JPH11326248A - 石炭の品質評価方法 - Google Patents

石炭の品質評価方法

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JPH11326248A
JPH11326248A JP10140553A JP14055398A JPH11326248A JP H11326248 A JPH11326248 A JP H11326248A JP 10140553 A JP10140553 A JP 10140553A JP 14055398 A JP14055398 A JP 14055398A JP H11326248 A JPH11326248 A JP H11326248A
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coal
relaxation time
coke drum
transverse relaxation
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JP10140553A
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Kouji Saito
藤 公 児 齋
Shin Matsuura
浦 慎 松
Kenji Kato
藤 健 次 加
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘結炭から非微粘結炭までの広い範囲の炭種
に対応ができ、非加熱測定が可能であり、且つ定量的に
評価できる石炭品質評価法を提供する。 【解決手段】 石炭を前処理せずに、水素核の核磁気共
鳴吸収スペクトルのエコー信号を測定し、その信号に対
して適当な多重パルスを与えながら同時に適当な磁場勾
配を与えることで得られるマイクロイメージング像で石
炭中に存在する横緩和時間の相対的に長い成分と短い成
分の分布状態を可視化し、溶融し易い成分の平均存在量
とその分布を評価し、コークスドラム強度との関係から
装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定すること
を特徴とする石炭品質評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉炭を予熱して室
炉式コークス炉で乾留して冶金用コークスを製造する際
の石炭品質評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高炉用コークス製造に使用する原
料炭には、粘結性が強い石炭(以下、粘結炭という)を
多量に必要としていた。近年、高価な粘結炭の代わりに
安価な非微粘結炭の利用が図られている。コークスの生
産性を大幅に向上させるとともに原料炭の多様化を図る
方法として、例えば、特開平8−209150号公報に
記載の本出願人による方法がある。この方法は、原料炭
の粘結炭と非微粘結炭とを別々に250−350℃まで
予熱した後、サイクロン粗粉炭と微粉炭を分級し、次い
で、非微粘結炭の微粉炭を該当する非微粘結炭の軟化開
始温度以上から最高流動温度以下まで急速加熱し、前記
非微粘結炭の微粉を熱間成形した後、粘結炭及び前記非
微粘結炭の粗粉炭と混合してコークス炉へ装入し乾留す
る方法である。このプロセスは非微粘結炭の使用割合が
50%になり、非微粘結炭の多量使用にも適応できる。
このような非微粘結炭を多量に使用する技術において
は、それに適した新しい石炭品質評価手段が必要とな
る。
【0003】コークスの製造に最も重要な石炭の性質
は、乾留時に石炭が溶融するときの粘結性である。この
原料炭の粘結性を評価するための代表的な試験方法とし
て、下記の(1) プラストメーター法,(2) ボタン法,
(3) ロガ法,(4) NMR法などが挙げられる。 (1)プラストメーター法 プラストメーター法の代表例であるギーセラープラスト
メーター法は、以下ののような手順で行われる。まず、
撹拌棒をセットしたレトルト中に石炭試料を装填し、そ
の後金属浴中で規定の昇温速度で加熱する。この際撹拌
棒に一定のトルクを与えておくと、石炭の軟化とともに
撹拌棒が回転する。この回転挙動により軟化開始温度、
最高流動度及び固化温度を測定する試験方法である。こ
の試験方法では、非微粘結炭を対象とした場合、それら
が元来軟化溶融時の粘結性が低いため、溶融しにくく、
結果として撹拌棒の回転数が小さくなり検出精度が低下
するという欠点がある。
【0004】(2)ボタン法 ボタン法は、るつぼ膨張指数とも呼ばれ、250ミクロン以
下の石炭試料を所定のるつぼに入れて、加熱し生成した
残査であるコークスボタンを標準輪郭と比較して、石炭
の粘結性を簡易評価する方法である。この手法はコーク
スドラム強度を支配する粘結性と膨張率を同時に評価で
きる特徴があるが、定量性に乏しく、特に非微粘結炭は
膨張率が低いために、適用が不可能である。
【0005】(3)ロガ法 ロガ法は、石炭を既定条件下で、標準無煙炭と一緒に8
50℃の炉で15分乾留したときに、標準無煙炭と溶融
接着できる能力を加熱残留物の強さで表した指数であ
る。この方法は、粘結性の高い石炭に対して用いた場合
には過剰流動が起こり、検出精度が低くなるという欠点
があり、広範囲の炭種に対して有効ではない。
【0006】(4)NMR法 特開平9−328685号公報には、石炭に重水素置換
された溶媒を膨潤させたのち、水素核の核磁気共鳴吸収
スペクトルを測定し、石炭中の全水素の存在量を定量
し、その中の水素結合に関与している水素の存在量比を
算出することで、その量比とコークスドラム強度の関係
から得られるコークス化特性によって石炭の品質を評価
することを特徴とする石炭品質評価方法が開示されてい
る。
【0007】また特開平10−19814号公報には、
石炭を重水素置換された溶媒に膨潤させたのち、水素核
の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定し、石炭中の横緩和
時間の相対的に長い成分と短い成分の量を求め、その量
比とコークスドラム強度の関係から、装入石炭の乾留後
のコークスドラム強度を推定することを特徴とする石炭
品質評価方法、および石炭を重水素置換されたピリジン
等の溶媒に膨潤させたのち、水素核の核磁気共鳴吸収ス
ペクトルのエコー信号を測定し、その信号に対して適当
な磁場勾配を与えることで得られるマイクロイメージン
グ像で石炭中に存在する横緩和時間の相対的に長い成分
の分布状態等を可視化して、溶融し易い成分存在量や分
布を評価し、コークスドラム強度との関係から装入石炭
の乾留後のコークスドラム強度を推定することを特徴と
する石炭品質評価方法が開示されている。
【0008】これらの方法に代表されるNMR法は、非
常に有用な情報を与えるが、重水素溶媒での24時間以
上の蒸気膨潤等の前処理が必要であり、簡便性に欠けて
いた。また溶媒が石炭に浸透した結果、その分子構造に
微妙な影響を与えていた。更に石炭を構成する横緩和時
間の比較的長い成分のみの情報しか与えず、横緩和時間
の比較的短い成分に関する情報は得られなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】粘結性は試料の昇温速
度と密接な関係にあることが明らかにされているが、従
来の上記の試験方法では試料を一定速度で加熱あるいは
急速加熱しており、乾留中に昇温速度が変化する実炉と
は条件が異なるため、正確に評価できないばかりか、加
熱条件が粘結性の発現そのものに影響を及ぼす事も考え
られる。
【0010】また、粘結性がどの程度発現するかは、石
炭組織成分中のビグリニットやエグジニットのような活
性成分の存在割合に依存することが知られている。そこ
で、石炭組織成分を定量することで粘結性の評価が可能
になるが、石炭組織成分の判別は偏光顕微鏡観察によっ
て得られるため、その定量精度には問題がある。
【0011】このため、粘結炭から非微粘結炭までの広
い範囲の炭種に対応ができ、非加熱測定が可能であり、
且つ定量的に評価できる石炭品質評価法の開発が必要と
されている。
【0012】本発明の目的は、粘結炭から非微粘結炭ま
での広い範囲の炭種に対応ができ、非加熱測定が可能で
あり、且つ定量的に評価できる新しい石炭品質評価法を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の事項を
その特徴としている。石炭を前処理をせずに、水素核の
核磁気共鳴吸収スペクトルのエコー信号を測定し、その
信号に対して適当な多重パルスを与えながら同時に適当
な磁場勾配を与えることで得られるマイクロイメージン
グ像で石炭中に存在する横緩和時間の比較的長い成分の
分布状態を可視化して、溶融し易い成分の平均存在量と
その分布を評価し、コークスドラム強度との関係から、
装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定すること
を特徴とする石炭品質評価方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的な内容に
ついて説明する。本発明者らは、図1に示す炭化室内に
おける石炭乾留過程を用いて、石炭の新たな品質評価方
法の可能性を検討した。図1において、1は燃焼室,2
は珪石レンガ壁,3はコークス層,4は軟化溶融層,5
は石炭層を各々示す。石炭は燃焼室から珪石レンガ壁を
通じて加熱され、軟化溶融層を形成し、その後再固化し
てコークスとなる。本発明者らは、図1に示すような石
炭乾留過程を前提として、石炭の新たな品質評価方法の
可能性を検討した。
【0015】例えば、表1に示す性質の石炭について、
前処理をせずに石炭の水素核のNMRスペクトルに、数
マイクロ秒の短く且つ数百パットの強いパルスを一定周
期で繰り返し与える多重パルス法と同時に直線的な傾斜
磁場勾配を組み合わせることで測定を行う。この組み合
わせで、従来溶媒等での事前処理をしなければ不可能で
あった強い双極子相互作用を持つ石炭の線幅の先鋭化が
可能となり、NMRマイクロイメージング画像を得るこ
とが可能となる。なお、表1に示すコークス強度とは、
JIS2151に記されているコークスドラム強度(D
I15015)をいう。
【0016】
【表1】
【0017】マイクロイメージング手法は、NMR(核
磁気共鳴)を用いた分析法である。物質は同一の核であ
っても分子内での様々な環境の違いから、核が磁気共鳴
を起こす共鳴周波数が異なることが知られており、その
共鳴周波数が化学シフトと呼ばれている。NMRの多く
の手法の中でNMRマイクロイメージング法は、磁場勾
配を与え、試料が感ずる磁場強度の差をある化学シフト
に出現した吸収線として捉え、その情報を位置情報に変
換し、空間的な存在分布について可視化している。NM
Rマイクロイメージング法の特徴は、(1)形態学的な
情報とともに物理的及び化学的情報が得られる、(2)
非破壊である、(3)任意の方向の断層像及び立体配置
像を得られる等着目する物質の空間的な分布に関して、
可視化情報を得ることができる点である。このマイクロ
イメージング法にて、イメージ像を測定し、石炭の構造
解析を行った。
【0018】粘結性の発現とは、加熱された石炭の分子
運動が活発になる状態であり、NMRイメージング像か
ら得られる横緩和時間の分布と石炭粒内での平均値によ
り、石炭分子の運動性量を定量的に評価できることが明
らかとなった。このことから本発明者らは、NMRイメ
ージングから得た横緩和時間の長い成分と、短い成分の
比の平均値を用いれば石炭品質の評価に利用できるのを
見い出した。更に、横緩和時間の長い成分と短い成分の
石炭粒内分布を明らかにし、それらが溶融成分が多いか
否か、その分布が均一か否かという石炭の品質の評価に
利用できることを見い出した。
【0019】本明細書において、横緩和時間とは、NM
Rイメージング測定の結果得られる最小画素内に存在す
る石炭自身に由来する水素核NMRスペクトル吸収の半
値幅(吸収の高さの半分の位置における吸収の幅を意味
する)から導き出されるものであり、石炭のバルクとし
ての運動性を表す。この時、水素核磁気共鳴から得られ
た吸収を半値幅の広い吸収(横緩和時間が短い成分)
と、狭い吸収(横緩和時間が長い成分)に波形分離し、
その面積をそれぞれの成分量とした。本測定時には得ら
れる吸収を先鋭化させ明確なイメージング像にすること
で、横緩和時間の長い成分と短い成分の差異を明確にす
る。このため、適当な多重パルスを与えるマジックエコ
ー法(F.Weigand,D.E.Demco,B.Bluemich and H.W.Spies
s, J.Magn.Reson.A120(1996)190) が非常に有効であ
り、従来のイメージング技術と併用した。同様の効果
は、漏洩磁場を利用するSTRAFI法(A.A.Samoilen
ko,D.Y.Artemov, and L.A.Sibeldina,JETP Lett.48(198
8) 348)でも確認されている。
【0020】測定のためには、図2のように試料を磁場
中に置き、測定時間の間は固定する必要がある。設置及
び固定方法として、ガラスの試料管に試料を静置させた
り、観測する液体と同じ核で核磁気共鳴を起こさせない
ようなテフロン等のスポンジ,木,プラスチック等に挟
んだり、直接試料を磁場中に糸や導線等で吊るすなどの
方法がある。試料の大きさは、装置の制限にもよるが、
最大直径25mmであり、それ以下であれば形状には依
存しない。
【0021】ここでは、全く事前処理をしない石炭を数
マイクロ秒の短く且つ数百パットの強いパルスを一定周
期で繰り返し与える多重パルス法と同時に、直線的な傾
斜磁場勾配を組み合わせることで、強い双極子相互作用
を持つ石炭の線幅の先鋭化が、溶媒等での事前処理をせ
ずに可能となる。これにより、NMRマイクロイメージ
ング画像を得ることが可能となる。この核磁気共鳴法で
直接観測することで、吸収線のイメージを可視化するこ
とにより、横緩和時間の長い成分と短い成分を評価する
ものである。非破壊で且つ高分解能を達成するので、従
来法では溶媒を膨潤させなければ評価できなかった溶融
に関与する成分を、溶媒を使用することなしに非破壊に
評価することが狙いであり、NMR顕微鏡という意味で
溶媒レスNMRマイクロイメージング法と称する。
【0022】測定の手法としては、前述した多重パルス
を使用するマジックエコー法と2次元スピンエコー法,
マルチスライススピンエコー法,3次元スピンエコー法
を組み合わせた方法やSTRAFI状態での2次元スピ
ンエコー法,マルチスライススピンエコー法,3次元ス
ピンエコー法などがあり、得たい情報に応じて使い分け
ることができる。2次元スライスエコー法は、ある断面
での空隙の分布等を明確にできる。マルチスライススピ
ンエコー法は、連続して、ある厚さ間隔での複数断面に
おける線幅の狭い成分の分布やそのつながり等を得るこ
とができる。また3次元スピンエコー法は、石炭中の横
緩和時間の長い成分と短い成分に関するデータを3次元
的に取り込み、任意な位置断面における分布の情報,つ
ながり等について多くの知見を得ることができる。
【0023】本発明者らは、炭化度の異なる代表的な5
種類の石炭について、溶媒レスNMRマイクロイメージ
ング法によって測定し、得られたイメージ像の画素毎
に、横緩和時間を計算し、各画素毎に横緩和時間の相対
的に長い成分と短い成分の比を得た。そしてすべての画
素の平均値の横緩和時間において、相対的に長い成分と
短い成分の比とコークスドラム強度との関係について調
査した。その結果、両者の間には明確な関係があること
が分った。
【0024】図3は、炭化度の異なる代表的な5種類の
石炭の横緩和時間の長い成分と短い成分の比と、コーク
スドラムの強度との関係を示す。また、図4は、表1に
示す石炭の同一炭種での急速加熱処理の条件を変えて処
理した石炭について横緩和時間の長い成分と短い成分の
比と、コークスドラムの強度との関係を示す。各図から
分るように、横緩和時間の長い成分と短い成分の比の平
均値と、コークスドラム強度の間には明確な関係があ
り、横緩和時間の長い成分の存在量が大きくなればなる
ほど、コークスドラム強度は強くなる。すなわち、横緩
和時間の長い成分の増加は、石炭のバルクの運動性の大
きい成分の増加を意味しており、粘結性が増加してコー
クスドラム強度が増加する。
【0025】この関係を活用して横緩和時間の長い成分
と短い成分の比を、石炭の品質評価に利用することが可
能となる。具体的には、コークスドラム強度が既知であ
る石炭をイメージング法で測定した横緩和時間について
長い成分と短い成分の比をあらかじめ求め、コークスド
ラム強度と横緩和時間の長い成分と短い成分の比の検量
線を作成しておき、NMRイメージング法で評価しよう
とする石炭の横緩和時間の長い成分と短い成分の比を測
定し、そのコークスドラム強度との関係を得ることで、
石炭品質を評価できる。さらに、急速加熱処理を行った
石炭の横緩和時間の長い成分と短い成分の比を求め、あ
らかじめ求めた検量線から、コークス化後のコークスド
ラム強度を推定し、急速加熱を行わない原炭と比較を行
うことで、急速加熱による石炭品質改善効果を評価でき
る。本発明の方法では石炭を事前に溶媒等で前処理して
いないので、溶媒の影響を排除した定量性の高い評価が
可能である。
【0026】また本発明者は、表1に示すような石炭に
ついて、まず溶媒レスNMRマイクロイメージング法に
より横緩和時間を測定し、横緩和時間の長い成分の存在
分布を得た。次に前述した方法で、NMRマイクロイメ
ージング法の測定に用いた石炭をそのまま乾留してコー
クス化し、JIS法に従ってコークスドラム強度を測定
し、両者の関係について調査した。その結果、図5に一
例を示すように、横緩和時間の長い成分(白く表示され
ている部分)が均一に分布しているほどコークスドラム
強度が増加していることが分った。横緩和時間の長い成
分が均一に存在していることは、運動性が高い部分が均
一に存在していることになり、粘結性の高い部分同志の
接着確率が高くなることになり、結果としてコークスド
ラム強度が増加する。なお、図5(a)はコークスドラ
ム強度81、図5(b)はコークスドラム強度74、図
5(c)はコークスドラム強度71、図5(d)はコー
クスドラム強度67、図5(e)はコークスドラム強度
62である。
【0027】また、種々の炭種の石炭について横緩和時
間を測定し、得られた画像に対して、外側部・中側部・
内側部の3部分に均等分割し、横緩和時間の長い成分の
相対的な存在量とその石炭をそのまま乾留して得られた
コークスドラム強度との関係を、図7に示す。
【0028】図7から明らかなように、外側部における
横緩和時間の長い成分の相対的な存在量と、コークスド
ラム強度との間には相関がある。この関係を活用して、
コークスドラム強度が未知な種々の石炭に対して、乾留
をすることなく、NMRマイクロイメージングで測定す
ることによって得られる横緩和時間の長い成分の分布で
石炭の品質評価に利用することが可能となる。特に分級
する前の粒径サイズの異なる石炭に対して、非常に精度
が高く有効である。具体的には、コークスドラム強度が
既知の石炭の横緩和時間の長い成分の外側部での相対的
な存在量(石炭単位面積あたりの存在量に換算)をあら
かじめ求め、評価しようとする石炭の横緩和時間の長い
成分の外側部の相対的な存在量とコークスドラム強度と
の相対関係を得ることで、石炭品質を評価できる。
【0029】また、予備処理として急速加熱処理を行っ
た石炭をコークス化のための乾留をすることなしに、N
MRマイクロイメージング測定することで横緩和時間の
長い成分の存在分布を得る。さらに、急速加熱を行わな
い原炭の分布と比較を行うことで、急速加熱による石炭
品質改善効果を評価できる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに説明す
る。本発明はこれに限定されるものではない。表1に示
す性質の石炭に対して、3水準に急速加熱処理を行い、
NMRマイクロイメージング測定を実施後、前記石炭を
装入密度0.8t/m、1100℃一定の加熱温度で
20時間乾留し、コークスを製造した。
【0031】マイクロイメージングの測定手法は、マジ
ックエコー3次元スピンエコー法を用い、90度、18
0度、180度、90度、の各パルスを数ミリ秒の間隔
で多重に照射することを繰り返しながら、x,y,z方
向に対してそれぞれ磁場勾配として30,30,20ga
uss/cmを掛けた。繰り返し時間は0.5秒とし、エコー
時間は2msecであった。また各x,y,zに対してのデ
ータポイントは、それぞれ128,64,32とした。
各断面に対する積算回数は、16回であった。測定時間
に要した時間は、約28時間であった。
【0032】測定終了後、得られたデータをx,y,z
に対してそれぞれゼロフィリングすることで128,1
28,128のデータとした。それらのデータをブロー
ドニングファクターを6Hz,エクスポーネンシャル関
数を窓関数として、x,y,zの各方向にフーリエ変換
し、NMRマイクロイメージング像とした。任意の位置
について2次元スライスを切り出した結果を、図6に示
した。白い部分が線幅の狭い成分(緩和時間の長い成
分)の存在位置を表している。このことから、溶融しや
すい成分の存在や分布の均一度がわかる。横緩和時間の
長い成分と短い成分の定量は、上記測定後フーリエ変換
する前に、得られたFID信号を2つの信号(横緩和時
間が長い成分が線幅の狭い成分に当たり、横緩和時間が
短い成分が線幅の広い成分にあたる)に波形分離し、そ
れぞれをフーリエ変換して横緩和時間の長い成分と短い
成分の吸収面積の比を数値化した。なお、図6(a)は
急速加熱温度350℃、図6(b)は急速加熱温度40
0℃、図6(c)は急速加熱温度500℃である。
【0033】3水準で急速加熱処理した石炭を、本発明
の方法で測定し、横緩和時間の長い成分量と短い成分量
の比の平均値を算出した結果を、表2に示す。従来法で
は検知できなかった非微粘結炭の品質向上が評価でき
る。すなわち、図4に示すように、急速加熱処理での石
炭に及ぼす影響をコークスを乾留することなしに、コー
クスドラム強度の推定が良好に評価できた。
【0034】
【表2】
【0035】また図7を用いての結果を、表3に示す。
石炭の急速加熱処理での影響を乾留することなく、特に
粒径に及ぼす影響を加味しながら良好にコークスドラム
強度の推定ができた。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、幅広い種類の石炭に対
して、精度高く品質を評価でき、石炭評価精度の向上、
コークス製造コストの削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化室内における石炭乾留過程を示す図であ
る。
【図2】NMRマイクロイメージング測定での試料状況
を示す図である。
【図3】炭化度の異なる各種石炭の横緩和時間の長い成
分と短い成分の比と、コースクドラム強度とを関係を示
すグラフである。
【図4】同一炭種における急速加熱処理効果を及ぼす横
緩和時間の長い成分と短い成分の比と、コークスドラム
強度の関係を示すグラフである。
【図5】コークドラム強度の異なる各種試料のマイクロ
イメージングで得られた顕微鏡写真であり、(a)ドラ
ム強度81、(b)ドラム強度74、(c)ドラム強度
71、(d)ドラム強度67、(e)ドラム強度62で
ある。
【図6】急速加熱温度の異なる各種試料のマイクロイメ
ージングで得られた顕微鏡写真であり、(a)急速加熱
350℃、(b)急速加熱400℃、(c)急速加熱5
00℃である。
【図7】炭化度の異なる各種石炭の横緩和時間の長い成
分の相対的な存在量とコークスドラム強度との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 燃焼室 2 珪石レンガ壁 3 コークス層 4 軟化溶融層 5 石炭層 6 試料 7 NMR試料管 8 磁場勾配コイル 9 NMRプローブ 10 温度調整エアー 11 磁場勾配冷却エアー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石炭を前処理をせずに、水素核の核磁気共
    鳴吸収スペクトルのエコー信号を測定し、その信号に対
    して適当な多重パルスを与えながら同時に適当な磁場勾
    配を与えることで得られるマイクロイメージング像で石
    炭中に存在する横緩和時間の相対的に長い成分と短い成
    分の分布状態を可視化して、溶融し易い成分の平均存在
    量とその分布を評価し、コークスドラム強度との関係か
    ら装入石炭の乾留後のコークスドラム強度を推定するこ
    とを特徴とする石炭品質評価方法。
JP10140553A 1998-05-07 1998-05-07 石炭の品質評価方法 Pending JPH11326248A (ja)

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CN107219244A (zh) * 2017-06-12 2017-09-29 华东理工大学 一种利用固体核磁碳谱检测煤结构参数的定量分析方法

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