JPH11303677A - Ｄｏｈｃ型内燃機関におけるシリンダヘッドカバーの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダヘッドカバー９の上面の左右両側に
脹らみ部１２，１３を設けて、その間の谷間１８内の部
分に、各気筒ごとの点火コイル２０を配設した場合に、
前記谷間１８内の部分に溜まる水が一方の脹らみ部を横
断する溝部２４から流出するまでの間において、各点火
コイル及びシリンダヘッドカバー内に侵入することを防
止する。 【手段】 前記シリンダヘッドカバーの谷間１８内に、
内部が前記シリンダヘッドの上面に開口する点火栓挿入
孔２７に連通するパイプ体１９を、当該パイプ体の下端
面１９ａがシリンダヘッドカバー９のシリンダヘッド４
に対する取付けと同時にシリンダヘッド４の上面４ａに
密接し、上端１９ｂが前記谷間における内底面より突出
するように一体的に設けて、このパイプ体の上端に、前
記点火コイル２０を取付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダヘッドの
上面に、吸気弁用のカム軸と排気弁用カム軸とを平行に
配設して成るいわゆるＤＯＨＣ型の内燃機関において、
前記シリンダヘッドの上面に、前記両カム軸を覆うよう
に取付けられるシリンダヘッドカバーの構造に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種のＤＯＨＣ型の内燃機関
においては、シリンダヘッドカバーのうち左右両側にお
ける両カム軸の略真上の部分に、上向きに突出する脹ら
み部を、当該両脹らみ部がカム軸の軸方向に伸びるよう
に一体的に設けて、この両脹らみ部の内部を、シリンダ
ヘッドカバーにおけるブローバイガスを抽出するときに
おける気液分離室に構成する一方、前記シリンダヘッド
カバーの上面のうち前記両脹らみ部間における谷間の部
分に各気筒ごとに点火コイルを設けるように構成してい
る。

【０００３】しかし、このように構成すると、各気筒ご
との点火コイルを、その両側における脹らみ部にて確実
に保護することができるものの、前記シリンダヘッドカ
バーに水を被ったとき、両脹らみ部の間における谷間の
部分に水が溜まることになる。そこで先行技術としての
特開平８−３１２４５５号公報は、前記した構成におい
て、両脹らみ部のうち少なくとも一方の脹らみ部に、両
脹らみ部間の谷間から当該一方の脹らみ部を横断してシ
リンダヘッドカバーの側面に開放する溝部を設けること
により、前記谷間の部分に溜まり水を、この溝部から逐
次流出するように構成することを提案している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この先行技
術のものは、シリンダヘッドの上面に開口する点火栓装
着孔に、上向きに延びるパイプ体を固着し、このパイプ
体の上端を、前記シリンダヘッドカバーを貫通し、この
上端に前記点火コイルを取付けると言う構成にしている
ことにより、前記谷間に入った水が、溝部から流出する
までの間において、前記パイプ体がシリンダヘッドカバ
ーを貫通する部分から当該パイプ体内、及び、パイプ体
の外側における動弁機構室、つまり、シリンダヘッドカ
バー内に侵入するおそれが大きいと言う問題があるばか
りか、シリンダヘッド側に点火栓に対するパイプ体を固
着することは、それだけ部品点数及び組立工数が増大す
ると言う問題もあった。

【０００５】本発明は、これらの問題を解消したシリン
ダヘッドカバーの構造を提供することを技術的課題とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「シリンダヘッドの上面に吸気弁用カ
ム軸及び排気弁用カム軸を覆うように取付けたシリンダ
ヘッドカバーにおける天井板のうち前記両カム軸の略真
上の部分に、上向きに突出する脹らみ部を、当該両脹ら
み部が両カム軸の軸方向に延びるように一体的に設け、
且つ、前記シリンダヘッドカバーの上面のうち前記両脹
らみ部間の谷間の部分に、各気筒ごとの点火コイルを設
ける一方、前記両脹らみ部のうち少なくとも一方の脹ら
み部に、前記両脹らみ部間の谷間から当該一方の脹らみ
部を横断してシリンダヘッドカバーの側面に開放する溝
部を設けて成るＤＯＨＣ型内燃機関において、前記シリ
ンダヘッドカバーにおける谷間内のうち各気筒の箇所
に、内部が前記シリンダヘッドの上面に開口する点火栓
挿入孔に連通するパイプ体を、当該パイプ体の下端面が
シリンダヘッドカバーのシリンダヘッドに対する取付け
と同時にシリンダヘッドの上面に密接し、上端が前記谷
間における内底面より突出するように一体的に設けて、
このパイプ体の上端に、前記点火コイルを取付ける。」
と言う構成にした。

【０００７】

【発明の作用・効果】このように、両脹らみ部間におけ
る谷間の部分に点火コイルを取付けるためのパイプ体
を、シリンダヘッドカバーと一体化したことにより、従
来のように、前記パイプ体がシリンダヘッドカバーを貫
通する部分からシリンダヘッドカバー内の動弁機構室内
に水が侵入するおそれを無くすることができると共に、
部品点数を少なくできる。

【０００８】また、前記パイプ体の上端を、前記谷間に
おける内底面から突出して、この上端に、前記点火コイ
ルを取付けたことにより、前記谷間の底に溜まった水が
前記溝部から流出するまでの間において、前記パイプ体
内にその上端から流入すること、及び点火コイルの内部
にその空気抜き孔から侵入することを確実に防止できる
のである。

【０００９】従って、本発明によると、ＤＯＨＣ型の内
燃機関において、シリンダヘッドカバーの上面における
各気筒ごとの点火コイル及び点火栓に、水の侵入によっ
て電流リークが発生すること、及びシリンダヘッドカバ
ー内の動弁機構室内に水が侵入することを確実に防止で
きると共に、点火栓に対するパイプ体をシリンダヘッド
カバーに一体化したことにより部品点数及び組立工数を
軽減できる効果を有する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
１〜図４の図面について説明する。この図において符号
１は、四つの気筒２を有するシリンダブロック３の上面
にシリンダヘッド４を締結して成る内燃機関を示す。こ
の内燃機関１におけるシリンダヘッド４の上面４ａに
は、各気筒２における吸気弁用のカム軸５と、排気弁用
のカム軸６とが平行に並べて軸支されていると共に、こ
れら両カム軸５，６の全体と、この両カム軸５，６の一
端におけるタイミングプーリ等の動力伝達輪７，８とを
覆う合成樹脂製のシリンダヘッドカバー９が、その周囲
に配設した複数本のボルト１０にて着脱自在に取付けら
れている。なお、このシリンダヘッドカバー９における
周囲の下面９ａと、シリンダヘッド４の上面４ａとの間
には、シール用のガスケット１１が介挿されている。

【００１１】前記シリンダヘッド４における各気筒２の
箇所には、各気筒２に対する点火栓２６を着脱するため
の点火栓挿入孔２７が、シリンダヘッド４の上面４ａに
開口するように設けられている。また、前記シリンダヘ
ッドカバー９の上面における両脹らみ部１２，１３のう
ち少なくとも一方の脹らみ部１３には、両脹らみ部１
２，１３の間の谷間１８内の部分から当該一方の脹らみ
部１２を横断してシリンダヘッドカバー９の側面に開放
する溝部２４が、当該溝部２４における内底面２４ａが
前記谷間１８における内底面１８ａから同一平面状に延
びるようにして設けられている。

【００１２】前記シリンダヘッドカバー９の天井板のう
ち両カム軸５，６の略真上の部分には、上向きに突出す
る脹らみ部１２，１３が、前記両カム軸５，６の軸方向
に延びるように一体的に設けられ、この両脹らみ部１
２，１３の内部は、底板１４，１５にて区画された気液
分離室１６，１７に形成されている。そして、前記シリ
ンダヘッドカバー９の上面のうち前記両脹らみ部１２，
１３の間の谷間１８内の部分には、前記点火栓挿入孔２
７に連通するパイプ体１９を、各気筒２箇所ごとに一体
的に設けて、この各パイプ体１９の下端面１９ａを、前
記シリンダヘッドカバー９における周囲の下面９ａと略
同一平面にするか、或いは、前記シリンダヘッドカバー
９における周囲の下面９ａよりも小さい寸法Ｓだけ突出
するように構成することにより、前記シリンダヘッドカ
バー９のシリンダヘッド４に対する取付けと同時に、前
記シリンダヘッド４の上面４ａに対して密接するように
構成する一方、前記パイプ体１９の上端１９ｂを、前記
谷間１８における内底面１８ａから適宜寸法Ｈだけ突出
して、この上端１９ｂに、前記各気筒２における点火栓
２６に対する点火コイル２０を装着する。

【００１３】なお、前記シリンダヘッドカバー９におけ
る各パイプ体１９の下端面１９ａと、シリンダヘッド４
の上面４ａとの間には、点火栓挿入孔２７の周囲を囲う
ようにリング状に形成したガスケット２８が介挿されて
いる。また、前記シリンダヘッドカバー９の上面におけ
る両脹らみ部１２，１３のうち一方の脹らみ部１３の上
面には、前記各点火コイル２０に対する電気配線２１、
及び、内燃機関１の下部においてクランク角度の位相を
検出するためのタイミングセンサー（図示せず）からの
電気配線２２等の各種の電気配線が配設されている。な
お、この各種の電気配線２１，２２は、一方の脹らみ部
１３に一定的に設けた係止片２３にて係着され、また、
一方の電気配線２２は、前記溝部２４の内底面２４ａに
対して係止片２５にて係着されたのち、前記溝部２４内
を通って下方の延びるように配線されている。

【００１４】このように、両脹らみ部１２，１３間にお
ける谷間１８の部分に点火コイル２０を取付けるための
パイプ体１９を、シリンダヘッドカバー９と一体化した
ことにより、従来のように、前記パイプ体がシリンダヘ
ッドカバーを貫通する部分からシリンダヘッドカバー９
内の動弁機構室内に水が侵入するおそれを無くすること
ができると共に、部品点数を少なくできる。

【００１５】また、前記パイプ体１９の上端１９ｂを、
前記谷間１８における内底面１８ａから適宜寸法Ｈだけ
突出して、この上端１９ｂに、前記点火コイル２０を取
付けたことにより、前記谷間１８の内底面１８ａに溜ま
った水が前記溝部２４から流出するまでの間において、
前記パイプ体１９内にその上端１９ｂから流入するこ
と、及び点火コイル２０の内部にその空気抜き孔から侵
入することを確実に防止できるのである。

【００１６】ところで、前記シリンダヘッドカバー９を
合成樹脂製にした場合において、このシリンダヘッドカ
バー９の周囲をシリンダヘッド４に対してボルト１０に
て締結すると言う構成で、且つ、このシリンダヘッドカ
バー９の中心の部分に一体的に設けられている各パイプ
体１９の下端面１９ａをシリンダヘッドカバー９の周囲
の下面９ａを略同一平面状の構成であると、前記各パイ
プ体１９のシリンダヘッド４に対する押圧力が低下し
て、前記各パイプ体１９の下面１９ａとシリンダヘッド
４の上面４ａとの間におけるシール性が低下することに
なる。

【００１７】そこで、本発明においては、図５に示すよ
うに、前記各パイプ体１９の下端面１９ａを、前記シリ
ンダヘッドカバー９における周囲の下面９ａよりも小さ
い寸法Ｓだけ突出するように構成したもので、これによ
り、前記各パイプ体１９のシリンダヘッド４に対する押
圧力を大きくすることができるから、前記各パイプ体１
９の下面１９ａとシリンダヘッド４の上面４ａとの間に
おけるシール性を向上できる。

【００１８】また、この各パイプ体１９のシリンダヘッ
ド４に対するシール性は、各パイプ体１９の間の部分
に、ボス部２９を一体的に設けて、このボス部２９を、
シリンダヘッド４の上面に対してボルト３０にて締結す
るように構成することにより、更に向上できるのであ
る。なお、このボス部２９の下端面２９ａも、シリンダ
ヘッドカバー９における周囲の下面９ａよりも小さい寸
法Ｓだけ突出するように構成され、且つ、この下端面２
９ａにもシール用のリング状ガスケット３１が装着され
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す平面図である。

【図２】図１のII−II視断面図である。

【図３】図１のIII −III 視断面図である。

【図４】図１のIV−IV視断面図である。

【図５】シリンダヘッドカバーの縦断正面図である。

【符号の説明】

１ 内燃機関 ２ 気筒 ３ シリンダブロック ４ シリンダヘッド ５，６ カム軸 ９ シリンダヘッドカバー １２，１３ 脹らみ部 １８ 谷間 １８ａ 谷間の内底面 １９ パイプ体 １９ａ パイプ体の下端面 １９ｂ パイプ体の上端 ２０ 点火コイル ２４ 溝部 ２６ 点火栓 ２７ 点火栓挿入孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッドの上面に吸気弁用カム軸及
   び排気弁用カム軸を覆うように取付けたシリンダヘッド
   カバーにおける天井板のうち前記両カム軸の略真上の部
   分に、上向きに突出する脹らみ部を、当該両脹らみ部が
   両カム軸の軸方向に延びるように一体的に設け、且つ、
   前記シリンダヘッドカバーの上面のうち前記両脹らみ部
   間の谷間の部分に、各気筒ごとの点火コイルを設ける一
   方、前記両脹らみ部のうち少なくとも一方の脹らみ部
   に、前記両脹らみ部間の谷間から当該一方の脹らみ部を
   横断してシリンダヘッドカバーの側面に開放する溝部を
   設けて成るＤＯＨＣ型内燃機関において、 前記シリンダヘッドカバーにおける谷間内のうち各気筒
   の箇所に、内部が前記シリンダヘッドの上面に開口する
   点火栓挿入孔に連通するパイプ体を、当該パイプ体の下
   端面がシリンダヘッドカバーのシリンダヘッドに対する
   取付けと同時にシリンダヘッドの上面に密接し、上端が
   前記谷間における内底面より突出するように一体的に設
   けて、このパイプ体の上端に、前記点火コイルを取付け
   たことを特徴とするＤＯＨＣ型内燃機関におけるシリン
   ダヘッドカバーの構造。