JPH11321602A - 車両横すべり角の推定装置 - Google Patents

車両横すべり角の推定装置

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JPH11321602A
JPH11321602A JP13877098A JP13877098A JPH11321602A JP H11321602 A JPH11321602 A JP H11321602A JP 13877098 A JP13877098 A JP 13877098A JP 13877098 A JP13877098 A JP 13877098A JP H11321602 A JPH11321602 A JP H11321602A
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vehicle
gravity
center
side slip
slip angle
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JP13877098A
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Ichiro Tsumagari
一郎 津曲
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 横すべりあるいはホイール・リフトの状態な
ど車両の挙動を実時間演算により合理的に推定する。特
に、横すべり角の推定を行う。 【解決手段】 操舵角と車速にしたがって横すべり角を
推定する。また、軸重計によって車体総重量を随時測定
し、車体総重量の変化に応じて随時横すべり角を推定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車の姿勢安定制
御に関する。本発明は、ヨーあるいはロールなど走行中
の車両の挙動に基づいて、車両の姿勢を安定な方向に自
動的に制御する装置に利用する。本発明は、例えば、車
両が走行中に横すべり状態になる可能性があることを自
動的に検知演算して、全部または一部の車輪のブレーキ
圧力を自動的に制御することにより、その車両を横すべ
りが生じる可能性の小さい状態に回復させる自動制御装
置に利用することができる。本発明は、例えば高速走行
中の大きいハンドル操作など、車両の特性を越える運転
操作により車両が運転者の意図しない挙動に達したとき
に自動的に安定な状態を回復させる姿勢制御に関する。
本発明は、バス・トラックなど商業車両の横転防止に利
用する。
【0002】
【従来の技術】従来からブレーキの電子制御装置や車両
安定化制御装置(VSC、Vehicle Stability Control)
などが知られている。ブレーキにかかわる電子制御装置
の代表的なシステムはABS(Antilock Brake System)
である。これは車輪に回転センサを設けて車輪回転を検
出し、ブレーキ圧力が大きいときに車輪回転が停止する
と、車輪と路面との間にスリップがあったものとして、
ブレーキ圧力を断続制御するものである。ABSは乗用
車あるいは貨物車に広く普及し、ブレーキをかけながら
もハンドルがきく装置として広く知られるところとなっ
た。車両安定化制御装置(VSC)の代表的な装置とし
ては、横すべり防止装置が知られている。これは、運転
者が操作入力する操舵角(ハンドル角度)から、運転者
が進もうとしている針路を読取り、その針路に対して車
速が大きすぎると、運転者がブレーキペダルを踏まなく
とも自動的に減速のための制御がなされ、さらに針路か
ら外れないように左右のブレーキ圧力を配分するなどの
制御が行われる装置である。
【0003】すでに知られている車両姿勢安定化装置
(VSC)(特開昭63−279976号公報、特開平
2−112755号公報など)をさらに説明すると、車
両の走行中に運転者が操舵を行うと、車両の向きが変化
し車両にロールが生じる。このとき操舵による旋回内輪
のタイヤが路面のグリップ限界を越えると、内輪がいわ
ゆるホイール・リフト傾向となり、車両が横すべりをは
じめる。例えば、直線走行状態から運転者が左に操舵を
行うと車両は右に傾斜する。このとき、正常な状態では
その操舵に応じて車両が旋回するが、走行速度に対して
操舵の速さが大きすぎると、車両は右に傾斜しながら左
車輪が浮きぎみな状態となり、運転者の意図する方向よ
り右寄りに進行することになる。このような車両の挙動
は、走行レーンの逸脱や、極端な場合には車両の横転を
招く原因となる。
【0004】通常走行状態において、操舵の大きさと速
さ、車両の速度、車両の横移動の速さ、および車両の向
きの変化の速さ(ヨーレイト、垂直軸まわりの車両の回
転加速度)を検出して演算することにより、車輪の横す
べり開始点または内輪のホイールリフト開始点を予測
し、横すべりあるいはホイールリフトが始まる前に車輪
のブレーキ圧力を制御する装置が開発された。この車輪
のブレーキ圧力制御は、必ずしも全輪同一のブレーキ圧
力ではなく、一つの車輪について大きいあるいは小さい
ブレーキ圧力を印加して、車両の横すべりを防止するも
のである。このような装置は、原理的な構造や設計のみ
ならず、経済性および耐久性などもよく検討され、乗用
車については市販品に実装される段階に達した。
【0005】このような従来例装置は、現在の操舵およ
び制動を含む運転操作に係るパラメータと、現在の車両
の挙動に係るパラメータから、すなわち現時点のパラメ
ータからヨーレイトを演算し、これがあらかじめその車
両について設定記憶された横すべりの可能性があるヨー
レイトに達すると判定されたときに、自動的に車両のブ
レーキ圧力を制御するように構成されている。この横す
べりの可能性は、運転操作入力および各種センサ出力で
ある車両の挙動データから伝達関数による演算が実行さ
れる。
【0006】従来の伝達関数演算装置ではこの伝達関数
による演算は、高速フーリエ演算が広く用いられている
演算方法である。すなわち操作入力についてのデータお
よび挙動データを周波数分解し、フーリエ関数を利用し
て応答を近似演算するものである。高速フーリエ演算
は、コンピュータ装置にインストールして利用できる汎
用のアナライザが簡単に入手できるなど便利な点があ
る。
【0007】このような車両の姿勢制御を行う装置で
は、車両の重心位置はきわめて重要なパラメータであ
る。大型貨物自動車に代表される大型商業車両では、積
荷の状態によってその重心位置が変化する。バスの場合
には、特に路線バスでは、乗客の乗り降りにより車両の
重心位置が変化する。車両の横転防止をはかる姿勢制御
に関しては、車両の重心高さが重要なパラメータにな
る。
【0008】従来、車両の重心は静的に計測することが
できるが、走行状態でリアルタイムに計測する方法はな
い。すなわち、重心位置を計測しようとする車両を水平
な路面に停車させた状態で各車輪の荷重分担を計測し、
つぎにその車両を前後方向に勾配のある路面および左右
方向に勾配のある路面に移動させて、各車輪の荷重分担
を計測することにより、重心高さを含む重心位置を三次
元的に計測することができる。
【0009】従来の姿勢制御装置を図6ないし図8を参
照して説明する。図6は従来の姿勢制御の全体構成例を
示す図である。車両1は姿勢制御装置の被制御対象であ
る。車両1には、操舵、制動、加速、その他運転操作入
力が与えられ、それに対する応答が車両の挙動である。
この車両1には姿勢制御装置2が搭載される。そしてこ
の姿勢制御装置2は車両安定化制御装置(VSC)3お
よび電子制御制動装置4を含む。この電子制御制動装置
4は従来のABS手段に代表される装置である。
【0010】その車両の挙動をデータとして観測するた
めに、その車両1に搭載されたセンサ類11からは挙動
データが出力される。挙動データは、速度、横方向加速
度、ヨーレイト、ロールレイト、車輪回転情報、その他
である。
【0011】車両安定化制御装置3は、運転操作入力お
よび挙動データを入力として、車両の挙動を予測演算
し、その結果を電子制御制動装置4に与える。電子制御
制動装置4は、同じく運転操作入力および挙動データを
取込み、それに加えて車両安定化制御装置(VSC)3
の出力を取込み、車両1に対する運転操作入力および外
乱入力に対する安全方向への自動制御出力を送出し、こ
れは修正入力となる。
【0012】図7は従来の姿勢制御装置のシステム構成
図である。制御回路51はプログラム制御されるコンピ
ュータ回路を含む車両に搭載された電子装置であり、車
両の運転操作入力およびその車両の挙動データを入力と
しその車両の運動状態を演算出力する車両安定化制御装
置(VSC)と、この車両安定化制御装置の演算出力に
したがって運転操作入力および外乱入力を安全側に修正
する修正入力をその車両に与える制御手段とを含む。
【0013】この車両にはヨーレイトセンサ52、横方
向加速度センサ53、ロールレイトセンサ60、および
前後方向加速度センサ61が実装され、これらの各検出
出力は制御回路51に接続されている。前輪54fおよ
び後輪54rにはそれぞれ車輪回転センサ55が取付け
られ、これらの検出出力も制御回路51に接続される。
ブレーキ・ブースタ・アクチュエータ56にはブレーキ
圧センサ57が取付けられ、この検出出力は同じく制御
回路51に接続される。操舵ハンドル58には操舵角セ
ンサ59が取付けられ、その出力は制御回路51に接続
される。内燃機関を制御するガバナ62にはガバナセン
サ63が組み込まれ、ガバナ62の状態を検出しその検
出出力は制御回路51に接続される。図8は前記各セン
サの車両への実装例を示す斜視図である。図7および図
8には2軸構造の車両が示されているが、大型車両の場
合には3軸あるいは4軸構造が用いられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来伝達関数
演算に利用されている高速フーリエ演算では、(1)周
波数の低い信号に対して長時間にわたるデータが必要で
ある、(2)データの数は2の冪乗(8、16、32、64・
・・)でなければならず適当なデータ数が得られない場
合がある、(3)フィード・バック制御が行われるクロ
ーズド・ループは演算不能であるなどの欠点がある。特
に、トラックやバスなどの商用車では、挙動データの中
に振動周波数が百分の1ヘルツ程度の成分があり、この
ような挙動データに対して、高速フーリエ演算による伝
達関数の演算のためには少なくともその周期の2倍であ
る200秒にわたる実時間のデータが必要になる。これ
では、走行中に実時間で演算する実用的な装置を得るこ
とができないことになる。これは商用車の姿勢制御装置
の実現を妨げる大きい問題点である。
【0015】また、大型車両では、積荷の状態により、
あるいは乗客の搭乗数およびその着席位置により、車両
の物理特性は大きく変動する。すなわち、乗用車の場合
には乗客数に変動があるとしても、乗客の体重(例えば
一人当たり50kg)は車両の全重量(例えば2000kg)
に対して小さくかつ搭乗人員は少人数である。しかも乗
客の搭乗位置は重心の低い位置に固定されているから、
乗客数が変動する場合にも、車両の物理定数を保持する
車両モデルを固定的に設定して演算を行っても姿勢制御
装置の演算結果には大きい影響はない。しかし大型車両
では、貨物用車両の場合には、積荷がない場合と積載可
能限界に近い典型的な積荷がある場合とでは車両全体の
重量も重心位置も大きく変わる。したがって車両の物理
特性は大きく変化するから、固定的な車両モデルを使用
して演算を行っても現実的な値とならない。
【0016】さらにトラックでは、積荷は常に一定の状
態で積まれるわけではなく、その重量および積載の位置
あるいは重心の位置はその都度変化する。大型バスの場
合でも、乗客の搭乗数はゼロから約50人までの間を変動
し、その搭乗乗客の車両内での位置もその都度変化す
る。定期バスの場合には停留所毎に変化することにな
る。したがって、姿勢制御の基礎となる車両モデルを固
定的に設定したのでは実用的な姿勢制御はできないこと
になる。
【0017】ここで、前記パラメータのうち、横すべり
角について考察してみると、従来は前後方向および左右
方向の車速を計測し、横すべり角を計算している。特
に、左右方向の車速を計測するのは難しく、横方向加速
度センサ等の高価な計測器が必要である(特許第272
2855号、特開平9−311042号、特開平6−2
78628号の各公報参照)。
【0018】本発明はこのような背景に行われたもので
あって、大型車両とくに商業車に適する姿勢制御装置を
提供することを目的とする。本発明は、挙動データに低
い周波数成分が多く含まれる大型車両に適応するための
姿勢制御装置を提供することを目的とする。本発明は、
積荷あるいは乗客の状態が変化する車両に適応するため
の姿勢制御装置を提供することを目的とする。本発明
は、積荷あるいは乗客の状態が変化しても、車両モデル
が自動的に追従する姿勢制御装置を提供することを目的
とする。本発明は、車両の特性を越えた運転制御による
大型自動車の走行レーンからの逸脱防止および横転防止
を目的とする。本発明は、車両の横すべり角をリアルタ
イムに推定することができる装置を提供することを目的
とする。本発明は、車両の姿勢制御装置の制御精度を向
上させることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、横すべり角を
推定する際に、操舵角δおよび車速Vにより推定するこ
とを特徴とする。これにより、複雑かつ高価なセンサを
車両に取付ける必要がなく、随時、横すべり角を推定す
ることができる。さらに、軸重計を用いて車体総重量を
測定することによって、貨物の積み降ろしによって変化
する横すべり角を随時推定することができる。
【0020】すなわち、本発明は車両横すべり角の推定
装置であって、車体総重量Wを計測する手段と、車速V
を計測する手段と、運転操作により入力された操舵角δ
および前記車速Vを取込みフロントコーナリングフォー
スKfおよびリアコーナリングフォースKrをあらかじ
め設定された値とし車両の横すべり角βを
【0021】
【数2】 ただし、Lはホイールベース(定数)、Lfは前輪軸か
ら重心までの距離、Lrは後輪軸から重心までの距離、
として推定演算する手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】上記フロントコーナリングフォースKfお
よびリアコーナリングフォースKrは、本来、横すべり
角βの関数により求められるパラメータであるが、本発
明では、あらかじめ設定された値として扱う。この値
は、例えば、実験的に求められた平均値を採る。これに
より、操舵角δおよび車速Vにしたがって、瞬時に横す
べり角βを推定することができる。
【0023】あるいは、推定された横すべり角βにより
新たにフロントコーナリングフォースKfおよびリアコ
ーナリングフォースKrの値を演算し、前記あらかじめ
設定されているフロントコーナリングフォースKfおよ
びリアコーナリングフォースKrの値と比較し、その比
較結果にしたがって、前記あらかじめ設定されているフ
ロントコーナリングフォースKfおよびリアコーナリン
グフォースKrの値を変更するようにしてもよい。この
場合には、AR法を用いることが望ましい。
【0024】前記重心位置から後軸までの距離Lrは定
数としてあらかじめ設定されているものとしてもよい
し、あるいは、前記重心位置から後軸までの距離Lr
は、前記前軸にかかる重量Wfおよび前記後軸にかかる
重量Wrから演算する手段を含む構成としてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を図1ないし図
4を参照して説明する。図1は本発明実施例の動作を示
すフローチャートである。図2は本発明実施例の姿勢制
御装置のシステム構成図である。図3は本発明実施例の
前記各センサの車両への実装例を示す斜視図である。図
4は本発明実施例で用いた力学モデルを示す図である。
【0026】本発明は車両横すべり角の推定装置であっ
て、図2に示すように、車体総重量Wを計測する手段で
ある軸重計64fおよび64rと、車速Vを計測する手
段である車速計66と、運転操作により入力された操舵
角δおよび前記車速Vを取込みフロントコーナリングフ
ォースKfおよびリアコーナリングフォースKrをあら
かじめ設定された値とし、図4に示す車両の横すべり角
βを〔数2〕ただし、Lはホイールベース(定数)、L
fは前輪軸から重心までの距離、Lrは後輪軸から重心
までの距離、として推定演算する手段である制御回路5
1とを備えたことを特徴とする。
【0027】前記あらかじめ設定された値は、自己回帰
法(AR法)により更新されるようにすることもでき
る。
【0028】前記重心位置から後軸までの距離Lrは定
数としてあらかじめ設定されたものとして扱う場合と、
前記重心位置から後軸までの距離Lrは、前記前軸にか
かる重量Wfおよび前記後軸にかかる重量Wrから演算
する場合とがある。
【0029】
【実施例】大型車の特徴として軸構成によって2軸、3
軸、4軸車に分類され、ホイールベースも各種存在する
ため、車両の運動特性が異なってくる。図5は車両の運
動特性を示す図である。横軸に周波数をとり、縦軸に利
得および位相をとる。同一車軸構成の車型でホイールベ
ース(WB(1)<WB(2)<WB(3))違いで見
ると図5に示すように、いずれも安定した状態を示すホ
イールベースが短くなる程、操舵感度が高くなることを
示している。
【0030】また、車両の使われ方から見ると空車、積
車状態で軸重が大きく変化し、荷姿によって重心が大き
く変わるので、運動特性として重心位置と高さを把握す
ることが肝要である。
【0031】本発明実施例を説明する。図2および図3
に示す操舵角センサ59および車速計66から操舵角δ
および車速Vのデータが制御回路51に入力される。制
御回路51では、図1に示すように、操舵角δ(S1)
および車速V(S2)にしたがって、車両の横すべり角
βを〔数2〕として推定演算する(S3)。
【0032】ただし、Wは車体総重量、Lはホイールベ
ース(定数)、Lfは前輪軸から重心までの距離、Lr
は後輪軸から重心までの距離、Kfはフロントコーナリ
ングフォース、Krはリアコーナリングフォース、この
とき、フロントコーナリングフォースKfおよびリアコ
ーナリングフォースKrは、本来、横すべり角βの関数
により求められるパラメータであるが、本発明では、あ
らかじめ設定された値として扱う。この値は、例えば、
実験的に求められた平均値を採る。これにより、操舵角
δおよび車速Vにしたがって、瞬時に横すべり角βを推
定することができる。
【0033】あるいは、推定された横すべり角βにより
新たにフロントコーナリングフォースKfおよびリアコ
ーナリングフォースKrの値を演算し、あらかじめ設定
されているフロントコーナリングフォースKfおよびリ
アコーナリングフォースKrの値と比較し、その比較結
果にしたがって、あらかじめ設定されているフロントコ
ーナリングフォースKfおよびリアコーナリングフォー
スKrの値を変更するようにしてもよい。この場合には
AR法を用いる。
【0034】ここで、AR法とは、現在のデータを得る
ために、過去のデータに重み係数をかけて逆上って演算
を行う方法である。一般にAR法と高速フーリエ演算法
(FFT)を比較すると、FFTでは汎用のアナライザ
が簡単に入手できること、計算が開始されると演算は短
時間で完結すること、などの利点があるが、周波数の低
い(周期の長い)成分に対して適正な分解能を得るため
には、その周期の2倍ほどの時間にわたるデータが必要
である。例えば大型車両の挙動データには、百分の1ヘ
ルツ(周期百秒)というような周波数成分が含まれてい
るので、実時間により演算ができないことになる。これ
に対してAR法では、過去のデータに重み係数をかけて
逆上って演算を行うので、相応の結果が逐一得られるこ
とになり実時間制御のための演算として適している。ま
た、FFT法ではデータの数が2の冪乗、すなわち2n
でなければならないが、AR法ではデータの数に制約が
なくその時点毎に保持するデータを用いて演算できるか
ら自由度が大きくなる。またFFT法ではクローズド・
ループ、すなわち演算結果が挙動データに直ちに帰還さ
れるループ制御を行うような場合の演算が原理的に不可
能であるが、AR法ではクローズド・ループ演算に適す
るものであり、自動車の姿勢制御のようにつねにループ
制御が行われている装置では有利である。
【0035】このとき、車体総重量Wについては、図2
および図3に示す軸重計64fおよび64rの測定値に
より求める。すなわち、車体総重量Wは、前輪にかかる
重量と後輪にかかる重量とを加算することにより得られ
る。理論的には、車体が大きく傾斜している場合でも車
体総重量Wは、前輪にかかる重量と後輪にかかる重量と
を加算することにより得られる。しかし、実際には、車
体が大きく傾くと、前輪にかかる重量と後輪にかかる重
量との差が大きくなり、軸重計64fおよび64rの測
定値が大きく異なる。このように測定値に大きな差が生
じる場合には、広い範囲で高い測定精度を有する軸重計
64fおよび64rを備えることが必要になり、コスト
が割高になってしまう。したがって、前輪の軸重計64
fおよび後輪の軸重計64rの測定値の差が少ない傾斜
零または±1度の範囲内で車体総重量Wを測定すること
がよい。
【0036】なお、重心位置から後軸までの距離Lrを
一定として扱う方法と、距離Lrをその都度計算する方
法とがある。距離Lrを定数として扱う方法は、重心位
置が頻繁に変化しないタイプの車両に用いる場合に適す
る。例えば、積載する貨物の形状が一定しており、その
積載位置も一定しているが重量だけが変化するといった
場合に適する。このような場合には、前記距離Lrを定
数として扱うことにより、重心位置の変化を演算する手
順を省くことができるため、重心高さの演算速度を速く
することができる。また、距離Lrをその都度演算する
方法は、重心位置が頻繁に変化するタイプの車両に用い
る場合に適する。例えば、積載する貨物の形状も積載位
置も一定しておらず、その都度変化する場合には、重心
位置も頻繁に変化しているので、その都度前記距離Lr
を演算することがよい。
【0037】距離Lrをその都度計算する方法のごく簡
単な例としては、Wf/(Wf+Wr)=k・Lr/
(Lf+Lr) ただし、kは定数であることから、 Lr=(1/k)・(Lf+Lr)・〔Wf/(Wf+
Wr)〕 として演算する方法がある。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大型車両とくに商業車に適する姿勢制御装置を実現する
ことができる。挙動データに低い周波数成分が多く含ま
れる大型車両に適応するための姿勢制御装置を実現する
ことができる。積荷あるいは乗客の状態が変化する車両
に適応するための姿勢制御装置を実現することができ
る。積荷あるいは乗客の状態が変化しても、車両モデル
が自動的に追従する姿勢制御装置を実現することができ
る。車両の特性を越えた運転制御による大型自動車の走
行レーンからの逸脱防止および横転防止を行うことがで
きる。車両の横すべり角をリアルタイムに推定すること
ができる。車両の姿勢制御装置の制御精度を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の動作を示すフローチャート。
【図2】本発明実施例の姿勢制御装置のシステム構成
図。
【図3】本発明実施例の前記各センサの車両への実装例
を示す斜視図。
【図4】本発明実施例で用いた力学モデルを示す図。
【図5】車両の運動特性を示す図。
【図6】従来の姿勢制御の全体構成例を示す図。
【図7】従来の姿勢制御装置のシステム構成図。
【図8】前記各センサの車両への実装例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 車両 2 姿勢制御装置 3 車両安定化制御装置(VSC) 4 電子制御制動装置 (EBS) 11 センサ類 51 制御回路 52 ヨーレイトセンサ 53 横方向加速度センサ 54f 前輪 54r 後輪 55 車輪回転センサ 56 ブレーキ・ブースタ・アクチュエータ 57 ブレーキ圧センサ 58 操舵ハンドル 59 操舵角センサ 60 ロールレイトセンサ 61 前後方向加速度センサ 62 ガバナ 63 ガバナセンサ 64f、64r 軸重計 65 勾配センサ 66 車速計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B62D 101:00 113:00 137:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体総重量Wを計測する手段と、車速V
    を計測する手段と、運転操作により入力された操舵角δ
    および前記車速Vを取込みフロントコーナリングフォー
    スKfおよびリアコーナリングフォースKrをあらかじ
    め設定された値とし車両の横すべり角βを 【数1】 ただし、Lはホイールベース(定数)、 Lfは前輪軸から重心までの距離、 Lrは後輪軸から重心までの距離、として推定演算する
    手段とを備えたことを特徴とする車両横すべり角の推定
    装置。
  2. 【請求項2】 前記あらかじめ設定された値は、自己回
    帰法(AR法)により更新される請求項1記載の車両横
    すべり角の推定装置。
  3. 【請求項3】 前記重心位置から後軸までの距離Lrは
    定数としてあらかじめ設定された請求項1記載の車両の
    重心高さの推定演算装置。
  4. 【請求項4】 前記重心位置から後軸までの距離Lr
    は、前記前軸にかかる重量Wfおよび前記後軸にかかる
    重量Wrから演算する手段を含む請求項1記載の車両の
    重心高さの推定演算装置。
JP13877098A 1998-05-20 1998-05-20 車両横すべり角の推定装置 Pending JPH11321602A (ja)

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JP13877098A Pending JPH11321602A (ja) 1998-05-20 1998-05-20 車両横すべり角の推定装置

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101006917B1 (ko) 2005-11-23 2011-01-10 주식회사 만도 트레일러 진동 제어 방법
CN111175733A (zh) * 2020-02-05 2020-05-19 北京小马慧行科技有限公司 车身的角度的识别方法及装置、存储介质、处理器

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