JPH11302846A - 硬質炭素被膜部材の製造方法 - Google Patents

硬質炭素被膜部材の製造方法

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JPH11302846A
JPH11302846A JP11514598A JP11514598A JPH11302846A JP H11302846 A JPH11302846 A JP H11302846A JP 11514598 A JP11514598 A JP 11514598A JP 11514598 A JP11514598 A JP 11514598A JP H11302846 A JPH11302846 A JP H11302846A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用の当初の摩擦係数を低下させることによ
り、安定した摺動特性を長時間有する硬質炭素被膜を形
成しようとするものである。 【解決手段】 炭化水素系ガスを用いたプラズマ気相合
成法によって硬質炭素被膜を形成した基材に、ガスプラ
ズマによるボンバード処理によって表面処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面に硬質炭素
被膜を有する硬質炭素被膜部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硬質炭素被膜は、アモルファス状の炭素
膜又は水素化炭素膜であり、a−C、a−C:H、i−
C、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等とも称さ
れている。この硬質炭素被膜を形成する方法としては、
炭化水素ガスをプラズマ分解して成膜するプラズマCV
D法、炭素又は炭化水素イオンを用いるイオンビーム蒸
着法等、各種の気相合成法が挙げられる。
【0003】この硬質炭素被膜は、高硬度で平面平滑性
に優れ、摩擦係数が低く、赤外線に対して高透過性を有
する等の特徴を有する。これらの特徴を生かし、各種の
分野の応用が期待されている。例えば、摺動性の改良を
目的に、VCR等の電子機器や湯水混合栓の摺動部、ア
ルミ材の製罐工具や、はんだメッキされた電子部品の曲
げ加工等の軟質金属用塑性加工工具等の表面への応用等
である。これらの用途では、優れた摺動特性に加えて使
用初期から安定した低摩擦係数が必要となる。
【0004】具体的には、上記軟質金属の塑性加工工具
に生じる溶着や凝着、いわゆるビルドアップ現象を防止
するため、ダイヤモンド結晶からなる非常に微細な粒子
及びグラファイト構造かならる微粒子を含んだ平滑性に
優れた硬質炭素膜を、プラズマCVD法で成膜すること
が知られている(特開平9−314253号公報参
照)。
【0005】また、半導体リードフレーム曲げ加工に用
いられる金型に、プラズマCVD法等によってダイヤモ
ンド状カーボンを被覆することにより、金型へのはんだ
の付着を低減することが知られている(特開平6−26
2275号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
記載の方法によって得られる硬質炭素被膜は、いずれ
も、軟質金属と長時間にわたって摺動させたとき、軟質
金属が硬質炭素被膜に凝着し、安定した摺動特性が長時
間得られない問題を有する。
【0007】通常、硬質炭素被膜、特に、炭化水素系ガ
スを用いたプラズマ気相合成法で成膜した硬質炭素被膜
は、図1に示すように、摺動当初の摩擦係数は0.25
〜0.8と通常より高い値を示し、摺動の進行に伴っ
て、一般的に硬質炭素被膜が示す摩擦係数である0.0
3〜0.2に落ちつく。これは、摺動当初においては、
硬質炭素被膜の表面に、C−HX 結合(x=1、2、
3)が多く、摺動の進行につれ、硬質炭素被膜の表面上
の上記結合が減少することから、上記結合が摺動当初の
摩擦係数を高くする原因の1つと考えることができる。
【0008】このため、摺動当初の高摩擦係数を示す時
点で、軟質金属の微細な焼き付けが起こり、これが起点
となって以後急激に凝着を生じさせることとなり、安定
した摺動特性が長時間得られなくなる。
【0009】そこで、この発明は、使用の当初の摩擦係
数を低下させることにより、安定した摺動特性を長時間
有する硬質炭素被膜を形成しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、炭化水素系
ガスを用いたプラズマ気相合成法によって硬質炭素被膜
を形成した基材に、ガスプラズマによるボンバード処理
によって表面処理を行うことにより、上記の課題を解決
したものである。
【0011】硬質炭素被膜の表面をボンバード処理によ
って表面処理を行うので、得られる硬質炭素被膜部材の
摺動当初の軟質金属の微細な焼き付けが防止され、以後
の軟質金属の凝着が抑制されるので、安定した摺動特性
が長時間にわたって得られる。
【0012】また、上記のボンバード処理の代わりに、
真空中又は所定のガス雰囲気中で、100〜400℃で
熱処理することによって表面処理を行ったり、硬質炭素
被膜の表面を鏡面研磨することによって表面処理を行う
ことによっても、得られる硬質炭素被膜部材の摺動当初
の軟質金属の微細な焼き付けが防止され、以後の軟質金
属の凝着が抑制されるので、安定した摺動特性が長時間
にわたって得られる。
【0013】以上の製造方法により製造された硬質炭素
被膜の表面粗さが、Rmax表示で0.2μm以下のも
のは、初期の摩擦係数の低減に効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。この発明にかかる硬質炭素被膜部材は、炭化水素
系ガスを用いたプラズマ気相合成法によって硬質炭素被
膜を形成した基材に、表面処理を行うことによって得ら
れる部材である。
【0015】上記プラズマ気相合成法としては、高周
波、ホロカソード、アーク、マイクロ波、直流等の各種
公知の励起源を適用したプラズマCVD法やイオンビー
ム蒸着法等の方法を採用することができる。上記炭化水
素ガスとは、上記プラズマ気相合成法によって形成され
る硬質炭素被膜の原料となるもので、例として、メタン
ガス、エタンガス、プロパンガス等が挙げられる。
【0016】この方法によって上記基材の表面に形成さ
れる硬質炭素被膜は、上記基材の表面に形成される。そ
の膜厚は、特に限定されないが、0.2〜5μmが好ま
しい。膜厚が0.2μm未満の場合は、下記のボンバー
ド処理によって、この膜厚がより薄くなり、硬度を保ち
にくくなる場合が生じることがある。また、5μmより
厚くても構わないが、製造コストを考慮した場合、5μ
m以下としたほうが好ましい。
【0017】上記の硬質炭素被膜を形成させる基材は、
特に限定されるものではなく、各種の金属、合金、超硬
合金、セラミック等を使用することができる。具体的に
は、超硬合金、サーメット、鋼、窒化ケイ素、アルミ
ナ、ジルコニア、炭化ケイ素を少なくとも1つ含む基材
があげられる。上記の鋼としては、工具鋼、高速度鋼、
軸受鋼、ステンレス鋼、炭素鋼、Mn鋼、Mn−Cr
鋼、Cr鋼、Cr−Mo鋼、Ni−Cr鋼、Ni−Cr
−Mo鋼、窒化鋼等の鋼があげられる。
【0018】上記の表面処理法としては、ガスプラズマ
によるボンバード処理法、熱処理法、及び、鏡面研磨に
よる方法があげられる。
【0019】上記ガスプラズマによるボンバード処理と
は、アルゴン等の不活性ガス、窒素、酸素、二酸化炭素
等の反応ガス等の少なくとも1種類のガスをプラズマに
よってイオン化させ、このガスイオンを上記硬質炭素被
膜に衝突させ、この硬質炭素被膜から中性の構成原子を
飛び出させる処理である。これにより、上記硬質炭素被
膜の表面から構成原子たる炭素が飛び出るため、上記硬
質炭素被膜の表面の所定の厚みを除去することが可能と
なる。これにより、摺動当初における摩擦係数を0.0
3〜0.2に低減させることができる。
【0020】これは、上記のガスプラズマによるボンバ
ード処理によって、硬質炭素被膜の表面のC−HX 結合
(x=1、2、3)が減少し、摺動の当初において摩擦
係数が低減させるものと考えられるからである。このこ
とは、上記のガスの代わりに水素ガスを用いてプラズマ
ボンバード処理を行った場合、摺動当初の摩擦係数に変
化が生じないことからも類推できる。
【0021】上記のガスプラズマによるボンバード処理
によって、除去される上記硬質炭素被膜の表面の厚み
は、特に限定されるものではなく、除去後の摺動当初の
摩擦係数が0.03〜0.2となる厚みであればよい。
その中でも表面から0.01〜0.1μmの厚みを除去
するのが好ましい。0.1μmより多く除去しても構わ
ないが、表面改質に要する製造コストアップに見合うだ
けの摩擦係数の改善が見られないことから、0.1μm
までで十分である。
【0022】上記熱処理法は、上記硬質炭素被膜を真空
中又は所定のガス雰囲気中で、100〜400℃で熱処
理する方法である。これによっても、上記の硬質炭素被
膜の表面のC−HX 結合(xは、上記の通り)が減少
し、摺動の当初において、摩擦係数が低減するものと考
えられる。
【0023】上記鏡面研磨による方法は、上記硬質炭素
被膜の表面を、アルミナ、炭化ケイ素、ダイヤモンドの
ペーパーやペースト等を用いて鏡面研磨する方法であ
る。これによっても、上記の硬質炭素被膜の表面のC−
X 結合(xは、上記の通り)が減少し、摺動の当初に
おいて、摩擦係数が低減するものと考えられる。
【0024】上記の方法で得られる硬質炭素被膜部材
は、その硬質炭素被膜の表面粗さがRmax表示で0.
2μm以下となる。表面粗さがRmax表示で0.2μ
m以下となると、初期の摩擦係数が小さくなり、表面粗
さ(Rmax)が0.1μm以下の場合は、特に小さい
摩擦係数を示す。具体的には、表面粗さ(Rmax)
が、0.2μm以下のときの摩擦係数は、摺動当初にお
いて、0.03〜0.2の範囲を示す。
【0025】上記の摺動当初とは、この硬質炭素被膜部
材の表面を最初に摺動させたときの、摺動開始0秒から
約10秒までの時間をいう。この時間の摩擦係数を0.
03〜0.2とするので、この硬質炭素被膜部材に軟質
金属を摺動させても、摺動当初の軟質金属の微細な焼き
付けを防止できる。摺動開始から約10秒以降の摩擦係
数は、一般の硬質炭素被膜と同様の0.03〜0.2を
示すので、軟質金属の凝着を生じさせず、長期間にわた
って安定した摺動特性を示す。
【0026】上記硬質炭素被膜部材は、上記のように良
好な摺動特性を示すのに加え、硬質炭素被膜自体の有す
る耐摩耗性を示し、良好な耐摩耗性を有する摺動部材と
なる。この摺動部材は、各種の塑性加工用部品、成型・
成形部品、耐摩耗性部品、摺動部品、赤外線光学部品、
電気・電子部品等として有用に用いることができ、長期
間にわたりこれらの部品の寿命を維持することができ
る。
【0027】
【実施例】以下に、この発明の硬質炭素被膜部材の効果
について、実施例により具体的に説明する。
【0028】〔実施例1〕基材として、平板状(20m
m×20mm×2mm)の合金工具鋼(JIS規格:S
KD11、以下「SKD11」と称する。)及び超硬合
金(JIS規格:K10、以下「K10」と称する。)
を用意し、その表面に下記のように公知の容量結合式の
平行平板型電極を用いた高周波プラズマCVDで硬質炭
素被膜を形成した。
【0029】すなわち、図2に示すように、真空装置1
に平板電極2及び3を設置し、一方の電極2に高周波
(13.5MHz)電源4により高周波電力を印加し、
他方の電極3を接地する。上記の基材5は、高周波電力
印加側の電極2に装着する。まず、排気装置6によって
真空装置1内の圧力を10-3Torrとし、次いで、ア
ルゴンガスを導入して0.2Torrの雰囲気に保持し
ながら電極2に高周波電力を300W印加して、基材5
の表面を10分間クリーニングする。その後、アルゴン
ガスを排気する。
【0030】次に、真空装置1内に反応ガスであるメタ
ンガス8をマスフローコントローラー7を介して導入
し、0.2Torrとなるように制御しながら電極2に
高周波電力を120分間、300W印加して基材5上に
硬質炭素被膜を形成した。得られた硬質炭素被膜の膜厚
は0.4μmであった。
【0031】その後、真空装置内から基材5を取り出す
ことなく、引き続いて、排気装置6によって真空装置1
内の圧力を10-3Torrとした後、表1に示すガス
(アルゴン、窒素、酸素又は二酸化炭素(「CO2 」と
略する。)を導入して0.2Torrの雰囲気に保持し
た。そして、この状態を保ちながら、電極2に高周波電
力を300W印加して、基材5の硬質炭素被膜表面を表
1に示す時間だけ、ガスプラズマボンバード処理をし、
硬質炭素被膜表面の最表面層を除去した。その除去され
た厚みを表1に示す。
【0032】続いて、得られた基材5の硬質炭素被膜の
表面について、下記のピンオンディスク試験をおこな
い、摩擦係数及び軟質金属の凝着状況を評価した。すな
わち、摩擦係数の評価には、ピン11としてアルミナピ
ンを用いて摩擦係数の時間変化を測定し、また、軟質金
属の凝着状況を評価するため、ピン11として純アルミ
ニウムピンを用いて、表面に付着するアルミニウムの凝
着高さを測定した。さらに、表面粗さ(Rmax)につ
いても測定した。これらの結果を表1に示す。なお、表
1において、摩擦係数の初期値とは、摺動当初に示す摩
擦係数の最高値をいい、終了値とは、所定時間摺動後、
摩擦係数が安定したところで摺動を終了させたときの値
をいう。
【0033】ピンオンディスク試験 CSEM社製のピンオンディスク試験機を用いて調べ
た。この試験は、図3に示すように、一定荷重でピン1
1を押さえつけながら測定対象である基材5を一定速度
で回転させ、その時の摩擦係数及び摩耗量を評価するも
のである。この時の摺動条件は、常温、大気圧中で、測
定荷重(P)10N、摺動速度(ω)1041mm/s
ec、摺動距離125mであった。
【0034】〔比較例1〕使用した基材、並びに、ガス
プラズマボンバード処理におけるガス種及び処理時間の
条件以外は、実施例1の試料1と同様にして基材5の硬
質炭素被膜の表面処理を行い、除去された硬質炭素被膜
表面の厚みの測定、摩擦係数及び軟質金属の凝着状況、
及び表面粗さ(Rmax)を測定した。これらの結果を
表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】結果 実施例1の各試料、及び、比較例1の各比較試料から明
らかなように、ガスプラズマボンバード処理を行ったも
のは、表面粗さ及び使用初期の摩擦係数が低く、また、
アルミニウムの凝着も全くなかった。
【0038】〔実施例2〕基材として平板状(20mm
×20mm×2mm)のアルミナを用い、実施例1と同
様にして、厚さ0.4μmの硬質炭素被膜を成膜した。
【0039】次いで、真空中(5×10-5Torr以
下)、アルゴンガス雰囲気中(0.8Torr)、又は
窒素ガス雰囲気中(0.8Torr)において、100
〜400℃で30分間、熱処理を行った。その後、徐冷
し、上記と同様にして、除去された硬質炭素被膜表面の
厚みの測定、摩擦係数、軟質金属の凝着状況、及び、表
面粗さ(Rmax)を測定した。これらの結果を表3に
示す。
【0040】〔比較例2〕熱処理におけるガス種及び処
理時間の条件以外は、実施例2の試料1と同様にしてア
ルミナ基材の硬質炭素被膜の表面処理を行い、摩擦係
数、軟質金属の凝着状況、及び、表面粗さ(Rmax)
を測定した。これらの結果を表4に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】結果 実施例2の各試料、及び、比較例2の各比較試料から明
らかなように、熱処理を行ったものは、表面粗さ及び使
用初期の摩擦係数が低く、また、アルミニウムの凝着も
全くなかった。
【0044】〔実施例3〕基材として実施例2に記載の
基材を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.4μmの
硬質炭素被膜を成膜した。
【0045】次いで、上記硬質炭素被膜を成膜した基材
を酸化アルミニウムラッピングフィルム(住友スリーエ
ム社製、粒度0.3μm)をラップし、その外側から、
上記硬質炭素被膜を300gfの荷重をかけながら表面
を鏡面研磨し、その表面から表5に示す厚みの表面層を
除去した。その後、上記と同様にして、除去された硬質
炭素被膜表面の厚みの測定、摩擦係数、軟質金属の凝着
状況、及び、表面粗さ(Rmax)を測定した。これら
の結果を表5に示す。
【0046】〔比較例3〕実施例3で用いた硬質炭素被
膜を成膜した基材について、ラッピング及び研磨処理を
せず、そのまま、摩擦係数、軟質金属の凝着状況、及
び、表面粗さ(Rmax)を測定した。これらの結果を
表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】結果 実施例3の各試料、及び、比較例3から明らかなよう
に、ラッピング及び研磨処理を行ったものは、表面粗さ
及び使用初期の摩擦係数が低く、また、アルミニウムの
凝着も全くなかった。
【0049】〔実施例4〕まず、超硬製の半導体のリー
ドフレーム曲げ成型加工用金型に上記実施例1の場合と
同様な方法で硬質炭素被膜を0.4μm形成し、その
後、実施例1の場合と同様な方法で、アルゴンガスを用
いてプラズマボンバード処理を行い、硬質炭素被膜の最
表面を0.05μm除去した。続いて、この金型を用い
て、実際に半導体のリードフレーム曲げ成形加工を10
万回行い、その後の金型表面のはんだメッキ付着の状況
を調べた。また、この金型を用い、さらに曲げ成形加工
を継続し、20万回、30万回、40万回、及び50万
回における金型表面のはんだメッキ付着の状況を調べ
た。その結果を表6に示す。
【0050】〔比較例4〕上記実施例4において、アル
ゴンガスを用いてプラズマボンバード処理を行わなかっ
た金型を用いて、実施例4と同様の実験を行った。その
結果を表6に示す。
【0051】
【表6】
【0052】結果 実施例4及び比較例4から明らかなように、ガスプラズ
マボンバード処理を行ったものは、曲げ成形加工を行っ
てもはんだメッキ付着は生じなかった。
【0053】
【発明の効果】この発明によれば、表面粗さ及び摺動当
初の摩擦係数を低く抑えることができ、安定した低摩擦
係数を得ることができるので、摺動初期に発生し、その
後進行する溶着や凝着を防止し、長期間にわたり部品の
寿命を維持することができる。
【0054】また、このため、塑性加工用部品、成型・
成形部品、耐摩耗性部品、摺動部品、赤外線光学部品、
電気・電子部品等の加工コストを大幅に低減することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化水素系ガスを用いたプラズマ気相合成法で
成膜した硬質炭素被膜の摩擦係数の変化を示すグラフ
【図2】硬質炭素被膜の形成装置の例を示す概略図
【図3】ピンオンディスク試験の概略図
【符号の説明】
1 真空装置 2 電極 3 電極 4 高周波電源 5 基材 6 排気装置 7 マスフローコントローラ 8 ガス供給部 11 ピン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素系ガスを用いたプラズマ気相合
    成法によって硬質炭素被膜を形成した基材に、ガスプラ
    ズマによるボンバード処理によって表面処理を行う硬質
    炭素被膜部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記ガスプラズマによるボンバード処理
    において使用されるガスが、アルゴン、窒素、酸素、二
    酸化炭素のうち少なくとも1種類のガスである請求項1
    に記載の硬質炭素被膜部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素系ガスを用いたプラズマ気相合
    成法によって硬質炭素被膜を形成した基材に、真空中又
    は所定のガス雰囲気中で、100〜400℃で熱処理す
    ることによって表面処理を行う硬質炭素被膜部材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 炭化水素系ガスを用いてプラズマ気相合
    成法によって基材に硬質炭素被膜を形成し、この硬質炭
    素被膜の表面を鏡面研磨することによって表面処理を行
    う硬質炭素被膜部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの方法によって
    製造された硬質炭素被膜の表面粗さがRmax表示で
    0.2μm以下である硬質炭素被膜部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006199836A (ja) * 2005-01-21 2006-08-03 Nissan Motor Co Ltd 低摩擦摺動機構
JP2006213745A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Nissan Motor Co Ltd 低摩擦含油摺動機構
JP2012026038A (ja) * 2011-07-21 2012-02-09 Yamaguchi Prefectural Industrial Technology Institute プラズマ処理装置及び基材の表面処理方法

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