JPH11299022A - ガス絶縁開閉装置内の変流器の試験装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】点検用接地開閉器を使用しないで変流器の２次
側出力の電流値や極性をチェックすることのできる変流
器の試験装置を提供する。 【解決手段】密閉容器１３に通電端子１７と接地端子１
８とが設けられ、通電端子１７は密閉容器１３から電気
的に絶縁されるとともに密閉容器１３を気密に貫通して
外部に引き出されてなり、接地端子１８は密閉容器１３
の外表面に電気的に接続されてなり、電界シールド５Ｂ
の軸方向の一方端が通電端子１７に電気的に接続される
とともに、電界シールド５Ｂの軸方向の他方端が接地端
子１８に電気的に接続され、密閉容器１３の外部に配さ
れた電流源が通電端子１７と接地端子１８とに接続され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ガス絶縁開閉装
置内の変流器に密閉容器の外部から試験電流を流し、変
流器の２次側出力の特性を試験するための装置に関し、
特に、点検用接地開閉器を使用しないで済む変流器の試
験装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来のガス絶縁開閉装置内の変
流器の試験装置の構成を示す一部破砕側面図である。図
５のガス絶縁開閉装置は三相一括型の例であり、２回線
の三相一括母線１が絶縁ガスで密封された導電性の密閉
容器１３内に収納されている。各相の母線１は、それぞ
れ母線断路器２を介して遮断器４の上部に接続されてい
る。遮断器４の下部からは各相の母線１に接続される主
回路導体１６が形成され、変流器５を貫通した後に線路
用断路器６に接続されている。線路側断路器６の右側に
は、線路用接地開閉器８と避雷器９と計器用変圧器１０
とが接続され、さらに、ケーブル接続部１１が接続され
ている。遮断器４と変流器５の両端には点検用接地開閉
器３，７とが接続され、点検用接地開閉器３，７の接地
側がそれぞれ絶縁端子１５，１４を介して密閉容器１３
の外部へ引き出されている。

【０００３】図５において、ケーブル接続部１１が図示
されていない負荷側のケーブルへ接続され、負荷側へ電
力を供給するようになっている。絶縁端子１５，１４
は、中心導体が密閉容器１３から絶縁された端子であ
る。ガス絶縁開閉装置の使用中は当然のことながら点検
用接地開閉器３，７が開成されているが、絶縁端子１
５，１４は密閉容器１３の外部に配された図示されてい
ない接地リードを介して接地されている。一方、ガス絶
縁開閉装置の運転が停止され遮断器４を点検するときに
は、点検用接地開閉器３，７が閉成され遮断器４の上下
両端が接地される。また、変流器５を試験する場合にも
点検用接地開閉器３，７が閉成されるが、その場合に
は、図５に示されたように絶縁端子１５，１４に試験用
の電流源１２が接続される。それによって、試験電流を
遮断器４を介して変流器５に流し、変流器５の試験が実
施される。

【０００４】図６は、図５の変流器の試験状態を示す回
路図である。点検用接地開閉器３，７の接地側が接地Ｅ
へ接続するための接地バー２３から外され、それぞれ電
流源１２に接続されている。それによって、点線のよう
な試験電流Ｉが流れる。その場合、母線断路器２や線路
側断路器６は開成しておく。試験電流Ｉを変流器５の主
回路導体１６に流すことによって、密閉容器内の変流器
５の２次側出力の電流値や極性を調べることができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の装置は、変流器の試験に点検用接地開閉
器が必要であり、変流器の設置個所に制約があるという
問題があった。すなわち、変流器に試験電流Ｉを流すた
めに、変流器の両側に必ず点検用接地開閉器を設ける必
要があり、ガス絶縁開閉装置内の各機器の配置に制約が
生じていた。また、変流器の試験に点検用接地開閉器を
使用するので、点検用接地開閉器の接地側の接地バーを
臨時的に外す必要がある。そのために、変流器の試験終
了後に接地バーの取り付け忘れが発生する恐れもあっ
た。接地バーの取り付けがなされていないと、遮断器の
点検の時に遮断器が接地されなくなり非常に危険な状態
になる。

【０００６】なお、変流器の試験装置として、変流器の
２次側に予め試験巻線を設けておく装置も考えられる
が、２次巻線と試験巻線とを同じ個所に配置せざるを得
ないので、変流器の２次側出力の極性が２次巻線と試験
巻線とで必ず同じになる。そのために、変流器の極性試
験ができないという欠点がある。この発明の目的は、点
検用接地開閉器を使用しないで変流器の２次側出力の電
流値や極性をチェックすることのできる試験装置を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、絶縁ガスで密封された導電性の
密閉容器内に開閉機器や変流器が収納されたガス絶縁開
閉装置の前記変流器を密閉容器の外部から試験するため
の装置であって、前記変流器が筒状の電界シールドと、
この電界シールドの内部を貫通する主回路導体と、前記
電界シールドの外周を周回する鉄心と、この鉄心を巻回
する二次巻線とからなり、密閉容器に通電端子と接地端
子とが設けられ、前記通電端子は密閉容器から電気的に
絶縁されるとともに密閉容器を気密に貫通して外部に引
き出されてなり、前記接地端子は密閉容器の外表面に電
気的に接続されてなり、電界シールドの軸方向の一方端
が通電端子に電気的に接続されるとともに、電界シール
ドの軸方向の他方端が接地端子に電気的に接続され、密
閉容器の外部に配された電流源が通電端子と接地端子と
に接続されるようにするとよい。それによって、変流器
の試験時に電流源から変流器の電界シールドに試験電流
を流すことができる。変流器にとっては、１次電流が主
回路導体に流れていても電界シールドに流れていても同
じである。したがって、電界シールドに試験電流を流す
ことによって、変流器の２次側出力の電流値や極性を調
べることができる。この装置によれば、変流器の試験に
点検用接地開閉器を使用する必要がなくなるとともに、
点検用接地開閉器の接地側の接地バーを外す必要もなく
なる。

【０００８】また、かかる構成において、電界シールド
の他方端が密閉容器の内表面に電気的に接続されるよう
にしてもよい。それによって、密閉容器を試験電流の通
路にすることができるので、電界シールドの他方端を電
界シールドに近い個所の密閉容器内表面に接続すればよ
い。したがって、電界シールドの他方端と接地端子とを
電気的に接続するための接続線を短くすることができ
る。

【０００９】また、かかる構成において、通電端子と接
地端子とが隣接して設けられるようにしてもよい。それ
によって、通電端子と接地端子とに密閉容器の外部から
電流源を接続するための接続線が非常に短くなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明を実施例に基づい
て説明する。図１は、この発明の実施例にかかるガス絶
縁開閉装置内の変流器の試験装置の構成を示す一部破砕
側面図である。図１のガス絶縁開閉装置の外形は図５の
装置と多少異なるが、点検用接地開閉器３，７以外の各
収納機器の結線は図５の装置と同じであり、対応する各
機器の符号は同じにしてある。すなわち、図１のガス絶
縁開閉装置は三相一括型の例であり、２回線の三相一括
母線１が絶縁ガスで密封された導電性の密閉容器１３内
に収納されている。各相の母線１は、それぞれ母線断路
器２を介して遮断器４の上部に接続されている。遮断器
４の下部からは母線１に接続される主回路導体１６が形
成され、変流器５を貫通した後に線路用断路器６に接続
されている。線路側断路器６の右側は、線路用接地開閉
器８と避雷器９と計器用変圧器１０とが接続され、さら
に、ケーブル接続部１１が接続されている。遮断器４の
上下両端にはそれぞれ点検用接地開閉器３，７が接続さ
れ、その接地側が図示されていない絶縁端子を介して密
閉容器１３の外部へ引き出されている。

【００１１】図２は、図１の変流器の試験状態を示す回
路図である。図６の構成と異なる個所は、点検用接地開
閉器３，７が遮断器４の両側に直接結線され、点検用接
地開閉器３，７の接地側が接地バー２３に常時接続さ
れ、電流源１２が変流器５の電界シールド５Ｂ（後述さ
れる）の両端に接続されている点である。変流器５の試
験においては、この電界シールド５Ｂに点線のような試
験電流Ｉが流され、密閉容器内の変流器５の２次側出力
の電流値や極性を調べることができる。なお、その場
合、母線断路器２や線路側断路器６は開成しておき、主
回路電流が流れないようにしておく。点検用接地開閉器
３，７の開閉状態はいずれの場合であっても変流器の試
験結果に全く影響を与えない。

【００１２】図３は、図１の要部拡大断面図である。変
流器５が、主回路導体１６を周回する鉄心５Ａを備え、
この鉄心５Ａに図示されていない２次巻線が巻回されて
いる。主回路導体１６と鉄心５Ａとの間には円筒状の電
界シールド５Ｂが介装されている。この電界シールド５
Ｂは、本来は鉄心５Ａのエッジに電界が集中するのを避
けるためのものであって、鉄心５Ａと同じ電位にしてあ
る。電界シールド５Ｂの上端は、接続線２０（例えば、
６００Ｖビニル電線）を介して密閉容器１３の側面を気
密に、かつ密閉容器１３とは絶縁されて貫通する通電端
子１７に接続されている。一方、電界シールド５Ｂの下
端は、接続線１９を介して密閉容器１３の内表面に直接
接合されている。接地端子１８は、通電端子１７に隣接
させて密閉容器１３の外表面に直接接合されている。変
流器５の試験時には、接地端子１８と通電端子１７とに
密閉容器１３の外部から電流源１２が接続され、密閉容
器１３の内部の電界シールド５Ｂに試験電流が流され
る。

【００１３】図４は、図３の裏面側から手前側を見た要
部側面図である。通電端子１７が絶縁スペーサ２１を介
して密閉容器１３から絶縁されている。絶縁スペーサ２
１は、フランジ２２によって密閉容器１３に気密に固定
されている。接地端子１８は、密閉容器１３の表面に直
接溶接されているが、その溶接個所は密閉容器１３のど
こであってもよい。すなわち、図３において、電界シー
ルド５Ｂの下端から接続線１９を介して密閉容器１３に
流れ込むからである。接地端子１８を図４のように通電
端子１７に隣接させることによって、電流源を非常に短
い接続線で接続することができ、変流器の試験が容易に
なる。接地端子１８と通電端子１７との離隔距離は接続
線をつなぎ込むための作業性や接続端子部品の大きさな
どから決まり、１０ｃｍ前後にしておくとよい。

【００１４】なお、図３において、接続線１９も密閉容
器１３の内表面のどこに接合させてもかまわない。ま
た、接続線１９を使わないで、直接密閉容器１３の内表
面に電気的に接続することもでき、このようにすれば、
さらに製作コストが低減される。なお、この場合、例え
ば、電界シールド５Ｂの下端に設けられた円板状のつば
部を密閉容器１３にネジ止めで直接接続するようにして
もよい。

【００１５】図２に戻り、変流器５にとっては、１次電
流が主回路導体１６に流れていても電界シールド５Ｂに
流れていても同じであるので、それによって、変流器５
の２次側出力の電流値や極性を調べることができる。し
たがって、変流器５の試験において、点検用接地開閉器
３，７を使用する必要がなくなるとともに、点検用接地
開閉器３，７の接地Ｅ側の接地バー２３を臨時に外す必
要もなくなる。

【００１６】なお、説明は省略されたが、従来の装置で
ある図５の場合にも鉄心エッジの電界緩和のために電界
シールド５Ｂが介装されている。しかし、従来の装置で
は、変流器５が絶縁ガスで充填された状態では電界シー
ルド５Ｂに試験電流を流すことができなかった。図１の
構成によって、電界シールド５Ｂに試験電流を流すこと
ができるようになり、しかも、変流器５は、点検用接地
開閉器３，７の配置に関係せず、変流器５をいずれの位
置に配しても変流器５の試験を実施することができる。
したがって、ガス絶縁開閉装置内に収納される各機器の
レイアウトにも任意性ができ、ガス絶縁開閉装置全体を
コンパクト化することができるようになった。

【００１７】

【発明の効果】この発明は前述のように、密閉容器に通
電端子と接地端子とが設けられ、前記通電端子は密閉容
器から電気的に絶縁されるとともに密閉容器を気密に貫
通して外部に引き出されてなり、前記接地端子は密閉容
器の外表面に電気的に接続されてなり、電界シールドの
軸方向の一方端が通電端子に電気的に接続されるととも
に、電界シールドの軸方向の他方端が接地端子に電気的
に接続され、密閉容器の外部に配された電流源が通電端
子と接地端子とに接続されることによって、変流器の試
験に点検用接地開閉器を使用することがなくなり、ガス
絶縁開閉装置内に収納される各機器のレイアウトに任意
性ができ、ガス絶縁開閉装置全体のコンパクト化につな
げることができるようになった。さらに、点検用接地開
閉器の接地側の接地バーを外す必要もなくなり、接地バ
ーの取り付け忘れということがなくなる。

【００１８】また、かかる構成において、電界シールド
の他方端が密閉容器の内表面に電気的に接続されること
によって、電界シールドの他方端と接地端子とを電気的
に接続するための接続線を短くすることができ、製作コ
ストを低減することができる。また、かかる構成におい
て、通電端子と接地端子とが隣接して設けられることに
よって、通電端子と接地端子とに密閉容器の外部から電
流源を接続する接続線が非常に短くなり、変流器の試験
がし易くなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例にかかるガス絶縁開閉装置内
の変流器の試験装置の構成を示す一部破砕側面図

【図２】図１の変流器の試験状態を示す回路図

【図３】図１の要部拡大断面図

【図４】図３の裏面側から手前側を見た要部側面図

【図５】従来のガス絶縁開閉装置内の変流器の試験装置
の構成を示す一部破砕側面図

【図６】図５の変流器の試験状態を示す回路図

【符号の説明】

５：変流器、５Ａ：鉄心、５Ｂ：電界シールド、１２：
電流源、１３：密閉容器、１６：主回路導体、１７：通
電端子、１８：接地端子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁ガスで密封された導電性の密閉容器内
   に開閉機器や変流器が収納されたガス絶縁開閉装置の前
   記変流器を密閉容器の外部から試験するための装置であ
   って、前記変流器が筒状の電界シールドと、この電界シ
   ールドの内部を貫通する主回路導体と、前記電界シール
   ドの外周を周回する鉄心と、この鉄心を巻回する二次巻
   線とからなり、密閉容器に通電端子と接地端子とが設け
   られ、前記通電端子は密閉容器から電気的に絶縁される
   とともに密閉容器を気密に貫通して外部に引き出されて
   なり、前記接地端子は密閉容器の外表面に電気的に接続
   されてなり、電界シールドの軸方向の一方端が通電端子
   に電気的に接続されるとともに、電界シールドの軸方向
   の他方端が接地端子に電気的に接続され、密閉容器の外
   部に配された電流源が通電端子と接地端子とに接続され
   てなることを特徴とするガス絶縁開閉装置内の変流器の
   試験装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載のガス絶縁開閉装置内の変
   流器の試験装置において、電界シールドの他方端が密閉
   容器の内表面に電気的に接続されてなることを特徴とす
   るガス絶縁開閉装置内の変流器の試験装置。
3. 【請求項３】請求項１または２に記載のガス絶縁開閉装
   置内の変流器の試験装置において、通電端子と接地端子
   とが隣接して設けられてなることを特徴とするガス絶縁
   開閉装置内の変流器の試験装置。