JPH11318483A - 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造法 - Google Patents
光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造法Info
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- JPH11318483A JPH11318483A JP13327298A JP13327298A JPH11318483A JP H11318483 A JPH11318483 A JP H11318483A JP 13327298 A JP13327298 A JP 13327298A JP 13327298 A JP13327298 A JP 13327298A JP H11318483 A JPH11318483 A JP H11318483A
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- ester
- fluorovinyl
- cyclopropane
- chloro
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ピレスロイドエステルの酸成分として有用な
(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/
Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロ
パン−1−カルボン酸の工業的に有利な製造法を提供す
ること。 【解決手段】一般式 化1 【化1】 [式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]で示され
る2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
エステルに、該エステルに作用し、(1R)−トランス
−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
(I)とそのジアステレオマーのエステルとに不斉水解
する能力を有するエステラーゼを作用させ、(I)とそ
のジアステレオマーのエステルとに分割し、(I)を分
離、回収する(I)の製造法。
(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/
Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロ
パン−1−カルボン酸の工業的に有利な製造法を提供す
ること。 【解決手段】一般式 化1 【化1】 [式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]で示され
る2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
エステルに、該エステルに作用し、(1R)−トランス
−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
(I)とそのジアステレオマーのエステルとに不斉水解
する能力を有するエステラーゼを作用させ、(I)とそ
のジアステレオマーのエステルとに分割し、(I)を分
離、回収する(I)の製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(1R)−トランス
−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
の製造法に関する。
−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】式
化2
化2
【化2】 で表される2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸は、優れた殺虫効力を有するいわゆる合成ピレ
スロイドと総称されるエステルの酸成分を構成する。こ
れらのシクロプロパンカルボン酸にはそのC1位および
C3位に不斉炭素が存在し、4種の異性体が存在する。こ
のような各異性体が酸成分を構成するピレスロイドの殺
虫効力は対象害虫、製剤形の種類等によって異なること
から、目的とする上記のシクロプロパンカルボン酸の特
定の異性体を工業的に有利に製造する方法の開発が切望
されている。
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸は、優れた殺虫効力を有するいわゆる合成ピレ
スロイドと総称されるエステルの酸成分を構成する。こ
れらのシクロプロパンカルボン酸にはそのC1位および
C3位に不斉炭素が存在し、4種の異性体が存在する。こ
のような各異性体が酸成分を構成するピレスロイドの殺
虫効力は対象害虫、製剤形の種類等によって異なること
から、目的とする上記のシクロプロパンカルボン酸の特
定の異性体を工業的に有利に製造する方法の開発が切望
されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況の下、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−
3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)
シクロプロパン−1−カルボン酸の工業的に有利な製造
法について鋭意検討を重ねた結果、アルスロバクタ−
(Arthrobacter)属に属する微生物由来の
エステラ−ゼが、一般式 化3
な状況の下、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−
3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)
シクロプロパン−1−カルボン酸の工業的に有利な製造
法について鋭意検討を重ねた結果、アルスロバクタ−
(Arthrobacter)属に属する微生物由来の
エステラ−ゼが、一般式 化3
【化3】 [式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]で示され
る2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
エステルに作用してこれを不斉加水分解しうることを見
出し、本発明に至った。即ち本発明は、上記一般式 化
3で示される2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸エステルに、該エステルに作用し、(1R)
−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに不斉
水解する能力を有するエステラーゼを作用させ、(1
R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−
(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−
1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに
分割し、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−
(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シク
ロプロパン−1−カルボン酸を分離、回収する(1R)
−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸の製造法を提供するものである。
る2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
エステルに作用してこれを不斉加水分解しうることを見
出し、本発明に至った。即ち本発明は、上記一般式 化
3で示される2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸エステルに、該エステルに作用し、(1R)
−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに不斉
水解する能力を有するエステラーゼを作用させ、(1
R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−
(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−
1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに
分割し、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−
(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シク
ロプロパン−1−カルボン酸を分離、回収する(1R)
−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸の製造法を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明の原料として用いられる前
記一般式 化3で示される2,2−ジメチル−3−(E
/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプ
ロパン−1−カルボン酸エステルは、例えば、Chem
ical Listy 52,688(1958)に記載
の方法に準じて製造することができ、メチルエステル、
エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等
が使用できるが、メチルエステル、エチルエステルが好
適である。
記一般式 化3で示される2,2−ジメチル−3−(E
/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプ
ロパン−1−カルボン酸エステルは、例えば、Chem
ical Listy 52,688(1958)に記載
の方法に準じて製造することができ、メチルエステル、
エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等
が使用できるが、メチルエステル、エチルエステルが好
適である。
【0005】本発明に用いることができるエステラーゼ
は、上記の2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸エステルに作用し、(1R)−トランス−2,
2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フ
ルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸とその
ジアステレオマーのエステルとに不斉水解する能力を有
するエステラーゼであり、例えば、アルスロバクター属
に属し前記の不斉水解能を有する微生物由来のエステラ
ーゼをあげることができる。かかるエステラーゼは、例
えば、アルスロバクタ−(Arthrobacter)
SC−6−98−28株(FERM BP−3658;
特開平4−234991号公報に記載のFERM P−
11851号より国際寄託へ移管)等から得ることがで
き、より好ましくは、上記エステラ−ゼをコードする遺
伝子が導入され該エステラーゼを産生できる遺伝子組換
え微生物、具体的には特開平5−56787号公報に記
載の遺伝子組換え微生物等から得ることができる。本発
明に用いうるエステラーゼを上記のような微生物に産生
させるには、通常、常法に従い、滅菌した液体培地に微
生物を接種し、20〜40℃で1〜8日間、好気条件下
で培養するとよい。また、培養中に培地を加える流加培
養等を行うこともできる。培地の組成については、通常
の微生物の培養に用いられるもので、上記微生物により
利用可能なものであれば特に問題なく、例えば炭素源お
よび窒素源として、グルコ−ス、グリセロ−ル、澱粉、
デキストリン、糖蜜、油脂類、大豆粉、コ−ンスティ−
プリカ−、酵母エキス、肉エキス、ポリペプトン等の動
植物蛋白等の加水分解物等を用いることができる。ま
た、有機ないし無機塩としては、カリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、コバル
ト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩類、酢酸塩類、炭酸塩類お
よびリン酸塩類、具体的には、塩化カリウム、塩化ナト
リウム、塩化コバルト、硫酸マグネシウム、硫酸第一
鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素1カ
リウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素1ナトリウ
ム、リン酸水素2ナトリウム等をあげることができ、硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム
等のアンモニウム塩、尿素等も使用することができる。
また、場合によっては、培地中に脂肪酸エステル類また
は前記の一般式 化3で示されるエステル化合物を添加
することも可能である。遺伝子組換え微生物の場合は、
微生物の対数増殖期の適当な時期にイソプロピルチオ−
β−D−ガラクトシド(IPTG)等の遺伝子発現誘導
剤を添加してもよい。
は、上記の2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸エステルに作用し、(1R)−トランス−2,
2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フ
ルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸とその
ジアステレオマーのエステルとに不斉水解する能力を有
するエステラーゼであり、例えば、アルスロバクター属
に属し前記の不斉水解能を有する微生物由来のエステラ
ーゼをあげることができる。かかるエステラーゼは、例
えば、アルスロバクタ−(Arthrobacter)
SC−6−98−28株(FERM BP−3658;
特開平4−234991号公報に記載のFERM P−
11851号より国際寄託へ移管)等から得ることがで
き、より好ましくは、上記エステラ−ゼをコードする遺
伝子が導入され該エステラーゼを産生できる遺伝子組換
え微生物、具体的には特開平5−56787号公報に記
載の遺伝子組換え微生物等から得ることができる。本発
明に用いうるエステラーゼを上記のような微生物に産生
させるには、通常、常法に従い、滅菌した液体培地に微
生物を接種し、20〜40℃で1〜8日間、好気条件下
で培養するとよい。また、培養中に培地を加える流加培
養等を行うこともできる。培地の組成については、通常
の微生物の培養に用いられるもので、上記微生物により
利用可能なものであれば特に問題なく、例えば炭素源お
よび窒素源として、グルコ−ス、グリセロ−ル、澱粉、
デキストリン、糖蜜、油脂類、大豆粉、コ−ンスティ−
プリカ−、酵母エキス、肉エキス、ポリペプトン等の動
植物蛋白等の加水分解物等を用いることができる。ま
た、有機ないし無機塩としては、カリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、コバル
ト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩類、酢酸塩類、炭酸塩類お
よびリン酸塩類、具体的には、塩化カリウム、塩化ナト
リウム、塩化コバルト、硫酸マグネシウム、硫酸第一
鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素1カ
リウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素1ナトリウ
ム、リン酸水素2ナトリウム等をあげることができ、硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム
等のアンモニウム塩、尿素等も使用することができる。
また、場合によっては、培地中に脂肪酸エステル類また
は前記の一般式 化3で示されるエステル化合物を添加
することも可能である。遺伝子組換え微生物の場合は、
微生物の対数増殖期の適当な時期にイソプロピルチオ−
β−D−ガラクトシド(IPTG)等の遺伝子発現誘導
剤を添加してもよい。
【0006】本発明の製造法において、前記一般式 化
3で示される2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸エステルの不斉加水分解反応は、該エステル
と上記のエステラーゼを混合し、攪拌または振とうする
ことにより行われる。使用しうるエステラーゼとして
は、例えば、上記微生物を培養した培養液、菌体懸濁
液、菌体破砕液、エステラ−ゼ抽出液もしくは濃縮液な
どのエステラ−ゼ含有物、またはこれらの処理物、例え
ば粗製エステラ−ゼもしくは精製エステラ−ゼを含有す
る水溶液等をあげることができ、必要に応じて、微生物
またはエステラ−ゼを固定化して用いることも可能であ
る。反応温度は、使用されるエステラーゼの反応至適温
度および熱安定性にもよるが、一般に20〜70℃が適
当であり、あまり高温ではエステラーゼの安定性が低下
しやすいことおよび低温では反応速度が遅いことから3
0〜60℃が好ましい。反応中のpHは、使用されるエ
ステラーゼの反応至適pHおよび安定性にもよるが、一
般にpH4〜11が適当であり、pH7〜10であるこ
とが望ましい。次にこのようにして不斉加水分解反応を
行った後、生成した(1R)−トランス−2,2−ジメ
チル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビ
ニル)シクロプロパン−1−カルボン酸と未反応のエス
テルとを分離回収する。この分離回収に際しては溶媒抽
出、カラムクロマトグラフィ−、分別蒸留などの操作を
適宜採用することができる。例えば、反応液をメチルイ
ソブチルケトン、酢酸エチル、エ−テルまたはトルエン
などの有機溶媒で抽出することにより、未反応のエステ
ルを分離取得する。次いで水層をろ過した後、塩酸、硫
酸などの無機酸または酢酸などの有機酸を加えてpHを
酸性とし、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エ−
テルまたはトルエンなどの有機溶媒で抽出し、油層をろ
過した後、有機溶媒を留去することにより、(1R)−
トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸を回収する。なお、未反応のエステルはラセミ
化などの処理を施した後、本発明の製造法における原料
として利用することができ、また、目的により、これを
加水分解等の処理を施した後、ピレスロイドエステルに
導くこともできる。
3で示される2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2
−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−
カルボン酸エステルの不斉加水分解反応は、該エステル
と上記のエステラーゼを混合し、攪拌または振とうする
ことにより行われる。使用しうるエステラーゼとして
は、例えば、上記微生物を培養した培養液、菌体懸濁
液、菌体破砕液、エステラ−ゼ抽出液もしくは濃縮液な
どのエステラ−ゼ含有物、またはこれらの処理物、例え
ば粗製エステラ−ゼもしくは精製エステラ−ゼを含有す
る水溶液等をあげることができ、必要に応じて、微生物
またはエステラ−ゼを固定化して用いることも可能であ
る。反応温度は、使用されるエステラーゼの反応至適温
度および熱安定性にもよるが、一般に20〜70℃が適
当であり、あまり高温ではエステラーゼの安定性が低下
しやすいことおよび低温では反応速度が遅いことから3
0〜60℃が好ましい。反応中のpHは、使用されるエ
ステラーゼの反応至適pHおよび安定性にもよるが、一
般にpH4〜11が適当であり、pH7〜10であるこ
とが望ましい。次にこのようにして不斉加水分解反応を
行った後、生成した(1R)−トランス−2,2−ジメ
チル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビ
ニル)シクロプロパン−1−カルボン酸と未反応のエス
テルとを分離回収する。この分離回収に際しては溶媒抽
出、カラムクロマトグラフィ−、分別蒸留などの操作を
適宜採用することができる。例えば、反応液をメチルイ
ソブチルケトン、酢酸エチル、エ−テルまたはトルエン
などの有機溶媒で抽出することにより、未反応のエステ
ルを分離取得する。次いで水層をろ過した後、塩酸、硫
酸などの無機酸または酢酸などの有機酸を加えてpHを
酸性とし、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エ−
テルまたはトルエンなどの有機溶媒で抽出し、油層をろ
過した後、有機溶媒を留去することにより、(1R)−
トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−
クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カ
ルボン酸を回収する。なお、未反応のエステルはラセミ
化などの処理を施した後、本発明の製造法における原料
として利用することができ、また、目的により、これを
加水分解等の処理を施した後、ピレスロイドエステルに
導くこともできる。
【0007】
【実施例】以下、実施例および参考例により、本発明を
より詳細に説明するが、本発明は、これらに限定される
ものではない。
より詳細に説明するが、本発明は、これらに限定される
ものではない。
【0008】実施例 500ml三角フラスコに液体培地(水1Lにグリセロ
−ル5g、酵母エキス6g、リン酸1カリウム9gおよ
びリン酸2カリウム4gを溶解し、pH7.0とす
る。)100mlを入れて滅菌した後、アンピシリンを
50μg/mlになるように加え、後記参考例記載のア
ルスロバクタ−SC−6−98−28株由来のエステラ
−ゼ遺伝子導入大腸菌株を斜面培養から1白金耳接種
し、30℃で24時間回転振とう培養した。次に3L容
の小型培養槽(丸菱バイオエンジ社製、MDL型)に滅
菌した液体培地(水1Lにグリセロ−ル15g、酵母エ
キス25g、リン酸1カリウム0.4g、硫酸マグネシ
ウム2gおよび硫酸第一鉄0.1gを溶解し、pH7.
0とする。)1500mlを入れ、これに上記の培養液
15mlを接種した。30℃で通気攪拌培養し、対数増
殖期中期(培養開始10〜15時間後)にIPTG(イ
ソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)を終濃度1m
Mとなるように培養液に添加した後、滅菌した培地を流
加し、さらに培養を続け40時間培養し、培養液を得
た。この培養液の希釈液(0.5M炭酸緩衝液、pH
9.5)80mlに2,2−ジメチル−3−(E/Z)
−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン
−1−カルボン酸メチルエステル(1R体/1S体=5
0/50、トランス体/シス体=98/2)4gを加え
てpH9.5となるよう調整しながら45℃で20時間
攪拌した。ここで反応液の一部を取り塩酸を加え酸性と
した後、酢酸エチルで抽出し、該抽出物に内部標準物質
(けい皮酸メチル)を加えガスクロマトグラフィ−(カ
ラム:HR20−M 0.53φ 30m 1ミクロン
ULBON製)により分析し、加水分解率を求めたとこ
ろ48%であった。残りの反応液にトルエンを加え、抽
出分液しトルエン層を分離除去した。次いで水層をろ過
し、塩酸を加え酸性とした後トルエンを加え抽出分液
し、トルエン層からトルエンを濃縮留去し、2,2−ジ
メチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロ
ビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸1.6gを得
た。この2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−ク
ロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カル
ボン酸を液体クロマトグラフィ−(カラム:CHIRA
LCEL OD 4.6φ×250mm ダイセル製)
で分析し立体異性体比を求めたところ、1R−トランス
体/1S−トランス体/1R−シス体/1S−シス体=
100/0/0/0であった。
−ル5g、酵母エキス6g、リン酸1カリウム9gおよ
びリン酸2カリウム4gを溶解し、pH7.0とす
る。)100mlを入れて滅菌した後、アンピシリンを
50μg/mlになるように加え、後記参考例記載のア
ルスロバクタ−SC−6−98−28株由来のエステラ
−ゼ遺伝子導入大腸菌株を斜面培養から1白金耳接種
し、30℃で24時間回転振とう培養した。次に3L容
の小型培養槽(丸菱バイオエンジ社製、MDL型)に滅
菌した液体培地(水1Lにグリセロ−ル15g、酵母エ
キス25g、リン酸1カリウム0.4g、硫酸マグネシ
ウム2gおよび硫酸第一鉄0.1gを溶解し、pH7.
0とする。)1500mlを入れ、これに上記の培養液
15mlを接種した。30℃で通気攪拌培養し、対数増
殖期中期(培養開始10〜15時間後)にIPTG(イ
ソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)を終濃度1m
Mとなるように培養液に添加した後、滅菌した培地を流
加し、さらに培養を続け40時間培養し、培養液を得
た。この培養液の希釈液(0.5M炭酸緩衝液、pH
9.5)80mlに2,2−ジメチル−3−(E/Z)
−(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン
−1−カルボン酸メチルエステル(1R体/1S体=5
0/50、トランス体/シス体=98/2)4gを加え
てpH9.5となるよう調整しながら45℃で20時間
攪拌した。ここで反応液の一部を取り塩酸を加え酸性と
した後、酢酸エチルで抽出し、該抽出物に内部標準物質
(けい皮酸メチル)を加えガスクロマトグラフィ−(カ
ラム:HR20−M 0.53φ 30m 1ミクロン
ULBON製)により分析し、加水分解率を求めたとこ
ろ48%であった。残りの反応液にトルエンを加え、抽
出分液しトルエン層を分離除去した。次いで水層をろ過
し、塩酸を加え酸性とした後トルエンを加え抽出分液
し、トルエン層からトルエンを濃縮留去し、2,2−ジ
メチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロ
ビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸1.6gを得
た。この2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−ク
ロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カル
ボン酸を液体クロマトグラフィ−(カラム:CHIRA
LCEL OD 4.6φ×250mm ダイセル製)
で分析し立体異性体比を求めたところ、1R−トランス
体/1S−トランス体/1R−シス体/1S−シス体=
100/0/0/0であった。
【0009】参考例 上記実施例で使用したアルスロバクタ−SC−6−98
−28株由来のエステラ−ゼ遺伝子導入大腸菌株は特開
平5−56787号公報記載の方法に準じて調製した。
即ち、特開平5−56787号公報記載のアルスロバク
ターSC−6−98−28株由来のエステラーゼ遺伝子
を含むプラスミドpAGE−1を、制限酵素Nsp(752
4)VおよびHindIIIで消化することによりエステラ
ーゼ遺伝子の翻訳領域を含むDNA断片を切り出し、こ
れを特開平5−56787号公報に記載のようにエステ
ラーゼ遺伝子の開始コドンとその近傍のDNA配列を変
換するために合成したDNA断片、およびlacプロモ
ーターを有する発現ベクターpUC118(宝酒造株式
会社)の制限酵素BamHI、HindIII消化物とライ
ゲーションした。この様にして、lacプロモーターの
下流にアルスロバクターSC−6−98−28株由来の
エステラーゼ遺伝子を有する大腸菌用発現プラスミドを
調製し、これをエシェリキア コリ(Escheric
hia coli)JM105株に導入した。
−28株由来のエステラ−ゼ遺伝子導入大腸菌株は特開
平5−56787号公報記載の方法に準じて調製した。
即ち、特開平5−56787号公報記載のアルスロバク
ターSC−6−98−28株由来のエステラーゼ遺伝子
を含むプラスミドpAGE−1を、制限酵素Nsp(752
4)VおよびHindIIIで消化することによりエステラ
ーゼ遺伝子の翻訳領域を含むDNA断片を切り出し、こ
れを特開平5−56787号公報に記載のようにエステ
ラーゼ遺伝子の開始コドンとその近傍のDNA配列を変
換するために合成したDNA断片、およびlacプロモ
ーターを有する発現ベクターpUC118(宝酒造株式
会社)の制限酵素BamHI、HindIII消化物とライ
ゲーションした。この様にして、lacプロモーターの
下流にアルスロバクターSC−6−98−28株由来の
エステラーゼ遺伝子を有する大腸菌用発現プラスミドを
調製し、これをエシェリキア コリ(Escheric
hia coli)JM105株に導入した。
【0010】
【発明の効果】本発明により、ピレスロイドエステルの
酸成分として有用な(1R)−トランス−2,2−ジメ
チル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビ
ニル)シクロプロパン−1−カルボン酸を工業的にも有
利に製造することが可能となる。
酸成分として有用な(1R)−トランス−2,2−ジメ
チル−3−(E/Z)−(2−クロロ−2−フルオロビ
ニル)シクロプロパン−1−カルボン酸を工業的にも有
利に製造することが可能となる。
Claims (3)
- 【請求項1】一般式 化1 【化1】 [式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]で示され
る2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
エステルに、該エステルに作用し、(1R)−トランス
−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ−
2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
とそのジアステレオマーのエステルとに不斉水解する能
力を有するエステラーゼを作用させ、(1R)−トラン
ス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−(2−クロロ
−2−フルオロビニル)シクロプロパン−1−カルボン
酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割し、(1
R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−
(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−
1−カルボン酸を分離、回収することを特徴とする(1
R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(E/Z)−
(2−クロロ−2−フルオロビニル)シクロプロパン−
1−カルボン酸の製造法。 - 【請求項2】エステラーゼが、アルスロバクター属に属
する微生物由来のエステラーゼである請求項1記載の製
造法。 - 【請求項3】エステラーゼが、アルスロバクターSC−
6−98−28株(FERM BP−3658)由来の
エステラーゼである請求項1または2記載の製造法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13327298A JPH11318483A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造法 |
IN519MA1999 IN187779B (ja) | 1998-05-15 | 1999-05-03 | |
EP99109557A EP0959139A1 (en) | 1998-05-15 | 1999-05-12 | Method for producing optically active cyclopropanecarboxylic acid |
US09/310,920 US6207429B1 (en) | 1998-05-15 | 1999-05-13 | Method for producing optically active cyclopropanecarboxylic acid |
CN99106485A CN1262330A (zh) | 1998-05-15 | 1999-05-13 | 具有光学活性的环丙烷羧酸的制备方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13327298A JPH11318483A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11318483A true JPH11318483A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=15100758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13327298A Pending JPH11318483A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11318483A (ja) |
IN (1) | IN187779B (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006325504A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造方法 |
-
1998
- 1998-05-15 JP JP13327298A patent/JPH11318483A/ja active Pending
-
1999
- 1999-05-03 IN IN519MA1999 patent/IN187779B/en unknown
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006325504A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
IN187779B (ja) | 2002-06-22 |
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