JPH11320126A - 施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法 - Google Patents

施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法

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JPH11320126A
JPH11320126A JP12886698A JP12886698A JPH11320126A JP H11320126 A JPH11320126 A JP H11320126A JP 12886698 A JP12886698 A JP 12886698A JP 12886698 A JP12886698 A JP 12886698A JP H11320126 A JPH11320126 A JP H11320126A
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clad steel
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plate
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JP12886698A
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Hideto Kimura
秀途 木村
Yasuo Kobayashi
泰男 小林
Taikan Horikoshi
大寛 堀越
Arata Sakui
新 作井
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接熱影響により、合せ材と母材との接合界
面の劣化を発生させず、且つ溶接施工性のよいクラッド
鋼板を製造熱間圧延で製造する。 【解決手段】 鋼片スラブ母材10表層部の四周辺部の
内少なくとも一周辺部の所定幅帯を除き、合せ材20を
挿入すべき空間部を少なくとも一つ形成させ、空間部に
合せ材20を挿入した、組合せ体Aを調製し、複数の組
合せ体同士を重ねて合せ面内を真空引きして封じ、素片
を作る。これを熱間圧延をする。母材に形成する平板状
空間部、母材、合せ材間の寸法・形状を適切に設定す
る。組合せ体と鋼片スラブとを重ねて圧延用素片を調製
してもよい。 【効果】 溶接施工工程が著しく簡略化され、コストダ
ウンに寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所定の構造物等
を施工する際に溶接して使用されるクラッド鋼板の製造
方法であって、施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、クラッド鋼板の利用技術の進歩に
伴い、最も一般的なクラッド鋼板であるステンレスクラ
ッド鋼板では対応できない用途、例えば、海水処理プラ
ントや製紙プラント等での高耐食性を要する部位には、
チタンクラッド鋼板の利用拡大が推進されている。チタ
ンクラッド鋼板は特に、高耐食性と構造材料としての機
能を兼ね備えていることから、海洋構造物等の大型構造
物へも適用が期待され、今後とも、施工やメンテナンス
を含むクラッド鋼板の利用に関するトータル技術の向上
が必要とされている。
【0003】図9は、従来使用されているクラッド鋼板
の形態を模式的に示す斜視図である。鋼板である母材の
表面全面に、用途に応じた特性をもつ薄板状の合せ材2
が張り合わされた形態で接合されている。なお、この明
細書等においては図9に示した形態のクラッド鋼板のよ
うに、一方の表面全域にクラッド鋼板が接合されている
クラッド鋼板を、以下、「タイプg」という。
【0004】上記利用技術の中でも、クラッド鋼板の溶
接施工は、プラントや構造物の建設コストに大きく影響
するので、その溶接施工方法の改善は重要な課題であ
り、種々検討されている。一般に、クラッド鋼板の溶接
では、溶接部の耐食性その他合せ材のもつ特性維持のた
めに、少なくとも溶接部の最表層を合せ材と同一溶接材
料、又はこれに準ずる溶接材料で盛り付けるが、例え
ば、チタンクラッド鋼板を溶接する場合、鋼の母材とチ
タンの合せ材との直接溶接は、合金層や金属間化合物の
形成により著しく機械的特性を害する。従って、直接チ
タン又はチタン合金を鋼の母材に盛り付けることができ
ない。
【0005】チタンクラッド鋼板の溶接においては更
に、溶接部近傍の熱影響部で発生するC等の熱拡散によ
り、合せ材のチタンと母材の鋼板との接合界面にTiC
等の脆い化合物が析出し易く、これがチタンと鋼との接
合性劣化の原因となる。
【0006】このため、チタンクラッド鋼板の溶接にお
いては、従来、図8に示すような施工工程をとる。即
ち、チタンクラッド鋼板30の合せ材2の内、開先加工
部31近傍の合せ材2aを特定の幅で除去する作業(以
下、この作業を「カットバック」という)をした後(図
8(a))、母材1同士を溶接し(図8(b))、溶接
部32上に合せ材2と同等のチタン又はチタン合金板を
挿入し、この挿入チタン板33を溶接して(37は挿入
板溶接金属を示す)、チタンクラッド鋼板の表面と同じ
高さになるように表面レベルをそろえ(図8(c))、
更にこの上を合せ材と同等のチタン板で覆う(図8
(d))。そして、このカバーチタン板34と、合せ材
2であるチタン板とを、低入熱で溶接する(35はカバ
ー板溶接金属を示す)という方法で行なわれている。但
し、上記において、合せ材2としてのチタン板、挿入チ
タン板33及びカバーチタン板34はいずれも、純チタ
ン以外にチタン合金の場合もある。
【0007】以上のように、現在、チタンクラッド鋼板
の溶接施工工程は、(1)合せ材カットバック、(2)
母材開先加工、(3)母材溶接、(4)挿入板溶接、
(5)カバー板溶接の5工程で行なわれており、施工性
が劣っており問題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなチタンク
ラッド鋼板の溶接施工は、異種金属がクラッドされてい
ない通常の鋼板、所謂ムク材の鋼板同士の溶接施工より
は勿論のこと、ステンレスが合せ材としてクラッドされ
た、通常のステンレスクラッド鋼板の溶接施工よりも格
段に工程が煩雑で手間や費用がかかる。従って、大面積
のチタンクラッド鋼板を溶接して使用することが検討さ
れている現状では、溶接施工の簡便化及び工程省略化が
強く望まれるようになった。
【0009】挿入チタン板を用いずに直接カバーチタン
板を溶接する方法も、工程簡略化を目的として施工現場
では行なわれる場合がある。しかし、この方法では溶接
部の機械的特性が一般部位より著しく劣る等の問題があ
り、簡略化された施工方法として一般に認められるには
程遠い状態にある。
【0010】カットバック工程の主な目的は、チタン合
せ材と鋼母材との界面の接合性劣化を防止することにあ
る。即ち、チタンクラッド鋼板の溶接時には、熱影響部
においてC等が熱拡散し、合せ材のチタンと結合する。
従って、溶接部近傍で合せ材のチタンと母材の鋼板との
接合界面にTiC等の脆い化合物が析出し、これがチタ
ン板と鋼板との接合性劣化の原因となる。そこで、上記
TiC等が析出しない状態をつくるために、溶接熱影響
部近傍から合せ材であるチタンを、クラッド鋼板の溶接
前に予め除去しておくというものである。従って、現在
ではカットバック作業を省略することはできない。この
ような現状に対して、溶接施工性の改善要請があり、溶
接工程が簡単で容易となるような構造をもったチタンク
ラッド鋼板の製造技術の開発が強く求められている。
【0011】従って、この発明の目的は、上記問題のあ
るチタンクラッド鋼板や、上記のチタンクラッド鋼板と
同じような問題を起こすクラッド鋼板の溶接施工時に発
生する合せ材と母材との界面における接合性の劣化原因
を排除し、カットバックや挿入板溶接等の工程を省略し
て、溶接施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法を開発
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明者等は、チタンクラッド鋼板の溶接における
カットバック工程を省略する等、その施工性に優れたチ
タンクラッド鋼板としては、どのような構成によりどの
ような構造とすべきかについて試験・検討を重ねた。そ
の結果、次の知見を得た。即ち、チタンクラッド鋼板の
溶接において、母材同士の溶接後に当該溶接部の上部に
従来挿入しているチタン挿入板を、必ずしも合せ材と接
合しなくてもよいこと、また、その際その挿入板の材質
は、合せ材であるチタンと同等である必要もないこと、
即ち挿入板の材質は少なくとも母材である鋼と同等であ
ればよく、また、挿入板は合せ材と接合するのでなく、
母材と接合してもよいことを知得した。そして、挿入板
の材質として母材の材質と同等である鋼を使用し、且
つ、その挿入板を母材の鋼と接合すれば、溶接の簡便性
が向上するばかりか、溶接部の機械的特性においても格
段に有利となることがわかった。
【0013】上記知見より、本発明者等は、クラッド鋼
板の溶接用開先部近傍には、合せ材であるチタンが初め
から存在せず、溶接部近傍では挿入板と母材とが一体と
なった構造のチタンクラッド鋼板をつくれば、問題解決
につながるという着想を得た。また、そのようなクラッ
ド鋼板は、本発明者等による加工前のスラブ設計技術や
組み立て技術の開発により熱間圧延で製造できるように
なった。即ち、クラッド鋼板の形状を、溶接が予定され
ている部分を、幅wにわたって合せ材が存在せず、母材
で置き替わっている構造とする。こうして、溶接熱によ
る悪影響を避けるために、溶接熱影響領域を十分に外れ
る位置まで合せ材を形成させないようにした。即ち、溶
接熱影響が及ばない十分な幅wの合せ材のない領域を設
けることにした。本発明者等は、実験的に、溶接時にお
けるクラッド板厚の変化とそれに対する開先形状の変動
を考慮し、即ち、3mm厚から100mm厚程度の板厚
対応で、V型、U型、K型等の種々の開先形状を想定し
た場合に、幅wとして必要な最低値は4mmであること
も確認した。
【0014】図7は、そのようなチタンクラッド鋼板の
端面を開先加工し、突合せ溶接をする状況を説明する模
式的縦断面図である。同図において、チタンクラッド鋼
板30の端面部表面の所定幅(w)の領域には、合せ材
のチタンはなく、母材の鋼部分2bが占めており、その
母材の鋼部分2bの表面高さは、合せ材2のチタン表面
の高さと同じになっている(図7(a))。上記構造の
チタンクラッド鋼板の母材1同士を溶接する(図7
(b))。次いで溶接部32をチタン製カバー板34で
覆い、これを合せ材2に溶接する(図7(c))。
【0015】上記方法によれば、施工は(1)母材開先
加工、(2)母材溶接、(3)カバー板溶接の3工程方
式に簡略化される。この場合、溶接部近傍にはチタン合
せ材が存在しないので、溶接熱影響によるチタン合せ材
と鋼母材との接合界面におけるTiC等の析出もなく、
接合劣化要因は発生しない。
【0016】図1及び図2に、上述したように溶接施工
性が改善され、且つ溶接部近傍における合せ材と母材と
の接合界面劣化を伴わないような、チタンクラッド鋼板
を、合せ材と母材との構造関係により分類して示した。
図1は、この発明によるクラッド鋼板の各種形態を説明
する模式的斜視図であり、図2は、図1の各種クラッド
鋼板のAA線矢視断面図であり、その形態を(a)〜
(f)に分けた。
【0017】本発明者等は、図1及び図2に示したよう
なチタンクラッド鋼板を熱間圧延により製造する方法を
開発すべく鋭意研究を重ねた。そして、スラブ母材と板
状合せ材との形状・寸法関係を適切に選定し、且つ、合
せ材を挿入すべき適切な形状・寸法の凹字状空間部をス
ラブ母材の表層部に切削加工等の手段により形成し、そ
の凹字状空間部に合せ材を挿入した組合せ体を調製する
ことにより、熱間圧延により上記の希望するチタンクラ
ッド鋼板を製造することができるとの知見を得た。
【0018】上記知見は、合せ材がチタンの場合に限ら
ず、チタンに類似して酸素との親和力が強い金属材料の
場合、溶接熱影響により鉄との間に金属間化合物その他
の脆い合金相を生成し易い金属材料の場合、並びに、母
材中の元素、例えば窒素、炭素、硫黄、水素及びその他
の元素との間に脆化相を生成し易い金属材料の場合等に
広く適用され得るものである。
【0019】この発明は、上記知見に基づきなされたも
のであって、その要旨は次の通りである。請求項1記載
の施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法は、母材であ
る鋼片スラブと異なる金属材料からなる合せ材を、前記
鋼片スラブからなる母材の表面に重ね合わせ、こうして
得られた前記合せ材と前記母材とからなる素片を熱間圧
延し、前記合せ材が前記母材表面に接合されると共に、
前記素片が板状に加工されたクラッド鋼板の製造方法に
おいて、前記スラブ母材表面の四周辺部の内、少なくと
も一周辺部に所定幅の帯状領域を設定し、少なくとも当
該帯状領域を除く前記スラブ母材の表層部を所定深さだ
け掘り下げる加工を施し、底面が平面状の平板状空間部
を前記スラブ母材に少なくとも一つ形成させ、こうして
前記スラブ母材に形成された前記平板状空間部に前記合
せ材としての金属板を挿入して、前記平板状空間部を前
記金属板で埋め、前記スラブ母材と前記金属板とからな
る組合せ体(素材A)を調製し、前記金属板表面が重合
せ面側にくるように複数枚の前記組合せ体(素材A)を
重ね合わせ、こうして得られた重合せ体(素材C)の四
周側面上に前記組合せ体(素材A)同士の面接触で形成
されたシーム部を溶接接合すると共に、前記組合せ体
(素材A)同士の接触面内部を真空引きした後、真空引
き用開口部を封じ、こうして熱間圧延用素片を調製し、
前記熱間圧延用素片を加熱し、次いで熱間圧延すること
に特徴を有するものである。
【0020】請求項2記載の施工性に優れたクラッド鋼
板の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記重
合せ体(素材C)に相当するものとして、前記組合せ体
(素材A)と、所定の鋼片スラブとを、当該組合せ体
(素材A)の前記金属板が合せ面側にくるように重ね合
わせ、こうして得られた重合せ体(素材C’)を使用す
ることに特徴を有するものである。
【0021】請求項3記載の施工性に優れたクラッド鋼
板の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の発明に
おいて、前記鋼片スラブ母材として形状が直方体のもの
を使用し、そして前記鋼片スラブ母材に形成された前記
平板状空間部の形態は、深さが所定の一定値であり、平
面図形状が長方形又は正方形であってその四辺の各々は
前記鋼片スラブ母材の四周側面に平行であり、当該長方
形又は正方形の空間部は1つ形成されており、そして、
前記合せ材として長方形又は正方形の金属板を用い、且
つ、前記鋼片スラブ母材の寸法と前記合せ材の寸法との
間に下記(1)〜(3)式の内、いずれかの関係を満た
すものを使用することに特徴を有するものである。
【0022】 Ws >Wsc ----------------------------------(1) Ls >Lsc ----------------------------------(2) Ws >Wsc、且つ、Ls >Lsc ----------------(3) 但し、Ws :鋼片スラブ母材の幅 Wsc:合せ材の幅 Ls :鋼片スラブ母材の長さ Lsc:合せ材の長さ。
【0023】請求項4記載の施工性に優れたクラッド鋼
板の製造方法は、請求項3において前記鋼片スラブ母材
には前記平面図形状が長方形又は正方形の前記平板状空
間部が2つ以上形成されており、当該平板状空間部が前
記鋼片スラブ母材の幅方向又は長さ方向に2つ以上形成
されているときは、当該方向に並んで形成された当該平
板状空間部同士の間には空間部を伴わない所定幅の帯状
領域を設定し、前記合せ材として当該平板状空間部の数
と同数の長方形又は正方形の金属板で当該平板状空間部
を埋め、そして、前記鋼片スラブ母材の寸法と前記合せ
材の寸法との間で満たされるべき関係は、下記(4)〜
(6)式の内、いずれかであることを特徴とする、施工
性に優れたクラッド鋼板の製造方法。
【0024】 Ws >ΣWsc --------------------------------(4) Ls >ΣLsc --------------------------------(5) Ws >ΣWsc、且つ、Ls >ΣLsc ------------(6) 但し、Ws :鋼片スラブ母材の幅 ΣWsc:鋼片スラブ母材の幅方向に並べられた合せ材の
幅の和 Ls :鋼片スラブ母材の長さ ΣLsc:鋼片スラブ母材の長さ方向に並べられた合せ材
の長さの和。
【0025】請求項5記載の施工性に優れたクラッド鋼
板の製造方法は、請求項1から請求項4記載の発明のい
ずれかにおいて、前記合せ材の厚さTscと、当該合せ材
を挿入すべき前記スラブ母材の表層部に掘り下げ加工を
施して形成された底面が平面状の空間部の深さdとの間
に、下記(7)式の関係が満たされるようにすることに
特徴を有するものである。 dS −15≦Tsc≦dS +15 (mm)--------------------(7) 但し、Tscは、合せ材と母材との圧着健全化のための中
間材を両者間に挿入する場合には、当該中間材の厚さを
含むものとする。
【0026】請求項6記載の施工性に優れたクラッド鋼
板の製造方法は、請求項1から請求項5までに記載の内
のいずれかにおいて、前記合せ材を構成する金属板は、
チタン又はチタン合金であることに特徴を有するもので
ある。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。この発明の方法で製造するクラッド鋼
板を形状及び合せ材のクラッド形態により分類すると、
図1及び図2に示した通りであり、代表的なものとして
タイプaからタイプfまでとなる。代表的なものとし
て、はじめにタイプaのクラッド鋼板の製造方法を説明
する。
【0028】(1)タイプaのクラッド鋼板を製造する
場合 図3及び図4は、この発明の一つの実施形態を説明する
概略縦断面図である。図3は、クラッド鋼板を製造する
ための素材の構成と、組み立て中(図3の(a)、
(b))、及び組み立て後の素材(図3の(c))の幅
方向の縦断面図を示し、図4は、組み立て中の素材であ
る図3(b)の幅方向の縦断面図、及び平面図を示す。
この発明においては、組み立て後の素材の合せ面のシー
ム部(図3(c)の符号7)を溶接等で接合し、合せ面
内の空気を真空引きし密閉して、熱間圧延用素片を調製
する。これを熱間圧延して、クラッド鋼板を製造する方
法である。以下、この熱間圧延用素片を調製する工程を
説明する。
【0029】所定の表面性状に調製された鋼片スラブを
母材10とし(以下、「鋼片スラブ母材」という)、鋼
片スラブ母材10の片側表面に、深さの浅い凹字状空間
部50を形成し、この凹字状空間部50の内部に合せ材
20を水平に挿入する。凹字状空間部50の形成手段
は、機械切削その他通常の加工方法で行なう。凹字状空
間部50の形成領域は、鋼片スラブ母材10の両側部4
a、4b及び両端部5a,5bの四周辺部の所定幅領域
6に対しては加工を施さず、この四周辺部領域6を除く
それよりも内側の領域全体を対象とする。
【0030】合せ材20の金属の種類及び材質特性を、
クラッド鋼板の使用目的により決める。例えば、耐食性
に優れたものとしてチタンやチタン合金、導電性にすぐ
れたものとして銅や銅合金その他、所要の特性値が母材
の鋼材よりも相当に優れた金属薄板を適用する。所望の
特性を備えた金属薄板は、長方形、台形等、製造目標の
クラッド鋼板の形状に準じたものとする。一方、上記凹
字状空間部50の形状・寸法は、合せ材20が挿入さ
れ、これにより凹字状空間部50が埋められたときに安
定するよう、平面底形状とする。
【0031】図3及び図4に示した鋼片スラブ母材10
の厚さTs 及び合せ材20の厚さTscは、製品クラッド
鋼板の寸法諸元や種類、用途等に応じて適切に決める。
そして、凹字状空間部50の深さをdS とした場合、合
せ材20の厚さTscは、下記(7)式: dS −15≦Tsc≦dS +15 (mm)--------------------(7) 但し、Tsc:合せ材と母材との圧着健全化のための中間
材を両者間に挿入する場合には、当該中間材の厚さを含
む、 を満たす範囲内にあることが望ましい。凹字状空間部5
0の深さと合せ材20の厚さとの関係をこのようにする
ことにより、重合せ体(図3の(c))の全厚T 0 と、
後工程の熱間圧延における熱間圧延素片の全圧下比Rと
の所定の関係に依存して、所望の形態のクラッド鋼板
(図1に示したタイプ(a)〜(f))を製造すること
が容易となるからである。
【0032】上述した通り、合せ材20は常に鋼片スラ
ブ母材10の片側表面に形成された凹字状空間部50の
内部に挿入され、四周が鋼片スラブ母材10に取り囲ま
れ、且つ四周の鋼片スラブ母材10の厚さは元の厚さT
s のままであり、上面は大気に露出している。従って、
合せ材20の幅Wscは常に、鋼片スラブ母材10の幅W
s よりも小さくする。同様に、合せ材20の長さLscは
常に、鋼片スラブ母材10の長さLs よりも小さくす
る。
【0033】但し、素材の上記寸法関係は、熱間圧延さ
れたクラッド鋼板の用途や製品仕様に応じて、下記
(1)、(2)又は(3)のいずれかを満たすようにす
る。 Ws >Wsc ----------------------------------(1) Ls >Lsc ----------------------------------(2) Ws >Wsc、且つ、Ls >Lsc ----------------(3) 但し、Ws :鋼片スラブ母材の幅 Wsc:合せ材の幅 Ls :鋼片スラブ母材の長さ Lsc:合せ材の長さ また、上記(7)式の中間材の使用目的は、合せ材20
の金属の種類と鋼片スラブ母材10との組み合わせによ
っては、熱間圧延時に両者間の圧着を阻害する要因が発
生することがあり、これを防止することにある。例え
ば、純チタン板(合せ材20)と鋼片スラブ(母材1
0)との組み合わせの場合には、Fe−Ti金属間化合
物が生成する。この場合、例えば純鉄箔あるいはニッケ
ル箔等の所謂中間材を両者の間に挟んで上記阻害要因を
除去する。
【0034】また、上下2枚に重なった状態で熱間圧延
が終了したクラッド鋼板の、剥離・分離を容易にし、滑
らかな剥離面を得るために、図3の素材Aと素材Bとの
重合せ面間に、通常のクラッド鋼板製造において使用さ
れている所定の剥離材を、図5に示した剥離材塗布範囲
に塗布する。そして、素材Aと素材Bとを図3(c)の
ように重ね合わせてできた重合せ体(素材C)の両側部
及び両端部の厚さ中心部のシーム部7を溶接し、重ね合
わせられた界面の空間内空気を真空引き装置で減圧し真
空引きした後に、引き口を封じて組み立てを完了する。
こうして、重合せ体(素材C)を熱間圧延素片に調製す
る。合せ材20がチタンやその合金の場合のように、素
材の加熱工程や熱間圧延中に著しい酸化を受ける金属な
いし合金の場合には、大気中酸素との接触を絶つため
に、上記真空引き処理は必須である。
【0035】上述した通りの手順で調製された、クラッ
ド鋼板の熱間圧延用素片を加熱し、所定の熱間圧延を行
ない、所望のクラッド鋼板を製造する。加熱温度、パス
スケジュール、圧延温度等は、合せ材の材質に応じて適
切な条件を選定する。熱間圧延終了後のクラッド鋼板
は、両側部(耳)及び両端部(クロップ)を所定量切断
して、クラッド鋼板の製品とする。
【0036】上述したタイプaのクラッド鋼板の製造方
法を基準として、タイプb、c、d、e及びfを製造す
る。 (2)タイプb〜fのクラッド鋼板を製造する場合 タイプbのクラッド鋼板製造については、母材及び
合せ材の形状を共に台形にしてタイプaの方法に準じて
素材Aを組み立て、次いで素材Cを調製する。その他の
点についてはタイプaの製造方法に準じて行なう。
【0037】 タイプcの所謂凸字状クラッド鋼板製
造については次のようにする。先ず、タイプaの場合と
同じように、鋼片スラブの母材の片側表面に、深さの浅
い凹字状空間部を形成し、この凹字状空間部の内部に合
せ材を水平に挿入する。合せ材の幅及び長さよりもそれ
ぞれ大きな幅及び長さの開口部をもつ枠状スペーサを使
用する。このスペーサを、凹字状空間部の四周辺部の非
切削帯状部分に乗せる。そして、スペーサの外周下端部
を母材の上記片側表面の非切削面に溶接する。スペーサ
の上面高さが合せ材の上面高さより高くする。こうし
て、前記組合せ体(素材A)に準じた組合せ体(素材
A’とよぶ)をつくり、2枚の素材A’を合せ材が内側
にくるように重ね合わせて、重合せ体(素材C)に準じ
た重合せ体(素材C’とよぶ)を調製する。その他の点
についてはタイプaの製造方法と同様にして行なう。
【0038】 タイプd及びタイプeのクラッド鋼板
製造については、母材に形成する非切削帯の設定箇所を
クラッド鋼板の製品諸元に応じて決める。タイプdでは
スラブ母材の両端面部にのみ非切削帯を設け、タイプe
ではスラブ母材の一方の端面部及び一方の側面部のみに
非切削帯を設ける。その他の点については、タイプaの
製造方法に準じて行なう。
【0039】 タイプfのクラッド鋼板製造について
は、母材に形成する非切削帯をクラッド鋼板製品の仕様
諸元に応じて設定する。この場合も、スラブ母材に対し
て合せ材を挿入する。但し、クラッド鋼板製品(1次製
品)を適宜切断して複数の、例えば、4枚のクラッド鋼
板製品(2次製品)を製造することを予定している。従
って、1次製品の仕様諸元に応じたスラブ母材の凹字状
空間部の形成、及び合せ材の寸法・形状の設定をする。
この際重要な点は、熱間圧延されたクラッド鋼板の製品
寸法を上記仕様の通りするために、素材及び素片の寸法
を、スラブ母材の幅Ws は少なくとも、合せ材の幅の和
ΣWscよりも大きいこと、且つ、スラブ母材の長さLs
は少なくとも、合せ材の長さの和ΣLscよりも大きいこ
とが必要である。そして、図1(f)のように1次製品
の大板1枚から4枚の小板2次製品を切断製造する場合
には、少なくとも、上記素材の寸法関係が、下記
(4)、(5)又は(6)のいずれかを満たすようにす
る必要がある。
【0040】 Ws >ΣWsc --------------------------------(4) Ls >ΣLsc --------------------------------(5) Ws >ΣWsc、且つ、Ls >ΣLsc ------------(6) 一層望ましくは、Ws −ΣWsc≧4mm、且つ、Ls −
ΣLsc≧4mmの関係を満たすことが望ましく、スラブ
母材の非切削帯の各部位の幅の決定は、熱間圧延のパス
スケジュール等を考慮して行なう。こうすることによ
り、クラッド鋼板の2次製品において、板の端部や側部
に合せ材のない部分の幅wを4mm以上確保することが
できる。
【0041】以上、タイプa〜fのクラッド鋼板製造方
法について述べた。但し、熱間圧延素片の組み立て方と
して、2枚の組合せ体(素材A)同士を、合せ材の金属
板表面が重合せ面側にくるように重ね合わせた場合につ
いて説明した。しかし、これに限定されず、1枚の組合
せ体(素材A)と1枚の表面性状を整えたた鋼片スラブ
とを、合せ材が重合せ面側にくるように重ね合わせた場
合でも、上述した製造方法に準じて、所望のクラッド鋼
板を製造することができる。また、上記説明では、熱間
圧延素片が2枚の組合せ体、又は一方が鋼片スラブで構
成される場合を例示したが、熱間圧延素片の構成枚数
は、組合せ体や鋼片スラブ合計3枚以上であっても同様
に所望の効果が発揮される。なお、前者の重合せ体(素
材C)をサンドイッチ型とよび、後者の重合せ体(素材
C)を犠牲材型とよぶ。
【0042】なお、図1に示したクラッド鋼板のタイプ
a、b、d〜eの製造方法としては、四周辺部の幅wの
合せ材を機械的又は化学的に除去する方法も考えられる
が、そのような方法では手間や工程が増えるので、望ま
しくない。
【0043】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。本発明の範囲内の条件によるクラッド鋼板
の製造試験(実施例)、及び本発明の範囲外の条件によ
るクラッド鋼板の製造試験(比較例)を行なった。
【0044】素材準備を次の通り行なった。合せ材の幅
Wsc及び長さLscは、熱間圧延後の製品寸法との間に、
下記式: Wsc=Wpc/Rw (mm) Lsc=Lpc/Rl (mm) 但し、Wpc:クラッド鋼板製品での合せ材の幅 Lpc:クラッド鋼板製品での合せ材の長さ Rw :熱間圧延での幅方向圧下比 Rl :熱間圧延での長さ方向圧下比 の関係を満たすようにした。そして、スラブ母材の幅W
s 及び長さLs は、 ・タイプaのクラッド鋼板を製造する場合: Ws =(Wpc+2wC +300)/Rw (mm) Ls =(Lpc+2wL +300)/Rl (mm) 但し、Wpc:クラッド鋼板製品での合せ材の幅 Lpc:クラッド鋼板製品での合せ材の長さ wC :幅方向のw値 wL :長さ方向のw値 ・タイプfのクラッド鋼板を製造する場合で、幅方向の
1列でkC 枚の小板、長さ方向の1列でkL 枚の小板を
採取する場合: Ws =(ΣWpc+2kC w+300)/Rw (mm) Ls =(ΣLpc+2kL w+300)/Rl (mm) 但し、ΣWpc:クラッド鋼板製品の幅方向に並んだ小板
1列の合わせ材の幅の合計 ΣLpc:クラッド鋼板製品で長さ方向に並んだ小板1列
の合わせ材の長さの合計 とした。
【0045】表1に示した実施例1〜8及び比較例9〜
12のそれぞれについて、組合せ体(素材A)2枚を合
せ材が内側にくるように重ね合わせるか、又は組合せ体
(素材A)1枚と表面性状を整えた鋼片スラブ母材1枚
とを合わせて重合せ体(素材C)を作り、その四周シー
ム部を溶接接合し、重合せ面内の空気を真空引きして封
じた。こうして熱間圧延用素片を調製した。これを所定
の温度に加熱し、熱間圧延してクラッド鋼板を製造し
た。
【0046】なお、上記実施例及び比較例においてはい
ずれも、上記重合せ体(素材C)を作るときに、組合せ
体AとBとの合せ面に剥離材を塗布した。図5(a)及
び(b)に示すように、剥離材を製品相当部分に限定し
て塗布した。そして、図6(a)及び(b)に示すよう
に仕上げ切断線4で切断し、上下2枚に剥離分割し、目
的のクラッド鋼板を製造した。なお、図5、図6の
(a)と(b)はそれぞれサンドイッチ型及び犠牲材型
の組合せ体を使用した場合である。
【0047】表1に、クラッド鋼板の主な製造条件を示
す。クラッド鋼板の製造目標タイプ(a〜f)の別、組
合せ体(素材B)の構成・寸法を示す。合せ材はすべて
工業用純チタン板を使用した。なお、実施例8(タイプ
c)では、所謂凸字状クラッド鋼板を製造するため、合
せ材の幅×長さよりも大きな寸法の開口部をもつ枠状ス
ペーサを使用して四周溶接し、熱間圧延後スペーサ相当
部分を切断除去した。目標としたクラッド鋼板のタイプ
(形状)、並びに、製造されたクラッド鋼板の製品寸法
及びその四周辺部の合せ材がクラッドされていない部分
の幅(「w値」という)を示す。
【0048】上記試験で得られた熱間圧延ままのチタン
クラッド鋼板は、寸法・形状、合せ材と母材との厚さ構
成、及び合せ材のない部分の幅(w値)のすべてにつ
き、各目標値を満足していた。こうして得られた、実施
例及び比較例のチタンクラッド鋼板から試験材を採取
し、溶接施工試験を行なった。
【0049】表2に、各試験材の主な溶接条件を示す。
溶接試験後の溶接部近傍について、合せ材と母材とのク
ラッド接合界面の状態の確性試験を行なった。その結果
を表2に併記した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】溶接はすべて、合せ材なしの辺について突
合せ溶接を行なった。実施例についての溶接試験条件及
び溶接部近傍のクラッド接合試験結果は、次の通りであ
る。開先加工形状は、実施例1〜3、及び7〜8につい
てはX形、実施例4についてはU形、実施例5について
はK形、そして実施例6については端面まま(I形)と
した。従って、クラッド接合界面に対する溶接熱影響
は、実施例6の場合が最も厳しくなると予想されたけれ
ども、本発明で製造されるクラッド鋼板のw値の下限値
である4mmに設定した。その他の実施例ではすべて8
mm以上とした。
【0053】溶接には、母材共金系の溶接材料を使用
し、溶接方法はサブマージアーク溶接法(SAW法)で
行なった。そして、実施例4及び6については、ナロー
ギャップSAW法(N.G.SAW)を適用した。入熱
は、通常型SAW法では17〜24kJ/cmの一般的
な入熱量とし、ナローギャップSAW法では14〜15
kJ/cmとした。
【0054】溶接部近傍のクラッド接合部剪断試験は、
合せ材の溶接部最近接端から試験片を、長手方向が溶接
線と平行になるように切り出し、日本工業規格JIS
G0601に定める剪断試験方法によって剪断強度の測
定を行なった。その結果、本発明の範囲内の条件の実施
例1〜8で製造されたクラッド鋼板についてはいずれ
も、上記規格の規格値である140MPa以上を満足す
る良好なクラッド接合性が確保されていることが確認さ
れた。
【0055】これに対して、比較例9及び10は、w値
が3mmと本発明の範囲外に小さい場合であり、良好な
剪断強度が得られなかった。この部分の金属組織観察の
結果、溶接近傍部の合せ材と母材との接合界面にTiC
等の脆化相が生成しており、溶接熱影響を大きく受けた
ためにクラッド接合性が劣化したものと判断される。比
較例11は、従来のクラッド鋼板製造方法で製造したク
ラッド鋼板(タイプg)について、図8に示した5工程
方式で溶接試験した場合である。ここでは、合せ材のカ
ットバック工程を行なっているので、正常な剪断強度を
得ることができたが、施工性に問題がある。比較例12
は、従来のクラッド鋼板製造方法で製造したタイプgの
クラッド鋼板の製品端部を、合せ材のカットバックをせ
ずにそのまま溶接した場合である。この場合も比較例9
及び10と同様にクラッド接合界面の劣化が見られ、剪
断強度が低下した。
【0056】以上の結果より、この発明の目的とする溶
接時の施工性に優れ、且つ溶接部において高水準のクラ
ッド接合性を維持するクラッド鋼板を製造するために
は、クラッド鋼板で合せ材のない部分の位置及び寸法・
形状の関係をこの発明の条件の通りであることが必要で
あり、その条件を満たせば所望のクラッド鋼板を熱間圧
延により製造することができることがわかった。
【0057】以上の結果より、この発明で目的である溶
接時の施工性に優れ、且つ高水準の接合性を維持するク
ラッド鋼板を製造するためには、この発明の特徴である
スラブ母材と合せ材の構成及び寸法・形状関係を適切に
設定し、熱間圧延によりクラッド鋼板の製品におけるw
値が適切な値となるような形状に圧延することが必要で
あることがわかった。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
クラッド鋼板溶接時の合せ材のカットバック及び挿入板
溶接等の工程を省略することができる。このように施工
性に優れたクラッド鋼板を製造する方法を提供すること
ができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法で製造されるクラッド鋼板の各
種形態を説明する概略斜視図である。
【図2】図1のAA線断面図である。
【図3】この発明のクラッド鋼板製造方法の一実施形態
を説明する概略縦断面図である。
【図4】図3の(b)(素材の幅方向縦断面図)とその
概略平面図である。
【図5】この発明における組合せ体の重合せ面への剥離
材塗布範囲を示す幅方向縦断面図である。
【図6】この発明における熱間圧延素片から熱間圧延後
のクラッド鋼板に至る幅方向形状変化を示す模式的縦断
面図である。
【図7】この発明により製造されたクラッド鋼板を用い
た場合に可能となる、クラッド鋼板の溶接施工工程を説
明する概略縦断面図である。
【図8】従来法により製造されたクラッド鋼板を用いた
場合の、クラッド鋼板の溶接施工工程を説明する概略縦
断面図である。
【図9】従来法により製造されたクラッド鋼板の形態を
説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
1 母材 2、2a 合せ材 3 内部所定幅 4a、4b 母材両側部 5a、5b 母材両端部 6 四周辺部所定幅 7 シーム部 8 犠牲材 10 鋼片スラブ母材 20 合せ材 30 チタンクラッド鋼板 31 開先加工部 32 溶接部 33 挿入チタン 34 カバーチタン板 35 カバー板溶接金属 36 開先部溶接金属 37 挿入板溶接金属 50 凹字状空間部 A 組合せ体(素材A) B 組合せ体(素材B) C 重合せ体(素材C) D 鋼片スラブ(素材D) E 熱間圧延用素片
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B23K 103:16 (72)発明者 作井 新 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材である鋼片スラブと異なる金属材料
    からなる合せ材を、前記鋼片スラブからなる母材の表面
    に重ね合わせ、こうして得られた前記合せ材と前記母材
    とからなる素片を熱間圧延し、前記合せ材が前記母材表
    面に接合されると共に、前記素片が板状に加工されたク
    ラッド鋼板の製造方法において、 前記スラブ母材表面の四周辺部の内、少なくとも一周辺
    部に所定幅の帯状領域を設定し、少なくとも当該帯状領
    域を除く前記スラブ母材の表層部を所定深さだけ掘り下
    げる加工を施し、底面が平面状の平板状空間部を前記ス
    ラブ母材に少なくとも一つ形成させ、こうして前記スラ
    ブ母材に形成された前記平板状空間部に前記合せ材とし
    ての金属板を挿入して、前記平板状空間部を前記金属板
    で埋め、前記スラブ母材と前記金属板とからなる組合せ
    体(素材A)を調製し、前記金属板表面が重合せ面側に
    くるように複数枚の前記組合せ体(素材A)を重ね合わ
    せ、こうして得られた重合せ体(素材C)の四周側面上
    に前記組合せ体(素材A)同士の面接触で形成されたシ
    ーム部を溶接接合すると共に、前記組合せ体(素材A)
    同士の接触面内部を真空引きした後、真空引き用開口部
    を封じ、こうして熱間圧延用素片を調製し、前記熱間圧
    延用素片を加熱し、次いで熱間圧延することを特徴とす
    る、施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、前記重合
    せ体(素材C)に相当するものとして、前記組合せ体
    (素材A)と、所定の鋼片スラブとを、当該組合せ体
    (素材A)の前記金属板が合せ面側にくるように重ね合
    わせ、こうして得られた重合せ体(素材C’)を使用す
    ることを特徴とする、施工性に優れたクラッド鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記鋼片スラブ母材として形状が直方体
    のものを使用し、そして前記鋼片スラブ母材に形成され
    た前記平板状空間部の形態は、深さが所定の一定値であ
    り、平面図形状が長方形又は正方形であってその四辺の
    各々は前記鋼片スラブ母材の四周側面に平行であり、当
    該長方形又は正方形の空間部は1つ形成されており、そ
    して、前記合せ材として長方形又は正方形の金属板を用
    い、且つ、前記鋼片スラブ母材の寸法と前記合せ材の寸
    法との間に下記(1)〜(3)式の内、いずれかの関係
    を満たすものを使用することを特徴とする、請求項1又
    は請求項2に記載の施工性に優れたクラッド鋼板の製造
    方法。 Ws >Wsc ----------------------------------(1) Ls >Lsc ----------------------------------(2) Ws >Wsc、且つ、Ls >Lsc ----------------(3) 但し、Ws :鋼片スラブ母材の幅 Wsc:合せ材の幅 Ls :鋼片スラブ母材の長さ Lsc:合せ材の長さ
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記鋼片スラブ母材
    には前記平面図形状が長方形又は正方形の前記平板状空
    間部が2つ以上形成されており、当該平板状空間部が前
    記鋼片スラブ母材の幅方向又は長さ方向に2つ以上形成
    されているときは、当該方向に並んで形成された当該平
    板状空間部同士の間には空間部を伴わない所定幅の帯状
    領域を設定し、前記合せ材として当該平板状空間部の数
    と同数の長方形又は正方形の金属板で当該平板状空間部
    を埋め、そして、前記鋼片スラブ母材の寸法と前記合せ
    材の寸法との間で満たされるべき関係は、下記(4)〜
    (6)式の内、いずれかであることを特徴とする、施工
    性に優れたクラッド鋼板の製造方法。 Ws >ΣWsc --------------------------------(4) Ls >ΣLsc --------------------------------(5) Ws >ΣWsc、且つ、Ls >ΣLsc ------------(6) 但し、Ws :鋼片スラブ母材の幅 ΣWsc:鋼片スラブ母材の幅方向に並べられた合せ材の
    幅の和 Ls :鋼片スラブ母材の長さ ΣLsc:鋼片スラブ母材の長さ方向に並べられた合せ材
    の長さの和
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4記載の発明のいず
    れかにおいて、前記合せ材の厚さTscと、当該合せ材を
    挿入すべき前記スラブ母材の表層部に掘り下げ加工を施
    して形成された底面が平面状の空間部の深さdとの間
    に、下記(7)式の関係が満たされるようにすることを
    特徴とする、施工性に優れたクラッド鋼板の製造方法。 dS −15≦Tsc≦dS +15 (mm)--------------------(7) 但し、Tscは、合せ材と母材との圧着健全化のための中
    間材を両者間に挿入する場合には、当該中間材の厚さを
    含むものとする。
  6. 【請求項6】 前記合せ材を構成する金属板は、チタン
    又はチタン合金であることを特徴とする、請求項1から
    請求項5までに記載の内、いずれかの施工性に優れたク
    ラッド鋼板の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI688440B (zh) * 2019-05-06 2020-03-21 中國鋼鐵股份有限公司 極薄鈦板片及其製作方法

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