JPH11310749A - 水系表面処理剤、表面処理鋼板、及びその製造方法 - Google Patents

水系表面処理剤、表面処理鋼板、及びその製造方法

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JPH11310749A
JPH11310749A JP11981398A JP11981398A JPH11310749A JP H11310749 A JPH11310749 A JP H11310749A JP 11981398 A JP11981398 A JP 11981398A JP 11981398 A JP11981398 A JP 11981398A JP H11310749 A JPH11310749 A JP H11310749A
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steel sheet
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treated
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JP11981398A
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Yujiro Miyauchi
優二郎 宮内
Hiroshi Kanai
洋 金井
Motoo Kabeya
元生 壁屋
Satoru Kobori
哲 小堀
Masateru Takimoto
政輝 滝本
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Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロメート処理と同等レベルの、6価クロム
を含まない表面処理剤、及びこの表面処理剤による皮膜
を形成した表面処理鋼板を得る。 【解決手段】 ガラス転移点20〜70℃のアクリルエ
マルジョンを固形分換算で50〜85.9重量%と、イ
ミノ基含有のメチル化メラミン樹脂を固形分換算で4〜
10重量%と、アンモニウムイオンを吸着させたコロイ
ダルシリカまたは酸化アルミニウムで被覆されたコロイ
ダルシリカのうちの少なくとも1種を固形分換算で10
〜40重量%と、バナジン酸アンモニウムを固形分換算
で0.1〜10重量%とを含有し、pHが8〜10であ
る水系表面処理剤と、この水系表面処理剤を用いて鋼板
上に皮膜を形成した表面処理鋼板及びその製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電用、建材用、
自動車用等に用いられる、6価クロムを含有しない、耐
食性に優れた水系表面処理剤及び表面処理鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板の表面処理の分野では、鋼板の耐食
性向上のために6価クロムを含有するクロメート処理が
多用されている。しかし、この6価クロムは有害元素で
あることが知られており、この6価クロムを含有しない
表面処理剤、表面処理鋼板への要求が高まっている。ま
た、3価クロムが主体である電解クロメートも、若干の
6価クロムを含有することがあるため、将来使用しにく
くなる可能性がある。クロメート処理は、鋼板やめっき
鋼板等の一次防錆処理や、塗装や被覆のための下地処理
として使用されているが、このクロメート処理に代わる
クロムを含有しない処理技術の開発が望まれている。ク
ロムを含有しない表面処理技術として、りん酸亜鉛処理
等のりん酸塩処理がある。しかし、りん酸塩処理は一次
防錆処理としてはやや耐食性がクロメートに劣ってお
り、塗装下地処理としても耐食性を確保するためにはク
ロムシーリングが必要であるなど、クロメートの代替技
術としては不十分である。
【0003】特開平5ー195244号公報「クロムフ
リー塗布型酸性組成物による金属表面処理方法」には、
a)陰イオン成分の各々が、1)少なくとも4個のフッ
素原子と、2)チタン、ジルコニウム、ハフニウム、け
い素、及びほう素からなる群から選ばれる少なくとも1
個の元素と、任意成分として3)1個以上の酸素原子と
を含む前記陰イオン成分と、b)コバルト、マグネシウ
ム、マンガン、亜鉛、ニッケル、すず、ジルコニウム、
鉄、アルミニウム及び銅からなる群から選ばれる元素の
陽イオン成分であって、該陽イオン全数が、成分a)の
陰イオン全数の1/3以上である陽イオン成分と、c)
前記組成物のpHを約0.5ないし5.0の範囲内に保
つに十分な量の遊離酸と、任意成分として、d)直接乾
燥によって有機樹脂薄膜を形成する組成物とを含む水性
酸性液状組成物によるクロムフリー化成被膜を金属表面
に形成する金属表面処理方法が提案されている。
【0004】また、特開平7ー145486号公報の
「金属表面処理用組成物及び処理方法」には、a)フッ
素原子と、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、シリコ
ン、ほう素の1種以上の原子と、イオン化性水素原子、
および/または1個以上の酸素原子とを含有するアニオ
ンからなる成分、ただし成分b)のカチオン数/成分
a)のアニオン数比=1/5以上、c)りん含有有機オ
キシアニオンおよび/またはホスホン酸アニオンからな
る成分、d)水溶性および水分散性ポリマーおよびポリ
マー形成性樹脂の1種以上からなる成分、およびe)こ
の組成物のpHを0.5から5.0に保つのに足る量の
酸成分、を含む水性組成物により金属表面にクロムを含
まない被覆層を形成する処理方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に提
案されたクロムを含まない金属表面処理方法は、いずれ
も従来のクロメート処理されたものと同等の性能、すな
わち、クロメート処理と同等の耐食性、塗膜密着性を満
たすには至っていない。本発明は、上記課題を解決する
ためになされたものであり、その目的は従来のクロメー
ト処理と同等の性能を持つ後処理、及び被覆前処理用の
表面処理剤及び表面処理鋼板を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記問題点に鑑
みなされたものであって、その要旨とするところは、
(1)ガラス転移点20〜70℃のアクリルエマルジョ
ンを固形分換算で50〜85.9重量%と、イミノ基含
有のメチル化メラミン樹脂を固形分換算で4〜10重量
%と、アンモニウムイオンを吸着させたコロイダルシリ
カまたは酸化アルミニウムで被覆されたコロイダルシリ
カのうちの少なくとも1種を固形分換算で10〜40重
量%と、バナジン酸アンモニウムを固形分換算で0.1
〜10重量%とを含有し、pHが8〜10であることを
特徴とする水系表面処理剤、
【0007】(2)前記(1)に記載の水系表面処理剤
を固形皮膜とし、固形皮膜の付着量が0.3〜10g/
2 であることを特徴とする表面処理鋼板、(3)前記
(1)に記載の水系表面処理剤を鋼板上に塗布し、到達
板温50〜250℃となる条件で乾燥焼付けることを特
徴とする表面処理鋼板の製造方法、である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理剤及び表面処理
鋼板について、以下に説明する。本発明におけるアクリ
ルエマルジョンとイミノ基含有メチル化メラミン樹脂に
ついて説明する。アクリルエマルジョンの基本骨格は直
鎖型が基本であるが、架橋構造を有するものでもよい。
数平均分子量(以下Mnと称する)は100000〜2
00000であることが望ましく、Mnが100000
以下では皮膜強度が不足し、200000以上ではリフ
ロー性が低下し均一塗布性が悪くなる。内部架橋型で、
ガラス転移温度(Tg)が20〜70℃、好ましくは5
0から70℃である。Tgが20℃未満では皮膜強度が
不足し、70℃以上では皮膜の伸びが不足して、加工部
の密着性や耐食性が低下する。
【0009】アクリルエマルジョンの粒径は300nm
以下であることが望ましい。300nmを越えると、造
膜性が悪くなり耐食性が低下する。アクリルエマルジョ
ンは固形分換算で50〜85.9重量%配合される。5
0%未満の配合量では、造膜性が悪くなり、密着性や耐
食性が低下する。85.9%を越える配合量では、防錆
効果のあるバナジン酸アンモニウムやシリカの配合量が
低くなるため、耐食性が低下する。更に、イミノ基含有
のメチル化メラミン樹脂(以下メラミン樹脂と称する)
をアクリルエマルジョンの架橋剤として用いることによ
り、皮膜強度が上がる。メラミン樹脂は、固形分換算で
4〜10重量%配合される。4%未満では強度の向上効
果がなく、10%を越えると逆に硬くなりすぎて、加工
部の皮膜のワレを生じやすくなり加工部の耐食性が低下
する。
【0010】コロイダルシリカとしては、アンモニウム
イオン吸着型あるいは酸化アルミニウム被覆型のうちの
少なくとも1種を用いる。アンモニウムイオンを吸着さ
せたコロイダルシリカは、特に亜鉛系めっき鋼板に対す
る親和性が高く、耐食性の向上効果が著しい。例えば、
「スノ−テックスN」、「スノ−テックスNS」、「ス
ノ−テックスNXS」(以上、日産化学工業社製)、
「アデライトAT−20N」(旭電化工業社製)などが
挙げられる。酸化アルミニウム被覆型のコロイダルシリ
カも同様の効果がある。例として、「アデライトAT−
20A」(旭電化工業社製)などが挙げられる。コロイ
ダルシリカの添加量は、固形分換算で10〜40重量%
であり、好ましくは25〜35重量%である。10%未
満の場合には耐食性が劣り、40%を越えても耐食性が
低下する。また塗装しにくくなる。
【0011】バナジン酸アンモニウムは、防錆効果が高
い。処理浴中に固形分重量換算で0.1〜10%配合さ
れる。0.1%未満では耐食性が不足し、10%を越え
ると液安定性に欠ける。本表面処理剤の特徴は、バンジ
ン酸アンモニウムとコロイダルシリカを併用した点にあ
る。バンジン酸アンモニウムは、コロイダルシリカの表
面に吸着して、相乗的に防錆効果が向上するものと考え
られる。特に、コロイダルシリカがアンモニウムイン吸
着型や酸化アルミニウム被覆型の場合に、吸着しやす
く、耐食性も向上する。
【0012】処理浴のpHは8〜10であることが好ま
しい。pHが8未満では、浴寿命が短くなる。pH10
を越えると、アルカリ分によって素地の溶解が生じて、
処理浴中に素地金属が溶出し、密着性や耐食性の低下を
招く恐れがある。また、浴安定性も低下することがあ
る。浴のpHを調整するため薬剤を加えることが可能で
ある。本発明の表面処理剤には、造膜性を向上させ、均
一で平滑な塗膜を形成するために公知の溶剤や造膜助剤
等を加えてもよい。たとえば、アルコール系、ケトン
系、エステル系、エーテル系のものをあげることができ
る。溶剤を加えることは、焼付け時に水が100℃で一
気に揮発することを防止して、ワキの発生を防止するこ
とにも役に立つ。
【0013】本発明の表面処理剤には、他の成分が配合
されていてもよい。たとえば、顔料、界面活性剤、添加
剤、シランカップリング剤等である。顔料としては、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化アルミ、カオリングレー、カー
ボンブラック、酸化鉄等の無機顔料や、シアニンブルー
等の有機顔料が例示される。シランカップリング剤とし
ては、例えばγーアミノプロピルトリメトキシシラン、
γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシ
プロピルトリエトキシシラン、Nー(2ー(ビニルベン
ジルアミノ)エチル)ー3ーアミノプロピルトリメトキ
シシラン等が挙げられる。
【0014】前述の表面処理剤は、公知の方法で鋼板上
に塗布され、乾燥、焼付けされることによって表面処理
皮膜が形成される。塗布の方法は特に限定されず、公知
の方法が使用できるが、例えば、ロールコート、吹き付
け、エアナイフ、スピンコート、カーテンコート、浸漬
塗布等の方法が挙げられる。必要に応じて、鋼板の表面
に公知の方法で前処理を施した後に、本発明の表面処理
剤を塗布することができる。たとえば、水洗、湯洗、ア
ルカリ脱脂、酸洗、研削、ブラッシング、溶剤脱脂等で
ある。
【0015】処理される鋼板としては、冷延鋼板、熱延
鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金元素がNi、Cr、Feの
いずれか1種類以上からなる亜鉛合金めっき鋼板、前述
の亜鉛めっきあるいは亜鉛合金めっき鋼板をベースにS
iO2 、TiO2 、ZrO2、BaCrO4 等の金属酸
化物を分散析出させる亜鉛系分散めっき鋼板、溶融亜鉛
めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛ーアルミ
合金めっき鋼板、ステンレス鋼板などが挙げられる。
【0016】表面処理剤の乾燥後の付着量は、特に限定
されないが、0.3〜10g/m2、さらに好ましくは
0.5〜5g/m2 が望ましい。0.3g/m2 未満で
は耐食性が確保できず、10g/m2 を越えると乾燥性
が低下する。また、エリクセン加工部の皮膜密着性や、
上塗り塗膜を塗装後のエリクセン加工部の塗膜密着性が
低下する。さらに、エリクセン加工部の耐食性が低下す
ることもある。
【0017】表面処理剤の乾燥、焼付けの条件は、特に
限定されないが、到達板温が50〜250℃、特に好ま
しくは80〜220℃であることが望ましい。50℃未
満では乾燥性が不十分となる。また250℃を越えると
硬化が進みすぎ、密着性に若干の低下傾向が見られる。
乾燥の方法も限定されないが、熱風加熱、誘導加熱、近
赤外線加熱、遠赤外線加熱、間接加熱等公知の方法が適
用できる。鋼板を予熱しておいて、熱時に塗布し、余熱
で乾燥させる方法でも良い。
【0018】本発明による表面処理剤で、同じ表面を多
数回処理することも可能である。すなわち、上述の方法
で1層目の皮膜を鋼板上に形成した後、さらに同様の方
法で2層目を形成する、というようにして多層の皮膜を
形成することも可能である。この場合には、乾燥後の付
着量は10g/m2 を越えても差し支えない。各層の形
成は、からなずしも同じ条件で行う必要はない。
【0019】
【実施例】本発明を実施例をもってさらに詳細に説明す
る。めっき付着量が片面当たり20g/m2 の板厚0.
8mmの電気亜鉛めっき鋼板をアルカリ脱脂剤「サーフ
クリーナー155」(日本ペイント社製)で60℃10
秒間脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、表1および表
2に示す組成の表面処理剤をロールコーターで塗布し、
熱風乾燥炉で乾燥した。皮膜の付着量と乾燥条件は表1
および表2中に示した。なお、処理剤のpH調整のため
にアミノアルコール2M−ABS(DMEA)(国産化
学社製)を必要に応じて使用した。処理液の安定性は良
好で、常温で3カ月間放置した後も、初期とほぼ同等の
品質を保持していた。また、めっき付着量が片面あたり
60g/m2 の板厚0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板、
めっき付着量が片面あたり40g/m2 の板厚0.8m
mの合金化溶融亜鉛めっき鋼板、めっき付着量が片面あ
たり20g/m2 の板厚0.8mmの亜鉛−ニッケル合
金めっき鋼板(ニッケル含有量11重量%)を原板とし
た表面処理鋼板も、同じ方法で評価した。表1および表
2中にめっき種類を表示した。EGは電気亜鉛めっき鋼
板、GIは溶融亜鉛めっき鋼板、GAは合金化溶融亜鉛
めっき鋼板、ZNは亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板であ
る。アクリルエマルジョンの製造例は以下の通りであ
る。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】攪拌機、コンデンサー、窒素導入管、2つ
の滴下ロート及び温度計を具備した3リットルのフラス
コに、ラジカル重合型アニオン性反応性乳化剤「アクア
ロンHS−10」(第一工業製薬社製)2g、ラジカル
重合型のアニオン性反応性乳化剤「アクアロンRN−5
0」(第一工業製薬社製、有効成分65%)6.2g、
及びイオン交換水300gを仕込んだ。また、イオン交
換水600gに「アクアロンHS−10」8g及び「ア
クアロンRN−50」24.8gを溶解した乳化剤水溶
液に、スチレン/メタアクリル酸メチル/アクリル酸2
ーエチルヘキシル/アクリル酸/アクリル酸4ーヒドロ
キシブチル/エチレングリコールジメタクリレート=3
00/290/295/10/100(重量比)のモノ
マー混合物を攪拌しながら添加して乳化させ、得られた
プレ乳化物を一方の滴下ロートに仕込んだ。もう一方の
滴下ロートには、イオン交換水300gに過硫酸アンモ
ニウム3gを溶解した開始剤水溶液を仕込んだ。
【0023】窒素雰囲気下でプレ乳化物の全量の1/1
0をフラスコ内に投入し、80℃に加熱した後、開始剤
水溶液の全量の1/4を仕込んで反応を開始させた。開
始剤を添加してから10分経過した後、残りのプレ乳化
物と残りの開始剤水溶液をそれぞれ120分、140分
かけて均一に滴下した。その後120分間80℃で攪拌
し、反応を終了させた。冷却後、アンモニア水で反応を
中和し、固形分45重量%のアクリルエマルジョンを得
た。表面処理剤は、固形分重量%が20%となる量の純
水と、コロイダルシリカ、バナジン酸アンモニウムを添
加して混合溶解させた。この溶解液に樹脂溶液を加え、
必要に応じてpH調整しながら攪袢して得た。コロイダ
ルシリカとしては、アンモニウムイオン吸着型として
「アデライトAT−20N」(旭電化工業社製)を、酸
化アルミニウム被覆型として「アデライトAT−20
A」(旭電化工業社製)を用いた。表1および表2中、
シリカの欄で「N」は前者を、「A」は後者を示してい
る。メラミン樹脂としてはサイメル327(三井サイテ
ック社製)を用いた。作成した表面処理鋼板について、
以下の評価を行った。
【0024】1.仕上がり外観 目視により処理膜の外観を判定し、評点をつけた。評点
は、5:均一、4:極く僅かにムラあり、3:部分的に
ムラあり、2:全体的にムラあり、1:全面にムラがひ
どい
【0025】2.表面処理皮膜の密着性 JIS K 5400の8.5.2に記載の碁盤目テー
プ法(すきま間隔1mm)によって判定した。また、J
IS K 5400の8.2に規定のエリクセン試験機
で7mm押し出した部分の皮膜の密着性を、テープ剥離
法によって調べ、評点をつけた。評点は、10:剥離な
し、8:5%以下の剥離面積、6:5%超10%以下の
剥離面積、4:10%超30%以下の剥離面積、2:3
0%超の剥離面積、とした。目視によって判定しにくい
場合には、メチルバイオレットの3%アセトン溶液で皮
膜を染色し、染色された部分には皮膜が存在し、染色さ
れない部分には皮膜が存在しない、として密着性を判定
した。処理膜の外観の評価についても同様である。
【0026】3.上塗り塗膜密着性 メラミンアルキッド塗料であるオルガセレクト100
(日本ペイント社製)を乾燥膜厚25μmとなるように
スプレーで塗布して150℃20分熱風炉で乾燥焼付け
後、2と同様の方法で密着性を確認した。また、塗膜に
碁盤目を入れてから、碁盤目を入れた部分をJIS K
5400の8.2に規定のエリクセン試験機で7mm
押し出した後に、碁盤目を入れた部分を2と同様な方法
でテープ剥離して、塗膜の密着性を調べた。また、表面
処理鋼板を沸騰水に30分浸漬し24時間放置した後
に、上述の方法でアミラック塗膜を塗装した後の塗膜の
密着性を調べた。
【0027】4.耐指紋性 表面処理鋼板の皮膜に指紋を付着させ、指紋の見えやす
さを目視で判定し、評点をつけた。評点は、5:指紋跡
が見えない、4:極くわずかに指紋跡が見える、3:指
紋跡が見える、2:指紋跡が目立つ、1:指紋跡が非常
に目立つ、とした。
【0028】5.耐結露性 蒸留水の水滴を表面処理鋼板の皮膜面に滴下し、1日放
置して水を乾燥させた後に跡残りを目視で判定し、評点
をつけた。評点は、5:跡残りなし、4:極くわずかに
跡残りあり、3:跡残りがある、2:跡残りが目立つ、
1:跡残りが非常に目立つ、とした。
【0029】6.耐食性(SST) 平板(切断ままの鋼板の端面部と裏面部をシール)と、
エリクセン7mm加工部(エリクセン試験機で7mm押
し出した鋼板の端面部と裏面部をシール)について、塩
水噴霧試験(JIS Z 2371に規定されるもの)
を行い、発生した白錆の発生面積率(%)を目視で求め
た。
【0030】7.耐溶剤性 プレス油をカーゼに染み込ませて表面処理鋼板の皮膜上
に塗布し、この油をエタノールまたは灯油を染み込ませ
たガーゼでふき取り、皮膜の跡残りを目視で判定して評
点をつけた。油汚れ等をきれいにするために、灯油やエ
タノールといった溶剤でふき取る作業が行われることが
あり、このときにこれらの溶剤で皮膜が損傷を受けない
かどうかを評価するための試験である。評点は、5:跡
残りなし、4:極くわずかに跡残りあり、3:跡残りが
ある、2:跡残りが目立つ、1:跡残りが非常に目立
つ、とした。
【0031】評価結果を表1および表2に示した。比較
した無機クロメート処理は、還元率40%のクロム酸
に、シリカ(スノーテックスO、日産化学工業社製)を
クロム酸/シリカ=1/3(固形分重量比)となるよう
に加えた処理剤を用い、エアナイフでCrとして付着量
を50mg/m2 に調整し、乾燥板温60℃で乾燥した
ものを用いた(比較例No48)。また、固形分換算で
オレフィン系樹脂67重量%に、防錆剤としてクロム酸
ストロンチウムを5%、スノーテックスNを28%加え
た処理剤を、乾燥後の付着量が1.0g/m2 となるよ
うにロールコーターで塗布し、到達板温150℃で乾燥
した表面処理鋼板も比較として用いた(比較例No4
7)。
【0032】実施例においては、比較に試験を行った無
機クロメート処理やバナジン酸アンモニウムの替わりに
クロム酸ストロンチウムを加えた処理に比べて、耐結露
性が良好で、皮膜付着量の少ない実施例No1、2や、
乾燥板温が50℃とやや低い水準のNo7、バナジン酸
アンモニウム量やシリカ量が少ない水準のNo10、2
6、27を除くと耐食性は同等以上であることがわか
る。No1、2、10、26、27も、上塗り密着性、
耐結露性は6価クロム含有の処理に比べて優れており、
また耐食性のレベルも塩水噴霧240時間ではクロム系
防錆剤を含む比較例に劣るものの、72時間までの範囲
では同等の性能を有しており、実用できるものである。
【0033】これに対し、本発明の範囲に無い例とし
て、樹脂量が少ない比較例No36では密着性や耐食性
が不良であり、メラミン樹脂量が少ない比較例No37
では耐食性と耐溶剤性が悪く、シリカ量が多い比較例N
o38では密着性、耐食性が不良であり、シリカ量が少
ない比較例No39、40では耐食性が不良であり、V
a酸アンモニウムが多い比較例No41では加工性、加
工部耐食性が不良であり、Va酸アンモニウムが少ない
比較例No42では密着性、耐食性が不良であり、樹脂
Tgが低い比較例No43では耐食性、耐溶剤性が不良
であり、樹脂Tgが高い比較例No44では加工部耐食
性が悪く、処理剤のpHが低い比較例No45では浴安
定性が不良であり、処理剤のpHが高い比較例No46
では耐食性と密着性が悪い。比較例No47と48は前
述の通り6価クロムを含んでいる。原板のめっき種類を
変更した水準においても、本発明によれば耐食性、耐結
露性、上塗り塗膜密着性に優れた表面処理鋼板が得られ
る。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明による表面処理剤
及び表面処理鋼板は、特定のアクリル樹脂に6価クロム
を含まないバナジン酸アンモニウムとシリカを組み合わ
せることによって、従来のクロメート処理やクロム系防
錆顔料含有の処理剤や処理皮膜に比べて、耐結露性に優
れ、ほぼ同等の耐食性を備えている。すなわち、低公害
で防錆能に優れた表面処理剤、表面処理鋼板を提供す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 壁屋 元生 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 小堀 哲 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 滝本 政輝 大阪府大阪市北区大淀北2丁目1番2号 日本ペイント株式会社大阪事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点20〜70℃のアクリルエ
    マルジョンを固形分換算で50〜85.9重量%と、イ
    ミノ基含有のメチル化メラミン樹脂を固形分換算で4〜
    10重量%と、アンモニウムイオンを吸着させたコロイ
    ダルシリカまたは酸化アルミニウムで被覆されたコロイ
    ダルシリカのうちの少なくとも1種を固形分換算で10
    〜40重量%と、バナジン酸アンモニウムを固形分換算
    で0.1〜10重量%とを含有し、pHが8〜10であ
    ることを特徴とする水系表面処理剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水系表面処理剤を固形
    皮膜とし、固形皮膜の付着量が0.3〜10g/m2
    あることを特徴とする表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の水系表面処理剤を鋼板
    上に塗布し、到達板温50〜250℃となる条件で乾燥
    焼付けることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
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