JPH11292647A - 炭素繊維強化複合材料及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化複合材料及びその製造方法

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JPH11292647A
JPH11292647A JP10099480A JP9948098A JPH11292647A JP H11292647 A JPH11292647 A JP H11292647A JP 10099480 A JP10099480 A JP 10099480A JP 9948098 A JP9948098 A JP 9948098A JP H11292647 A JPH11292647 A JP H11292647A
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carbon fiber
composite material
carbon
fiber reinforced
ceramics
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JP10099480A
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Mitsunobu Nikaido
光信 二階堂
Yoshio Inoue
良男 井上
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Nabco Ltd
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Nabco Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素材料及びセラミックスの特性をバランス
よく発揮できて、引張強度特性、圧縮強度特性、耐衝撃
性、耐熱衝撃性、耐酸化性、耐摩耗性及び機械加工性の
良好な炭素繊維強化複合材料及びその製法を提供する。 【解決手段】 炭素繊維強化炭素複合材料に、有機珪素
化合物を含浸させて、不活性ガス若しくは窒素ガス雰囲
気中で熱処理を行うか又はCVD法によって炭化珪素及
び窒化珪素の少なくとも一方を生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維強化複合材
料及びその製造方法に関し、詳しくは、炭素繊維強化炭
素複合材料(以下「C/Cコンポジット」と称す)とセ
ラミックスとからなり、レース車両、鉄道車両及び航空
機等のブレーキ材料、並びに航空宇宙用部材の材料等と
して特に好適に用いられる炭素繊維強化複合材料及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】C/Cコンポジットと、炭化珪素及び窒
化珪素等のセラミックスとからなり、前記ブレーキ材料
等に使用される複合材料については、C/Cコンポジッ
トに由来する引張強度特性、耐衝撃性、耐熱衝撃性、及
び耐薬品性と、セラミックスに由来する圧縮強度特性、
耐酸化性、及び耐摩耗性等、C/Cコンポジットとセラ
ミックスの双方の特性が要求される。この複合材料の製
造方法としては、(1) 炭化珪素粉末及び窒化珪素粉末の
少なくとも一方と炭素粉末とを混合し、これを炭素繊維
に含浸させて焼結する方法、(2) C/Cコンポジットの
表面相及び空孔部に金属珪素を含浸し、反応焼結により
前記表面相及び空孔部に炭化珪素及び窒化珪素の少なく
とも一方を生成する方法が一般に採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記(1) の
製造方法では、セラミックスが分散相となるので、特に
圧縮強度の面でセラミックスの特性を十分に発揮できな
いとともに、ブレーキ材料として使用した場合に、表面
に現れたセラミックス相が剥離してグルービングが生
じ、摩耗量が増えるという問題があった。前記(2) の製
造方法では、表面相にセラミックスが偏在し、組織の均
質性に問題があるとともに、C/Cコンポジットを構成
する炭素繊維が、金属シリコンと反応して侵食され、か
つセラミックスの相が厚くなり易いので、C/Cコンポ
ジットの特性である耐衝撃性を十分に発揮できないとい
う問題があった。さらに、前記セラミックスの相が厚く
なることに起因して、機械加工性が悪いという問題もあ
った。
【0004】本発明は、前記問題点を解決するものであ
り、C/Cコンポジットの有する耐衝撃性、耐熱衝撃
性、耐薬品性、引張強度特性及び機械加工性と、セラミ
ックスの有する耐酸化性、圧縮強度特性及び耐摩耗性と
をバランスよく発揮できる炭素繊維強化複合材料及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の炭素繊維強化複
合材料は、C/Cコンポジットに、炭化珪素及び窒化珪
素の少なくとも一方からなるセラミックスを生成してい
るとともに、前記C/Cコンポジット及びセラミックス
がそれぞれ連続相を形成し、炭素繊維が非侵食状態で残
存していることを特徴としている(請求項1)。この炭
素繊維強化複合材料の内部組織は、実質的に炭素繊維の
まわりを炭素相が覆っており、この炭素相の内部隙間及
び周囲を前記セラミックスが覆った状態になっている。
また、炭素繊維が非侵食状態で残存している。このた
め、炭素繊維の特性である耐衝撃性及び引張強度を良好
に発揮することができる。また、炭素繊維が非侵食状態
であるので、セラミックス相が巨大化されるのが防止さ
れ、炭素相の特性である機械加工性も良好に発揮でき
る。この機械加工性は、セラミックス相の厚みが薄いほ
ど効果的に向上することが確認されている。しかも、炭
素相がクッションとなって耐熱衝撃性も良好となる。さ
らに、セラミックスが連続相になっているので、その特
性が十分に発現され、セラミックス相がC/Cコンポジ
ットから剥離しにくくなることと相まって、圧縮強度、
耐酸化性及び耐摩耗性が向上している。
【0006】前記炭素繊維強化複合材料は、C/Cコン
ポジットを50〜90重量%、前記セラミックスを50〜10重
量%含むものであるのが好ましい(請求項2)。C/C
コンポジットとセラミックスとの比率が前記の範囲内に
ある場合には、セラミックスが薄い連続相を形成し易く
なり、機械加工性がさらに向上する。また、セラミック
スの比率が10重量%以上であるので、耐酸化性がさらに
向上し、C/Cコンポジットの比率が50重量%以上であ
るので、機械加工性及び耐衝撃性がより効果的に向上す
る。
【0007】この発明の炭素繊維強化複合材料の製造方
法は、請求項1記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法
であって、炭素繊維と炭素質マトリックスとからなるプ
リフォームを炭化させるか、又は炭素繊維のプリフォー
ムに化学的気相蒸着法(以下「CVD法」と称する)に
より炭素を沈積させて、C/Cコンポジットを作製し、
このC/Cコンポジットに前記セラミックスを生成させ
ることを特徴としている(請求項3)。この製造方法に
よれば、C/Cコンポジットと、炭化珪素及び窒化珪素
の少なくとも一方からなるセラミックスとがそれぞれ連
続相を形成し、炭素繊維が炭素相に覆われて非侵食状態
で残存している炭素繊維強化複合材料を容易かつ確実に
得ることができるとともに、セラミックス相の厚みを薄
くすることができる。また、セラミックスが表面相に偏
在するのを防止することもできる。
【0008】前記炭素繊維強化複合材料の製造方法は、
前記C/Cコンポジットに有機珪素化合物を含浸させ、
不活性ガス又は窒素ガス雰囲気中で熱処理を行うことに
より、前記セラミックスを生成させるものであってもよ
い(請求項4)。この製造方法によれば、品質の安定し
た炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
【0009】前記炭素繊維強化複合材料の製造方法は、
前記C/Cコンポジットに、CVD法により前記セラミ
ックスを生成させるものであってもよい(請求項5)。
この製造方法によれば、均一かつ厚みの薄いセラミック
ス相を形成することができる。
【0010】前記炭素繊維強化複合材料の製造方法は、
前記C/Cコンポジットを作製した後、当該C/Cコン
ポジットに樹脂若しくはピッチを含浸させて炭化させる
工程、又は化学的気相蒸着法により炭素を沈積させる工
程と、前記セラミックスを生成させる工程とを少なくと
も1回行うものであってもよい(請求項6)。この製造
方法においては、前記樹脂若しくはピッチの炭化、又は
炭素の沈積によって、炭素繊維強化複合材料のブランク
としての中間体が緻密化して空孔比率及び空孔の大きさ
が小さくなるので、セラミックス相の厚みをさらに薄く
することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。本発明の炭素繊維強化複合材料は、C/C
コンポジットと、炭化珪素及び窒化珪素の何れか一方又
は双方とからなる複合材料であり、以下のようにして製
造される。まず、炭素繊維と炭素質マトリックスとから
C/Cコンポジットを作る。前記炭素繊維は、PAN
(ポリアクリロニトリル)系、ピッチ系及びレーヨン系
等の原料、長繊維及び短繊維等の形状、並びに織布、不
織布及びチョップドファイバー等の形態等により多くの
種類があるが、用途に応じて適宜選択する。また、炭化
前の耐炎繊維等の中間繊維、繊維の混紡品及び混合品等
も使用することができる。
【0012】C/Cコンポジットを作る方法は、前記炭
素繊維のプリフォームに、CVD法により炭素を沈積さ
せる方法と、炭素繊維を炭素質マトリックスとともにプ
リフォーム化した後に炭化する方法の、2つの方法があ
る。前者のCVD法により炭素を沈積させる方法は、マ
トリックスとなる原料ガス(メタン、プロパンガス等)
とキャリヤーガス(水素ガス等)とを、一定の温度に保
持した前記炭素繊維のプリフォーム内に導入し、その空
孔部の内面で化学反応させて炭素を析出させるものであ
る。後者の炭素質マトリックスを使用する方法は、フェ
ノール樹脂、フラン樹脂及びポリイミド樹脂等の熱硬化
性樹脂、並びにコールタールピッチ及び石油系ピッチ等
のピッチ類等、用途に応じて種々のマトリックスを選択
する。なお、このマトリックス中に炭素粉、黒鉛粉及び
セラミックス粉等の粉体を混ぜ込んでもよい。そして、
前記炭素繊維をこのマトリックスとともに成形して炭化
する。その後、より高温で熱処理をしたり、黒鉛化処理
をしたりしてもよい。成形は、ホットプレス成形及びハ
ンドレイアップ等各種の手法を使用することができ、成
形時にいくつかのプリフォームを積み上げて、一体化し
てもよい。
【0013】本発明に係るC/Cコンポジットでは、炭
素繊維と炭素との比率は限定されず、使用する炭素繊維
の種類(PAN系、ピッチ系等)、形態(織布、不織
布、チョップドファイバー等)、マトリックスの材質
(樹脂系、ピッチ系、CVD系等)又は用途等に応じて
適切な比率に設定されるが、例えば、プリフォームの造
り易さ及び複合材料の性能保持の観点から、炭素繊維の
比率を20〜50体積比(全体に対して)程度に設定するの
が好ましい。
【0014】本発明の炭素繊維強化複合材料は、C/C
コンポジットの製造方法、空孔部の割合(空孔比率)、
孔の大きさ及び均一性、並びにセラミックスの生成に寄
与しない閉気孔の比率がどのくらいであるか等によっ
て、最終的なセラミックスの比率が決定し、当該複合材
料の性能が決定する。ゆえに、閉気孔が少なく、細かい
孔が均一に存在するように、原料及び製造方法の組み合
わせを選択する。空孔比率は、前記C/Cコンポジット
に、コールタールピッチ等のピッチ類若しくはフラン樹
脂等の熱硬化性樹脂を含浸させ、又はCVD法で炭素を
沈積させることにより、調節することができる。
【0015】次に、前記C/Cコンポジットの空孔部及
び表面相に、場合によっては空孔部のみにセラミックス
を生成させるが、その方法は2つある。第1の方法は、
ポリシラザン、ポリカルボシラン等の有機珪素化合物を
溶媒に溶かしたものを、C/Cコンポジットに含浸させ
た後に、アルゴン又は窒素ガス雰囲気中で、温度700℃
以上で焼成し、セラミックスを反応生成させる方法であ
り、アルゴンガスの場合には炭化珪素が、窒素ガスの場
合には窒化珪素がそれぞれ生成される。通常は、この含
浸及び焼成の操作を数回繰り返してセラミックスを生成
させるが、前記操作を繰り返す回数は、要求されるセラ
ミックスの重量%と、最終密度とにより決定する。ま
た、前記有機珪素化合物を溶媒に溶かした含浸液に、セ
ラミックスの微粉、ウィスカーを混ぜて、含浸処理をし
てもよい。さらに、炭化珪素の歩留を上げる目的で不融
化処理を行ってもよい。不融化処理を行った場合、不純
物として酸化珪素が生成するが、量的に少なければ問題
はない。
【0016】第2の方法は、CVD法である。空孔の内
部まで沈積する場合は、CVI法ともいう。この方法
は、ガスとして、炭化珪素の場合はCH3 SiCl3
は (CH3)2 SiCl2 とH2 との混合物、窒化珪素の
場合はSiCl4 とNH3 との混合物等を使用し、これ
を一定の温度に保持したC/Cコンポジット内に導入
し、化学反応させてセラミックスを沈積させるものであ
る。前記の2つの方法でセラミックスを生成させた場
合、製造方法及び原料に起因して、炭素、遊離珪素等の
副生成物及び不純物が混在することがあるが、少量であ
れば問題ない。
【0017】前記のセラミックスの生成後、さらに、フ
ラン樹脂等の熱硬化性樹脂又はコールタールピッチ等の
ピッチ類を含浸させて炭化する工程を1回以上行い、再
度、セラミックスを生成させてもよい。前記第1の方法
のみで密度1.8g/cm3を超える実用上好ましい炭素繊維強
化複合材料を得るためには、有機珪素化合物含浸を何回
も繰り返さなければならず、セラミックスの連続相が厚
くなるが、前記の樹脂又はピッチ等の含浸工程を行った
後に、セラミックスを生成させると、密度1.8g/cm3を超
える炭素繊維強化複合材料が容易に得られる。
【0018】前記の炭素繊維強化複合材料は、C/Cコ
ンポジット50〜90重量%とセラミックス50〜10重量%と
からなるものであるのが好ましい。両者の比率が前記の
範囲内にある場合には、セラミックスが薄い連続相を形
成し易くなる。また、セラミックスの比率が10重量%以
上であると、耐酸化性がさらに向上し、C/Cコンポジ
ットの比率が50重量%以上であると、機械加工性及び耐
衝撃性がより効果的に向上する。
【0019】以上の構成の炭素繊維強化複合材料の製造
方法は、前記C/Cコンポジットを作製した後、樹脂若
しくはピッチを含浸させて炭化させる工程又は化学的気
相蒸着法により炭素を沈積させる工程を1回以上行った
後、前記セラミックスを生成させる工程を複数回行って
もよく、また、前記C/Cコンポジットを作製した後、
樹脂若しくはピッチを含浸させて炭化させる工程又は化
学的気相蒸着法により炭素を沈積させる工程と、前記セ
ラミックスを生成させる工程とを、この順にて複数回繰
り返してもよく、何れにおいても、炭素繊維強化複合材
料のブランクとしての中間体が緻密化して空孔比率及び
空孔の大きさが小さくなるので、セラミックスの連続相
が効果的に薄くなって、炭素繊維強化複合材料の機械加
工性及び耐衝撃性等の性能がさらに向上する。
【0020】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説
明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 [実施例1]直径7μmのPAN系炭素繊維(東レ
(株)T300 )の6000本束を長さ25mmにカットしたもの
と、レーヨンの有機繊維とを重量比90:10で混合し、こ
れをカード機にて目付300g/m2 の不織布にした。この不
織布について積層及びパンチングを繰り返して目付10kg
/m2 の高目付不織布にし、これにフェノール樹脂液(昭
和高分子(株)BRL-2854)を不織布重量の2倍量含浸さ
せて乾燥後、熱板プレスで170 ℃の条件で20mmに硬化成
形し、さらに190 ℃、210 ℃でそれぞれ3時間、後硬化
を実施した。
【0021】このようにして得たプリフォームを、不活
性ガス雰囲気中で、300 ℃までは10℃/Hr 、300 〜600
℃は5 ℃/Hr 、600 ℃以上は20℃/Hr の昇温速度で1000
℃まで昇温し、炭化して、C/Cコンポジットを得た。
炭化後の嵩密度は0.95g/cm3であった。その後、これを
黒鉛化炉に入れて2500℃までの黒鉛化処理を行ない、ポ
リカルボシラン(日本カーボン(株) ニプシ タイプ
S)のキシレン溶液を含浸後、180 ℃で硬化処理を施
し、Arガス雰囲気中で、300 ℃までは20℃/Hr 、300 〜
700 ℃は5 ℃/Hr 、700 ℃以上は20℃/Hr の昇温速度で
1400℃まで昇温して、C/Cコンポジット中に炭化珪素
を生成させた。さらに、含浸、硬化及び炭化珪素生成の
工程を4 回繰り返し、C/Cコンポジットの内部及び表
面相に炭化珪素を生成した炭素繊維強化複合材料を得
た。この炭素繊維強化複合材料の嵩密度は1.90g/cm3
で、炭化珪素の含有量は50重量%であった。
【0022】[実施例2]実施例1の嵩密度0.95g/cm3
のC/Cコンポジットに、軟化点120 ℃のコールタール
ピッチを含浸させ、不活性ガス雰囲気中で、300 ℃まで
は50℃/Hr 、300℃以上は実施例1と同じ条件で1000℃
まで昇温して炭化し、さらにこれを黒鉛化炉に入れて25
00℃までの黒鉛化処理を行ない、嵩密度1.25g/cm3 のC
/Cコンポジットを得た。このC/Cコンポジットにつ
いて実施例1と同様のポリカルボシラン含浸、硬化、炭
化珪素生成の工程を3回行い、さらに、前記のピッチ含
浸、炭化の工程を2回繰り返して、1500℃で焼成を行っ
た。その後、ポリカルボシラン含浸、硬化、炭化珪素生
成を行って、嵩密度1.90g/cm3 の炭素繊維強化複合材料
を得た。この炭素繊維強化複合材料の炭化珪素の含有量
は25重量%であった。
【0023】[実施例3]実施例1の炭化後の0.95g/cm
3 のC/Cコンポジットに、ピッチ含浸、炭化の工程を
3回繰り返し行い、さらにこれを黒鉛化炉に入れて、25
00℃までの黒鉛化処理を行った。このときの嵩密度は1.
57g/cm3 であった。その後、ポリカルボシラン含浸、硬
化、炭化珪素生成を行い、嵩密度1.78g/cm3 の炭素繊維
強化複合材料を得た。この炭素繊維強化複合材料の炭化
珪素の含有量は12重量%であった。
【0024】[実施例4]実施例3の黒鉛化処理後の嵩
密度1.57g/cm3 のC/Cコンポジットに、ポリカルボシ
ラン含浸、硬化、窒素雰囲気中での窒化珪素生成反応を
行い、嵩密度1.78g/cm3 の炭素繊維強化複合材料を得
た。この炭素繊維強化複合材料の窒化珪素の含有量は10
重量%で、他に炭化珪素が2重量%入っていた。
【0025】[実施例5]実施例3の黒鉛化処理後の嵩
密度1.57g/cm3 のC/Cコンポジットに、炭化珪素のC
VD処理を行い、嵩密度1.75g/cm3 の炭素繊維強化複合
材料を得た。この炭素繊維強化複合材料の炭化珪素の含
有量は10重量%であった。
【0026】[比較例1]実施例2の途中工程のピッチ
含浸、黒鉛化処理後の嵩密度1.25g/cm3 のC/Cコンポ
ジットに、金属珪素を含浸させ、1800℃で反応させて炭
素繊維強化複合材料を得た。この炭素繊維強化複合材料
の嵩密度は2.1g/cm3で、炭化珪素の含有量は58重量%で
あった。
【0027】[比較例2]実施例3の黒鉛化処理後の嵩
密度1.57g/cm3 のC/Cコンポジットに炭素のCVD処
理を行い、嵩密度1.75g/cm3 のC/Cコンポジットを得
た。このC/Cコンポジットより炭化珪素は検出されな
かった。
【0028】[評価試験]前記の7種類のサンプルにつ
いて以下の(1) 〜(4) の評価試験を行った。この評価試
験の結果を表1に示す。 (1) 一辺が5mm の立方体を作り、昇温速度5 ℃/min、エ
アー流量200ml/min の条件で、熱天秤試験を行って重量
減が5 %を超えるときの温度を測定した。 (2) 外径150mm 、内径110mm 、厚み10mmのリング状の板
を加工するときの加工時間を測定した。 (3) 前記のリング状の板を、コンクリートの地面の上に
3mの高さから落下させ、割れの有無を調べた。 (4) 炭化珪素と炭素の界面を偏光顕微鏡で観察し、珪素
の炭素繊維に対する侵食の有無を調べた。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す評価試験結果より、比較例1も
含め炭素繊維強化複合材料は酸化温度が高く、耐酸化性
があるのに対し、比較例2のC/Cコンポジットは、耐
酸化性に劣ることが判った。また、炭化珪素の比率が高
い比較例1の材料に比べ、本発明の材料は加工性が良
く、落下試験結果でも端部が少し欠けた程度で、衝撃に
強いことが明らかになった。
【0031】図1は、本発明の炭素繊維強化複合材料の
炭化珪素と炭素との界面を、偏光顕微鏡で観察した結果
を示す概略図である。図1に示すように、本発明の炭素
繊維強化複合材料は、実質的に炭素繊維1のまわりを炭
素相2が覆っており、この炭素相2の内部隙間及び周囲
をセラミックス相3が覆った状態となっている。また、
炭素繊維1は、セラミックス相3により侵食されずに残
存している。従って、炭素繊維の特性である耐衝撃性及
び引張強度を良好に発揮することができる。また、耐熱
衝撃性も炭素相2がクッションとなって良好に発揮する
ことができる。なお、セラミックス相3内には、島状
に、空孔4が存在している。
【0032】以上のように、前記炭素繊維強化複合材料
は、C/Cコンポジットの空孔比率、空孔の大きさと均
一性及び開気孔率が好適であるので、セラミックスは、
上述のように、炭素繊維を侵食することなく、炭素相の
狭い隙間に侵入した状態で、さらにはC/Cコンポジッ
トの表面相を層状に薄く覆った状態で、薄い連続相を形
成し、その比率が好適なものとなっている。従って、炭
素材料及びセラミックスの特性をバランスよく発揮する
ことができ、耐衝撃性、耐熱衝撃性、耐酸化性、耐摩耗
性、耐薬品性、機械強度特性、及び機械加工性等の諸特
性を良好に発揮することができる。
【0033】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は、以下
の効果を奏する。請求項1記載の炭素繊維強化複合材料
によれば、炭素繊維が非侵食状態で残存しているので、
炭素繊維の特性である耐衝撃性及び引張強度を良好に発
揮することができるとともに、炭素相がクッションとな
って耐熱衝撃性も良好に発揮することができる。さら
に、セラミックスが連続相になっているので、その特性
が十分に発現され、セラミックス相が剥離しにくくなる
ことと相まって、特に、圧縮強度、耐酸化性及び耐摩耗
性が向上している。しかも、機械加工性がほぼC/Cコ
ンポジット並に向上し、複雑な形状にも加工できる。従
って、本発明の炭素繊維強化複合材料は、航空宇宙用部
材の材料、耐熱用途のローラー及びブレーキ材料等の用
途に適する。
【0034】請求項2記載の炭素繊維強化複合材料によ
れば、C/Cコンポジットを50〜90重量%、炭化珪素及
び窒化珪素の少なくとも一方からなるセラミックスを50
〜10重量%含むので、セラミックスが薄い連続相を形成
し易くなり、機械加工性がさらに向上する。特に、セラ
ミックスの比率が10重量%以上であるので、耐酸化性が
さらに向上し、C/Cコンポジットの比率が50重量%以
上であるので、機械加工性及び耐衝撃性がより効果的に
向上する。
【0035】請求項3記載の炭素繊維強化複合材料の製
造方法によれば、請求項1記載の炭素繊維強化複合材料
を容易かつ確実に得ることができる。また、セラミック
スの連続相の厚みを薄くすることができるので、その機
械加工性をより効果的に向上させることができる。さら
に、セラミックスが表面相に偏在するのを防止すること
ができるので、均質な炭素繊維強化複合材料を得ること
ができる。
【0036】請求項4記載の炭素繊維強化複合材料の製
造方法によれば、品質の安定した炭素繊維強化複合材料
を得ることができる。
【0037】請求項5記載の炭素繊維強化複合材料の製
造方法によれば、均一で薄いセラミックス相が形成さ
れ、炭素繊維強化複合材料の機械加工性及び耐衝撃性等
の性能がより効果的に向上する。
【0038】請求項6記載の炭素繊維強化複合材料の製
造方法によれば、中間体が緻密化して空孔比率及び空孔
の大きさが小さくなるので、形成されるセラミックスの
連続相がさらに薄くなって、炭素繊維強化複合材料の機
械加工性及び耐衝撃性等の性能がより効果的に向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素繊維強化複合材料を偏光顕微鏡で
観察した結果を示す概略図である。
【符号の説明】
1 炭素繊維 2 炭素相 3 炭化珪素及び窒化珪素の少なくとも一方からなるセ
ラミックス 4 空孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維強化炭素複合材料に、炭化珪素及
    び窒化珪素の少なくとも一方からなるセラミックスを生
    成しているとともに、前記炭素繊維強化炭素複合材料及
    びセラミックスがそれぞれ連続相を形成し、炭素繊維が
    非侵食状態で残存していることを特徴とする炭素繊維強
    化複合材料。
  2. 【請求項2】前記炭素繊維強化炭素複合材料を50〜90重
    量%、前記セラミックスを50〜10重量%含む請求項1記
    載の炭素繊維強化複合材料。
  3. 【請求項3】請求項1記載の炭素繊維強化複合材料の製
    造方法であって、 炭素繊維と炭素質マトリックスとからなるプリフォーム
    を炭化させるか、又は炭素繊維のプリフォームに化学的
    気相蒸着法により炭素を沈積させて、炭素繊維強化炭素
    複合材料を作製し、この炭素繊維強化炭素複合材料に前
    記セラミックスを生成させることを特徴とする炭素繊維
    強化複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】前記炭素繊維強化炭素複合材料に有機珪素
    化合物を含浸させ、不活性ガス又は窒素ガス雰囲気中で
    熱処理を行うことにより、前記セラミックスを生成させ
    る請求項3記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】前記炭素繊維強化炭素複合材料に、化学的
    気相蒸着法により前記セラミックスを生成させる請求項
    3記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】前記炭素繊維強化炭素複合材料を作製した
    後、当該炭素繊維強化炭素複合材料に樹脂若しくはピッ
    チを含浸させて炭化させる工程、又は化学的気相蒸着法
    により炭素を沈積させる工程と、前記セラミックスを生
    成させる工程とを少なくとも1回行う請求項3記載の炭
    素繊維強化複合材料の製造方法。
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