JPH11300071A - ミシンの帯状物切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 縦筒型特殊ベッドミシンや横筒型ベッドミシ
ンなど種々のベッド型ミシンにも特殊な改造や構造改良
を要さず取付け得て作業能率の向上及び作業負担の著し
い軽減を図れ、しかも幅広い被縫製物でもその送りを何
ら阻害することなく、縫い付け後の帯状物を針落ち部に
近い箇所で自動切断できるようにする。 【解決手段】 回転式切断刃６とテープ掬い上げ部１７
を一体形成しているテープ受部７とからなる切断部８の
全体を、ロータリシリンダ１６により往復駆動揺動され
る揺動アーム１５を介してミシンベッドＢの上面に固定
された針板１の針落ち部の後部に近接した切断作用位置
と針板１の上面よりも上方でミシンアームＡの左上方部
へ退避させた非作用位置とに亘って位置変更可能に構成
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばＴシャツの
肩部にテープやゴム等の帯状物を縫い付けた後、その帯
状物を切断する場合に用いられるミシンの帯状物切断装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、図９に示すように、チューブ状
ＴシャツＳの両肩部をその外側にテープＴを付けながら
縫製する、いわゆる肩テープ付け縫製にあたっては、図
８に示すような縦筒型特殊ベッドミシンＭの使用が最適
である。この縦筒型特殊ベッドミシンＭを使用しての肩
テープ付け縫製方法には次の２通りがある。

【０００３】その一つは、ＴシャツＳの肩通し部Ｓ１を
縦筒型特殊ベッドミシンＭの特殊シリンダーベッドＢに
その手前から奥部に向け次々と連続的に送り込んで押エ
Ｐ及び縫製部Ｈを通過させることによりテープ付け縫製
し、その特殊シリンダーベッドＢが複数枚のＴシャツＳ
で一杯になった時点で縫製を中断し、押エＰを上げて複
数枚のＴシャツＳの肩部に連続的に繋がっているテープ
Ｔを手挟みで切断しつつ、特殊シリンダーベッドＢに沿
わせてその手前側に抜き出すように取り出し、複数枚の
ＴシャツＳの全てが取り出されて特殊シリンダーベッド
ＢにＴシャツＳが無くなったならば、再びＴシャツＳを
特殊シリンダーベッドＢにその手前から奥部に向け次々
と送り込んでテープ付け縫製を再開するといった作業を
繰り返す肩テープ付け送り込み縫製である。

【０００４】他の一つは、最初に、縦筒型特殊ベッドミ
シンＭの押エＰを上げてテープ付けしようとする複数枚
のＴシャツＳをその肩通し部Ｓ１を介して特殊シリンダ
ーベッドＢの奥部にできるだけ多く押し入れ保持させて
おき、それらＴシャツＳを順次連続的に特殊シリンダー
ベッドＢに沿わせてその手前側に送り出して押エＰ及び
縫製部Ｈを通過させることによりテープ付け縫製し、複
数枚全てのＴシャツＳが縫い終わった時点で縫製を中断
して、複数枚のＴシャツＳの肩部に連続的に繋がってい
るテープＴを手挟みで切断し、その後、再びテープ付け
しようとする複数枚のＴシャツＳをその肩通し部Ｓ１を
介して特殊シリンダーベッドＢの奥部に押し入れ保持さ
せてテープ付け縫製を再開するといった作業を繰り返す
肩テープ付け送り出し縫製である。

【０００５】また、肩テープ等の帯状物の切断装置とし
て、従来、図１０及び図１１に示すような構造のものも
知られている。これは、ミシンベッド（図示省略する）
の上面に針落ち部５１を有する針板５２を固定し、この
針板５２よりも縫製方向（図１０の矢印ａ方向）の後部
に、固定刃５３と、この固定刃５３から図１１の点線に
示すように上方へ離間してテープの通過を許容する待機
位置と図１１の実線に示すように下方へ揺動して固定刃
５３との協働作用によりテープ等を切断する切断位置と
にロータリシリンダ５５等を介して揺動切替え自在に枢
着された可動刃５４とを備えて構成されたものである。

【０００６】さらに、上記図１０及び図１１に示す構造
のテープ等の切断装置の変形例として、特公昭６０−４
８１９５号公報や実公平７−５８２４号公報、特公平２
−１７１９５号公報などに開示された構成のものも知ら
れている。これらは、いずれも縦筒型特殊ベッドミシン
を取付け対象とするものでなく、平ベッド型偏平縫いミ
シン（図示省略）あるいは図１２に示すように、シリン
ダーベッドＢ１がミシンアームＡから縫製方向ａに対し
直交する横方向に向けて突出された横筒ベッド型偏平縫
いミシンＭ１を取付け対象とするものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の技術の
うち、縦筒型特殊ベッドミシンを用い、テープを手挟み
で切断する技術による場合は、ミシンベッド形状の特殊
性により一般的にミシンの回転数が低い上に、テープ付
け縫製後に作業者が手挟みを使用してテープを切断する
ので、作業能率が悪いばかりでなく、テープの切残し長
さにばらつきを生じやすく、縫い始め箇所及び縫い終わ
り箇所に生じるテープのロスも大きくなるという問題が
ある。このうち、テープのロスについては、ＴシャツＳ
の連続的な送り込みや送り出しピッチの工夫等により少
なくすることが可能であるものの、手挟みによるテープ
切断であることから、作業者の手首に与える負担が非常
に大きくて作業疲労が激しく、鍵鞘炎等を発症する可能
性もあって、健康管理上好ましいものではなかった。

【０００８】これに対して、図１０及び図１１や特公昭
６０−４８１９５号公報に開示されているようなテープ
等の切断装置は、ミシンを特別に改造することなく、既
存のミシンにも簡単に取り付けてテープ等を機械的に自
動切断させることが可能で、作業者に与える作業負担が
少なく、特に鍵鞘炎等の発症の可能性もなくすることが
できるけれども、針落ち部５１から切断位置までの距離
Ｌ（図１０参照）が長いために、縫い始め箇所及び縫い
終わり箇所に生じるテープのロスが上述した手挟みによ
る切断に比べても非常に大きくなるという問題がある。

【０００９】また、実公平７−５８２４号公報に開示さ
れているテープ等の切断装置は、切断位置が押エの直後
に設定されているので、図１０及び図１１や特公昭６０
−４８１９５号公報に開示されている切断装置に比べ
て、テープのロスを少なくすることができる反面、針
板、針板取付台、固定刃等などを特殊な構造に改造する
必要があって、装置全体のコストの上昇は避けられな
い。

【００１０】加えて、図１０及び図１１や特公昭６０−
４８１９５号公報、実公平７−５８２４号公報に開示さ
れているテープ等の切断装置はいずれも、幅広い被縫製
物を縫製対象とする場合、テープ等の切断部自体が被縫
製物の通過移動を妨げることになって、所定の縫製を行
うことができないという共通の問題がある。この問題
は、仮に、これら切断装置を縦筒型特殊ベッドミシンに
取り付けて使用できたとしても解消されるものではな
い。

【００１１】さらに、特公平２−１７１９５号公報に開
示されているテープ等の切断装置も、実公平７−５８２
４号公報と同様に、切断位置が押エの直後に設定されて
いるので、テープのロスを少なくすることができるもの
の、切断刃が針板の斜め上方から押エの直後の針板に向
かって直線的に下降移動してくるので、この切断刃と協
働作用する固定刃を針板に取り付けるといった特殊な構
造改良が必要である。また、同公報に開示されているテ
ープ等の切断装置は縦筒型特殊ベッドミシンにも取り付
けて使用することが可能であるが、この場合は、針板に
固定刃を取り付けるといった構造改良が必要である上
に、切断刃の直線的な運動による激しい衝撃に対して、
一般的に細い筒型シリンダーベッド部の強度的な耐久性
に新たな問題が発生する可能性が大きい。

【００１２】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、縦筒型特殊ベッドミシンや横筒型ベッドミシ
ン、平ベッド型ミシンなど種々のベッド型ミシンに対し
ても特殊な改造や構造改良を要することなく、取付け使
用可能で作業能率の向上及び作業負担の著しい軽減を図
ることができ、しかも幅広い被縫製物を縫製対象とする
場合でも、その送りを何ら阻害することなく、縫い付け
後の帯状物を針落ち部に近い箇所で機械的に自動切断す
ることができるミシンの帯状物切断装置を提供すること
を目的としている。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るミシンの帯状物切断装置は、被縫製物
に縫い付けられた帯状物をそれの幅方向に切断する切断
部を有する帯状物切断装置と、この帯状物切断装置の切
断部の全体を、ミシンベッド上面の針落ち部の後部に近
接した切断作用位置とミシンベッド上面に沿い移送され
る被縫製物の上記針落ち部通過を妨げないようにミシン
ベッド上面よりも上方部へ退避させた非作用位置とに亘
って位置変更させる切断部移動手段と、上記帯状物切断
装置の切断部を上記切断作用位置において切断駆動する
駆動手段とを備えていることを特徴とするものである。

【００１４】上記構成の本発明によれば、被縫製物がミ
シンベッド上面に沿って移送され帯状物の縫い付けが進
行している状態では、帯状物切断装置の切断部の全体が
ミシンベッド上面よりも上方部の非作用位置に退避され
て被縫製物の送りを何ら妨げることがないので、幅広い
被縫製物であっても、この被縫製物及び帯状物を針落ち
部に対してスムースに通過移動させて所定の帯状物縫い
付けを含む縫製を確実に行える。そして、帯状物の縫い
付け後は、帯状物切断装置の切断部の全体がミシンベッ
ド上面の針落ち部の後部に近接した切断作用位置に位置
変更されて帯状物を針落ち部に非常に近い位置で機械的
に自動切断することになり、作業者の手挟みによる切断
の場合に比べて、作業能率の向上及び作業負担の軽減が
図れるだけでなく、縫い終わり箇所及び次の縫い始め箇
所の帯状物のロスを最小限にすることが可能である。

【００１５】また、切断部の全体を切断作用位置と非作
用位置とに位置変更させる形態としているので、固定刃
を針板側に取り付け、可動刃のみを切断作用位置と非作
用位置とに往復運動させる構成の従来の切断装置のよう
に、針板や針板取付台等を特別に改造する必要がなく、
さらに、切断作用時の衝撃がミシンベッドには直接働か
ないので、縦筒型特殊ベッドミシンに取り付けて使用す
る場合でも、その細い筒型シリンダーベッド部の強度的
な耐久性に新たな問題を発生することがない。

【００１６】上記構成のミシンの帯状物切断装置におい
て、請求項２に記載のように、上記帯状物切断装置の切
断部に、上記非作用位置から作用位置への位置変更動作
に伴い帯状物をミシンベッド上面から掬い上げる掬い上
げ部を設け、この掬い上げ部で掬い上げた帯状物を切断
するように構成する場合は、切断しようとする帯状物を
ミシンベッド上面から一旦、掬い上げてミシンベッド上
面から浮き上がり状態に離間させた位置で切断すること
が可能であるから、切断部及びミシンベッド上面を損傷
する恐れが全くない。

【００１７】特に、上記帯状物切断装置の切断部を、請
求項３に記載のように、回転式切断刃と上記掬い上げ部
に連ねて一体形成されている帯状物受部とから構成する
ことによって、切断部全体をコンパクトに構成すること
ができるとともに、特公平２−１７１９５号公報に開示
されているテープ等の切断装置にみられるような切断時
の衝撃が非常に少なく、縦筒型特殊ベッドミシンに取り
付け使用する場合、細い筒型シリンダーベッド部を特別
に補強しなくても、強度的な耐久性に問題を発生するこ
とがない。

【００１８】さらに、上記構成のミシンの帯状物切断装
置において、請求項４に記載のように、上記切断部移動
手段を一定位置の支点周りに往復揺動自在な揺動アーム
とこのアームを揺動駆動するアーム駆動手段とから構成
する場合は、切断装置全体をコンパクト化できるととも
に、例えばロータリシリンダ等を介して揺動アームを揺
動させるだけで切断部の非作用位置から切断作用位置へ
の位置変更機能と帯状物の掬い上げ機能とを連続的に行
うことが可能で、動作が非常に合理的であり、かつ、帯
状物の切断効率も高くすることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図１は本発明に係るミシンの帯
状物切断装置Ｃを図８に示す縦筒型特殊ベッドミシンＭ
のミシンアームＡに取り付け固定した状態の左斜視図、
図２は同左側面図である。縦筒型特殊ベッドミシンＭ
は、その特殊シリンダーベッドＢ内に送り歯（図示省略
する。）を有しているとともに、その上面に針落ち部
（同図では省略している。）を有する針板１が固定さ
れ、この針板１の針落ち部を貫通するように上下方向に
往復運動する針２と、押エ３と、被縫製物に縫い付ける
帯状物の一例としてのテープＴを縫製箇所に繰り出し案
内するテープガイド４等を備えており、ミシンアームＡ
の背面部にブラケット５を介してテープ切断装置Ｃが装
着されている。

【００２０】上記テープ切断装置Ｃは、被縫製物に縫い
付けられたテープＴをその幅方向に切断する円板状の回
転式切断刃６とこの回転式切断刃６の保護ガードの一部
を兼ねる正面視ほぼＬ字形のテープ受部７とからなるテ
ープ切断部８と、このテープ切断部８の全体を上記特殊
シリンダーベッドＢ上面の針板１の針落ち部の後部に近
接させた切断作用位置（図１、図２参照）とミシンアー
ムＡの左方で特殊シリンダーベッドＢの上面に沿い移送
される被縫製物の針落ち部通過を妨げないようにシリン
ダーベッドＢの上面よりも上方部へ退避させた非作用位
置とに亘って位置変更させる切断部移動手段９と、上記
テープ切断部８の回転式切断刃６を回転駆動する駆動手
段としてのモータ１０とを備えている。

【００２１】上記切断部移動手段９は、上記回転式切断
刃６の保護ガードの一部を兼ねる正面視ほぼＬ字形のテ
ープ受部７をねじ１１を介して固定した切断刃取付台１
２の基端部に先端部がねじ１３を介して固定され、基端
部が上記ブラケット５に支軸１４を介して該支軸１４の
周りに往復揺動自在に枢着された揺動アーム１５と、上
記ブラケット５の背面側に固定保持されて上記支軸１４
を介して揺動アーム１５を往復揺動駆動するロータリシ
リンダ（アーム駆動手段の一例）１６とから構成されて
いる。上記回転式切断刃６の駆動用モータ１０は上記揺
動アーム１５に固定されている。

【００２２】上記テープ切断部８を構成するＬ字形のテ
ープ受部７の先端部は、図３に明示するように、先細り
テープ状で、上記揺動アーム１５の往行揺動によりテー
プ切断部８の全体が上述した非作用位置から切断作用位
置へ位置変更されるとき、図４に示すように、針板１の
上面１ａからテープＴを掬い上げるテープ掬い上げ部１
７に形成されており、このテープ掬い上げ部１７で掬い
上げたテープＴを図５に示すように、回転式切断刃６と
受部７により幅方向に切断するように構成されている。

【００２３】また、上記回転式切断刃６は、図３に明示
されているように、上記切断刃取付台１２の先端部に形
成したほぼ半月状の凹部１２Ｂ内に回転可能に収納保持
されて刃表面６Ａがその外周を取り巻く円弧状切断刃取
付台部分１２ａの表面１２Ａよりも凹んでいることと、
円弧状切断刃取付台部分１２ａの先端と上記テープ掬い
上げ部１７との間隔１を狭くしていることによって、作
業者等の手指が回転式切断刃６に触れる恐れのないよう
な安全対策が講じられている。

【００２４】さらに、上記針板１の直上方部のミシンア
ームＡには、取付板１８を介して被縫製物（生地）の存
在を検出する光センサー１９が取り付けられている。

【００２５】次に、上記のような構成のテープ切断装置
Ｃを取り付けた縦筒型特殊ベッドミシンＭを用いて、例
えば図９に示したように、ＴシャツＳの両肩部にテープ
Ｔを付けながら縫製する、いわゆる肩テープ付け縫製を
行う時の動作について、図３〜図６を参照しながら、図
７のタイミングチャートに添って説明する。ＴシャツＳ
の腕通し部Ｓ１を特殊シリンダーベッドＢに通して針板
１上に送り込みセットすると、センサー１９がそれを検
出して「明」から「暗」に切り替わる。

【００２６】この状態でペダルを踏み込むと、縦筒型特
殊ベッドミシンＭが回転開始しＴシャツＳを所定の方向
に送りながら、テープガイド４を経て腕通し部Ｓ１の外
側に供給されるテープＴを縫い付ける所定の縫製が行わ
れる。この一連の肩テープ付け縫製が終了して上記セン
サー１９が「暗」から「明」に切り替わると、運針カウ
ンター（図示省略する。）により予め設定された運針数
だけ回転した後、針２が上死点近傍に位置する状態で縦
筒型特殊ベッドミシンＭの回転が自動的に停止する。

【００２７】その停止後で数秒の待ち時間ｔ１が経過し
た後、図示省略している糸切り装置とテープ切断装置Ｃ
におけるモータ１０及び切断部移動手段９のロータリシ
リンダ１６が同時に作動（ＯＮ）する。このモータ１０
及びロータリシリンダ１６の同時作動により切断部８を
構成する回転式切断刃６が回転駆動されるとともに、揺
動アーム１５が往行揺動されて切断部８の全体が図３に
示すように、ミシンアームＡの左上方部へ退避した非作
用位置から切断作用位置に向けて位置変更される。この
ような切断部８全体の位置変更の途中で受刃７に連なる
テープ掬い上げ部１７が図４に示すように、針板１の上
面１ａからテープＴを掬い上げるとともに、その掬い上
げたテープＴを回転式切断刃６と受部７とにより図５に
示すように、幅方向に切断し、切断されたテープＴは図
６に示すように、針板１の上面１ａに落下する。

【００２８】上記のように、肩テープ付け縫製時には切
断部８の全体がミシンアームＡの左上方部の非作用位置
に退避されているので、被縫製物であるＴシャツＳの送
りを何ら妨げることがなく、ＴシャツＳを針板１の針落
ち部に対してスムースに通過移動させて所定のテープ付
け縫製を確実に行えつつ、テープ付け縫製後は、切断部
８の全体が針板１の針落ち部の後部に近接した切断作用
位置に位置変更されてテープＴを針落ち部に非常に近い
位置で機械的に自動切断することが可能であり、したが
って、作業者の手挟みによるテープ切断の場合に比べ
て、作業能率の向上及び作業負担の軽減が図れ、特に作
業者が鍵鞘炎等を発症する可能性を皆無にすることがで
きる。さらに、縫い終わり箇所及び次の縫い始め箇所の
テープのロスを最小限に抑えることが可能である。

【００３０】以上のような糸切り動作およびテープ切断
動作が終了した後は、糸切り装置が原位置（ホームポジ
ション）に復帰して作動停止（ＯＦＦ）されるととも
に、テープ切断装置Ｃにおける切断部８がミシンアーム
Ａの左上方部の非作用位置へ揺動退避されてモータ１０
及びロータリシリンダ１６の作動が停止（ＯＦＦ）され
る。ここで、モータ１０を非作用位置への退避後も数秒
程度の所定時間ｔ２に亘って回転保持させておくことに
より、回転式切断刃６の刃面に付着しているテープ切屑
などを自動除去するクリーニング機能を発揮させること
ができる。

【００３１】そして、モータ１０の作動が停止されると
同時に、押エ揚げ装置（図示省略している。）が作動
（ＯＮ）して押エ３が針板１から自動的に上昇される。
この押エ３が上昇している間（通常２〜３秒に設定）に
テープ付け縫製が完了したＴシャツＳを縦筒型特殊ベッ
ドミシンＭの特殊シリンダーベッドＢから手前に取り出
し、押エ３が針板１側に降下した後は次のＴシャツＳを
セットしたセンサー１９を「暗」にすることで、次の肩
テープ付け縫製が開始される。なお、ペダルは次の縫製
が開始されるまでに踏み込み解除（ＯＦＦ）されてい
る。

【００３２】なお、上記実施の形態では、テープ切断装
置Ｃを縦筒型特殊ベッドミシンＭに取り付けてＴシャツ
Ｓの肩テープ付け縫製を行う場合について説明したが、
縦筒型特殊ベッドミシンＭに代えて、回転数の高いミシ
ン、特に、ＴシャツＳの肩テープ付け縫製については縦
筒型特殊ベッドミシンＭに次いで適している図１２に示
すような横筒ベッド型偏平縫いミシンＭ１に取り付けて
取り付けて使用してもよく、この場合も上記したと同様
に、作業者が手挟みでテープ切断するといった非能率的
で、かつ、負担の大きい作業を無くすることに加えて、
縫製スピードが速くなるために、全体としての作業能率
を一層向上することが可能である。

【００３３】また、上記実施の形態では、帯状物の一例
としてテープを縫い付けるものについて説明したが、ゴ
ムなどの他の帯状縫製物を縫い付け縫製する場合であっ
ても同様な効果を期待することができるのはもちろんで
ある。

【００３４】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ミシン
ベッド上面に沿って被縫製物を移送しつつ帯状物の縫い
付けを進行する状態では、切断部の全体が、被縫製物の
送りを何ら妨げることがないミシンベッド上面よりも上
方部の非作用位置に退避されて幅広い被縫製物であって
も、その被縫製物及び帯状物の針落ち部に対する通過移
動を確実、スムースに保つことができる。したがって、
当該帯状物切断装置を縦筒型特殊ベッドミシン、横筒型
ベッドミシン、平ベッド型ミシンなど種々のベッド型ミ
シンに対して取付け使用可能で、作業能率の向上はもち
ろん、作業負担を著しく軽減して作業者が鍵鞘炎等を発
症するなどの不都合を回避することができる。しかも、
帯状物の縫い付け後は、切断部の全体をミシンベッド上
面の針落ち部の後部に近接した切断作用位置に位置変更
させて帯状物を針落ち部に非常に近い位置で機械的に自
動切断することが可能であるために、縫い終わり箇所及
び次の縫い始め箇所の帯状物のロスを最小限に止めるこ
とができる。

【００３５】その上、切断部の全体を切断作用位置と非
作用位置とに位置変更させる形態としているので、固定
刃を針板側に取り付け、可動刃のみを切断作用位置と非
作用位置とに往復運動させる構成の従来の切断装置のよ
うに、針板や針板取付台等を特別に改造する必要がな
く、また、切断作用時の衝撃がミシンベッドには直接働
かないので、縦筒型特殊ベッドミシンに取り付けて使用
する場合でも、その細い筒型シリンダーベッド部を補強
等する必要がなく、既存の縦筒型特殊ベッドミシンにそ
のまま取り付けて使用しても、細い筒型シリンダーベッ
ド部の強度的な耐久性を十分に確保することができると
いう効果を奏する。

【００３６】また、請求項２に記載の発明によれば、切
断しようとする帯状物をミシンベッド上面から一旦、掬
い上げてミシンベッド上面から浮き上がり状態に離間さ
せた位置で切断することができるから、帯状物の切断時
に切断部及びミシンベッド上面を損傷する恐れが全くな
い。

【００３７】特に、請求項３に記載の発明によれば、切
断部全体のコンパクト化が図れるとともに、切断時の衝
撃が非常に少なく、縦筒型特殊ベッドミシンに取り付け
使用する場合、細い筒型シリンダーベッド部を特別に補
強しなくても、強度的な耐久性に問題を発生する恐れが
全くない。

【００３８】さらに、請求項４に記載の発明によれば、
切断装置全体を一層コンパクト化できるとともに、切断
部の非作用位置から切断作用位置への位置変更機能と帯
状物の掬い上げ機能とを連続的に行うことが可能で、動
作が非常に合理的であり、かつ、帯状物の切断効率も高
めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るミシンの帯状物切断装置を縦筒型
特殊ベッドミシンのミシンアームに取り付け固定した状
態の左斜視図である。

【図２】同上左側面図である。

【図３】同上帯状物切断装置が非作用位置に退避されて
いる状態を示す要部の拡大正面図である。

【図４】同上帯状物切断装置が非作用位置から切断作用
位置へ位置変更されている途中の状態を示す要部の拡大
正面図である。

【図５】同上帯状物切断装置が帯状物を切断している状
態を示す要部の拡大正面図である。

【図６】同上帯状物切断装置による帯状物の切断完了状
態を示す要部の拡大正面図である。

【図７】肩テープ付け縫製動作を説明するタイミングチ
ャートである。

【図８】縦筒型特殊ベッドミシンの全体を示す外観斜視
図である。

【図９】Ｔシャツへの肩テープ付け縫製の説明図であ
る。

【図１０】従来の帯状物切断装置を示す要部の平面図で
ある。

【図１１】同上従来の帯状物切断装置を示す要部の正面
図である。

【図１２】横筒ベッド型偏平縫いミシンの全体を示す外
観斜視図である。

【符号の説明】

１ 針板 ２ 針 ３ 押エ ６ 回転式切断刃 ７ テープ受部（帯状物受部） ８ 切断部 ９ 切断部移動手段 １０ 切断刃駆動用モータ（駆動手段） １５ 揺動アーム １６ ロータリシリンダ（アーム駆動手段） １７ テープ掬い上げ部 Ｍ 縦筒型特殊ベッドミシン Ｍ１ 横筒ベッド型偏平縫いミシン Ｂ 特殊シリンダーベッド（ミシンベッドの一例） Ｓ Ｔシャツ（被縫製物の一例） Ｔ テープ（帯状物の一例）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被縫製物に縫い付けられた帯状物をそれ
   の幅方向に切断する切断部を有する帯状物切断装置と、 この帯状物切断装置の切断部の全体を、ミシンベッド上
   面の針落ち部の後部に近接した切断作用位置とミシンベ
   ッド上面に沿い移送される被縫製物の上記針落ち部通過
   を妨げないようにミシンベッド上面よりも上方部へ退避
   させた非作用位置とに亘って位置変更させる切断部移動
   手段と、 上記帯状物切断装置の切断部を上記切断作用位置におい
   て切断駆動する駆動手段とを備えていることを特徴とす
   るミシンの帯状物切断装置。
2. 【請求項２】 上記帯状物切断装置の切断部が、上記非
   作用位置から作用位置への位置変更動作に伴い帯状物を
   ミシンベッド上面から掬い上げる掬い上げ部を有し、こ
   の掬い上げ部で掬い上げた帯状物を切断するように構成
   されている請求項１に記載のミシンの帯状物切断装置。
3. 【請求項３】 上記帯状物切断装置の切断部が、回転式
   切断刃と上記掬い上げ部に連ねて一体形成されている帯
   状物受部とから構成されている請求項２に記載のミシン
   の帯状物切断装置。
4. 【請求項４】 上記切断部移動手段が、一定位置の支点
   周りに往復揺動自在な揺動アームとこのアームを揺動駆
   動するアーム駆動手段とから構成されている請求項１，
   ２または３に記載のミシンの帯状物切断装置。