JPH11321621A - ブレーキペダルストロークシミュレータ - Google Patents

ブレーキペダルストロークシミュレータ

Info

Publication number
JPH11321621A
JPH11321621A JP10131992A JP13199298A JPH11321621A JP H11321621 A JPH11321621 A JP H11321621A JP 10131992 A JP10131992 A JP 10131992A JP 13199298 A JP13199298 A JP 13199298A JP H11321621 A JPH11321621 A JP H11321621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid chamber
pressure
valve
stroke simulator
hydraulic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10131992A
Other languages
English (en)
Inventor
Takaaki Iwatsuki
隆明 岩月
Hidetoshi Shimizu
英敏 志水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10131992A priority Critical patent/JPH11321621A/ja
Publication of JPH11321621A publication Critical patent/JPH11321621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Braking Systems And Boosters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ヒステリシス特性を実現するブレ
ーキストロークシミュレータに関し、摩耗に起因する経
時変化を防止すると共に、ヒステリシス特性を他の特性
とは独立に調整することを目的とする。 【解決手段】 シリンダ40内に摺動可能に設けられた
ピストン42及びダンパ48の間に液室50が画成され
る。ピストン42にはペダル踏力が伝達される。液室5
0は、バルブ機構53及びカップシール58により、ピ
ストン42側の第1液室60とダンパ48側の第2液室
62とに区画される。カップシール58は、第1液室6
0が第2液室62に比して高圧の場合に、第1液室60
から第2液室への作動油の流れを許容する。バルブ機構
53は、バルブボディ70、バルブスプリング72等よ
り構成され、第2液室62から第1液室60への作動油
の流れを、それらの差圧が所定の開弁圧に達した場合に
許容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブレーキペダルス
トロークシミュレータに関し、特に、ヒステリシス特性
を実現することが可能なブレーキペダルストロークシミ
ュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】車両用ブレーキ制御装置として、ブレー
キペダルの操作量を電気的に検出し、その検出値に基づ
いてホイルシリンダに供給する液圧を制御する電子制御
式ブレーキ装置が知られている。電子制御式ブレーキ装
置においては、通常時は、マスタシリンダとホイルシリ
ンダとの間は遮断されているため、ブレーキ操作が行わ
れてもマスタシリンダからホイルシリンダへ作動油が流
出することはない。従って、電子制御式ブレーキ装置に
は、ペダル踏力に応じたペダルストロークを得るべく、
ブレーキペダルストロークシミュレータが設けられる。
【0003】ところで、ブレーキブースタを備え、ブレ
ーキ操作に応じてブレーキブースタに発生した液圧をホ
イルシリンダに供給する形式のブレーキ制御装置におい
ては、ブレーキブースタの特性により、ペダル踏力とブ
レーキ力との関係はヒステリシスを伴っている。すなわ
ち、ブレーキペダルを踏み込んだ状態からペダル踏力を
減少させた場合、ブレーキ力はペダル踏力の減少に対し
て遅れを伴いながら減少する。かかるヒステリシス特性
によれば、ブレーキペダルが踏み込まれた後、ペダル踏
力が低下した場合にもブレーキ力が保持されることで、
良好なブレーキフィーリングを得ることができる。従っ
て、電子制御式ブレーキ装置においても、ブレーキペダ
ルストロークシミュレータにより上記のヒステリシス特
性をシミュレートすることが望ましい。
【0004】かかるヒステリシス特性をシミュレートす
ることが可能なブレーキペダルストロークシミュレータ
として、従来より、例えば特開平6−211124号公
報に開示される構成が公知である。このブレーキペダル
ストロークシミュレータは、ハウジング内に摺動可能に
設けられたピストンと、ピストンにより画成され、マス
タシリンダに連通する液室と、液室を縮小させる向きに
ピストンを付勢するバネ部材とを備えている。ブレーキ
操作に伴ってマスタシリンダ圧が上昇すると、ペダルス
トロークに応じた量の作動油が液室に流入する。この作
動油の流入量に応じて、ピストンはバネ部材を収縮させ
ながら変位する。その際、バネ部材の収縮変形に伴って
発生する弾性力により、液室内の液圧が上昇する。そし
て、液室内に生じた液圧がマスタシリンダを介してブレ
ーキペダルへ伝達されることで、その液圧に応じたペダ
ル踏力が生ずることとなる。
【0005】上記従来のストロークシミュレータにおい
て、バネ部材は複数の皿バネを重ね合わせることにより
構成されている。バネ部材が伸縮変形する過程では、各
皿バネは互いに摺動することで摺動抵抗が発生する。バ
ネ部材が収縮変形した状態から復元変形する場合、すな
わち、ブレーキペダルの踏み込みが解除される場合に
は、バネ部材の復元変形は、皿バネ間の摺動抵抗により
妨げられる。かかる摺動抵抗の影響で、ペダルストロー
クに対するペダル踏力の関係は、ブレーキペダルの踏み
込み時と踏み込み解除時とで変化することとなり、これ
により、ペダルストロークとペダル踏力との関係にヒス
テリシス特性が生成される。従って、例えば、ペダルス
トロークに応じたブレーキ力を発生させることにより、
ヒステリシス特性を伴うペダル踏力とブレーキ力との関
係を実現することができる。また、このヒステリシス特
性は、皿バネ間の摺動抵抗に応じて変化する。従って、
バネ部材を構成する皿バネの枚数を変更し、バネ部材全
体としての摺動抵抗を変化させることにより、ヒステリ
シス特性を調整することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、上記従来
のブレーキペダルストロークシミュレータにおいては、
皿バネ間の摺動抵抗によりヒステリシス特性を実現して
いる。このため、摺動に伴って皿バネに摩耗が生じ、ヒ
ステリシス特性に経時変化が生ずる可能性がある。
【0007】また、上記従来のブレーキペダルストロー
クシミュレータにおいて、バネ部材のバネ定数によりペ
ダル踏力とペダルストロークとの関係の勾配が定まる。
従って、ヒステリシス特性を調整すべく皿バネの枚数を
変更すると、バネ部材のバネ定数が変化することで、ペ
ダル踏力とペダルストロークとの関係の勾配も変化して
しまう。すなわち、上記従来のブレーキペダルストロー
クシミュレータにおいて、ヒステリシス特性のみを独立
して調整することは困難である。
【0008】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、摩耗等に起因する経時変化を防止することがで
き、かつ、ヒステリシス特性を独立して調整することが
可能なブレーキペダルストロークシミュレータを提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、ペダル踏力が所定の方向に伝達される
ピストン部材と、前記ピストン部材に対して前記所定の
方向に離間して設けられ、前記所定の方向とは逆方向に
付勢されたダンパ部材と、前記ピストン部材と前記ダン
パ部材との間に画成され、作動油が封入されてなる液室
とを備えるブレーキペダルストロークシミュレータであ
って、前記液室を、前記ピストン部材に隣接する第1の
液室と、前記ダンパ部材に隣接する第2の液室とに分割
すると共に、第1の開弁圧を有し、前記第1の液室から
前記第2の液室への作動油の流れのみを許容する第1の
一方向弁と、第2の開弁圧を有し、前記第2の液室から
前記第1の液室への作動油の流れのみを許容する第2の
一方向弁とを設け、かつ、前記第1の開弁圧及び前記第
2の開弁圧を、それらの和が正の所定値となるように設
定したブレーキペダルストロークシミュレータにより達
成される。
【0010】本発明において、ピストン部材にペダル踏
力が伝達されると、第1の液室の液圧(以下、第1液圧
と称す)が上昇する。第1の液圧が第1の開弁圧を越え
ると、第1の一方向弁は第1の液室から第2の液室への
作動油の流れを許容する。このため、第1液圧が第1の
開弁圧を越えて上昇すると、第2の液室の液圧(以下、
第2液圧と称す)は、第1液圧に比して第1の開弁圧だ
け低圧とされた状態で上昇する。第2液室が上昇した
後、ペダル踏力が減少すると、第1液圧は低下する。こ
の場合、第1の液室と第2の液室との間の差圧が第1の
開弁圧を下回ることで、第1の一方向弁は第1の液室か
ら第2の液室への作動油の流れを遮断する。一方、第1
液圧が第2液圧に比して第2の開弁圧だけ低圧となるま
では、第2の一方向弁は、第2の液室から第1の液室へ
の作動油の流れを許容しない。このため、ペダル踏力が
減少した後、第1の液室と第2の液室との間の作動油の
流れが禁止されることで、第2液圧は一定に保持され
る。
【0011】第1液圧が第2液圧に比して第2の開弁圧
だけ低圧となるまでペダル踏力が減少すると、以後、第
2の一方向弁は第2の液室から第1の液室への作動油の
流れを許容する。このため、第1液圧が更に低下する
と、第2液圧は、第1液圧に比して第2の開弁圧だけ高
圧とされた状態で低下する。このように、ペダル踏力が
減少した場合、第1液圧が第2液圧に比して第1の開弁
圧だけ高圧である状態から、第1液圧が第2液圧に比し
て第2の開弁圧だけ低圧である状態に達するまでの間、
第2液圧は一定に保持される。すなわち、ブレーキ踏力
の減少開始後、第1液圧が第1の開弁圧と第2の開弁圧
との和に相当する圧力だけ低下するまで、第2液圧は一
定に維持される。第1の開弁圧と第2の開弁圧とは、そ
れらの和が正の所定値となるように設定される。従っ
て、第1液圧と第2液圧との関係は、上記所定値をヒス
テリシス量とするヒステリシス特性を伴うものになる。
【0012】ダンパ部材は、上記所定方向(すなわち、
ペダル踏力の伝達方向)とは逆方向に付勢される。この
ため、第2液圧が上昇すると、ダンパ部材は所定方向と
は逆方向に変位し、一方、第2液圧が低下すると、ダン
パ部材は所定方向に変位する。ダンパ部材が変位する
と、ピストン部材も同じ方向へ変位する。従って、第2
液圧の変化に応じたペダルストロークが発生する。ま
た、上記の如く、第1液圧はペダル踏力に応じた値とな
る。従って、第1液圧と第2液圧との関係がヒステリシ
ス特性を伴うことで、ペダル踏力とペダルストロークと
の関係もヒステリシス特性を伴うものとなる。
【0013】上記の如く、本発明において、ヒステリシ
ス特性は、第1の一方向弁及び第2の一方向弁の開弁圧
により生成される。一般に、一方向弁の開弁圧は、スプ
リングの弾性力により設定される。従って、本発明によ
れば、摺動部分を生じさせることなくヒステリシス特性
を実現することができる。また、第1の一方向弁及び第
2の一方向弁の開弁圧は、ヒステリシス特性以外のブレ
ーキペダルストロークシミュレータの特性に関連しな
い。従って、本発明によれば、ヒステリシス特性のみを
独立して、任意に調整することが可能となる。
【0014】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く請求項1記載のブレーキペダルストロークシミュレ
ータであって、ブレーキ操作量を検出する操作量検出手
段と、前記ブレーキ操作量に基づいて、所定の高圧源を
液圧源としてホイルシリンダ圧を制御する液圧制御手段
とを備えるブレーキ制御装置に設けられ、前記第1の液
室又は前記第2の液室とホイルシリンダとを接続する連
通路と、前記連通路に設けられた遮断弁と、システム失
陥時に、前記遮断弁を開弁させる失陥時開弁手段とを備
えるブレーキペダルストロークシミュレータにより更に
効果的に達成される。
【0015】本発明において、ブレーキペダルストロー
クシミュレータは、第1の液室又は第2の液室とホイル
シリンダとを接続する連通路、及び、連通路に設けられ
た遮断弁を備える。失陥時開弁手段は、システム失陥時
に、遮断弁を開弁させる。遮断弁が開弁されると、第1
液圧又は第2液圧がホイルシリンダに供給される。従っ
て、システム失陥が生ずると、ホイルシリンダ圧は第1
の液室又は第2の液室を液圧源として昇圧される。すな
わち、本発明において、ブレーキペダルストロークシミ
ュレータは、マスタシリンダとしての機能を併有する。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
ブレーキペダルストロークシミュレータ10(以下、ス
トロークシミュレータ10と略称する)が適用されたブ
レーキ制御装置のシステム構成図である。ブレーキ制御
装置は、電子制御ユニット12(以下、ECU12と称
す)により制御される。
【0017】図1に示す如く、ストロークシミュレータ
10には、プッシュロッド14を介してブレーキペダル
16が連結されている。ストロークシミュレータ10
は、ブレーキペダル14に付与されるペダル踏力(以
下、ペダル踏力Fと表す)に応じた液圧を発生する。ス
トロークシミュレータ10の構成及び動作については後
に詳述する。
【0018】ブレーキ制御装置は、ストロークシミュレ
ータ10が発生する液圧(以下、ストロークシミュレー
タ圧PSTと称す)を検出する液圧センサ18、及び、ブ
レーキペダル16のペダルストローク(以下、ペダルス
トロークSと表す)を検出するストロークセンサ20を
備えている。液圧センサ18及びストロークセンサ20
の出力信号はECU12に供給されている。ECU12
は、液圧センサ18及びストロークセンサ20から供給
される出力信号に基づいて、ストロークシミュレータ圧
ST及びペダルストロークSを検出する。
【0019】ブレーキ制御装置は、また、油圧アクチュ
エータ22を備えている。油圧アクチュエータ22に
は、液圧ポンプ24、及び、各車輪に対応して設けられ
たホイルシリンダ26が連通されている。油圧アクチュ
エータ22には、図示しない電磁弁を備える油圧回路が
組み込まれている。油圧アクチュエータ22が備える各
電磁弁は、ECU12から供給される制御信号に応じて
駆動される。油圧アクチュエータ22は、各電磁弁が適
宜駆動されることにより、液圧ポンプ24を液圧源とし
てホイルシリンダ26の液圧(以下、ホイルシリンダ圧
W/C と称す)を制御する。
【0020】ストロークシミュレータ10には、各ホイ
ルシリンダ26へ至る液圧通路28が連通している。液
圧通路28には電磁開閉弁30が配設されている。電磁
開閉弁30は常態で閉弁状態をとり、ECU12からオ
ン信号を供給されることにより開弁状態となる2位置の
電磁弁である。本実施例において、通常時には、ECU
12は、ストロークシミュレータ圧P STに応じた液圧が
ホイルシリンダ26に供給されるように、油圧アクチュ
エータ22の各電磁弁に対して制御信号を出力する。上
述の如く、ストロークシミュレータ10はペダル踏力F
に応じたストロークシミュレータ圧PSTを発生する。従
って、上記の制御によれば、ペダル踏力Fに応じたホイ
ルシリンダ圧PW/C を発生させる通常のブレーキ装置と
しての機能が実現される。以下、ブレーキ制御装置にお
いて、通常のブレーキ装置としての機能を実現するため
の制御を、通常ブレーキ制御と称す。
【0021】本実施例のブレーキ制御装置は、通常ブレ
ーキ制御の他、ECU12が車輪のスリップ状態や、車
両の減速度及びヨーレート等に関する各種情報に基づい
て油圧アクチュエータ22を制御することにより、制動
時の車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御
(ABS)、過大な駆動トルクに起因する車輪のスリッ
プを防止するトラクションコントロール(TRC)、及
び、車両の不安定な挙動を防止する車両安定化制御(V
SC)等の自動ブレーキ制御を実現することができる。
【0022】ところで、ブレーキブースタを備える従来
の構成のブレーキ装置(以下、ブースタ式ブレーキ装置
と称す)では、ペダル踏力に応じてブレーキブースタに
発生した液圧がホイルシリンダに供給され、この液圧に
応じたブレーキ力が発生される。かかるブースタ式ブレ
ーキ装置によれば、ブレーキブースタが有する特性によ
り、ペダル踏力とブレーキ力との間の関係(以下、踏力
ーブレーキ力関係と称す)はヒステリシス特性を伴うも
のとなる。図2は、ヒステリシス特性を伴う踏力−ブレ
ーキ力関係の一例を示す。
【0023】図2に示す踏力−ブレーキ力関係によれ
ば、ブレーキペダルが踏み込まれた後、ペダル踏力が緩
められた場合、ブレーキ力は、ペダル踏力が一定のヒス
テリシス量FHYS だけ減少した後に減少を開始する。従
って、例えば、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ
後、ペダル踏力を緩めた場合にブレーキ力が保持される
ことで、ブレーキの効き込み感が増大し、良好なブレー
キフィーリングを得ることができる。
【0024】また、一般に、運転者が所望のブレーキ力
を得ようとする場合、ブレーキペダルを適当な量だけ踏
み込んだ後、ペダル踏力を緩めることによりブレーキ力
を調整することが多いと考えられる。この場合、図2に
示す踏力−ブレーキ力関係によれば、ペダル踏力の減少
に対して、ブレーキ力が敏感に変化することがないの
で、運転者にとってブレーキ力の調整が容易なものとな
る。
【0025】上記の踏力−ブレーキ関係におけるヒステ
リシス量FHYS は、最適なブレーキフィーリングが実現
されるように調整できることが望ましい。ブースタ式ブ
レーキ装置では、ブレーキブースタが備えるリアクショ
ンディスクの硬度や、コントロールバルブの形状などに
よってヒステリシス量FHYS を調整することができる。
【0026】本実施例のブレーキ制御装置は、ブレーキ
シミュレータ10により上述の如きヒステリシス特性を
伴う踏力−ブレーキ力関係をシミュレートすることで、
ブースタ式ブレーキ装置と同様の良好なブレーキフィー
リングを得ることができ、かつ、そのヒステリシス量を
ストロークシミュレータ10の他の特性に影響を与える
ことなく独立して調整することができる点に特徴を有し
ている。以下、ストロークシミュレータ10の構成及び
動作について説明する。
【0027】図3は、ストロークシミュレータ10の構
成図である。図3に示す如く、ストロークシミュレータ
10はシリンダ40を備えている。シリンダ40の内部
には、ピストン42が配設されている。ピストン42の
周囲にはカップシール46が装着されている。カップシ
ール46により、ピストン42はシリンダ40の内部を
液密状態で摺動することができる。ピストン42には、
上記したプッシュロッド14が連結されている。ブレー
キペダル16にペダル踏力Fが付与されると、その力は
所定のレバー比で増大され、プッシュロッド14を介し
てピストン42に伝達されることで、ピストン42は図
3における右方向へ変位する。以下、ペダル踏力Fがピ
ストン42に伝達される方向(すなわち、図3における
右方向)を踏み込み方向と称し、これとは逆の方向を踏
み込み解除方向と称す。また、以下の記載においては、
簡単のため、上記レバー比を無視して、ペダル踏力Fは
ブレーキペダル16からピストン42へ伝達される力に
一致するものとし、また、ペダルストロークSはピスト
ン42の踏み込み方向への変位量に一致するものとす
る。
【0028】シリンダ40の内部の、ピストン42より
図3における右方には、ダンパ48が液密かつ摺動可能
に配設されている。ピストン42とダンパ48との間に
は液室50が画成されている。液室50には作動油が封
入されている。ダンパ48は、ダンパスプリング52に
より、踏み込み解除方向、すなわち、液室50を縮小さ
せる向きに付勢されている。
【0029】液室50の内部には、バルブ機構53が設
けられている。バルブ機構53は、バルブハウジング5
4を備えている。バルブハウジング54は、シリンダ4
0の内壁との間に通路56が画成されるように、シリン
ダ40に対して固定されている。通路56には、カップ
シール58が配設されている。バルブ機構53及びカッ
プシール58は、液室50の内部を、ピストン42に隣
接する第1液室60と、ダンパ48に隣接する第2液室
62とに区画している。カップシール58は、第1液室
60の液圧が第2液室62の液圧に比して高圧である場
合に、第1液室60から第2液室62への流体の流れを
許容し、その逆方向の流れを常時阻止する一方向弁とし
て機能する。なお、第2液室62の液圧が上記したスト
ロークシミュレータ圧PSTに相当している。また、上記
した液圧通路28は第2液室62に接続されているバル
ブハウジング54は、その内部にバルブ室63を備えて
いる。バルブハウジング54は、また、バルブ室63と
第1液室60とを連通するポート64、及び、バルブ室
63と第2液室62とを連通するポート66を備えてい
る。上記したピストン42には、ガイドロッド68が連
結されている。ガイドロッド68は、ポート64を貫通
して、バルブ室63に進入している。バルブ室63の内
部には、バルブボディ70が配設されている。バルブボ
ディ70は、ガイドロッド68の周囲に液密かつ摺動可
能に保持されている。バルブハウジング54の、ポート
66の周囲の内壁面はバルブボディ70に対するバルブ
シート71を構成している。
【0030】ガイドロッド68には、凸部73が形成さ
れている。凸部73は、ブレーキペダル16の踏み込み
が解除された状態で、バルブボディ70と係合すること
によりバルブボディ70を図3中左方に変位させ、か
つ、ブレーキペダル16が踏込まれた状態で、バルブボ
ディ70から図中右方へ離脱するように配置されてい
る。このため、ブレーキペダル16の踏み込みが解除さ
れた状態では、バルブボディ70はバルブシート71か
ら離間し、一方、ブレーキペダル16が踏み込まれた状
態では、バルブボディ70は、バルブスプリング72に
より所定の荷重(以下、バルブ荷重fv と称す)でバル
ブシート71に向けて押圧される。従って、ブレーキペ
ダル16が踏込まれている場合、常態においては、バル
ブボディ70がバルブシート71に着座することで、ポ
ート66は閉塞されている。
【0031】バルブハウジング54とピストン42との
間には、セットスプリング76が配設されている。セッ
トスプリング76は、ブレーキペダル16が踏み込まれ
ていない状態で、ピストン42に対して、踏み込み解除
方向に所定の荷重(以下、セット荷重fs と称す)を作
用させるように構成されている。シリンダ40の上部に
は、作動油を貯留するリザーバタンク78が設置されて
いる。リザーバタンク78は、シリンダ40に設けられ
たリザーバポート80に連通している。リザーバポート
80は、ブレーキペダル16が踏み込まれていない状態
ではカップシール46より僅かに図3中右方に位置する
ように配置されている。従って、リザーバタンク78
は、ブレーキペダル16が踏み込まれていない状態では
第1液室60と連通し、ブレーキペダル16の踏み込み
に伴ってピストン42が変位を開始すると第1液室60
から遮断される。
【0032】次に、図4から図7を参照して、ストロー
クシミュレータ10の動作について説明する。図4は、
ペダル踏力Fと、第2液室62の液圧、すなわち、スト
ロークシミュレータ圧PSTとの関係の一例を示す図であ
る。また、図5から図7は、それぞれ、ブレーキペダル
16が踏み込まれる過程(図4に示す矢印で示す過
程)、ブレーキペダル16が踏み込まれた後、ペダル踏
力が所定量減少されるまでの過程(図4に矢印で示す
過程)、及び、ブレーキペダル16の踏み込みが解除さ
れてストロークシミュレータ圧PSTが減圧される過程
(図4に矢印で示す過程)におけるストロークシミュ
レータ10の状態を示す。
【0033】上述の如く、ブレーキペダル16が踏み込
まれていない場合、ピストン42には、セットスプリン
グ76により、セット荷重fs が踏み込み解除方向に作
用している。このため、ペダル踏力Fがセット荷重fs
に達するまではピストン42に変位は生じず、図4に矢
印で示す如く、ストロークシミュレータ圧PSTは上昇
しない。
【0034】ペダル踏力Fがfs を越えると、ピストン
42はセットスプリング76の付勢力に抗して踏み込み
方向へ変位を開始する。ピストン42が変位を開始する
ことによりカップシール46がリザーバポート80を越
えると、第1液室60はリザーバタンク78から遮断さ
れる。第1液室60がリザーバタンク78から遮断され
た状態で、ペダル踏力Fが増加されると、それに応じて
第1液室60の液圧(以下、第1液圧P1 と称す)が上
昇する。第1液室P1 は、ピストン42に作用する力の
釣合より、次式で表される。
【0035】P1 =(F−fs )/Ap (1) ここで、Ap はピストン42の断面積である。なお、セ
ット荷重fs は、厳密には、ピストン42の変位量に応
じて変化する。しかしながら、セットスプリング72の
ばね定数を十分に小さな値に設定することで、セット荷
重fs はピストン42の変位量にかかわらず一定に維持
されるとみなすことができる。
【0036】上述の如く、通路56に設けられたカップ
シール58は、第1液室60側から第2液室62側への
流体の流れのみを許容する一方向弁として機能する。ま
た、第1液圧P1 が上昇した状況下では、バルブボディ
70がバルブシート71に着座した状態が維持される。
従って、ペダル踏力Fの増加に伴って第1液圧P1 が上
昇すると、図5に示す如く、第1液室60内の作動油が
通路56を経由して第2液室62へ流入することで、ス
トロークシミュレータ圧PSTは第1液圧P1 に等しい液
圧まで上昇する。すなわち、ペダル踏力Fが増加されて
いる過程では、第1液圧P1 に等しいストロークシミュ
レータ圧PSTが発生する。このため、図4に矢印で示
す如く、ペダル踏力Fがfs を上回った領域では、
(1)式で表される関係により、ストロークシミュレー
タ圧PSTはペダル踏力Fの増加に対して直線的に上昇す
る。なお、上述の如く、通常時は、液圧通路28は電磁
弁30により遮断されているため、ストロークシミュレ
ータ圧Pstが上昇した場合に作動油が第2液室62から
液圧通路28へ流出することはない。
【0037】ペダル踏力Fの増加が停止されて一定に保
持されると、第1液圧P1 及びストロークシミュレータ
圧PSTも一定に保持される。この状態からペダル踏力F
が減少されると、(1)式に従って、第1液圧P1 が低
下する。第1液圧P1 の低下により、第1液圧P1 がス
トロークシミュレータ圧PSTに比して低圧になると、通
路56はカップシール58により遮断される。一方、バ
ルブボディ70には、第1液室P1 とストロークシミュ
レータ圧PSTとの差圧ΔP(=PST−P1 )に応じた力
v が、バルブ荷重fv とは逆向きに作用する。ここ
で、バルブボディ70の断面積をAv とすると、力Fv
は次式で表される。
【0038】 Fv =(PST−P1 )・Av (2) この力Fv がバルブ荷重fv よりも小さい場合は、バル
ブボディ70がバルブシート71に着座し、ポート66
が閉塞された状態が維持される。一方、力Fv がバルブ
荷重fv を上回ると、バルブボディ70はバルブシート
71から離座し、ポート66は導通される。すなわち、
バルブ機構53は開弁圧fv /Av を有する一方向弁と
して機能する。
【0039】従って、ペダル踏力Fが減少された後、差
圧ΔPがバルブ機構53の開弁圧f v /AV に達するま
では、図6に示す如く、連通路56はカップシール58
により遮断され、かつ、ポート66はバルブボディ70
により閉塞される。このため、第2液室62が第1液室
60から遮断されることで、第1液圧P1 が低下して
も、ストロークシミュレータ圧PSTに変化は生じない。
従って、図4に矢印で示す如く、ペダル踏力Fが所定
のヒステリシス量HYSを越えるまでは、ストロークシ
ミュレータ圧PSTは一定に維持される。
【0040】ペダル踏力Fの減少に伴って、第1液圧P
1 が低下を続けると、これに応じて差圧ΔP(=PST
1 )は増加する。そして、差圧ΔPが開弁圧fv /A
v を越えるまでペダル踏力Fが減少すると、図7に示す
如く、バルブボディ70がバルブシート71から離座す
ることで、第2液室62はポート66、バルブ室63、
及びポート64を介して第1液室60と連通する。第2
液室62が第1液室60と導通すると、第2液室62か
ら第1液室60へ作動油が流出することで、ストローク
シミュレータ圧PSTは低下する。ストロークシミュレー
タ圧PSTの低下に伴って、差圧ΔPが開弁圧fv /Av
を下回ると、バルブボディ70がバルブシート71に着
座することで、第2液室62は再び第1液室60から遮
断される。
【0041】以後、差圧ΔPが開弁圧fv /Av を上回
ると、第2液室62が第1液室60と導通し、差圧ΔP
が開弁圧fv /Av を下回ると、第2液室62が第1液
室60から遮断されるという動作が繰り返されること
で、図4に矢印で示す如く、差圧ΔPが開弁圧fv
v に等しい状態、すなわち、ストロークシミュレータ
圧PSTが第1液圧P1 に比して開弁圧fv /Av だけ高
圧である状態が維持されつつ、ストロークシミュレータ
圧PSTは低下することとなる。
【0042】上述の如く、ストロークシミュレータ圧P
STが低下を開始するのは、差圧ΔP(=PSTーP1 )が
開弁圧fv /Av に達した時点、すなわち、第1液圧P
1 がfv /Av だけ減少した時点である。一方、第1液
圧P1 は(1)式(P1 =(F−fs )/Ap )で表さ
れる。従って、ストロークシミュレータ圧PSTが低下を
開始するまでのペダル踏力Fの減少量、すなわち、ヒス
テリシス量HYSは次式で表されることとなる。
【0043】HYS=fv ・Ap /Av (3) ペダル踏力Fの減少が停止され、再び増加に転ずると、
(1)式に従って、第1液圧P1 が上昇する。このた
め、差圧ΔPが減少してバルブ機構53の開弁圧fv
v を下回ることにより、バルブボディ70がバルブシ
ート71に着座する。かかる状況下において、第1液圧
1 がストロークシミュレータ圧PSTに比して低圧であ
る間は、通路56はカップシール58により遮断される
ため、ストロークシミュレータ圧PSTは変化しない。そ
して、第1液圧P1 がストロークシミュレータ圧PST
上回るまでペダル踏力Fが増加されると、図5に示す如
く、作動油が第1液室60から通路56を経由して第2
液室62へ流入する。このため、ストロークシミュレー
タ圧PSTは第1液圧P1 と等圧となり、以後、図4に矢
印で示す如く、ストロークシミュレータ圧PSTは第1
液圧P1 と等圧に保たれたれながらペダル踏力Fの増加
に応じて上昇する。
【0044】なお、上記の如く、ブレーキペダル16の
踏み込みが解除されると、ガイドロッド68に形成され
た凸部73が、バルブボディ70をバルブシート71か
ら離間させる。バルブボディ70がバルブシート71か
ら離間すると、第1液室60と第2液室62とがポート
66を介して連通する。また、上記の如く、ブレーキペ
ダル16の踏み込みが解除された状態では、リザーバタ
ンク78と第1液室60とがリザーバポート80を介し
て連通することにより、第1液圧P1 は大気圧に等しい
液圧となっている。従って、ブレーキペダル16の踏み
込みが解除され、ペダル踏力Fがセット荷重fs 以下と
なるまで減少されると、図4に矢印で示す如く、スト
ロークシミュレータ圧PSTも大気圧まで低下することに
なる。すなわち、ガイドロッド68に凸部73が設けら
れていることにより、ブレーキペダル16の踏み込みが
解除された場合に、第2液室62に上記差圧ΔP(=f
v/Av )に等しいストロークシミュレータ圧PSTが残
ることが防止される。
【0045】上述の如く、ストロークシミュレータ10
によれば、ペダル踏力Fとストロークシミュレータ圧P
STとの間に、図4に示す如きヒステリシス特性を伴う関
係が生成される。一方、上述の如く、本実施例のブレー
キ制御装置において、ブレーキ力はストロークシミュレ
ータ圧PSTに応じた値に制御される。従って、本実施例
によれば、従前のブースタ式ブレーキ装置と同様に、図
2に示す如きヒステリシス特性を伴う踏力−ブレーキ力
関係を実現することができる。
【0046】また、上述の如く、ストロークシミュレー
タ10におけるヒステリシス特性は、バルブスプリング
72の付勢力により得られている。すなわち、ストロー
クシミュレータ10は、皿バネによりヒステリシス特性
を得る上記従来技術の構成とは異なり、摺動部分を設け
ることなくヒステリシス特性が得られる構成である。従
って、本実施例のストロークシミュレータ10によれ
ば、摺動に伴う摩耗等に起因するヒステリシス特性の経
時変化を防止することができる。
【0047】また、上記ヒステリシス特性におけるヒス
テリシス量HYSは、上記(3)式で表される如く、バ
ルブ荷重fv に依存している。バルブ荷重fv は、スト
ロークシミュレータ10の他の特性(例えば、ペダル踏
力Fに対するストロークシミュレータ圧PSTの勾配)に
は一切関連しないパラメータである。従って、ストロー
クシミュレータ10によれば、バルブスプリング72の
セット荷重fv を適宜設定することで、ストロークシミ
ュレータ10の他の特性に影響を与えることなく、ヒス
テリシス量HYSのみを独立に調整することができる。
【0048】ところで、ストロークシミュレータ圧PST
が上昇すると、その液圧に応じた力がダンパ48に作用
することで、ダンパスプリング52に収縮変形が生ず
る。ダンパ48の断面積をAd 、ダンパスプリング52
のぱね定数をkd とすると、ダンパスプリング52の収
縮変形量xd は次式で表される。 xd =PST・Ad /kd (4) 液室50の容積は変化しないとみなすことができるの
で、ダンパスプリング52の収縮変形量xd は、ピスト
ン42の踏み込み方向への変位量、すなわち、ペダルス
トロークSに一致する。従って、ペダルストロークSは
次式で表されることとなる。
【0049】 S=PST・Ad /kd (5) (5)式より、ダンパスプリング52として線型バネを
用いた場合には、ペダルストロークSは、ストロークシ
ミュレータ圧PSTに比例して変化することがわかる。ま
た、ダンパスプリング52として非線型バネを用いた場
合には、ばね定数kd は収縮変形量xd によって変化す
る。この場合、ダンパスプリング52の変形量xとばね
力Tとの関係が非線型関数T=g(x)で表されるもの
とすると、ペダルストロークSは次式で表される。
【0050】 S=g-1(PST・Ad /Ap ) (6) 従って、ダンパスプリング52の非線型特性を適宜選択
することにより、ペダル踏力FとペダルストロークSと
の関係を所望の特性に設定することができる。非線型バ
ネとしては、例えば、不均一な巻線ピッチを有するコイ
ルスプリングや皿バネ等を用いることができる。あるい
は、ダンパスプリング52として線型バネを用い、ダン
パ48が所定量変位した位置でダンパ48に当接する別
の弾性体を設けること等により、上記非線型特性を実現
することもできる。
【0051】ところで、本実施例のブレーキ制御装置に
おいては、上記の如く、ECU12がストロークシミュ
レータ圧PSTに基づいて、油圧アクチュエータ22を制
御することにより、ホイルシリンダ圧PW/C がペダル踏
力Fに応じた値に制御される。しかしながら、油圧アク
チュエータ22あるいは液圧ポンプ24に失陥が生じた
場合には、油圧アクチュエータ22によってホイルシリ
ンダ圧PW/C を昇圧することができなくなる。
【0052】これに対して、本実施例のブレーキ制御装
置においては、油圧アクチュエータ22あるいは液圧ポ
ンプ24の失陥等のシステム失陥が検出されると、EC
U12は電磁弁30にオン信号を供給することにより、
電磁弁30を開弁させる。電磁弁30が開弁されると、
各ホイルシリンダ26は液圧通路28を介してストロー
クシミュレータ10の第2液室62と連通することで、
ストロークシミュレータ圧PSTがホイルシリンダ26に
供給される。従って、本実施例のブレーキ制御装置によ
れば、システム失陥が発生した場合にも、ストロークシ
ミュレータ10の第2液室62を液圧源としてホイルシ
リンダ圧PW/C を昇圧させることができる。この意味
で、本実施例のブレーキ制御装置は、システム失陥に対
するフェールセーフ対策が十分に講じられたものとなっ
ている。
【0053】上述の如く、本実施例では、システム失陥
時にストロークシミュレータ10が液圧源として用いら
れることで、ストロークシミュレータ10はマスタシリ
ンダとしての機能をも果たすこととなる。すなわち、本
実施例によれば、ストロークシミュレータとマスタシリ
ンダとを別体に設けることが不要となり、これにより、
システムの低コスト化を図ることができる。
【0054】なお、上記実施例では、液圧通路28を第
2液室62に接続し、システム失陥時には第2液室62
を液圧源として用いることとしたが、液圧通路28を第
1液室60に接続して第1液室60を液圧源として用い
ることとしてもよい。また、上記実施例においては、第
1液室60から第2液室62への作動油の流れを許容す
る一方向弁としてカップシール58を用い、その開弁圧
をゼロとする一方、第2液室62から第1液室60への
作動油の流れを許容する一方向弁として、開弁圧fv
v を有するバルブ機構53を用いることとした。しか
しながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第
1液室60から第2液室62への作動油の流れを許容す
る一方向弁として一定の開弁圧を有する一方向弁を用
い、第2液室62から第1液室60への作動油の流れを
許容する一方向弁として、例えばカップシールのような
開弁圧がゼロである一方向弁を用いてもよい。すなわ
ち、2つの一方向弁の少なくとも一方が正の(すなわ
ち、ゼロでない)開弁圧を有する構成であればよい。
【0055】なお、上記実施例においては、カップシー
ル58が請求項1に記載した第1の一方向弁に、バルブ
機構53が請求項1に記載した第2の一方向弁に、液圧
通路28が請求項2に記載した連通路に、電磁弁30が
請求項2に記載した遮断弁にそれぞれ相当し、また、シ
ステム失陥時にECU12が電磁弁30を開弁させるこ
とにより請求項2に記載した失陥時開弁手段が実現され
ている。
【0056】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、ブレーキペダルストロークシミュレータに摺動部分
を設けることなくヒステリシス特性を実現することがで
きると共に、各一方向弁の開弁圧を適宜設定すること
で、ヒステリシス量を調整することができる。従って、
本発明によれば、摩耗に起因する経時変化を抑制するこ
とができると共に、ブレーキペダルストロークシミュレ
ータの他の特性に影響を与えることなくヒステリシス特
性のみを独立して任意に調整することができる。
【0057】また、請求項2記載の発明によれば、シス
テム失陥時にブレーキストロークシミュレータをマスタ
シリンダとして機能させることができる。従って、本発
明によれば、ブレーキペダルストロークシミュレータと
マスタシリンダとを別体に設けることが不要になること
で、装置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキペダルストロ
ークシミュレータが適用されたブレーキ制御装置のシス
テム構成図である。
【図2】従来のブースタ式ブレーキ装置における踏力ー
ブレーキ力関係の一例を示す図である。
【図3】本実施例のブレーキペダルストロークシミュレ
ータの構成図である。
【図4】本実施例のブレーキペダルストロークシミュレ
ータにより実現されるペダル踏力Fとストロークシミュ
レータ圧PSTとの関係の一例を示す図である。
【図5】ブレーキペダルが踏み込まれる過程でのブレー
キペダルストロークシミュレータを示す図である。
【図6】ブレーキペダルが踏み込まれた後、ペダル踏力
が所定量減少されるまでの過程でのブレーキペダルスト
ロークシミュレータを示す図である。
【図7】ブレーキペダルの踏み込みが解除されてストロ
ークシミュレータ圧PSTが減圧される過程でのブレーキ
ペダルストロークシミュレータを示す図である。
【符号の説明】
10 ブレーキペダルストロークシミュレータ 12 ECU 16 ブレーキペダル 42 ピストン 50 液室 53 バルブ機構 58 カップシール 60 第1液室 62 第2液室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペダル踏力が所定の方向に伝達されるピ
    ストン部材と、前記ピストン部材に対して前記所定の方
    向に離間して設けられ、前記所定の方向とは逆方向に付
    勢されたダンパ部材と、前記ピストン部材と前記ダンパ
    部材との間に画成され、作動油が封入されてなる液室と
    を備えるブレーキペダルストロークシミュレータであっ
    て、 前記液室を、前記ピストン部材に隣接する第1の液室
    と、前記ダンパ部材に隣接する第2の液室とに分割する
    と共に、 第1の開弁圧を有し、前記第1の液室から前記第2の液
    室への作動油の流れのみを許容する第1の一方向弁と、 第2の開弁圧を有し、前記第2の液室から前記第1の液
    室への作動油の流れのみを許容する第2の一方向弁とを
    設け、かつ、 前記第1の開弁圧及び前記第2の開弁圧を、それらの和
    が正の所定値となるように設定したことを特徴とするブ
    レーキペダルストロークシミュレータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキペダルストロー
    クシミュレータであって、 ブレーキ操作量を検出する操作量検出手段と、前記ブレ
    ーキ操作量に基づいて、所定の高圧源を液圧源としてホ
    イルシリンダ圧を制御する液圧制御手段とを備えるブレ
    ーキ制御装置に設けられ、 前記第1の液室又は第2の液室とホイルシリンダとを接
    続する連通路と、 前記連通路に設けられた遮断弁と、 前記液圧制御手段の失陥時に、前記遮断弁を開弁させる
    失陥時開弁手段とを備えることを特徴とするブレーキペ
    ダルストロークシミュレータ。
JP10131992A 1998-05-14 1998-05-14 ブレーキペダルストロークシミュレータ Pending JPH11321621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10131992A JPH11321621A (ja) 1998-05-14 1998-05-14 ブレーキペダルストロークシミュレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10131992A JPH11321621A (ja) 1998-05-14 1998-05-14 ブレーキペダルストロークシミュレータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11321621A true JPH11321621A (ja) 1999-11-24

Family

ID=15071033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10131992A Pending JPH11321621A (ja) 1998-05-14 1998-05-14 ブレーキペダルストロークシミュレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11321621A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6931962B2 (en) * 2001-07-10 2005-08-23 Itt Manufacturing Enterprises, Inc. Foot or hand operated control
JP2007185999A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置
KR100948232B1 (ko) 2008-07-16 2010-03-18 현대모비스 주식회사 히스테리시스 특성 구현 타입 전자 페달 장치
JP2012030789A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Robert Bosch Gmbh ペダル感覚シミュレータ作動装置及び遮断組立体
JP2013256263A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Toyota Motor Corp ブレーキストロークシミュレータ
WO2016009968A1 (ja) * 2014-07-15 2016-01-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 ブレーキ装置及びマスタシリンダ
EP2896539A3 (de) * 2013-12-17 2016-04-20 Schaeffler Technologies AG & Co. KG System zur Pedalkraftsimulation, insbesondere für ein Kupplungsbetätigungssystem
JP2017515069A (ja) * 2014-04-29 2017-06-08 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーSchaeffler Technologies AG & Co. KG 車両の操作要素に加わる力のシミュレーション装置、好適にはペダルシミュレータ、および電気的なクラッチシステムを操作する装置
US10207690B2 (en) 2014-05-08 2019-02-19 Hitachi Automotive Systems, Ltd. Brake apparatus
CN109789865A (zh) * 2016-09-26 2019-05-21 大陆-特韦斯贸易合伙股份公司及两合公司 用于液压式机动车制动***的制动装置

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6931962B2 (en) * 2001-07-10 2005-08-23 Itt Manufacturing Enterprises, Inc. Foot or hand operated control
JP2007185999A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置
JP4569475B2 (ja) * 2006-01-11 2010-10-27 トヨタ自動車株式会社 ブレーキ制御装置
US8029072B2 (en) 2006-01-11 2011-10-04 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brake control system and brake control method
KR100948232B1 (ko) 2008-07-16 2010-03-18 현대모비스 주식회사 히스테리시스 특성 구현 타입 전자 페달 장치
JP2012030789A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Robert Bosch Gmbh ペダル感覚シミュレータ作動装置及び遮断組立体
JP2013256263A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Toyota Motor Corp ブレーキストロークシミュレータ
EP2896539A3 (de) * 2013-12-17 2016-04-20 Schaeffler Technologies AG & Co. KG System zur Pedalkraftsimulation, insbesondere für ein Kupplungsbetätigungssystem
JP2017515069A (ja) * 2014-04-29 2017-06-08 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーSchaeffler Technologies AG & Co. KG 車両の操作要素に加わる力のシミュレーション装置、好適にはペダルシミュレータ、および電気的なクラッチシステムを操作する装置
US10207690B2 (en) 2014-05-08 2019-02-19 Hitachi Automotive Systems, Ltd. Brake apparatus
WO2016009968A1 (ja) * 2014-07-15 2016-01-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 ブレーキ装置及びマスタシリンダ
JP2016020173A (ja) * 2014-07-15 2016-02-04 日立オートモティブシステムズ株式会社 ブレーキ装置及びマスタシリンダ
CN109789865A (zh) * 2016-09-26 2019-05-21 大陆-特韦斯贸易合伙股份公司及两合公司 用于液压式机动车制动***的制动装置
CN109789865B (zh) * 2016-09-26 2022-04-01 大陆-特韦斯贸易合伙股份公司及两合公司 用于液压式机动车制动***的制动装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102669727B1 (ko) 분리형 브레이크 시스템을 위한 햅틱 피드백
JP3972859B2 (ja) ストロークシミュレータ
JP4810489B2 (ja) 車両用ブレーキ装置
US20090095100A1 (en) Brake apparatus
JPS6320256A (ja) マニユアル・電気二系統ブレ−キ装置
US5273348A (en) Brake control system for automotive vehicles
JP4446232B2 (ja) 車両用制動装置
JP6276144B2 (ja) 液漏れ検知方法
JP4474323B2 (ja) ブレーキ装置
JPWO2013175628A1 (ja) 調圧器、および、それを備えた液圧ブレーキシステム
JP2013514933A (ja) 油圧式車両ブレーキ装置
JPH0551500B2 (ja)
JPH11321621A (ja) ブレーキペダルストロークシミュレータ
JP6470703B2 (ja) 車両用制動装置
JPH02256553A (ja) アンチロック型ブレーキ装置
JP3489453B2 (ja) ブレーキストロークシミュレータ
JPH05155334A (ja) 圧力伝達器及びブレーキ制御装置
JPH06211124A (ja) ブレーキストロークシミュレータ
CN105383464B (zh) 调压器以及具备该调压器的车辆用液压制动***
US6652041B2 (en) Hydraulic pressure control device for vehicle and vehicle brake system using the same
JP2003025985A (ja) 車両用ブレーキ液圧発生装置、及び該液圧発生装置を備えた液圧ブレーキ装置
JP2007118756A (ja) 車両用ブレーキ制御装置
JPH06312658A (ja) 液圧ブレーキ装置
JP3788465B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP2627446B2 (ja) 制動油圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070824

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071016