JPH11315486A - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

漂白パルプの製造方法

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JPH11315486A
JPH11315486A JP11905198A JP11905198A JPH11315486A JP H11315486 A JPH11315486 A JP H11315486A JP 11905198 A JP11905198 A JP 11905198A JP 11905198 A JP11905198 A JP 11905198A JP H11315486 A JPH11315486 A JP H11315486A
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JP
Japan
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pulp
bleaching
acid treatment
stage
oxygen
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Application number
JP11905198A
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English (en)
Inventor
Yosuke Uchida
洋介 内田
Takahiro Miura
高弘 三浦
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】木材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカ
リ酸素漂白し、次いで多段漂白処理して漂白パルプを製
造する方法において、パルプ粘度の低下を最小限に抑え
つつ、所望の白色度にパルプを漂白するのに必要な漂白
薬品の使用量を大幅に削減し得る漂白パルプの製造方法
の提供。 【解決手段】木材を蒸解して得られる未漂白パルプをア
ルカリ酸素漂白し、次いで多段漂白処理して漂白パルプ
を製造する方法において、多段漂白処理工程の直前に炭
素数が1〜3のアルコール類、アルデヒド類およびアセ
トンから選ばれた少なくとも一つ以上の薬品の存在下で
酸処理する工程を設けて処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材から漂白パル
プを製造する方法に関する。更に詳しく述べれば、本発
明は、木材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ
酸素漂白した後、酸処理する際に、炭素数が1〜3のア
ルコール類、アルデヒド類およびアセトンから選ばれた
少なくとも一つ以上の薬品を存在させることにより、酸
処理工程におけるパルプ粘度の低下を最小限に抑えつつ
脱リグニンを進め、所望の白色度にパルプを漂白するの
に必要な漂白薬品使用量を大幅に削減し得る漂白パルプ
の製造方法に関する。
【0002】木材を製紙原料として多くの用途に使用す
るためには、木材を蒸解液で蒸解し、薬品の化学作用に
よってパルプ化した後、或いは木材の場合は木材チップ
をリファイナー等を用いて機械的作用によってパルプ化
した後、得られるパルプを漂白薬品で漂白して白色度を
高める必要がある。例えば、クラフトパルプは包装資材
のように強度を必要とする用途に使う場合を除いて、通
常、アルカリ酸素脱リグニンした後、原子状塩素、次亜
塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素、苛
性ソーダ等の漂白剤及び漂白助剤により漂白処理され、
パルプに含まれる着色原因物質であるリグニン等が除去
された後に漂白クラフトパルプとして使用されるのが一
般的である。
【0003】未漂白パルプから漂白パルプを製造する場
合は、パルプ繊維自体の強度を或る程度維持することが
必要であり、そのためパルプ繊維を構成するセルロー
ス、ヘミセルロース等の炭水化物の分解を最小限にとど
めるように過激な1段での漂白を避け、漂白薬品と漂白
条件を様々に組み合わせて温和に漂白する3〜6段の多
段漂白法を採用するのが一般的である。
【0004】従来から多段漂白法においては、パルプを
最初に原子状塩素で処理し、パルプ中に含有されるリグ
ニンを塩素化し、リグニンに可溶性を付加した後、次に
アルカリで塩素化リグニンを溶解抽出して、パルプ中か
らリグニンを分離除去し、更に次亜塩素酸塩、二酸化塩
素等を使用し、残留する少量のリグニンを分解除去し、
白色度の高いパルプを得る方法が採られてきた。しかし
ながら、近年、パルプの塩素化段からの漂白排水に含ま
れる有機塩素化合物の環境への影響が懸念され、パルプ
漂白に原子状塩素を用いない動きが高まってきている。
又、次亜塩素酸塩を用いた場合も、パルプの漂白時にク
ロロホルムが生成し、環境に悪影響を及ぼす可能性があ
ることから、次亜塩素酸塩をパルプ漂白に使用しない漂
白シーケンスが求められてきている。
【0005】現在、原子状塩素や次亜塩素酸塩の代替と
して、オゾン、酸素、過酸化水素、及び過酢酸、過硫酸
等の酸素系の漂白薬品が注目されている。しかしなが
ら、酸素と過酸化水素を除いたこれらの薬品は、脱リグ
ニンに対する選択性が低くパルプ強度を損なう危険性が
あること、薬品コストが高いこと等の理由から一般に普
及するまでには至っていない。
【0006】一方、漂白後のパルプの白色度を一定に維
持しながら使用する漂白薬品そのものを減少させる方法
としては、蒸解時においてできるだけ脱リグニンを進
め、未漂白パルプのカッパー価を減少させる方法(例え
ば、J.E.Jiang等、Appita、45(1)、19(19
92))、未漂白パルプをさらにアルカリ酸素漂白し、
カッパー価を低下させる方法、或いは亜硝酸のような前
処理薬品を用いてアルカリ酸素漂白での脱リグニンを一
層進め、カッパー価をより減少させる方法(例えば、特
開平4−316690号公報)、漂白処理工程の前にパ
ルプをキシラン分解酵素を用いて処理する方法(例え
ば、特開平2−264087号公報)、漂白処理工程の
前にパルプをリグニン分解酵素を用いて処理する方法
(例えば、特開平4−316689号公報)等が提案さ
れている。
【0007】しかしながら、前記の方法にはまだ改良の
余地が残されており、例えば蒸解時に脱リグニンを通常
の水準より進め、減少したカッパー価のパルプを得る方
法は、多くの場合、パルプ収率の低下やパルプ繊維の強
度低下の危険を伴う。アルカリ酸素漂白段で脱リグニン
を更に進めてパルプのカッパー価を減少させる方法も多
くの場合、パルプ繊維の強度低下の危険を伴う。又、漂
白に先立ち酵素処理によりパルプを前処理する方法は、
反応条件が比較的穏和であるためにパルプ強度の低下と
パルプ収率の低下が少ない反面、反応速度が遅く、処理
に長時間を要すると共にカッパー価の減少量が極めて小
さいという問題がある。
【0008】特開平6−158573号公報には、木材
チップを蒸解した後に得られる未漂白パルプをアルカリ
酸素漂白し、該アルカリ酸素漂白後のパルプをパルプ濃
度1〜30%、温度30〜95℃、処理時間5〜120
分、酸溶液のpH1〜5からなる酸処理工程を行った
後、アルカリ性媒体中で過酸化物或いは過酸化物と酸素
による脱リグニン・漂白を行う方法が開示されている。
しかしながら、上記公報に提案された酸処理工程は、パ
ルプから重金属を除去し、過酸化物或いは過酸化物と酸
素による漂白におけるセルロースの解重合を防止するこ
とを目的としており、酸処理自体には脱リグニン効果は
ほとんどなく、漂白処理工程での漂白薬品の削減効果も
十分なものではなかった。
【0009】また、特開平6−280177号公報に
は、蒸解後の未漂白パルプを無機酸のpH1.0〜1.
6、温度80℃〜酸性処理液の煮沸温度、パルプ濃度5
〜20%、時間1〜3時間の条件下で酸処理し、次いで
リグニンのアルカリ抽出処理を行うことによりパルプを
漂白する方法が開示されている。
【0010】しかしながら、上記公報に提案された酸処
理条件は、pH1.0〜1.6と過酷であり、多糖類の
酸加水分解によりパルプ粘度が著しく低下し、ひいては
強度を損なう恐れがある上に、このようなpHにするこ
と自体に多量の薬品を必要とし、経済的にも問題を抱え
ている。又、この方法には、酸処理時のpHを低くする
ことにより、脱リグニンが起こる反面、分解したリグニ
ンが縮合し、パルプ繊維へ再吸着し、かえって漂白性が
悪化するという潜在的な問題も存在する。
【0011】また、特開平8−158284号公報に
は、蒸解された化学パルプを(1)アルカリ性下におい
て高温高圧下で酸素処理を行う工程、(2)タングステ
ン、モリブデン、バナジウム、セレン、チタン等のよう
にIV、V、VI族元素の酸素酸あるいはその塩からなる反
応触媒および過酸化水素を混合して、pHを3以下かつ
75〜110℃の温度で処理を行う工程、(3)アルカ
リ性媒体で過酸化物により処理を行う工程の順に処理す
ることからなる製紙用化学パルプの製造方法が開示され
ている。
【0012】しかしながら、上記公報に提案された方法
では重金属の酸素酸或いはその塩を酸水溶液中に存在す
ることでパルプ粘度を殆ど低下させずに脱リグニンを著
しく促進することができるが、反面、前記重金属を添加
するために、漂白処理工程での酸化系薬品による脱リグ
ニンに際し、セルロースの解重合を防止するため新たに
大量の保護剤を添加、使用しなければならないといった
問題点を有している。また、パルプの酸処理において前
記金属の酸或いはその塩を添加して脱リグニンを行うこ
とは、その重金属の一部がパルプ或いは廃液と一緒にパ
ルプ製造工程や抄紙工程に持ち込まれることになり、粘
着物、ピッチトラブル、スケールトラブル等の原因とな
る上、紙製品中にも微量ではあるが混入する可能性があ
るため、衛生上も好ましくないという問題も有してい
た。
【0013】本発明者らは、既に、特願平9−4886
810号明細書において、蒸解後、あるいはアルカリ酸
素脱リグニン後のパルプを酸素含有ガス加圧下で酸処理
することにより、酸処理工程での脱リグニンを著しく促
進させ、漂白工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減で
きる方法を提案している。しかしながら、上記条件下で
酸処理を過度に行った場合にはパルプ粘度が低下し、シ
ート強度も低下するという問題点があった。
【0014】DAS PAPIER 40(6)p25
8〜263には、サルファイト蒸解して得られた未晒パ
ルプを酸素ガス加圧下において酸性過酸化水素漂白する
ことにより、カッパー価を大幅に低下できることが記さ
れている。しかしながら、この方法では、パルプ粘度が
大幅に低下し、パルプ強度も低下するという大きな問題
点があった。
【0015】一方、蒸解工程において、有機溶媒(メタ
ノール)を添加することにより、リグニンや抽出成分の
溶解性を向上させ、蒸解効率を上げる方法が知られてお
り、この方法は実工程においても用いられている(例え
ば、K.Kopfmann等、1991 International Pulp Bleachin
g Conference Proceeding925〜931頁)。したが
って、有機溶媒を漂白パルプの製造工程に用いることも
困難なことではなくなってきている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、アルカリ酸素漂白後のパルプを酸処理する
際のパルプ粘度の低下を最小限に抑える方法について種
々検討を重ねた結果、パルプを酸処理する際に炭素数が
1〜3のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンか
ら選ばれた少なくとも一つ以上の薬品を添加すれば、脱
リグニンを促進させる効果を維持あるいは向上させる一
方で、パルプ粘度の低下を最小限に抑制できることを見
出し、本発明を完成した。
【0017】本発明の目的は、アルカリ酸素漂白後のパ
ルプを酸処理する際に、炭素数が1〜3のアルコール
類、アルデヒド類およびアセトンから選ばれた少なくと
も一つ以上の薬品を添加することにより、パルプ粘度の
低下を最小限に抑えつつ、リグニンを大幅に除去し、所
望の白色度に漂白するのに必要な漂白処理工程での漂白
薬品の使用量を大幅に削減し得る漂白パルプの製造方法
を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、木材を蒸解し
て得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、次いで
多段漂白処理して漂白パルプを製造する方法において、
前記多段漂白処理工程の直前に酸処理工程を設け、かつ
該酸処理工程中に炭素数が1〜3のアルコール類、アル
デヒド類およびアセトンから選ばれた少なくとも一つ以
上の薬品を存在させることを特徴とする漂白パルプの製
造方法である。
【0019】本発明は、前記酸処理工程がパルプ濃度5
〜40重量%、pH2〜6、温度50〜150℃、時間
5〜120分の条件下で行われることを特徴とする漂白
パルプの製造方法である。
【0020】本発明は、前記酸処理工程において、炭素
数が1〜3のアルコール類、アルデヒド類およびアセト
ンから選ばれた少なくとも一つ以上の薬品の存在量がパ
ルプ絶乾重量当たり10〜200重量%であることを特
徴とする漂白パルプの製造方法である。
【0021】本発明は、前記酸処理工程が酸素含有ガス
による加圧圧力0.05〜0.9MPa(ゲージ圧力)
で行われることを特徴とする漂白パルプの製造方法であ
る。
【0022】本発明は、前記酸処理工程に、さらに過酸
化物を存在させることを特徴とする漂白パルプの製造方
法である。
【0023】本発明は、前記過酸化物の存在量がパルプ
絶乾重量当たり0.01%〜1.0重量%であることを
特徴とする漂白パルプの製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるパルプの原料
は、針葉樹木材あるいは広葉樹木材である。本発明に使
用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト
蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサ
ルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる
が、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラ
フト蒸解法が好適に用いられる。例えば、木材をクラフ
ト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75
%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶
乾木材重量当たり5〜30重量%、好ましくは10〜2
5重量%、蒸解温度は140〜170℃で、蒸解方式
は、連続蒸解法或いはバッチ蒸解法のどちらでもよく、
連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修
正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
【0025】蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤
として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、
ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナン
トロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ
等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であ
るアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合
物、更にはディールスアルダー法によるアントラキノン
合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,
10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた
1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は
木材チップの絶乾重量当たり0.001〜1.0重量%
である。
【0026】本発明では、公知の蒸解法により得られた
未漂白化学パルプは洗浄、粗選及び精選工程を経て、公
知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発
明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法
或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用的に
用いられているパルプ濃度が8〜15重量%で行われる
中濃度法が好ましい。前記中濃度法によるアルカリ酸素
漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダ或いは酸
化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガス
としては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing
Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorpti
on)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカ
リは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに
添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸
素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ
送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾
パルプ重量当たり0.5〜3重量%、アルカリ添加率は
0.5〜4重量%、反応温度は80〜120℃、反応時
間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15重量%であ
り、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明で
は、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素
漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進
めるのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白が
施されたパルプは洗浄され、次いで酸処理工程へ送られ
酸処理される。
【0027】本発明における酸処理工程とは、パルプを
pH2〜6の範囲の酸水溶液に浸し、或いは該水溶液を
含有させ、炭素数が1〜3アルコール類、アルデヒド類
およびアセトンから選ばれた少なくとも一つ以上の薬品
の存在下で特定時間と温度を維持することと定義され
る。本発明の酸処理工程に用いられる酸は、酸処理時の
pHを2〜6に調整できるものであれば無機酸、有機酸
のいずれでも良いが、硫酸、硝酸、塩酸、亜硫酸、亜硝
酸等の無機酸、中でも硫酸が入手と取り扱いが容易であ
るため好適に用いられる。
【0028】本発明の酸処理工程中には、炭素数が1〜
3のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンから選
ばれた少なくとも一つ以上の薬品が存在する。前記薬品
は、外部薬品として添加して存在させてもよく、また、
蒸解工程、アルカリ酸素漂白工程、酸処理工程、あるい
は多段漂白工程で生じるものを回収して添加して存在さ
せてもよい。前記薬品のうち、メタノール、エタノール
等は蒸解工程、酸処理工程、あるいは多段漂白工程にお
いてリグニンが分解される過程で比較的多く生成するた
め、これを回収し、利用するのが好ましい実施形態であ
る。前記薬品の存在量は絶乾パルプ重量当たり10〜2
00重量%、好ましくは10〜100重量%である。前
記薬品の存在量が10重量%未満の場合には効果がなく
なり、一方、200重量%を超えて存在すると排水処理
に負荷がかかるため適さない。また、アルコール類、ケ
トン類、アルデヒド類であっても、炭素数が4以上にな
ると水との親和性が悪くなり、効果が十分に得られない
だけでなく、取り扱いが煩雑になるため適さない。
【0029】本発明の酸処理工程におけるパルプ濃度は
5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、更に好ま
しくは10〜25重量%の範囲である。パルプ濃度が5
重量%未満では、処理に大容量の設備を要するので適さ
ない。パルプ濃度が40重量%を超えると、パルプと酸
を均一に混合することが難しくなり、酸処理の効果が十
分得られないので適さない。本発明の酸処理工程におい
ては、処理効果を挙げるためにパルプと酸を均一に混合
する必要がある。均一な混合を得るには、低濃度ミキサ
ー、中濃度ミキサー、スタティックミキサー、高濃度ミ
キサー等の中から処理時のパルプの種類と濃度に応じて
適宜ミキサーを選択して用いることができるが、アルカ
リ酸素漂白法の場合と同様にして処理することができ
る。
【0030】即ち、酸処理工程でのパルプ濃度が中濃度
や高濃度の場合は、パルプの撹拌が困難となるのでディ
スパーザーを併用して或いは併用せずに高剪断力を付与
できる中濃度ミキサー或いは高濃度ミキサーでパルプ、
酸素含有ガス、有機溶媒及び酸を瞬時に混合して、直ち
に圧力下で保持できる反応塔へ導入し、一定時間と温度
を維持する方がよい。中濃度でパルプの酸処理を行う場
合の反応塔は、ディストリビューターとディスチャージ
ャーを備えた或いは備えていない連続式のダウンフロー
或いはアップフロータイプのものを用いることができ
る。高濃度でパルプの酸処理を行う場合の反応塔は、縦
型のダウンフロータイプで一個所に穴が開いた棚を備
え、パルプを下の棚へ移送するための水平に回転する羽
根により、棚から棚へパルプを落下することができるも
の、或いは耐圧製の水平チューブを複数段有し、緩く回
転するパルプを移送するためのスクリュウでパルプを水
平に移送し、チューブの末端から次のチューブヘパルプ
を移送して排出することができるパンディア式のものが
好都合である。
【0031】本発明の酸処理工程は、前記したようにパ
ルプ濃度5〜40重量%、pH2〜6、好ましくは2.
5〜5、温度50〜150℃、好ましくは90〜120
℃、保持時間5〜120分、好ましくは20〜90分の
条件下で実施される、更に場合によっては酸素含有ガス
による加圧0.05〜0.9MPa、好ましくは0.1
5〜0.7MPa(ゲージ圧力)の条件下で行われる。
酸処理工程時のpHが2未満では、リグニンの分解より
も多糖類の分解の方が顕著となり、パルプの強度低下と
収率低下が大きくなるので適さない。pHが6を超える
と、加圧下においても脱リグニンが殆ど生じなくなるの
で適さない。本発明では、場合によっては酸素含有ガス
で加圧して酸処理工程をおこなうため、公知の酸処理工
程と異なり、pHが3を超えて高くても十分な脱リグニ
ンを得ることができる。処理温度が50℃未満では、酸
による脱リグニンが不十分になり、温度が150℃を超
えると、多糖類の分解が顕著となり、パルプの強度低下
が大きくなるので適さない。本発明の酸処理工程での処
理時間は5分以上であれば十分であるが、120分を超
えて長くしても脱リグニンの効果は上限に到達しそれ以
上の処理時間は品質的に劣化を生じるので適さない。
【0032】本発明の酸処理時に加圧のために用いられ
る酸素含有ガスは、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressu
re Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing
Adsorption)からの酸素等のように工業規模での利用が
可能で、現在酸素とアルカリによる酸素漂白に使用され
ている酸素純度が85容量%以上の酸素或いは酸素含有
ガス、前記モレキュラーシーブを用いた酸素製造設備を
用いて酸素の含有量を21容量%を超えて調整された酸
素含有ガス、前記酸素純度が85容量%以上の酸素含有
ガスと空気を混合して製造される酸素富化ガス、酸素含
有量が20容量%以上の空気等を挙げることができ、こ
れらの中から適宜選択して用いられる。また、漂白工程
の一つとしてオゾン漂白工程を有する場合には、酸素を
含有するその排ガスも好適に使用される。しかしなが
ら、本発明の酸処理は、処理時の加圧圧力とパルプ重量
当たりの酸素添加率の双方が重要であるため、酸素含有
量が低く、酸素分圧の低いガスを用いた場合には、加圧
圧力を上げることによりパルプ重量当たりの酸素添加率
を0.1%以上にする必要がある。酸処理時の加圧圧力
が0.05MPa(ゲージ)未満では、加圧による効果
が小さくなるため適さない。加圧圧力が0.9MPaを
超えて高くなると、加圧による効果は限界に達し、その
上、このような条件に耐え得る反応容器自体の製造コス
トが高くなり、経済的でないため適さない。
【0033】本発明の酸処理工程においてはより脱リグ
ニンを進めるため、過酸化物を存在させることもでき
る。本発明の酸処理工程に存在させうる過酸化物は、過
酸化物であればいかなるものでも良いが、過酸化水素、
過酢酸、過ギ酸、過硫酸、ジオキシラン等のように比較
的取り扱いが容易であり、排水負荷の低い過酸化物が好
適に用いられる。前記過酸化物は単独で存在させてもよ
く、複数の過酸化物を存在させてもよい。また、前記過
酸化物は、外部薬品として添加して存在させてもよく、
蒸解工程、アルカリ酸素漂白工程、酸処理工程、多段漂
白工程等で生じたものを回収して利用してもよく、さら
に酸処理工程において例えばイソプロピルアルコールを
存在させた場合に、イソプロピルアルコールが酸化分解
して生じた過酸化水素等を利用することもできる。前記
過酸化物の存在量はパルプ絶乾重量あたり0.01〜
1.0重量%であり、好ましくは0.1〜0.5重量%
である。前記過酸化物の添加率が0.01重量%より少
なくなると過酸化物の添加効果がなくなり、一方、1.
0重量%を超えて添加すると、本発明の炭素数が1〜3
のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンから選ば
れた少なくとも一つ以上の薬品を添加してもパルプ粘度
の低下が大きくなり、実用レベルのパルプ強度が維持で
きなくなるので適さない。
【0034】前記の酸処理工程を経たパルプはそのまま
で、或いは洗浄工程を経て多段漂白処理工程に送られ
る。本発明の多段漂白処理工程で用いられる漂白薬品と
しては、原子状塩素(C)、苛性ソーダ(E)、次亜塩
素酸塩化合物(H)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、
過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の
漂白剤と漂白助剤からなる漂白薬品を挙げることがで
き、これらの中から適宜選択されて漂白薬品として用い
られる。
【0035】本発明における多段漂白処理工程での漂白
シーケンスとして、例えばC−E/O−H−D、 C/
D−E/O−H−Dのように原子状塩素と塩素系漂白薬
品を含む漂白シーケンスを用いることもできるし、D−
E−D、D−E/O−D、E/O−D、E−O−D、Z
−D、のように原子状塩素を含まない漂白シーケンスを
用いることもできる。また、Z−E−P、Z−E/O−
P、E/OP−PO等のように原子状塩素と塩素系漂白
薬品を一切用いない漂白シーケンスを用いることもでき
る。また、本発明の効果をさらに上げるために、漂白処
理工程の前にキシラン分解酵素、リグニン分解酵素等の
酵素処理工程を設けてもよいことは言うまでもない。
【0036】本発明では、多段漂白処理工程において、
酸素と過酸化水素から選択された酸化系薬品を公知のア
ルカリ抽出段に添加してE/O、E/P或いはE/OP
のようなシーケンスを少なくとも一段用いる漂白シーケ
ンスで漂白した場合に漂白後の白色度がさらに向上する
という特徴がある。酸素及び/又は過酸化水素を添加し
たアルカリ抽出は、アルカリ酸素漂白法に準じて加圧下
で行ってもよく、最初の5〜15分間だけ加圧して、そ
の後は圧力を大気開放して保持する方法でもよい。
【0037】本発明では、酸処理工程後の排水は回収し
て、蒸解工程の蒸解廃液と一緒に回収ボイラーへ送り、
燃焼して廃水中に溶解している或いは含まれる有機物を
熱エネルギーとして利用することができる。同時に、本
発明では酸処理工程に続く多段漂白処理工程において、
漂白薬品として原子状塩素を用いない漂白シーケンス
で、更には原子状塩素と塩素系漂白薬品の両方を用いな
い漂白シーケンスで漂白パルプを製造することができる
ため、漂白からの排水も回収して多段漂白処理工程をク
ローズド化することもできる。
【0038】本発明において、炭素数が1〜3のアルコ
ール類、アルデヒド類およびアセトンから選ばれた少な
くとも一つ以上の薬品の存在下で酸処理することによ
り、パルプ粘度の低下を最小限に抑えつつ脱リグニンが
大幅に進み、パルプの漂白性も大幅に改善される理由に
ついては今後の研究を待たないと明確には断定できない
が、本発明者らは、以下のように推察している。まず、
上記薬品が存在することにより、酸処理により分解され
たリグニンの溶解性が増加するために脱リグニンが促進
されると同時に、これによりリグニンの縮合反応も抑制
される。その結果、酸処理後に残留したリグニンが分解
されやすい構造になることが予想される。一方、上記薬
品はラジカル捕捉剤として働くことにより、酸処理時の
ラジカルによるセルロースの解重合が抑制され、パルプ
粘度の低下が最小限に抑えられたものと推測される。
【0039】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。以下に示す実施例1〜6およ
び比較例1、2は、木材チップを蒸解して得られる未漂
白パルプをアルカリ酸素漂白し、次いで酸処理した後、
D1−E−D2シーケンスで漂白を行ったものであり、
比較例3は、酸処理を行わずに、D1−E−D2シーケ
ンスで漂白を行ったものである。また、特に示さない限
り、カッパー価の測定、パルプ粘度の測定、白色度の測
定、酸処理工程におけるパルプ収率、多段漂白工程にお
けるパルプ収率及び酸処理工程と多段漂白工程を通した
全工程におけるパルプ収率はそれぞれ以下のように算出
した。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は
絶乾パルプ重量当たりの重量%示す。
【0040】1.カッパー価の測定 カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行
った。
【0041】2.パルプ粘度の測定 パルプ粘度の測定は、J.TAPPI 44に準じて行
った。
【0042】3.パルプ白色度の測定 パルプを離解した後、Tappi試験法T205os−
71(JIS P 8209)に従って坪量60g/m
2のシートを作製し、JIS P 8123に従ってパルプ
の白色度を測定した。
【0043】4.酸処理工程におけるパルプ収率 酸処理工程におけるパルプ゜収率は、酸処理前後のパルプ
の絶乾重量から式(1)により算出した。 酸処理におけるパルプ゜収率(%)={(酸処理後のパルプの絶乾重量)/酸処理 前のパルプの絶乾重量}×100…(1)
【0044】5.多段漂白処理工程におけるパルプ収率 多段漂白処理工程におけるパルプ収率は、多段漂白処理
工程前後のパルプの絶乾重量から式(2)により算出し
た。 多段漂白処理工程におけるパルプ収率(%)={(多段漂白処理後のパルプの絶 乾重量)/多段漂白処理前のパルプの絶乾重量}×100…(2)
【0045】6.酸処理工程と多段漂白工程を通した全
工程におけるパルプ収率 酸処理工程と多段漂白工程を通した全工程におけるパル
プ収率は、酸処理工程におけるパルプ収率に多段漂白工
程におけるパルプ収率を乗じて求めた。
【0046】実施例1 国内産広葉樹材70%とユーカリ材30%からなる広葉
樹混合木材チップを絶乾 500g採取し、液比4、絶乾
チップ重量当たり有効アルカリ18%、蒸解液の硫化度
25%、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下
で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸
解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カッ
トのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで
精選してハンター白色度45.2%、カッパー価20.
1、パルプ粘度23.3mPa・sの広葉樹未漂白クラ
フトパルプを絶乾重量で229g(精選パルプ収率4
5.8%)得た。
【0047】前記広葉樹未漂白クラフトパルプの絶乾重
量90.0gを採取し、絶乾パルプ重量当たり苛性ソー
ダを1.5%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパ
ルプ濃度を10%に調整し、間接加熱式オートクレーブ
に入れ、ゲージ圧力が0.5MPaとなるように純度が
99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、温度100
℃で60分間加熱し、中濃度法によりアルカリ酸素漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水し、絶乾重量88.8gの白色度が51.1%、カ
ッパー価10.2、パルプ粘度が18.8mPa・sの
パルプを得た。
【0048】このパルプを絶乾重量で80.0g採取
し、イオン交換水に濃硫酸を添加してpHを2.6とし
た硫酸水溶液で希釈してパルプ濃度を10%に調整した
後、絶乾パルプ重量と等倍量のメタノール(絶乾パルプ
重量当たり100%)を添加してステンレス製2リット
ル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が
0.5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧
縮酸素ガスで加圧し、温度95℃で60分間圧力を維持
しながら加熱し、酸処理を行った。オートクレーブを冷
却後、得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱
水した。 絶乾重量79.2gの白色度が53.7%、
カッパー価4.1、パルプ粘度が16.7mPa・sの
酸処理したパルプを得た。
【0049】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ
濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ重量当たり二酸
化塩素を0.29%添加し、温度が70℃の恒温水槽に
30分間浸漬してD1段の漂白を行った。得られたパル
プをイオン交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプ
をプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ
濃度を10%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の
1.7倍量加え、D1段と同様にして温度70℃で12
0分間処理し、E段の抽出を行った。得られたパルプを
イオン交換水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後
のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用い
てパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ重量当た
り二酸化塩素を0.4%添加し、D1段と同様にして温
度70℃で180分間処理し、D2段の漂白を行った。
得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水し絶
乾重量69.6g、白色度85.4%の漂白パルプを得
た。酸処理後のパルプのカッパー価、パルプ粘度、パル
プ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂白工程における
D段薬品添加率(D1段+D2段)、E段薬品添加率、
パルプ収率および酸処理工程と多段漂白工程を通した全
工程におけるパルプ収率を表2に示した。
【0050】実施例2 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、添加薬
品をメタノールからエタノールに替えた以外は、実施例
1と同様に、酸処理を行った。酸処理後のパルプの絶乾
重量は79.2g、白色度は53.9%、カッパー価は
4.1、パルプ粘度は17.1mPa・sであった。
【0051】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.28%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.6%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0052】実施例3 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、添加薬
品をメタノールからイソプロピルアルコールに替えた以
外は、実施例1と同様に、酸処理を行った。酸処理後の
パルプの絶乾重量は79.1g、白色度は56.2%、
カッパー価は3.8、パルプ粘度は16.9mPa・s
であった。
【0053】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.23%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.7g、白色度85.6%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0054】実施例4 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、添加薬
品をメタノールからアセトンに替えた以外は、実施例1
と同様に、酸処理を行った。酸処理後のパルプの絶乾重
量は79.3g、白色度は55.9%、カッパー価は
4.0、パルプ粘度は16.5mPa・sであった。
【0055】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.24%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.5%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0056】実施例5 実施例1と同様のアルカリ酸素脱リグニン後のパルプ
(白色度51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度
が18.8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取
し、添加薬品をメタノールからアセトアルデヒドに替え
た以外は、実施例1と同様に、酸処理を行った。酸処理
後のパルプの絶乾重量は79.2g、白色度は55.1
%、カッパー価は4.0、パルプ粘度は16.6mPa
・sであった。
【0057】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.26%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.6%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0058】実施例6 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、過酸化
水素を絶乾パルプ重量当たり0.5重量%添加し、反応
温度を85℃に変えた以外は、実施例1と同様に酸処理
を行った。酸処理後のパルプの絶乾重量は79.4g、
白色度は59.3%、カッパー価は5.0、パルプ粘度
は14.5mPa・sであった。
【0059】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.21%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.5%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0060】比較例1 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、メタノ
ールを加えなかった以外は、実施例1と同様に、酸処理
を行った。酸処理後のパルプの絶乾重量は79.2g、
白色度は53.4%、カッパー価は4.3、パルプ粘度
は15.8mPa・sであった。
【0061】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.30%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.5%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプの絶乾重量は7
9.2g、白色度は55.1%、カッパー価は4.0、
パルプ粘度は16.6mPa・sであった。酸処理後の
パルプのカッパー価、パルプ粘度、パルプ白色度、パル
プ収率を表1に、多段漂白工程におけるD段薬品添加率
(D1段+D2段)、E段薬品添加率、パルプ収率およ
び酸処理工程と多段漂白工程を通した全工程におけるパ
ルプ収率を表2に示した。
【0062】比較例2 実施例1と同様のアルカリ酸素脱漂白後のパルプ(白色
度51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が1
8.8mPa・s)を絶乾重量で80.0g採取し、メ
タノールを加えなかった以外は、実施例6と同様に、酸
処理を行った。酸処理後のパルプの絶乾重量は79.2
g、白色度は59.1%、カッパー価は5.1、パルプ
粘度は8.4mPa・sであった。
【0063】前記酸処理後のパルプ絶乾重量70.0g
をプラスチック袋に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸
化塩素の添加率を0.23%に替えた以外は実施例1と
同様にD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン
交換水で洗浄、脱水した。D1段後のパルプをプラスチ
ック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10
%に調整した後、苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量
加え、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理
し、E段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換
水を用いて洗浄、脱水した。続いて、E段後のパルプを
プラスチック袋に入れ、実施例1と同様にD2段の漂白
を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗
浄、脱水し、絶乾重量69.6g、白色度85.5%の
漂白パルプを得た。酸処理後のパルプのカッパー価、パ
ルプ粘度、パルプ白色度、パルプ収率を表1に、多段漂
白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2段)、E
段薬品添加率、パルプ収率および酸処理工程と多段漂白
工程を通した全工程におけるパルプ収率を表2に示し
た。
【0064】比較例3 実施例1と同様のアルカリ酸素漂白後のパルプ(白色度
51.1%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.
8mPa・s)を絶乾重量で70.0gプラスチック袋
に入れ、絶乾パルプ重量当たりの二酸化塩素の添加率を
0.92%に替えた以外は実施例1と同様にD1段の漂
白を行った。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱
水した。D1段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イ
オン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、
苛性ソーダ゛をD1添加率の1.7倍量加え、D1段と同
様にして温度70℃で120分間処理し、E段の抽出を
行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、
脱水した。続いて、E段後のパルプをプラスチック袋に
入れ、実施例1と同様にD2段の漂白を行った。得られ
たパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水し、絶乾重
量68.7g、白色度85.3%の漂白パルプを得た。
多段漂白工程におけるD段薬品添加率(D1段+D2
段)、E段薬品添加率、パルプ収率および全工程におけ
るパルプ収率を表2に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】表1の実施例1〜5と比較例1、および実
施例6と比較例2を比較することから明らかなように、
木材を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂
白した後、炭素数が1〜3のアルコール類、アルデヒド
類およびアセトンから選ばれた少なくとも一つ以上の薬
品の存在下で酸処理することにより、パルプ粘度の低下
を最小限に抑えつつ、リグニンを大幅に除去できる。さ
らに、表2の実施例1〜6と比較例3を比較することか
ら明らかなように、多段漂白工程前に本発明の酸処理工
程を設けることにより、所望の白色度に漂白するのに必
要な多段漂白処理工程での漂白薬品の使用量を大幅に削
減することができ、全工程におけるパルプ収率を上げる
こともできる。
【発明の効果】木材を蒸解して得られる未漂白パルプを
アルカリ酸素漂白した後、酸処理する際に炭素数が1〜
3のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンから選
ばれた少なくとも一つ以上の薬品を存在させることによ
り、パルプ粘度の低下を最小限に抑えつつ、リグニンを
大幅に除去し、所望の白色度に漂白するのに必要な多段
漂白処理工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減し得る
漂白パルプの製造方法を提供することが可能となった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材を蒸解して得られる未漂白パルプを
    アルカリ酸素漂白し、次いで多段漂白処理して漂白パル
    プを製造する方法において、前記多段漂白処理工程の直
    前に酸処理工程を設け、かつ該酸処理工程中に炭素数が
    1〜3のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンか
    ら選ばれた少なくとも一つ以上の薬品を存在させること
    を特徴とする漂白パルプの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸処理工程がパルプ濃度5〜40重
    量%、pH2〜6、温度50〜150℃、時間5〜12
    0分の条件下で行われることを特徴とする請求項1記載
    の漂白パルプの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸処理工程において、炭素数が1〜
    3のアルコール類、アルデヒド類およびアセトンから選
    ばれた少なくとも一つ以上の薬品の存在量が絶乾パルプ
    重量当たり10〜200重量%であることを特徴とする
    請求項1、2記載の漂白パルプの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸処理工程が酸素含有ガスによる加
    圧圧力0.05〜0.9MPa(ゲージ圧力)で行われ
    ることを特徴とする請求項1〜3記載の漂白パルプの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸処理工程に、さらに過酸化物を存
    在させることを特徴とする請求項1〜4記載の漂白パル
    プの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記過酸化物の存在量が絶乾パルプ重量
    当たり0.01%〜1.0重量%であることを特徴とす
    る請求項5記載の漂白パルプの製造方法。
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