡大虚像が生成
される。この拡大虚像を視認することで、利用者は、縦
横比が補正された拡大画像を見ることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１は、本発明の原理図である。
本発明の頭部装着型表示装置は、アナモルフィック光学
系（像面上で縦方向と横方法との倍率が異なる像を生成
する光学系）を採用している。

【００１３】画像表示部１は、実際に利用者に見せる画
像のアスペクト比（縦横比）よりも、縦方向の長さが短
くなっている（図の例では、０．７倍に縮小してい
る）。この画像表示部１の表示画面の前方には、トーリ
ックレンズ(Toriclens) ２が配置されている。トーリッ
クレンズ２の裏面（画像表示部１に向いた面を表面とす
る）は、画像表示部１が表示する画像を縦方向に引き延
ばすような屈折を引き起こすことのできる円環面であ
る。トーリックレンズ２を透過した光の進行方向には、
トーリックハーフミラー３が配置されている。トーリッ
クハーフミラー３の表面（画像表示部１やトーリックレ
ンズ２の方を向いた面）の形状は、円環面（トーリック
面）である。トーリックハーフミラー３は、画像表示部
１からの光を利用者の視線前方へ反射するように配置さ
れている。トーリックハーフミラー３で反射された光の
進行方向には、凹面ミラー４が配置されている。凹面ミ
ラー４は、トーリックハーフミラー３に正対している。
凹面ミラー４の焦点距離は、画像表示部１から凹面ミラ
ー４までの光路長よりも長い。そのため、画像表示部１
で表示された画像が凹面ミラー４で反射すると、拡大さ
れた虚像が生成される。

【００１４】このような光学系の頭部装着型表示装置に
よれば、画像表示部１に表示された画像５はトーリック
レンズ２を透過し、トーリックハーフミラー３で反射さ
れる。これにより、縦方向に短くなっていた画像５の縦
横比（２１：４０）が、実際に利用者に見せようとする
画像の縦横比（３：４）に戻される。トーリックハーフ
ミラー３で反射された光は凹面レンズ４に向かって進
み、凹面レンズ４で反射される。これより、画像５の拡
大虚像６が生成される。凹面レンズ４で反射された光
は、トーリックハーフミラー３を透過し、出射光とな
る。利用者は、この出射光を見ることで拡大虚像６を視
認することができる。利用者が見る拡大画像は、画像表
示部１に表示された画像５よりも、縦方向に引き延ばさ
れている。

【００１５】このように、トーリックレンズを用いて画
像表示装置の拡大虚像を生成する事により、画像表示部
の前後方向の長さを短くし、縦横比を変換して拡大虚像
を生成することができる。その結果、従来よりも縦方向
の長さの短い画像表示部１を使用することができ、頭部
装着型表示装置自身の厚みを薄くすることが可能とな
る。しかも、利用者が視認する拡大虚像６の大きさは従
来のままである。

【００１６】以下に、図１に示したような光学系の頭部
装着型表示装置の構造を、具体的に説明する。図２は、
本発明の頭部装着型表示装置の概略断面図である。図２
において、本発明のトーリックレンズ使用の頭部装着型
表示装置１０には、バックライト１１が設けられ、左右
にそれぞれ設けられた液晶表示パネル（ＬＣＤ）１２を
上方から照明している。ＬＣＤ１２の先にはＬＣＤ１２
の表示映像を補正するトーリックレンズ１３が設けら
れ、その先にはＬＣＤ１２の表示映像を反射するトーリ
ックハーフミラー１４が設けられている。トーリックハ
ーフミラー１４は、ＬＣＤ１２からの光を利用者の視線
前方へ反射するような角度で配置されている。トーリッ
クハーフミラー１４で反射される光の進行方向には、凹
面ハーフミラー１５が設けられている。この凹面ハーフ
ミラー１５は、トーリックハーフミラー１４に対して正
対している。利用者からみて凹面ハーフミラー１５の先
には、液晶シャッター１６が設けられている。液晶シャ
ッター１６は透明度を調節することができ、頭部装着型
表示装置１０の外部から入射する光の量を自由に変える
ことができる。

【００１７】このような頭部装着型表示装置１０におい
て、ビデオ装置などから送られてくる映像は、ＬＣＤ１
２に表示される。ＬＣＤ１２のうち、左側に設けられた
ＬＣＤには左目用の映像が表示され、右側に設けられた
ＬＣＤには右目用の映像が表示される。ＬＣＤ１２に表
示された映像の光は、トーリックレンズ１３を介してト
ーリックハーフミラー１４に照射する。その映像はトー
リックハーフミラー１４により反射され、さらに凹面ハ
ーフミラー１５で拡大して反射されて、再びトーリック
ハーフミラー１４を通り利用者の目２１に達する。これ
により、利用者は、仮想的な画面２２に映し出された拡
大虚像を視認することができる。

【００１８】このように、利用者は頭部装着型表示装置
を装着して画面２２上に表示される大画面映像を見るこ
とができる。目２１で見る画面２２の大きさは、ＬＣＤ
１２画像が目２１に入射するときの視野角と、目で見て
いる全視野角の比で感じるものであるが、本例では、視
野角を３０°に設定しているので、２ｍの虚像距離に換
算すると、５２型の大画面を見ていることになる。

【００１９】図３は、トーリックレンズの形状を示す図
である。図に示すように、トーリックレンズ１３は、縦
方向と横方向の双方に異なる曲率（縦方向の曲率が
「Ａ」、横方向の曲率が「Ｂ」）を有する円環面で形成
される。トーリックハーフミラー１４の表面形状の同様
である。トーリックレンズ１３およびトーリックハーフ
ミラー１４の非球面(Aspherical Surface)は、円筒面で
も良いが、図３に示したように曲率補正をすることで、
性能を良くすることができる。なお、トーリックレンズ
１３とトーリックハーフミラー１４とは、非球面による
歪みを相対的に打ち消す働きを有している。

【００２０】ここで、例えばＬＣＤ１２の前後方向の長
さを、従来の長さＬに対して０．７Ｌと短くし、それを
トーリックレンズ１３およびトーリックハーフラー１４
によりアスペクト変換して復元すれば、ＬＣＤ１２の縦
寸法を従来の７割に小さくすることができる。それにも
とない、頭部装着型表示装置１０自身の厚みをも薄くで
きる。しかも、利用者は従来と同様の大画面映像を見る
ことができる。

【００２１】次に、トーリックレンズ使用の頭部装着型
表示装置の回路構成を説明する。図４は、頭部装着型表
示装置の回路構成を示すブロック図である。頭部装着型
表示装置１０の回路部１７は、ビデオ装置等からの映像
信号の入力を受け、その映像信号に基づいて、ＬＣＤ１
２を制御するものである。この回路部１７は、映像処理
部１７ａと制御部１７ｂとで構成されている。映像処理
部１７ａは、外部から入力された映像信号をＬＣＤ１２
に表示可能な画像情報に変換し、ＬＣＤ１２へ送る。Ｌ
ＣＤ１２へ送る画像情報は、表示画像を３原色（赤、
緑、青）で表現したものである。制御部１７ｂは、映像
処理部１７ａに接続されており、映像処理部１７ａの処
理した画像を表示するために必要な制御信号やタイミン
グ信号を生成する。具体的には、水平同期信号や垂直同
期信号である。これらの制御信号は、一旦映像処理部１
７ａに送られ、画像情報とともにＬＣＤ１２に出力され
る。

【００２２】このような回路において、ＶＴＲ等から映
像信号が入力されると、映像処理部１７ａにより、ＬＣ
Ｄ１２で表示可能な形式の画像情報に変換される。同時
に、制御部１７ｂにより、画像表示に必要な制御信号が
映像処理部１７ａに送られる。映像処理部１７ａは、Ｒ
（赤）、Ｇ（緑）、Ｂ（青）で表現した映像情報を、制
御部１７ｂから送られた同期信号とともにＬＣＤ１２へ
送出する。ＬＣＤ１２は、映像処理部１７ａから送られ
た映像情報に基づく映像を画面に表示する。なお、この
例では、垂直方向に６００ドット×水平方向に８００ド
ットのＳＶＧＡ(Super Video Graphics Array)規格に適
合したを使用している。

【００２３】以上説明したように本発明のトーリックレ
ンズ使用の頭部装着型表示装置は、液晶表示パネルの表
示映像を補正するトーリックレンズと、液晶表示パネル
の表示映像を反射するトーリックミラーとによりアナモ
ルフィック光学系を形成している。その結果、液晶表示
パネルの前後方向の長さを短くし、それをトーリックレ
ンズおよびトーリックミラーによりアスペクト変換して
復元できる。これにより、利用者が視認する画像の大き
さを変えずに液晶表示パネルの縦寸法を小さくすること
ができ、頭部装着型表示装置自身の厚みを薄くすること
ができる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように本発明の頭部装着型
表示装置では、画像表示部の画像をトーリックレンズと
トーリックハーフミラーとにより凹面ミラーへ照射する
ようにしたため、利用者が視認する画像の大きさを変え
ずに画像表示部の縦寸法を小さくすることができ、頭部
装着型表示装置自身の厚みを薄くすることができる。ま
た、本発明の拡大虚像生成方法によれば、画像の縦横比
をトーリックレンズによって補正し、補正後の画像の拡
大虚像を生成するようにしたため、薄型化を図るために
縦方向に縮小された画像であっても、薄型化を図る前と
同じ大きさの拡大虚像を生成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理図である。

【図２】本発明の頭部装着型表示装置の概略断面図であ
る。

【図３】トーリックレンズの形状を示す図である。

【図４】頭部装着型表示装置の回路構成を示すブロック
図である。

【図５】従来の頭部装着型表示装置の概略構成を示す図
である。

【符号の説明】

１…画像表示部、２…トーリックレンズ、３…トーリッ
クハーフミラー、４…凹面ミラー、５…画像、６…拡大
虚像

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 頭部に装着して使用される頭部装着型表
   示装置において、 画像を表示する画像表示部と、 前記画像表示部の画像を表示する面の前方に配置され、
   前記画像表示部の画像サイズを補正するトーリックレン
   ズと、 前記トーリックレンズを透過した光を反射するように配
   置されたトーリックハーフミラーと、 前記トーリックハーフミラーで反射された光の光路上
   に、前記トーリックハーフミラーに正対して配置された
   凹面ミラーと、 を有することを特徴とする頭部装着型表示装置。
2. 【請求項２】 前記トーリックレンズは、前記画像表示
   部が表示する画像を縦方向に拡大するような非球面を有
   していることを特徴とする請求項１記載の頭部装着型表
   示装置。
3. 【請求項３】 頭部に装着して使用される頭部装着型表
   示装置で表示すべき拡大画像を生成するための拡大画像
   生成方法おいて、 前記画像表示部の表示する画像の縦横比をトーリックレ
   ンズによって補正し、 前記トーリックレンズで補正された補正画像をトーリッ
   クハーフミラーで反射し、 前記トーリックハーフミラーで反射された補正画像を凹
   面ミラーによって前記ハーフミラー部に向かって反射す
   ることで、前記補正画像の拡大虚像を生成する、 ことを特徴とする拡大画像生成方法。