JPH11300461A - ダイカストマシン用スリーブ - Google Patents

ダイカストマシン用スリーブ

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JPH11300461A
JPH11300461A JP10940898A JP10940898A JPH11300461A JP H11300461 A JPH11300461 A JP H11300461A JP 10940898 A JP10940898 A JP 10940898A JP 10940898 A JP10940898 A JP 10940898A JP H11300461 A JPH11300461 A JP H11300461A
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JP
Japan
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sleeve
die casting
casting machine
cylindrical portion
outer cylinder
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JP10940898A
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Inventor
Sakae Takahashi
栄 高橋
Masayuki Shimada
真幸 島田
Atsushi Masuda
淳 増田
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Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Machine Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯に対する保温性を備えるとともに、溶湯
の注入の際に生ずる熱衝撃によって破損しにくいダイカ
ストマシン用スリーブを提供する。 【解決手段】 本発明のダイカストマシン用スリーブ
は、複合構造を備え、互いに接合された外筒部11及び
内筒部12から構成される。内筒部11は、溶湯に対す
る耐食性、耐摩耗性、耐ヒートクラック性を備えた、厚
さ1mm以上6mm以下の工具鋼から構成される。外筒
部12は、強度及び伸びに優れた鋼の内、300℃にお
ける熱伝導率が10W/m・K以上25W/m・K以下
の低熱伝導率の合金鋼で構成される。内筒部12には、
例えば、SKD61、SKH57が好適である。外筒部
12には、例えば、C:0.25wt%、Si:4.6
wt%、Mn:0.6wt%、Ni:9.0wt%、C
r:2.7wt%、Mo:0.2wt%、Fe:残部、
からなる合金鋼を焼結したものが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカストマシン
用のスリーブに係り、特に、アルミニウム合金あるいは
マグネシウム合金などの成形品の鋳造に使用されるダイ
カストマシンにおいて、溶湯受け兼加圧シリンダとして
使用されるスリーブに好適な構成に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイカストマシンにおいて溶湯受け兼加
圧シリンダとして使用されるスリーブには、従来、JI
S−SKD61などの工具鋼が使用されてきた。この様
な工具鋼製のスリーブは、その熱伝導率が約29W/m
・K(300℃)と比較的高いので、スリーブ内に注入
された溶湯(溶融金属)が急速に冷却され、スリーブに
接する部分では短時間で凝固が始まる。このため、スリ
ーブから金型内に注入された後に、溶湯が早期に凝固す
ることによって、湯境い、湯まわり不良、充填不良など
の成形不良が発生する。特に、注湯量の少ない薄肉成形
品を製造する際に、上記の様な成形不良が高い頻度で発
生することが問題となっている。
【0003】この様な問題を解決するため、鋼製あるい
は合金製の外筒にセラミックス製の内筒を嵌め込んだ複
合構造のスリーブが開発されている(例えば、特開平2
−179346号公報、特開平5−038563号公報
など)。この様な複合構造を備えたスリーブは、内筒を
構成するセラミックスの熱伝導率が低いので(例えば、
約20W/m・K(300℃))、溶湯に対する保温性
に優れており、上記の様な問題を解消し、ダイカスト製
品の不良率を減少させることができる。更に、セラミッ
クス製の内筒は、溶融アルミニウムに対する耐食性を備
えているので、溶湯落下部において侵食が生じにくいと
いう利点を持っている。
【0004】しかし、セラミックス製の内筒は熱伝導率
が低いので、溶湯の注入の際に大きな熱応力が発生し、
この熱応力によって瞬時に破損するという問題がある。
この様な問題を改善するため、セラミックス製の内筒と
金属製の外筒の間に応力緩和層を設けるなどの工夫がな
されているが(例えば、特開平5−050204号公
報)、その効果は十分であるとは言えない。これらは、
熱伝導率が低く、靭性に乏しく、強度に対する信頼性に
欠けると言うセラミックスの一般的な性質からの当然の
帰結であり、現状では容易には解決できないものと考え
られる。
【0005】セラミックス製の内筒を用いたスリーブの
もう一つの欠点は、切削加工が難しいので、加工効率の
低い研削加工に頼らざるを得ない点にある。これが、上
記の様な構造を備えたスリーブの製作コストを引き上げ
る要因となっている。
【0006】上記の様なセラミックス製の内筒を用いた
スリーブの欠点を補うべく、低熱伝導率の合金を用いた
スリーブが提案されている(特開平9−263897号
公報)。上記の合金を用いたスリーブは、熱伝導率が1
2〜20W/m・K(室温〜300℃)と低く、溶湯に
対する保温性に優れているので、湯境い、湯回り不良、
充填不良などの成形不良の発生を効果的に抑えることが
できる。その結果、ダイカスト製品の不良率を低減する
ことができる。
【0007】しかし、上記の合金は鋳造法により製造さ
れているので、部材全体としては組織が不均一であり、
鋳巣、偏析、結晶粒の粗大化などのために安定した強度
が得られず、靭性も十分とは言えない。このため、溶湯
を注入した際に発生する熱応力によって、スリーブ全体
がその外周部から破損する現象があり、その寿命に問題
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様な
従来のダイカストマシン用のスリーブの問題点を解決す
べく成されたものであり、本発明の目的は、セラミック
ス並の断熱特性を備えるとともに、溶湯の注入の際の熱
衝撃によって破損しにくいスリーブを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のダイカストマシ
ン用スリーブは、300℃における熱伝導率が10W/
m・K以上25W/m・K以下の鋼からなる外筒部と、
厚さ1mm以上6mm以下の工具鋼からなり、その内周
面に焼入れ及び窒化処理が施され、前記外筒部の内周面
に接合された内筒部と、を備えていることを特徴とす
る。
【0010】本発明のダイカストマシン用スリーブによ
れば、スリーブを互いに嵌合する外筒部及び内筒部から
なる複合構造とし、その内筒部を、溶湯に対する耐食
性、耐摩耗性、耐ヒートクラック性を備えた工具鋼で構
成するとともに、その外筒部を、強度及び伸びに優れた
鋼の内、特に熱伝導率が比較的小さいもので構成する。
【0011】内筒部を構成する材料に関しては、例え
ば、熱間金型用の合金工具鋼(SKD材:JIS−G−
4404)が、要求される上記特性を備えた代表的な材
料である。中でも、好ましくはSKD61を使用する。
なお、SKD材を使用する場合には、耐摩耗性の向上を
図るべく焼入れ及び窒化処理を施す。
【0012】また、上記の合金工具鋼の代わりに、内筒
部に高速度工具鋼(SKH材:JIS−G−4403)
を使用することもできる。なお、SKH材の場合には、
高い硬度を備えているので、窒化処理を省略することが
できる。
【0013】なお、上記の様な工具鋼は、熱伝導率が比
較的高いので、溶湯に対する保温性の面からは好ましく
ない。そこで、内筒部の厚さについて制限を設ける必要
がある。内筒部の厚さが6mmを超えると、スリーブの保
温性が大幅に低下するので好ましくない。従って、その
上限値は6mm程度である。また、加工の際の寸法のバ
ラツキ等も考慮しなければならないので、内筒部の厚さ
の下限値は1mm程度である。
【0014】一方、外筒部を構成する材料に関しては、
発生する熱応力に耐える強度及び伸びを備えることに加
えて、スリーブの内部に収容された溶湯に対する保温性
を備えていることが要求される。従って、外筒部を構成
する材料の熱伝導率は、内筒部を構成する前記の材料と
比べて小さくなければならない。但し、熱伝導率が小さ
過ぎると、スリーブの内部に溶湯を収容した際、内筒部
の温度上昇が大きくなるので、その結果、内筒部に作用
する熱応力の値が増大する。従って、外筒部は、熱伝導
率が10〜25W/m・K(300℃)程度の鋼の中か
ら選択する。なお、外筒部及び内筒部を構成する材料の
熱膨張係数に関しては、スリーブ全体の温度上昇によっ
て大きな内部応力が発生しない様に、同程度の値である
ことが好ましい。
【0015】外筒部の要求される上記の条件を満足する
材料としては、例えば、C:0.1wt%以上0.5w
t%以下、Si:3wt%以上7wt%以下、Ni:5
wt%以上18wt%以下、Cr:0.5wt%以上8
wt%以下、残部が実質的にFeからなる低熱伝導率の
合金鋼がある。
【0016】また、上記の合金鋼の代わりに、外筒部に
析出硬化系ステンレス鋼(SUS630、SUS63
1:JIS−G−4303)、またはオーステナイト系
ステンレス鋼を使用することもできる。
【0017】本発明のスリーブを構成する外筒部と内筒
部との間の接合は、例えば、ろう付け、拡散接合法など
によって行うことができるが、好ましくは、内筒部及び
外筒部のいずれか一方あるいは両方を、熱間静水圧処理
法または熱間押出法により粉末原料を焼結すると同時に
互いに接合する。
【0018】この場合、(a)予め内筒部を製作した
後、その外周面に粉末原料を焼結すると同時に接合する
ことによって外筒部を形成する方法、(b)予め外筒部
を製作した後、その内周面に粉末原料を焼結すると同時
に接合することによって内筒部を形成する方法、また
は、(c)それぞれに対応する粉末原料を缶体内に順に
充填した後、熱間静水圧処理法または熱間押出法のいず
れかにより焼結するとともに互いに接合することによっ
て、内筒部及び外筒部を同時に形成する方法などがあ
る。
【0019】なお、外筒部に上記の低熱伝導率の合金鋼
を使用する場合、その強度に限界があるので、好ましく
は、この外筒部を更に半径方向に二つの部分に分割して
構成し、その内径側(中間層部)を上記の合金鋼で構成
して断熱性を確保し、その外径側に鋼製の補強材を配置
する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に基づくダイカスト
マシン用スリーブについて、製作方法の各種の例を説明
する。 (例1)次に示す工程でダイカストマシン用スリーブを
製作した。
【0021】a.合金工具鋼SKD61材を用いて、図
1に示す形状を備えた円柱状部材15を機械加工により
作製した。 b.図2に示す様に、円柱状部材15を缶体17の中心
にセットした。
【0022】c.缶体17と円柱状部材15との間の環
状の間隙部に、水アトマイズにより製造された原料粉末
13を充填した。なお、この原料粉末の組成は、C:
0.25wt%、Si:4.6wt%、Mn:0.6w
t%、Ni:9.0wt%、Cr:2.7wt%、M
o:0.2wt%、Fe:残部、であり、粒径は100
μm以下とした。
【0023】d.図3に示す様に、缶体17に蓋18を
溶接した。なお、蓋18には真空引き用パイプ19が予
め取り付けられている。 e.缶体17の内部の真空引きを行い、300℃に加熱
しながら、所定の圧力まで到達したところで、真空引き
用パイプ19をつぶして溶接により封じた。
【0024】f.この結果得られた被処理体を、熱間静
水圧処理装置(HIP)にセットし、1000気圧、1
100℃の条件で原料粉末13の焼結を行って外筒部1
1aを形成した。また、これと同時に、外筒部11aと
円柱状部材15とを一体に接合した。
【0025】g.缶体17を切削により除去した後、更
に外筒部11aの外周面の切削加工を行って、外筒部1
1を形成した。次いで、円柱状部材15の中心部を切削
加工によりくり抜き、内筒部12を形成した(図4参
照)。なお、この粗加工状態では、内筒部12の内径面
には研削代(余肉)が残されている。
【0026】h.上記部材に、焼入れ焼き戻しを施し
て、内筒部12を硬化させた。 i.次いで、内筒部12の内径面の研削加工を行って、
図4に示す形状に仕上げた。
【0027】j.最後に、内筒部12の内径面に窒化処
理を施し、スリーブを完成した。 上記の工程に基づいて製作されたスリーブをコールドチ
ャンバ方式のダイカストマシンに取り付けて、マグネシ
ウム合金のダイカスト鋳造を行い、パーソナルコンピュ
ータのケース(肉厚1mm)を作成した。この試験にお
いて、以下に示す結果が得られた。
【0028】a.ダイカストの押し湯の量が、従来のS
KD61材単体からなるスリーブと比較して28%減少
した。 b.製品の鋳造欠陥が減少し、従来のSKD61材単体
からなるスリーブと比較して良品率が13%向上した。
【0029】c.スリーブの寿命については、従来と比
較して差異が認められなかった。 d.上記の理由により、従来のSKD61材単体からな
るスリーブと比較してダイカスト製品1個当りのコスト
が18%低下した。
【0030】(例2)次に示す工程でダイカストマシン
用スリーブを製作した。 a.合金工具鋼SKD61材を用いて、図5(a)に示
す形状を備えた円柱状部材15を機械加工により作製し
た。
【0031】b.析出硬化型ステンレス鋼SUS630
材を用いて、図5(b)に示す形状を備えた外筒部11
aを機械加工により作製した。 c.外筒部11aの内周側に円柱状部材15を挿入した
後、両端面において両者を電子ビーム溶接により接合し
た。
【0032】d.この結果得られた被処理体を、熱間静
水圧処理装置(HIP)にセットし、1000気圧、1
100℃の条件で加熱し、外筒部11aと円柱状部材1
5とを一体に接合した。
【0033】e.外筒部11aの外周面の切削加工を行
って、外筒部11を形成した。次いで、円柱状部材15
の中心部を切削加工によりくり抜き、内筒部12を形成
した(図6参照)。なお、この粗加工状態では、内筒部
12の内径面には研削代(余肉)が残されている。
【0034】f.上記部材に、焼入れ焼き戻しを施し
て、内筒部12を硬化させた。 g.次いで、内筒部12の内径面の研削加工を行って、
図6に示す形状に仕上げた。
【0035】h.最後に、内筒部12の内径面に窒化処
理を施し、スリーブを完成した。上記の工程に基づいて
製作されたスリーブをコールドチャンバ方式のダイカス
トマシンに取り付けて、マグネシウム合金のダイカスト
鋳造を行い、パーソナルコンピュータのケース(肉厚1
mm)を作成した。この試験において、先に例1で示し
たものと同等の効果が得られた。
【0036】(例3)次に示す工程でダイカストマシン
用スリーブを製作した。 a.高速度工具鋼SKH57材を用いて、図7(a)に
示す形状を備えた円柱状部材15を機械加工により作製
した。
【0037】b.析出硬化型ステンレス鋼SUS630
材を用いて、図7(b)に示す形状を備えた外筒部11
aを機械加工により作製した。 c.外筒部11aの内周側に円柱状部材15を挿入した
後、両端面において両者を電子ビーム溶接により接合し
た。
【0038】d.この結果得られた被処理体を、熱間静
水圧処理装置(HIP)にセットし、1000気圧、1
100℃の条件で加熱し、外筒部11aと円柱状部材1
5とを一体に接合した。
【0039】e.外筒部11aの外周面の切削加工を行
って、外筒部11を形成した。次いで、円柱状部材15
の中心部を切削加工によりくり抜き、内筒部12を形成
した(図8参照)。なお、この粗加工状態では、内筒部
12の内径面には研削代(余肉)が残されている。
【0040】f.上記部材に、焼入れ焼き戻しを施し
て、内筒部12を硬化させた。 g.次いで、内筒部12の内径面の研削加工を行って、
図8に示す形状に仕上げた。
【0041】h.最後に、内筒部12の内径面に窒化処
理を施し、スリーブを完成した。上記の工程に基づいて
製作されたスリーブをコールドチャンバ方式のダイカス
トマシンに取り付けて、マグネシウム合金のダイカスト
鋳造を行い、パーソナルコンピュータのケース(肉厚1
mm)を作成した。この試験において、以下に示す結果
が得られた。
【0042】a.ダイカストの押し湯の量が、従来のS
KD61材単体からなるスリーブと比較して30%減少
した。 b.製品の鋳造欠陥が減少し、従来のSKD61材単体
からなるスリーブと比較して良品率が13%向上した。
【0043】c.スリーブの寿命については、従来のS
KD61材単体からなるスリーブの約1.2倍であっ
た。 d.上記の理由により、従来のSKD61材単体からな
るスリーブと比較してダイカスト製品1個当りのコスト
が20%低下した。
【0044】(例4)次に示す工程でダイカストマシン
用スリーブを製作した。 a.合金工具鋼SKD61材を用いて、図9(a)に示
す形状を備えた円柱状部材15を機械加工により作製し
た。
【0045】b.機械構造鋼S48C材を用いて、図9
(b)に示す形状を備えた外筒部11aを機械加工によ
り作製した。 c.図10に示す様に、外筒部11aの底面に底板23
を溶接し、外筒部11aの内側に円柱状部材15をセッ
トした。
【0046】d.外筒部11aと円柱状部材15との間
の環状の間隙部に、ガスアトマイズにより製造した原料
粉末13を充填した。なお、この原料粉末の組成は、
C:0.25wt%、Si:4.6wt%、Mn:0.
6wt%、Ni:9.0wt%、Cr:2.7wt%、
Mo:0.2wt%、Fe:残部、であり、粒径は10
0μm以下とした。
【0047】e.図11に示す様に、外筒部11aの上
端に蓋18を溶接した。なお、蓋18には真空引き用パ
イプ19が予め取り付けられている。 f.外筒部11aの内部の真空引きを行い、300℃に
加熱しながら、所定の圧力まで到達したところで、真空
引き用パイプ19をつぶして溶接により封じた。
【0048】g.この結果得られた被処理体を、熱間静
水圧処理装置(HIP)にセットし、1000気圧、1
100℃の条件で原料粉末13の焼結を行って中間層部
21を形成した。また、これと同時に、外筒部11a、
中間層部21及び円柱状部材15の三者を一体に接合し
た。
【0049】h.蓋18及び底板23を切削により除去
した後、更に外筒部11aの外周面の切削加工を行っ
て、外筒部11を形成した。次いで、円柱状部材15の
中心部を切削加工によりくり抜き、内筒部12を形成し
た(図12参照)。なお、この粗加工状態では、内筒部
12の内径面には研削代(余肉)が残されている。
【0050】i.上記部材に、焼入れ焼き戻しを施し
て、内筒部12を硬化させた。 j.次いで、内筒部12の内径面の研削加工を行って、
図12に示す形状に仕上げた。
【0051】k.最後に、内筒部12の内径面に窒化処
理を施し、スリーブを完成した。 上記の工程に基づいて製作されたスリーブをコールドチ
ャンバ方式のダイカストマシンに取り付けて、マグネシ
ウム合金のダイカスト鋳造を行い、パーソナルコンピュ
ータのケース(肉厚1mm)を作成した。この試験にお
いて、以下に示す結果が得られた。
【0052】a.ダイカストの押し湯の量が、従来のS
KD61材単体からなるスリーブと比較して28%減少
した。 b.製品の鋳造欠陥が減少し、従来のSKD61材単体
からなるスリーブと比較して良品率が13%向上した。
【0053】c.スリーブの寿命については、従来と比
較して差異が認められなかった。 d.上記の理由により、従来のSKD61材単体からな
るスリーブと比較してダイカスト製品1個当りのコスト
が16%低下した。
【0054】(例5)次に示す工程でダイカストマシン
用スリーブを製作した。 a.合金工具鋼SKD61材を用いて、図13(a)に
示す形状を備えた円柱状部材15を機械加工により作製
した。
【0055】b.C:0.25wt%、Si:4.6w
t%、Mn:0.6wt%、Ni:9.0wt%、C
r:2.7wt%、Mo:0.2wt%、Fe:残部、
からなる合金鋼(例1及び例4で使用した低熱伝導率の
合金鋼と同一の組成のもの)の鋳造品を用いて、図13
(b)に示す形状を備えた中間層部21を機械加工によ
り作製した。
【0056】c.機械構造鋼S48C材を用いて、図1
3(c)に示す形状を備えた外筒部11aを機械加工に
より作製した。 d.外筒部11aの内径側に中間層部21を挿入し、更
に中間層部21の内径側に内筒部12を挿入した後、真
空炉中でそれぞれの境界部のロウ付けを行った。なお、
ロウ材はBNi−2(JIS)、ロウ付け温度は108
0℃とした。
【0057】e.外筒部11aの外周面の切削加工を行
って、外筒部11を形成した。次いで、円柱状部材15
の中心部を切削加工によりくり抜き、内筒部12を形成
した(図14参照)。なお、この粗加工状態では、内筒
部12の内径面には研削代(余肉)が残されている。
【0058】f.上記部材に、焼入れ焼き戻しを施し
て、内筒部12を硬化させた。 g.次いで、内筒部12の内径面の研削加工を行って、
図14に示す形状に仕上げた。
【0059】h.最後に、内筒部12の内径面に窒化処
理を施し、スリーブを完成した。 上記の工程に基づいて製作されたスリーブをコールドチ
ャンバ方式のダイカストマシンに取り付けて、マグネシ
ウム合金のダイカスト鋳造を行い、パーソナルコンピュ
ータのケース(肉厚1mm)を作成した。この試験にお
いて、先に例4で示したものと同等の効果が得られた。
【0060】
【発明の効果】本発明のダイカストマシン用スリーブに
よれば、スリーブの保温性が改善される結果、ダイカス
ト製品の歩留まりを向上させ、製造コストを削減するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の際に使用される円柱状部材の形状の一例を示す
図。
【図2】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の工程の一例を説明する図、缶体の中に円柱状部材
をセットした状態を表す。
【図3】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の工程の一例を説明する図、缶体の中に円柱状部材
及び粉末原料を封入した状態を表す。
【図4】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
形状の一例を示す図。
【図5】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の際に使用される部材の他の例を示す図、(a)は
円柱状部材、(b)は外筒部である。
【図6】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
形状の他の例を示す図。
【図7】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の際に使用される部材の形状の他の例を示す図、
(a)は円柱状部材、(b)は外筒部である。
【図8】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
形状の他の例を示す図。
【図9】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブの
製作の際に使用される部材の形状の他の例を示す図、
(a)は円柱状部材、(b)は外筒部である。
【図10】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブ
の製作の工程の他の例を説明する図、外筒部及び円柱状
部材をセットした状態を表す。
【図11】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブ
の製作の工程の他の例を説明する図、外筒部と円柱状部
材の空間に粉末原料を封入した状態を表す。
【図12】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブ
の形状の他の例を示す図。
【図13】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブ
の製作の際に使用される部材の形状の一例を示す図、
(a)は円柱状部材、(b)は中間層部、(c)は外筒
部である。
【図14】本発明に基づくダイカストマシン用スリーブ
の形状の他の一例を示す図。
【符号の説明】
11・・・外筒部、 11a・・・外筒部(切削加工前)、 12・・・内筒部、 13・・・粉末原料、 15・・・円柱状部材、 17・・・缶体、 18・・・蓋、 19・・・真空引き用パイプ、 21・・・中間層部、 23・・・底板。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 300℃における熱伝導率が10W/m
    ・K以上25W/m・K以下の鋼からなる外筒部と、 厚さ1mm以上6mm以下の工具鋼からなり、その内周
    面に焼入れ及び窒化処理が施され、前記外筒部の内周面
    に接合された内筒部と、 を備えていることを特徴とするダイカストマシン用スリ
    ーブ。
  2. 【請求項2】 前記内筒部は、JIS−SKD61から
    なることを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシ
    ン用スリーブ。
  3. 【請求項3】 300℃における熱伝導率が10W/m
    ・K以上25W/m・K以下の鋼からなる外筒部と、 厚さ1mm以上6mm以下の高速度工具鋼からなり、そ
    の内周面に焼入れが施され、前記外筒部の内周面に接合
    された内筒部と、 を備えていることを特徴とするダイカストマシン用スリ
    ーブ。
  4. 【請求項4】 前記外筒部は、C:0.1wt%以上
    0.5wt%以下、Si:3wt%以上7wt%以下、
    Ni:5wt%以上18wt%以下、Cr:0.5wt
    %以上8wt%以下、残部が実質的にFeからなる合金
    鋼により形成されていることを特徴とする請求項1から
    請求項3までのいずれかに記載のダイカストマシン用ス
    リーブ。
  5. 【請求項5】 前記外筒部は、析出硬化系ステンレス鋼
    またはオーステナイト系ステンレス鋼のいずれかにより
    形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3
    までのいずれかに記載のダイカストマシン用スリーブ。
  6. 【請求項6】 前記外筒部は、前記内筒部の外周面に、
    熱間静水圧処理法または熱間押出法のいずれかにより粉
    末原料を焼結して接合することにより形成されているこ
    とを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに
    記載のダイカストマシン用スリーブ。
  7. 【請求項7】 前記内筒部は、前記外筒部の内周面に、
    熱間静水圧処理法または熱間押出法のいずれかにより原
    料粉末を焼結して接合することにより形成されているこ
    とを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに
    記載のダイカストマシン用スリーブ。
  8. 【請求項8】 前記外筒部及び前記内筒部は、熱間静水
    圧処理法または熱間押出法のいずれかにより、それぞれ
    に対応する粉末原料を焼結すると同時に互いに接合する
    ことにより形成されていることを特徴とする請求項1か
    ら請求項5までのいずれかに記載のダイカストマシン用
    スリーブ。
  9. 【請求項9】 鋼製の外筒部と、 300℃における熱伝導率が10W/m・K以上25W
    /m・K以下の鋼からなり、前記外筒部の内周面に接合
    された円筒状の中間層部と、 厚さ1mm以上6mm以下の工具鋼からなり、その内周
    面に焼入れ及び窒化処理が施され、前記中間層部の内周
    面に接合された内筒部と、 を備えていることを特徴とするダイカストマシン用スリ
    ーブ。
  10. 【請求項10】 前記内筒部は、JIS−SKD61か
    らなることを特徴とする請求項9に記載のダイカストマ
    シン用スリーブ。
  11. 【請求項11】 鋼製の外筒部と、 300℃における熱伝導率が10W/m・K以上25W
    /m・K以下の鋼からなり、前記外筒部の内周面に接合
    された円筒状の中間層部と、 厚さ1mm以上6mm以下の高速度工具鋼からなり、そ
    の内周面に焼入れが施され、前記中間層部の内周面に接
    合された内筒部と、 を備えていることを特徴とするダイカストマシン用スリ
    ーブ。
  12. 【請求項12】 前記中間層部は、C:0.1wt%以
    上0.5wt%以下、Si:3wt%以上7wt%以
    下、Ni:5wt%以上18wt%以下、Cr:0.5
    wt%以上8wt%以下、残部が実質的にFeからなる
    合金鋼により形成されていることを特徴とする請求項9
    から請求項11までのいずれかに記載のダイカストマシ
    ン用スリーブ。
  13. 【請求項13】 前記中間層部は、前記内筒部の外周面
    及び前記外筒部の内周面の双方に、熱間静水圧処理法ま
    たは熱間押出法のいずれかにより粉末原料を焼結して接
    合することにより形成されていることを特徴とする請求
    項12に記載のダイカストマシン用スリーブ。
  14. 【請求項14】 前記中間層部及び前記内筒部は、前記
    外筒部の内周面に、熱間静水圧処理法または熱間押出法
    のいずれかにより、それぞれに対応する粉末原料を焼結
    すると同時に互いに接合することにより形成されている
    ことを特徴とする請求項12に記載のダイカストマシン
    用スリーブ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013163192A (ja) * 2012-02-09 2013-08-22 Toyota Motor Corp ダイカストスリーブ
CN109434067A (zh) * 2018-12-19 2019-03-08 浙江振兴阿祥集团有限公司 一种电机转子铸铝压射模具
KR20190030764A (ko) * 2016-08-31 2019-03-22 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 다이캐스트용 슬리브 및 그의 제조 방법

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