JPH11310489A - ガス発生剤用燃料及びガス発生剤組成物 - Google Patents

ガス発生剤用燃料及びガス発生剤組成物

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JPH11310489A
JPH11310489A JP12020698A JP12020698A JPH11310489A JP H11310489 A JPH11310489 A JP H11310489A JP 12020698 A JP12020698 A JP 12020698A JP 12020698 A JP12020698 A JP 12020698A JP H11310489 A JPH11310489 A JP H11310489A
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fuel
generating agent
gas
generating composition
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JP12020698A
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Hiroshi Yamato
洋 大和
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス発生器の小型化及び低価格化が達成でき
るガス発生剤組成物を得る。 【解決手段】 ポリビニルアミン、ポリエチレンイミ
ン、ポリアリルアミン、これらの硝酸塩、亜硝酸塩、過
塩素酸塩、塩素酸塩及びこれらを含有する金属錯体から
選ばれる1種以上を含有するガス発生剤用燃料と酸化剤
を含有するガス発生剤組成物。ガス発生剤用燃料は、燃
料とバインダーの2つの作用をなすため、バインダーを
別途添加する必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、航空機等
に搭載される人体保護のためのエアバグシステムにおい
て作動ガスとなるガス発生剤の燃料及びバインダーとし
て用いることができるガス発生剤用燃料に関する。また
本発明は、前記ガス発生剤用燃料を用いるガス発生剤組
成物に関する。さらに本発明は、前記ガス発生剤用燃料
又はガス発生剤組成物を用いるインフレータシステムに
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、エアバッグシステムに用いられて
いるガス発生剤の燃料成分としては、アジ化ナトリウム
が周知である。アジ化ナトリウムを用いたガス発生剤
は、分解温度が400℃以上と高く耐熱性が優れている
し、またその燃焼特性に関して特に問題が無く、広く実
用に供せられている。しかし、アジ化ナトリウムは、例
えば、重金属との反応により爆発性化合物を生成するほ
か、マウスやラットの経口毒性LD50が27mg/kgであ
ること等のために、大量廃棄時に心配される環境汚染問
題があることが知られている。
【0003】これらの問題を解決する手段として、アジ
化ナトリウムに替わる化合物が検討されている。例え
ば、特公平6−57629号公報には、テトラゾール、
トリアゾールの遷移金属錯体を含むガス発生剤が開示さ
れ;特開平5−254977号公報には、トリアミノグ
アニジン硝酸塩を含むガス発生剤が開示され;特開平6
−239683号公報には、カルボヒドラジドを含むガ
ス発生剤が開示され;特開平7−61885号公報には
酢酸セルロースと過塩素酸カリウム及び窒素含有非金属
化合物を含むガス発生剤が開示され;USP5,12
5,684には、15〜30%のニトロセルロース等の
セルロース系バインダーとエネルギー物質を含有するガ
ス発生剤が開示され;特表平9−503194号公報に
は、トリアミノグアニジン硝酸塩と相安定化した硝酸ア
ンモニウムを含むガス発生剤が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の非アジ
化ナトリウム系ガス発生剤は、それぞれ何らかの問題点
を持っており、さらに改善が求められている。例えば、
テトラゾール、トリアゾールの遷移金属錯体を含むガス
発生剤は、燃焼後、フィルターで濾過しがたい低融点の
銅や亜鉛が生成するし、トリアミノグアニジン硝酸塩は
非常に感度が高く危険なためガス発生剤の製造が困難で
ある。カルボヒドラジド、トリアミノグアニジン硝酸塩
やニトロセルロースを含むガス発生剤は、耐熱性が悪く
(例えば、カルボヒドラジドの分解温度は約150℃、
ニトロセルロースの分解温度は約170℃、トリアミノ
グアニジン硝酸塩の分解温度は約230℃)、長期にわ
たる使用において問題があり、酢酸セルロースと過塩素
酸カリウム及び窒素含有非金属化合物を含むガス発生剤
は、燃焼温度が非常に高く、ガスの冷却が困難である。
【0005】元来、非アジ化ナトリウム系ガス発生剤
は、アジ化ナトリウムの本質的に好ましくない欠点を改
善することが第一目的であった。しかし自動車の安全装
備としてエアバッグの標準化が進行し、現在ではさら
に、エアバッグ用インフレータはこれまでに量産され使
用されてきたものに比べて、かなりの小型化及び低価格
化が求められている。従って、アジ化ナトリウム系ガス
発生剤の本質的に好ましくない問題点の改善と共に、ガ
ス発生器の小型化及び低価格化という要求を合わせて実
現するためには、ガス発生剤は、毒性、耐熱性、ガス発
生効率、燃焼温度、燃焼残渣の濾過性、燃焼残渣量、燃
焼速度、安全性、密度、燃焼後ガス組成等の各特性にお
いて、適切なバランスを保持していなくてはならない。
【0006】このような小型化及び低価格化を達成する
手段としては、新たな製造原料の開発や原料コストを低
下させることが考えられる。よって、かかる点を考慮
し、ガス発生剤が通常は燃料、酸化剤、バインダーから
構成されていることを考え合わせると、燃料とバインダ
ーを一つの成分、例えば、高分子化合物のような粘着性
を有する成分により構成する方法が考えられる。しか
し、火薬に使用されている高分子化合物で高い燃焼性を
持ったものとしてはニトロセルロースが知られている
が、ニトロセルロースは耐熱性が悪いため、エアバッグ
等のように長期にわたる厳しい品質保証が要求される場
合には適当ではない。その他、グリシジルアジドポリマ
ー(GAP)も燃焼性の高い高分子化合物であるが、こ
れは常温で液体であり、一般に可塑剤として使用される
ことが多いものである。このような液体成分を含むガス
発生剤は、高温下で液体の気化による重量減少が見られ
たり、ガス発生剤成型物同士が粘着したりするという問
題がある。よって、使用は最小量としなければならず、
エアバッグ用ガス発生剤に適用するには好ましい成分と
はいえない。
【0007】そこで本発明は、アジ化ナトリウム系ガス
発生剤の問題点を解決し、特にガス発生器の小型化及び
低価格化という要求を満たすため、前記した各特性をバ
ランスよく具備し、ガス発生剤組成物の燃料及びバイン
ダーとして用いることができるガス発生剤用燃料を提供
することを目的とする。また、本発明は、前記ガス発生
剤用燃料を用いるガス発生剤組成物を提供することを他
の目的とする。さらに、本発明は、前記ガス発生剤用燃
料又はガス発生剤組成物を用いるエアバッグ用インフレ
ータシステムを提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、燃料として優れた燃焼性を有し、しかも水
等に可溶で、溶液が粘着性を有しており、これらの性質
がガス発生剤の燃料及びバインダーとして好適である化
合物群を見出し、本発明を完成した。
【0009】即ち本発明は、ポリビニルアミン、ポリエ
チレンイミン、ポリアリルアミン、これらの硝酸塩、亜
硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩及びこれらを含有する金
属錯体から選ばれる1種以上を含有することを特徴とす
るガス発生剤用燃料を提供する。また本発明は、前記ガ
ス発生剤用燃料と酸化剤を含有することを特徴とするガ
ス発生剤組成物を提供する。さらに本発明は、前記ガス
発生剤用燃料又はガス発生剤組成物を用いることを特徴
とするエアバッグ用インフレータシステムを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のガス発生剤用燃料は、燃
料としての作用をなすと共に、水や有機溶媒に可溶性
で、溶液が粘着性を有するためにバインダーとしての作
用もなすものである。
【0011】ガス発生剤用燃料は、ポリビニルアミン、
ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、これらの硝酸
塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩及びこれらを含有
する金属錯体から選ばれる1種以上を含有するものであ
る。
【0012】ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、
ポリアリルアミンはいずれもアミノ基を有しており、酸
化能を持った硝酸、亜硝酸、過塩素酸、塩素酸との反応
で、高い燃焼性を有する硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸
塩、塩素酸塩を形成する。また、アルカリ土類金属イオ
ンや遷移金属イオン(マグネシウム、ストロンチウム、
銅、亜鉛イオン等)に配位し、高分子金属錯体となり、
これらも高い燃焼性を有する硝酸、亜硝酸、過塩素酸、
塩素酸イオンを含むことができる。
【0013】本発明のガス発生剤用燃料は、必要に応じ
て、公知の成型法を適用し、所望の形状に成型すること
ができる。
【0014】本発明のガス発生剤組成物は、上記のガス
発生剤用燃料、酸化剤及び必要に応じてその他の成分を
含有しているものである。
【0015】ガス発生剤用燃料としては上記のものを用
いるが、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに一般
にガス発生剤の燃料として用いられている他の含窒素化
合物を配合することができる。ただし、ガス発生剤組成
物に含まれる燃料全体としては、本発明のガス発生剤用
燃料の含有量が、25〜100重量%であることが好ま
しく、50〜100重量%であることが特に好ましい。
【0016】この含窒素化合物としては、5−アミノテ
トラゾール等のテトラゾール誘導体、ビテトラゾール誘
導体、トリアゾール誘導体、ジシアンジアミド、ニトロ
グアニジン、硝酸グアニジン等のグアニジン誘導体、オ
キサミド、シュウ酸アンモニウム、アゾジカルボンアミ
ド、ヒドラゾジカルボンアミド等を挙げることができ
る。
【0017】ガス発生剤組成物中におけるガス発生剤用
燃料の含有量(他の含窒素化合物を配合した場合にはそ
れも含む量)は、好ましくは10〜100重量%であ
り、特に好ましくは20〜100重量%である。
【0018】酸化剤としては、酸素酸塩、金属酸化物及
び金属複酸化物から選ばれる1種以上を挙げることがで
きる。
【0019】酸素酸塩としては、アンモニウム、アルカ
リ金属及びアルカリ土類金属から選ばれたカチオンと、
硝酸、亜硝酸、塩素酸及び過塩素酸から選ばれる水素を
含まないアニオンとからなるものを挙げることができ
る。
【0020】このような酸素酸塩としては、例えば、硝
酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸
マグネシウム、硝酸ストロンチウム等の硝酸のアンモニ
ウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;亜硝
酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、
亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ストロンチウム等の亜硝酸
のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金
属塩;塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸
カリウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム等の塩
素酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土
類金属塩;過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウ
ム、過塩素酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素
酸バリウム等の過塩素酸のアンモニウム塩、アルカリ金
属塩又はアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0021】金属酸化物及び金属複酸化物としては、
銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、モリブ
デン及びビスマスの酸化物又は複酸化物を挙げることが
できる。
【0022】このような金属酸化物及び金属複酸化物と
しては、例えば、CuO、Cu2O、Co23、Co
O、Co34、Fe23、FeO、Fe34、Mn
2、Mn23、Mn34、NiO、ZnO、MoO3
CoMoO4、Bi2MoO6又はBi23を挙げること
ができる。
【0023】また、酸化剤は、ガス発生剤組成物に付与
しようとする特性に応じて、適宜選択して用いることが
できる。例えば、燃焼残渣の濾過が容易で、燃焼速度が
速いことを主目的とする場合は、硝酸ストロンチウムを
中心とした組成が非常に優れており;燃焼温度が低く、
燃焼速度が速いことを主目的とする場合は、硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウムを中心とした組成が非常に優れてお
り;ガス発生効率が非常に高く、燃焼温度が低く、燃焼
残渣がほとんど発生しないことを主目的とする場合は、
硝酸アンモニウムを中心とした組成が非常に優れてい
る。
【0024】さらに、酸化剤としては、硝酸カリウムで
相安定化された硝酸アンモニウム又は過塩素酸カリウム
で相安定化された硝酸アンモニウムを用いることができ
る。ここで、相安定化の方法としては、硝酸カリウムや
過塩素酸カリウムを硝酸アンモニウムに加え、これらを
水に溶解させ、乾燥させる方法を適用することができる
(例えば、WO 95/04710の10頁10〜17
行目、USP5,545,272の5頁42〜47行目
参照)。硝酸アンモニウムを酸化剤として用いた場合は
燃焼残渣量を極小化できるために好ましいが、一方で、
多くの相転移点を持っているため温度サイクルをかける
と容易に成型物が崩壊するという性質を有している。そ
こで、上記のように相安定化をなすことにより、成型物
の崩壊を防止できる。また、上記の相安定化法のほかに
も、約2重量%以上の結合剤を加えることによっても相
転移による成型物の崩壊を防止できる場合もある。
【0025】ガス発生剤組成物中における酸化剤の含有
量は、好ましくは2〜90重量%であり、特に好ましく
は3〜80重量%である。
【0026】本発明のガス発生剤組成物には、さらに塩
素中和剤を配合することができる。この塩素中和剤を配
合することにより、ガス発生剤用燃料としてポリビニル
アミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンの過塩
素酸塩又は塩素酸塩を用いた場合において、燃焼時に塩
化水素ガスや塩素ガス等が発生したときにそれらを中和
して人体に対する悪影響を防止することができる。
【0027】塩素中和剤としては、アルカリ金属及びア
ルカリ土類金属から選ばれる1種以上のカチオンを含む
化合物を挙げることができる。このような化合物として
は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、ケイ
酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、過酸化物又は酸化物、例え
ば、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、硝酸ナトリウ
ム、シュウ酸ナトリウム、過酸化ストロンチウム、過酸
化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウ
ム、酸化カルシウムを挙げることができる。
【0028】ガス発生剤組成物中における塩素中和剤の
含有量は、好ましくは5〜50重量%であり、特に好ま
しくは10〜40重量%である。
【0029】本発明のガス発生剤組成物には、さらにス
ラグ形成剤を配合することができる。このスラグ形成剤
としては、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ
土、カオリン、シリカ、アルミナ、ケイ酸ナトリウム、
窒化ケイ素、炭化ケイ素、ヒドロタルサイト及びこれら
の混合物から選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0030】ガス発生剤組成物中におけるスラグ形成剤
の含有量は、好ましくは1〜15重量%であり、特に好
ましくは3〜12重量%である。
【0031】本発明のガス発生剤組成物においては、ガ
ス発生剤用燃料自体がバインダーとしての作用をなすた
め、通常のガス発生剤組成物のように成型用としてのバ
インダーの配合は不要である。しかし、必要に応じて、
公知のバインダー成分を配合することを排除するもので
はない。公知のバインダー成分としては、カルボキシル
メチルセルロースのナトリウム塩、デンプン、ポリビニ
ルアルコール、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミ
ド、ステアリン酸カルシウム等の有機結合剤、二硫化モ
リブデン、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ
土、カオリン、シリカ、アルミナ、ケイ酸ナトリウム等
の無機結合剤を挙げることができる。
【0032】本発明のガス発生剤組成物は、ガス発生剤
用燃料、酸化剤等を粉末状で混合する乾式法又は水や有
機溶剤等の存在下で混合する湿式法により製造すること
ができるが、ガス発生剤用燃料自体がバインダー能を有
しているので、水や有機溶剤等の存在下、湿式法で行う
ことが好ましい。
【0033】また、本発明のガス発生剤組成物は、所望
の形状に成型することもできる。例えば、打錠機を用い
て圧縮成型してペレットにしたり、ディスク成型機を用
いて圧縮成型してディスクにしたり、ペレットやディス
クを粉砕するか又はグラニュレータを用いて顆粒にした
り、圧伸機(押出成型機)を用いて押出成型して圧伸薬
(無孔、単孔、多孔)にしたりすることができるが、ガ
ス発生剤用燃料のバインダー能を活用する観点からは、
前記の押出成型法を適用するほか、圧延してフィルム状
又は板状に成型することが好ましい。
【0034】これらの成型方法は、ガス発生剤組成物の
成型品に対して付与しようとする性質等に応じて適宜選
択することができる。例えば、押出成型法を適用した場
合、ウェブが薄いものを成型することが圧縮成型法より
も容易であるので、燃焼速度の遅い組成でも成型品を得
ることができる。さらに、押出成型法は成型が比較的短
時間ですむため大量生産に向いている。また、燃焼速度
が速い組成の場合は成型品のサイズを大きくできるため
に、より製造効率を上げることができる。そのほか、押
出成型法を適用した場合には、無孔、単孔、多孔等の複
雑な形状の成型品を製造できるため、種々の燃焼特性を
付与することができる。
【0035】本発明のガス発生剤用燃料又はガス発生剤
組成物は、自動車、航空機等に搭載される人体保護のた
めに供せられるエア−バッグシステムのインフレータシ
ステム用のガス発生剤として有用である。
【0036】本発明のインフレータシステムは、上記し
たガス発生剤用燃料又はガス発生剤組成物を含有するも
のである。インフレータシステムにはガスの供給がガス
発生剤からだけであるパイロタイプと、アルゴン等の圧
縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプが
あるが、どちらのタイプであってもよい。
【0037】また、本発明のインフレータシステムは、
***やスクイブのエネルギーをガス発生剤に伝えるため
のエンハンサ剤(又はブースター)等と呼ばれる着火剤
として、上記したガス発生剤用燃料又はガス発生剤組成
物を用いることもできる。エンハンサ剤として用いる場
合も、上記したような粉体、顆粒、ペレット、無孔圧伸
薬、単孔圧伸薬、多孔圧伸薬等の適当な形状に成型した
ものを用いることができる。
【0038】本発明のガス発生剤用燃料又はガス発生剤
組成物は、ガス発生能を必要とするいかなる装置にも使
用することができ、上記したエア−バッグシステムのイ
ンフレータシステムのほかにも、発射薬、ロケット推進
薬等に用いることができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定
されるものではない。
【0040】実施例1(ガス発生剤用燃料の製造) ポリビニルアミン過塩素酸塩の製造を行った。ポリビニ
ルアミン(三菱化学(株)製)の12重量%水溶液100
gを300mlビーカーに入れた。ポリビニルアミン水
溶液は、黄色、高粘性(粘度約10000cP)でpH
>11であった。撹拌しやすいようにしばらく加熱し、
粘性を下げた後に加熱を止めた。そして、撹拌しなが
ら、過塩素酸の60%水溶液60gを前記の水溶液に徐
々に加えた。反応中は発熱し、最終的にpHは約4を示
した。約30分撹拌した後、貧溶媒(メタノール)を約
100ml加え、一晩放置した。ポリビニルアミン過塩
素酸塩が沈殿分離した後、上澄み液を捨て、沈殿物をシ
リカゲル入りの減圧デシケータ中で約50時間乾燥し
た。得られたポリビニルアミン過塩素酸塩は32gで、
収率は80%であった。
【0041】実施例2(ガス発生剤用燃料の製造) ポリビニルアミン硝酸塩の製造を行った。ポリビニルア
ミン(三菱化学(株)製)の12重量%水溶液3gを50
mlビーカーに入れた。ポリビニルアミン水溶液は、黄
色、高粘性でpH>11であった。そして、撹拌しなが
ら、硝酸の70%水溶液1.5mlを前記の水溶液に徐
々に加えた。硝酸を加えると白色沈殿物が生成し粘性が
上がるので、しばらく加熱して全てを溶解させた。最終
的にpHは約5を示した。約30分撹拌した後、貧溶媒
(メタノール)を約10ml加え、しばらく放置した。
ポリビニルアミン硝酸塩が沈殿分離した後、上澄み液を
捨て、沈殿物をシリカゲル入りの減圧デシケータ中で約
24時間乾燥した。得られたポリビニルアミン硝酸塩は
0.8gで、収率は90%であった。
【0042】実施例3 ガス発生剤用燃料としてのポリビニルアミン過塩素酸塩
の酸素中での燃焼熱と、燃焼熱の値を用いて生成熱を求
めた。燃焼熱は30kgf/cm2の圧力下で測定し
た。その結果、燃焼熱は3027cal/gであり、生成熱
は372.8cal/gであった。
【0043】実施例4、5 ガス発生剤用燃料としてのポリビニルアミン過塩素酸塩
(実施例4)又はポリビニルアミン硝酸塩(実施例5)
の理論発生ガス量と、ガス発生剤用燃料が1molのガス
を発生するときに生成する燃焼残渣の量を求めた。その
結果、実施例4の発生ガス量は4.2mol/100g、発生
ガス量当たりの燃料残渣量は0.0g/molであり、実施
例5の発生ガス量は5.5mol/100g、発生ガス量当た
りの燃料残渣量は0.0g/molであった。
【0044】実施例6 ガス発生剤用燃料としてのポリビニルアミン過塩素酸塩
の燃焼速度を求めた。燃焼速度は70kgf/cm2
圧力下で測定した。その結果、燃焼速度は4.6mm/sec
であった。酸化剤なしでも高い燃焼速度を有しており、
着火時に着火遅れは見られず、着火性も良かった。
【0045】実施例7、8 ガス発生剤用燃料としてのポリビニルアミン(実施例
7)、ポリビニルアミン硝酸塩(実施例8)の熱分析
(TG−DTA)を行い、分解開始温度を求めた。その
結果、実施例7の分解開始温度は286.2℃であり、
実施例8の分解開始温度は301.8℃であった。非ア
ジド系ガス発生剤燃料として公知の5−アミノテトラゾ
ールの分解温度は約200℃、ニトログアニジンは約2
30℃、トリアミノグアニジン硝酸塩は約230℃、カ
ルボヒドラジドは約150℃であることからも明らかな
とおり、本発明のガス発生剤用燃料は、分解開始温度が
高いので長期安定性が優れていることが確認された。
【0046】実施例9〜17、比較例1〜3 表1に示す組成のガス発生剤組成物を、水を用いた湿式
法により製造した。これらのガス発生剤組成物の理論発
生ガス量と、ガス発生剤組成物が1molのガスを発生す
るときに生成する燃焼残渣の量を求めた。なお、比較例
1として特表平9−501137号公報に記載のガス発
生剤を用い、比較例2として特開平4−265292号
公報記載のガス発生剤を用い、比較例3として特開平6
−239683号公報に記載のガス発生剤を用いた。結
果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例のガス発生剤の発生ガス量は多く、
燃焼残渣量はこれまでに開示されている多くのガス発生
剤のものより少ない傾向が認められた。
【0049】実施例18〜22 実施例9〜13のガス発生剤組成物を、押出成型機(丸
七鉄工所(株)製の油圧成型機,型式MTV)を用いて、
無孔、単孔及び多孔の圧伸薬を製造した。成型性は、公
知のバインダー成分を用いた場合と同様に良好であっ
た。
【0050】実施例23〜26 実施例14〜17のガス発生剤組成物を、圧延機(井上
製作所(株)製のミキシングロール,型式RMX−6E)
を用いて、厚さ1.0mmのフィルム状に成型した。成型
性は、公知のバインダー成分を用いた場合と同様に良好
であった。
【0051】
【発明の効果】本発明のガス発生剤用燃料は、生成熱が
大きく、着火性も優れており、分解開始温度も高く、し
かも、ガス発生剤用燃料はバインダー能も有している。
そして、ガス発生剤用燃料を用いたガス発生剤組成物
は、発生ガス量が多く、単位発生ガス量当たりの燃焼残
渣量が少ない。さらに、分解開始温度が高いので長期安
定性焼性も優れている。よって、本発明のガス発生剤用
燃料又はガス発生剤組成物を用いることにより、ガス発
生器の小型化及び低価格化が達成できるようになる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C06B 31/28 C06B 31/28 43/00 43/00 C06D 5/06 C06D 5/06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアミン、ポリエチレンイミ
    ン、ポリアリルアミン、これらの硝酸塩、亜硝酸塩、過
    塩素酸塩、塩素酸塩及びこれらを含有する金属錯体から
    選ばれる1種以上を含有することを特徴とするガス発生
    剤用燃料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたガス発生剤用燃料
    を用いることを特徴とするエアバッグ用インフレータシ
    ステム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載されたガス発生剤用燃料
    をエンハンサ剤として用いることを特徴とするエアバッ
    グ用インフレータシステム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のガス発生剤用燃料と酸化
    剤を含有することを特徴とするガス発生剤組成物。
  5. 【請求項5】 酸化剤が、酸素酸塩、金属酸化物及び金
    属複酸化物から選ばれる1種以上である請求項4記載の
    ガス発生剤組成物。
  6. 【請求項6】 酸素酸塩が、アンモニウム、アルカリ金
    属及びアルカリ土類金属から選ばれるカチオンと、硝
    酸、亜硝酸、塩素酸又は過塩素酸から選ばれる水素を含
    まないアニオンとからなるものである請求項4又は5記
    載のガス発生剤組成物。
  7. 【請求項7】 金属酸化物及び金属複酸化物が、銅、コ
    バルト、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、モリブデン及
    びビスマスの酸化物又は複酸化物である請求項4又は5
    記載のガス発生剤組成物。
  8. 【請求項8】 酸化剤が、硝酸ストロンチウム、硝酸ナ
    トリウム、硝酸カリウム又は硝酸アンモニウムである請
    求項4〜7のいずれか1記載のガス発生剤組成物。
  9. 【請求項9】 酸化剤が、硝酸カリウムで相安定化され
    た硝酸アンモニウム又は過塩素酸カリウムで相安定化さ
    れた硝酸アンモニウムである請求項4〜8のいずれか1
    記載のガス発生剤組成物。
  10. 【請求項10】 さらに塩素中和剤を含有する請求項4
    〜9のいずれか1記載のガス発生剤組成物。
  11. 【請求項11】 さらにスラグ形成剤を含有する請求項
    4〜9のいずれか1記載のガス発生剤組成物。
  12. 【請求項12】 請求項4〜11のいずれか1に記載さ
    れたガス発生剤組成物を用いることを特徴とするエアバ
    ッグ用インフレータシステム。
  13. 【請求項13】 請求項4〜11のいずれか1に記載さ
    れたガス発生剤組成物をエンハンサ剤として用いること
    を特徴とするエアバッグ用インフレータシステム。
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